(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-08
(45)【発行日】2024-03-18
(54)【発明の名称】シート押圧装置及びこれを備える画像形成システム
(51)【国際特許分類】
B65H 45/30 20060101AFI20240311BHJP
B65H 37/06 20060101ALI20240311BHJP
B65H 45/16 20060101ALI20240311BHJP
【FI】
B65H45/30
B65H37/06
B65H45/16
(21)【出願番号】P 2019222744
(22)【出願日】2019-12-10
【審査請求日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】P 2018230532
(32)【優先日】2018-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000208743
【氏名又は名称】キヤノンファインテックニスカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098589
【氏名又は名称】西山 善章
(72)【発明者】
【氏名】榎本 真之介
【審査官】正木 裕也
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-189693(JP,A)
【文献】特開2016-183036(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 45/30
B65H 37/06
B65H 45/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
折り処理により折り目が形成されたシートを搬送する搬送部材と、
前記搬送部材の搬送方向において下流側に設けられた増し折りユニットであって、前記搬送方向に延びる回転軸を回転中心として回転する複数の押圧部材を有し、前記折り目を押圧する押圧ユニットと、
前記複数の押圧部材と対向して配置される対向部材と、
前記複数の押圧部材と前記対向部材とによって前記折り目を押圧する押圧位置と該押圧位置に対して前記対向部材から前記複数の押圧部材が退避する方向に移動する退避位置とに前記押圧ユニットを移動可能であって、前記押圧ユニットが前記押圧位置に位置している状態において、前記回転軸の軸線方向と交差する方向へ前記対向部材に対して前記押圧ユニットを移動させることで、前記複数の押圧部材によって前記シートの折り目を押圧させる移動機構と、を備え、
前記移動機構によって前記押圧ユニットが前記退避位置から前記押圧位置に移動した状態において、前記複数の押圧部材のうち前記交差する方向における一方側の端に設けられた押圧部材は前記対向部材と当接し、前記複数の押圧部材のうち前記交差する方向における他方側の端に設けられた押圧部材は前記シートの折り目と当接しており、
前記押圧ユニットを前記退避位置から前記押圧位置に移動させた後、前記一方側の端に設けられた押圧部材がシートの折り目と当接し、前記他方側の端に設けられた押圧部材が前記対向部材と当接する位置まで、前記一方側から前記他方側へ向かう方向に前記押圧ユニットを移動させる、
ことを特徴とするシート押圧装置。
【請求項2】
前記移動機構によって前記押圧ユニットが前記退避位置から前記押圧位置に移動した場合、前記交差する方向において、前記一方側の端に設けられた押圧部材と隣接する押圧部材と前記一方側の端に設けられた押圧部材との間に前記シートの端部が位置している、ことを特徴とする請求項1に記載のシート押圧装置。
【請求項3】
前記交差する方向において、前記複数の押圧部材の前記一方側の端に設けられた押圧部材から前記他方側の端に設けられた押圧部材の距離は、前記シートの前記折り目よりも短い、ことを特徴とする請求項1または2に記載のシート押圧装置。
【請求項4】
前記交差する方向において、前記複数の押圧部材の前記一方側の端に設けられた押圧部材から前記他方側の端に設けられた押圧部材の距離は、前記複数の押圧部材のうち隣り合う押圧部材の間隔分だけ前記シートの折り目よりも短い、ことを特徴とする請求項3に記載のシート押圧装置。
【請求項5】
前記移動機構は、接触子と、該接触子とを係合し前記押圧位置における前記交差する方向に沿って前記
押圧ユニットの移動を案内するガイド溝と、を備え、
前記ガイド溝は、前記複数の押圧部材のうち隣り合う押圧部材の間隔以上の長さにわたって前記交差する方向に延びる領域を有する、ことを特徴とする請求項1から請求項4の何れか一項に記載のシート押圧装置。
【請求項6】
第1の折り目と第2の折り目が形成されたシートに対して前記押圧ユニットによって増し折りを行う場合、前記移動機構は、前記第1の折り目を押圧する場合に前記押圧ユニットを前記一方側から前記他方側へ向かう方向に移動させ、前記第2の折り目を押圧する場合に前記押圧ユニットを前記他方側から前記一方側へ移動させる、
ことを特徴とする請求項1から請求項5の何れか一項に記載のシート押圧装置。
【請求項7】
前記押圧ユニットは、前記複数の押圧部材と、前記交差する方向において前記複数の押圧部材のうち隣り合う押圧部材の間に設けられて前記対向部材と対向する他の対向部材と、前記複数の押圧部材を前記対向部材へ向けて付勢する付勢部材と、を有する、ことを特徴とする請求項1から請求項6の何れか一項に記載のシート押圧装置。
【請求項8】
シートに対して折り処理を施す折りユニットと、
前記折りユニットによって前記折り処理が施されたシートの折り目を押圧する、請求項1から請求項7の何れか一項に記載のシート押圧装置と、
を備えることを特徴とするシート処理装置。
【請求項9】
シート上に画像を形成する画像形成装置と、
前記画像形成装置によって画像が形成されたシートに対して折り処理を施すシート処理装置と、
前記シート処理装置により前記折り処理が施されたシートの折り目を押圧する、請求項1から請求項7の何れか一項に記載のシート押圧装置と、
を備えることを特徴とした画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートに対して折り処理を行うシート押圧装置及びこれを備えた複写機、プリンタ、ファクシミリ、又はそれらの複合機等の画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機やプリンタ等の画像形成システムに設置されたシート折り処理装置(後処理装置)において、折り処理によってシートに形成される折り目部の厚さ(折り高さ)が厚くなるのを防止することを目的として、シートに対して折り処理部で折り処理を一度行って折り目を形成した後に、その折り目を別の押圧部材によってさらに押圧(増し折り処理)するものが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、連続的に搬送されるシート(用紙)に対してそれぞれ折り処理を行うときに、折り処理が行われた先行のシートを別の搬送経路に一時的にスタックさせて、後続のシートの折り処理が終了した後に、スタックされた先行のシートと後続のシートとを用紙増し折り部に搬送して、先行のシートと後続のシートとを重ねた状態でシートの折り目上でシートの搬送方向と交差する方向に再加圧ローラを折り目に沿って移動させ、双方の折り部(折り目)を再加圧するシート折り装置が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、搬送されてくる冊子の折り目の辺方向に沿って配列されコロ支持部材に支持される複数のコロと載置台の間でシートの折り目を押圧しながらコロ支持部材を折り目に沿って移動させることによって、増し折り処理を行う冊子増し折り機構が開示されている。特許文献2に開示される冊子増し折り機構では、コロ支持部材が、載置台と平行な横板とこの横板と直交して冊子の折り目に沿った方向に延びる縦板とを備えるL字形状に形成されており、冊子の折り目辺の方へコロ支持部材を移動させて複数のコロを折り目辺に押圧する移動押圧手段に軸ガイドを固定すると共に、載置台上のシートの折り目辺に対して斜めに傾斜して縦板に軸を固定し、移動押圧手段の押圧移動に伴って軸ガイドに対して軸を移動させることによってコロ支持部材を冊子の折り目に沿って移動させるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2012-171727号公報
【文献】特開2008-189404号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献1に開示されるシート折り装置は、シートの折り目に沿って一つの再加圧ローラを折り目の一方の端部から他方の端部まで移動させることによって増し折り処理を行っているため、増し折り処理時間が長くなるという問題がある。また、先行するシートをスタックするための搬送経路やスペースを設ける必要があるため、装置が大型化すると共にコストが増加するという問題がある。
【0007】
また、上述した特許文献2に開示される冊子増し折り機構では、シートの折り目の長さよりも長い範囲にコロ支持部材に複数のコロが支持されており、増し折りの際に、コロの配列の1ピッチよりも僅かに大きい距離だけコロを折り目に沿って移動すればよく、特許文献1に開示のシート折り装置と比較して、増し折りに要する時間を短くすることができる。しかしながら、シートの折り目よりも長い範囲に多数のコロが配置されているため、複数のコロを支持するコロ支持部材の移動を許容するためにシートの側部に必要なスペースが広くなって、装置が大型化してしまうと共に、コロのコストが増加してしまうという問題がある。さらに、コロ支持部材をシートの折り目に向けて押圧する力が複数のコロに分散されるため、一つのコロがシートの折り目に付与する圧力が小さくなってしまい、十分な圧力をシートの折り目に付与するためには、大きな力をコロ支持部材に付与する必要がある。
【0008】
よって、本発明の目的は、従来技術に存する課題を解決するために、装置の大型化やコストの増加を抑え、かつ、効率的に増し折りを行うことができるシート押圧装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的に鑑み、本発明は、第1の態様として、折り処理により折り目が形成されたシートを搬送する搬送部材と、前記搬送部材の搬送方向において下流側に設けられた増し折りユニットであって、前記搬送方向に延びる回転軸を回転中心として回転する複数の押圧部材を有し、前記折り目を押圧する押圧ユニットと、前記複数の押圧部材と対向して配置される対向部材と、前記複数の押圧部材と前記対向部材とによって前記折り目を押圧する押圧位置と該押圧位置に対して前記対向部材から前記複数の押圧部材が退避する方向に移動する退避位置とに前記押圧ユニットを移動可能であって、前記押圧ユニットが前記押圧位置に位置している状態において、前記回転軸の軸線方向と交差する方向へ前記対向部材に対して前記押圧ユニットを移動させることで、前記複数の押圧部材によって前記シートの折り目を押圧させる移動機構と、を備え、前記移動機構によって前記押圧ユニットが前記退避位置から前記押圧位置に移動した状態において、前記複数の押圧部材のうち前記交差する方向における一方側の端に設けられた押圧部材は前記対向部材と当接し、前記複数の押圧部材のうち前記交差する方向における他方側の端に設けられた押圧部材は前記シートの折り目と当接しており、前記移動機構は、前記押圧ユニットを前記退避位置から前記押圧位置に移動させた後、前記一方側の端に設けられた押圧部材がシートの折り目と当接し、前記他方側の端に設けられた押圧部材が前記対向部材と当接する位置まで、前記一方側から前記他方側へ向かう方向に前記押圧ユニットを移動させる、ことを特徴とするシート押圧装置を提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、押圧ユニットを一方向に移動させるだけでシートの折り目の一方側の端から他方側の端の全域を押圧部材で押圧することができるため、効率的に増し折りを行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明のシート押圧装置を備えた画像形成システムの全体構成図である。
【
図2】
図1に示されている折り処理圧装置の折り処理機構及び増し折りユニット(シート押圧装置に相当)の主要部を示す説明図である。
【
図3】
図1に示されている折り処理装置の増し折りユニットを排出口側から見た図である。
【
図4】
図3に示されている増し折りユニットの内部に設けられており、増し折りコロをシートに向けて付勢する機構を示す説明図である。
【
図5】増し折りユニットにおいてシートに増し折り処理を施すときの増し折り部の動作を示す説明図であり、(a)はシートの搬入方向の先端側に位置する第1の折り目を増し折り部に受け入れた状態、(b)は増し折りコロを押圧位置に移動してシートの第1の折り目を増し折りコロで押圧した状態、(c)は(b)に示されている押圧位置でシートの第一の折り目に沿って増し折りコロを移動させた状態、(d)は(c)に示されている状態から増し折りコロを第1の退避位置に移動させた状態を示している。
【
図6】増し折りユニットにおいてシートに増し折り処理を施すときの増し折り部の動作を示す説明図であり、(e)はシートの搬入方向の後端側に位置する第2の折り目を増し折り部に受け入れた状態、(f)は増し折りコロを押圧位置に移動してシートの第2の折り目を増し折りコロで押圧した状態、(g)は(f)に示されている押圧位置でシートの第2の折り目に沿って増し折りコロを移動させた状態、(h)は(g)に示されている状態から増し折りコロを第2の退避位置に移動させた状態を示している。
【
図7】増し折りユニットにおいてシートに増し折り処理を施すときの増し折り部の動作を示す説明図であり、(a)から(d)は、それぞれ、
図5の(a)から(d)に示されている増し折り部を側方から見た状態を示している。
【
図8】増し折りユニットにおいてシートに増し折り処理を施すときの増し折り部の動作を示す説明図であり、(e)から(h)は、それぞれ、
図6の(e)から(h)に示されている増し折り部を側方から見た状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して、本発明の好ましい実施の形態を説明する。添付図面では、類似の構成要素には、同様の参照符号を付して表すこととする。
【0020】
最初に、
図1を参照して、本発明によるシート押圧装置である増し折りユニットを有した折り処理装置を備える画像形成システムの全体構成を説明する。画像形成システムは、画像形成装置Aと、折り処理装置Bと、後処理装置Cとを含んで構成され、画像形成装置Aによって画像形成されたシートSに折り処理装置Bによって折り処理を施した後、さらに下流側の後処理装置Cで、必要に応じて、ステープル処理や整合処理などを施し、下流側の収納トレイ27に排出する。画像形成システムには、例えば、複写機、プリンタ、印刷機など種々の構造のものが含まれる。以下、画像形成装置A、折り処理装置B及び後処理装置Cについて詳細に説明する。
【0021】
[画像形成装置]
画像形成装置Aは、
図1に示されているように、画像形成ユニットA1と、画像読取ユニットA2と、原稿給送ユニットA3とを含んでいる。画像形成ユニットA1は、装置ハウジング1内に、給紙部2と画像形成部3と排紙部4とデータ処理部5とを備えている。
【0022】
給紙部2は、複数のカセット2a,2b,2c、2dを含んでおり、各カセット2a,2b,2c、2dには、予め選定された異なる規格サイズのシートSを収納可能になっている。各カセット2a,2b,2c、2dには、内部のシートSを一枚ずつ分離する分離機構と、シートSを繰り出す給紙機構が内蔵されている。このような構成の給紙部2に収納されたシートSは、本体制御部(図示せず)から指定されたサイズのシートSを給紙経路6に繰り出す。給紙経路6には、中間部に配置され複数のカセット2a,2b,2c,2dから供給されるシートSを下流側に搬送する搬送ローラ7と、経路端部に配置され各シートSを先端揃えするレジストローラ8とが設けられており、レジストローラ8によって先端揃えされたシートSが所定のタイミングで下流側の画像形成部3に給送される。
【0023】
画像形成部3は、給紙部2から送られたシートSに画像を形成するように構成されていればよく、種々の画像形成機構が採用可能である。図示されている実施形態では、画像形成部3として、静電式画像形成機構が示されている。しかしながら、画像形成部3は、図示されている静電式画像形成機構に限定されるものではなく、インクジェット式画像形成機構、オフセット式画像形成機構などを採用することも可能である。
【0024】
図1に示されている画像形成部3では、感光体9(ドラム、ベルト)と、感光体9に光学ビームを発光する発光器10とが設けられており、現像器11(ディベロッパー)とクリーナ(図示せず)とが回転する感光体9の周囲に配置されている。図示のものはモノクロ印刷機構であり、感光体9に発光器10で光学的に潜像を形成し、この潜像に現像器11でトナーインクを付着する。感光体9に付着されたインク画像(インクトナー)は、給紙部2から送られたシートSに転写チャージャ12で画像転写され、画像転写されたシートSが定着ローラ13で定着された後に、排紙経路14へ送られる。また、画像形成部3には、循環経路17が設けられており、排紙経路14からのシートSをスイッチバック経路で裏表反転した後に、再びレジストローラ8に送り、シートSの裏面に画像形成がされ、排紙経路14へ送られる。排紙経路14には、排紙ローラ15が配置されていると共に、その末端に排紙口16が形成されており、排紙ローラ15によって排紙口16から折り処理装置BへシートSを搬送する。
【0025】
このように構成された画像形成ユニットA1の上部には、画像形成部3で画像形成する原稿画像を光学的に読み取る原稿読取ユニットA2が設けられており、原稿読取ユニットA2のさらに上部に、原稿給送ユニットA3が搭載されている。
【0026】
画像読取ユニットA2は、透明ガラスで形成された第1のプラテン18及び第2のプラテン19と、読取キャリッジ20と、読取キャリッジ20に搭載された光源と、光電変換素子21と、ミラーやレンズを組み合わせて構成された縮小光学系22とを備え、第1のプラテン18に沿って読取キャリッジ20を走査して第1のプラテン18上に載置された原稿シートSの画像に光源からの光を照射し、原稿シートSの画像からの反射光を縮小光学系22で光電変換素子21に案内して、画像の読み取りを行う。光電変換素子21は画像データを電気信号に変換して画像形成部3に転送する。
【0027】
原稿給送ユニットA3は、給紙トレイ23と、給紙経路24と、排紙トレイ25とを備え、給紙トレイ23上に載置された原稿を給紙経路24に沿って一枚ずつ搬送して、第2のプラテン19上を通過させ、排紙トレイ25に排出する。なお、原稿給送ユニットA3から給送されて第2のプラテン19上を通過する原稿を読み取るときには、読取キャリッジ20を第2のプラテン19の下方で予め停止させておき、第2のプラテン19上を通過する画像から画像データを生成させる。
【0028】
[後処理装置]
後処理装置Cは、画像形成装置Aに連結された折り処理装置Bのさらに下流側に連結されており、折り処理装置Bによって折り処理を施されて又は折り処理を施されずに排出されたシートSを受け取って、必要に応じて、ステープル処理や整合処理などを施す。
【0029】
後処理装置Cの内部には、後処理経路26が設けられており、後処理経路26に沿ってステープルユニットや整合ユニットなどの後処理機器(図示せず)が配置されている。後処理装置Cは、画像形成装置Aから排出されたシートSを折り処理装置Bを介して受け取り、必要に応じて、ステープルユニットや整合ユニットなどの後処理装置によって、受け取ったシートSにステープル処理や整合処理などを施した後に、シートSを収納トレイ27に排出して収納する。
【0030】
[折り処理装置]
画像形成装置Aに連結された折り処理装置Bは、画像形成装置Aの排紙口16から排出された画像形成済みのシートSを受け取り、折り処理を施す装置である。
【0031】
図2に折り処理装置Bの内部構成が示されている。折り処理装置Bの内部には、略水平方向に延びる搬送経路101が設けられている。搬送経路101上には、一つ又は複数の搬送ローラ対102と、搬送ローラ対102の下流側に配置される折り処理機構103とが設けられていると共に、折り処理機構103の下流側の搬送経路101の末端部には、さらに、本発明によるシート押圧装置に相当する増し折りユニット104が設けられている。折り処理装置Bは、搬送経路101に沿って搬送されるシートSに折り処理機構103によって折り処理を施した後に、増し折りユニット104によって増し折り処理を施し、折り処理及び増し折り処理を施したシートSを後処理装置Cに引き渡すことができるようになっている。
【0032】
なお、搬送経路101は、
図1に示されているように、画像形成装置Aの排紙口16に連なるように配置され、排紙口16から排出されたシートSを搬送経路101を介して折り処理装置B内に搬入できるようになっている。また、増し折りユニット104の排出口も後処理装置Cの後処理経路26と連なるように配置され、増し折りユニット104から排出されるシートSが後処理経路26を介して後処理装置C内に搬入できるようになっている。
【0033】
搬送ローラ対102は、ゴムローラで形成されており、上側に配置される上側搬送ローラ102aと、上側搬送ローラ102aと対向して下側に配置される下側搬送ローラ102bとを含んでいる。本実施形態では、上側搬送ローラ102aは、図示されていない搬送ローラ駆動モータに連結されており、搬送ローラ駆動モータの回転に伴って回転するようになっている一方、下側ローラ102bは、図示されていないバネの付勢力によって上側搬送ローラ102aに圧接されており、従動的に回転するようになっている。しかしながら、搬送ローラ対102は、シートSを搬送することができれば、上述の構成に限定されるものではなく、適宜の構成を採用することが可能である。
【0034】
折り処理機構103は、折りローラ対105と、突き板107とによって構成されている。折りローラ対105は、ゴムローラで形成されており、上側に配置される上側折りローラ105aと、上側折りローラ105aと対向して下側に配置される下側折りローラ105bとを含んでいる。下側折りローラ105bは、図示されていないバネの付勢力によって上側折りローラ105aに圧接されており、上側折りローラ105aと下側折りローラ105bとは、図示されていない共通の折りローラ駆動モータに連結されており、折りローラ駆動モータの回転に伴って互いと逆向きに回転するようになっている。突き板107は、搬送ローラ対102と折りローラ対105との間に配置され、図示されていない突き板駆動モータに連結されており、突き板駆動モータの駆動に伴って折りローラ対105の上流側の搬送経路と平行に移動するようになっている。
【0035】
搬送ローラ対102と折りローラ対105との間の搬送経路101には、上側搬送ガイド108と、下側搬送ガイド109と、上側折りガイド110と、下側折りガイド111とが設けられている。
【0036】
上側搬送ガイド108は、シートSの先端を搬送ローラ対102から突き板107まで導くように搬送ローラ対102の直後から突き板107の上方まで形成されている。上側搬送ガイド108は、搬送経路101を搬送されるシートSの流れを規制するためのもので、搬送経路101の上側に配置されており、下流側に向かうに従い下方に屈曲した形状となっている。また、上側折りガイド110は、上側搬送ガイド108と折りローラ対105との間に配置され、折りローラ対105にシートSの先端及び後述するシートSの折り曲げ部を導くように折りローラ対105の直前まで延びている。上側折りガイド110は、折り処理機構103におけるシートSの流れを規制するためのものであり、上側搬送ガイド108の下流側で搬送経路101の上側に設けられている。
【0037】
下側搬送ガイド109は、搬送経路101を搬送されるシートSの流れを規制するためのもので、搬送経路101の下側に配置されており、上側搬送ガイド108と同様に下流側に向かうに従い下方に屈曲した形状となっている。下側搬送ガイド109は、突き板107の手前で途切れており、下側搬送ガイド109の下流側には、開いた空間が形成されるようになっている。下側折りガイド111は、突き板107の下流側に配置され、折りローラ対105の上流側と下流側とにまたがって延びており、下側折りガイド111における折りローラ対105よりも上流側の部分は、搬送されるシートSの先端及び後述するシートSの折り曲げ部を折りローラ対105のニップ部へ導くための水平面と水平面へ導きやすくするための傾斜面とを有している。
【0038】
突き板107は、図示されていない突き板駆動装置と制御部とによって水平移動されるようになっている。また、突き板107は、搬送経路101に沿ってシートSを搬送ローラ対102によって折りローラ対105まで搬送するとき、下側搬送ガイド109と下側折りガイド111との間の空間を埋めるように配置されており、搬送されるシートSの先端を下側折りガイド111まで導くようになっている。制御部は、シートSの先端が折りローラ対105にニップされたことを認識すると、折り曲げ部を形成するために、突き板107を水平方向に下側搬送ガイド109の下方の退避位置へ移動させて、下側搬送ガイド109と下側折りガイド111との間にループ作成用の空間を形成させる。ループ作成用の空間が形成された後、シートSの先端が折りローラ対105にニップされた状態でシートSを所定量だけ搬送すると、シートSの中間部がループ作成用の空間で下方に撓んでループ部を作成する。この状態で、突き板107を退避位置から折りローラ対105へ向かって水平方向に移動させて折り曲げ部を形成し、突き板107が折りローラ対105の手前まで到達した後に、折りローラ対105を駆動させてシートSを搬送させることによって、第1の折り目132が形成され、さらに、突き板107を退避位置へ移動させた後に折りローラ対105によってシートSを搬送させてループ部をニップすることによって第2の折り目133が形成されて、Z折りが施されたシートSが下流側に搬送される。
【0039】
次に、
図3を参照して増し折りユニット104の構成を説明する。増し折りユニット104は、シートSの搬送方向における折りローラ対105の下流側において下側折りガイド111の上方に配置されている。増し折りユニット104は、移動可能な支持部材112と、支持部材112に支持されている複数の増し折りコロ114と、支持部材112に取り付けられた規制部材115と、支持部材112を下側折りガイド111に対して接近離反する方向に移動させる第1の移動機構116と、支持部材112を水平方向にシートSの折り目に沿って移動させる第2の移動機構117とを備える。上下に対向して配置される上側折りガイド110と下側折りガイド111における折りローラ対105よりも下流側の部分は、シートSを増し折りユニット104内に案内する一対の搬入ガイド118として機能し、一対の搬入ガイド118の上流側端部が増し折りユニット104の搬入口119をなしている。また、上述のような支持部材112に支持される複数の増し折りコロ114と下側折りガイド111とによって増し折り部が構成される。
【0040】
複数の増し折りコロ114は、各々がシートSの搬送方向(下側折りガイド111の上面と平行で且つシートSの折り目と垂直な方向)に延びる回転軸線周りに回転可能となるように、押圧部材配置領域にシートSの折り目の方向に一列に互いに一定の間隔で離間して配置されて支持部材112に支持されている。また、第1の移動機構116は、複数の増し折りコロ114を支持する支持部材112を下側折りガイド111に対して接近離反する方向に移動させる。これにより、複数の増し折りコロ114を下側折りガイド111に対して接近離反させ、各増し折りコロ114と下側折りガイド111との間に配置されたシートSの折り目を各増し折りコロ114と下側折りガイド111とによって押圧する押圧位置とシートSから離れる方向に押圧位置から複数の増し折りコロ114を移動させた退避位置との間で移動できるようになっている。また、第2の移動機構117は、押圧位置で支持部材112を水平方向(
図3における左右方向)に移動させることによって複数の増し折りコロ114をシートSの折り目に沿って移動できるようになっている。なお、複数の増し折りコロ114と下側折りガイド111とは、押圧位置においてシートSがそれらの間に介在していなければ、直接接触するようになっている。押圧部材配置領域の長さ(すなわち押圧部材配置領域の両端位置に配置された増し折りコロ114の間の距離)は、退避位置から押圧位置に移動されたときに、押圧部材配置領域の一方の位置に隣り合って配置される二つの増し折りコロ114の間にシートSの折り目の一方の端部(増し折りコロ114の移動方向上流側の端部)が配置され且つ他方の端位置に配置される増し折りコロ114が折り目上に配置されるように定められている。上記に示す押圧部材配置領域の一方とは、押圧部材配置領域の複数の増し折りコロ114が並ぶ方向の中央部から端部までを指し、その一方とは反対の領域となる押圧部材配置領域の複数の増し折りコロ114が並ぶ方向の中央部から端部までを他方とする。更に好ましくは、押圧部材配置領域の長さは、退避位置から押圧位置に移動されたときに一方の端位置に隣り合って配置される二つの増し折りコロ114の間にシートSの折り目の一方の端部が配置され且つ他方の端位置に配置される増し折りコロ114が折り目上に配置されるように定められている。好ましくは、図示されている実施形態のように、押圧部材配置領域の長さすなわち押圧部材配置領域の両端位置に配置された増し折りコロ114の間の長さが、増し折りユニット104に搬入されるシートSの折り目の長さよりも複数の増し折りコロ114の配列の1ピッチ分(隣り合って配置される二つの増し折りコロの1間隔分)だけ短くなっている。この場合、必要となる増し折りコロ114の数を減らすことができ、増し折りコロ114のコストを減少させることができる。また、支持部材112に支持される増し折りコロ114の数が減少するので、同じ力を支持部材112に付与するときにシートSに対する一つの増し折りコロ114当たりの押圧力が大きくなって、増し折りの効果が高くなり、より小さい力で効率的な増し折りが可能となる。
【0041】
増し折りユニット104では、複数の増し折りコロ114が下側折りガイド111に対して退避位置又は押圧位置よりも退避位置側へ離れた受け入れ位置に配置された状態で、増し折りユニット104内にシートSを受け入れた後、折りローラ対105の上流側に設けられたシート位置検出手段(図示せず)によってシートSの位置を検出してシートSの折り目が増し折りコロ114の下方に到達したときにシートSを停止させ、第1の移動機構116によって下側折りガイド111に対して複数の増し折りコロ114を押圧位置に移動させる。シートSは、押圧位置に複数の増し折りコロ114が移動したときに、折り目の一方の端部(折り目に沿った移動の方向の上流側の端部)が押圧部材配置領域における一方の位置の二つの増し折りコロ114の間に配置される一方、折り目の他方の端部(折り目に沿った移動の方向の下流側の端部)が押圧部材配置領域の外側(すなわち、押圧部材配置領域における他方の端位置の増し折りコロ114の外側)に配置されるように、増し折りユニット104内に搬入される。さらに、第2の移動機構117によって押圧位置で下側折りガイド111に対して複数の増し折りコロ114をシートSの折り目に沿って移動させることによって、複数の増し折りコロ114でシートSの折り目を折り目の全域にわたって押圧して増し折りを行い、折り目を強化する。このように、各増し折りコロ114と下側折りガイド111とは押圧部材として機能する。
【0042】
また、両端位置の増し折りコロ114の外側及び離間して隣り合う増し折りコロ114の間には、支持部材112に取り付けられた概略L字形状断面を有する規制部材115が配置されている。規制部材115は、増し折りコロ114を下側折りガイド111に対して押圧位置でシートSの折り目に沿って移動して増し折りを行う増し折り処理の際に、規制部材115の底面(すなわち、下側折りガイド111と対向する面)と下側折りガイド111の上面との間の距離d1が、通常の搬送経路の高さ、例えば増し折りユニット104の搬入口119に続く搬入経路を形成する一対の搬入ガイド118(上側搬入ガイド118aと下側搬入ガイド118b)の間の距離d2よりも短くなる規制位置に配置され、距離d1を保ちながら支持部材112と共にシートSの折り目に沿って移動する。ここでの規制部材115の底面と下側折りガイド111の上面との間の距離d1は、これらの部材が直接接触することがないように定められている。これによって、増し折りコロ114による押圧に先だって、規制部材115が折り目の高さを上側搬入ガイド118aと下側搬入ガイド118bとの間よりも低く押し下げた状態で、増し折りコロ114によってシートSの折り目を押圧して増し折りを行うことができる。
【0043】
なお、複数の増し折りコロ114と下側折りガイド111との隙間、および、規制部材115と下側折りガイド111との隙間は、それぞれ、シートSの折り目に沿った方向に全域にわたって一定に保たれている。
【0044】
図4に示されているように、複数の増し折りコロ114は、それぞれ、支持部材112に対して移動可能に支持された補助部材113に回動可能に取り付けられ、支持部材112に形成されたバネ受け部120と各補助部材113の上端部との間にそれぞれバネ121を配置し、増し折りコロ114を下側折りガイド111へ向けて付勢するようになっていることが好ましい。このような構成にすることによって、増し折りユニット104の支持部材112及びこれに取り付けられた規制部材115が下側折りガイド111へ向かって下方へ移動する際に、増し折りコロ114はシートSを介して下側折りガイド111に接したところで下方への移動を停止する一方、バネ121の収縮により支持部材112及び規制部材115はさらに下方への移動を続けることができ、規制部材115の底面と下側折りガイド111の上面との距離が所望の値になって規制部材115が規制位置に到達した時点で停止させることが可能となる。また、各補助部材113が個別のバネ121で付勢されていれば、支持部材112が少し傾いてシートSの折り目に沿って移動した場合でも、各増し折りコロ114がシートSの折り目に対して一定の押圧力を付与することができ、折り目の部分によって押圧力が変化し不均一な増し折りを行うことを抑制することができる。
【0045】
次に、図示されている実施形態における第1の移動機構116と第2の移動機構117の詳細な構成について説明する。
【0046】
増し折りユニット104の支持部材112は、折り処理装置Bの筐体122などに固定されたガイドレール123に沿って移動可能なスライダ124に、ブラケット125を介して上下動可能に取り付けられており、水平方向にスライダ124と連動して移動するようになっている。スライダ124上には、プーリ126と一体的に回転するピニオン(図示せず)と噛合するラック127が設けられており、増し折り駆動モータ128を駆動して、その回転をベルト129を介してプーリ126に伝達してプーリ126を回転させることによって、スライダ124を水平方向にガイドレール123に沿って移動させることができるようになっている。
【0047】
また、支持部材112には、折り処理装置Bの筐体122などに固定された接触子130と係合するカム溝131が形成されている。支持部材112の水平移動に伴ってカム溝131が接触子130と係合しながら移動し、カム溝131の形状に従って支持部材112が案内されながら移動する。カム溝131は、略水平方向に延びる第1の底部水平部分と、第1の底部水平部分の終端から上方に傾斜して延びる第1の傾斜部分と、第1の傾斜部分の終端から概略水平方向に延びる頂部水平部分と、頂部水平部分の終端から下方に傾斜して延びる第2の傾斜部分と、第2の傾斜部分の終端から略水平に延びる第2の底部水平部分とを含んでいる。カム溝131の第1の傾斜部分及び第2の傾斜部分を接触子130に係合させながらスライダ124によって筐体122に対して支持部材112を
図3中の水平方向に移動させることによって、支持部材112が下側折りガイド111に対して接近離反する方向すなわち
図3中の上下方向に移動する。このように、ガイドレール123、スライダ124、ブラケット125、プーリ126、ラック127、増し折り駆動モータ128、ベルト129、接触子130、カム溝131の第1の傾斜部分及び第2の傾斜部分が第1の移動機構116を構成している。また、カム溝131の頂部水平部分を接触子130に係合させながらスライダ124によって筐体122に対して支持部材112を図中の水平方向に移動させることによって、支持部材112及びこれに支持される複数の増し折りコロ114が下側折りガイド111に対して
図3中の水平方向にシートSの折り目に沿って移動する。このように、ガイドレール123、スライダ124、ブラケット125、プーリ126、ラック127、増し折り駆動モータ128、ベルト129、接触子130、カム溝131の頂部水平部分が第2の移動機構117を構成している。図示されている実施形態では、接触子130が筐体122などに固定され、カム溝131が支持部材112に形成されているが、接触子130を支持部材112に固定し、カム溝131を筐体122に形成するようにしてもよいことはいうまでもない。
【0048】
なお、図示されている実施形態のように、複数の増し折りコロ114が一定の間隔で離間して配置されている場合、隣り合う増し折りコロ114の間に位置する折り目の全てを増し折りコロ114と下側折りガイド111との間で押圧するためには、隣り合う増し折りコロ114の間隔分(すなわち1ピッチ分の距離)以上、押圧位置で下側折りガイド111に対して複数の増し折りコロ114を折り目に沿って移動させる必要がある。上述した第1の移動機構116の構成では、接触子130とカム溝131の第1の傾斜部分とを係合させながらスライダ124を水平方向に移動させることによって支持部材112に支持される複数の増し折りコロ114が下側折りガイド111に対して接近して押圧位置に移動される。また、上述した第2の移動機構117の構成では、接触子130とカム溝131の頂部水平部分とを係合させながらスライダ124を水平方向に移動させることによって支持部材112に支持される複数の増し折りコロ114が押圧位置で折り目に沿って移動することになる。よって、カム溝131の頂部水平部分の水平方向(折り目に沿った方向)の長さは、隣り合う増し折りコロ114の1ピッチ分以上になっている。
【0049】
次に、
図5から
図8を参照して、図示されている実施形態の増し折りユニット104の動作を詳細に説明する。ここでは、折り処理機構103によってZ折り処理が施され第1の折り目132と第2の折り目133とが形成されているシートSが増し折りユニット104に搬入されるものとして説明を行う。
【0050】
折り処理機構103からのシートSを搬入口119及び上側搬入ガイド118aと下側搬入ガイド118bとによって構成される搬入経路を通して増し折りユニット104内に受け入れるとき、
図5(a)及び
図7(a)に示されているように、支持部材112に支持される複数の増し折りコロ114はホーム位置である受け入れ位置に配置されている。このとき、支持部材112に支持される複数の増し折りコロ114の下端部が搬入経路の上側を規制すると共に、下側折りガイド111が搬入経路の下側を規制し、搬入されるシートSの第1の折り目132を増し折りコロ114と下側折りガイド111との間まで導くガイドとして機能する。また、このとき、接触子130は、カム溝131の第1の底部水平部分の端部に位置している。なお、図示されている実施形態では、後述する第2の退避位置が受け入れ位置となっている。しかしながら、押圧位置よりも退避位置(第1の退避位置又は第2の退避位置)側に位置しており、増し折りコロ114と下側折りガイド111との間が離れていれば、受け入れ位置を第2の退避位置とは異なる位置に設定してもよい。
【0051】
折りローラ対105の上流側に設けられたシート位置検出手段(図示せず)によってシートSの位置を検出して、
図7(a)に示されているように、折りローラ対105から搬入口119に搬入されたシートSの搬入方向先端側の第1の折り目132が増し折りコロ114の下方に到達したことを認識すると、シートSの搬送を停止させ、増し折り駆動モータ128を駆動することによって、プーリ126と一体的に回転するピニオンとラック127とを介してスライダ124と共に支持部材112を水平方向に移動させる。これによって、接触子130がカム溝131と係合する箇所が第1の底部水平部分から第1の傾斜部分へ移動し、これに伴って支持部材112が下側折りガイド111へ向けて下降して、
図5(b)及び
図7(b)に示されているように、支持部材112に支持される複数の増し折りコロ114が下側折りガイド111との間にシートSの第1の折り目132を挟み込んで押圧する押圧位置へ移動する。このとき、シートSの第1の折り目132の一方の端部(往路における増し折りコロ114の移動方向の上流側端部)が一方の位置に配置される隣り合う二つの増し折りコロ114の間に配置され且つ他方の端位置に配置される増し押しコロ114がシートSの第1の折り目132の上に載った状態となってシートSの第1の折り目132の他方の端部(往路における増し折りコロ114の移動方向の下流側端部)が押圧部材配置領域の外側に配置されるようになっている(
図5(b)参照)。
図5(b)及び
図7(b)では、シートSの第1の折り目132の一方の端部が、端位置に配置される隣り合う二つの増し折りコロ114の中間位置に配置されるように示されているが、上述した「端位置に配置される隣り合う二つの増し折りコロ114の間」には、端位置に配置される増し折りコロ114の押圧点がシートSの第1の折り目132の一方の端部と一致する位置も含まれる。また、増し折りコロ114が取り付けられている補助部材113はバネ121によって下側折りガイド111へ向けて付勢されているので、支持部材112が下降し、増し折りコロ114がシートSを介して下側折りガイド111に当接した後も、支持部材112はさらに下降することができる。これに伴って、規制部材115もさらに下降して、増し折りコロ114の下方に位置するシートSの第1の折り目132を押圧し、予め定められた厚さ以下にシートSの第1の折り目132の厚さを規制する。なお、本明細書における搬入方向とは、シートSが折りローラ対105から搬入口119を経て増し折りユニット104内に搬入される方向を意味する。
【0052】
図5(b)及び
図7(b)に示されている状態から増し折り駆動モータ128の駆動によってスライダ124と共に支持部材112をさらに水平方向に移動させると、
図5(c)及び
図7(c)に示されているように、接触子130がカム溝131と係合する箇所が第1の傾斜部分から頂部水平部分に移動する。すると、支持部材112に取り付けられている規制部材115がシートSの第1の折り目132の厚さを予め定められた厚さ(距離d1に相当)以下に規制しつつ、支持部材112に支持される複数の増し折りコロ114が押圧位置で下側折りガイド111に対してシートSの第1の折り目132に沿って複数の増し折りコロ114の1ピッチ分以上の距離だけ移動して、移動方向の先頭の増し折りコロ114がシートSの第1の折り目132の他方の端部(往路における増し折りコロ114の移動方向の下流側端部)を越えるまで移動する。詳細には、シートSの第1の折り目132の他方の端部が他方の端位置に配置される隣り合う二つの増し折りコロ114の間に配置され且つ一方の端位置に配置される増し折りコロ114がシートSの第1の折り目の上に載った状態となってシートSの第1の折り目132の一方の端部(往路における増し折りコロ114の移動方向の上流側端部)が押圧部材配置領域の外側に配置されるようになっている(
図5(c)参照)。
図5(c)及び
図7(c)では、シートSの第1の折り目132の他方の端部を、端位置に配置される隣り合う二つの増し折りコロ114の中間位置に配置されるように示されているが、上述した「端位置に配置される隣り合う二つの増し折りコロ114の間」には、端位置に配置される増し折りコロ114の押圧点がシートSの第1の折り目132の他方の端部と一致する位置も含まれる。こうして、増し折りコロ114と下側折りガイド111とによって第1の折り目132を全域にわたって押圧して第1の折り目132の強化すなわち増し折りが行われる。
【0053】
図5(c)及び
図7(c)に示されている状態から増し折り駆動モータ128の駆動によってスライダ124と共に支持部材112をさらに水平方向に移動させると、接触子130がカム溝131と係合する箇所が頂部水平部分から第2の傾斜部分を経て第2の底部水平部分に移動する。これによって、
図5(d)及び
図7(d)に示されているように、支持部材112が規制部材115と共に下側折りガイド111から離れる方向に上昇し、支持部材112に支持される複数の増し折りコロ114が押圧を終了した位置に近接して上方に位置する第1の退避位置へ移動して、第1の増し折り処理が完了する。第1の退避位置は、ホーム位置である受け入れ位置と異なる位置となっている。
【0054】
第1の増し折り処理が完了して
図5(d)及び
図7(d)に示されている状態になると、搬入方向上流側に位置する搬送ローラ対102及び折りローラ対105によってシートSを搬送することが可能となる。
図5(d)及び
図7(d)に示されている状態から搬送ローラ対102及び折りローラ対105によってシートSを搬送し、折りローラ対105の上流側に設けられたシート位置検出手段によってシートSの位置を検出して、
図8(e)に示されているように、第1の折り目132よりも搬入方向後端側に位置する第2の折り目133が増し折りコロ114の下方に到達したことを認識すると、シートSの搬送を停止させる。
【0055】
図8(e)に示されているように、シートSの第2の折り目133が増し折りコロ114の下方で停止されると、増し折り駆動モータ128を往路とは逆方向に回転するように駆動することによって、プーリ126と一体的に回転するピニオンとラック127とを介してスライダ124と共に支持部材112を往路のときとは逆向きに水平方向に移動させる。これによって、接触子130がカム溝131と係合する箇所が第2の底部水平部分から第2の傾斜部分へ移動し、これに伴って支持部材112が下側折りガイド111へ向けて下降して、
図6(f)及び
図8(f)に示されているように、支持部材112に支持される複数の増し折りコロ114が下側折りガイド111との間にシートSの第2の折り目133を挟み込んで押圧する押圧位置へ移動する。このときの複数の増し折りコロ114の位置すなわち復路の始点の位置は往路の終点の位置と同じ位置である。さらに、このとき、シートSの第2の折り目133の一方の端部(復路における増し折りコロ114の移動方向の上流側端部)が一方の位置に配置される隣り合う二つの増し折りコロ114の間に配置され且つ他方の端位置に配置される増し折りコロ114がシートの第2の折り目133の上に載った状態となってシートSの第2の折り目133の他方の端部(復路における増し折りコロ114の移動方向の下流側端部)が押圧部材配置領域の外側に配置されるようになっている(
図6(f)参照)。また、増し折りコロ114が取り付けられている補助部材113はバネ121によって下側折りガイド111へ向けて付勢されているので、支持部材112が下降し、増し折りローラ114がシートSを介して下側折りガイド111に当接した後も、支持部材112はさらに下降することができる。これに伴って、規制部材115もさらに下降して、増し折りコロ114の下方に位置するシートSのシート部分及び第2の折り目133を押圧し、予め定められた厚さ以下にシートSの第2の折り目133の厚さを規制する。
【0056】
図6(f)及び
図8(f)に示されている状態から増し折り駆動モータ128の駆動によってスライダ124と共に支持部材112をさらに往路と逆向きに水平方向に移動させると、
図6(g)及び
図8(g)に示されているように、接触子130がカム溝131と係合する箇所が第2の傾斜部分から頂部水平部分に移動する。すると、支持部材112に取り付けられている規制部材115がシートSの第2の折り目133の厚さを予め定められた厚さ(距離d1に相当)以下に規制しつつ、支持部材112に支持される複数の増し折りコロ114が押圧位置で下側折りガイド111に対してシートSの第2の折り目133に沿って往路と逆向きに複数の増し折りコロ114の1ピッチ分以上の距離だけ移動して、移動方向の先頭の増し折りコロ114がシートSの第2の折り目133の端部を越えるまで移動する。こうして、増し折りコロ114と下側折りガイド111とによって第2の折り目133の全域にわたって押圧して第2の折り目133の強化すなわち増し折りが行われる。
【0057】
図6(g)及び
図8(g)に示されている状態から増し折り駆動モータ128の駆動によってスライダ124と共に支持部材112をさらに往路と逆向きに水平方向に移動させると、接触子130がカム溝131と係合する箇所が頂部水平部分から第1の傾斜部分を経て第1の水平部分に移動する。これによって、
図6(h)及び
図8(h)に示されているように、支持部材112が規制部材115と共に下側折りガイド111から離れる方向に上昇し、支持部材112に支持される複数の増し折りコロ114が押圧を終了した位置に近接して位置する第2の退避位置へ移動して、第2の増し折り処理を完了する。本実施形態では、第2の退避位置はホーム位置である受け入れ位置と同じ位置に設定されている。しかしながら、第2の退避位置を受け入れ位置と異なる位置に設定することも可能である。
【0058】
このように一連の増し折り動作を完了した後、搬入方向上流側に位置する搬送ローラ対102及び折りローラ対105によってシートSを下流側の後処理装置Cへ向けて搬送する。なお、退避位置に移動された複数の増し折りコロ114の下端部及び規制部材115の底面は、増し折りを施されたシートSを排出する際のガイドとしても機能する。
【0059】
押圧部材配置領域がシートSの折り目全体を覆うようになっている場合、折り目に沿った増し折りコロ114の移動方向の上流側で、少なくとも移動方向におけるシートSの折り目の外側に配置される押圧部材配置領域の分だけシートSの折り目の側方にスペースを確保する必要があると共に、移動方向の下流側で、移動方向におけるシートSの折り目の外側に配置される押圧部材配置領域に加えて少なくとも押圧のための折り目に沿った移動分だけシートの折り目の側方に支持部材112の移動を許容するためのスペースを確保する必要が生じる。しかしながら、図示される折り処理装置Bにおける増し折りユニット104では、移動方向先端の増し折りコロ114は、折り目方向への移動の初期位置では、シートSの折り目上に位置するので、押圧部材配置領域は移動方向におけるシートSの折り目の外側に配置されない。したがって、折り目に沿った移動の初期位置で移動方向におけるシートSの折り目の外側に配置されている押圧部材配置領域がない分だけ、増し折りユニット104の小型化が可能となる。
【0060】
また、増し折りユニット104では、第1の移動機構116によって退避位置又は受け入れ位置から押圧位置に下側折りガイド111に対して増し折りコロ114を移動させたときにシートSの折り目の一方の端部(折り目に沿った移動の方向の上流側の端部)が押圧部材配置領域における一方の位置の二つの増し折りコロ114の間に配置されると共に、折り目の他方の端部(折り目に沿った移動の方向の下流側の端部)が押圧部材配置領域の外側(すなわち、押圧部材配置領域における他方の端位置の増し折りコロ114の外側)に配置される。一方、複数の増し折りコロ114が折り目に沿って移動される方向において一定の間隔で離間して配置されている場合、隣り合う増し折りコロ114の間に位置する折り目の全てを増し折りコロ114と下側折りガイド111との間で押圧するためには、隣り合う増し折りコロ114の間隔分(すなわち1ピッチ分の距離)以上、複数の増し折りコロ114を折り目に沿って移動させる必要がある。したがって、増し折りを行うために最小限必要な複数の増し折りコロ114の1ピッチ分以上の距離だけ複数の増し折りコロ114すなわち支持部材112を折り目に沿って移動させれば、折り目に沿った移動の方向の上流側の端位置の増し折りコロ114が移動方向上流側のシートSの端部を越えて、移動の始期に移動方向上流側の端位置の増し折りコロ114に隣り合って位置する増し折りコロ114の位置まで確実に移動し、移動の始期に移動方向上流側の端位置の二つの増し折りコロ114の間に位置するシートSの端部部分が押圧されて増し折りされる。
【0061】
さらに、増し折りユニット104では、好ましくは、押圧部材配置領域がシートの折り目の長さよりも複数の増し折りコロ114の配列の1ピッチ分だけ短く、第2の移動機構117によって退避位置又は受け入れ位置から押圧位置に下側折りガイド111に対して複数の増し折りコロ114を移動させたときに押圧部材配置領域の端位置に隣り合う二つの増し折りコロ114の間にシートの折り目の端部が配置されるようになっている。したがって、シートSの折り目に沿った移動の方向の上流側の端位置の増し折りコロ114をシートSの折り目の端部の近傍に配置すれば、複数の増し折りコロ114の配列の1ピッチ分よりも僅かに大きい距離だけ折り目に沿って移動させることで、折り目に沿った移動の方向の下流側の端位置の増し折りコロ114が移動の始期に押圧部材配置領域の外側に位置する部分を経て移動方向下流側のシートSの端部を越えて移動し、移動の始期に押圧部材配置領域の移動方向下流側に位置するシートSの端部部分が押圧されて増し折りされるようにすることができる。すなわち、増し折りを行うために最小限必要な複数の増し折りコロ114の1ピッチ分より僅かに長い距離の移動で、シートSの折り目の全域の増し折りが可能となり、増し折り処理に要する時間の増加を抑制することができる。また、この場合、押圧部材配置領域及び支持部材112の移動を許容するために必要となるシートSの折り目の側方のスペースを大幅に削減することができ、増し折りユニット104の一層の小型化が可能となる。
【0062】
加えて、増し折りユニット104では、複数の増し折りコロ114の折り目に沿った移動は、往路で1箇所目の折り目の増し折りを行い、Z折りや内三つ折りなどのように1枚のシートSに複数の折り目が形成されている場合に、復路で2箇所目の折り目の増し折りを行う。したがって、往路と復路とで異なる折り目を押圧して複数の折り目に増し折り処理を施すことができるので、増し折り処理に要する時間の増加を抑えて効率的に且つ短い時間で複数の折り目に対して増し折り処理を行うことができる。
【0063】
また、以上の説明において、シートSにZ折りが施されている場合における増し折りユニット104による増し折り処理を説明したが、増し折りユニット104は、二つ折りのシートや、四つ折りなどのように三箇所以上の折り目があるシートにも対応することができる。二つ折りのようにシートに一つの折り目しか形成されていない場合には、先行のシートの折り目に対して往路で増し折りを行った後に先行のシートを排出し、復路で後続のシートの折り目に増し折りを施すことで、連続するシートに対して効率的に且つ短い時間で増し折り処理を施すことができる。さらに、四つ折りなどのようにシートに三箇所以上の折り目が形成されている場合は、増し折りコロ114の下方に折り目が到達するたびにシートの搬送を停止させ、往路又は復路で折り目に沿って複数の増し折りコロ114を移動させて増し折りを行えばよい。加えて、折り処理の対象は、シート束でも、単枚のシートでもよく、また、綴じ処理を施されたシート束でもよく、綴じ処理が施されていないシート束でもよい。
【0064】
以上、図示されている実施形態を参照して、本発明のシート押圧装置及びこれを備える画像形成システムを説明したが、本発明は図示される実施形態に限定されるものではない。例えば、図示されている実施形態では、第1の移動機構116がガイドレール123、スライダ124、ブラケット125、プーリ126、ラック127、増し折り駆動モータ128、ベルト129、接触子130、カム溝131の第1の傾斜部分及び第2の傾斜部分によって構成されると共に、第2の移動機構117がガイドレール123、スライダ124、ブラケット125、プーリ126、ラック127、増し折り駆動モータ128、ベルト129、接触子130、カム溝131の頂部水平部分によって構成されているが、支持部材112を下側折りガイド111に接近離反させると共に、支持部材112をシートSの折り目に沿って移動させることができれば、第1の移動機構116及び第2の移動機構117の構成は限定されるものではなく、例えば第1の移動機構116及び第2の移動機構117として直動機構を採用してもよい。また、図示されている実施形態では、増し折りコロ114を移動させることによって、下側折りガイド111に対して増し折りコロ114を移動させているが、下側折りガイド111を移動させることによって、下側折りガイド111に対して増し折りコロ114を移動させてもよい。もちろん、増し折りコロ114と下側折りガイド111の両方を移動させるようにしてもよい。下側折りガイド111を移動させる場合、下側折りガイド111に昇降機構を設ければよい。また、増し折りコロ114に代えて、下側折りガイド111を増し折りコロ114へ向けてバネで付勢するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0065】
A 画像形成装置
B 折り処理装置
C 後処理装置
104 増し折りユニット
110 上側折りガイド
111 下側折りガイド
112 支持部材
113 補助部材
114 増し折りコロ
116 第1の移動機構
117 第2の移動機構
118 搬入ガイド
118a 上側搬入ガイド
118b 下側搬入ガイド
119 搬入口
121 バネ
130 接触子
131 カム溝
132 第1の折り目
133 第2の折り目