(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-08
(45)【発行日】2024-03-18
(54)【発明の名称】現像装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/08 20060101AFI20240311BHJP
【FI】
G03G15/08 226
G03G15/08 233
(21)【出願番号】P 2019239033
(22)【出願日】2019-12-27
【審査請求日】2022-12-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】深澤 悠
(72)【発明者】
【氏名】川上 卓也
(72)【発明者】
【氏名】川口 祐司
【審査官】飯野 修司
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-086057(JP,A)
【文献】特開2015-069166(JP,A)
【文献】特開2006-039430(JP,A)
【文献】特開2015-081957(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置に用いられる現像装置であって、現像剤を収容する現像枠体と、前記現像剤を担持し回転可能な現像部材と、規制ブレードと、を有し、
前記規制ブレードは、
前記現像部材の回転軸線方向に延び、前記現像枠体に固定されている支持板と、
前記回転軸線方向に延び、前記支持板に支持される板状部材であって、前記回転軸線方向と交差する方向における一端部が前記現像部材に対向し、前記交差する方向における他端部が前記支持板に溶接されている板状部材と、
前記回転軸線方向に延び、前記板状部材の前記現像部材と対向する面の前記一端部側に固定され、前記現像部材の表面の現像剤の層厚を規制するように前記現像部材に接触する規制部材であって、前記回転軸線方向の端部が中央部よりも前記一端部から前記他端部に向かう方向に凹んだ凹部が形成されている規制部材と、を有し、
前記支持板に対して溶接されている前記板状部材の領域は、前記交差する方向において前記他端部側にあり且つ前記回転軸線方向において前記規制部材の前記中央部と前記凹部が形成されている前記端部とに、オーバーラップしていることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記現像剤が前記現像枠体の外部に漏れないようにシールするシール部材を有し、
前記シール部材は、
前記回転軸線方向における前記現像部材の端部に配置されて前記現像枠体に固定され、前記交差する方向において前記現像枠体と前記現像部材との間に配置されることを特徴とする請求項
1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記規制部材は、前記回転軸線方向において前記凹部と隣接する規制部を有し、
前記シール部材は、
前記回転軸線方向において
前記規制部と前記凹部
との境界よりも外側に配置されて前記現像枠体に固定されることを特徴とする請求項
2に記載の現像装置。
【請求項4】
前記回転軸線方向において、前記板状部材の端面は、前記シール部材の前記中央部から遠い側の端面よりも前記板状部材の前記中央部から遠い側に位置するように前記板状部材が配置されることを特徴とする請求項
2または
3に記載の現像装置。
【請求項5】
前記交差する方向において前記板状部材の前記一端部と前記シール部材と、が接触している状態で、
前記支持板に溶接されて前記板状部材に形成された溶接痕が、前記回転軸線方向において前記板状部材の中央部から前記板状部材と前記シール部材とが接触している前記板状部材の位置とオーバーラップする前記板状部材の領域まで連続的に形成されていることを特徴とする請求項
2乃至
4のいずれか1項に記載の現像装置。
【請求項6】
前記回転軸線方向において前記板状部材と前記シール部材と、が接触している前記板状部材の位置とオーバーラップする前記板状部材の領域において、
前記回転軸線方向において、前記板状部材の前記中央部から連続的に溶接痕が形成されている溶接部と前記支持板に形成されていない非溶接部と、が形成され、
前記溶接部は、前記非溶接部より前記回転軸線方向における前記板状部材の前記中央部に近い側に位置することを特徴とする請求項
5に記載の現像装置。
【請求項7】
前記シール部材は、前記回転軸線方向において前記凹部と接触する位置に配置されることを特徴とする請求項
2乃至
6のいずれか1項に記載の現像装置。
【請求項8】
前記シール部材は、前記回転軸線方向において前記凹部と接触しない位置に配置されることを特徴とする請求項
2乃至
6のいずれか1項に記載の現像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に用いられる現像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置に用いられる現像装置として、以下の構成が用いられている。現像装置は、回転可能な現像ローラと、現像ローラの周面に接触する層厚規制ブレードと、を備えるものが特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1に記載の現像装置においては、層厚規制ブレードは層厚を規制するブレードとブレードを支持する支持部材によって構成され、ブレードと支持部材は溶接によって固定される。特許文献1においては、現像ローラの回転軸線方向において、ブレードと支持部材とがブレード端部で溶接されていない構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の構成において、以下のような課題があった。層厚規制ブレードの溶接範囲において、ブレード端部を溶接しないことでブレード端部の当接圧が下がり、現像剤が現像枠体から漏れ出しやすくなる場合があった。現像装置の外部に現像剤が漏れ出すと現像装置を汚す恐れがある。
【0006】
そこで、本発明は、層厚規制ブレードを溶接により固定する場合において、現像ローラにおける現像剤コート領域の現像剤層厚を均一に保ちつつ、現像枠体からの現像剤の漏れを低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本出願に係る現像装置は、画像形成装置に用いられる現像装置であって、現像剤を収容する現像枠体と、前記現像剤を担持し回転可能な現像部材と、規制ブレードと、を有し、前記規制ブレードは、前記現像部材の回転軸線方向に延び、前記現像枠体に固定されている支持板と、前記回転軸線方向に延び、前記支持板に支持される板状部材であって、前記回転軸線方向と交差する方向における一端部が前記現像部材に対向し、前記交差する方向における他端部が前記支持板に溶接されている板状部材と、前記回転軸線方向に延び、前記板状部材の前記現像部材と対向する面の前記一端部側に固定され、前記現像部材の表面の現像剤の層厚を規制するように前記現像部材に接触する規制部材であって、前記回転軸線方向の端部が中央部よりも前記一端部から前記他端部に向かう方向に凹んだ凹部が形成されている規制部材と、を有し、前記支持板に対して溶接されている前記板状部材の領域は、前記交差する方向において前記他端部側にあり且つ前記回転軸線方向において前記規制部材の前記中央部と前記凹部が形成されている前記端部とに、オーバーラップしていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
層厚規制ブレードを溶接により固定する場合において、現像ローラにおける現像剤コート領域の現像剤層厚を均一に保ちつつ、現像枠体からの現像剤の漏れを低減することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施例1に係る現像カートリッジ駆動側の層厚規制ブレード組付部の詳細図である。
【
図2】実施例1に係る画像形成装置の断面図である。
【
図3】実施例1に係る画像形成装置の斜視図である。
【
図4】実施例1に係るカートリッジトレイおよび現像カートリッジの斜視図である。
【
図5】実施例1に係る現像カートリッジおよびドラムユニットの断面図である。
【
図6】実施例1に係る現像カートリッジの分解斜視図である。
【
図7】実施例1に係る層厚規制ブレードの固定部の説明図である。
【
図8】実施例1に係る層厚規制ブレードの固定部の説明図である。
【
図9】実施例2に係る現像カートリッジの分解斜視図である。
【
図10】実施例2に係る現像カートリッジおよびドラムユニットの断面図である。
【
図11】実施例2に係る現像カートリッジの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図面を参照して、この発明を実施するための形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の機能、材質、形状、その相対配置などは、特定の記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。また、以下の説明で一度説明した部材についての機能、材質、形状などは、特に改めて記載しない限りははじめの説明と同様のものである。
【0012】
また、以下の説明では、現像ローラの軸線が延びる方向を「第1方向」または、「長手方向」、「回転軸線方向」、または、「長手」と称する。また、第1方向に対して交差する方向であって、画像形成装置を水平面に設置した状態における鉛直方向を「第2方向」と称する。また、第1方向および第2方向と交差する方向を「第3方向」と称する。第1方向と第2方向とは、互いに交差、好ましくは直交する。第2方向と第3方向とは、互いに交差、好ましくは直交する。第3方向と第1方向とは、互いに交差、好ましくは直交する。
【0013】
また、以下の説明では、画像形成装置に関して、前ドアを設けた側を正面側、正面側と反対側を背面側と称す。また、画像形成装置を正面側から見て左側を駆動側、右側を非駆動側と称す。
【実施例1】
【0014】
本発明に係る現像装置の実施例1について図を用いて説明する。
【0015】
≪電子写真画像形成装置の構成≫
はじめに、電子写真画像形成装置の構成について説明する。
図2は、本実施例に係る電子写真画像形成装置1(以下「画像形成装置1」と称す)の断面図である。
図3は、本実施例に係る画像形成装置1の斜視図であり、
図3(a)は画像形成装置1の前ドア40を開けてカートリッジトレイ3を引き出した状態の図、
図3(b)はカートリッジトレイ3を非表示にした図である。
図4は、本実施例に係るカートリッジトレイ3、および現像装置である現像カートリッジ8の斜視図である。
図5は、本実施例に係る現像装置である現像カートリッジ8、ドラムユニット30の断面図である。
図2、
図5の断面図は、現像部材たる現像ローラ6の回転軸線方向に垂直な方向から切断したときの断面図である。
【0016】
図2に示す画像形成装置1は、電子写真画像形成プロセスを用いたカラーレーザプリンタである。現像装置である現像カートリッジ8(8Y、8M、8C、8K)から供給される現像剤(例えば、トナー)により、記録媒体S(例えば、印刷用紙)にカラー画像を形成するものである。本実施例では、4つの感光ドラム4(4Y、4M、4C、4K)と4つの現像カートリッジ8(8Y、8M、8C、8K)によりカラー画像を形成する例を示す。4つの現像カートリッジ8は、互いに異なる色(例えば、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色)の現像剤を収容する。なお、現像カートリッジ8と感光ドラム4等の数は使用する色の数に応じて1~3つであってもよく、5つ以上であってもよい。尚、本実施例においては、感光ドラム4(4Y、4M、4C、4K)、現像カートリッジ8(8Y、8M、8C、8K)の構成及び動作は、形成する画像の色が異なることを除いて実質的に同じである。したがって、以下、特に区別を要しない場合は、Y、M、C、Kは省略して、総括的に説明する。即ち、本実施例においては、画像形成装置1は、複数の像担持体として、鉛直方向と交差する方向に並設された4個の感光ドラム4ならびに現像カートリッジ8を有する。
【0017】
画像形成装置1は、電子写真画像形成装置本体2(以下「装置本体2」と称す)と、感光ドラム4を有し、装置本体2から着脱可能なカートリッジトレイ3と、カートリッジトレイ3から着脱可能な現像カートリッジ8で構成される。
【0018】
装置本体2は、露光装置10と、静電転写装置11と、給紙ユニット18と、定着装置21と、排出ユニット22と、前ドア40とを有する。
【0019】
露光装置10は、現像カートリッジ8とカートリッジトレイ3の上方に設けられており、画像情報に対応してレーザ光Lを出力する。レーザ光Lは、感光ドラム4(4Y、4M、4C、4K)の表面を走査露光する。
【0020】
走査露光された感光ドラム4の表面に現像剤を現像するための現像装置たる現像カートリッジ8が備えられる。感光ドラム4の表面上に現像剤像が形成される現像プロセスに関しては後述する。
【0021】
静電転写装置11は、現像カートリッジ8と、カートリッジトレイ3の下方に設けられており、すべての感光ドラム4に対向し、接するように循環移動する転写ベルト12を有する。転写ベルト12には、樹脂フィルムや、ゴム基層上に樹脂層が設けられた多層フィルム状部材が用いられている。この転写ベルト12は、駆動ローラ13、従動ローラ14に張架されている。そして、転写ベルト12は、
図2中上側の外周面に記録媒体Sを静電吸着して、感光ドラム4に記録媒体Sを接触させるべく循環移動する。これにより、記録媒体Sは感光ドラム4に向けて搬送される。この転写ベルト12の内側に当接し、感光ドラム4に対向した位置に転写ローラ16が並設される。これら転写ローラ16には、転写時に所定のバイアスが印加されて、電荷が転写ベルト12を介して記録媒体Sに印加される。このとき生じた電界により、感光ドラム4に接触中の記録媒体Sに、感光ドラム4上の現像剤像が転写される。
【0022】
給紙ユニット18は、静電転写装置11の下方に設けられている。この給紙ユニット18は、記録媒体Sを積載して収納した給紙トレイ19と、給紙ローラ20を有する。
【0023】
定着装置21と排出ユニット22は、装置本体2の上方に設けられている。定着装置21は、記録媒体S上に転写された現像剤像を加熱および加圧して定着するものであり、排出ユニット22は定着装置21を通過した記録媒体Sを排出トレイ23へ排出するものである。
【0024】
カートリッジトレイ3は、4つの現像カートリッジ8にそれぞれ対応した感光ドラム4が設けられたドラムユニット30を有する。さらに、
図5に示すように、ドラムユニット30はドラム枠体27と、帯電装置5とを備えている。
【0025】
そして、
図3に示すように、カートリッジトレイ3は、画像形成装置1の前ドア40を開けた後、画像形成装置1に設けられたトレイ引出しレール41に沿って第3方向の正面側に引き出し可能に構成されている。
【0026】
現像カートリッジ8は、
図5のように現像剤を収容する現像枠体28、周面に現像剤を担持し、第1方向に延びる回転軸について回転可能な現像ローラ6を有する。また、現像カートリッジ8は、現像ローラ6に現像剤を供給する供給ローラ26、現像ローラ6の周面に接触して現像ローラ6の表面上に担持された現像剤の厚さを規制する層厚規制ブレード72を有する。
【0027】
そして、
図4に示すように、現像カートリッジ8はカートリッジトレイ3に対して、第2方向に着脱可能である。一例として、
図4では、現像カートリッジ8Cがカートリッジトレイ3から取り出された状態を示している。このように、カートリッジトレイ3に設けられた4つのスロットに、現像カートリッジ8の着脱が行われ、使用状況に応じて現像カートリッジ8の交換を行うことが可能となっている。
【0028】
≪画像形成プロセス≫
続いて、
図2、
図5を用いて画像形成プロセスについて説明する。
【0029】
画像形成プロセス実行中において、感光ドラム4は所定の速度で
図2、
図5に示した矢印D方向に回転駆動される。静電転写装置11の転写ベルト12も感光ドラム4の速度に対応した速度で矢印C方向に回転駆動される。最初に、帯電装置5によって感光ドラム4の表面が所定の極性・電位に一様に帯電される。その後、露光装置10が各色の画像信号に応じたレーザ光Lを出力し、各感光ドラム4の表面を走査露光する。これにより、各感光ドラム4の表面に各色の画像信号に応じた静電潜像が形成される。
【0030】
現像枠体28内の現像剤は、
図5に示したように所定の速度で矢印E方向に回転駆動される現像ローラ6に担持される。現像ローラ6に担持される現像剤は、供給ローラ26によって現像ローラ6の表面に供給される。そして、現像ローラ6に供給された現像剤は、現像ローラ6と層厚規制ブレード72の間に進入して一定厚さの薄層として現像ローラ6上に担持される。現像ローラ6上に担持された現像剤は、感光ドラム4上に形成された静電潜像に供給される。これにより、静電潜像に現像剤が付着して現像(可視像化)されて、感光ドラム4の表面上に現像剤像が形成される。本実施例において、現像剤の極性を正極性とした。したがって、現像ローラ6には、不図示の現像電源から感光ドラム4の表面に形成された静電潜像の電位に比べて正極性の電圧を印加する。上記設定にすることで、正極性に帯電された現像剤が現像ローラ6から感光ドラム4に形成された静電潜像へと移動する。
【0031】
また、所定の制御タイミングで記録媒体Sが1枚ずつ分離されて給送される。その記録媒体Sは、第1の感光ドラム4Y周面上の現像剤像の先端が、転写ベルト12との対向点である転写部に移動する。そこで、記録媒体Sが転写部に搬送されるタイミングと感光ドラム4の回転を同期させ、その転写部において印字開始位置が一致するように、所定の制御タイミングで転写ベルト12へ搬送される。転写ベルト12に静電吸着されて搬送される記録媒体Sには、各感光ドラム4と転写ローラ16との間に形成される電界によって、各感光ドラム4の現像剤像が順次転写される。この時、転写ローラ16には、不図示の転写電源から正極性の逆の極性である負極性の電圧が印加される。それによって、正極性の現像剤を記録媒体S側に電気的に引き付けることが可能となる。
【0032】
4色の現像剤像を転写された記録媒体Sは、転写ベルト12から分離されて定着装置21に搬送される。記録媒体Sは、定着装置21で現像剤像を熱定着される。その後、記録媒体Sは、排出ユニット22によって、排出トレイ23へ排出される。
【0033】
また、転写されずに感光ドラム4上に残留した現像剤は、現像カートリッジ8で回収して再利用する。具体的には、帯電装置5で感光ドラム4を一度正極性に帯電させ、感光ドラム4の表面電位を現像ローラ6に印加される電圧よりも正極性側に高くする。これにより、感光ドラム4の表面上で正極性に帯電している残留現像剤が現像ローラ6との対向部へと移動すると、残留現像剤は現像枠体28内部に電気的に回収される。
【0034】
≪ドラムユニットと現像カートリッジの詳細構成≫
図5、
図6を用いて、ドラムユニット30と現像カートリッジ8の詳細な構成について説明する。
図6は、現像カートリッジ8の分解斜視図であり、各部品の取り付け方向を矢印で示した図である。
【0035】
図5に示したように、ドラムユニット30は、前述のように感光ドラム4と、ドラム枠体27と帯電装置5とを備えている。感光ドラム4は、第1方向に延びる回転軸について回転可能に、ドラム枠体27に取り付けられている。また、感光ドラム4の駆動側には、感光ドラム4に駆動力を伝達するためのドラム入力カップリング54が設けられている(
図4)。ドラム入力カップリング54は、装置本体2のドラム駆動カップリング52(
図3(b))と係合することで、装置本体2から駆動力を受けて感光ドラム4に伝達可能に構成されている。帯電装置5は、第1方向に沿って設けられており、感光ドラム4に対し近接してドラム枠体27に支持されている。帯電装置5は装置本体2と電気的に導通している。
【0036】
現像カートリッジ8は、前述のように現像剤を収容する現像枠体28、現像ローラ6、現像ローラ6に現像剤を供給する供給ローラ26、現像ローラ6の表面に担持される現像剤の厚さを規制する層厚規制ブレード72を有する。また現像カートリッジ8は、
図6に示すように、固定ネジ99、撹拌部材88、駆動側軸受部材70、サイドカバー68、非駆動側軸受部材71を有する。さらに、現像カートリッジ8の各部材を駆動するための現像ギア61、供給ギア63、現像入力ギア62、撹拌ギア65、アイドラギア64を有する。詳細は後述する。
【0037】
現像ローラ6は、第1方向に延びる回転軸において、
図5に示したように、矢印E方向に回転可能なローラであり、ローラ本体とローラ軸によって構成される。ローラ本体の材料には、例えば、弾性を有するゴムやスポンジ部材が用いられる。ローラ軸の材料には、導電性を有する金属または樹脂が用いられる。また、ローラ軸の駆動側端部には現像ギア61が連結される。供給ローラ26は、現像ローラ6に接触して現像ローラ6の表面に現像剤を供給するものであり、第1方向に延びる回転軸において回転可能である。そして、供給ローラ26はローラ本体とローラ軸によって構成され、ローラ本体の材料には、例えば、弾性を有するゴムやスポンジ部材が用いられる。ローラ軸の材料には、導電性を有する金属または樹脂が用いられる。また、ローラ軸の駆動側端部には供給ギア63が連結される。
【0038】
層厚規制ブレード72は、現像ローラ6と当接し、現像ローラ6の表面に担持される現像剤の厚みを規制するものである。この層厚規制ブレード72は、支持板73と、板状部材からなるブレード部74で構成され、固定部Wの位置で固定される。層厚規制ブレード72の詳しい構成は後述する。
【0039】
現像枠体28は、内部に現像剤を収容するとともに、層厚規制ブレード72の支持板73に対面したブレード支持面28a、ブレード支持面28aに設けられた固定穴28bを有する。
【0040】
また、現像枠体28は、層厚規制ブレード72の支持板73の位置決め溝73dに対応した位置に位置決めリブ28cを有し、撹拌ギア65を回転可能に支持するとともに、アイドラギア64の一端を回転可能に支持する。
【0041】
現像枠体28と層厚規制ブレード72は、ブレード支持面28aと支持板73を突き当て、位置決めリブ28cと位置決め溝73dを係合させた状態で、貫通穴73cを通した固定ネジ99を固定穴28bに締結することで両端部を固定される。
【0042】
さらに、現像枠体28と層厚規制ブレード72の間には、現像ローラ6の回転軸線方向(第1方向)に亘って第1シール部材76が、第1方向における両端部には第2シール部材77が設けられている。第1シール部材76と第2シール部材77はスポンジ等の可撓性部材を含む部材であり、現像枠体28と層厚規制ブレード72の間で圧縮されることで隙間を埋めて現像剤の漏れを抑制している。層厚規制ブレード72と第2シール部材77の現像剤封止構成に関しては詳細に後述する。
【0043】
さらに、
図5に示したように、現像枠体28には第1方向に亘って第3シール部材78が設けられている。第3シール部材78は、PET、PPS、PC等の材質で形成された可撓性のシート状部材であり、第1方向と直交する方向において、一端が現像枠体28に貼り付けられ、他端が現像ローラ6と接触するように構成されている。第3シール部材78が撓むことで、現像枠体28と現像ローラ6の間の隙間を埋めて現像剤の漏れを抑制している。
【0044】
また、第3シール部材78の近傍には第1方向に渡って飛散防止シート79が設けられている。第1方向と直交する方向において、飛散防止シート79は、一端が現像枠体28に貼り付けられ、他端が現像ローラ6に近づくように延伸している。飛散防止シート79は、現像ローラ6の近傍から落下した現像剤を受けることで、現像剤が外部に飛散するのを抑制する機能を有する。
【0045】
図5に示したように、撹拌部材88は、現像枠体28の内部に設けられ、第1方向に延びる回転軸において回転可能である軸部88aと、可撓性のシート状であるシート部88bによって構成される。撹拌部材88は、現像枠体28内の現像剤を撹拌し、供給ローラ26に向けて現像剤を搬送する。また、
図6に示したように、軸部88aの駆動側の端部には撹拌ギア65が連結される。駆動側軸受部材70は、駆動側で現像枠体28に固定され、現像ローラ6のローラ軸と、供給ローラ26のローラ軸と、現像入力ギア62を回転可能に支持する。サイドカバー68は、駆動側で現像枠体28に固定され、アイドラギア64の他端を回転可能に支持し、供給ギア63、現像入力ギア62、アイドラギア64、撹拌ギア65を覆い保護する機能を有する。そして、サイドカバー68には現像入力ギア62に対応する位置に貫通穴68aを有し、組立後に現像入力ギア62のカップリング部62aを露出させる。非駆動側軸受部材71は、非駆動側で現像枠体28に固定され、現像ローラ6のローラ軸と、供給ローラ26のローラ軸を回転可能に支持する。現像入力ギア62は、装置本体2の現像駆動カップリング51(
図3(b))と係合して駆動力を受けるためのカップリング部62aを有する。現像入力ギア62に入力された駆動力は、現像ギア61を介して現像ローラ6に、供給ギア63を介して供給ローラ26に、アイドラギア64および撹拌ギア65を介して撹拌部材88にそれぞれ伝達される。
【0046】
≪層厚規制ブレードの詳細構成≫
図1、
図6を用いて、層厚規制ブレード72の詳細な構成について説明する。
【0047】
図1は、現像カートリッジ8の駆動側の層厚規制ブレード72の組付部の詳細図である。さらに、
図1(a)は、現像ローラ6を組んだ状態の詳細図であり、
図1(b)は、現像ローラ6を破線で表した状態の詳細図である。
【0048】
図1、
図6に示すように、層厚規制ブレード72の支持板73は、ブレード部74を支持する金属製の部材である。ブレード部74に対面して第1方向に延伸した略長方形の第1板状部73aと、第1板状部73aからブレード部74と交差する方向に延びる第2板状部73bを有する。そして、第1板状部73aは、第1方向の両端に、第1方向と直交する方向において現像ローラ6から離れる方向に突出した突出部73eを有し、突出部73eには、厚み方向に貫通した貫通穴73cが設けられている。また、第2板状部73bには、細長い溝形状の位置決め溝73dが設けられている。
図1、
図6に示すように、層厚規制ブレード72のブレード部74は、第1方向に延伸した略長方形の金属製の部材である。第1方向と交差する方向において現像ローラ6の周面に接触する一端側である第1規制部74a、第2規制部74eと、支持板73の第1板状部73aに固定される他端である基端部74bを有する。また、ブレード部74の厚さは、現像ローラ6と当接した際に弾性変形することが出来る厚さとする。そして、弾性変形時に生じる復元力を利用して現像ローラ6に当接し、現像ローラ6の表面に担持される現像剤の厚さを第1規制部74a、第2規制部74eにて規制する。第1規制部74aと第2規制部74eを繋ぐ部分として接続部74fがある。ここでは接続部74fは傾斜した直線である。ここで、第1規制部74aでは、電子写真画像形成装置として画像性能を保証したい範囲の層厚を規制し、第2規制部74eでは第2シール部材77から現像枠体28の外に現像剤が漏れ出さないようにする。そのため、現像剤の封止を行うのに十分な現像剤の層厚に規制している。第1規制部74a、第2規制部74e、接続部74fについては詳細を後述する。
【0049】
また、ブレード部74の第1方向両端部には、丸穴74cと長穴74dとが形成されており、支持板73の第1板状部73aの対応する位置にも、丸穴73fと長穴73gが形成されている。これら丸穴74cと丸穴73fおよび長穴74dと長穴73gは、支持板73にブレード部74を固定する際に、組立治具でそれぞれの穴を貫通位置で位置決めされた上で固定される。これにより、支持板73とブレード部74の相対位置の位置決め精度が向上する。本実施例では、支持板73とブレード部74のそれぞれに穴形状を設けたが、いずれか一方の部品の形状を穴、他方の部品の形状を突起とし、穴と突起が互いに係合することで部品間の相対位置を規制するようにしてもよい。
【0050】
本実施例では、支持板73にブレード部74を固定する固定方法として、固定部Wの面積を小さくしつつも固定強度が高い、レーザ溶接固定をしている。固定部Wの第1方向の固定長(固定している長さ)は、前述した第1規制部74a、第2規制部74eの層厚規制に対応した固定長が必要である。固定部W及び固定長に関しては詳細を後述する。
【0051】
ここで、本実施例における、レーザ溶接固定以外の固定方法として、接着剤や両面テープによる固定方法が挙げられる。
【0052】
接着剤の場合、本実施例の様に、固定部Wの第1方向における端部位置(長手端位置)を限定する場合には以下のような弊害を生じるため、本実施例における固定方法としては好ましくない。第1規制部74a範囲は固定し、第2規制部74e範囲を固定しないように範囲を限定する場合、接着剤の粘度によっては組立時に第2規制部74e側にはみ出る恐れがある。さらに、接着する際に接着剤が広がることを考慮して塗布位置を決定させなければならないため、接着力にムラが生じる恐れがある。さらに、組立時に乾燥させる時間を設ける必要や、乾燥時に接着剤から出る揮発成分が他の部品に影響を及ぼさないように空調設備を設ける必要があり、レーザ溶接固定に比べて大幅に機能が劣る。
【0053】
また、固定方法に両面テープを採用する場合において、本実施例の様に、固定部Wの長手端位置を限定する場合には以下のような弊害を生じるため、本実施例における固定方法としては好ましくない。両面テープ分の厚み段差によって支持板73とブレード部74に隙間が生じ、現像剤が漏れ出す恐れがある。現像剤の漏れを抑制するためには、さらなる封止構成が必要となる。さらに、両面テープを貼る際には、両面テープにしわ部や伸び部が発生することがある。ここで、しわ部があると、微小段差によって現像剤が漏れる場合や、現像ローラ6への規制圧にムラが生じ、現像剤の層厚ムラとなって画像影響を及ぼす。伸び部があると、接着面積が少なくなり、支持板73とブレード部74の接着強度が弱くなるといった弊害が生じる。接着強度ムラが起こると、現像ローラ6への規制圧にムラが生じ、現像剤の層厚ムラとなって画像影響を及ぼす。さらに、両面テープには剥離紙が取り付けてあるため、組立時に両面テープを剥がした際の剥離紙を捨てるため、処理工程が必要となる。よって、本実施例における固定方法に両面テープによる固定方法を採用することは極めて困難である。
【0054】
また、接着剤と両面テープは層厚規制ブレード72の生産数量によって、レーザ溶接設備よりも高コストとなる。
【0055】
以上の理由から、本実施例では、工程時間短縮やコストダウンや機能性向上を目的としてレーザ溶接を採用している。
【0056】
≪層厚規制ブレードの現像剤層厚規制≫
図1を用いて、層厚規制ブレード72の現像剤層厚規制について説明する。層厚規制ブレード72による現像剤の層厚規制の範囲は、支持板73とブレード部74を溶接固定する固定部Wと、第1規制部74aおよび第2規制部74eの配置によって決定される。
【0057】
固定部Wは、第1方向と交差する方向において、レーザ溶着装置の装置性能や支持板73とブレード部74の部品精度を考慮した上で、基端部74bに出来るだけ近い位置に配置するのが良い。基端部74bよりも離れるように配置すると、溶接固定する支持板73も同時に延ばす必要があり、材料コストアップとなり、現像カートリッジ8や電子写真画像形成装置1も大型化してしまう。固定部Wの第1方向における端部位置(長手端位置)は、第2シール部材77の第1方向における長手内側端77aの端面よりも少なくとも長手外側になるように配置するのが良い。固定端については、第1規制部74aと第2規制部74eと合わせて詳細に後述する。
【0058】
なお、本実施例における「内側」、「外側」の定義は、現像ローラ6の回転軸線方向において、現像ローラ6、層厚規制ブレード72の中央に近い側を「内側」、現像ローラ6、層厚規制ブレード72の中央から遠い側を「外側」とする。また、層厚規制ブレード72の「中央部」、「端部」は、「中央部」が画像形成領域を示し、「端部」が画像形成領域外を示す。以降、特別な記載が無い限り、上記内容の趣旨とする。
【0059】
第1規制部74aは、電子写真画像形成装置として画像性能を保証したい範囲の層厚を規制する規制部である。すなわち、第1方向において、電子写真画像形成装置として画像性能を保証したい範囲よりも少なくとも外側までを層厚規制範囲とし、第1規制部74aの長手全域を固定部Wにて固定する。ここで、画像性能を保証したい範囲とは、画像形成装置1によって画像形成を実行する際に必要な画像形成領域の長手幅のことを指す。したがって、本実施例における第1規制部74aの層厚規制範囲とは、画像形成領域より若干外側までの領域を指す。第1規制部74aの層厚規制範囲は、最低限、画像形成領域を含めばよいため、上記長手幅には限らず、例えば、第1規制部74aの層厚規制範囲と画像形成領域が同じ幅としてもよい。
【0060】
図1(b)に示すように、第1方向と交差する方向において、固定部Wから第1規制部74aまでの距離L1は、層厚規制したい設定圧になるように決定すれば良い。一般的に圧が低ければ、現像ローラ6の現像剤コート厚みは厚くなり、逆に圧が高ければ、現像剤の層厚は薄くなるため、所望の設定に合わせて圧を決定する。
【0061】
第2規制部74eは、第2シール部材77から現像枠体28の外に現像剤が漏れ出さないように、封止性を考慮した現像剤の層厚規制を行う。ここで、現像枠体28の外に現像剤が漏れ出す場合に生じる現象について説明する。第1規制部74aから接続部74fおよび第2規制部74eまでの間において、層厚規制している現像剤の一部を規制出来ずに、現像剤が、第1規制部74aの先端であるブレード部74のエッジ稜線を横走りする。つまり、ブレード部74の第1規制部74aのエッジに沿って現像剤が第1方向に移動する現象が生じる。そして、横走りした現像剤が第2シール部材77の長手内側端77aに到達して、第2シール部材77内に侵入し、次々と第2シール部材77に押し込まれる事によって、長手外側端77bを貫通し、現像剤の漏れ出しに至る。これを考慮して、第2規制部74eの配置及び規制圧を設定することが必要である。
【0062】
そこで、第2規制部74eの配置は、第1方向と交差する方向において、固定部Wから第1規制部74aまでの距離L1に対して、固定部Wから第2規制部74eまでの距離L2が短くなるように設定する。これにより、第2規制部74eにおける現像ローラ6に対する規制圧は、距離L1の第1規制部74aにおける規制圧よりも高くなる。すなわち現像剤の層厚は、第1規制部74aに比べて第2規制部74eの方が薄くなる。すなわち、規制ブレード72の先端側の端部から基端部74b側に向かって、第1規制部74aに比べて第2規制部74eの方が凹んだ構成となっている。以降、第1規制部74aと第2規制部74eの距離の比較を行うが、あくまで、先端部の端部からの凹んだ距離(凹み量)を変えているため、第1規制部74aの先端部に対して凹部形状を有する第2規制部74eの凹み量を定量化していることとする。
【0063】
ここで、接続部74fは、第1規制部74aと第2規制部74eを斜線の直線形状で滑らかに繋ぐ規制部である。第1規制部74aと第2規制部74eの規制圧は異なるため、規制圧が急激に変化すると、現像ローラ6に対しての現像剤の層厚も長手で急激に変化する。そのため、画像性能を保証したい範囲の層厚を規制している第1規制部74aの長手端部の層厚が、中央部に比べて変化する可能性がある。そのため、層厚の変化が画像形成に影響を及ぼす可能性があり、出来るだけ層厚の急激な変化が発生しないように抑制すべきである。さらに、画像形成時において、現像ローラ6の回転に伴い、現像ローラ6の表面とブレード部74は現像剤を介して摺擦し続けている。ここで、第1規制部74aと第2規制部74eとの間で層厚の急激な変化が発生するような構成を有する場合、ブレード部74の先端部が現像ローラ6表面に傷をつける恐れがある。そのため、斜線のような滑らかな形状で第1規制部74aと第2規制部74eを繋ぐことが望ましい。したがって、第1規制部74aと第2規制部74eとの間で層厚の急激な変化が発生しないような構成であれば、第1規制部74aと第2規制部74eをどのように繋いでもよい。例えば、本実施例では、斜めの直線形状で滑らかに繋ぐ形状としたが、上記弊害が発生しないような構成であれば、曲線のような形状で構成しても良い。
【0064】
本実施例においては、
図1(b)に示したように、第1方向において、第1規制部74aの端面よりも長手外側であり、第2シール部材77の長手外側端77bの端面よりも長手内側に、第2規制部74eの長手内側端の端面が来るように配置する。これにより、少なくとも第2シール部材77上で、現像剤を封止できる封止圧に設定することが出来る。さらに、本実施例では、
図1(b)に示したように、第2シール部材77の長手内側端77aの端面よりも内側に、第2規制部74eの長手内側端の端面が来るように配置している。これにより、現像剤が第2シール部材77に侵入する経路である、第2シール部材77の長手内側端77aから必要な封止圧を出すことが出来る構成となる。
【0065】
さらに、本実施例では、固定部Wの固定端は、第2シール部材77の長手内側端77aよりも長手外側であり、長手外側端77bよりも長手内側になるように配置している。固定部Wの固定端と、第2シール部材77の長手の位置関係が及ぼす影響に関して、以下に説明する。
【0066】
図7は、層厚規制ブレード72の固定部の説明図である。
図7(a)は、第2シール部材77の長手内側端77aよりも固定部の固定端が長手内側の説明図であり、
図7(b)は、第2シール部材77の長手外側端77bよりも固定部Wの固定端が長手外側の説明図である。
図7(c)は、第2シール部材77の長手外側端77bがブレード部74の長手端部74gよりも長手外側に配置される状態の説明図である。
【0067】
図7(a)で示すように、長手内側端77aよりも長手内側に固定部Wの固定端を配置すると、ブレード部74における固定されていない箇所が長手内側により変形し、第2シール部材77の反発力を受けにくくなる。そのため、第2シール部材77の長手内側端77aの封止圧は弱くなる。そこで、現像剤が漏れ出さないような封止圧を設定するために、固定部Wからの固定距離を、
図1(b)に示した距離L2から、L2よりもさらに短い
図7(a)に示した距離L3、と設定することで、前述した距離L2と同等の封止圧を得ることが出来る。これにより、前述したように、第1規制部74a及び第2規制部74eの先端であるブレード部74のエッジ稜線を横走りした現像剤は、第2シール部材77上において封止される。したがって、現像剤が現像枠体28の外に漏れ出すことを抑制することが出来る。
【0068】
前述のように、第2シール部材77の長手内側端77aと固定部Wの固定端からの長手距離と、が離れていると、ブレード部74の変形により、それぞれの間に隙間が生じ、現像剤が漏れ出す原因となる場合がある。そのため、
図1(b)に示すように、固定部Wの第1方向における端部位置(長手端位置)は、第2シール部材77の第1方向における長手内側端77aよりも少なくとも長手外側になるように設置することが望ましい。
【0069】
そこで、
図7(b)に示すように、長手外側端77bよりも長手外側に固定部Wの固定端を配置すると、第2規制部74eの層厚規制圧を高くすることが出来、第2シール部材77の長手全域で現像剤が漏れ出す事を防止する封止圧を得ることが可能である。これにより、現像剤が第1規制部74a及び第2規制部74eの先端であるブレード部74のエッジ稜線を横走りしたとしても、第2シール部材77上にて封止され、現像枠体28の外に漏れ出すことを抑制することが出来る。したがって、
図7(b)の構成は、現像剤が第2シール部材77の長手外側端77bから漏れ出すことを抑制することが出来る構成である。しかし、ブレード部74の部品表面精度や第2シール部材77の貼り位置精度や表面状態によって、第2シール部材77の長手内側端77aから微小ながら現像剤が侵入する場合がある。その場合、第2シール部材77における封止圧は高いため、更なる現像剤の侵入は抑えられて、第2シール部材77上で留まることがある。ここで、侵入した現像剤は、封止圧が高い状態でブレード部74と第2シール部材77と現像ローラ6に挟まれて摺擦されることで、現像剤の融点を超えてブレード部74や第2シール部材77に融着する。ブレード部74や第2シール部材77に現像剤が融着すると、融着した現像剤が肥大化することで、ブレード部74と第2シール部材77と現像ローラ6が密着して封止していた状態から隙間が生じることがある。すると、その隙間から現像剤が侵入して、結果として現像剤が漏れ出す原因となる場合がある。そのため、
図1(b)に示すように、固定部Wの第1方向における端部位置(長手端位置)は、第2シール部材77の第1方向における長手外側端77bよりも、少なくとも長手内側になるように設置するのがより望ましい。これにより、第2規制部74eの規制圧は、第2シール部材77の長手全域で高い状態の封止圧にはならずに、長手外側端77bに近づくにしたがって、規制圧が弱くなる。そのため、前述した第2シール部材77上に侵入した現像剤が融着するリスクを低減することが出来る。
【0070】
また、
図7(c)のように、第2シール部材77の長手外側端77bが、ブレード部74の長手端部74gよりも長手外側に配置されることで、第2シール部材77に侵入した現像剤は、ブレード部74の長手端部74gまでしか侵入しないこととなる。したがって、前述したように、現像剤が第1規制部74a及び第2規制部74eの先端であるブレード部74のエッジ稜線を横走りしたとしても、第2シール部材77上において封止される。そのため、現像剤が現像枠体28の外に漏れ出すことを抑制することが出来る。さらに、前述したように、ブレード部74や第2シール部材77において、現像剤が融着するリスクを低減させる。そのため、固定部Wの第1方向における端部位置(長手端位置)は、第2シール部材77の第1方向における長手内側端77aよりも長手外側であり、ブレード部74の長手端部74gの長手内側になるように配置するのが望ましい。
【0071】
したがって、本実施例の構成において、層厚規制ブレード72を溶接により固定する場合において、現像ローラ6における現像剤コート領域の現像剤層厚を均一に保ちつつ現像枠体28からの現像剤の漏れを低減することが出来る。そのための本実施例の現像装置たる現像カートリッジ8の構成は、以下のようになる。
【0072】
画像形成装置1に用いられる現像カートリッジ8であって、現像剤を収容する現像枠体28と、現像剤を担持し回転可能な現像ローラ6と、現像枠体28に固定され、現像ローラ6の表面に担持された現像剤を規制する層厚規制ブレード72と、を有する。さらに、現像剤が現像枠体28の外部に漏れないようにシールする第2シール部材77を有する。層厚規制ブレード72は、現像ローラ6の回転軸線方向に延びる支持板73と、回転軸線方向と交差する方向における先端部74a、74eである一端部において、現像ローラ6に対向するように配置される板状部材であるブレード部74を有する。ブレード部74は、回転軸線方向と交差する方向における基端部74bである他端部において、支持板73によって支持される。
【0073】
ブレード部74には、現像ローラ6の表面に担持された現像剤を規制する規制部74a、74eであって、一端部においてブレード部74の現像ローラ6と対向する側の対向面において現像ローラ6に接触する規制部74a、74eが形成される。規制部74a、74eは、第1規制部74aと、第2規制部74eとから構成される。第2規制部74eは、回転軸線方向において第1規制部74aと隣接し第1規制部74aよりも回転軸線方向における中央から遠い側に配置される。さらに、第2規制部74eは、回転軸線方向と交差する方向において第1規制部74aの先端よりもブレード部74の基端部74bの方向に凹んでいる。
【0074】
ブレード部74は、回転軸線方向において、第1規制部74aが形成されている位置と第2規制部74eが形成されている位置と、において支持板73に溶接されている。そして、回転軸線方向に交差する方向において他端部側にあり、且つ回転軸線方向において第1規制部74aが形成されている位置から第2規制部74eが形成されている位置に向かって連続的に支持板73に溶接されている。つまり、回転軸線方向に沿って連続的に固定部Wたる溶接痕が形成されている。
【0075】
さらに、好適な構成としては、以下の構成が挙げられる。回転軸線方向と交差する方向においてブレード部74と第2シール部材77と、が接触している状態で、回転軸線方向においてブレード部74と第2シール部材77と、が接触しているブレード部74の位置において、以下のように構成する。支持板73に溶接されてブレード部74に形成された固定部Wたる溶接痕が、回転軸線方向において、第1規制部74aが形成されている位置から連続的に形成されている。また、回転軸線方向において、第1規制部74aが形成されている位置から連続的に形成されている固定部Wたる溶接痕が形成される溶接部と支持板73に形成されていない固定部W以外の非溶接部と、が形成されている。そして、回転軸線方向において、ブレード部74に形成された溶接部は、固定部W以外の非溶接部より回転軸線方向におけるブレード部74の中央に近い側に位置する。このような構成に設定することによって、第2シール部材77上に侵入した現像剤が融着するリスクを低減することが出来る。
【0076】
≪層厚規制ブレードの接続部形状≫
図1、
図8を用いて層厚規制ブレード72の接続部74fの詳細な形状について説明する。
図8は、層厚規制ブレード72の接続部74fの説明図である。前述した様に、層厚規制ブレード72の現像剤層厚規制について説明する際、
図1(b)に示した接続部74fのように、第1規制部74aと第2規制部74eと、を斜線の直線で結んだ形状で説明した。しかし、
図8(a)、(b)で示すように、接続部74fは必ずしも
図1(b)のような形状でなくても良い。
【0077】
図8(a)では、接続部74fは第1方向と交差する方向であり、固定部Wに対して垂直な方向に設定している。このように設定することにより、現像カートリッジ8の長手方向の小型化をすることが可能である。一例として、固定部Wとブレード部74の先端との距離が徐々に短くなるように第1規制部74aと第2規制部74eの間を階段状にしてもよいし、円弧上にしてもよい。
【0078】
図8(b)では、第1規制部74aと第2規制部74eとの間に、第3規制部74hを設け、固定部Wとの距離を、距離L2よりも短い距離L3に設定している。これにより、第3規制部74hの現像剤層厚の規制圧は、現像剤の漏れ防止に寄与する第2規制部74eの規制圧よりも高くなる。そのため、現像ローラ6上の現像剤の層厚は第2規制部74eに比べて薄くなり、第2規制部74eへ差し込む現像剤を、少なくすることが出来る。これにより、第2シール部材77上に現像剤が融着するリスクを低減することが可能である。
図8(b)においては、第3規制部74hにおける固定部Wと先端までの距離を、距離L3として、
図7(a)と同様の距離に規定したが、距離L2よりも短い距離であれば距離L3には限られない。しかし、前述したように、現像ローラ6の長手方向において層厚の急激な変化が生じないように設定されるべきである。
【実施例2】
【0079】
本実施例で適用する画像形成装置1の構成において、実施例1と同一部材には同一符号とし、説明を省略する。
【0080】
本実施例の構成は、規制ブレード72の一端部の先端部(主に実施例1の第1規制部74aであり第2規制部74eを含んでもよい)に規制部材75を別部材で設ける構成である。
図9、
図10を用いて、本実施例における規制ブレード72の構成について説明する。
図9は、本実施例に係る現像カートリッジ8の分解斜視図であり、各部品の取り付け方向を矢印で示した図である。
図10は、本実施例に係る現像カートリッジ8およびドラムユニット30の断面図である。
【0081】
規制ブレード72は、現像ローラ6と当接し、現像ローラ6の表面に担持される現像剤の厚みを規制するものである。
図9に示すように、本実施例における規制ブレード72は、支持板73と、ブレード部74と、規制部材75で構成される。
【0082】
規制部材75は、第1方向に延びた略長方形で第1方向におけるブレード部74のブレード端部74gよりも内側に形成され、シリコンゴムやウレタンゴム等のゴム部材や樹脂材料で形成された可撓性を有する。規制部材75は、ブレード部74に対面して先端部に固定された第1面75a(
図10)と、現像ローラ6に対面して現像ローラ6の表面に接触する規制部である第2面75bを有する。第2面75bにおける規制ブレード72の先端側の角部は第1方向から見た断面形状が円弧状になっている(
図10)。また、規制部材75は、第1方向の両端部に凹部である切欠部75dを有している。切欠部75dは、規制ブレード72の先端側の端部から基端部74b側に向かって凹むとともに、規制部材75の第1方向両端の端部75cから第1方向内側に凹んだ形状を有している。規制部材75の規制ブレード72の先端側の角部のうち切欠部75dが形成された部分は、第1方向から見た断面形状が略直角になっている。現像ローラ6は、規制部75上を摺擦しながら矢印E方向に回転する(
図10)。そのため、規制部75の規制ブレード72の先端側の角部のうち切欠部75dが形成された部分では、第1方向内側の切欠部75dが形成されていない部位よりも、現像ローラ6上の現像剤を掻き取りやすくなっている。具体的には、
図10に示すように、切欠部75dが形成されていない部位では、現像ローラ6の回転方向における現像ローラ6と規制部75の当接幅が広い。一方、切欠部75dが形成された部位では当接幅が狭いことで当接圧が高くなり、現像ローラ6上の現像剤を掻き取りやすい。また、切欠部75dが形成されていない部位では、規制部75の先端角部が円弧状になっており、現像剤を現像ローラ6の表面に向けて誘い込みやすい。これに対し、切欠部75dが形成された部位では、規制部75の先端角部が略直角になっており、現像剤を現像ローラ6の表面に向けて誘い込みにくく、掻き取りやすい構成となっている。
【0083】
規制部75の第1方向両端部には、第1方向と直交する方向において現像ローラ6から離れる方向に他の部位より突出した突出部75eが設けられている。突出部75eは規制部75の他の部位よりも厚みが薄く形成されており、第2面75bよりもブレード部74に近くなっている。そして、ブレード部74の先端部は、規制部75と切欠部75dに対応した形状になっている。
【0084】
現像枠体28は、内部に現像剤を収容するとともに、規制ブレード72の支持板73に対面したブレード支持面28a、ブレード支持面28aに設けられた固定穴28bを有する。また、現像枠体28は、規制ブレード72の支持板73の位置決め溝73dに対応した位置に位置決めリブ28cを有し、撹拌ギア65を回転可能に支持するとともに、アイドラギア64の一端を回転可能に支持する。現像枠体28と規制ブレード72は、ブレード支持面28aと支持板73を突き当て、位置決めリブ28cと位置決め溝73dを係合させた状態で、貫通穴73cを通した固定ネジ99を固定穴28bに締結することで両端部を固定される。
【0085】
次に、
図11を用いて、本実施例における現像カートリッジ8の現像剤封止構成について説明する。
図11(a)は、現像ローラ6と規制ブレード72を非表示にし、飛散防止シート79を破線で示した図であり、
図11(b)は、現像ローラ6と飛散防止シート79を破線で示した図である。以降の説明では駆動側を例に説明するが、非駆動側についても同様である。
【0086】
図11(a)に示すように、規制ブレード72と現像枠体28との間には、現像ローラ6の回転軸線方向に亘って第1シール部材76が設けられている。また、規制ブレード72の第1方向における両端部と現像枠体28の間には第2シール部材77が設けられている。第1シール部材76と第2シール部材77はスポンジ等の可撓性部材を含む部材であり、現像枠体28と規制ブレード72の間で圧縮されることで、現像枠体28と規制ブレード72の間の隙間を埋めて現像剤の漏れを抑制している。
【0087】
また、
図11(b)に示すように、ブレード部74のブレード端部74gには、規制部75の端面である端部75cに接触するシール部材である端部シール部材25が固定されている。ここで、端部75cとは、現像ローラ6と接触する第2面75bの第1方向における最も外側の部位であり、端部シール部材25の内側の端面である端部25aと接触(密着)している第1方向における最も外側の部位である。また、端部シール部材25の少なくとも一部は、ブレード部74のブレード端部74gから先端部方向にはみ出して、第2シール部材77の現像ローラ6に対向する側の面に固定されている。そして、端部シール部材25は、第1方向と交差するブレード部74の厚み方向において、ブレード部74と現像ローラ6の間に配置される。
【0088】
端部シール部材25は、スポンジ等の可撓性部材を含む部材であり、ブレード部74と現像ローラ6の間に配置されて圧縮されることで、端部シール部材25と規制部75との間からの現像剤の漏れを抑制している。また、第1方向における現像ローラ6の両端部において、第2シール部材77と端部シール部材25が圧縮されることで、現像枠体28と規制ブレード72と現像ローラ6との間の隙間を埋めて現像剤の漏れを抑制している。
【0089】
本実施例の構成において、層厚規制ブレード72を溶接により固定する場合において、現像ローラ6における現像剤コート領域の現像剤層厚を均一に保ちつつ、第2シール部材77への現像剤の差し込みを低減することが出来る。そのための、本実施例の現像装置たる現像カートリッジ8の構成は、以下のようになる。
【0090】
画像形成装置1に用いられる現像カートリッジ8であって、現像剤を収容する現像枠体28と、現像剤を担持し回転可能な現像ローラ6と、現像枠体28に固定され、現像ローラ6の表面に担持された現像剤を規制する層厚規制ブレード72を有する。さらに、現像剤が現像枠体28の外部に漏れないようにシールする第2シール部材77を有する。
【0091】
層厚規制ブレード72は、現像ローラ6の回転軸線方向に延びる支持板73を有する。さらに、回転軸線方向と交差する方向における一端部において、現像ローラ6に対向するように配置され、回転軸線方向と交差する方向における他端部において、支持板73によって支持される板状部材であるブレード部74を有する。さらに、現像ローラ6の表面に担持された現像剤を規制する規制部材75を有する。
【0092】
規制部材75は、一端部においてブレード部74の現像ローラ6と対向する側の対向面に固定されて現像ローラ6に接触し、回転軸線方向におけるブレード部74のブレード端部よりも内側に形成される。そして、規制部材75は、現像ローラ6の表面に担持された現像剤を規制する規制部75bを構成する。そして、回転軸線方向において規制部75bよりも現像ローラ6の回転軸線方向における中央から遠い側に配置される凹部たる切欠部75dを構成する。切欠部75dは、回転軸線方向と交差する方向において規制部75bの先端よりもブレード部74の他端部の方向に向かって凹んでいる。
【0093】
支持板73に対して溶接されて形成された溶接痕が形成されているブレード部74の領域は、回転軸線方向に交差する方向において他端部側にあり且つ回転軸線方向において規制部材75の中央部と凹部が形成されている端部とに、オーバーラップしている。
【0094】
第2シール部材77は、回転軸線方向における現像ローラ6の端部に配置されて現像枠体28に固定され、切欠部75dよりも外側に配置されている。さらに、回転軸線方向と交差する方向において現像枠体28と現像ローラ6との間に配置される。ブレード部74の端面は、第2シール部材77の現像ローラ6の回転軸線方向における中央から遠い側の端面よりも中央から遠い側に位置する。ブレード部74の一端部と第2シール部材77と、が接触している状態で、回転軸線方向においてブレード部74と第2シール部材77と、が接触しているブレード部74の位置とオーバーラップする領域において以下の構成とする。支持板73に溶接されてブレード部74に形成された溶接痕が、回転軸線方向において、規制部75bが形成されている位置とオーバーラップするブレード部74の領域から連続的に形成されている。さらに、回転軸線方向において、ブレード部74に、規制部75bが形成されている位置から連続的に溶接痕が形成されている溶接部と支持板73に溶接痕が形成されていない非溶接部と、が形成される。溶接部は、非溶接部よりブレード部74の長手における中央に近い側に位置する。
【0095】
また、実施例1、実施例2ではカラーの電子写真画像形成装置について説明したが、モノクロの電子写真画像形成装置に適用してもよい。
【0096】
そして、前述の各実施形態で説明した各要素を、任意に組み合わせて実施しても良い。
【符号の説明】
【0097】
1 電子写真画像形成装置(画像形成装置)
2 電子写真画像形成装置本体(装置本体)
6 現像ローラ
8(8Y、8M、8C、8K) 現像装置(現像カートリッジ)
28 現像枠体
72 層厚規制ブレード
73 支持板
74 ブレード部
74a 第1規制部(先端部)
74b 基端部
74e 第2規制部
74f 接続部
74g 長手端部
75 規制部材
75d 切欠部
77 第2シール部材