(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-08
(45)【発行日】2024-03-18
(54)【発明の名称】医療器具の滅菌管理装置および滅菌管理システム
(51)【国際特許分類】
G16H 40/40 20180101AFI20240311BHJP
A61B 90/70 20160101ALN20240311BHJP
【FI】
G16H40/40
A61B90/70
(21)【出願番号】P 2019239297
(22)【出願日】2019-12-27
【審査請求日】2022-12-05
(73)【特許権者】
【識別番号】317009525
【氏名又は名称】DGSHAPE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100189887
【氏名又は名称】古市 昭博
(72)【発明者】
【氏名】菅谷 暁典
(72)【発明者】
【氏名】花島 正樹
(72)【発明者】
【氏名】小久保 貴章
(72)【発明者】
【氏名】大▲高▼ 全
【審査官】早川 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-208838(JP,A)
【文献】特開2003-126251(JP,A)
【文献】登録実用新案第3199614(JP,U)
【文献】特開2019-180822(JP,A)
【文献】特開2019-088550(JP,A)
【文献】特開2000-175995(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
A61B 90/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリーと、
少なくとも1つのプロセッサと、
を備え、
1つまたは複数の医療器具をまとめた器具セットに付されたセットIDと、前記セットIDに対応した前記器具セットに対して滅菌を行う際の滅菌タイプであるセット滅菌タイプと、が関連付けられた器具セット情報を記憶し、かつ、
滅菌器に付された機器IDと、前記機器IDに対応した前記滅菌器で滅菌可能な滅菌タイプである機器滅菌タイプとが関連付けられた滅菌器情報を記憶し、
作業者に指定された前記器具セットに付された対象セットIDを取得する器具セット取得処理と、
作業者に指定された前記滅菌器に付された対象機器IDを取得する滅菌器取得処理と、
前記対象セットIDに対応した対象セット滅菌タイプを、前記器具セット情報に基づいて前記セット滅菌タイプから取得する第1タイプ取得処理と、
前記対象機器IDに対応した対象機器滅菌タイプを、前記滅菌器情報に基づいて前記機器滅菌タイプから取得する第2タイプ取得処理と、
前記対象セット滅菌タイプと、前記対象機器滅菌タイプとが同じであるか否かを判定する第1判定処理と、
を実行
する手段を備えた、医療器具の滅菌管理装置。
【請求項2】
前記第1判定処理で前記対象セット滅菌タイプと前記対象機器滅菌タイプとが同じでないと判定されたとき、滅菌タイプ相違アラートを通知する第1アラート通知処理を実行
する手段を備えた、請求項1に記載された医療器具の滅菌管理装置。
【請求項3】
前記器具セット情報が記憶された器具セット情報テーブルを記憶し、かつ、前記滅菌器情報が記憶された滅菌器情報テーブルを記憶している、請求項1または2に記載された医療器具の滅菌管理装置。
【請求項4】
前記セット滅菌タイプを除いた前記滅菌タイプの種類を除外滅菌タイプとしたとき、
前記器具セットは、前記除外滅菌タイプで滅菌することが可能に構成されており、
前記器具セット情報には、前記セットIDと、前記セットIDに対応した前記器具セットを前記除外滅菌タイプで滅菌することが可能な上限滅菌回数とが関連付けて記憶されており、
前記対象セットIDに対応した前記器具セットが前記除外滅菌タイプで滅菌された回数である除外滅菌回数をカウントするカウント処理と、
前記対象セットIDに対応した対象上限滅菌回数を、前記器具セット情報に基づいて、前記上限滅菌回数から取得する上限回数取得処理と、
前記除外滅菌回数が前記対象上限滅菌回数以上であるか否かを判定する第2判定処理と、
を実行
する手段を備えた、請求項1から3までの何れか1つに記載された医療器具の滅菌管理装置。
【請求項5】
前記第2判定処理で前記除外滅菌回数が前記対象上限滅菌回数以上であると判定されたとき、上限回数オーバーアラートを通知する第2アラート通知処理を実行
する手段を備えた、請求項4に記載された医療器具の滅菌管理装置。
【請求項6】
滅菌が行われた前記器具セットの前記セットIDを滅菌セットIDとし、前記滅菌セットIDに対応した前記器具セットを滅菌したときの前記滅菌タイプを使用滅菌タイプとしたとき、
前記滅菌セットIDと、前記使用滅菌タイプとが少なくとも関連付けられた滅菌履歴情報を記憶し、
前記カウント処理では、前記滅菌履歴情報に基づいて、前記除外滅菌回数をカウントする、請求項4または5に記載された医療器具の滅菌管理装置。
【請求項7】
前記滅菌履歴情報が記憶された滅菌履歴テーブルを記憶している、請求項6に記載された医療器具の滅菌管理装置。
【請求項8】
請求項1から7までの何れか1つに記載された医療器具の滅菌管理装置と、
前記対象セットIDを読み取る読取装置と、
を備えた、滅菌管理システム。
【請求項9】
前記器具セットには、前記対象セットIDが記録された識別標識が付されており、
前記器具セット取得処理では、前記識別標識に記録された前記対象セットIDを前記読取装置で読み取ることで、前記対象セットIDを取得する、請求項8に記載された滅菌管理システム。
【請求項10】
表示装置と、
操作装置と、
を備え、
前記滅菌管理装置は、前記滅菌管理装置によって管理される前記滅菌器を、前記操作装置を介して選択可能に示す滅菌器選択画面を、前記表示装置に表示する表示処理を実行
する手段を備え、
前記滅菌器取得処理では、前記表示装置に表示された前記滅菌器選択画面から選択された前記滅菌器に対応した前記対象機器IDを取得する、請求項8または9に記載された滅菌管理システム。
【請求項11】
前記表示処理では、前記対象機器IDに対応した前記滅菌器で滅菌が行われる前記器具セットの滅菌リストが配置された滅菌一覧画面を前記表示装置に表示し、
前記滅菌管理装置は、前記第1判定処理で前記対象セット滅菌タイプと前記対象機器滅菌タイプとが同じであると判定されたとき、前記滅菌リストに前記対象セットIDに対応した前記器具セットを追加する滅菌リスト追加処理を実行
する手段を備えた、請求項10に記載された滅菌管理システム。
【請求項12】
医療器具の滅菌管理装置を備え、
前記滅菌管理装置は、
メモリーと、
少なくとも1つのプロセッサと、
を備え、
1つまたは複数の医療器具をまとめた器具セットに付されたセットIDと、前記セットIDに対応した前記器具セットに対して滅菌を行う際の滅菌タイプであるセット滅菌タイプと、が関連付けられた器具セット情報を記憶し、かつ、
滅菌器に付された機器IDと、前記機器IDに対応した前記滅菌器で滅菌可能な滅菌タイプである機器滅菌タイプとが関連付けられた滅菌器情報を記憶し、
作業者に指定された前記器具セットに付された対象セットIDを取得する器具セット取得処理と、
作業者に指定された前記滅菌器に付された対象機器IDを取得する滅菌器取得処理と、
前記対象セットIDに対応した対象セット滅菌タイプを、前記器具セット情報に基づいて前記セット滅菌タイプから取得する第1タイプ取得処理と、
前記対象機器IDに対応した対象機器滅菌タイプを、前記滅菌器情報に基づいて前記機器滅菌タイプから取得する第2タイプ取得処理と、
前記対象セット滅菌タイプと、前記対象機器滅菌タイプとが同じであるか否かを判定する第1判定処理と、
前記第1判定処理で前記対象セット滅菌タイプと前記対象機器滅菌タイプとが同じでないと判定されたとき、滅菌タイプ相違アラートを通知する第1アラート通知処理と、
を実行する手段を備え、
前記対象セットIDを読み取る読取装置と、
表示装置と、
操作装置と、
を備え、
前記滅菌管理装置は、前記滅菌管理装置によって管理される前記滅菌器を、前記操作装置を介して選択可能に示す滅菌器選択画面を、前記表示装置に表示する表示処理を実行する手段を備え、
前記滅菌器取得処理では、前記表示装置に表示された前記滅菌器選択画面から選択された前記滅菌器に対応した前記対象機器IDを取得し、
前記第1アラート通知処理では、前記滅菌タイプ相違アラートが示された第1アラートメッセージ画面を前記表示装置に表示する
、滅菌管理システム。
【請求項13】
前記表示処理では、前記対象機器IDに対応した前記滅菌器で滅菌が行われる前記器具セットの滅菌リストが配置された滅菌一覧画面を前記表示装置に表示し、
前記滅菌管理装置は、前記第1判定処理で前記対象セット滅菌タイプと前記対象機器滅菌タイプとが同じであると判定されたとき、前記滅菌リストに前記対象セットIDに対応した前記器具セットを追加する滅菌リスト追加処理を実行する手段を備え、
前記第1アラートメッセージ画面には、第1ボタンと第2ボタンとが配置され、
前記滅菌リスト追加処理では、前記操作装置を介して前記第1ボタンが選択されたとき、前記対象セットIDに対応した前記器具セットを前記滅菌リストに追加し、
前記滅菌リスト追加処理では、前記操作装置を介して前記第2ボタンが選択されたとき、前記対象セットIDに対応した前記器具セットを前記滅菌リストに追加しない、請求項12に記載された滅菌管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療器具の滅菌管理装置および滅菌管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、手術や診察などの医療行為で繰り返し使用される医療器具のリユース管理システムが開示されている。このリユース管理システムでは、医療器具に付された個別IDと、貸出先施設の施設IDとを関連付けてデータベースに登録し、サーバで一元管理している。
【0003】
回収業者は、貸出先施設からまとめて医療器具を回収した後、滅菌業者が、回収業者によって回収された医療器具に対して滅菌処理を施す。その後、回収業者は、医療器具に付された個別IDを読取装置で読み込み、読み込まれた個別IDに対応した施設IDをデータベースから抽出する。回収業者は、データベースから抽出された施設IDに基づいて、医療器具を貸出先施設毎に仕分ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、繰り返し使用される医療器具に対して、滅菌処理が行われる。滅菌処理には、滅菌の方法が異なる複数の滅菌タイプが存在する。また、医療器具に対して滅菌処理を行う際、医療器具の種類に応じて最適な滅菌タイプが存在する。また、医療器具を滅菌する際に使用される滅菌器は、機種に応じて使用可能な滅菌タイプが存在する。従来では、ある医療器具に対して、どの滅菌器を使用して、どの滅菌タイプで滅菌処理を行うかは、作業者によって指定される。そのため、作業者の経験則に基づいて医療器具に対する滅菌タイプが決定されるため、医療器具に対して最適な滅菌タイプで滅菌が行われないおそれがあった。
【0006】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、医療器具に対して滅菌処理を行う際、最適な滅菌タイプで滅菌を行うように管理することが可能な医療器具の滅菌管理装置および滅菌管理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る医療器具の滅菌管理装置は、メモリーと、少なくとも1つのプロセッサと、を備えている。前記滅菌管理装置は、1つまたは複数の医療器具をまとめた器具セットに付されたセットIDと、前記セットIDに対応した前記器具セットに対して滅菌を行う際の滅菌タイプであるセット滅菌タイプとが関連付けられた器具セット情報を記憶している。また、前記滅菌管理装置は、滅菌器に付された機器IDと、前記機器IDに対応した前記滅菌器で滅菌可能な滅菌タイプである機器滅菌タイプとが関連付けられた滅菌器情報を記憶している。前記滅菌管理装置は、器具セット取得処理と、滅菌器取得処理と、第1タイプ取得処理と、第2タイプ取得処理と、第1判定処理とを実行可能に構成されている。前記器具セット取得処理では、作業者に指定された前記器具セットに付された対象セットIDを取得する。前記滅菌器取得処理では、作業者に指定された前記滅菌器に付された対象機器IDを取得する。前記第1タイプ取得処理では、前記対象セットIDに対応した対象セット滅菌タイプを、前記器具セット情報に基づいて前記セット滅菌タイプから取得する。前記第2タイプ取得処理では、前記対象機器IDに対応した対象機器滅菌タイプを、前記滅菌器情報に基づいて前記機器滅菌タイプから取得する。前記第1判定処理では、前記対象セット滅菌タイプと、前記対象機器滅菌タイプとが同じであるか否かを判定する。
【0008】
本発明に係る医療器具の滅菌管理装置によれば、例えば器具セットに対する適切な滅菌タイプがセット滅菌タイプとして器具セット情報に記憶され、滅菌器が使用可能な滅菌タイプが機器滅菌タイプとして滅菌器情報に記憶されている。そのため、例えば作業者によって指定された器具セットの対象セットIDを取得した後、器具セット情報に基づいて、器具セット情報のセット滅菌タイプから対象セット滅菌タイプを取得することができる。また、例えば作業者によって指定された滅菌器の対象機器IDを取得した後、滅菌器情報に基づいて、滅菌器情報の機器滅菌タイプから対象機器滅菌タイプを取得することができる。ここで、対象セット滅菌タイプと、対象機器滅菌タイプとが異なることは、対象セットIDに対応した器具セットに対して最適な滅菌タイプで滅菌が行われないことを意味する。よって、作業者は、第1判定処理で対象セット滅菌タイプと対象機器滅菌タイプとが異なると判定された場合、滅菌処理が開始される前に、滅菌器を選択し直すことができる。したがって、前記滅菌管理装置は、器具セットに含まれる医療器具に対して滅菌処理を行う際、最適な滅菌タイプで滅菌を行うように管理することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、医療器具に対して滅菌処理を行う際、最適な滅菌タイプで滅菌を行うように管理することが可能な医療器具の滅菌管理装置および滅菌管理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態に係る滅菌管理システムを示す概要図である。
【
図4】器具セット情報テーブルの構成例を示す図である。
【
図5】滅菌器情報テーブルの構成例を示す図である。
【
図6】滅菌リスト用テーブルの構成例を示す図である。
【
図13A】滅菌管理装置で行われる処理手順を示したフローチャートである。
【
図13B】滅菌管理装置で行われる処理手順を示したフローチャートである。
【
図14】滅菌タイプ相違アラートの一例を示す図である。
【
図15】上限回数オーバーアラートの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る医療器具に対する滅菌管理装置(以下、単に滅菌管理装置という。)を備えた滅菌管理システムについて説明する。なお、ここで説明される実施形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。
【0012】
図1は、本実施形態に係る滅菌管理システム100を示す概略図である。滅菌管理システム100は、医療器具5に対して滅菌器40を使用して滅菌処理を行う際に使用されるシステムである。
【0013】
医療器具5は、病院において行われる医療行為で使用される器具である。医療行為とは、医師が患者に対して行う医療に関する行為のことをいう。医療行為とは、医療現場、例えば病院で行われる行為である。医療行為には、例えば手術および診察が含まれる。
【0014】
医療器具5は、例えばトラカール、鉗子、切開装置、洗浄吸引装置、剪刀、メス(例えばレーザーメスや電気メス)、超音波カッター、メスホルダー、カニューレ、鑷子、開創器、スケール、ゾンデ、エレバ、ラスパ、吸引管、開胸器、閉胸器、持針器、注射器、金属ボール、膿盆、コップ、ピン、ミラー、やすり、開口器、クレンメ、ハンドピース、エレバトリューム、ノミ、鋭匙、剥離子、鏡、縫合針、スタンツェ、受水器、針、圧子、ブジー、通気管、骨片打ち込み棒、リウエル、ラジオペンチ、ハンマー、角度計、温度計、穿孔器、スポイト、金属綿棒、浣腸器、シリンジおよび内視鏡などである。ただし、上記例は、医療器具5の一部を列挙したに過ぎない。医療器具5は上記例に限定されない。
【0015】
医療器具5は、1つの部品で構成されていてもよいし、複数の部品で構成されていてもよい。複数の部品で構成された医療器具5として、例えば腹腔鏡外科手術で用いられるトラカール、鉗子、切開装置、洗浄吸引装置などが挙げられる。このような医療器具5は、複数の構成部品を含み、例えば手術後に回収され、複数の構成部品に分解される。ここでは、医療器具5を構成する部品のことを構成部品という。また、構成部品がさらに複数の構成部品からなる場合があるが、このような場合は全て構成部品と称する。
【0016】
図2は、循環サイクル10の説明図である。
図2に示すように、医療器具5は、所定の循環サイクル10において繰り返し使用可能なものである。なお、医療器具5に対する循環サイクル10における繰り返し回数は特に限定されず、医療器具5の種類、および、医療器具5を構成する構成部品の種類によって異なるものである。本実施形態では、循環サイクル10は、手術・診察工程11と、回収工程12と、洗浄工程13と、組立工程14と、滅菌工程15と、保管工程16とから構成されている。
【0017】
手術・診察工程11は、医療器具5を用いて医療行為の一例である手術または診察を行う工程である。手術・診察工程11では、所定の場所に保管された医療器具5を所定の場所から取り出し、医療器具5を使用して手術または診察が行われる。
【0018】
回収工程12は、手術・診察工程11の後に行われる工程である。回収工程12は手術または診察で使用された医療器具5を回収する工程である。なお、医療器具5が複数の構成部品によって構成されている場合、回収工程12では、医療器具5を個々の構成部品に分解する作業が含まれていてもよい。
【0019】
洗浄工程13は、回収工程12の後に行われる工程である。洗浄工程13は、回収工程12で回収された医療器具5または医療器具5の個々の構成部品を洗浄する工程である。洗浄工程13では、例えば図示が省略された洗浄器を使用して、医療器具5に対する洗浄が行われる。
【0020】
組立工程14は、洗浄工程13の後に行われる工程である。組立工程14は、洗浄工程13で洗浄された医療器具5の構成部品を組み立てて、1つの医療器具5を完成させる工程である。組立工程14は、複数の構成部品によって構成された医療器具5を組み立てる工程である。例えば、1つの構成部品によって構成された医療器具5や、回収工程12で分解されなかった医療器具5の場合、組立工程14は省略されることがあり得る。
【0021】
滅菌工程15は、組立工程14の後に行われる工程である。滅菌工程15は、組立工程14で組み立てられた医療器具5を滅菌処理する工程である。滅菌工程15では、後述する滅菌器40(
図1参照)を使用して、医療器具5に対する滅菌処理が行われる。以下、滅菌処理のことを単に滅菌ともいう。
【0022】
保管工程16は、滅菌工程15の後に行われる工程である。保管工程16では、滅菌処理が行われた医療器具5を所定の場所に保管する工程である。なお、保管工程16の後には、手術・診察工程11が行われる。
【0023】
本実施形態に係る滅菌管理システム100は、滅菌工程15で使用されるシステムである。以下、滅菌管理システム100について詳しく説明する。滅菌管理システム100は、1つまたは複数の滅菌器40の使用状態や使用履歴を管理するシステムである。
【0024】
ところで、例えば病院などの医療現場では、複数の医療器具5を使用して、患者に対して手術または診察が行われる。滅菌工程15において、複数の医療器具5に対して滅菌処理が行われる。ここで、滅菌処理には、滅菌の方法が異なる複数の滅菌タイプが存在する。滅菌タイプについては後述する。また、医療器具5の種類に応じて、最適な滅菌タイプが存在する。滅菌器40についても、機種に応じて使用可能な滅菌タイプが存在する。任意の医療器具5を、どの滅菌器40を使用して、どの滅菌タイプで滅菌するかは、作業者によって指定される。そのため、従来では、任意の医療器具5をどの滅菌タイプで滅菌するかは、作業者の経験則によって決定されていた。その結果、医療器具5に対して最適な滅菌タイプで滅菌が行われていないことがあった。
【0025】
そこで、本実施形態では、滅菌管理システム100は、滅菌開始前において、滅菌の対象となる医療器具5に対する最適な滅菌タイプが、作業者によって指定されていないときには、アラートを通知する。このことで、作業者は、アラートが通知されることで、滅菌の対象となる医療器具5に対して最適な滅菌タイプが指定されていないことを、滅菌開始前に知ることができる。
【0026】
本実施形態では、滅菌工程15における滅菌処理は、
図1に示す器具セット8の単位で行われる。ここで、器具セット8は、1つまたは複数の医療器具5をまとめたものである。複数の医療器具5を複数の器具セット8に分ける方法は特に限定されない。例えば器具セット8は、1回の手術または診察で使用される1つまたは複数の医療器具5をまとめたものである。1回の手術または診察で使用される1つまたは複数の医療器具5は、例えば図示しないトレイに収容されて、保管工程16(
図2参照)にて保管される。そのため、1つの器具セット8は、例えば1つの上記トイレに収容された1つまたは複数の医療器具5をまとめたものである。
【0027】
本実施形態では、
図1に示すように、器具セット8ごとに、識別標識6が付されている。この識別標識6は、一の器具セット8と他の器具セット8とを区別するためのものである。例えば器具セット8に含まれる1つまたは複数の医療器具5は、滅菌が行われるとき、包装材料によって覆われている。すなわち、器具セット8に含まれる1つまたは複数の医療器具5は、包装材料にまとめて収容される。識別標識6は、例えば包装材料に付されている。なお、識別標識6の種類は特に限定されない。例えば識別標識6は、一次元コードであってもよいし、二次元コードであってもよいし、ICタグであってもよい。
【0028】
識別標識6には、例えばセットID81が記録されている。セットID81は、一の器具セット8と他の器具セット8とを区別するためのものである。セットID81は、数字やアルファベットなどによって構成された文字列である。セットID81は、器具セット8ごとに異なるものである。セットID81は、器具セット8ごとに付されている。本実施形態では、後述する読取装置30によって識別標識6を読み取ることで、器具セット8のセットID81を取得することができる。
【0029】
本実施形態に係る滅菌管理システム100では、器具セット8に付された識別標識6からセットID81を読み取る。そして、識別標識6から読み取られたセットID81に基づいて、器具セット8に対して適切な滅菌タイプが指定されているか否かを判定し、判定結果に応じてアラートを通知する。ここでは、滅菌管理システム100は、
図1に示すように、読取装置30と、滅菌器40と、表示装置50と、操作装置55と、滅菌管理装置60とを備えている。
【0030】
読取装置30は、作業者によって操作されるものであり、器具セット8に付されたセットID81を読み取るものである。図示は省略するが、読取装置30には、作業者の手が掴まれる持ち手が設けられている。読取装置30は、識別標識6に記録されたセットID81を読み取り、読取装置30が読み取ったセットID81を滅菌管理装置60に送信する。なお、読取装置30の種類は特に限定されず、識別標識6のセットID81を読み取ることが可能なものであればよい。例えば識別標識6が二次元コードの場合、読取装置30は、二次元コードを読み取ることが可能な二次元コードリーダであるとよい。例えば識別標識6がICタグの場合、読取装置30は、ICタグリーダであるとよい。本実施形態では、読取装置30は、非接触式の装置である。しかしながら、読取装置30は、接触式の装置であってもよい。なお、滅菌工程15で使用される読取装置30の数は、1つであってもよいし、複数であってもよい。読取装置30の設置場所は、例えば滅菌工程15において滅菌処理が行われる作業空間である。
【0031】
滅菌器40は、器具セット8に含まれる1つまたは複数の医療器具5を滅菌する機器である。詳しい説明は省略するが、滅菌器40は、例えば内部に滅菌空間を有する。この滅菌空間に器具セット8を配置し、滅菌器40を作動させることで、器具セット8に含まれる1つまたは複数の医療器具5を滅菌することができる。本実施形態では、1つの滅菌器40で複数の器具セット8を同時に滅菌することが可能であるが、1つの滅菌器40で1つの器具セット8を滅菌することが可能なものであってもよい。なお、本実施形態に係る滅菌管理システム100の滅菌器40の数は、特に限定されない。例えば滅菌器40の数は、1つであってもよいし、複数であってもよい。言い換えると、本実施形態に係る滅菌管理システム100が管理することができる滅菌器40の数は、1つであってもよいし、複数であってもよい。
【0032】
本実施形態では、滅菌器40ごとに使用可能な滅菌タイプが存在する。この滅菌タイプは、滅菌の方法のことである。滅菌タイプは、例えばAC滅菌と、EOG滅菌と、PL滅菌とを有する。ただし、滅菌タイプには、AC滅菌、EOG滅菌およびPL滅菌以外の滅菌タイプが含まれていてもよい。ここで、AC滅菌は、いわゆる高圧蒸気滅菌のことである。ACは、Autoclaveの略である。AC滅菌では、適当な湿度、圧力の飽和水蒸気中で加熱して、微生物を滅菌する。AC滅菌は、例えば高温に耐え得る医療器具5に対して使用される。
【0033】
EOG滅菌とは、エチレンオキサイドガスを直接流通させることで、微生物を滅菌する方法である。EOGは、酸化エチレンガスのことである。EOG滅菌は、AC滅菌と比較すると低温で滅菌することができるため、例えば耐熱性のない医療器具5に対して使用される。PL滅菌とは、プラズマ滅菌のことである。PL滅菌は、高真空状態の本体内に、気化した過酸化水素ガスを注入し、高周波を与えることで、過酸化水素ガスをプラズマ化する。このプラズマ化した過酸化水素ガスによって微生物を滅菌することができる。
【0034】
本実施形態では、各滅菌タイプにおいて、更に細分化されることがあり得る。滅菌タイプは、1つまたは複数の滅菌コースを有することがあり得る。例えば滅菌タイプがAC滅菌では、滅菌コースとして、滅菌器40の滅菌空間を121℃に設定して滅菌を行う121℃コースと、滅菌器40の滅菌空間を135℃に設定して滅菌を行う135℃コースなどが存在する。例えば滅菌タイプがEOG滅菌では、滅菌コースとして、滅菌器40の滅菌空間を30℃に設定して滅菌を行う30℃コースと、当該滅菌空間を50℃に設定して滅菌を行う50℃コースと、当該空間を60℃に設定して滅菌を行う60℃コースなどが存在する。例えば滅菌タイプがPL滅菌では、滅菌コースとして、滅菌処理の早さが異なるスタンダードコースおよびハイスピードコースなどが存在する。ただし、これらの滅菌コースは、一例に過ぎず、作業者によって任意の滅菌コースを設定することが可能である。
【0035】
表示装置50には、滅菌器40の状態や、上記アラートの通知が表示される。なお、表示装置50の種類は特に限定されない。例えば表示装置50は、携帯型端末のディスプレイであってもよい。表示装置50は、デスクトップ型またはノート型のパーソナルコンピュータのディスプレイであってもよい。
【0036】
操作装置55は、表示装置50に表示されたものを作業者が操作するときに使用するものである。例えば作業者が操作装置55を操作することで、表示装置50に表示される画面を切り替えることができる。また、作業者が操作装置55を操作することで、使用する滅菌器40を選択することができる。なお、操作装置55の種類は特に限定されない。例えば操作装置55は、パーソナルコンピュータのキーボードおよびマウスである。ただし、操作装置55は、表示装置50の画面(図示せず)に設けられたタッチパネルであってもよい。なお、ここでは、表示装置50および操作装置55の数は、それぞれ1つであるが、それぞれ複数であってもよい。
【0037】
次に、滅菌管理装置60について説明する。
図3は、滅菌管理装置60のブロック図である。滅菌管理装置60は、作業者が選択した器具セット8に対応した滅菌タイプが、作業者が選択した滅菌器40に対応した滅菌タイプに含まれるか否かを判定し、器具セット8の滅菌タイプが、滅菌器40の滅菌タイプに含まれないとき、アラートを通知する装置である。滅菌管理装置60は、コンピュータの制御装置である。滅菌管理装置60は、
図3に示すように、メモリー60aと、少なくとも1つのプロセッサ60bとを備えている。プロセッサ60bは、1つであってもよいし、複数であってもよい。例えば、メモリー60aに記憶されたプログラムをプロセッサ60bが使用することで、処理を実行することができる。滅菌管理装置60は、専用のコンピュータによって実現されるものであってもよいし、汎用のコンピュータによって実現されるものであってもよい。
【0038】
本実施形態では、滅菌管理装置60は、
図1に示すように、読取装置30と通信可能に接続されている。滅菌管理装置60は、読取装置30と有線で接続されていてもよいし、無線で接続されてもよい。また、本実施形態では、滅菌管理装置60は、表示装置50および操作装置55と通信可能に接続されている。なお、滅菌管理装置60、表示装置50および操作装置55は、1つのパーソナルコンピュータで実現されるものであってもよい。滅菌管理装置60は、滅菌器40と通信可能に接続されていなくてもよいし、滅菌器40と通信可能に接続されていてもよい。
【0039】
ここでは、滅菌管理システム100は、いわゆるクライアントサーバシステムで実現されるものであってもよいし、クラウドコンピューティングで実現されるものであってもよい。また、滅菌管理システム100は、いわゆるスタンドアローンシステムで実現されるものであってもよい。
【0040】
本実施形態では、滅菌管理装置60は、
図3に示すように、記憶部61と、表示部63と、滅菌器取得部64と、器具セット取得部65と、第1タイプ取得部66と、第2タイプ取得部68と、滅菌リスト追加部70と、第1判定部71と、第1アラート通知部73と、カウント部75と、上限回数取得部76と、第2判定部78と、第2アラート通知部79とを備えている。本実施形態では、記憶部61は、メモリー60aに記憶されているものである。表示部63、滅菌器取得部64、器具セット取得部65、第1タイプ取得部66、第2タイプ取得部68、滅菌リスト追加部70、第1判定部71、第1アラート通知部73、カウント部75、上限回数取得部76、第2判定部78、および、第2アラート通知部79は、プロセッサ60bによって実行可能なものである。
【0041】
図4は、器具セット情報テーブルT11の構成例を示す図である。
図5は、滅菌器情報テーブルT13の構成例を示す図である。
図6は、滅菌リスト用テーブルT15の構成例を示す図である。
図7は、滅菌履歴テーブルT17の構成例を示す図である。本実施形態では、メモリー60aによって実現される記憶部61には、
図3に示すように、器具セット情報テーブルT11(
図4参照)と、滅菌器情報テーブルT13(
図5参照)と、滅菌リスト用テーブルT15(
図6参照)と、滅菌履歴テーブルT17(
図7参照)とが予め記憶されている。
【0042】
図4に示すように、器具セット情報テーブルT11は、器具セット情報80が記憶されたテーブルである。器具セット情報80は、例えばセットID81と、セット名82と、セット滅菌タイプ83と、セット滅菌コース85と、上限滅菌回数87とが少なくとも関連付けられた情報である。器具セット情報テーブルT11は、セットID81と、セット名82と、セット滅菌タイプ83と、セット滅菌コース85と、上限滅菌回数87とが少なくとも関連付けられたテーブルである。言い換えると、器具セット情報テーブルT11には、セットID81、セット名82、セット滅菌タイプ83、セット滅菌コース85、および、上限滅菌回数87などの項目が少なくとも存在する。
【0043】
ここで、「関連付けられた」とは、テーブルの同じ行に記載された項目同士のことをいう。「関連付けられた」とは、「対応した」と言い換えることが可能である。
【0044】
セットID81は、器具セット8ごとに付された固有のIDである。セットID81は、数字やアルファベットなどによって構成された文字列であり、器具セット8ごとに異なるものである。なお、セットID81は、器具セット8ごとに付けられた器具セット8の名称であってもよい。セット名82は、器具セット8の名称のことである。セット名82は、作業者によって任意に器具セット8に付けられるものであってもよい。なお、セットID81が器具セット8の名称で管理される場合には、セット名82は省略されてもよい。
【0045】
セット滅菌タイプ83は、セットID81に対応した器具セット8を構成する医療器具5を滅菌する際の滅菌タイプのことである。このセット滅菌タイプ83は、セットID81に対応した器具セット8に対する最適な滅菌タイプである。セット滅菌タイプ83には、例えばAC滅菌、EOG滅菌、および、PL滅菌などが含まれる。セットID81に関連付けられたセット滅菌タイプ83には、AC滅菌、EOG滅菌、および、PL滅菌などから選択された1つの滅菌タイプが指定されている。
【0046】
セット滅菌コース85は、セットID81に対応した器具セット8を構成する医療器具5を滅菌する際の滅菌タイプの滅菌コースである。上述のように、滅菌タイプによっては、複数の滅菌コースが存在することがあり得る。そのため、器具セット情報テーブルT11では、セットID81に対応した器具セット8を滅菌する際の最適な滅菌コースを、セット滅菌コース85に指定する。
【0047】
本実施形態では、セットID81に対応する最適な滅菌タイプであるセット滅菌タイプ83が設定されているが、セットID81に対応した器具セット8は、セット滅菌タイプ83で指定されなかった滅菌タイプで滅菌を行うことが可能である。ここで、セット滅菌タイプ83で指定されなかった滅菌タイプのことを「除外滅菌タイプ」という。例えば
図4に示すように、セットID81が「id1000」である器具セット8に対して、セット滅菌タイプ83でAC滅菌が指定されている場合、セットID81が「id1000」である器具セット8に対して、EOG滅菌やPL滅菌で滅菌を行うことが可能である。セットID81が「id1000」の場合の除外滅菌タイプは、EOG滅菌およびPL滅菌である。
【0048】
除外滅菌タイプで滅菌を行う場合、最適な滅菌タイプの滅菌ではないため、器具セット8を構成する医療器具5に対する負担が大きく、劣化を促進する原因となることがあり得る。そこで、本実施形態では、器具セット8に対して除外滅菌タイプで滅菌する場合の上限滅菌回数87が設定される。上限滅菌回数87は、セットID81に対応した器具セット8を除外滅菌タイプで滅菌したときの上限回数である。言い換えると、上限滅菌回数87は、除外滅菌タイプで滅菌することが可能な上限回数である。
【0049】
本実施形態では、器具セット情報テーブルT11の器具セット情報80、すなわち、セットID81、セット名82、セット滅菌タイプ83、セット滅菌コース85、および、上限滅菌回数87は、例えば表示装置50に表示されたマスタ画面(図示せず)で作業者が操作装置55を介して入力することで、器具セット情報テーブルT11の各項目に記録されるものである。
【0050】
図5に示すように、滅菌器情報テーブルT13は、滅菌器情報90が記憶されたテーブルである。滅菌器情報90は、例えば機器ID91と、機器名92と、機器滅菌タイプ93と、機器滅菌コース95と、状態97が少なくとも関連付けられた情報である。滅菌器情報テーブルT13は、機器ID91と、機器名92と、機器滅菌タイプ93と、機器滅菌コース95と、状態97とが少なくとも関連付けられたテーブルである。言い換えると、滅菌器情報テーブルT13には、機器ID91、機器名92、機器滅菌タイプ93、機器滅菌コース95、および、状態97などの項目が少なくとも存在する。
【0051】
機器ID91は、滅菌器40ごとに付された固有のIDである。機器ID91は、一の滅菌器40と他の滅菌器40とを区別するためのものであり、滅菌器40ごとに異なるものである。機器ID91は、例えば数字やアルファベットなどによって構成された文字列である。なお、機器ID91は、滅菌器40ごとに付けられた滅菌器40の名称であってもよい。機器名92は、滅菌器40の名称のことである。機器名92は、作業者によって任意に滅菌器40に付けるものであってもよい。なお、機器ID91が滅菌器40の名称で管理される場合には、機器名92は省略されてもよい。
【0052】
機器滅菌タイプ93は、機器ID91に対応した滅菌器40で使用可能な滅菌タイプのことである。機器滅菌タイプ93には、AC滅菌、EOG滅菌、および、PL滅菌などが含まれる。機器ID91に関連付けられた機器滅菌タイプ93には、AC滅菌、EOG滅菌、および、PL滅菌などから選択された1つの滅菌タイプが指定されている。
【0053】
なお、本実施形態では、1つの滅菌器40に対して、1つの機器滅菌タイプ93を指定することが可能である。しかしながら、滅菌器情報テーブルT13は、1つの滅菌器40に対して、複数の機器滅菌タイプ93を指定することが可能であってもよい。1つの滅菌器40に対して複数の機器滅菌タイプ93を指定する場合、滅菌器情報テーブルT13において、同じ機器ID91が指定された行を複数用意し、各行に異なる機器滅菌タイプ93を指定するとよい。または、滅菌器情報テーブルT13において、機器滅菌タイプ93のセルの中に、複数の滅菌タイプを指定してもよい。
【0054】
機器滅菌コース95は、機器ID91に対応した滅菌器40が使用可能な機器滅菌タイプ93の滅菌コースのことである。上述のように、滅菌タイプによっては、複数の滅菌コースが存在することがあり得る。そのため、滅菌器情報テーブルT13では、機器滅菌コース95に、機器ID91に対応した滅菌器40が使用可能な滅菌コースを指定する。
【0055】
なお、本実施形態では、1つの滅菌器40に対して、複数の機器滅菌コース95を指定することが可能である。1つの滅菌器40に対して複数の機器滅菌コース95を指定する場合、滅菌器情報テーブルT13において、同じ機器ID91が指定された行を複数用意し、各行に異なる機器滅菌コース95を指定するとよい。または、滅菌器情報テーブルT13において、機器ID91に対応した機器滅菌コース95のセルの中に、複数の滅菌コースが指定されてもよい。
【0056】
状態97は、機器ID91に対応した滅菌器40の稼働の状態を示している。状態97は、後述する稼働状態S11、非稼働状態S12および待機状態S13(
図8参照)の何れかが設定される。
【0057】
本実施形態では、滅菌器情報テーブルT13の滅菌器情報90のうち機器ID91、機器名92、機器滅菌タイプ93、および、機器滅菌コース95は、例えば表示装置50に表示されたマスタ画面(図示せず)で、作業者が操作装置55を介して入力することで、滅菌器情報テーブルT13の各項目に記録されるものである。滅菌器情報90の状態97は、適宜変更されるものであり、例えば後述の開始ボタンBT11(
図9参照)や、終了ボタンBT21(
図10参照)が押されることで変更される。
【0058】
図6に示すように、滅菌リスト用テーブルT15は、滅菌器40を使用して滅菌が行われる対象となる器具セット8に関する滅菌リスト情報110が記憶されたテーブルである。滅菌リスト情報110は、各滅菌器40において、まとめて滅菌される器具セット8を管理するための情報である。この滅菌リスト情報110は、例えば
図9の後述する滅菌リストL2を表示するときに使用される。
【0059】
図6に示すように、滅菌リスト情報110は、リスト機器ID111と、滅菌日113と、機器回数115と、リストセットID117とが少なくとも関連付けられた情報である。滅菌リスト用テーブルT15は、リスト機器ID111と、滅菌日113と、機器回数115と、リストセットID117とが関連付けられたテーブルである。言い換えると、滅菌リスト用テーブルT15には、リスト機器ID111、滅菌日113、機器回数115、および、リストセットID117などの項目が少なくとも存在する。
【0060】
リスト機器ID111は、滅菌器40の機器IDのことであり、滅菌器情報90の機器ID91(
図5参照)に対応しているものである。滅菌日113は、リスト機器ID111に対応した滅菌器40が使用される/使用された日付のことである。滅菌日113は、リスト機器ID111に対応した滅菌器40に関する滅菌リストL2(
図9参照)に器具セット8が最初に追加されたときの日付である。
【0061】
機器回数115は、関連付けられたリスト機器ID111に対応した滅菌器40に対して、滅菌日113で指定された日付内で滅菌を行う順番を指定したものである。例えば機器回数115が「3」の場合、関連付けられたリスト機器ID111に対応した滅菌器40が、滅菌日113で指定された日付において3回目に滅菌が行われることを意味する。
【0062】
リストセットID117は、器具セット8のセットIDのことであり、器具セット情報80のセットID81(
図4参照)に対応しているものである。リストセットID117に対応した器具セット8は、リスト機器ID111に対応した滅菌器40における滅菌日113で指定された日付の機器回数115で指定された回数目に行われる滅菌の対象となる器具セット8のことである。
【0063】
図7に示すように、滅菌履歴テーブルT17は、器具セット8に対して滅菌が行われた情報である滅菌履歴情報120が記憶されたテーブルである。滅菌履歴情報120は、例えば滅菌開始日時121と、滅菌終了日時122と、滅菌セットID123と、使用機器ID125と、使用滅菌タイプ126と、使用滅菌コース127と、滅菌結果128と、コメント129とが少なくとも関連付けられた情報である。滅菌履歴テーブルT17は、滅菌開始日時121と、滅菌終了日時122と、滅菌セットID123と、使用機器ID125と、使用滅菌タイプ126と、使用滅菌コース127と、滅菌結果128と、コメント129とが少なくとも関連付けられたテーブルである。言い換えると、滅菌履歴テーブルT17には、滅菌開始日時121、滅菌終了日時122、滅菌セットID123、使用機器ID125、使用滅菌タイプ126、使用滅菌コース127、滅菌結果128、および、コメント129などの項目が少なくとも存在する。
【0064】
滅菌開始日時121は、器具セット8に対して滅菌が開始された日付および時間である。言い換えると、滅菌開始日時121は、滅菌管理装置60にて管理される滅菌器40による滅菌処理が開始された日時である。滅菌終了日時122は、器具セット8に対する滅菌が終了した日付および時間である。言い換えると、滅菌終了日時122は、滅菌管理装置60にて管理される滅菌器40による滅菌処理が終了した日時である。
【0065】
滅菌セットID123は、滅菌が行われる、または、滅菌が行われた器具セット8のセットIDのことである。ここでは、関連付けられた滅菌開始日時121から滅菌終了日時122の間に滅菌された器具セット8のセットIDを滅菌セットID123とする。なお、滅菌セットID123は、器具セット情報80のセットID81(
図4参照)に対応している。
【0066】
使用機器ID125は、滅菌セットID123に対応した器具セット8を滅菌したときに使用される、または、使用された滅菌器40の機器IDのことである。ここでは、関連付けられた滅菌開始日時121から滅菌終了日時122の間に滅菌された器具セット8に対して使用された滅菌器40の機器IDを使用機器ID125とする。なお、使用機器ID125は、滅菌器情報90の機器ID91(
図5参照)に対応している。
【0067】
使用滅菌タイプ126は、滅菌セットID123に対応した器具セット8を滅菌したときに使用される、または、使用された滅菌タイプのことである。ここでは、関連付けられた滅菌開始日時121から滅菌終了日時122の間に滅菌された器具セット8に対して使用された滅菌タイプを、使用滅菌タイプ126とする。使用滅菌コース127は、滅菌セットID123に対応した器具セット8を滅菌したときに使用される、または、使用された滅菌コースのことである。ここでは、関連付けられた滅菌開始日時121から滅菌終了日時122の間に滅菌された器具セット8に対して使用された滅菌コースを、使用滅菌コース127とする。
【0068】
滅菌結果128は、滅菌セットID123に対応した器具セット8の滅菌の結果である。ここでは、作業者は、滅菌処理が行われた器具セット8に対して、滅菌が正しく行われたか否かを判定する。このときの滅菌が正しく行われたか否かの結果が滅菌結果128に記録される。コメント129は、滅菌セットID123に対応した器具セット8に対して、作業者が必要に応じて記す項目である。例えば、滅菌結果128において、滅菌が正しく行われなかった記録がなされた場合、コメント129にその理由などを記す。
【0069】
本実施形態では、器具セット情報テーブルT11と、滅菌器情報テーブルT13と、滅菌リスト用テーブルT15と、滅菌履歴テーブルT17とは、それぞれ1つのテーブルによって構成されていてもよいし、それぞれ複数のテーブルによって構成されていてもよい。また、器具セット情報テーブルT11、滅菌器情報テーブルT13、滅菌リスト用テーブルT15、および、滅菌履歴テーブルT17のうちの一部が、1つのテーブルにまとめられていてもよい。
【0070】
次に、表示装置50に表示される画面について説明する。
図8は、滅菌器稼働画面DP1を示す図である。
図9は、滅菌一覧開始画面DP2を示す図である。
図10は、滅菌一覧終了画面DP3を示す図である。
図11は、滅菌一覧判定画面DP4を示す図である。
図12は、滅菌履歴画面DP5を示す図である。本実施形態に係る滅菌管理システム100は、
図8~
図12に示すような画面DP1~DP5を使用して滅菌に関する管理を行う。ここでは、滅菌管理装置60のプロセッサ60bが実行可能な表示部63によって、画面DP1~DP5が表示装置50に適宜表示される。
【0071】
本実施形態では、表示部63は、
図8に示すような滅菌器稼働画面DP1を表示装置50に表示する。滅菌器稼働画面DP1は、滅菌管理システム100において管理対象となっている滅菌器40の稼働状態を示す画面である。また、滅菌器稼働画面DP1は、作業者が滅菌処理のために使用したい滅菌器40を選択する画面でもある。滅菌器稼働画面DP1には、滅菌器40ごとに、機器ID150、機器状態S1、および、滅菌状態リストL1が配置される。
【0072】
滅菌器稼働画面DP1に表示される機器ID150は、例えば滅菌器情報テーブルT13の機器ID91(
図5参照)に対応している。すなわち、滅菌器情報テーブルT13の機器ID91が滅菌器稼働画面DP1に機器ID150として表示される。本実施形態では、滅菌管理システム100は、滅菌器情報テーブルT13の機器ID91に対応した滅菌器40を管理している。表示部63は、滅菌器情報テーブルT13から機器ID91を取得し、取得した機器ID91を機器ID150として表示装置50に表示する。
【0073】
本実施形態に係る滅菌管理システム100では、機器ID150がAC1、AC2、AC3、EOG1、EOG2、EOG3、PL1、PL2、PL3である合計9台の滅菌器40を管理している。ここで、機器ID150がAC1、AC2、AC3である滅菌器40は、機器滅菌タイプ93(
図5参照)としてAC滅菌が設定された機器である。機器ID150がEOG1、EOG2、EOG3である滅菌器40は、機器滅菌タイプ93としてEOG滅菌が設定された機器である。機器ID150がPL1、PL2、PL3である滅菌器40は、機器滅菌タイプ93としてPL滅菌が設定された機器である。
【0074】
なお、滅菌器稼働画面DP1に表示される機器ID150は、滅菌器40の機器名92(
図5参照)であってもよい。この場合、表示部63は、滅菌器情報テーブルT13から機器名92を取得し、表示装置50に表示する。
【0075】
機器状態S1は、滅菌管理装置60によって管理される滅菌器40の状態を示すものである。機器状態S1は、各滅菌器40が稼働しているか否か、すなわち滅菌処理中であるか否かなどを示すものである。本実施形態では、機器状態S1は、稼働状態S11と、非稼働状態S12と、待機状態S13とを有する。稼働状態S11は、滅菌器40が稼働している状態を示している。稼働状態S11は、機器ID150に対応した滅菌器40に収容された1つまたは複数の器具セット8を滅菌している状態を示している。
【0076】
非稼働状態S12は、滅菌器40が稼働していない状態を示している。言い換えると、非稼働状態S12は、滅菌器40によって器具セット8が滅菌されている最中ではない状態を示している。非稼働状態S12では、滅菌器40が非稼働であれば、滅菌器40に器具セット8が収容されていてもよいし、器具セット8が収容されていなくてもよい。非稼働状態S12では、滅菌器40が非稼働の状態であれば、滅菌器40に収容された器具セット8に対して滅菌が行われた後であってもよいし、滅菌が行われる前であってもよい。
【0077】
待機状態S13は、滅菌対象の器具セット8を滅菌器40に収容した状態で、滅菌器40を待機させている状態である。待機状態S13は、滅菌器40に収容された1つまたは複数の器具セット8に対して滅菌する前の状態を示している。待機状態S13では、滅菌器40に対して新たな器具セット8は追加されず、例えば滅菌器40の開始ボタンBT11(
図9参照)を押すことで、滅菌が開始される。
【0078】
本実施形態では、滅菌器稼働画面DP1には、管理対象の滅菌器40ごとに機器状態領域A1が設けられている。滅菌器稼働画面DP1に表示された機器ID150は、機器状態領域A1内に配置されている。機器状態S1は、機器状態領域A1内の色によって判断される。
【0079】
ここでは、表示部63は、滅菌器40が稼働状態S11のとき、機器状態領域A1内の色を第1の色CL1で表示する。第1の色CL1は、例えば青色である。表示部63は、滅菌器40が非稼働状態S12のとき、機器状態領域A1内の色を第2の色CL2で表示する。第2の色CL2は、第1の色CL1と異なる色であり、例えば灰色である。表示部63は、滅菌器40が待機状態S13のとき、機器状態領域A1内の色を第3の色CL3で表示する。第3の色CL3は、第1の色CL1および第2の色CL2と異なる色であり、例えば緑色である。なお、第1~第3の色CL1~CL3の具体的な色は特に限定されない。また、機器状態S1を視覚的に判別する方法は、機器状態領域A1内の色を変更することに限定されない。例えば、機器状態S1を、単に文字で滅菌器稼働画面DP1に表示してもよい。
【0080】
なお、本実施形態では、上述のように、滅菌器情報テーブルT13の滅菌器情報90では、機器ID91と状態97とが関連付けられている。そのため、表示部63は、滅菌器稼働画面DP1において各滅菌器40の機器状態S1を表示する際、滅菌器情報テーブルT13に基づいて、状態97を取得して機器状態S1を表示する。
【0081】
滅菌器稼働画面DP1に表示される各滅菌器40の滅菌状態リストL1は、滅菌器40に対して、所定の期間の間に行われた滅菌処理のリストである。ここでは、滅菌状態リストL1には、滅菌日151と、機器回数152と、滅菌開始時間153と、滅菌終了時間154とが関連付けられて表示されている。この滅菌状態リストL1は、滅菌リスト用テーブルT15(
図6参照)、および、滅菌履歴テーブルT17(
図7参照)に基づいて表示部63によって作成される。
【0082】
滅菌日151は、機器ID150に対応した滅菌器40で滅菌が行われた日付である。滅菌日151は、機器ID150および滅菌リスト用テーブルT15に基づいて、滅菌リスト情報110の滅菌日113から取得される。機器回数152は、機器ID150に対応した対象の滅菌器40に対して、所定の期間において何回目の滅菌処理かを示している。例えば機器回数152が2の場合、所定の期間において2回目の滅菌処理を示している。所定の期間は、例えば1日である。しかしながら、所定の期間は、特に限定されるものではなく、例えば1週間であってもよいし、1ヶ月であってもよい。所定の期間は、記憶部61に予め記憶されている。本実施形態では、機器回数152は、機器ID150および滅菌リスト用テーブルT15に基づいて、滅菌リスト情報110の機器回数115から取得される。
【0083】
滅菌開始時間153は、機器ID150に対応した滅菌器40の機器回数152に示された回数目の滅菌が開始された時間である。滅菌終了時間154は、機器ID150に対応した滅菌器40の機器回数152に示された回数目の滅菌が終了した時間である。滅菌開始時間153、および、滅菌終了時間154は、機器ID150および滅菌履歴テーブルT17に基づいて、滅菌履歴情報120のそれぞれ滅菌開始日時121、および、滅菌終了日時122から取得される。なお、滅菌状態リストL1において、滅菌開始時間153が空欄の場合、機器回数152に示された回数目の滅菌が開始されていないことを示している。滅菌状態リストL1において、滅菌開始時間153に時間が示され、かつ、滅菌終了時間154が空欄の場合、機器回数152に示された回数目の滅菌が行われている最中であることを示している。
【0084】
なお、本実施形態では、滅菌状態リストL1のうち、一部の行が第4の色CL4で表示されていることがあり得る。滅菌状態リストL1のうち、第4の色CL4で表示された行に該当する滅菌処理は、終了しているが、滅菌された器具セット8の滅菌の結果の判定がまだ行われていないことを示している。第4の色CL4は、上記の第1~第3の色CL1~CL3とは異なる色であり、例えば黄色である。
【0085】
本実施形態では、滅菌器稼働画面DP1において、滅菌器40を選択可能に構成されている。例えば作業者は、操作装置55を使用して、機器状態領域A1または滅菌状態リストL1を選択(言い換えるとクリック)することで、選択された機器ID150に対する滅菌器40の滅菌一覧開始画面DP2(
図9参照)が表示装置50に表示される。
【0086】
図9に示すように、滅菌一覧開始画面DP2は、滅菌器40の1回の滅菌処理の対象となる器具セット8を決定する画面である。また、滅菌一覧開始画面DP2では、滅菌器40の滅菌開始を管理する画面でもある。表示部63は、滅菌一覧開始画面DP2を表示装置50に表示する。ここでは、滅菌一覧開始画面DP2には、滅菌情報160と、滅菌リストL2とが配置されている。
【0087】
滅菌情報160は、滅菌一覧開始画面DP2に表示される滅菌器40の所定の回数目の滅菌処理に関する情報である。滅菌情報160は、機器ID161と、機器回数162と、機器滅菌コース163と、滅菌開始日時164と、滅菌終了日時165と、滅菌判定日時166とを有する。
【0088】
滅菌一覧開始画面DP2に表示される機器ID161は、滅菌器稼働画面DP1で選択された滅菌器40の機器ID150に対応している。機器回数162は、滅菌器稼働画面DP1に表示された滅菌状態リストL1の機器回数152に対応している。ここでは、機器ID161に対応した滅菌器40において、機器回数162に示された回数目の滅菌情報160および滅菌リストL2が滅菌一覧開始画面DP2に表示されている。
【0089】
機器滅菌コース163は、機器回数162に示された回数目の滅菌で使用される滅菌コースを示している。例えば機器滅菌コース163は、滅菌一覧開始画面DP2において選択可能に構成されている。ここでは、機器滅菌コース163は、いわゆるプルダウンリストによって構成されている。このプルダウンリストで設定される滅菌コースは、機器ID161および滅菌器情報テーブルT13(
図5参照)に基づいて、滅菌器情報90の機器滅菌コース95から取得される。
【0090】
滅菌開始日時164は、機器回数162に示された回数目の滅菌が開始されたときの日時である。滅菌開始日時164の日付、および、時間は、それぞれ滅菌器稼働画面DP1に表示された滅菌状態リストL1の滅菌日151、および、滅菌開始時間153に対応している。滅菌終了日時165は、機器回数162に示された回数目の滅菌が終了したときの日時である。滅菌終了日時165の日付、および、時間は、それぞれ滅菌器稼働画面DP1に表示された滅菌状態リストL1の滅菌日151、および、滅菌終了時間154に対応している。滅菌判定日時166は、機器回数162に示された回数目の滅菌処理が行われたときに、滅菌された器具セット8の滅菌の判定が行われた日時である。滅菌判定日時166は、例えば滅菌一覧判定画面DP4の後述する判定ボタンBT31(
図11参照)が、操作装置55を介して押されたときの日時が設定される。
【0091】
滅菌リストL2は、滅菌情報160の機器ID161に対応した滅菌器40において、機器回数162に示された回数目の滅菌処理において、まとめて滅菌される対象となる器具セット8のリストである。ここでは、滅菌リストL2には、セット名168と、セット滅菌タイプ169とが関連付けられており、セット名168と、セット滅菌タイプ169の項目が存在する。
【0092】
本実施形態では、読取装置30で器具セット8の識別標識6を読み取ることで、識別標識6から読み取られたセットID81(
図1参照)に基づいて、器具セット情報テーブルT11からセット名82を取得する。そして、取得したセット名82をセット名168として滅菌リストL2に追加される。なお、セット名168は、器具セット8のセットIDであってもよい。
【0093】
セット滅菌タイプ169は、セット名168に対応した器具セット8に対する最適な滅菌タイプのことである。このセット滅菌タイプ169は、器具セット情報80のセット滅菌タイプ83(
図4参照)に対応している。セット滅菌タイプ169は、セット名168および器具セット情報テーブルT11に基づいて、セット滅菌タイプ83から取得される。
【0094】
なお、本実施形態では、
図9に示すように、滅菌一覧開始画面DP2には、開始ボタンBT11、切替ボタンBT12a、BT12b、および、削除ボタンBT13が配置されている。作業者が操作装置55を介して開始ボタンBT11を押すことで、滅菌管理装置60は、機器ID161に対応した滅菌器40の機器回数162に示された回数目の滅菌が開始されたと判断する。なお、開始ボタンBT11が押されたときの日時が、滅菌開始日時164となる。
【0095】
切替ボタンBT12a、BT12bは、滅菌一覧開始画面DP2に表示されている滅菌情報160、および、滅菌リストL2を切り替えるボタンである。例えば切替ボタンBT12aが押されると、機器回数162に示された回数目よりも1つ前の回数目の滅菌に関する滅菌情報160および滅菌リストL2が表示される。例えば切替ボタンBT12bが押されると、機器回数162に示された回数目よりも1つ後ろの回数目の滅菌に関する滅菌情報160および滅菌リストL2が表示される。
【0096】
作業者が操作装置55を介して削除ボタンBT13を押すことで、押された削除ボタンBT13と同じ行のセット名168に対応した器具セット8が、滅菌リストL2から削除される。
【0097】
作業者が操作装置55を介して開始ボタンBT11を押すことで、機器ID161に対応した滅菌器40の機器回数162に示された回数目の滅菌が開始されたと判断する。このとき、表示部63は、
図10に示す滅菌一覧終了画面DP3を表示装置50に表示する。滅菌一覧終了画面DP3は、滅菌器40の滅菌終了を管理する画面である。
【0098】
本実施形態では、滅菌一覧終了画面DP3には、
図9に示す滅菌一覧開始画面DP2と同様に、滅菌情報160および滅菌リストL2が表示されている。滅菌一覧終了画面DP3の滅菌情報160および滅菌リストL2は、滅菌一覧開始画面DP2の滅菌情報160および滅菌リストL2と同じであるため、ここでの説明は省略する。滅菌一覧終了画面DP3では、機器回数162に示された回数目における滅菌の最中である。
【0099】
本実施形態では、滅菌一覧終了画面DP3には、滅菌一覧開始画面DP2の開始ボタンBT11は省略され、終了ボタンBT21が配置されている。作業者が操作装置55を介して終了ボタンBT21を押すことで、滅菌管理装置60は、機器ID161に対応した滅菌器40の機器回数162に示された回数目の滅菌が終了したと判断する。なお、終了ボタンBT21が押されたときの日時が、滅菌終了日時165となる。
【0100】
なお、本実施形態では、滅菌一覧終了画面DP3には、滅菌一覧開始画面DP2と同様に、切替ボタンBT12a、BT12bおよび削除ボタンBT13が表示されている。しかしながら、削除ボタンBT13は、操作装置55を介して操作不能な状態である。そのため、滅菌一覧終了画面DP3において、削除ボタンBT13は省略されてもよい。切替ボタンBT12a、BT12bは、操作装置55を介して操作可能な状態であってもよいし、操作不能な状態であってもよい。
【0101】
作業者が操作装置55を介して終了ボタンBT21を押すことで、機器ID161に対応した滅菌器40の機器回数162に示された回数目の滅菌が終了したと判断する。このとき、表示部63は、
図11に示す滅菌一覧判定画面DP4を表示装置50に表示する。滅菌一覧判定画面DP4は、滅菌器40によって滅菌された器具セット8の滅菌の結果を入力し、滅菌の結果を管理するための画面である。
【0102】
滅菌一覧判定画面DP4には、
図9に示す滅菌一覧開始画面DP2と同様に、滅菌情報160および滅菌リストL2が表示されている。滅菌一覧判定画面DP4の滅菌情報160および滅菌リストL2は、滅菌一覧開始画面DP2の滅菌情報160および滅菌リストL2と同じであるため、ここでの説明は省略する。滅菌一覧判定画面DP4では、機器回数162に示された回数目における滅菌が終了した状態であり、滅菌リストL2内の器具セット8の滅菌の結果を入力する状態である。
【0103】
本実施形態では、滅菌一覧判定画面DP4には、判定ボタンBT31、および、滅菌結果選択部N1が配置されている。判定ボタンBT31は、滅菌リストL2内の器具セット8の滅菌が適切に行われたか否かを記録するためのボタンである。判定ボタンBT31が押されたときの日時が、滅菌判定日時166となる。ここでは、判定ボタンBT31が押されることで記録される滅菌の結果は、滅菌結果選択部N1における選択状態に応じて異なる。
【0104】
滅菌結果選択部N1は、滅菌リストL2内の器具セット8の滅菌が適切に行われなかったときに使用されるものである。本実施形態では、滅菌結果選択部N1は、滅菌器異常選択ボタンBT32と、器具セット異常選択ボタンBT33とを有する。
【0105】
滅菌器異常選択ボタンBT32および器具セット異常選択ボタンBT33は、機器回数162に示された回数目の滅菌の結果に異常があったときに使用される。すなわち、滅菌器異常選択ボタンBT32および器具セット異常選択ボタンBT33は、滅菌された1つまたは複数の器具セット8のうち少なくとも1つ以上の器具セット8が適切に滅菌されていなかったときに使用される。ここで、滅菌器異常選択ボタンBT32は、滅菌器40自体に異常が発生して、滅菌器40によって滅菌されていた全ての器具セット8が適切に滅菌されなかったときに選択されるボタンである。器具セット異常選択ボタンBT33は、滅菌器40によって滅菌されていた器具セット8のうち、一部の器具セット8に対する滅菌が適切に行われなかったときに選択されるボタンである。滅菌器異常選択ボタンBT32および器具セット異常選択ボタンBT33は、例えばチェックボタンによって構成されているが、チェックボタンに限定されない。
【0106】
本実施形態では、滅菌器異常選択ボタンBT32および器具セット異常選択ボタンBT33の両方が選択されていない状態で、作業者が操作装置55を介して判定ボタンBT31を押したとき、滅菌リストL2内の器具セット8に対して、全て滅菌が適切に行われたと判断する。このとき、滅菌履歴テーブルT17において該当する滅菌セットID123の滅菌結果128(
図7参照)に、滅菌正常を示すOKを記録する。
【0107】
滅菌器異常選択ボタンBT32が選択されて、器具セット異常選択ボタンBT33が選択されていない状態で、判定ボタンBT31が押されたとき、滅菌リストL2内の器具セット8の全てに対する滅菌が適切に行われていないと判断する。このとき、滅菌履歴テーブルT17において、該当する滅菌セットID123の滅菌結果128に滅菌異常を示すNGを記録する。
【0108】
器具セット異常選択ボタンBT33が選択されて、滅菌器異常選択ボタンBT32が選択されていない状態のとき、滅菌リストL2は、滅菌リストL2内の器具セット8の行を1つまたは複数、選択可能に構成されている。そこで、作業者は、操作装置55を介して滅菌リストL2内の器具セット8のうち、滅菌が適切に行われなかった器具セット8を選択する。ここでは、器具セット異常選択ボタンBT33が選択されて、滅菌器異常選択ボタンBT32が選択されていない状態で、判定ボタンBT31が押されたとき、滅菌リストL2内の選択された器具セット8に対する滅菌が適切に行われておらず、選択されていない器具セット8に対する滅菌が適切に行われていると判断する。このとき、滅菌履歴テーブルT17において、滅菌リストL2内の選択された器具セット8に対応した滅菌セットID123の滅菌結果128に、滅菌異常を示すNGを記録する。そして、滅菌履歴テーブルT17において、滅菌リストL2内の選択されていない器具セット8に対応した滅菌セットID123の滅菌結果128に、滅菌正常を示すOKを記録する。
【0109】
図12に示すように、滅菌履歴画面DP5は、滅菌管理システム100において管理されている滅菌器40によって滅菌された器具セット8の滅菌履歴を表示する画面である。表示部63は、滅菌履歴画面DP5を表示装置50に表示する。なお、滅菌履歴画面DP5の構成は特に限定されない。
【0110】
本実施形態では、滅菌履歴画面DP5には、滅菌履歴リストL3が配置されている。滅菌履歴リストL3は、滅菌器40によって滅菌された器具セット8の履歴に関するリストである。ここでは、滅菌履歴リストL3は、所定の期間、所定の滅菌器40、および、所定の滅菌の結果に基づいたリストである。なお、滅菌履歴リストL3の構成は特に限定されない。本実施形態では、滅菌履歴リストL3には、滅菌開始日時171と、機器ID172と、機器回数173と、滅菌結果174と、セット名175と、コメント176とが関連付けられている。滅菌履歴リストL3には、滅菌開始日時171と、機器ID172と、機器回数173と、滅菌結果174と、セット名175と、コメント176との項目が存在する。滅菌履歴リストL3は、滅菌履歴テーブルT17の滅菌履歴情報120(
図7参照)、および、器具セット情報テーブルT11の器具セット情報80(
図4参照)から取得される。
【0111】
滅菌開始日時171は、セット名175に対応した器具セット8の滅菌が開始された日時である。滅菌開始日時171は、滅菌履歴テーブルT17の滅菌開始日時121から取得される。機器ID172は、滅菌開始日時171に開始された滅菌に対して使用された滅菌器40の機器IDである。機器回数173は、滅菌開始日時171に開始された滅菌に対して使用された滅菌器40の所定の期間内の使用回数である。機器ID172および機器回数173は、それぞれ滅菌履歴テーブルT17の使用機器ID125、および、滅菌リスト用テーブルT15の機器回数115から取得される。
【0112】
セット名175は、滅菌開始日時171に開始された滅菌の対象となる器具セット8のセット名である。滅菌結果174は、セット名175に対応した器具セット8の滅菌が適切に行われたか否かの滅菌結果である。セット名175は、滅菌履歴テーブルT17の滅菌セットID123に基づいて、器具セット情報テーブルT11のセット名82から取得される。なお、セット名175は、セットIDであってもよい。その場合、滅菌履歴リストL3のセットIDは、滅菌履歴テーブルT17の滅菌セットID123から取得される。滅菌結果174は、滅菌履歴テーブルT17の滅菌結果128から取得される。コメント176は、滅菌結果128の内容などを記すためのものである。コメント176は、滅菌履歴テーブルT17のコメント129から取得される。
【0113】
なお、コメント176は、この滅菌履歴画面DP5で登録されるものであってもよい。この場合、コメント176は、操作装置55を介して入力可能に構成されている。作業者は、操作装置55を介してコメント176に文字を入力し、図示しないOKボタンを押す。このことで、コメント176に入力された文字が、滅菌履歴テーブルT17のコメント129に登録される。
【0114】
本実施形態では、滅菌履歴画面DP5は、滅菌履歴リストL3に表示される内容を検索する検索機能を有する。具体的には、滅菌履歴画面DP5には、検索機能として、開始日入力欄181、終了日入力欄182、滅菌器入力欄183、滅菌結果入力欄184、および、検索ボタンBT41が配置されている。
【0115】
開始日入力欄181には、滅菌履歴リストL3に表示する滅菌の履歴の期間の最初の日付が入力される。終了日入力欄182には、滅菌履歴リストL3に表示する滅菌の履歴の期間の最後の日付が入力される。滅菌器入力欄183には、滅菌履歴リストL3に表示する滅菌器40が入力される。滅菌結果入力欄184には、滅菌履歴リストL3に表示する滅菌結果(例えばOKまたはNG)が入力される。なお、開始日入力欄181、終了日入力欄182、滅菌器入力欄183、および、滅菌結果入力欄184は、空欄であってもよい。
【0116】
作業者が操作装置55を介して検索ボタンBT41を押すことで、入力欄181~184の入力内容に基づいて、滅菌履歴テーブルT17から該当する情報を抽出する。そして、滅菌履歴テーブルT17から抽出された情報が滅菌履歴リストL3に表示される。
【0117】
以上、滅菌管理システム100の表示装置50に表示される画面DP1~DP5について説明した。次に、本実施形態に係る滅菌管理システム100を使用して、滅菌工程15における滅菌を行う手順について、
図13Aおよび
図13Bのフローチャートに基づいて説明する。
【0118】
まず、
図13AのステップS101では、滅菌器取得部64は、滅菌処理に使用する滅菌器40に付された機器IDを取得する。ここでは、滅菌器取得部64によって取得された滅菌器40の機器IDのことを、対象機器ID91Aという。本実施形態では、滅菌器取得部64は、作業者によって指定された滅菌器40の対象機器ID91Aを取得する。
【0119】
ステップS101において、表示装置50には、表示部63によって
図8に示す滅菌器稼働画面DP1が表示されている。作業者は、操作装置55を操作することで滅菌器稼働画面DP1に表示された複数の滅菌器40の中から、1つの滅菌器40を選択する。滅菌器取得部64は、滅菌器稼働画面DP1で選択された滅菌器40の機器ID150を対象機器ID91Aとして取得する。なお、滅菌器取得部64によって取得された対象機器ID91Aは、記憶部61に記憶される。
【0120】
次に、
図13AのステップS103では、器具セット取得部65は、滅菌の対象となる器具セット8のセットIDを取得する。ここでは、器具セット取得部65によって取得されたセットIDのことを、対象セットID81Aという。本実施形態では、器具セット取得部65は、読取装置30によって読み取られたセットIDを対象セットID81Aとして取得する。
【0121】
本実施形態では、ステップS101において、作業者が滅菌器稼働画面DP1(
図8参照)で滅菌に使用する滅菌器40を指定した後、指定された滅菌器40に対する滅菌一覧開始画面DP2(
図9参照)が表示装置50に表示される。
図13AのステップS103では、滅菌一覧開始画面DP2が表示装置50に表示されている状態で、作業者は、器具セット8に付された識別標識6(
図1参照)に読取装置30をかざし、読取装置30によって識別標識6に記録されたセットID81を読み取る。器具セット取得部65は、読取装置30によって読み取られたセットID81であって、識別標識6に記録されたセットID81を対象セットID81Aとして取得する。なお、器具セット取得部65によって取得された対象セットID81Aは、記憶部61に記憶される。
【0122】
次に、
図13AのステップS105では、第1タイプ取得部66は、対象セットID81Aに対応したセット滅菌タイプ83を、器具セット情報80(
図5参照)から取得する。ここでは、対象セットID81Aに対応したセット滅菌タイプ83を、対象セット滅菌タイプ83Aという。本実施形態では、器具セット情報80は、記憶部61に記憶された器具セット情報テーブルT11に記憶されている。そのため、第1タイプ取得部66は、器具セット情報テーブルT11に基づいて、対象セット滅菌タイプ83Aを取得する。
【0123】
具体的には、第1タイプ取得部66は、
図4に示すように、器具セット情報テーブルT11から、対象セットID81Aに対応したセットID81の行を抽出する。そして、第1タイプ取得部66は、対象セットID81Aと関連付けられたセット滅菌タイプ83を抽出し、抽出したセット滅菌タイプ83を対象セット滅菌タイプ83Aとする。なお、第1タイプ取得部66によって取得された対象セット滅菌タイプ83Aは、記憶部61に記憶される。
【0124】
次に、
図13AのステップS107では、第2タイプ取得部68は、対象機器ID91Aに対応した機器滅菌タイプ93を、滅菌器情報90(
図5参照)から取得する。ここでは、対象機器ID91Aに対応した機器滅菌タイプ93のことを、対象機器滅菌タイプ93Aという。本実施形態では、滅菌器情報90は、記憶部61に記憶された滅菌器情報テーブルT13(
図5参照)に記憶されている。そのため、第2タイプ取得部68は、滅菌器情報テーブルT13に基づいて、対象機器滅菌タイプ93Aを取得する。
【0125】
具体的には、第2タイプ取得部68は、滅菌器情報テーブルT13から、対象機器ID91Aに対応した機器ID91の行を抽出する。そして、第2タイプ取得部68は、対象機器ID91Aと関連付けられた機器滅菌タイプ93を抽出し、抽出した機器滅菌タイプ93を対象機器滅菌タイプ93Aとする。なお、第2タイプ取得部68によって取得された対象機器滅菌タイプ93Aは、記憶部61に記憶される。
【0126】
次に、ステップS109では、第1判定部71は、対象セット滅菌タイプ83Aと、対象機器滅菌タイプ93Aとが同じであるか否かを判定する。ここでは、ステップS105において取得された対象セット滅菌タイプ83Aと、ステップS107において取得された対象機器滅菌タイプ93Aとが同じであるか否かが判定される。ここで、対象セット滅菌タイプ83Aと、対象機器滅菌タイプ93Aとが同じである場合、判定結果をYESとして、次に、ステップS110に進む。
【0127】
ステップS110では、滅菌リスト追加部70は、例えば
図6に示す滅菌リスト用テーブルT15の滅菌リスト情報110に、対象セットID81Aに対応した器具セット8に関する情報を追加する。ここでは、
図9に示す機器ID161と、機器回数162と、対象セットID81Aとが関連した状態で、滅菌リスト情報110に追加される。このように、滅菌リスト情報110に追加されることで、滅菌一覧開始画面DP2の滅菌リストL2に対して、対象セットID81Aに対応した器具セット8が追加される。対象セットID81Aに対応した器具セット8は、機器ID161に対応した滅菌器40で滅菌を行うように管理される。
【0128】
一方、
図13AのステップS109において、第1判定部71によって、対象セット滅菌タイプ83Aと、対象機器滅菌タイプ93Aとが同じではないと判定された場合、判定結果をNOとして、次にステップS111に進む。
【0129】
図14は、滅菌タイプ相違アラートA10の一例を示す図である。ステップS111では、第1アラート通知部73は、
図14に示すような滅菌タイプ相違アラートA10を通知する。ここで、滅菌タイプ相違アラートA10は、対象セットID81Aに対応した器具セット8の滅菌タイプと、対象機器ID91Aに対応した滅菌器40の滅菌タイプとが異なることを作業者に通知するアラートである。
【0130】
本実施形態では、第1アラート通知部73は、滅菌タイプ相違アラートA10が表示された第1アラートメッセージ画面DP61を表示装置50に表示する。本実施形態では、第1アラートメッセージ画面DP61は、例えば滅菌一覧開始画面DP2(
図9参照)に上から重なるように表示される。しかしながら、滅菌一覧開始画面DP2を非表示にした後で、アラートメッセージ画面DP61を表示装置50に表示してもよい。第1アラート通知部73によって滅菌タイプ相違アラートA10が通知された後、
図13BのステップS113に進む。
【0131】
なお、第1アラート通知部73が、滅菌タイプが異なる旨のアラートを通知する方法は、アラートメッセージ画面DP61に限定されない。第1アラート通知部73は、例えば滅菌タイプ相違アラートA10を、滅菌一覧開始画面DP2に直接表示するものであってもよい。
【0132】
本実施形態では、
図14に示すように、アラートメッセージ画面DP61には、YESボタンBT51と、NOボタンBT52が配置されている。YESボタンBT51は、対象セットID81Aに対応した器具セット8を除外滅菌タイプで滅菌することを許可するボタンである。一方、NOボタンBT52は、対象セットID81Aに対応した器具セット8を除外滅菌タイプで滅菌することを許可しないボタンである。
【0133】
ここでは、
図13BのステップS113において、作業者が操作装置55を介してYESボタンBT51を押したか否かが判定される。ここで、作業者が操作装置55を介してYESボタンBT51を押していない、すなわちNOボタンBT52を押したと判定されたとき、ステップS113の判定結果をNOとして、次にステップS114に進む。
【0134】
ステップS114では、滅菌リスト追加部70は、滅菌リスト用テーブルT15の滅菌リスト情報110に対象セットID81Aに対応した器具セット8に関する情報を追加しない。言い換えると、滅菌リスト追加部70は、
図9に示す滅菌リストL2に対象セットID81Aに対応した器具セット8を追加しない。すなわち、対象セットID81Aに対応した器具セット8は、対象機器ID91Aに対応した滅菌器40で滅菌は行わないように管理される。
【0135】
一方、ステップS113において、作業者が操作装置55を介してYESボタンBT51を押したとき、ステップS113の判定結果をYESとして、次にステップS115に進む。ステップS115では、カウント部75は、対象セットID81Aに対応した器具セット8が、対象セット滅菌タイプ83A以外の滅菌タイプで滅菌された回数をカウントする。ここで、対象セット滅菌タイプ83A以外の滅菌タイプとは、上述の除外滅菌タイプのことである。例えば対象セット滅菌タイプ83AがAC滅菌である場合、除外滅菌タイプは、EOG滅菌またはPL滅菌である。カウント部75は、対象セットID81Aに対応した器具セット8が、除外滅菌タイプで滅菌された回数をカウントする。ここでは、除外滅菌タイプで滅菌された回数のことを、除外滅菌回数という。
【0136】
次に、ステップS117では、上限回数取得部76は、対象セットID81Aに対応した上限滅菌回数87を取得する。ここでは、対象セットID81Aに対応した上限滅菌回数87のことを、対象上限滅菌回数87Aという。上限回数取得部76は、
図4に示す器具セット情報テーブルT11の器具セット情報80に基づいて、対象上限滅菌回数87Aを取得する。詳しくは、上限回数取得部76は、まず器具セット情報テーブルT11から、対象セットID81Aに対応したセットID81の行を抽出する。そして、上限回数取得部76は、対象セットID81Aと関連付けられた上限滅菌回数87を抽出し、抽出した上限滅菌回数87を対象上限滅菌回数87Aとする。なお、上限回数取得部76によって取得された対象上限滅菌回数87Aは、記憶部61に記憶される。
【0137】
次に、ステップS119では、第2判定部78は、カウント部75によってカウントされた除外滅菌回数が、対象上限滅菌回数87A以上であるか否かを判定する。ステップS119において、第2判定部78によって除外滅菌回数が対象上限滅菌回数87A以上であると判定されたとき、判定結果をYESとして、次にステップS121に進む。
【0138】
図15は、上限回数オーバーアラートA11の一例を示す図である。ステップS121では、第2アラート通知部79は、
図15に示すように、上限回数オーバーアラートA11を通知する。ここで、上限回数オーバーアラートA11は、対象セットID81Aに対応した器具セット8を除外滅菌タイプで滅菌することができないことを作業者に知らせるアラートである。
【0139】
本実施形態では、第2アラート通知部79は、上限回数オーバーアラートA11が表示された第2アラートメッセージ画面DP62を表示装置50に表示する。本実施形態では、第2アラートメッセージ画面DP62は、例えば滅菌一覧開始画面DP2(
図9参照)に上から重なるように表示される。しかしながら、滅菌一覧開始画面DP2を非表示にした後で、第2アラートメッセージ画面DP62を表示装置50に表示してもよい。
【0140】
本実施形態では、第2アラートメッセージ画面DP62には、YESボタンBT61が配置されている。作業者は、操作装置55を介してYESボタンBT61を押すことで、第2アラートメッセージ画面DP62が非表示になる。
【0141】
このように、除外滅菌回数が対象上限滅菌回数87A以上であるとき、対象セットID81Aに対応した器具セット8を、除外滅菌タイプで滅菌することはできない。この場合、ステップS123では、滅菌リスト追加部70は、滅菌リスト用テーブルT15の滅菌リスト情報110に対象セットID81Aに対応した器具セット8に関する情報を追加しない。言い換えると、滅菌リスト追加部70は、
図9に示す滅菌リストL2に対象セットID81Aに対応した器具セット8を追加しない。すなわち、対象セットID81Aに対応した器具セット8は、対象機器ID91Aに対応した滅菌器40で滅菌は行わないように管理される。
【0142】
ステップS119において、第2判定部78によって除外滅菌回数が対象上限滅菌回数87A未満であると判定されたとき、判定結果をNOとして、次にステップS125に進む。ステップS125では、滅菌リスト追加部70は、例えば
図6に示す滅菌リスト用テーブルT15の滅菌リスト情報110に、対象セットID81Aに対応した器具セット8に関する情報を追加する。ここでは、
図9に示す機器ID161と、機器回数162と、対象セットID81Aとが関連した状態で、滅菌リスト情報110に追加される。このように、滅菌リスト情報110に追加されることで、滅菌一覧開始画面DP2の滅菌リストL2に対して、対象セットID81Aに対応した器具セット8が追加される。対象セットID81Aに対応した器具セット8は、機器ID161に対応した滅菌器40で滅菌を行うように管理される。
【0143】
本実施形態では、ステップS103~ステップS125の処理は、繰り返し行うことが可能である。そのため、
図9に示す滅菌リストL2には、複数の器具セット8を追加することが可能である。言い換えると、滅菌器40は、複数の器具セット8をまとめて滅菌することが可能である。ここでは、
図9に示す滅菌リストL2に示された器具セット8がまとめて滅菌される。
【0144】
本実施形態では、作業者が操作装置55を介して、滅菌一覧開始画面DP2の開始ボタンBT11(
図9参照)を押すことで、滅菌一覧開始画面DP2に示されている機器ID161に対応した滅菌器40が作動し、滅菌リストL2に示された器具セット8に対して滅菌が行われていることが管理される。このとき、滅菌一覧開始画面DP2などの滅菌開始日時164には、開始ボタンBT11が押されたときの日時が表示される。
【0145】
ここでは、開始ボタンBT11が押されると、滅菌履歴情報120の滅菌セットID123、および、使用機器ID125に、それぞれ対象セットID81A、および、対象機器ID91Aを関連付けて記録し、滅菌開始日時121に、開始ボタンBT11が操作された日時を関連付けて記録する。なお、本実施形態では、ステップS103~ステップS125の処理が繰り返し行われることで、対象セットID81Aが複数存在することがあり得る。そのため、滅菌リストL2(言い換えると滅菌リスト情報110)に追加された数の器具セット8の対象セットID81Aに対する情報が、滅菌履歴情報120に記録される。開始ボタンBT11が押されると、滅菌一覧開始画面DP2が、
図10に示す滅菌一覧終了画面DP3に切り替わる。
【0146】
機器ID161に対応した滅菌器40による滅菌が終了したときには、作業者は、操作装置55を介して終了ボタンBT21(
図10参照)を押す。終了ボタンBT21が押されることで、滅菌一覧終了画面DP3に示されている機器ID161に対応した滅菌器40が停止し、滅菌リストL2に示された器具セット8に対する滅菌が終了したと管理される。このときに、滅菌一覧終了画面DP3などの滅菌終了日時165には、終了ボタンBT21が押されたときの日時が表示される。そして、滅菌履歴情報120の滅菌終了日時122(
図7参照)に、終了ボタンBT21が操作された日時が関連付けて記録される。なお、終了ボタンBT21が押されると、滅菌一覧終了画面DP3が、
図11に示す滅菌一覧判定画面DP4に切り替わる。
【0147】
このように、滅菌リストL2内の器具セット8の滅菌が終了した後、作業者は、器具セット8の滅菌が適切に行われたか否かを判定する。ここで、器具セット8には、インジケータが収容されている。このインジケータは、従来公知のインジケータであり、例えば滅菌が適切に行われたことで色が変化するものである。作業者は、器具セット8ごとにインジケータを確認することで、器具セット8の滅菌が適切に行われたか否かを判断することができる。
【0148】
ここで、滅菌リストL2内の全ての器具セット8に対して滅菌が適切に行われたときには、作業者は操作装置55を介して、滅菌器異常選択ボタンBT32および器具セット異常選択ボタンBT33を選択せずに、判定ボタンBT31を押す。このことで、滅菌リストL2内の全ての器具セット8は、適切に滅菌が行われたと管理される。この場合、滅菌リストL2内の全ての器具セット8に対する対象滅菌結果を滅菌正常として、滅菌履歴情報120の滅菌結果128に関連付けて記録される。言い換えると、滅菌リストL2内の全ての器具セット8に対応した対象セットID81A(言い換えると、滅菌セットID123)の滅菌結果128に、滅菌正常を示すOKが記録される。
【0149】
本実施形態では、仮に、滅菌器40自体に異常が発生し、滅菌リストL2内の全ての器具セット8に対して適切に滅菌が行われなかったとき、作業者は、まず操作装置55を介して滅菌器異常選択ボタンBT32を選択する。その後、作業者は、操作装置55を介して判定ボタンBT31を押す。このことで、滅菌リストL2内の全ての器具セット8は、適切に滅菌が行われなかったと管理される。この場合、滅菌リストL2内の全ての器具セット8に対する対象滅菌結果を滅菌異常として、滅菌履歴情報120の滅菌結果128に関連付けて記録される。言い換えると、滅菌リストL2内の全ての器具セット8に対応した対象セットID81A(言い換えると、滅菌セットID123)の滅菌結果128に、滅菌異常を示すNGが記録される。
【0150】
滅菌リストL2内の器具セット8のうち、一部の器具セット8で滅菌が適切に行われていなかったとき、作業者は、まず操作装置55を介して器具セット異常選択ボタンBT33を選択する。その後、作業者は、操作装置55を介して滅菌リストL2から、滅菌が適切に行われなかった器具セット8を選択する。この器具セット8の選択は、複数の選択が可能である。その後、作業者は、操作装置55を介して判定ボタンBT31を押す。
【0151】
このことで、滅菌リストL2内の器具セット8のうち、作業者に選択された器具セット8は、適切に滅菌が行われなかったと管理される。一方、滅菌リストL2内の器具セット8のうち、作業者に選択されなかった器具セット8は、適切に滅菌が行われたと管理される。このとき、滅菌リストL2内の器具セット8のうち、作業者に選択された器具セット8に対する対象滅菌結果を滅菌異常として、滅菌履歴情報120の滅菌結果128に関連付けて記録される。言い換えると、滅菌リストL2内の作業者に選択された器具セット8に対応した対象セットID81A(言い換えると、滅菌セットID123)の滅菌結果128に、滅菌異常を示すNGが記録される。一方、滅菌リストL2内の器具セット8のうち、作業者に選択されたなかった器具セット8に対する対象滅菌結果を滅菌正常として、滅菌履歴情報120の滅菌結果128に関連付けて記録される。言い換えると、滅菌リストL2内の作業者に選択されなかった器具セット8に対応した対象セットID81A(言い換えると、滅菌セットID123)の滅菌結果128に、滅菌正常を示すOKが記録される。このように、対象セットID81Aに対応した器具セット8に対する滅菌の結果が、滅菌履歴情報120に記録されることで、滅菌工程15における一連の処理が終了する。
【0152】
以上、本実施形態では、滅菌管理装置60は、
図3に示すように、メモリー60aと、少なくとも1つのプロセッサ60bと、を備えている。メモリー60aは、器具セット情報80(
図4参照)と、滅菌器情報90(
図5参照)とを記憶している。
図4に示すように、器具セット情報80は、1つまたは複数の医療器具5をまとめた器具セット8に付されたセットID81と、セットID81に対応した器具セット8に対して滅菌を行う際の滅菌タイプであるセット滅菌タイプ83とが関連付けられている。
図5に示すように、滅菌器情報90は、滅菌器40に付された機器ID91と、機器ID91に対応した滅菌器40で滅菌可能な滅菌タイプである機器滅菌タイプ93とが関連付けられている。
【0153】
少なくとも1つのプロセッサ60bは、器具セット取得処理と、滅菌器取得処理と、第1タイプ取得処理と、第2タイプ取得処理と、第1判定処理と、を実行可能に構成されている。器具セット取得処理は、器具セット取得部65によって実行される。器具セット取得処理では、作業者に指定された器具セット8に付された対象セットID81Aを取得する。滅菌器取得処理は、滅菌器取得部64によって実行される。滅菌器取得処理では、作業者に指定された滅菌器40に付された対象機器ID91Aを取得する。第1タイプ取得処理は、第1タイプ取得部66によって実行される。第1タイプ取得処理では、対象セットID81Aに対応した対象セット滅菌タイプ83Aを、器具セット情報80に基づいてセット滅菌タイプ83から取得する。第2タイプ取得処理は、第2タイプ取得部68によって実行される。第2タイプ取得処理では、対象機器ID91Aに対応した対象機器滅菌タイプ93Aを、滅菌器情報90に基づいて機器滅菌タイプ93から取得する。第1判定処理は、第1判定部71によって実行される。第1判定処理では、対象セット滅菌タイプ83Aと、対象機器滅菌タイプ93Aとが同じであるか否かを判定する。
【0154】
本実施形態では、例えば器具セット8に対する適切な滅菌タイプがセット滅菌タイプ83として器具セット情報80(
図4参照)に記憶され、滅菌器40が使用可能な滅菌タイプが機器滅菌タイプ93として滅菌器情報90(
図5参照)に記憶されている。そのため、例えば作業者によって指定された器具セット8の対象セットID81Aを取得した後、器具セット情報80に基づいて、器具セット情報80のセット滅菌タイプ83から対象セット滅菌タイプ83Aを取得することができる。また、例えば作業者によって指定された滅菌器40の対象機器ID91Aを取得した後、滅菌器情報90に基づいて、滅菌器情報90の機器滅菌タイプ93から対象機器滅菌タイプ93Aを取得することができる。ここで、対象セット滅菌タイプ83Aと、対象機器滅菌タイプ93Aとが異なることは、対象セットID81Aに対応した器具セット8に対して最適な滅菌タイプで滅菌が行われないことを意味する。よって、作業者は、第1判定処理で対象セット滅菌タイプ83Aと対象機器滅菌タイプ93Aとが異なると判定された場合、滅菌処理が開始される前に、滅菌器40を選択し直すことができる。したがって、滅菌管理装置60は、器具セット8に含まれる医療器具5に対して滅菌処理を行う際、最適な滅菌タイプで滅菌を行うように管理することができる。
【0155】
本実施形態では、少なくとも1つのプロセッサ60bは、第1判定処理で対象セット滅菌タイプ83Aと対象機器滅菌タイプ93Aとが同じでないと判定されたとき、滅菌タイプ相違アラートA10(
図14参照)を通知する第1アラート通知処理を実行可能に構成されている。この第1アラート通知処理は、第1アラート通知部73によって実行される。このことによって、滅菌タイプ相違アラートA10が通知されることで、作業者は、滅菌処理の対象となる器具セット8を最適な滅菌タイプで滅菌することができないことを、滅菌開始前に知り易い。
【0156】
本実施形態では、第1アラート通知処理では、滅菌タイプ相違アラートA10のメッセージが示された第1アラートメッセージ画面DP61(
図14参照)を表示装置50に表示する。このことによって、作業者は、表示装置50を目視することで、滅菌タイプ相違アラートA10を知り易い。
【0157】
本実施形態では、メモリー60aは、器具セット情報80が記憶された器具セット情報テーブルT11(
図4参照)を記憶している。また、メモリー60aは、滅菌器情報90が記憶された滅菌器情報テーブルT13(
図5参照)を記憶している。このことによって、器具セット情報80および滅菌器情報90は、データベースのテーブルで管理されているため、情報の追加、削除、変更を容易に行うことができる。
【0158】
本実施形態では、除外滅菌タイプとは、セット滅菌タイプ83を除いた滅菌タイプの種類の総称である。器具セット8は、除外滅菌タイプで滅菌することが可能に構成されている。
図4に示すように、器具セット情報80には、セットID81と、セットID81に対応した器具セット8を除外滅菌タイプで滅菌することが可能な上限滅菌回数87とが関連付けて記憶されている。少なくとも1つのプロセッサ60bは、カウント処理と、上限回数取得処理と、第2判定処理と、第2アラート通知処理を実行可能に構成されている。カウント処理は、カウント部75によって実行される。カウント処理では、対象セットID81Aに対応した器具セット8が除外滅菌タイプで実際に滅菌された回数である除外滅菌回数をカウントする。上限回数取得処理は、上限回数取得部76によって実行される。上限回数取得処理では、対象セットID81Aに対応した対象上限滅菌回数87Aを、器具セット情報80に基づいて、上限滅菌回数87から取得する。第2判定処理は、第2判定部78によって実行される。第2判定処理では、除外滅菌回数が対象上限滅菌回数87A以上であるか否かを判定する。第2アラート通知処理は、第2アラート通知部79によって実行される。第2アラート通知処理では、第2判定処理で除外滅菌回数が対象上限滅菌回数87A以上であると判定されたとき、上限回数オーバーアラートA11(
図15参照)を通知する。
【0159】
例えば
図2の手術・診察工程11において、緊急に手術が行われることがあり得る。この場合、緊急手術で使用される医療器具5を含む器具セット8を急いで滅菌処理したいことがあり得る。この場合、器具セット8に対して最適な滅菌タイプで滅菌できればよいが、除外滅菌タイプでしか急いで滅菌できないこともあり得る。本実施形態では、器具セット8を除外滅菌タイプで滅菌することは可能である。しかしながら、除外滅菌タイプは、最適な滅菌タイプではないため、除外滅菌タイプで滅菌することで器具セット8に含まれる医療器具5が劣化することがあり得る。そのため、本実施形態では、各器具セット8に対して上限滅菌回数87が設定されている。よって、対象セットID81Aに対応した器具セット8に対して除外滅菌タイプで滅菌しようとする際に、器具セット8の除外滅菌回数が対象上限滅菌回数87A以上であるときは、上限回数オーバーアラートA11が通知される。したがって、作業者は、上限回数オーバーアラートA11が通知されることで、滅菌しようとする器具セット8を除外滅菌タイプで滅菌することはよくないことを、滅菌開始前に知ることができる。
【0160】
本実施形態では、第1アラートメッセージ画面DP61には、第1ボタンの一例であるYESボタンBT51と、第2ボタンの一例であるNOボタンBT52とが設けられている。滅菌リスト追加処理では、操作装置55を介してYESボタンBT51が選択されたとき、対象セットID81Aに対応した器具セット8を滅菌リストL2に追加する。また、滅菌リスト追加処理では、操作装置55を介してNOボタンBT52が選択されたとき、対象セットID81Aに対応した器具セット8を滅菌リストL2に追加しない。このように、第1判定処理で対象セット滅菌タイプ83Aと対象機器滅菌タイプ93Aとが同じでないと判定されたときには、対象セットID81Aに対応した器具セット8を、除外滅菌タイプで滅菌するか否かを、作業者に選択させることができる。よって、滅菌管理装置60は、緊急手術が発生するなどの状況に応じた管理を行うことができる。
【0161】
本実施形態では、
図7に示すように、滅菌が行われた器具セット8のセットID81を滅菌セットID123とし、滅菌セットID123に対応した器具セット8を滅菌したときの滅菌タイプを使用滅菌タイプ126とする。メモリー60aは、滅菌セットID123と、使用滅菌タイプ126とが少なくとも関連付けられた滅菌履歴情報120を記憶している。カウント処理では、滅菌履歴情報120に基づいて、除外滅菌回数をカウントする。滅菌履歴情報120は、滅菌管理装置60で管理対象となっている滅菌器40で滅菌されたときの滅菌処理の履歴に関する情報である。滅菌履歴情報120は、除外滅菌タイプで滅菌された器具セット8の情報が記憶されている。そのため、滅菌履歴情報120に基づいて各器具セット8の除外滅菌回数をカウントすることで、除外滅菌回数を正確にカウントし易い。
【0162】
本実施形態では、メモリー60aは、滅菌履歴情報120が記憶された滅菌履歴テーブルT17(
図7参照)を記憶している。このことによって、滅菌履歴情報120は、データベースのテーブルで管理されているため、情報の追加、削除、変更を容易に行うことができる。
【0163】
本実施形態では、滅菌管理システム100は、
図1に示すように、滅菌管理装置60と、対象セットID81Aを読み取る読取装置30とを備えている。器具セット8には、対象セットID81A(ここではセットID81)が記録された識別標識6が付されている。器具セット取得処理では、識別標識6に記録された対象セットID81Aを読取装置30で読み取ることで、対象セットID81Aを取得する。作業者は、滅菌処理を行いたい器具セット8の識別標識6を読取装置30で読み取るという簡単な方法で、滅菌管理装置60は、対象セットID81Aを取得することができる。
【0164】
本実施形態では、滅菌管理装置60の少なくとも1つのプロセッサ60bは、滅菌管理装置60によって管理される滅菌器40を、操作装置55を介して選択可能に示す滅菌器稼働画面DP1(
図9参照)を、表示装置50に表示する表示処理を実行可能に構成されている。この滅菌器稼働画面DP1は、滅菌器選択画面の一例である。表示処理は、表示部63によって実行される。滅菌器取得処理では、表示装置50に表示された滅菌器稼働画面DP1から選択された滅菌器40に対応した対象機器ID91Aを取得する。このように、作業者が操作装置55を介して滅菌器稼働画面DP1から滅菌器40を選択するという簡単な方法で、滅菌管理装置60は、使用する滅菌器40の対象機器ID91Aを取得することができる。
【0165】
本実施形態の表示処理では、対象機器ID91Aに対応した滅菌器40で滅菌が行われる器具セット8の滅菌リストL2が配置された滅菌一覧開始画面DP2を表示装置50に表示する。この滅菌一覧開始画面DP2は、滅菌一覧画面の一例である。滅菌管理装置60の少なくとも1つのプロセッサ60bは、第1判定処理で対象セット滅菌タイプ83Aと対象機器滅菌タイプ93Aとが同じであると判定されたとき、滅菌リストL2に対象セットID81Aに対応した器具セット8を追加する滅菌リスト追加処理を実行可能に構成されている。滅菌リスト追加処理は、滅菌リスト追加部70によって実行される。このことによって、対象セット滅菌タイプ83Aと対象機器滅菌タイプ93Aとが同じである場合の対象セットID81Aに対応した器具セット8は、適切な滅菌タイプで滅菌することが可能なセットである。そのため、適切な滅菌タイプで滅菌することが可能な器具セット8を、自動で滅菌リストL2に追加することができる。そのため、滅菌処理をまとめて行う器具セット8を管理し易い。
【0166】
本実施形態では、滅菌器40によって滅菌された器具セット8の滅菌の結果を入力し、滅菌の結果を管理する際に、滅菌リストL2内の器具セット8のうち、一部の器具セット8で滅菌が適切に行われていないときに、作業者は、器具セット異常選択ボタンBT33が選択された状態で、操作装置55を介して、滅菌リストL2から滅菌が適切に行われたかった器具セット8を選択していた。しかしながら、滅菌が適切に行われなかった器具セット8を選択する際、操作装置55を使用せずに、読取装置30を使用してもよい。この場合、作業者は、滅菌一覧判定画面DP4が表示装置50に表示された状態で、滅菌が適切に行われなかった器具セット8に付された識別標識6に記録されたセットID81(詳しくは、対象セットID81A)を、読取装置30を使用して読み取る。そして、読取装置30によって読み取られた対象セットID81Aに対応した器具セット8を、滅菌が適切に行われなかった器具セット8として選択する。この場合、読取装置30によって読み取られた対象セットID81Aに対応した器具セット8を、滅菌リストL2内において選択した状態とする。この場合であっても、器具セット異常選択ボタンBT33が選択された状態で、判定ボタンBT31を押すことで、読取装置30によって読み取られた対象セットID81Aを滅菌セットID123とし、滅菌セットID123の滅菌結果128に滅菌異常を示すNGを記録することができる。
【符号の説明】
【0167】
5 医療器具
6 識別標識
8 器具セット
30 読取装置
40 滅菌器
50 表示装置
55 操作装置
60 滅菌管理装置(医療器具の滅菌管理装置)
60a メモリー
60b プロセッサ(少なくとも1つのプロセッサ)
80 器具セット情報
81A 対象セットID
83A 対象セット滅菌タイプ
90 滅菌器情報
91 対象機器ID
93A 対象機器滅菌タイプ
100 滅菌管理システム