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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-08
(45)【発行日】2024-03-18
(54)【発明の名称】表示領域を含む透明層状エレメント
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/02 20060101AFI20240311BHJP
   B32B 7/023 20190101ALI20240311BHJP
   G03B 21/62 20140101ALI20240311BHJP
【FI】
G02B5/02 B
B32B7/023
G03B21/62
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2019531428
(86)(22)【出願日】2017-12-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-01-23
(86)【国際出願番号】 FR2017053538
(87)【国際公開番号】W WO2018109375
(87)【国際公開日】2018-06-21
【審査請求日】2020-11-13
【審判番号】
【審判請求日】2023-01-20
(31)【優先権主張番号】1662388
(32)【優先日】2016-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】500374146
【氏名又は名称】サン-ゴバン グラス フランス
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(72)【発明者】
【氏名】ミシェル シアボニ
(72)【発明者】
【氏名】セシール オザナム
(72)【発明者】
【氏名】パトリック ガイウー
【合議体】
【審判長】神谷 健一
【審判官】大▲瀬▼ 裕久
【審判官】河原 正
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-509963(JP,A)
【文献】特開昭64-90827(JP,A)
【文献】特開平4-50032(JP,A)
【文献】米国特許第5453339(US,A)
【文献】特開平2-273702(JP,A)
【文献】特表2016-534897(JP,A)
【文献】特表2015-524079(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B5/00-5/136,B32B1/00-43/00,G02B27/01,B60K35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
屈折率(n2、n4)の絶対値の差が0.15以下であっておのおのが平滑な外側主表面(2A、4A)を有する2つの透明外側層(2、4)を含む透明層状エレメント(10、10、10、10、10、10)であり、
・前記外側層(2、4)の間に挿入されている構造化中央層(3E)であって、互いに平行で二乗平均傾斜Rdqが厳密に0.2°より大きい構造化した接触表面を画定している中央層(3E)を含む、拡散反射及び正透過の特性を持つスクリーンゾーン(ZE)であって、前記スクリーンゾーンの前記中央層(3E)が、前記外側層の屈折率と異なる屈折率(n3E)を有する少なくとも1つの透明層又は金属性層を含んでいる、スクリーンゾーン(ZE)、及び
・正反射及び正透過の特性を持つ周辺ゾーン(ZP)、
を含む層状エレメントであって、
前記層状エレメントは、前記スクリーンゾーン(ZE)と前記周辺ゾーン(ZP)との間に、拡散反射及び正透過の特性を持つ遷移ゾーン(ZT)を含んでおり、前記遷移ゾーンが、前記外側層(2、4)の間に挿入されている構造化中央層(3T)であって、互いに平行で二乗平均傾斜Rdqが厳密に0.2°より大きい構造化した接触表面を画定している中央層(3T)を含んでおり、前記遷移ゾーンの前記中央層(3T)が、前記外側層の屈折率と異なる屈折率(n3T)を有する少なくとも1つの透明層又は金属性層を含んでいること、及び
前記遷移ゾーンの任意の箇所における拡散光反射率(RLdiff(ZT))が、前記スクリーンゾーンの任意の箇所における拡散光反射率(RLdiff(ZE))以下であり、且つ、前記スクリーンゾーンを前記周辺ゾーンにつないでいるいずれの方向においても、前記スクリーンゾーンから前記周辺ゾーンに至るまでの前記遷移ゾーンにおける拡散光反射率(RLdiff(ZT))の変化が、減少しているか、又は、前記遷移ゾーンと前記スクリーンゾーンとの結合部における拡散光反射率の値を通り、且つ前記遷移ゾーンにおける前記拡散光反射率(RLdiff(ZT))の変化の各極大値を通る曲線が、下方に降下しているようなものであり、前記遷移ゾーンにおける拡散光反射率(RLdiff(ZT))の変化の前記減少、又は前記遷移ゾーンにおける拡散光反射率(RLdiff(ZT))の変化の各極大値を通る曲線の前記降下が、前記スクリーンゾーン(ZE)を前記周辺ゾーン(ZP)につないでいるいずれの方向でも、前記遷移ゾーン(ZT)の前記中央層(3T)の二乗平均傾斜(Rdq(ZT))を少なくとも変えることにより得られていること、
を特徴とする、透明層状エレメント(10、10、10、10、10、10)。
【請求項2】
前記スクリーンゾーン(ZE)を前記周辺ゾーン(ZP)につないでいるいずれの方向でも、前記遷移ゾーン(ZT)における拡散光反射率(RLdiff(ZT))の変化が、(20%)RL(ZE)/mm以下(ここでのRL(ZE)は前記スクリーンゾーンの平均全光反射率である)であることを特徴とする、請求項1に記載の層状エレメント。
【請求項3】
前記スクリーンゾーンを前記周辺ゾーンにつないでいるいずれの方向でも、前記スクリーンゾーン(ZE)から前記周辺ゾーン(ZP)に至るまでの前記遷移ゾーン(ZT)における拡散光反射率(RLdiff(ZT))の変化が、前記遷移ゾーンの前記スクリーンゾーンとの結合部における拡散光反射率の値を通り、且つ前記遷移ゾーンにおける拡散光反射率(RLdiff(ZT))の変化の各極小値を通る曲線が、下方に降下するようなものであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の層状エレメント。
【請求項4】
前記遷移ゾーン(ZT)における拡散光反射率(RLdiff(ZT))の変化が、前記スクリーンゾーンを前記周辺ゾーンにつないでいるいずれの方向でも、前記スクリーンゾーン(ZE)から前記周辺ゾーン(ZP)に至るまで連続的に減少していることを特徴とする、請求項1又は2に記載の層状エレメント。
【請求項5】
少なくとも1つの段であって、前記段の任意の箇所における拡散光反射率が前記スクリーンゾーン及び前記スクリーンゾーンに近い方の任意の先行の段の任意の箇所における拡散光反射率よりも厳密に小さい、少なくとも1つの段によって、前記スクリーンゾーンを前記周辺ゾーンにつないでいるいずれの方向でも、前記遷移ゾーン(ZT)における拡散光反射率(RLdiff(ZT))の変化が、前記スクリーンゾーン(ZE)から前記周辺ゾーン(ZP)まで減少していることを特徴とする、請求項1又は2に記載の層状エレメント。
【請求項6】
前記スクリーンゾーン(ZE)を前記周辺ゾーン(ZP)につないでいるいずれの方向においても、前記遷移ゾーン(ZT)が、前記スクリーンゾーンから前記周辺ゾーンに達する少なくとも2つの一連の領域(R0、R1、R2)を含んでおり、各領域が、前記スクリーンゾーンに近い方の第1の部分(R10、R11、R12)と、前記周辺ゾーンに近い方の第2の部分(R20、R21、R22)とを含む2つの部分を組み合わせることよって形成されていて、前記第1の部分の平均拡散光反射率が前記第2の部分の平均拡散光反射率よりも厳密に小さく、前記一連の領域(R0、R1、R2;R’0、R’1)において、前記周辺ゾーンに接近するにつれて前記第1の部分の配分がより多くなっていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の層状エレメント。
【請求項7】
前記スクリーンゾーン(ZE)を前記周辺ゾーン(ZP)につないでいるいずれの方向でも、前記遷移ゾーン(ZT)の透過におけるぼやけ(曇り度T(ZT))の変化が0.7%/mm以下であることを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載の層状エレメント。
【請求項8】
前記スクリーンゾーン(ZE)を前記周辺ゾーン(ZP)につないでいるいずれの方向でも、前記遷移ゾーン(ZT)の透明度(C(ZT))の変化が0.5%/mm以下であることを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載の層状エレメント。
【請求項9】
前記遷移ゾーン(ZT)の前記中央層(3T)の全光反射率(RL(ZT))が、一定であって且つ前記スクリーンゾーン(ZE)の前記中央層(3E)の対応するパラメータに等しいことを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載の層状エレメント。
【請求項10】
前記スクリーンゾーン(ZE)を前記周辺ゾーン(ZP)につないでいるいずれの方向でも、前記遷移ゾーン(ZT)の前記中央層(3T)の二乗平均傾斜(Rdq(ZT))の変化が、3.5°/mm以下であることを特徴とする、請求項1~9のいずれか1項に記載の層状エレメント。
【請求項11】
前記スクリーンゾーン(ZE)を前記周辺ゾーン(ZP)につないでいるいずれの方向でも、前記遷移ゾーン(ZT)の前記中央層(3T)の全光反射率(RL(ZT))の変化が(20%)RL(ZE)/mm以下である(ここでのRL(ZE)は前記スクリーンゾーンの平均全光反射率である)ことを特徴とする、請求項1~10のいずれか1項に記載の層状エレメント。
【請求項12】
前記遷移ゾーン(ZT)の前記中央層(3T)が、前記スクリーンゾーン(ZE)の前記中央層(3E)の屈折率(n3E)に等しい屈折率(n3T)を有しており、前記遷移ゾーン(ZT)の前記中央層(3T)の全光反射率(RL(ZT))の変化が、前記スクリーンゾーンから前記周辺ゾーンに至るまでの前記中央層(3T)の厚さ(e3T)の減少によって、前記スクリーンゾーンを前記周辺ゾーンにつないでいるいずれの方向においても、前記スクリーンゾーン(ZE)から前記周辺ゾーン(ZP)に至るまで減少していることを特徴とする、請求項1~11のいずれか1項に記載の層状エレメント。
【請求項13】
前記遷移ゾーン(ZT)の前記中央層(3T)が、前記スクリーンゾーン(ZE)の前記中央層(3E)の厚さ(e3E)に等しい厚さ(e3T)を有しており、前記遷移ゾーン(ZT)の前記中央層(3T)の全光反射率(RL(ZT))の変化が、前記スクリーンゾーンから前記周辺ゾーンに至るまでの前記中央層(3T)の屈折率(n3T)の変化によって、前記スクリーンゾーンを前記周辺ゾーンにつないでいるいずれの方向においても、前記スクリーンゾーン(ZE)から前記周辺ゾーン(ZP)に至るまで減少していることを特徴とする、請求項1~11のいずれか1項に記載の層状エレメント。
【請求項14】
前記層状エレメント(10、10、10、10、10、10)が可撓性フィルムであることを特徴とする、請求項1~13のいずれか1項に記載の層状エレメント。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか1項に記載の層状エレメント(10、10、10、10、10、10)を含む透明グレージング(1)。
【請求項16】
前記層状エレメントに接して配置されている少なくとも1つの追加の層を更に含むことを特徴とする、請求項15に記載の透明グレージング
【請求項17】
空気と、前記スクリーンゾーン(ZE)へ映像を投影する際に投映機と向かい合う予定の前記グレージングの外側主要面を形成している層を構成している材料との界面に、少なくとも1つの反射防止コーティング(7)を含むことを特徴とする、請求項15又は16に記載の透明グレージング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の技術分野は、投映スクリーン又は背面投映スクリーンとして働くことができる少なくとも1つのスクリーンゾーンを画定する拡散反射の特性を持つ透明層状エレメントを含む、透明グレージングのそれである。投映スクリーン又は背面投映スクリーンとして働くことができるこの種の透明グレージングには、特に輸送分野における用途、例えば航空機、列車、自動車(乗用車、貨物自動車など)のためのグレージングを製作するための、特に風防ガラス、側面グレージング又はルーフグレージングを製作するための用途がある。
【背景技術】
【0002】
既知のグレージングには、グレージングに入射する放射線の正透過及び反射を生じさせる標準的な透明グレージングと、グレージングに入射する放射線の拡散透過及び反射を生じさせる半透明グレージングが含まれる。
【0003】
通常、グレージングによる反射は、所定の入射角でグレージングに入射した放射線がグレージングによって複数の方向に反射される場合、拡散反射と称される。グレージングによる反射は、所定の入射角でグレージングに入射した放射線がグレージングによって入射角とほぼ等しい反射角で反射される場合、正反射と称される。同じように、グレ-ジングを通り抜ける透過は、所定の入射角でグレージングに入射した放射線が入射角とほぼ等しい透過角でグレージングを透過する場合、正透過と称される。
【0004】
投映スクリーンは、2つの面又は主表面を含み、すなわち、光源からやってくる映像が投映(直接投映)される、光源と同じ空間領域に位置する第1の面と、第1の面に投映された映像が場合により透明性のため現れる反対側の第2の面を含む。
【0005】
背面投映スクリーンは、前述の投映スクリーンのものと同じ特性を持つ第1の面及び反対側の第2の面を有する。しかし、背面投映スクリーンは、ユーザーと光源が同じ空間領域に位置するのでなく、スクリーンのおのおのの側にあるという点で、投映スクリーンと異なる。背面投映は、投映機をグレージングの背後に配置することを必要とする。
【0006】
以下では、特に断らない限り、「投映」という用語は、一般的に投映と背面投映の両方を意味するために使用する。
【0007】
透明な標準的グレージングを投映スクリーンとして使用することは、想像できることではない。実際に、このグレージングには拡散反射の特性がなく、従ってこのグレージングは、その面のいずれか一方に映像を形成するのを可能にせず、あたかも鏡のように反射光を投げ返す。
【0008】
グレージングを通した鮮明な眺めを保持しながら、透明な標準的グレージングに投映スクリーンとして使用するのを可能にする付加的な特性を与えようとする多くの試みがなされてきた。
【0009】
国際公開第2013/175129号には、グレージングの透明性を保持しながら、大きな視角で目に見える映像の投映を可能にする拡散反射の特性を備えた透明層状エレメントを含むグレージングが記載されている。しかし、特定の使用条件で、特に光のコントラストがグレージングの2つの側の間で十分に顕著でない場合に、そのようなグレージングを用いると、光の弱い側にいる観察者は、眺望の鮮明さを制限するぼやけた又は「乳白色グレージング」の印象を認めるということが分かっている。一部の用途にとって、特に自動車部門では、このぼやけた又は乳白色の外観は、たとえわずかであっても、眺望ゾーンでは容認できないと見なされかねない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
より詳しく言えば、本発明は、映像の投映を可能にし、且つ特に輸送機関の分野において規定される鮮明な眺望の基準を、均一な全体的外観を有しながら満足する透明グレージングを提案することによって、これらの欠点を克服しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的のために、本発明は、屈折率がほぼ同じであっておのおのが平滑な外側主表面を有する2つの透明外側層を含む透明層状エレメントであり、
・前記外側層の間に挿入されている構造化中央層であって、互いに平行で二乗平均傾斜(mean square slope)Rdqが厳密に0.2°より大きい構造化した接触表面を画定している中央層を含む、拡散反射及び正透過の特性を持つスクリーンゾーンであって、前記スクリーンゾーンの中央層が、前記外側層又は金属性層の屈折率と異なる屈折率を有する少なくとも1つの透明層を含んでいる、スクリーンゾーン、及び
・正反射及び正透過の特性を持つ周辺ゾーン、
を含む層状エレメントであって、
前記層状エレメントは、スクリーンゾーンと周辺ゾーンとの間に、拡散反射及び正透過の特性を持つ遷移ゾーンを含んでおり、前記遷移ゾーンは、上記外側層の間に挿入されている構造化中央層であって、互いに平行で二乗平均傾斜Rdqが厳密に0.2°より大きい構造化した接触表面を画定している中央層を含んでおり、前記遷移ゾーンの中央層が、上記外側層又は金属性層の屈折率と異なる屈折率を有する少なくとも1つの透明層を含んでいること、及び
前記層状エレメントのおのおのの側で、遷移ゾーンの任意の箇所の拡散光反射率がスクリーンゾーンの任意の箇所の拡散光反射率以下であり、且つ、スクリーンゾーンを周辺ゾーンにつないでいるいずれの方向においても、スクリーンゾーンから周辺ゾーンに至るまでの遷移ゾーンにおける拡散光反射率の変化が、減少しているか、又は、遷移ゾーンとスクリーンゾーンとの結合部における拡散光反射率の値を通り、且つ遷移ゾーンにおける拡散光反射率の変化の各極大値を通る曲線が、下方に降下しているようなものであり、遷移ゾーンにおける拡散光反射率の変化の減少、又は遷移ゾーンにおける拡散光反射率の変化の各極大値を通る曲線の降下が、スクリーンゾーンを周辺ゾーンにつないでいるいずれの方向でも、遷移ゾーンの中央層の二乗平均傾斜及び全光反射率のうちの少なくとも1つのパラメータを変えることにより得られていること、
を特徴とする、透明層状エレメントに関する。
【0012】
本発明との関連で言えば、ゾーンのある箇所での拡散光反射率は、この箇所を中心とし寸法が1mm×1mm及び3Rsm×3Rsmのうちの最大である基準面における拡散光反射率の平均値であり、ここでのRsmはゾーンの中央層の粗さプロファイル要素の平均幅である。
【0013】
本発明の意義において、変化の極大は、変化のうちの、導関数がゼロであり且つ変化がこの箇所の前で増加し次いでこの箇所の後で減少する箇所である。更に、本発明の意義において、変化又は曲線は、この変化又はこの曲線の2つの一連の箇所について、次の箇所の値が先行する箇所の値以下である場合に、減少し又は下方に降下するとする。
【0014】
本発明との関連で言えば、ゾーンによる反射又は透過は、所定の入射角でゾーンに入射した放射線が入射放射線に対して2.5°以下の角度の偏差でゾーンによって反射され又はゾーンを透過する場合に、正と称される。逆に、ゾーンによる反射又は透過は、所定の入射角でゾーンに入射した放射線が入射放射線に対して厳密に2.5°より大きい角度の偏差でゾーンによって反射され又はゾーンを透過する場合に、拡散と称される。
【0015】
層状エレメントのスクリーンゾーン、遷移ゾーン及び周辺ゾーンのおのおのは、正透過の特性を有する。好ましくは、層状エレメントのゾーンのおのおのは、透過におけるぼやけ(曇り度T)が10%以下、好ましくは5%以下、更により好ましくは3%以下である。好ましくは、層状エレメントのゾーンのおのおのは、透明度が80%以上、好ましくは95%以上、更により好ましくは98%以上である。
【0016】
本発明は、スクリーンゾーンから周辺ゾーンに至るまでの遷移ゾーンにおける拡散光反射率の変化の減少を選択することによって実施してもよく、この減少は特に、連続的な勾配に従う減少でよく、あるいは少なくとも1つの段差を含む階段状の勾配に従う減少でもよい。別の形態として、本発明は、遷移ゾーンにおいて拡散反射のある部分の密度をスクリーンゾーンから周辺ゾーンへの方向において低下させることを選択することによって実施してもよく、これは、拡散光反射率の変化における極大値が、遷移ゾーンのスクリーンゾーンとの結合部における拡散光反射率の値を通り且つこれらの極大値を通る曲線が下方に降下するように存在するということである。
【0017】
有利には、遷移ゾーンにおける拡散光反射率の変化が少なくとも1つの極小値を有する場合、スクリーンゾーンから周辺ゾーンに至る遷移ゾーンにおける拡散光反射率の変化は、スクリーンゾーンを周辺ゾーンへつないでいる任意の方向において、遷移ゾーンにおける拡散光反射率の変化の各極小値を通り且つ遷移ゾーンの周辺ゾーンとの結合部における拡散光反射率の値を通る曲線が下方に降下しているようなものになる。
【0018】
遷移ゾーンの中央層は、連続であっても不連続であってもよい。本発明の意義において、層は、互いに平行な2つの主表面を含む。層の厚さは、前記主表面に垂直な方向において、その2つの主表面の間で測定される。
【0019】
本発明との関連で言えば、
・一方では、屈折率の値が重要にならない金属性層、及び
・他方では、外側層の屈折率に対する屈折率の差を考慮しなくてはならない、特に誘電性の、透明層、
が区別される。
【0020】
誘電性材料又は層は、導電率が低く、100S/m未満の材料又は層を意味する。
【0021】
層状エレメントの各外側層は、外側層を作製する種々の層が、全てがほぼ同じ屈折率を有する、特に誘電性の、透明材料で構成される場合に、層の積層体によって形成することができる。
【0022】
スクリーンゾーン及び遷移ゾーンの各ゾーンについて、中央層は、
・屈折率が外側層又は金属性層のそれとは異なる、特に誘電性の、透明層である単一の層によるか、あるいは、
・屈折率が外側層又は金属性層のそれとは異なる、特に誘電性の、少なくとも1つの透明層を含む、層の積層体によって、
形成される。
【0023】
本発明によれば、層状エレメントのスクリーンゾーン及び遷移ゾーンの各ゾーンにおいて拡散反射及び正透過の特性を得るために、層状エレメントの2つの隣り合う層、すなわち、一方は、特に誘電性の、透明層であり、他方は金属性層であるか、あるいは屈折率が異なる、特に誘電性の、2つの透明層である、2つの隣り合う層の間の全ての接触面は、構造化されて且つ互いに平行である。
【0024】
スクリーンゾーン及び遷移ゾーンのレベルにおいて、層状エレメントのおのおのの側で拡散反射が起こる。その理由は、一方は、特に誘電性の、透明層であり、他方は金属性層であるか、あるいは屈折率が異なる、特に誘電性の、2つの透明層である、層状エレメントの2つの隣り合う層の間の各接触面が、構造化されているからである。こうして、層状エレメントのおのおのの側のスクリーンゾーン又は遷移ゾーンに入射した放射線が上述の接触面に達すると、それは金属性層によって、又は2つの透明層間の屈折率の差のために反射され、そして接触面が構造化されているので、この反射は拡散する。
【0025】
その一部については、層状エレメントを通り抜ける正透過が起こる。その理由は、2つの外側層が平滑な外側主表面を有しており、屈折率がほぼ同じである材料で構成されているからであり、また、層状エレメントの2つの隣り合う層の間の全ての接触面が構造化されており、且つ互いに平行であるからであって、その2つの隣り合う層の一方は、特に誘電性の、透明層で、他方は金属性層であるか、あるいはその2つの隣り合う層は、屈折率が異なる、特に誘電性の2つの透明層である。
【0026】
本発明の意義において、特に誘電性の、2つの透明材料は、ほぼ同じ屈折率を有し、すなわちそれらの屈折率は、550nmでの屈折率の差の絶対値が0.15以下である場合に、ほぼ等しい。好ましくは、層状エレメントの2つの外側層を構成する材料間の550nmでの屈折率の差の絶対値は0.05未満であり、より好ましくは0.015未満である。本発明の意義において、特に誘電性の、2つの透明層は、550nmでの屈折率の差の絶対値が厳密に0.15より大きい場合に、異なる屈折率を有する。
【0027】
本書の以下において、スクリーンゾーンの中央層又は遷移ゾーンの中央層の(表面の)粗さプロファイル又は傾斜に言及するが、それは、一方は、特に誘電性の、透明層、他方は金属性層である2つの隣り合う層の間に位置するか、あるいは屈折率が異なる、特に誘電性の、2つの透明層である2つの隣り合う層の間に位置する、層状エレメントの構造化された各接触面の粗さプロファイル又は傾斜を表すための専門用語の誤用であることが理解される。構造化されたこれらの全ての面が層状エレメントのスクリーンゾーン及び遷移ゾーンの各ゾーンにおいて互いに平行であるという点で、スクリーンゾーン又は遷移ゾーンごとに実際のところ単一の粗さプロファイル及び単一の傾斜分布があって、それらを「ゾーンの中央層の(表面の)粗さプロファイル」又は「ゾーンの中央層の(表面の)傾斜」と呼ぶことにする。
【0028】
本発明との関連で言えば、層状エレメントの外側層からの、%で表した全光反射率は、標準規格ISO 9050:2003(D65光源、2°で観測)に従い、放射線が前記外側層の側でエレメントに垂直に入射するように光源を配置して測定される。更に、層状エレメントの外側層からの全光反射率を、この外側層からの拡散光反射率を定めるための基準として採用する。拡散光反射率は、前記外側層に対する垂線に対して厳密に2.5°より大きい角度で反射される光に対応する、全光反射率のうちの一部分である。
【0029】
層状エレメントのスクリーンゾーン及び遷移ゾーンのうちの一ゾーンの各箇所について、この箇所での全光反射率、又はこの箇所での拡散光反射率を、この箇所を中心とし、そして前記ゾーンの中央層の粗さプロファイルの代表とするのに適した大きさの基準面における、全光反射率又は拡散光反射率の平均値として定義する。本発明との関連で言えば、スクリーンゾーン及び遷移ゾーンのある箇所における、全光反射率又は拡散光反射率を定義するのに使用する基準面は、この箇所を中心とし、大きさが1mm×1mm及び3Rsm×3Rsmのうちの最大である面であって、ここでのRsmは、標準規格ISO 4287に定義されているように、前記ゾーンの中央層の粗さプロファイル要素の平均幅であって、STIL社からのMICROMEASURE 2プロフィロメータを使用し、1μm×1μのサンプリングピッチで1mm×1mmの面で測定される。
【0030】
実際には、層状エレメントのスクリーンゾーン及び遷移ゾーンのうちの一ゾーンの箇所における、外側層の1つからの拡散光反射率を、前記外側層の側のこの箇所における反射のぼやけと前記外側層の側のこの箇所における全光反射率の積として測定する。2.5°を拡散光反射率についての角度の境界とすると、層状エレメントのスクリーンゾーン及び遷移ゾーンのうちの一ゾーンの箇所における反射のぼやけは、この箇所を中心とする基準面で取得される、中央層の傾斜の比率であり、それらの傾斜は、傾斜の値が厳密に(1/2)arcsin(sin(2.5°)/n2)=(1/2)arcsin(sin(2.5°)/n4)より大きくなるようなものであって、ここでのn2及びn4は、層状エレメントの前記ゾーンの2つの外側層のほぼ等しい屈折率である。
【0031】
本発明との関連で言えば、先に定義した反射におけるぼやけに対応する傾斜の比率は、STIL社からのMICROMEASURE 2プロフィロメータを使用し、1μm×1μのサンプリングピッチで1mm×1mmの面で、前記ゾーンの構造化した中央層の表面のプロファイルz=f(x,y)を測定し、そして測定表面の各箇所で局所的な傾斜θを関係式:
【0032】
【数1】
【0033】
に従って計算して求められ、式中の
【0034】
【数2】
【0035】
は、ソーベルフィルタを用いて計算された高さの偏導関数である。
【0036】
以下において、表面の粗さパラメータは、標準規格ISO 4287に定義された表面の二乗平均傾斜Rdqであると理解され、STIL社からのMICROMEASURE 2プロフィロメータを使用して、1μm×1μmのサンプリングピッチで1mm×1mmの面で測定される。
【0037】
本願の全体を通して、STIL社からのMICROMEASURE 2プロフィロメータを使用して行う測定のための条件は、次のとおりである。測定ヘッドは、開口数が0.42、最大測定角度が25°、Z方向分解能が0.04μm、横方向分解能が4.5μmという特性を有する「拡大鏡」と組み合わせたクロマチックレンズからなる。粗さパラメータは、19μmのカットオフ長さを有するローパスガウシアンフィルタ(これは微小粗さをフィルタにかける)及び1mmのカットオフ長さを有するハイパスガウシアンフィルタ(これはうねりをフィルタにかける)を用いて得られる。
【0038】
本発明との関連において、以下の定義を使用する。
・透明エレメントは、少なくともエレメントの対象とする用途のために有用な波長範囲で、放射線が透過するエレメントである。一例として、エレメントを建物又は乗り物のためのグレージングとして使用する場合、それは少なくとも可視波長範囲において透明である。
・透明グレージングは、剛性の、有機又は無機の透明基材である。
・平滑面は、表面の凹凸が表面に入射する放射線の波長よりも小さい寸法の表面であり、そのため放射線がこれらの表面の凹凸によってそらされることがない。この場合、入射放射線は、表面を透過し且つ表面により正の様式で反射される。本発明との関連で言えば、平滑面は、上述の二乗平均傾斜Rdqが0.2°以下である表面である。
・構造化された表面は、表面に入射する放射線の波長よりも大きいスケールで表面特性が変化する表面である。この場合、入射放射線は、表面を透過し且つ表面によって拡散様式で反射される。本発明との関連で言えば、構造化された表面は、0.2°よりも厳密に大きい上述の二乗平均傾斜を有する表面である。
【0039】
本発明による透明層状エレメントは、
・層状エレメントのスクリーンゾーンに入射した放射線の、その外側層の一方又は他方からの正透過及び拡散反射を得ること、
・層状エレメントの周辺ゾーンに入射した放射線の、その外側層の一方又は他方からの正透過及び正反射を得ること、及び
・スクリーンゾーンの周辺ゾーンに対する一体化をこれら2つのゾーン間のはっきりと目に見える境界線なしに可能にする遷移ゾーンがあることにより、外側層の一方又は他方から、層状エレメントの均一な全体的外観を得ること、
を可能にする。
【0040】
こうして、この種の透明層状エレメントを含む透明グレージングは、均一な全体的外観を有し、且つ同時に、層状エレメントの各スクリーンゾーンに対応する、投映のために用いられるグレージングの少なくとも1つのゾーンに映像を投映すること、及び層状エレメントの各周辺ゾーンに対応する、眺望のために用いられるグレージングの少なくとも1つのゾーンにおいて、グレージングを通した鮮明な眺めを保証することを可能にする。
【0041】
透明層状エレメントの、及びそれを組み入れた透明グレージングの、透過の透明性及び拡散反射は、スクリーンゾーンに投映された映像の良好な光度を得るのに寄与する。スクリーンゾーンの中央層は、透明層状エレメントの、及びそれを組み入れた透明グレージングの、面のいずれか一方への映像の直接の投映を可能にする拡散反射を増進し、映像が中央層のレベルで形成される。
【0042】
有利には、層状エレメントの各側において、及びスクリーンゾーンを周辺ゾーンにつないでいる任意の方向において、遷移ゾーンにおける拡散光反射率の変化は(20%)RL(ZE)/mm以下であり、ここでのRL(ZE)はスクリーンゾーンの平均全光反射率である。
【0043】
好ましくは、全光反射率RL(ZE)はスクリーンゾーンにおいて一定である。
【0044】
1つの実施形態では、層状エレメントの各側において、遷移ゾーンにおける拡散光反射率の変化は、スクリーンゾーンを周辺ゾーンにつないでいるいずれの方向でも、スクリーンゾーンから周辺ゾーンまで連続的に減少する。
【0045】
1つの別形態によれば、層状エレメントの各側において、遷移ゾーンにおける拡散光反射の変化は、少なくとも1つの段であって、前記段の任意の箇所における拡散光反射率がスクリーンゾーン及びスクリーンゾーンに近い方の任意の先行の段の任意の箇所における拡散光反射率よりも厳密に小さい、少なくとも1つの段によって、スクリーンゾーンを周辺ゾーンにつないでいるいずれの方向でも、スクリーンゾーンから周辺ゾーンに至るまで減少している。言うまでもなく、各段において、スクリーンゾーンから周辺ゾーンへの方向における拡散光反射率の変化は連続的に減少することも可能である。
【0046】
もう1つの別形態によれば、スクリーンゾーンを周辺ゾーンにつないでいる任意の方向において、遷移ゾーンは、スクリーンゾーンから周辺ゾーンの方向に少なくとも2つの一連の領域を含み、各領域は、スクリーンゾーンに近い方の第1の部分と周辺ゾーンに近い方の第2の部分を含む2つの部分を組み合わせることによって形成されており、第1の部分の平均拡散光反射率は厳密に第2の部分の平均拡散光反射率より小さくなっていて、一連の領域は、周辺ゾーンに接近するにつれ第1の部分の配分がますます多くなっている。この場合、本発明は、スクリーンゾーンから周辺ゾーンに至る方向で拡散反射する部分の密度を低下させることにより実施され、これは、拡散光反射率の変化における極大値が、遷移ゾーンのスクリーンゾーンとの結合部における拡散光反射率の値を通り且つこれらの極大値を通る曲線が下方に降下するように存在するということである。
【0047】
好ましい特徴によれば、スクリーンゾーンを周辺ゾーンにつないでいるいずれの方向でも、遷移ゾーンの透過におけるぼやけの変化は0.7%/mm以下である。
【0048】
もう一つの好ましい特徴によれば、スクリーンゾーンを周辺ゾーンにつないでいるいずれの方向でも、遷移ゾーンの透明度の変化は0.5%/mm以下である。
【0049】
本発明との関連で言えば、
・層状エレメントのゾーンの、%で表した透過におけるぼやけ(曇り度T)は、層状エレメントの前記ゾーンに入射する放射線について標準規格ASTM D1003に従って曇り度計を用いて測定され、
・層状エレメントのゾーンの、%で表した透明度は、BYK社からのHaze-Gard曇り度計を用いて測定される。
【0050】
本発明によれば、遷移ゾーンにおける拡散光反射率の変化の減少、又は遷移ゾーンにおける拡散光反射率の変化の各極大値を通る曲線の下方への降下は、スクリーンゾーンを周辺ゾーンにつないでいる任意の方向において、遷移ゾーンの中央層の二乗平均傾斜及び全光反射率のうちの少なくとも1つのパラメータを変化させることによって得られる。
【0051】
詳しく言えば、本発明の1つの実施形態では、遷移ゾーンの中央層の二乗平均傾斜及び全光反射率のうちの第1のパラメータが、一定であって且つスクリーンゾーンの中央層の対応するパラメータに等しいのに対して、遷移ゾーンの中央層の二乗平均傾斜及び全光反射率のうちの第2のパラメータは、スクリーンゾーンの中央層の対応するパラメータ以下であって、且つスクリーンゾーンを周辺ソーンにつないでいる任意の方向において、スクリーンゾーンから周辺ゾーンに至るまで変化が減少している。
【0052】
1つの実施形態では、スクリーンゾーンを周辺ゾーンにつないでいる任意の方向において、遷移ゾーンの中央層の二乗平均傾斜及び全光反射率のうちの第2のパラメータの変化は、スクリーンゾーンから周辺ゾーンに至るまで連続的に減少する。
【0053】
もう1つの実施形態では、スクリーンゾーンを周辺ゾーンにつないでいる任意の方向において、遷移ゾーンの中央層の二乗平均傾斜及び全光反射率のうちの第2のパラメータの変化は、少なくとも1つの段によって、スクリーンゾーンから周辺ゾーンに至るまで減少しており、その段について言えば、段の任意の箇所における前記第2のパラメータが厳密に、スクリーンゾーンの任意の箇所における、及びスクリーンゾーンに近い方の任意の先行の段の、対応するパラメータ未満になっている。言うまでもなく、各段において、スクリーンゾーンから周辺ゾーンへの方向における前記第2のパラメータの変化は、連続的に減少することも可能である。
【0054】
有利には、変化するパラメータが遷移ゾーンの中央層の二乗平均傾斜である場合、後者の変化は、3.5°/mm以下、好ましくは3°/mm以下、より好ましくは2°/mm以下である。
【0055】
有利には、変化するパラメータが遷移ゾーンの中央層の全光反射率である場合、後者の変化は、(20%)RL(ZE)/mm以下であり、ここでのRL(ZE)はスクリーンゾーンの平均全光反射率である。
【0056】
1つの実施形態によれば、遷移ゾーンの中央層は、スクリーンゾーンの中央層の屈折率に等しい屈折率を有し、そしてスクリーンゾーンを周辺ゾーンにつないでいる任意の方向における、スクリーンゾーンから周辺ゾーンに至る遷移ゾーンの中央層の全光反射率の変化の減少が、スクリーンゾーンから周辺ゾーンに至るまで中央層の厚さを減少させることによって得られる。
【0057】
もう1つの実施形態によれば、遷移ゾーンの中央層は、スクリーンゾーンの中央層の厚さに等しい厚さを有し、そしてスクリーンゾーンを周辺ゾーンにつないでいる任意の方向における、スクリーンゾーンから周辺ゾーンに至る遷移ゾーンの中央層の全光反射率の変化の減少が、スクリーンゾーンから周辺ゾーンに至るまで中央層の屈折率を変化させることによって得られる。
【0058】
層状エレメントの各スクリーンゾーン及び遷移ゾーンにおける構造化した接触面が平行であることは、それ自体と異なる又は屈折率がそれ自体とは異なる、金属性又は非金属性の層に挟まれた前記ゾーンの中央層の各層について、層の厚さが隣接層と接するその面に対し垂直に均一であることを意味する。厚さのこの均一性は、構造の全範囲にわたってもよく、あるいは構造の一部分において局所的であってもよい。特に、構造に傾斜の変化がある場合、連続した2つの構造化した接触面の間の厚さは、構造の傾斜に応じて、部分ごとに変化することができるが、構造化した接触面はそれでもなお互いに平行のままである。この状況は、特に、構造の傾斜が増加するにつれて層の厚さが減少する陰極スパッタリングにより、とりわけ磁場に支援される陰極スパッタリング(マグネトロン陰極スパッタリング)により堆積した層について起こる。こうして、局所的には、所定の傾斜を有する構造の各部分において、層の厚さは一定のままであるが、第1の傾斜を有する構造の第1の部分と、第1の傾斜とは異なる第2の傾斜を有する構造の第2の部分とで、層の厚さは異なる。
【0059】
有利には、層状エレメントの各スクリーンゾーン及び遷移ゾーン内の構造化した接触面を平行にするために、前記ゾーンの中央層を構成する各層は、陰極スパッタリングにより堆積される層である。実際のところ、陰極スパッタリング、とりわけ磁場に支援される陰極スパッタリング(いわゆるマグネトロン陰極スパッタリング)は、層の範囲を画定する表面が互いに平行になることを保証するが、これは、蒸着又は化学気相成長(CVD)、さもなければゾル-ゲル法といったようなその他の堆積技術には当てはまらない。現状では、層状エレメントの各スクリーンゾーン及び遷移ゾーン内の構造化した接触面が平行であることが、エレメントを通して正透過を得るために必要不可欠である。
【0060】
層状エレメントの周辺ゾーンには、外側層の間に挿入される中央層がなくてもよい。別の形態として、層状エレメントの周辺ゾーンは、外側層の間に挿入される中央層を含むことができるが、スクリーンゾーン及び遷移ゾーンの中央層とは対照的に、周辺ゾーンの中央層は構造化されず、これが層状エレメントの周辺ゾーンに入射する放射線がその外側層の一方又は他方から正反射するのを保証する。
【0061】
本発明の1つの側面によれば、層状エレメントの中央層を含む各ゾーンにおいて、中央層は、外側層の屈折率と異なる高い屈折率を有する誘電性材料、例えばSi、SnO、ZnO、AlN、NbO、NbN、TiOなどからなる少なくとも1つの薄層、又は外側層の屈折率と異なる低い屈折率を有する誘電性材料、例えばSiO、Al、MgF、AlFなどからなる少なくとも1つの薄層を含む。中央層は、少なくとも1つの金属性薄層、特に銀、金、チタン、ニオブ、ケイ素、アルミニウム、ニッケル-クロム合金(NiCr)、ステンレス鋼、又はそれらの合金の薄層を含むこともできる。本発明の意義において、薄層は厚さが1μm未満の層である。
【0062】
有利には、層状エレメントの中央層を含む各ゾーンにおいて、太陽光制御及び/又は低放射率タイプの層状エレメントに追加の特性、例えば熱的特性を与えるために、中央層の化学組成を調整することができる。例えば、1つの実施形態では、中央層は、「n」個の金属性機能層、特に銀又は銀含有合金をベースとする機能層と、「(n+1)」個の反射防止コーティング(n≧1)とを、各金属性機能層を2つの反射防止コーティングの間に配置して交互にしたものを含む薄層の積層体である。
【0063】
金属性機能層を含むこのような積層体は、太陽放射線の範囲及び/又は長波長赤外線の範囲に、既知のようにして反射特性を有する。こうした積層体では、金属性機能層が本質的に熱的性能を決定するのに対し、それらの周りの反射防止コーティングが干渉により外観に影響を与える。実際のところ、金属性機能層は、各金属性機能層について10nm程度の小さな幾何学的厚さであっても所望の熱的性能を得るのを可能にするとは言え、それらは可視波長範囲の放射線の通過を強く妨げる。したがって、各金属性機能層の両側の反射防止コーティングが、可視領域の光の良好な透過を保証する必要がある。実際のところ、それが、金属性薄層と反射防止コーティングを含む、光学的に最適化された中央層の完璧な積層体である。有利には、層状エレメント又はグレージングの完璧な積層体、すなわち中央層の両側に配置された外側層と何らかの追加の層を含む積層体によって、光学的な最適化を果たすことができる。
【0064】
こうして得られる層状エレメントは、光学的特性、すなわち層状エレメントのスクリーンゾーン及び遷移ゾーンに入射する放射線の正透過及び拡散反射の特性と、熱的特性、すなわち太陽光制御及び/又は低放射率の特性とを兼ね備える。この種の層状エレメントは、特に乗り物又は建物の、太陽光保護及び/又は断熱のためのグレージング用に使用することができる。
【0065】
本発明の1つの態様によれば、層状エレメントの各スクリーンゾーン及び遷移ゾーンにおいて、一方は、特に誘電性の、透明層、他方は金属性層である、又は屈折率が異なる、特に誘電性の、2つの透明層である、隣り合った2つの層の間の各接触面の構造は、接触面の総体的平面に対して落ち込むか又は持ち上がった複数のパターンにより形成される。本発明との関連で言えば、層状エレメントの各スクリーンゾーン及び遷移ゾーンでは、中央層の二乗平均傾斜Rdqが厳密に0.2°より大きい。好ましくは、層状エレメントのスクリーンゾーンでは、中央層の二乗平均傾斜Rdqは0.5°と30°の間であり、好ましくは2°と20°の間、より好ましくは2°と10°の間である。好ましくは、層状エレメントの遷移ゾーンでは、中央層の二乗平均傾斜Rdqは0.5°と30°の間であり、好ましくは0.5°と20°の間、より好ましくは0.5°と10°の間である。
【0066】
実際には、層状エレメントの異なるゾーン間の拡散光反射率の変化が中央層の所定の一定の厚さ及び化学組成に対して中央層の粗さプロファイルを変えることにより得られる場合、層状エレメントの各ゾーンの中央層の粗さプロファイルは、適切な構造、例えば周辺ゾーンを形成するための0.2°以下の二乗平均傾斜Rdqを有する構造、スクリーンゾーンを形成するための2°~10°程度の二乗平均傾斜Rdqを有する構造、及び遷移ソーンを形成するためスクリーンゾーンから周辺ゾーンに至るまで減少する二乗平均傾斜Rdqを有する構造を有する基材上に、一定の厚さ及び組成を有する中央層の各層をコンフォーマル様式で堆積させることにより得ることができる。基材のこの適切な構造は、構造を作る任意の公知の方法によって、例えば、基材表面のエンボス加工により、基材表面の各部分の粗さプロファイルを調節するために例えばマスクを使用する、アブレーション、サンドブラスト、化学的処理、又はエッチングにより、得ることができる。
【0067】
別の形態として、層状エレメントの異なるゾーン間の拡散光反射率の変化を、中央層の所定の一定の化学組成及び粗さプロファイルに対して中央層の厚さを変えることにより得る場合には、粗さが一定である基材上に、層状エレメントの各ゾーンの中央層の厚さプロファイルを、中央層の一定組成の各層を堆積厚さを調整してコンフォーマル様式で堆積させることにより得ることができる。
【0068】
同様に、層状エレメントの異なるゾーン間の拡散光反射率の変化を、中央層の所定の一定の厚さ及び粗さプロファイルに対して中央層の屈折率を変えることにより得る場合には、粗さが一定の基材上に、層状エレメントの各ゾーンの中央層の化学組成のプロファイルを、一定厚さの中央層の各層を堆積中に層の組成を調整してコンフォーマル様式で堆積させることにより得ることができる。
【0069】
本発明の一実施形態では、層状エレメントの2つの外側層のうちの一方は、主表面が構造化された、特にガラス又は有機ポリマー材料製の、硬質又は軟質基材を含む、構造化外側層である。基材の主表面のうちの一方の構造は、構造化の任意の既知の方法によって、例えばそれを変形させることができる温度に事前に加熱した基材をエンボス加工することによって、特に、表面が基材上に形成しようとする構造と相補的な構造を有するローラーを用いる圧延によって、粒子又は摩滅性表面を用いる、特にサンドブラストによる、アブレーションによって、化学的処理、特にガラス基材の場合酸を用いた処理によって、成型によって、特に熱可塑性ポリマーの基材の場合射出成型によって、あるいはエッチングによって、得ることができる。別の形態として、基材の主表面の構造は、ガラスフリット又はエナメル層を堆積させることにより得てもよい。
【0070】
層状エレメントの構造化外側層として使用できる構造化したガラス基材の例には、主表面のうちの一方を酸エッチングして得られた構造を有する、サン-ゴバン・グラス社によりSGG Satinovo銘柄で上市されているガラス基材、主表面のうちの一方を化学的処理して得られた構造を有する、Berliner Glas社によりBG-Nonflex銘柄で上市されているガラス基材、主表面のうちの一方を酸エッチングして得られた構造を有する、AGC社によりMatelux Light銘柄で上市されているガラス基材、サンドブラストにより構造化された高屈折率ガラス基材、例えばSchott社によりSF6(550nmに対しn=1.81)、7SF57(550nmに対しn=1.85)、N-SF66(550nmに対しn=1.92)、P-SF68(550nmに対しn=2.00)の呼称で上市されているフリントガラスなどの、高屈折率ガラス基材が含まれる。
【0071】
有機ポリマー材料製の構造化基材により形成された構造化外側層の場合、好適な材料の例には、特に、ポリエステル、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)など、ポリアクリレート、例えばポリメチルメタクリレート(PMMA)など、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリアミド、ポリイミド、フッ素化ポリマー、例えばエチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレンクロロトリフルオロエチレン(ECTFE)、フッ素化エチレン-プロピレンコポリマー(FEP)など、光架橋性及び/又は光重合性樹脂、例えばチオール-エン、ポリウレタン、ウレタン-アクリレート、ポリエステル-アクリレート樹脂など、ポリチオウレタンが含まれる。これらのポリマーは一般に、550nmで1.30~1.70の範囲の屈折率を有する。しかし、興味深いことに、これらのポリマーのうちの一部、特に硫黄を含む例えばポリチオウレタンなどのポリマーは、550nmでもっと高い、最高で1.74に及ぶことのある、屈折率を有することがあるということが注目される。
【0072】
本発明のもう1つの実施形態では、層状エレメントの2つの外側層のうちの一方は、主表面が構造化され、かつ他方の主表面によって硬質又は軟質の基材上に取り付けられたコンフォーマブル層により形成された、構造化外側層である。それは特に、熱成形可能な層、又は光架橋性及び/又は光重合性材料の層である。この場合、コンフォーマブル層の主表面のうちの一方を構造化するのに非常に適した方法は、特にエンボス加工である。好ましくは、光架橋性及び/又は光重合性材料は、室温で液状であって、照射を受けて光架橋及び/又は光重合すると、気泡又は他の何らかの異常部のない透明な固体をもたらす。それは、特に樹脂でよく、例えば接着剤、糊又は表面コーティングとして普通に使用されているものなどでよい。これらの樹脂は一般に、エポキシ、エポキシシラン、アクリレート、メタクリレート、アクリル酸、及びメタクリル酸タイプのモノマー/コモノマー/プレポリマーをベースとしている。例として、チオール-エン、ポリウレタン、ウレタン-アクリレート、ポリエステル-アクリレート樹脂を挙げることができる。樹脂に代わって、それは光架橋性の水性ゲル、例えばポリアクリルアミドゲルなどであってもよい。
【0073】
層状エレメントの2つの外側層のうちの一方は、構造化された主表面を有する構造化外側層であり、他方の主表面が平滑である場合、中央層は、
・構造化外側層の構造化した主表面にコンフォーマル様式で堆積された、構造化外側層の屈折率とは異なる屈折率を有する、金属性材料又は、特に誘電性の、透明材料の単一層により形成されるか、
・あるいは、構造化外側層の構造化した主表面にコンフォーマル様式で連続して堆積された、構造化外側層の屈折率とは異なる屈折率を有する、金属性材料、又は特に誘電性の、透明材料の層を少なくとも1つ含む、層の積層体により形成される、
のが有利である。
【0074】
本発明によれば、構造化外側層の構造化した主表面への中央層の堆積、又は中央層の複数層の連続した堆積は、堆積後に中央層の各層の表面が構造化され、そして構造化外側層の構造化した主表面に平行になる場合に、コンフォーマル様式で行われると見なされる。有利な特徴によれば、構造化外側層の構造化した主表面への中央層のコンフォーマル式の堆積、又は中央層の複数層の連続したコンフォーマル式の堆積は、陰極スパッタリングにより、特に磁場により支援される陰極スパッタリング(マグネトロン陰極スパッタリング)により行われる。特に金属性層を被着させるためには、コンフォーマル式の堆積のその他の技術、例えば蒸着技術なども考えることができる。
【0075】
本発明の1つの側面によれば、層状エレメントの他方の外側層、すなわち構造化した外側層に対して中央層の他方の側に位置する外側層は、構造化外側層と反対側の中央層の構造化した主表面に堆積させた、屈折率が構造化外側層のそれにほぼ等しい、最初は成形作業に適した粘性、液体又はペースト状態の、硬化性材料の層を含む。
【0076】
粘性、液体又はペースト状態で最初に堆積される層は、特に、層状エレメントの表面の平坦化のための層であることができる。別の実施形態として、粘性、液体又はペースト状態で最初に堆積される層は、一方では中央層を設けた構造化外側層と、他方では反対側の基材との一体化を確実にする層でよい。
【0077】
粘性、液体又はペースト状態で最初に堆積される層は、光架橋性及び/又は光重合性材料の層でもよい。好ましくは、この光架橋性及び/又は光重合性材料は、室温で液体の形態であって、照射を受けて光架橋及び/又は光重合すると、気泡又はその他の何らかの異常部のない透明な固体をもたらす。それは特に、例えば接着剤、糊又は表面コーティングとして普通に使用されているものなどの、樹脂でよい。これらの樹脂は一般に、エポキシ、エポキシシラン、アクリレート、メタクリレート、アクリル酸、及びメタクリル酸タイプのモノマー/コモノマー/プレポリマーをベースとしている。例として、チオール-エン、ポリウレタン、ウレタン-アクリレート、ポリエステル-アクリレート樹脂を挙げることができる。樹脂に代わって、それは光架橋性の水性ゲル、例えばポリアクリルアミドゲルなどであってもよい。
【0078】
別の形態として、粘性、液体又はペースト状態で最初に堆積される層は、ゾル-ゲル法で堆積される層、特にシリカをベースとする有機/無機混成マトリクスを含むゾル-ゲル層であってもよい。この種のゾル-ゲル層は、その屈折率の値を、それが構造化外側層の屈折率にできるだけ近くなるように正確に調整する可能性を提供するので、特に有利である。本発明によれば、層状エレメントの2つの外側層の間の屈折率の一致又は屈折率の差は、それらを構成している誘電性材料の550nmでの屈折率間の差の絶対値に相当する。屈折率の差が小さければ小さいほど、層状エレメントを通した眺望が鮮明なものになる。特に、屈折率の一致が0.050以下、好ましくは0.030以下、なおもより良好には0.015以下で、優れた眺望が得られる。
【0079】
本発明の1つの側面によると、層状エレメントの2つの外側層のうちの少なくとも一方は、ポリマー材料、特に熱成形可能な又は感圧性のポリマー材料をベースとする、挿入された薄層であり、すなわち積層グレージングにおいて中間層として使用されるタイプの薄層である。それは特に、ポリビニルブチラール(PVB)、エチレン-酢酸ビニル(EVA)、ポリウレタン(PU)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、又はポリ塩化ビニル(PVC)をベースとする少なくとも1つの薄層でよい。ポリマー材料をベースとするこの層は、追加の層として、基材、例えば透明又は超透明ガラス上に積層し又はその上でカレンダ加工することができる積層中間層の役割を果たすことができる。
【0080】
本発明の1つの側面によれば、層状エレメントは可撓性フィルムであることができる。この可撓性フィルムには、その外側主表面のうちの一方に、このフィルムの接着のために除去する予定の保護ストリップで覆われた接着剤の層を設けるのが有利である。この場合、可撓性フィルムの形をした層状エレメントは、既存の表面に、例えば透明グレージングの表面に、接着することにより取り付けて、それによりグレージングを正透過する特性を維持しながら各スクリーンゾーン及び遷移ゾーンのレベルにおける拡散反射の特性を与えることができる。可撓性フィルムの形をした層状エレメントを取り付けるグレージングは、平坦な又は湾曲したグレージングでよい。
【0081】
本発明はまた、上述のとおりの層状エレメントを含む透明グレージングにも関する。
【0082】
1つの実施形態において、透明グレージングは更に、層状エレメントに接して配置される少なくとも1つの追加の層であって、
・2つの平滑な主表面を含む、ポリマー、ガラス又はセラミックから選ばれる透明基材、
・最初は成形作業に適した粘性、液体又はペースト状態の硬化性材料、特にゾル-ゲル層、
・ポリマー材料、特に熱成形可能な又は感圧性のポリマー材料をベースとする、挿入された薄層、
から選ばれるのが好ましい少なくとも1つの追加の層を含む。
【0083】
有利には、積層エレメントを組み入れた上述の透明グレージングは、空気と、スクリーンゾーンへ映像を投影する際に投映機と向かい合う予定のグレージングの外側主要面を形成している層を構成している材料との界面に、少なくとも1つの反射防止コーティングを含む。反射防止コーティングの追加は、層状エレメント内部での多重反射を減らすことができ、したがって投影された映像の品質を向上させることができる。
【0084】
透明グレージングの外側主要面の少なくとも一方に設ける反射防止コーティングは、空気と外側主要面を形成している層との界面における放射線の反射を減らすためのいずれのタイプのものでもよい。それは特に、空気の屈折率と外側主要面を形成している層の屈折率の間の屈折率を持つ層でよく、例えば、外側主要面を形成している層の表面に真空技術により堆積させた層、又はゾル-ゲルタイプの多孔質の層などでよく、あるいは、外側主要面を形成している層がガラス製である場合、このガラス層のうちの「エッチング」タイプの酸処理によって得られるくぼんだ表面部分でよい。別の実施形態として、反射防止コーティングは、低屈折率と高屈折率が交互になっていて、空気と外側主表面を形成している層との界面で干渉フィルタの役割を果たす薄層の積層体により形成することができ、あるいは、空気の屈折率と外側主表面を形成している層のそれの間の屈折率の連続した又は階段状の勾配を有する薄層の積層体により形成することができる。
【0085】
層状エレメント及び透明グレージングの平滑な外側主表面は、平坦であっても湾曲していてもよい。特に、層状エレメントは、例えば建物のため又は乗り物、特に自動車のための、湾曲グレージングで使用することができる。本発明の1つの側面によれば、層状エレメントの平滑な外側主表面は、例えば、二重の像を避けるために「ヘッドアップディスプレイ」(HUD)システムでの使用を予定するくさび形の層状エレメントの場合には、互いに平行でなくてもよい。その他の用途では、層状エレメントの平滑な外側主表面は、好ましくは互いに平行であり、このことは層状エレメントを通る放射線について光の散乱を制限し、したがって層状エレメントを通した眺望の透明度を向上させる助けになる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
本発明の特徴と利点は、添付の図面を参照して以下に一例として提示するだけの、本発明による層状エレメント及び透明グレージングのいくつかの実施形態の説明で明らかになる。
【0087】
図1】本発明による層状エレメントを組み入れた透明グレージングの模式平面図である。
図2図1の透明グレージングの構造の第1の変形形態を得るための、層状エレメントのスクリーンゾーンのレベルにおける前記透明グレージングの模式断面図である。
図3図1の透明グレージングの構造の第2の変形形態を得るための、層状エレメントのスクリーンゾーンのレベルにおける前記透明グレージングの模式断面図である。
図4a】本発明の第1の実施形態による層状エレメントの模式部分断面図である。
図4b図4aの断面図による第1の実施形態の層状エレメントの異なるゾーンにおける拡散光反射率の変化を示す曲線ある。
図5a】本発明の第2の実施形態による層状エレメントの模式部分断面図である。
図5b図5aの断面図による第2の実施形態の層状エレメントの異なるゾーンにおける拡散光反射率の変化を示す曲線である。
図6a】本発明の第3の実施形態による層状エレメントの模式部分平面図である。
図6b】本発明の第4の実施形態による層状エレメントの模式部分平面図である。
図7a図6a又は図6bのVII-VII線に沿った断面図である。
図7b図7aの断面図による第3又は第4の実施形態の層状エレメントの異なるゾーンにおける拡散光反射率の変化を示す曲線である。
図8a】本発明の第5の実施形態による層状エレメントの模式部分断面図である。
図8b図8aの断面図による第5の実施形態の層状エレメントの異なるゾーンにおける拡散光反射率の変化を示す曲線である。
図9】本発明の第6の実施形態による層状エレメントの模式部分断面図である。
図10a】第1の選択的実施形態による、図4~9のうちの1つにおける層状エレメントのスクリーンゾーンの詳細拡大図である。
図10b】第2の選択的実施形態による、図4~9のうちの1つにおける層状エレメントのスクリーンゾーンの詳細拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0088】
特段の記載がない限り、いろいろな図に見られる全く同一の構成要素は唯一の参照符号を有する。図面を明快にするため、図1~10bにおける種々の層の相対的な厚さ及び種々のゾーンの相対的な幅は、厳密に表されてはいない。更に、中央層を構成している各層の厚さの、構造の傾斜に応じた可能性のある変化は、図中に示されておらず、厚さのこの可能性のある変化は、構造化した接触面の平行度に影響を及ぼさないことが理解される。実際のところ、構造の各所定の傾斜に対して、構造化した接触面は互いに平行である。
【0089】
図1は、本発明による層状エレメントを組み入れた透明グレージング1の模式上面図を示しており、それは、スクリーンゾーンZE、周辺ゾーンZP、及びスクリーンゾーンZEと周辺ゾーンZPの間の遷移ゾーンZTを含んでいる。グレージング1のための2つの可能な構造を、限定しない例として、図2図3に示す。図2及び図3は、グレージング1の構造をスクリーンゾーンZEのレベルでのみ図示しているが、グレージング1の構造は遷移ゾーン及び周辺ゾーンのレベルにおいて同様であって、スクリーンゾーンの構造化した中央層3Eが、遷移ゾーンZTでは遷移ゾーンの構造化した中央層3Tに置き換えられ、周辺ゾーンZPでは、中央層がないか、又は周辺ゾーンの構造化していない中央層3Pに置き換えられる、ということに注目されたい。
【0090】
本発明によれば、図2及び図3に図示したように、グレージング1は、ほぼ同一の屈折率n2、n4を有する透明な誘電性材料で作製された2つの外側層2及び4を含む層状エレメント10を含んでいる。各外側層2又は4は、層状エレメントの外側に向けられたそれぞれ平滑な主表面2A又は4Aと、層状エレメントの内側に向けられたそれぞれ構造化された主表面2B又は4Bを有している。
【0091】
内側表面2B及び4Bの構造は、互いに相補的である。構造化した表面2B及び4Bは、それらの構造が互いに対して厳密に平行となる相対的配置でもって、互いに向き合って位置している。層状エレメント10はまた、構造化した表面2B及び4Bの間に接触して挿入された中央層3Eを含んでもいる。
【0092】
図10aは、中央層3Eが単一層構造であって、且つ外側層2及び4の屈折率と異なる屈折率n3の金属性であるか又は誘電性の透明材料からなる、変形形態を示している。図10bは、中央層3Eが複数の層3E、3E、……、3Eの透明な積層体により形成されており、層3E~3Eのうちの少なくとも1つは、屈折率が外側層2及び4のそれと異なる金属性層であるか又は誘電性層である、変形形態を示している。好ましくは、少なくとも積層体の末端に位置する2つの層3E及び3Eのおのおのは、外側層2及び4の屈折率と異なる屈折率n3E又はn3Eを有する金属性層又は誘電性層である。
【0093】
スクリーンゾーンZEの中央層3Eについて図10a及び10bに図示した単一層又は多層の構造は、言うまでもなく、遷移ゾーンZTの中央層3T及び周辺ゾーンZPの中央層3Pについても使用することができる。以下において、文字「E」を後につけた全ての参照符号は、文字「E」を文字「T」又は「P」に置き換えることにより遷移ゾーンZT及び周辺ゾーンZPの中央層に置き換え可能である。
【0094】
図10a及び10bにおいて、外側層2と中央層3Eとの接触面はSで示され、中央層3Eと外側層4との接触面はSで示されている。更に、図10bでは、中央層3Eの内部の接触面が、面Sに一番近い接触面から開始して、逐次的にS~Sで示されている。
【0095】
図10aの変形形態では、中央層3Eが互いに平行な構造化した面2Bと4Bの間に接触して配置されているために、外側層2と中央層3Eの間の接触面Sが構造化されており、且つ中央層3Eと外側層4の間の接触面Sと平行になっている。言い換えれば、中央層3Eは、接触面S及びSに垂直に測定して、均一な厚さe3Eを有する構造化された層である。
【0096】
図10bの変形形態では、中央層3Eを構成している積層体の2つの隣り合った層の間の各接触面S、……、Sが構造化されており、且つ外側層2、4と中央層3Eの間の接触面S及びSと厳密に平行になっている。このように、層状エレメント10の、異なる屈折率の材料で製作された、金属性であるか又は誘電性である、性質の異なる隣り合った層の間の全ての接触面S、S、……、Sが、構造化されており、且つ互いに平行である。詳しく言えば、中央層3を構成している積層体の各層3E、3E、……、3Eは、接触面S、S、……、Sに垂直に測定して、均一な厚さe3E、e3E、……、e3Eを有する。
【0097】
本発明の1つの側面によれば、中央層3Eを構成している層の厚さe3E、又は各層の厚さe3E、e3E、……、e3Eは、層状エレメント10の構造化した各接触面S、S、又はS、S、……、Sのパターンの平均高さ未満である。この条件は、中央層3Eの各層への放射線の入り口界面及びこの層からの放射線の出口界面が平行であり、したがって層状エレメント10を通り抜ける放射線の正透過の割合を増加させる可能性を増大させるために重要である。図面では、種々の層を見えるようにするために、この条件は厳密に遵守されてはいない。実際には、中央層3Eが薄層であるか又は薄層の積層体である場合、中央層3Eの各層の厚さe3E、又はe3E、e3E、……、e3Eは、層状エレメントの構造化した各接触面のパターンの平均高さの1/10程度、又はそれ未満である。
【0098】
図2に示したグレージング1の第1の例では、第1の外側層2が、少なくとも部分的に構造化された透明又は超透明ガラスの、例えばサン-ゴバン・グラス社により上市されているSGG Satinovoタイプのガラスの、構造化基材であり、第2の外側層4は、基材2とほぼ同じ屈折率を有し且つ中央層3Eの構造化した面の構造に一致している、例えばPVBの、挿入された薄層により形成されている。この挿入された薄層4は、透明又は超透明ガラスの、例えばサン-ゴバン・グラス社により上市されているSGG Planiluxタイプのガラスの、平らな基材6に、カレンダ加工によりその外側面4Aを介して加えられている。更に、グレージング1は、スクリーンゾーンZEに映像を投影する際に投映機Pの反対側となる予定の、平らな基材6の外側主表面上に反射防止コーティング7を含んでいる。反射防止コーティング7が存在することは、層状エレメント内部での多重反射を減らし、こうして投影映像の質を向上させることを可能にする。
【0099】
図3に示したグレージング1の第2の例では、第1の外側層2が、構造化ガラスでなく、上述の挿入された薄層4とほぼ同じ屈折率を有する、例えばPVBの、挿入された薄層である。この第2の例では、中央層3Eが、可撓性フィルム3E、例えば厚さが50~250μm程度のポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)のフィルムであって、その上に誘電性材料又は金属性材料の薄い層3E、例えば厚さが50~75nm程度のTiOの薄い層が堆積されているフィルムを含んでいる。可撓性フィルム3Eと薄い層3Eの集成体は、構造化中央層3Eを作るために、うねり又はアコーディオン形状として形成されており、この場合、それは挿入された薄層2と4の間に、層2、3E、3E及び4間の接触面が互いに平行のままであるようにして挟まれる。挿入された薄層2、4のそれぞれは、透明又は超透明ガラスの、例えばサン-ゴバン・グラス社により上市されているSGG Planiluxタイプのガラスの、平らな基材5又は6に、カレンダ加工によりその外側面2A、4Aを介して加えられている。更に、図2の例におけるように、グレージング1は、スクリーンゾーンZEに映像を投影する際に投映機Pの反対側となる予定の、平らな基材6の外側主表面上に反射防止コーティング7を含んでいる。
【0100】
図4~9は、グレージング1に組み入れることができる本発明による層状エレメント10のいくつかの実施形態を図示している。各実施形態において、層状エレメント10は、ゾーン間のはっきりと目に見える境界なしにスクリーンゾーンZEを周辺ゾーンZP内に一体化させるのを可能にする遷移ゾーンZTのために、その外側層2、4の一方又は他方から均一な全体的外観が得られるように設計される。この目的のために、層状エレメントのおのおのの側で、遷移ゾーンZTの任意の箇所での拡散光反射率RLdiff(ZT)は、スクリーンゾーンZEの任意の箇所での拡散光反射率RLdiff(ZE)以下であり、且つ、スクリーンゾーンZEを周辺ゾーンZPにつないでいるいずれの方向でも、スクリーンゾーンZEから周辺ゾーンZPに至る遷移ゾーンZTにおける拡散光反射率RLdiff(ZT)の変化は、減少するか、あるいは、遷移ゾーンZTのスクリーンゾーンZEとの結合部における拡散光反射率の値を通り、且つRLdiff(ZT)の変化の各極大値を通る曲線が、下方に降下するようなものである。
【0101】
好ましくは、各実施形態において、照明条件に関係なく均一な外観を得るために、層状エレメント10は、層状エレメントの各側で、
・スクリーンゾーンZEを周辺ゾーンZPにつないでいるいずれの方向でも、遷移ゾーンZTにおける拡散光反射率RLdiff(ZT)の変化が(20%)RL(ZE)/mm以下であって、ここでのRL(ZE)はスクリーンゾーンZEの全光反射率であり、
・スクリーンゾーンZEを周辺ゾーンZPにつないでいるいずれの方向でも、遷移ゾーンZTの透過におけるぼやけの曇り度T(ZT)の変化が0.7%/mm以下であり、
・スクリーンゾーンZEを周辺ゾーンZPにつないでいるいずれの方向でも、遷移ゾーンZTの透明度C(ZT)の変化が0.5%/mm以下である、
ように設計される。
【0102】
図4a及び4bに示した第1の実施形態の層状エレメント10では、スクリーンゾーンZEから周辺ゾーンZPへと進む遷移ゾーンZTにおける拡散光反射率の変化の減少が、二乗平均傾斜Rdq(ZT)がスクリーンゾーンZEから周辺ゾーンZPまで減少するという意味において、遷移ゾーンZTの中央層3Tの粗さプロファイルの連続的な変化によって得られるのに対して、中央層3E、3T、3Pは全て、同一の厚さ及び同一の化学組成を有する。
【0103】
例として、図4aを参照すると、
・スクリーンゾーンZEでは、中央層3Eが構造化されていて、二乗平均傾斜Rdq(ZE)は5°程度であり、
・周辺ゾーンZPでは、中央層3Pは平滑であり、二乗平均傾斜Rdq(ZP)は0.2°未満であり、
・幅Lが2.5mmの遷移ゾーンZTでは、中央層3Tが構造化されていて、二乗平均傾斜Rdq(ZT)は、スクリーンゾーンZEとの結合部での二乗平均傾斜Rdq(ZE)の値5°から周辺ゾーンZPとの結合部での0.2°未満の値まで連続的に減少している。
【0104】
図5a及び5bに示した第2の実施形態の層状エレメント10では、スクリーンゾーンZEから周辺ゾーンZPへと進む遷移ゾーンZTにおける拡散光反射率の変化の減少が、二乗平均傾斜Rdq(ZT)がスクリーンゾーンZEから周辺ゾーンZPに至るまで減少するという意味において、遷移ゾーンZTの中央層3Tの粗さプロファイルの段階的な変化によって得られるのに対して、中央層3E、3T、3Pは全て、同一の厚さ及び同一の化学組成を有する。
【0105】
例として、図5aを参照すると、
・スクリーンゾーンZEでは、中央層3Eが構造化されていて、二乗平均傾斜Rdq(ZE)は5°程度であり、
・周辺ゾーンZPでは、中央層3Pは平滑であり、二乗平均傾斜Rdq(ZP)は0.2°未満であり、
・幅Lが5mmの遷移ゾーンZTでは、中央層3Tが構造化されており、二乗平均傾斜Rdq(ZT)は、一連の2つの段220、221でもって減少していて、スクリーンゾーンZEに一番近い段220については、中央層3Tが構造化されて二乗平均傾斜Rdq(ZT)が3°程度であり、周辺ゾーンZPに一番近い段221については、中央層3Tが構造化されて二乗平均傾斜Rdq(ZT)が1°程度であるようになっている。
【0106】
図6a及び6bに示した第3及び第4の実施形態では、構造化した拡散反射のある領域又は部分の密度をスクリーンゾーンZEから周辺ゾーンZPに至るまで低下させることによって本発明が実施されており、それに対して、中央層3E、3T、3Pは全て、同一の厚さ及び同一の化学組成を有する。
【0107】
平滑な帯状部分と構造化した帯状部分とを交互にすることで拡散反射のある部分の密度を低下させることに対応している、図6aに示した第3の実施形態による層状エレメント10については、
・スクリーンゾーンZEにおいて、中央層3Eが構造化されていて、二乗平均傾斜Rdq(ZE)は5°程度であり、
・周辺ゾーンZPにおいて、中央層3Pは平滑であり、二乗平均傾斜Rdq(ZP)は0.2°未満であり、
・幅Lが6mmの遷移ゾーンZTにおいて、中央層3Tの粗さプロファイルが、スクリーンゾーンZEを周辺ゾーンZPにつないでいる方向において不連続になっている。
【0108】
より正確に言うと、遷移ゾーンZTは、スクリーンゾーンZEから周辺ゾーンZPに達する連続した3つの領域R0、R1、R2を含んでおり、各領域は、それぞれごとに、中央層3Tが周辺ゾーンZPと同じ粗さプロファイルを有する帯状部分、すなわち二乗平均傾斜Rdpが0.2°未満の帯状部分であって、スクリーンゾーンZEに近い方の平滑な帯状部分R10、R11、R12と、中央層3TがスクリーンゾーンZEと同じ粗さプロファイルを有する帯状部分、すなわち二乗平均傾斜Rdpが5°程度の帯状部分であって、周辺ゾーンZPに近い方の構造化帯状部分R20、R21、R22とを含む、2つの帯状部分を組み合わせることによって形成されており、連続した領域R0、R1、R2の幅LR0、LR1、LR2は一定であって、周辺ゾーンZPに接近するにつれ平滑な帯状部分の配分が増えている。言い換えれば、スクリーンゾーンZEから周辺ゾーンZPに至る方向において、平滑な帯状部分(図6aにおいて白色)の幅がますます広くなっていくのに対し、構造化帯状部分(図6aにおいて斜線を施されている)はますます狭くなっていく。
【0109】
平滑な区画と構造化区画とが交互に反復する部分を敷き並べることにより拡散反射のある部分の密度を低下させることに対応している、図6bに示した第4の実施形態による層状エレメント10については、
・スクリーンゾーンZEにおいて、中央層3Eが構造化されていて、二乗平均傾斜Rdq(ZE)は5°程度であり、
・周辺ゾーンZPにおいて、中央層3Pは平滑であり、二乗平均傾斜Rdq(ZP)は0.2°未満であり、
・幅Lが6mm程度の遷移ゾーンZTにおいて、中央層3Tの粗さプロファイルが、スクリーンゾーンZEを周辺ゾーンZPにつないでいる方向である第1の方向と、第1の方向と直角である第2の方向の両方において、不連続になっている一方で、エレメント10の中央平面とは平行になっている。
【0110】
より正確に言うと、遷移ゾーンZTは、図6bに示した例では正方形である、多角形を規則的に敷き並べたものを含み、この敷き並べたものは、第1の方向の第1の変換ベクトル(translation vector):
【0111】
【数3】
【0112】
と、第2の方向の第2の変換ベクトル:
【0113】
【数4】
【0114】
により表されている。第3の実施形態におけるように、スクリーンゾーンZEから周辺ゾーンZPに達する一連の領域R0、R1、R2を画定することができ、各領域は、中央層3Tが周辺ゾーンZPと同じ粗さプロファイルを有する正方形、すなわち二乗平均傾斜Rdpが0.2°未満の平滑な正方形R10、R11、R12と、中央層3TがスクリーンゾーンZEと同じ粗さプロファイルを有する正方形、すなわち二乗平均傾斜Rdpが5°程度の表面が構造化された正方形R20、R21、R22とが交互に反復しているものを含んでおり、一連の領域R0、R1、R2の幅LR0、LR1、LR2は一定であって、周辺ゾーンZPに接近するにつれ平滑な正方形の配分がますます増えている。
【0115】
第3及び第4の実施形態において拡散反射のある構造化された表面の領域又は部分のスクリーンゾーンZEから周辺ゾーンZPへかけての減少は、図7aの断面図ではっきりと見ることができ、この図は、層状エレメント10及び10の各ゾーンZE、ZT、ZPにおける中央層3E、3T、3Pの粗さプロファイルを示している。図7bに示したように、層状エレメント10及び10の中央層3E、3T、3Pのこのような粗さプロファイルは、
・遷移ゾーンZTのスクリーンゾーンZEとの結合部における拡散光反射率の値を通るとともに極大値を通る曲線(図7bに破線で示されている)が下方に降下しており、且つ、
・極小値がほぼゼロであって、これは二乗平均傾斜Rdqが0.2°未満である中央層3Tの部分に対応している、
というような、遷移ゾーンにおける拡散光反射率RLdiff(ZT)の変化における極大及び極小の存在に帰せられる。
【0116】
図8a及び8bに示した第5の実施形態では、本発明はまた、スクリーンゾーンZEから周辺ゾーンZPに至るまでの構造化された拡散反射のある領域又は部分の密度を低下させることによって実施され、それに対して中央層3E、3T、3Pは同一の厚さ及び同一の化学組成を有する。
【0117】
第5の実施形態の層状エレメント10は、図8aに見ることができる各ゾーンZE、ZT、ZPにおける中央層3E、3T、3Pの粗さプロファイルのために、第3及び第4の実施形態のそれと異なる。図8bに示したように、層状エレメント10の中央層3E、3T、3Pの粗さプロファイルは、
・遷移ゾーンZTのスクリーンゾーンZEとの結合部における拡散光反射率の値を通るとともに極大値を通る曲線(図8bに破線で示されている)が下方に降下しており、且つ、
・極小値を通るとともに遷移ゾーンZTの周辺ゾーンZPとの結合部における拡散光反射率の値を通る曲線(図8bに破線で示されている)が下方に降下している、
というような、遷移ゾーンにおける拡散光反射率RLdiff(ZT)の変化における極大及び極小の存在に帰せられる。
【0118】
実際には、上述の実施形態において、層状エレメント10、10、10、10、10の各ゾーンZE、ZT、ZPの中央層の粗さプロファイルを、中央層の厚さと組成が一定の各層を適切な構造を有する基材にコンフォーマル様式で堆積させることによって得ることができ、その構造は、構造化する既知の任意の方法によって、例えば基材の表面をエンボス加工することにより、又は基材表面の各部分の粗さプロファイルを調節するために例えばマスクを使用して、アブレーション、サンドブラスト、化学的処理、又はエッチングすることにより、得ることができる。
【0119】
図9に示した第6の実施形態の層状エレメント10では、スクリーンゾーンZEから周辺ゾーンZPに至るまでの遷移ゾーンZTにおける拡散光反射率の変化の減少が、スクリーンゾーンZEから周辺ゾーンZPにかけての、遷移ゾーンZTの中央層3Tの厚さの連続的な減少によって得られ、それに対して中央層3E、3Tは同一の粗さプロファイル及び同一の化学組成を有し、そして周辺ゾーンZPに中央層はない(あるいは厚さがゼロの中央層3Pがある)。
【0120】
例として、図9を参照すると、
・スクリーンゾーンZEでは、構造化中央層3Eが、厚さe(ZE)が60nm程度のTiOの層であり、
・周辺ゾーンZPには、中央層3Pがなく、外側層2と4が互いに直接接触しており、
・幅Lが5mmの遷移ゾーンZTでは、構造化中央層3Tが、スクリーンゾーンZEとの結合部における厚さe(ZE)の値60nmから、周辺ゾーンZPとの結合部におけるゼロの値まで連続的に減少する厚さe(ZT)を有するTiOの層である。
【0121】
実際には、層状エレメント10の各ゾーンZE、ZT、ZPの中央層の厚さプロファイルを、粗さが一定の基材上にコンフォーマル様式で、中央層の一定組成の各層を堆積厚さを調節して堆積させることにより得ることができる。例として、中央層3Tをマグネトロン陰極スパッタリングにより堆積させることができ、堆積の厚さをマグネトロンチャンバー内にマスクを入れて調節する。有利なことに、この実施形態は、堆積基材として先に記載したもののような構造化した市販の基材を使用するのを可能にする。
【0122】
本発明は、先に説明し図示した例に限定されない。
【0123】
とりわけ、図面に示していない別態様によれば、層状エレメントの異なるゾーン間の拡散光反射率の変化を、中央層の所定の一定の厚さ及び粗さプロファイルに対して、中央層の屈折率を変えることによって変えることが可能である。この場合には、層状エレメントの各ゾーンの中央層の化学組成の適切なプロファイルを、粗さが一定である基材上に、厚さが一定の中央層の各層を、堆積中に層の組成を変更しながらコンフォーマル様式で堆積させることにより得ることができる。遷移ゾーンの中央層は、例えば、組成が異なる2つのターゲット、詳しく言えば高屈折率の誘電性材料、例えばTiOなどを堆積させるための第1のターゲットと、低屈折率の誘電性材料、例えばSiOなどを堆積させるための第2のターゲットを使用してマグネトロン陰極スパッタリングし、そして周辺ゾーンに接近するにつれて低屈折率の材料が多くなるように堆積層の組成勾配を生じさせることによって堆積させることができ、それによりスクリーンゾーンから周辺ゾーンへと中央層の屈折率を低下させることができる。例として、使用する2つのターゲットは、堆積圧力が2×10-3mbarのAr/Oプラズマ下の、チタンの第1ターゲット、及び92:8wt%のSi:Alの第2ターゲットでよい。
【0124】
図面に示していない別態様によれば、本発明は、所定の一定の粗さプロファイルに対して、スクリーンゾーンから周辺ゾーンに達する遷移ゾーン内の中央層を備えた領域又は部分の密度を低下させることにより実施してもよい。この場合、遷移ゾーンの中央層は不連続である。例として、遷移ゾーンは、スクリーンゾーンの中央層と同一の中央層を備えた部分を含むことができ、周辺ゾーンに接近するにつれて中央層のない部分の配分が多くなっていく。
【0125】
更に、本発明による層状エレメントは、可撓性のフィルムであってもよい。詳しく言えば、図面に示した実施形態と同様の構造を、ガラス基材の代わりに有機ポリマー材料の可撓性基材を用いることで考えることができる。更に、層状エレメントが可撓性フィルムである場合、それはその外側主表面の一方に、フィルムを接着するために取り除く予定の保護ストリップ(ライナー)で覆われた接着剤の層を備えるのが有利である。この場合、可撓性フィルムの形をした層状エレメントは、既存の表面に、例えば透明グレ-ジングの表面に接着により取り付けて、それによりグレージングを通り抜ける正透過の特性を維持しながら、この表面に各スクリーンゾーン及び遷移ゾーンのレベルにおける拡散反射の特性を与えることができる。
【0126】
本発明による層状エレメントは、投映又は背面投映により映像を投映することを可能にする一方で、全体として均一な外観のグレージングを通して鮮明な眺望を保証する透明グレージングを得ることを所望する、グレージングの既知の全ての用途のために、例えば乗り物、建物、街路備品、内装備品、広告掲示板、投映スクリーンなどために、使用することができる。
本発明の実施態様の一部を以下の項目1~17に記載する。
〈項目1〉屈折率(n2、n4)がほぼ同じであっておのおのが平滑な外側主表面(2A、4A)を有する2つの透明外側層(2、4)を含む透明層状エレメント(10 、10 、10 、10 、10 、10 )であり、
・前記外側層(2、4)の間に挿入されている構造化中央層(3E)であって、互いに平行で二乗平均傾斜Rdqが厳密に0.2°より大きい構造化した接触表面を画定している中央層(3E)を含む、拡散反射及び正透過の特性を持つスクリーンゾーン(ZE)であって、前記スクリーンゾーンの前記中央層(3E)が、前記外側層又は金属性層の屈折率と異なる屈折率(n3E)を有する少なくとも1つの透明層を含んでいる、スクリーンゾーン(ZE)、及び
・正反射及び正透過の特性を持つ周辺ゾーン(ZP)、
を含む層状エレメントであって、
前記層状エレメントは、前記スクリーンゾーン(ZE)と前記周辺ゾーン(ZP)との間に、拡散反射及び正透過の特性を持つ遷移ゾーン(ZT)を含んでおり、前記遷移ゾーンが、前記外側層(2、4)の間に挿入されている構造化中央層(3T)であって、互いに平行で二乗平均傾斜Rdqが厳密に0.2°より大きい構造化した接触表面を画定している中央層(3T)を含んでおり、前記遷移ゾーンの前記中央層(3T)が、前記外側層又は金属性層の屈折率と異なる屈折率(n3T)を有する少なくとも1つの透明層を含んでいること、及び
前記遷移ゾーンの任意の箇所における拡散光反射率(RL diff (ZT))が、前記スクリーンゾーンの任意の箇所における拡散光反射率(RL diff (ZE))以下であり、且つ、前記スクリーンゾーンを前記周辺ゾーンにつないでいるいずれの方向においても、前記スクリーンゾーンから前記周辺ゾーンに至るまでの前記遷移ゾーンにおける拡散光反射率(RL diff (ZT))の変化が、減少しているか、又は、前記遷移ゾーンと前記スクリーンゾーンとの結合部における拡散光反射率の値を通り、且つ前記遷移ゾーンにおける前記拡散光反射率(RL diff (ZT))の変化の各極大値を通る曲線が、下方に降下しているようなものであり、前記遷移ゾーンにおける拡散光反射率(RL diff (ZT))の変化の前記減少、又は前記遷移ゾーンにおける拡散光反射率(RL diff (ZT))の変化の各極大値を通る曲線の前記降下が、前記スクリーンゾーン(ZE)を前記周辺ゾーン(ZP)につないでいるいずれの方向でも、前記遷移ゾーン(ZT)の前記中央層(3T)の二乗平均傾斜(Rdq(ZT))及び全光反射率(RL(ZT))のうちの少なくとも1つのパラメータを変えることにより得られていること、
を特徴とする、透明層状エレメント(10 、10 、10 、10 、10 、10 )。
〈項目2〉前記スクリーンゾーン(ZE)を前記周辺ゾーン(ZP)につないでいるいずれの方向でも、前記遷移ゾーン(ZT)における拡散光反射率(RL diff (ZT))の変化が、(20%)RL(ZE)/mm以下(ここでのRL(ZE)は前記スクリーンゾーンの平均全光反射率である)であることを特徴とする、項目1に記載の層状エレメント。
〈項目3〉前記スクリーンゾーンを前記周辺ゾーンにつないでいるいずれの方向でも、前記スクリーンゾーン(ZE)から前記周辺ゾーン(ZP)に至るまでの前記遷移ゾーン(ZT)における拡散光反射率(RL diff (ZT))の変化が、前記遷移ゾーンの前記スクリーンゾーンとの結合部における拡散光反射率の値を通り、且つ前記遷移ゾーンにおける拡散光反射率(RL diff (ZT))の変化の各極小値を通る曲線が、下方に降下するようなものであることを特徴とする、項目1又は2に記載の層状エレメント。
〈項目4〉前記遷移ゾーン(ZT)における拡散光反射率(RL diff (ZT))の変化が、前記スクリーンゾーンを前記周辺ゾーンにつないでいるいずれの方向でも、前記スクリーンゾーン(ZE)から前記周辺ゾーン(ZP)に至るまで連続的に減少していることを特徴とする、項目1又は2に記載の層状エレメント。
〈項目5〉少なくとも1つの段であって、前記段の任意の箇所における拡散光反射率が前記スクリーンゾーン及び前記スクリーンゾーンに近い方の任意の先行の段の任意の箇所における拡散光反射率よりも厳密に小さい、少なくとも1つの段によって、前記スクリーンゾーンを前記周辺ゾーンにつないでいるいずれの方向でも、前記遷移ゾーン(ZT)における拡散光反射率(RL diff (ZT))の変化が、前記スクリーンゾーン(ZE)から前記周辺ゾーン(ZP)まで減少していることを特徴とする、項目1又は2に記載の層状エレメント。
〈項目6〉前記スクリーンゾーン(ZE)を前記周辺ゾーン(ZP)につないでいるいずれの方向においても、前記遷移ゾーン(ZT)が、前記スクリーンゾーンから前記周辺ゾーンに達する少なくとも2つの一連の領域(R0、R1、R2)を含んでおり、各領域が、前記スクリーンゾーンに近い方の第1の部分(R10、R11、R12)と、前記周辺ゾーンに近い方の第2の部分(R20、R21、R22)とを含む2つの部分を組み合わせることよって形成されていて、前記第1の部分の平均拡散光反射率が前記第2の部分の平均拡散光反射率よりも厳密に小さく、前記一連の領域(R0、R1、R2;R’0、R’1)において、前記周辺ゾーンに接近するにつれて前記第1の部分の配分がより多くなっていることを特徴とする、項目1又は2に記載の層状エレメント。
〈項目7〉前記スクリーンゾーン(ZE)を前記周辺ゾーン(ZP)につないでいるいずれの方向でも、前記遷移ゾーン(ZT)の透過におけるぼやけ(曇り度T(ZT))の変化が0.7%/mm以下であることを特徴とする、項目1~6のいずれか1項に記載の層状エレメント。
〈項目8〉前記スクリーンゾーン(ZE)を前記周辺ゾーン(ZP)につないでいるいずれの方向でも、前記遷移ゾーン(ZT)の透明度(C(ZT))の変化が0.5%/mm以下であることを特徴とする、項目1~7のいずれか1項に記載の層状エレメント。
〈項目9〉前記遷移ゾーン(ZT)の前記中央層(3T)の二乗平均傾斜(Rdq(ZT))及び全光反射率(RL(ZT))のうちの第1のパラメータが、一定であって且つ前記スクリーンゾーン(ZE)の前記中央層(3E)の対応するパラメータに等しく、その一方で、前記遷移ゾーン(ZT)の前記中央層(3T)の二乗平均傾斜(Rdq(ZT))及び全光反射率(RL(ZT))のうちの第2のパラメータが、前記スクリーンゾーン(ZE)の前記中央層(3E)の対応するパラメータ以下であって、且つ、前記スクリーンゾーンを前記周辺ゾーンにつないでいるいずれの方向でも、前記スクリーンゾーン(ZE)から前記周辺ゾーン(ZP)に至るまで減少して変化していることを特徴とする、項目1~8のいずれか1項に記載の層状エレメント。
〈項目10〉前記スクリーンゾーン(ZE)を前記周辺ゾーン(ZP)につないでいるいずれの方向でも、前記遷移ゾーン(ZT)の前記中央層(3T)の二乗平均傾斜(Rdq(ZT))の変化が、3.5°/mm以下、好ましくは3°/mm以下、より好ましくは2°/mm以下であることを特徴とする、項目1~9のいずれか1項に記載の層状エレメント。
〈項目11〉前記スクリーンゾーン(ZE)を前記周辺ゾーン(ZP)につないでいるいずれの方向でも、前記遷移ゾーン(ZT)の前記中央層(3T)の全光反射率(RL(ZT))の変化が(20%)RL(ZE)/mm以下である(ここでのRL(ZE)は前記スクリーンゾーンの平均全光反射率である)ことを特徴とする、項目1~10のいずれか1項に記載の層状エレメント。
〈項目12〉前記遷移ゾーン(ZT)の前記中央層(3T)が、前記スクリーンゾーン(ZE)の前記中央層(3E)の屈折率(n3E)に等しい屈折率(n3T)を有しており、前記遷移ゾーン(ZT)の前記中央層(3T)の全光反射率(RL(ZT))の変化が、前記スクリーンゾーンから前記周辺ゾーンに至るまでの前記中央層(3T)の厚さ(e3T)の減少によって、前記スクリーンゾーンを前記周辺ゾーンにつないでいるいずれの方向においても、前記スクリーンゾーン(ZE)から前記周辺ゾーン(ZP)に至るまで減少していることを特徴とする、項目1~11のいずれか1項に記載の層状エレメント。
〈項目13〉前記遷移ゾーン(ZT)の前記中央層(3T)が、前記スクリーンゾーン(ZE)の前記中央層(3E)の厚さ(e3E)に等しい厚さ(e3T)を有しており、前記遷移ゾーン(ZT)の前記中央層(3T)の全光反射率(RL(ZT))の変化が、前記スクリーンゾーンから前記周辺ゾーンに至るまでの前記中央層(3T)の屈折率(n3T)の変化によって、前記スクリーンゾーンを前記周辺ゾーンにつないでいるいずれの方向においても、前記スクリーンゾーン(ZE)から前記周辺ゾーン(ZP)に至るまで減少していることを特徴とする、項目1~11のいずれか1項に記載の層状エレメント。
〈項目14〉前記層状エレメント(10 、10 、10 、10 、10 、10 )が可撓性フィルムであることを特徴とする、項目1~13のいずれか1項に記載の層状エレメント。
〈項目15〉項目1~14のいずれか1項に記載の層状エレメント(10 、10 、10 、10 、10 、10 )を含む透明グレージング(1)。
〈項目16〉前記層状エレメントに接して配置され、好ましくは以下のものから選択された、少なくとも1つの追加の層を更に含むことを特徴とする、項目15に記載の透明グレージング:
・2つの平滑な主表面を含むポリマー、ガラス又はセラミックから選択される透明基材、
・最初は成形作業に適した粘性、液体又はペースト状態の硬化性材料、特にゾル-ゲル層、
・ポリマー材料、特に熱成形可能な又は感圧性のポリマー材料をベースとする、挿入された薄層。
〈項目17〉空気と、前記スクリーンゾーン(ZE)へ映像を投影する際に投映機と向かい合う予定の前記グレージングの外側主要面を形成している層を構成している材料との界面に、少なくとも1つの反射防止コーティング(7)を含むことを特徴とする、項目15又は16に記載の透明グレージング。
図1
図2
図3
図4a
図4b
図5a
図5b
図6a
図6b
図7a
図7b
図8a
図8b
図9
図10a
図10b