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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-08
(45)【発行日】2024-03-18
(54)【発明の名称】グリップおよび撮像装置
(51)【国際特許分類】
   G03B 17/56 20210101AFI20240311BHJP
   G03B 17/02 20210101ALI20240311BHJP
【FI】
G03B17/56 C
G03B17/02
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020020010
(22)【出願日】2020-02-07
(65)【公開番号】P2021124681
(43)【公開日】2021-08-30
【審査請求日】2023-01-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(72)【発明者】
【氏名】関口 夏未
(72)【発明者】
【氏名】小島 裕
(72)【発明者】
【氏名】中川 祐介
【審査官】登丸 久寿
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-016861(JP,A)
【文献】特開2004-282127(JP,A)
【文献】特開2007-026701(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 17/56
G03B 17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置の本体に着脱可能なグリップであって、
前記グリップを前記本体に取り付ける締結部材と、
前記グリップを取り付けた前記本体から電池を挿抜可能な開位置と、前記グリップを取り付けた前記本体から電池を挿抜できない閉位置との間で動作し、前記閉位置において、前記電池の挿抜方向に配置されている電池蓋と、
前記電池蓋の前記本体の側に設けられた、前記電池蓋の開閉を検知する前記本体に設けられた検知部材を押圧する押圧部材と、を備え、
前記押圧部材は、前記電池蓋に対して可動し、
前記押圧部材は、前記電池蓋に対して回動可能であり、
前記押圧部材は、
前記閉位置において前記検知部材に当接して押圧する押圧部と、
前記閉位置において前記本体と当接して、前記押圧部の前記検知部材を押圧する方向とは逆の方向への可動範囲を規制する第1の規制面と、を有することを特徴とするグリップ。
【請求項2】
撮像装置の本体に着脱可能なグリップであって、
前記グリップを前記本体に取り付ける締結部材と、
前記グリップを取り付けた前記本体から電池を挿抜可能な開位置と、前記グリップを取り付けた前記本体から電池を挿抜できない閉位置との間で動作し、前記閉位置において、前記電池の挿抜方向に配置されている電池蓋と、
前記電池蓋の前記本体の側に設けられた、前記電池蓋の開閉を検知する前記本体に設けられた検知部材を押圧する押圧部材と、を備え、
前記押圧部材は、前記電池蓋に対して可動し、
前記押圧部材は、
前記閉位置において前記検知部材に当接して押圧する押圧部と、
前記閉位置において前記本体と当接して、前記押圧部の前記検知部材を押圧する方向とは逆の方向への可動範囲を規制する第1の規制面と、を有し、
前記電池蓋は、前記検知部材を押圧する方向とは逆の方向に前記押圧部材を付勢する付勢部材を備えることを特徴とするグリップ。
【請求項3】
前記閉位置において、前記押圧部と前記第1の規制面は、前記押圧部材の回動軸の軸方向から見た断面において前記回動軸を挟んだ位置に設けられることを特徴とする請求項1または2に記載のグリップ。
【請求項4】
前記第1の規制面には、弾性部材が設けられることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のグリップ。
【請求項5】
前記電池蓋が前記閉位置でロックされた際に、前記押圧部材の前記押圧部の前記検知部材を押圧する方向への可動範囲を規制する係止部材と、を備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のグリップ。
【請求項6】
前記押圧部材は、前記電池蓋の開方向側に前記第1の規制面と対向する第2の規制面を有し、
前記係止部材は、前記電池蓋が前記閉位置でロックされた際に、前記押圧部材の前記第2の規制面と当接することを特徴とする請求項5に記載のグリップ。
【請求項7】
前記押圧部材は、前記電池蓋の開方向側の面に対して垂直な方向に可動することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のグリップ。
【請求項8】
前記電池蓋は、前記検知部材を押圧する方向に前記押圧部材を付勢する付勢部材を備えることを特徴とする請求項7に記載のグリップ。
【請求項9】
前記電池蓋が前記閉位置にあることが検知される際に前記検知部材が押圧される荷重よりも、前記付勢部材が前記押圧部材を付勢する荷重の方が大きいことを特徴とする請求項8に記載のグリップ。
【請求項10】
撮像装置の本体に着脱可能なグリップであって、
前記グリップを前記本体に取り付ける締結部材と、
前記グリップを取り付けた前記本体から電池を挿抜可能な開位置と、前記グリップを取り付けた前記本体から電池を挿抜できない閉位置との間で動作し、前記閉位置において、前記電池の挿抜方向に配置されている電池蓋と、
前記電池蓋の前記本体の側に設けられた、前記電池蓋の開閉を検知する前記本体に設けられた検知部材を押圧する押圧部材と、を備え、
前記押圧部材は、前記電池蓋の開方向側の面に対して垂直な方向に可動し、
前記押圧部材は、
前記閉位置において前記検知部材に当接して押圧する押圧部と、
前記閉位置において前記本体と当接して、前記押圧部材の前記検知部材を押圧する方向への可動範囲を規制する第1の規制面と、を有することを特徴とするグリップ。
【請求項11】
前記押圧部材は、前記電池蓋の開方向側に、前記押圧部材の開方向への可動範囲を規制する第2の規制面を有する請求7乃至10のいずれか1項に記載のグリップ。
【請求項12】
前記閉位置における、前記押圧部材の可動範囲は、前記検知部材が前記電池蓋が閉位置であると検知する高さと、前記検知部材が前記押圧部材の押圧により破壊される押圧限度位置の間であることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載のグリップ。
【請求項13】
前記押圧部材は、前記電池蓋において前記本体の背面側に設けられることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載のグリップ。
【請求項14】
前記本体の底面に着脱可能である
ことを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載のグリップ。
【請求項15】
請求項1乃至14のいずれか1項に記載のグリップを備え、
前記検知部材が前記押圧部材によって押圧され前記電池蓋が閉位置であると検知した場合に、電源の検知を可能とすることを特徴とする撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グリップおよび撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ミラーレスカメラ本体の小型化が進み、カメラ本体を手で持った際のホールド性維持・向上のためのアクセサリや補助グリップなどが発売されている。例えば特許文献1は、カメラ本体に設けられたグリップに、一回り大きな補助グリップを着脱自在に取りつけられるカメラ装置を開示している。また、カメラ本体が小型化していくと、手の大きなユーザはカメラ本体をホールドした際に、小指や薬指が余ってしまうため、ホールド性を向上させるために、カメラ本体の底面に着脱可能な延長グリップが商品化されている。
【0003】
カメラ本体の底面に電池(バッテリー)交換時に開閉する電池蓋が設けられている場合、カメラ本体の底面に着脱可能な延長グリップにも電池交換用の電池蓋が設けられる。電池蓋には電源検知押圧部材が設けられており、カメラ本体には電源検知押圧部材に対応する電源検知部材が設けられている。電源検知押圧部材が電源検知部材を押し込むことで、電源検知ON状態となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-328424号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の延長グリップでは、延長グリップに成型反りなどにより変形が生じた場合などに、電源検知押圧部材が電源検知部材を十分に押圧できず、電池蓋が閉められたことを検知できず、電源探知がON状態とならない可能性がある。また逆に、延長グリップの変形により、電源検知押圧部材が電源検知部材を押圧しすぎて破壊してしまう恐れもある。
【0006】
本発明は、グリップ装着時において、電池蓋の開閉の検知精度が向上することを可能にしたグリップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のグリップは、撮像装置の本体に着脱可能なグリップであって、前記グリップを前記本体に取り付ける締結部材と、前記グリップを取り付けた前記本体から電池を挿抜可能な開位置と、前記グリップを取り付けた前記本体から電池を挿抜できない閉位置との間で動作し、前記閉位置において、前記電池の挿抜方向に配置されている電池蓋と、前記電池蓋の前記本体の側に設けられた、前記電池蓋の開閉を検知する前記本体に設けられた検知部材を押圧する押圧部材と、を備え、前記押圧部材は、前記電池蓋に対して可動し、前記押圧部材は、前記電池蓋に対して回動可能であり、前記押圧部材は、前記閉位置において前記検知部材に当接して押圧する押圧部と、前記閉位置において前記本体と当接して、前記押圧部の前記検知部材を押圧する方向とは逆の方向への可動範囲を規制する第1の規制面と、を有する
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、グリップ装着時において、電池蓋の開閉の検知精度が向上することを可能にしたグリップを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係る延長グリップを示す図である。
図2】第1実施形態に係るカメラ本体を示す図である。
図3】第1実施形態に係る延長グリップが装着されたカメラ本体を示す図である。
図4】第1実施形態に係る延長グリップの分解斜視図である。
図5】従来の延長グリップを説明する図である。
図6】第1実施形態に係るカメラ本体の電源検知部材と延長グリップの電源検知押圧部材の位置関係を説明する図である。
図7】第1実施形態に係る延長グリップの係止部材と電源検知押圧部材の位置関係を説明する図である。
図8】第1実施形態に係る延長グリップがカメラ本体に装着され、係止部材により係止された状態における、電源検知押圧部材周囲を説明する図である。
図9】第2実施形態に係る延長グリップの外観を示す図である。
図10】第2実施形態に係る延長グリップの分解斜視図である。
図11】第2実施形態に係るカメラ本体の電源検知部材と延長グリップの電源検知押圧部材の位置関係を説明する図である。
図12】第2実施形態に係る電源検知押圧部材周囲を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態における延長グリップを示す図である。図2は、延長グリップが着脱可能な撮像装置の本体(カメラ本体)を示す図である。図3は、延長グリップが装着されたカメラ本体を示す図である。延長グリップ200(把持部)は、デジタルカメラなどの撮像装置の本体(例えば、図2に示されるカメラ本体100)の底面に着脱可能な外付け装置である。例えば、延長グリップ200を小型のデジタルカメラの底辺に装着することによって、カメラのグリップ部がカメラ本体の底面側に延長され、手の大きなユーザであってもカメラを良好に把持(ホールド)することができるようになる。
【0011】
延長グリップ200は、延長グリップ筐体201、締結部材211、ダイヤル212、蓋部材220を有する。また、本実施形態の蓋部材220には、電源検知押圧部材230が設けられている。カメラ本体100は、背面カバー101、三脚ねじ110、電池蓋102、グリップ部104、カメラ筐体105、撮像素子、レンズマウント、制御部(CPU(中央演算処理装置))などを有する。延長グリップ200は、カメラ本体100の底面に着脱可能である。
【0012】
延長グリップ筐体201は、ポリカーボネートなどの樹脂で形成され、以降説明する様々な部品が組み付けられる延長グリップ200のベースとなる。締結部材211およびダイヤル212は、延長グリップ200をカメラ本体に取り付けるための部材である。締結部材211には雄ねじが形成され、カメラ本体の底面に形成された三脚ねじ110に固定することができる。ユーザはダイヤル212を所定の方向に回して締結部材211と三脚ねじ110を締め付けることで延長グリップ200をカメラ本体に装着し、逆の方向に回して締結部材211と三脚ねじ110を緩めることで延長グリップ200をカメラ本体から取り外す。
【0013】
蓋部材220は、延長グリップ200が撮像装置のカメラ本体100に装着された状態でカメラ本体100内の電池103(図2(C))を挿抜する際に開閉させる蓋部である。蓋部材220は、延長グリップ200を取り付けたカメラ本体100から電池103を挿抜可能な開位置と、延長グリップ200を取り付けたカメラ本体100から電池103を挿抜できない閉位置との間で動作する。以下では、閉位置に向かう方向すなわちカメラ本体100に装着した際に蓋部材220においてカメラ本体100側となる方向を閉方向、開位置に向かう方向すなわち蓋部材220において底面側となる方向を開方向ともいう。蓋部材220は、閉位置において電池103の挿抜方向に配置されている。蓋部材220のカメラ本体100側には、電源検知押圧部材230が設けられている。電源検知押圧部材230の詳細な説明は後述する。
【0014】
図2(A)および図2(B)は、カメラ本体100の外観を示す図である。Z軸は、カメラ本体100の撮影光軸と平行であり、被写体(不図示)からカメラ本体100に向かう方向を正方向とする。Y軸は、Z軸を水平方向と平行としたときに鉛直方向と平行となる軸であり、天に向かう方向を正の方向とする。X軸はY軸及びZ軸と直交する軸である。また、以下の説明では、Z軸負方向側を「正面側」、Z軸正方向側を「背面側」とする。そして、カメラ本体100の正面側の面を「前面」、背面側の面を「背面」、Y軸正方向側の面を「上面」、Y軸負方向側の面を「底面」、X軸と略直交する2つ面を「側面」とする。
【0015】
カメラ筐体105は、カメラ本体100の骨格を形成する。背面カバー101は、カメラ本体100の背面を形成する背面カバーである。カメラ本体100の底面に設けられた三脚ねじ110は、三脚、雲台等にカメラ本体100を固定するための締結部である。三脚ねじ110には、雌ねじが形成されている。本実施形態では、三脚ねじ110と延長グリップ200の締結部材211を締結することで、カメラ本体100に延長グリップ200を装着する。
【0016】
電池蓋102は、カメラ本体100内の電池103を挿抜する際に開閉させる蓋部である。電池蓋102は、カメラ本体100から電池103をy軸方向に挿抜可能な開位置と、カメラ本体100から電池103を挿抜できない閉位置との間で動作する。ユーザが、電池蓋102のロック解除レバーを操作することで、電池蓋102を開けることができる。延長グリップ200をカメラ本体100に装着する際には、電池蓋102は取り外される。グリップ部104は、ユーザがカメラ本体100を把持した際に手が掛かるグリップ部であり、カメラ本体100の正面側に突出した形状をしている。
【0017】
図2(C)は、電池蓋102を外した状態のカメラ本体100を示す図である。電池室内には電池103、撮像装置が撮影した画像を記録する記録媒体であるメディア131が収められている。電池103およびメディア131は、カメラ本体100に対して挿抜可能である。電池103は、カメラ本体100のグリップ部104に縦位置に収納されている。
【0018】
メイン基板120は、カメラ本体100の内部に搭載された実装基板である。メイン基板120には、撮影した画像データ等を保存するメディア131を挿入するためのメディアスロット130が設けられている。電池蓋102の投影上に電池103とメディアスロット130を配置するため、電池103をカメラ本体100の正面側であるグリップ部104に、メイン基板120をカメラ本体100の背面側に配置している。このことより、電池蓋102を開けた際に、ユーザは電池103とメディア131両方の挿抜が可能である。
【0019】
また、メイン基板120には、押圧されるとカメラ本体100の電源検知をON状態にする電源検知部材121が設けられている。電源検知部材121は、電池103の蓋(電池蓋102または蓋部材220)の開閉検知を行うスイッチである。本実施形態のカメラ本体100は、電池103の蓋が閉まらないとカメラ本体100の電源検知を行わない仕様である。そのため、電源検知部材121が電池蓋102または蓋部材220により押圧されて電池蓋102または蓋部材220が閉められたことを検知した場合に、カメラ本体100の電源検知がON状態となる。メイン基板120がカメラ本体100の背面側に配置されるため、電源検知部材121もカメラ本体100の背面側に配置される。そのため、電源検知部材121を押圧する電源検知押圧部材230も蓋部材220において、カメラ本体100の背面側に配置される。電源検知部材121が押圧される構成については、図6で説明する。
【0020】
図3は、カメラ本体100の底面に延長グリップ200が装着された状態を示す図である。図3(A)は、カメラ本体100に延長グリップ200が装着された状態の外観を示す図である。図3(B)は、カメラ本体100に延長グリップ200が装着された状態において、カメラ本体100の背面カバー101を外した状態を示す図である。
【0021】
カメラ本体100の電源検知部材121が、延長グリップ200の電源検知押圧部材230により押圧されると、カメラ本体100の電源検知はON状態となる。カメラ筐体105には、メイン基板120がビス106a~ビス106eによって締結されている。これにより、メイン基板120上に実装された電源検知部材121と、カメラ筐体105に介在する部品数を少なくし、部品積み上げ公差を小さくできる。
【0022】
図4は、延長グリップ200の分解斜視図である。延長グリップ200に設けられた蓋部材220は、蓋部材カバー221、蓋部材ベース222、電源検知押圧部材230を有する。蓋部材カバー221および蓋部材ベース222は、複数のビス223により締結されている。蓋部材220は、蓋部材回動軸224により、延長グリップ筐体201にz軸方向に回動可能に取り付けられる。蓋部材220を矢印C方向に回動させると、電池蓋102は開き、カメラ本体100に装着した状態で電池103の挿抜が可能である。
【0023】
蓋部材カバー221は、延長グリップ200をカメラに装着した際にカメラ本体100側に位置し、蓋部材ベース222は、延長グリップ200をカメラに装着した際にカメラ本体100とは反対側に位置する。そして、本実施形態の電源検知押圧部材230は、蓋部材カバー221と蓋部材ベース222の間に、押圧部材回動軸240を中心として回動できる状態で設置される。電源検知押圧部材230の先端は蓋部材カバー221に設けられたホールを抜けて、カメラ本体100に設けられた電源検知部材121を押圧する。
【0024】
つまみ部250は、外付け部品である延長グリップ200の蓋部材220の開閉を行うために用いられる操作部材である。つまみ部250は、つまみ部回動軸252により、台座部251とx軸方向に回動操作可能に取り付けられている。係止部材253は、蓋部材ベース222を間に挟んで台座部251に当接し、ビス254で締結される。係止部材253は、つまみ部250と連動しており、台座部251に取り付けられたつまみ部250をy軸方向に回動操作することで、係止部材253をロック位置とロック解除位置で回動可能としている。係止部材253がロック位置にあるとき、係止部材253は延長グリップ筐体201に形成されている係止凹部202で係止され、蓋部材220は延長グリップ筐体201に係止される。なお、つまみ部250と係止部材253は、一体となっていてもよい。
【0025】
ダイヤル212および締結部材211は、延長グリップ筐体201に対し、+y軸方向に組付けられ、不図示のEリング等によりy軸方向に対し回動可能に固定される。延長グリップ筐体201が矢印P方向に成型反りがある場合、成型反りと逆方向から締結部材211を組み付けることで、延長グリップ200をカメラ本体100に装着した際の延長グリップ筐体201の成型反りを抑えることが可能である。これにより、延長グリップ筐体201の成型反りによる電源検知押圧部材230の位置の変動を抑制でき、電源検知押圧部材230の押し込み量も不足や、電源検知部材121を押し込み過ぎて破壊することを抑制することができる。
【0026】
ここで、本実施形態の特徴である電源検知押圧部材230について詳細に説明する。図5は、従来の延長グリップ500を説明する図である。図5(A)は、従来の延長グリップ500を説明する図である。従来の延長グリップ500では、延長グリップ蓋部材520の蓋部材カバー521上に電源検知押圧部材530が設けられている。言い換えると、電源検知押圧部材530は蓋部材カバー521に固定されている。
【0027】
図5(B)および図5(C)は。従来の延長グリップ500をカメラ本体100に装着した様子を説明する図である。この際、図5(C)に示されるように、電源検知押圧部材530はカメラ本体100に設けられた電源検知部材121を押圧する。これにより、電源検知部材121は延長グリップ蓋部材520が閉められたことを検知し、カメラ本体100の電源検知がON状態となる。
【0028】
しかしながら、延長グリップ500に成型反りが生じた場合などに、電源検知押圧部材530が電源検知部材121を十分に押圧できず、電源検知がON状態とならない可能性がある。具体的には、延長グリップ500はx軸方向に長手な形状のため、矢印P方向に成型反りが生じやすい。延長グリップ500に反りが生じると、延長グリップ蓋部材520にある電源検知押圧部材530の位置が変動してしまう。電源検知押圧部材530の位置が変動すると、延長グリップ500をカメラ本体100に装着しても、電源検知押圧部材530が電源検知部材121を十分に押し込めず、電源検知がON状態とならない可能性がある。また逆に、電源検知押圧部材530が電源検知部材121を押圧しすぎて、電源検知部材121を破壊してしまう恐れもある。
【0029】
そこで本実施形態の延長グリップ200には、延長グリップ200に成型反りなどにより変形が生じた場合でも、カメラ本体100の電源検知部材121を十分に押圧できる可動式の電源検知押圧部材230を設ける。電源検知押圧部材230は、押圧部材回動軸240によりz軸を中心に回動可能となるように蓋部材カバー221に取り付けられる。開きばね241は、押圧部材回動軸240を中心に挿入された付勢部材である。開きばね241の先端は電源検知押圧部材230と蓋部材カバー221に当接する。開きばね241は、電源検知押圧部材230を電源検知部材121を押圧する方向とは逆の方向に付勢する。
【0030】
図6を用いて、電源検知押圧部材230が電源検知部材121を押圧する動作について説明する。図6は、カメラ本体100の電源検知部材121と延長グリップ200の電源検知押圧部材230の位置関係を説明する図である。電源検知押圧部材230はその先端に、カメラ本体100の電源検知部材121に当接して押圧する押圧部231を有する。延長グリップ200がカメラ本体100に装着され蓋部材220が開いた状態では、電源検知押圧部材230は電源検知部材121を押圧する方向とは逆の方向(矢印A方向)に付勢されており、押圧部231は高さ231aの位置にある。延長グリップ200がカメラ本体100に装着され、蓋部材220が閉じた状態でユーザにより係止部材253をロック位置に操作されると、電源検知押圧部材230は高さ231bに係止される。なお、係止部材253が電源検知押圧部材230を係止する動作の詳細は図7および図8で説明する。
【0031】
カメラ本体100の電源検知部材121は、電源検知押圧部材230に押圧されることで蓋部材220の開閉を検知する検知部122を有する。延長グリップ200がカメラ本体100に装着され蓋部材220が開いた状態では、検知部122が押圧部231に押圧されず、検知部122は高さ122aの位置にある。検知部122が高さ122aにある状態では、電源検知はOFF状態である。蓋部材220が閉じられてユーザにより係止部材253をロック位置に操作されると、検知部122は押圧部231に押圧され、高さ122bの高さになる。検知部122が高さ122bにある状態では、電源検知はON状態となる。
【0032】
押圧部231が電源検知部材121を押圧する方向とは逆の方向(矢印A方向)に付勢されていることで、蓋部材220を閉じ切る直前で押圧部231は検知部122と接触し、検知部122を高さ122bの位置に押し上げる。そのため、ユーザが蓋部材220を閉じ切る前に電源検知部材121が押圧され、電源検知がON状態となる誤検知を抑制することができる。
【0033】
高さ122dの位置は、電源検知部材121の破壊限界高さ(押圧により破壊される押圧限度位置)である。検知部122が高さ122dよりも+y軸方向になると、電源検知部材121は破壊される恐れがある。そのため、押圧部231は高さ122dよりも-y軸方向側にする必要がある。押圧部231が高さ122dよりも-y軸方向側に規制される手段については、図8を用いて後述する。
【0034】
このように、検知部122が高さ122bよりも+y軸方向側で、なおかつ、破壊限界高さ122dよりも-y軸方向側にある場合(例えば、高さ122c)に、電顕検知がON状態となる。このように電源検知押圧部材230の可動範囲を規制することによって、蓋部材220を閉じ切る直前で電源検知をON状態にして、なおかつ電源検知部材121の破壊を抑制することが可能である。
【0035】
図7は、延長グリップ200の電源検知押圧部材230と係止部材253の位置関係を説明する図である。ユーザによりつまみ部250が操作されると、係止部材253はy軸方向に回動する。係止部材253が位置253aにあるとき、蓋部材220は係止部材253によって延長グリップ筐体201に係止されず、フリーな状態である。つまみ部250をユーザが操作し、係止部材253が位置253bにあるとき、係止部材253は延長グリップ筐体201の係止凹部202に係止し、蓋部材220を延長グリップ筐体201に係止(ロック)することが可能である。また、係止部材253が位置253bにあるとき、係止部材253は後述する電源検知押圧部材230の第2の規制面233とも当接する。
【0036】
図8は、延長グリップ200がカメラ本体100に装着され、係止部材253により電源検知押圧部材230が係止された状態における、電源検知押圧部材230周囲を示す図を示す。閉位置において電源検知押圧部材230のカメラ本体100側となる面(閉方向側の面)には、押圧部231と第1の規制面232が設けられている。押圧部231と第1の規制面232は、押圧部材回動軸240の軸方向から見た断面において、押圧部材回動軸240を挟んだ位置(押圧部材回動軸240に対して-x軸側と+x軸側)にそれぞれ設けられる。第1の規制面232には、弾性部材242が不図示の両面テープ等により貼り付けられている。
【0037】
係止部材253が図7で示した位置253bにあるとき、電源検知押圧部材230の第1の規制面232は、カメラ本体100の背面カバー101に対して弾性部材242を介し当接する。矢印A方向に付勢されている電源検知押圧部材230が背面カバー101に当接することで、押圧部231を高さ231bの位置に規制することができる。背面カバー101は、カメラ筐体105に締結しており、電源検知部材121と背面カバー101に介在する部品を少なくすることができるため、部品積み上げ公差を小さくすることができる。そのため、電源検知押圧部材230は、電源検知部材121と部品積み上げ公差が小さい背面カバー101と当接する構成にするのが好ましい。なお、本実施形態では電源検知押圧部材230は背面カバー101と当接しているが、カメラ筐体105と当接しても良い。
【0038】
第1の規制面232と背面カバー101の間に弾性部材242を設けることで、部品公差や延長グリップ筐体201の成型反りがある場合でも、弾性部材242が変形することにより、電源検知押圧部材230を高さ231bの位置にすることが可能である。
【0039】
電源検知押圧部材230には、第1の規制面232と対向する面(開方向側の面)に第2の規制面233が設けられている。係止部材253が位置253bにあるとき、電源検知押圧部材230の第2の規制面233と係止部材253が当接し、電源検知押圧部材230が電源検知部材121を押し込みすぎてしまうことを抑制する。このように、閉位置において、第1の規制面232が背面カバー101に当接し、第2の規制面233が係止部材253に当接することで、電源検知押圧部材230の可動範囲を規制することができる。可動範囲を規制することにより、電源検知部材121の押圧を適切に行い、蓋部材220の開閉の検知の精度を向上させることができる。また、閉位置においてカメラ本体100に落下等の衝撃があった場合でも、電源検知部材121を電源検知のON状態を維持することが可能である。
【0040】
以上に説明したように、本実施形態によると、回動可能な電源検知押圧部材230を設けることで、電源検知押圧部材230がカメラ本体100の電源検知部材121を押圧する精度を向上させ、電池蓋の開閉の検知精度を向上させることが可能となる。
【0041】
(第2実施形態)
第1実施形態では、延長グリップ200の蓋部材220に回動可能な電源検知押圧部材230を設けることで、延長グリップ200に変形などが生じた場合でも、検知部122を十分に押圧して電源検知できるようにした。一方、第2実施形態では、延長グリップ300の蓋部材320に上下に動くことが可能な電源検知押圧部材230を設けることで、延長グリップ200に変形などが生じた場合でも、検知部122を十分に押圧して電源検知できるようにする。なお、第1実施形態と同構成の箇所は同じ符号を付し、詳細は省略する。
【0042】
図9は、第2実施形態における延長グリップ300を説明する図である。延長グリップ300は、延長グリップ300の外装を形成している延長グリップ筐体201、延長グリップ300をカメラ本体100に装着可能とする締結部材211と、ユーザが操作するダイヤル212、蓋部材320を備える。蓋部材320には、電源検知部材121を押圧する電源検知押圧部材330が設けられている。第1実施形態と第2実施形態では、電源検知押圧部材330の構造が異なっている。
【0043】
図10は、延長グリップ300の分解斜視図である。延長グリップ300に設けられた蓋部材320は、蓋部材カバー321、蓋部材ベース322、電源検知押圧部材330を有する。電源検知押圧部材330は、カメラ本体100に延長グリップ300が装着された状態で蓋部材カバー321が閉められた際に、カメラ本体100の電源検知部材121を押圧する。
【0044】
本実施形態の電源検知押圧部材330は、蓋部材カバー321と蓋部材ベース322の間に、蓋部材320の底面に対して垂直な方向に可動できる状態で設置される。蓋部材320の底面に対して垂直な方向は、閉位置において電源検知部材121を押圧する方向と同じ方向である。電源検知押圧部材330の先端は蓋部材カバー321に設けられたホールを抜けて、カメラ本体100に設けられた電源検知部材121を押圧する。電源検知押圧部材330と蓋部材ベース322の間には、線ばね340が設けられる。線ばね340は、電源検知押圧部材330を+y軸方向に付勢する。電源検知押圧部材330が+y軸方向に付勢されることにより、延長グリップ300の変形等により電源検知押圧部材330の押し込み量が不足して電源検知部材121の電源検知がON状態にならないことを抑制することができる。なお、本実施形態では電源検知押圧部材330を+y軸方向に付勢する部材として線ばねの例を説明したが、これに限られるものではなく、例えば板ばね等でもよい。
【0045】
つまみ部250は、つまみ部回動軸252により、台座部251とx軸方向に回動操作可能に取り付けられる。係止部材353は、蓋部材ベース322を間に挟んで台座部251に当接し、ビス254で締結される。係止部材353は、台座部251に取り付けられたつまみ部250をy軸方向に回動操作することで、蓋部材320をロック位置とロック解除位置とで回動操作可能となっている。ロック位置では延長グリップ筐体201に形成されている係止凹部202で係止される。
【0046】
蓋部材カバー321と蓋部材ベース322は、ビス223により締結されている。蓋部材320は蓋部材回動軸224により、延長グリップ筐体201にz軸方向に回動可能に取り付けられる。蓋部材220を矢印C方向に回動させると、電池蓋102は開き(開位置)、カメラ本体100に装着した状態で電池の挿抜が可能である。
【0047】
図11および図12を用いて、延長グリップ300の電源検知押圧部材330がカメラ本体100の電源検知部材121を押圧する状態を説明する。図11は、カメラ本体100の電源検知部材121と延長グリップ300の電源検知押圧部材330の位置関係を説明する図である。図12(A)は、延長グリップ300が装着されたカメラ本体100の外観上面図である。図12(B)は、図12(A)のD-D線断面における電源検知押圧部材330周囲の部分拡大図である。
【0048】
電源検知押圧部材330のカメラ本体100側の先端部には、電源検知部材121の検知部122を押圧する押圧部331がある。また、電源検知押圧部材330のカメラ本体100側には、延長グリップ300がカメラ本体100に装着された状態で蓋部材220を閉じた際に、カメラ本体100の背面カバー101に当接する第1の規制面332がある。
【0049】
電源検知押圧部材330の底面側(開方向側)の両端、すなわちカメラ本体100と反対側の両端には、それぞれ第2の規制面333aおよび333bがある。第2の規制面333aおよび333bは、所定のクリアランスを設けて蓋部材ベース322と対面している。
【0050】
図11において、破線で示される電源検知押圧部材330は、延長グリップ300がカメラ本体100に装着されていない状態の電源検知押圧部材330である。一方、実線で示される電源検知押圧部材330は、カメラ本体100に装着した延長グリップ300の蓋部材220を閉じた状態の電源検知押圧部材330である。電源検知押圧部材330は線ばね340によって+y軸方向に付勢されている。そのため、延長グリップ300がカメラ本体100に装着されていない状態だと、押圧部331は高さ331aの位置にある。
【0051】
また、延長グリップ300がカメラ本体100に装着された状態で蓋部材220を閉じると、押圧部331が検知部122を押圧し、検知部122の高さが高さ122bよりも+y軸方向側になると、電顕検知がON状態となる。この際、検知部122が押圧されて高さ122bとなる荷重すなわち電源検知ON状態になる荷重よりも、線ばね340が電源検知押圧部材330を付勢する荷重の方が大きいため、押圧部331が電源検知部材121を押し込み過ぎて破壊する恐れがある。そこで、本実施形態では、電源検知押圧部材330に蓋部材220を閉じた際の押圧部331の高さを規制する第1の規制面332を設ける。
【0052】
延長グリップ300がカメラ本体100に装着された状態で蓋部材220を閉じると、電源検知押圧部材330の第1の規制面332がカメラ本体100の背面カバー101に当接する。第1の規制面332が背面カバー101と当接することで、押圧部331は、破壊限界高さ122dより-y軸方向側の位置(例えば、高さ122c)になるように高さが規制される。第1の規制面332が背面カバー101と当接して、押圧部331の高さが規制されることにより、押圧部331が電源検知部材121を押し込み過ぎて破壊することを抑制することができる。なお、本実施形態において電源検知押圧部材330の第1の規制面332は背面カバー101と当接しているが、カメラ筐体105と当接するようにしてもよい。
【0053】
また、電源検知押圧部材330には、第1の規制面332と反対側の面にある第2の規制面333aおよび333bがある。第2の規制面333aおよび333bは所定のクリアランスを設けて蓋部材ベース322と対面している。第2の規制面333aおよび333bと蓋部材ベース322によって電源検知押圧部材330の-y軸方向の動きが規制される。これにより、延長グリップ300を装着した状態のカメラ本体100に落下等の衝撃があった場合でも、押圧部331は検知部122が電源検知ON状態となる高さ122bよりも+y軸方向の位置を維持し、電源検知のON状態を維持することが可能である。
【0054】
以上に説明したように、本実施形態によると、押圧方向に可動する電源検知押圧部材230を設けることで、電源検知押圧部材230がカメラ本体100の電源検知部材121を押圧する精度を向上させ、電池蓋の開閉の検知精度を向上させることが可能となる。
【0055】
(その他の実施例)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0056】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、これらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形および変更が可能である。
【符号の説明】
【0057】
100 カメラ本体
108 電源検知部材
200 延長グリップ
220 蓋部材
230 電源検知押圧部材
231 押圧部
232 第1の規制面
253 係止部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12