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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-08
(45)【発行日】2024-03-18
(54)【発明の名称】液体消費装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/17 20060101AFI20240311BHJP
   B41J 2/165 20060101ALI20240311BHJP
【FI】
B41J2/17 203
B41J2/165 211
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020020500
(22)【出願日】2020-02-10
(65)【公開番号】P2021123091
(43)【公開日】2021-08-30
【審査請求日】2023-01-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村上 遼太郎
【審査官】小野 郁磨
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-081094(JP,A)
【文献】特開2012-016919(JP,A)
【文献】特開2011-230403(JP,A)
【文献】特開2007-125878(JP,A)
【文献】特開2001-334688(JP,A)
【文献】特開2000-085144(JP,A)
【文献】特開平08-267781(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を消費する消費手段と、
前記消費手段から排出された液体を貯留する貯留手段と、を備え、
前記貯留手段は、開口部と内部に第1吸収体を備えた第1貯留手段と、内部に第2吸収体を備えた第2貯留手段と、を備え、前記第1貯留手段から前記第2貯留手段へ液体の移動が成される液体消費装置において、
前記第2貯留手段は前記液体消費装置の本体に着脱可能であり
前記第1吸収体と前記第2吸収体とは、前記第1吸収体に設けられた凹部と、前記第2吸収体に設けられた凸部と、のはめ合いによって接続が成され
前記凹部は、前記開口部の内部からはみ出していないことを特徴とする液体消費装置。
【請求項2】
前記第1吸収体の密度と前記第2吸収体の密度とは、前記第1吸収体の密度≦前記第2吸収体の密度、の関係であることを特徴とする請求項1に記載の液体消費装置。
【請求項3】
前記凸部の先端は、先鋭化されており、前記凹部は、先鋭化された前記凸部の先端形状に合った形状を備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の液体消費装置。
【請求項4】
前記第1貯留手段は、前記第1吸収体と前記第2吸収体との接続時の前記第1吸収体の移動を規制する規制手段を備えていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の液体消費装置。
【請求項5】
前記規制手段は、前記第1吸収体と当接するリブであることを特徴とする請求項4に記載の液体消費装置。
【請求項6】
前記第1吸収体と前記第2吸収体とは、不織布から成ることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の液体消費装置。
【請求項7】
前記第1貯留手段は前記液体消費装置の本体に対して固定されている請求項1ないし6のいずれか1項に記載の液体消費装置。
【請求項8】
液体を消費する消費手段と、
前記消費手段から排出された液体を貯留する貯留手段と、を備え、
前記貯留手段は、開口部と内部に第1吸収体を備えた第1貯留手段と、内部に第2吸収体及び前記第1吸収体と前記第2吸収体とを連結する第3吸収体を備えた第2貯留手段と、を備え、
前記第1貯留手段から前記第3吸収体を介して前記第2貯留手段へ液体の移動が成される液体消費装置において、
前記第2貯留手段は前記液体消費装置に着脱可能であり、
前記第3吸収体の一端は、前記第1吸収体に設けられた凹部とのはめ合いによって接続が成され、前記第3吸収体の他端は、前記第2吸収体に設けられた凹部とのはめ合いによって接続が成され、
前記液体消費装置の使用状態において、前記第1吸収体、前記第3吸収体、前記第2吸収体が、上方から下方に向かって鉛直方向にこの順序で配置されており、
前記第1吸収体に設けられた凹部は、前記開口部の内部からはみ出していないことを特徴とする液体消費装置。
【請求項9】
前記第1吸収体の密度と前記第2吸収体の密度と前記第3吸収体の密度とは、前記第1吸収体の密度≦前記第2吸収体の密度<前記第3吸収体の密度の関係であることを特徴とする請求項に記載の液体消費装置。
【請求項10】
前記第3吸収体は、柱状の形状を備えていることを特徴とする請求項またはに記載の液体消費装置。
【請求項11】
前記第3吸収体は、前記第1吸収体と前記第2吸収体とを接続する吸収体接続部と、前記第2貯留手段の底面に沿って延在する底部とを備えていることを特徴とする請求項またはに記載の液体消費装置。
【請求項12】
前記底部は、前記第2貯留手段の底面の全域に亘って設けられていることを特徴とする請求項11に記載の液体消費装置。
【請求項13】
前記第1貯留手段は、前記第1吸収体と前記第2吸収体との接続時の前記第1吸収体の移動を規制する規制手段を備えていることを特徴とする請求項ないし12のいずれか1項に記載の液体消費装置。
【請求項14】
前記規制手段は、前記第1吸収体と当接するリブであることを特徴とする請求項13に記載の液体消費装置。
【請求項15】
前記第1吸収体と前記第2吸収体とは、不織布から成ることを特徴とする請求項ないし14のいずれか1項に記載の液体消費装置。
【請求項16】
前記第3吸収体は、不織布から成ることを特徴とする請求項ないし15のいずれか1項に記載の液体消費装置。
【請求項17】
前記第1貯留手段は前記液体消費装置の本体に対して固定されていることを特徴とする請求項ないし16のいずれか1項に記載の液体消費装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体排出部から液体を排出して消費する液体消費装置に関し、特には、排出された液体を貯留部に貯留する液体消費装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、液体消費部から吸引した液体を廃液貯留部に貯留する液体消費装置が記載されており、廃液貯留部は、液体消費装置に固定されている固定廃液貯留部と、取外し可能な可動廃液貯留部とに分かれている。固定廃液貯留部と可動廃液貯留部とは、それぞれ内部に吸収体を備えている。そして、固定廃液貯留部から突出させた固定側吸収体の先端部を可動廃液貯留部が備えた可動側吸収体の平面部に圧接させることで、固定廃液貯留部から可動廃液貯留部へ液体を流通させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-081094号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に、液体の流通では短時間で多くの流通が求められ、吸収体を接触させることで液体を流通させる場合、液体の流通量は、吸収体同士の接触面積に依存する。
【0005】
また、固定廃液貯留部と可動廃液貯留部との接続部では、液体漏れが生じやすいことから、それぞれの開口部を広くすることが困難であり限定された領域での接続が求められる。特許文献1の方法で、短時間に多くの流通を得ようとする場合、接触面積を増やすことが考えられるが、単に接触面積を増やす方法では液体漏れを生じさせる虞がある。
【0006】
特許文献1のように、一方の吸収体の先端部を他方の吸収体の平面部に圧接させる方法では、限定された領域における吸収体同士の接触領域は、一方の吸収体の先端部が接触する他方の吸収体の平面部領域内或いは平面部の変形可能領域内に更に限定される。
【0007】
このように、開口部を広くすることが困難であり、吸収体の平面部領域内或いは平面部の変形可能領域内に限定された接続では、液体の流通に時間を要することがあり、円滑な液体の流通が行われない虞がある。さらに、液体が廃液貯留部から溢れて装置外部へ液体が流出し、装置および外部を汚染してしまう虞がある。
【0008】
よって本発明は、円滑な液体の流通が可能な液体消費装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そのため本発明の液体消費装置は、液体を消費する消費手段と、前記消費手段から排出された液体を貯留する貯留手段と、を備え、前記貯留手段は、開口部と内部に第1吸収体を備えた第1貯留手段と、内部に第2吸収体を備えた第2貯留手段と、を備え、前記第1貯留手段から前記第2貯留手段へ液体の移動が成される液体消費装置において、前記第2貯留手段は前記液体消費装置の本体に着脱可能であり、前記第1吸収体と前記第2吸収体とは、前記第1吸収体に設けられた凹部と、前記第2吸収体に設けられた凸部と、のはめ合いによって接続が成され、前記凹部は、前記開口部の内部からはみ出していないことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、円滑な液体の流通が可能な液体消費装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】液体消費装置の要部を示した図である。
図2】第1吸収体と第2吸収体との接続部を示した図である。
図3】第1の実施形態の変形例を示した図である。
図4】第1吸収体と第2吸収体との接続部を示した図である。
図5】第1吸収体と第2吸収体との接続部を示した図である。
図6】第1吸収体と第2吸収体との接続部を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1の実施形態)
以下、図面を参照して本発明の第1の実施形態について説明する。
【0013】
図1は、本実施形態の液体消費装置の要部を示した図である。液体消費装置は、吐出口2から液体を吐出する吐出ヘッド1と、吐出口2を覆って吐出口2内の液体を吸引可能なキャップ3と、キャップ3と接続されキャップ3が吐出口2を覆った際にできるキャップ3内の空間を負圧にすることができるポンプ4とを備えている。更に液体消費装置は、チューブ5によってポンプ4およびキャップ3と接続された固定廃液貯留部102と、固定廃液貯留部102から液体を受容可能な可動廃液貯留部106とを備えている。
【0014】
固定廃液貯留部102は、装置本体に固定されており、内部に液体を吸収可能な第1吸収体103を備え、可動廃液貯留部106は、装置本体に対して着脱可能に設けられており、内部に液体を吸収可能な第2吸収体105を備えている。そして、第1吸収体103と第2吸収体105とは接触しており、第1吸収体103から接触した部分を介して第2吸収体105に液体が供給される。
【0015】
キャップ3によって吐出口2を覆った状態でポンプ4を駆動させ、キャップ3内の空間を負圧にすることで、吐出口2内の液体を吸引する。吸引された液体は、キャップ3からチューブ5を介して固定廃液貯留部102に入り、固定廃液貯留部102内の第1吸収体103に吸収される。そして、第1吸収体103に吸収された液体は、第1吸収体103と第2吸収体105との接続部を介して第2吸収体105に吸収され固定廃液貯留部102で貯留される。
【0016】
図2は、本実施形態における第1吸収体103と第2吸収体105との接続部を示した図であり、図2(a)は側面図、図2(b)は正面図である。固定廃液貯留部102は、開口部109を備えており、固定廃液貯留部102が備える第1吸収体103は、開口部109の開口端まで設けられており、第1吸収体103は、開口部109の開口端に凹部107を備えている。凹部107の一例としては円柱をくりぬいた形状をしている。可動廃液貯留部106は、開口部115を備えており、可動廃液貯留部106が備える第2吸収体105は、凸部108を備えており、凸部108が開口部115から突出するように設けられている。凸部108は開口部115から突出しているが、可動廃液貯留部106の筐体には収まっており、筐体からは突出していない。凸部108の一例としては円柱形状をしている。固定廃液貯留部102は、可動廃液貯留部106が備える位置決め部材110によって所望の位置に設置される。
【0017】
第1吸収体103と第2吸収体105との接続部では、第2吸収体105の凸部108と、第1吸収体103の凹部107とがはめ合って接続された状態で接触している。このように第1吸収体103の凹部107と、第2吸収体105の凸部108とが、はめ合う構成とすることで、はめ合わずに単に平面同士で接触するよりも、接続部における接触面積を増やすことができる。具体的には、凸部108の先端平面部120と側面部121とで凹部107と接触している。このように、接続部における接触面積を増やすことで、第1吸収体103から第2吸収体105への液体の移動効率が向上する。
【0018】
第1吸収体103から第2吸収体105への液体の移動効率が向上することで、時間を要することなく第1吸収体103から第2吸収体105へ液体を移動することができる。更に、時間を要することなく第1吸収体103から第2吸収体105へ液体を移動することができることから、装置外部へ液体が流出することによる装置および外部の汚染を抑制することができる。
【0019】
なお、第1吸収体103の凹部107は、固定廃液貯留部102の筐体からはみ出さずに形成され、第2吸収体105の凸部108は、可動廃液貯留部106の筐体からはみ出さずに形成されている。これによって、可動廃液貯留部106を交換する際に、ユーザーが液体を含んだ吸収体に不用意に触れることなく交換することができる。
【0020】
また、第1吸収体103および第2吸収体105の材質には、フェルト類に代表される不織布を用いることができる。各吸収体の密度は、第1吸収体103の密度≦第2吸収体105の密度となる様に吸収体を選定する。吸収体は、繊維の間に液体を保持する。吸収体の密度が高ければ繊維間の距離が狭く、密度が低い吸収体と比較して毛管力が強く働く。毛管力が強ければ、液体を吸引する吸引力が強くなり、吸引するスピードが向上する。よって、第1吸収体103の密度≦第2吸収体105の密度とすることで、第1吸収体103から効率よく第2吸収体105へ液体の移動が可能となる。
【0021】
図3は、本実施形態の変形例を示した図である。図3(a)のように、凸部108の先端を尖らせ、凸部108を受ける凹部107の形状も凸部108の先端形状に合わせた形状とする。凸部108の先端を尖らせる(先鋭化する)ことによって、凹部107とのはめ合い時に凸部108を凹部107へ挿入しやすくなる。更に、先端を尖らせることで、図2(a)、(b)のような先端が平面の場合と比較して、第1吸収体103と第2吸収体105との接触面積を増やすことができ、第1吸収体103から第2吸収体105へ液体の移動を効率よく行うことが可能となる。
【0022】
また、図3(b)のように、第1吸収体103が凸形状を備え、第2吸収体105が凹形状を備え、互いにはめ合う構成でもよい。また、図3(b)の状態で、第1吸収体103の凸部を先鋭化した構成でもよい。
【0023】
このように、固定廃液貯留部102が備える第1吸収体103と、可動廃液貯留部106が備える第2吸収体105とを、第1吸収体103が備える凹部と凸部とのいずれか一方と、第2吸収体105が備える凹部と凸部との他方とのはめ合いにより接続する。これによって、円滑な液体の流通が可能となり、装置および外部の汚染を抑制することができる液体消費装置を提供することができる。
【0024】
なお、本実施形態は、可動廃液貯留部106が装置本体に対して着脱可能に設けられており、その内部に備えられた第2吸収体105を取り外して交換可能な構成となっている。このような構成は、液体消費装置に設けられたタンクに対してボトルなどの補充容器から液体を補充可能である液体連続供給システムを搭載した液体消費装置において特に有効である。なぜなら、このような液体消費装置では従来よりも液体の使用量が多くなる傾向にあり、これに伴い廃液の排出量も多くなるが、第2吸収体105を交換することで多くの廃液の回収が可能となるためである。
【0025】
(第2の実施形態)
以下、図面を参照して本発明の第2の実施形態を説明する。なお、本実施形態の基本的な構成は第1の実施形態と同様であるため、以下では特徴的な構成についてのみ説明する。
【0026】
図4は、本実施形態における第1吸収体103と第2吸収体105との接続部を示した図であり、図4(a)は側面図、図4(b)は正面図である。本実施形態における第1吸収体103と第2吸収体105との接続部には、第3吸収体131が設けられており、第1吸収体103と第2吸収体105とは、第3吸収体131を介して接続されている。
【0027】
本実施形態では、第1吸収体103と第2吸収体105とのいずれも凹部を備えており、第1吸収体103の凹部と、第2吸収体105の凹部とに、柱状の吸収体である第3吸収体131が配置されている。なお、本実施形態では、第2吸収体105の凹部は、第2吸収体105を貫通する深さの凹部となっているが、これに限定するものでなく、第2吸収体105の凹部は、第2吸収体105を貫通しない深さであってもよい。しかし、第2吸収体105の凹部の深さが深い方が、第3吸収体131と第2吸収体105との接触面積は広くなる。第2吸収体105と第3吸収体131との接触面積は、広い方が第3吸収体131から効率よく第2吸収体105へ液体の移動が可能となることから、第2吸収体105に設ける凹部の深さも深い方が好ましい。
【0028】
また、本実施形態では、第3吸収体131の長手方向の全域に亘って太さ(外径)が均一の柱状の吸収体を例に説明したが、これに限定するものではない。つまり、第1吸収体103と第2吸収体105との間の部分で、太さ(外径)を増やした第3吸収体を用いてもよい。
【0029】
第1吸収体103、第2吸収体105および第3吸収体131の材質には、フェルト類に代表される不織布を用いることができる。吸収体の密度は、第3吸収体131の密度>第2吸収体105の密度の関係になる様に吸収体を選定する。吸収体の密度を高くすればより高い毛管力によって液体の移動効率は向上するが、蓄えられる液体の量は密度の低い吸収体と比較して低下してしまう。そのため、蓄える液体の量と、液体の移動効率とのバランスを考慮したうえで、装置の仕様に合わせて吸収体の密度を選定することが好ましい。
【0030】
このように、第1吸収体103と第2吸収体105とを第1吸収体103や第2吸収体105よりも密度の高い第3吸収体131を介して接続する。これによって、円滑な液体の流通が可能となり、装置および外部の汚染を抑制することができる液体消費装置を提供することができる。
【0031】
(第3の実施形態)
以下、図面を参照して本発明の第3の実施形態を説明する。なお、本実施形態の基本的な構成は第1の実施形態と同様であるため、以下では特徴的な構成についてのみ説明する。
【0032】
図5は、本実施形態における第1吸収体103と第2吸収体105との接続部を示した図であり、図5(a)は側面図、図5(b)は正面図である。本実施形態では、第1吸収体103と第2吸収体105との接続部には、第3吸収体141が設けられている。この点では第2の実施形態と同様であるが、本実施形態では、第1吸収体103と第2吸収体105との接続部に設けられた第3吸収体141は、可動廃液貯留部106の底面全域に配置されている点が異なる。
【0033】
本実施形態の第3吸収体141は、第1吸収体103と第2吸収体105とを接続する吸収体接続部142と、可動廃液貯留部106の底面全域に延在する底部143とを備えている。
【0034】
可動廃液貯留部106は、スペースの制約からインクジェットプリンタの底部に配置されることが多く、平坦で横の広がりを備えた形状となっている。底部143は、第2吸収体105の下で可動廃液貯留部106の底面全域に亘って設けられており、第2吸収体105の密度よりも高い密度を備えた吸収体となっている。これによって、第1吸収体103から移動した液体を可動廃液貯留部106の全域に速やかに行き渡らせることができる。そのために、第3吸収体141の密度は、第3吸収体141の密度>第2吸収体105の密度となる様に吸収体を選定する。なお、第3吸収体141の材質には、フェルト類に代表される不織布を用いることができる。
【0035】
また、本実施形態では第3吸収体141を可動廃液貯留部106の底面全域に亘って設ける例を説明したが、これに限定するものではない。つまり、可動廃液貯留部106において接続部が設けられた一端部から他端部までの間の領域で、部分的に吸収体を抜いた構成としてもよい。例えば、部分的に円形状に抜いた構成でもよい。
【0036】
このように、第1吸収体103と第2吸収体105とを接続する第3吸収体141は、可動廃液貯留部106の底面に延在する底部143を備えている。これによって、円滑な液体の流通が可能となり、装置および外部の汚染を抑制することができる液体消費装置を提供することができる。
【0037】
(第4の実施形態)
以下、図面を参照して本発明の第4の実施形態を説明する。なお、本実施形態の基本的な構成は第1の実施形態と同様であるため、以下では特徴的な構成についてのみ説明する。
【0038】
図6は、本実施形態における第1吸収体103と第2吸収体105との接続部を示した図であり、図6(a)は側面図、図6(b)は正面図である。本実施形態では、第1吸収体103と第2吸収体105との構成は、第1の実施形態と同様であるが、固定廃液貯留部102にリブ122が設けられている点が異なる。
【0039】
本実施形態の固定廃液貯留部102には、第1吸収体103の移動を規制するリブ122が設けられている。リブ122は、第1吸収体103と当接しており、第1吸収体103の矢印Z方向への移動を規制している。
【0040】
第1吸収体103の凹部107と第2吸収体105の凸部108とが、はめ合い接続される際、第1吸収体103と第2吸収体105との摩擦抵抗によって第1吸収体103が矢印Z方向に逃げると、十分なはめ合いが成されないことが考えられる。その場合、接続部で吸収体同士の未接触部分が生じ、液体の円滑な流通が阻害される虞がある。そこで、固定廃液貯留部102の内側に突出したリブ122を設け、リブ122と第1吸収体103とを当接させる。これによって、第1吸収体103と第2吸収体105との接続時に第1吸収体103の矢印Z方向の移動が規制される。その結果、第1吸収体103と第2吸収体105との接続が確実に成され、液体の円滑な流通が可能となる。
【0041】
なお、本実施形態では固定廃液貯留部102の内部にリブ122を設けているが、これに限定するものでなく、第1吸収体103の矢印Z方向への移動を規制する規制部材であればよい。例えば、固定廃液貯留部102内における第1吸収体103がない上部空間に、第1吸収体103が矢印Z方向に移動するのを規制するスペーサを設けてもよい。
【0042】
また、固定廃液貯留部102の内側の第1吸収体103と接触する部分の表面粗さを粗くすることで、固定廃液貯留部102と第1吸収体103との接触抵抗を増やして、第1吸収体103が矢印Z方向に逃げるのを抑制してもよい。
【0043】
このように、第1吸収体103と第2吸収体105とが矢印Z方向において、はめ合いにより接続される構成とし、固定廃液貯留部102の内側に第1吸収体103が矢印Z方向に移動するのを規制する規制部材を設ける。これによって、円滑な液体の流通が可能となり、装置および外部の汚染を抑制することができる液体消費装置を提供することができる。
【0044】
なお、上記の各実施形態は、適宜組み合わせて用いてもよい。
【符号の説明】
【0045】
102 固定廃液貯留部
103 第1吸収体
105 第2吸収体
106 可動廃液貯留部
122 リブ
131 第3吸収体
141 第3吸収体
142 吸収体接続部
143 底部
図1
図2
図3
図4
図5
図6