IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 瀋陽中航機電三洋制冷設備有限公司の特許一覧

<>
  • 特許-回転圧縮機 図1
  • 特許-回転圧縮機 図2
  • 特許-回転圧縮機 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-08
(45)【発行日】2024-03-18
(54)【発明の名称】回転圧縮機
(51)【国際特許分類】
   F04C 23/02 20060101AFI20240311BHJP
   F04C 29/00 20060101ALI20240311BHJP
   F04C 18/356 20060101ALI20240311BHJP
   F04C 29/12 20060101ALI20240311BHJP
【FI】
F04C23/02 G
F04C29/00 H
F04C18/356 Q
F04C29/12 A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020022316
(22)【出願日】2020-02-13
(65)【公開番号】P2021127714
(43)【公開日】2021-09-02
【審査請求日】2023-02-01
(73)【特許権者】
【識別番号】517403558
【氏名又は名称】瀋陽中航機電三洋制冷設備有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100186060
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100145458
【弁理士】
【氏名又は名称】秋元 正哉
(72)【発明者】
【氏名】西川 剛弘
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 隆泰
(72)【発明者】
【氏名】比留間 義明
【審査官】所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-072891(JP,A)
【文献】特開2005-140067(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第101205917(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04C 23/02
F04C 29/00
F04C 18/356
F04C 29/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータ(11)と、ロータ(12)と、前記ロータ(12)の回転軸(13)とを備える電動部(10)と、
前記回転軸(13)によって駆動される回転圧縮機構部(20)と、
前記電動部(10)が前記回転圧縮機構部(20)より底方側に配設されるよう、前記電動部(10)と前記回転圧縮機構部(20)とを収容する容器(30)と、
前記電動部(10)より底方側の位置で前記回転軸(13)を支持する第1の軸受部(60)と
前記回転圧縮機構部(20)の底方側の端部から前記電動部(10)側に延出し、前記電動部(10)より頂方側の位置で前記回転軸(13)を支持する第の軸受部(52)
を備えていて、
前記回転圧縮機構部(20)は、
第1の回転圧縮要素(20b)と、
第1の回転圧縮要素(20b)における容器(30)頂方側に中間仕切板(42)を介して配設される第2の回転圧縮要素(20a)と
を備え、
第1の回転圧縮要素(20b)は、
第1圧縮室(26b)を内部に備える第1シリンダ部(21b)と、
第1圧縮室(26b)に収容されると共に、回転軸(13)の回転に伴い第1圧縮室(26b)の内側面に沿って偏芯回転する第1ローラ(23b)と、
第1ローラ(23b)の外側面に当接し、第1圧縮室(26b)を低圧室と高圧室に区画する第1ベーン(24b)と、
第1圧縮室(26b)から第1シリンダ部(21b)の径方向外側に向けて延設され、第1ベーン(24b)を挿し込む第1スロット部(27b)と、
第1シリンダ部(21b)における容器(30)底方側の端面に装着されて、第2の軸受部(52)を有する第1の枠体(50)と
を備え、
第2の回転圧縮要素(20a)は、
第2圧縮室(26a)を内部に備える第2シリンダ部(21a)と、
第2圧縮室(26a)に収容されると共に、回転軸(13)の回転に伴い第2圧縮室(26a)の内側面に沿って偏芯回転する第2ローラ(23a)と、
第2ローラ(23a)の外側面に当接し、第2圧縮室(26a)を低圧室と高圧室に区画する第2ベーン(24a)と、
第2圧縮室(26a)から第2シリンダ部(21a)の径方向外側に向けて延設され、第2ベーン(24a)を挿し込む第2スロット部(27a)と、
第2シリンダ部(21a)における頂方側の端面に装着される第2の枠体(40)と
を備え、
回転軸(13)は、軸方向に沿って形成される第1のオイル流路(70)を備え、
第1のオイル流路(70)の容器(30)底方側の端部は、容器(30)底方に貯留された潤滑用のオイルに臨み、
第1のオイル流路(70)の頂方側の端部は、前記第2の枠体(40)と対向し、
第2の枠体(40)は、第1のオイル流路(70)を通過したオイルを第2スロット部(27a)に供給するための第2のオイル流路(80)を備えていて、
第2のオイル流路(80)を経て第2スロット部(27a)に供給されたオイルが、第2スロット部(27a)を介して第1の回転圧縮要素(20b)における第1スロット部(27b)に供給されるようにしたことを特徴とする回転圧縮機。
【請求項2】
第1圧縮室(26b)で圧縮された冷媒は、第1圧縮室(26b)に連通する第1の枠体(50)内の流路を介して、第1の枠体(50)に設けられた第1吐出口(51)から容器(30)に向けて吐出されると共に、
第2圧縮室(26a)で圧縮された冷媒は、第2圧縮室(26a)に連通する第2の枠体(40)内の流路を介して、第2の枠体(40)に設けられた第2吐出口(43)から容器(30)に向けて吐出されることを特徴とする請求項1記載の回転圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば空調機器用の圧縮機として、特許文献1や特許文献2に開示される回転圧縮機が提供されている。回転圧縮機は、ステータ、ロータ、ロータの回転軸を備える電動部と、電動部によって駆動される回転圧縮機構部とを備える。また、電動部及び回転圧縮機構部は、筒状の密閉容器内に上下並んだ状態で配設される。
【0003】
ここで、特許文献1に開示される電動部は、回転圧縮機構部より容器頂方側に配設される。これに対して、特許文献2に開示される電動部は、回転圧縮機構部より容器底方側に配設される。また、特許文献1,2に開示される電動部の双方は、回転圧縮機構部における電動部と対向する側の端部から電動部に向けて延出する1つの軸受部によって支持される。すなわち、双方の電動部において、回転軸の回転圧縮機構部に連結される側の端部のみが、軸受部によって支持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-68262号公報
【文献】特開平2-227566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、電動部に備わるステータ及びロータとして、上下に積層された複数の電磁鋼板を用いるものが例示される。このような構造を備えた電動部の高出力化(例えば、電動部のトルク向上)を図る場合、積層される電磁鋼板の数を増やしてステータやロータの厚みを増やす方法が採用される。
【0006】
しかしながら、この方法を用いる場合、より長尺な軸受部や剛性の高い回転軸を用いなければ、厚みの増えたロータの回転時に回転軸を適切に支持することができない。しかしながら、軸受部の長尺化や回転軸の高剛性化は、電動部のコスト向上をもたらす。また、ロータの厚みが増えるに従い、ロータ及び回転軸が回転中心に対して振動する、所謂振れ回りが起こる可能性が高まる。その結果、回転圧縮機の信頼性が低下する。
【0007】
これに対して、ステータとロータとの間隙を増やせば、ロータの振れ回りが生じてもロータとステータとの接触を避けることができる。しかしながら、ロータとステータとの間隙が増えることで、ステータからロータに伝わる磁気エネルギーが間隙の距離分減衰するため、ロータの回転性能が損なわれる。
【0008】
また、電動部の高出力化を図る他の方法として、ステータやロータを拡径する方法が挙げられる。しかしながら、この方法も、ステータ及びロータの体積が増える分、電動部のコスト向上をもたらす。それに加え、容器の幅寸法を増やさなければ電動部を収容できないため、回転圧縮機の省スペース化が阻害される。
【0009】
本発明は、前記課題に鑑みてなされたものであり、電動部の高出力を図るためにステータやロータの厚みを増やしても、大幅なコスト高騰をもたらさず、且つロータの回転軸を適切に支持できる回転圧縮機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る回転圧縮機は、
ステータ(11)と、ロータ(12)と、前記ロータ(12)の回転軸(13)とを備える電動部(10)と、
前記回転軸(13)によって駆動される回転圧縮機構部(20)と、
前記電動部(10)が前記回転圧縮機構部(20)より底方側に配設されるよう、前記電動部(10)と前記回転圧縮機構部(20)とを収容する容器(30)と、
前記電動部(10)より底方側の位置で前記回転軸(13)を支持する第1の軸受部(60)と
前記回転圧縮機構部(20)の底方側の端部から前記電動部(10)側に延出し、前記電動部(10)より頂方側の位置で前記回転軸(13)を支持する第の軸受部(52)
を備えていて、
前記回転圧縮機構部(20)は、
第1の回転圧縮要素(20b)と、
第1の回転圧縮要素(20b)における容器(30)頂方側に中間仕切板(42)を介して配設される第2の回転圧縮要素(20a)と
を備え、
第1の回転圧縮要素(20b)は、
第1圧縮室(26b)を内部に備える第1シリンダ部(21b)と、
第1圧縮室(26b)に収容されると共に、回転軸(13)の回転に伴い第1圧縮室(26b)の内側面に沿って偏芯回転する第1ローラ(23b)と、
第1ローラ(23b)の外側面に当接し、第1圧縮室(26b)を低圧室と高圧室に区画する第1ベーン(24b)と、
第1圧縮室(26b)から第1シリンダ部(21b)の径方向外側に向けて延設され、第1ベーン(24b)を挿し込む第1スロット部(27b)と、
第1シリンダ部(21b)における容器(30)底方側の端面に装着されて、第2の軸受部(52)を有する第1の枠体(50)と
を備え、
第2の回転圧縮要素(20a)は、
第2圧縮室(26a)を内部に備える第2シリンダ部(21a)と、
第2圧縮室(26a)に収容されると共に、回転軸(13)の回転に伴い第2圧縮室(26a)の内側面に沿って偏芯回転する第2ローラ(23a)と、
第2ローラ(23a)の外側面に当接し、第2圧縮室(26a)を低圧室と高圧室に区画する第2ベーン(24a)と、
第2圧縮室(26a)から第2シリンダ部(21a)の径方向外側に向けて延設され、第2ベーン(24a)を挿し込む第2スロット部(27a)と、
第2シリンダ部(21a)における頂方側の端面に装着される第2の枠体(40)と
を備え、
回転軸(13)は、軸方向に沿って形成される第1のオイル流路(70)を備え、
第1のオイル流路(70)の容器(30)底方側の端部は、容器(30)底方に貯留された潤滑用のオイルに臨み、
第1のオイル流路(70)の頂方側の端部は、前記第2の枠体(40)と対向し、
第2の枠体(40)は、第1のオイル流路(70)を通過したオイルを第2スロット部(27a)に供給するための第2のオイル流路(80)を備えていて、
第2のオイル流路(80)を経て第2スロット部(27a)に供給されたオイルが、第2スロット部(27a)を介して第1の回転圧縮要素(20b)における第1スロット部(27b)に供給されるようにしたことを特徴とする
【0011】
本発明のこの態様によれば、電動部より頂方側に配設される第の軸受部及び電動部より底方側に配設される第の軸受部の双方によって、ロータの回転軸が支持されるため、ロータの厚みを増やした場合であっても、長尺な軸受や剛性の高い回転軸を用いる必要がない。
【0012】
それに加えて、本発明のこの態様によれば、電動部が回転圧縮機構部より底方側に配設されるため、高重量の電動部を容器中央寄りに配置することができる。その結果、電動部が回転圧縮機構部より容器頂方側に配設される従来の回転圧縮機に比べて、重心位置を下げることができることから、ロータ回転時の振動を抑制することができる。
【0014】
本発明のこの態様によれば、第の枠体に形成される第2のオイル流路を通じてベーンを収容するスロット部に直接オイルを供給できるため、ベーンの潤滑性を保つために十分な量のオイルをスロット部に適宜供給することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る回転圧縮機によれば、電動部の高出力を図るためステータやロータの厚みを増やした場合であっても、大幅なコスト高騰をもたらさず、且つロータの回転軸を適切に支持できる回転圧縮機できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本実施形態に係る回転圧縮機の垂直断面図。
図2】本実施形態に係る回転圧縮機の主要部を拡大した部分垂直断面図。
図3】本実施形態に係る回転圧縮機の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態に係る回転圧縮機を詳細に説明する。まず、図1を参照して、本実施形態に係る回転圧縮機1の全体構成を説明する。ここで、図1は、本実施形態に係る回転圧縮機1の垂直断面図である(図3に示される断面指示線AOBで回転圧縮機1を垂直に切断した場合の断面図。)。
【0020】
図1に示されるように、本実施形態に係る回転圧縮機1は、電動部10、回転圧縮機構部20を備える。電動部10及び回転圧縮機構部20は、容器本体部31、蓋部32を備える鋼板製の密閉容器30に収容される。なお、図示される回転圧縮機1は縦置型であるが、これに限られない。本発明に係る回転圧縮機は、横置型の回転圧縮機にも適用することもできる。
【0021】
本実施形態における電動部10は、ステータ11と、ロータ12と、ロータ12の回転軸13とを備えるブラシレスDCモータである。ここで、ステータ11は、略円柱状の空域が内側に形成される平面視ドーナッツ形状の複数の電磁鋼板を高さ方向に積層した積層体11aと、積層体11aに備わる歯部に集中巻き方式で巻着されるステータコイル11bとを備える。
【0022】
ステータコイル11bは、容器30の蓋部32に装着されるターミナル33と電気的に接続される。ターミナル33からステータコイル11bに電力が供給されると、ステータコイル11bに電流が流れる。これにより、ロータ12に作用する回転磁界が生成され、ロータ12が回転する。
【0023】
ロータ12は、平面視略円形の複数の電磁鋼板を高さ方向に積層した積層体12aと、積層体12a内に設けられる永久磁石とを備える。ロータ12の積層体12aは、ステータ11の内側に形成される円柱状の空域内に配設される。このとき、ステータ11の歯部内端とロータ12の外面との間に僅かな間隙が形成される。更に、ロータ12の中央に、高さ方向に貫通する貫通孔12bが形成される。回転軸13は、貫通孔12bに挿嵌され、ロータ12を支持する。
【0024】
次に、本実施形態における回転圧縮機構部20は、第の回転圧縮要素20aと第の回転圧縮要素20bとを上下積み重ねた所謂2段式の回転圧縮機構部である。説明上、上下の区別を明確にするために、第2の回転圧縮要素20aの部材には、部材名の前に第2を付け、第1の回転圧縮要素20aの部材には、部材名の前に第1を付けて説明した。まず、第の回転圧縮要素20aは、第2シリンダ部21aと、回転軸13に一体形成された第2偏芯部22aと、第2偏芯部22aの外側面に周設される第2ローラ23aと、第2ローラ23aの外側面に当接する第2ベーン24aと、第2ベーン24aを付勢する第2コイルスプリング25aとを備える。
【0025】
ここで、第2シリンダ部21aは、上下に貫通する第2圧縮室26aを備える。この第2圧縮室26a内に、第2偏芯部22a及び第2ローラ23aが収容される。更に、第2ベーン24aの内端側は、第2圧縮室26a内に臨み、第2圧縮室26a内を低圧室と高圧室とに区画する。
【0026】
また、第2シリンダ部21aは、その上下に貫通し且つ第2圧縮室26aから第2シリンダ部2aの径方向外側に向けて延設される縦溝状の第2スロット部27aを備える。第2コイルスプリング25aは、第2スロット部27a内の外方寄りに収容されると共に、第2ベーン24aは、第2スロット部27aに外端側から挿し込まれる。
【0027】
更に、第2シリンダ部2aの上端面(容器頂方側の端面)に、第の枠体40が装着される。これに対して、第2シリンダ部2aの下端面(容器底方側の端面)に、第の回転圧縮要素20aと第の回転圧縮要素20bとを隔てる中間仕切板42が装着される。これにより、第2シリンダ2aに形成される第2圧縮室26aが閉塞される。
【0028】
前記構造の第の回転圧縮要素20aにおいて、回転軸13が回転すると、第2圧縮室26a内で第2偏芯部22a及び第2ローラ23aが偏芯回転する。このとき、第2ローラ23aは、第2圧縮室26aの内側面に沿って偏芯回転する。また、第2ローラ23aの偏芯回転に伴い、第2ローラ23aの外側面に当接する第2ベーン24aが第2スロット部27a側に押し込まれる。更に、第2ローラ23aが偏芯回転すると、第2ベーン24aは、それまでとは逆方向に動き、第2スロット部27a側に押し込まれる前の位置に戻る。
【0029】
ところで、冷媒は、容器30の蓋部32に形成された貫通孔から容器内に臨む冷媒吸入管34を介して第2圧縮室26aの低圧室側に吸入される。低圧室側に吸入された冷媒は、第2ローラ23a及び第2ベーン24aの前記動作によって、高圧室側に移され圧縮される。また、高圧室内で圧縮された冷媒は、第2圧縮室26aに連通する第の枠体40内の流路(図示しない)を介して、第2吐出口43から容器30に向けて吐出される。
【0030】
回転圧縮機構部20における第の回転圧縮要素20bも、第の回転圧縮要素20aと同様に、第1圧縮室26bを含む第1シリンダ部21bと、第1偏芯部22bと、第1ローラ23bと、第1ベーン24bと、第1コイルスプリング25bと、第1スロット部27bを備える。これら各部材の動作も、前述した第の回転圧縮要素20aにおける各部材の動作と同様である。
【0031】
ここで、第1シリンダ部2bの上端面(容器頂方側の端面)に、中間仕切板42が装着される。これに対して、第1シリンダ部2bの下端面(容器底方側の端面)に、第の枠体50が装着される。これにより、第1シリンダ21bに形成される第1圧縮室26bが閉塞される。
【0032】
第1圧縮室26bで圧縮された冷媒は、第1圧縮室26bに連通する第の枠体50内の流路(図示しない)を介して、第1吐出口51から容器30に向けて吐出される。本実施形態における回転圧縮機構部20によれば、第の回転圧縮要素20aで圧縮された冷媒と、第の回転圧縮要素20bで圧縮された冷媒とが、各々異なる流路から容器30に吐出されるため、冷媒の圧力変動に起因する脈動を低減できる。その結果、前記脈動に基づく回転圧縮機構部20の乱動(例えば、ジャンピング)や騒音を抑制することができる。
【0033】
容器30内に吐出された圧縮後の冷媒は、容器30の本体部31に取り付けられた吐出管35を介して、容器30外に形成される冷媒流通回路に吐出される。なお、前述のように、本実施形態における回転圧縮機構部20は、2段式の回転圧縮要素を備えるものであるが、回転圧縮機構部20の態様はこれに限られない。回転圧縮機構部20の他の態様として、単一の回転圧縮要素からなるものであってもよいし、3段以上に積み重なった回転圧縮要素を備えるものであってもよい。
【0034】
以上、電動部10と回転圧縮機構部20とを詳細に説明した。ここで、図1に示されるように、電動部10は、回転圧縮機構部20より容器30の底方側に配設される。それに加えて、本実施形態に係る回転圧縮機1は、回転圧縮機構部20の底方側の端部から電動部10側に延出し、電動部10より頂方側の位置で回転軸13を支持する第の軸受部52と、電動部10より底方側の位置で回転軸13を支持する第1の軸受部60とを更に備える。
【0035】
本実施形態において、第の軸受部52は、第の回転圧縮要素20bの下端面に装着された第の枠体50の中央から容器底方側に向けて延出する。また、第の軸受部60は、容器30の底に設けられたオイル溜め36と対向する第3の枠体61の中央から容器頂方側に向けて延出する。
【0036】
このように、回転軸13は、電動部10より頂方側に配設される第の軸受部52及び電動部10より底方側に配設される第の軸受部60の双方によって支持される。これにより、ロータ12の厚みを増やした場合であっても、長尺な軸受部や剛性の高い回転軸を用いる必要がない。すなわち、軸受に係るコストアップを避けながら、信頼性が担保された状態でロータ12の厚みを増すことができる。そのため、大幅なコスト高騰をもたらさず、電動部10の高出力化を図ることができる。
【0037】
それに加えて、本実施形態によれば、電動部10が回転圧縮機構部20より底方側に配設されるため、高重量の電動部10を容器30の中央寄りに配設することができる。その結果、電動部10が回転圧縮機構部20より頂方側に配設される従来の回転圧縮機に比べて、重心位置を下げることができることから、ロータ回転時の振動が抑制される。
【0038】
更に、回転圧縮機構部20が電動部10より容器頂方側に配設されるため、冷媒吸入管34を回転圧縮機構部20の頂方側から臨ませた状態で双方を接続することができる。これにより、回転圧縮機構部20において、冷媒吸入管34との接続箇所と第2圧縮室26a,第1圧縮室26bとの距離を短縮することができる結果、冷媒を効率良く第2圧縮室26a,第1圧縮室26bに送り込むことができる。
【0039】
次に、図2を参照して、本実施形態に係る回転圧縮機1のオイル流通構造を説明する。ここで、図2は、回転圧縮機1の主要部を拡大した部分垂直断面図である(図3に示される断面指示線AOCDEで回転圧縮機1を垂直に切断した場合の断面図。)。
【0040】
図2に示されるように、本実施形態に係る回転圧縮機1は、第1のオイル流路70と第2のオイル流路80とを備える。より詳しくは、第1のオイル流路70は、一端側がオイル溜り36(図1)に臨むと共に、他端側が回転軸13の底方側の端部13aから回転軸13の内部に挿し込まれる給油部71と、回転軸13の内部において、軸方向に沿い且つ回転軸13の頂方側の端部13bに掛けて形成される回転軸内流通路72とを備える。図示されるように、回転軸内流通路72の容器頂方側の端部は、第の枠体40に対向する。
【0041】
なお、オイル溜り36に臨む給油部71の一端側が第1のオイル流路70の底方側の端部に対応する。また、回転軸内流通路72の容器頂方側の端部が第1のオイル流路70の頂方側の端部に対応する。更に、第1のオイル流路70は、流路の外側に連通する横孔73(例えば、図2において符号73a,73b,73cで示される横孔)を備えてもよい。
【0042】
オイル溜り36に貯留されるオイルは、第2シリンダ部21a,第1シリンダ部21bの第2圧縮室26a,第1圧縮室26b内との差圧によって、給油部71から回転軸内流通路72の頂方側へ汲み上げられる。また、回転軸13の遠心力によって汲み上げられたオイルは、横孔73a,73b,73cから回転軸13の外側に排出される。
【0043】
これにより、横孔近傍の摺動部(例えば、第2ローラ23aと第2圧縮室26aの内側面、第1ローラ23bと第1圧縮室26bの内側面、回転軸13と第の軸受部52の内側面、回転軸13と第の軸受部60の内側面など)にオイルが供給される。これにより、前記摺動部が潤滑される。
【0044】
また、第2のオイル流路80は、第1のオイル流路70から供給されるオイルを流通させる流路であって、第の枠体40内に形成される。本実施形態における第2のオイル流路80は、第の枠体40の略中央から径方向外側に向けて形成される。
【0045】
ここで、第2のオイル流路80は、第の回転圧縮要素20aにおける第2スロット部27aと連通する。これにより、第2ベーン24aと第2スロット部27aとの間隙にオイルが供給され、第2ベーン24aの潤滑とシールが果たされる。
【0046】
また、第の回転圧縮要素20aにおける第2スロット部27aと第の回転圧縮要素20bにおける第1スロット部27bとは、中間仕切板42を貫通する貫通孔44を介して連通する。そのため、スロット部27aを通過したオイルは、第1スロット部27bに至る。その結果、第1ベーン24bと第1スロット部27bとの間隙にオイルが供給され、第1ベーン24bの潤滑とシールが果たされる。
【0047】
本実施形態によれば、第の枠体40に形成される第2のオイル流路80を通じて、第2スロット部27a,第1スロット部27bに直接オイルを供給できる。そのため、第2ベーン24a,第1ベーン24bの潤滑性を保つために十分な量のオイルを第2スロット部27a,第1スロット部27bに供給することができる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明に係る回転圧縮機は、例えば、家庭用・業務用空調装置等に用いられる。ただし、その用途は、これに限られない。
【符号の説明】
【0049】
1・・・・・・・・・回転圧縮機
10・・・・・・・・電動部
11・・・・・・・ステータ
12・・・・・・・ロータ
13・・・・・・・ロータの回転軸
20・・・・・・・・回転圧縮機構部
20a…第2の回転圧縮要素
21・・・・・第2シリンダ部
22・・・・・第2偏芯部
23・・・・・第2ローラ
24・・・・・第2ベーン
25・・・・・第2コイルスプリング
26・・・・・第2圧縮室
27・・・・・第2スロット部
20b…第1の回転圧縮要素
21b・・・・・第1シリンダ部
22b・・・・・第1偏芯部
23b・・・・・第1ローラ
24b・・・・・第1ベーン
25b・・・・・第1コイルスプリング
26b・・・・・第1圧縮室
27b・・・・・第1スロット部
30・・・・・・・・容器
40・・・・・・・・第の枠体
50・・・・・・・・第1の枠体
52・・・・・・・・第の軸受部
60・・・・・・・・第の軸受部
61・・・・・・・・第3の枠体
70・・・・・・・・第1のオイル流路
80・・・・・・・・第2のオイル流路
図1
図2
図3