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特許7451211接触体及びそれを有する振動型アクチュエータ並びに接触体の製造方法及び接触体における研磨量の導出方法
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  • 特許-接触体及びそれを有する振動型アクチュエータ並びに接触体の製造方法及び接触体における研磨量の導出方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-08
(45)【発行日】2024-03-18
(54)【発明の名称】接触体及びそれを有する振動型アクチュエータ並びに接触体の製造方法及び接触体における研磨量の導出方法
(51)【国際特許分類】
   H02N 2/04 20060101AFI20240311BHJP
【FI】
H02N2/04
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020022819
(22)【出願日】2020-02-13
(65)【公開番号】P2021129416
(43)【公開日】2021-09-02
【審査請求日】2023-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【弁理士】
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】荒木 康之
【審査官】津久井 道夫
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-191665(JP,A)
【文献】特開2017-225333(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02N 2/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動型アクチュエータにおいて、振動が発生する振動体と接触し、前記振動体に対して相対移動する接触体であって、
前記接触体は、焼結体及び樹脂を含み、前記焼結体に前記樹脂が含浸された樹脂含浸部と、前記樹脂含浸部の表面を含む平面に形成された凹部と、を有し
前記凹部は、前記凹部の開口面からの深さが深くなるにつれて一定の割合で開口幅が狭まる部分を有することを特徴とする接触体。
【請求項2】
前記凹部は、前記開口面からの深さが深くなるにつれて一定の割合で開口幅が狭まるV溝形状であることを特徴とする接触体。
【請求項3】
前記凹部に前記樹脂が充填されている、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の接触体。
【請求項4】
前記凹部は、前記平面を、前記振動体と接触する接触面と、前記振動体と接触しない非接触面と、に隔て、
前記接触面と、前記凹部の前記接触面側の傾斜面と、のなす角度は、前記接触面と、前記接触面と隣接し前記凹部の前記接触面側の傾斜面と対向する傾斜面と、のなす角度より大きい、ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の接触体。
【請求項5】
前記接触体は、円環状または矩形状であり、
前記接触体が円環状の場合は、前記樹脂含浸部の表面を含む前記平面は、前記接触体の円環の中心軸に交差する面であり、
前記接触体が矩形状の場合は、前記樹脂含浸部の表面を含む前記平面は、前記相対移動の方向を長手方向とする面であり、
前記樹脂含浸部の表面を含む前記平面とは反対側に位置する、前記接触体の裏面の面積よりも、前記平面の面積が大きいことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の接触体。
【請求項6】
前記凹部として、それぞれ深さの異なる複数の凹部が形成されている、ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の接触体。
【請求項7】
振動型アクチュエータにおいて、振動が発生する振動体と接触し、前記振動体に対して相対移動する接触体であって、
前記接触体は、焼結体及び樹脂を含み、前記焼結体に前記樹脂が含浸された樹脂含浸部と、前記樹脂含浸部の表面を含む平面に形成された凹部と、を有し、
前記凹部として、それぞれ深さの異なる複数の凹部が形成されていることを特徴とする接触体。
【請求項8】
振動型アクチュエータにおいて、振動が発生する振動体と接触し、前記振動体に対して相対移動する接触体であって、
前記接触体は、焼結体及び樹脂を含み、前記焼結体に前記樹脂が含浸された樹脂含浸部と、前記樹脂含浸部の表面を含む平面に形成された凹部と、を有し、
前記凹部は、前記平面を、前記振動体と接触する接触面と、前記振動体と接触しない非接触面と、に隔て、
前記接触面と、前記凹部の前記接触面側の傾斜面と、のなす角度は、前記接触面と、前記接触面と隣接し前記凹部の前記接触面側の傾斜面と対向する傾斜面と、のなす角度より大きいことを特徴とする接触体。
【請求項9】
前記焼結体は、マルテンサイト系のステンレス焼結体であり、前記樹脂含浸部には、硬質粒子が含まれている、ことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の接触体。
【請求項10】
前記接触体は、矩形状に形成されている、ことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の接触体。
【請求項11】
前記接触体は、円環状に形成されている、ことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の接触体。
【請求項12】
振動が発生する振動体と、
請求項1乃至11のいずれか1項に記載の接触体と、を有し、
前記振動体と前記接触体とが接触し、前記振動体と前記接触体とが相対移動する、ことを特徴とする振動型アクチュエータ。
【請求項13】
光学素子と、前記光学素子を駆動する請求項12に記載の振動型アクチュエータとを備えることを特徴とする光学機器。
【請求項14】
撮像素子と、前記撮像素子を駆動する請求項12に記載の振動型アクチュエータとを備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項15】
部材と、前記部材を駆動する請求項12に記載の振動型アクチュエータとを備えることを特徴とする電子機器。
【請求項16】
振動型アクチュエータにおいて、振動が発生する振動体と接触し、前記振動体に対して相対移動する接触体の製造方法であって、
凹部を有する焼結体を形成する形成工程と、
前記焼結体に樹脂を含浸した樹脂含浸部を形成する含浸工程と、
前記焼結体を研磨し、前記樹脂含浸部の表面を含む平面に、前記凹部の開口面を形成する研磨工程と、を有することを特徴とする接触体の製造方法。
【請求項17】
前記形成工程では、前記凹部として、それぞれ深さの異なる複数の凹部を形成する、ことを特徴とする請求項16に記載の接触体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接触体及びそれを有する振動型アクチュエータ並びに接触体の製造方法及び接触体における研磨量の導出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
振動体と接触体とが接触し、振動体に所定の振動を励起(発生)させて、振動体から接触体へ摩擦駆動力を与えることにより、振動体に対して接触体が相対的に移動(以下、「相対移動」ともいう)する振動型アクチュエータが知られている。振動型アクチュエータにおいて、振動体には、圧電素子等の電気-機械エネルギー変換素子が接合されており、電気-機械エネルギー変換素子に交流電圧を印加することにより、振動体に振動が発生する。
【0003】
このような振動型アクチュエータは、接触に起因して生じる摩擦力を利用するため、保持力が大きいという特徴がある。そのため、無通電の状態で外力が作用しても、振動体と接触体の位置関係を維持する(振動体と接触体をその位置に停止させておく)ことができる。
【0004】
特許文献1には、このような振動型アクチュエータに用いられる接触体として、ステンレス焼結谷に、硬質粒子を混合した樹脂が含浸された摩擦材が記載されている。この摩擦材は、含浸している樹脂が摺動材として、耐摩耗性の向上と高摩擦係数の維持に寄与している。また、それとともに、硬質粒子がスパイク効果を発揮し、高温高湿状態に置かれた後でも高摩擦係数を維持し、良好な結果が期待できる。
【0005】
特許文献2には、接触体の製造時において、所望の状態に樹脂を含浸させるためのステンレス焼結体の形状が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2017-225333号公報
【文献】特開2019-017238号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1,2に記載の摩擦材(接触体)の場合、保持力を維持するために、樹脂が、振動体と接触する摩擦面(接触面)上の気孔部に適度な割合で含浸されていることが、安定した摩擦力を維持する上で重要である。
【0008】
ここで、接触体を製造する過程において、樹脂を塗布した焼結体の摩擦面上に樹脂が残るため、硬化後の樹脂を除去して、焼結体に樹脂が含浸された樹脂含浸部を出す必要がある。また、振動体の良好な駆動のため、摩擦面の平面度や平行度を良好にする必要がある。そして、そのことから、両面を同時に研磨する両面研磨や、両面を同時に研削する両面研削が行われる。
【0009】
その際、樹脂含浸部の表面を含む平面(以下、「第1の平面」という)の、研磨により除去された厚さである研磨量や研削により除去された厚さである研削量が増えるにつれ、表面積に占める樹脂の割合(表面樹脂率)が小さくなり、保持力が低下する。
【0010】
したがって、一定の保持力を得るために、一定の表面樹脂率を得ることが必要である。そして、そのためには、第1の平面の研磨量や研削量を減らすことが有効である。そして、そのためには、面積比(第1の平面の面積/第1の平面の裏側の平面である第2の平面の面積)を高め、第1の平面側の面圧を下げることが有効である。
【0011】
しかし、両面研磨においては、使用している遊離砥粒の劣化状況により、研磨ロット毎の研磨量比(第1の平面の研磨量/第2の平面の研磨量)に大きなばらつきが発生する。また、両面研削においても、使用している遊離砥粒の劣化状況により、研削ロット毎の研削量比(第1の平面の研削量/第2の平面の研削量)に大きなばらつきが発生する。そのため、一定の表面樹脂率を得ることは難しい。また、一定の表面樹脂率を有する接触体を選別するために、焼結体の厚みから、第1の平面の研磨量や研削量を正確に把握することは難しい。上述のように、研磨ロット毎の研磨量比や研削ロット毎の研削量比に大きなばらつきが発生するからである。
【0012】
特許文献2のように焼結体に面取り部が設けられ平坦部がある形状の場合は、研磨面や研削面と平坦部の段差量との差を把握することで研磨量や研削量を把握する方法が考えられる。しかし、平坦部には焼結後において端部にバリが不規則に発生し、また、平坦部の面積も小さい。そのため、接触式での測定ではバリ部に測定用のスタイラスが接触してしまい、簡易的に精度の高い測定をすることは困難である。
【0013】
そのため、接触体の加工が完了した状態で、接触体が所定の研磨量や研削量以下(所定の表面樹脂率以上)か否かを容易に精度良く検査することができなかった。
【0014】
本発明は、焼結体に樹脂が含浸された樹脂含浸部を有する接触体であって、樹脂含浸部の表面を含む平面の研磨量や研削量を容易に導出可能な接触体等を提供することを目的とする。なお、以下では、「研磨」は、「研磨」と「研削」とを総称する用語としても用いる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係る接触体は、振動型アクチュエータにおいて、振動が発生する振動体と接触し、前記振動体に対して相対移動する接触体であって、
焼結体に樹脂が含浸された樹脂含浸部と、前記焼結体に形成された凹部と、を有し、
前記凹部の開口面が、前記樹脂含浸部の表面を含む平面に形成されている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
以上述べたように、本発明によれば、焼結体に樹脂が含浸された樹脂含浸部を有する接触体であって、樹脂含浸部の表面を含む平面の研磨量や研削量を容易に導出可能な接触体等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の摩擦材(接触体)の製造方法を表す図。
図2】本発明の振動型アクチュエータを表す図。
図3】振動体における振動モードを表す図。
図4】第2実施形態に係る接触体の平面図及び断面図。
図5】第3実施形態に係る接触体の平面図及び断面図。
図6】本発明の振動型アクチュエータを備えるカメラ等の撮像装置の概略構成を示す図。
図7】本発明の振動型アクチュエータを搭載したロボットの概略構成を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[第1実施形態]
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0019】
図2は、振動型アクチュエータ1の概略構成を説明する図である。振動型アクチュエータ1は、振動体2と、振動体2と接触する接触体6と、を有する。振動体2は、平板状の弾性体3と、弾性体3の一方の面に接着された電気-機械エネルギー変換素子である圧電素子4と、弾性体3の他方の面に設けられた2つの突起部5を有する。
【0020】
「接触体」とは、振動体と接触し、振動体に発生した振動によって、振動体に対して相対移動する部材のことをいう。接触体と振動体の接触は、接触体と振動体の間に他の部材が介在しない直接接触に限られない。接触体と振動体の接触は、振動体に発生した振動によって、接触体が振動体に対して相対移動するならば、接触体と振動体の間に他の部材が介在する間接接触であってもよい。「他の部材」は、接触体及び振動体とは独立した部材(例えば焼結体よりなる高摩擦材)に限られない。「他の部材」は、接触体又は振動体に、メッキや窒化処理などによって形成された表面処理部分であってもよい。
【0021】
図3(a)は、振動体2を簡略化して示す斜視図である。圧電素子4は、例えば、弾性体3側の面には不図示の共通電極(全面電極)が形成され、弾性体3側の面の反対側の面には長さ方向で2等分され不図示の駆動電極が形成された構造を有している。
【0022】
図3(b)は、振動体2に励起される2つの屈曲振動モードのうちの第1振動モード(以下「Aモード」という)を説明する図である。Aモードは、振動体2の長手方向(X方向)における二次の屈曲振動であり、振動体2の短手方向(Y方向(幅方向))と略平行な3本の節線を有している。圧電素子4の駆動電極に所定の周波数で位相が180°ずれた交番電圧を印加することにより、振動体2にAモードの振動を励起することができる。突起部5は、Aモードの振動で節となる位置の近傍に配置されており、振動体2にAモードの振動が励起されることによりX方向で往復運動を行う。
【0023】
図3(c)は、振動体2に励起される2つの屈曲振動モードのうちの第2振動モード(以下「Bモード」という)を説明する図である。Bモードは、振動体2の短手方向(Y方向)における一次の屈曲振動であり、長手方向(X方向)と略平行な2本の節線を有している。圧電素子4の駆動電極に所定の周波数で同位相の交番電圧を印加することにより、振動体2にBモードの振動を励起することができる。突起部5は、Bモードの振動で腹となる位置の近傍に配置されており、振動体2にBモードの振動が励起されることにより突起部5の軸方向(Z方向)で往復運動を行う。
【0024】
振動体2は、Aモードでの節線とBモードでの節線がXY平面内において略直交するように構成されている。また、圧電素子4には不図示のフレキシブル基板が接着されており、フレキシブル基板を通じて圧電素子4に交流電流を供給することにより、振動体2にAモードとBモードの振動を同時に励起することができる。よって、AモードとBモードの振動を所定の位相差で励起することにより、突起部5の先端にZX面内で楕円運動を発生させることができる。
【0025】
振動型アクチュエータ1では、3つの振動体2はそれぞれ、突起部5と、接触体6の接触面6cと、が接触するように配置されている。よって、接触体6を、図2に矢印で示す回転方向に回転可能に支持し、振動体2にAモードとBモードの振動を同時に励起すると、接触体6は、突起部5によって摩擦駆動されてその周方向に回転する。なお、図2では、接触体6を回転可能に支持する支持部材や、振動体2を保持する保持部材、振動体2と接触体6とを接触させるための加圧手段等の図示を省略している。本実施例では、振動体2が固定されて接触体6が回転可能にしたが、逆に、接触体6が固定され、3つの振動体2を保持部材と共に回転可能にしてもよい。
【0026】
図1は、図2の接触体6の製造方法を接触体6の径方向の断面で説明する図である。図1の左側が、円環状に形成された接触体6の内径側、図1の右側が、接触体6の外径側となっている。本実施形態では、接触体6に、SUS420J2相当のマルテンサイト系のステンレス焼結体を焼結体6a(図1(a))として使用している。焼結体の断面形状は四隅が面取りされた概矩形の形状となっている。面取りされた部分(面取り部)は、ステンレス粉末を成形する際に設ける。角部にバリが発生することを抑制するため、面取り部には平坦部が設けられている。また、接触体6の、振動体2と接触する側の面は、振動体2と接触する面(接触面6c)と、振動体2と接触しない面(非接触面6d)で構成されている。接触面6cの幅は、焼結体6aの寸法公差、組み立て誤差等を考慮して決定する。
【0027】
なお、「振動体と接触する面」とは、振動体と接触体とを有する振動型アクチュエータでは、振動体と接触する部分を有する面のことである。しかし、接触体単体は、振動体を構成として有しないので、振動体と接触する可能性のある部分を有する面のことである。また、「振動体と接触しない面」とは、振動体と接触体とを有する振動型アクチュエータではなく、接触体単体では、実際に振動体と接触しているわけでないので、振動体と接触する可能性のない面のことである。
【0028】
接触面6cと非接触面6dは同一平面上にある。
【0029】
接触面6cと非接触面6dとの間には凹部6bが設けられており、接触面6cと非接触面6dは非連続となっている。凹部6bの幅は、凹部6bの深さが深くなるにつれて一定の割合で狭まるようになっている。つまり、接触体6の径方向の断面における凹部6の形状は、V溝形状である。また、凹部6は、円環状に形成された接触体6の形状に沿って、円環状に設けられている。接触面6cと、凹部6bの接触面側の傾斜面と、のなす角度θ1は、接触面6cと隣接し凹部6bの接触面側の傾斜面と対向する傾斜面と、のなす角度θ2より大きくする。また、なす角度θ1は90度より大きくする。望ましくは、なす角度θ1は120度以上である。凹部の形状は逆台形形状やU形状、円錐形状、傾斜のない溝でもよい。また、径方向において凹部がない箇所があってもよい。また、設計上可能であれば、接触面と接触面と同一平面上のその他の面(樹脂含浸部の表面を含む平面)の面積の合計が、裏面(裏側の平面)の面積より大きくなるようにする。
【0030】
図1(a)に、凹部を有する焼結体を形成する形成工程を示した。焼結体6aは、SUS410L粉末と炭素粉末を混合した原料粉末の成形体を成形する工程(成形工程)、及び、当該成形体を融点以下の所定の温度に保持して粉末同士を結合させる工程(焼結工程)により製造される。
【0031】
焼結体6aのビッカース硬さは200g(=0.2kg)の試験力で測定した。焼結体6aを接触体6として用いたときの摩擦摺動面の耐摩耗性を高めるため、焼結体6aのビッカース硬さは550HV0.2以上とした。なお、凹部6bは、焼結工程前の成形体に形成しても、焼結工程後の焼結体に形成してもよい。焼結工程前の成形体に形成する方が、凹部6bの形成に要するコストが低いので、凹部6bは、焼結工程前の成形体に形成するのが好ましい。本実施例でも、凹部6bは、焼結工程前の成形体に形成した。
【0032】
次に、焼結体6aの気孔部に樹脂を含浸させるため、2液硬化型の液状の接着剤を用意する。本実施例では、主剤の主成分は液状のエポキシ樹脂、硬化剤の主成分はアミンを使用した。また、より保持力の効果を高めるため樹脂に硬質粒子であるGCを分散させている。
【0033】
図1(b)及び図1(c)に、焼結体に樹脂を含浸した樹脂含浸部を形成する含浸工程を示した。図1(b)に示すように、焼結体6aの摩擦部となる側の面に液状のエポキシ樹脂6eを不図示のディスペンサ装置で塗布する。塗布後、樹脂6eが少なくとも接触面6c全面に塗られていることを確認する。この際、凹部6bがあるため、凹部6bがない場合と比較して、振動体2が接触する可能性がある面、つまり、塗布をすべき範囲に塗られているか否かの判断が容易にできる。
【0034】
その後、約80℃に加熱されたホットプレートの面に、焼結体6aのエポキシ樹脂6eが塗布されていない面を接触させる。これにより、焼結体6aを介して伝導された熱によってエポキシ樹脂6eの粘度が低下し、気孔部への浸透を促進させることができる。
【0035】
ここで、ホットプレートとは、電熱式のヒーターを熱源としてプレートを加熱する器具をいう。また下記のオーブンとは、閉じた空間内で加熱する器具であり、定常状態になるとオーブン内の雰囲気温度と被加熱物の温度が同じになるものである。
【0036】
図1(c)は、焼結体6aを加熱後、摩擦部面から一定の距離までエポキシ樹脂6eが浸透した様子を表している。エポキシ樹脂6eが含浸している焼結部を、樹脂含浸部6fと定義する。樹脂含浸部6fにおいては、樹脂含浸部6fの表面からの深さが深くなるにつれて、樹脂の割合が減少していく。これは、焼結体6aの最表層である0~50μm程度の深さにおいては、焼結粉同士が結合するネッキング部が少なく、ある程度以上の深さでは、外部の空気が通らず樹脂も充填されない閉気孔部が出現することによると考えられる。また、大きな気孔部には樹脂が完全に充填しないまま下に流れていくことによるとも考えられる。その後、エポキシ樹脂6eを硬化させるため、約80℃に設定したオーブンに入れ、30分程度放置する。なお、使用したエポキシ樹脂は室温でも硬化するため、オーブンに入れるのは必須ではない。また、熱浸透に適した温度と硬化に適した温度は同じにする必要はなく、使用する樹脂に対して適した温度を選択する。
【0037】
この一連の樹脂含浸の工程においては、樹脂の量を実際に含浸(浸透)する量よりも多めに塗布しているため、摺動部の表面に硬化後の樹脂が残ってしまう。この樹脂を除去する目的と接触部や裏面の平面度、接触体6の厚みを所定の値に修正するために、樹脂硬化の工程後に研削を行い、更に表面の面粗さ等を整えるために研磨加工を施し接触体6として完成させている。
【0038】
ここで、本実施例では、研削の際に両面を同時に研削する両面研削を用いている。両面研削では、GCの遊離砥粒と金属の定盤を用いている。片面ずつの研削ではなく両面研削を用いる理由としては、片面研削では研削量が多いため平行度を良好に保つことが難しい為、また片面ずつでは加工時間が長くなる為である。
【0039】
両面研削においては、接触面側の研削量を極力減らす為、接触面側が上になるように定盤にセットする。また定盤の回転数を下の定盤に対して上の定盤の回転数が小さくなるように設定する。そして両面の厚みが所定の値になるまで両面研削する。この際、裏面に対して接触面側の面積を大きくすることにより相対的に接触面側の面圧が小さくなるため接触面側の研削量を相対的に小さくすることができる。
【0040】
図1(d)は、焼結体6aの凹部6bとその周辺の拡大断面である。接触面と同一平面上にある凹部6の開口面の幅(開口幅)をW、凹部の深さをhとした際に、焼結後(樹脂含浸前)の焼結体6aの凹部の幅(開口幅)W1と凹部の深さh1を把握しておき、研削後の凹部の幅W2を測定する。研削後の凹部の深さh2は、研削後の凹部の幅(開口幅)W2と比例の関係(定数×W2)にあるように凹部の形状を決めているため、凹部の研削量Δh、つまり接触面側の研削量Δhが分かる。
【0041】
つまり、以下の式で計算(導出)できる。
Δh=h1-定数×W2
【0042】
ここで「開口面」とは、開口の縁(開口縁)の全周を含む仮想的な平面のことである。なお、Δh、W2の対応関係を、設計図面における形状や実際の焼結体6aの凹部の寸法測定の結果等から予め求めておくことにより、計算せずに、W2からΔhを導出することもできる。
【0043】
このように、両面研削の際には、遊離砥粒の劣化状況により上面と下面の研削量比のばらつきが大きくなりやすいが、厚みだけでなく、凹部の幅も管理することで、接触面側の研削量を容易に把握することができる。研削後には、接触面6cに対して、研磨加工による平滑化加工(樹脂含浸部の表面を含む平面に、凹部の開口面を形成する研磨工程)を施すことで、図1(e)に示す接触体6を得る。この接触面6cの一部が摺動されることになる。なお、研磨加工は、銅定盤をダイヤの遊離砥粒(3μm)を用いた。焼結体6aの気孔部の一部または全部にはエポキシ樹脂6eが含浸された樹脂含浸部を有しており、接触面は焼結面と硬質粒子が分散した樹脂面と気孔部を含んだ構成をしている。
【0044】
事前に研磨量や研削量と保持トルクの関係を把握しておき、許容される研磨量や研削量を決めておくことにより、凹部の幅が所定の値以上あることを確認することで、研磨量や研削量が許容値となっているか否かを検証することができる。このとき、凹部に樹脂が含浸されるように塗布した場合は、凹部の幅を測定することが容易になる。本実施例では、凹部の傾斜角度を緩やかにしているため樹脂が凹部に流れやすくなっている。更に、凹部になっていることで、凹部の一部に流れた樹脂が周状に沿って凹部を流れる。そのため、凹部全体に樹脂が含浸されやすくなっている。副次効果として、焼結体6aの真円度が悪いことにより、塗布円の中心と焼結体6aの中心がズレた場合でも、接触面6cの全面に、樹脂が凹部を通して含浸されやすい。また、樹脂に蛍光染料を添加した場合は、蛍光顕微鏡で観察することで振動体の突起部が接触する可能性のある接触面全面に樹脂が良好に含浸しているかをより容易に検証することができる。
【0045】
本実施例においては、焼結体6aの気孔部の大きさは場所により異なるが数μmから100μm程度の最大長さを有している。なお、本実施例では、焼結体に樹脂の充填を行ったが、レーザ等で孔部を設けたステンレスの溶製材に樹脂の充填を行ってもよい。また凹部の形成も焼結後にレーザ加工やプレス加工、切削等によって形成してもよい。
【0046】
<振動型アクチュエータの応用例>
上述した実施例に係る振動型アクチュエータ用摩擦材を接触体として用いた振動型アクチュエータの考えられる応用例について、以下に、撮像装置、及び産業用ロボットを例に取り上げて説明する。
【0047】
図6(a)は撮像装置700の概略構成を示す上面図である。撮像装置700は、撮像素子710及び電源ボタン720を搭載したカメラ本体730を備える。また、撮像装置700は、不図示のレンズ群、振動型アクチュエータを備えるレンズ鏡筒740を備える。レンズ群の駆動は振動型アクチュエータによって行われる。レンズ鏡筒740は、交換レンズとして取り換え可能であり、撮影対象に合わせて適したレンズ鏡筒740をカメラ本体730に取り付けることができる。振動型アクチュエータとしては、図1を参照して説明した、振動型アクチュエータを用いることができる。
【0048】
振動型アクチュエータによるレンズの駆動は、オートフォーカス用のレンズの駆動に好適であると考えられるが、これに限られず、ズーム用のレンズについても、同様の構成による駆動が可能と考えられる。また、振動型アクチュエータは、撮像素子の駆動や、手ぶれ補正時のレンズ或いは撮像素子の駆動にも用いることができる。
【0049】
図6(b)に本実施例の振動型アクチュエータをカメラのレンズ鏡筒に実装した例を示す。図6(b)はレンズ鏡筒の断面図である。接触体11は摺動部が耐摩耗性を有しており、振動体12の突起部と対向し接触するように配置されている。この接触体11の摺動部側と反対側の面にはロータゴム(防振ゴム)8を挟んで出力伝達部材9が設置されている。
【0050】
一方、振動を阻害しないように振動体を保持する保持基台43において接触体11側と反対側には、振動体12と接触体11に対して加圧するための加圧手段として板バネ10が設けられている。また、この板バネ10を圧縮し加圧力を生じさせるために、この板バネ10のたわみ量を規制する加圧リング18が設けられており、加圧リング18と保持基台43とで、板バネ10を挟持している。これらにより、振動体12と接触体11の間に適切な加圧力が付与される。
【0051】
鏡筒ユニット本体16には、光軸Lの方向に対し垂直に張り出したフランジ16-1が形成されており、このフランジの一方の面にマニュアルフォーカスする為に手で回されるマニュアルリング15が設置されている。また、マニュアルリング15や振動型アクチュエータの力の伝達により回転可能なコロリング19がマニュアルリング15と振動型アクチュエータの間に設置され、コロリング19に設置された出力キー17を介してカム環等を回転させる機能を有している。コロリング19には半径方向に複数延出して形成されたコロ軸13とこれに係合しコロ軸回りに回転自在に取り付けられたコロ14とが設置されている。このコロ14を挟んで前記出力伝達部材9とマニュアルリング15が光軸L方向に積層されて構成されている。加圧リング18は内周側が鏡筒本体16とネジまたはバイヨネット構造で係合している。加圧リングを回転させ光軸L方向に移動することで加圧バネ10を圧縮し、振動子保持基台43からマニュアルリング15を経て本体フランジ16-1までを加圧挟持する構造になっている。
【0052】
振動体12の突起部に楕円運動が形成されると、この突起部と接触している接触体11には摩擦駆動力が発生するため、接触体11、ロータゴム8、出力伝達部材9とが光軸L周りに回転する。出力伝達部材9と接触しているコロ14はマニュアルリング15の面上を転動しながらコロリング19と共に光軸L回りに回転し、コロリング19に設置された出力キー17により不図示のカム環等を回転させ、オートフォーカス動作などを行う。
【0053】
振動型アクチュエータを搭載したロボット100について図7を用いて説明する。
【0054】
ロボットのアーム関節部の曲げやハンド部の把持動作に用いられるモータには、低回転数で高トルクのTN特性(負荷トルク-回転数の関係を示す垂下特性)を有するものが求められるため、振動型アクチュエータが好適であると考えられる。そこで、振動型アクチュエータを備える装置(機械)の一例としての産業用ロボットの構成について図7を参照して説明する。
【0055】
図7は、振動型アクチュエータを搭載したロボット100の概略構成を示す斜視図であり、ここでは、産業用ロボットの一種である水平多関節ロボットを例示している。振動型アクチュエータは、図7において、アーム関節部111やハンド部112に内蔵される。アーム関節部111は2本のアーム120が交差する角度を変えることができるように2本のアームを接続する。ハンド部112は、アーム120と、アーム120の一端に取り付けられる把持部121と、アーム120と把持部121とを接続するハンド関節部122とを有する。振動型アクチュエータは、アーム120同士の角度を変化させるアーム関節部111や、把持部121を、所定角度、回転させるハンド関節部122に用いられる。
【0056】
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。
【0057】
[第2実施形態]
第2実施形態では、接触体6の第1の変形例について説明する。なお、振動体6や接触体の焼結工程、樹脂塗布工程、含浸・硬化のための熱処理、研削加工及び研磨工程は第1実施形態と同様のため、詳細の説明は省略する。
【0058】
図4(a)は、樹脂含浸前の焼結体26aの振動体を接触する側から見た面であり、凹部26b、凹部26jがそれぞれ、90度間隔で4ケ所設けられている。振動体と接触する側と反対側の面には不図示の凹部26kが、凹部26b,26jと同様に90度間隔で4ケ所設けられている。
【0059】
図4(b)は、図4(a)の径方向のA-A断面図であり、左側が内径側、右側が外径側となっている。焼結体の断面形状は四隅が面取りされた概矩形の形状となっている。また、振動体6と接触する可能性のある接触面26cには、凹部26b、凹部26jの2つの凹部が設けられている。振動体6と接触する側の面とは反対側の面には凹部26kが設けられている。ここで凹部26bは断面形状において径方向の幅が深さ方向で変化せず、一定の形状をしている。なお、凹部26bの形状はU字形状でもよく、途中で径方向の幅が変化してもよい。凹部26bの深さは研磨量や研削量として許容できる量に設定する。凹部26bは成形段階ではなく、焼結後にドリルなどの後加工をして設けてもよい。凹部26jは断面形状において逆台形形状をしている。台形形状にすることで焼結体のサイズによっては成形時の金型の長寿命化につなげられる。一方、凹部26kは円錐形状をしており、断面形状において△形状となっており径方向の幅が深くなるにつれ小さくなっている。本実施例では、3種類の凹部を設けたが凹部の形状は、研磨量や研削量をどの程度詳細に把握するかや作りやすさなどを考慮して行う。また、設計のスペース上、接触面側に凹部が設けられない場合等は接触面と反対側の凹部26kのみでもよい。
【0060】
接触面26cは、同一平面上にあり、凹部26と凹部26jにより3つに分けられており、振動体6の突起部は、凹部以外のいずれかの接触面と接するように凹部の位置や大きさを決定する。本実施例では、中央の接触面の一部に振動体2の突起部5が接触するように設計する。
【0061】
次に、焼結体6aの気孔部に樹脂を含浸させる。焼結体26aの摩擦部となる側の面に液状のエポキシ樹脂を塗布する。塗布後、樹脂が少なくとも接触面において必要な面に塗られていることを確認する。この際、凹部26b及び凹部26jがあるため、凹部がない場合と比較して、振動体2が接触する可能性がある面、つまり塗布をすべき範囲である中央部の接触面26cに塗られているか否かの判断が容易にできる。
【0062】
その後、約80℃に加熱されたホットプレートの面に、焼結体26aのエポキシ樹脂が塗布されていない面を接触させる。これにより、焼結体26aを介して伝導された熱によってエポキシ樹脂の粘度が低下し、気孔部への浸透を促進させることができる。
【0063】
その後、エポキシ樹脂を硬化させるため、約80℃に設定したオーブンに入れ、30分程度放置する。放置後、接触面上に硬化した樹脂を除去する目的と接触部や裏面の平面度、接触体26の厚みを所定の値に修正するために、樹脂硬化の工程後に両面研削と研磨をし、図4(c)に示す接触体を得る。
【0064】
ここで、接触面側の凹部26bを、研磨量や研削量として許容できる量に設定しているため、凹部の消失の有無(凹部の個数が0か1か)によって正常品か不良品かを容易に判断することができる。
【0065】
詳細な研磨量や研削量を知りたい場合は、凹部26jの幅を実施例1と同様に測定すれば把握できる。また、凹部26jと凹部26bの深さを非同一とする(それぞれ深さの異なる凹部26jと凹部26bとが形成されている)ことで、凹部26bの消失の有無だけの判断と比べ、更に詳しい研磨量や研削量を把握することができる。凹部が消失していれば、研磨量や研削量が、消失した凹部の深さ以上であることが解り、凹部が消失していなければ、研磨量や研削量が消失していない凹部の深さ未満であることが解るからである。つまり、測定された凹部の個数と、凹部の個数及び研磨量の関係と、から研磨量を、幅を持った値(ある値以上、且つ、ある値以下の値)として、導出することができる。
【0066】
接触面と反対側に設けられている凹部26kの幅を実施例1と同様に測定することで、接触面と反対側の研磨量や研削量と焼結体26aの厚みの変化量から接触面側の研磨量や研削量を把握し、正常品か不良品かを判断することもできる。
【0067】
なお、本実施例では、凹部を断続的に設けたが、どの径方向断面でも図4(c)の断面形状となるように、凹部は円環状に設けられてもよい。
【0068】
[第3実施形態]
第3実施形態では、接触体6の第2の変形例について説明する。図5(a)は、第3実施形態に係る接触体36を、接触体36を駆動する振動体6の側から見た平面図である。図5(b)は、図5(a)に示すB-B断面図であり、駆動方向と垂直な断面である。
【0069】
接触体36は、第1実施形態で説明した接触体6を、リニア駆動型の振動型アクチュエータの接触体(直線状に形成された接触体)として具現化したものである。なお、振動体2を用いたリニア駆動型の振動型アクチュエータの構成や駆動原理は公知であるため、ここでの説明を省略する。また、接触体の焼結工程、樹脂塗布工程、含浸・硬化のための熱処理、研削加工及び研磨工程は第1実施形態と同様のため、説明は省略する。
【0070】
棒状(直線状)の接触体36は、接触体36の長さ方向に沿って形成された帯状の接触面36cを有し、接触面36cと同一仮想平面に凹部36b、36jが形成されている。第1実施形態と同様に凹部の幅を測定することで、研磨量や研削量を把握することができ、接触体36が正常品か不良品かを容易に判断することができる。
【符号の説明】
【0071】
1 振動型アクチュエータ
2 振動体
6,26,36 接触体
6a,26a,36a 焼結体
6b,26b,26j 凹部
6c,26c,36c 接触面
6e 樹脂
6f 樹脂含浸部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7