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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-08
(45)【発行日】2024-03-18
(54)【発明の名称】清掃管理装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/12 20120101AFI20240311BHJP
【FI】
G06Q50/12
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020023863
(22)【出願日】2020-02-14
(65)【公開番号】P2021128644
(43)【公開日】2021-09-02
【審査請求日】2022-12-22
(73)【特許権者】
【識別番号】592205735
【氏名又は名称】株式会社ケイティーエス
(74)【代理人】
【識別番号】100126712
【弁理士】
【氏名又は名称】溝口 督生
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 正治
【審査官】野口 俊明
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-162010(JP,A)
【文献】特開2018-169648(JP,A)
【文献】特開2003-067509(JP,A)
【文献】特開2016-110276(JP,A)
【文献】特開2003-216746(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部屋に入室する清掃者の所持する清掃者通信端末からの清掃者ビーコン信号および該部屋に入室する点検者の所持する点検者通信端末からの点検者ビーコン信号のそれぞれを受信可能な受信部と、
前記受信部で受信された前記清掃者ビーコン信号に含まれる前記清掃者を識別する清掃者識別子を検出する、清掃者識別子検出部と、
前記受信部で受信された前記点検者ビーコン信号に含まれる前記点検者を識別する点検者識別子を検出する、点検者識別子検出部と、
前記受信部での受信に基づいて、前記部屋について、未清掃、清掃中、清掃完了、点検中および点検完了の少なくとも一つのステータスを判定する判定部と、
前記判定部で判定された結果である前記ステータスを送信する送信部と、を備え、
前記清掃者通信端末は前記清掃者ビーコン信号を通常において出力しており、前記清掃者が前記部屋に入室することで、前記受信部は、前記清掃者ビーコン信号を受信可能であり、
前記点検者通信端末は、前記点検者ビーコン信号を通常において出力しており、前記点検者が前記部屋に入室することで、前記受信部は、前記点検者ビーコン信号を受信可能であり、
前記判定部は、
(1)前記部屋が清掃中、清掃完了、点検中および点検完了のいずれでも判定されていない場合には、前記部屋を未清掃であると判定し、
(2)前記受信部が前記清掃者ビーコン信号を所定時間以上受信することで、前記部屋を清掃中であると判定し、
(3)前記清掃中の判定状態において、前記受信部が前記清掃者ビーコン信号を所定時間以上受信しなくなることで、前記部屋を清掃完了として判定し、
(4)前記受信部が前記点検者ビーコン信号を所定時間以上受信することで、前記部屋を点検中であると判定し、
(5)前記点検中の判定状態において、前記受信部が前記点検者ビーコン信号を所定時間以上受信しなくなることで、前記部屋を点検完了として判定し、
前記送信部は、前記判定部での判定結果である前記ステータスを、管理サーバーに送信し、
前記管理サーバーは、前記点検完了のステータスを受信すると、当該点検完了対象の部屋を、入室可能な部屋として処理する、清掃管理装置。
【請求項2】
前記判定部は、前記清掃者識別子検出部で検出された前記清掃者識別子に基づいて、前記清掃中および前記清掃完了のいずれかに関わった清掃者を特定する、請求項1記載の清掃管理装置。
【請求項3】
前記判定部は、前記点検者識別子検出部で検出された前記点検者識別子に基づいて、前記点検中および前記点検完了のいずれかに関わった点検者を特定する、請求項1または2記載の清掃管理装置。
【請求項4】
前記判定部は、前記清掃者ビーコン信号の受信時刻および未受信となる時刻に基づいて、前記部屋の清掃開始時刻、清掃所要時間および清掃完了時刻の少なくとも一つを判定する、請求項1から3のいずれか記載の清掃管理装置。
【請求項5】
前記判定部は、前記点検者ビーコン信号の受信時刻および未受信となる時刻に基づいて、前記部屋の点検開始時刻、点検所要時間、点検完了時刻の少なくとも一つを判定する、請求項1から4のいずれか記載の清掃管理装置。
【請求項6】
前記部屋のドアの開閉を検出する開閉検出部を更に備え、
前記判定部は、
前記ドアの開きおよび所定時間以上の前記清掃者ビーコン信号の受信に基づいて、前記部屋を清掃中と判定し、
前記清掃中の判定状態において、前記ドアの閉まりおよび所定時間以上の前記清掃者ビーコン信号の未受信に基づいて、前記部屋を清掃完了と判定し、
前記ドアの開きおよび所定時間以上の前記点検者ビーコン信号の受信に基づいて、前記部屋を点検中と判定し、
前記点検中の判定状態において、前記ドアの閉まりおよび所定時間以上の前記点検者ビーコン信号の未受信に基づいて、前記部屋を点検完了と判定する、請求項1から5のいずれか記載の清掃管理装置。
【請求項7】
前記部屋における前記清掃者ビーコン信号の受信時刻、受信喪失時刻、前記点検者ビーコン信号の受信時刻および受信喪失時刻を計測する計測部を更に備え、
前記計測部は、
前記清掃者ビーコン信号の受信時刻から受信喪失時刻までの時間を、前記清掃者が前記部屋で清掃作業した清掃者滞在時間として演算し、
前記点検者ビーコン信号の受信時刻から受信喪失時刻までの時間を、前記点検者が前記部屋で点検作業した点検者滞在時間として演算し、
前記判定部は、
前記清掃者滞在時間が所定時間未満の場合には、前記清掃者ビーコン信号の受信喪失があっても、前記部屋を清掃完了としては判定せず、
前記点検者滞在時間が所定時間未満の場合には、前記点検者ビーコン信号の受信喪失があっても、前記部屋を点検完了としては判定しない、
請求項6記載の清掃管理装置。
【請求項8】
前記判定部は、
前記ドアの開き、所定時間以上の前記清掃者ビーコン信号の受信および前記清掃者滞在時間が所定時間以上であることのすべてが満たされる場合に、前記部屋を清掃中として判定する、請求項7記載の清掃管理装置。
【請求項9】
前記判定部は、
前記ドアの開き、所定時間以上の前記点検者ビーコン信号の受信および前記点検者滞在時間が所定時間以上であることのすべてが満たされる場合に、前記部屋を点検中として判定する、請求項8記載の清掃管理装置。
【請求項10】
前記清掃者通信端末は、清掃完了通知部を備え、
前記清掃者は、清掃作業が終了すると、前記清掃完了通知部を操作して清掃完了信号を送信し、
前記受信部は、前記清掃完了信号を受信し、
前記判定部は、前記清掃完了信号の受信に基づいて、前記部屋を清掃完了として判定する、請求項1から9のいずれか記載の清掃管理装置。
【請求項11】
前記点検者通信端末は、点検完了通知部を備え、
前記点検者は、点検作業が終了すると、前記点検完了通知部を操作して点検完了信号を送信し、
前記受信部は、前記点検完了信号を受信し、
前記判定部は、前記点検完了信号の受信に基づいて、前記部屋を点検完了として判定する、請求項10記載の清掃管理装置。
【請求項12】
前記部屋を備えるのが宿泊施設である場合には、
前記管理サーバーは、前記宿泊施設の管理部門に備わり、
前記管理部門は、前記管理サーバーにおける表示に基づいて、前記宿泊施設の複数の部屋のそれぞれのステータスを管理可能である、請求項1から11のいずれかの清掃管理装置。
【請求項13】
前記受信部、前記清掃者識別子検出部、前記点検者識別子検出部、前記判定部および前記送信部は、前記部屋に設置される通信ターミナルに備わる、請求項1から12のいずれか記載の清掃管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の部屋を備える施設において、複数の部屋のそれぞれの清掃の進捗状況を自動かつ容易に管理できる、清掃管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ホテルやオフィスビルなどの施設では、複数であって多くの部屋を備える。特に、ホテルなどの宿泊施設においては、多くの部屋を備えており、日々利用者(宿泊客)が変化する。いわゆる、宿泊施設の部屋へのチェックインや部屋からのチェックアウトによって、部屋の宿泊客が変化していく。
【0003】
このように、宿泊施設においては、利用者である宿泊客が日ごとに変わっていくので、チェックアウトからチェックインまでの間に、宿泊客が変化する部屋のそれぞれを清掃する必要がある。もちろん、チェックインおよびチェックアウトをせずに同一の宿泊客が連泊することもある。この場合には、宿泊客が同一であるが、やはり宿泊客が不在の間において、部屋の清掃を済ませる必要がある。
【0004】
このような宿泊施設における各部屋の清掃は、上述したように宿泊客が不在の間の短い時間に行われる必要がある。このため、複数の清掃者が分担して、各部屋の清掃を行う。また、清掃者が清掃作業をした後で、点検者が清掃状態を点検し、適切かつルール通りに清掃が完了していることが確認される。これらの一連の動作により、各部屋の清掃が完了して、新しい宿泊客を迎え入れることができる。
【0005】
しかしながら、宿泊施設には多くの部屋がある。また、チェックアウトされている部屋、チェックアウトされていない部屋、清掃不要の部屋、チェックアウトされていないが清掃が必要な部屋など、様々な状態にある。これらの異なる状態の部屋が、各階に様々に混在している状態である。
【0006】
宿泊施設においては、複数の清掃者や点検者がいる。これらの複数の清掃者や点検者は、一定の分担をもって各々の作業に入るが、どこの部屋が作業対象であるのか点検対象であるのかは、実際に部屋に行ってみないとわからない問題がある。また、清掃者や点検者のそれぞれにおいて、お互いがどの部屋にいるのか、どの部屋に行くべきなのかを把握することが難しい問題がある。
【0007】
また、清掃者などは、ホテルの各部屋に作業に行っているので、ホテルのレセプションにとっては、どの部屋の作業が終わっているのかいないのかを把握することが難しく、またどこにどの清掃者や点検者がいるのかを把握することも難しい。この把握の難しさの結果、チェックインしてきた宿泊客を、予定通りの部屋に案内してよいのか、案内を待つべきなのかの判断が難しいこともある。
【0008】
例えば、チェックインして案内した部屋が、清掃が終わっていないということもあり得、この場合には、宿泊客からのクレームが生じる。
【0009】
特に最近においては、清掃者などは、宿泊施設に直接雇用されているのではなく、外注の専門業者に委託されていることも多い。専門業者は、日替わりで派遣する清掃者やそのチームを変更することもあるので、宿泊施設のレセプションは、清掃の進行状態の把握が、非常に難しくなる状況にある。
【0010】
宿泊施設においては、チェックインにスムーズに対応して、清掃完了した部屋に、次の宿泊客を次々と案内できるように、チェックインまでに確実に清掃を終えていることが必要である。加えて、清掃が完了しているかどうか、どの部屋が完了しているのか、といった全体の進捗状況が、レセプションからリアルタイムに把握できることが求められる。
【0011】
このような状況で、清掃者や点検者は、各部屋の作業進行状況を整理するために、紙ベースの管理表を使うこともある。すなわち、各部屋の清掃作業、点検作業の、未了、完了をチェックする紙のチェックシートを用いることがある。作業者にとっては、チェック作業が楽であり、近年の外国人労働者にとっても分かりやすいので、このような紙ベースのチェックシートが使われることが多くなっている。
【0012】
しかしながら、紙ベースのチェックシートでは、清掃者や点検者のそれぞれが、清掃や点検の終了状態を把握できるに過ぎない。このため、清掃作業の済んだ部屋に、別の清掃者が来てしまうなどの無駄が発生することもある。加えて、レセプションの管理者や清掃業務全体の管理者が、進捗状況や全体状況をリアルタイムに把握できないなどの問題もある。
【0013】
あるいは、各部屋に設置されているテレビとテレビに繋がるセットトップボックスのアプリケーションを用いて作業のチェックが行われることもある。現在の宿泊施設のテレビは、セットトップボックスと通信ネットワークが接続されおり、宿泊客の便益となるビデオ放送などを行う。この通信ネットワークやセットトップボックスのアプリケーションの組み込みを利用して、清掃作業の終了を、テレビを通じて行うことも行われる。
【0014】
一例として、清掃者が、ある部屋での清掃作業を終えると、テレビのリモコンを操作して、清掃作業に関するアプリケーションを起動する。このアプリケーションをリモコンで操作して、当該部屋の清掃作業が終わったことを示す操作を行う。この操作によって、テレビおよびセットトップボックスとネットワーク接続されているレセプションや清掃業務管理者への通信端末に、清掃完了の通知が通知される。
【0015】
このような各部屋のテレビを利用した清掃作業完了の処理を、清掃者や点検者が行うことで、紙ベースのチェックリストと異なり管理者が把握することができるメリットがある。
【0016】
このようなテレビなどの電子機器を操作することによる清掃作業の管理の流れに対応する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【文献】特開2003-67509号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
特許文献1は、、複数の部屋を清掃する清掃員の勤務状況、各部屋に宿泊する宿泊者のチェックアウト時刻、各部屋毎の清掃状態、各部屋毎の清掃作業時間を管理する複数のデータテーブル32~36と、宿泊施設の清掃計画作成指示を行うキーボード13と、清掃計画作成指示が行われた場合、データテーブル32~36を参照し勤務中の個々の清掃員が担当する範囲内で始めに清掃する部屋と清掃開始時刻を決定すると共に、宿泊者が滞在せず、かつ未清掃の全部屋について、清掃順序を決定するためのポイント値を算出し、算出したポイント値に基づいて清掃員毎の各部屋の清掃計画を作成する清掃計画プログラム31を記憶したハードディスク装置18とを備える清掃計画作成装置、を開示する。
【0019】
しかしながら、特許文献1の技術は、作業計画を作ることはできても、清掃作業の進捗状況を管理することはできない。このため、チェックインする宿泊客を、スムーズかつ間違いなく清掃済みの部屋に案内するという目的を実現できない。
【0020】
また、特許文献1の技術を、清掃の進捗や終了の管理に用いることは、清掃者や点検者の現場作業の負担を大きくしてしまう問題がある。また、様々な電子機器を用いることでの、コスト増加をもたらす問題がある。例えば、特許文献1の技術を応用して、清掃者などの全員が電子端末を所持して、計画に従った作業や進捗管理を行うことは、コスト増加や作業者の管理負担を増加させる問題がある。
【0021】
また、従来技術の紙ベースのチェックリストは、管理者が把握できないので、やはり、チェックインする宿泊客を、スムーズかつ間違いなく清掃済みの部屋に案内するという目的を実現できない。
【0022】
あるいは、従来技術で説明したテレビのアプリケーションを操作する方法は、この作業が確実に行われれば、管理者が清掃の進捗状況を把握できる。しかしながら、清掃者は、非常に忙しく短時間で清掃作業を終えて次の部屋の清掃に取り掛かる必要がある。このような中で、清掃作業が終わるたびに、テレビのアプリケーションを起動して操作して終了させるなどの、追加の手間をかける余裕がない。
【0023】
また、テレビに表示されるアプリケーションを使用するには、テレビのリモコンを操作する必要がある。しかしながら、清掃者は、清掃作業に必要となるゴム手袋などをしていることも多く、ゴム手袋をいちいち取り外して操作作業をすることは負担が大きい。さらには、清掃者などは、外国人労働者であることも多く、言語の問題から、アプリケーションを起動して操作することが難しかったり、間違った操作をしてしまったりするなどの問題も生じる。また、このようなアプリケーションは、設置されている宿泊施設ごとに異なることもあるが、清掃者は外注される業者であることも多い。この場合には、清掃業者として派遣された清掃者は、宿泊施設ごとに異なるアプリケーションを覚える負担も生じてしまう。
【0024】
このような状況では、テレビに表示されるアプリケーションを用いた清掃作業の進捗管理を、清掃者などに行わせるのは好ましくない。負担が大きくなるうえ、操作不備や操作ミスで、進捗管理に間違いが起こる可能性もある。
【0025】
このように、従来技術では、紙ベースによる進捗管理によって、管理者が清掃作業の進捗状況を把握できない問題がある。あるいは、テレビやセットトップボックスのアプリケーションを用いる場合でも、清掃者にとっては負担が大きく、間違いなく使用されないままに、適切な進捗管理が行われていない問題があった。
【0026】
これらの問題の結果、清掃業務の進捗状況を、ホテルのレセプションや管理者が把握できない問題が生じている。結果として、清掃の終わっている部屋にスムーズに宿泊客を案内できにくかったり、清掃の終わっていない部屋に間違えて案内してしまったりするなどの問題に関わっている。
【0027】
本発明は、これらの課題に鑑み、作業者の手間や負担を低い状態で、より高い精度で確実に清掃作業の完了や点検作業の完了を管理できる清掃管理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0028】
上記課題に鑑み、本発明の清掃管理装置は、部屋に入室する清掃者の所持する清掃者通信端末からの清掃者ビーコン信号および該部屋に入室する点検者の所持する点検者通信端末からの点検者ビーコン信号のそれぞれを受信可能な受信部と、
受信部で受信された清掃者ビーコン信号に含まれる清掃者を識別する清掃者識別子を検出する、清掃者識別子検出部と、
受信部で受信された点検者ビーコン信号に含まれる点検者を識別する点検者識別子を検出する、点検者識別子検出部と、
受信部での受信に基づいて、部屋について、未清掃、清掃中、清掃完了、点検中および点検完了の少なくとも一つのステータスを判定する判定部と、
判定部で判定された結果であるステータスを送信する送信部と、を備え、
清掃者通信端末は清掃者ビーコン信号を通常において出力しており、清掃者が部屋に入室することで、受信部は、清掃者ビーコン信号を受信可能であり、
点検者通信端末は、点検者ビーコン信号を通常において出力しており、点検者が部屋に入室することで、受信部は、点検者ビーコン信号を受信可能であり、
判定部は、
(1)部屋が清掃中、清掃完了、点検中および点検完了のいずれでも判定されていない場合には、部屋を未清掃であると判定し、
(2)受信部が清掃者ビーコン信号を所定時間以上受信することで、部屋を清掃中であると判定し、
(3)清掃中の判定状態において、受信部が清掃者ビーコン信号を所定時間以上受信しなくなることで、部屋を清掃完了として判定し、
(4)受信部が点検者ビーコン信号を所定時間以上受信することで、部屋を点検中であると判定し、
(5)点検中の判定状態において、受信部が点検者ビーコン信号を所定時間以上受信しなくなることで、部屋を点検完了として判定し、
送信部は、判定部での判定結果であるステータスを、管理サーバーに送信し、
管理サーバーは、点検完了のステータスを受信すると、当該点検完了対象の部屋を、入室可能な部屋として処理する。
【発明の効果】
【0029】
本発明の清掃管理装置は、清掃者や点検者の入室および退室における通信によるだけで、清掃中、清掃完了、検査終了を検出できる。この際には、清掃者や点検者は、作業開始や作業終了を通知するための特別な操作を必要としない。これにより、作業者における負担を軽減しつつ、操作ミスによる作業終了などの間違った検出が生じるのを抑えることができる。
【0030】
通信においては、通信媒体が清掃者や点検者の識別子を含んで通信を行う。これにより、どの作業者がどの部屋で作業中であるのかを把握することもできる。
【0031】
さらに、通信媒体による通信のみでなく、ドアの開閉、部屋での滞在時間、作業者による通信信号の出力などを加えることで、清掃作業や点検作業の未了、開始、終了などを、より確実に検出できるようになる。
【0032】
これらの検出は、通信によって管理できることで、管理者による全体的な管理を行うことができ、宿泊施設におけるチェックイン後の宿泊客の案内をスムーズかつ確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】宿泊施設のあるフロアーの一部を示す模式図である。
図2】部屋の模式図である。
図3】本発明の実施の形態1における清掃管理装置のブロック図である。
図4】本発明の実施の形態1における判定部でのステータス判定を説明する説明図である。
図5】本発明の実施の形態1における清掃管理装置とその周辺を含むブロック図である。
図6】本発明の実施の形態1における管理サーバーに繋がる表示装置の模式図である。
図7】本発明の実施の形態2における清掃管理装置のブロック図である。
図8】本発明の実施の形態2におけるドアの開閉結果も含めたステータス判定を示す模式図である。
図9】本発明の実施の形態2における清掃管理装置のブロック図である。
図10】清掃者が所持する清掃者通信端末の模式図である。
図11】点検者が所持する清掃者通信端末の模式図である。
図12】本発明の実施の形態2における部屋の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明の第1の発明に係る清掃管理装置は、部屋に入室する清掃者の所持する清掃者通信端末からの清掃者ビーコン信号および該部屋に入室する点検者の所持する点検者通信端末からの点検者ビーコン信号のそれぞれを受信可能な受信部と、
受信部で受信された清掃者ビーコン信号に含まれる清掃者を識別する清掃者識別子を検出する、清掃者識別子検出部と、
受信部で受信された点検者ビーコン信号に含まれる点検者を識別する点検者識別子を検出する、点検者識別子検出部と、
受信部での受信に基づいて、部屋について、未清掃、清掃中、清掃完了、点検中および点検完了の少なくとも一つのステータスを判定する判定部と、
判定部で判定された結果であるステータスを送信する送信部と、を備え、
清掃者通信端末は清掃者ビーコン信号を通常において出力しており、清掃者が部屋に入室することで、受信部は、清掃ビーコン信号を受信可能であり、
点検者通信端末は、点検者ビーコン信号を通常において出力しており、点検者が部屋に入室することで、受信部は、点検ビーコン信号を受信可能であり、
判定部は、
(1)部屋が清掃中、清掃完了、点検中および点検完了のいずれでも判定されていない場合には、部屋を未清掃であると判定し、
(2)受信部が清掃者ビーコン信号を所定時間以上受信することで、部屋を清掃中であると判定し、
(3)清掃中の判定状態において、受信部が清掃者ビーコン信号を所定時間以上受信しなくなることで、部屋を清掃完了として判定し、
(4)受信部が点検者ビーコン信号を所定時間以上受信することで、部屋を点検中であると判定し、
(5)点検中の判定状態において、受信部が点検者ビーコン信号を所定時間以上受信しなくなることで、部屋を点検完了として判定する。
【0035】
この構成により、清掃中、清掃完了、点検中、点検完了などのステータスを、清掃者や点検者などが所持する通信端末からのビーコン信号の受信のみで自動判定できる。結果として、紙ベースやその他の複雑なシステムを使用することなく、部屋の清掃状態を把握できる。また、清掃者などがステータスを把握させるためだけの余分な操作をすることを省略でき、負担軽減や人為的ミスを防止できる。
【0036】
本発明の第2の発明に係る清掃管理装置では、第1の発明に加えて、判定部は、清掃者識別子検出部で検出された清掃者識別子に基づいて、清掃中および清掃完了のいずれかに関わった清掃者を特定する。
【0037】
この構成により、清掃に関する清掃者の効率などを解析できる。また、未清掃の部屋にどの清掃者を向かわせるのが良いかを、判断することも容易となる。
【0038】
本発明の第3の発明に係る清掃管理装置では、第1または第2の発明に加えて、判定部は、点検者識別子検出部で検出された点検者識別子に基づいて、点検中および点検完了のいずれかに関わった点検者を特定する。
【0039】
この構成により、点検に関する点検者の作業効率などを解析できる。また、未点検の部屋にどの点検者を向かわせるのが良いかを、判断することも容易となる。
【0040】
本発明の第4の発明に係る清掃管理装置では、第1から第3のいずれかの発明に加えて、判定部は、清掃者ビーコン信号の受信時刻および未受信となる時刻に基づいて、部屋の清掃開始時刻、清掃所要時間および清掃完了時刻の少なくとも一つを判定する。
【0041】
この構成により、清掃に必要となる作業時間などを解析して把握することが可能となる。結果として、清掃に関する作業全体の、人員数、人的配置、時間などの最適化を目指すことができる。
【0042】
本発明の第5の発明に係る清掃管理装置では、第1から第4のいずれかの発明に加えて、判定部は、点検者ビーコン信号の受信時刻および未受信となる時刻に基づいて、部屋の点検開始時刻、点検所要時間、点検完了時刻の少なくとも一つを判定する。
【0043】
この構成により、点検に必要となる作業時間などを解析して把握することが可能となる。結果として、点検に関する作業全体の、人員数、人的配置、時間などの最適化を目指すことができる。
【0044】
本発明の第6の発明に係る清掃管理装置では、第1から第5のいずれかの発明に加えて、送信部は、判定部での判定結果であるステータスを、管理サーバーに送信し、
管理サーバーは、点検完了のステータスを受信すると、当該点検完了対象の部屋を、入室可能な部屋として処理する。
【0045】
この構成により、清掃および点検の確実に終わった部屋に、スムーズに宿泊客を案内できる。
【0046】
本発明の第7の発明に係る清掃管理装置では、第1から第6のいずれかの発明に加えて、部屋のドアの開閉を検出する開閉検出部を更に備え、
判定部は、
ドアの開きおよび所定時間以上の清掃者ビーコン信号の受信に基づいて、部屋を清掃中と判定し、
清掃中の判定状態において、ドアの閉まりおよび所定時間以上の清掃者ビーコン信号の未受信に基づいて、部屋を清掃完了と判定し、
ドアの開きおよび所定時間以上の点検者ビーコン信号の受信に基づいて、部屋を点検中と判定し、
点検中の判定状態において、ドアの閉まりおよび所定時間以上の点検者ビーコン信号の未受信に基づいて、部屋を点検完了と判定する。
【0047】
この構成により、より精度の高い判定を行える。
【0048】
本発明の第8の発明に係る清掃管理装置では、第1から第7のいずれかの発明に加えて、部屋における清掃者ビーコン信号の受信時刻、受信喪失時刻、点検者ビーコン信号の受信時刻および受信喪失時刻を計測する計測部を更に備え、
計測部は、
清掃者ビーコン信号の受信時刻から受信喪失時刻までの時間を、清掃者が部屋で清掃作業した清掃者滞在時間として演算し、
点検者ビーコン信号の受信時刻から受信喪失時刻までの時間を、点検者が部屋で点検作業した点検者滞在時間として演算し、
判定部は、
清掃者滞在時間が所定時間未満の場合には、清掃者ビーコン信号の受信喪失があっても、部屋を清掃完了としては判定せず、
点検者滞在時間が所定時間未満の場合には、点検者ビーコン信号の受信喪失があっても、部屋を点検完了としては判定しない。
【0049】
この構成により、判定精度を更に高めることができる。
【0050】
本発明の第9の発明に係る清掃管理装置では、第8の発明に加えて、判定部は、
ドアの開き、所定時間以上の清掃者ビーコン信号受信および清掃者滞在時間が所定時間以上であることのすべてが満たされる場合に、部屋を清掃中として判定する。
【0051】
この構成により、清掃に関する判定精度を更に高めることができる。
【0052】
本発明の第10の発明に係る清掃管理装置では、第8または第9の発明に加えて、判定部は、
ドアの開き、所定時間以上の点検者ビーコン信号の受信および点検者滞在時間が所定時間以上であることのすべてが満たされる場合に、部屋を点検中として判定する。
【0053】
この構成により、点検に関する判定精度を更に高めることができる。
【0054】
本発明の第11の発明に係る清掃管理装置では、第1から第10のいずれかの発明に加えて、清掃者通信端末は、清掃完了通知部を備え、
清掃者は、清掃作業が終了すると、清掃完了通知部を操作して清掃完了信号を送信し、
受信部は、清掃完了信号を受信し、
判定部は、清掃完了信号の受信に基づいて、部屋を清掃完了として判定する。
【0055】
この構成により、清掃完了については、清掃者の能動的な操作によって判定される。これにより判定の確実性を高めることができる。
【0056】
本発明の第12の発明に係る清掃管理装置では、第11の発明に加えて、点検者通信端末は、点検完了通知部を備え、
点検者は、点検作業が終了すると、点検完了通知部を操作して点検完了信号を送信し、
受信部は、点検完了信号を受信し、
判定部は、点検完了信号の受信に基づいて、部屋を点検完了として判定する。
【0057】
この構成により、点検完了については、点検者の能動的な操作によって判定される。これにより、判定の確実性を高めることができる。
【0058】
本発明の第13の発明に係る清掃管理装置では、第1から第12のいずれかの発明に加えて、部屋を備えるのが宿泊施設である場合には、
サーバーは、宿泊施設の管理部門に備わり、
管理部門は、サーバーにおける表示に基づいて、宿泊施設の複数の部屋のそれぞれのステータスを管理可能である。
【0059】
この構成により、管理者等が確実に把握および管理できる。
【0060】
本発明の第14の発明に係る清掃管理装置では、第1から第13のいずれかの発明に加えて、受信部、清掃者識別子検出部、点検者識別子検出部、判定部および送信部は、部屋に設置される通信ターミナルに備わる。
【0061】
この構成により、既存設備を活用した清掃管理を実現できる。
【0062】
以下、図面を用いながら本発明の実施の形態について説明する。
【0063】
(実施の形態1)
【0064】
(全体概要)
【0065】
まず、本発明の実施の形態1における清掃管理装置の全体概要について説明する。清掃管理装置は、専用のハードウェア、既存のハードウェアとの組み合わせ、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせ、既存のハードウェアへのソフトウェアの組み入れなど、種々の方式で実現されればよい。専用に開発されたハードウェア(あるいは、これにソフトウェアを組み込んでもよい)で実現されてもよいし、他の目的での既存のハードウェアに追加的なハードウェアを組み合わせてもよいし、あるいは、既存のハードウェア(汎用コンピュータ、セットトップボックスなど)に必要となるソフトウェアを組み込んで実現されてもよい。
【0066】
このため、清掃管理装置として把握されてもよいし、清掃管理システムとして把握されてもよい。
【0067】
図1は、宿泊施設のあるフロアーの一部を示す模式図である。あるフロアーの状態を上から見た状態を示している。宿泊施設には、多数の部屋200がある。図1においては、201号室~205号室を一例として示している。宿泊客のチェックアウトや連泊の宿泊客の要望に対応して、清掃者300には、清掃対象の部屋200を清掃する必要がある。点検者400には、清掃者300により清掃が完了した部屋200の清掃完了を点検する必要がある。
【0068】
図1に示されるように、多数の部屋200が存在しており、これらを複数の清掃者300が清掃作業をしていく。また、このフロアーだけでなく、他のフロアーにも、同様に多数の部屋200が存在する。加えて、それぞれの部屋200のチェックアウト時刻や不在状態はばらばらである。このため、どの部屋200から清掃を開始するかは、そのときの状況次第である。あるときは、201号室から清掃できるが、別の時は、203号室から清掃する必要がある。同様に、点検者400も、どの部屋の清掃が終わっていて点検を開始できるかは、状況次第である。
【0069】
また、複数の清掃者300がいる場合には、並行して清掃作業をすることになる。このような場合、どの部屋が未清掃であるか、清掃完了であるかなどを把握できることは好ましい。清掃全体を監理する管理者や宿泊施設のレセプション(以下必要に応じて、「管理者等」という)にとって、これらが分かることで、チェックインにおける客の案内をスムーズにできるからである。
【0070】
このように、宿泊施設には多数の部屋200があり、これらのそれぞれが清掃完了して点検完了する状態が、管理者等にリアルタイムに把握されることは重要である。ここでは、宿泊施設を代表例として説明しているが、宿泊施設と同様に多数の部屋を備えて、部屋のそれぞれを利用者の退室から次の利用者の入室までの間に清掃と点検を終わらせなければならない施設でも同様である。
【0071】
図2は、部屋の模式図である。一般的な宿泊施設の部屋200の内部を模式的に表している。部屋200には、ベッドやユニットバスが備わっている。これが室内空間に設置されている。また、テレビも設置されている。このテレビと合わせてセットトップボックスなどの通信機能を備えるデバイスも備わっている。このデバイスの内部に、あるいはこのデバイス合わせて、本発明の清掃管理装置1が設置される。
【0072】
例えば、セットトップボックスそのものが、この清掃管理装置1の機能を有することでもよい。あるいは、セットトップボックスなどの既存のデバイスとは別に、新たに装置として製造された清掃管理装置1が設置されてもよい。あるいは、既存のデバイスに必要なソフトウェアやハードウェアが追加的に付加されて清掃管理装置1となってもよい。
【0073】
部屋200にはドア210が備わる。このドア210が開閉されることで、清掃者300や点検者400が入室する。部屋200を備える施設が宿泊施設である場合には、ドア210は、開けるとき以外は閉まっている。オートロックドアであることも多く、ドア210の開閉が、部屋200への人の出入りを示すサインとなりえる。清掃者300や点検者400も、このドア210を開けて部屋200に入り、ドア210を開けて部屋210から出る。この入室と退室の作業以外においては、ドア210は、閉まった状態を維持している。
【0074】
清掃者300や点検者400は、このような部屋200にドア210を開けて入室する。入室して作業を実施する。ここで、清掃者300は、図3に示されるように、清掃者通信端末310を所持している。同様に、点検者400は、点検者通信端末410を所持している。
【0075】
図3は、本発明の実施の形態1における清掃管理装置のブロック図である。清掃者300は、上述のように、清掃者通信端末310を所持している。清掃者通信端末310は、清掃者ビーコン信号を常時あるいは定期的に出力する。この清掃者ビーコン信号は、清掃者300を識別する清掃者識別子を含んでいる。すなわち、清掃者300が所持する清掃者通信端末310は、清掃者識別子を含む清掃者ビーコン信号を常時あるいは定期的に出力している。このため、清掃者300が清掃作業の対象となる部屋200に入ると、この清掃者ビーコン信号の出力を受信可能な状態が生まれる。
【0076】
同様に、点検者通信端末410は、点検者ビーコン信号を常時あるいは定期的に出力する。この点検者ビーコン信号は、点検者400を識別する清掃者識別子を含んでいる。すなわち、点検者400が所持する点検者通信端末410は、点検者識別子を含む点検者ビーコン信号を常時あるいは定期的に出力している。このため、点検者400が点検作業の対象となる部屋200に入ると、この点検者ビーコン信号の出力を受信可能な状態が生まれる。
【0077】
清掃管理装置1は、図2に示されるように、ビーコン信号を受信可能であって管理サーバーとの通信が可能な位置に設置されている。これにより、作業者300が入室すると、清掃者通信端末310からの清掃者ビーコン信号を受信できる。同様に、点検者400が入室すると、点検者通信端末410からの点検者ビーコン信号を受信できる。
【0078】
清掃管理装置1は、受信部2と、清掃者識別子検出部3と、点検者識別子検出部4と、判定部5と、送信部6と、を備える。ここで、これらは清掃管理装置1内部に一体に格納されている状態でもよいし、受信部2のみが、別体として部屋200の別の場所に設置されることでもよい。受信部2は、複数の固体として、部屋200の複数の場所に設置されてもよい。受信部2は、上述した清掃者ビーコン信号と点検者ビーコン信号を受信容易な場所に設置されることが好適である。
【0079】
受信部2は、部屋200に入室する清掃者300の所持する清掃者通信端末310からの清掃者ビーコン信号を受信可能であると共に、部屋200に入室する点検者400の所持する点検者通信端末410からの点検者ビーコン信号を受信可能である。受信部2は、受信結果を、清掃者識別子検出部3、点検者識別子検出部4および判定部5に出力する。
【0080】
ここで、清掃者通信端末310と点検者通信端末410とは、常時あるいは一定間隔などで清掃者ビーコン信号および点検者ビーコン信号を出力している。このため清掃者300もしくは点検者400が部屋200に入室すると、これらの信号を受信できる。
【0081】
清掃者識別子検出部3は、受信部2で受信された清掃者ビーコン信号に含まれる清掃者識別子を検出する。清掃者通信端末310は、清掃者を識別する識別子に合わせた区分けをされている。これに合わせて、ある清掃者通信端末310から出力される清掃者ビーコン信号は、清掃者300を識別する清掃者識別子も含んでいる。例えば、清掃者300Aを識別する清掃者識別子や、清掃者300Bを識別する清掃者識別子を含んでいる。清掃者識別子検出部3は、清掃者300Aの清掃者識別子であるのか、清掃者300Bの清掃者識別子であるのかを検出する。検出結果については、判定部5に出力される。
【0082】
後述するように、判定部5は、清掃中である場合や清掃完了である場合を判定する際に、当該部屋200で作業した清掃者300が誰であったかを併せて判定できる。なお、宿泊施設においてある日程で清掃作業を担当するチームがいる場合には、異なる清掃者識別子を有する清掃者通信端末310を個別に配布される。これにより、作業者の変化に関わらず、それぞれの清掃者識別子による清掃作業を担当した清掃者300を、識別することができる。これについては、点検者400も同様である。
点検者識別子検出部4は、受信部2で受信された点検者ビーコン信号に含まれる点検者識別子を検出する。これにより、ある部屋200の点検作業を行った点検者400が誰であるかを識別できる。識別結果は、判定部5に出力される。
【0083】
これらの結果、判定部5には、受信部2での受信結果(清掃者ビーコン信号の受信もしくは点検者ビーコン信号の受信)、清掃者識別子、点検者識別子が受け付けられる。
【0084】
判定部5は、受信部2での受信結果に基づいて、清掃管理装置1が設置されている部屋200について、未清掃、清掃中、清掃完了、点検中および点検完了の少なくとも一つのステータスを判定する。
【0085】
送信部6は、判定部5で判定された結果であるステータスを送信する。送信先の一例として後述する管理サーバーに送信される。
【0086】
上述したように、清掃者300が所持する清掃者通信端末310は清掃者ビーコン信号を通常において出力している。このため、清掃者300が部屋200に入室すると、清掃者識別子を含む清掃者ビーコン信号は、受信部2において自動的に受信される。同様に、点検者400が所持する点検者通信端末410は点検者ビーコン信号を通常において出力している。このため、点検者400が部屋200に入室すると、点検者識別子を含む点検者ビーコン信号は、受信部2において自動的に受信される。
【0087】
図4は、本発明の実施の形態1における判定部でのステータス判定を説明する説明図である。判定部5は、直前のステータスを基礎として、受信部2での受信結果に基づいて、現在の部屋200についてのステータスを判定する。図4における「〇」は、受信状態を示し、「×」は受信していない状態を示し、「-」は、いずれをも考慮しない状態を示している。
【0088】
(1)部屋200が清掃中、清掃完了、点検中および点検完了のいずれにも判定されていない場合には、判定部5は、部屋200について未清掃であるとして判定する。あるいは、ある宿泊施設において、清掃が始まる前(チェックアウトが始まる前や、前日の清掃などすべてが終わった後)において、判定部5での判定結果がすべてリセットされることで、判定部5は、部屋200のステータスを、「未清掃」として判定する。
【0089】
また、図4の一番上にあるように、直前のステータスが未清掃である場合で、清掃者ビーコン信号を受信していない場合には、「未清掃」として判定する。このとき、点検者ビーコン信号は受信されていなければ「未清掃」として判定するし、清掃者ビーコン信号が受信されていなければ、点検者ビーコン信号は判定の基準として考えずに、「未清掃」として判定してもよい。
【0090】
(2)直前(事前)のステータスが未清掃である場合で、清掃者ビーコン信号を所定時間以上受信することで、判定部5は、当該部屋200を「清掃中」として判定する。図4における上から2番目の状態である。清掃者ビーコン信号を、所定時間以上受信している場合には、清掃者300が、当該部屋200において清掃を開始して作業している状態であると判断できるからである。
【0091】
(3)直前のステータスが「清掃中」である場合で、清掃者ビーコンを受信している状態から、所定時間以上清掃者ビーコン信号を受信しなくなることで、判定部5は、当該部屋200について、「清掃完了」として判定する。清掃中の状態で、清掃者ビーコン信号を、所定時間以上受信できない状態は、清掃者300が部屋200の清掃作業を終えて退室したものと判断できるからである。図4の上から3番目の状態である。
【0092】
なお、受信部2での清掃者ビーコン信号の受信を、部屋200の死角などでも可能とすることで、清掃完了の判定精度を高めることができる。あるいは、受信しない所定時間を適切に調整することで、清掃完了の判定精度を高めることができる。
【0093】
(4)直前ステータスが「清掃完了」である場合で、受信部2が所定時間以上において点検者ビーコン信号を受信することで、判定部5は、当該部屋200のステータスを「点検中」であるとして判定する。清掃完了後に点検者ビーコン信号を所定時間以上受信していることは、点検者400が清掃完了した部屋200に入って、清掃結果を点検している状態であると判断できるからである。
【0094】
図4の上から上から4番目の状態である。
【0095】
(5)直前ステータスが「点検中」である場合において、点検者ビーコン信号を受信している状態から、所定時間以上点検者ビーコン信号を受信しなくなることで、判定部5は、当該部屋200について「点検完了」として判定する。点検中の状態で、点検者ビーコン信号を所定時間以上受信できない状態は、点検者400が部屋200の点検作業を終えて退室したものと判断できるからである。図4の一番下の状態である。
【0096】
なお、受信部2での点検者ビーコン信号の受信を、部屋200の死角などでも可能とすることで、点検完了の判定精度を高めることができる。あるいは、受信しない所定時間を適切に調整することで、点検完了の判定精度を高めることができる。
【0097】
送信部6は、判定部5で判定されたステータスを、管理サーバーなどに送信する。この結果、管理者等は、多数の部屋200のそれぞれにおける清掃や点検に係るステータスを、リアルタイムに把握できる。
【0098】
このようにして、清掃管理装置1は、受信部2における清掃者ビーコン信号および点検者ビーコン信号のそれぞれを受信することのみで、未清掃、清掃中、清掃完了、点検中、点検完了の少なくとも一つのステータスを判定できる。清掃者ビーコン信号は、清掃者300が所持している清掃者通信端末310から発信され続けており、受信部2は、清掃者300が入室することで受信できる。同様に、点検者ビーコン信号は、点検者400が所持している点検者通信端末410から発信され続けており、受信部2は、点検者400が入室することで受信できる。
【0099】
すなわち、清掃者300や点検者400による、開始や完了などを通知させる作業を省略できる。このため、清掃者や点検者の負担を軽減できる。また、宿泊施設によってあるいは清掃事業者によって異なる清掃管理システムが使用される場合でも、清掃者300や点検者400は、これらに惑わされることなく、入退室して作業するだけで、清掃中などのステータスが判定される。これにより、ステータスの判定精度が高まり、清掃事業者にとってもメリットが高い。
【0100】
また、送信部6による送信を受けることで、管理者等も、清掃等のステータスをリアルタイムに把握できるので、チェックインにおける宿泊客の案内を確実かつスムーズに行える。例えば、ある部屋200の清掃等が終わっているか不明であることにより、清掃者などに問い合わせるなどが不要となり、作業効率化が図られる。
【0101】
次に、各部の詳細などについて説明する。
【0102】
(受信部2)
受信部2は、上述のように、清掃者300が入室すれば、清掃者通信端末310が発信している清掃者ビーコン信号を受信できる。点検者ビーコン信号も同様である。受信部2は、例えば、テレビやセットトップボックスなどの位置に設置される、あるいは既存のセットトップボックスに格納されていることで、清掃者300などが入室すれば、清掃者ビーコン信号などを容易かつ確実に受信できる。また、死角となりやすい入り口やユニットバス付近においては、別体の受信部2が付属的に設置されることで、清掃者ビーコン信号などの受信精度をより確実にすることができる。
【0103】
(識別子検出部)
清掃者識別子検出部3は、清掃者ビーコン信号に含まれる清掃者識別子を検出できる。清掃者通信端末310は、それぞれ固有の清掃者識別子を付与されている。この付与と関連して、清掃者ビーコン信号は、清掃者識別子を含んでいる。日替わりで異なる清掃者300がある宿泊施設に来る場合でも、宿泊施設が用意する清掃者通信端末310が渡されることで、複数の清掃者300のそれぞれには、異なる清掃者識別子が付与された状態となる。
【0104】
例えば、ある清掃者には、「識別子A」が付与されており、別の清掃者には「識別子B」が付与されている。この場合には、清掃者ビーコン信号に基づいて、清掃者識別子検出部3は、識別子Aや識別子Bを検出する。
【0105】
点検者識別子検出部4も、点検者ビーコン信号に含まれる点検者識別子を検出できる。点検者通信端末410は、それぞれ固有の点検者識別子を付与されている。この付与と関連して、点検者ビーコン信号は、点検者識別子を含んでいる。日替わりで異なる点検者400がある宿泊施設に来る場合でも、宿泊施設が用意する点検者通信端末410が渡されることで、複数の点検者400のそれぞれには、異なる建研者識別子が付与された状態となる。
【0106】
例えば、ある点検者には、「識別子α」が付与されており、別の点検者には「識別子β」が付与されている。この場合には、点検者ビーコン信号に基づいて、点検者識別子検出部4は、識別子αや識別子βを検出する。
【0107】
これら検出された識別子は、判定部5に出力される。判定部5において、清掃者300や点検者400の作業度合いや現在地を判定することに用いられる。
【0108】
(判定部)
判定部5は、清掃者識別子検出部3で検出された清掃者識別子に基づいて、清掃中および清掃完了に関わった清掃者を特定して判定することも好適である。例えば、201号室において、清掃中あるいは清掃完了の判定をする際に、判定部5は、清掃者識別子に関する情報も有している。この情報も合わせることで、清掃者300を特定した上で、清掃中もしくは清掃完了の判定を行うことも好適である。
【0109】
このような特定を含めた判定を行うことで、管理者等が、どの清掃者300がどのあたりを清掃しているのか、未清掃の部屋200へどの清掃者300を誘導するのが良いかなどを判断することができるようになる。あるいは、複数の清掃者300のそれぞれの作業能力や実績などを判断することもできるようになる。
【0110】
また、清掃者ビーコン信号の受信時刻あるいは未受信となる時刻に基づいて、判定部5は、部屋200の清掃開始時刻、清掃所要時間および清掃完了時刻の少なくとも一つを判定することも好適である。これらの少なくとも一つを判定することで、部屋200の清掃に係る時間をデータ化することができる。このデータに基づいて、最適な清掃可能時間帯を決定したり、清掃者の必要人数を適正に合わせたりすることもできる。
【0111】
清掃開始時刻や清掃完了時刻が判定されることで、チェックアウトの時刻と清掃開始時刻の相関関係を見出すことができたり、清掃者の配置と清掃開始時刻との相関関係を見出したりすることもできる。これにより、清掃者の配置や、移動などの効率化を作ることもできる。あるいは、チェックインをした宿泊客の部屋200への案内を、スムーズかつ早期に行うこともできる。例えば、早期チェックインの宿泊客の案内を行いやすい部屋200を把握しやすいメリットもある。
【0112】
また、上記の清掃者識別子と清掃所要時間とが関連して判定されることで、清掃者300のそれぞれの清掃能力やスキルを把握することもできる。これにより、清掃者300の評価につなげることもできる。
【0113】
判定部5は、点検者識別子検出部4で検出された点検者識別子に基づいて、点検中および点検完了に関わった点検者400を特定して判定することも好適である。例えば、201号室において、点検中あるいは点検完了の判定をする際に、判定部5は、点検者識別子に関する情報も有している。この情報も合わせることで、点検者400を特定した上で、点検中もしくは点検完了の判定を行うことも好適である。
【0114】
このような特定を含めた判定を行うことで、管理者等が、どの点検者400がどのあたりを点検しているのか、未点検の部屋200へどの点検者400を誘導するのが良いかなどを判断することができるようになる。あるいは、複数の点検者400のそれぞれの作業能力や実績などを判断することもできるようになる。
【0115】
また、点検者ビーコン信号の受信時刻あるいは未受信となる時刻に基づいて、判定部5は、部屋200の点検開始時刻、点検所要時間および点検完了時刻の少なくとも一つを判定することも好適である。これらの少なくとも一つを判定することで、部屋200の清掃に係る時間をデータ化することができる。このデータに基づいて、最適な点検可能時間帯を決定したり、点検者の必要人数を適正に合わせたりすることもできる。
【0116】
点検開始時刻や点検完了時刻が判定されることで、チェックアウトの時刻と点検開始時刻の相関関係を見出すことができたり、点検者400の配置と点検開始時刻との相関関係を見出したりすることもできる。これにより、点検者400の配置や、移動などの効率化を作ることもできる。あるいは、チェックインをした宿泊客の部屋200への案内を、スムーズかつ早期に行うこともできる。例えば、早期チェックインの宿泊客の案内を行いやすい部屋200を把握しやすいメリットもある。
【0117】
また、上記の点検者識別子と点検所要時間とが関連して判定されることで、点検者400のそれぞれの点検能力やスキルを把握することもできる。これにより、点検者400の評価につなげることもできる。
【0118】
(管理サーバー)
図5は、本発明の実施の形態1における清掃管理装置とその周辺を含むブロック図である。図5は、管理サーバー10を含んだ状態を示している。
【0119】
判定部5は、上述した種々の判定結果を、送信部6に出力する。送信部6は、これらの判定結果を管理サーバー10に送信する。判定結果は、上述したような、未清掃、清掃中、清掃完了、点検中、点検完了などのステータスであったり、これに関わって、作業した清掃者300や点検者400が誰であるか、あるいは、上述した清掃開始時刻や清掃所要時刻などであったりする。もちろん、これら全部を含めて、ステータスとして把握され、このステータスが送信部6によって管理サーバー10に送信されると判断されてもよい。
【0120】
いずれにしても、送信部6は、判定部5での判定結果を管理サーバー10に送信する。ここで、判定部5と送信部6とは、別体の要素でもよいし、一体の要素でもよい。機能として把握できるように、ここでは判定部5と送信部6として説明しているが、判定部5が送信機能を含んでいて、この送信機能が管理サーバー10に判定結果を送信することでもよい。
【0121】
管理サーバー10は、判定結果で「点検完了」のステータスを受信すると、当該点検完了の部屋200を、チェックインした宿泊客に対して入室可能な部屋200として処理する。例えば、管理サーバー10は、宿泊施設のレセプションなどに設置されている。
【0122】
この管理サーバー10は、レセプションが、宿泊施設全体の把握を行える表示装置を備えていることも好適である。この表示装置に、部屋200のそれぞれの状況が表示される。この表示において、送信部6から送信されたステータスに連動した表示が行われる。
【0123】
例えば、201号室は未清掃、202号室は清掃中、203号室は清掃完了、204号室は点検完了、などの表示がなされる。この表示が清掃管理装置1からの送信結果に応じてリアルタイムに切り替わる。切り替わりによって、レセプションは、宿泊施設の複数の部屋200の状況を、容易に把握することができる。
【0124】
この把握の一つとして、点検完了とのステータスを受けた管理サーバー10により、入室可能な部屋200として表示されるようになる。この表示を見ることで、レセプションの担当者や管理者は、チェックインした宿泊客を、スムーズかつ適切に案内することができる。
【0125】
図6は、本発明の実施の形態1における管理サーバーに繋がる表示装置の模式図である。ある宿泊施設の部屋200のステータスを表示している状態を示している。部屋によって、未清掃、清掃中、清掃完了、点検中、点検完了などのステータスが表示されている。これらは、管理サーバー10に、送信部6から送信されたステータスに基づいて、管理サーバー10に繋がる表示装置11に表示される。
【0126】
表示装置11に、図6のような状況がリアルタイムで変化しながら表示される。これにより、宿泊施設のレセプションは、リアルタイムでスムーズにチェックインした新しい宿泊客を、清掃済みの部屋200に案内することができる。また、どの清掃者300がどのフロアにいるかの予測も立てやすいので、至急に清掃が必要な部屋200へ清掃に向かってもらう指示を出すことも容易となる。
【0127】
また、表示装置11により全体を見渡しながら宿泊客を案内できるので、宿泊客を間違えて案内してしまうなども生じにくい。
【0128】
以上のように、実施の形態1における清掃管理装置1は、清掃者300や点検者400の手作業や余分な負荷を生じさせずに、容易かつ確実に清掃状況のステータスを判定できる。この判定は、ビーコン信号の受信を基礎とする電子処理によるので、精度の高い判定である。加えて、判定結果からの管理者等への把握や通知も電子処理となるので、リアルタイム性が高くまた把握容易性も高くなる。
【0129】
これらの結果、清掃者300や点検者400が、対象となる宿泊施設のシステムに精通していなくても、あるいは言語に熟練していなくても、清掃に関するステータスを確実に判定し、チェックイン後の宿泊客を確実かつスムーズに清掃済みの部屋200に案内することができる。結果として、宿泊施設における様々な人的負荷を軽減することもできる。
【0130】
(実施の形態2)
【0131】
次に、実施の形態2について説明する。実施の形態2においては、判定精度を更に高める追加的な工夫やバリエーションについて説明する。
【0132】
(ドアの開閉)
図7は、本発明の実施の形態2における清掃管理装置のブロック図である。図7の清掃管理装置1は、部屋200のドアの開閉を検出する開閉検出部7を備えている。図2に示すように、部屋200にはドア210が備わっている。宿泊施設などの部屋200のドア210は、開閉式であると共に、オートロックになっているので、開けて何もしなければそのまま閉まる構造になっている。また、通常においては、ドア210は閉まっている。
【0133】
開閉検出部7は、ドア210の開閉(開く状態と閉じた状態)を検出できる。ドア210に、電気的センサーが備わっていたり、導電性のスイッチが備わっていたりすることで、ドア210が開いたことを検出すればよい。ドア210が開いている状態を検出できれば、それ以外は閉じている状態として検出される。もちろん、他の手段やセンサーによって、ドア210の開閉が検出されればよい。
【0134】
開閉検出部7は、ドアの開きおよび閉まりを検出して、判定部5に出力する。図7のように、受信部2などと並列に検出結果を判定部5に出力する。
【0135】
図8は、本発明の実施の形態2におけるドアの開閉結果も含めたステータス判定を示す模式図である。判定部5は、図8に示されるパラメータである「直前ステータス」、「清掃者ビーコン信号」、「点検者ビーコン信号」、「ドア開閉」のそれぞれに基づいて、部屋200の清掃中などのステータスを判定する。すなわち、実施の形態1での図4を用いて説明した判定と異なり、ビーコン信号に加えて、ドアの開閉検出結果も判定要素として、ステータスを判定する。
【0136】
判定部5は、ドアの開きおよび所定時間以上の清掃者ビーコン信号の受信に基づいて、清掃中として判定する。図4では、清掃者ビーコン信号に基づいて判定しているが、ここでは、ドアの開きも検出したことを含めて清掃中として判定する。清掃者300がドア210を開けて部屋200に入り、清掃者ビーコン信号を受信部2が検出できることで、清掃者300が清掃を開始したものとしてみなせるからである。
【0137】
清掃者ビーコン信号の出力が強すぎて、部屋200に清掃者300が入る前であったり、隣接する部屋200から清掃者ビーコン信号が漏れ来たりする場合には、判定対象の部屋200においては清掃が始まっていると誤判定される可能性がある。これに対して、ドア210の開閉も併せて判定することで、清掃者300が判定対象の部屋200に入ったことと、清掃者ビーコン信号を受信することが組み合わさるので、このような誤判定なく、清掃中との判定を行える。
【0138】
また、直前ステータスが清掃中である場合に、判定部5は、ドア210の閉まりおよび所定時間以上の清掃者ビーコン信号の未受信に基づいて、部屋200を清掃完了として判定する。清掃者ビーコン信号が所定時間以上未受信となることに加えて、ドアの閉まりが検出されることは、清掃者300が清掃作業を終えてドア210から外に出た状態を示している。このため、ドア210が閉まることが検出されることも合わさることで、より高い精度で清掃完了の判定ができる。
【0139】
なお、ドアの閉まりとは、清掃中の判定前でのドアの閉まった状態が維持されていることの検出ではなく、清掃中において、ドアが閉まるという変化が起きたことを検出する場合をいう。
【0140】
また、ドア210の開きおよび所定時間以上の点検者ビーコン信号の受信に基づいて、判定部5は、部屋200を点検中として判定する。清掃中との判定と同様に、点検者400がドア210を開いたことも合せて判定するので、高い精度で点検中との判定を行える。
【0141】
点検中との直前ステータスの状態において、ドア210の閉まりおよび所定時間以上の点検者ビーコン信号の未受信に基づいて、判定部5は、部屋200を点検完了として判定する。清掃完了の判定と同様に、部屋200から点検者400が退室してドア210を閉めたことも合せて、確実に点検完了の判定を行える。
【0142】
このようにドアの開閉検出結果も併せて判定部5が部屋200のステータスを判定することで、より精度の高い判定を実現できる。
【0143】
なお、開閉検出部7は、清掃管理装置1として室内に設置された筐体に格納されるものであってもよいし、ドア210に備わるデバイスであり、このデバイスからの信号が受信部2で受信される(有線接続、無線接続とを問わず)ことでもよい。
【0144】
(計測部)
図9は、本発明の実施の形態2における清掃管理装置のブロック図である。図9での清掃管理装置1は、計測部8を更に備えている。計測部8は、部屋200における清掃者ビーコン信号の受信時刻、受信喪失時刻(受信していたのが未受信となる時刻)、点検者ビーコン信号の受信時刻、受信喪失時刻(受信していたのが未受信となる時刻)を計測する。
【0145】
計測部8は、さらに清掃者ビーコン信号の受信時刻から受信喪失時刻までの時間を、清掃者300が清掃作業した清掃者滞在時間として演算する(部屋200に清掃作業として滞在した時間として演算する)。同様に、計測部8は、点検者ビーコン信号の受信時刻から受信喪失時刻までの時間を、点検者400が部屋200で点検作業した点検者滞在時間として演算する(部屋200に点検作業として滞在した時間として演算する)。
【0146】
このように計測部8は、清掃者300が部屋200内部で清掃作業したとみなせる清掃者滞在時間を計測する。同様に、計測部8は、点検者400が部屋200で点検作業をしたとみなせる点検者滞在時間を計測する。部屋200の広さ、構造、設備などを含めた経験則から、一般的な清掃作業や点検作業に要する時間は、想定される。すなわち、清掃者滞在時間や点検者滞在時間は、清掃者300による清掃が完了まで行われたかどうか、点検者400による点検が完了まで行われたかどうか、について、判断するパラメーターとなる。
【0147】
図4図8などにおいて説明したように、清掃者ビーコン信号の受信状態から未受信状態に変化した場合には(受信喪失があった場合には)、判定部5は、清掃中から清掃完了へとステータスが変わったと判定している。しかしながら、判定部5は、このような受信状態から受信喪失が生じたとしても、上述した清掃者滞在時間が所定時間未満の場合には、清掃完了としては判定しないことも好適である。
【0148】
所定時間とは、上述したように、部屋200の広さ、構造、設備などを含めた経験則から、一般的な清掃作業に要すると考えられる時間により定められれば良い。清掃管理装置1が設置されている部屋200の広さや構造などから、適宜定められれば良い。理論値や経験値から定められればよく、必要に応じて変更されてもよい。
【0149】
このように清掃者滞在時間を加味して清掃完了の判定を行うことで、例えば、たまたま清掃者300が何かの理由で、清掃途中で一時的に退室することもある。この退室により清掃者ビーコン信号が受信喪失となる場合には、清掃中であって、清掃完了ではない。判定部5が、清掃者滞在時間も考慮して清掃完了を判定することで、より高い精度での判定を行えることができる。特に、清掃完了は、次の点検作業に繋がり、やがてチェックインした宿泊客の案内に繋がるのでより確実な判定が求められる。清掃者滞在時間が加味して判定されることで、この確実性を高め、宿泊客の案内ミスなどを確実に防止できる。
【0150】
図4図8などにおいて説明したように、点検者ビーコン信号の受信状態から未受信状態に変化した場合には(受信喪失があった場合には)、判定部5は、点検中から点検完了へとステータスが変わったと判定している。しかしながら、判定部5は、このような受信状態から受信喪失が生じたとしても、上述した点検者滞在時間が所定時間未満の場合には、点検完了としては判定しないことも好適である。
【0151】
所定時間とは、上述したように、部屋200の広さ、構造、設備などを含めた経験則から、一般的な点検作業に要すると考えられる時間により定められれば良い。清掃管理装置1が設置されている部屋200の広さや構造などから、適宜定められれば良い。理論値や経験値から定められればよく、必要に応じて変更されてもよい。
【0152】
このように点検者滞在時間を加味して点検完了の判定を行うことで、例えば、たまたま点検者400が何かの理由で、点検途中で一時的に退室することもある。この退室により点検者ビーコン信号が受信喪失となる場合には、点検中であって、点検完了ではない。判定部5が、点検者滞在時間も考慮して点検完了を判定することで、より高い精度での判定を行えることができる。特に、点検完了は、チェックインした宿泊客の案内につながるので、より確実な判定が求められる。点検者滞在時間が加味して判定されることで、この確実性を高め、宿泊客の案内ミスなどを確実に防止できる。
【0153】
(すべてを満たすこと)
実施の形態1、2で説明したように、判定部5は、種々のパラメータに基づいて部屋200の清掃中や清掃完了などのステータスを判定する。
【0154】
ここで、判定部5は、ドアの開き、所定時間以上の清掃者ビーコン信号の受信および清掃者滞在時間が所定時間以上であることのすべてを満たす場合に、部屋200を清掃中として判定することも好適である。このような上述したパラメータのすべてを満たす場合に、清掃中との判定を行うもっとも厳しい条件での判定により、確実性をより高めることができる。
【0155】
同様に、判定部5は、ドアの閉まり、清掃者ビーコン信号の受信喪失および清掃者滞在時間が所定時間以上であることのすべてを満たす場合に、清掃完了との判定を行うことも好適である。より厳しい条件での判定により、清掃完了の判定の確実性を高めることができるからである。
【0156】
判定部5は、ドアの開き、所定時間以上の点検者ビーコン信号の受信および点検者滞在時間が所定時間以上であることのすべてを満たす場合に、部屋200を点検中として判定することも好適である。このような上述したパラメータのすべてを満たす場合に、点検中との判定を行うもっとも厳しい条件での判定により、確実性をより高めることができる。
【0157】
同様に、判定部5は、ドアの閉まり、点検者ビーコン信号の受信喪失および点検者滞在時間が所定時間以上であることのすべてを満たす場合に、点検完了との判定を行うことも好適である。より厳しい条件での判定により、点検完了の判定の確実性を高めることができるからである。
【0158】
(終了通知の能動的処理)
図10は、清掃者が所持する清掃者通信端末の模式図である。清掃者通信端末310は、上述したように常時もしくは一定間隔などで、通常状態においては清掃者ビーコン信号を出力している。この清掃者ビーコン信号は、自動で出力されており、所持する清掃者300が、出力のための操作をすることは不要である。
【0159】
図10の清掃者通信端末310は、清掃完了通知部311を備える。清掃者終了通知部311は、例えば手で押すことのできるボタンやタッチパネルなどである。清掃者300は、清掃作業が終了すると、この清掃完了通知部311を操作して清掃完了信号を送信する。この清掃者終了信号は、清掃管理装置1に向けて送信される。
【0160】
受信部2は、この清掃完了信号を受信する。判定部5は、受信部2が受信した清掃完了信号に基づいて、清掃完了の判定を行う。
【0161】
清掃完了信号は、清掃者300が清掃を完了したことを自身で把握して、能動的に清掃完了通知部311を操作して送信される。このため、清掃中の部屋200において、確実に清掃完了となったことが通知される。これに基づいて、判定部5は、清掃完了を判定できる。清掃完了信号は、清掃者300による能動的な動作に基づく。これにより、清掃完了の判定は確実に行われる。
【0162】
このように、場合によっては、清掃者300による能動的な操作により、清掃完了が判定されることも好適である。
【0163】
図11は、点検者が所持する清掃者通信端末の模式図である。点検者通信端末410は、上述したように常時もしくは一定間隔などで、通常状態においては点検者ビーコン信号を出力している。この点検者ビーコン信号は、自動で出力されており、所持する点検者400が、出力のための操作をすることは不要である。
【0164】
図11の点検者通信端末410は、点検完了通知部411を備える。点検完了通知部411は、例えば手で押すことのできるボタンやタッチパネルなどである。点検者400は、点検作業が終了すると、この点検完了通知部411を操作して点検完了信号を送信する。この点検者終了信号は、点検管理装置1に向けて送信される。
【0165】
受信部2は、この点検完了信号を受信する。判定部5は、受信部2が受信した点検完了信号に基づいて、点検完了の判定を行う。
【0166】
点検完了信号は、点検者400が点検を完了したことを自身で把握して、能動的に点検完了通知部411を操作して送信される。このため、点検中の部屋200において、確実に点検完了となったことが通知される。これに基づいて、判定部5は、点検完了を判定できる。点検完了信号は、点検者400による能動的な動作に基づく。これにより、点検完了の判定は確実に行われる。
【0167】
このように、場合によっては、点検者400による能動的な操作により、点検完了が判定されることも好適である。
【0168】
(管理サーバー)
管理サーバー10は、既述したように、送信部6からの送信結果を受信する。さらに必要に応じて、図6のような表示装置において、各部屋のステータスを表示する。ステータスに加えて、実際の作業を行った清掃者300や点検者400の情報(識別子、氏名、作業時間、作業効率など)を、表示することもよい。
【0169】
部屋200が宿泊施設に備わる場合には、管理サーバー10は、宿泊施設の管理部門やレセプションなどに備わればよい。管理部門やレセプションなどは、管理サーバー10からの表示に基づいて(図6のような表示装置に表示される場合を含む)、宿泊施設の複数の部屋200のそれぞれのステータスを管理可能である。
【0170】
また、必要に応じて、点検完了にまで到達していない部屋200について、早期に清掃や点検を完了させるように指示することも好適である。特に、清掃中や点検中の部屋200がどこであるのかをリアルタイムに把握できるので、清掃や点検を開始させたい部屋200の近くで作業中の部屋200に連絡を入れることで、清掃者300や点検者400を、作業を開始させたい部屋200に向かわせることができる。
【0171】
このように、管理サーバー10での管理を通じて、管理者等の負担も軽減でき、様々な作業効率を高めることができる。
【0172】
(通信ターミナル)
図12は、本発明の実施の形態2における部屋の模式図である。部屋200には、既存の通信ターミナル500が設置されている。例えば、テレビの操作に使用されるセットトップボックスが備わっており、このセットトップボックスが通信ターミナル500である。あるいは、部屋200の照明や空調などを操作する通信機能を含んだタブレット端末が備わっていることもある。このタブレット端末が通信ターミナル500であることもある。あるいは、WiFI機能を有する端末が、通信ターミナル500であってもよい。
【0173】
実施の形態1、2で説明した清掃管理装置1の要素は、この通信ターミナル500に備わることでもよい。特に、受信部2、清掃者識別子検出部3、点検者識別子検出部4、判定部5、送信部6の少なくとも一つが、この通信ターミナル500に備わることもよい。この場合には、通信ターミナル500に必要となるハードウェアやソフトウェアを追加するだけで済む。また、通信ターミナル500は、部屋200内部での信号の受信が容易な場所に設置されていることが多い。
【0174】
このような通信ターミナル500に備わって実装されることで、部屋200での設置負担を低下させることもできるし、ビーコン信号の受信精度を高めることもできる。
【0175】
なお、実施の形態1、2では宿泊施設を例として説明したが、宿泊施設意外であっても、複数の部屋200があり日替わりなどで利用者が変化しつつ、変わるインターバルにおいて清掃が必要な部屋200を備える施設においても、本発明は適用できる。
【0176】
なお、実施の形態1~2で説明された清掃管理装置は、本発明の趣旨を説明する一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲での変形や改造を含む。
【符号の説明】
【0177】
1 清掃管理装置
2 受信部
3 清掃者識別子検出部
4 点検者識別子検出部
5 判定部
6 送信部
7 開閉検出部
8 計測部
10 管理サーバー
200 部屋
210 ドア
300 清掃者
310 清掃者通信端末
311 清掃完了通知部
400 点検者
410 点検者通信端末
411 点検完了通知部
500 通信ターミナル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12