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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-08
(45)【発行日】2024-03-18
(54)【発明の名称】全方向プリズム装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/122 20060101AFI20240311BHJP
   G01C 15/06 20060101ALI20240311BHJP
   G02B 5/04 20060101ALI20240311BHJP
【FI】
G02B5/122
G01C15/06 T
G02B5/04 Z
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020032955
(22)【出願日】2020-02-28
(65)【公開番号】P2021135435
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2022-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000220343
【氏名又は名称】株式会社トプコン
(74)【代理人】
【識別番号】100083563
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 祥二
(72)【発明者】
【氏名】西田 信幸
(72)【発明者】
【氏名】▲配▼島 康仁
(72)【発明者】
【氏名】田中 康司
(72)【発明者】
【氏名】大保 慶征
【審査官】森内 正明
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-310658(JP,A)
【文献】国際公開第2019/188961(WO,A1)
【文献】米国特許第7611105(US,B1)
【文献】実開平6-80118(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/00 - 5/136
G01C 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
保持部材と、全方向プリズムとを具備し、前記保持部材は、基板と該基板に連結されたネック部と、該ネック部の先端に設けられた固着部とを有し、前記全方向プリズムは3角プリズムから構成される複数のプリズムユニットを有し、該プリズムユニットは前記基板の両面に貼合され、前記全方向プリズムは8面体に構成され、
前記基板は平板であり、前記プリズムユニットは4の3角プリズムによりピラミッド状に構成され、該プリズムユニットが前記平板の両面に貼合され、
前記ネック部は断面が円形の棒状であり、前記ネック部の軸心の延長上に前記全方向プリズムの光学中心が存在する様に設定され全方向プリズム装置。
【請求項2】
保持部材と、全方向プリズムとを具備し、前記保持部材は、基板と該基板に連結されたネック部と、該ネック部の先端に設けられた固着部とを有し、前記全方向プリズムは3角プリズムから構成される複数のプリズムユニットを有し、該プリズムユニットは前記基板の両面に貼合され、前記全方向プリズムは8面体に構成され、
前記基板は3角形状の基板分体が十字に結合され、隣接する基板分体間に直角に区分された4の空間を形成し、前記プリズムユニットは3角プリズムが上下に貼合されて構成され、前記空間にそれぞれ設けられた前記プリズムユニットが各基板分体の両面にそれぞれ貼合される全方向プリズム装置。
【請求項3】
保持部材と、全方向プリズムとを具備し、前記保持部材は、基板と該基板に連結されたネック部と、該ネック部の先端に設けられた固着部とを有し、前記全方向プリズムは3角プリズムから構成される複数のプリズムユニットを有し、該プリズムユニットは前記基板の両面に貼合され、前記全方向プリズムは8面体に構成され、
前記基板と前記ネック部とは着脱可能である全方向プリズム装置。
【請求項4】
前記固着部はボルトを有する請求項2又は請求項3に記載の全方向プリズム装置。
【請求項5】
前記固着部はネジ孔を有する請求項2又は請求項3に記載の全方向プリズム装置。
【請求項6】
前記固着部はフランジを有する請求項2又は請求項3に記載の全方向プリズム装置。
【請求項7】
保持部材と、全方向プリズムとを具備し、前記保持部材は、基板と該基板に連結されたネック部と、該ネック部の先端に設けられた固着部とを有し、前記全方向プリズムは3角プリズムから構成される複数のプリズムユニットを有し、該プリズムユニットは前記基板の両面に貼合され、前記全方向プリズムは8面体に構成され、
前記全方向プリズムの頂部に突起部材が設けられた全方向プリズム装置。
【請求項8】
前記基板分体の縁部が前記プリズムユニットよりはみ出す様構成された請求項2に記載の全方向プリズム装置。
【請求項9】
保持部材と、全方向プリズムとを具備し、前記保持部材は、基板と該基板に連結されたネック部と、該ネック部の先端に設けられた固着部とを有し、前記全方向プリズムは3角プリズムから構成される複数のプリズムユニットを有し、該プリズムユニットは前記基板の両面に貼合され、前記全方向プリズムは8面体に構成され、
前記ネック部に軸が設けられ、該軸に回転可能に一対のカバーが設けられ、該カバーの直立状態で前記全方向プリズムが前記カバー間に収納され、前記カバーの垂下状態で前記全方向プリズムが露出する様構成された全方向プリズム装置。
【請求項10】
保持部材と、全方向プリズムとを具備し、前記保持部材は、基板と該基板に連結されたネック部と、該ネック部の先端に設けられた固着部とを有し、前記全方向プリズムは3角プリズムから構成される複数のプリズムユニットを有し、該プリズムユニットは前記基板の両面に貼合され、前記全方向プリズムは8面体に構成され、
前記ネック部に円筒状のカバーが該ネック部に沿って移動可能に設けられ、該カバーの上昇位置で前記全方向プリズムを収納し、前記カバーの下降位置で前記全方向プリズムが露出する様構成された全方向プリズム装置。
【請求項11】
保持部材と、全方向プリズムとを具備し、前記保持部材は、基板と該基板に連結されたネック部と、該ネック部の先端に設けられた固着部とを有し、前記全方向プリズムは3角プリズムから構成される複数のプリズムユニットを有し、該プリズムユニットは前記基板の両面に貼合され、前記全方向プリズムは8面体に構成され、
前記全方向プリズムの水平対向する頂点に軸が設けられ、円弧状に湾曲させた複数の帯状プレートが前記軸に回転自在に取付けられ、該帯状プレートによって前記全方向プリズムを収納又は露出可能なカバーが構成された全方向プリズム装置。
【請求項12】
前記基板は平板であり、前記プリズムユニットは4の3角プリズムによりピラミッド状に構成され、該プリズムユニットが前記平板の両面に貼合された請求項7、及び請求項9から請求項11のうちいずれか1項に記載の全方向プリズム装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定対象として用いられ、水平全方向、鉛直全方向の全ての方向からの光線を再帰反射可能な全方向プリズム装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、小型無人飛行機(UAV)にカメラ、或はその他の測定装置を搭載して、高所から或は人が立入れない場所の画像等の情報を取得することが行われている。更に、トータルステーション等追尾機能を有する測定装置により、UAVを3次元測定し、UAVで取得した情報と測定装置で測定した3次元情報とを関連付けることも行われている(特許文献1)。
【0003】
斯かるシステムに於いて、UAVには測定対象として再帰反射機能を有するプリズムが取付けられる。更に、UAVは測定装置に対して向きは一定してなく、従ってプリズムにはプリズムの向きに拘らず広範囲からの光を再帰反射する特性が求められる。
【0004】
例えば、特許文献2に示される全方位リフレクタでは、プリズムの集合体が上下の枠体に挾持され、水平360゜からの光を再帰反射可能となっている。
【0005】
又、特許文献3に示される全周プリズムでは、下方に向けられたプリズムの集合体が水平に支持されたプレートに保持される構造を有し、下方全方向に再帰反射特性を有している。
【0006】
然し、特許文献2、特許文献3共にプリズムの集合体の保持構造から、或はプリズム集合体の構造から、再帰反射の範囲に制限を有している。
【0007】
例えば、前者の全周プリズムでは、上下方向に対して制約を有し、後者の全周プリズムでは上方に対して制約を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2014-167413号公報
【文献】特開2009-204557号公報
【文献】特開2018-105733号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、再帰反射の方向に対して制約がなく、水平全方向、鉛直全方向の全ての方向からの光線を再帰反射可能な全方向プリズム装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、保持部材と、全方向プリズムとを具備し、前記保持部材は、基板と該基板に連結されたネック部と、該ネック部の先端に設けられた固着部とを有し、前記全方向プリズムは3角プリズムから構成される複数のプリズムユニットを有し、該プリズムユニットは前記基板の両面に貼合され、前記全方向プリズムは8面体に構成された全方向プリズム装置に係るものである。
【0011】
又本発明は、前記基板は平板であり、前記プリズムユニットは4の3角プリズムによりピラミッド状に構成され、該プリズムユニットが前記平板の両面に貼合された全方向プリズム装置に係るものである。
【0012】
又本発明は、前記基板は3角形状の基板分体が十字に結合され、隣接する基板分体間に直角に区分された4の空間を形成し、前記プリズムユニットは3角プリズムが上下に貼合されて構成され、前記空間にそれぞれ設けられた前記プリズムユニットが各基板分体の両面にそれぞれ貼合される全方向プリズム装置に係るものである。
【0013】
又本発明は、前記基板と前記ネック部とは着脱可能である全方向プリズム装置に係るものである。
【0014】
又本発明は、前記固着部はボルトを有する全方向プリズム装置に係るものである。
【0015】
又本発明は、前記固着部はネジ孔を有する全方向プリズム装置に係るものである。
【0016】
又本発明は、前記固着部はフランジを有する全方向プリズム装置に係るものである。
【0017】
又本発明は、前記全方向プリズムの頂部に突起部材が設けられた全方向プリズム装置に係るものである。
【0018】
又本発明は、前記基板分体の縁部が前記プリズムユニットよりはみ出す様構成された全方向プリズム装置に係るものである。
【0019】
又本発明は、前記ネック部に軸が設けられ、該軸に回転可能に一対のカバーが設けられ、該カバーの直立状態で前記全方向プリズムが前記カバー間に収納され、前記カバーの垂下状態で前記全方向プリズムが露出する様構成された全方向プリズム装置に係るものである。
【0020】
又本発明は、前記ネック部に円筒状のカバーが該ネック部に沿って移動可能に設けられ、該カバーの上昇位置で前記全方向プリズムを収納し、前記カバーの下降位置で前記全方向プリズムが露出する様構成された全方向プリズム装置に係るものである。
【0021】
更に又本発明は、前記全方向プリズムの水平対向する頂点に軸が設けられ、円弧状に湾曲させた複数の帯状プレートが前記軸に回転自在に取付けられ、該帯状プレートによって前記全方向プリズムを収納又は露出可能なカバーが構成された全方向プリズム装置に係るものである。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、保持部材と、全方向プリズムとを具備し、前記保持部材は、基板と該基板に連結されたネック部と、該ネック部の先端に設けられた固着部とを有し、前記全方向プリズムは3角プリズムから構成される複数のプリズムユニットを有し、該プリズムユニットは前記基板の両面に貼合され、前記全方向プリズムは8面体に構成されたので、再帰反射の方向に対して制約がなく、水平全方向、鉛直全方向の全ての方向からの光線を再帰反射可能であるという優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】第1の実施例の全体図である。
図2】第1の実施例に於ける保持部材とプリズムユニットとの関係を示す斜視図である。
図3】該実施例の取付け状態と全方向プリズム装置の遮られる範囲との関係を示す図である。
図4】前記全方向プリズム装置の取付け姿勢を示しており、(A)は上向き姿勢、(B)は水平姿勢、(C)は下向き姿勢を示している。
図5】第2の実施例の全体図である。
図6】第3の実施例の全体図である。
図7】第4の実施例の全体図である。
図8】第4の実施例の分解斜視図である。
図9】第5の実施例の部分分解斜視図である。
図10】第6の実施例の部分斜視図である。
図11】第6の実施例の作用説明図である。
図12】第6の実施例の分解斜視図である。
図13】第7の実施例の部分斜視図である。
図14】(A)、(B)、(C)は第8の実施例を示し、(A)は保護状態を示す正面図、(B)は保護状態を示す側面図、(C)は使用状態を示す正面図である。
図15】(A)、(B)は第9の実施例を示し、(A)は保護状態を示す図、(B)は使用状態を示す図である。
図16】(A)、(B)は第10の実施例を示し、(A)は保護状態を示す図、(B)は使用状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施例を説明する。
【0025】
図1は本発明の第1の実施例に係る全方向プリズム装置の斜視図であり、図2は該全方向プリズムの分解図である。
【0026】
図1図2中、1は全方向プリズム装置を示し、該全方向プリズム装置1は保持部材2、全方向プリズム3とを具備している。
【0027】
第1の実施例では2つのプリズムユニット4を有し、該プリズムユニット4は4つの3角プリズム5をピラミッド形に貼り合わせて構成され、更に2つのプリズムユニット4が前記保持部材2に固着されて8面体の全方向プリズム3が構成される。
【0028】
前記保持部材2は金属製であり、略正方形の平板の基板7、該基板7の頂部に連結されたネック部8、該ネック部8の先端部に設けられた固着部9から構成されている。
【0029】
前記基板7は薄板であり、該基板7の両面に前記プリズムユニット4がそれぞれ接着される。前記基板7の両面に前記プリズムユニット4が接着されることで、前記基板7、前記プリズムユニット4が強度を相互に補い、前記基板7を薄板とすることができる。
【0030】
前記基板7の1つの角部は、前記プリズムユニット4から延出しており、この延出した部分に前記ネック部8が固着されている。尚、前記基板7と前記ネック部8とは一体で構成されてもよく、或は分離可能としてもよい。
【0031】
該ネック部8は断面が円形であり、所定の長さL1を有している。該ネック部8の軸心延長上に前記全方向プリズム3の光学中心が存在する様になっている。前記固着部9は全方向プリズム装置1を測定対象物、或はポール等の支持体に取付ける為のものであり、第1の実施例では固着部9がボルト9aを有する場合を示している。
【0032】
該ボルト9aの基部はフランジ9bとなっており、該フランジ9bの支持体当接面6は取付け基準面となっており、該支持体当接面6と前記全方向プリズム3の光学中心との距離L2は既知となっている。
【0033】
第1の実施例によれば、前記プリズムユニット4と保持部材2とが一体になっており、而も、該保持部材2が固着部9(ボルト9a)を具備しているので、測定対象物側にネジ孔が設けられていれば容易に、前記全方向プリズム装置1を測定対象物に取付けることができる。又、前記全方向プリズム装置1を測定対象物に取付けた時点で、測定対象に対して全方向プリズム3の光学中心は既知となるので、取扱い、設置作業が容易である。
【0034】
更に、2つの前記プリズムユニット4(即ち、全方向プリズム3)は全方向に露出しているので、あらゆる方向からの光を再帰反射可能である。又、前記基板7は薄板であり、入射光を殆ど遮ることがない。
【0035】
図3は、前記全方向プリズム装置1を支持体11の下面に取付けたものである。
【0036】
該支持体11が下向き姿勢で取付けられた状態では、下方、水平方向からの入射光は全て再帰反射可能である。又、上方からの入射光については、前記支持体11によって前記全方向プリズム3への入射光が遮られる。遮られる範囲(遮光範囲)は図示ではθであり、前記遮光範囲θは前記ネック部8の長さL1によって決定される。従って、測定対象が要求する測定範囲に対応して前記L1が選択される。
【0037】
又、本実施例の全方向プリズム装置1は、取付け姿勢に制約がない。
【0038】
図4(A)に示される様に、支持体11に上向き姿勢で取付けることができ、又図4(B)に示される様に支持体11に水平姿勢で取付けることができる、又図4(C)に示される様に支持体11に下向き姿勢で取付けることができる。
【0039】
従って、前記支持体の構造、測定態様等に合せて全方向プリズム装置1を設置することができる。
【0040】
図5は第2の実施例を示しており、第2の実施例では、前記固着部9がネジ孔9cを有する場合を示している。該固着部9も取付け基準面としての支持体当接面6を有しており、該支持体当接面6と全方向プリズム3の光学中心とは既知の距離となっている。
【0041】
図6は第3の実施例を示しており、第3の実施例では、固着部9がフランジ9dを有する場合であり、ボルト(図示せず)により前記フランジ9dを支持体11に固定することで全方向プリズム装置1を支持体11に取付けることができる。第3の実施例では、前記フランジ9dの当接面が取付け基準面となっている。
【0042】
図7図8は第4の実施例を示している。
【0043】
第4の実施例ではネック部8を基板7に対して着脱可能としたものであり、ネック部8を着脱可能とすることで、固着部9を支持体11の構造に適合したものに選択することができる。
【0044】
基板7は1つの頂部より延出する舌片7aを有し、該舌片7aには孔14が穿設されている。ネック部8の先端には前記舌片7aが嵌合するスリット13が形成され、該スリット13を貫通する止め孔15を穿設する。
【0045】
前記舌片7aを前記スリット13に挿入し、ボルト16を前記止め孔15、前記孔14に挿通し、前記舌片7aと前記ネック部8とを固着し、前記基板7と前記ネック部8とを連結する。従って、前記基板7と前記ネック部8とは前記ボルト16の取付け、取外しによって連結及び連結解除が可能である。
【0046】
前記ネック部8の非連結端には、固着部9が形成される。該固着部9については、上記第1実施例、第2実施例、第3実施例で示した様に、ボルトが形成され、或は螺子孔が設けられ、或はフランジが設けられる。尚、固着部9としてはボルト、螺子孔、フランジに限定されるものではない。
【0047】
第4の実施例に於いても、前記ネック部8の非連結端側端面17が取付け基準面となっており、前記非連結端側端面17から全方向プリズム3の光学中心迄の距離は既知となっている。
【0048】
図9は第5の実施例を示している。
【0049】
第5の実施例では、プリズムユニットをより堅固に保持する構造としたものである。
【0050】
第5の実施例に適用される基板7は、3角形状の基板分体7bが十字に結合され、隣接する基板分体7b間に直角に区分された4の空間を形成する構成となっている。
【0051】
該4の空間にそれぞれプリズムユニット4aを嵌込み接着することで、全方向プリズム3が構成される。
【0052】
本実施例に於いても、各プリズムユニット4aは前記基板分体7bを境界とし、該基板分体7bの両面に貼合されるので、各プリズムユニット4aは強固に一体化される。
【0053】
尚、前記プリズムユニット4aは、3角プリズム5が上下に貼合されて構成される。
【0054】
又、各プリズムユニット4aと前記基板分体7bとを接着する接着剤としては弾力性を有するもの、例えばシリコン系接着剤が用いられることが好ましい。
【0055】
前記ネック部8は、前記基板分体7bが集合した下端部に連結される。
【0056】
図10は第6の実施例を示している。
【0057】
第6の実施例では前記全方向プリズム装置1に損傷防止機能を付加したものである。
【0058】
全方向プリズム3の各頂点に、突起部材19を設ける。該突起部材19は、形状として球体、半球体が好ましく、該突起部材19は各頂点に接着等手段で固着され、少なくとも半球が露出する様に取付けられる。
【0059】
又、前記全方向プリズム3への光線の入射出を妨げない様(光線のけられが発生しない様)測定誤差が最小限となる様に、前記突起部材19の大きさが設定される。
【0060】
又、前記突起部材19の材質としては緩衝性、弾力性を有するのが好ましく、例えば、シリコンゴム、軟質合成樹脂等が用いられる。
【0061】
前記突起部材19が設けられた全方向プリズム3が、平面21に置かれた状態が図11に示される。
【0062】
前記突起部材19の存在により、前記全方向プリズム3のエッヂと平面21との間に隙間22が形成され、エッヂが平面21に接触することがない。又、頂点は前記突起部材19で直接保護されているので、前記全方向プリズム3のエッヂ、頂点の損傷が防止される。
【0063】
図12は第6の実施例を第4の実施例に適用した場合の、基板7を示している。
【0064】
該基板7の各頂点に前記突起部材19が嵌合する、或は突起部材19との干渉を防ぐ、凹部23が形成されている。尚、図12中、図8中で示したものと同等のものには同符号を付しその説明を省略する。
【0065】
図13は第7の実施例を示しており、第7の実施例は第5の実施例に更に、損傷防止機能を付加したものである。図13中、図9中で示したものと同等のものには同符号を付しその説明を省略する。
【0066】
第7の実施例では、基板7を構成する基板分体7bをプリズムユニット4aより大きくし、前記基板7にプリズムユニット4aを組合わせた状態で、前記基板分体7bの縁部25が前記プリズムユニット4aからはみ出す様に構成している。
【0067】
前記プリズムユニット4aが前記縁部25分だけ前記基板分体7bより後退しているので、全方向プリズム装置1を平面に置いた場合に、隙間が生じ、前記プリズムユニット4aが保護される。
【0068】
図14(A)、図14(B)、図14(C)は第8の実施例を示している。
【0069】
第8の実施例では、損傷防止機能の付加の為に保護カバーを設けたものである。
【0070】
ネック部8に該ネック部8と直交する軸26を設け、該軸26に左右一対のカバー27,27を取付ける。該カバー27の側面形状はくの時形であり、一端は前記軸26に回転自在に連結され、カバーの幅は全方向プリズム3の水平最大寸法より大きくなっている。 前記カバー27が直立状態(図14(A))で、左右のカバー27,27の間に全方向プリズム3が収納される構成となっている。
【0071】
前記カバー27が直立状態が前記全方向プリズム3の保護状態であり、前記全方向プリズム3の2側面が前記カバー27,27で覆われる。尚、他の2面は開放されているが、前記カバー27の幅が前記全方向プリズム3の水平最大寸法より大きくなっているので、該全方向プリズム3が障害物に接触することが防止される(図14(B))。
【0072】
図14(C)は全方向プリズム3の使用状態を示し、前記カバー27,27が前記カバー27を中心に回転し、垂下した状態を示している。尚、前記カバー27には垂下した状態でネック部8と干渉しない様に切欠部27aが設けられている。
【0073】
又、前記カバー27,27の直立状態、及び垂下状態がそれぞれ保持される様に、前記軸26と前記カバー27,27間にロック機構が設けられてもよい。
【0074】
図15(A)、図15(B)は第9の実施例を示している。
【0075】
第9の実施例では、カバー28をネック部8に摺動可能に設けたものである。
【0076】
カバー28は上方が開口された有底筒状となっており、該カバー28の内径は全方向プリズム3の水平最大寸法より大きく、内寸法高さは前記全方向プリズム3の高さより大きくなっている。又、前記カバー28は前記ネック部8をガイドとして摺動可能であり、前記カバー28との間には適宜な摩擦抵抗があり、前記カバー28は前記カバー28の適宜な位置で保持される様になっている。
【0077】
前記全方向プリズム3を保護状態とするには、前記カバー28を上昇させ、全方向プリズム3を前記カバー28内に収納する(図15(A))。前記全方向プリズム3の使用状態では、前記カバー28を下げ前記全方向プリズム3を露出させる(図15(B))。
【0078】
図16(A)、図16(B)は第10の実施例を示している。
【0079】
第10の実施例は、全方向プリズム3の水平対向する頂点に軸31を設け、円弧状に湾曲させた複数の帯状プレート32を前記軸31に回転自在に取付ける。該帯状プレート32によってカバーが構成される。
【0080】
前記全方向プリズム3の保護状態では、全方向プリズム3を前記帯状プレート32で覆う様に、前記帯状プレート32を所定間隔で展開する(図16(A))。尚、図16(A)は、展開途中を示し、前記全方向プリズム3の一部が露出されている状態となっている。
【0081】
図16(B)は使用状態を示しており、使用状態では、前記帯状プレート32は前記全方向プリズム3の下側に畳まれた状態となる。
【符号の説明】
【0082】
1 全方向プリズム装置
2 保持部材
3 全方向プリズム
4 プリズムユニット
5 3角プリズム
7 基板
8 ネック部
9 固着部
17 非連結端側端面
19 突起部材
25 縁部
27 カバー
28 カバー
32 帯状プレート
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