(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-08
(45)【発行日】2024-03-18
(54)【発明の名称】画像形成装置、及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
B41J 21/00 20060101AFI20240311BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20240311BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20240311BHJP
B41J 29/393 20060101ALI20240311BHJP
【FI】
B41J21/00 Z
G03G15/00 303
B41J29/38 201
B41J29/393 107
B41J29/393 101
(21)【出願番号】P 2020051042
(22)【出願日】2020-03-23
【審査請求日】2023-03-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】柏木 正樹
(72)【発明者】
【氏名】森 順一
(72)【発明者】
【氏名】笠原 綾
【審査官】加藤 昌伸
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-161650(JP,A)
【文献】特開2005-283710(JP,A)
【文献】特開2013-167809(JP,A)
【文献】特開2018-005173(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 21/00 - 21/18
B41J 5/00 - 5/52
B41J 29/00 - 29/70
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
階調調整用マーク情報を2色ずつ2枚の用紙に分割した2枚目の用紙に対する印刷で、前記2枚目の用紙のタイプが1枚目の用紙のタイプと同じであり、
チャート挿入ジョブを要求していない、又は、前記チャート挿入ジョブによる印刷である場合、前記2枚目の用紙のサイズに応じて、残りの2色、又は4色の階調調整用マーク情報を印刷画像に合成する合成手段を有
し、
前記2枚目の用紙に対する印刷で、前記2枚目の用紙のタイプが1枚目の用紙のタイプと異なる場合、前記合成手段は、チャート挿入ジョブの投入を要求することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記2枚目の用紙に対する印刷で、前記2枚目の用紙のタイプが1枚目の用紙のタイプと同じであり、
チャート挿入ジョブを要求している、かつ、前記チャート挿入ジョブによる印刷でない場合、前記合成手段は、前記2枚目の用紙の余白に階調調整用マーク情報を印刷画像に合成しないようにすることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記チャート挿入ジョブの投入を要求した後、前記合成手段は、前記2枚目の用紙のサイズに応じて、2色、又は4色の階調調整用マーク情報を印刷画像に合成することを特徴とする請求項
1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
階調調整用マーク情報を2色ずつ2枚の用紙に分割中でない場合、前記合成手段は、用紙のサイズに応じて、2色、又は4色の階調調整用マーク情報を印刷画像に合成することを特徴とする請求項1乃至
3の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記印刷画像を出力紙に印刷する印刷手段と、
前記出力紙に印刷された前記階調調整用マーク情報を測色する測色手段と、
前記測色手段により測色された測色データから用紙種類に関連付けて基準値を管理する第1の管理手段と、
前記基準値と、前記測色データと、から補正値を求める手段と、
前記補正値を給紙段に登録された用紙種類に関連付けて管理する第2の管理手段と、
前記第2の管理手段に管理された補正値を後続の印刷画像の生成の際に反映させる補正手段と、
を有することを特徴とする請求項1乃至
4の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
画像形成装置が実行する情報処理方法であって、
階調調整用マーク情報を2色ずつ2枚の用紙に分割した2枚目の用紙に対する印刷で、
前記2枚目の用紙のタイプが1枚目の用紙のタイプと同じであり、
チャート挿入ジョブを要求していない、又は、前記チャート挿入ジョブによる印刷である場合、前記2枚目の用紙のサイズに応じて、残りの2色、又は4色の階調調整用マーク情報を印刷画像に合成する
合成工程を含み、
前記2枚目の用紙に対する印刷で、前記2枚目の用紙のタイプが1枚目の用紙のタイプと異なる場合、前記合成工程において、チャート挿入ジョブの投入を要求する情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
用紙に画像を形成する印刷装置の後段にインラインセンサを接続し、印刷装置が形成した用紙上の画像をインラインセンサで読み取る印刷システムが知られている。このような印刷システムでは、印刷装置が出力物の余白に画像形成位置及び画質を調整するために印字したパッチをインラインセンサが読み取ることで、リアルタイムで調整結果を印刷装置にフィードバックすることができる。
しかしながら出力物の余白は領域が限られているため、印刷装置が調整に必要なパッチを正確に打てない場合がある。特許文献1では、画像形成位置調整用のパッチと画質調整用のパッチを同時に印字しようとしてお互いのパッチが重なってしまった場合、画質調整用のパッチの階調数を減らして重ならないように印字する提案がされている。
階調数を減らしてしまうと、本来印字するはずであったパッチの階調数で調整を行う場合と比較して、調整の精度が落ちてしまう。このことから、調整のために必要なパッチが1枚の出力物の余白に入りきらなかった場合であっても階調数を減らすことなく、複数の出力物の余白にパッチを分割して印字することが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、1枚の出力物の余白に入りきらないため、複数の出力物の余白にパッチを分割して印字する場合、出力物の用紙タイプは常に同じとは限らず、異なる用紙タイプに切り替わることがある。用紙タイプの切り替わりが発生すると同じタイプの用紙に印刷されたCMYK4色のパッチが揃わなくなる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、画像形成装置であって、階調調整用マーク情報を2色ずつ2枚の用紙に分割した2枚目の用紙に対する印刷で、前記2枚目の用紙のタイプが1枚目の用紙のタイプと同じであり、チャート挿入ジョブを要求していない、又は、前記チャート挿入ジョブによる印刷である場合、前記2枚目の用紙のサイズに応じて、残りの2色、又は4色の階調調整用マーク情報を印刷画像に合成する合成手段を有し、前記2枚目の用紙に対する印刷で、前記2枚目の用紙のタイプが1枚目の用紙のタイプと異なる場合、前記合成手段は、チャート挿入ジョブの投入を要求することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、階調変動を抑制可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】印刷システムのシステム構成の一例を示す図である。
【
図2】印刷装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図3】印刷装置のソフトウェア構成の一例を示す図である。
【
図4】印刷処理の基本シーケンスの一例を示す図である。
【
図5】チャート挿入用のジョブの基本動作のシーケンスの一例を示す図である。
【
図6】基準情報と補正情報をクリアするためのシーケンスの一例を示す図である。
【
図8】用紙種類毎の基準クリアと登録に関するフローチャートである。
【
図11】用紙サイズ毎のパッチの印字方法を示す図である。
【
図12】処理中のページに印字するパッチを決定する情報処理の一例を示すフローチャートである。
【
図13】2枚目の用紙待ち情報及び挿入要求情報の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
【0009】
図1は、印刷システムのシステム構成の一例を示す図である。
図1に示すように、印刷システムは、情報処理装置102と印刷装置101とが、LAN100(ネットワーク)で接続されている。印刷装置101は、情報処理装置102から受信した印刷ジョブの印刷が可能である。印刷装置101は、画像形成装置の一例である。
【0010】
図2は、印刷装置101のハードウェア構成の一例を示す図である。印刷装置101は、シートに画像を印刷する印刷機能を有する。本実施形態では印刷装置を例に説明するが、印刷装置にスキャナやFAX機能を含むMFP(Multi Function Peripheral)等の印刷装置であってもよい。CPU(Central Processing Unit)2101を含む制御部2100は、印刷装置101全体の動作を制御する。CPU2101は、ROM(Read Only Memory)2102又はストレージ2104に記憶されたプログラムをRAM2103に展開し、それを実行して印刷制御、読取制御等の各種制御を行う。ROM2102は、CPU2101で実行可能な制御プログラム及びブートプログラム等を格納する。RAM(Random Access Memory)2103は、CPU2101の主記憶メモリであり、ワークエリア又は各種制御プログラムを展開するための一時記憶領域として用いられる。ストレージ2104は、印刷データ、画像データ、各種プログラム、及び各種設定情報を記憶する。本実施形態ではストレージ2104としてHDD(Hard Disk Drive)等の補助記憶装置を想定しているが、SSD(Solid State Drive)等の不揮発性メモリを用いてもよい。なお、実施形態に係る印刷装置101では、1つのCPU2101が1つのメモリ(RAM2103)を用いて後述するフローチャートに示す各処理を実行するものとするが、他の様態であってもよい。例えば複数のCPU、RAM、ROM、及びストレージを協働させて、後述するフローチャートに示す各処理を実行してもよい。またASIC(Application Specific Integrated Circuit)又はFPGA(Field-Programmable Gate Array)等のハードウェア回路を用いて一部の処理を実行するようにしてもよい。
【0011】
操作部インタフェース(I/F)2105は、操作部2106と制御部2100とを接続する。操作部2106には、タッチパネル機能を有する表示部及び各種ハードキー等が備えられ、情報を表示する表示部や、ユーザの指示を受け付ける受付部として機能する。
画像処理部2107は、通信部I/F2108を介して受信した印刷ジョブを展開して印刷に用いる画像データを生成するRIP(Raster Image Processor)の機能を備えている。また画像処理部2107は、印刷ジョブを展開して得られた画像データの解像度変換及び補正処理を行うこともできる。なお、本実施形態では、画像処理部2107がハードウェア回路(ASIC又はFPGA等)で実現されることを想定しているが、これに限定されるものではない。例えば、印刷装置101が画像処理用途向けのプロセッサを更に備え、そのプロセッサが画像処理プログラムを実行することにより、画像処理、及び印刷データへの展開処理を実現してもよい。この場合、このプロセッサとCPU2101とが協働して後述するフローチャートを実現するものとする。更には、画像処理を行うためのプログラムをCPU2101が実行し、画像処理及び印刷データの展開処理を行うように構成することもできる。また、これらの何れかの組み合わせにより画像処理を行うようにしてもよい。
【0012】
印刷部(プリンタエンジン)2109は、画像処理部2107により生成された画像データに基づいて給紙カセット(不図示)から給送されたシートに画像を印刷する。なお、印刷部2109の印刷方式は、電子写真方式であってもよいし、インクジェット方式であってもよい。また熱転写方式等その他の印刷方式を適用することもできる。
測色部2110は、印刷部2109の用紙搬送路の下流側に位置していて、印刷された用紙上に形成された階調補正用マークの各色の階調パッチの色をCISカラーセンサーで測定し、測色データを取得する。
制御部2100は、通信部I/F2108を介してLAN100に接続される。通信部I/F2108は、LAN100上の情報処理装置からの印刷要求(印刷ジョブ)の受信を行う。
本実施形態では、印刷システムの一例として上記の構成例で説明するが、これに限定されるものではなく、少なくとも1つ以上の情報処理装置と印刷装置とがネットワークを介して通信可能に接続されていればよい。またネットワークは無線であっても有線であってもよい。
【0013】
図3は、印刷装置101のソフトウェア構成の一例を示す図である。
印刷ジョブ生成部301は、ジョブが投入されると印刷ジョブを生成し、ジョブ制御部303に登録する。
ジョブ制御部303は、登録された印刷ジョブに含まれる全ページについて、1ページ目から順に処理開始をページ制御部304に伝えてページ処理を開始させる。次ページの処理開始可能をページ制御部304から通知されると、ジョブ制御部303は、次のページの処理開始を伝えることを繰り返す。そして、全ページについてページ制御部304から処理終了の通知を受けると、ジョブ制御部303は、ジョブ終了を印刷ジョブ生成部301に通知する。
【0014】
ページ制御部304は、ジョブ制御部303からのページ処理開始の通知を受けて、各ページの処理を制御する。
データ受信制御部302は、通信部I/F2108を介して情報処理装置102から送信されたPDLデータを受信する。
PDL解析部305は、受信したPDLデータを解析して中間データに変換する。
RIP制御部306は、中間データをラスタライズしてビットマップ形式の画像データに変換する。
【0015】
画像生成部307は、生成されたビットマップ形式の画像データに対して、印刷に使用する用紙の補正情報を反映させて、補正済の印刷画像を生成する。そして、画像生成部307は、その印刷画像をエンジン制御部308のパッチ合成部309に転送する。画像生成部307は、
図2の画像処理部2107の制御を司る。
エンジン制御部308は、パッチ合成部309、補正情報保存部310、基準情報保存部311、測色センサー制御部312、給紙段管理部313、給紙制御部314、印刷制御部315を含む。測色センサー制御部312は、測色部2110の制御を司る。また、パッチ合成部309、補正情報保存部310、基準情報保存部311、給紙段管理部313、給紙制御部314、印刷制御部315は、印刷部2109の制御を司る。
【0016】
パッチ合成部309は、画像生成部307から受け取った補正済の印刷画像に基づき形成される画像に加えて階調補正用マークが形成されるように、印刷画像に階調補正用マーク情報(階調パッチ)を合成する。そして、パッチ合成部309は、印刷制御部315に合成済の画像の印刷指示をする。
給紙制御部314は、印刷ジョブの指示に応じた給紙段を制御して、給紙段に収容している用紙を搬送し、供給する。
【0017】
印刷制御部315は、階調パッチ合成済の印刷画像を、給紙制御部314により供給された用紙上に印刷し、排紙する。本実施形態においては、必要に応じて、階調補正用マーク情報(階調パッチ)が付加された画像データに基づき用紙上に画像が形成される。
測色センサー制御部312は、用紙上に形成された階調補正用マークを測定するよう測色部2110を制御して、測色データを取得する。
基準情報保存部311は、測色センサー制御部312により取得された測色データを基に生成された基準情報を、給紙段にセットされている用紙種類毎に保持する。
【0018】
補正情報保存部310は、基準情報保存部311の保持する基準情報と、測色センサー制御部312が取得した測色データとを比較して求めた補正情報を、給紙段にセットされている用紙種類毎に保持する。
給紙段管理部313は、印刷装置101が備える全ての給紙段にセットされている用紙のサイズや種類の情報を管理する。また、給紙段管理部313は、UI制御部316からの用紙の登録要求に応じて、基準情報保存部311が保持している、交換のため取り除かれる用紙種類に対する基準情報をクリアする。さらに、補正情報保存部310が、交換のため取り除かれる用紙種類に対する補正情報を保持している場合に、給紙段管理部313は、その補正情報もクリアする。
UI制御部316は、ユーザが操作部2106を操作して給紙段に用紙の情報が設定されると、給紙段管理部313に対して用紙の登録を要求する。また、UI制御部316は、登録が完了した用紙の情報を操作部2106に表示する。UI制御部316は、操作部2106の制御を司る。
【0019】
続いて、
図4を用いて、階調補正用の測色パッチを印刷ジョブの出力紙上に形成し、測色センサーでリアルタイムに計測、補正値を継続的に後続ページにフィードバックする印刷処理の基本シーケンスを説明する。このシーケンスは、印刷装置101のCPU2101がROM2102に記憶されたプログラムをRAM2103に読み出して実行することで実現される。
印刷ジョブ生成部301は、I/Fから受信して印刷ジョブを生成する。印刷ジョブ生成部301は生成したジョブをジョブ制御部303に登録する(S4001)。
ジョブ制御部303は、登録されたジョブの実行順を決定し順次処理を開始する(S4002)。ジョブの処理を開始したジョブ制御部303は、ページ制御部304にNページ目の処理の開始を通知する(S4003)。
【0020】
ページ制御部304は、ジョブ制御部303からのNページ目の処理開始を受信すると、ページに指定された用紙サイズと用紙種類をどの給紙段から給紙するかを給紙段管理部313に問い合わせする(S4004)。給紙段管理部313は、指定された用紙サイズと用紙種類からどの給紙段から給紙するかを決定し(S4005)、その結果をページ制御部304に返す。
【0021】
ページ制御部304は、給紙段管理部313が決定した給紙段からの給紙を給紙制御部314へ指示する(S4006)。給紙制御部314は、ページ制御部304からの給紙指示に従い、指示された給紙段からの給紙を行う(S4007)。そして、給紙制御部314は、給紙結果をページ制御部304に通知する(S4008)。ページ制御部304は、給紙制御部314から正常の給紙結果を受けると、ジョブ制御部303に次ページの処理開始が可能になったことを通知する(S4009)。また、ページ制御部304は、給紙制御部314から正常の給紙結果を受けると、画像生成部307に印刷画像生成と転送の指示を行う(S4010)。このとき、ページ制御部304から画像生成部307に給紙した給紙段、用紙サイズ、用紙タイプ、パッチ挿入ジョブであるか否か等の情報が通知される。
【0022】
画像生成部307は、印刷画像生成と転送の指示を受けると、通知された情報を基に、補正情報保存部310に補正情報を要求する(S4011)。補正情報保存部310は、渡された情報に該当する補正情報がRAM2103に保存されているか検索する(S4012)。補正情報保存部310は、該当する補正情報を検出した場合、画像生成部307に補正情報を通知する(S4013)。画像生成部307は、補正情報保存部310から通知された補正情報を使用し、印刷画像を生成する(S4014)。一方、補正情報保存部310は、渡された情報に該当する補正情報を検出できなかった場合、補正情報が無いことを画像生成部307に通知する(S4015)。補正情報が無い場合、画像生成部307は、補正無しの印刷画像を生成する(S4016)。画像生成部307は、生成した印刷画像と、ページ制御部304から通知された給紙段、用紙サイズ、用紙タイプ、及び、パッチ挿入ジョブであるか否か等の情報をパッチ合成部309に転送する(S4017)。
【0023】
パッチ合成部309は、S4017で印刷画像の転送完了と、給紙段、用紙サイズ、用紙タイプ、及びパッチ挿入ジョブであるか否か等の情報を受信すると、画像生成部307により転送された印刷画像の余白にどの階調調整用マーク情報(階調パッチ)を合成するか判定を行う。判定処理の詳細については
図12で説明する。パッチを2色ずつ2枚の用紙に分割した2枚目の用紙に対する印刷で、1枚目の用紙タイプと同じ用紙タイプの用紙への印刷であると判定した場合で、チャート挿入ジョブを要求している、かつ、チャート挿入ジョブによる印刷ではないと判定した場合は、パッチ合成部309は、余白には階調パッチを合成しないようにする。パッチを2色ずつ2枚の用紙に分割した2枚目の用紙に対する印刷で、1枚目の用紙タイプと同じ用紙タイプの用紙への印刷であると判定した場合で、チャート挿入ジョブを要求している、かつ、チャート挿入ジョブによる印刷ではないと判定した場合以外の場合は、パッチ合成部309は、印刷用紙のサイズに応じて、残りの2色のパッチ又は4色のパッチを合成する(S4018)。パッチを2色ずつ2枚の用紙に分割した2枚目の用紙に対する印刷であるが、1枚目の用紙タイプと異なる用紙タイプの用紙への印刷であると判定した場合、パッチ合成部309は、まず、印刷ジョブ生成部301へチャート挿入ジョブの投入を要求する(S4019)。その後、パッチ合成部309は、現在の印刷に対して印刷用紙のサイズに応じて、2色のパッチ又は4色のパッチを合成する(S4020)。パッチを2色ずつ2枚の用紙に分割中でないと判定した場合、パッチ合成部309は、印刷用紙のサイズに応じて、2色のパッチ又は4色のパッチを合成する(S4021)。
【0024】
パッチ合成部309は、生成した合成画像と画像生成部から通知された給紙段、用紙サイズ、用紙タイプ情報、及び、パッチ付であることを印刷制御部315に送信し印刷指示する(S4022)。印刷制御部315は、受け取った画像(階調調整用マーク情報合成済の画像)を、給紙制御部314により供給された用紙上に印刷する(S4023)。印刷が完了すると、印刷制御部315は、ページ制御部304と測色センサー制御部312に印刷完了(排紙完了)の通知を行う(S4024)。印刷完了(排紙完了)の通知には、給紙段、用紙サイズ、用紙タイプ、及び、パッチ付であるか否か等の情報が付加される。ページ制御部304は、印刷制御部315からの印刷完了(排紙完了)通知を受信すると、ジョブ制御部303にNページ目の処理の完了を通知する(S4025)。
【0025】
一方、測色センサー制御部312は、印刷制御部315からの印刷完了(排紙完了)通知を受信し、パッチ付のページであると判定すると、S4023で印刷された階調調整用マーク情報(階調パッチ)の測色を行う(S4026)。
【0026】
次に、測色センサー制御部312は、測色センサーの測色結果と、印刷制御部315から通知される給紙段、用紙サイズ、用紙タイプ等の情報を対応付け、基準情報保存部311に通知する(S4027)。
【0027】
基準情報保存部311は、測色センサー制御部312から通知された測色結果を用紙タイプ毎にRAM2103に保持しておき、調整に必要な4色分の測色結果が揃っていない場合には、処理を終了する。調整に必要な4色分の測色結果が揃った場合、基準情報保存部311は、S4028に進む。基準情報保存部311は、測色センサー制御部312から通知された情報に該当する基準値がRAM2103に保存されているか検索を行う(S4028)。通知された情報に該当する基準値が保存されている場合には、基準情報保存部311は、保存されていた基準値と測色センサー制御部312から通知された測色結果から補正値を算出する(S4029)。次に、基準情報保存部311は、算出した補正値を補正情報保存部310に通知する(S4030)。補正情報保存部310は、基準情報保存部311から通知された内容を補正情報として保存する(S4031)。
【0028】
S4028で、基準値が保存されていない場合には、基準情報保存部311は、測色センサー制御部312から通知された情報を基準値としてRAM2103に保存する(S4032)。
【0029】
ここで、S4003からS4033までの処理はジョブ制御部303に登録された印刷ジョブの全ページに対して実行されるという意味でLOOP表記している。S4003で示す各ページに対する処理開始は、S4009の次ページ処理開始可能通知を受信すると発行することが可能となる。
【0030】
ジョブ制御部303は、Nページ目の処理の完了を受信すると、Nページ目が印刷ジョブの最終ページかどうかを判断する(S4030)。ジョブ制御部303は最終ページからの完了を受信したと判断すると印刷ジョブ生成部301にジョブの終了を通知する(S4031)。
【0031】
続いて、
図5を用いてチャート挿入用のジョブの基本動作のシーケンスを説明する。このシーケンスは、印刷装置101のCPU2101がROM2102に記憶されたプログラムをRAM2103に読み出して実行することで実現される。
印刷ジョブ生成部301は、パッチ合成部309からのチャート挿入ジョブの投入要求(S1301)を受信すると、パッチページ印刷ジョブを生成しジョブ制御部303へ生成したジョブを割込み印刷として登録(S1302)する。パッチ合成部309からのチャート挿入ジョブ投入要求(S1301)には、使用する給紙段、用紙サイズ、用紙タイプ等の情報が含まれ、生成されたパッチページ印刷ジョブに設定される。
【0032】
ジョブ制御部303は、登録されたジョブの実行順を決定し順次処理を開始する(S1303)。ジョブの処理開始を行った、ジョブ制御部303は、ページ制御部304に処理の開始を通知する(S1304)。この通知には、使用する給紙段、用紙サイズ、用紙タイプ等の情報とチャート挿入用のジョブであるという情報が付加される。ページ制御部304は、ジョブ制御部303からの処理開始を受信すると、ページ制御部304から通知された給紙段からの給紙を給紙制御部314へ指示する(S1305)。
ページ制御部304は、ジョブ制御部303からの処理開始を受信すると、ページに指定された用紙サイズと用紙種類をどの給紙段から給紙するかを給紙段管理部313に問い合わせを行う(S1305)。給紙段管理部313は、指定された用紙サイズと用紙種類からどの給紙段から給紙するかを決定し(S1306)、その結果をページ制御部304に返す。
【0033】
ページ制御部304は、給紙段管理部313が決定した給紙段からの給紙を給紙制御部314へ指示する(S1307)。給紙制御部314は、ページ制御部304からの給紙指示に従い、指示された給紙段からの給紙を行い(S1308)、給紙結果をページ制御部304に通知する(S1309)。ページ制御部304は、給紙制御部314から正常の給紙結果を受けると、ジョブ制御部303に次ページの処理開始が可能になったことを通知する(S1310)。また、ページ制御部304は、給紙制御部314から正常の給紙結果を受けると、画像生成部307に印刷画像生成と転送の指示を行う(S4010)。このとき、ページ制御部304から画像生成部307に給紙した給紙段、用紙サイズ、用紙タイプ、及び、パッチ挿入ジョブであることが通知される。
【0034】
画像生成部307は、印刷画像生成と転送の指示を受けると、通知された情報を基に、補正情報保存部310に補正情報を要求する(S1312)。補正情報保存部310は、渡された情報に該当する補正情報がRAM2103に保存されているか検索する(S1313)。補正情報保存部310は、該当する補正情報を検出した場合、画像生成部307に補正情報を通知する(S1314)。画像生成部307は、補正情報保存部310から通知された補正情報を使用し、パッチ挿入用の白紙印刷画像を生成する(S1315)。一方、補正情報保存部310は、渡された情報に該当する補正情報を検出できなかった場合、補正情報が無いことを画像生成部307に通知する(S1316)。補正情報が無い場合、画像生成部307は、補正無しのパッチ挿入用の白紙印刷画像を生成する(S1317)。画像生成部307は、生成した印刷画像と、ページ制御部304から通知された給紙段、用紙サイズ、用紙タイプ、情報をパッチ合成部309に転送する(S1318)。
【0035】
パッチ合成部309は、S1318で印刷画像の転送完了と、給紙段、用紙サイズ、用紙タイプ、及び、パッチ挿入ジョブであること等の情報を受信すると、画像生成部307により転送された印刷画像の余白にどの階調調整用マーク情報(階調パッチ)を合成するか判定を行う。判定処理の詳細については
図12で説明するが、このケースではパッチを2色ずつ2枚の用紙に分割した2枚目の用紙に対する印刷で、1枚目の用紙タイプと同じ用紙タイプの用紙への印刷であると判定された場合で、チャート挿入ジョブを要求している、かつ、今回はチャート挿入ジョブの印刷ではないと判定された以外の場合と判定され、パッチ合成部309は、印刷用紙のサイズに応じて、残りの2色のパッチ又は4色のパッチを合成する(S1319)。
【0036】
パッチ合成部309は、生成した合成画像と画像生成部から通知された給紙段、用紙サイズ、用紙タイプ、及び、パッチ付か否か等の情報を印刷制御部315に送信し、印刷指示する(S1320)。印刷制御部315は、受け取った画像(階調パッチ画像合成済の画像)を、給紙制御部314により供給された用紙上に印刷する(S1321)。印刷が完了すると、印刷制御部315は、ページ制御部304と測色センサー制御部312に印刷完了(排紙完了)の通知を行う(S1322)。印刷完了(排紙完了)の通知には、給紙段、用紙サイズ、用紙タイプ、及び、パッチ付か否か等の情報が付加される。ページ制御部304は、印刷制御部315からの印刷完了(排紙完了)通知を受信すると、ジョブ制御部303にページの処理の完了を通知する(S1323)。
【0037】
一方、測色センサー制御部312は、印刷制御部315からの印刷完了(排紙完了)通知を受信し、パッチ付のページであると判定すると、S1321で印刷された階調調整用マーク情報(階調パッチ)の測色を行う(S1324)。
【0038】
次に、測色センサー制御部312は、測色センサーの測色結果と、印刷制御部315から通知される給紙段、用紙サイズ、用紙タイプ等の情報を対応付け、基準情報保存部311に通知する(S1325)。
【0039】
基準情報保存部311は測色センサー制御部312から通知された測色結果を用紙タイプ毎にRAM2103に保持しておき、調整に必要な4色分の測色結果が揃っていない場合には、処理を終了する。調整に必要な4色分の測色結果が揃った場合、S1326に進む。基準情報保存部311は、測色センサー制御部312から通知された情報に該当する基準値がRAM2103に保存されているか検索を行う(S1326)。通知された情報に該当する基準値が保存されている場合には、保存されていた基準値と測色センサー制御部312から通知された測色結果から補正値を算出する(S1327)。次に、基準情報保存部311は、算出した補正値を補正情報保存部310に通知する(S1328)。補正情報保存部310は基準情報保存部311から通知された内容を補正情報として保存する(S1329)。
【0040】
S1326で、基準値が保存されていない場合には、基準情報保存部311は、測色センサー制御部312から通知された情報を基準値としてRAM2103に保存する(S1330)。
ジョブ制御部303は、ページの処理の完了を受信すると、印刷ジョブの最終ページかどうかを判断する(S1331)。ジョブ制御部303は、最終ページからの完了を受信したと判断すると印刷ジョブ生成部301にジョブの終了を通知する(S1332)。
【0041】
続いて、
図6を用いて基準情報と補正情報をクリアするためのシーケンスを説明する。このシーケンスは、印刷装置101のCPU2101がROM2102に記憶されたプログラムをRAM2103に読み出して実行することで実現される。
印刷装置101が用紙に対して画像を形成する際、用紙種類によって特性が異なるため、印刷装置101が正しく階調補正を行うためには、用紙種類毎に基準情報を保持する必要がある。印刷装置101は、数多くの用紙種類をサポートしているが、実際に使用する用紙は給紙段にセットされている必要がある。そのため、基準情報保存部311は、給紙段にセットされている用紙種類の基準情報のみを保持する。そのため、ユーザが印刷装置101の給紙段に新たな用紙をセットする際、印刷装置101は、交換のために取り除かれる用紙種類に対する基準情報と、補正情報のクリアを行う。
【0042】
S5001で、ユーザは印刷装置101のUI画面を操作し、給紙段の設定画面を選択する。S5002で、印刷装置101のUI制御部316は、ユーザからの操作を受け付けると、給紙段管理部313から印刷装置101が備えている全ての給紙段にセットされている用紙のサイズと種類の情報を取得する。S5003で、UI制御部316は、S5002で取得した情報をUI画面に表示する。画面例を
図7(a)に示す。
【0043】
S5004で、ユーザは印刷装置101のUI画面から用紙を変更したい給紙段を選択する。S5005で、印刷装置101のUI制御部316は、ユーザからの操作を受け付けると、選択された給紙段に設定可能な用紙種類のリストをUI画面に表示する。画面例を
図7(b)に示す。
【0044】
S5006で、ユーザは印刷装置101のUI画面から変更したい用紙種類を選択する。S5007で、印刷装置101のUI制御部316は、ユーザからの操作を受け付けると給紙段管理部313に対してユーザが選択した給紙段と用紙種類の登録を要求する。S5008で、給紙段管理部313は、基準情報保存部311と補正情報保存部310に保存されている情報の更新を行う。詳細なフローについては
図8(a)を用いて後述する。
【0045】
図8(a)のフローチャートに基づいて給紙段管理部313が基準情報と補正情報のクリアが必要と判断した場合、S5009、S5010でクリア処理を行う。S5009で、給紙段管理部313は、基準情報保存部311に保存されていた交換のための取り除かれる用紙種類に対する基準情報をクリアする。更に、S5010で、給紙段管理部313は、補正情報保存部310に交換のための取り除かれる用紙種類に対する補正情報が存在するかを確認し、存在する場合は補正情報をクリアする。給紙段管理部313は、S5008の一連の処理が完了後、S5011にてユーザに指定された用紙種類の登録処理を行う。その後、S5012で、給紙段管理部313は、UI制御部316に対して登録完了を通知する。そして、S5013で、UI制御部316は、登録完了した用紙種類の情報でUI画面を更新する。
【0046】
図8(a)、
図8(b)に印刷装置101の各給紙段に登録された用紙種類の変更に伴う、給紙段管理部313の処理フローを示す。
図8(a)は、用紙種類毎の基準情報と補正情報のクリアについて説明するためのフローチャートである。
図8(b)は、用紙種類毎の基準情報と補正情報の登録について説明するためのフローチャートである。
まず、
図8(a)について説明する。
図8(a)は、上述した
図6のS5007でユーザが選択した給紙段と用紙種類の登録を要求されたときの、給紙段管理部313の処理フローである。
【0047】
S601で、給紙段管理部313は、UI制御部316からユーザが選択した給紙段と用紙種類の登録要求を受ける。S602で、給紙段管理部313は、用紙種類の変更があるか否かを判断する。ここで、給紙段管理部313は、変更がなければ(同一種類の再登録の場合)処理を終了、変更があればS603へ進む。S603で、給紙段管理部313は、S601で変更対象の給紙段にセットされていた用紙と同一の用紙が他の給紙段に設定されているか確認する。給紙段管理部313は、他の給紙段に同一の用紙がある場合はS605へ、ない場合はS604に進む。S604で、給紙段管理部313は、全ての給紙段で変更前の用紙種類を使用しなくなることから、当該用紙の基準値・補正値(後述するTBL881・TBL883)を基準情報保存部311と補正情報保存部310から削除し、S605に進む。S605で、給紙段管理部313は、基準値管理テーブル、補正値管理テーブルから設定変更する給紙段の用紙種類情報のレコードを削除する。
【0048】
続いて、
図8(b)について説明する。
図8(b)は、上述した
図4のS4024で測色センサー制御部312から測色結果の通知を受けたときの、基準情報保存部311及び補正情報保存部310の処理フローである。
S621で、基準情報保存部311は、測色センサー制御部312が1枚の出力用紙から読み取った色毎のパッチの測色結果を取得し、一時領域に用紙タイプ毎の測色結果テーブルとして保存する。
【0049】
S622で、基準情報保存部311は、S621で一時領域に保存した用紙タイプの測色結果テーブルに4色分の測色結果が揃っているか否かを確認する。4色分の測色結果が揃っていなかった場合、基準情報保存部311は、処理を終える。4色分の測色結果が揃っていた場合、基準情報保存部311は、S623へ進む。S623で、基準情報保存部311は、基準値管理テーブルに測色センサー制御部312から通知された測色結果に紐づく給紙段のレコードが登録されているかを確認する。基準情報保存部311は、登録されていない場合はS624へ、登録されている場合はS628へ進む。S624で、基準情報保存部311は、基準情報管理テーブルに測色センサー制御部312から通知された測色結果に紐づく用紙種類が他の給紙段で登録されているかを確認する。登録されていない場合は、基準情報保存部311は、S625へ進む。S625で、基準情報保存部311は、測色センサー制御部312から通知された測色結果を基準値(後述のTBL881)として保存する。続いてS626で、基準情報保存部311は、基準値管理テーブルに、測色センサー制御部312から通知された測色結果に紐づく給紙段のレコードを追加し、S625で保存した基準値を参照するリンク処理を行う。
【0050】
一方、S624にて、基準情報管理テーブルに測色センサー制御部312から通知された測色結果に紐づく用紙種類が他の給紙段で登録されていると確認した場合は、基準情報保存部311は、S627に進む。S627で、基準情報保存部311は、基準情報管理テーブルに、測色センサー制御部312から通知された測色結果に紐づく給紙段のレコードとして、既に基準情報管理テーブルに登録されていた同一の用紙種類のレコードをコピーする。これによりこの用紙種類の基準値が保存されたことになる。そして、S628に進む。
【0051】
S628で、基準情報保存部311は、測定値と基準値とから補正値を算出し、算出した補正値を補正情報保存部310に通知する。そしてS629で、補正情報保存部310は、基準情報保存部311から通知された内容を補正情報(後述のTBL883)として保存する。S626とS629の処理が完了したら、S630で、基準情報保存部311は、一時領域の情報を削除する。
【0052】
続いて、
図7において印刷装置101の給紙段に用紙種類を登録する画面を説明する。
図7(a)にUI制御部316が表示する給紙段設定画面を示す。ユーザが給紙段設定画面を呼び出す(S5001)。するとUI制御部316が給紙段管理部313に現在の給紙段の設定情報を問い合わせる(S5002)。そして、その結果が画面700に表示される(S5003)。
【0053】
ユーザは画面700において用紙種類を設定する給紙段を選択する。本実施形態では4つの給紙段に対して選択ボタン701~704が割り当てられる。ユーザは特定の給紙段を選択後、用紙種類を設定する設定ボタン705を選択する(S5004)。そして
図7(b)の選択画面710を呼び出す(S5005)。
用紙種類の選択画面710では画面700で選択した給紙段にセットした/セットする用紙種類に一致するものを1つ選択:ここでは普通紙1を普通紙3で置き換え(S5006)、OKボタン708を選択する。すると画面は画面700に戻る。ユーザは用紙種類が変更できたことを確認後、OKボタン706を選択する。UI制御部316は、ユーザの設定を給紙段管理部313に通知し(S5007)、登録要求を行う(S5008)。
【0054】
次に本実施形態における階調補正用の階調補正用マーク情報(階調パッチ)の印字位置、印字したカラーパッチを測定するカラーセンサー、カラーセンサーからの信号値及びその信号値から導かれる補正値を保持する管理テーブルについて
図9(a)、
図9(b)、
図9(c)、
図9(d)、
図9(e)に図示する。
【0055】
図9(a)について説明する。
リアルタイム階調補正を目的とした階調補正用マーク情報(階調パッチ)の出力例を800に示す。
リアルタイムに多階調補正を行うために必要なパッチは印刷用紙800の内側、かつ、用紙の印字保証領域801の外側に定義された余白域に印字される。印字保証領域は最終成果物となる部分であり、ユーザ画像の印字を保証する領域である。一方、印字保証領域の外は画像形成可能なエリアもあるが、最終成果物としては断裁・除去されることを前提としている(POD機では画質調整に必要な各種パッチ及び検品に必要な情報の印刷に使用される)。
【0056】
リアルタイム階調補正用のパッチは印字保証領域の外側に並べて印字され、そのパッチを印字面側のカラーセンサー861、862が読み取る。このため、各色のパッチはセンサーの位置に合わせて搬送方向と平行に並ぶ。印刷用紙800には、シアン810・マゼンタ850・イエロー830・ブラック840の各トナー単色の濃度が10%刻みで10個ずつ、合計40個のパッチが印刷される。例えば、シアンのカラーパッチ群820は濃度100%、以降、10%刻みで濃度が低くなり、パッチ829は濃度10%である。マゼンタ、イエロー、ブラックの各色も同じ10個で1セットの構成となり4色分の基準値・測定値のデータが揃って初めて階調補正に必要なフィードバック情報が生成可能となる。階調補正パッチはパッチ合成部309が画像生成部307の生成画像に合成する。
【0057】
図9(b)について説明する。
図9(b)は画像形成装置内の搬送パス
図9(a)を横から見た断面図である。印刷用紙800に対して、CMYK各色の現像機871~874でトナーを転写し定着器875で定着処理後、810、830、840、850の各色のパッチを搬送方向の左右両端に設置されたカラーセンサー861、862により読み取る。カラーセンサーは印刷面側に設置される。
【0058】
図9(c)はカラーセンサー861、862がスキャンしたCMYKの濃度情報に基づき生成される、基準値、測定値、補正値の例である。
図9(a)に示す通り、印刷用紙800にはCMKY毎に10個、合計40個のパッチが印字されるため、これをセンサーで読みとると40個の測定値が得られる。本実施形態では測色センサー制御部312は、カラーセンサーのパッチ濃度を1024段階で数値化し保存する。測色センサー制御部312から通知された測色結果は基準情報保存部311において給紙段にセットされた用紙種類毎に関連付けて基準値として保持される。測色結果は用紙種類ごとに管理する必要がある。測色センサー制御部312から通知された用紙の測色結果が未登録の用紙の場合は、基準情報保存部311は、40点の測色結果を新しい「基準値」881として保存する。測色センサー制御部312から通知された用紙の測色結果が登録済の用紙の場合は、基準情報保存部311は、測色結果を新しい「測定値」882として扱い、基準値と測定値の差分から補正値を算出する。補正値は補正情報保存部310に保存される。なお、本実施形態では補正値を保存するが、測定値を保存し基準値と測定値の差分から都度、補正値を算出してもよい。
【0059】
図9(d)は基準情報保存部(311)が基準値を管理するテーブルである。レコード情報は、用紙種類891、対象給紙段892、基準値(1/2速)893、基準値(1/1速)894、生成PageID895、Timestamp896の各項目から構成される。
図9(d)の管理テーブルの基準値は、給紙段1に普通紙3がセットされ、後に2019/07/18の10:04:06に電源投入から累積で60014ページ目の印刷処理において、「給紙段1」から「普通紙3」を「1/1速」で給紙し、その印刷結果が測色・基準値として登録されている。「普通紙3」が「給紙段1」から除去された場合、レコード情報が削除される。
【0060】
図9(e)は補正情報保存部310が補正値を管理するテーブルであり、テーブルの基本構成は基準値が補正値に置き換わる以外、基準値管理テーブルと同一である。該当用紙が対象給紙段897から除去された場合、レコード情報は削除される。
【0061】
図9で説明した管理テーブルを用いて調整を行うためには、4色分のパッチの測色結果が揃う必要がある。
図9(a)のように4色分のパッチを1枚の出力用紙に印字できる場合もあるが、出力用紙の余白が足りず4色分のパッチを1枚の出力用紙に印字できない場合もある。パッチ4色分が1枚に入りきらない場合、パッチは2色ずつ2枚の用紙に印字される。
【0062】
図10に用紙サイズに応じたリアルタイム多階調補正を目的としたパッチの出力例を示す。インラインセンサが正確にパッチを読み取るために、
図9(a)に示すシアン810・マゼンタ850・イエロー830・ブラック840のパッチのサイズはあらかじめ決められている。例えば、1パッチの搬送方向のサイズを11mmとした場合、10%刻みトナー単色の濃度の10個分のパッチを連続で印字するためには、11mm×10で110mmの長さが必要となる。更に、搬送方向に沿ってシアン810とイエロー830の2色のパッチを配置するとなると、搬送方向に220mm以上の長さが必要となる。そのため、印刷装置101は、用紙サイズの搬送方向の長さに応じてパッチの出力方法を切り替えて印字を行う必要がある。
【0063】
図10(a)は、必要なパッチを打つための領域が足りている用紙サイズ場合の出力例である。
図9同様に、印刷用紙900にシアン902・マゼンダ905・イエロー903・ブラック904の各トナー単色の濃度を10%刻みで10個(10段階)ずつ、合計40個のパッチが印刷される。
【0064】
図10(b)は必要なパッチを打つための領域が足りていない用紙サイズの場合の出力例である。この場合、印刷用紙910と印刷用紙920の2ページにパッチが印字される。印刷用紙910には、シアン912・ブラック913の各トナー単色の濃度を10%刻みで10個(10段階)ずつ、合計20個のパッチが印刷される。印刷用紙920には、イエロー922・マゼンダ923の各トナー単色の濃度を10%刻みで10個(10段階)ずつ、合計20個のパッチが印刷される。用紙サイズ毎のパッチの印字方法(パッチを4色まとめて印字するか2色に分割して印字するか)を
図11に示す。
【0065】
本実施形態では便宜上各色のパッチ印字位置を示して説明したが、各色のパッチの配置は限定される必要はなく、どの位置にどの色のパッチが配置されてもよい。
【0066】
続いて、
図12、
図13を用いて、パッチを打つための領域が足りていない用紙サイズのためにパッチを分割し、連続する2ページにパッチを印字しようとする際に、2ページ目の用紙タイプが1ページ目と異なる場合のパッチ印字制御方法と、2ページに分割されたパッチを測色し補正を行う方法について説明する。
【0067】
まず、
図12を用いて処理中のページに印字するパッチを決定するフローについて説明する。この処理は、
図4に示すシーケンスにおいて、パッチ合成部309がS4017の生成画像の転送を受信したときに処理され、決定に従いS4018~S4021の処理が実行され、印刷装置101のCPU2101がROM2102に記憶されたプログラムをRAM2103に読み出して実行することで実現される。
【0068】
S1101で、パッチ合成部309は、
図13(a)に示すような、2枚目の用紙待ち情報を参照する。2枚目の用紙待ち情報は、パッチを打つための領域が足りていない用紙サイズの最初の2色のパッチが印字済みであり、残りの2色のパッチを印字するための用紙を待っている用紙タイプを示す情報である。2枚目の用紙待ち情報は、印刷装置101の起動時に初期化されている。
【0069】
S1102で、パッチ合成部309は、2枚目の用紙待ち情報に情報が登録されているかを判断する。パッチ合成部309は、2枚目の用紙を待っている情報が登録されている場合は2枚目の用紙を待っていると判断しS1103に進む。パッチ合成部309は、2枚目の用紙を待っている情報が登録されていない場合は2枚目の用紙を待っていない判断しS1114に進む。
【0070】
S1103で、パッチ合成部309は、
図4のS4017で画像生成部307から通知された用紙タイプと、2枚目の用紙待ち情報に登録されている用紙タイプが一致するか否かを判断する。パッチ合成部309は、2枚目の用紙待ち情報に登録された情報と、画像生成部307から通知された用紙タイプが一致すると判断した場合、S1104へ進む。パッチ合成部309は、2枚目の用紙待ち情報に登録された情報と、画像生成部307から通知された用紙タイプが一致しない判断した場合、S1112へ進む。
【0071】
S1104で、パッチ合成部309は、
図13(b)に示すような、挿入要求情報を参照する。挿入要求情報は、パッチ合成部309が投入要求したチャート挿入ジョブに指定した用紙タイプを示す情報である。挿入要求情報は、印刷装置101の起動時に初期化されている。
【0072】
S1105で、パッチ合成部309は、挿入要求情報に情報が登録されているかを判断する。パッチ合成部309は、挿入要求情報が登録されている場合は挿入要求中であると判断し、S1106に進む。パッチ合成部309は、挿入要求情報が登録されていない場合は、挿入要求中ではないと判断しS1108に進む。
【0073】
S1106で、パッチ合成部309は、
図4のS4017で画像生成部307から通知された情報(用紙タイプ、チャート挿入ジョブの画像生成を示す情報、etc.)と、挿入要求情報に登録されている用紙タイプから、パッチ合成部309が要求したチャート挿入ジョブの用紙へのパッチ印字か否かを判断する。画像生成部307から通知された情報からチャート挿入ジョブの画像生成、かつ、画像生成部307から通知された用紙タイプと挿入要求情報に登録されている情報の用紙タイプが一致した場合は、パッチ合成部309は、パッチ合成部309が要求した用紙への印字であると判定しS1107へ進む。それ以外の場合は、パッチ合成部309は、パッチ合成部309が要求した用紙への印字ではないと判定し処理を終了する。
【0074】
S1107で、パッチ合成部309は、挿入要求情報に登録されている情報を削除しS1108へ進む。
S1108で、パッチ合成部309は、
図4のS4017で画像生成部307から通知された用紙サイズが、4色のパッチを打つための領域が足りている用紙サイズか否かを判断する。4色のパッチを打てない用紙サイズと判断した場合、パッチ合成部309は、S1109に進む。S1108で4色のパッチを打つための領域が足りていると判断した場合、パッチ合成部309は、S1110に進む。
【0075】
S1109で、パッチ合成部309は、画像生成部307から転送された印刷画像の余白に、4色のパッチの残りの2色のパッチ(922、923)を合成しS1111に進む。
S1110で、パッチ合成部309は、画像生成部307から転送された印刷画像の余白に4色のパッチ(902、903、904、905)を合成しS1111に進む。
S1111で、パッチ合成部309は、2枚目の用紙待ち情報として登録された用紙タイプ情報を削除し、処理を終了する。
【0076】
S1112で、パッチ合成部309は、4色のパッチの残りの2色のパッチ(922、923)を合成するために2枚目の用紙を待っているのに対し、1枚目と異なるタイプの用紙であると判断し、印刷ジョブ生成部301にチャート挿入ジョブの投入要求(S4019)を行い、S1113へ進む。パッチ合成部309は、チャート挿入ジョブが使用する用紙タイプに、2枚目の用紙待ち情報(
図13(a))に登録された用紙タイプを指定する。
【0077】
S1113で、パッチ合成部309は、挿入要求情報(
図13(b))に、チャート挿入ジョブに指定した用紙タイプを登録しS1114へ進む。
S1114で、パッチ合成部309は、
図4のS4017で画像生成部307から通知された用紙サイズが、4色のパッチを打つための領域が足りている用紙サイズか否かを判断する。パッチ合成部309は、4色のパッチを打てない用紙サイズと判断した場合、S1115に進む。パッチ合成部309は、4色のパッチを打つための領域が足りていると判断した場合、S1116に進む。
【0078】
S1115で、パッチ合成部309は、画像生成部307から転送された印刷画像の余白に、2色のパッチ(912、913)を合成しS1117に進む。
S1117で、パッチ合成部309は、2枚目の用紙待ち情報(
図13(a))に、S1115でパッチを合成し印字する用紙の用紙タイプを登録し、処理を終了する。
S1116で、パッチ合成部309は、画像生成部307から転送された印刷画像の余白に4色のパッチ(902、903、904、905)を合成し、処理を終了する。
【0079】
図12のフローチャートに従って合成したパッチを、測色し基準値、補正値を算出する処理については、
図8(b)で説明した通りであるが、一部補足する。
4色のパッチを打つための領域が足りていない用紙サイズに2色ずつパッチを分割した場合、S621で測色センサー制御部312から基準情報保存部311に対して、まず、先頭の2色分の測色結果が通知される。基準情報保存部311は、一時領域の用紙タイプ毎の測色結果テーブルに通知された先頭の2色分の測色結果を保存するが、4色分の測色結果が揃わないためそれ以降の処理は実行しない。次のページが同じ用紙サイズで用紙タイプの場合、基準情報保存部311は、測色センサー制御部312から次のページのS621として、残りの2色分の測色結果が通知されるため、それにより4色分の測色結果が揃い、S623に進む。
【0080】
一方、4色のパッチを打つための領域が足りていない用紙サイズであっても、用紙タイプが連続しない場合には、先頭の2色のパッチを印字した後、残りの2色のパッチを印字しない。その場合、一時領域の該当する用紙タイプの測色結果テーブルには先頭の2色分の測色結果が保存されたままとなる。しかしながら、その用紙タイプの測色結果テーブルに対しては、その後、同一の用紙タイプに対する測色結果が測色センサー制御部312から通知された場合に、基準情報保存部311が通知された測色結果を上書きし、4色分の測色結果が揃うのを待つ。このように制御することで、4色の測色結果の組み合わせを意図通りに扱うことができ、正確な基準値、補正値を保持することが可能となる。
【0081】
以上のような制御を行うことで、4色のパッチを打つための領域が足りていない用紙サイズの時にパッチを2色ずつ分割して印字を行う。更に、パッチを2色ずつ分割し連続したページに印字するとき、2ページ目の用紙タイプが1ページ目と異なる場合に、1ページ目と同じ用紙タイプを使用するチャート挿入ジョブを投入することで、同一の用紙タイプの用紙に4色のパッチを2色ずつ分割して印字することが可能となる。
【0082】
<その他の実施形態>
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給する。そして、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読み出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0083】
以上、本発明の実施形態の一例について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではない。
【0084】
以上、上述した各実施形態によれば、調整のために必要なパッチが1枚の出力物の余白に入りきらない場合であっても、1ページ目と同じ用紙タイプを使用するチャート挿入ジョブを投入する。これにより、同一のタイプの用紙に印刷された4色のパッチ揃えることができ、階調変動を抑制可能な画像形成装置の提供することが可能となる。
【符号の説明】
【0085】
101 印刷装置
2100 制御部