(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-08
(45)【発行日】2024-03-18
(54)【発明の名称】電子機器及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
G06F 3/04842 20220101AFI20240311BHJP
G06F 3/0338 20130101ALI20240311BHJP
G06F 3/038 20130101ALI20240311BHJP
H04N 23/63 20230101ALI20240311BHJP
H04N 23/67 20230101ALI20240311BHJP
G03B 17/00 20210101ALI20240311BHJP
G03B 13/08 20210101ALI20240311BHJP
G02B 7/28 20210101ALI20240311BHJP
G03B 13/36 20210101ALI20240311BHJP
G03B 17/18 20210101ALI20240311BHJP
G03B 17/02 20210101ALI20240311BHJP
【FI】
G06F3/04842
G06F3/0338 411
G06F3/038 310A
H04N23/63 330
H04N23/67 100
G03B17/00 Q
G03B13/08
G02B7/28 N
G03B13/36
G03B17/18
G03B17/02
(21)【出願番号】P 2020052810
(22)【出願日】2020-03-24
【審査請求日】2023-03-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】小川 誠司
【審査官】塩屋 雅弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-128297(JP,A)
【文献】特開平10-126467(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/04842
G06F 3/0338
G06F 3/038
H04N 23/63
H04N 23/67
G03B 17/00
G03B 13/08
G02B 7/28
G03B 13/36
G03B 17/18
G03B 17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の倍率と、前記第1の倍率とは異なる第2の倍率とを含む複数の倍率のうち、いずれの倍率で画像を表示するかを切り替える切り替え手段と、
複数の方向のいずれかを指示する第1の種別の操作と、方向を指示しない第2の種別の操作とを受け付け可能な操作手段と、
前記第1の倍率で画像を表示している際に、前記第1の種別の操作に基づいて、前記表示される画像において
AF位置を移動する制御を行
い、前記第2の倍率で画像を表示している際に、前記操作手段に対する前記第1の種別の操作に基づいて、画像全体のうちの前記表示される画像の表示領域を移動する制御を行う制御手段と、
を有し、
前記制御手段は、
前記第1の倍率で画像を表示している際に、前記第2の種別の操作が行われた状態で前記第1の種別の操作が行われた場合に、前記第1の種別の操作に基づく方向に
前記AF位置の移動を行わないように制御し、
前記第2の倍率で画像を表示している際に、前記第2の種別の操作が行われた状態で前記第1の種別の操作が行われた場合に、前記第1の種別の操作に基づく方向に
前記表示領域の移動を行うように制御する
ことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記制御手段は、
前記第1の倍率で画像を表示している際に、前記第2の種別の操作が行われたことに応じて前記AF位置を所定の位置に移動するように制御し、
前記第2の倍率で画像を表示している際に、前記第2の種別の操作が行われたことに応じて前記表示領域を所定の位置に移動するように制御することを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
視線検出手段で検出されたユーザーの視線に係る情報を入力する入力手段を更に有し、
前記制御手段は、前記第1の倍率で画像を表示している際
に、前記入力手段により前記視線に係る情報が入力されている場合には、前記第2の種別の操作が行われた状態で前記第1の種別の操作が行われた場合
であっても、前記第1の種別の操作に基づく
前記AF位置の移動を行うように制御することを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項4】
前記第1の種別及び前記第2の種別の操作の機能を割り当てる割り当て手段をさらに有し、
前記割り当て手段によって前記第1の種別の操作に対して前記
AF位置を前記第1の種別の操作に基づく方向に移動させる機能、および前記第2の種別の操作に対して前記
AF位置を所定の位置に移動させる機能が割り当てられた場合に、前記制御手段は、前記第1の倍率で画像を表示している際に、前記第2の種別の操作が行われた状態で前記第1の種別の操作が行われた場合に、前記第1の種別の操作に基づく方向に前記
AF位置の移動を行わないように制御することを特徴とする請求項1乃至
3のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項5】
前記第2の倍率は、前記第1の倍率よりも大きい倍率であることを特徴とする請求項1乃至
4のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項6】
前記第1の倍率は、画像の全体が表示される倍率であることを特徴とする請求項
5に記載の電子機器。
【請求項7】
焦点を検出する
ための前記AF位置の領域の大きさを設定する領域設定手段をさらに有し、
前記領域設定手段によって前記焦点を検出する位置での領域の大きさが所定値以上である場合に、前記制御手段は、前記第1の倍率で画像を表示している際に、前記第2の種別の操作が行われた状態で前記第1の種別の操作が行われた場合であっても、前記第1の種別の操作に基づく方向に
前記AF位置の移動を行うように制御することを特徴とする請求項
1乃至6のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項8】
複数の方向のいずれかを指示する第1の種別の操作と、方向を指示しない第2の種別の操作とを受け付け可能な操作手段と、
視線検出手段で検出されたユーザーの視線に係る情報を入力する入力手段と、
前記操作手段に対する操作に基づいて、表示される画像において
AF位置を移動する制御を行う制御手段と、
を有し、
前記制御手段は、
前記入力手段により前記視線に係る情報が入力されておらず、前記第2の種別の操作が行われた状態で前記第1の種別の操作が行われた場合には、前記第1の種別の操作に基づく方向に前記
AF位置の移動を行わないように制御し、
前記入力手段により前記視線に係る情報が入力されており、前記第2の種別の操作が行われた状態で前記第1の種別の操作が行われた場合には、前記第1の種別の操作に基づく方向に前記
AF位置の移動を行うように制御する
ことを特徴とする電子機器。
【請求項9】
前記視線検出手段は、ファインダーに接眼したユーザーの目の視線を検出する手段であることを特徴とする請求項
3又は8に記載の電子機器。
【請求項10】
前記入力手段により前記視線に係る情報が入力されている場合に、前記制御手段は、前記第2の種別の操作に応じて、前記
AF位置を前記ユーザーの視線に基づく位置に移動するよう制御することを特徴とする請求項
3、8又は9に記載の電子機器。
【請求項11】
前記入力手段により前記視線に係る情報が入力されていない場合に、前記制御手段は、前記第2の種別の操作に応じて、前記
AF位置を前記画像の中央の位置または予め登録された位置に移動するよう制御することを特徴とする請求項
3、8、9又は10に記載の電子機器。
【請求項12】
前記表示される画像は、撮像手段で撮像されたライブビュー画像であることを特徴とする請求項1乃至
11のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項13】
前記撮像手段をさらに有することを特徴とする請求項
12に記載の電子機器。
【請求項14】
前記第1の種別の操作は、前記操作手段を前記複数の方向のいずれかの方向へ押し倒す操作であることを特徴とする請求項1乃至
13のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項15】
前記複数の方向は8方向であることを特徴とする請求項
14に記載の電子機器。
【請求項16】
前記第2の種別の操作は、前記操作手段を押し込む操作であることを特徴とする請求項1乃至
15のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項17】
複数の方向のいずれかを指示する第1の種別の操作と、方向を指示しない第2の種別の操作とを受け付け可能な操作手段を有する電子機器の制御方法であって、
第1の倍率と、前記第1の倍率とは異なる第2の倍率とを含む複数の倍率のうち、いずれの倍率で画像を表示するかを切り替える切り替え工程と、
前記第1の倍率で画像を表示している際に、前記第1の種別の操作に基づいて、前記表示される画像において
AF位置を移動する制御を行
い、前記第2の倍率で画像を表示している際に、前記操作手段に対する前記第1の種別の操作に基づいて、画像全体のうちの前記表示される画像の表示領域を移動する制御を行う制御工程と、
を有し、
前記制御工程においては、
前記第1の倍率で画像を表示している際に、前記第2の種別の操作が行われた状態で前記第1の種別の操作が行われた場合に、前記第1の種別の操作に基づく方向に前記
AF位置の移動を行わないように制御し、
前記第2の倍率で画像を表示している際に、前記第2の種別の操作が行われた状態で前記第1の種別の操作が行われた場合に、前記第1の種別の操作に基づく方向に前記
表示領域の移動を行うように制御する
ことを特徴とする電子機器の制御方法。
【請求項18】
複数の方向のいずれかを指示する第1の種別の操作と、方向を指示しない第2の種別の操作とを受け付け可能な操作手段を有する電子機器の制御方法であって、
視線検出手段で検出されたユーザーの視線に係る情報を入力する入力工程と、
前記操作手段に対する操作に基づいて、表示される画像において
AF位置を移動する制御を行う制御工程と、
を有し、
前記制御工程においては、
前記入力工程により前記視線に係る情報が入力されておらず、前記第2の種別の操作が行われた状態で前記第1の種別の操作が行われた場合には、前記第1の種別の操作に基づく方向に前記
AF位置の移動を行わないように制御し、
前記入力工程により前記視線に係る情報が入力されており、前記第2の種別の操作が行われた状態で前記第1の種別の操作が行われた場合には、前記第1の種別の操作に基づく方向に前記
AF位置の移動を行うように制御する
ことを特徴とする電子機器の制御方法。
【請求項19】
コンピュータを、請求項1乃至
16のいずれか1項に記載の電子機器の各手段として機能させるためのプログラム。
【請求項20】
コンピュータを、請求項1乃至
16のいずれか1項に記載の電子機器の各手段として機能させるためのプログラムを格納したコンピュータが読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、操作部材を備えた電子機器、電子機器の制御方法、プログラム及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ジョイスティック(以下、マルチコントローラーまたはMC)を搭載した電子機器が増えている。MCは、上、下、左、右、及び斜め4方向の計8方向の何れかの方向へ押し倒して指示する操作(以下、8方向操作)と、中央部分での押し込み操作(以下、中央押し操作)との2つの操作が可能であるものが多い。このMCを電子機器に搭載することにより、ユーザーの操作性を向上させることができる。
【0003】
ミラーレスなどのデジタルカメラにおいては、MCにより、ユーザーがカメラに対して素早い操作を行えるようになるため、撮影機会の増加などが期待できる。例えば、AF(オートフォーカス)を行う位置の指定にMCを用いる場合には、8方向操作でAF枠の位置を8方向へ移動させ、中央押し操作によってAF枠の位置を画面中央に戻すといった操作が可能である。
【0004】
また、特許文献1には、MCの中央押し操作を行ってAF枠を特定位置へ移動させ、8方向操作を行うことにより特定位置からAF枠を移動させるようにすることが開示されており、このようなMCにより、素早いAF枠の移動を実現できるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
MCの操作においては、タイミングによって8方向押し操作と中央押し操作とを同時に行うなど、正確な操作が要求される場合があるが、操作部分が小さいことから誤った操作がなされやすい。
【0007】
特許文献1に記載の方法では、操作性優先の観点からは、中央押し操作の後に、押下したまま8方向操作を許可することで特定位置からのAF枠移動をしやすくすることができる。しかしながら、例えば前述のようにAF枠を厳密に中央に位置させたい場合に、誤って8方向操作をしてしまうとAF枠が狙った位置からずれてしまう。
【0008】
本発明は前述の問題点に鑑み、複数種類の操作を同時に行うことが可能な操作部材を用いて操作する場合に、利便性を備えながら誤操作を低減できるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る電子機器は、第1の倍率と、前記第1の倍率とは異なる第2の倍率とを含む複数の倍率のうち、いずれの倍率で画像を表示するかを切り替える切り替え手段と、複数の方向のいずれかを指示する第1の種別の操作と、方向を指示しない第2の種別の操作とを受け付け可能な操作手段と、前記第1の倍率で画像を表示している際に、前記第1の種別の操作に基づいて、前記表示される画像においてAF位置を移動する制御を行い、前記第2の倍率で画像を表示している際に、前記操作手段に対する前記第1の種別の操作に基づいて、画像全体のうちの前記表示される画像の表示領域を移動する制御を行う制御手段と、を有し、前記制御手段は、前記第1の倍率で画像を表示している際に、前記第2の種別の操作が行われた状態で前記第1の種別の操作が行われた場合に、前記第1の種別の操作に基づく方向に前記AF位置の移動を行わないように制御し、前記第2の倍率で画像を表示している際に、前記第2の種別の操作が行われた状態で前記第1の種別の操作が行われた場合に、前記第1の種別の操作に基づく方向に前記表示領域の移動を行うように制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、複数種類の操作を同時に行うことが可能な操作部材を用いて操作する場合に、利便性を備えながら誤操作を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態に係るデジタルカメラの外観構成例を示す図である。
【
図2】実施形態に係るデジタルカメラの内部構成例を示すブロック図である。
【
図3】撮影モードでの処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図4】表示部またはEVFに表示される画像の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態を説明する。
図1(a)及び
図1(b)には、本発明を適用可能な装置(電子機器)の一例としてのデジタルカメラ100(撮像装置)の外観図を示す。
図1(a)はデジタルカメラ100の前面斜視図であり、
図1(b)はデジタルカメラ100の背面斜視図である。
【0013】
図1において、表示部28は画像や各種情報を表示する、カメラ背面に設けられた表示部である。タッチパネル70aは、表示部28の表示面(操作面)に対するタッチ操作を検出することができる。ファインダー外表示部43は、カメラ上面に設けられた表示部であり、シャッター速度や絞りをはじめとするカメラの様々な設定値が表示される。シャッターボタン61は撮影指示を行うための操作部である。モード切替スイッチ60は各種モードを切り替えるための操作部である。
【0014】
端子カバー40は外部機器との接続ケーブルとデジタルカメラ100とを接続するコネクタ(不図示)を保護するカバーである。メイン電子ダイヤル71は回転操作部材であり、このメイン電子ダイヤル71を回すことで、シャッター速度や絞りなどの設定値の変更等が行える。電源スイッチ72はデジタルカメラ100の電源のON及びOFFを切り替える操作部材である。サブ電子ダイヤル73は回転操作部材であり、選択枠の移動や画像送りなどを行える。
【0015】
4方向キー74は、上、下、左、右部分をそれぞれ押し込み可能な4方向に押し込み可能な押しボタンを有する十字キーである。4方向キー74の押下した方向に押した部分に応じた操作が可能である。SETボタン75は押しボタンであり、主に選択項目の決定などに用いられる。動画ボタン76は、動画撮影(記録)の開始、停止の指示に用いられる。AEロックボタン77は、撮影待機状態で押下することにより、露出状態を固定することができる。
【0016】
拡大ボタン78は、撮影モードのライブビュー表示において拡大モードのON、OFFを行うための操作ボタンである。拡大モードをONとしてからメイン電子ダイヤル71を操作することにより、ライブビュー画像の拡大、縮小を行える。また、拡大ボタン78は、再生モードにおいては再生画像を拡大し、拡大率を増加させるための拡大ボタンとして機能する。
【0017】
再生ボタン79は、撮影モードと再生モードとを切り替える操作ボタンである。撮影モード中に再生ボタン79を押下することで再生モードに移行し、記録媒体200に記録された画像のうち最新の画像を表示部28に表示させることができる。メニューボタン81は、押下することにより各種の設定可能なメニュー画面が表示部28に表示される。ユーザーは、表示部28に表示されたメニュー画面と、4方向キー74やSETボタン75、またはマルチコントローラー(以下、MC)65を用いて直感的に各種設定を行うことができる。MC65は、上、右上、右、右下、下、左下、左、左上の8方向のいずれかの方向への押し倒しによる方向指示操作(以下、8方向操作)と、中央部分の押し込み操作(以下、中央押し操作)との異なる種別の操作を受け付け可能である。
【0018】
通信端子10は、デジタルカメラ100が後述する
図2のレンズユニット150(着脱可能)と通信を行うための通信端子である。接眼部16は、接眼ファインダー(覗き込み型のファインダー)の接眼部であり、ユーザーは、接眼部16を介して後述する
図2の内部のEVF(Electric View Finder)29に表示された映像を視認することができる。接眼検知部57は、接眼部16にユーザーが接眼しているか否かを検知する接眼検知センサーである。
【0019】
蓋202は記録媒体を格納したスロットの蓋である。グリップ部90は、ユーザーがデジタルカメラ100を構えた際に右手で握りやすい形状とした保持部である。グリップ部90を右手の小指、薬指、中指で握ってデジタルカメラ100を保持した状態で、右手の人差指で操作可能な位置にシャッターボタン61、メイン電子ダイヤル71が配置されている。また、同じ状態で、右手の親指で操作可能な位置に、サブ電子ダイヤル73が配置されている。
【0020】
図2は、デジタルカメラ100の内部構成例を示すブロック図である。
図2において、レンズユニット150は、交換可能な撮影レンズを搭載するレンズユニットである。レンズ103は通常、複数枚のレンズから構成されるが、
図2では簡略して一枚のレンズのみで示している。通信端子6は、レンズユニット150がデジタルカメラ100側と通信を行うための通信端子であり、通信端子10は、デジタルカメラ100がレンズユニット150側と通信を行うための通信端子である。レンズユニット150は、これら通信端子6,10を介してシステム制御部50と通信する。そして、レンズユニット150は、内部のレンズシステム制御回路4によって絞り駆動回路2を介して絞り1の制御を行う。また、レンズユニット150は、レンズシステム制御回路4によってAF駆動回路3を介してレンズ103の位置を変位させることで焦点を合わせる。
【0021】
シャッター101は、システム制御部50の制御で撮像部22の露光時間を自由に制御できるフォーカルプレーンシャッターである。撮像部22は、光学像を電気信号に変換するCCDやCMOS素子等で構成される撮像素子(イメージセンサー)である。撮像部22は、システム制御部50にデフォーカス量情報を出力する撮像面位相差センサーを有していてもよい。A/D変換器23は、撮像部22から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換する。
【0022】
画像処理部24は、A/D変換器23からのデータ、又は、メモリ制御部15からのデータに対し所定の処理(画素補間、縮小といったリサイズ処理、色変換処理、等)を行う。また、画像処理部24は、撮像した画像データを用いて所定の演算処理を行い、システム制御部50は、画像処理部24により得られた演算結果に基づいて露光制御や測距制御を行う。これにより、TTL(スルー・ザ・レンズ)方式のAF(オートフォーカス)処理、AE(自動露出)処理、EF(フラッシュプリ発光)処理、等が行われる。画像処理部24は更に、撮像した画像データを用いて所定の演算処理を行い、得られた演算結果に基づいてTTL方式のAWB(オートホワイトバランス)処理を行う。
【0023】
A/D変換器23からの出力データは、画像処理部24及びメモリ制御部15を介してメモリ32に書き込まれる。あるいは、A/D変換器23からの出力データは、画像処理部24を介さずにメモリ制御部15を介してメモリ32に書き込まれる。メモリ32は、撮像部22によって得られA/D変換器23によりデジタルデータに変換された画像データや、表示部28やEVF29に表示するための画像データを格納する。メモリ32は、所定枚数の静止画や所定時間の動画および音声を格納するのに十分な記憶容量を備えている。
【0024】
また、メモリ32は画像表示用のメモリ(ビデオメモリ)を兼ねている。D/A変換器19は、メモリ32に格納されている画像表示用のデータをアナログ信号に変換して表示部28やEVF29に供給する。こうして、メモリ32に書き込まれた表示用の画像データはD/A変換器19を介して表示部28やEVF29により表示される。表示部28とEVF29のそれぞれは、LCDや有機EL等のディスプレイであり、D/A変換器19からのアナログ信号に応じた表示を行う。A/D変換器23によってA/D変換されメモリ32に蓄積されたデジタル信号をD/A変換器19においてアナログ信号に変換し、表示部28またはEVF29に逐次転送して表示することで、ライブビュー表示(LV)が行える。以下、ライブビュー表示で表示される画像をライブビュー画像(LV画像)と称する。
【0025】
システム制御部50は、少なくとも1つのプロセッサー及び/または少なくとも1つの回路からなる制御部であり、デジタルカメラ100全体を制御する。システム制御部50は、プロセッサーであり、回路でもある。システム制御部50は、不揮発性メモリ56に記録されたプログラムを実行することで、後述する本実施形態の各処理を実現する。また、システム制御部50は、メモリ32、D/A変換器19、表示部28、EVF29等を制御することにより表示制御も行う。
【0026】
システムメモリ52は例えばRAMであり、システム制御部50は、システム制御部50の動作用の定数、変数、不揮発性メモリ56から読み出したプログラム等をシステムメモリ52に展開する。
不揮発性メモリ56は、電気的に消去・記録可能なメモリであり、例えばEEPROM等である。不揮発性メモリ56には、システム制御部50の動作用の定数、プログラム等が記録される。ここでいうプログラムとは、本実施形態にて後述する各種フローチャートを実行するためのプログラムのことである。
システムタイマー53は、各種制御に用いる時間や、内蔵された時計の時間を計測する計時部である。
【0027】
通信部54は、無線または有線ケーブルによって接続された外部機器との間で、映像信号や音声信号の送受信を行う。通信部54は無線LAN(Local Area Network)やインターネットとも接続可能である。また、通信部54は、Bluetooth(登録商標)やBluetooth Low Energyでも外部機器と通信可能である。通信部54は撮像部22で撮像した画像(LV画像を含む)や、記録媒体200に記録された画像を送信可能であり、外部機器から画像データやその他の各種情報を受信することができる。
【0028】
姿勢検知部55は、重力方向に対するデジタルカメラ100の姿勢を検知する。姿勢検知部55で検知された姿勢に基づいて、撮像部22で撮影された画像が、デジタルカメラ100を横に構えて撮影された画像であるか、縦に構えて撮影された画像であるかを判別可能である。システム制御部50は、姿勢検知部55で検知された姿勢に応じた向き情報を撮像部22で撮像された画像の画像ファイルに付加したり、画像を回転して記録したりすることが可能である。姿勢検知部55としては、加速度センサーやジャイロセンサーなどを用いることができる。姿勢検知部55である加速度センサーやジャイロセンサーを用いて、デジタルカメラ100の動き(パン、チルト、持ち上げ、静止しているか否か等)を検知することも可能である。
【0029】
接眼検知部57は、接眼ファインダー(以後、単に「ファインダー」と記載する)の接眼部16に対する目(物体)の接近(接眼)および離反(離眼)を検知する(接近検知)、接眼検知センサーである。システム制御部50は、接眼検知部57で検知された状態に応じて、表示部28とEVF29の表示(表示状態)/非表示(非表示状態)を切り替える。より具体的には、少なくとも撮影待機状態で、かつ、表示先の切替設定が自動切替である場合において、非接眼中は表示先を表示部28として表示をオンとし、EVF29は非表示とする。また、接眼中は表示先をEVF29として表示をオンとし、表示部28は非表示とする。接眼検知部57としては、例えば赤外線近接センサーを用いることができ、EVF29を内蔵するファインダーの接眼部16への何らかの物体の接近を検知することができる。物体が接近した場合は、接眼検知部57の投光部(図示せず)から投光した赤外線が物体で反射して赤外線近接センサーの受光部(図示せず)で受光される。受光された赤外線の量によって、物体が接眼部16からどの距離まで近づいているか(接眼距離)も判別することができる。このように、接眼検知部57は、接眼部16への物体の近接距離を検知する接眼検知を行う。非接眼状態(非接近状態)から、接眼部16に対して所定距離以内に近づく物体が検出された場合に、接眼されたと検出するものとする。接眼状態(接近状態)から、接近を検知していた物体が所定距離以上離れた場合に、離眼されたと検出するものとする。接眼を検出する閾値と、離眼を検出する閾値は例えばヒステリシスを設けるなどして異なっていてもよい。また、接眼を検出した後は、離眼を検出するまでは接眼状態であるものとする。離眼を検出した後は、接眼を検出するまでは非接眼状態であるものとする。なお、赤外線近接センサーは一例であって、接眼検知部57には、接眼とみなせる状態を検知できるものであれば他のセンサーを採用してもよい。
【0030】
ファインダー外表示部43には、ファインダー外表示部駆動回路44を介して、シャッター速度や絞りをはじめとするカメラの様々な設定値が表示される。
電源制御部80は、電池検出回路、DC-DCコンバータ、通電するブロックを切り替えるスイッチ回路等により構成され、電池の装着の有無、電池の種類、電池残量の検出などを行う。また、電源制御部80は、その検出結果及びシステム制御部50の指示に基づいてDC-DCコンバータを制御し、必要な電圧を必要な期間、記録媒体200を含む各部へ供給する。電源部30は、アルカリ電池やリチウム電池等の一次電池やNiCd電池やNiMH電池、Li電池等の二次電池、ACアダプター等からなる。
【0031】
記録媒体I/F18は、メモリカードやハードディスク等の記録媒体200とのインターフェースである。記録媒体200は、撮影された画像を記録するためのメモリカード等の記録媒体であり、半導体メモリや磁気ディスク等から構成される。
【0032】
操作部70は、ユーザーからの操作(ユーザー操作)を受け付ける入力部であり、システム制御部50に各種の動作指示を入力するために使用される。
図2に示すように、操作部70は、シャッターボタン61、モード切替スイッチ60、電源スイッチ72、タッチパネル70a、その他の操作部材70b、MC65等を含む。その他の操作部材70bには、メイン電子ダイヤル71、サブ電子ダイヤル73、4方向キー74、SETボタン75、動画ボタン76、AEロックボタン77、拡大ボタン78、再生ボタン79、メニューボタン81等が含まれる。
【0033】
シャッターボタン61は、第1シャッタースイッチ62と第2シャッタースイッチ64を備える。第1シャッタースイッチ62は、シャッターボタン61の操作途中、いわゆる半押し(撮影準備指示)でONとなり第1シャッタースイッチ信号SW1を発生する。システム制御部50は、第1シャッタースイッチ信号SW1により、AF(オートフォーカス)処理、AE(自動露出)処理、AWB(オートホワイトバランス)処理、EF(フラッシュプリ発光)処理等の撮影準備動作を開始する。
【0034】
第2シャッタースイッチ64は、シャッターボタン61の操作完了、いわゆる全押し(撮影指示)でONとなり、第2シャッタースイッチ信号SW2を発生する。システム制御部50は、第2シャッタースイッチ信号SW2により、撮像部22からの信号読み出しから、撮像された画像を画像ファイルとして記録媒体200に書き込むまでの、一連の撮影処理の動作を開始する。
【0035】
モード切替スイッチ60は、システム制御部50の動作モードを静止画撮影モード、動画撮影モード、再生モード等のいずれかに切り替える。静止画撮影モードに含まれるモードとして、オート撮影モード、オートシーン判別モード、マニュアルモード、絞り優先モード(Avモード)、シャッター速度優先モード(Tvモード)、プログラムAEモード(Pモード)がある。また、撮影シーン別の撮影設定となる各種シーンモード、カスタムモード等がある。モード切替スイッチ60より、ユーザーは、これらのモードのいずれかに直接切り替えることができる。あるいは、モード切替スイッチ60で撮影モードの一覧画面に一旦切り替えた後に、表示された複数のモードのいずれかに、他の操作部材を用いて選択的に切り替えるようにしてもよい。同様に、動画撮影モードにも複数のモードが含まれていてもよい。
【0036】
タッチパネル70aは、表示部28の表示面(タッチパネル70aの操作面)への各種タッチ操作を検出するタッチセンサーである。タッチパネル70aと表示部28とは一体的に構成することができる。例えば、タッチパネル70aは、光の透過率が表示部28の表示を妨げないように構成され、表示部28の表示面の上層に取り付けられる。そして、タッチパネル70aにおける入力座標と、表示部28の表示面上の表示座標とを対応付ける。これにより、あたかもユーザーが表示部28上に表示された画面を直接的に操作可能であるかのようなGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)を提供できる。
【0037】
システム制御部50は、タッチパネル70aへの以下の操作、あるいは状態を検出できる。
・タッチパネル70aにタッチしていなかった指やペンが新たにタッチパネル70aにタッチしたこと、すなわちタッチの開始(以下、タッチダウン(Touch-Down)と称する)。
・タッチパネル70aを指やペンでタッチしている状態(以下、タッチオン(Touch-On)と称する)。
・指やペンがタッチパネル70aをタッチしたまま移動していること(以下、タッチムーブ(Touch-Move)と称する)。
・タッチパネル70aへタッチしていた指やペンがタッチパネル70aから離れた(リリースされた)こと、すなわちタッチの終了(以下、タッチアップ(Touch-Up)と称する)。
・タッチパネル70aに何もタッチしていない状態(以下、タッチオフ(Touch-Off)と称する)。
【0038】
タッチダウンが検出されると、同時にタッチオンも検出される。タッチダウンの後、タッチアップが検出されない限りは、通常はタッチオンが検出され続ける。タッチムーブが検出された場合も、同時にタッチオンが検出される。タッチオンが検出されていても、タッチ位置が移動していなければタッチムーブは検出されない。タッチしていた全ての指やペンがタッチアップしたことが検出された後は、タッチオフとなる。
【0039】
これらの操作・状態や、タッチパネル70a上に指やペンがタッチしている位置座標は内部バスを通じてシステム制御部50に通知される。そして、システム制御部50は通知された情報に基づいてタッチパネル70a上にどのような操作(タッチ操作)が行われたかを判定する。タッチムーブについてはタッチパネル70a上で移動する指やペンの移動方向についても、位置座標の変化に基づいて、タッチパネル70a上の垂直成分・水平成分毎に判定できる。所定距離以上をタッチムーブしたことが検出された場合はスライド操作が行われたと判定するものとする。タッチパネル70a上に指をタッチしたままある程度の距離だけ素早く動かして、そのまま離すといった操作をフリックと呼ぶ。フリックは、言い換えればタッチパネル70a上を指ではじくように素早くなぞる操作である。所定距離以上を、所定速度以上でタッチムーブしたことが検出され、そのままタッチアップが検出されるとフリックが行われたと判定できる(スライド操作に続いてフリックがあったものと判定できる)。更に、複数箇所(例えば2点)を共にタッチして(マルチタッチして)、互いのタッチ位置を近づけるタッチ操作をピンチイン、互いのタッチ位置を遠ざけるタッチ操作をピンチアウトと称する。ピンチアウトとピンチインを総称してピンチ操作(あるいは単にピンチ)と称する。タッチパネル70aは、抵抗膜方式や静電容量方式、表面弾性波方式、赤外線方式、電磁誘導方式、画像認識方式、光センサー方式等、様々な方式のタッチパネルのうちいずれの方式のものであってもよい。タッチパネルに対する接触があったことでタッチがあったと検出する方式や、タッチパネルに対する指やペンの接近があったことでタッチがあったと検出する方式があるが、いずれの方式でもよい。
【0040】
視線検出ブロック160は、接眼部16に接眼したユーザーがEVF29を見ているか、見ている場合、どの位置を見ているかという視線を検知するためのブロックである。視線検出ブロック160には、ダイクロイックミラー162、結像レンズ163、視線検知センサー164、赤外発光ダイオード166、視線検出回路165が含まれる。
【0041】
赤外発光ダイオード166は発光素子であり、接眼部16に接眼したユーザーの眼球(目)161に赤外光を照射する。赤外発光ダイオード166から発した赤外光は眼球(目)161で反射し、その赤外反射光はダイクロイックミラー162に到達する。ダイクロイックミラー162は赤外光だけを反射して可視光を透過させる。光路を変更された赤外反射光は、結像レンズ163を介して視線検知センサー164の撮像面に結像する。結像レンズ163は視線検知光学系を構成する光学部材である。視線検知センサー164は、CCD型イメージセンサ等の撮像デバイスから成る。視線検知センサー164は、入射された赤外反射光を電気信号に光電変換して視線検出回路165へ出力する。視線検出回路165は少なくとも1つのプロセッサーを含み、視線検知センサー164の出力信号に基づき、ユーザーの眼球(目)161の画像または動きからユーザーの視線位置を検出し、検出情報をシステム制御部50に出力する。
【0042】
本実施形態では、視線検出ブロック160を用いて、角膜反射法と呼ばれる方式で視線を検出する。角膜反射法とは、赤外発光ダイオード166から発した赤外光が眼球(目)161の特に角膜で反射した反射光と、眼球(目)161の瞳孔との位置関係から、視線の向き・位置を検出する方式である。この他にも黒目と白目での光の反射率が異なることを利用する強膜反射法と呼ばれる方式など、様々な視線の向き・位置を検出する方式がある。なお、視線の向き・位置を検出できる方式であれば、上記以外の視線検出手段の方式を用いてもよい。なお、本実施形態では接眼検知部57の投光部および受光部は前述の赤外発光ダイオード166および視線検知センサー164とは別体のデバイスであるものとして説明した。しかしこれに限るものではなく、接眼検知部57の投光部を赤外発光ダイオード166で兼ね、受光部を視線検知センサー164で兼ねてもよい。
【0043】
システム制御部50は、視線検出ブロック160からのユーザーの視線に係る情報に基づいて以下の操作、あるいは状態を検知できる。
・接眼部16に接眼したユーザーの視線が新たに入力(検出)されたこと。すなわち、視線入力の開始。
・接眼部16に接眼したユーザーの視線入力がある状態であること。
・接眼部16に接眼したユーザーが注視している状態であること。
・接眼部16に接眼したユーザーが入力していた視線を外したこと。すなわち、視線入力の終了。
・接眼部16に接眼したユーザーが何も視線入力していない状態。
【0044】
ここで述べた注視とは、ある程度の時間にわたってユーザーがほぼ同じ位置を見続けたことを意味している。注視しているか否かの判定としては例えば、ユーザーの視線位置が所定時間(例えば0.5秒程度)にわたって所定の移動量を超えなかった場合に注視されたと判定する。なお、所定時間はユーザーによって設定できる時間でもよいし、あらかじめ固定して決められた時間でもよいし、直前の視線位置と現在の視線位置との距離関係で変化するようにしてもよい。例えば、システム制御部50は、視線検出回路165から受け取った検出情報に基づいて、ユーザーの視線がほぼ同じ位置で検出されている状態(視線移動無し状態)の継続期間が所定時間(閾値期間)を越えた場合に、ユーザーが注視していると判定する。また、システム制御部50は、例えば、最新の検出タイミングを含む短期間(≦前述の閾値期間)における視線の検出位置の平均位置が所定範囲内に収まり、かつ、ばらつき(分散)が所定値よりも少ない場合に、視線移動無し状態であると判定する。
【0045】
図3は、本実施形態によるデジタルカメラ100の撮影モードでの処理手順の一例を示すフローチャートである。なお、
図3に示す各処理は、システム制御部50が不揮発性メモリ56または記録媒体200に記録されたプログラムをシステムメモリ52に展開して、システム制御部50が実行することによって実現される。
電源スイッチ72が操作され、電源がオンに切り替わると、システム制御部50は本撮影モード処理を開始する。
【0046】
S301において、システム制御部50は、フラグや制御変数等を初期化する。
S302において、システム制御部50は、表示部28において、ライブビュー表示させる。
S303において、システム制御部50は、表示部28において、カメラ設定値に基づいて、カメラ設定値を示す情報アイコンをライブビューに重畳して表示させる。
図4(a)は、撮影モードの画像全体のライブビューの画面例を示す図である。
図4(a)に示すように、ライブビュー401に重畳して、被写体402と一点AF枠403とが表示されている。
【0047】
S304において、システム制御部50は、操作部70のメニューボタン81などの各種設定値の変更に必要な操作がなされたか否かを判断する。操作がなされた場合はS305へ進み、そうでなければS306へ進む。
【0048】
S305において、システム制御部50は、S305での操作に基づいて、各種設定値を変更する。例えば、MC65などの各種操作部材の有効/無効を切り替える設定、それらの操作部材への機能割り当て設定、それらの操作部材の敏感度を変更する設定、視線検出ブロック160の有効/無効を切り替える設定が挙げられる。また、それ以外には、後述のAF方式を切り替える設定、AFの動作をワンショット/サーボ/マニュアルフォーカスのいずれかに切り替える設定などが挙げられる。本実施形態においては、視線検出ブロック160を有効とする設定、つまり、接眼を検知した場合に視線入力機能を有効にし、接眼を検知しなかった場合に視線入力機能を無効にする設定となっていることを前提として説明する。
【0049】
操作部材の敏感度は、例えば、敏感、標準、鈍感の3段階で設定可能である。MC65の敏感度の場合は、主に8方向操作に対する敏感度設定を行うことになる。なお、MC65の敏感度は、等倍でライブビュー表示されている場合と、拡大表示されている場合とでそれぞれ異なる設定とすることもできる。
【0050】
また、AF方式とは、AF枠の領域設定や位置指定方法を切り替える設定値である。AF枠の領域の大きさを設定する際には、ある程度広い範囲のAF枠(ゾーンAF)とすることも可能である。本実施形態では、さらに一点AFと全域AFとを切り替え可能であるとする。一点AFは、ユーザーが指定した位置に固定してAF枠を設定するモードである。また、全域AFは、ライブビュー全体に含まれる被写体をシステム制御部50が検出し、その被写体に対してAF枠を設定するモードである。
【0051】
MC65の中央押し操作へ割り当て可能な機能には、AF枠を画面中央に戻す機能、ユーザーが予め登録した特定の位置(ホームポジション)へ移動させる機能が挙げられる。それ以外の割り当て可能な機能としては、ライブビューの拡大倍率を変更する機能、そして前記視線の検出結果位置にAF枠を移動させる機能、などが挙げられる。本実施形態においては、MC65の中央押し操作で、接眼されていない場合など視線入力機能が無効なときには画面中央に戻す機能を割り当て、視線入力機能が有効な場合には視線の検出結果位置へ移動させる機能を割り当てるものとして説明する。
【0052】
S306において、システム制御部50は、拡大モードがONの状態で操作部70のメイン電子ダイヤル71を用いてライブビュー倍率の変更操作がなされたか否かを判断する。操作がなされた場合は、S307へ進み、そうでなければ、S308へ進む。
【0053】
S307において、システム制御部50は、S306で検出された変更操作に基づいて、表示部28において、ライブビュー表示の倍率を変更して表示させる。ここでユーザーは、撮影シーンに応じて適宜ライブビューの倍率を、等倍と拡大倍率との間で切り替えることができる。
図4(d)は、撮影モードの拡大ライブビューの画面例を示す図である。
図4(d)に示すように、拡大ライブビュー411に重畳して、拡大位置を示す拡大インジケータ412と、画面の中心位置を示す中心AF枠413とが表示される。
【0054】
S308において、システム制御部50は、MC65に対し、中央押し操作がなされたか否かを判断する。操作がなされた場合は、S309へ進み、そうでなければ、S323へ進む。
S309において、システム制御部50は、ライブビュー表示が拡大中か否かを判断する。拡大中の場合はS313へ進み、そうでなければS310へ進む。
【0055】
S310において、システム制御部50は、接眼検知部57により接眼が検知されており、かつ、視線入力機能が有効か否かを判断する。接眼が検知されており、かつ、視線入力機能が有効の場合はS312へ進み、そうでない場合(視線入力機能が無効に設定されている場合、あるいは、視線入力機能が有効に設定されているが接眼を検知していない場合)はS311へ進む。視線入力機能を有効とするか無効とするかは、予め設定メニューなどから設定しておくことができるものとする。
S311において、システム制御部50は、表示部28またはEVF29においてAF枠を中央に移動させて表示させる。
図4(b)は、撮影モードのライブビューの画面例を示す図であり、基本的には
図4(a)に示す例と同じであるが、一点AF枠403が画面中央へ移動した状態である。なお、中央ではなく予め登録された位置(ホームポジション)へ移動させるようにしてもよい。
【0056】
S312において、システム制御部50は、EVF29において、AF枠を視線検出位置に移動させて表示させる。
図4(g)は、撮影モードの視線入力が有効な状態でのライブビューの画面例を示す図である。
図4(g)に示すように、被写体422a~422cを含むライブビュー421が表示されており、それに重畳して、AF枠423と、視線検出位置を示す視線ポインタ424とがEVF29に表示されている。この状態でS308においてMC65の中央押し操作が検出されると、
図4(h)に示すように、視線ポインタ424があった位置にAF枠423が移動して表示される。
【0057】
一方、S313において、システム制御部50は、S310と同様に、接眼検知部57により接眼が検知されており、かつ、視線入力機能が有効か否かを判断する。接眼が検知されており、かつ、視線入力機能が有効の場合はS315へ進み、そうでなければS314へ進む。
S314において、システム制御部50は、表示部28またはEVF29において、拡大位置を中央に移動させて表示させる。なお、中央ではなく予め登録された位置(ホームポジション)へ拡大位置を移動させるようにしてもよい。また、このとき拡大位置に連動してAF枠を移動させてもよく、連動するか否かを、ユーザーが切り替える設定を設けてもよい。
図4(e)には、
図4(d)に示す表示状態から、拡大位置が中央へ移動された状態を示している。
【0058】
S315において、システム制御部50は、EVF29において、拡大位置を視線検出位置に基づいた位置に移動させる。例えば、視線検出位置を中心にライブビュー表示を拡大するように変更する。このとき、同様に、拡大位置に連動するようにAF枠も移動させてもよい。
【0059】
S316において、システム制御部50は、MC65に対し、中央押し操作がなされた状態で、8方向操作がなされたか否かを判断する。操作がなされた場合は、S317へ進み、そうでなければ、S323へ進む。
S317において、システム制御部50は、ライブビュー表示が拡大中か否かを判断する。拡大中の場合はS318へ進み、そうでなければS320へ進む。
【0060】
S318において、システム制御部50は、S310と同様に、接眼検知部57により接眼が検知されており、かつ、視線入力機能が有効か否かを判断する。接眼が検知されており、かつ、視線入力機能が有効の場合はS319へ進み、そうでなければS321へ進んでMC65の8方向操作に応じた機能実行はしない。つまり、視線入力機能が無効である場合は、MC65の中央押し操作の継続中は8方向操作が無効になる。なお、S318、S319の処理を無くし、S317でNoと判定した場合はS321に進むようにしてもよい。すなわち、視線入力機能の有効無効にかかわらず、MC65の中央押し操作の継続中は8方向操作を無効とするようにしても良い。
S319において、システム制御部50は、EVF29において、S316で検出された8方向操作の方向に基づいてAF枠を移動させて表示させる。
図4(i)には、
図4(h)に示すAF枠423の位置から、S316で検出された8方向操作の方向に基づいて、AF枠423を被写体422cの選択位置へ移動させている例を示している。
【0061】
S320において、システム制御部50は、S316の操作に基づいて、表示部28またはEVF29において、拡大位置を移動させて表示させる。
図4(f)は、
図4(e)に示した状態から、S316で検出された8方向操作の方向に基づいて、拡大位置を右方向へずらしている例を示している。なお、
図4(f)に示した例では、AF枠は中央の位置のまま拡大位置が右方向へずれているが、拡大位置に連動するようにAF枠も右方向へずれるようにしてもよい。
【0062】
S321において、システム制御部50は、MC65に対し、8方向操作が解除されたか否かを判断する。解除された場合はS322へ進み、そうでなければS317へ進む。
S322において、システム制御部50は、MC65に対し、中央押し操作が解除されたか否かを判断する。解除された場合はS323へ進み、そうでなければS316へ進む。
【0063】
S323において、システム制御部50は、MC65に対し、中央押し操作がなされていない状態で、8方向操作がなされたか否かを判断する。操作がなされた場合は、S324へ進み、そうでなければ、S328へ進む。
S324において、システム制御部50は、ライブビュー表示が拡大中か否かを判断する。拡大中の場合はS326へ進み、そうでなければS325へ進む。
【0064】
S325において、システム制御部50は、表示部28またはEVF29において、S323で検出された8方向操作の方向に基づいてAF枠を移動させて表示させる。
図4(c)は、撮影モードのライブビューの画面例を示す図であり、
図4(a)または
図4(b)に示した状態から、一点AF枠403がS323検出された8方向操作の方向に基づいて移動した状態であることを示している。
【0065】
S326において、システム制御部50は、表示部28またはEVF29において、S323で検出された8方向操作の方向に基づいて拡大位置を移動させて表示させる。
S327において、システム制御部50は、MC65に対し、8方向操作が解除されたか否かを判断する。解除された場合はS328へ進み、そうでなければS324へ進む。
【0066】
S328において、システム制御部50は、操作部70に対し、その他の操作がなされたか否かを判断する。なされた場合はS329へ進み、そうでなければS330へ進む。その他の操作とは、撮影操作や、シャッタースピードや絞り値などの撮影パラメータの変更操作などである。
S329において、システム制御部50は、その他の処理を行う。その他の処理とは、撮影や、シャッタースピードや絞り値などの撮影パラメータの変更などである。
【0067】
S330において、システム制御部50は、操作部70に対し、終了操作がなされたか否かを判断する。ここで終了操作とは、電源スイッチ72が押下される操作や、再生ボタン79が押下される操作などである。終了操作がなされた場合は処理を終了し、そうでなければS304へ進む。
【0068】
以上のように本実施形態によれば、視線入力機能が無効である場合、表示部28またはEVF29において、等倍でライブビュー表示され、MC65に対して中央押しした状態で8方向操作がなされた場合には、8方向操作を無効にするようにした。これにより、例えばAF枠が誤って中央位置からずれてしまうような不都合を防止することができる。一方で、拡大表示されているような場合には、視線入力機能が無効である場合にも、MC65に対して中央押しした状態で8方向操作がなされた場合には、8方向操作を有効にするようにした。このように拡大表示されている場合には、8方向操作によって拡大位置を微調整することができる。なお、上述した通り、視線入力機能の有効/無効にかかわらず、拡大せずにLV表示している場合にはMC65の中央押し継続中の8方向操作を無効とし、拡大してLV表示している場合にはMC65の中央押し継続中の8方向操作を有効とするようにしてもよい。
【0069】
また、視線入力機能が有効である場合、MC65に対して中央押しした状態で8方向操作がなされた場合であっても、8方向操作を有効にするようにした(S319)。視線入力機能が有効である場合では、中央押しで視線に応じた位置にAF枠を移動した後に、8方向操作でAF枠の位置の微調整を行う必要性が高いことから、8方向操作による誤操作の低減よりも微調整の操作性を優先している。これによって視線に基づいて大雑把に決めたAF枠の位置を8方向操作で簡単に微調整でき、利便性を確保することができる。
【0070】
なお、
図3に示した例では、MC65により一点AF枠を移動させたが、全域AFに対して適用させても良い。
図4(j)~
図4(l)は、全域AFに適用させた場合の画面例を示す図であり、
図4(j)は、全域AFにおける撮影モードのライブビューの画面例を示す図である。
【0071】
図4(j)に示すように、被写体422a~422cを含むライブビュー421がEVF29に表示されており、それに重畳して、検出AF枠425と、視線検出位置を示す視線ポインタ424が表示されている。S308において、MC65の中央押し操作がなされたと判断した場合には、S312において、
図4(k)に示すように、視線ポインタ424があった位置に最も近い被写体422bを選択した状態でEVF29に表示させる。
【0072】
また、
図4(k)において、選択された被写体422bには、追尾AF枠426と、MC65の左右方向操作によって選択する被写体の切り替え操作が可能であることを示す左右矢印427とが表示される。この状態から、S316でMC65の8方向操作がなされたと判断した場合は、S319において、
図4(l)に示すように、別の被写体422cを選択した状態でEVF29に表示させる。このように、視線検出位置にAF枠を移動させた後、継続してMC65の8方向操作を有効とすることで、仮に意図しない被写体を選択してしまっても、すぐに微調整が可能となる。
【0073】
なお、MC65の中央押し操作したまま8方向操作した後に中央押し操作のみの状態に戻した場合(S321/Yes→S322/Noの場合)も、S316に戻ることから、状況に応じて、8方向操作が有効または無効となる。また、視線入力機能はEVF29でのみ有効な機能であるとしているが、それに限らない。表示部28にライブビューが表示されている状態であっても、視線検出を可能な構成としてもよい。
【0074】
さらに本実施形態においては、MC65は8方向操作が可能としているが、8方向に限らずそれより操作可能な方向が多くても少なくてもよい。また、MC65は、
図1(b)に示すようなジョイスティック形状の部材に限らない。押圧を検出可能なタッチ操作部材でもよいし、押下式のボタン表面にタッチ操作を検出可能な操作部材でもよい。
【0075】
なお、
図3に示した制御に併せて、MC65の敏感度を変更してもよい。例えば、表示部28に等倍のライブビューが表示されている状態では、中央押し操作からの8方向操作を無効とする代わりに、8方向操作のみを行った場合のAF枠の移動(S325)を敏感にしてもよい。これに対して、中央押し操作からの8方向操作を有効とするライブビュー拡大状態においては、拡大位置の移動(S320)を鈍感にしてもよい。
【0076】
また、拡大表示よりも等倍のライブビュー表示の方がMC65の敏感度が鈍感に設定されている場合は、表示部28に等倍のライブビューが表示されている状態で中央押し操作からの8方向操作を有効としてもよい。つまり、S318/Noの場合に、システム制御部50は、S319と同様に、表示部28において、S316で検出された8方向操作の方向に基づいてAF枠を移動させて表示させる。その後、S321に進む。それとは反対に、拡大表示よりも等倍のライブビュー表示の方がMC65の敏感度が敏感に設定されている場合にのみ、
図3に示すように、表示部28に等倍のライブビューが表示されている状態で中央押し操作からの8方向操作を無効としてもよい。場合によっては、利便性と誤操作防止の両立が必要でない場合もあり、利便性のみを確保したい場合などでは、敏感度の設定を変更することにより利便性を確保することができる。
【0077】
また、AF動作の設定が、ワンショット、サーボ、マニュアルフォーカスの何れかの設定によって制御を変えてもよい。例えば、ワンショットの設定の場合は中央押し操作からの8方向操作を無効とするが、サーボの設定は、基本的に動いている被写体を撮影するシーンで用いられるため、操作性を重視してもよい。つまり、AF動作の設定がサーボである場合は、表示部28に等倍のライブビューが表示されている状態で中央押し操作からの8方向操作を有効としてもよい。
【0078】
また、撮影操作中に制御を変えてもよい。例えば、シャッターボタン61の状態がSW1状態(半押しの状態)の場合には、表示部28に等倍のライブビューが表示されている状態で中央押し操作からの8方向操作を有効とするなどとしてもよい。さらに、AF方式に応じて制御を変えてもよい。例えば、所定値以上の広い範囲のAF枠(ゾーンAF)を設定している場合は、厳密な中央構図が不要なシーンであることが多い。そのため、表示部28に等倍のライブビューが表示されている状態で中央押し操作からの8方向操作を有効としてもよい。これにより、誤操作よりも利便性を重視した仕様とすることができる。
【0079】
また、本実施形態においては、MC65の中央押し操作で、AF枠または拡大位置を所定の位置に移動させる機能を割り当てた。具体的には、視線入力機能が無効なときにはAF枠または拡大位置を画面中央またはホームポジションに戻す機能を割り当て、視線入力機能が有効な場合にはAF枠または拡大位置を視線の検出結果位置へ移動させる機能を割り当てた。また、MC65の8方向操作で、AF枠または拡大位置をその方向へ移動させる機能を割り当てた。一方で、メニューボタン81を操作してメニュー画面からMC65の中央押し操作及び8方向操作の機能を異なる機能に割り当てることも可能である。
図3に示した処理は、MC65の中央押し操作及び8方向操作に上述の機能が割り当てられていることが前提であるため、異なる機能を割り当てた場合には、
図3に示す制御を行わないようにする。この場合、MC65が操作された際にその異なる機能に応じた処理を行うようにする。
【0080】
(その他の実施形態)
なお、システム制御部50が行うものとして説明した上述の各種制御は1つのハードウェアが行ってもよいし、複数のハードウェア(例えば、複数のプロセッサーや回路)が処理を分担することで、装置全体の制御を行ってもよい。また、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。さらに、上述した各実施形態は本発明の一実施形態を示すものにすぎず、各実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
【0081】
また、上述した実施形態においては、本発明をデジタルカメラに適用した場合を例にして説明したが、これはこの例に限定されず、MCを搭載した装置であれば適用可能である。すなわち、本発明はパーソナルコンピュータやPDA、携帯電話端末や携帯型の画像ビューワ、ディスプレイを備えるプリンタ装置、デジタルフォトフレーム、音楽プレーヤー、ゲーム機、電子ブックリーダーなどに適用可能である。また、撮像装置本体に限らず、有線または無線通信を介して撮像装置(ネットワークカメラを含む)と通信し、撮像装置を遠隔で制御する制御装置にも本発明を適用可能である。撮像装置を遠隔で制御する装置としては、例えば、スマートフォンやタブレットPC、デスクトップPCなどの装置がある。制御装置側で行われた操作や制御装置側で行われた処理に基づいて、制御装置側から撮像装置に各種動作や設定を行わせるコマンドを通知することにより、撮像装置を遠隔から制御可能である。また、撮像装置で撮影したライブビュー画像を有線または無線通信を介して受信して制御装置側で表示できるようにしてもよい。
【0082】
本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)をネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムコードを読み出して実行する処理である。この場合、そのプログラム、及び該プログラムを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【符号の説明】
【0083】
50 システム制御部、65 MC