(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-08
(45)【発行日】2024-03-18
(54)【発明の名称】インターホン機器
(51)【国際特許分類】
H04M 1/02 20060101AFI20240311BHJP
H04M 9/00 20060101ALI20240311BHJP
【FI】
H04M1/02 G
H04M9/00 Z
(21)【出願番号】P 2020056452
(22)【出願日】2020-03-26
【審査請求日】2023-01-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000100908
【氏名又は名称】アイホン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】中尾 幸伸
(72)【発明者】
【氏名】石川 琢朗
【審査官】石井 則之
(56)【参考文献】
【文献】実開平3-101060(JP,U)
【文献】特開2009-080555(JP,A)
【文献】実開昭52-56507(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M 1/02
H04M 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非常時の操作手順を記したタグが紐を介して取り付けられているインターホン機器であって、
インターホン機器のケース内部に前記紐を係止するフックを備えると共に、前記フックの下方となる前記ケースの下部に前記紐をケース外に送出する挿通孔を有し、
前記ケースは前側に配置される前ケースと後側に配置される後ケースとに分離可能に構成されて、前記挿通孔は前記前ケースと前記後ケースとの間に形成される一方、前記前ケースは、前面の少なくとも下部がスイッチ板或いは化粧板で覆われており、
前記挿通孔の前側となる前記前ケースの下端には、前記スイッチ板或いは前記化粧板に前記紐が接触するのを防止するための阻止片が突設されていることを特徴とするインターホン機器。
【請求項2】
前記阻止片は、前記挿通孔を形成する前記前ケース側の部材であることを特徴とする請求項1記載のインターホン機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はインターホン機器に関し、特に火災発生等の非常時の操作手順を記したタグが取り付けられているインターホン機器に関する。
【背景技術】
【0002】
インターホン機器あるいはガスメータ等は、火災や災害発生等の非常時における機器の操作を記したタグが取り付けられている。
特許文献1は、このようなタグをガスメータに取り付ける構成が記載され、札(タグ)に取り付けた紐をガスメータの配管等の取付対象に巻き付ける構成、またタグと一体に形成されたベルトを取付対象に取り付ける構成が開示されている。
但し、インターホン機器の場合、タグはインターホン機器に直接取り付けられ、例えばインターホン機器の内部に設けられたフックに係止されてハウジングの下方に垂下された紐にタグを取り付けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来のインターホン機器のタグ取付形態は、紐がハウジング内部に設けたフックに係止されることで、タグを前方或いは横方向に引っ張っても紐が外れることが無く、好ましい取付形態であった。
一方で、近年のインターホン機器のデザインの改良により、押下操作するスイッチ板が大型化して拡張され、ハウジングの下部、特に紐が引き出されている部位の近傍にまで迫ったり、インターホンケースの前面に取り付けられる化粧板の端部が紐に迫る場合が発生している。
【0005】
そのため、紐とスイッチ板等の部材とが接触する新たな問題が発生した。具体的に、ケースから紐によりぶら下がっているタグを見ようとして、タグが前方に引き出されると紐が手前に引っ張られるため、このときスイッチ板の下端或いは化粧板の下端に紐が接触する場合があった。その場合、スイッチ板或いは化粧板が接触した紐により前方に付勢されて、ケースから外れてしまう問題が発生した。
【0006】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑み、紐が前方に引っ張られても、スイッチ板或いは化粧板に接触して外れることの無いインターホン機器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する為に、請求項1の発明は、非常時の操作手順を記したタグが紐を介して取り付けられているインターホン機器であって、インターホン機器のケース内部に紐を係止するフックを備えると共に、フックの下方となるケースの下部に紐をケース外に送出する挿通孔を有し、ケースは前側に配置される前ケースと後側に配置される後ケースとに分離可能に構成されて、挿通孔は前ケースと後ケースとの間に形成される一方、前ケースは、前面の少なくとも下部がスイッチ板或いは化粧板で覆われており、挿通孔の前側となる前ケースの下端には、スイッチ板或いは化粧板に紐が接触するのを防止するための阻止片が突設されていることを特徴とする。
この構成によれば、紐が送出される挿通孔の前側にスイッチ板或いは化粧板が配置されて、ケースから送出された紐が接触し易い構成であっても、前ケースに設けられた阻止片により紐の接触を防止できる。よって、紐が接触することでスイッチ板や化粧板がケースから外れるようなことが無い。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載の構成において、阻止片は、挿通孔を形成する前ケース側の部材であることを特徴とする。
この構成によれば、阻止片は挿通孔の一部を成す部材であるため、独立して形成する必要が無く、前ケースの形状を大きく変更する必要が無い。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、紐が送出される挿通孔の前側にスイッチ板或いは化粧板が配置されて、ケースから送出された紐が接触し易い構成であっても、前ケースに設けられた阻止片により紐の接触を防止できる。よって、紐が接触することでスイッチ板や化粧板がケースから外れるようなことが無い。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明に係るインターホン機器の一例を示す正面図である。
【
図2】
図1のインターホン機器の一部のスイッチ板を外した正面図である。
【
図3】(a)はインターホン機器の底面図、(b)はA1部の拡大図である。
【
図4】斜め前方から見たケースの分解斜視図である。
【
図5】斜め後方から見たケースの分解斜視図である。
【
図6】(a)はA2部の拡大図、(b)はA3部の拡大図である。
【
図7】(a)はA4部の拡大図,(b)はA5部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
図1~3はインターホン機器の1つである居室親機を示し、
図1は正面図、
図2は一部のスイッチ板を外した正面図、
図3は底面図である。尚、
図3(a)はインターホン機器全体の底面図、
図3(b)はA1部の拡大図である。
【0012】
居室親機1は、図示しない玄関子機からの呼び出しに応答するために室内の壁面に設置されるインターホン機器であり、玄関子機のカメラが撮像した来訪者の映像を表示するモニタ3がケース2の前面中央に配置されている。また、前面下部には3枚のスイッチ板4(4a,4b,4c)が左右方向に連設されている。但し、
図2は右隅のスイッチ板4cを取り外した状態を示している。
尚、3枚のスイッチ板4のうち、例えば左のスイッチ板4aは玄関子機のカメラを起動するモニタボタン、中央のスイッチ板4bは呼び出しを受けて応答操作する通話ボタン、右側のスイッチ板4cは、通話を終了する終了ボタン等である。
【0013】
そして、6は先端にタグ(図示せず)が取り付けられている紐である。
図3に示すように、紐6を挿通する挿通孔25はケース2の下面に左右2ヶ所設けられている。但し、ここでは紐6は一方の右側の挿通孔25から引き出されている。
【0014】
図4,5はケース2の分解図であり、
図4は前方斜め下から見た図、
図5は後方斜め下から見た図である。ケース2は、前面を構成する前ケース2a、背部を構成する後ケース2bとで形成されている。尚、説明の都合上、何れも右側のスイッチ板4cを分離して示している。
そして、
図6はA2,A3部の拡大図、
図7はA4,A5部の拡大図であり、
図6(a)に示すように、後ケース2bの内側には紐6を係止するフック22が設けられ、その下部にはフック22に係止した紐6を外部に送出する挿通孔25を形成するための切り欠き25aが形成されている。
【0015】
具体的に、フック22は後ケース2bの肉厚に形成された枠部21から上方に向けて起立形成され、フック22の背部には係止した紐6の抜け防止のための係止爪22aを備えている。また、
図7(a)に示すように、後ケース2bのフック22を設けた部位の背面は、操作窓24が開口形成され、フック22への紐6の係止操作を容易に実施できるよう構成されている。そして、切り欠き25aは下部の枠部21を切り欠いて形成されている。
【0016】
一方、切り欠き25aに対峙する前ケース2aの枠部31には、阻止片32が突設されている。阻止片32は、
図6(b)、
図7(b)に示すように前ケース2aの肉厚に形成された枠部31から下方に突出形成され、切り欠き25aの開口幅に合致する幅を有している。この阻止片32は、前ケース2aと後ケース2bとを合わせて一体化した際に、切り欠き25aの開放された前方を閉塞して、切り欠き25aとの間に挿通孔25が形成されるよう構成されている。即ち、阻止片32は挿通孔25の一部を成すよう形成されている。
【0017】
図8は、
図3(a)のB-B線断面図であり、フック22の中央を縦に切断した縦断面図を示している。
図8に示すように、切り欠き25aの前方が阻止片32で閉塞されることで挿通孔25が形成される。そして、挿通孔25から外部に引き出された紐6が、前方に引っ張られても阻止片32に当接するため、その前方に配置されているスイッチ板4cに接触することがない。
特に
図8に示すように、スイッチ板4cが拡張されてケース2の下部側面に回り込む折り曲げ部41を備えていても、下方に突出した阻止片32により、前方に引っ張られた紐6がスイッチ板4cに接触するのが阻止される。
【0018】
このように、紐6が送出される挿通孔25の前側にスイッチ板4cが配置されて、ケース2の内部から送出された紐6が接触し易い構成であっても、阻止片32により紐6の接触を防止できる。よって、紐6が接触することでスイッチ板4cがケース2から外れるのを防止できる。
また、阻止片32は挿通孔25の一部を構成するため、独立して形成する必要が無く、前ケース2aの形状を大きく変更する必要が無い。
【0019】
尚、上記実施形態は、玄関子機と通信する居室親機1の構成について説明したが、本発明の構成は壁面に固定して使用するインターホン機器に対して好適である。
また、スイッチ板4と紐6との関係を説明したが、スイッチ板4では無くケース2の前面に化粧板が取り付けられた場合も同様であり、阻止片32は紐6の化粧板への接触防止に良好に作用する。
【符号の説明】
【0020】
1・・居室親機(インターホン機器)、2・・ケース、2a・・前ケース、2b・・裏ケース、4(4a,4b,4c)・・スイッチ板、6・・紐、22・・フック、25・・挿通孔、32・・阻止片。