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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-08
(45)【発行日】2024-03-18
(54)【発明の名称】管理装置および交通誘導システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/09 20060101AFI20240311BHJP
【FI】
G08G1/09 Q
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020063045
(22)【出願日】2020-03-31
(65)【公開番号】P2021163100
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2022-12-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000202361
【氏名又は名称】綜合警備保障株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 沢樹
(72)【発明者】
【氏名】大谷 洋介
【審査官】田中 将一
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-124086(JP,A)
【文献】特開2011-123633(JP,A)
【文献】特開2019-156192(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交互通行区間を通行する車両の状態を検知し、検知結果を用いて前記交互通行区間の出入口に設けられた信号機を制御する管理装置において、
前記信号機がすべて赤信号であるとき、次に青信号になる出入口から車両進入があった場合、前記交互通行区間における安全を保つことを条件として、異常と判断しない、
ことを特徴とする管理装置。
【請求項2】
前記管理装置は、前記交互通行区間に車両が無いことを条件として、異常と判断しない、
ことを特徴とする請求項1に記載の管理装置。
【請求項3】
前記管理装置は、前記信号機が全て進入禁止状態であることを条件として、異常と判断しない、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の管理装置。
【請求項4】
交互通行区間における車両の通行を制御する交通誘導システムであって、
前記交互通行区間の出入口に設けられる複数の信号機と、
前記交互通行区間を通行する車両の状態を検知し、検知結果を用いて前記交互通行区間に設けられた前記複数の信号機を制御する管理装置と、
を備え、
前記管理装置は、前記信号機がすべて赤信号であるとき、次に青信号になる出入口から車両進入があった場合、前記交互通行区間における安全を保つことを条件として、異常と判断しない、
ことを特徴とする交通誘導システム。
【請求項5】
前記管理装置は、前記交互通行区間に車両が無いことを条件として、異常と判断しない、
ことを特徴とする請求項4に記載の交通誘導システム。
【請求項6】
前記管理装置は、前記信号機が全て進入禁止状態であることを条件として、異常と判断しない、
ことを特徴とする請求項4または5に記載の交通誘導システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管理装置および交通誘導システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の相互通行が不可能な道路では、双方向に向かう車両を交互に通行させる交互通行が行われている。かかる交互通行は、元々の幅員が不足している場合に限らず、工事などにより一時的に幅員が減少している場合にも用いられる。
【0003】
交互通行が行われる交互通行区間の両端に人員を配置して車両の通行を制御することとすると、必要な人員の数が多くなる。そこで、交互通行区間における車両の通行を制御するシステムが利用されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、交互通行区間の出入口近傍に信号機と車両感知器とを設置し、車両感知器からの感知信号に基づいて信号機を制御する車両運行管理システムが開示されている。
【0005】
また、交互通行における各出入口の進行・停止誘導の切替えについては、時間経過を用いて行うものが知られている。この場合、車両感知器を用いて車両通過状況を検知することにより、車両の通過が少ない出入口の青信号時間を減らす、もしくは出入口の通過が多い出入口の青信号時間を増やすような制御を行うことも知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2015-184790号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、従来の技術によれば、信号機が赤信号である出入口から車両が交互通行区間に進入した場合、信号機が青信号の出入口から進入した車両と衝突する可能性があるため、異常と判断して全ての出入口の誘導を停止するようにしている。
【0008】
特に、工事区間が見渡せる場所の場合、赤信号で停車中の車両は、他の出入口の青信号点滅または工事区間内に車両がいないことを見て、自出入口の青信号を予測し、赤信号であるにもかかわらず工事区間内に進入することがある。
【0009】
しかしながら、上述のような停止車両の先読みによって赤信号を無視する行為が行われる度に異常と判断して全ての出入口の誘導を停止した場合、人により交互通行区間内の安全を確認した後、システムの再開操作を行わなければならない、という問題がある。
【0010】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、停止車両に先読みにより赤信号を無視されても、安全を保ちつつ無駄な異常検出を防止し、システムの再開操作を不要とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、交互通行区間を通行する車両の状態を検知し、検知結果を用いて前記交互通行区間の出入口近傍に設けられた信号機を制御する管理装置において、前記信号機がすべて赤信号であるとき、次に青信号になる出入口から車両進入があった場合、前記交互通行区間における安全を保つことを条件として、異常と判断しない、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、停止車両に先読みにより赤信号無視されても、安全を保ちつつ無駄な異常検出を防止し、システムの再開操作を不要とすることができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、実施の形態にかかる交通誘導システムの概念を説明するための説明図である。
図2図2は、交互通行区間の出入口近傍に設置する装置の一例を説明する説明図である。
図3図3は、交通誘導システムのシステム構成を説明する説明図である。
図4図4は、停車検知装置の機能構成を示す機能ブロック図である。
図5図5は、通過管理装置の外観構成を示す図である。
図6図6は、通過管理装置の機能構成を示す機能ブロック図である。
図7図7は、管理装置の機能構成を示す機能ブロック図である。
図8図8は、検知制御モードにおける管理装置の処理手順を示すフローチャートである。
図9図9は、時間制御モードにおける管理装置の処理手順を示すフローチャートである。
図10図10は、待機処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に添付図面を参照して、管理装置および交通誘導システムの実施の形態を詳細に説明する。
【0015】
まず、本実施形態に係る交通誘導システムの概念について説明する。ここで、図1は実施の形態にかかる交通誘導システムの概念を説明するための説明図である。図1では、片側1車線の2車線道からなる道路において、図示した工事作業エリアで道路工事を行っており、この道路工事によって1車線が使用不能となっている。そこで、残りの1車線を用いて交互通行区間を設けている。図1においては、交互通行区間を網掛で示している。
【0016】
交通誘導システムは、信号機25Aと、通過車両検知センサ22Aと、信号機25Bと、通過車両検知センサ22Bと、管理装置40と、を備える。
【0017】
交通誘導システムは、交互通行区間における車両の通行を制御するため、交互通行区間の一方の出入口近傍には信号機25Aと通過車両検知センサ22Aとを設置し、他方の出入口近傍には信号機25Bと通過車両検知センサ22Bとを設置する。
【0018】
通過車両検知センサ22A及び通過車両検知センサ22Bは、交互通行区間に出入りする車両を検知する。なお、車両が交互通行区間に入ることを進入、交互通行区間から出ることを退出という。また、通過車両検知センサ22A及び通過車両検知センサ22Bは、車両の進行方向を検知する。
【0019】
図1に示した交通誘導システムは、通過車両検知センサ22A及び通過車両検知センサ22Bにより交互通行区間へ進入または退出する車両を検知して、信号機25A及び25Bを制御する。
【0020】
図1では、車両V1が交互通行区間に進入したことを通過車両検知センサ22Aにより検知し、管理装置40に車両V1の進入を送信した後、車両V1が交互通行区間から退出したことを通過車両検知センサ22Bにより検知し、管理装置40に車両V1の退出を送信している。
【0021】
管理装置40は、例えば予め決められた時間毎に信号機25Aおよび信号機25Bの点灯表示を進入禁止状態と進入許可状態とに切り替える点灯制御を行う。また、管理装置40は、通過車両検知センサ22Aより車両V1が交互通行区間に進入したことを検出した場合、交互通行区間内に車両V1が存在するため、他の信号機を青信号に切り替えず、通過車両検知センサ22Bにより車両V1が交互通行区間を退出したことを検出し、交互通行区間内に車両が残っていないことを確認した場合に青信号に切り替える。
【0022】
このように、本実施形態に係る交通誘導システムは、交互通行区間を通行する車両の状態を検知し、検知結果を用いて交互通行区間に設けられた信号機を制御する。かかる構成及び制御により、円滑で効率的な交通誘導を行うことができる。
【0023】
次に、交通誘導システムの構成について詳述する。
【0024】
まず、交通誘導システムにおいて、交互通行区間の出入口近傍に設置する装置について説明する。図2は、交互通行区間の出入口近傍に設置する装置の一例を説明する説明図である。図2では、車両V3の荷台に通過管理装置20Aを搭載し、車両V3を交互通行区間の出入口近傍に駐車することで、通過管理装置20Aの設置を行っている。この通過管理装置20Aは、図1に示した通過車両検知センサ22Aと信号機25Aとを含む装置である。また、通過管理装置20Aの手前には停止線を設け、停止線で停止した車両を検知可能な位置に停車検知装置10Aを設置する。さらに、ロードコーンを適宜配置することで車両が走行すべき経路を規定してもよい。
【0025】
なお、交互通行区間の他方の出入口近傍についても同様に、通過車両検知センサ22Bと信号機25Bとを含む通過管理装置20Bを設置し、停止線を設け、停車検知装置10Bを設置する。
【0026】
図3は、交通誘導システムのシステム構成を説明する説明図である。図3に示すように、停車検知装置10A、通過管理装置20A、停車検知装置10B及び通過管理装置20Bは、管理装置40と通信可能に接続される。管理装置40と他の装置との通信には無線通信を用い、管理装置40は他の装置と無線通信が可能な範囲内であれば任意の位置に設置することができる。
【0027】
次に、各装置の構成について説明する。
【0028】
まず、停車検知装置10A及び停車検知装置10Bの機能構成について説明する。なお、停車検知装置10A及び停車検知装置10Bは、同一の構成を有するので、停車検知装置10として説明を行う。
【0029】
図4は、停車検知装置10の機能構成を示す機能ブロック図である。図4に示すように、停車検知装置10は、無線通信部11、停止車両検知センサ12、スピーカ13及び制御部14を有する。
【0030】
無線通信部11は、周知技術である特定小電力通信、無線LAN又はLTE(Long Term Evolution)通信等を用いて管理装置40との間で無線通信を行うための通信インタフェース部である。停止車両検知センサ12は、停止線近傍に光や電波を発射し、その反射波を受信することで停止線近傍に所在する物体を検知する。スピーカ13は、必要に応じて警告音やメッセージ音声を出力する音声出力デバイスである。
【0031】
制御部14は、停車検知装置10の全体制御を行う制御部であり、停車検知部14a等を有する。停車検知部14aは、停止車両検知センサ12の出力を用いて停止線近傍に停止した車両の検知を行い、検知結果を管理装置40に送信する処理を行う。
【0032】
次に、通過管理装置20A及び通過管理装置20Bについて説明する。なお、通過管理装置20A及び通過管理装置20Bは、同一の構成を有するので、通過管理装置20として説明を行う。
【0033】
図5は、通過管理装置20の外観構成を示す図である。図5に示すように、通過管理装置20は、通過車両検知センサ22、表示部23及びスピーカ24を有する本体部と、本体部に接続された信号機25と、本体部を支持する脚部とを有し、脚部にはキャスター28とバッテリ27とを備える。
【0034】
通過車両検知センサ22は、光や電波を発射し、その反射波を受信することで交互通行区間に出入りする車両を検知する。表示部23は、LEDパネルなどの表示デバイスで構成される。スピーカ24は、必要に応じて警告音やメッセージ音声を出力する音声出力デバイスである。表示部23及びスピーカ24は、例えば、停止線から少し離れて停止した車両に対する「少し前に進んで停止線でお待ち下さい」などのメッセージの報知などに用いられる。
【0035】
バッテリ27は、通過管理装置20の電源として用いられる。キャスター28は、通過管理装置20を傾けた状態で接地して回転するよう設けられており、通過管理装置20の移動の補助に用いられる。
【0036】
信号機25は、進入禁止状態において点灯制御される赤色灯と、進入許可状態において点灯制御される青色灯とを有する。なお、赤色灯と青色灯は、必要に応じて点滅させることも可能である。
【0037】
表示部23、スピーカ24及び信号機25は、交互通行区間に進入する車両と対面する向きに配置され、通過車両検知センサ22は、交互通行区間の車線を横切る向きに設置される。
【0038】
図6は、通過管理装置20の機能構成を示す機能ブロック図である。図6に示すように、通過管理装置20は、既に説明した通過車両検知センサ22、表示部23、スピーカ24及び信号機25に加え、無線通信部21及び制御部26を有する。無線通信部21は、周知技術である特定小電力通信、無線LAN又はLTE(Long Term Evolution)通信等を用いて管理装置40との間で無線通信を行うための通信インタフェース部である。
【0039】
制御部26は、通過管理装置20の全体制御を行う制御部であり、通過検知部26a及び車両誘導部26b等を有する。通過検知部26aは、通過車両検知センサ22の出力を用いて車両の通過を検知し、検知結果を管理装置40に送信する処理を行う。車両誘導部26bは、信号機25の進入禁止状態と進入許可状態とを切り替えて点灯制御を行うことで、車両の通行を制御する。また、車両誘導部26bは、必要に応じて表示部23及びスピーカ24によるメッセージ出力を行うことで、停止位置の調整などの車両の誘導を行うことができる。
【0040】
次に、管理装置40について説明する。図7は、管理装置40の機能構成を示す機能ブロック図である。図7に示すように、管理装置40は、無線通信部41、表示部42、操作部43、スピーカ44、記憶部45及び制御部46を有する。
【0041】
無線通信部41は、周知技術である特定小電力通信、無線LAN又はLTE(Long Term Evolution)通信等を用いて、停車検知装置10及び通過管理装置20との間で無線通信を行うための通信インタフェース部である。表示部42は、液晶パネルなどの表示デバイスで構成され、操作者に対する表示出力に用いられる。操作部43は、ボタン等の操作デバイスで構成され、操作者からの操作の受付けに用いられる。また、タッチパネルディスプレイなどを用い、表示部42と操作部43とを一体に構成してもよい。スピーカ44は、操作者に対する音声出力に用いられる音声出力デバイスである。
【0042】
記憶部45は、ハードディスク装置又は不揮発性メモリなどからなる記憶デバイスであり、区間内車両数データ45aや進入許可順番データ45b等を記憶する。区間内車両数データ45aは、交互通行区間内に所在する車両の数を区間内車両数として示すデータである。また、進入許可順番データ45bは、交互通行区間の出入口に設置した複数の信号機25を進入許可状態(青色灯を点灯)とする順番を示すデータである。
【0043】
制御部46は、管理装置40の全体制御を行う制御部であり、信号制御手段である信号制御部46a、区間内車両数算定部46b等を有する。なお、実際には、信号制御部46a、区間内車両数算定部46bに対応するプログラムをCPU上にロードして実行することで、信号制御部46a、区間内車両数算定部46bの機能を発揮させることになる。
【0044】
信号制御部46aは、交通誘導システムに含まれる信号機を制御する制御部である。例えば、交通誘導システムに通過管理装置20として、通過管理装置20A及び通過管理装置20Bが含まれる場合には、それぞれの通過管理装置20が有する信号機25が制御対象となる。
【0045】
信号機25の制御においては、信号制御部46aは、複数の制御モードのいずれかを用いて信号の切り替えを行う。複数の制御モードには、検知制御モード、時間制御モード及び手動制御モードなどが含まれる。
【0046】
検知制御モードは、信号機25を進入禁止状態として待機しつつ、停止線近傍の停止車両を検知したことを条件に信号機25を進入許可状態に切り替える制御モードである。信号機25を進入許可状態としても車両の進入が発生しなかったならば、他の信号機25での待機時間を不要に伸ばす事態となる。そこで、比較的交通量が少ない場合には、検知制御モードを用いて停止車両が存在する場合にのみ進入許可状態に切り替えることで、全体としての待ち時間を減少させ、車両の通行を効率化することができる。
【0047】
時間制御モードは、時間経過を条件に信号機25の進入禁止状態と進入許可状態とを切り替える制御モードである。時間制御モードでは、停止線近傍に車両が存在するか否かに関わらず信号機25を進入許可状態に切り替える。比較的交通量が多い場合には、特定の時点で車両が検知されなかったとしても進入許可状態が終了するまでには車両の進入が発生する可能性が高い。そのため、あらかじめ規定したタイミングで信号機25の状態を切り替えた方が全体としての待ち時間を減少させ、車両の通行を効率化することができるのである。
【0048】
手動制御モードは、作業者の操作に基づいて信号機25の状態を切り替えて交通誘導を行う制御モードである。この手動制御モードは、交互通行区間の状況に異常が発生した場合(交通事故の発生等)や交通誘導システムの状態に異常が発生した場合などに用いられる。
【0049】
交通誘導システムが有する複数の信号機25は、それぞれ個別に制御モードを設定可能であり、信号制御部46aは、複数の信号機25を順次選択し、選択した信号機25に設定された制御モードを用いて信号の切り替えを行う。
【0050】
また、信号制御部46aは、1つの信号機25について信号の切り替えを行なった後は、記憶部45に記憶している進入許可順番データ45bに基づき次の信号機25を選択することになるが、このとき、信号制御部46aは、区間内車両数がゼロであることを条件として次の信号機25を選択する。この結果、信号制御部46aが、いずれかの信号機25を進入禁止状態から進入許可状態に切り替える場合には、区間内車両数がゼロとなっている。
【0051】
区間内車両数算定部46bは、交互通行区間の各出入口における車両の通過に基づいて、交互通行区間内に所在する車両の数を区間内車両数として算定する処理部である。具体的には、通過管理装置20A及び通過管理装置20Bから通知された車両の通過の検知結果を用い、交互通行区間への車両の進入が発生した場合には区間内車両数を1加算し、交互通行区間からの車両の退出が発生した場合には区間内車両数を1減算する。区間内車両数算定部46bは、算定した区間内車両数を区間内車両数データ45aとして記憶部45に格納する。
【0052】
次に、交通誘導システムの動作について説明する。
【0053】
まず、検知制御モードにおける管理装置40の処理手順について説明する。
【0054】
ここで、図8は検知制御モードにおける管理装置40の処理手順を示すフローチャートである。まず、信号制御部46aは、信号機25の初期状態を進入禁止状態にする(ステップS101)。そして、信号制御部46aは、信号機25が進入禁止状態にある出入口の停車検知装置10より停止線近傍に車両が停止した旨の通知を受けると、記憶部45の進入許可順番データ45bとして通知のあった信号機を順番に記憶する。
【0055】
信号制御部46aは、進入許可順番データ45bに基づいて、いずれかの出入口の停止線近傍に停車車両が存在するか否かを判定する(ステップS102)。
【0056】
判定の結果、停車車両が存在しなければ(ステップS102;No)、信号制御部46aは、ステップS102に移行し、停車車両が検知されるまで待機する。
【0057】
一方、いずれかの出入口に停車車両が存在する、つまり、進入許可順番データ45bとして停車車両が存在する信号機を記憶していた場合には(ステップS102;Yes)、信号制御部46aは、進入許可順番データ45bとして記憶している信号機のうち最初に記憶した信号機25の状態を進入許可状態とする(ステップS103)。
【0058】
続いて、信号制御部46aは、上限タイマ及び連続通過タイマをオンし、それぞれ初期値からカウントダウンを開始する(ステップS104)。上限タイマの初期値は、検知制御モードにおける1回の進入許可状態の最大の長さに対応する。また、連続通過タイマの初期値は、検知制御モードにおける1回の進入許可状態の最小の長さに対応する。上限タイマがゼロになる上限タイムアウトが発生した場合には、停止線近傍に車両が存在したとしても進入許可状態を終了し、進入禁止状態に切り替えることになる。連続通過タイマは、検知制御モードにおいて、車両が通過する度にリセットされるタイマであり、連続通過タイマがゼロになる連続通過タイムアウトが発生した場合、すなわち車両の通過が途絶えた場合には、上限タイマの値に関わらず進入許可状態を終了し、進入禁止状態に切り替えることになる。
【0059】
その後、信号制御部46aは、通過管理装置20が車両の進入を検知したか否かを判定する(ステップS105)。
【0060】
車両の進入が検知されたならば(ステップS105;Yes)、区間内車両数算定部46bが、区間内車両数を1加算し(ステップS106)、信号制御部46aは、連続通過タイマをリセットする(ステップS107)。
【0061】
一方、車両の進入が検知されていない場合(ステップS105;No)、信号制御部46aは、連続通過タイマがゼロになる連続通過タイムアウトが発生したか否かを判定する(ステップS108)。
【0062】
連続通過タイムアウトが発生していない場合(ステップS108;No)、又は連続通過タイマをリセットした場合(ステップS107)、通過管理装置20が車両の退出を検知したか否かを判定し(ステップS109)、車両の退出が検知されたならば(ステップS109;Yes)、区間内車両数算定部46bが区間内車両数を1減算する(ステップS110)。
【0063】
ステップS110の後、又は車両の退出が検知されていない場合(ステップS109;No)、信号制御部46aは、上限タイマがゼロになる上限タイムアウトが発生したか否かを判定する(ステップS111)。上限タイムアウトが発生していなければ(ステップS111;No)、信号制御部46aは、ステップS105に移行し、車両の進入を検知したか否かを判定する。
【0064】
上限タイムアウトが発生した場合(ステップS111;Yes)、もしくは連続通過タイムアウトが発生した場合(ステップS108;Yes)、信号制御部46aは、信号機25を進入禁止状態に切り替えて(ステップS112)、上限タイマ及び連続通過タイマをオフする(ステップS113)。また、信号制御部46aは、進入許可順番データ45bから当該信号機25を削除する。
【0065】
ステップS113の後、信号制御部46aは、通過管理装置20が車両の退出を検知したか否かを判定する(ステップS114)。
【0066】
車両の退出が検知されたならば(ステップS114;Yes)、区間内車両数算定部46bは、区間内車両数を1減算する(ステップS115)。
【0067】
ステップS115の後、もしくは車両の退出が検知されなかった場合(ステップS114;No)、信号制御部46aは、区間内車両数がゼロであるか否かを判定する(ステップS116)。
【0068】
区間内車両数がゼロでなければ(ステップS116;No)、ステップS114に移行し、車両の退出を検知したか否かを判定する。そして、区間内車両数がゼロであれば(ステップS116;Yes)、信号制御部46aは、処理を終了し、スタートに戻る。そして、信号制御部46aは、信号機25を進入禁止状態とした後、進入許可順番データ45bとして次に進入許可状態とする信号機を記憶している、つまり、他の出入口に停車車両があれば(ステップS102;Yes)、ステップS103以降の処理を行う。
【0069】
次に、時間制御モードにおける管理装置40の処理手順について説明する。
【0070】
ここで、図9は時間制御モードにおける管理装置40の処理手順を示すフローチャートである。まず、信号制御部46aは、信号機25の初期状態を進入禁止状態にする(ステップS201)。そして、信号制御部46aは、記憶部45に記憶している進入許可順番データ45bを参照し、制御しようとする信号機25が先に制御対象とする信号機として選択されているか判定する(ステップS202)。判定の結果、選択されていなければ(ステップS202;No)、ステップS215に移行し、他の信号機25を制御制御しようとする信号機として選択し、スタートに戻る。
【0071】
信号機25が制御対象として選択された場合は(ステップS202;Yes)、信号制御部46aは、信号機25を進入許可状態に切り替える(ステップS203)とともに、進入許可タイマをオンし、初期値からカウントダウンを開始する(ステップS204)。進入許可タイマの初期値は、時間制御モードにおける1回の進入許可状態の長さに対応する。進入許可タイマがゼロになる進入許可タイムアウトが発生した場合には、停止線近傍に車両が存在したとしても進入許可状態を終了し、進入禁止状態に切り替えることになる。
【0072】
その後、通過管理装置20が車両の進入を検知したか否かを判定し(ステップS205)、車両の進入が検知されたならば(ステップS205;Yes)、区間内車両数算定部46bが区間内車両数を1加算する(ステップS206)。
【0073】
ステップS206の後、又は車両の進入が検知されていない場合(ステップS205;No)、通過管理装置20が車両の退出を検知したか否かを判定し(ステップS207)、車両の退出が検知されたならば(ステップS207;Yes)、区間内車両数算定部46bが区間内車両数を1減算する(ステップS208)。
【0074】
ステップS208の後、又は車両の退出が検知されていない場合(ステップS207;No)、信号制御部46aは、進入許可タイマがゼロになる進入許可タイムアウトが発生したか否かを判定する(ステップS209)。進入許可タイムアウトが発生していなければ(ステップS209;No)、信号制御部46aは、ステップS205に移行し、車両の進入を検知したか否かを判定する。
【0075】
進入許可タイムアウトが発生した場合(ステップS209;Yes)、信号制御部46aは、信号機25を進入禁止状態に切り替えて(ステップS210)、進入許可タイマをオフする(ステップS211)。
【0076】
ステップS211の後、信号制御部46aは、通過管理装置20が車両の退出を検知したか否かを判定する(ステップS212)。
【0077】
車両の退出が検知されたならば(ステップS212;Yes)、区間内車両数算定部46bは、区間内車両数を1減算する(ステップS213)。
【0078】
ステップS213の後、もしくは車両の退出が検知されなかった場合(ステップS212;No)、信号制御部46aは、区間内車両数がゼロであるか否かを判定する(ステップS214)。
【0079】
区間内車両数がゼロでなければ(ステップS214;No)、ステップS212に移行し、車両の退出を検知したか否かを判定する。そして、区間内車両数がゼロであれば(ステップS214;Yes)、信号制御部46aは、記憶部45に記憶している進入許可順番データ45bに基づき、次に進入許可状態(青色灯を点灯)とする信号機25を、ステップS203以降の交互通行処理を実行する制御対象として選択し(ステップS215)、処理を終了しスタートに戻る。
【0080】
加えて、交互通行処理を実行する制御対象として選択されなかった信号機25に対して、信号制御部46aは、検知制御モードおよび時間制御モードのいずれにおいても待機処理を実行する。
【0081】
ここで、図10は、待機処理の流れを示すフローチャートである。待機処理が開始すると、信号制御部46aは、交互通行処理を実行する制御対象として選択されなかった信号機25について、信号機25が赤信号である出入口から車両が交互通行区間に進入したことを通過管理装置20が検知したか否かを判定する(ステップS301)。
【0082】
信号機25が赤信号である出入口から車両が交互通行区間に進入したことを検知したならば(ステップS301;Yes)、信号制御部46aは、区間内車両数データ45aを参照して、区間内車両数がゼロであるか否かを判定する(ステップS302)。
【0083】
信号制御部46aは、区間内車両数がゼロでないと判定すると(ステップS302;No)、信号機25が青信号の出入口から進入してくる車両と衝突する可能性があるため、異常と判断して全ての信号機25を赤信号にして異常と判断して全ての出入口の誘導を停止する(ステップS306)。
【0084】
一方、信号制御部46aは、区間内車両数がゼロであると判定すると(ステップS302;Yes)、他の出入口が赤信号(青点滅を含む)かどうかを、交互通行処理を実行する制御対象として選択されている信号機25が進入禁止状態であるかに基づいて判定する(ステップS303)。
【0085】
信号制御部46aは、他の出入口が赤信号(青点滅を含む)でないと判定すると(ステップS303;No)、信号機25が青信号の出入口から進入してくる車両と衝突する可能性があるため、異常と判断して全ての信号機25を赤信号にして全ての出入口の誘導を停止する(ステップS306)。
【0086】
一方、信号制御部46aは、他の車線が赤信号(青点滅を含む)であると判定すると(ステップS303;Yes)、現在の制御モードが手動モードであるか否かを判定する(ステップS304)。
【0087】
信号制御部46aは、制御モードが手動モードであると判定すると(ステップS304;No)直後に信号機25が青信号に切り替えられた出入口から進入してくる車両と衝突する可能性があるため、異常と判断して全ての信号機25を赤信号にして全ての出入口の誘導を停止する(ステップS306)。
【0088】
一方、信号制御部46aは、制御モードが手動モードでなはない(検知制御モードや時間制御モード)であると判定すると(ステップS304;Yes)、信号制御部46aは、次に青になる出入口かどうかを、交互通行処理を実行する制御対象として当該信号機25が選択されたかに基づいて判定する(ステップS305)。
【0089】
信号制御部46aは、次に青になる車線でないと判定すると(ステップS305;No)、信号機25が青信号の出入口から進入してくる車両と衝突する可能性があるため、異常と判断して全ての信号機25を赤信号にして異常と判断して全ての車線の誘導を停止する(ステップS306)。
【0090】
一方、信号制御部46aは、次に青になる車線であると判定すると(ステップS305;Yes)、赤信号で停車中の車両が赤信号であるにもかかわらず工事区間内に進入したものの、交互通行区間内にほかの車両が存在せず、他の車線もすでに赤信号となり進入禁止状態になっていることから、交互通行区間内で事故が生ずる可能性は低いと判断して、全信号機25を赤信号にする制御は行わない。
【0091】
このように本実施形態によれば、停止車両に先読みにより赤信号を無視されても、安全を保ちつつ無駄な異常検出を防止し、システムの再開操作を不要とすることができる。
【0092】
なお、本発明は上記の実施例に限定されるものではなく、適宜構成や動作を変更して実施することができる。
【0093】
また、上記の実施例では、出入口が2箇所の場合を例に説明したが、出入口が3つ以上ある場合にも同様に実施することができる。このような環境では、すべての出入口に設置した信号機を時間制御モードに設定した場合、進入許可順番データ45bは進入許可状態とする信号機の順番を予め決められた順番で記憶する。しかしながら、進入する車両が極めて少ない出入口等の信号機も時間制御モードに設定してしまうと、進入する車両がいない出入口の信号機が進入許可状態にある間、他の出入口にいる停車車両は待機しなければならない。そこで、進入する車両が極めて少ない出入口の信号機は検知制御モードに設定し、検知制御モードに設定した信号機が設置されている出入口付近の停車検知装置により停車車両が存在することが検知された場合に、当該出入口に設置した信号機を進入許可状態とする信号機として進入許可順番データ45bに割り込み記憶させる。これにより、不要な待機時間を無くすことができるとともに、動作モードの異なる信号機が混在したとしても、適切に進入許可状態に切り替えることが可能となる。
【0094】
さらに、上記実施例では、青点滅を赤信号に含めたが、青信号に含めるようにしてもよく、これにより、青点滅を見た運転手が急いで青点滅中に交互通行区間内に進入した場合であっても、システムが停止してしまうことを防ぐことができる。
【符号の説明】
【0095】
40 管理装置
46a 信号制御部
46b 区間内車両数算定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10