(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-08
(45)【発行日】2024-03-18
(54)【発明の名称】データベース管理支援装置、方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G21C 17/00 20060101AFI20240311BHJP
G06Q 50/06 20240101ALI20240311BHJP
【FI】
G21C17/00 600
G06Q50/06
(21)【出願番号】P 2020070881
(22)【出願日】2020-04-10
【審査請求日】2023-02-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001380
【氏名又は名称】弁理士法人東京国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】羽生 大仁
【審査官】田中 秀直
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-049896(JP,A)
【文献】特開2003-223449(JP,A)
【文献】特開2019-007852(JP,A)
【文献】特開2003-067003(JP,A)
【文献】特開2003-121581(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21C 17/00
G06Q 50/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端末から第1ネットワークを介してデータベースの検索条件を受信する第1受信部と、
原子力発電所における特定された設備の属性データを集約した設備情報が登録される第1データベースから、第2ネットワークを介して、前記検索条件に一致する設備情報を取得する第1取得部と、
前記取得された前記設備情報を、前記第1ネットワークを介して、前記第1端末に送信する第1送信部と、
前記第1端末から前記第1ネットワークを介して選択要求を受信する第2受信部と、
前記設備を構成する各々の機器の機器情報が登録される第2データベースから、前記第2ネットワークを介して、前記選択要求に対応する前記機器情報を取得する第2取得部と、
前記取得された前記機器情報を、前記第1ネットワークを介して、前記第1端末に送信する第2送信部と、を備え、
前記検索条件は、設備情報を識別する固有データ及び/又は各々の前記設備情報に付随する前記属性データの組み合わせからなり、
前記第1端末は、前記検索条件を入力する検索フォームとこの検索フォームで検索した前記設備情報のリストフォームとを表示し、
前記選択要求は、前記リストフォームの中から選択された前記設備情報に紐づいた前記機器情報を前記データベースから取得するものであり、
さらに前記第1端末は、前記選択要求に基づき取得した前記機器情報を表示フォームに表示する、データベース管理支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載のデータベース管理支援装置において、
前記第1端末から前記第1ネットワークを介して指定要求を受信する第3受信部と、
前記機器情報に紐づけされる関連情報が登録される第3データベースから、前記第2ネットワークを介して、前記指定要求に対応する前記関連情報を取得する第3取得部と、
前記取得された前記関連情報を、前記第1ネットワークを介して、前記第1端末に送信する第3送信部と、を備え、
前記指定要求は、前記表示フォームの中から選択された前記機器情報に紐づいた前記関連情報を前記データベースから取得するものであり、
さらに前記第1端末は、前記指定要求に基づき取得した前記関連情報を前記表示フォームに表示する、データベース管理支援装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のデータベース管理支援装置において、
前記第1送信部は、前記第1ネットワークを介してアクセスした前記第1端末に対し、前記属性データを送信し、
前記第1受信部は、前記送信された前記属性データの組み合わせからなる前記検索条件を受信するデータベース管理支援装置。
【請求項4】
請求項2又はこの請求項2を引用する請求項3に記載のデータベース管理支援装置において、
前記データベースに登録される前記設備情報、前記機器情報及び前記関連情報のうち少なくとも一つは、前記第2ネットワークに接続するユーザAの第2端末から作成され、前記ユーザAとは異なるユーザBの第2端末で承認されたものであるデータベース管理支援装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のデータベース管理支援装置において、
前記第1取得部及び前記第2取得部の少なくとも一つに取得される前記設備情報の前記属性データ、前記機器情報及び前記関連情報のうち少なくとも一つは、前記データベースに登録されているもののなかから前記第2ネットワークに接続する第2端末で閲覧許可の設定を受けた内容に限定されるデータベース管理支援装置。
【請求項6】
請求項2を引用する請求項3から請求項5のいずれか1項に記載のデータベース管理支援装置において、
前記関連情報は、耐環境性能保証(EQ)の取り組みで作成された、対応する前記設備の性能保証記録であるデータベース管理支援装置。
【請求項7】
請求項2を引用する請求項3から請求項6のいずれか1項に記載のデータベース管理支援装置において、
前記関連情報は、コンフィグレーション管理(CM)の取り組みで作成された、対応する前記設備又は前記機器に関連する設計要件データベース、前記機器やその情報に関連する設計図書データベース及び前記機器に関連する物理構成データベースのうち少なくとも一つにも登録されているデータベース管理支援装置。
【請求項8】
請求項2を引用する請求項3から請求項7のいずれか1項に記載のデータベース管理支援装置において、
前記
第1取得部は、前記
第1受信部で受信された前記指定要求に対応する前記関連情報に共通して紐づけられる他の関連情報も取得し、前記
第1送信部から送信させ、
前記第2取得部は、前記第2受信部で受信された前記指定要求に対応する前記関連情報に共通して紐づけられる他の関連情報も取得し、前記第2送信部から送信させ、
前記第3取得部は、前記第3受信部で受信された前記指定要求に対応する前記関連情報に共通して紐づけられる他の関連情報も取得し、前記第3送信部から送信させるデータベース管理支援装置。
【請求項9】
送受信部が、第1端末から第1ネットワークを介してデータベースの検索条件を受信するステップと、
取得部が、原子力発電所における特定された設備の属性データを集約した設備情報が登録される第1データベースから、第2ネットワークを介して、前記検索条件に一致する設備情報を取得するステップと、
前記送受信部が、前記取得された前記設備情報を、前記第1ネットワークを介して、前記第1端末に送信するステップと、
前記送受信部が、前記第1端末から前記第1ネットワークを介して選択要求を受信するステップと、
前記取得部が、前記設備を構成する各々の機器の機器情報が登録される第2データベースから、前記第2ネットワークを介して、前記選択要求に対応する前記機器情報を取得するステップと、
前記送受信部が、前記取得された前記機器情報を、前記第1ネットワークを介して、前記第1端末に送信するステップと、を含み、
前記検索条件は、設備情報を識別する固有データ及び/又は各々の前記設備情報に付随する前記属性データの組み合わせからなり、
前記第1端末は、前記検索条件を入力する検索フォームとこの検索フォームで検索した前記設備情報のリストフォームとを表示し、
前記選択要求は、前記リストフォームの中から選択された前記設備情報に紐づいた前記機器情報を前記データベースから取得するものであり、
さらに前記第1端末は、前記選択要求に基づき取得した前記機器情報を表示フォームに表示する、データベース管理支援方法。
【請求項10】
コンピュータに、
第1端末から第1ネットワークを介してデータベースの検索条件を受信させるステップ、
原子力発電所における特定された設備の属性データを集約した設備情報が登録される第1データベースから、第2ネットワークを介して、前記検索条件に一致する設備情報を取得させるステップ、
前記取得された前記設備情報を、前記第1ネットワークを介して、前記第1端末に送信させるステップ、
前記第1端末から前記第1ネットワークを介して選択要求を受信させるステップ、
前記設備を構成する各々の機器の機器情報が登録される第2データベースから、前記第2ネットワークを介して、前記選択要求に対応する前記機器情報を取得させるステップ、
前記取得された前記機器情報を、前記第1ネットワークを介して、前記第1端末に送信させるステップ、を実行させ、
前記検索条件は、設備情報を識別する固有データ及び/又は各々の前記設備情報に付随する前記属性データの組み合わせからなり、
前記第1端末は、前記検索条件を入力する検索フォームとこの検索フォームで検索した前記設備情報のリストフォームとを表示し、
前記選択要求は、前記リストフォームの中から選択された前記設備情報に紐づいた前記機器情報を前記データベースから取得するものであり、
さらに前記第1端末は、前記選択要求に基づき取得した前記機器情報を表示フォームに表示するデータベース管理支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、原子力発電所の安全性を確保するためのデータベース管理支援技術に関する。
【背景技術】
【0002】
原子力発電所で展開される耐環境性能保証(EQ:Environmental Qualification)は、設備の設置環境が著しく悪化する過酷事象が発生しても、設備が所定の機能を維持することを保証し、そのエビデンスを作成・維持する取り組みである。設備が通常運転により経年劣化した後に苛酷な温度や圧力等の環境条件に曝されると、この設備の機能が維持されない懸念がある。そこでEQ管理の対象設備は、経年劣化後も安全機能が保証されることを、客観的な情報に基づき検証が行われる。
【0003】
EQ管理の検証手法としては、型式試験及び使用実績等が挙げられる。型式試験は、対象設備と同等の試験体を準備し、通常運転時の経年劣化を模擬したうえで過酷事象を模擬した試験条件におき、安全機能が維持されていることを確認する。使用実績は、対象設備が過去に一定の運転条件において使用され、期待される安全機能を実際に維持した実績を利用する。また、構成材等の軽微な相違を持つ対象設備は、物性等の理論的評価及び数値解析等により、既存の型式試験及び使用実績を補完して検証することができる。
【0004】
原子力発電所で展開されるコンフィグレーション管理(CM:Configuration Management)は、原子力発電所の各設備・機器が設計で要求したとおりに製作・設置され、運転・維持(保全)されていることを常に確認、保証する仕組みである。設備・機器に対する安全上の性能要求などの設計要件、この性能要求が満足されるよう記述した設備・機器の設計図書や情報、この設計図書に基づき施工した実際の設備の物理構成、以上の三要素の整合性を図りこの整合状態を確実に維持する取り組みである。
【0005】
そして、原子力発電所の事業者は、コンフィグレーション管理の運用に際し、把握・管理すべき性能要求や設計図書の収集整理に努めている。そして、施設の改造工事を行う際は、上記三要素の整合性の確保が念頭におかれる。よってコンフィグレーション管理を適切に運用することで、設備や機器の設置や改造工事を実施する場合、要求したとおりに製作・設置されていることの検証及びその妥当性を容易に確認できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
原子力発電所の安全性を確保するための管理として、上述したEQ管理とコンフィグレーション管理以外にも、観点が異なる種々の取り組みが実施又は計画されている。しかも、管理項目は膨大であって、原子力発電所の事業者において検証作業に手間と時間を要する課題があった。さらに、観点が異なる管理において、相互にデータベースが共有されることもなく、独立に展開されているのが実情である。このため複数の管理が別々に構築されることによる運用上の非効率性が課題となっている。
【0008】
本発明の実施形態はこのような事情を考慮してなされたもので、原子力発電所の安全性を確保するうえで、検証作業を簡単に行なえ、運用を効率化できるデータベース管理支援技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態に係るデータベース管理支援装置において、第1端末から第1ネットワークを介してデータベースの検索条件を受信する第1受信部と、原子力発電所における特定された設備の属性データを集約した設備情報が登録される第1データベースから第2ネットワークを介して前記検索条件に一致する設備情報を取得する第1取得部と、前記取得された前記設備情報を前記第1ネットワークを介して前記第1端末に送信する第1送信部と、前記第1端末から前記第1ネットワークを介して選択要求を受信する第2受信部と、前記設備を構成する各々の機器の機器情報が登録される第2データベースから前記第2ネットワークを介して前記選択要求に対応する前記機器情報を取得する第2取得部と、前記取得された前記機器情報を前記第1ネットワークを介して前記第1端末に送信する第2送信部と、を備え、前記検索条件は、設備情報を識別する固有データ及び/又は各々の前記設備情報に付随する前記属性データの組み合わせからなり、前記第1端末は、前記検索条件を入力する検索フォームとこの検索フォームで検索した前記設備情報のリストフォームとを表示し、前記選択要求は、前記リストフォームの中から選択された前記設備情報に紐づいた前記機器情報を前記データベースから取得するものであり、さらに前記第1端末は、前記選択要求に基づき取得した前記機器情報を表示フォームに表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の実施形態により、原子力発電所の安全性を確保するうえで、検証作業を簡単に行なえ、運用を効率化できるデータベース管理支援技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の各実施形態に係るデータベース管理支援装置を適用したシステムの物理構成図。
【
図2】本発明の第1実施形態に係るデータベース管理支援装置を適用したシステムの論理構成図。
【
図3】外部端末(第1端末)に表示される検索フォームと検索された設備情報のリストフォームとのイメージ画面。
【
図4】選択された設備情報を構成する各々の機器情報の表示フォームのイメージ画面。
【
図5】(A)指定された機器情報に紐づけされる関連情報(標本情報、機器図面等)の表示フォームのイメージ画面、(B)指定された関連情報(標本情報)に紐づけされる関連情報(検証結果等)の表示フォームのイメージ画面。
【
図6】本発明の第2実施形態に係るデータベース管理支援装置を適用したシステムの論理構成図。
【
図7】設計図書に紐づけてEQ管理対象となる設備情報を明示した図。
【
図8】実施形態に係るデータベース管理支援方法及びデータベース管理支援プログラムのシーケンス図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1実施形態)
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図1は本発明の各実施形態に係るデータベース管理支援装置20(以下、単に「支援装置20」という)を適用したシステム10の物理構成図である。このシステム10は、プラントメーカー等の施工業者18が運用する内部ネットワーク15(第2ネットワーク)と、この内部ネットワーク15にログインするユーザの内部端末11(11a,11b)(第2端末)と、この内部端末11で構築される複数のデータベースが登録されるデータサーバ12と、データサーバ12に登録されている各種データを外部ネットワーク16(第1ネットワーク)で原子力発電所の事業者19の外部端末17(第1端末)に配信する管理サーバ(支援装置20)と、から構成されている。
【0013】
図2は、第1実施形態に係る支援装置20A(20)を適用したシステム10の論理構成図である。このように支援装置20は、外部端末17(第1端末)から外部ネットワーク16(第1ネットワーク)を介してデータベースの検索条件45を受信する第1受信部41と、原子力発電所における特定された設備の属性データ28(
図3)を集約した設備情報25が登録される第1データベース21から内部ネットワーク15(第2ネットワーク)を介して検索条件45に一致する設備情報25を取得する第1取得部31と、この取得された設備情報25を外部ネットワーク16を介して外部端末17に送信する第1送信部51と、外部端末17から外部ネットワーク16を介して選択要求46を受信する第2受信部42と、設備を構成する各々の機器の機器情報26が登録される第2データベース22から内部ネットワーク15を介して選択要求46に対応する機器情報26を取得する第2取得部32と、この取得された機器情報26を外部ネットワーク16を介して外部端末17に送信する第2送信部52と、を備えている。
【0014】
なおここで、施工業者18における内部端末11(11a,11b)の各々は、データサーバ12及び支援装置20に対しアクセス権限を有するユーザの操作に基づいて、内部ネットワーク15にログインする端末を指す。したがって、内部端末11(11a,11b)は、物理的に二台存在することを意味するわけでなく、権限を有するユーザがログインすることができれば、最低一台あれば足りる。
【0015】
また、第1受信部41、第2受信部42及び第3受信部43並びに第1送信部51、第2送信部52及び第3送信部53は、論理構成的に分離されているにすぎず、物理構成的には支援装置20と外部ネットワーク16との間でデータ交換を行う送受信回路40からなる。同様に第1取得部31、第2取得部32及び第3取得部33も、論理構成的に分離されているにすぎず、物理構成的には支援装置20と内部ネットワーク15との間でデータ交換を行うデータ取得回路30からなる。
【0016】
この支援装置20は、図示を省略するが、オペレーティングシステムやアプリケーション・プログラムなどを実行するCPUと、ROM及びRAMで構成される主記憶部と、ハードディスクなどで構成される補助記憶部と、ネットワークカードなどで構成される通信制御部と、キーボードやマウスなどの入力部と、モニタなどの出力部とで構成される。
【0017】
そして支援装置20の各機能は、CPUや主記憶部の上に所定のソフトウェアを読み込ませ、CPUの制御の下で通信制御部や入力部、出力部などを動作させ、主記憶部や補助記憶部におけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。処理に必要なデータ等は主記憶部や補助記憶部内に一時的に格納される。なお実施形態においてデータベース21,22,23は、支援装置20から分離した内部ネットワーク15上のデータサーバ12に構築されているが、その他のデバイスや支援装置20の内部に構築される場合もある。
【0018】
原子力発電所の事業者19は、重要な設備の保全を経済的に進めるとともに、設備不適合によるプラント停止に伴う稼働率低下を回避するための取り組みを行っている。そこで事業者19は、耐環境性能保証(EQ:Environmental Qualification)の仕組みを導入し、プラント運転に影響する重要な設備の情報の追跡及び情報間の連携を実施する。
【0019】
原子力発電所の事業者19が管理する外部端末17は、インターネット等の外部ネットワーク16上のサイトを閲覧することができるブラウザを標準搭載している汎用コンピュータを使用することができる。このような外部端末17は、外部ネットワーク16に接続することができる環境にあれば設置場所は限定されない。外部端末17からそれぞれ権限を有する者がシステムにログインする際の認証に必要なIDとパスワードが、支援装置20に予め登録されている。
【0020】
図3は外部端末17に表示される検索フォーム35と検索された設備情報25のリストフォーム36とのイメージ画面である。原子力発電所の事業者19の外部端末17(
図2)が支援装置20にアクセスすると、検索フォーム35がこのようにブラウザに表示される。なお、説明を省略するが、タブ表示される機器情報、関連情報についても設備情報と同様に検索及びリスト表示することができる。
【0021】
この検索フォーム35は、「設備名称」及び「設備番号」のような各々の設備情報25を識別する固有データをキーワード検索するための入力セル37と、各々の設備情報25に付随する属性データ28をプルダウン検索する選択セル38と、から構成されている。各々の選択セル38において、「プラント」「設置場所」…といった項目毎に属性データ28は類型化されており、選択セル38において表示されるプルダウンメニュー(図示略)の一覧から属性データ28を選択する。選択しない場合は該当項目の検索は無制限となる。
【0022】
図2に戻って説明を続ける。
第1データベース21には、原子力発電所で特定された設備の設備情報25が、各々の固有データに属性データ28を集約させた形で登録されている。外部ネットワーク16を介して外部端末17がアクセスすると、第1送信部51は、類型化された属性データ28(
図3)をこの外部端末17に送信する。外部端末17に受信された属性データ28は、ブラウザの検索フォーム35(
図3)における選択セル38のプルダウンメニューに表示される。
【0023】
この選択セル38で選択された属性データ28及び/又は入力セル37で入力された固有データのキーワードの組み合わせは、検索条件45として外部端末17からネットワーク16を介して支援装置20の第1受信部41に受信される。そして第1取得部31は、受信した検索条件45に一致する設備情報25を、内部ネットワーク15を介して第1データベース21から取得する。そして第1送信部51は、第1取得部31で取得された設備情報25を、外部ネットワーク16を介して外部端末17に送信し、ブラウザのリストフォーム36(
図3)に表示させる。
【0024】
図4は選択された設備情報25に紐づけられた機器情報26の表示フォーム55のイメージ画面である。外部端末17に表示されるリストフォーム36(
図3)のイメージ画面のうち、いずれか一つの設備情報25にカーソル48を合わせて選択操作することができる。すると、外部端末17から選択要求46が、外部ネットワーク16を介して第2受信部42に受信される。第2データベース22には、設備情報25に紐づけされる機器の機器情報26が登録されている。そして第2取得部32は、受信した選択要求46に対応する機器情報26を、内部ネットワーク15を介して第2データベース22から取得する。そして第2送信部52は、第2取得部32で取得された機器情報26を、外部ネットワーク16を介して外部端末17に送信し、ブラウザの表示フォーム55(
図4)に表示させる。
【0025】
図2に戻って説明を続ける。
さらに支援装置20は、外部端末17から外部ネットワーク16を介して指定要求47を受信する第3受信部43と、機器情報26に紐づけされる関連情報27が登録される第3データベース23から内部ネットワーク15を介して指定要求47に対応する関連情報27を取得する第3取得部33と、この取得された関連情報27を外部ネットワーク16を介して外部端末17に送信する第3送信部53と、を備えている。
【0026】
図5(A)は指定された機器情報26に紐づけされる関連情報27(標本情報27a、選定理由27b、機器図面27c等)の表示フォーム57a(57)のイメージ画面である。
図5(B)は指定された関連情報27(標本情報27a)に紐づけされる関連情報27(詳細情報27d、検証結果27e等)の表示フォーム57b(57)のイメージ画面である。
【0027】
外部端末17に表示される表示フォーム55(
図4)のイメージ画面のうち、いずれか一つの機器情報26にカーソル48を合わせて選択操作することができる。すると、外部端末17から指定要求47が、外部ネットワーク16を介して第3受信部43に受信される。第3データベース23には、機器情報26に紐づけされる関連情報27が登録されている。そして第3取得部33は、受信した指定要求47に対応する関連情報27を、内部ネットワーク15を介して第3データベース23から取得する。そして第3送信部53は、第3取得部33で取得された関連情報27を、外部ネットワーク16を介して外部端末17に送信し、ブラウザの表示フォーム57(
図5)に表示させる。
【0028】
図5で例示される関連情報27(27a,27b,27c,27d,27e)は、EQ管理の取り組みで作成された、対応する設備の性能保証記録である。このような性能保証記録は、型式試験及び使用実績等に基づいて作成される。型式試験は、対象設備と同等の試験体を準備し、通常運転時の経年劣化を模擬したうえで過酷事象を模擬した試験条件におき、安全機能が維持されていることを確認する。使用実績は、対象設備が過去に一定の運転条件において使用され、期待される安全機能を実際に維持した実績を利用する。また、構成材等の軽微な相違を持つ対象設備は、物性等の理論的評価及び数値解析等により、既存の型式試験及び使用実績を補完して性能保証記録が作成される。
【0029】
図2に戻って説明を続ける。
データベース21,22,23に登録される設備情報25、機器情報26及び関連情報27のうち少なくとも一つは、内部ネットワーク15に接続するユーザAの内部端末11aから作成され、このユーザAとは異なるユーザBの内部端末11bで承認されたものである。
【0030】
ところで施工業者18のサイドで登録されている設備情報25、機器情報26及び関連情報27のなかには、アクセスしてきた外部端末17にとって、閲覧に適さない情報も含まれている。例えば、他の原子力発電所の事業者に関する情報や、施工業者18においてのみ必要な情報等である。そこで、アクセスしてきた外部端末17から送信されるユーザIDに基づいて閲覧範囲を制限することができる。
【0031】
そこで、取得部30に取得される設備情報25の属性データ28、機器情報26及び関連情報27は、データベース21,22,23に登録されているもののなかから、ユーザの内部端末11で閲覧許可の設定を受けた内容に限定することができる。これにより、外部端末17のブラウザにおけるリストフォーム36(
図3)、表示フォーム55(
図4)、表示フォーム57(
図5)の表示は必要十分に簡潔化され原子力発電所の事業者19において把握が容易となる。
【0032】
(第2実施形態)
次に
図6から
図7を参照して本発明における第2実施形態について説明する。
図6は本発明の第2実施形態に係るデータベース管理支援装置20B(20)を適用したシステムの論理構成図である。なお、
図6において
図1と共通の構成又は機能を有する部分は、同一符号で示し、重複する説明を省略する。
【0033】
第2実施形態に係る支援装置20Bにおいて、関連情報27は、構成管理(CM)の取り組みで作成された、対応する設備又は機器に関連する設計要件61のデータベース、機器やその情報に関連する設計図書62のデータベース及び機器に関連する物理構成63のデータベースのうち少なくとも一つにも登録されている。そして支援装置20Bの取得部30は、受信部40で受信された指定要求47に対応する関連情報27に共通して紐づけられる他の関連情報27も取得し、送受信部40から外部端末17に送信させる。
【0034】
原子力施設で展開されるコンフィグレーション管理(CM:Configuration Management)は、安全上の性能要求などの設計要件61、この設計要件61が満足されるよう記述した設計図書62、この設計図書62に基づき施工した設備の物理構成63、以上の三要素の整合性を図りこの整合状態の維持を確実にする。これにより、原子力施設の安全性評価、保全、改造等を適切に実施することを目的にしている。施工業者18は、コンフィグレーション管理(CM)を運用するうえで把握・管理すべき情報及びその根拠を収集し、設計要件61、設計図書62及び物理構成63として分類・整理してデータベース化してデータサーバ12bに登録している。
【0035】
設計要件61は、設置許可基準等の要求事項の内容に基づいて、工事の対象となるエリアに配置される機器及びこのエリアの空間が満たすべき要求が記述された関連情報27に該当する。設計図書62は、この設計要件61が満足されるように構成される機器や空間の具体的な情報が記述された関連情報27に該当し、エリアにおける機械構成の設計図や、構成機器の各々の仕様や相互間の関係を示す仕様書等が含まれる。物理構成63は、設計図と関連付けられる現場の施工記録、現場エリアを光学カメラで撮影した2D画像や、レーザスキャナ等で撮像された3D立体像といった関連情報27に該当する。
【0036】
図7は設計図書62に紐づけてEQ管理対象となる設備情報25を明示した図である。なお図示を省略するが、このような設計図書62に、設備の機器情報26やそれらの物理構成63(現場写真)や紐づけて表示させることもできる。
【0037】
図8のシーケンス図に基づいて実施形態に係るデータベース管理支援方法及びデータベース管理支援プログラムを説明する。まずユーザAの内部端末11a(11)により、設備情報25、機器情報26及び関連情報27のデータベースが作成されデータサーバ12に登録される(S11)。そして、ユーザBの内部端末11b(11)により、登録されたデータベースの承認がなされる(S12)。さらに、登録したデータベースのなかから外部端末17に閲覧許可する内容を設定する(S13)。
【0038】
外部端末17から支援装置20にアクセスがあった場合(S14)、支援装置20から外部端末17に設備情報25の類型化された属性データ28が送信される(S15)。外部端末17では、ブラウザに表示される検索フォーム35(
図3)におけるプルダウンメニュー選択により、属性データ28に基づく設備情報25の検索を行う。そして、外部端末17において属性データ28を組み合わせてなる検索条件45が、支援装置20に受信される(S16)。
【0039】
支援装置20は、データサーバ12にアクセスし(S17)、検索条件45に一致する設備情報25をデータベースから取得する(S18)。そしてこの取得された設備情報25は、支援装置20から外部端末17に送信され(S19)、ブラウザのリストフォーム36(
図3)に表示される。
【0040】
外部端末17では、ブラウザに表示されるリストフォーム36のなかから、いずれか一つの設備情報25にカーソル48を合わせて選択操作する。すると、外部端末17から支援装置20に、該当する設備情報25の選択要求46が受信される(S20)。
【0041】
支援装置20は、データサーバ12にアクセスし(S21)、選択要求46に対応する機器情報26をデータベースから取得する(S22)。そしてこの取得された機器情報26は、支援装置20から外部端末17に送信され(S23)、ブラウザの表示フォーム55(
図4)に表示される。
【0042】
外部端末17では、ブラウザに表示される表示フォーム55のなかから、いずれか一つの機器情報26にカーソル48を合わせて指定操作する。すると、外部端末17から支援装置20に、該当する機器情報26の指定要求47が受信される(S24)。
【0043】
支援装置20は、データサーバ12にアクセスし(S25)、指定要求47に対応する関連情報27をデータベースから取得する(S26)。そしてこの取得された関連情報27は、支援装置20から外部端末17に送信され(S27)、ブラウザの表示フォーム57(
図5)に表示される。そして、外部端末17から(S14),(S16),(S20),(S24)のうちいずれかが繰り返し実行された後に処理が終了する。
【0044】
以上述べた少なくともひとつの実施形態のデータベース管理支援装置によれば、ネットワークを介してデータベースにアクセスして設備情報を検索することで、原子力発電所の安全性を確保するうえで、検証作業を簡単に行なえ、運用を効率化することが可能となる。
【0045】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含
【符号の説明】
【0046】
10…システム、11(11a,11b)…内部端末(第2端末)、12(12a,12b)…データサーバ、15…内部ネットワーク(第2ネットワーク)、16…外部ネットワーク(第1ネットワーク)、17…外部端末(第1端末)、18…施工業者、19…原子力発電所の事業者、20(20A,20B)…データベース管理支援装置、21…第1データベース、22…第2データベース、23…第3データベース、25…設備情報、26…機器情報、27…関連情報、27a(27)…標本情報(関連情報)、27b(27)…選定理由(関連情報)、27c(27)…機器図面(関連情報)、27d(27)…詳細情報(関連情報)、27e(27)…検証結果(関連情報)、28…属性データ、30…取得部(データ取得回路)、31…第1取得部、32…第2取得部、33…第3取得部、35…検索フォーム、36…リストフォーム、37…入力セル、38…選択セル、40…送受信部(送受信回路)、41…第1受信部、42…第2受信部、43…第3受信部、45…検索条件、46…選択要求、47…指定要求、48…カーソル、51…第1送信部、52…第2送信部、53…第3送信部、55…表示フォーム、57(57a,57b)…表示フォーム、61…設計要件、62…設計図書、63…物理構成。