(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-08
(45)【発行日】2024-03-18
(54)【発明の名称】画像形成装置、画像形成装置の制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G03G 21/00 20060101AFI20240311BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20240311BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20240311BHJP
B65H 7/14 20060101ALI20240311BHJP
【FI】
G03G21/00 500
G03G21/00 370
B41J29/38 202
H04N1/00 567K
H04N1/00 002A
B65H7/14
(21)【出願番号】P 2020070884
(22)【出願日】2020-04-10
【審査請求日】2023-03-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002767
【氏名又は名称】弁理士法人ひのき国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 啓
【審査官】藤井 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-106112(JP,A)
【文献】特開2018-151595(JP,A)
【文献】特開2008-225025(JP,A)
【文献】特開2012-181223(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 13/34
G03G 15/00
G03G 15/36
G03G 21/00
G03G 21/02
G03G 21/14
G03G 21/20
B41J 29/00-29/70
H04N 1/00
B65H 7/00- 7/20
B65H 43/00-43/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートに画像を形成する画像形成手段と、
シートを前記画像形成手段に搬送する搬送手段と、
シート特性に対応する、画像形成速度を含む画像形成条件に従って、前記画像形成手段及び前記搬送手段を制御する制御手段と、
前記搬送手段により前記画像形成手段に搬送されているシートのシート特性を検知する検知手段と、
画像形成に使用するシートのシート特性を前記検知手段とは独立して設定する設定手段と、
を有し、
前記制御手段は、
画像形成で使用されるシートに対して前記設定手段により設定されたシート特性に応じた画像形成速度
である第1画像形成速度と前記検知手段により検知されたシート特性に
応じた画像形成速度
である第2画像形成速度が異なる場合、
前記画像形成条件としての画像形成速度が前記第1画像形成速度と同一で且つ、前記検知手段の検知結果に最も特性が近いシート特性に応じた画像形成条件に基づいて、画像形成で使用する前記シートに対する画像形成条件を決定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記検知手段により検知される前記シート特性には、シートの坪量に関する特性、シートの厚さに関する特性、シートの表面性に関する特性の少なくとも
1つが含まれ、
前記制御手段は、
前記第1画像形成速度と
前記第2画像形成速度が異なる場合、
前記画像形成条件としての画像形成速度が前記第1画像形成速度と同一で且つ、複数の前記特性の少なくとも1つが前記検知手段の検知結果に最も近いシート特性に応じた画像形成条件に基づいて画像形成で使用する前記シートに対する画像形成条件を決定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御手段は、
前記第1画像形成速度と
前記第2画像形成速度が同じ場合、
画像形成に使用するシートに対する画像形成条件を、
前記検知手段により検知されたシート特性に応じた画像形成条件に決定する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御手段は、
画像形成で使用されるシートに対して前記設定手段により設定されたシートの種類に応じた画像形成速度でシートの搬送を行うように前記搬送手段を制御することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記画像形成手段は、トナー像を担持する像担持体と、転写バイアスが印加されることで前記像担持体に担持されているトナー像を前記シートに転写する転写部と、熱源を定着温度に加熱することで前記シートに転写されたトナー像を該シートに定着させる定着部を有し、
前記画像形成条件には、前記画像形成速度の他に、少なくとも前記転写バイアス、前記定着温度のいずれかが含まれることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記設定手段は、前記画像形成装置の操作部から入力され
るシート特性
を設定することを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記設定手段は、前記画像形成装置と通信可能な情報処理装置から入力されるシート特性を設定することを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
シートに画像を形成する画像形成手段と、シートを前記画像形成手段に搬送する搬送手段と、シート特性に対応する、画像形成速度を含む画像形成条件に従って、前記画像形成手段及び前記搬送手段を制御する制御手段と、を有する画像形成装置の制御方法であって、
前記搬送手段により前記画像形成手段に搬送されているシートのシート特性を検知する検知工程と、
画像形成に使用するシートのシート特性を前記検知工程とは独立して設定する設定する設定工程と、
画像形成で使用されるシートに対して前記設定工程により設定されたシート特性に応じた画像形成速度
である第1画像形成速度と前記検知工程で検知されたシート特性に
応じた画像形成速度
である第2画像形成速度が異なる場合、
前記画像形成条件としての画像形成速度が前記第1画像形成速度と同一で且つ、前記検知工程の検知結果に最も特性が近いシート特性に応じた画像形成条件に基づいて、画像形成で使用する前記シートに対する画像形成条件を決定する決定工程と、
を有することを特徴とする画像形成装置の制御方法。
【請求項9】
コンピュータを、請求項1~7のいずれか1項に記載の制御手段として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、画像形成装置の制御方法、及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置では、感光体や中間転写体等に形成されたトナー像を用紙に転写し、熱定着することで画像形成を行う。この種の画像形成装置では、用紙の厚みや表面性などのメディア特性が制御パラメータとして重要である。この制御パラメータを使用することで、用紙に最適な転写バイアス、定着温度、搬送速度等を実現して画像形成を行うことが可能となる。用紙のメディア特性は、画像形成装置に設けられた操作部やプリンタドライバ画面上から、ユーザ操作により指定されることが一般的に知られている。また近年では、メディア特性を検知するセンサを画像形成装置内部に設ける装置も登場してきている。
【0003】
特許文献1には、メディア特性を検知するセンサ(以後「メディアセンサ」と記載する)を備えた装置にて、所定のメディアに適した制御パラメータで画像形成動作を実施している最中に、異なるメディアを検知した場合における制御の技術が提案されている。特許文献1では、搬送路上に用紙の特性を検知するメディアセンサを配し、連続して給紙される複数の用紙に対してメディア検知を行う。そして、すでに画像形成が行われた用紙の特性と、新たに検知した用紙の特性とが異なっており、かつ画像形成条件も異なっている場合には、印刷ジョブを停止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、市場では様々な特性の用紙が使用されており、その中にはメディアセンサで検知をした検知結果が判定の閾値付近でばらつくような用紙も存在する。例えば、ある銘柄の用紙の束を給紙カセットに積載して連続印刷した際に、メディアセンサの検知結果に基づく用紙種類が「普通紙」となったり「厚紙」となったりする場合がある。その場合、特許文献1の技術では、検知結果が異なる度に印刷ジョブが停止してしまい、ダウンタイムが発生し、ユーザの利便性を損なってしまうといった課題があった。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものである。本発明は、ダウンタイムの発生の抑制によるユーザの利便性の向上と、成果物の品位の向上を実現する仕組みを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、シートに画像を形成する画像形成手段と、シートを前記画像形成手段に搬送する搬送手段と、シート特性に対応する、画像形成速度を含む画像形成条件に従って、前記画像形成手段及び前記搬送手段を制御する制御手段と、前記搬送手段により前記画像形成手段に搬送されているシートのシート特性を検知する検知手段と、画像形成に使用するシートのシート特性を前記検知手段とは独立して設定する設定手段と、を有し、前記制御手段は、画像形成で使用されるシートに対して前記設定手段により設定されたシート特性に応じた画像形成速度である第1画像形成速度と前記検知手段により検知されたシート特性に応じた画像形成速度である第2画像形成速度が異なる場合、前記画像形成条件としての画像形成速度が前記第1画像形成速度と同一で且つ、前記検知手段の検知結果に最も特性が近いシート特性に応じた画像形成条件に基づいて、画像形成で使用する前記シートに対する画像形成条件を決定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ダウンタイムの発生の抑制によるユーザの利便性の向上と、成果物の品位の向上を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】本実施形態の画像形成装置の構成の一例を示すブロック図。
【
図3】本実施形態の画像形成装置の定着器の構成の一例を説明する図。
【
図4】本実施形態の画像形成装置のメディアセンサの構成の一例を説明する図。
【
図5A】用紙がメディアセンサを通過する場合の状態を説明する図。
【
図5B】用紙がメディアセンサを通過する場合の状態を説明する図。
【
図6】用紙がメディアセンサを通過する際に取得する反射光量を説明する図。
【
図8】本実施形態の画像形成装置の動作概要を説明するフローチャート。
【
図9】指定された用紙種類とメディア検知結果から決まる制御を説明する図。
【
図10】メディア検知結果と画像形成速度の関係の説明する図。
【
図11】表面性に対応した例における用紙の種類と画像形成条件を示す図。
【
図12】表面性に対応した例における指定された用紙種類とメディア検知結果から決まる制御を説明する図。
【
図13】表面性に対応した例におけるメディア検知結果を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を用いて、発明を実施するための形態について説明する。
〔第1実施形態〕
以下、
図1、
図2を用いて、本実施形態の画像形成装置の基本的な構成を説明する。
図1は、本発明の一実施形態を示す画像形成装置の断面図である。
【0011】
図1に示すように、本実施形態の画像形成装置100は、電子写真方式の画像形成装置である。画像形成装置100は、複数のカートリッジ120a~120d、レーザスキャナ122a~122d、一次転写部123a~123d、中間転写ベルト130、二次転写部140、定着器170、及び給紙カセット220を備える。また画像形成装置100は、ユーザインタフェース(UI)として操作部13を備える。
【0012】
カートリッジ120a~120dは、各々、帯電ローラ、感光体、及び現像器を備える。カートリッジ120a~120dは、ユーザにより画像形成装置100の本体から取り外し可能な構成となっている。各感光体は、帯電ローラにより表面が帯電され、対応するレーザスキャナ122a~122dによりレーザ光を照射されることで、静電潜像が形成される。現像器は、静電潜像をトナーにより現像することで感光体上にトナー像を形成する。例えば、カートリッジ120aにはイエロー(Y)のトナーが収容されており、カートリッジ120aの感光体上にはイエローのトナー像が形成される。カートリッジ120bにはマゼンタ(M)のトナーが収容されており、カートリッジ120bの感光体上にはマゼンタのトナー像が形成される。カートリッジ120cにはシアン(C)のトナーが収容されており、カートリッジ120cの感光体上にはシアンのトナー像が形成される。カートリッジ120dにはブラック(K)のトナーが収容されており、カートリッジ120dの感光体上にはブラックのトナー像が形成される。
【0013】
一次転写部123a~123dは、転写バイアスが印加されることで、対応するカートリッジ120a~120dの感光体上に形成された各色トナー像を、中間転写ベルト130に重畳するように転写する。中間転写ベルト130は、図中時計回りに回転しており、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの順にトナー像が転写される。中間転写ベルト130は、トナー像を担持する像担持体であり、回転することで、転写されたトナー像を二次転写部140に搬送する。
【0014】
給紙カセット220は、画像が形成される用紙等の記録材(以下「用紙」又は「シート」という)Sを収容する。給紙カセット220は、同じ種類の用紙を収容していてもよく、異なる種類の用紙を収容していてもよい。用紙Sは、給紙カセット220から給紙されて、搬送路上を二次転写部140に搬送される。給紙カセット220から二次転写部140までの搬送路には、給紙ピックアップローラ151、搬送センサ152、搬送ローラ155、メディアセンサ14、レジストレーションセンサ160、及びレジストレーションローラ161が設けられている。以下、レジストレーションセンサ160、レジストレーションローラ161を、レジストセンサ160、レジストローラ161と記載する。
【0015】
給紙カセット220に収容される用紙Sは、給紙ピックアップローラ151により1枚ずつ給紙される。搬送センサ152は、用紙Sの給紙動作が正常に行えたかを監視するためのものである。用紙Sは、給紙ピックアップローラ151により搬送ローラ155へ搬送される。搬送ローラ155は、用紙Sをレジストローラ161へ搬送する。レジストローラ161は、レジストセンサ160が搬送されてきた用紙Sを検知すると、該用紙Sの搬送を一旦停止させて斜行補正等を行う。レジストローラ161は、中間転写ベルト130がトナー像を二次転写部140に搬送するタイミングに合わせて、用紙Sを二次転写部140へ搬送する。
【0016】
二次転写部140は、転写バイアスが印加されることで、レジストローラ161により搬送された用紙Sに、中間転写ベルト130上のトナー像を転写する。
定着器170は、用紙Sに転写されたトナー像を用紙Sに熱定着させる定着部である。定着器170の後段には、定着器170を通過した用紙Sを検知する用紙搬送センサ171が設けられる。定着器170でトナー像が定着した用紙Sは、両面印刷の場合には用紙搬送路230に搬送され、画像形成が終了した場合には用紙搬送路231に搬送される。搬送フラッパ172は、用紙搬送センサ171による用紙Sの検知を契機にして動作し、用紙Sを用紙搬送路230及び用紙搬送路231のいずれかに振り分ける。用紙搬送路230に搬送された用紙Sは、表裏が反転された後に、搬送ローラ155からレジストローラ161まで搬送され、レジストローラ161から二次転写部140に搬送されて裏面用のトナー像の転写が行われる。
【0017】
画像形成装置100は、排紙トレイ196及び排紙トレイ200を備える。用紙搬送路231に搬送された用紙Sは、搬送ローラ232により用紙搬送路180及び用紙搬送路181のいずれかに搬送される。用紙搬送フラッパ190は、用紙Sを用紙搬送路180及び用紙搬送路181のいずれかに振り分ける。用紙搬送路180に振り分けられた用紙Sは、排紙トレイ200に排出される。用紙搬送路181に振り分けられた用紙Sは、排紙トレイ196に排出される。
【0018】
操作部13は、例えばタッチパネル式ディスプレイ、キーボタン等を備える入出力デバイスである。ユーザは、操作部13を用いて画像形成処理に関する各種情報(用紙Sの種類や給紙段、印刷枚数、画質、両面/片面印刷、白黒印刷/カラー印刷等)の指定、画像形成処理の開始指示等を行うことができる。
【0019】
メディアセンサ14は、給紙カセット220から二次転写部140までの搬送路の途中に設けられ、搬送される用紙Sのメディア特性(「シート特性」ともいう)を検知して用紙の種類を特定するためのものである。メディア特性には、例えば薄紙/普通紙/厚紙等の坪量に基づく特性や、例えば上質紙/コート紙等の表面性に基づく特性がある。用紙の種類は、これらのメディア特性により定義されており、メディア特性から用紙の種類を特定可能である。本実施形態では、メディアセンサ14は、搬送ローラ154と搬送ローラ155との間に設けられる。メディアセンサ14の詳細は後述する。
【0020】
図2は、本発明の一実施形態を示す画像形成装置の構成の一例を示すブロック図である。
図2に示すように、画像形成装置100は、制御部として、CPU10、ROM11、RAM12を有する。CPU10は、ROM11等に格納されるプログラムをRAM12にロードして実行することにより、画像形成装置100を統括制御する。
【0021】
例えば、操作部13からプリント動作開始の指示がCPU10に入力されると、CPU10は、該動作開始指示に従い、給紙搬送モータ150を駆動制御し、用紙Sを給紙搬送する。また、CPU10は、搬送センサ152を監視することにより、機内の用紙位置を検出する。また、CPU10は、画像形成部17を制御する。画像形成部17は、
図1に示したカートリッジ120a~120d、レーザスキャナ122a~122d、一次転写部123a~123d、中間転写ベルト130、二次転写部140及び定着器170等を含む。具体的には、CPU10は、カートリッジ120a~120d、中間転写ベルト130、一次転写部123a~123d、二次転写部140などの高圧、駆動の制御、レーザスキャナ122a~122d、定着器170の制御等を行う。
【0022】
ROM11には、画像形成の手順及び後述の説明で使用されるフローチャートの手順等をCPU10に実行させるためのプログラムやデータが記憶されている。
【0023】
次に、基本的な画像形成動作について説明する。
操作部13などから、プリント動作開始の指示が入ると、CPU10は、給紙カセット220から用紙Sの給紙動作を開始する。具体的には、CPU10は、給紙ピックアップローラ151の駆動源となる給紙搬送モータ150を駆動させて、給紙ピックアップローラ151が回転駆動し、給紙カセット220内の用紙Sが1枚ずつ給紙搬送される。このとき、CPU10は、用紙Sの給紙動作が正常に行えたかを搬送センサ152を用いて監視する。ピックアップされた用紙Sは、次にメディアセンサ14によって材質(厚さ、表面性)等に関する特性が検知される。CPU10は、ここで検知された情報から用紙の種類を特定(検知)する。後述するが、用紙の種類は、上述のような用紙の特性に応じて分類されている。
【0024】
CPU10は、二次転写部140に用紙が到着するタイミングに間に合うように、カートリッジ120a~120dによって画像形成動作を開始する。
各カートリッジでは、感光体の表面が帯電ローラによって帯電された後、レーザスキャナ122から照射されるレーザにより、感光体上に潜像が形成される。そして、形成された潜像は、現像装置内のトナーにより感光体上に現像される。その後、現像されたトナー像は、一次転写部123a~123dにおいて一次転写電圧を印加され、中間転写ベルト130へ転写される。中間転写ベルト130へ転写されたトナー像は、中間転写ベルト130の回転によって、二次転写部140へと至る。
【0025】
CPU10は、搬送ローラ155により搬送された用紙の位置を、レジストセンサ160を監視することで検知する。そして、レジストセンサ160に用紙先端が到達したタイミングを考慮し、用紙先端と、中間転写ベルト130上のトナー像の先端が、二次転写部140で一致するように、用紙の搬送を制御する。例えば、トナー像に対して用紙が早く到着している場合には、レジストローラ161で用紙を所定時間停止させた後に、再度搬送を再開させる。
【0026】
以上のようにして二次転写部140に到達した用紙とトナー像に対し、二次転写電圧を印加することにより、トナー像が用紙に転写される。トナー像が転写された用紙は、定着器170へ搬送される。定着器170の詳細な構成については後述する。
【0027】
CPU10は、定着器170で用紙上のトナー像を用紙に加熱定着した後、用紙をさらに装置下流部へ搬送する。定着後の用紙先端が、用紙搬送センサ171に到達すると、CPU10は、あらかじめ操作部13から指定されている指示に従って、用紙搬送路230あるいは用紙搬送路231のどちらに搬送するのかを判断する。該判断に従い、CPU10は、搬送フラッパ172を切り替えることで、用紙の搬送先を切り替える。具体的には、両面プリント指示の場合には、用紙搬送路230へ搬送し、片面プリントあるいは両面プリントの裏面の場合には、用紙搬送路231へ搬送するように制御する。
【0028】
以下、用紙搬送路231へ用紙搬送した場合を記述する。用紙搬送路231へ搬送された用紙は、搬送ローラ232により、さらに下流へ搬送される。ここでも、先の切り替えと同様に、CPU10は、予め操作部13から指定されている指示に従い、用紙搬送フラッパ190を切り替える。これにより、用紙が用紙搬送路180側へ搬送されるか、用紙搬送路181側へ搬送されるかを切り替え可能な構成となっている。ユーザの排紙指定先が排紙トレイ200の場合には、用紙搬送路180へ搬送され、排紙指定先が排紙トレイ196の場合には、用紙搬送路181側へ搬送される。
なお、上記の基本的な画像形成動作は一例であり、本発明は上記構成に限定されるものではない。
【0029】
<定着器170の説明>
図3は、定着器170の構成の一例を説明する図である。
図3に示すように、定着器170は、加熱ローラ201、加圧ローラ205を有する。
加熱ローラ201は、ヒータホルダ207、このヒータホルダ207の下面にヒータホルダ長手(図面に垂直方向)に沿って固定して配設した定着ヒータ204(熱源)、弾性層の定着フィルム203などからなるアセンブリである。
加圧ローラ205は、その芯金の両端部を定着器170の側板間に回転自由に軸受させて配設してある。
【0030】
定着器170は、加熱ローラ201の定着ヒータ204側を加圧ローラ205と接する向きにして、加熱ローラ201と加圧ローラ205を並行に配列し、ヒータホルダ207の両端部側を不図示の付勢手段で所定の押圧力で押圧した状態にしてある。これにより、定着ヒータ204の面が、定着フィルム203を挟んで加圧ローラ205の弾性に抗して圧接させて所定幅の定着ニップ部206を形成させている。
【0031】
加圧ローラ205は、不図示の駆動機構により矢印方向(反時計方向)に所定の周速度にて回転駆動される。定着ヒータ204は、セラミック基板上に抵抗発熱体を形成したものである。定着ヒータ204には、温度検知センサ208が当接している。CPU10は、定着ヒータ204の温度を検知し、定着ヒータ204の温度が所望の温度(目標温度)になるように定着ヒータ204に対する供給電力を制御する。
【0032】
定着ヒータ204の目標温度(定着温度)は、通紙するメディア種類(メディア特性)等に基づいて決定される。CPU10は、操作部13から設定されたメディア種類及びメディアセンサ14によって検知されたメディア種類に従って、定着ヒータ204の目標温度を決定する。
【0033】
<メディアセンサ14の説明>
次に、
図4を用いてメディアセンサ14についての一例を説明する。
図4は、メディアセンサ14の構成の一例を説明する図である。
メディアセンサ14の内部には、発光素子としてLED481、受光素子としてフォトダイオード480が配置されている。LED481が発行した光の反射光量をフォトダイオード480によって検知可能となっている。また、用紙Sが突入するガイド部483は、バネ482によって押圧されている。
【0034】
バネ482の押圧力は不図示の駆動によって回転するカム484によって変化する。バネ482の実行長が相対的に短くなる方向にカム484が回転した状態では、押圧力が相対的に強い。一方、バネ482の実行長が相対的に長くなる方向にカム484が回転した状態では、押圧力が相対的に弱い。用紙Sの種類を検知する間、カム484は回転駆動し、バネ482の押圧力が変化するようになっている。
【0035】
図5A、
図5Bは、薄紙と厚紙が通紙する時のメディアセンサ14の様子を示す模式図である。以下、
図5A、
図5Bをまとめて
図5と記載する。
図5(a)は、バネ482の押圧力が相対的に弱い時の薄紙の通紙状態を示している。
図5(b)は、バネ482の押圧力が相対的に強い時の薄紙の状態を示している。
押圧力に関わらず、薄紙は、ガイド部483に対して安定した状態で、搬送される。
【0036】
図5(c)は、バネ482の押圧力が相対的に弱い時の厚紙の状態を示している。
図5(d)は、押圧力が相対的に強い時の厚紙の状態を示している。
押圧力が相対的に弱い
図5(c)の状態では、コシの強い厚紙が、ガイド部483を押し上げた状態になっている。一方、押圧力が相対的に強い
図5(d)の状態では、バネ482の圧とガイド部483によって、用紙が押しつけられ、安定した状態になっている。
すなわち、メディアセンサ14を通過している用紙の状態は、用紙の特性に応じたものとなる。
【0037】
図6は、薄紙と厚紙が通紙する時のメディアセンサ14で取得する反射光量のプロットを示す図である。用紙Sが薄紙の時に、フォトダイオード480によって得られる反射光量のプロットを
図6(a)に、厚紙の時に得られる反射光量のプロットを
図6(b)に示す。
【0038】
図6(a)のように、薄紙の時は、押圧力に拘わらず用紙Sが安定してガイド部483に沿って搬送されるため、押圧力が相対的に弱い場合も(251)、押圧力が相対的に強い場合も(252)、反射光量の平均値、バラツキの大きさともに変化しないか、微小な変化量である(250)。即ち、押圧力が第1の値のときの反射光量の平均値、バラツキの大きさは、押圧力が第2の値(>第1の値)のときの反射光量の平均値、バラツキの大きさと同じか、その差は微小である。
【0039】
一方、
図6(b)のように、厚紙の時には、押圧力が相対的に強くなると(257)、押圧力が相対的に弱い場合(25
6)に比べ、平均値が大きくなりバラツキが小さくなる(255)。押圧力が相対的に弱い(256)時には、用紙Sがガイド部483に沿って安定して搬送されていないのに対して、押圧力が相対的に強い(257)時には、安定して搬送されるからである。即ち、押圧力が第1の値のときの反射光量の平均値は、押圧力が第2の値のときの反射光量の平均値よりも小さく、押圧力が第2の値のときの反射光量のバラツキの大きさは、押圧力が第2の値のときの反射光量のバラツキの大きさよりも小さくなる。
なお、図示しないが、普通紙(薄紙と厚紙の間の厚さの用紙)が通紙する時のメディアセンサ14で取得する反射光量は、
図6(a)、
図6(b)と区別可能なものとなる。
このように、用紙の厚さに応じて、フォトダイオード480の入力信号は異なるものとなる。また、図示しないが、用紙の表面性に応じても、フォトダイオード480の入力信号は異なるものとなる。すなわち、メディアセンサ14を用紙が通過している際のフォトダイオード480の入力信号は、用紙の特性に応じたものとなる。
【0040】
CPU10は、フォトダイオード480の入力信号をメディアセンサ14の出力値として受信する。そして、CPU10は、用紙毎の受信値の違いに従って、通紙されている用紙の種類(用紙Sの厚みや表面性)を判別(検出)することが可能である。そしてCPU10は、ここで検出した用紙種類に従って、画像形成速度、二次転写部140に印加する転写バイアス、定着器170の温度等を最適に制御することが可能である。さらに、CPU10は、ここで検出した用紙種類を、RAM12に記憶する。
【0041】
なお、上述のように、本実施形態で説明するメディアセンサ14は、搬送路上に配置されており、そのメディアセンサ14上を用紙が通過することで用紙種類を判別する構成である。従って、検知自体は用紙を搬送しながら行うことができる。なお、メディアセンサ14の位置で用紙搬送を一旦停止させた状態で検知を行うようにしてもよい。
【0042】
以上、本実施形態で使用するメディアセンサ14の構成の一例を説明した。なお、上記説明したメディアセンサ14の構成は一例であり、本発明はこの構成に限定されるものでは無い。例えば、本実施形態で説明した発光素子、受光素子に加えて、圧電素子などの超音波センサを組み合わせる方法なども有効である。その様な構成の場合には、超音波センサの受信信号を用いて、用紙の厚みだけでなく表面性(表面に所定のコーティングがされているコート紙か、コーティングのない紙か等)を検出することも可能となり、さらに高精度に用紙種類を判別することが可能である。それら他の構成を備えるメディアセンサ14であってもよい。
【0043】
<用紙種類指定の説明>
次に、
図7を用いて、本発明実施形態に関わるメディアと、それに伴う制御について説明する。
図7は、用紙の種類と画像形成条件の一例を示す図である。
図7の例では、用紙種類として、坪量60g~75g紙を「薄紙」、坪量76g~105g紙を「普通紙」、坪量106g~150g紙を「厚紙」と定義して分類している。この場合、ユーザは操作部13から、これら3種類のいずれかのメディアを指定して入力することが可能である。プリント動作時には、このように指定された用紙の種類(すなわちメディア特性)及びメディアセンサ14を用いて検出された用紙の種類(すなわちメディア特性)に基づいて決定されるプロセススピード、転写バイアス、定着温度で制御が行われる。
【0044】
プロセススピードは、搬送ローラ155、レジストローラ161、中間転写ベルト130、加圧ローラ205等が用紙を搬送する速度を示しており、画像形成速度ともいう。
転写バイアスは、二次転写部140に到達した用紙とトナー像に対し印加する電流値を示している。
定着温度は、定着ヒータ204の目標温度を示している。
このように、用紙の種類ごとに(すなわちメディア特性ごとに)、対応する画像形成条件を示す情報が、例えばROM11内に予め記憶されている。
【0045】
なお、これらは一例であり、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、坪量に関する特性のみでなく、他の特性(例えば後述するように表面性に関する特性)も含めて用紙の種類を分類してもよく、このようなメディア特性ごとに対応する画像形成条件が決められていてもよい。また、例えば、操作部13以外の、画像形成装置100に対応するプリンタドライバを有する、画像形成装置100と通信可能なパーソナルコンピュータ等の情報処理装置のプリンタドライバ画面から、用紙種類(メディア特性)を指定入力する構成でもよい。
【0046】
以下、
図8のフローチャートを用いて、本実施形態における画像形成装置の動作概要について説明する。
図8は、本実施形態における画像形成装置の動作概要を説明するフローチャートである。本フローチャートに示す手順はプログラムとしてROM11に記憶され、CPU10によって実行されることにより実現される。
【0047】
S801において、CPU10は、印刷ジョブを受け付けたかどうかをチェックする。操作部13によりユーザが各種設定(用紙の種類の指定を含む)を行った後にプリント動作開始を指示すると、CPU10は、印刷ジョブを受け付けたと判断し、S802に処理を進める。なお、給紙段ごとに収容されている用紙種類が設定されている場合には、給紙段を指定することにより、用紙種類(すなわちメディア特性)が指定されたものとしてもよい。
【0048】
S802において、CPU10は、指定された給紙段から該給紙段に設定されている用紙種類に応じたプロセススピードで給紙搬送モータ150を駆動し、用紙の搬送を開始する。
【0049】
次にS803において、CPU10は、用紙がメディアセンサ14に到達したタイミングからメディア検知を開始し、検知した結果から用紙種類(すなわちメディア特性)を確定する。
次にS804において、CPU10は、上記S803において確定した用紙種類(メディア検知結果)に対応するプロセススピードが、操作部13により指定された用紙種類に対応するプロセススピードと同じであるかを判断する。そして、同じプロセススピードである場合(S804でYesの場合)、CPU10は、S806に処理を進める。この場合、S806において、CPU10は、上記S804で確定した用紙種類(すなわち検知されたメディア特性)に対応する画像形成条件(プロセススピード、転写バイアス、定着温調温度)を決定し、RAM12に保存する。
【0050】
次にS807において、CPU10は、上記S806にて決定した条件で画像形成及び用紙への定着処理を実行する。具体的には、CPU10は、RAM12のデータを読み出し、プロセススピードに応じた速度で給紙搬送モータ150を駆動し、転写バイアスに応じて画像形成部17で高圧出力し、定着温調温度に応じて定着器170を制御する。
【0051】
次にS808において、CPU10は、上記S807で画像形成したページが最終ページかどうか判断する。まだ最終ページでない場合(S808でNoの場合)、CPU10は、S802に処理を戻し、次のページの処理に移行する。
一方、上記S807で画像形成したページが最終ページである場合(S808でYesの場合)、CPU10は、S809に処理を進める。S809において、CPU10は、停止処理を行い、本フローチャートの処理を終了する。
【0052】
また、上記S803で確定した用紙種類(メディア検知結果)に対応するプロセススピードが、操作部13により指定された用紙種類に対応するプロセススピードと異なる場合(S804でNoの場合)、CPU10は、S805に処理を進める。
【0053】
S805において、CPU10は、上記S803で確定された用紙種類を、操作部13により指定された用紙種類と同一プロセススピード内で、検知結果に一番近い特性を有する用紙種類へと変更する。なお、上記指定された用紙種類と同一プロセススピード内で検知結果に一番近い特性を有する用紙種類を決定する方法については後述する。そして、S805の処理の後、CPU10は、S806に処理を進める。この場合、S806において、CPU10は、上記S805で書き換えたメディア検知結果が示す用紙種類に基づいた画像形成条件(プロセススピード、転写バイアス、定着温調温度)を決定し、RAM12に保存する。すなわち、CPU10は、指定されたメディア特性にと検知されたメディア特性とで画像形成速度が異なる場合、前記指定されたメディア特性に対応する画像形成速度を含む画像形成条件の範囲内で、前記検知されたメディア特性に基づき、画像形成条件を決定する。特に、この例では、指定されたメディア特性と画像形成速度が同じメディア特性のうち、検知されたメディア特性と最も近いメディア特性に対応する画像形成条件に決定する。
【0054】
ここで、
図8のS805におけるメディア検知結果の書き換え方(指定された用紙種類と同一プロセススピード内で検知結果に一番近い特性を有する用紙種類を決定する方法)、つまりは制御に用いる用紙種類の決定方法について、詳細に説明する。
具体的には、操作部13により指定された用紙種類と、
図8のS803で確定した用紙種類の組み合わせにより、
図8のS806の画像形成条件決定時に使用する用紙種類がどの用紙種類になるかについて、
図9を用いて説明する。
【0055】
図9は、
図8のS805におけるUI設定とメディア検知結果から決まる制御(制御に用いる用紙種類)の説明図である。
パターンAは、操作部13から「薄紙」が設定され、メディア検知結果が「厚紙」の場合を説明する。この場合、
図7にて説明した通り、薄紙のプロセススピードは「200mm/s」で、厚紙のプロセススピードが「100mm/s」で異なるので、
図8のS804でNoとなり、S805へと移行する。S805では、操作部13から設定されている「薄紙」と同一プロセススピード内で検知結果に一番近い特性を有する用紙種類を選択するが、「薄紙」と同じプロセススピードを持つ用紙種類は「普通紙」である。検知結果は「厚紙」であり、坪量としては「106g~150g」なので、薄紙(60g~75g)と普通紙(76g~105g)で厚紙の坪量(106g~150g)に最も近いのは「普通紙」であるので、制御としては「普通紙」を採用することになる。
【0056】
パターンBは、操作部13から薄紙が設定され、メディア検知結果が普通紙の場合を説明する。この場合、「薄紙」のプロセススピードは「200mm/s」で、「普通紙」のプロセススピードが「200mm/s」で同じため、S804でYesとなり、S806へと移行し、メディア検知結果である「普通紙」で制御する。
【0057】
パターンCは、操作部13から「厚紙」が設定され、メディア検知結果が「普通紙」の場合を説明する。この場合、厚紙のプロセススピードは「100mm/s」で、普通紙のプロセススピードが「200mm/s」で異なるので、S804でNoとなり、S805へと移行する。S805では、操作部13から設定されている「厚紙」と同一プロセススピード内で検知結果に一番近い特性を有する用紙種類を選択するが、「厚紙」と同じプロセススピードを持つ用紙種類は「厚紙」以外に無いので、制御としては「厚紙」を採用することになる。
【0058】
図10は、制御条件とメディアの検知結果の対応を示す概念図である。
行1001はプロセススピード示す。本実施形態の画像形成装置では「200mm/s」と「100mm/s」の2つの速度を有する。
【0059】
行1002は用紙種類を示す。前述したように本実施形態の画像形成装置では、「薄紙」、「普通紙」、「厚紙」の3つの用紙種類に対応している。用紙種類が「薄紙」、「普通紙」の場合は、プロセススピードは「200mm/s」に対応し、「厚紙」の場合は「100mm/s」に対応している。
【0060】
行1003は、検知結果の概念を示す。ある種類の用紙をメディアセンサ14で繰り返し検知した場合、検知結果はある幅をもってばらつきが生じる。用紙Dは、ばらつきの範囲が全て「普通紙」の領域に含まれることを示す。用紙Eのばらつき範囲は「厚紙」と「普通紙」の画像形成速度が異なる領域に跨っている。用紙Fのばらつき範囲は「薄紙」と「普通紙」の画像形成速度が同じ領域に跨っている。
【0061】
用紙Eを用いて印刷した場合には、検知結果が「普通紙」と「厚紙」でばらつくことがある。このため、従来技術では、用紙Eを用いて印刷した場合、検知結果がばらつく度にジョブの中断/プロセススピードの変更が行なわれ、生産性が低下してしまう。これに対して、本実施形態では、UI設定の用紙種類のプロセススピードで用紙の搬送を開始し、そのプロセススピードを変更しないため、生産性が低下することなく印刷を行うことが可能となる。
【0062】
また、用紙Fを用いて印刷した場合には、検知結果が「薄紙」と「普通紙」でばらつくことがある。この場合、「薄紙」と「普通紙」で同一プロセススピードであるので、プロセススピードを変更しないため、生産性を低下させることなくメディア検知結果で制御可能となる。
【0063】
以上説明したように、ユーザが指定したメディアと、メディアセンサの検知結果が異なった場合でも、従来のようにジョブを中断することなく動作するので、生産性が低下することなくユーザの利便性向上を図ることが可能になる。
【0064】
上述の例では、メディア検知結果から用紙種類(坪量に関する特性により分類される)を決定することによって、画像形成条件を決定していたが、メディアセンサで用紙の表面性(コート紙/上質紙)も検知して判断することも可能である。
【0065】
図11は、表面性に対応した例における用紙の種類と画像形成条件を示す図である。
図11に示す例では、用紙種類が、坪量に関する特性及び表面性に関する特性により分類されている例を示す。画像形成装置100は、用紙種類として、坪量60g~75gの表面性がコート紙の「薄紙コート紙」、坪量76g~105gの表面性がコート紙の「普通紙コート紙」、坪量106g~150gの表面性がコート紙の「厚紙コート紙」にも対応している。なお、「薄紙」、「普通紙」及び「厚紙」の表面性は、コートされていない「上質紙」とする。
【0066】
この場合の
図8のS805における制御について詳細に説明する。具体的には操作部13により指定された用紙種類と、
図8のS803で確定した用紙種類の組み合わせにより、S806の画像形成条件決定時に使用する用紙種類がどうなるかについて、
図12を用いて説明する。
図12は、表面性に対応した例における指定された用紙種類とメディア検知結果から決まる制御を説明する図である。
【0067】
パターンGは、操作部13から「薄紙コート紙」が設定され、メディア検知結果が「厚紙コート紙」の場合を示している。この場合、「薄紙コート紙」のプロセススピードは「100mm/s」で、「厚紙コート紙」のプロセススピードも「100mm/s」で同じため、
図8のS804でYesとなり、S806へと移行し、メディア検知結果である「厚紙コート紙」で制御する。
【0068】
パターンHは、操作部13から「薄紙」が設定され、メディア検知結果が「薄紙コート紙」の場合を示している。この場合、「薄紙」のプロセススピードは「200mm/s」で、「薄紙コート紙」のプロセススピードが「100mm/s」で異なるので、S804でNoとなり、S805へと移行する。S805では、操作部13から設定されている「薄紙」と同一プロセススピード内で検知結果に一番近い用紙種類を選択するが、同一プロセススピード(200mm/s)を持つ用紙種類は「普通紙」しかない。そして、検知した坪量は「60g~75g」なので、「薄紙」と「普通紙」のうち「薄紙コート紙」に一番近いのは坪量が同一の「薄紙」となり、制御としては「薄紙」を採用することになる。
【0069】
<表面性に対応した例の効果説明>
図13は、表面性に対応した例におけるメディア検知結果を説明する図である。
ある種類の用紙をメディアセンサ14で繰り返し検知した場合、検知結果はある幅をもってばらつきが生じる。用紙Iのばらつき範囲は「薄紙」と「薄紙コート紙」に跨っている。
図11に示したように、「薄紙」のプロセススピードは「200mm/s」で、「薄紙コート紙」のプロセススピードは「100mm/s」で異なる。すなわち、用紙Iのばらつき範囲は、画像形成速度が異なる領域に跨っている。
【0070】
また、用紙Jのばらつき範囲は「薄紙コート紙」と「普通紙コート紙」に跨っている。
図11に示したように、「薄紙コート紙」と「普通紙コート紙」のプロセススピードは「100mm/s」である。すなわち、用紙Iのばらつき範囲は、画像形成速度が同じ領域に跨っている。
【0071】
用紙Iを用いて印刷した場合には、検知結果が「薄紙」と「薄紙コート紙」でばらつくことがある。従来技術では、ばらつきを検知する度にジョブの中断/プロセススピードの変更を行い生産性が低下してしまう。これに対して、本実施形態では、UI設定の用紙種類のプロセススピードで用紙の搬送を開始し、そのプロセススピードを変更しないため、生産性が低下することなく印刷を行うことが可能となる。
【0072】
また、用紙Jを用いて印刷した場合には、検知結果が「薄紙コート紙」と「普通紙コート紙」でばらつくことがある。この場合は同一プロセススピードなので、生産性を低下させることなくメディア検知結果で制御可能としている。
【0073】
以上説明したように、坪量だけでなく表面性を考慮した場合においても、ユーザが指定したメディアと、メディアセンサの検知結果が異なった場合でも、ジョブを中断することなく動作するのでユーザの利便性向上を図ることが可能になる。
【0074】
以上、本実施形態では、メディアセンサを備えた画像形成装置において、メディアセンサの検知結果がユーザ指定メディアと異なった場合に、ユーザ指定メディアの画像形成条件からダウンタイムが発生しない範囲で画像形成条件を切り替える。これにより、プロセススピード(画像形成速度)変更に起因するダウンタイム発生の防止によるユーザの利便性の向上と、成果物の品位の向上を実現することができる。
【0075】
なお、上述した各種データの構成及びその内容はこれに限定されるものではなく、用途や目的に応じて、様々な構成や内容で構成されることは言うまでもない。
以上、一実施形態について示したが、本発明は、例えば、システム、装置、方法、プログラムもしくは記憶媒体等としての実施態様をとることが可能である。具体的には、複数の機器から構成されるシステムに適用しても良いし、また、一つの機器からなる装置に適用しても良い。
また、上記各実施形態を組み合わせた構成も全て本発明に含まれるものである。
【0076】
(その他の実施形態)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
また、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用しても、1つの機器からなる装置に適用してもよい。
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形(各実施形態の有機的な組合せを含む)が可能であり、それらを本発明の範囲から除外するものではない。即ち、上述した各実施形態及びその変形例を組み合わせた構成も全て本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0077】
10 CPU
11 ROM
12 RAM
13 操作部(UI)
14 メディアセンサ
17 画像形成部
150 給紙搬送モータ
170 定着器