(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-08
(45)【発行日】2024-03-18
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/16 20060101AFI20240311BHJP
G03G 15/08 20060101ALI20240311BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20240311BHJP
【FI】
G03G21/16 133
G03G15/08 343
G03G21/00 386
(21)【出願番号】P 2020070947
(22)【出願日】2020-04-10
【審査請求日】2023-04-07
(31)【優先権主張番号】P 2019120819
(32)【優先日】2019-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】蒲生 洋平
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 謙造
(72)【発明者】
【氏名】秋葉 和宏
(72)【発明者】
【氏名】前田 雄一郎
【審査官】鳥居 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-072361(JP,A)
【文献】特開2019-174725(JP,A)
【文献】特開2019-109327(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/16
G03G 15/08
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電像が形成される像担持体と、
前記像担持体に形成された静電像を、トナーを含む現像剤を用いて現像する現像装置と、
前記現像装置に補給するためのトナーを収容するトナー収容容器と、
前記トナー収容容器を装着するための装着部と、
開状態と、閉状態と、に開閉可能な第1カバーと、
前記第1カバーを開閉可能に露出する開状態と、前記第1カバーを遮蔽する閉状態と、に開閉可能な第2カバーと、を備え、
前記装着部に前記トナー収容容器が装着されていない状態であり、且つ、前記第1カバーが前記開状態であり、且つ、前記第2カバーが前記開状態である場合に、前記装着部に前記トナー収容容器を装着する装着動作が可能であり、
前記装着部に前記トナー収容容器が装着されていない状態であり、且つ、前記第1カバーが前記閉状態であり、且つ、前記第2カバーが前記開状態である場合に、前記装着部に前記トナー収容容器を装着する前記装着動作が不可能であり、
前記装着部に前記トナー収容容器が装着されている状態であり、且つ、前記トナー収容容器に収容されているトナーの量が所定量よりも少ない状態であり、且つ、前記第2カバーが前記開状態である場合に、前記第1カバーは前記開状態であり、
前記装着部に前記トナー収容容器が装着されている状態であり、且つ、前記トナー収容容器に収容されているトナーの量が前記所定量よりも少ない状態であり、且つ、前記第1カバーが前記開状態であり、且つ、前記第2カバーが前記開状態である場合に、ユーザによって前記装着部から前記トナー収容容器が取り外されて、その後、前記装着部にトナー収容容器が装着されていない状態で、ユーザによって前記第1カバーが閉められた場合に、前記第1カバーが前記閉状態から前記開状態になるように前記第1カバーは開放される、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
駆動装置と、
前記駆動装置の駆動方向を切り替えることにより、第1回転方向及び前記第1回転方向とは反対の第2回転方向のいずれかに回転駆動される駆動ギヤと、
駆動力が入力される回転可能な回転軸と、を備え、
前記装着部に前記トナー収容容器が装着されている状態で、前記駆動ギヤが前記第1回転方向に回転駆動された場合に、前記駆動ギヤを介して伝達される駆動力は前記回転軸に入力されず、
前記装着部に前記トナー収容容器が装着されている状態で、前記駆動ギヤが前記第2回転方向に回転駆動された場合に、前記駆動ギヤを介して伝達される駆動力は前記回転軸に入力され、前記回転軸に駆動力が入力されることにより前記回転軸が所定方向に回転駆動されることに伴って、前記第1カバーが前記閉状態から前記開状態になるように前記第1カバーは開放される、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記トナー収容容器は、駆動力が入力される入力ギヤを有し、回転可能であり、
前記装着部に前記トナー収容容器が装着されている状態で、前記駆動ギヤが前記第1回転方向に回転駆動された場合に、前記駆動ギヤを介して伝達される駆動力が前記入力ギヤに入力されることにより、前記トナー収容容器に収容された前記トナーが前記トナー収容容器から排出されるよう、前記トナー収容容器は第3回転方向に回転駆動され、
前記装着部に前記トナー収容容器が装着されている状態で、前記駆動ギヤが前記第2回転方向に回転駆動された場合に、前記駆動ギヤを介して伝達される駆動力が前記入力ギヤに入力されることにより、前記トナー収容容器は前記第3回転方向とは反対の第4回転方向に回転駆動される、
ことを特徴とする請求
項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第1カバーが前記開状態であることを検知する開閉検知部と、
前記トナー収容容器に収容されているトナーの量が前記所定量よりも少ない状態である場合に、前記開閉検知部によって前記第1カバーが前記開状態であることが検知されるまで、前記駆動ギヤが前記第2回転方向に回転駆動されるよう前記駆動装置を制御する制御部と、を備える、
ことを特徴とする請求項
2又は3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記トナー収容容器に収容されているトナーの量に関する情報を検知するトナー量検知部と、
前記トナー量検知部によって前記トナー収容容器に収容されているトナーの量が前記所定量よりも少ないことが検知された場合に、前記トナー収容容器の交換が必要であることを示す情報を表示する表示部と、を備える、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記装着部に前記トナー収容容器が装着されていることを検知する装着検知部と、
前記装着検知部によって前記装着部に前記トナー収容容器が装着されていることが検知されなかった場合に、前記装着部に前記トナー収容容器が装着されていないことを示す情報を表示する表示部と、を備える、
ことを特徴とする
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
静電像が形成される像担持体と、
前記像担持体に形成された静電像を、トナーを含む現像剤を用いて現像する現像装置と、
前記現像装置に補給するためのトナーを収容するトナー収容容器と、
前記トナー収容容器を装着するための装着部と、
開状態と、閉状態と、に開閉可能な第1カバーと、
前記第1カバーを開閉可能に露出する開状態と、前記第1カバーを遮蔽する閉状態と、に開閉可能な第2カバーと、
前記第1カバーを前記閉状態にロックするロック部と、を備え、
前記装着部に前記トナー収容容器が装着されていない状態であり、且つ、前記第1カバーが前記開状態であり、且つ、前記第2カバーが前記開状態である場合に、前記装着部に前記トナー収容容器を装着する装着動作が可能であり、
前記装着部に前記トナー収容容器が装着されていない状態であり、且つ、前記第1カバーが前記閉状態であり、且つ、前記第2カバーが前記開状態である場合に、前記装着部に前記トナー収容容器を装着する装着動作が不可能であり、
前記ロック部による前記第1カバーのロックが解除された状態であり、且つ、前記第2カバーが前記開状態である場合に、前記第1カバーは前記開状態であり、
前記装着部に前記トナー収容容器が装着されている状態であり、且つ、前記トナー収容容器に収容されているトナーの量が所定量よりも少ない状態である場合に、前記ロック部による前記第1カバーのロックが解除された状態であり、
前記装着部に前記トナー収容容器が装着されている状態であり、且つ、前記トナー収容容器に収容されているトナーの量が前記所定量よりも少ない状態であり、且つ、前記第1カバーが前記開状態であり、且つ、前記第2カバーが前記開状態である場合に、ユーザによって前記装着部から前記トナー収容容器が取り外されて、その後、前記装着部にトナー収容容器が装着されていない状態で、ユーザによって前記第1カバーが閉められた場合に、前記第1カバーが前記閉状態から前記開状態になるように前記第1カバーは開放される、
ことを特徴とす
る画像形成装置。
【請求項8】
駆動装置と、
前記駆動装置の駆動方向を切り替えることにより、第1回転方向及び前記第1回転方向とは反対の第2回転方向のいずれかに回転駆動される駆動ギヤと、
駆動力が入力される回転可能な回転軸と、を備え、
前記装着部に前記トナー収容容器が装着されている状態で、前記駆動ギヤが前記第1回転方向に回転駆動された場合に、前記駆動ギヤを介して伝達される駆動力は前記回転軸に入力されず、
前記装着部に前記トナー収容容器が装着されている状態で、前記駆動ギヤが前記第2回転方向に回転駆動された場合に、前記駆動ギヤを介して伝達される駆動力は前記回転軸に入力され、前記回転軸に駆動力が入力されることにより前記回転軸が所定方向に回転駆動されることに伴って、前記ロック部による前記第1カバーのロックが解除された状態になる、
ことを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記トナー収容容器は、駆動力が入力される入力ギヤを有し、回転可能であり、
前記装着部に前記トナー収容容器が装着されている状態で、前記駆動ギヤが前記第1回転方向に回転駆動された場合に、前記駆動ギヤを介して伝達される駆動力が前記入力ギヤに入力されることにより、前記トナー収容容器に収容された前記トナーが前記トナー収容容器から排出されるよう、前記トナー収容容器は、第3回転方向に回転駆動され、
前記装着部に前記トナー収容容器が装着されている状態で、前記駆動ギヤが前記第2回転方向に回転駆動された場合に、前記駆動ギヤを介して伝達される駆動力が前記入力ギヤに入力されることにより、前記トナー収容容器は前記第3回転方向とは反対の第4回転方向に回転駆動される、
ことを特徴とする請求
項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記第1カバーが前記開状態であることを検知する開閉検知部と、
前記トナー収容容器に収容されているトナーの量が前記所定量よりも少ない状態である場合に、前記開閉検知部によって前記第1カバーが前記開状態であることが検知されるまで、前記駆動ギヤが前記第2回転方向に回転駆動されるよう前記駆動装置を制御する制御部と、を備える、
ことを特徴とする請求項8又は9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記トナー収容容器に収容されているトナーの量に関する情報を検知するトナー量検知部と、
前記トナー量検知部によって前記トナー収容容器に収容されているトナーの量が前記所定量よりも少ないことが検知された場合に、前記トナー収容容器の交換が必要であることを示す情報を表示する表示部と、を備える、
ことを特徴とする請求項7乃至10のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記装着部に前記トナー収容容器が装着されていることを検知する装着検知部と、
前記装着検知部によって前記装着部に前記トナー収容容器が装着されていることが検知されなかった場合に、前記装着部に前記トナー収容容器が装着されていないことを示す情報を表示する表示部と、を備える、
ことを特徴とする請求項7乃至11のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項13】
静電像が形成される像担持体と、
前記像担持体に形成された静電像を、トナーを含む現像剤を用いて現像する現像装置と、
前記現像装置に補給するためのトナーを収容するトナー収容容器と、
前記トナー収容容器を装着するための装着部と、
開状態と、閉状態と、に開閉可能なカバーと、を備え、
前記装着部に前記トナー収容容器が装着されていない状態であり、且つ、前記カバーが前記開状態である場合に、前記装着部に前記トナー収容容器を装着する装着動作が可能であり、
前記装着部に前記トナー収容容器が装着されていない状態であり、且つ、前記カバーが前記閉状態である場合に、前記装着部に前記トナー収容容器を装着する装着動作が不可能であり、
前記装着部に前記トナー収容容器が装着されている状態であり、且つ、前記トナー収容容器に収容されているトナーの量が所定量よりも少ない状態である場合に、前記カバーは前記開状態であり、
前記装着部に前記トナー収容容器が装着されている状態であり、且つ、前記トナー収容容器に収容されているトナーの量が前記所定量よりも少ない状態であり、且つ、前記カバーが前記開状態である場合に、ユーザによって前記装着部から前記トナー収容容器が取り外されて、その後、前記装着部にトナー収容容器が装着されていない状態で、ユーザによって前記カバーが閉められた場合に、前記カバーが前記閉状態から前記開状態になるように前記カバーは開放される、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項14】
前記像担持体は、第1像担持体であり、
前記現像装置は、第1現像装置であり、
前記トナー収容容器は、第1トナー収容容器であり、
前記装着部は、第1装着部であり、
前記カバーは、第1カバーであり、
静電像が形成される第2像担持体と、
前記第2像担持体に形成された静電像を、トナーを含む現像剤を用いて現像する第2現像装置と、
前記第2現像装置に補給するためのトナーを収容する第2トナー収容容器と、
前記第2トナー収容容器を装着するための第2装着部と、
開状態と、閉状態と、に開閉可能な第2カバーと、を備え、
前記第2装着部に前記第2トナー収容容器が装着されていない状態であり、且つ、前記第2カバーが前記開状態である場合に、前記第2装着部に前記第2トナー収容容器を装着する装着動作が可能であり、
前記第2装着部に前記第2トナー収容容器が装着されていない状態であり、且つ、前記第2カバーが前記閉状態である場合に、前記第2装着部に前記第2トナー収容容器を装着する装着動作が不可能であり、
前記第2装着部に前記第2トナー収容容器が装着されている状態であり、且つ、前記第2トナー収容容器に収容されているトナーの量が所定量よりも少ない状態である場合に、前記第2カバーは前記開状態になり、
前記第2装着部に前記第2トナー収容容器が装着されている状態であり、且つ、前記第2トナー収容容器に収容されているトナーの量が前記所定量よりも少ない状態であり、前記第2カバーが前記開状態である場合に、ユーザによって前記第2装着部から前記第2トナー収容容器が取り外されて、その後、前記第2装着部に第2トナー収容容器が装着されていない状態で、ユーザによって前記第2カバーが閉められた場合に、前記第2カバーが前記閉状態から前記開状態になるように前記第2カバーは開放される、
ことを特徴とする請求項13に記載の画像形成装置。
【請求項15】
駆動装置と、
前記駆動装置の駆動方向を切り替えることにより、第1回転方向及び前記第1回転方向とは反対の第2回転方向のいずれかに回転駆動される駆動ギヤと、
駆動力が入力される回転可能な回転軸と、を備え、
前記装着部に前記トナー収容容器が装着されている状態で、前記駆動ギヤが前記第1回転方向に回転駆動された場合に、前記駆動ギヤを介して伝達される駆動力は前記回転軸に入力されず、
前記装着部に前記トナー収容容器が装着されている状態で、前記駆動ギヤが前記第2回転方向に回転駆動された場合に、前記駆動ギヤを介して伝達される駆動力は前記回転軸に入力され、前記回転軸に駆動力が入力されることにより前記回転軸が所定方向に回転駆動されることに伴って、前記カバーが前記閉状態から前記開状態になるように前記カバーは開放される、
ことを特徴とする請求項13又は14に記載の画像形成装置。
【請求項16】
前記トナー収容容器は、駆動力が入力される入力ギヤを有し、回転可能であり、
前記装着部に前記トナー収容容器が装着されている状態で、前記駆動ギヤが前記第1回転方向に回転駆動された場合に、前記駆動ギヤを介して伝達される駆動力が前記入力ギヤに入力されることにより、前記トナー収容容器に収容された前記トナーが前記トナー収容容器から排出されるよう、前記トナー収容容器は、第3回転方向に回転駆動され、
前記装着部に前記トナー収容容器が装着されている状態で、前記駆動ギヤが前記第2回転方向に回転駆動された場合に、前記駆動ギヤを介して伝達される駆動力が前記入力ギヤに入力されることにより、前記トナー収容容器は、前記第3回転方向とは反対の第4回転方向に回転駆動される、
ことを特徴とする請求項15に記載の画像形成装置。
【請求項17】
前記カバーが前記開状態であることを検知する開閉検知部と、
前記トナー収容容器に収容されているトナーの量が前記所定量よりも少ない状態である場合に、前記開閉検知部によって前記カバーが前記開状態であることが検知されるまで、前記駆動ギヤが前記第2回転方向に回転駆動されるよう前記駆動装置を制御する制御部と、を備える、
ことを特徴とする請求項15又は16に記載の画像形成装置。
【請求項18】
前記トナー収容容器に収容されているトナーの量に関する情報を検知するトナー量検知部と、
前記トナー量検知部によって前記トナー収容容器に収容されているトナーの量が前記所定量よりも少ないことが検知された場合に、前記トナー収容容器の交換が必要であることを示す情報を表示する表示部と、を備える、
ことを特徴とする請求項13乃至17のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項19】
前記装着部に前記トナー収容容器が装着されていることを検知する装着検知部と、
前記装着検知部によって前記装着部に前記トナー収容容器が装着されていることが検知されなかった場合に、前記装着部に前記トナー収容容器が装着されていないことを示す情報を表示する表示部と、を備える、
ことを特徴とする請求項13乃至18のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、これらの複数の機能を有する複合機などの画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置として、トナーが充填された現像剤収容容器(以下、トナー容器という)を装置本体に対して着脱可能に設けたものが普及している。一般的には、トナー容器内のトナー残量が少なくなり、現像装置に対して所望のトナー量を供給できなくなった場合は、制御部は表示部にトナー容器の交換を促す表示を行い、ユーザにトナー容器の交換時期に達したことを知らせる。
【0003】
また、画像形成装置として、装置本体の前面に設けられた前カバー(第2カバー)とは別に、前カバーの内側に、トナー容器用の各挿入口を開閉可能にした小扉(第1カバー)を設けた構成が提案されている(特許文献1参照)。この画像形成装置では、トナー容器のトナーが無くなってから表示された交換指示に従ってユーザが前カバーを開くと、トナーが無くなったトナー容器に対応した小扉のみが自動で開く。ユーザがトナー容器を交換して、小扉を閉め、前カバーを閉じると、交換後のトナー容器からトナーが装置本体に補給される。尚、トナー容器が未装着であった場合には、その旨が表示され、トナー容器が装着されるまで画像形成動作は行われない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1の画像形成装置では、トナー容器が未装着であった場合には、小扉及び前カバーを閉じてから、トナー容器が未装着である旨が表示される。このため、ユーザはその時点でトナーが未装着であることに気が付き、それから前カバーを手動で開けて、小扉が自動で開いてから、新しいトナー容器を装着しなければならず、前カバーを開ける作業が必要になり煩雑になってしまう。
【0006】
本発明は、現像剤収容容器の未装着時の操作性を向上可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の画像形成装置は、静電像が形成される像担持体と、前記像担持体に形成された静電像を、トナーを含む現像剤を用いて現像する現像装置と、前記現像装置に補給するためのトナーを収容するトナー収容容器と、前記トナー収容容器を装着するための装着部と、開状態と、閉状態と、に開閉可能な第1カバーと、前記第1カバーを開閉可能に露出する開状態と、前記第1カバーを遮蔽する閉状態と、に開閉可能な第2カバーと、を備え、前記装着部に前記トナー収容容器が装着されていない状態であり、且つ、前記第1カバーが前記開状態であり、且つ、前記第2カバーが前記開状態である場合に、前記装着部に前記トナー収容容器を装着する装着動作が可能であり、前記装着部に前記トナー収容容器が装着されていない状態であり、且つ、前記第1カバーが前記閉状態であり、且つ、前記第2カバーが前記開状態である場合に、前記装着部に前記トナー収容容器を装着する前記装着動作が不可能であり、前記装着部に前記トナー収容容器が装着されている状態であり、且つ、前記トナー収容容器に収容されているトナーの量が所定量よりも少ない状態であり、且つ、前記第2カバーが前記開状態である場合に、前記第1カバーは前記開状態であり、前記装着部に前記トナー収容容器が装着されている状態であり、且つ、前記トナー収容容器に収容されているトナーの量が前記所定量よりも少ない状態であり、且つ、前記第1カバーが前記開状態であり、且つ、前記第2カバーが前記開状態である場合に、ユーザによって前記装着部から前記トナー収容容器が取り外されて、その後、前記装着部にトナー収容容器が装着されていない状態で、ユーザによって前記第1カバーが閉められた場合に、前記第1カバーが前記閉状態から前記開状態になるように前記第1カバーは開放されることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の画像形成装置は、静電像が形成される像担持体と、前記像担持体に形成された静電像を、トナーを含む現像剤を用いて現像する現像装置と、前記現像装置に補給するためのトナーを収容するトナー収容容器と、前記トナー収容容器を装着するための装着部と、開状態と、閉状態と、に開閉可能な第1カバーと、前記第1カバーを開閉可能に露出する開状態と、前記第1カバーを遮蔽する閉状態と、に開閉可能な第2カバーと、前記第1カバーを前記閉状態にロックするロック部と、を備え、前記装着部に前記トナー収容容器が装着されていない状態であり、且つ、前記第1カバーが前記開状態であり、且つ、前記第2カバーが前記開状態である場合に、前記装着部に前記トナー収容容器を装着する装着動作が可能であり、前記装着部に前記トナー収容容器が装着されていない状態であり、且つ、前記第1カバーが前記閉状態であり、且つ、前記第2カバーが前記開状態である場合に、前記装着部に前記トナー収容容器を装着する装着動作が不可能であり、前記ロック部による前記第1カバーのロックが解除された状態であり、且つ、前記第2カバーが前記開状態である場合に、前記第1カバーは前記開状態であり、前記装着部に前記トナー収容容器が装着されている状態であり、且つ、前記トナー収容容器に収容されているトナーの量が所定量よりも少ない状態である場合に、前記ロック部による前記第1カバーのロックが解除された状態であり、前記装着部に前記トナー収容容器が装着されている状態であり、且つ、前記トナー収容容器に収容されているトナーの量が前記所定量よりも少ない状態であり、且つ、前記第1カバーが前記開状態であり、且つ、前記第2カバーが前記開状態である場合に、ユーザによって前記装着部から前記トナー収容容器が取り外されて、その後、前記装着部にトナー収容容器が装着されていない状態で、ユーザによって前記第1カバーが閉められた場合に、前記第1カバーが前記閉状態から前記開状態になるように前記第1カバーは開放されることを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置は、静電像が形成される像担持体と、前記像担持体に形成された静電像を、トナーを含む現像剤を用いて現像する現像装置と、前記現像装置に補給するためのトナーを収容するトナー収容容器と、前記トナー収容容器を装着するための装着部と、開状態と、閉状態と、に開閉可能なカバーと、を備え、前記装着部に前記トナー収容容器が装着されていない状態であり、且つ、前記カバーが前記開状態である場合に、前記装着部に前記トナー収容容器を装着する装着動作が可能であり、前記装着部に前記トナー収容容器が装着されていない状態であり、且つ、前記カバーが前記閉状態である場合に、前記装着部に前記トナー収容容器を装着する装着動作が不可能であり、前記装着部に前記トナー収容容器が装着されている状態であり、且つ、前記トナー収容容器に収容されているトナーの量が所定量よりも少ない状態である場合に、前記カバーは前記開状態であり、前記装着部に前記トナー収容容器が装着されている状態であり、且つ、前記トナー収容容器に収容されているトナーの量が前記所定量よりも少ない状態であり、且つ、前記カバーが前記開状態である場合に、ユーザによって前記装着部から前記トナー収容容器が取り外されて、その後、前記装着部にトナー収容容器が装着されていない状態で、ユーザによって前記カバーが閉められた場合に、前記カバーが前記閉状態から前記開状態になるように前記カバーは開放されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、現像剤収容容器の未装着時の操作性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1の実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す斜視図である。
【
図2】第1の実施形態に係る画像形成装置の概略の断面図である。
【
図3】第1の実施形態に係る画像形成装置の制御系を示すブロック図である。
【
図4】第1の実施形態に係る画像形成装置の閉状態にある小扉を示す側面図である。
【
図5】第1の実施形態に係る画像形成装置の閉状態にある小扉と前カバーとトナー容器とを示す側面図である。
【
図6】第1の実施形態に係る画像形成装置の開状態にある小扉を示す側面図である。
【
図7】第1の実施形態に係る画像形成装置の開状態にある小扉と前カバーとトナー容器とを示す側面図である。
【
図8】第1の実施形態に係る画像形成装置において、トナー容器を交換する際の処理手順を示すフローチャートである。
【
図9】第2の実施形態に係る画像形成装置の断面図である。
【
図10】第2の実施形態に係る画像形成装置の概略の斜視図であり、(a)は前カバーが閉状態にある場合、(b)は前カバーが開状態にある場合である。
【
図11】第2の実施形態に係るトナー補給装置を示す斜視図であり、(a)は全てのトナー容器を装着して小扉を閉めた状態、(b)は一部の小扉を開放してトナー容器を取り出した状態である。
【
図12】第2の実施形態に係るトナーカートリッジ駆動装置を示す斜視図である。
【
図13】第2の実施形態に係るトナー補給装置を示す斜視図である。
【
図14】第2の実施形態に係る小扉を示す斜視図である。
【
図15】第2の実施形態に係るロック装置を示す側面図であり、(a)は小扉が閉じた状態、(b)は小扉が僅かに開いた状態、(c)は小扉が最大まで開いた状態である。
【
図16】第2の実施形態に係るロック装置を示す斜視図である。
【
図17】第2の実施形態に係るロック装置を示す別の角度から視た斜視図である。
【
図18】第2の実施形態に係るロック装置のシャフトとラッチ駆動部材とを示す斜視図である。
【
図19】(a)は第2の実施形態に係るラッチ駆動部材を示す斜視図であり、(b)はシャフトとラッチ駆動部材とを示す正面図である。
【
図20】第2の実施形態に係る画像形成装置の制御系を示すブロック図である。
【
図21】第2の実施形態に係る画像形成装置において、トナー容器を交換する際に小扉を開放する処理手順を示すフローチャートである。
【
図22】第2の実施形態に係る画像形成装置において、トナー容器を交換する際にトナー容器を装着する処理手順を示すフローチャートである。
【
図23】第3の実施形態に係る画像形成装置において、トナー容器を交換する際の処理手順を示すフローチャートの前半部である。
【
図24】第3の実施形態に係る画像形成装置において、トナー容器を交換する際の処理手順を示すフローチャートの後半部である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第1の実施形態>
以下、本発明の第1の実施形態を、
図1~
図8を参照しながら詳細に説明する。尚、第1の実施形態では、画像形成装置の一例としてタンデム型のフルカラープリンタについて説明している。但し、本発明はタンデム型の画像形成装置に限られず、他の方式の画像形成装置であってもよく、また、フルカラーであることにも限られず、モノクロやモノカラーであってもよい。
【0012】
[画像形成装置の全体構成]
図2に示すように、画像形成装置1は、装置本体10と、画像読取部20と、シート給送部30と、画像形成部40と、制御部70と、を備えている。
図1及び
図2に示すように、装置本体10の前側上部には、操作部11が設けられている。操作部11には、操作ボタンの他、画像形成装置1の状態を表示可能、かつ、タッチ操作可能なタッチパネルからなる操作パネル(表示手段)11aが設けられている。操作パネル11aは制御部70に接続され、制御部70からの情報を出力可能であると共に、ユーザのタッチ操作により制御部70に情報を入力可能である。尚、本明細書では、画像形成装置1の手前側を前方向F、奥側を後方向Bとして示す。
【0013】
図2に示すように、画像読取部20は、装置本体10の上部に設けられている。画像読取部20は、原稿載置台としての不図示のプラテンガラスと、プラテンガラスに載置された原稿に光を照射する不図示の光源と、反射光をデジタル信号に変換する不図示のイメージセンサ等を備えている。シート給送部30は、装置本体10の下部に配置されており、シートSを積載して収容するシートカセット31、給送ローラ32などを備えている。シート給送部30は、後述する中間転写ベルト44b上に転写されたトナー画像にタイミングを合わせて、収容されたシートSを画像形成部40に給送する。なお、記録材であるシートSは、トナー像が形成されるものであり、具体例として、普通紙、普通紙の代用品である樹脂製のシート、厚紙、オーバーヘッドプロジェクタ用シート等がある。
【0014】
画像形成部40は、画像形成ユニット80y,80m,80c,80kと、レーザスキャナ43と、中間転写ユニット44と、二次転写部45と、定着装置46とを備えている。画像形成部40は、画像情報に基づいてシートSに画像を形成可能である。第1の実施形態の画像形成装置1は、フルカラーに対応するものであり、画像形成ユニット80y,80m,80c,80kは、イエロー(y)、マゼンタ(m)、シアン(c)、ブラック(k)の4色それぞれに同様の構成で別個に設けられている。なお、画像形成装置1が備える4つの画像形成ユニット80y,80m,80c,80kは、現像色が異なることを除いて実質的に同一の構成を有する。したがって、以下、代表して画像形成ユニット80yについて説明し、他の画像形成ユニットの説明を省略する。
【0015】
第1の実施形態の場合、装置本体10には、後述する画像形成ユニット80yの現像装置83に補給する現像剤を収容したトナー容器(現像剤収容容器)42が装着されている。トナー容器42は、画像形成ユニット80y,80m,80c,80kと同様に、イエロー(y)、マゼンタ(m)、シアン(c)、ブラック(k)の4色それぞれに同様の構成で別個に設けられている。トナー容器42は、現像剤を収容可能であり、画像形成ユニット80yの上方に配置されている。トナー容器42は、装置本体10に設けられた穴形状の装着部12y(
図1参照)に対して着脱可能に装着されている。装着部12y,12m,12c,12kは、各色のトナー容器に対応して複数設けられている。
【0016】
トナー容器42は、例えば一端にトナー排出口を有する円筒形状のボトルであり、内周面に螺旋状の凸部を有し、回転により凸部がトナーをトナー容器42の後方向B側のトナー排出口に搬送する。装着部12yの後方向B側には不図示の補給機構が設けられており、装着部12yに装着されたトナー容器42の後方向B側の端部は、補給機構に接続される。補給機構にはトナー容器駆動モータ47(
図3参照)が設けられており、トナー容器駆動モータ47の駆動によりトナー容器42が回転してトナーを補給機構に搬送する。そして、補給機構が備えるポンプがトナー容器42の回転により動作することで、補給機構に搬送されたトナーを排出し、現像装置83に補給する。第1の実施形態では、トナーとして、ポリエステルを主体とした樹脂バインダに顔料を混練したものを粉砕及び分級して得られた平均粒径が約6μmのトナーを用いている。
【0017】
図1に示すように、装置本体10の前部に、装着部12y,12m,12c,12kに対応して、複数の小扉(第1カバー)13y,13m,13c,13kが、それぞれ開閉可能に設けられている。例えば、小扉13yが開放されている際には、トナー容器42は装置本体10に対して前面から着脱可能になる。同様に、小扉13m,13c,13kが各々開放されている際には、それぞれのトナー容器が装置本体10に対して前面から着脱可能になる。即ち、小扉13yは、装着部12yにトナー容器42を着脱可能にする開状態と、装着部12yにトナー容器42を着脱不能にする閉状態と、に開閉可能である。尚、小扉13yの詳細な構成については、後述する。
【0018】
装置本体10の前部には、前方向Fに回動することにより開閉可能な前カバー(第2カバー)14が設けられている。前カバー14は、小扉13yを開閉可能に露出する開状態と、小扉13yを遮蔽する閉状態と、に開閉可能である。即ち、前カバー14は、開状態において複数の小扉13y,13m,13c,13kを開閉可能に露出し、閉状態において複数の小扉13y,13m,13c,13kを遮蔽する。第1の実施形態では、1つの前カバー14で全ての小扉13y,13m,13c,13kを覆うようにしているが、複数(例えば2つ)の前カバーを有し、それぞれの前カバーが複数又は1つの小扉を覆うようにする構成であっても良い。
図1及び
図2に示すように、前カバー14は、小扉13y,13m,13c,13kに加えて、開閉により、画像形成ユニット80y,80m,80c,80kと中間転写ユニット44とを露出及び遮蔽可能としている。そして、前カバー14は、開放により、これらの何れかのユニットなどの交換や点検を可能としている。また、装置本体10には、前カバー14の開閉状態を検知可能なカバー開閉センサ(第2開閉検知手段)15が設けられている(
図4参照)。
【0019】
図2に示すように、画像形成ユニット80yは、トナー画像を形成する感光ドラム81と、帯電ローラ82と、現像装置83と、クリーニング装置84と、を備えている。第1の実施形態では、画像形成ユニット80yは、装置本体10に対して着脱可能である。例えば、画像形成ユニット80yは、これら全ての構成を含むプロセスカートリッジとして装置本体10に対して着脱可能としても良い。あるいは、現像装置83を現像カートリッジとして装置本体10に対して着脱可能とし、感光ドラム81、帯電ローラ82、クリーニング装置84を一体に構成したドラムカートリッジを現像カートリッジとは別に着脱可能としても良い。
【0020】
感光ドラム81は、不図示のドラムモータによって回転され、画像形成する際には、帯電ローラ82により表面が帯電される。帯電された感光ドラム81の表面に、レーザスキャナ43により画像情報に基づいてレーザ光が発光され、感光ドラム81の表面上に静電潜像が形成される。現像装置83は、現像容器に回転可能に設けられた現像スリーブ87を有し、感光ドラム81に形成された静電潜像をトナーにより現像して可視化する。現像装置83には、非磁性のトナーと磁性キャリアとの混合物である二成分現像剤が収容されており、トナーが充填されたトナー容器42からトナーが供給される。
【0021】
現像装置83の底部の一部には、トナー濃度センサ(残量検知手段)85(
図3参照)が設けられている。トナー濃度センサ85は、例えばインダクタンスセンサからなり、現像装置83の内部のトナー濃度を検知可能であり、検知結果を制御部70に送信する。トナー濃度センサ85は、トナー容器42内の現像剤の残量に関する情報を検知可能である。トナー濃度センサ85によりトナー容器42内の現像剤の残量を検知する手法については、後述する。制御部70は、トナー濃度センサ85により検知されたトナー濃度が目標トナー濃度よりも低下した場合に、トナー容器駆動モータ47(
図3参照)を駆動してトナー容器42から現像装置83にトナーを補給する。
【0022】
中間転写ユニット44は、画像形成ユニット80y,80m,80c,80kの上方に配置されている。中間転写ユニット44は、駆動ローラ44aや不図示の従動ローラ、一次転写ローラ48等の複数のローラと、これらのローラに巻き掛けられた中間転写ベルト44bとを備えている。一次転写ローラ48は、感光ドラム81に対向して配置され、中間転写ベルト44bに当接する。
【0023】
中間転写ベルト44bは、駆動していない時も一定以上の張力が掛かっており、感光ドラム81に対して接離可能に設けられている。中間転写ベルト44bに一次転写ローラ48によって正極性の転写バイアスを印加することにより、感光ドラム81上のそれぞれの負極性を持つトナー像が中間転写ベルト44bに順次多重転写される。これにより、中間転写ベルト44bは、感光ドラム81の表面で静電潜像を現像して得られたフルカラーのトナー像を転写して移動する。
【0024】
二次転写部45は、二次転写内ローラ45aと、二次転写外ローラ45bとを備えている。二次転写外ローラ45bに正極性の二次転写バイアスを印加することによって、中間転写ベルト44bに形成されたフルカラー画像をシートSに転写する。なお、二次転写内ローラ45aは中間転写ベルト44bの内側で該中間転写ベルト44bを張架しており、二次転写外ローラ45bは中間転写ベルト44bを挟んで二次転写内ローラ45aと対向する位置に設けられている。
【0025】
定着装置46は、定着ローラ46a及び加圧ローラ46bを備えている。定着ローラ46aと加圧ローラ46bとの間をシートSが挟持搬送されることにより、シートSに転写されたトナー像は加熱及び加圧されてシートSに定着される。シート給送部30から給送されたシートSは、二次転写部45及び定着装置46を経て、排出トレイ50に搬送される。排出トレイ50は、フェイスダウントレイであり、排出口10aから矢印X1方向に排出されたシートSを積載する。
【0026】
図3に示すように、制御部70は、CPU71と、各部を制御するプログラムを記憶するROM72と、データを一時的に記憶するRAM73と、外部と信号を入出力する入出力回路(I/O)74と、を備えている。また、制御部70は、PWM部(PWM)75と、A/D変換部(A/D)76と、モータ駆動制御を行うモータ駆動部(ドライバ)77と、制御タイミングを生成するタイマ78と、を備えている。入出力回路74は、各色のカバー開閉センサ15と、小扉開閉センサ(第1開閉検知手段)24と、装着検知センサ(装着検知手段)25とに接続されている。PWM部75は、各色のソレノイド21に接続され、小扉13y(
図1参照)の閉状態のロックを解除する制御を実行可能である。A/D変換部76は、各色のトナー濃度センサ85の検知結果であるアナログ信号をデジタル信号に変換する。モータ駆動部77は、各色のトナー容器駆動モータ47と、各色の現像スクリュ駆動モータ86とに接続されている。また、制御部70は、操作部11と、不図示の上位コンピュータとに接続されている。制御部70は、操作部11の操作や、不図示の上位コンピュータからの指令等により、プリンタの設定変更や画像形成ジョブの開始を行うことができる。
【0027】
CPU71は画像形成ジョブが投入されると、各色の現像スクリュ駆動モータ86を駆動させる。CPU71は、各色のトナー濃度センサ85の検知結果などに基づき、トナー容器駆動モータ47を駆動して現像装置83にトナーを補給する。例えば、トナー無し閾値回数をX回とすると、制御部70は、X回連続でトナー容器駆動モータ47を回転駆動させても、トナー濃度センサ85の検知結果が濃度下限値Yより少ない場合は、トナー容器42(
図1参照)はトナー無しであると判断する。制御部70は、このようにトナー濃度センサ85の検知結果とトナー容器駆動モータ47の駆動回数とから、トナー容器42内のトナーが無いと判定した場合には、例えば、トナー容器42を交換するように操作パネル11aに表示する。あるいは、このような場合には、制御部70は、画像形成装置1に接続された外部装置であるコンピュータに情報を出力し、コンピュータのモニタにトナー容器42を交換するよう表示する。即ち、制御部70は、トナー濃度センサ85の検知結果に基づいて、ユーザにトナー容器42の交換を促す。制御部70は、この場合に、カバー開閉センサ15により前カバー14の開状態を検知した場合は、後述する開放機構27(
図4参照)により小扉13yを開放する。
【0028】
また、制御部70は、装着検知センサ25がオフ状態の場合は、トナー容器42が装着されていないと判断する。即ち、装着検知センサ25は、トナー容器42の装着部12y(
図1参照)への装着又は未装着を検知可能である。第1の実施形態では、制御部70は、イエロー、マゼンタ、シアンのトナー容器(
図2参照)のいずれかがトナー無しであると判断した場合は、ブラック単色での作像のみを許可する色縮退モードに移行する。一方、ブラックのトナー容器(
図1参照)がトナー無しであると判断した場合は、画像形成の許可を行わないトナー無し状態に移行する。
【0029】
[小扉及び前カバー]
次に、小扉13y及び前カバー14の構成について、
図4~
図7を用いて詳細に説明する。
図4に示すように、前カバー14が閉状態にあるとき(図中、想像線(二点鎖線))に、前カバー14の上部に設けられた遮蔽部14aは、カバー開閉センサ15により検知される。カバー開閉センサ15は、例えば発光部及び受光部を有する透過型フォトセンサからなり、発光部から受光部への光線が前カバー14の遮蔽部14aにより遮られているか否かで、前カバー14が閉状態であるか否かを検知することができる。
【0030】
小扉13yは、閉状態に変位することで、トナー容器42の装着部12yに対する挿抜を規制する。小扉13yの内側には、上方に突出した爪部13aと、遮蔽部13bとが設けられている。爪部13aは、
図4に示す小扉13yの閉位置において、前方向F側の面を直立面とし、後方向B側の面を斜面として形成されている。小扉13yは、下部に設けられた軸部材13dを中心に回動可能であり、捩りコイルばねからなる付勢ばね(付勢手段)19によって、常時、回転方向R1、即ち開放方向に付勢されている。
【0031】
図4に示すように、小扉13yが閉状態にあるときに、小扉13yの遮蔽部13bは、小扉開閉センサ24により検知される。小扉開閉センサ24は、例えば発光部及び受光部を有する透過型フォトセンサからなり、発光部から受光部への光線が小扉13yの遮蔽部13bにより遮られているか否かにより、小扉13yの開閉状態を検知可能である。
【0032】
図4に示す閉状態にある小扉13yの爪部13aの近傍の装置本体10の内部には、ラッチ(ロック手段)16が設けられている。ラッチ16は、閉状態にある小扉13yの爪部13aが係止可能な係止部16aと、係止部16aと共に回動可能でソレノイド21に連結されたリンク22と係合する係合部16bと、を有している。ラッチ16は、装置本体10に設けられた軸部材17を中心に、回転自在に設けられている。ラッチ16は捩りコイルばねからなる付勢ばね18によって、常時、回転方向R2(係止部16aが爪部13aに係止される方向)に付勢されている。これにより、ラッチ16は、小扉13yを閉状態にロック可能である。装置本体10には、駆動手段の一例であるソレノイド21と、該ソレノイド21に連結されたリンク22とが設けられている。リンク22は、前後方向に移動可能に設けられており、圧縮コイルばねからなる戻しばね23により前方向Fに付勢されている。また、リンク22は、ラッチ16の係合部16bの前側部分に係合可能に設けられている。
【0033】
第1の実施形態の場合、小扉13yを閉状態にしている際は、ソレノイド21はオフ状態(非通電状態)であり、リンク22は戻しばね23により前方向Fに押圧されて前側に位置している。このとき、ラッチ16は、付勢ばね18により回転方向R2に付勢されており、係止部16aが爪部13aに係止して小扉13yが付勢ばね19により回転方向R1に開放しないように閉状態にロックしている。ここで、爪部13aの前側の直立面が係止部16aに係止することで、小扉13yが付勢ばね19の付勢力により不用意に開放されることを抑制している。
【0034】
図6に示すように、ソレノイド21をオン状態(通電状態)にすると、リンク22が戻しばね23の付勢力に抗して後方向Bに移動する。すると、リンク22と係合する係合部16bに後方向B側に回動する力が加わり、ラッチ16が付勢ばね18の付勢力に抗して回転方向R2の反対方向に回動する。これにより、係止部16aが爪部13aから外れて、小扉13yが捩り付勢ばね19により回転方向R1に自動的に開放される(開状態となる)。即ち、制御部70は、ソレノイド21をオン状態にすることにより、ラッチ16のロックを解除することで、小扉13yの開放動作を実行する。
【0035】
第1の実施形態では、ソレノイド21、付勢ばね19及びラッチ16は、開放機構(開放手段)27を構成している。即ち、開放機構27は、小扉13yを閉状態から開状態に自動的に開放可能であり、制御部70は、小扉13yを開放する場合に、ラッチ16による小扉13yの閉状態のロックを解除する。
【0036】
尚、第1の実施形態では、ソレノイド21を、通電によりリンク22と連結されるロッドが後方向B側に移動し、非通電時には戻しばね23の付勢力により反対方向に移動して元の位置に戻る構成としている。但し、ソレノイド21は、リンク22と係合部16bとの係合関係によっては、通電によりロッドが前方向F側に移動し、非通電時に戻しばねにより戻る構成であっても良い。また、第1の実施形態では、小扉13yを開放する付勢力を得るために付勢ばね19を用いているが、これには限られない。例えば、モータやソレノイドを利用してもよく、あるいは小扉13yの重心を揺動中心線よりも装着部12yの反対側に配置することで自重により開放するようにしてもよい。
【0037】
上述のようにソレノイド21をオフ状態にして小扉13yを開状態とした後、開状態の小扉13yをユーザが回転方向R1と反対方向に移動させると、小扉13yは閉じられる。このとき、小扉13yの回動に伴い、小扉13yの爪部13aは、ラッチ16の係止部16aを付勢ばね18の付勢力に抗して回動するように押し上げる。ここで、爪部13aの後側の斜面が係止部16aと係合することで、係止部16aを付勢ばね18の付勢力に抗して容易に押し上げて、爪部13aと係止部16aとを係止状態とすることができる。爪部13aが、係止部16aに係止される位置まで押し込まれると、係止部16aが付勢ばね18により
図4に示す位置で爪部13aに係止される。尚、小扉13yを開閉する構成や、閉状態にロックする構成については、上述した構成には限られず、従来から知られている他の構成を適用できることは勿論である。
【0038】
図5及び
図7に示すように、装着部12yの後方向B側の箇所には、装着検知センサ25と装着検知フラグ26とが設けられている。装着検知センサ25は、例えば発光部及び受光部を有する透過型フォトセンサからなる。装着検知フラグ26は、前後方向を回転軸とする軸部26aを中心に回転可能に設けられ、
図5に示す装着検知センサ25を遮る状態と、
図7に示す装着検知センサ25から外れる状態とに回転移動可能である。
図5に示すように、トナー容器42が装着状態にあるときに、トナー容器42の後方向B側の端部が装着検知フラグ26に当接して押し上げ、装着検知フラグ26が装着検知センサ25により検知される。また、
図7に示すように、トナー容器42が装着状態から外れたときに、装着検知フラグ26がトナー容器42の後方向B側の端部から解放されて自重で下側に回転移動し、装着検知フラグ26が装着検知センサ25により検知されなくなる。従って、装着検知センサ25は、発光部から受光部への光線が装着検知フラグ26により遮られているか否かで、トナー容器42が装着状態であるか否か、即ち未装着状態であるかを検知することができる。
【0039】
次に、上述した画像形成装置1において、前カバー14が開放された際の処理手順について、
図8に示すフローチャートに沿って説明する。CPU71は、各色のトナー容器42について、トナー無しの状態であるか否かを判断する(ステップS1)。ここでは、CPU71は、X回連続でトナー容器駆動モータ47を回転駆動させても、トナー濃度センサ85の検知結果が濃度下限値Yを上回らない場合に、その色のトナー容器42はトナー無しであると判断する。CPU71は、トナー容器42がトナー無しの状態ではないと判断した場合は(ステップS1のNO)、処理を終了する。
【0040】
CPU71は、いずれかの色のトナー容器42がトナー無しの状態であると判断した場合は(ステップS1のYES)、その色のトナー容器42を交換するための処理を開始する。CPU71は、カバー開閉センサ15により前カバー14が開状態であるか否かを判断する(ステップS2)。CPU71は、前カバー14が開状態でないと判断した場合は(ステップS2のNO)、処理を終了する。CPU71は、前カバー14が開状態であると判断した場合は(ステップS2のYES)、その色の交換対象となったトナー容器42に対応するソレノイド21をオン状態にして、その色に対応する小扉13yの閉状態のロックを解除する(ステップS3)。これにより、ラッチ16による小扉13yの閉状態のロックを解除することで、小扉13yが付勢ばね19により開放される(ステップS4)。即ち、CPU71は、トナー濃度センサ85の検知結果に基づいて装着部12yに装着されたトナー容器42を交換すべく、前カバー14を開状態とした際に小扉13yを開放する。第1の実施形態では、交換対象となったトナー容器が装着された装着部12yの小扉13yのみを開放するようにしている。
【0041】
CPU71は、小扉開閉センサ24により小扉13yが開状態になったことを検知すると、その色のトナー容器42に対応するソレノイド21をオフ状態にする。これにより、無駄な通電を抑制することができる。このとき、前カバー14と、交換すべきトナー容器42に対応する小扉13yとの両方が開状態であるので、ユーザはトナー容器42を取り外し、新しいトナー容器42を装着することができる。
【0042】
CPU71は、小扉開閉センサ24により小扉13yが開状態から閉状態になったか否かを判断する(ステップS5)。CPU71は、小扉13yが閉状態になっていないと判断した場合は(ステップS5のNO)、再び判断を実行する(ステップS5)。CPU71は、小扉13yが閉状態になったと判断した場合は(ステップS5のYES)、装着検知センサ25により、その色のトナー容器42が未装着であるか否かを判断する(ステップS6)。CPU71は、その色のトナー容器42が未装着でない、即ち装着されていると判断した場合は(ステップS6のNO)、処理を終了する。
【0043】
一方、CPU71は、トナー容器42が未装着であると判断した場合は(ステップS6のYES)、ソレノイド21をオン状態にして、その色に対応する小扉13yの閉状態のロックを解除する(ステップS7)。即ち、制御部70は、小扉13yが開放された後に小扉開閉センサ24により小扉13yの閉状態を検知した際に、装着検知センサ25によりトナー容器42の装着部12yへの未装着を検知している場合には、開放機構27により小扉13yを開放する。上述したように、開放機構27のソレノイド21をオンにしてラッチ16による小扉13yの閉状態のロックを解除すると、小扉13yが付勢ばね19により開状態にされる(ステップS8)。また、CPU71は、小扉開閉センサ24により小扉13yが開状態になったことを検知すると、ソレノイド21をオフ状態にする。これにより、無駄な通電を抑制することができる。このように、トナー容器42が未装着である場合には、小扉13yを閉めた時点で再び小扉13yを自動的に開くことにより、ユーザは前カバー14を閉める前にトナー容器42が未装着であることを認識可能になる。
【0044】
また、CPU71は、トナー容器42が装着部12yに装着されない状態で小扉13yが閉じられた場合に、トナー容器42が装着部12yに未装着である旨を表示手段としての操作パネル11aに表示するようにしてもよい。あるいは、画像形成装置の内蔵スピーカから警告音を発するようにしてもよい。
【0045】
上述したように第1の実施形態の画像形成装置1によれば、制御部70は、装着検知センサ25によりトナー容器42が装着部12yに装着されていないことが検知されている場合に、以下のように制御を実行する。即ち、制御部70は、トナー容器42が未装着状態で小扉開閉センサ24により小扉13yが閉状態であることが検知された場合に、開放機構27により小扉13yを開状態にする。これにより、ユーザが、トナー容器42を交換する際にトナー容器42を装着していないことに気付かずに小扉13yを閉じてしまった場合に、小扉13yが自動的に開くので、前カバー14を閉じてしまう前にトナー容器42の未装着を認識することができる。これにより、トナー容器42を装着しないで装着部12yの小扉13yを閉じた場合に、ユーザが気付かずに前カバー14を閉めた後、再度、前カバー14を開くなどの煩雑な操作が行われることを抑制できる。即ち、トナー容器42の未装着時の操作性を向上できる。
【0046】
また、第1の実施形態の画像形成装置1によれば、制御部70は、装着部12yに装着されたトナー容器42の現像剤の残量が所定量より少ない場合など、トナー容器42が交換時期に到達した時に、開放機構27により小扉13yを自動的に開放可能である。このため、ユーザによるトナー容器42の交換作業を行い易くできる。なお、第1の実施形態では、前カバー14が開状態であることを検知した場合に、対象となる小扉13yを開放するようにした。但し、例えば、前カバー14が閉まっていても対象となる小扉13yのロックを解除しておき、前カバー14が開かれた時に、既にロックが解除されている小扉13yが開放されるようにしても良い。
【0047】
尚、上述した第1の実施形態の画像形成装置1では、ソレノイド21として、非通電時に戻しばねにより戻る構成を適用しているが、ソレノイドの構成はこれには限られない。例えば、ソレノイド21としては、通電により変位した位置が非通電時に原位置に戻らずに保持される自己保持型ソレノイドを適用してもよい。これにより、例えば、通電により小扉13yのロックを解除したまま電源オフされても、ロックの解除状態を維持することができる。この場合、小扉13yのロックを解除した状態で、ユーザが小扉13yを閉じて小扉開閉センサ24により小扉13yの閉状態が検知されると、制御部70は装着検知センサ25を参照する。制御部70は、装着検知センサ25によりトナー容器42が未装着であれば、ソレノイドに通電せずに、小扉13yのロックを解除したままにする。また、制御部70は、装着検知センサ25によりトナー容器42が装着されていれば、ソレノイドに通電して、小扉13yを閉状態にロックする。
【0048】
また、上述した第1の実施形態の画像形成装置1では、トナー容器42のトナーの残量をトナー濃度センサ85の検知結果に基づいて検知した場合について説明したが、これには限られない。例えば、トナーホッパにトナー容器42から排出されたトナーを収容する貯蔵容器を設け、貯蔵容器の側壁に残量検知センサ(残量検知手段)を設けるようにしてもよい。この残量検知センサは、例えばピエゾ式センサであり、センサ面の近傍のトナーの有無によって出力電圧が変化することを利用してトナー粉面の高さを検出することで、トナー容器42内の現像剤の残量に関する情報を検知可能である。
【0049】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態を、
図9~
図22を参照しながら詳細に説明する。第2の実施形態では、小扉を開く機構として電動の駆動モータを利用している点で、第1の実施形態と構成を異にしている。
【0050】
[画像形成装置の全体構成]
図9は、本発明の第2の実施形態の一例である画像形成装置200の断面図である。第2の実施形態は電子写真方式を用いたカラー画像形成装置であり、近年は多種多様なシート材への適応性やプリント生産性に優れるという利点から4色の画像形成部を中間転写ベルト上に並べて配置した中間転写タンデム方式が主流となっている。第2の実施形態では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(K)の4色により画像を形成する。勿論、色数は4色に限定されるものではなく、また色の並び順もこの限りではない。以下に、本発明の第2の実施形態の一例である画像形成装置におけるシートに画像を形成する画像形成プロセスを説明する。
【0051】
シートSは、シート収納部162に積載される形で収納されており、給紙手段163により画像形成タイミングに合わせて給紙される。給紙手段163により送り出されたシートSは、搬送パス164を通過し、レジストローラ165へと搬送される。レジストローラ165では、シート収納部162から搬送されてくるシートSの傾きを補正した後、中間転写ベルト161上に形成されたトナー像に合わせて、所定のタイミングにてシートSを二次転写部へと搬送する。二次転写部は、対向する二次転写内ローラ166および二次転写外ローラ167により形成されるシートSへのトナー像転写ニップ部である。二次転写部は、所定の加圧力と静電的負荷バイアスを与えることで中間転写ベルト161上に形成されているトナー像をシートS上に転写させる。中間転写ベルト161上へのトナー像の形成する作像プロセスについては、次に記述する。
【0052】
画像形成部600は、主に感光体601、帯電手段としての帯電ローラ602、現像装置603、一次転写手段としての一次転写ローラ604、および感光体クリーナ605などから構成されている。また、同様の構成がイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(K)の4色分並列で配置されている。尚、各色の画像形成部600は、現像色が異なることを除いて実質的に同一の構成を有する。したがって、以下、代表してブラック用の画像形成部600について説明し、他の画像形成部の説明を省略する。各画像形成部600の上方にはトナー補給装置606が配置されており、各色の画像形成部に対応する現像剤収容容器としてのトナー容器110が備えられている。トナー補給装置606については詳細を後述する。
【0053】
作像プロセスとしては、まず、予め帯電ローラ602により表面を一様に帯電した感光体601に対し、露光装置609により送られてきた画像情報の信号に基づいた静電潜像が形成される。続いて、感光体601上に形成された静電潜像が、現像装置603によるトナー現像を経て、感光体601上にトナー像として顕在化する。その後、一次転写ローラ604により所定の加圧力および静電的負荷バイアスが与えられ、中間転写ベルト161上にトナー像が転写される。感光体601上に僅かに残った転写残トナーは感光体クリーナ605により回収される。また、現像装置603から消費された分のトナーは、トナー容器110より供給されて、再び次の画像形成に備える。中間転写ベルト161は従動ローラ168,169、テンションローラ170および二次転写内ローラ166等のローラによって張架され、
図9中の矢印X2の方向へと搬送駆動される。先述したY、M、CおよびKの各画像形成部により並列処理される各色の画像形成プロセスは、中間転写ベルト161上に一次転写された上流色のトナー像上に重ね合わせるタイミングで行われる。その結果、最終的にはフルカラーのトナー像が中間転写ベルト161上に形成され、二次転写部へと搬送される。
【0054】
以上のようなプロセスを以って、二次転写部においてシートS上にフルカラーのトナー像が二次転写される。その後、シートSは定着器171へと搬送される。定着器171は、対向するローラもしくはベルト等による所定の加圧力と、一般的にはヒータ等の熱源による加熱効果を加えてシートS上にトナー像を溶融固着させる。定着器171により定着処理を受けたシートSは、排出トレイ211に排出され画像形成動作が終了となる。
【0055】
[トナー補給装置]
図10(a),(b)は画像形成装置200の外観図、
図11(a),(b)はトナー補給装置606の斜視図である。
図10(a),(b)に示すように、画像形成装置200の正面側には、手動で開閉可能となっている前カバー270が備えられており、前カバー270を開くことでトナー補給装置606(
図10(b)参照)にアクセス可能な構成となっている。前カバー270は、第2カバーの一例である。尚、トナー補給装置606は、同様の構成がイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(K)の4色分並列で配置され、各色のトナー補給装置606は現像色が異なることを除いて実質的に同一の構成を有する。即ち、トナー補給装置606の各構成要素は、いずれも現像色に対応して複数設けられている。
【0056】
図11(a),(b)に示すように、例えば、ブラック用のトナー補給装置606は、以下のように構成される。トナー補給装置606は、着脱可能なトナー容器110、トナーカートリッジトレイ221、トナーカートリッジ駆動装置205、小扉213、ロック装置206、内カバー224、装着部212を有する。トナーカートリッジトレイ221は、トナー容器110を画像形成装置200に装着する際のガイド機能と、装着された際にトナー容器110を保持する機能を有する。トナーカートリッジ駆動装置205はトナー容器110を回転動作させる機能を備え、トナー容器110は回転することでトナー容器110内のトナーを現像装置603(
図9参照)へと搬送(補給)する機能を有する。
【0057】
図11(b)で示すように、内カバー224には、各色のトナーカートリッジに対応した開口部の一例である着脱口224aが設けられており、トナー容器110の装着部212への着脱は着脱口224aを通り、前方向F及び後方向Bの前後方向で行われる。なお、
図11(b)はブラック用のトナー容器110の場合を示した図であり、他の色のトナーカートリッジの場合も同様の構成となっている。第1カバーの一例としての小扉213はトナーカートリッジ用交換扉であり、着脱口224aを開閉する扉であり、トナー容器110の着脱は、小扉213が開いている場合にのみ可能となる。開放手段の一例であるロック装置206は、閉まっている状態の小扉213をロックする機能と、そのロックを解除する機能を有する装置であり、ロック解除のための駆動力はトナーカートリッジ駆動装置205から受け取る。小扉213は、前カバー270のすぐ内側に備えられており、小扉213が開閉動作するときは、前カバー270が開状態にある時に限られる。前カバー270の開閉状態は、第2開閉検知手段の一例としての開閉検知センサ271(
図10(b)参照)により検出される。以下では、トナー補給装置606の各部の詳細構成について説明する。
【0058】
[トナーカートリッジ駆動装置]
図12及び
図13に示すように、トナーカートリッジ駆動装置205は、ベース251と、駆動モータ252と、ピニオンギヤ253と、減速ギヤ254と、伝達ギヤ255と、伝達軸256と、駆動ギヤ257と、小扉開閉センサ258等を備えている。駆動手段の一例としての駆動モータ252は、ベース251に固定され、駆動モータ252の回転軸にはピニオンギヤ253が圧入されている。減速ギヤ254は、ベース251に対して回転自在に保持されており、ピニオンギヤ253及び伝達ギヤ255と噛合する位置関係に配設されている。これにより、伝達ギヤ255は、ピニオンギヤ253から駆動伝達される。伝達軸256は、ベース251に回転自在に保持されており、伝達軸256の一方の端部には伝達ギヤ255、他方の端部には駆動ギヤ257が固定されており、伝達ギヤ255と駆動ギヤ257とを連結すると共に前後方向に沿って配置されている。また、駆動ギヤ257は、前後方向に関して、伝達ギヤ255及び駆動モータ252よりも上流側、即ち前方向F側に配置されている。
【0059】
小扉開閉センサ258(
図13参照)は、例えば、発光部と該発光部からの光線を受光する受光部とを有する光センサである。小扉開閉センサ258は、発光部と受光部との間で後述するシャフト262が光線を遮るか否かでシャフト262の位置を検知可能である(
図15(a)~
図15(c)参照)。小扉開閉センサ258は、シャフト262の軸方向の位置を検知することにより小扉213の開閉状態を検知するセンサであって、後述するロック装置206の説明において詳細に説明する。
【0060】
駆動モータ252の回転駆動は、ピニオンギヤ253、減速ギヤ254、伝達ギヤ255、伝達軸256を介して駆動ギヤ257まで伝達される。トナー容器110が装着部212に装着されている場合は、トナー容器110に備えられているカートリッジギヤ110aと駆動ギヤ257とが噛合する位置関係に配設されており、駆動ギヤ257の回転によりトナー容器110が回転する。尚、駆動ギヤ257の回転方向については、駆動ギヤ257を回転方向R3に回転させてトナー容器110を回転させることで、トナー容器110からトナーが現像装置603に供給されるようにしている。即ち、駆動ギヤ257は、駆動モータ252に連結され、回転方向R3に回転することにより装着部212に収容されたトナー容器110を回転させて、トナー容器110から現像剤を送出可能である。装着検知手段の一例である装着検知センサ240は、トナーカートリッジトレイ221にトナー容器110が装着されることで、センサの光路が遮蔽される構成になっている。これにより、トナー補給装置606にトナー容器110が装着されているか否かを検出可能となっている。
【0061】
[小扉]
次に、小扉213について、
図14~
図15(c)を用いて説明する。小扉213は、扉本体233と、中心穴234と、爪部235と、回転止め部236とを有している。中心穴234は、左右に一対設けられ、内カバー224に備えられた回転軸237に回転可能に係合され、これにより、小扉213は、内カバー224に回転自在に保持されている。尚、小扉213が直立した状態で(
図14参照)、小扉213の重心位置は、一対の中心穴234を連結する中心線よりも前方向F側に位置している。従って、小扉213は、中心穴234において回転可能に支持されると共に、外力が作用していない場合には、自重により前方向F側に倒れて開くようになっている。このため、小扉213を開くための専用のばね部材を不要にすることができる。
【0062】
図15(a)に示すように、小扉213が閉まっている状態の時は、爪部235が後述するラッチ260の前方向F側のロック部260dと係合されている。このため、小扉213が内カバー224(
図11(a)参照)に対して揺動することなく、小扉213が閉まった状態で保持される。尚、ラッチ260は、ロック装置206を構成する一部品であり、ロック装置206の説明において詳細に説明する。
図15(b)に示すように、ラッチ260が揺動して、ラッチ260のロック部260dと爪部235との係合が解除されると、小扉213は揺動可能となる。この時、小扉213の重心位置は、開く側に設けられているため、ラッチ260と爪部235との係合が解除されると小扉213は開く方向に自重によって揺動する。
図15(c)に示すように、小扉213は、回転止め部236が内カバー224に設けられたストッパ238に突き当たる位置まで揺動し、突き当ったときに小扉213の姿勢は規定される。この状態が、小扉213の最大に開いた状態となる。
【0063】
[ロック装置]
次に、ロック装置206について、
図16~
図19(b)を用いて説明する。
図16及び
図17に示すように、ロック装置206は、ラッチ260と、ベース261と、シャフト262と、ラッチ駆動部材263と、ラッチばね264と、シャフトばね(付勢手段)265と、ワンウェイギヤ266(
図15(a)参照)とを有している。駆動モータ252からの駆動力により回転可能なシャフト(回転軸)262と、シャフト262の外周に摺動可能に設けられた円筒形状のラッチ駆動部材(スリーブ)263とは、駆動モータ252からの駆動力により回転可能な伝達手段を構成する。また、伝達手段の回転軸線方向は、トナー容器110を装着部212に収容する収容方向である前後方向に沿って配置されている。尚、ベース261は、内カバー224の上部に固定されている(
図11(a)参照)が、
図17ではベース261の図示を省略している。
【0064】
ラッチ260は、前後方向を長手方向とし、前後方向の略中央部を揺動軸267によりベース261に対して揺動可能に支持されている。ラッチ260は、揺動軸267により揺動可能に支持される揺動穴260aと、後方向B側に設けられた被係合部260b及びフック260cと、前方向F側に設けられたロック部260dとを有している。揺動軸267は、装置本体210(
図9参照)の左右方向を中心線としてベース261に固定されている。即ち、揺動軸267は、ロック部260dと被係合部260bとの間に設けられ、前後方向である回転軸線方向に直交する方向を回転軸線方向としてラッチ260を揺動可能にする。尚、ラッチ260及び揺動軸267は、ロック手段を構成する。
【0065】
ラッチ260は、ベース261に揺動可能に保持されており、フック260cには引張コイルばねからなるラッチばね264が張架されている。ラッチばね264は、下端部をラッチ260のフック260cに、上端部をベース261に固定して設けられており、ラッチ260の後方向B側を上側に向けて付勢している。
【0066】
シャフト262は、前方向F側の端部の近傍でベース261により、回転自在、かつ、回転軸線方向に沿って移動自在に保持される。シャフト262の後方向B側の端部の近傍には、ワンウェイギヤ266(
図15(a)参照)が固定されている。シャフトばね265は、圧縮コイルばねからなり、前方向F側の端部はシャフト262に固定して設けられたフランジ部262aにより軸方向に当接し、後方向B側の端部はベース261に当接している(
図16参照)。これにより、シャフトばね265は、シャフト262を回転軸線方向に沿って小扉213に向けて前方向F側に付勢しており、シャフト262は、ベース261に対して前方向F側に常に付勢されている。
【0067】
ラッチ駆動部材263は、スリーブ状で、シャフト262の外周に摺動可能に保持されると共に、ベース261に対しては軸方向の位置が固定されるように配設されている。
図18に示すように、ラッチ駆動部材263は概円筒形状をしており、円筒内部をシャフト262が通ることでシャフト262に保持されている。シャフト262の外周面には、係合突起(第1の突起)262bが設けられている。ラッチ駆動部材263の内周面には、係合突起262bに回転方向に係合可能な被係合突起(第2の突起)63aが設けられ(
図19(a)参照)、ラッチ駆動部材263の外周面には、係合部263bが設けられている。係合部263bは、ラッチ駆動部材263の外周部に径方向に突出して形成されている。
【0068】
図19(b)に示すように、係合突起262b及び被係合突起263aの形状は、内歯と外歯の歯車のような関係になっており、噛合することによりシャフト262の回転駆動がラッチ駆動部材263へと同期して伝達するようになっている。尚、シャフト262はラッチ駆動部材263に対して軸方向に摺動可能である。このため、回転駆動を伝達可能なのは、小扉213が閉状態であるときのように(
図15(a)参照)、係合突起262bと被係合突起263aとが軸方向に少なくとも一部が重なる場合に限られる。小扉213が開状態にあるときのように(
図15(b)参照)、係合突起262bと被係合突起263aとが軸方向に全く重ならない場合は、回転駆動は伝達されない。即ち、ラッチ駆動部材263は、回転軸線方向に沿って、第1位置(
図15(a)参照)と、第2位置(
図8(b)参照)とに移動可能である。ここでの第1位置は、係合突起262b及び被係合突起263aが回転方向に噛合する位置である。また、第2位置は、係合突起262b及び被係合突起263aが回転方向に噛合しない位置である。
【0069】
また、小扉213が閉状態である場合には、ラッチ駆動部材263が第1位置(
図15(a)参照)に位置し、小扉213が開状態である場合には、ラッチ駆動部材263が第2位置(
図15(b)、(c)参照)に位置する。尚、ラッチ駆動部材263が第2位置から第1位置へ軸方向に移動する際に、係合突起262bと被係合突起263aとが軸方向に当接してラッチ駆動部材263の移動を妨げる可能性がある。そこで、本実施形態では、係合突起262bと被係合突起263aとの少なくとも一方の軸方向の対向面にテーパを形成し、係合突起262bと被係合突起263aとが当接しても互いに回転方向に避けるように形成している。
【0070】
ロック装置206の装置本体210への組み付けは、ベース261が内カバー224に固定され、シャフト262の後方向B側の端部が、ベース261に回転自在、かつ、軸方向に移動自在に保持されるようになされる。
図15(a)~
図15(c)に示すように、ワンウェイギヤ266はシャフト262の軸方向の位置に関わらず常に駆動ギヤ257と噛合している。シャフト262の後方向B側の端部は、シャフト262の軸方向への移動により、小扉開閉センサ258の検知領域を遮蔽した位置(
図15(a)参照)と検知領域から退避した位置(
図15(b)参照)とに変位可能になっている。
【0071】
図13に示すように、ワンウェイギヤ266は、駆動ギヤ257に噛合する従動ギヤ266aと、シャフト262に固定されたワンウェイクラッチ266bとを有している。このワンウェイクラッチ266bでは、駆動ギヤ257が回転方向R3に回転する場合は、従動ギヤ266aがシャフト262に対して空転し、駆動ギヤ257が回転方向R4に回転する場合は、従動ギヤ266aからシャフト262に回転駆動が伝達する。即ち、ワンウェイクラッチ266bは、従動ギヤ266aとシャフト262との間に介在される。ワンウェイクラッチ266bは、駆動ギヤ257が回転方向R3に回転する場合には空転し、回転方向R3とは反対の回転方向R4に回転する場合には従動ギヤ266aの回転をシャフト262に伝達し、シャフト262を駆動する。尚、駆動ギヤ257を回転方向R3に回転させたときにトナー容器110からトナーが現像装置603に供給されるので、トナー容器110から現像装置603にトナーを供給する際にはワンウェイギヤ266は空転する。また、駆動ギヤ257をトナー供給時の回転方向とは逆方向の回転方向R4に回転させると、シャフト262に回転駆動が伝達されて、小扉213の閉状態のロックが解除される。
【0072】
[小扉の開閉動作]
次に、小扉213を開閉させる際のロック装置206の一連の動作について、
図15(a)~
図15(c)を用いて説明する。
図15(a)に示すように、小扉213が閉まっている状態では、小扉213に設けられた爪部235が、ラッチ260のロック部260dによって保持されているため、小扉213が揺動することなく閉まった状態を維持する。即ち、ラッチ260は小扉213を閉状態でロック可能であり、ロック部260dは、小扉213に係合可能で、係合により小扉213を閉状態にロックする。このときのラッチ260の位置を原位置とし、ラッチ260は、ラッチばね264により小扉213をロックする方向に付勢されているため、外力が加わることがない限りラッチ260は原位置に維持される。
【0073】
シャフト262は、シャフトばね265により装置本体210の前方向F側に付勢され、閉まった状態の小扉213にシャフト262の先端262cが当接することで、シャフト262の軸方向の位置が規定されている。即ち、シャフトばね265は、シャフト262を回転軸線方向に沿って小扉213に向けて付勢する。この時、シャフト262の後方向B側の端部は、小扉開閉センサ258の検知領域を遮蔽する位置にあり、制御部400は小扉213が閉まっている状態と判断する。また、ラッチ駆動部材263は、軸方向の第1位置にあり、シャフト262の係合突起262bとラッチ駆動部材263の被係合突起263aとは、回転方向に噛み合う位置にある(
図18参照)。このため、シャフト262とラッチ駆動部材263とは、同期して回転方向に駆動力を伝達可能な位置関係にある。
【0074】
図15(b)に示すように、小扉213を開けるためには、駆動モータ252(
図13参照)を駆動して、駆動ギヤ257を回転方向R4に回転させる。駆動ギヤ257の回転により、ワンウェイギヤ266及びシャフト262へと回転駆動が伝達し、シャフト262は回転方向R5へと回転する。このとき、シャフト262及びラッチ駆動部材263は回転駆動が伝達する位置関係にあるため、ラッチ駆動部材263も回転方向R5に回転する。ラッチ駆動部材263の回転により、係合部263bがラッチ260の被係合部260bを押し下げ、ラッチ260が回転方向R6に揺動し、小扉213の爪部235とラッチ260のロック部260dとの係合が外れる。即ち、係合部263b及び被係合部260bは、シャフト262及びラッチ駆動部材263の回転によって互いに係合する。これにより、係合部263b及び被係合部260bは、ラッチ260を、小扉213を閉状態にロックしたロック状態(
図15(a)参照)から閉状態のロックを解除したアンロック状態(
図15(b)、(c)参照)に切り換える。これにより、小扉213は自重により、開く方向へと揺動を始める。
【0075】
シャフト262は、小扉213による先端262cでのスラスト位置規制がなくなるため、シャフトばね265により前方向F側へと回転軸線方向に移動する。即ち、シャフトばね265は、係合部263bがラッチ260をアンロック状態に切り換えた場合に、シャフト262により小扉213を開状態になるように押圧する。尚、シャフトばね265によるシャフト262を軸方向に移動させる力は、小扉213を揺動させるための補助的な機能を果たす。即ち、小扉213は自重により揺動するが、例えば、可動部に異物が挟まり自重では揺動しにくい状態になる可能性がある。このような場合でも、シャフトばね265によるシャフト262を軸方向に移動させる力は小扉213を開く方向に押す力になるので、小扉213を確実に開くことが可能となる。また、シャフト262の後方向B側の端部は、小扉開閉センサ258の検知領域から離間する位置関係となっており、これにより制御部400は小扉213が開いている状態と判断する。
【0076】
更に、
図15(c)に示すように、小扉213が最大に開くと、小扉213による位置規制を解除されたシャフト262は、シャフト262のフランジ部262aがベース261に設けられた規制部261aに突き当たるまで軸方向に移動する。これにより、小扉213が開いている状態において、シャフト262の位置が規定される。このとき、ラッチ駆動部材263は、軸方向の第2位置にあり、シャフト262に設けられた係合突起262bとラッチ駆動部材263に設けられた被係合突起263aは、軸方向にずれるために回転駆動が伝達しない位置関係となっている。ラッチ駆動部材263はシャフト262からの駆動力を受けることなく回転可能になり、ラッチ駆動部材263の係合部263bがラッチ260の被係合部260bを押し下げる力が解除されるので、ラッチ260はラッチばね264により原位置に復帰する。ラッチ260が原位置に復帰するのに伴い、ラッチ260の被係合部260bがラッチ駆動部材263の係合部263bを押し上げる。また、シャフト262の後方向B側の端部は、小扉開閉センサ258の検知領域から離間する位置関係となっており、これにより制御部400は小扉213が開いている状態と判断する。以上により、交換対象となるトナー容器110が装着されている小扉213が自動で開くので、ユーザは対象を誤認することなく判別することが可能となる。
【0077】
開いている小扉213を再び閉じた状態に戻す際には、開いている小扉213をユーザが手動で閉める。この時、シャフト262の先端262cは、小扉213により後方向B側に押し込まれ、爪部235がラッチ260のロック部260dを押し上げて係止されて、
図15(a)に示した状態へと戻る。シャフト262の後方向B側の端部は、小扉開閉センサ258の検知領域を遮蔽する位置に移動し、制御部400は小扉213が閉まっている状態と判断する。ここで、本実施形態では、シャフト262とラッチ駆動部材263とが別部材で互いに軸方向に相対移動可能であるので、ラッチ駆動部材263は軸方向には殆ど移動しない。このため、シャフト262の軸方向の位置や小扉213の開閉の状態に関わらず、ラッチ260の被係合部260bとラッチ駆動部材263の係合部263bとの軸方向の相対位置は殆ど変らない。従って、開状態の小扉213を閉状態にする際に、ラッチ260の被係合部260bとラッチ駆動部材263の係合部263bとが軸方向に当接して小扉213の揺動の妨げになることを未然に防止できる。
【0078】
以上により、小扉213の開動作の制御をトナー容器110用の駆動と同一駆動源を用いて行うことを可能としている。なお、通常補給をするためにトナー容器110を回転させる際には駆動ギヤ257を
図13中の回転方向R3に回転させ、シャフト262側へと駆動が伝達しないため、トナー容器110の回転動作に影響はない。
【0079】
次に、トナー補給装置606の制御構成について説明する。
図20は、トナー補給装置606に関する動作を制御する制御構成を示すブロック図である。
図20に示す通り、制御部400は、CPU401と、ROM402、RAM403、EEPROM404を有する。ROM402には、画像形成装置200の全体を制御するための制御プログラムが保存されている。RAM403は、CPU401の作業領域として使用されるとともに、画像データなどの種々のデータを一時的に保存するために使用される揮発性の記憶デバイスである。EEPROM404は、不揮発性の記憶デバイスであり、現像装置603内のトナー残量等の種々のデータを保存する。
【0080】
CPU401は、ROM402に保存されている制御プログラムをRAM403へ読み出して実行することによって、画像形成装置200の全体を制御する。CPU401は、不図示の制御ブロックや各種ドライバを介して、システムコントローラ410、前カバー制御部421、トナー補給制御部422、現像装置制御部423の各駆動系に電気的に接続されている。システムコントローラ410では、表示手段の一例である表示パネル273を制御する。前カバー制御部421では、前カバー270の開閉状態を検出制御している。トナー補給制御部422では、トナー補給動作や小扉213の開閉制御を行っている。現像装置制御部423は現像装置603内のトナー濃度制御などを行っている。本実施形態では、例えばインダクタンスセンサからなる残量検知手段の一例としてのトナー濃度センサ631が設けられており、現像装置603の内部のトナー濃度を検知可能であり、検知結果を現像装置制御部423に送信する。
【0081】
[小扉の動作フロー]
次に、小扉213のロック開放動作の際の制御動作フローについて、
図21に示す小扉の動作フローチャートを用いて説明する。CPU401は、各色のトナー容器110について、トナー無しの状態であるか否かを判断する(ステップS11)。CPU401は、例えば、現像装置603内のトナー濃度センサ631で検出されたトナー濃度から推定してトナー無しの状態であるか否かを判断する。但し、この方法には限られず、例えば、トナー容器110の重量を測定する方法や、1回当たりの補給量と補給回数から推定する方法を適用してもよい。CPU71は、トナー容器110がトナー無しの状態ではないと判断した場合は(ステップS11のNO)、処理を終了する。
【0082】
CPU401は、いずれかの色のトナー容器110がトナー無しの状態であると判断した場合は(ステップS11のYES)、その色のトナー容器110を交換するための処理を開始する。CPU401は、開閉検知センサ271により前カバー270が開状態であるか否かを判断する(ステップS12)。CPU401は、前カバー270が開状態でないと判断した場合は(ステップS12のNO)、処理を終了する。CPU401は、前カバー270が開状態であると判断した場合は(ステップS12のYES)、交換対象となるトナー容器110に対応するステーション(色)の駆動モータ252を逆回転させる(ステップS13)。尚、駆動モータ252の通常補給時にトナー容器110を回転させる方向を正回転方向、小扉213を開動作させるための回転方向を逆回転方向と定義する。
【0083】
CPU401は、交換対象となっているステーションの小扉開閉センサ258を監視し、小扉213が閉状態から開状態になったか否かを判断する(ステップS14)。CPU401は、小扉213が開状態になっていないと判断した場合は(ステップS14のNO)、再び判断を実行する(ステップS14)。CPU401は、小扉213が開状態になったと判断した場合は(ステップS14のYES)、駆動モータ252を停止して処理を終了する(ステップS15)。以上により、交換対象となるトナー容器110が装着されている小扉213が自動で開くので、ユーザは対象を誤認することなく判別することが可能となる。
【0084】
次に、トナー容器110の装着状態を判別する際の動作フローを、
図22に示すトナー容器装着判別の動作フローチャートを用いて説明する。CPU401は、判別対象となっているステーションの小扉開閉センサ258を監視し、小扉213が開状態から閉状態になったか否かを判断する(ステップS21)。CPU401は、小扉213が閉状態になっていないと判断した場合は(ステップS21のNO)、再び判断を実行する(ステップS21)。CPU401は、小扉213が閉状態になったと判断した場合は(ステップS21のYES)、トナー容器110が未装着であるか否かを判断する(ステップS22)。CPU401は、トナー容器110が未装着ではないと判断した場合は(ステップS22のNO)、処理を終了する。
【0085】
CPU401は、トナー容器110が未装着であると判断した場合は(ステップS22のYES)、開閉検知センサ271により前カバー270が開状態であるか否かを判断する(ステップS23)。CPU401は、前カバー270が開状態であると判断した場合は(ステップS12のYES)、対応するステーションの駆動モータ252を逆回転させる(ステップS24)。CPU401は、交換対象となっているステーションの小扉開閉センサ258を監視し、小扉213が閉状態から開状態になったか否かを判断する(ステップS25)。CPU401は、小扉213が開状態になっていないと判断した場合は(ステップS25のNO)、再び判断を実行する(ステップS25)。CPU401は、小扉213が開状態になったと判断した場合は(ステップS25のYES)、駆動モータ252を停止して処理を終了する(ステップS26)。
【0086】
以上のように、ユーザがトナー容器110の交換時に、誤ってトナー容器110を装着せずに小扉213を閉めてしまった場合でも、トナー容器110が未装着であることが速やかに検知され、検知したら直ちに小扉213を開くようになっている。これにより、ユーザは待ち時間無く、再びトナー容器110の装着行為に戻ることが可能となる。なお、上記したように、トナー容器110が未装着状態だと判断すると直ちに小扉213を開く構成となっている。このため、トナー容器110が未装着状態で小扉213が閉状態、かつ、前カバー270が閉状態(S23のNO)になることはほぼ無い。しかし、小扉213と前カバー270をほぼ同時に閉めるなどして、この状態になった場合には、前述した通り、小扉213を開くことができない構成となっている。仮に、前カバー270の内部で小扉213を開くことが出来ても、ユーザは前カバー270が閉まっているので認知できない。そこで、本実施形態では、トナー容器110が未装着状態で小扉213が閉状態かつ、前カバー270が閉状態の場合には、表示パネル273(
図10(a)参照)にトナー容器110が未装着である旨の情報を表示する(ステップS27)。これにより、ユーザに状態を知らせることができる。
【0087】
上述したように第2の実施形態の画像形成装置200によれば、ユーザが、トナー容器110を交換する際にトナー容器110を装着していないことに気付かずに小扉213を閉じてしまった場合に、小扉213が自動的に開く。このため、前カバー270を閉じてしまう前に、トナー容器110の未装着を認識することができる。これにより、トナー容器110を装着しないで小扉213を閉じた場合に、ユーザが気付かずに前カバー270を閉めた後、再度、前カバー270を開くなどの煩雑な操作が行われることを抑制でき、トナー容器110の未装着時の操作性を向上できる。
【0088】
また、本実施形態では、ロック装置206による小扉213の閉状態のロックを解除する機構として、トナー容器110からトナーを補給するための駆動モータ252を駆動源とした機構を適用している。このため、駆動源となる高価な部品の増加を抑え、小扉213を閉状態でロックした場合にロックの解除を簡易な構成で安価に実現することができる。
【0089】
<第3実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態を、
図23~
図24を参照しながら詳細に説明する。第3の実施形態では、小扉を開く機構として電動の駆動モータを利用している点で、第2の実施形態と構成を異にしている。なお、上記第2の実施形態と説明の重複する部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0090】
図23~
図24は、第3の実施形態におけるトナー容器110の装着判別動作のフローチャートである。第3の実施形態におけるトナー容器110の装着判別動作フローでは、CPU401は、繰り返しカウント数Nを定義し、フロー開始時にはN=0と設定する(ステップS31)。CPU401は、判別対象となっているステーションの小扉開閉センサ258を監視し、小扉213が開状態から閉状態になったか否かを判断する(ステップS32)。CPU401は、小扉213が閉状態になっていないと判断した場合は(ステップS32のNO)、再び判断を実行する(ステップS32)。CPU401は、小扉213が閉状態になったと判断した場合は(ステップS32のYES)、トナー容器110が未装着であるか否かを判断する(ステップS33)。CPU401は、トナー容器110が未装着ではないと判断した場合は(ステップS33のNO)、処理を終了する。
【0091】
CPU401は、トナー容器110が未装着であると判断した場合は(ステップS33のYES)、開閉検知センサ271により前カバー270が開状態であるか否かを判断する(ステップS34)。CPU401は、開閉検知センサ271により前カバー270が開状態ではないと判断した場合は(ステップS34のNO)、表示パネル273にトナー容器110が未装着である旨の情報を表示して(ステップS35)、動作フローを終了する。CPU401は、開閉検知センサ271により前カバー270が開状態であると判断した場合は(ステップS34のYES)、繰り返しカウント数Nが閾値である1より大きいか否かを判断する(ステップS36)。尚、本実施形態では繰り返しカウント数Nの閾値を1としているが、これには限られず、適宜に設定することができる。
【0092】
CPU401は、繰り返しカウント数Nが1より大きくないと判断した場合は(ステップS36のNO)、判断対象となっているステーションの小扉開閉センサ258を監視し、小扉213が閉状態から開状態になったか否かを判断する(ステップS38)。CPU401は、小扉213が開状態になっていないと判断した場合は(ステップS38のNO)、再び判断を実行する(ステップS38)。CPU401は、小扉213が開状態になったと判断した場合は(ステップS38のYES)、駆動モータ252を停止する(ステップS37)。CPU401は、繰り返しカウント数Nを1つカウントアップして(ステップS40)、ステップS32へと戻る。CPU401は、ステップS32に戻った後は、ステップS33かステップS34でNOのフローに進まない限りは、繰り返しカウント数Nが1つカウントアップした状態で再びステップS36の繰り返しカウント数Nの数値による分岐ステップへと戻ってくる。以上のフローが、繰り返しカウント数Nが閾値を超えるまで繰り返される。
【0093】
CPU401は、繰り返しカウント数Nが閾値を超えた場合(ステップS36のYES)、トナー容器110が未装着状態、かつ小扉213が閉状態になっている。つまり、トナー容器110が未装着状態で小扉213が閉状態にも関わらず、小扉213を開きにいかない状態となっている。その後、CPU401は、開閉検知センサ271により前カバー270が開状態であるか否かを判断する(ステップS41)。CPU401は、前カバー270が開状態になっていないと判断した場合は(ステップS41のNO)、再び判断を実行する(ステップS41)。CPU401は、前カバー270が開状態になったと判断した場合は(ステップS41のYES)、表示パネル273にトナー容器110が未装着である旨の情報を表示して(ステップS35)、動作フローを終了する。
【0094】
従って、本実施形態では、N=0のときに小扉213が開状態→閉状態→開状態となり、N=1のときに小扉213が開状態→閉状態→開状態となり、N=2のときに小扉213が開状態→閉状態となった場合に、CPU401は小扉213を閉状態に維持する。このため、CPU401は、小扉213の開状態から閉状態への切り替わりを2回繰り返した後に再び小扉213が閉状態であることを検出したときは、小扉213を閉状態に維持する。即ち、CPU401は、小扉213の開状態と閉状態との切り替わりを所定回数の一例として4回繰り返した後に再び小扉213が閉状態であることを検出したときは、小扉213を閉状態に維持する。
【0095】
上記構成では、トナー容器110が未装着の状態で、小扉213を閉める行為を複数回(本実施形態では3回)行った場合には、意図的にトナー容器110を未装着状態にしたいと判断して閉状態を維持するものとなっている。これにより、ユーザの誤操作によりトナーカートリッジを未装着で小扉213を閉めてしまった場合のリカバリーを可能とする。また、画像形成装置200の装置本体210を移動する際や、色縮退(例えばモノクロのみで使用)で使用する際などに意図的にトナー容器110を未装着状態にすることも可能としている。
【0096】
上述したように第3の実施形態の画像形成装置200によれば、ユーザが意図的にトナー容器110を未装着状態にしたい場合に対応することができる。
【符号の説明】
【0097】
1…画像形成装置、10…装置本体、11a…操作パネル(表示手段)、12c,12k,12m,12y…装着部、13c,13k,13m,13y…小扉(第1カバー)、14…前カバー(第2カバー)、15…カバー開閉センサ(第2開閉検知手段)、16…ラッチ(開放手段、ロック手段)、19…付勢ばね(開放手段、付勢手段)、21…ソレノイド(開放手段)、24…小扉開閉センサ(第1開閉検知手段)、25…装着検知センサ(装着検知手段)、27…開放機構(開放手段)、42…トナー容器(現像剤収容容器)、70…制御部、85…トナー濃度センサ(残量検知手段)、110…トナー容器(現像剤収容容器)、200…画像形成装置、206…ロック装置(開放手段)、210…装置本体、212…装着部、213…小扉(第1カバー)、240…装着検知センサ(装着検知手段)、252…駆動モータ(駆動手段)、270…前カバー(第2カバー)、271…カバー開閉センサ(第2開閉検知手段)、273…操作パネル(表示手段)、400…制御部、631…トナー濃度センサ(残量検知手段)。