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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-08
(45)【発行日】2024-03-18
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/08 20060101AFI20240311BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20240311BHJP
   G03G 21/16 20060101ALI20240311BHJP
【FI】
G03G15/08 390B
G03G21/00 530
G03G21/16 176
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020075813
(22)【出願日】2020-04-22
(65)【公開番号】P2021173808
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2023-03-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹内 康祐
(72)【発明者】
【氏名】田島 宏俊
(72)【発明者】
【氏名】松本 淳志
(72)【発明者】
【氏名】二ノ宮 崇
【審査官】中澤 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-191522(JP,A)
【文献】特開2014-215595(JP,A)
【文献】特開平6-202458(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/08
G03G 21/00
G03G 21/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転する像担持体と、
現像剤を収容可能な現像容器と、前記像担持体と対向して配置され、回転することで前記現像容器内の現像剤を担持して前記像担持体との対向領域に搬送し、前記像担持体上の静電潜像を現像する現像剤担持体と、を有する現像装置と、
気流を発生させる気流発生手段と、を備え、
前記現像容器は、
前記現像剤担持体と前記像担持体との最近接位置よりも前記現像剤担持体の回転方向下流において、前記現像剤担持体の回転方向と交差する前記現像容器の長手方向に亙って配置され、且つ、前記像担持体との間に隙間を有するように前記像担持体に向かって突出するように形成された突出部と、
前記現像容器の前記長手方向両端部に、少なくとも前記最近接位置から前記突出部に亙って配置され、且つ、前記像担持体との間に隙間を有するように前記像担持体に向かって突出するように形成された第1の端部突出部及び第2の端部突出部と、を有し、
前記像担持体と、前記現像剤担持体と、前記突出部と、前記第1の端部突出部と、前記第2の端部突出部とで囲まれた空間を気流が流通可能な気流空間とした場合に、
前記第1の端部突出部と前記第2の端部突出部との少なくとも前記第1の端部突出部には、前記現像剤担持体の回転方向に関し、前記現像容器のうちの前記最近接位置よりも下流において前記現像剤担持体と対向する部分の上流端よりも更に上流に、前記現像容器の外部から前記気流空間に気流が流入可能な第1の開口部が形成されており、
前記第2の端部突出部には、前記気流発生手段が発生した気流により前記気流空間から気流を吸引可能な第2の開口部が形成されている、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記現像剤担持体は、前記長手方向に関して、前記像担持体上に画像を形成可能な最大画像領域に対応する第1領域と、前記第1領域の両端部に前記最大画像領域から外れた領域に対応する第2領域とを有する、
ことを特徴とする、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1の開口部は、前記現像剤担持体の回転方向に関して、現像剤担持体に担持された現像剤が像担持体に接触する部分よりも上流まで開口するように形成されている、
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第2の開口部は、前記長手方向から見た場合に、前記気流空間の範囲内に開口するように形成されている、
ことを特徴とする、請求項1ないし3の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記気流発生手段と前記第2の開口部とを接続するダクトを備えた、
ことを特徴とする、請求項1ないし4の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第1の開口部は、前記像担持体側に開口するように形成されている、
ことを特徴とする、請求項1ないし5の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記第1の開口部は、前記第1の端部突出部と前記第2の端部突出部の両方にそれぞれ形成されている、
ことを特徴とする、請求項1ないし6の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記第1の端部突出部と前記第2の端部突出部とに、それぞれ前記像担持体と弾性的に接触するように設けられた弾性部材を備えた、
ことを特徴とする、請求項1ないし7の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記弾性部材は、前記第1の開口部よりも前記現像剤担持体の回転方向下流に設けられている、
ことを特徴とする、請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記突出部は、前記最近接位置よりも重力方向下方に設けられている、
ことを特徴とする、請求項1ないし9の何れか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、これらの複数の機能を有する複合機などの画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置は、感光ドラムなどの像担持体上に形成された静電潜像を現像剤により現像する現像装置を備える。このような現像装置は、現像容器に収容された現像剤を現像スリーブに担持させて感光ドラムと対向する領域に搬送することで画像を形成する。この際、現像スリーブなどから現像容器と感光ドラムとの間の空間内に飛散した現像剤が現像容器内から外部に漏れて、装置内部を汚す場合がある。このため、現像容器と感光ドラムとの間に、感光ドラムの軸方向に沿わせて延設され、延設方向に沿った気流を流通可能な流路を形成し、この流路を介して飛散した現像剤を吸引する構成が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-191522号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、画像形成装置の高速化が進んでおり、装置の高速化に伴い現像スリーブ(現像剤担持体)からの現像剤の飛散が生じ易くなっている。特許文献1に記載の構成の場合、外部から流路に流入する気流の経路が明確に記載されておらず、仮に、現像容器と感光ドラムとの僅かな隙間から流路内に気流を流入させる場合、流路内に十分な気流を発生させにくい。このため、現像剤担持体からの現像剤の飛散が多くなった場合に、飛散した現像剤をこの流路を介して十分に吸引することができない可能性がある。
【0005】
本発明は、現像剤担持体から飛散した現像剤を十分に吸引可能な構成を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の画像形成装置は、回転する像担持体と、現像剤を収容可能な現像容器と、前記像担持体と対向して配置され、回転することで前記現像容器内の現像剤を担持して前記像担持体との対向領域に搬送し、前記像担持体上の静電潜像を現像する現像剤担持体と、を有する現像装置と、気流を発生させる気流発生手段と、を備え、前記現像容器は、前記現像剤担持体と前記像担持体との最近接位置よりも前記現像剤担持体の回転方向下流において、前記現像剤担持体の回転方向と交差する前記現像容器の長手方向に亙って配置され、且つ、前記像担持体との間に隙間を有するように前記像担持体に向かって突出するように形成された突出部と、前記現像容器の前記長手方向両端部に、少なくとも前記最近接位置から前記突出部に亙って配置され、且つ、前記像担持体との間に隙間を有するように前記像担持体に向かって突出するように形成された第1の端部突出部及び第2の端部突出部と、を有し、前記像担持体と、前記現像剤担持体と、前記突出部と、前記第1の端部突出部と、前記第2の端部突出部とで囲まれた空間を気流が流通可能な気流空間とした場合に、前記第1の端部突出部と前記第2の端部突出部との少なくとも前記第1の端部突出部には、前記現像剤担持体の回転方向に関し、前記現像容器のうちの前記最近接位置よりも下流において前記現像剤担持体と対向する部分の上流端よりも更に上流に、前記現像容器の外部から前記気流空間に気流が流入可能な第1の開口部が形成されており、前記第2の端部突出部には、前記気流発生手段が発生した気流により前記気流空間から気流を吸引可能な第2の開口部が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、現像剤担持体から飛散した現像剤を十分に吸引可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施形態に係る画像形成装置の概略構成断面図。
図2】第1の実施形態に係る現像装置の概略構成斜視図。
図3図2の破線Aにおける断面図。
図4】(a)図2の破線Cにおける断面図、(b)図2の破線Dにおける断面図。
図5図2の破線Bにおける断面図。
図6図2の破線Aにおける現像スリーブと感光ドラムの最近接位置周辺の断面図。
図7図2の破線Bにおける現像スリーブと感光ドラムの最近接位置周辺の断面図。
図8】第1の実施形態に係る現像装置の内部の気流の流れを示す斜視図。
図9】第2の実施形態に係る現像装置の、(a)図2の破線Cに相当する断面図、(b)図2の破線Dに相当する断面図。
図10】第3の実施形態に係る現像装置の、(a)図2の破線Cに相当する断面図、(b)図2の破線Dに相当する断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<第1の実施形態>
第1の実施形態について、図1ないし図8を用いて説明する。まず、本実施形態の画像形成装置の概略構成について、図1を用いて説明する。
【0010】
[画像形成装置]
画像形成装置100は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナー像を作像する画像形成部Y、M、C、Kが中間転写ベルト62の回転方向に沿って併設された、所謂タンデム方式の構成である。画像形成装置100は、装置本体に接続された原稿読取装置(図示せず)又は装置本体に対し通信可能に接続されたパーソナルコンピュータ等のホスト機器からの画像信号に応じてトナー像(画像)を記録材に形成する。記録材としては、用紙、プラスチックフィルム、布などのシート材が挙げられる。
【0011】
なお、画像形成装置100が備える4つの画像形成部Y、M、C、Kは、現像色が異なることを除いて実質的に同一の構成を有する。したがって、以下、代表して画像形成部Yについて説明し、他の画像形成部の説明を省略する。
【0012】
画像形成部Yには、像担持体として円筒型の感光体、即ち、感光ドラム1Aが配設されている。感光ドラム1Aは、図中矢印方向に回転駆動される。感光ドラム1Aの周囲には帯電ローラ2A(帯電装置)、現像装置4A、一次転写ローラ61A、クリーニング装置8Aが配置されている。感光ドラム1Aの図中上方にはレーザスキャナ(露光装置)3Aが配置されている。
【0013】
また、感光ドラム1A、1B、1C、1Dと対向して、中間転写体としての中間転写ベルト62が配置されている。中間転写ベルト62は、複数の張架ローラにより張架され、複数の張架ローラのうちの駆動ローラの駆動により図中矢印方向に周回移動(回転)する。複数の張架ローラのうちの二次転写内ローラ63と中間転写ベルト62を挟んで対向する位置には、二次転写外ローラ64が配置され、中間転写ベルト62上のトナー像を記録材に転写する二次転写部T2を構成している。二次転写部T2の記録材搬送方向下流には定着装置7が配置される。
【0014】
このように構成される画像形成装置100における画像形成は、以下のようにして行われる。まず、感光ドラム1Aの表面が帯電ローラ2Aにより均一に帯電される。この帯電された表面をレーザスキャナ3Aによって露光することで感光ドラム1A上に静電潜像が形成される。このようにして得られた静電潜像に現像装置4Aからトナーを付着させることにより、静電潜像がトナー像として現像される。このトナー像は一次転写ローラ61Aによって中間転写ベルト62上に転写される。このような動作を画像形成部M、C、Kでも順次行い、中間転写ベルト62上で4色のトナー像を重ね合わせる。
【0015】
そして、4色のトナー像を中間転写ベルト62上に重ねて転写した後に、給送カセット(不図示)から二次転写部T2に搬送された記録材に4色のトナー像を転写する。この記録材は、定着装置7により加熱、加圧されて定着された後、画像形成装置100外に排出される。転写後に感光ドラム1A上に残った残トナーは、クリーニング装置8Aにより除去される。
【0016】
[現像装置]
次に、本実施形態の現像装置4Aについて、図2及び図3を用いて説明する。なお、他の現像装置4B、4C、4Dは、現像装置4Aと同様の構成を有するため、説明及び図示を省略する。
【0017】
現像装置4Aは、現像容器41と、現像剤担持体としての円筒状の現像スリーブ44aと、規制部材42とを有する。現像容器41は、非磁性のトナーと磁性を有するキャリアを含む現像剤を収容可能である。現像容器41は、感光ドラム1A(図1)に対向した部分が開口しており、この開口部に一部露出するようにして現像スリーブ44が回転可能に配置されている。
【0018】
現像スリーブ44aは、感光ドラム1Aと対向して配置され、回転することで現像容器内の現像剤を担持して感光ドラム1Aとの対向領域(現像領域)に搬送し、感光ドラム1A上(像担持体上)の静電潜像を現像する。現像スリーブ44aは、回転軸線方向が感光ドラム1Aの回転軸線方向と略平行となるように配置されている。また、不図示のモータにより図3の矢印α方向に回転駆動される。現像スリーブ44aの回転方向は、感光ドラム1Aと対向する位置において感光ドラム1Aの回転方向(図3の矢印β方向)と同方向(順方向)である。
【0019】
現像スリーブ44aは、内部に磁界発生手段としてのマグネットロール44bが非回転に設けられている。マグネットロール44bは、現像スリーブ44aの回転方向に沿って複数の磁極を有し、非磁性の現像スリーブ44aの表面に現像剤を磁気的に吸着させる。規制部材42は、現像スリーブ44aの所定の隙間を介して配置され、現像スリーブ44a上に形成された現像剤の磁気穂の高さ(現像剤の層厚)を規制する。なお、磁気穂は、現像スリーブ44a上に、トナーが付着したキャリアが穂のように連なった状態で担持されたものである。
【0020】
更に、現像容器41は、水平方向に延在する隔壁43によって第1の現像剤搬送経路(第1室)45aと、第2の現像剤搬送経路(第2室)45bとに区画されている。第1の現像剤搬送経路45aには、第1の搬送部材としての第1のスクリュー46aが、第2の現像剤搬送経路45bには、第2の搬送部材としての第2のスクリュー46bが、それぞれ配置されている。
【0021】
第1のスクリュー46aは、トナー補給装置(不図示)から現像容器41に補給されたトナーと、第1の現像剤搬送経路45a中の現像剤を攪拌し且つ搬送してトナー濃度を均一化する。第2のスクリュー46bは、第2の現像剤搬送経路45bにある現像剤を攪拌し且つ搬送する。隔壁43の幅方向(現像スリーブ44aの回転軸線方向)の両端部には、それぞれ第1の現像剤搬送経路45aと第2の現像剤搬送経路45bとを連通する連通口が形成されている。これにより、第1の現像剤搬送経路45aと第2の現像剤搬送経路45bとで現像剤が循環する循環経路を構成する。
【0022】
本実施形態において現像容器41内に収容される現像剤は、負帯電性の非磁性トナーと、磁性キャリアとが混合される二成分現像剤である。非磁性トナーは、ポリエステル、スチレン等の樹脂に着色料、ワックス成分などを内包し、粉砕あるいは重合によって粉体としたものである。本実施形態では、平均粒径が5μmのものを用いた。磁性キャリアは、フェライト粒子や磁性粉を混錬した樹脂粒子からなるコアの表層に樹脂コートを施したものである。
【0023】
現像領域における、感光ドラム1Aへのトナーの現像過程について説明する。図1に示したように、感光ドラム1Aは、帯電ローラ2Aによって帯電電位Vd[V]に一様に帯電された後、感光ドラム1A上の画像が形成される画像部は、レーザスキャナ3Aによって露光され露光電位Vl[V]になる。現像スリーブ44aには直流電圧、または直流電圧に交流電圧を重畳させた電圧が印加される。現像スリーブ44aの直流成分の電圧をVdcとしたとき、露光電位との差分の絶対値|Vdc-Vl|をVcontとよび、これがトナーを画像部へと運ぶ電界を作る。
【0024】
また、直流電圧Vdcと帯電電位Vdとの差分の絶対値|Vdc-Vd|はVbackとよばれ、トナーに対しては感光ドラム1Aから現像スリーブ44a方向に引き戻す電界を作る。これは、トナーが非画像部へと付着する所謂かぶり現象を抑制するために設けられている。
【0025】
現像スリーブ44aは、図3中の矢印α方向に回転し、内部のマグネットロール44bの磁界により現像剤を吸着し、規制部材42方向へ搬送する。穂立ちさせられた現像剤は規制部材42によってその層厚が規制され、現像スリーブ44aと規制部材42の間隙を通過すると現像スリーブ44a上に所定の層厚の現像剤層を形成する。現像剤層は、その後、現像スリーブ44aの回転に伴い感光ドラム1Aと対向する現像領域に担持搬送され、磁気穂を形成した状態で感光ドラム1Aの表面に形成されている静電潜像を現像する。現像時、現像剤は感光ドラム1と接触し、その接触時に潜像を現像する。そのため、感光ドラム1と現像スリーブ44aの間は現像剤によって満たされている状態となる。現像に供された後の現像剤は、現像スリーブ44aの回転に伴い、剥離領域にて現像スリーブ44aから剥離され、現像容器41内に戻る。
【0026】
このような本実施形態の現像装置4Aの場合、第2の現像剤搬送経路(第1室)45bから現像スリーブ44aに現像剤を供給し、第1の現像剤搬送経路(第2室)45aにて現像スリーブ44aから現像剤を回収する。また、現像装置4Aは、第2の現像剤搬送経路45bが第1の現像剤搬送経路45aの上方に配置されている、所謂縦攪拌型の現像装置であり、現像スリーブ44aは、感光ドラム1Aと対向する位置において、重力方向下方に向かうように回転する。
【0027】
[現像容器の形状]
次に、図2及び図3を用いて、現像容器41の形状について更に説明する。現像容器41は、下端部から感光ドラム1Aに向かって突出するように形成された突出部48を有する。また、現像容器41は、現像スリーブ44aの回転方向(矢印α方向)と交差する長手方向両端部に、それぞれ感光ドラム1Aに向かって突出するように形成された端部リブ49a、49bを有する。
【0028】
突出部48は、現像スリーブ44aと感光ドラム1Aとの最近接位置Pよりも現像スリーブ44aの回転方向下流に配置されている。本実施形態では、最近接位置Pよりも重力方向下方に設けられており、図示の例では、現像容器41の下端部に設けられている。現像容器41は、第1の現像剤搬送経路45aを形成する壁部41bを有する。壁部41bは、第1の現像剤搬送経路45aの感光ドラム1A側に設けられ、且つ、上端部が現像スリーブ44aと対向する。突出部48は、この壁部41bの下端部から感光ドラム1Aに向かって突出するように形成されている。
【0029】
このような突出部48は、現像スリーブ44aの回転方向と交差する現像容器41の長手方向(現像スリーブ44aの回転軸線方向)に亙って配置され、且つ、感光ドラム1Aとの間に隙間を有するように形成されている。本実施形態では、突出部48は、端部リブ49a、49bの間に全域に亙って設けられている。また、突出部48と感光ドラム1Aとの隙間は、例えば2mmとする。
【0030】
また、突出部48の先端には、現像スリーブ44aから落下したトナーを保持できるように、上方に折り曲げられた折り曲げ部48aが形成されている。折り曲げ部48aは、感光ドラム1Aの表面の曲率に沿って湾曲又は傾斜している。そして、折り曲げ部48aを含む突出部48の先端と感光ドラム1Aとの隙間を、例えば2mmとしている。なお、折り曲げ部48aは省略しても良い。
【0031】
第1の端部突出部としての端部リブ49aは、現像容器41の長手方向片端部に設けられている。本実施形態では、画像形成装置の前側、即ち、装置を操作する側の端部を長手方向片端部としている。一方、第2の端部突出部としての端部リブ49bは、現像容器41の長手方向他端部に設けられている。長手方向他端部は、画像形成装置の後側(奥側)の端部となる。
【0032】
このような端部リブ49a、49bは、少なくとも最近接位置Pから突出部48に亙って配置され、且つ、感光ドラム1Aとの間に隙間を有するように形成されている。本実施形態では、後述する図7(a)、(b)に示すように、端部リブ49a、49bは、最近接位置よりも重力方向上方の位置から現像容器41の下端部までの範囲に設けられ、感光ドラム1Aとの間に隙間を介して対向している。端部リブ49a、49bは、現像スリーブ44aの回転方向と交差する現像容器41の長手方向から見た場合に、現像スリーブ44a上に担持された現像剤が感光ドラム1Aに接触する範囲及びこの範囲よりも重力方向下方の範囲と重なるように配置されることが好ましい。端部リブ49a、49bと感光ドラム1Aとの隙間は、例えば2mmとする。
【0033】
[エアフロー空間]
本実施形態では、上述のように、現像容器41に突出部48及び端部リブ49a、49bを形成することでエアフロー空間(気流空間)52を形成している。即ち、感光ドラム1Aと、現像スリーブ44aと、突出部48と、端部リブ49、49bとで囲まれた空間を気流が流通可能なエアフロー空間52としている。エアフロー空間52は、図3において、現像剤tを示す部分を除く梨地部分である。
【0034】
ここで、図3は、現像装置4Aの長手方向での中央部である図2の破線A部分の位置における断面形状である。現像スリーブ44aには、梨地で示すように現像剤tが担持されており、現像スリーブ44aと感光ドラム1Aとの隙間は、現像剤tで塞がれている。
【0035】
上述したように、装置の高速化に伴い現像スリーブ44aから現像剤の飛散が生じ易くなる。本実施形態では、現像スリーブ44aから飛散した現像剤をエアフロー空間52を通じて吸引し、現像装置4Aの外部に現像剤が飛散することを抑制するようにしている。このために、図2及び図4(a)、(b)に示すように、端部リブ49a、49bのうち、前側の端部リブ49aには気流流入部としての流入開口部50が、奥側の端部リブ49bには気流吸引部としての吸引開口部51が開けられている。そして、この2つの気流の出入り口を用いてエアフロー空間52内に気流を流通させる。図4(a)は、現像装置4Aの長手方向片端部である図2の破線C部分の位置における断面形状であり、図4(b)は、現像装置4Aの長手方向他端部である図2の破線D部分の位置における断面形状である。
【0036】
より具体的に説明する。第1の開口部としての流入開口部50は、端部リブ49aを長手方向に貫通するように端部リブ49aに形成され、現像容器41の外部からエアフロー空間52に気流が流入可能な開口部である。また、第2の開口部としての吸引開口部51は、端部リブ49bを長手方向に貫通するように端部リブ49bに形成され、エアフロー空間52から気流を吸引可能な開口部である。
【0037】
流入開口部50は、現像スリーブ44aの回転方向に関し、現像容器41のうちの最近接位置Pよりも下流において現像スリーブ44aと対向する部分の上流端41a(図6、7)よりも更に上流に形成されている。また、流入開口部50は、現像スリーブ44aの回転方向に関して、現像スリーブ44aに担持された現像剤が感光ドラム1Aに接触する部分(現像ニップ部)よりも上流まで開口するように形成されている。
【0038】
本実施形態では、流入開口部50は、現像スリーブ44aの回転方向に関して最近接位置Pを含む範囲に形成されている。言い換えれば、流入開口部50は、現像スリーブ44aに担持された現像剤が感光ドラム1Aに接触する部分である現像ニップ部の上流を含む形で、上流端41aの上流に形成されている。
【0039】
具体的には、後述する図7に示すように、現像容器41の壁部41bのうち、現像スリーブ44aと対向する部分で重力方向上端が、上述の上流端41aとなる。そして、この上流端41aを通る水平線Lよりも上側に、流入開口部50が形成されている。即ち、流入開口部50の重力方向下端は、上流端41aを通る水平線Lより上側となる。一方、流入開口部50の重力方向上端は、現像スリーブ44aの重力方向上端よりも下方の位置とすることが好ましい。
【0040】
また、流入開口部50は、感光ドラム1A側(像担持体側)に開口するように形成されている。これにより、現像スリーブ44aを現像容器41に組み付ける際に、現像スリーブ44aの回転軸44cが流入開口部50を通過できるようにしている。流入開口部50を通過した回転軸44cは、不図示の回転支持部に回転自在に支持される。
【0041】
流入開口部50の感光ドラム1Aと反対側の端部は、第1の現像剤搬送経路45a及び第2の現像剤搬送経路45bに入り込まないようにすることが好ましい。言い換えれば、流入開口部50は、長手方向から見た場合に現像スリーブ44aと重なる範囲内に形成されることが好ましい。これは、仮に、流入開口部50が第1の現像剤搬送経路45a又は第2の現像剤搬送経路45bにも開口している場合、現像剤搬送経路から開口部を通じて現像剤が外部に漏れ易くなるためである。
【0042】
吸引開口部51は、現像ニップ部に対して現像スリーブ44aの回転方向下流に形成されている。本実施形態では、吸引開口部51は、長手方向から見た場合に、エアフロー空間52の範囲内に開口するように形成されている。吸引開口部51の開口形状は、エアフロー空間52の長手方向に直交する断面形状と略相似形状としており、本実施形態では、略三角形状としている。
【0043】
また、吸引開口部51は、図2に示すように、ダクト53を介して吸引ファン60に接続されている。気流を発生させる気流発生手段としての吸引ファン60は、例えば、画像形成装置の装置本体側に設置され、現像装置4Aが装置本体に装着されたときに、ダクト53と接続される。吸引開口部51は、吸引ファン60が発生した気流によりエアフロー空間52から気流を吸引可能な開口部である。
【0044】
ここで、現像スリーブ44aは、図2に示すように、長手方向(回転軸線方向)に関して、表面が現像剤を担持するように形成された第1領域Mと、現像剤を担持しないように形成された第2領域Nとを有する。第1領域Mは、現像スリーブ44aの長手方向中間部に形成され、感光ドラム1A上(像担持体上)に画像を形成可能な最大画像領域に対応する領域である。即ち、感光ドラム1Aの長手方向(回転軸線方向)に関し、静電潜像を形成可能な最大領域が最大画像領域であり、この静電潜像を現像可能に現像スリーブ44aが現像剤を担持する領域が第1領域である。
【0045】
現像スリーブ44aの第1領域では、例えば表面に凹凸や溝が形成されて、現像剤を担持し易くしている。具体的には、表面にブラスト処理が施されたり、長手方向に沿った溝が周方向に複数形成されていたり、表面の複数個所に掘り込みといわれる凹部が形成されていたりする領域が第1領域である。
【0046】
一方、第2領域は、現像スリーブ44aの長手方向に関して第1領域の両端部に存在する領域であり、最大画像領域から外れた領域に対応する領域である。現像スリーブ44aの第2領域では、第1領域のような凹凸などが形成されておらず、表面が平滑な円筒面としている。現像スリーブ44a内に配置されたマグネットロール44bは、少なくとも第1領域の長手方向全域に存在し、第1領域で現像剤を担持可能としている。なお、通常、マグネットロール44bの端部が第2領域の一部に進入するように配置されているが、マグネットロール44bの端部では磁束密度にリップルを有し、現像スリーブ44a上に現像剤を担持するような磁界が形成されにくい。
【0047】
このように現像スリーブ44aの両端部の第2領域では現像剤が担持されにくいため、図5に示すように、現像スリーブ44aの周囲を気流が通過し易い。図5は、現像装置4Aの長手方向端部寄り部分である図2の破線B部分の位置における断面形状である。現像スリーブ44aの第2領域は、現像容器内の現像剤が供給されず、表面には現像剤がほぼ存在しない。このため、第2領域では現像スリーブ44aと感光ドラム1Aとの隙間にも現像剤がいない。したがって、第2領域では、現像スリーブ44aの回転方向に関して最近接位置Pの上流と下流は気流が流通可能である。
【0048】
これに対して現像スリーブ44aの第1領域では、図3に示したように、表面に現像剤が担持され、現像スリーブ44aと感光ドラム1Aとの隙間が現像剤で塞がれている。したがって、第1領域では、現像スリーブ44aの回転方向に関して最近接位置Pの上流と下流は気流が流通しにくい。
【0049】
以上より、現像スリーブ44aの長手方向片端部と対向するように開口した流入開口部50から流入した気流は、第2領域の周囲を通ってエアフロー空間52内に流れる。この際、現像スリーブ44aの回転により、流入開口部50から流入した気流が、流入開口部50よりも現像スリーブ44aの回転方向下流にあるエアフロー空間52に運ばれ易くなる。
【0050】
[トナーの飛散]
次に、現像装置4Aと感光ドラム1Aの駆動時における現像装置4Aと感光ドラム1Aとの間の気流及びトナー飛散の様子について、図6及び図7を用いて説明する。図6は、現像装置4Aと感光ドラム1Aとの間の長手方向中央部(図2の破線A部分)の断面における気流及びトナーの流れを表したものである。実線の矢印はトナー飛散の方向を表している。
【0051】
現像スリーブ44a及び感光ドラム1Aは、その駆動により表面に気流を発生させる。このとき、現像スリーブ44aの表面の気流をスリーブ流410、420、感光ドラム1Aの表面の気流をドラム流110、120とする。現像容器41内は、スリーブ流420が流入するため気圧が上がり、現像容器41内から外へ向かう気流430が発生し、その気流430に乗って現像容器41内の現像剤(ここではトナー)が現像容器41外へ流出する。そして、流出したトナーが気流440をへてドラム流120に沿って飛散し、飛散トナーとなる。
【0052】
また、上述したように、現像ニップ部の下流側には、現像容器41、現像スリーブ44a、感光ドラム1A、突出部48、端部リブ49a、49bにより閉じられたエアフロー空間52が形成されている。このため、ドラム流の戻り流130が発生しており、飛散トナーの一部はこの戻り流130により現像スリーブ44aへと回収される。
【0053】
飛散トナーは、殆どが、突出部48により受け止められて、留まる。しかし、この飛散トナー量が多いと画像形成を続けるうちに突出部48上に積もり、突出部48の容量を超えると、外部に広がり、装置内の汚れや記録材を搬送するローラの汚れの原因となる。ローラにトナーが付着した場合には、ローラに搬送される記録材にもトナーが付着し、画像不良につながる。
【0054】
なお、現像ニップ部の上流側でも、スリーブ流450及びドラム流150が発生しているが、第1領域における現像ニップ部に現像剤が存在するため、スリーブ流450やドラム流150は現像ニップ部の下流側に入ってこず、矢印のように戻り流となる。
【0055】
次に、図7は、現像装置4Aと感光ドラム1Aとの間の長手方向端部の第2領域(図2の破線B部分)の断面における気流及びトナーの流れを表したものである。実線の矢印はトナー飛散の方向を表し、点線の矢印は各気流の合成気流を表している。図7では、上述の図6と異なり、現像スリーブ44a上に現像剤がないため気流に含まれるトナー量は非常に少ない。一方で、現像ニップ部には現像剤がないため、気流が通過し、現像ニップ部の上流からの気流がそのまま下流に流れる。したがって、点線のような合成気流500が発生しており、現像ニップ部の上流側は気圧低くなり、下流側は気圧が高くなっている。
【0056】
以上から、現像容器41の前側端部のように、現像ニップ部に対し現像スリーブ44aの回転方向上流の端部に流入開口部50を設けることで、流入開口部50から負圧となっている現像ニップ部の上流側の領域に空気が流れ込み易くなる。そして、流れ込んだ空気は合成気流500に沿って、エアフロー空間52内へ送り込まれる。
【0057】
[飛散トナー吸引の気流]
次に、図8を用いて飛散トナー吸引の気流を具体的に説明する。現像装置4Aの長手方向前側の端部で、上述のスリーブ流、ドラム流により、流入開口部50から気流が流入し、エアフロー空間52内に気流が押し込まれる。押込まれた気流は、エアフロー空間52内を前側から奥側へ移動する。この際、上述の飛散トナーを巻き込み、回収する。
そして、奥側において飛散トナーを含んだ気流は吸引開口部51に吸い込まれる。吸い込まれた気流は、吸引ファン60(図2)に接続されたダクト53に吸い込まれ、不図示のフィルターによりトナーを取り除かれた後、画像形成装置100外へ排出される。
【0058】
このように、本実施形態の場合、現像装置4Aの長手方向端部にエアフロー空間52に気流を流入させるための流入開口部50を形成しているため、エアフロー空間52内に十分な気流を発生させ易い。したがって、飛散トナーを十分に吸引できる。図7で説明したように、現像容器41の長手方向端部では合成気流500が発生しているため、現像容器41の端部に流入開口部50を形成することで、気流を現像容器41内に流入させ易い。特に本実施形態では、流入開口部50を現像ニップ部よりも上流でも開口するように形成しているため、合成気流500により更に気流を流入させ易い。
【0059】
また、本実施形態では、流入開口部50を現像スリーブ44aの回転方向に関し、最近接位置Pよりも下流において壁部41bの上流端41aよりも更に上流に形成している。図6、7で説明したように、現像容器41内は、スリーブ流420が流入するため気圧が上がり、現像容器41内から外へ向かう気流430が発生し、その気流430に乗って現像容器41内のトナーが現像容器41外へ流出する。このため、上流端41aよりも下流側まで流入開口部50が開口していると、気流430に乗ったトナーが流入開口部50から外部に飛散する虞がある。これに対して本実施形態では、流入開口部50を上流端41aよりも上流に形成しているため、このようなトナー飛散が生じ難い。
【0060】
[実施例1]
次に、本実施形態の効果を確認するため、以下のような実験をした。画像形成装置100における現像装置4A~4Dの装着位置に現像装置を4台入れ、画像比率50%の画像をA4サイズの用紙に40000枚形成した。実験は、比較例として、特許文献1に記載されているような本実施形態の流入開口部50がない現像装置を装着した場合と、実施例1として、上述の本実施形態の現像装置を装着した場合とのそれぞれで行った。そして、比較例及び実施例1において、出力画像に飛散起因となる画像汚れであるローラ汚れが発生するか否かを確認した。ローラ汚れとは、飛散トナーが記録材を搬送するローラに付着することで記録材にローラ跡が残り、出力画像に汚れが生じる現象である。環境は温湿度30度80%の実験室内で行った。結果を以下の表1に示す。
【表1】
【0061】
表1から明らかなように、比較例ではローラ跡による画像汚れが確認されたが、実施例1ではほぼ確認されなかった。以上より、本実施形態の構成を用いることで、トナー飛散を抑制できることがわかった。
【0062】
<第2の実施形態>
第2の実施形態について、図9(a)、(b)を用いて説明する。上述の第1の実施形態では、端部リブ49a、49bと感光ドラム1Aとの間に隙間を設けた。これに対して本実施形態では、この隙間をなくすようにしている。その他の構成及び作用は、上述の第1の実施形態と同様であるため、同様の構成について同じ符号を付し、説明及び図示を省略又は簡略にし、以下、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0063】
本実施形態では、第1の端部突出部としての端部リブ49aと第2の端部突出部としての端部リブ49bとに、それぞれ感光ドラム1Aと弾性的に接触するように設けられた弾性部材54a、54bを設けている。弾性部材54a、54bは、感光ドラム1Aの外周面に沿って湾曲するように形成されている。弾性部材54a、54bとしては、ウレタンなどで形成されたスポンジなどの多孔質体、不織布、シート状の部材などが挙げられる。シート状の部材としては、PET(ポリエチレンテレフタレート)シート、ウレタンシートなどが挙げられる。
【0064】
図9(a)に示すように、弾性部材54aは、長手方向の前側の端部リブ49aの感光ドラム1A側の側面に、感光ドラム1Aの表面と弾性的に接触するように設けられている。弾性部材54aは、流入開口部50よりも現像スリーブ44aの回転方向下流に設けられている。図示の例では、流入開口部50の下端から端部リブ49aの下端までの範囲に弾性部材54aが設けられ、この範囲で弾性部材54aが感光ドラム1Aの外周面に接触するようにしている。
【0065】
図9(b)に示すように、弾性部材54bは、長手方向の奥側の端部リブ49bの感光ドラム1A側の側面に、感光ドラム1Aの表面と弾性的に接触するように設けられている。端部リブ49bには、流入開口部50が形成されていないため、端部リブ49bの感光ドラム1Aと所定の隙間(例えば2mm)を介して対向する側面の全域に弾性部材54bが設けられている。図示の例では、現像ニップ部の上流の位置から端部リブ49bの下端までの範囲に弾性部材54bが設けられ、この範囲で弾性部材54bが感光ドラム1Aの外周面に接触するようにしている。
【0066】
このように本実施形態では、端部リブ49a、49bにそれぞれ弾性部材54a、54bを設けて、端部リブ49a、49bと感光ドラム1Aとの間の隙間を実質的にゼロにしている。これにより、端部リブ49a、49bと感光ドラム1Aとの間からトナーが飛散することを抑制でき、エアフロー空間52を流れる気流によるトナーの回収効果を高め、飛散トナーをより抑制することができる。
【0067】
[実施例2]
次に、本実施形態の効果を確認するために、実施例1と同様の実験をした。本実験では、上述の比較例及び実施例1に加えて、実施例2として、第2の実施形態の現像装置を用いてローラ汚れの発生の有無を確認した。結果を以下の表2に示す。
【表2】
【0068】
表2から明らかなように、実施例2では、実施例1よりもローラ汚れが更に軽微であった。以上より、感光ドラム1Aと端部リブ49a,49b間の隙間を実質的にゼロにすることで、トナー飛散をより抑制できることがわかった。
【0069】
<第3の実施形態>
第3の実施形態について、図10(a)、(b)を用いて説明する。上述の第1の実施形態では、端部リブ49a側にのみ流入開口部50を形成した。これに対して本実施形態では、端部リブ49bにも流入開口部50を形成している。その他の構成及び作用は、上述の第1の実施形態と同様であるため、同様の構成について同じ符号を付し、説明及び図示を省略又は簡略にし、以下、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0070】
本実施形態では、図10(a)に示すように、長手方向前側の端部リブ49aに、第1の実施形態と同様の流入開口部50を形成している。更に、図10(b)に示すように、長手方向奥側の端部リブ49bにも、流入開口部50を形成している。即ち、流入開口部50が端部リブ49a、49bの両方にそれぞれ形成されている。端部リブ49bに形成した流入開口部50は、端部リブ49aに形成した流入開口部50と、現像スリーブ44aの回転方向の位置や形状が同じである。即ち、第1の実施形態と同様の流入開口部50を端部リブ49bにも形成している。
【0071】
両側の流入開口部50は、それぞれ感光ドラム1A側に開口している。このため、現像スリーブ44aを現像容器41に組み付ける際に、現像スリーブ44aの回転軸44cが流入開口部50を通過できる。なお、端部リブ49bには、第1の実施形態と同様に、吸引開口部51が形成されている。
【0072】
本実施形態の場合、端部リブ49bがエアフロー空間52への気流の流入部として働き、新たな気流が発生する。このため、本実施形態の構成においても、現像スリーブ44aから飛散したトナーを十分に吸引できる。
【0073】
[実施例3]
次に、本実施形態の効果を確認するために、実施例1と同様の実験をした。本実験では、上述の比較例及び実施例1、2に加えて、実施例3として、第3の実施形態の現像装置を用いてローラ汚れの発生の有無を確認した。結果を以下の表3に示す。
【表3】
【0074】
表3から明らかなように、実施例3では、実施例1と同程度にローラ汚れが軽微であった。以上より、端部リブ49bにも流入開口部50を設けても、飛散トナーを抑制できることがわかった。
【0075】
<他の実施形態>
上述の第3の実施形態において、第2の実施形態と同様に、端部リブ49a、49bに弾性部材を設け、弾性部材を感光ドラム1Aに接触させるようにしてもよい。
【0076】
上述の各実施形態では、現像装置として、第2の現像剤搬送経路(第1室)45bから現像スリーブ(現像剤担持体)44aに現像剤を供給し、第1の現像剤搬送経路(第2室)45aにて現像スリーブ44aから現像剤を回収する構成について説明した。但し、第1室から現像剤担持体に現像剤を供給し、第1室にて現像剤担持体から現像剤を回収する構成であっても良い。また、現像装置は、第1室と第2室とが上下に配置される構成以外に、水平方向に隣接するように、又は、水平方向に傾斜した方向に隣接するように配置される構成であっても良い。
【0077】
本発明の画像形成装置は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、これらの複数の機能を有する複合機などに適用可能である。
【符号の説明】
【0078】
1A、1B、1C、1D・・・感光ドラム(像担持体)/4A、4B、4C、4D、・・・現像装置/41・・・現像容器/41a・・・上流端/44a・・・現像スリーブ(現像剤担持体)/48・・・突出部/49a・・・端部リブ(第1の端部突出部)/49b・・・端部リブ(第2の端部突出部)/50・・・流入開口部(第1の開口部)/51・・・吸引開口部(第2の開口部)/53・・・ダクト/54a、54b・・・弾性部材/60・・・吸引ファン(気流発生手段)/100・・・画像形成装置/M・・・第1領域/N・・・第2領域/P・・・最近接位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10