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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-08
(45)【発行日】2024-03-18
(54)【発明の名称】シート包装体
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/08 20060101AFI20240311BHJP
   A47K 7/00 20060101ALI20240311BHJP
   B65D 75/56 20060101ALI20240311BHJP
   B65D 77/20 20060101ALI20240311BHJP
【FI】
B65D83/08 B
A47K7/00 H
B65D75/56
B65D77/20 F
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020080163
(22)【出願日】2020-04-30
(65)【公開番号】P2021172413
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2023-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】本城 良太
【審査官】宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-209136(JP,A)
【文献】特開昭62-168879(JP,A)
【文献】特開2015-063340(JP,A)
【文献】特開2017-007669(JP,A)
【文献】特開2013-249127(JP,A)
【文献】特開2015-189491(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/08
B65D 77/20
B65D 75/56
A47K 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚のウェットシートが積層されたシート積層体を、フィルムによって形成された包装体によって包装したシート包装体であって、
前記包装体には、前記ウェットシートを取り出すための取出口が形成されており、その取出口を覆う位置に接着と剥離を複数回繰り返すことができるシール状の蓋材が貼付されており、
前記包装体の一端側には、所定の吊下げ部材に掛止される掛止部が設けられており、前記掛止部が前記吊下げ部材に掛止された状態で、当該シート包装体は前記吊下げ部材から吊下げられるように構成されており、
当該シート包装体が吊下げられた状態で、前記蓋材は、前記掛止部から離間する方向であって下方に向けて剥離されるように構成されており、
前記取出口は、前記包装体に設けられている所定のミシン目に沿って前記包装体が切断された部分に形成されるように構成されており、
前記ミシン目は、互いに交差する複数のラインに沿って設けられており、前記ミシン目が切断された部位に応じて、前記取出口の大きさが調整可能に構成されており、
前記取出口は、前記掛止部が設けられている前記包装体の一端とは反対側の他端寄りの位置に形成され、その取出口は、当該シート包装体が吊下げられた状態で上縁の幅よりも下縁の幅の方が狭くなる形状に形成されことを特徴とするシート包装体。
【請求項2】
複数枚のウェットシートが積層されたシート積層体を、フィルムによって形成された包装体によって包装したシート包装体であって、
前記包装体には、前記ウェットシートを取り出すための取出口が形成されており、その取出口を覆う位置に接着と剥離を複数回繰り返すことができるシール状の蓋材が貼付されており、
前記包装体の一端側には、所定の吊下げ部材に掛止される掛止部が設けられており、前記掛止部が前記吊下げ部材に掛止された状態で、当該シート包装体は前記吊下げ部材から吊下げられるように構成されており、
前記蓋材は、前記掛止部から離間する方向に向けて剥離されるように構成されており、
前記取出口は、前記包装体に設けられている所定のミシン目に沿って前記包装体が切断された部分に形成されるように構成されており、
前記ミシン目は、互いに交差する複数のラインに沿って設けられており、前記ミシン目が切断された部位に応じて、前記取出口の大きさが調整可能に構成されていることを特徴とするシート包装体。
【請求項3】
前記取出口は、前記掛止部が設けられている前記包装体の一端とは反対側の他端寄りの位置に設けられていることを特徴とする請求項に記載のシート包装体。
【請求項4】
前記取出口は、前記包装体の一端側よりも他端側の幅の方が狭くなる形状に形成されていることを特徴とする請求項又はに記載のシート包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数枚のウェットシートが積層されたシート積層体を、フィルムによって形成された包装体によって包装して収容したシート包装体が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
シート包装体には、包装体の表面にシール状の蓋材が貼付されており、ウェットシートを使用する際にはその蓋材をめくり剥がして、ウェットシートの取出口を露出させるようにする。なお、めくり剥がした蓋材を再び包装体に貼付するように戻すことで、取出口を塞ぐことができる。
このようなシート包装体は、例えばキッチンやトイレなど、ウェットシートの使用頻度が高い場所に置かれることが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-275876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1のシート包装体をキッチンにて使用する場合、例えば、多くの食材や調理器具を使った調理を行う際に、一時的に邪魔になったシート包装体の置き場所を変えなければならないことがあり、その度に置き場所が変わってしまうという煩わしさがあった。
また、上記特許文献1のシート包装体をトイレや洗面所にて使用する場合、例えば、シート包装体は床の奧隅に置かれていたり、戸棚の中に置かれていたりすることが多いので、ウェットシートを使用する際に速やかにシート包装体を手にすることができないという煩わしさがあった。
【0005】
本発明の目的は、ユーザーが使い易い箇所に設置することができるシート包装体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、
複数枚のウェットシートが積層されたシート積層体を、フィルムによって形成された包装体によって包装したシート包装体であって、
前記包装体には、前記ウェットシートを取り出すための取出口が形成されており、その取出口を覆う位置に接着と剥離を複数回繰り返すことができるシール状の蓋材が貼付されており、
前記包装体の一端側には、所定の吊下げ部材に掛止される掛止部が設けられており、前記掛止部が前記吊下げ部材に掛止された状態で、当該シート包装体は前記吊下げ部材から吊下げられるように構成されており、
当該シート包装体が吊下げられた状態で、前記蓋材は、前記掛止部から離間する方向であって下方に向けて剥離されるように構成されており、
前記取出口は、前記包装体に設けられている所定のミシン目に沿って前記包装体が切断された部分に形成されるように構成されており、
前記ミシン目は、互いに交差する複数のラインに沿って設けられており、前記ミシン目が切断された部位に応じて、前記取出口の大きさが調整可能に構成されており、
前記取出口は、前記掛止部が設けられている前記包装体の一端とは反対側の他端寄りの位置に形成され、その取出口は、当該シート包装体が吊下げられた状態で上縁の幅よりも下縁の幅の方が狭くなる形状に形成されことを特徴とする。
このようなシート包装体であれば、ユーザーが所望する箇所にフックなどの吊下げ部材を固定し、その吊下げ部材に掛止部を掛止するようにすれば、置き場所をとらないように、ユーザーが使い易い箇所にシート包装体を吊下げて設置することができる。
特に、このシート包装体の蓋材は、掛止部が設けられている包装体の一端側から離間する方向に向けて剥離されるようになっているので、吊下げ部材に掛止部を掛止して、吊下げ部材にシート包装体を吊下げた状態で蓋材を下に向けて引き剥がすようにすれば、容易に取出口を露出させることができる。つまり、シート包装体の上端側が吊下げ部材によって支持されているので、蓋材を下に向けて引っ張るようにすれば、片手で蓋材を容易に剥離することができ、露出させた取出口からウェットシートを取り出すことができる。
【0008】
請求項に記載の発明は、
複数枚のウェットシートが積層されたシート積層体を、フィルムによって形成された包装体によって包装したシート包装体であって、
前記包装体には、前記ウェットシートを取り出すための取出口が形成されており、その取出口を覆う位置に接着と剥離を複数回繰り返すことができるシール状の蓋材が貼付されており、
前記包装体の一端側には、所定の吊下げ部材に掛止される掛止部が設けられており、前記掛止部が前記吊下げ部材に掛止された状態で、当該シート包装体は前記吊下げ部材から吊下げられるように構成されており、
前記蓋材は、前記掛止部から離間する方向に向けて剥離されるように構成されており、
前記取出口は、前記包装体に設けられている所定のミシン目に沿って前記包装体が切断された部分に形成されるように構成されており、
前記ミシン目は、互いに交差する複数のラインに沿って設けられており、前記ミシン目が切断された部位に応じて、前記取出口の大きさが調整可能に構成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項に記載の発明は、請求項に記載のシート包装体において、
前記取出口は、前記掛止部が設けられている前記包装体の一端とは反対側の他端寄りの位置に設けられていることを特徴とする。
【0010】
請求項に記載の発明は、請求項又はに記載のシート包装体において、
前記取出口は、前記包装体の一端側よりも他端側の幅の方が狭くなる形状に形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ユーザーが使い易い箇所に設置することができるシート包装体が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態のシート包装体を示す斜視図(a)(b)である。
図2】本実施形態のシート包装体を示す平面図である。
図3】シート包装体を使用する態様を示す斜視図である。
図4】シート包装体の変形例を示す平面図(a)(b)(c)(d)である。
図5】シート包装体の変形例を示す平面図(a)(b)である。
図6】シート包装体の変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明に係るシート包装体の実施形態について詳細に説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
なお、以下においては、図1に示すように、前後方向、左右方向及び上下方向並びにX軸、Y軸及びZ軸を定めて説明する。すなわち、シート包装体100において、蓋材110が貼付されている側を前、その反対側を後、シート包装体100のエンドシール部121に吊り穴12が形成されている側を上、他方のエンドシール部121側を下、吊り穴12が形成されているエンドシール部121を上側に配した際の左手側を左、右手側を右とし、前後方向に沿った軸をX軸、左右方向に沿った軸をY軸、上下方向に沿った軸をZ軸とする。
【0014】
[シート包装体]
本実施形態のシート包装体100は、例えば、図1図3に示すように、複数枚のウェットシートPが積層されたシート積層体を包装体120によって包装して、包装体120内にウェットシートPを収容したものである。
包装体120には、接着と剥離を複数回繰り返すことができるシール状の蓋材110が貼付されている。
その蓋材110によって包装体120が覆われている部分には、ウェットシートPを取り出すための取出口13が形成されている。
【0015】
[ウェットシート]
ウェットシートPは、シート材に薬液が含浸されたものであり、例えば、ウェットティッシュー、キッチンクリーナー、トイレクリーナー、制汗シート等である。
ウェットシートPのシート材は、所定の繊維を繊維素材として、例えば、スパンレース、エアスルー、エアレイド、ポイントボンド、スパンボンド、ニードルパンチ等の周知の技術により製造される不織布であることが好ましい。
所定の繊維としては、例えば、レーヨン、リヨセル、テンセル、コットン等のセルロース系繊維、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール等のポリオレフィン系繊維、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル繊維、ナイロン等のポリアミド系繊維が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
また、ウェットシートPのシート材は、目付が30~80gsm、大きさが、MD方向(抄紙機上の紙の進行方向)に100mmから200mm、CD方向(抄紙機上の紙の進行方向と直交する方向)に100mmから200mmに形成されたものが好適である。なお、目付は、JIS P 8124:2011に従って測定した坪量をいう。
また、ウェットシートPに含浸されている薬液としては、ウェットシートPの用途に応じて任意のものを用いることができるが、例えば、精製水、防腐剤、pH調整剤、界面活性剤等を含有するものが好ましい。
【0016】
[包装体]
包装体120は、シート状のフィルムによって袋状に形成されたものである。
シート状のフィルムとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニル等の合成樹脂フィルムの単材若しくは複合材、又はこれら合成樹脂フィルムとアルミホイル若しくは紙等を貼り合わせた複合フィルムを使用することができる。シート状のフィルムの厚みは、40μmから70μmであることが好ましい。
この包装体120は、シート状のフィルムの対向する辺同士を接合して、図示しないセンターシール部(包装体120の後面側に形成されている)を形成した上で、筒状となったフィルムの内部にシート積層体を収めた後、筒状のフィルムの両端の開口部を接合して2か所のエンドシール部121,121を形成するようにして、シート積層体を内包したピロー型の包装体に形成されている。
この包装体120の前面にウェットシートPを取り出すための取出口13が設けられている。
包装体120の大きさは、収容されるシート積層体の大きさに応じて定められるが、包装体120を不必要に大きくすることなく、かつ使用時におけるウェットシートPの取り出しが困難とならないように、シート積層体を若干の余裕をもって収容できる大きさであることが好ましい。
【0017】
[吊り穴]
包装体120の2か所のエンドシール部121,121のうちの一方には、シート包装体100を所定の吊下げ部材に吊下げるための吊り穴12が設けられている。
包装体120の一端側のエンドシール部121に設けられている吊り穴12は、所定の吊下げ部材(例えば、フックF)に掛止される掛止部として機能し、壁面などに取り付けられているフックF(図3参照)に吊り穴12を掛止するようにすれば、包装体120の他端側のエンドシール部121を下にして、シート包装体100をフックFから吊下げて設置することができる。
なお、包装体120の一端側のエンドシール部121は掛止部の一部であって、そのエンドシール部121と吊り穴12とによって掛止部が構成されていてもよい。
また、図3においては、吸盤式のフックFを例示しているが、ネジ式のフックFや粘着剤式のフックFなどであってもよく、ユーザーが所望する箇所に固定できるフックFであれば任意のフックFを用いることができる。
【0018】
[蓋材]
蓋材110は、包装体120とは別体のシート片により形成されており、ウェットシートPを取り出す取出口13を開閉自在に覆うように構成されている。
蓋材110を構成するシート片の材料としては、包装体120を構成するフィルムと同様のものを用いることができる。蓋材110を構成するシート片の厚みは、包装体120を構成するフィルムよりも厚く、60μmから80μmであることが好ましい。
【0019】
蓋材110の形状は、取出口13を完全に覆うことができれば特に限定されることはなく、例えば、矩形状、楕円形状など任意の形状とすることができる。
この蓋材110の裏面には、ポリエステル系、アクリル系、ゴム系等の感圧接着剤が塗布されており、蓋材110は、接着と剥離を複数回繰り返すことができ、取出口13を開閉自在に覆うように包装体120に接着されている。
また、蓋材110は、一端部が包装体120に固定され、他端部には端部から突出した摘み部11が設けられており、その摘み部11の下面には感圧接着剤が塗布されていない。この摘み部11を利用して蓋材110を開閉することが容易となる。
特に、この蓋材110は、図1(b)に示すように、吊り穴12が設けられている一端側のエンドシール部121から離間する方向に向けて剥離されるように設けられている。
【0020】
[取出口]
取出口13は、包装体120の前面であって、吊り穴12が設けられている包装体120の一端とは反対側の他端寄りの位置に設けられている。つまり、フックFに吊り穴12を掛止し、フックFからシート包装体100を吊下げて設置した際、取出口13は下側に位置するようになる。
特に、この取出口13は、包装体120の一端側よりも他端側の幅の方が狭くなる形状に形成されている。換言すれば、取出口13の幅(左右方向の幅)は、包装体120の一端側よりも他端側の方が狭くなっている。つまり、フックFに吊り穴12を掛止し、フックFからシート包装体100を吊下げて設置した状態で、取出口13は上側の幅よりも下側の幅の方が狭くなる態様に形成されている。
ここでの取出口13は、図2に示すように、吊り穴12が設けられている一端側のエンドシール部121を上にした姿勢のシート包装体100を正面視した際に、逆三角形状を呈するように形成されている。
【0021】
[効果の説明]
以上のように、本実施形態のシート包装体100は、包装体120の一端側のエンドシール部121に吊り穴12が設けられているので、その吊り穴12を壁面のフックFに掛止することで、シート包装体100をフックFから吊下げることができる。
このようなシート包装体100であれば、ユーザーが所望する箇所にフックFを固定し、そのフックFに吊り穴12を掛止するようにすれば、置き場所をとらないように、ユーザーが使い易い箇所にシート包装体100を吊下げて設置することができる。
【0022】
例えば、キッチンにおいて食材や調理器具を置く調理台の上にシート包装体100を設置するのではなく、手の届き易い壁面に固定したフックFに吊り穴12を掛止するようにすれば、置き場所をとらずにユーザーが使い易い箇所にシート包装体100を設置することができる。
また、トイレや洗面所において床の奥隅や戸棚の中にシート包装体100を設置するのではなく、例えば、ペーパーホルダーやタオルホルダーの近傍の壁面に固定したフックFに吊り穴12を掛止するようにすれば、置き場所をとらずにユーザーが使い易い箇所にシート包装体100を設置することができる。
【0023】
また、このシート包装体100の蓋材110は、吊り穴12が設けられている一端側のエンドシール部121から離間する方向に向けて剥離されるようになっているので、図3に示すように、シート包装体100をフックFに吊下げた状態で摘み部11を掴んで蓋材110を下に向けて引き剥がすようにすれば、容易に取出口13を露出させることができる。
つまり、シート包装体100の上端側がフックFによって支持されているので、蓋材110を下に向けて引っ張るようにすれば、片手で蓋材110を容易に剥離することができ、取出口13を露出させることができる。
そして、その取出口13からウェットシートPを取り出すことができる。
【0024】
また、このシート包装体100の取出口13は、吊り穴12が設けられている一端とは反対側の他端寄りの位置に設けられているため、フックFに吊り穴12を掛止し、フックFからシート包装体100を吊下げて設置した際、取出口13は下側に位置するようになっており、重力の作用で下がり易いウェットシートPが取出口13の近傍に寄り易くなっているので、そのウェットシートPを取出口13から取り出し易くなっている。
つまり、フックFから吊下げられている包装体120の中で、ウェットシートPは取出口13の近傍に寄り易くなっているので、残り枚数が少なくなってもウェットシートPを取出口13から容易に取り出すことができる。
【0025】
また、このシート包装体100の取出口13は、吊り穴12が設けられている一端側よりも他端側の幅の方が狭くなる形状(ここでは逆三角形状)に形成されているため、フックFに吊り穴12を掛止し、フックFからシート包装体100を吊下げて設置した状態で、取出口13は上側の幅よりも下側の幅の方が狭い態様になる。
上述したように、シート包装体100内のウェットシートPは重力の作用で取出口13の近傍に寄り易くなっているものの、取出口13の左右の幅が上側よりも下側の方が狭くなっており、取出口13の下縁にウェットシートPが接触し易くなっているので、重力の作用で下がり易いウェットシートPであっても取出口13からこぼれ出さないようにすることができる。
【0026】
[変形例;取出口の形状]
なお、本発明は上記実施形態に限られるものではない。
例えば、図4(a)に示すように、シート包装体100の取出口13は、吊り穴12が設けられている一端側のエンドシール部121を上にした姿勢の包装体120を正面視した際に、上底(上辺)よりも下底(下辺)の方が短い台形状を呈するように形成されたものでもよい。
また、図4(b)に示すように、シート包装体100の取出口13は、吊り穴12が設けられている一端側のエンドシール部121を上にした姿勢の包装体120を正面視した際に、上側に直線状の縁を配し、下側に円弧状の縁を配するように形成された半円形状や弓形状の開口を有するものでもよい。
このような形状の取出口13であっても、フックFに吊り穴12を掛止し、フックFからシート包装体100を吊下げて設置した状態で、取出口13は上側の幅よりも下側の幅の方が狭い態様になって、重力の作用で下がり易いウェットシートPであっても取出口13からこぼれ出にくくなる。
【0027】
また、図4(c)に示すように、シート包装体100の取出口13は、吊り穴12が設けられている一端側のエンドシール部121を上にした姿勢の包装体120を正面視した際に、略U字形状を呈する円弧状の開口を有するものでもよい。
また、図4(d)に示すように、シート包装体100の取出口13は、吊り穴12が設けられている一端側のエンドシール部121を上にした姿勢の包装体120を正面視した際に、略W字形状を呈する波形状の開口を有するものでもよい。
このような形状の取出口13であっても、フックFに吊り穴12を掛止し、フックFからシート包装体100を吊下げて設置した状態で、取出口13は上側の幅よりも下側の幅の方が比較的狭い態様になって、重力の作用で下がり易いウェットシートPであっても取出口13からこぼれ出にくくなる。
【0028】
[変形例;ミシン目を切断してなる取出口]
また、本発明は上記実施形態に限られるものではない。
例えば、図5(a)(b)に示すように、シート包装体100の包装体120において、蓋材110によって覆われている部分に、ウェットシートPを取り出す取出口13を形成するためのミシン目14が設けられていてもよい。このミシン目14は、取出口13を形成するための切断線であり、カット部と非カット部が交互に連なっている。
つまり、シート包装体100の取出口13は、包装体120に設けられている所定のミシン目14に沿って包装体120が切断された部分に形成されるようになっている。
そのミシン目14は、例えば、図5(a)(b)に示すように、互いに交差する複数のラインに沿って設けられており、ミシン目14が切断された部位に応じて、取出口13の大きさや形状を調整することが可能になっている。
【0029】
例えば、図5(a)のシート包装体100では、ミシン目14における中央側のラインに沿って包装体120が切断されて、比較的小さな逆三角形状の取出口13が形成された態様を示している。そして、その取出口13の両側のミシン目14をさらに切断すれば、より大きな逆三角形状の取出口13を形成することが可能になっている。
また、図5(b)のシート包装体100では、ミシン目14における中央側のラインに沿って包装体120が切断されて、比較的小さな逆三角形状の取出口13が1つ形成された態様を示している。そして、その取出口13の両側のミシン目14をさらに切断すれば、逆三角形が2つ連なった態様の取出口13や、逆三角形が3つ連なった態様の取出口13を形成することが可能になっている。
このように形成される取出口13であっても、フックFに吊り穴12を掛止し、フックFからシート包装体100を吊下げて設置した状態で、取出口13は上側の幅よりも下側の幅の方が狭い態様になって、重力の作用で下がり易いウェットシートPであっても取出口13からこぼれ出にくくなる。
なお、より大きな取出口13を形成すれば、その取出口13からウェットシートPを取り出し易くなる。一方、より小さな取出口13を形成すれば、ウェットシートPに含浸されている薬液の蒸散を抑えることができる。
【0030】
[変形例;シート包装体の縦横比]
また、上記したシート包装体100は、例えば、図1(a)に示したように、左右方向よりも上下方向に長い包装体120を有するものであったが、例えば、図6に示すように、上下方向よりも左右方向に長い包装体120を有するシート包装体100であってもよい。
上述したように、吊下げられているシート包装体100内のウェットシートPは重力の作用で下がり易くなっているので、残り枚数の少ないウェットシートPの束が重力の作用で倒れてしまうことがある。
そして、上下方向に長い包装体120(図1(a)参照)に収容されている、上下方向に長いウェットシートPの束は比較的倒れ易く、残り枚数が少なくなったウェットシートPの束は包装体120内で座屈するように折れ曲がってしまうことがある。ウェットシートPの束が包装体120内で折れ曲がってしまうと、取出口13からウェットシートPを取り出し難くなることがある。
一方、左右方向に長い包装体120(図6参照)に収容されている、左右方向に長いウェットシートPの束は、上下方向に長いウェットシートPの束よりも倒れ難く、残り枚数が少なくなったウェットシートPの束でも比較的折れ曲がり難くなっている。
つまり、上下方向よりも左右方向に長い包装体120を有するシート包装体100であれば、包装体120内でウェットシートPの束が折れ曲がり難く、取出口13からウェットシートPを取り出し易いので使い勝手がよい。
【0031】
[他の実施形態]
なお、以上の実施の形態においては、吊下げ部材としてフックFを用いるようにしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、吊下げ部材は他の部材であってよく、例えば、壁面に予め設けられている突起や、壁面に打ち込んだ釘や鋲などに吊り穴12を掛止して、シート包装体100を吊下げるようにしてもよい。
【0032】
また、シート包装体100の掛止部は吊り穴12であることに限らず、例えば、エンドシール部121に固着された樹脂製のリングなどであってもよく、壁面にシート包装体100を吊下げるためのものであれば任意である。
【0033】
また、このシート包装体100は、壁面に吊下げて使用するものに限らず、例えば、ユーザーの腰に吊下げて使用するものであってもよい。
この場合、シート包装体100の掛止部は、吊下げ部材であるベルト帯が挿通可能なベルト通し穴であり、そのベルト通し穴はエンドシール部121に形成されているものとする。
例えば、清掃作業員が作業着のベルト帯にシート包装体100を吊るして保持していれば、清掃作業中にウェットシートPを取り出して使い易い。
【0034】
また、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0035】
100 シート包装体
110 蓋材
11 摘み部
120 包装体
121 エンドシール部
12 吊り穴(掛止部)
13 取出口
14 ミシン目
P ウェットシート
F フック(吊下げ部材)
図1
図2
図3
図4
図5
図6