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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-08
(45)【発行日】2024-03-18
(54)【発明の名称】電子時計、電子機器
(51)【国際特許分類】
   G04R 60/10 20130101AFI20240311BHJP
   G04G 21/04 20130101ALI20240311BHJP
   G04G 19/00 20060101ALI20240311BHJP
   G04G 17/04 20060101ALI20240311BHJP
   G04C 10/00 20060101ALI20240311BHJP
   G04C 9/00 20060101ALI20240311BHJP
【FI】
G04R60/10
G04G21/04
G04G19/00 X
G04G17/04
G04C10/00 D
G04C9/00 301A
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2020082279
(22)【出願日】2020-05-07
(65)【公開番号】P2021177138
(43)【公開日】2021-11-11
【審査請求日】2023-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】弁理士法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】仲 秀治
(72)【発明者】
【氏名】村野 公祐
(72)【発明者】
【氏名】加藤 明
(72)【発明者】
【氏名】植村 隆太郎
【審査官】細見 斉子
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-88005(JP,A)
【文献】特開2018-169189(JP,A)
【文献】特開2019-191146(JP,A)
【文献】特開2019-56616(JP,A)
【文献】国際公開第2019/044567(WO,A1)
【文献】特開2006-5837(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04C 1/00-99/00
G04G 3/00-99/00
G04R 20/00-60/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電波を受信する第1の線状エレメントと、該第1の線状エレメントから分離して設けられる、電波を受信する第2の線状エレメントと、を含むアンテナと、
前記アンテナが実装されるアンテナ基板と、
前記アンテナが受信した電波を直流電流に変換する整流回路と、
前記直流電流が供給される蓄電池と、
を有し、
前記第1の線状エレメントと前記第2の線状エレメントとは、前記整流回路を介して互いに接続されている、
電子時計。
【請求項2】
前記整流回路は、平面視において、前記第1の線状エレメントの中心線と前記第2の線状エレメントの中心線とを繋ぐ線に重なるように設けられている、
請求項1に記載の電子時計。
【請求項3】
前記アンテナ基板は、平面形状が略円形であり、
前記第1の線状エレメント及び前記第2の線状エレメントは、平面視において、前記アンテナ基板の周方向に沿うように延びている、
請求項1又は2に記載の電子時計。
【請求項4】
前記整流回路は、前記第1の線状エレメントと前記第2の線状エレメントを跨ぐように設けられている、
請求項1~3のいずれか1項に記載の電子時計。
【請求項5】
前記アンテナ基板には、前記アンテナと、該アンテナと給電点で接続されると共に前記直流電流を前記蓄電池へ送る送電線と、が実装される、
請求項1~4のいずれか1項に記載の電子時計。
【請求項6】
前記送電線の少なくとも一部は、前記給電点から前記アンテナ基板の中心に向かって延びている、
請求項5に記載の電子時計。
【請求項7】
前記整流回路は、平面視において、前記給電点と重なるように設けられている、
請求項5又は6に記載の電子時計。
【請求項8】
光が入射されることで発電するソーラセルを含むソーラパネルを有し、
前記第1の線状エレメント及び前記第2の線状エレメントは、平面視において、前記ソーラセルと重ならない、
請求項1~7のいずれか1項に記載の電子時計。
【請求項9】
前記ソーラパネルは、前記アンテナの表側に設けられている、
請求項8に記載の電子時計。
【請求項10】
前記アンテナは、アンテナ基板の裏面に設けられている、
請求項9に記載の電子時計。
【請求項11】
前記ソーラパネルは、前記アンテナの裏側に設けられている、
請求項8に記載の電子時計。
【請求項12】
前記アンテナは、アンテナ基板の表面に設けられている、
請求項11に記載の電子時計。
【請求項13】
前記アンテナ基板は、光透過性を有する、
請求項11又は12に記載の電子時計。
【請求項14】
前記ソーラパネルは、分割線を介して区分される複数の前記ソーラセルを含み、
前記アンテナと給電点で接続されると共に前記直流電流を前記蓄電池へ送る送電線の少なくとも一部は、平面視において、前記分割線と重なるように延びている、
請求項8~13のいずれか1項に記載の電子時計。
【請求項15】
前記第1の線状エレメント及び前記第2の線状エレメントは、平面視において、前記ソーラパネルの縁に沿うように延びている、
請求項8~14のいずれか1項に記載の電子時計。
【請求項16】
前記アンテナ基板は、可撓性を有するフレキシブル回路基板である、
請求項1~15のいずれか1項に記載の電子時計。
【請求項17】
前記整流回路と前記蓄電池との間に電気的に接続して設けられる平滑用コンデンサを有する、
請求項1~16のいずれか1項に記載の電子時計。
【請求項18】
文字板に形成される小窓を介して視認される表示が設けられる、平面形状がリング状の表示車を有し、
前記第1の線状エレメント、前記第2の線状エレメント、及び前記整流回路は、平面視において、径方向における前記表示車の外側に設けられている、
請求項1~17のいずれか1項に記載の電子時計。
【請求項19】
前記整流回路と前記蓄電池との間に電気的に接続して設けられる平滑用コンデンサを有し、
前記平滑用コンデンサは、平面視において、径方向における前記表示車の内側に設けられている、
請求項18に記載の電子時計。
【請求項20】
電波を受信する第1の線状エレメントと、該第1の線状エレメントから分離して設けられる、電波を受信する第2の線状エレメントと、を含むアンテナと、
前記アンテナが受信した電波を直流電流に変換する整流回路と、
前記直流電流が供給される蓄電池と、
を有し、
前記第1の線状エレメントと前記第2の線状エレメントとは、前記整流回路を介して互いに接続されている、
電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子時計、及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、受電用のアンテナを備えており、非接触充電を行うことが可能な電子時計が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-161324号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、種々の部品を搭載する電子時計等の電子機器においては、受電用アンテナは小型であることが好ましい。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、小型の受電用アンテナを備える電子時計、及び電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決すべく本出願において開示される発明は種々の側面を有しており、それら側面の代表的なものの概要は以下の通りである。
【0007】
(1)電波を受信する第1の線状エレメントと、該第1の線状エレメントから分離して設けられる、電波を受信する第2の線状エレメントと、を含むアンテナと、前記アンテナが実装されるアンテナ基板と、前記アンテナが受信した電波を直流電流に変換する整流回路と、前記直流電流が供給される蓄電池と、を有し、前記第1の線状エレメントと前記第2の線状エレメントとは、前記整流回路により接続されている、電子時計。
【0008】
(2)(1)において、前記整流回路は、平面視において、前記第1の線状エレメントの中心線と前記第2の線状エレメントの中心線とを繋ぐ線に重なるように設けられている、電子時計。
【0009】
(3)(1)又は(2)において、前記アンテナ基板は、平面形状が略円形であり、
前記第1の線状エレメント及び前記第2の線状エレメントは、平面視において、前記アンテナ基板の周方向に沿うように延びている、電子時計。
【0010】
(4)(1)~(3)のいずれかにおいて、前記整流回路は、前記第1の線状エレメントと前記第2の線状エレメントを跨ぐように設けられている、電子時計。
【0011】
(5)(1)~(4)のいずれかにおいて、前記アンテナ基板には、前記アンテナと、該アンテナと給電点で接続されると共に前記直流電流を前記蓄電池へ送る送電線と、が実装される、電子時計。
【0012】
(6)(5)において、前記送電線の少なくとも一部は、前記給電点から前記アンテナ基板の中心に向かって延びている、電子時計。
【0013】
(7)(5)又は(6)において、前記整流回路は、平面視において、前記給電点と重なるように設けられている、電子時計。
【0014】
(8)(1)~(7)のいずれかにおいて、光が入射されることで発電するソーラセルを含むソーラパネルを有し、前記第1の線状エレメント及び前記第2の線状エレメントは、平面視において、前記ソーラセルと重ならない、電子時計。
【0015】
(9)(8)において、前記ソーラパネルは、前記アンテナの表側に設けられている、電子時計。
【0016】
(10)(9)において、前記アンテナは、アンテナ基板の裏面に設けられている、電子時計。
【0017】
(11)(8)において、前記ソーラパネルは、前記アンテナの裏側に設けられている、電子時計。
【0018】
(12)(11)において、前記アンテナは、アンテナ基板の表面に設けられている、電子時計。
【0019】
(13)(11)又は(12)において、前記アンテナ基板は、光透過性を有する、電子時計。
【0020】
(14)(8)~(13)のいずれかにおいて、前記ソーラパネルは、分割線を介して区分される複数の前記ソーラセルを含み、前記送電線の少なくとも一部は、平面視において、前記分割線と重なるように延びている、電子時計。
【0021】
(15)(8)~(14)のいずれかにおいて、前記第1の線状エレメント及び前記第2の線状エレメントは、平面視において、前記ソーラパネルの縁に沿うように延びている、電子時計。
【0022】
(16)(1)~(15)のいずれかにおいて、前記アンテナ基板は、可撓性を有するフレキシブル回路基板である、電子時計。
【0023】
(17)(1)~(16)のいずれかにおいて、前記整流回路と前記蓄電池との間に電気的に接続して設けられる平滑用コンデンサを有する、電子時計。
【0024】
(18)(1)~(17)のいずれかにおいて、文字板に形成される小窓を介して視認される表示が設けられる、平面形状がリング状の表示車を有し、前記第1の線状エレメント、前記第2の線状エレメント、及び前記整流回路は、平面視において、径方向における前記表示車の外側に設けられている、電子時計。
【0025】
(19)(18)において、前記整流回路と前記蓄電池との間に電気的に接続して設けられる平滑用コンデンサを有し、前記平滑用コンデンサは、平面視において、径方向における前記表示車の内側に設けられている、電子時計。
【0026】
(20)電波を受信する第1の線状エレメントと、該第1の線状エレメントから分離して設けられる、電波を受信する第2の線状エレメントと、を含むアンテナと、前記アンテナが受信した電波を直流電流に変換する整流回路と、前記直流電流が供給される蓄電池と、を有し、前記第1の線状エレメントと前記第2の線状エレメントとは、前記整流回路により接続されている、電子機器。
【発明の効果】
【0027】
上記本発明の(1)~(20)の側面によれば、小型の受電用アンテナを備える電子時計、及び電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】第1の実施形態に係る電子時計を示す正面図である。
図2図1のII-II切断線における断面図である。
図3】第1の実施形態における、アンテナ基板、及びアンテナ基板に実装される各部品を示す平面図である。
図4】第1の実施形態における、回路基板、回路基板に実装される各部品及び地板に構成される各部品を示す平面図である。
図5】第1の実施形態における整流回路の配置を模式的に示す図である。
図6】第1の実施形態におけるアンテナと蓄電池との接続構成を模式的に示す回路図である。
図7】第1の実施形態の変形例における、アンテナ基板、アンテナ基板に実装される各部品、及び日車を示す平面図である。
図8】第2の実施形態における、アンテナ基板に実装される各部品、及びソーラパネルを示す平面図である。
図9図8のIX-IX切断線における断面図である。
図10】第2の実施形態に係る電子時計の断面を模式的に示す断面図である。
図11】第2の実施形態の第1変形例において、アンテナ基板に実装される各部品、及びソーラパネルを示す平面図である。
図12】第2の実施形態の第1変形例に係る電子時計の断面を模式的に示す断面図である。
図13】ソーラパネルを示す平面図である。
図14】第2の実施形態の第2変形例における、アンテナ基板に実装される各部品、及びソーラパネルを示す平面図である。
図15】第3の実施形態における、アンテナ基板、アンテナ基板に実装される各部品を示す平面図である。
図16】第3の実施形態の変形例における、アンテナ基板、アンテナ基板に実装される各部品を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の各実施形態について図面に基づき詳細に説明する。なお、各図に示される電子時計1の各構成は模式的に示されており、各構成の相対的な大きさ等は図示されるものに限定されるものではない。
【0030】
図1は、第1の実施形態に係る電子時計の外観を示す平面図である。図2は、図1のII-II切断線における断面図である。なお、図2は、指針の配置を分かりやすくするため、秒針31及び時針33が9時の位置にあり、分針32が3時の位置にある様子を示している。また、図面が煩雑になるのを避けるため、図2で示す断面図においてはハッチングを省略する。また、アンテナ70は本来、図2に示す断面図上に表れるものではないが、電子時計1の厚み方向における配置を示すため破線で示されている。
【0031】
電子時計1は、受電用アンテナ(以下、単にアンテナという)70と、アンテナ70が受信した電波を整流する整流回路90と、を含むいわゆるレクテナ(rectifying antenna)を備えており、当該レクテナにより充電される蓄電池52により駆動するものである。
【0032】
電子時計1は、図1に示すように、外装ケース10と、外装ケース10内に配置される文字板20と、時刻を示す指針である秒針31、分針32、時針33と、を有する。
【0033】
秒針31、分針32、時針33は、文字板20の中央部に配置される指針軸35に取り付けられており、指針軸35を中心に回転する。文字板20には所定の位置に時字21が設けられている。秒針31、分針32、時針33が時字21を指し示すことにより、ユーザは時刻を認識することができる。
【0034】
第1の実施形態においては、文字板20の平面形状を円形とした。文字板20は、アンテナ70の受信感度への影響を抑制するため、樹脂等の非導電性部材からなることが好ましい。
【0035】
外装ケース10は、胴11、裏蓋12、ベゼル13を含む。外装ケース10は、SUS(Stainless Used Steel、ステンレス)やチタン合金などの金属等からなるものでもよいが、アンテナ70の受信感度への影響を抑制するため、一部または全体が樹脂やセラミックス等の非導電性部材からなることが好ましい。
【0036】
また、外装ケース10の内側には、文字板20を囲むように配置される見返しリング14が設けられている。見返しリング14も外装ケース10と同様に、SUS(Stainless Used Steel、ステンレス)やチタン合金などの金属等からなるものでもよいが、アンテナ70の受信感度への影響を抑制するため、樹脂等の非導電性部材からなることが好ましい。
【0037】
また、外装ケース10の3時側の側面にはユーザが種々の操作を行うための操作部材である竜頭15が配置されている。また、電子時計1は、竜頭15からの操作を電子時計1内部に伝達する機構として、巻真16と、複数の歯車等を含む輪列17とを有する。
【0038】
また、電子時計1は、文字板20を覆う風防40を有する。風防40は、ガラスや透光性樹脂等、透明材料からなるとよい。風防40は、ベゼル13に嵌め込まれて固定されている。
【0039】
電子時計1は、さらに、文字板20の裏側に設けられる、動力機構としてのムーブメント50を有する。ムーブメント50は、蓄電池52、指針を駆動するための輪列17及び電磁モータMT(図4参照)、計時機能を担う制御回路(不図示)が搭載された回路基板51等を地板55と呼ばれる枠に一体に組み付けたものである。
【0040】
ムーブメント50は、蓄電池52から電力を得て動作する。蓄電池52は、例えば、ボタン型のリチウム二次電池である。
【0041】
さらに、電子時計1は、アンテナ基板60と、アンテナ基板60に実装されるアンテナ70を有する。アンテナ70は、受信した電波に基づいて蓄電池52に電力を供給する。アンテナ70の詳細については後述することとする。
【0042】
なお、図1に示した電子時計1のデザインは一例である。ここで示したもの以外にも、例えば、外装ケース10を丸型でなく角型にしてもよいし、数や配置が任意のボタンが設けられていてもよい。また、指針により時刻を表示するアナログ式ではなく、液晶等の表示パネルに時刻を表示するデジタル式でもよい。ただし、デジタル式である場合は、時刻情報や機能情報を示す情報表示部(いわゆるセグメント電極や画素電極)とアンテナ70は平面視において重ならないように配置するとよい。
【0043】
図3は、第1の実施形態における、アンテナ基板、及びアンテナ基板に実装される各部品を示す平面図である。
【0044】
アンテナ基板60は、文字板20と略同じ平面形状である。すなわち、第1の実施形態において、アンテナ基板60の平面形状は円形である。なお、図3等においては、平面形状が真円のアンテナ基板60を示すが、これに限られず、外周に部分的に凹凸等が形成される形状であってもよい。すなわち、アンテナ基板60は略円形であってもよい。また、アンテナ基板60は、指針軸35が挿通される中心孔60aを有する。第1の実施形態においては、アンテナ基板60として、可撓性を有するFPC(Flexible Printed Circuit、フレキシブル回路基板)を用いた。そして、アンテナ基板60上に、アンテナ70や送電線80等の電極パターンを形成する構成とした。
【0045】
アンテナ70は、アンテナ基板60の表面に実装されている。ここで、表面とは、風防40が配置される側(表側)の面である。また、以下の説明において、表面の反対側の面を裏面と呼ぶこととする。各平面図において、表側に設けられる部材は実線で示し、裏側に設けられる部材は破線で示すこととする。
【0046】
アンテナ70は、電波を受信する第1の線状エレメント71と、電波を受信する第2の線状エレメント72と、を含む線状アンテナである。すなわち、アンテナ70は、いわゆるダイポールアンテナである。第1の線状エレメント71と第2の線状エレメント72とは、物理的に分離して設けられている。
【0047】
第1の線状エレメント71は、6時側から9時側に向けて、アンテナ基板60の縁(周方向)に沿うように延びている。第2の線状エレメント72は、6時側から3時側に向けて、アンテナ基板60の縁(周方向)に沿うように延びている。すなわち、第1の線状エレメント71及び第2の線状エレメント72は、共に円弧状である。また、第1の線状エレメント71と第2の線状エレメント72は同じ長さであるとよい。すなわち、第1の線状エレメント71と第2の線状エレメント72は、対称の形状であるとよい。
【0048】
また、図3に示すように、第1の実施形態においては、平面視において、3時位置と9時位置とを結ぶ直線により区画される2つの領域のうち、6時側の領域E1に第1の線状エレメント71と第2の線状エレメント72を設けた。
【0049】
アンテナ70は、高周波数帯域(約1GHz~)の電波を受信可能な長さを有するλ/2ダイポールアンテナである。すなわち、第1の線状エレメント71と第2の線状エレメント72の長さの合計は、受信する電波の周波数の波長の半分(λ/2)の長さであるとよい。具体的には、第1の実施形態においては、受信対象である周波数を2.4GHzとし、第1の線状エレメント71と第2の線状エレメント72の長さの合計を約6cmとした。このように、アンテナ70は、電子時計1等の小型の電子機器に搭載可能な大きさである。なお、アンテナ基板60に誘電率の高いものを採用することで波長短縮効果により、アンテナ長をより短くすることができる。
【0050】
アンテナ基板60には、さらに、整流回路90と、送電線80とが設けられている。送電線80は、送電線81a、送電線81b、送電線82a、送電線82bを含んでいる。
【0051】
整流回路90は、少なくとも1つのダイオードを含み、アンテナ70で受信した電波を整流し、直流電流に変換する回路である。送電線81a、81b、82a、82bは、整流回路90において整流された直流電流を蓄電池52へ伝達する。
【0052】
第1の実施形態においては、送電線81aは、アンテナ基板60の表面に設けられている。また、送電線81aは、第1の線状エレメント71と給電点F1を介して電気的に接続されており、6時側からアンテナ基板60の中心孔60a近傍へ向けて延びている。
【0053】
また、送電線81aは、アンテナ基板60の中心孔60a近傍に形成される貫通孔h1(スルーホール)を介して、アンテナ基板60の裏面側へ延びており、アンテナ基板60の裏面に設けられる送電線81bと繋がっている。
【0054】
送電線81bは、アンテナ基板60の中心孔60a近傍から11時側に向けて延びている。これは、図4に示すように、12時側に設けられる蓄電池52を避けた位置において、送電線81bを回路基板51に導通させるためである。送電線81bは、図2示すように、電子時計1の厚さ方向に延びる導通ピン81cを介して、回路基板51の導通部51cに導通されている。
【0055】
送電線82aは、アンテナ基板60の表面に設けられている。また、送電線82aは、第2の線状エレメント72と給電点F2を介して電気的に接続されており、6時側からアンテナ基板60の中心孔60a近傍へ向けて延びている。
【0056】
また、送電線82aは、アンテナ基板60の中心孔60a近傍に形成される貫通孔h2(スルーホール)を介して、アンテナ基板60の裏面側に延びており、アンテナ基板60の裏面に設けられる送電線82bと繋がっている。
【0057】
送電線82bは、アンテナ基板60の中心孔60a近傍から2時側に向けて延びている。これは、送電線81bと同様に、12時側に設けられる蓄電池52を避けた位置において、送電線82bを回路基板51に導通させるためである。送電線82bは、図2に示すように、電子時計1の厚さ方向に延びる導通ピン82cを介して、回路基板51の導通部51cに導通されている。
【0058】
導通ピン81c及び導通ピン82cは、平面視において、3時位置と9時位置とを結ぶ直線により区画される2つの領域のうち、第1の線状エレメント71と第2の線状エレメント72と異なる領域に設けられている。すなわち、導通ピン81c及び導通ピン82は、平面視において、3時位置と9時位置とを結ぶ直線により区画される2つの領域のうち、12時側の領域E2に設けられている。導通ピン81c及び導通ピン82cは、コイルバネや導電性ゴム、プローブピンなどの厚さ方向に伸縮可能であることが好ましい。
【0059】
なお、回路基板51と蓄電池52は不図示の導通部を介して導通されており、整流回路90で整流された直流電流は、送電線80、導通ピン81c、82c、及び回路基板51を通じて、蓄電池52へ供給される。
【0060】
図4は、第1の実施形態における、回路基板、回路基板に実装される各部品及び地板に構成される各部品を示す平面図である。回路基板51及び地板55には、蓄電池52の形状に沿った切り欠きが形成されている。また、図4に示すように、回路基板51には、ロータやコイルを含む電磁モータMTが設けられている。また、回路基板51には、電磁モータMTに対する磁気的な影響を抑制するための耐磁板53が、電磁モータMTを覆うように設けられている。また、回路基板51には、蓄電池52の充電を制御する充電制御回路54が設けられている。
【0061】
送電線80は、平面視において、電磁モータMTと重ならないように設けられているとよい。第1の実施形態においては、送電線81b及び送電線82bを、平面視において電磁モータMTと蓄電池52との間に延びるように配置した。このような配置をとることにより、電磁モータMTが、送電線81b及び送電線82bによる磁気的な影響を受けることを抑制できる。
【0062】
また、アンテナ70は、平面視において、電磁モータMTと重ならないように設けられているとよい。第1の実施形態においては、平面視において、3時位置と9時位置とを結ぶ直線により区画される2つの領域のうち、電磁モータMTとアンテナ70を異なる領域に設けた。具体的には、平面視において、3時位置と9時位置とを結ぶ直線により区画される2つの領域のうち、6時側の領域E1にアンテナ70を設け、12時側の領域E2に電磁モータMTを設けた。このような配置をとることにより、電磁モータMTからの磁気的な影響によりアンテナ70の受信感度が低下することを抑制できる。また、アンテナ70に対し電磁モータMTのコイルは遠ざけて配置することが好ましい。具体的には、電磁モータMTのロータとアンテナ70との最短距離よりもコイルとアンテナ70との最短距離が遠くなるように配置することが好ましい。
【0063】
また、平面視において、3時位置と9時位置とを結ぶ直線により区画される2つの領域のうち、耐磁板53とアンテナ70を異なる領域に設けた。具体的には、平面視において、3時位置と9時位置とを結ぶ直線により区画される2つの領域のうち、6時側の領域E1にアンテナ70を設け、12時側の領域E2に耐磁板53を設けた。このような配置をとることにより、耐磁板53と容量結合をすることなどによる影響によりアンテナ70の受信感度が低下することを抑制できる。また、平面視において、3時位置と9時位置とを結ぶ直線により区画される2つの領域のうち、蓄電池52とアンテナ70を異なる領域に設けた。具体的には、平面視において、3時位置と9時位置とを結ぶ直線により区画される2つの領域のうち、6時側の領域E1にアンテナ70を設け、12時側の領域E2に蓄電池52を設けた。このような配置をとることにより、蓄電池52と容量結合をすることなどによる影響によりアンテナ70の受信感度が低下することを抑制できる。
【0064】
図5は、第1の実施形態における整流回路の配置を模式的に示す図である。第1の実施形態においては、整流回路90をチップ部品とし、いわゆるCOF(Chip on Flexible)実装技術を用いて、フレキシブル回路基板であるアンテナ基板60上に実装した。
【0065】
整流回路90は、図5に示すように、平面視において第1の線状エレメント71と第2の線状エレメント72とを跨ぐ(重なる)ように設けられている。また、整流回路90は、給電点F1及び給電点F2上において、第1の線状エレメント71と第2の線状エレメント72と、を接続するように設けられている。すなわち、第1の実施形態においては、図3に示すように、整流回路90は、平面視において、第1の線状エレメント71の中心線C1と、第2の線状エレメント72の中心線C2とを繋ぐ線に重なるように設けられている。なお、給電点F1とは、第1の線状エレメント71と送電線81aとを繋ぐ点であり、給電点F2とは、第2の線状エレメント72と送電線82aとを繋ぐ点である。
【0066】
第1の線状エレメント71の中心線C1とは、平面視における第1の線状エレメント71の幅方向の中心を通る仮想的な線である。また、第2の線状エレメント72の中心線C2とは、平面視における第2の線状エレメント72の幅方向の中心を通る仮想的な線である。第1の実施形態においては、中心線C1と、中心線C2とが滑らかに繋がるように、第1の線状エレメント71と第2の線状エレメント72をアンテナ基板60上に設けた。
【0067】
整流回路90が、給電点F1及び給電点F2上に設けられることより、アンテナ70で受信された電波は、送電線81a及び送電線82aへ伝達される際に直ちに直流電流へと変換される。そのため、外部からの影響による電送損失を最小限に抑制することができ、アンテナ70で受信した電波に基づく電力を効率良く蓄電池52へ供給することができる。その結果、蓄電池52の充電効率を向上することが可能となる。
【0068】
図6は、第1の実施形態におけるアンテナと蓄電池との接続構成を模式的に示す回路図である。図6に示すように、第1の線状エレメント71は、給電点F1を介して、送電線81a、81bに電気的に接続されている。同様に、第2の線状エレメント72は、給電点F2を介して、送電線82a、82bに電気的に接続されている。整流回路90に含まれるダイオードDは、第1の線状エレメント71と第2の線状エレメント72とを接続するように設けられている。また、送電線81a、81b、及び送電線82a、82bは蓄電池52に接続されており、その途中において平滑用コンデンサCが設けられているとよい。
【0069】
図6においては、整流回路90が1つのダイオードDを含む例について示したが、これに限らず、整流回路90は2つ以上のダイオードを含んでいてもよい。例えば、整流回路90は、複数のダイオードからなるブリッジダイオード等を含むものであってもよい。また、図示は省略するが、整流回路90と蓄電池52との間には、昇圧回路等が設けられていてもよい。
【0070】
なお、図2に示したように、アンテナ基板60は、ムーブメント50の表側に設けられている。金属製の裏蓋12を採用した場合、電子時計1内の裏側からは電波が入りにくい。第1の実施形態においては、アンテナ基板60が、ムーブメント50を介して裏蓋12の反対側、すなわち、電波を通しやすい風防40側に設けられるため、アンテナ70の受信感度がよい。ただし、これに限られず、アンテナ基板60は、ムーブメント50の裏側に設けられていても構わない。この場合、アンテナ基板60は、ムーブメント50に一体に組み込まれていてもよい。また、この場合、裏蓋12の少なくとも一部に、電波透過性を有する部材を設けるとよい。
【0071】
また、図3に示したように、第1の線状エレメント71と第2の線状エレメント72は、アンテナ基板60の縁に沿うように延びている。すなわち、第1の線状エレメント71と第2の線状エレメント72は、平面視において、文字板20の縁に沿うように延びている。そのため、アンテナ70は、少なくとも時針33の軌道よりも径方向の外側に設けられており、平面視において時針33と重ならない。このような配置をとるため、時針33等の指針が金属製である場合であっても、アンテナ70は指針による受信感度の影響を受けにくい。
【0072】
また、図3に示したように、送電線81a及び送電線82aは、6時側からアンテナ基板60の中心孔60a近傍に向けて延びている。そのため、送電線81a及び送電線82aは、6時側からアンテナ基板60の縁に沿うように延びる第1の線状エレメント71及び第2の線状エレメント72から離間している。このような構成を採用することにより、アンテナ70は、送電線81a及び送電線82aによる受信感度の影響を受けにくい。
【0073】
なお、図3においては、送電線81bと送電線82bが、互いに離間するように延びる例について示したが、これに限らず、例えば、送電線81bと送電線82bとは互いに平行に延びるものであっても構わない。また、第1の実施形態においては、送電線80の一部(送電線81a、82a)がアンテナ基板60の表面に設けられ、他の一部(送電線81b、82b)がアンテナ基板60の裏面に設けられる例について示したが、これに限られない。すなわち、送電線80の全てがアンテナ基板60の表面又は裏面に設けられていても構わない。例えば、表面にのみ給電点F1から導通ピン81cまでの間に配置される送電線81aと、給電点F2から導通ピン82cまでの間に配置される送電線82aを設け、貫通孔(スルーホール)を介して導通ピン81c、82cと電気的に接続してもよいし、整流回路90の端子位置(給電点F1,F2)に貫通孔(スルーホール)を配置し、裏面にのみ導通ピン81c,82cまでを電気的に接続する送電線81b,82bをそれぞれ配置する構成としてもよい。また、送電線81a,81b,82a,82bを省略し、整流回路90の端子位置(給電点F1,F2)に貫通孔(スルーホール)を設け、貫通孔に直接導通ピン81c,82cをそれぞれ配置して、接続する構成としてもよい。
【0074】
以上説明した電子時計1に備えられるアンテナ70は、高周波数帯域の電波を受信可能な長さの線状エレメントで構成されるものであるため、サイズが小型である。すなわち、第1の実施形態においては、小型のアンテナを備える電子時計1を提供することができる。また、スマートフォン等の携帯端末等、高周波数帯域の電波を発生する機器の近くに置くことで、電子時計1の蓄電池52が充電されることとなる。すなわち、専用の充電装置等を用意することなく、充電可能な電子時計1を提供することができる。
【0075】
次に、図7を参照して、第1の実施形態の変形例について説明する。図7は、第1の実施形態の変形例における、アンテナ基板、アンテナ基板に実装される各部品、及び日車を示す平面図である。
【0076】
第1の変形例においては、電子時計1は、日車120を有している。日車120は、例えば、文字板20の裏側であってアンテナ基板60の表側に設けられているとよい。図7においては、アンテナ基板60の表側に設けられる日車120、及び、日車120の表側に設けられる文字板20に形成される小窓25を示している。日車120は、中央部に孔が形成されたリング形状であって、回転可能に設けられている。日車120の表面には、日付を表す数字1~31が、回転方向に並んで表されている。なお、図7においては、「8日」であることを示す数字「8」のみを示しており、他の数字については省略している。
【0077】
文字板20(図7においては不図示)には小窓25が形成されており、日車120に表示される日付が小窓25を介して外部から視認可能となっている。図7においては、「8日」であることを示す数字「8」が小窓25を介して視認される様子を示している。なお、小窓25は貫通孔であってもよいし、透明の部材からなるものであってもよい。
【0078】
図7に示すように、第1の線状エレメント71及び第2の線状エレメント72は、平面視において、日車120の外側であって、日車120と重ならないように設けられている。このため、第1の線状エレメント71及び第2の線状エレメント72が日車120に干渉することがなく、電子時計1の厚みを抑制することができる。
【0079】
また、整流回路90は、平面視において、日車120の外側であって、日車120と重ならないように設けられている。このため、整流回路90が日車120に干渉することがなく、電子時計1の厚みを抑制することができる。
【0080】
さらに、平滑用コンデンサCが、平面視において、日車120の内側であって、日車120と重ならないように設けられている。平滑用コンデンサCが日車120に干渉することがなく、電子時計1の厚みを抑制することができる。特に、平滑用コンデンサCは、アンテナ基板60に実装される他の部材と比較して厚みが厚く、日車120と重ならないように設けられることが好ましい。
【0081】
また、比較的サイズが大きな電子部品である平滑用コンデンサCを、平面視において日車120の内側に設けることにより、平滑用コンデンサCを日車120の外側に設けた場合と比較して、日車120の径方向の大きさを確保することが可能となる。そのため、日車120に示される数字を大きくすることができる。その結果、日付の視認性を向上することができる。
【0082】
なお、図7においては、送電線81b及び送電線82bが、アンテナ基板60の表面に設けられる例について示すが、これに限られず、図3で示したものと同様に、アンテナ基板60の裏面に設けられていても構わない。
【0083】
なお、日車120は、アンテナ基板60の裏側に設けられていてもよい。この場合、アンテナ基板60は、平面視において、小窓25と重なる部分に、貫通孔又は透明の部材を有しているとよい。このように、アンテナ70をより風防40に近い側に配置することにより受信感度を向上することができる。
【0084】
なお、第1の実施形態の変形例においては、数字や文字等の表示が設けられる表示車として日車120を例に挙げて説明したが、これに限らず、曜車等、他の表示車、またはデジタル表示可能な表示パネル等を採用した場合においても、アンテナ基板60に実装される各部品の配置を図7に示したものとするとよい。
【0085】
次に、図8図10を参照して、第2の実施形態について説明する。図8は、第2の実施形態における、アンテナ基板に実装される各部品、及びソーラパネルを示す平面図である。図9は、図8のIX-IX切断線における断面図である。図10は、第2の実施形態に係る電子時計の断面を模式的に示す断面図である。なお、図8においては、アンテナ基板60の図示を省略し、アンテナ基板60に実装されるアンテナ70、送電線80、及び整流回路90を図示している。なお、第1の実施形態で説明した構成と同様の構成については、同じ符号を用いてその説明は省略する。なお、図9の断面においては、実際は導通ピン155aは表れないが、導通状態を示すため、導通ピン81cの横に破線で示すこととした。また、図10においては、各構成を模式的に示しており、それら各構成の配置、幅、厚み等は図示のものに限られない。
【0086】
第2の実施形態に係る電子時計は、第1の実施形態で説明したレクテナに加えて、ソーラパネル150を有する。すなわち、第2の実施形態に係る電子時計は、発電手段を2つ備える。
【0087】
ソーラパネル150は、文字板20を透過した光が入射されることにより発電する。そのため、文字板20はある程度の透過性を有する材料からなるとよい。
【0088】
ソーラパネル150は、シリコン等からなる半導体層と、その半導体層の上面及び下面に配置される電極層とを含み、光が入射されることにより半導体層で発生した電荷を、電極層で回収し、電極層から蓄電池52へ電力を供給する。
【0089】
ソーラパネル150は、平面形状が円形であり、その中心が文字板20の中心に位置するように設けられているとよい。ただし、これに限らず、ソーラパネル150は、少なくとも、文字板20を透過した外光を受光可能な配置、形状であるとよい。
【0090】
第2の実施形態において、図10に示すように、ソーラパネル150は、文字板20の裏側であって、アンテナ基板60の表側に設けられている。
【0091】
図8等に示すように、第1の線状エレメント71及び第2の線状エレメント72は、平面視において、ソーラパネル150と重ならないように設けられている。そのため、アンテナ70において、風防40側から入ってくる電波を受信することができる。なお、ソーラパネル150を保持するパネル基板151と、第1の線状エレメント71及び第2の線状エレメント72とは、平面視において重なるように設けられている。そのため、パネル基板151は、電波透過性を有する材料からなるとよい。
【0092】
図9に示すように、第2の実施形態においては、裏側から表側に向けて順に、地板55、アンテナ基板60、パネル基板151が配置されている。
【0093】
パネル基板151は、押さえ部材152により保持されている。具体的には、押さえ部材152は、パネル基板151の表面に接触する押さえ部152aと、押さえ部152aの端部から下方に延びると共に、地板55に形成される溝に引っかかるフック部152bとを有する。フック部152bは、周方向において複数設けられているとよい。
【0094】
パネル基板151及びアンテナ基板60は、押さえ部材152と地板55により挟み込まれることで、保持されている。このため、例えば、導通ピン81cとして、導電性のバネを用いた場合においても、アンテナ基板60はバネの付勢力により浮き上がることがないため、アンテナ70と回路基板51との電気的な接続状態を維持することができる。なお、回路基板51は、地板55に対してねじ等を用いて固定されているとよい。図8に示すように、導通ピン81c、82cは、平面視において、押さえ部152aと重なるように設けられているとよい。すなわち、導通ピン81c、82cは、押さえ部152aの直下に設けられているとよい(図9参照)。
【0095】
また、図10に示すように、ソーラパネル150は、導通ピン155aを介して回路基板51に導通されているとよい。また、アンテナ70が導通ピン155aによる受信感度の影響を受けることを抑制するため、導通ピン155aは、先に述べた図4における平面視において、3時位置と9時位置とを結ぶ直線により区画される2つの領域のうち、12時側の領域E2に設けられているとよい。
【0096】
ここで、導通ピン81c及び導通ピン155aは、押さえ部152aからの力により押さえ付けられて保持されている。特に、図8に示すように、導通ピン81c及び導通ピン155aを近傍に配置することで、一つの押さえ部152aで2つの導通ピンを保持することができるため、押さえ部材152の構造を簡略化することができる。図8に示すように、導通ピン155aは、導通ピン81c又は導通ピン82cと平面視において重なっている押さえ部152aと、平面視において重なるように設けられているとよい。なお、図8においては、導通ピン81cの近傍に一方の導通ピン155aが配置され、導通ピン82cの近傍に他方の導通ピン155aが配置される例について示すが、これに限らず、例えば、導通ピン81cの近傍に2つの導通ピン155aが配置されていてもよい。また、この際、導通ピン81cを挟むように2つの導通ピン155aを配置するとよい。これにより、2つの導通ピン155a双方を導通ピン81cの近傍に配置することが可能となる。
【0097】
第2の実施形態において、図10に示すように、第1の線状エレメント71、第2の線状エレメント72、送電線80、及び整流回路90(図10においては不図示)は、アンテナ基板60の裏面に設けられている。このため、アンテナ基板60上に実装される各部品が、ソーラパネル150やパネル基板151に干渉することがない。なお、アンテナ基板60の裏面に整流回路90や平滑用コンデンサCを設けた場合、地板55には、それらを避けるように溝等の凹部が形成されているとよい。これにより、整流回路90や平滑用コンデンサCが地板55に干渉することを抑制すると共に、電子時計の厚みを抑制することができる。
【0098】
次に、図11図13を参照して、第2の実施形態の第1変形例について説明する。図11は、第2の実施形態の第1変形例において、アンテナ基板に実装される各部品、及びソーラパネルを示す平面図である。図12は、第2の実施形態の第1変形例に係る電子時計の断面を模式的に示す断面図である。図13は、ソーラパネルを示す平面図である。
【0099】
第2実施形態の第1変形例においては、アンテナ70が、ソーラパネル150の表側に設けられる例について説明する。
【0100】
第2の実施形態の第1変形例においては、アンテナ70、整流回路90、及び平滑用コンデンサC(図12においては不図示)は、アンテナ基板60の表面に設けられるとよい。すなわち、アンテナ基板60に実装させる各部品は、アンテナ基板60の面のうち、ソーラパネル150が設けられる側の反対側の面に設けられているとよい。それにより、アンテナ基板60に実装される各部品が、ソーラパネル150やパネル基板151に干渉することが抑制される。また、アンテナ70がアンテナ基板60の表面、すなわち、風防40に近い側に設けられることにより、アンテナ70の受信感度が向上する。
【0101】
第2の実施形態の第1変形例においては、アンテナ基板60は、光透過性を有するとよい。それにより、アンテナ基板60の裏側に設けられるソーラパネル150は、文字板20及びアンテナ基板60を透過した光が入射されることにより発電することができる。
【0102】
第2の実施形態の第1変形例においては、ソーラパネル150は、非発電領域である分割線を介して区分される複数のソーラセルを含む。非発電領域とは、ソーラパネル150のうち発電に寄与しない領域をいう。
【0103】
第2の実施形態の第1変形例においては、アンテナ70とソーラパネル150におけるソーラセルとは、平面視において重ならないように設けられるとよい。すなわち、図11に示すように、第1の線状エレメント71及び第2の線状エレメント72は、平面視において、ソーラパネル150の外側に設けられているとよい。
【0104】
また、送電線80の少なくとも一部は、平面視においてソーラパネル150の非発電領域と重なるように設けられているとよい。
【0105】
送電線81a、81b、82a、82bは、平面視において、分割線と重なるように設けられているとよい。すなわち、図13に示すように、ソーラパネル150は、ソーラパネル150の中心部から6時方向に延びる分割線D1、11時方向に延びる分割線D2、2時方向に延びる分割線D3を有するように配置されるとよい。分割線D1は、平面視において、送電線81a及び送電線81bの少なくとも一部と重なっている。分割線D2は、平面視において、送電線82aの少なくとも一部と重なっている。分割線D3は、平面視において、送電線82bの少なくとも一部と重なっている。
【0106】
発電に寄与しないソーラパネル150の分割線と、送電線80とを、平面視において重ねて設けることにより、送電線80が発電に寄与する発電領域と重なるように設けられる構成と比較して、ソーラパネル150における発電量を向上することができる。
【0107】
なお、第2の実施形態の第1変形例においては、アンテナ基板60が、文字板としての機能を兼用してもよい。すなわち、図2に示す文字板20を省略し、ユーザが風防42を介してアンテナ基板60を視認可能である構成としてもよい。この場合、第1の線状エレメント71、第2の線状エレメント72、及び整流回路90は、ユーザが視認できないように、アンテナ基板60の裏面に設けられているとよい。
【0108】
次に、図14を参照して、第2の実施形態の第2変形例について説明する。図14は、第2の実施形態の第2変形例における、アンテナ基板に実装される各部品、及びソーラパネルを示す平面図である。
【0109】
第2の実施形態の第2変形例においては、第1変形例と同様に、ソーラパネル150の表側にアンテナ基板60及びアンテナ70が設けられている。第2変形例においては、図14に示すように、周方向において、第1の線状エレメント71及び第2の線状エレメント72と重なる部分において、ソーラパネル150の径を小さくし、ソーラセルが第1の線状エレメント71及び第2の線状エレメント72と重ならないようにした。つまり、第1の線状エレメント71及び第2の線状エレメント72とは重ならない部分においてソーラパネル150の径を大きくした。これにより、第1変形例と比較して、ソーラパネル150の大きさを大きくすることができる。すなわち、ソーラパネル150における発電量を向上することができる。
【0110】
第2の実施形態及びその変形例においては、受電用のアンテナ70に加えてソーラパネル150を備えることより、室内においてスマートフォン等の携帯端末の近くに電子時計が置かれる状態、及び電子時計に太陽光または室内照明光が照射される状態のいずれの状態においても蓄電池52を充電することができる。
【0111】
なお、例えば、ソーラパネル150における発電量が大きい環境下、すなわち、所定量以上の光発電が検出される環境下においては、ソーラパネル150による発電が優先的に検出されるよう制御が行われるとよい。一方で、ソーラパネル150による発電量が小さい環境下、すなわち、所定量未満しか光発電が検出されない環境下においては、レクテナによる発電が優先的に検出されるよう制御が行われるとよい。また、時間帯等に応じて、ソーラパネル150による発電又はレクテナによる発電のいずれを優先して検出するか等を制御してもよい。例えば、電子時計1の内部時計が示す時刻が日中の時間帯であれば、ソーラパネル150による発電を優先して検出する制御が行われるとよい。
【0112】
また、蓄電池52の電池電圧が所定の電圧値以下となった際に、電子時計1の機能の一部を制限する節電モードに切り替える機能を搭載する電子時計1においては、ソーラパネル150又はレクテナのいずれか少なくとも一方による発電が検出された場合、節電モードを解除するよう制御してもよい。なお、例えば、ソーラパネル150による単位時間あたりの発電量が、レクテナによる単位時間あたりの発電量よりも安定的である場合には、レクテナによる発電の検出の有無を問わず、ソーラパネル150による発電を検出した場合に節電モードを解除するよう制御してもよい。
【0113】
なお、第2の実施形態及びその変形例においては、アンテナ70がアンテナ基板60に設けられており、ソーラパネル150がパネル基板151に設けられる例について示したが、アンテナ70とソーラパネル150は共通の基板に設けられるものであってもよい。その場合、基板の一の面にソーラパネル150が設けられ、他の面にアンテナ70、送電線80、整流回路90、平滑用コンデンサC等が設けられるとよい。
【0114】
次に、図15を参照して、第3の実施形態について説明する。図15は、第3の実施形態における、アンテナ基板、アンテナ基板に実装される各部品を示す平面図である。なお、第1の実施形態で説明した構成と同様の構成については、同じ符号を用いてその説明は省略する。
【0115】
第3の実施形態においては、図15に示すように、受電用のアンテナをアンテナ基板60に2つ実装する構成とした。すなわち、第3の実施形態に係る電子時計は、第1のアンテナ170と、第2のアンテナ270を有する。
【0116】
第1のアンテナ170は、第1の線状エレメント171と第2の線状エレメント172を含む。第2のアンテナ270は、第1の線状エレメント271と第2の線状エレメント272を含む。図15に示すように、第1のアンテナ170と第2のアンテナ270は、平面視において、互いに重ならないように設けられている。具体的には、平面視において、3時位置と9時位置とを結ぶ直線により区画される2つの領域のうち、第1のアンテナ170と第2のアンテナ270を異なる領域に設けた。具体的には、第1のアンテナ170を6時側の領域E1に設け、第2のアンテナ270を12時側の領域E2に設けた。
【0117】
第1のアンテナ170で受信された電波は、整流回路190において直流電流に変換され、送電線180を通じて蓄電池52に供給される。同様に、第2のアンテナ270で受信された電波は、整流回路290において直流電流に変換され、送電線280を通じて蓄電池52に供給される。つまり、アンテナが1つの場合よりも充電性能が向上する。
【0118】
図15に示すように、送電線180は、6時側から中心孔60a近傍に延びている。また、送電線280は、12時側から中心孔60a近傍に延びている。送電線180と送電線280は中心孔60a近傍で接続されて、さらに、3時側及び9時側へ延びている。具体的には、アンテナ基板60の縁側であって、第1のアンテナ170及び第2のアンテナ270が設けられていない領域へ延びている。このような構成のため、第1のアンテナ170及び第2のアンテナ270が、送電線180、280により受信感度の影響を受けることを抑制することができる。
【0119】
図16を参照して、第3の実施形態の変形例について説明する。第3の実施形態の変形例における、アンテナ基板、アンテナ基板に実装される各部品を示す平面図である。第3の実施形態の変形例においては、第1のアンテナ170及び第2のアンテナ270を備えており、アンテナ基板60の外形が図15に示すものよりも小さい場合の例について説明する。
【0120】
電子時計が小型になると、それに合わせてアンテナ基板60の径を小さくする必要がある。アンテナ基板60の径を小さくした場合において、2つのアンテナをアンテナ基板60に実装すると、2つのアンテナの端部が互いに干渉してしまう場合がある。そこで、第3の実施形態の変形例においては、図16に示すように、第1のアンテナ170の第1の線状エレメント171に、第2のアンテナ270の第1の線状エレメント271を避けるように内側に屈曲する屈曲部171aを設け、第2のアンテナ270の第2の線状エレメント272に、第1のアンテナ170の第2の線状エレメント172を避けるように内側に屈曲する屈曲部272aを設けた。このような構成を採用することにより、小型の電子時計においても、2つのアンテナを実装することが可能となる。なお、図15図16においては、2つのアンテナが同一波長に対応することを想定しているが、多周波対応のために、エレメントの長さを任意の周波数に合わせて配置してもよい。
【0121】
上記各実施形態及び変形例においては、電子時計(文字板)の外形に合わせて、円弧状の第1の線状エレメント71及び第2の線状エレメント72を示したが、これに限られず、電子時計に内蔵可能な大きさであれば、第1の線状エレメント71及び第2の線状エレメント72の平面形状は直線状であっても構わない。
【0122】
また、上記各実施形態及び変形例においては、アンテナとしてダイポールアンテナを例に挙げて説明したが、これに限らず、他の線状アンテナであっても構わない。
【0123】
上記各実施形態及び変形例においては、電子時計を例に挙げて説明したが、これに限らず、蓄電池52により駆動する他の電子機器であっても構わない。
【0124】
以上、本発明に係る各実施形態について説明したが、この実施形態に示した具体的な構成は一例として示したものであり、本発明の技術的範囲をこれに限定することは意図されていない。当業者は、これら開示された実施形態を適宜変形してもよく、本明細書にて開示される発明の技術的範囲は、そのようになされた変形をも含むものと理解すべきである。
【符号の説明】
【0125】
1 電子時計、10 外装ケース、11 胴、12 裏蓋、13 ベゼル、14 見返しリング、15 竜頭、16 巻真、17 輪冽、20 文字板、21 時字、31 秒針、32 分針、33 時針、35 指針軸、40 風防、50 ムーブメント、51 回路基板、52 蓄電池、53 耐磁板、54 充電制御回路、55 地板、60 アンテナ基板、70,170,70 アンテナ、71、71,271 第1の線状エレメント、72,172,272 第2の線状エレメント、80,81a,81b,82a、82b、180 送電線、81c、82c 導通ピン、90,190,290 整流回路、120 日車、150 ソーラパネル、151 パネル基板、152 押さえ部材、155a 導通ピン、C 平滑用コンデンサ、F1,F2 給電点、MT 電磁モータ。
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