(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-08
(45)【発行日】2024-03-18
(54)【発明の名称】シート選別装置
(51)【国際特許分類】
B65H 29/62 20060101AFI20240311BHJP
B65G 47/46 20060101ALN20240311BHJP
【FI】
B65H29/62 Z
B65G47/46 G
(21)【出願番号】P 2020085007
(22)【出願日】2020-05-14
【審査請求日】2023-03-14
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 1)販売の実施 〔販売日〕令和1年8月31日 〔販売場所〕キング食品株式会社(広島県福井市大門町五丁目9番1号) 〔公開者〕株式会社ミウラ 〔販売した物の内容〕品質の良否で薄いシートを選別するシート選別装置
(73)【特許権者】
【識別番号】500105137
【氏名又は名称】株式会社ミウラ
(74)【代理人】
【識別番号】100146020
【氏名又は名称】田村 善光
(74)【代理人】
【識別番号】100062328
【氏名又は名称】古田 剛啓
(72)【発明者】
【氏名】根角 圭司
(72)【発明者】
【氏名】坂本 圭志
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 立師
【審査官】久米 伸一
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-027848(JP,A)
【文献】特開昭63-022632(JP,A)
【文献】実開平04-066115(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2016/0280494(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 29/62
B65G 47/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送されてくるシートの品質判定情報に基づいてシートを振り分ける、上流側振分コンベアと、前記上流側振分コンベアと直列に配設した下流側振分コンベアと、前記上流側振分コンベア及び前記下流側振分コンベアの振分動作を駆動する振分動作駆動手段と、を備えたシート選別装置であって、
前記上流側振分コンベア及び前記下流側振分コンベアは、平面視で、それぞれ同数の少なくとも2以上の小幅コンベアが並設されて連結されており、
平面視で、前記上流側振分コンベアの上流側の端部の搬送方向における位置は複数の小幅コンベアとも同一で、前記下流側振分コンベアの下流側の端部の搬送方向における位置は複数の小幅コンベアとも同一で、前記上流側振分コンベアの下流側の端部と前記下流側振分コンベアの上流側の端部における小幅コンベア間の乗り移りの境界位置をジグザグ形態にし、
前記上流側振分コンベアは、シートの搬送方向に対して直角に上流側端部に配設された軸に対して回転自在とし、前記振分動作駆動手段により、前記軸を支点として前記上流側振分コンベアを水平状態に又は同一傾斜角度での下方傾斜状態になるように回転可能とし、
前記下流側振分コンベアは、シートの搬送方向に対して直角に下流側端部に配設された軸に対して回転自在とし、前記振分動作駆動手段により、前記軸を支点として前記下流側振分コンベアを水平状態に又は同一傾斜角度での上方傾斜状態になるように回転可能とし、
制御手段により、予め定めた一方の判定情報とシート到達情報を受けると、前記上流側振分コンベアと前記下流側振分コンベアを同期させて水平状態にし、予め定めた他方の判定情報とシート到達情報を受けると、前記上流側振分コンベアと前記下流側振分コンベアを同期させて前記上流側振分コンベアを下方傾斜させ前記下流側振分コンベアを上方傾斜させることを特徴とするシート選別装置。
【請求項2】
前記振分動作駆動手段が、
1つの駆動モータの回転軸に設けた1つの駆動平歯車と、前記駆動平歯車と前記駆動平歯車の上流側で噛み合う上流側従動歯車と、前記駆動平歯車と前記駆動平歯車の下流側で噛み合う下流側従動歯車と、
下端部を、前記上流側従動歯車と同一軸に取り付けられた2つの円板状体それぞれに、前記上流側振分コンベアを水平方向にした状態で、前記
円板状体の軸心からまっすぐ上方に偏心させた位置に回転自在に取り付けられ、上端部を、前記上流側振分コンベアの幅方向の両端部近傍でかつ下流端近傍にそれぞれ回転自在に取り付けられた略棒状の2つの上流側振分動作伝動体と、
下端部を、前記下流側従動歯車と同一軸に取り付けられた2つの円板状体それぞれに、前記下流側振分コンベアを水平方向にした状態で、前記
円板状体の軸心からまっすぐ下方に偏心させた位置に回転自在に取り付けられ、上端部を、前記下流側振分コンベアの幅方向の両端部近傍でかつ上流端近傍にそれぞれ回転自在に取り付けられた略棒状の2つの下流側振分動作伝動体と、を備え、
前記制御手段により、前記駆動モータの180°回転により、前記上流側振分コンベア及び前記下流側振分コンベアを同期させて水平状態から傾斜状態へ、又は、傾斜状態から水平状態への動作をさせることを特徴とする請求項1に記載のシート選別装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートの品質判定情報を受けて、シートを判定情報別に振り分けるシート選別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、板葉紙のような平板状シート両面の欠陥を検査し、自動選別する装置であって、シートの搬送中に、欠陥検査によるOKまたはNG判定を受信し、判定指令に従って振り分けゲートを作動させ、OKデリバリまたはNGデリバリを制御する手段を具備してなるシートの自動選別装置が開示されている。振り分けゲートは2つのベルトコンベア間に設けられ断面が略三角形状で、水平状態又は上方に傾斜する状態に切り替わって選別する形態である。
【0003】
特許文献2には、板状体の基板の良否で選別する装置であって、上流側ローラーコンベアの末端側を水平状態又は下方に傾斜する状態に切り替える選別機構であり、ローラーコンベアの末端部を下方向に傾斜して不良の板状体の基板を落下させる構成の板状体搬送選別収納装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平9-175710号公報
【文献】特開昭63-154577号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の発明は、シートが可撓性を有する薄いシートの場合には、前記シートが上流側ベルトコンベア上を移動し、上流側ベルトコンベアと振り分けゲートとの間の隙間のところの乗り移りのときに、シートの先端が前記隙間に入り込み引っかかるという問題があった。また、振り分けゲートはコンベアのように回転しないので、振り分けゲートの長さがシートの長さより長い場合にはコンベアで搬送されてきたシートが振り分けゲート上で摩擦抵抗により停止するという問題があった。さらに、硬くて長いシートの場合には、傾斜状態の振り分けゲートに、上流側ベルトコンベア上に移送されてきたシートが当接して、上流側ベルトコンベア上でシートとコンベアとが滑り状態となり落下しないという問題があった。
【0006】
特許文献2の発明は、ローラーコンベアの回転速度が速いと、下方に傾斜したローラーコンベアによりできた穴に、不良品が落下せずに振分後の良品と同じように、下流側のローラーコンベア上に送り出されてしまうという問題があった。
【0007】
本発明はこうした問題に鑑み創案されたもので、搬送速度にかかわらず、かつ、シートの柔らかさ又は硬さにかかわらず、コンベア上を移送されてきたシートを品質判定情報によりシートを振り分けるシート選別装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載のシート選別装置は、搬送されてくるシートの品質判定情報に基づいてシートを振り分ける、上流側振分コンベアと、前記上流側振分コンベアと直列に配設した下流側振分コンベアと、前記上流側振分コンベア及び前記下流側振分コンベアの振分動作を駆動する振分動作駆動手段と、を備えたシート選別装置であって、前記上流側振分コンベア及び前記下流側振分コンベアは、平面視で、それぞれ同数の少なくとも2以上の小幅コンベアが並設されて連結されており、平面視で、前記上流側振分コンベアの上流側の端部の搬送方向における位置は複数の小幅コンベアとも同一で、前記下流側振分コンベアの下流側の端部の搬送方向における位置は複数の小幅コンベアとも同一で、前記上流側振分コンベアの下流側の端部と前記下流側振分コンベアの上流側の端部における小幅コンベア間の乗り移りの境界位置をジグザグ形態にし、前記上流側振分コンベアは、シートの搬送方向に対して直角に上流側端部に配設された軸に対して回転自在とし、前記振分動作駆動手段により、前記軸を支点として前記上流側振分コンベアを水平状態に又は同一傾斜角度での下方傾斜状態になるように回転可能とし、前記下流側振分コンベアは、シートの搬送方向に対して直角に下流側端部に配設された軸に対して回転自在とし、前記振分動作駆動手段により、前記軸を支点として前記下流側振分コンベアを水平状態に又は同一傾斜角度での上方傾斜状態になるように回転可能とし、制御手段により、予め定めた一方の判定情報とシート到達情報を受けると、前記上流側振分コンベアと前記下流側振分コンベアを同期させて水平状態にし、予め定めた他方の判定情報とシート到達情報を受けると、前記上流側振分コンベアと前記下流側振分コンベアを同期させて前記上流側振分コンベアを下方傾斜させ前記下流側振分コンベアを上方傾斜させることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載のシート選別装置は、請求項1において、前記振分動作駆動手段が、1つの駆動モータの回転軸に設けた1つの駆動平歯車と、前記駆動平歯車と前記駆動平歯車の上流側で噛み合う上流側従動歯車と、前記駆動平歯車と前記駆動平歯車の下流側で噛み合う下流側従動歯車と、下端部を、前記上流側従動歯車と同一軸に取り付けられた2つの円板状体それぞれに、前記上流側振分コンベアを水平方向にした状態で、前記円板状体の軸心からまっすぐ上方に偏心させた位置に回転自在に取り付けられ、上端部を、前記上流側振分コンベアの幅方向の両端部近傍でかつ下流端近傍にそれぞれ回転自在に取り付けられた略棒状の2つの上流側振分動作伝動体と、下端部を、前記下流側従動歯車と同一軸に取り付けられた2つの円板状体それぞれに、前記下流側振分コンベアを水平方向にした状態で、前記円板状体の軸心からまっすぐ下方に偏心させた位置に回転自在に取り付けられ、上端部を、前記下流側振分コンベアの幅方向の両端部近傍でかつ上流端近傍にそれぞれ回転自在に取り付けられた略棒状の2つの下流側振分動作伝動体と、を備え、前記制御手段により、前記駆動モータの180°回転により、前記上流側振分コンベア及び前記下流側振分コンベアを同期させて水平状態から傾斜状態へ、又は、傾斜状態から水平状態への動作をさせることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載のシート選別装置は、可撓性のある柔らかいシートであっても硬いシートであっても、さらに、コンベア速度は速くても遅くても、シートの品質判定情報を受けると、コンベア上を送られてきたシートを前記品質判定情報に適した振分けを確実に行うことができる。
【0011】
例えば、搬送中のシートの不良品を落下させたいときに、上流側振分コンベアが下方傾斜し、同時に下流側振分コンベアが上方傾斜するので、上流側振分コンベアという搬送手段自体が下方に傾斜し、この傾斜した状態でもコンベアが回転し続けること、下流側振分コンベアが搬送方向の壁となりストッパーとなること、上流側振分コンベアと下流側振分コンベアとで長さが長い大きな穴が形成されることから、送られてきたシートの搬送速度が速くても、送られてきたシートの材質が柔らかくても硬くても確実に不良品のシートを落下させることができる。
【0012】
一般的にベルトコンベアの長さはシートの蛇行を防ぐために幅の1.5倍以上なければならないが、すると長さが長い大きなシート選別装置になるのを、上流側振分コンベアを2以上の小幅コンベアを並設させて構成したこと、及び、下流側振分コンベアを2以上の小幅コンベアを並設させて構成したことから、小幅コンベアの幅を狭くできたので、小幅コンベアの長さも短くできたことにより、上流側振分コンベア及び下流側振分コンベアの長さも短くできたので、シート選別装置をコンパクトにできた。これにより、スペースが狭い箇所であても、既存や新設のコンベアに容易に設置することができる。
【0013】
上流側振分コンベアの2以上の小幅コンベアと下流側振分コンベアの2以上の小幅コンベアとの間の境界位置を、平面視でジグザグ形態にしたことにより、小幅コンベアのすべての境界位置が搬送方向で一致することがなくなったから、材質が柔らかいシートであっても上流側振分コンベアと下流側振分コンベアとの間に搬送中のシート先端が嵌り込まなくすることができた。
【0014】
請求項2に記載のシート選別装置は、上流側振分コンベア及び下流側振分コンベアの水平状態から傾斜状態への動作、又は、傾斜状態から水平状態への動作を同期させることができ、コンベア上を送られてきたシートを品質判定情報に適した振分けを確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明のシート選別装置をシート搬送コンベアに接続させて据え付けた状態の説明図である。
【
図2】本発明のシート選別装置の平面視の説明図である。
【
図3】本発明のシート選別装置の右側面視の説明図である。
【
図4】上流側及び下流側振分コンベアが水平状態時のシート選別装置の振分動作駆動手段の説明図である。
【
図5】上流側及び下流側振分コンベアが水平状態から傾斜状態に動作した時のシート選別装置の振分動作駆動手段の動きの説明図で、(a)は駆動平歯車が右回転した説明図で、(b)は駆動平歯車が左回転した説明図である。
【
図6】上流側及び下流側振分コンベアが傾斜状態から水平状態に動作した時のシート選別装置の振分動作駆動手段の動きの説明図で、(a)は駆動平歯車が左回転した説明図で、(b)は駆動平歯車が右回転した説明図である。
【
図8】上流側及び下流側振分コンベアを小幅コンベアの集合体にせず単一のベルトコンベアにした場合の比較例の説明図である。
【
図9】コンベア間の境界位置におけるシートの受け渡し状態の説明図で、(a)は単一のコンベアの場合の説明図で、(b)は3つの小幅コンベアでジグザグに構成された場合の説明図である。
【
図10】柔らかいシートが2つのベルトコンベアの間の境界位置がジグザグでなく真っ直ぐの場合の受け渡し状況の説明図で、(a)が境界位置に柔らかいシート先端が到達した直後の説明図で、(b)がコンベアのローラ径が大きい場合、(c)がコンベアのローラ径が小さい場合の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明のシート選別装置1は、
図1~
図5に示すように、搬送されてくるシート40の品質判定情報に基づいてシート40を振り分ける、上流側振分コンベア2と、前記上流側振分コンベア2と直列に配設した下流側振分コンベア3と、前記上流側振分コンベア2及び前記下流側振分コンベア3の振分動作を駆動する振分動作駆動手段4と、を備えたシート選別装置1であって、前記上流側振分コンベア2及び前記下流側振分コンベア3は、平面視で、それぞれ同数の少なくとも2以上の小幅コンベア(例えば3つの場合は、2a、2b、2cグループと3a、3b、3cグループープとなる。)が、並設されて連結されており、平面視で、前記上流側振分コンベア2の上流側の端部の搬送方向Xにおける位置は複数の小幅コンベア(例として2a、2b、2c)とも同一で、前記下流側振分コンベア3の下流側の端部の搬送方向Xにおける位置は複数の小幅コンベア(例として3a、3b、3c)とも同一で、前記上流側振分コンベア2の下流側の端部と前記下流側振分コンベア3の上流側の端部における小幅コンベア間(例として2a―3a間、2b―3b間、2c―3c間)の乗り移りの境界位置7(7a、7b、7c)をジグザグ形態にし、前記上流側振分コンベア2(以下、小幅コンベア(例として2a、2b、2c)が含まれる。)は、シート40の搬送方向Xに対して直角に上流側端部に配設された軸5に対して回転自在とし、前記振分動作駆動手段4により、前記軸5を支点として前記上流側振分コンベアを水平状態に又は同一傾斜角度での下方傾斜状態になるように回転可能とし、前記下流側振分コンベア3(以下、小幅コンベア(例として3a、3b、3c)が含まれる。)は、シート40の搬送方向Xに対して直角に下流側端部に配設された軸6に対して回転自在とし、前記振分動作駆動手段4により、前記軸6を支点として前記下流側振分コンベア3を水平状態に又は同一傾斜角度での上方傾斜状態になるように回転可能とし、制御手段12により、予め定めた一方の判定情報とシート到達情報を受けると、前記上流側振分コンベア2と前記下流側振分コンベア3を同期させて水平状態にし、予め定めた他方の判定情報とシート到達情報を受けると、前記上流側振分コンベア2と前記下流側振分コンベア3を同期させて前記上流側振分コンベア2を下方傾斜させ前記下流側振分コンベア3を上方傾斜させる。なお、本発明の実施例として小幅コンベアが3つの構成の場合で説明するが、本発明はこれに限定されない。
【0017】
本発明のシート選別装置1は、
図1に示すように、既存又は新設のシート製造装置の上流側シート搬送コンベア30の下流側Rに設置する。前記シート選別装置1の下流側Rに下流側搬送コンベア31を配置し、その下流側Rにシート40を収納する収納箱41を設けてもよく、又は、前記シート選別装置1の下流側Rに下流側搬送コンベア31を配置せずシート40を収納する収納箱41を設けてもよい。
【0018】
本発明のシート選別装置1は、
図1に示すように、制御手段12は、シート製造装置(図示なし)で製造されたシート40を検査センサ51で判定した判定情報とシート到達検知センサ50が検知したシート40の到達情報を受けて、上流側搬送コンベア30上を搬送方向Xで送られてくるシート40を前記判定情報に適するように行き先を振り分ける装置で、上流側振分コンベア2と下流側振分コンベア3と振分動作駆動手段4とを備える。
【0019】
そして、本発明のシート選別装置1により振り分けられ、例えば不良品のシート40は下方に落下され、良品シート40のみが収納箱41内に収納される。
【0020】
シート40としては、完成品や製造工程途中段階の半製品があり、例えば、野菜などをミンチ状にして流動化させた後に焼いてシート状に加工した加工野菜シート40、海苔等の加工海産物シート等の可撓性のある柔らかいシート40、基板やプラスチック板等の硬いシート40、凹凸がある柔らかいシート40等がある。
【0021】
前記上流側振分コンベア2及び前記下流側振分コンベア3は、
図1又は
図2に示すように、平面視で、それぞれ同数の少なくとも2以上の小幅コンベア(例えば3つの場合は、2a、2b、2c又は3a、3b、3c)が並設されて連結されている。少なくとも2以上の小幅コンベアとは、小幅コンベアが2以上であればいくらでもよいという意味であり、
図1や
図2には例として3つの場合が例示されている。
【0022】
ベルトコンベアの幅Wと長さLとの比率は、回転ローラで回転するベルトを横ずれさせないために、長さLは幅Wの1.5倍以上必要であることから、
図8に示すシート選別装置100の場合、単一の上流側振分コンベア101と単一の下流側振分コンベア102とが直列に配置されている場合は、上流側振分コンベア101と下流側振分コンベア102の長さが長くなり、装置の大きさも大型化する。
【0023】
本発明のシート選別装置1は、
図1又は
図2に示すように、前記上流側振分コンベア2及び前記下流側振分コンベア3ともに、少なくとも2以上の小幅コンベア(例えば3つの小幅コンベアで構成した場合)2a、2b及び2c又は小幅コンベア(例えば3つの小幅コンベアで構成した場合)3a、3b及び3cを並設させた集合体であるので、前記上流側振分コンベア2及び前記下流側振分コンベア3の長さは小幅コンベア2a、2b及び2c又は3a、3b及び3cの幅で最低長さが決まるので短くすることができ、これによりシート選別装置1をコンパクトにすることができる。
【0024】
また、前記上流側振分コンベア2及び前記下流側振分コンベア3ともに、少なくとも2以上の小幅コンベアで構成される。例として
図2に示すように、各3つの小幅コンベア2a、2b及び2c又は3a、3b及び3cで構成されるが、
図2又は
図7に示すように、前記上流側振分コンベア2では小幅コンベア2a、2b及び2cは各ローラ等を取付けた枠体18によって連結されており、前記下流側振分コンベア3では小幅コンベア3a、3b及び3cは各ローラ等を取付けた枠体19によって連結されている。
【0025】
次に、平面視で、
図2又は
図9(b)に示すように、前記上流側振分コンベア2の上流側の端部の搬送方向Xにおける位置は複数の小幅コンベアとも同一で、前記下流側振分コンベア3の下流側の端部の搬送方向Xにおける位置は複数の小幅コンベアとも同一で、前記上流側振分コンベア2の下流側の端部と前記下流側振分コンベア3の上流側の端部における小幅コンベア間(2a―3a間、2b―3b間、2c―3c間)の乗り移りの境界位置(7a、7b、7c)をジグザグ形態にしている。
【0026】
比較例として、
図8に示すシート選別装置100の場合のシート40の良品(良品の場合は水平方向に搬送される制御とする。)の受け渡し状況を説明する。
図9(a)に示しているように、柔らかいシート40がコンベア間の境界位置7に到達すると、
図10(a)に示すように、柔らかいシート40の先端が境界位置7で少し垂れ下がる。そして、
図10(b)に示すようにローラ径が大きい場合はシート40の先端が境界位置7の隙間に垂れ下がり、その後、下流側振分コンベア102に引っ張られて下流側振分コンベア102に送られていくが、このときに変形が生じて良品が不良品に変わるという問題があった。
【0027】
また、
図10(c)に示すように、ローラ径を極端に小さくした場合はシート40の先端が境界位置7の隙間にあまり垂れ下がらないが、このような極めて小径のローラを有するベルトコンベアの製造は極めて困難で現実的ではない。
【0028】
一方、
図2又は
図9(b)に示すように、小幅コンベア間の乗り移りの境界位置7に到達した場合は、まず上流側振分コンベア2a、2cと下流側振分コンベア3a、3cの境界位置7a、7cに到達したときは上流側振分コンベア2bに柔らかいシート4が載っており、さらに搬送されて上流側振分コンベア2bと下流側振分コンベア3bの境界位置7bに到達したときは上流側振分コンベア2a、2cと下流側振分コンベア3a、3cに柔らかいシート4が載るので、搬送中に柔らかいシート4の先端が垂れ下がらないので変形することは生じない。
【0029】
次に、前記上流側振分コンベア2は、
図2~
図7、
図9に示すように、シート40の搬送方向Xに対して直角に上流側端部に配設された軸5に対して回転自在とし、前記振分動作駆動手段4により、前記軸5を支点として前記上流側振分コンベア2を水平状態に又は同一傾斜角度での下方傾斜状態になるように回転可能とする構成にしている。
【0030】
前記上流側振分コンベア2は、例えば3つの小幅コンベア2a、2b及び2cを構成要素としているが、枠体18により3つの小幅コンベア2a、2b及び2cは連結されているので、一つの前記上流側振分コンベア2として一体的に前記軸5を支点として水平状態に又は同一傾斜角度での下方傾斜状態になるように回転する。
【0031】
また、前記下流側振分コンベア3は、
図2~
図7に示すように、シート40の搬送方向Xに対して直角に下流側端部に配設された軸6に対して回転自在とし、前記振分動作駆動手段4により、前記軸6を支点として前記下流側振分コンベア3を水平状態に又は同一傾斜角度での上方傾斜状態になるように回転可能とする構成にしている。
【0032】
前記下流側振分コンベア3は、例えば3つの小幅コンベア3a、3b及び3cを構成要素としているが、枠体19により3つの小幅コンベア3a、3b及び3cは連結されているので、一つの前記下流側振分コンベア3として一体的に前記軸6を支点として水平状態に又は同一傾斜角度での上方傾斜状態になるように回転する。
【0033】
次に、前記振分動作駆動手段4について説明する。
図5~
図7に示すように、前記振分動作駆動手段4が、1つの駆動モータ8の回転軸8aに設けた1つの駆動平歯車9と、前記駆動平歯車9と前記駆動平歯車9の上流側で噛み合う上流側従動歯車10と、前記駆動平歯車9と前記駆動平歯車9の下流側で噛み合う下流側従動歯車11と、下端部を、前記上流側従動歯車10と同一軸21に取り付けられた2つの円板状体10aそれぞれに、前記上流側振分コンベア2を水平方向にした状態で、前記軸心からまっすぐ上方に偏心させた位置に回転自在に取り付けられ、上端部を、前記上流側振分コンベア2の幅方向の両端部近傍でかつ下流端近傍にそれぞれ回転自在に取り付けられた2つの略棒状の上流側振分動作伝動体14と、下端部を、前記下流側従動歯車11と同一軸22に取り付けられた2つの円板状体11aそれぞれに、前記下流側振分コンベア3を水平方向にした状態で、前記軸心からまっすぐ下方に偏心させた位置に回転自在に取り付けられ、上端部を、前記下流側振分コンベア3の幅方向の両端部近傍でかつ上流端近傍にそれぞれ回転自在に取り付けられた略棒状の2つの下流側振分動作伝動体17と、を備え、前記制御手段12により、前記駆動モータ8の180°回転により、前記上流側振分コンベア2及び前記下流側振分コンベア3を同期させて水平状態から傾斜状態へ、又は、傾斜状態から水平状態への動作をさせる制御を行う。
【0034】
図7に示すように、1つの駆動モータ8の回転軸8aに1つの駆動平歯車9が取り付けられている。
【0035】
そして、
図3~
図7に示すように、前記上流側従動歯車10は、前記駆動平歯車9と前記駆動平歯車9の上流側で前記駆動平歯車9と噛み合い、前記下流側従動歯車11は、前記駆動平歯車9と前記駆動平歯車9の下流側で前記駆動平歯車9と噛み合う。これによって、前記上流側従動歯車10と前記下流側従動歯車11とを同期させ、かつ互いに反対方向への回転を可能にした。
【0036】
次に、前記上流側振分動作伝動体14は、
図3又は
図4に示すように、前記上流側振分コンベア2を水平方向にした状態で、下端部を、前記上流側従動歯車10と同一軸21に取り付けられた2つの円板状体10aに前記軸心からまっすぐ上方に偏心させた位置に回転自在に取り付けられ、上端部を、前記上流側振分コンベア2の幅方向の両端部近傍でかつ下流端近傍に回転自在に取り付けられた略棒状の形状を有する。
【0037】
これにより、前記軸心からまっすぐ上方に偏心させた位置からの回転となるので、前記上流側振分動作伝動体14は下降することから、前記上流側振分コンベア2を下方傾斜させる。また、その傾斜角度は前記円板状体10aに回転自在に取り付けた前記軸心からの偏心距離によるため、例えば不良のシートが確実に落下する下方への傾斜角度を予め求めて前記軸心からの偏心距離を得る。
【0038】
次に、前記下流側振分動作伝動体17は、
図3又は
図4に示すように、前記下流側振分コンベア3を水平方向にした状態で、下端部を、前記下流側従動歯車11と同一軸22に取り付けられた2つの円板状体11aに前記軸心からまっすぐ下方に偏心させた位置に回転自在に取り付けられ、上端部を、前記下流側振分コンベア3の幅方向の両端部近傍で上流端近傍に回転自在に取り付けられた略棒状の形状を有する。
【0039】
これにより、前記軸心からまっすぐ下方に偏心させた位置からの回転となるので、前記下流側振分動作伝動体17は上昇することから、前記下流側振分コンベア3を上方傾斜させる。また、その傾斜角度は前記円板状体11aに回転自在に取り付けた前記軸心からの偏心距離によるため、例えば不良のシートに対して確実にストッパーとなる上方への傾斜角度を予め求めて前記軸心からの偏心距離を得る。
【0040】
次に、前記上流側振分コンベア2及び前記下流側振分コンベア3がともに水平状態のときに、1つの駆動モータ8が180°回転、例えば180°正転すると、
図5(a)に示すように、駆動平歯車9が矢印F1方向に回転する。すると、駆動平歯車9に噛み合っている上流側従動歯車10が矢印U1方向に回転し、下流側従動歯車11が矢印K1方向に回転する。また、1つの駆動モータ8が180°回転、例えば180°逆転すると、
図5(b)に示すように、駆動平歯車9が矢印F2方向に回転する。すると、駆動平歯車9に噛み合っている上流側従動歯車10が矢印U2方向に回転し、下流側従動歯車11が矢印K2方向に回転する。
【0041】
これにより、1つの駆動モータ8が正転又は逆転にかかわらず180°回転すれば、上流側伝動軸14は下降し前記上流側振分コンベア2は、前記軸5を支点として下方に傾斜状態となり、下流側伝動軸17は上昇し前記した下流側振分コンベア3は、前記軸6を支点として上方に傾斜状態となる。前記上流側振分コンベア2及び前記下流側振分コンベア3の傾斜化状態への動きは同期されている。
【0042】
次に、前記上流側振分コンベア2が下方傾斜状態で、かつ、前記下流側振分コンベア3が上方傾斜状態のときに、1つの駆動モータ8が180°回転、例えば180°逆転すると、
図6(a)に示すように、駆動平歯車9が矢印F2方向に回転する。すると、駆動平歯車9に噛み合っている上流側従動歯車10が矢印U2方向に回転し、下流側従動歯車11が矢印K2方向に回転する。また、1つの駆動モータ8が180°回転、例えば180°正転すると、
図6(b)に示すように、駆動平歯車9が矢印F1方向に回転する。すると、駆動平歯車9に噛み合っている上流側従動歯車10が矢印U1方向に回転し、下流側従動歯車11が矢印K1方向に回転する。
【0043】
これにより、1つの駆動モータ8が正転又は逆転にかかわらず180°回転すれば、上流側伝動軸14は上昇し前記上流側振分コンベア2は、前記軸5を支点として水平状態となり、下流側伝動軸17は下降し前記下流側振分コンベア3は、前記軸6を支点として水平状態となる。前記上流側振分コンベア2及び前記下流側振分コンベア3の水平状態への動きは同期されている。
【0044】
次に、前記制御手段12について説明する。前記制御手段12は、検査センサ51からの、予め定めた一方の判定情報(例えば品質OK情報)と、シート到達検知センサ50(例えばレーザセンサ等)からのシート到達情報を受けると、前記駆動モータ8を180°回転させて、前記上流側振分コンベア2と前記下流側振分コンベア3を同期させて水平状態にし、予め定めた他方の判定情報(例えば品質不良情報)とシート到達情報を受けると、前記駆動モータ8を180°回転させて、前記上流側振分コンベア2と前記下流側振分コンベア3を同期させて前記上流側振分コンベア2を下方傾斜させ前記下流側振分コンベア3を上方傾斜させる。
【0045】
例えば、品質OKの場合は水平方向に送り出し、品質不合格の場合は落下させるという振分を設定した場合、本発明のシート選別装置1を使用すると、品質OKの場合は、
図4に示すように、上流側振分コンベア2及び下流側振分コンベア
3とともに水平状態でシート40は水平方向に送り出され、品質不合格の場合は、
図5(a)に示すように、上流側振分コンベア2が下方傾斜し、かつ下流側振分コンベア3が上方傾斜してシート40の先端を当接させて確実に落下させる。
【0046】
なお、前記駆動モータ8を起動させるタイミングは、シート到達検知センサ50の検知による情報から起動設定する方法や、検査センサ51からの判定情報を受けてからコンベア速度を考慮して起動設定する方法等がある。
【符号の説明】
【0047】
1 シート選別装置
2 上流側振分コンベア
2a 小幅コンベア
2b 小幅コンベア
2c 小幅コンベア
3 下流側振分コンベア
3a 小幅コンベア
3b 小幅コンベア
3c 小幅コンベア
4 振分動作駆動手段
5 軸
6 軸
7 境界位置
8 駆動モータ
8a 回転軸
9 駆動平歯車
10 上流側従動歯車
10a 円板状体
11 下流側従動歯車
11a 円板状体
12 制御手段
14 上流側振分動作伝動体
17 下流側振分動作伝動体
18 枠体
19 枠体
21 軸
22 軸
30 上流側シート搬送コンベア
31 下流側シート搬送コンベア
40 シート
41 収納箱
50 シート到達検知センサ
51 検査センサ
100 シート選別装置
101 上流側振分コンベア
102 下流側振分コンベア
F 上流側
R 下流側
X 搬送方向