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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-08
(45)【発行日】2024-03-18
(54)【発明の名称】媒体供給装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 3/46 20060101AFI20240311BHJP
   B65H 5/00 20060101ALI20240311BHJP
   B65H 3/12 20060101ALI20240311BHJP
   B65H 3/48 20060101ALI20240311BHJP
【FI】
B65H3/46 E
B65H5/00 B
B65H3/12 310B
B65H3/48 320A
B65H3/48 310A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020091590
(22)【出願日】2020-05-26
(65)【公開番号】P2021187578
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2023-03-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(72)【発明者】
【氏名】堀 栄治
(72)【発明者】
【氏名】森田 悦久
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-139845(JP,A)
【文献】特開平07-181864(JP,A)
【文献】実開平05-072860(JP,U)
【文献】特開2006-347666(JP,A)
【文献】特開平09-109509(JP,A)
【文献】特開昭60-056738(JP,A)
【文献】特開2013-178615(JP,A)
【文献】特開平05-238580(JP,A)
【文献】特開平05-069977(JP,A)
【文献】特開平05-058497(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 1/00-3/68
B65H 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の媒体が積載される積載台と、
前記積載台に積載された前記複数の媒体のうち最上位の媒体を繰り出して搬送方向に搬送する第1搬送部と、
前記第1搬送部よりも前記搬送方向の下流側に配置され、前記最上位の媒体を前記搬送方向に搬送する1つ以上の第2搬送部と、
前記第1搬送部を正転駆動することによって前記最上位の媒体を前記搬送方向に搬送させる第1搬送駆動部と、
前記第2搬送部を正転駆動することによって前記最上位の媒体を前記搬送方向に搬送させる第2搬送駆動部と、
前記第1搬送駆動部及び前記第2搬送駆動部を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記最上位の媒体であるか又は前記積載台に積載されていない媒体であるクリーニングシートを用いて前記第1搬送部及び前記第2搬送部のうち少なくとも一方のクリーニングを行う場合に、
前記第1搬送部及び前記第2搬送部を正転駆動させることによって前記クリーニングシートを前記搬送方向に搬送する場合と、前記第1搬送部及び前記第2搬送部を逆転駆動させることによって前記クリーニングシートを前記搬送方向とは反対方向に搬送する場合とのうち少なくとも片方の場合で、前記第1搬送部及び前記第2搬送部のうち下流側の搬送速度が速くなるように前記第1搬送駆動部及び前記第2搬送駆動部を制御する第1クリーニング処理と、
前記第1搬送部及び前記第2搬送部のうち一方を前記クリーニングシートに接触させた状態で停止させ、他方を正転駆動又は逆転駆動させるように前記第1搬送駆動部及び前記第2搬送駆動部を制御する第2クリーニング処理と
のうち少なくとも一方を行う
ことを特徴とする媒体供給装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第2クリーニング処理において、前記第1搬送部及び前記第2搬送部のうち一方を前記クリーニングシートに接触させた状態で停止させるとともに、他方を正転駆動又は逆転駆動させ前記クリーニングシートを搬送することによって、前記第1搬送部及び前記第2搬送部のうちの前記一方のクリーニングを行うように前記第1搬送駆動部及び前記第2搬送駆動部を制御する
ことを特徴とする請求項1記載の媒体供給装置。
【請求項3】
前記第2搬送部は、前記最上位の媒体をニップしながら搬送し、
前記制御部は、前記第2クリーニング処理において、前記第1搬送部を逆転駆動させるとともに、前記第2搬送部を停止させ前記クリーニングシートを前記第2搬送部によってニップさせて静止させた状態で前記第1搬送部を空回りさせることによって、当該第1搬送部のクリーニングを行うように前記第1搬送駆動部及び前記第2搬送駆動部を制御する
ことを特徴とする請求項1記載の媒体供給装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記クリーニングシートの厚さに基づいて、前記第1搬送部と前記第2搬送部との速度差を調整して前記第1搬送駆動部及び前記第2搬送駆動部を制御する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の媒体供給装置。
【請求項5】
エアを吸引することによって前記最上位の媒体を前記第1搬送部に吸着させる吸引機構を更に備え、
前記制御部は、前記クリーニングシートの厚さに基づいて、前記吸引機構の吸引力を調整して前記クリーニングシートを前記第1搬送部に吸着させる
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の媒体供給装置。
【請求項6】
前記積載台に積載された前記複数の媒体のうち少なくとも前記最上位の媒体を浮上させる浮上エアを吹き出す浮上エア吹き出し機構と、
前記浮上エア吹き出し機構による前記浮上エアの吹き出しによって浮上した前記最上位の媒体と2番目の前記媒体とを分離させるための分離エアを吹き出す分離エア吹き出し機構と、
前記浮上エア吹き出し機構による前記浮上エアの吹き出しによって浮上した前記最上位の媒体を、エアを吸引することによって前記第1搬送部に吸着させる吸引機構とを更に備え、
前記制御部は、前記最上位の媒体である前記クリーニングシートを前記2番目の媒体と分離した状態で前記第1搬送部に吸着させるように前記浮上エア吹き出し機構、前記分離エア吹き出し機構、及び前記吸引機構を制御し、前記第1クリーニング処理及び前記第2クリーニング処理のうち少なくとも一方を、前記浮上エア吹き出し機構による前記浮上エアの吹き出し及び前記分離エア吹き出し機構による前記分離エアの吹き出しを停止させた状態で行う
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の媒体供給装置。
【請求項7】
前記積載台に積載された前記媒体は、少なくとも片面に印刷が行われた媒体であり、
前記制御部は、少なくとも、前記第1搬送部及び前記第2搬送部によって搬送された前記最上位の媒体の枚数と、前記媒体に印刷が行われてからの経過時間とに基づいて、前記第1搬送部及び前記第2搬送部のうち少なくとも一方のクリーニングを開始する
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項記載の媒体供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、用紙等の媒体を印刷装置に供給する媒体供給装置(例えば、給紙装置)において、特に印刷済みの媒体が供給積載台(給紙積載台)に積載される場合(例えば、その後、印刷済みの面とは反対側の面に印刷が行われる場合、印刷済みの面に重ねて印刷が行われる場合など)に、媒体を搬送する搬送ベルトや搬送ローラ対などの搬送部にインクが付着する。具体的な一例としては、磁性でない通常インクで印刷した印刷済用紙を、再度給紙積載台にセットし磁気インクで再印字する場合に、給紙部から印刷部までの間に存在する搬送ベルトや搬送ローラに通常インクが付着することが挙げられる。これは、特に、印刷してから時間経過間もない印刷媒体を積載する場合の影響が大きい。
【0003】
シートに付着した粉等を除去する装置としては、シート供給トレイの吸着ベルトに当接する部分に粉等を除去する弾力性の清掃部材が配置されたシート供給装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-147761号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特にインクなどの汚れが搬送部に付着した場合、上述のように吸着ベルトに当接する部分に配置された弾力性の清掃部材によって汚れを除去するのは困難である。
【0006】
ところで、搬送部の汚れを除去するためには手作業によるクリーニングを行うことが考えられるが、手間がかかるとともに、装置内部のクリーニングが容易ではない場合もある。そこで、搬送部に付着した汚れを除去するために、例えば、搬送部のクリーニングを行うための洗剤付きのクリーニングシートを媒体の搬送経路に供給することが考えられる。しかしながら、この場合、クリーニングシートを搬送するだけであるため、特別な薬品を使用するなどの対処をしない限り、十分なクリーニング効果を得るのが困難である。
【0007】
本発明の目的は、媒体を搬送する搬送部のクリーニングを簡単かつ十分に行うことができる媒体供給装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
1つの態様では、媒体供給装置は、複数の媒体が積載される積載台と、前記積載台に積載された前記複数の媒体のうち最上位の媒体を繰り出して搬送方向に搬送する第1搬送部と、前記第1搬送部よりも前記搬送方向の下流側に配置され、前記最上位の媒体を前記搬送方向に搬送する1つ以上の第2搬送部と、前記第1搬送部を正転駆動することによって前記最上位の媒体を前記搬送方向に搬送させる第1搬送駆動部と、前記第2搬送部を正転駆動することによって前記最上位の媒体を前記搬送方向に搬送させる第2搬送駆動部と、前記第1搬送駆動部及び前記第2搬送駆動部を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記最上位の媒体であるか又は前記積載台に積載されていない媒体であるクリーニングシートを用いて前記第1搬送部及び前記第2搬送部のうち少なくとも一方のクリーニングを行う場合に、前記第1搬送部及び前記第2搬送部を正転駆動させることによって前記クリーニングシートを前記搬送方向に搬送する場合と、前記第1搬送部及び前記第2搬送部を逆転駆動させることによって前記クリーニングシートを前記搬送方向とは反対方向に搬送する場合とのうち少なくとも片方の場合で、前記第1搬送部及び前記第2搬送部のうち下流側の搬送速度が速くなるように前記第1搬送駆動部及び前記第2搬送駆動部を制御する第1クリーニング処理と、前記第1搬送部及び前記第2搬送部のうち一方を前記クリーニングシートに接触させた状態で停止させ、他方を正転駆動又は逆転駆動させるように前記第1搬送駆動部及び前記第2搬送駆動部を制御する第2クリーニング処理とのうち少なくとも一方を行う。
【発明の効果】
【0009】
前記態様によれば、媒体を搬送する搬送部のクリーニングを簡単かつ十分に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態に係る媒体供給装置を示す正面図である。
図2】第1実施形態に係る媒体供給装置の制御構成を示す図である。
図3】第1実施形態におけるクリーニング処理を説明するためのフローチャートである。
図4A】第1実施形態におけるクリーニング処理を説明するための媒体供給装置を示す正面図(その1)である。
図4B】第1実施形態におけるクリーニング処理を説明するための媒体供給装置を示す正面図(その2)である。
図5】第2実施形態におけるクリーニング処理を説明するためのフローチャートである。
図6】第3実施形態におけるクリーニング処理を説明するためのフローチャートである。
図7】第4実施形態におけるクリーニング処理を説明するためのフローチャートである。
図8】第5実施形態におけるクリーニング処理を説明するためのフローチャートである。
図9】第6実施形態におけるクリーニング処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の第1~第6実施形態に係る媒体供給装置について、図面を参照しながら説明する。
【0012】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る媒体供給装置1を示す正面図である。
【0013】
図2は、媒体供給装置1の制御構成を示す図である。
【0014】
図1並びに後述する図4A及び図4Bに示す前後、上下、及び左右の各方向は、媒体Mの搬送方向Dを右方向とした場合の一例であり、前後方向及び左右方向が水平方向であり、上下方向が鉛直方向である。なお、媒体Mとしては、例えば用紙(枚葉紙)であるが、フィルム等の他のシート状の媒体などであってもよい。
【0015】
図1に示す媒体供給装置1は、例えば図示しない印刷装置の印刷部へ媒体Mを供給する。図1には、媒体供給装置1内の搬送方向Dに延びる搬送経路Rを太い破線で示す。なお、媒体供給装置1が媒体Mを供給する対象は、印刷装置に限られず、搬送装置、後処理装置などの他の装置であってもよい。また、媒体供給装置1は、印刷装置などの他の装置に一体に備えられていてもよい。また、媒体供給装置1は、例えば上下又は前後に並んで複数配置され、複数の媒体供給装置1が印刷装置などの単一の他の装置に対して媒体Mを供給してもよい。
【0016】
図1及び図2に示すように、媒体供給装置1は、積載台10と、搬送機構20と、吸引機構30と、浮上エア吹き出し機構40と、分離エア吹き出し機構50と、第1搬送ローラ対61と、第2搬送ローラ対62と、レジストローラ対63と、洗剤供給部70と、ニップ圧調整機構80と、制御部91と、記憶部92と、インターフェース部93と、積載台昇降駆動部94と、ベルト搬送駆動部95と、ローラ搬送駆動部96,97,98とを備える。
【0017】
図1に示す積載台10には、複数の媒体Mが積載される。積載台10は、図2に示す積載台昇降駆動部94の駆動によって昇降する。一例ではあるが、積載台10に積載された媒体Mの数が減っていくと、制御部91は、図示しない浮上状態検知部が所定の積載面高さに水平に照射した光の反射光の光量に基づいて、積載台10を上昇させるように積載台昇降駆動部94を制御する。なお、図示はしないが、積載台10に積載された媒体Mを、搬送方向D(右方向)に直交する幅方向(前後方向)に規制する1対のサイドフェンスが配置されているとよい。また、積載台10に積載された媒体Mの搬送方向Dとは反対側(左方向)には、積載台10に積載された媒体Mを搬送方向Dに規制するエンドフェンスが配置されているとよい。
【0018】
搬送機構20は、搬送ベルト21と、この搬送ベルト21が掛け渡された左右1対のプーリ22,23とを有する。プーリ22,23のうち一方は駆動プーリであり、他方は従動プーリである。駆動プーリは、図2に示すベルト搬送駆動部95の駆動によって図1における反時計回りに回転し、搬送ベルト21を回転させる。これにより、搬送ベルト21は、後述する浮上エア吹き出し機構40の浮上エアA2の吹き出しによって浮上した最上位の媒体M1を繰り出して搬送方向D(右方向)に搬送する。なお、搬送ベルト21は、積載台10に積載された複数の媒体Mのうち最上位の媒体M1を繰り出して搬送方向Dに搬送する第1搬送部の一例である。この第1搬送部としては、搬送ローラなどであってもよく、搬送ベルト21に限られない。第1搬送部が搬送ローラである場合には、ベルト搬送駆動部95に代えて、駆動ローラ(搬送ローラ)を回転させるローラ搬送駆動部が配置されることになる。
【0019】
搬送機構20は、例えば前後方向に並んで複数配置されていてもよい。その場合、後述する吸引機構30は、1つのみ配置されていてもよいし、或いは、複数の搬送機構20のそれぞれに配置されていてもよい。
【0020】
搬送ベルト21には、後述する吸引機構30により吸引される吸引エアA1を通すための図示しない複数の貫通孔が設けられている。
【0021】
吸引機構30は、搬送ベルト21に設けられた複数の貫通孔を通して図示しない吸引源(例えば吸引ファン)の駆動によって吸引エアA1を吸引することによって、積載台10に積載された複数の媒体Mのうち浮上している最上位の媒体M1を搬送ベルト21に吸着させる。
【0022】
浮上エア吹き出し機構40は、積載台10に積載された複数の媒体Mよりも搬送方向Dの下流側に配置され、エア供給源(例えばエア供給ファン)の駆動によって浮上エアA2を吹き出すことで少なくとも最上位の媒体M1を浮上させる。浮上エア吹き出し機構40は、最上位の媒体M1を含む例えば10枚程度の媒体Mを浮き上がらせるように、斜め上方に浮上エアA2を吹き出すとよい。なお、積載台10に積載された媒体Mの幅方向の両側から浮上エアを吹き出す1対の浮上エア吹き出し機構が配置されていてもよい。
【0023】
分離エア吹き出し機構50は、積載台10に積載された複数の媒体Mよりも搬送方向Dの下流側に配置され、エア供給源(例えばエア供給ファン)の駆動によって最上位の媒体M1と2番目の媒体M2とを分離させるための分離エアA3を吹き出す。なお、積載台10に積載された媒体Mの幅方向の両側から分離エアを吹き出す1対の分離エア吹き出し機構が配置されていてもよい。
【0024】
搬送ローラ対61,62及びレジストローラ対63は、搬送ベルト21よりも搬送方向Dの下流側に配置され、最上位の媒体M1をニップしながら搬送方向Dに搬送する。第1搬送ローラ対61は、搬送ベルト21と第2搬送ローラ対62との間に配置され、第2搬送ローラ対62は、第1搬送ローラ対61とレジストローラ対63との間に配置されている。レジストローラ対63は、最上位の媒体M1が突き当てられることで、最上位の媒体M1の斜行を抑制するのに用いられる。そのため、レジストローラ対63は、搬送ローラ対61,62よりもニップ圧が強い。レジストローラ対63は、媒体供給装置1が印刷装置に一体に備えられる場合には、第2搬送ローラ対62と印刷装置の印刷部との間、すなわち搬送方向Dにおける印刷部の上流側に配置されるとよい。なお、搬送ローラ対61,62及びレジストローラ対63は、搬送ベルト21(第1搬送部)よりも搬送方向Dの下流側に配置され、最上位の媒体M1を搬送方向Dに搬送する1つ以上の第2搬送部の一例である。
【0025】
洗剤供給部70は、搬送ベルト21と第1搬送ローラ対61との間に配置され、積載台10に積載された最上位の媒体M1、或いは積載台10に積載されていない媒体M(例えば、手差し又は挿入装置によって搬送経路Rに挿入される媒体M)に洗剤を供給する。これにより、最上位の媒体M1又は媒体Mは、搬送ベルト21、第1搬送ローラ対61、第2搬送ローラ対62、及びレジストローラ対63のうち少なくとも1つのクリーニングを行うクリーニングシートCとなる。なお、洗剤供給部70は、搬送方向Dにおける位置が例えば搬送ベルト21と重なる位置などの他の位置に配置されていてもよい。
【0026】
洗剤供給部70は、搬送経路Rの上下両方に配置され、媒体Mの上面及び下面に洗剤を供給する。但し、洗剤供給部70は、媒体Mの上面又は下面のうち少なくとも一方に洗剤を供給可能であればよい。そのため、洗剤供給部70は、搬送経路Rの上方のみ又は下方のみに配置されていてもよい。なお、予めクリーニング作用を有するクリーニングシートCが、積載台10に積載されていたり、或いは、手差し又は挿入装置によって搬送経路Rに挿入されたりする場合には、洗剤供給部70を省略可能である。また、例えば、洗剤が供給されない白紙の媒体M(例えば用紙)をクリーニングシートCとすることもできる。
【0027】
洗剤供給部70は、媒体Mの上面又は下面の全体に洗剤を供給してもよいが、搬送方向Dに直交する媒体Mの幅方向(前後方向)において、搬送ベルト21、第1搬送ローラ対61、第2搬送ローラ対62、及びレジストローラ対63との媒体Mの接触領域を含む一部のみに洗剤を供給してもよい。
【0028】
ニップ圧調整機構80は、レジストローラ対63のニップ圧を調整する。一例ではあるが、ニップ圧調整機構80は、レジストローラ対63を互いに接近する方向に押圧する弾性体の位置(レジストローラ対63側とは反対側の端部の位置)を搬送経路Rから遠ざけることでニップ圧を減圧し、搬送経路Rに近づけることでニップ圧を加圧する。なお、搬送ローラ対61,62のニップ圧を調整するニップ圧調整機構が配置されていてもよい。
【0029】
図2に示す制御部91は、媒体供給装置1全体の動作を制御する演算処理装置として機能するプロセッサ(例えばCPU:Central Processing Unit)を有し、媒体供給装置1の各部の動作を制御する。なお、媒体供給装置1が印刷装置などの他の装置に一体に備えられる場合などには、印刷装置などの他の装置の制御部が制御部91を兼用してもよい。
【0030】
記憶部92は、例えば、所定の制御プログラムが予め記録されている読み出し専用半導体メモリであるROM(Read Only Memory)、プロセッサが各種の制御プログラムを実行する際に必要に応じて作業用記憶領域として使用される随時書き込み読み出し可能な半導体メモリであるRAM(Random Access Memory)などを有する。記憶部92についても、印刷装置などの他の装置の記憶部が記憶部92を兼用してもよい。
【0031】
インターフェース部93は、印刷装置等の外部機器との間で各種情報の授受を行う。例えば、インターフェース部93は、印刷装置の制御部から、媒体Mの供給要求や供給停止要求などの情報を受け、制御部91は、これらの情報に基づき、媒体供給装置1の各部の動作を制御する。
【0032】
積載台昇降駆動部94は、積載台10を昇降させるモータ(アクチュエータの一例)を有する。
【0033】
ベルト搬送駆動部95は、搬送機構20のプーリ22,23のうちの一方である駆動プーリを回転させるモータ(アクチュエータの一例)を有する。なお、ベルト搬送駆動部95は、搬送ベルト21(第1搬送部)を正転駆動することによって最上位の媒体M1(又はクリーニングシートC)を搬送方向Dに搬送させる第1搬送駆動部の一例である。ベルト搬送駆動部95は、搬送ベルト21を逆転駆動することによって駆動プーリひいては搬送ベルト21を逆方向に回転させることが可能であるとよい。
【0034】
ローラ搬送駆動部96は、第1搬送ローラ対61を回転させるモータ(アクチュエータの一例)を有する。ローラ搬送駆動部97は、第2搬送ローラ対62を回転させるモータ(アクチュエータの一例)を有する。ローラ搬送駆動部98は、レジストローラ対63を回転させるモータ(アクチュエータの一例)を有する。
【0035】
ローラ搬送駆動部96,97,98は、第2搬送部の一例である搬送ローラ対61,62及びレジストローラ対63を正転駆動することによって最上位の媒体M1(又はクリーニングシートC)を搬送方向Dに搬送させる第2搬送駆動部の一例である。ローラ搬送駆動部96,97,98は、搬送ローラ対61,62及びレジストローラ対63を逆転駆動することが可能であるとよい。
【0036】
次に、搬送ベルト21及び搬送ローラ対61,62のクリーニング処理について説明する。なお、本第1実施形態では、レジストローラ対63のクリーニングは行われない。
【0037】
図3は、クリーニング処理を説明するためのフローチャートである。
【0038】
図4A及び図4Bは、クリーニング処理を説明するための媒体供給装置1を示す正面図である。
【0039】
まず、制御部91によって図3に示す処理が開始されるクリーニングタイミングについて説明する。
【0040】
クリーニングタイミングは、所定時間ごと或いは所定枚数の媒体Mが供給されるごとであってもよいが、制御部91によって以下のように決定されてもよい。
【0041】
積載台10に積載された媒体Mの少なくとも片面に印刷が行われている場合、媒体Mに印刷が行われてからの経過時間が短いほど、媒体Mの印刷面のインクが搬送ベルト21及び搬送ローラ対61,62に付着しやすい。そのため、制御部91は、少なくとも、搬送ベルト21及び搬送ローラ対61,62によって搬送(供給)される最上位の媒体M1の枚数と、媒体Mに印刷が行われてからの経過時間とに基づいてクリーニングタイミングを決定するとよい。なお、積載台10に積載された媒体Mに印刷が行われていない場合であっても、搬送ベルト21、搬送ローラ対61,62等にはインク以外の汚れが付着するため、クリーニングの必要は生じる。
【0042】
例えば、経過時間は、媒体供給装置1がインターフェース部93においてユーザ端末からユーザの指定時間を取得してもよいし、媒体供給装置1の入力部においてユーザの入力を受け付けてもよい。また、制御部91は、上述の経過時間(例えば、1時間以下、2時間以下、2時間超など)と経過時間係数(経過時間が長いほど小さい係数)との関係を記憶する記憶部92のテーブルを参照して、経過時間係数を取得してもよい。なお、媒体供給装置1の環境が高温又は低湿であるほどインクが乾きやすく、低温又は高湿であるほどインクが乾きにくい。そのため、制御部91が媒体供給装置1の温度、湿度等の環境情報を取得できる場合には、上記のテーブルは、経過時間及び環境情報と経過時間係数(経過時間が長いほど或いは高温又は低湿であるほど小さい係数)との関係を表すものであるとよい。また、制御部91は、環境情報を経過時間係数とは別の要素(例えば、高温又は低湿であるほど小さい環境係数)として用いて後述するクリーニングカウント値をカウントしてもよい。
【0043】
また、制御部91は、積載台10に積載されている媒体Mの印字率、濃度(例えば、インクジェット印刷方式の場合はドロップ数であるインク量で、孔版印刷方式の場合はインクの押し出し量であるインク量)、媒体Mのサイズなどを取得できる場合には、これらにも基づいてクリーニングタイミングを決定するとよい。例えば、制御部91は、積載台10から供給される最上位の媒体M1ごとに、印字率、濃度、サイズ、及び経過時間係数を掛け合わせた値を、積載台10から供給される最上位の媒体M1の枚数分足し合わせたクリーニングカウント値をカウントし、このクリーニングカウント値が所定の閾値に到達したか否かを判定し、到達した場合にはクリーニングタイミングと判別するとよい。上記のクリーニングカウント値は、クリーニング処理が行われるとクリアされる。
【0044】
本第1実施形態では、搬送ベルト21及び搬送ローラ対61,62のクリーニング処理が行われるが、これらの一部のみのクリーニング処理が行われる場合のクリーニングタイミングは、例えば、搬送ベルト21のクリーニングを行う第1閾値、搬送ローラ対61,62のクリーニングを行う第2閾値などとして複数の閾値を用いて判別されるとよい。また、クリーニングタイミングが、第1搬送ローラ対61と第2搬送ローラ対62とで個別の閾値を用いたり、或いはレジストローラ対63のクリーニングを行う閾値を用いたりして判別されてもよい。
【0045】
制御部91は、上述のようにクリーニングカウント値を演算する場合、クリーニングタイミングに到達すると、例えば印刷装置の表示パネルなどの表示部において、手差しによって搬送経路Rに白紙の媒体M又はクリーニングシートCの挿入を促す表示によってユーザへの報知を行ったり、或いは上述の挿入装置に白紙の媒体M又はクリーニングシートCを挿入させたりするとよい。
【0046】
また、クリーニングタイミングが媒体Mの所定供給枚数ごとであり、かつ、積載台10に少なくとも片面に印刷が行われた媒体Mが積載されている場合、積載台10に積載された複数の媒体Mの中に、所定供給枚数ごとに予め白紙の媒体Mが挿入されているとよい。
【0047】
制御部91は、上述のクリーニングタイミングにおいて、クリーニングシートCを用いた搬送ベルト21及び搬送ローラ対61,62のクリーニングを開始するとよいが、所定のクリーニングタイミングに到達したときに媒体供給装置1が最上位の媒体M1を供給中であれば、例えば実行中の印刷ジョブ又はすべての印刷ジョブに対応する媒体Mの供給が終了してからクリーニング処理が行われてもよい。
【0048】
以下、図3に示す各処理について説明する。
【0049】
まず、制御部91は、浮上エア吹き出し機構40による浮上エアA2の吹き出し及び分離エア吹き出し機構50による分離エアA3の吹き出しが行われていなければ、これらの吹き出しを開始させる。また、制御部91は、吸引機構30による吸引エアA1の吸引が行われていなければ、吸引機構30に吸引エアA1の吸引を開始させることによって、最上位の媒体M1(又は、上述のように手差し又は挿入装置によって挿入された媒体M若しくはクリーニングシートC)を搬送ベルト21に吸着させる(ステップS11)。制御部91は、最上位の媒体M1が搬送ベルト21に吸着された後、浮上エア吹き出し機構40による浮上エアA2の吹き出し及び分離エア吹き出し機構50による分離エアA3の吹き出しを停止させるとよい。
【0050】
その後、制御部91は、搬送ベルト21及び搬送ローラ対61,62を正転駆動させるようにベルト搬送駆動部95及びローラ搬送駆動部96,97を制御する(ステップS12)。そして、制御部91は、最上位の媒体M1に洗剤を供給するように洗剤供給部70を制御する。
【0051】
これにより、洗剤が供給された最上位の媒体M1であるクリーニングシートCは、図4Aに示すように搬送方向Dに搬送される。このとき、制御部91は、搬送ベルト21(搬送速度:遅)よりも第1搬送ローラ対61(搬送速度:中)、第1搬送ローラ対61よりも第2搬送ローラ対62(搬送速度:速)で、クリーニングシートCの搬送速度が速くなるようにベルト搬送駆動部95及びローラ搬送駆動部96,97を制御する。これにより、搬送速度が相対的に遅い搬送ベルト21等(搬送ベルト21及び第1搬送ローラ対61)とクリーニングシートCとの摩擦によって搬送ベルト21等のクリーニングが行われる。なお、搬送ローラ対61,62の搬送速度が同一であってもよい。
【0052】
このステップS12の処理、すなわち、搬送ベルト21及び搬送ローラ対61,62を正転駆動させることによってクリーニングシートCを搬送方向Dに搬送する場合で、搬送ベルト21及び搬送ローラ対61,62のうち下流側(第2搬送ローラ対62)の搬送速度が速くなるように制御部91がベルト搬送駆動部95及びローラ搬送駆動部96,97を制御する処理が、第1クリーニング処理の一例である。
【0053】
なお、クリーニングシートCの厚さが厚いほど、上述の搬送ベルト21等とクリーニングシートCとの摩擦が強く働くため、制御部91は、クリーニングシートCの厚さが厚いほど、搬送ベルト21と搬送ローラ対61,62との速度差を小さくし、クリーニングシートCの厚さが薄いほど、搬送ベルト21と搬送ローラ対61,62との速度差を大きくするとよい。或いは、クリーニングシートCの厚さが厚いほどクリーニングシートCの自重で搬送ベルト21とクリーニングシートCとの摩擦が弱くなる場合には、クリーニングシートCの厚さが厚いほど、搬送ベルト21と搬送ローラ対61,62との速度差を大きくしてもよい。すなわち、制御部91は、クリーニングシートCの厚さに基づいて、搬送ベルト21と搬送ローラ対61,62との速度差を調整してベルト搬送駆動部95及びローラ搬送駆動部96,97を制御するとよい。
【0054】
また、搬送ベルト21のクリーニングを行う観点で、搬送ベルト21とクリーニングシートCとの摩擦を強く働かせるために、制御部91は、クリーニング時に吸引エアA1の吸引力を最上位の媒体Mの通常の搬送(供給)時と比較して強くするように吸引機構30を制御してもよい。また、クリーニングシートCの厚さが厚いほど、クリーニングシートCが自重で搬送ベルト21から垂れ下がって搬送ベルト21に密着しにくくなるため、制御部91は、クリーニングシートCの厚さに基づいて、吸引機構30の吸引エアA1の吸引力を調整してクリーニングシートCを搬送ベルト21に吸着させるとよい。
【0055】
次に、制御部91は、クリーニングシートCの搬送距離が規定の搬送距離に到達し、搬送が完了したか否かの判定を、搬送が完了するまで繰り返す(ステップS13)。なお、制御部91は、クリーニングシートCの搬送距離が規定の搬送距離に到達することを、例えば、搬送ベルト21及び搬送ローラ対61,62の搬送距離に基づいて、或いは図示しない媒体通過検知センサの検知結果に基づいて判定すればよい。なお、クリーニングシートCは、規定の搬送距離を搬送されてもレジストローラ対63には到達しない。
【0056】
制御部91は、クリーニングシートCの搬送距離が規定の搬送距離に到達すると(ステップS13:YES)、搬送ベルト21及び搬送ローラ対61,62を逆転駆動させるようにベルト搬送駆動部95及びローラ搬送駆動部96,97を制御する(ステップS14)。これにより、クリーニングシートCは、図4Bに示すように搬送方向Dとは反対方向(左方向)に搬送される。このとき、制御部91は、第2搬送ローラ対62(搬送速度:遅)よりも第1搬送ローラ対61(搬送速度:中)、第1搬送ローラ対61よりも搬送ベルト21(搬送速度:速)で、クリーニングシートCの搬送速度が速くなるようにベルト搬送駆動部95及びローラ搬送駆動部96,97を制御する。これにより、搬送速度が相対的に遅い第2搬送ローラ対62等(第2搬送ローラ対62及び第1搬送ローラ対61)とクリーニングシートCとの摩擦によって第2搬送ローラ対62等のクリーニングが行われる。なお、搬送ローラ対61,62の搬送速度が同一であってもよい。
【0057】
このステップS14の処理、すなわち、搬送ベルト21及び搬送ローラ対61,62を逆転駆動させることによってクリーニングシートCを搬送方向Dとは反対方向に搬送する場合で、搬送ベルト21及び搬送ローラ対61,62のうち下流側(搬送ベルト21)の搬送速度が速くなるように制御部91がベルト搬送駆動部95及びローラ搬送駆動部96,97を制御する処理が、第1クリーニング処理の他の一例である。
【0058】
なお、制御部91は、搬送ベルト21及び搬送ローラ対61,62の逆転駆動のときにも、クリーニングシートCの厚さに基づいて、搬送ベルト21と搬送ローラ対61,62との速度差や、吸引機構30の吸引エアA1の吸引力を調整するとよい。
【0059】
次に、制御部91は、クリーニングシートCの搬送距離が規定の搬送距離に到達し、搬送が完了したか否かの判定を、搬送が完了するまで繰り返す(ステップS15)。
【0060】
制御部91は、クリーニングシートCの搬送距離が規定の搬送距離に到達すると(ステップS15:YES)、クリーニング処理の停止(終了)指示の有無、所定のクリーニング処理が行われたか否かなどに基づいてクリーニング処理を終了させるか否かを判定する(ステップS16)。
【0061】
制御部91は、クリーニング処理を終了させない場合(ステップS16:NO)、上述のステップS12の処理から処理を繰り返す。
【0062】
制御部91は、クリーニング処理を終了させる場合(ステップS16:YES)、搬送ベルト21及び搬送ローラ対61,62を停止させるようにベルト搬送駆動部95及びローラ搬送駆動部96,97を制御し、吸引エアA1の吸引を停止するように吸引機構30を制御する(ステップS17)。そして、制御部91は、図3に示す処理を終了する。なお、制御部91は、クリーニング処理を終了させる場合、上述のように搬送ベルト21及び搬送ローラ対61,62を逆転駆動(ステップS14)させることにより搬送方向Dの反対方向に搬送したクリーニングシートCを、搬送方向Dに搬送し、印刷装置等の他の装置に供給(排出)してから搬送ベルト21等を停止(ステップS17)させるとよい。その後、例えば印刷ジョブに対応する媒体Mの供給を開始させる場合には、制御部91は、浮上エア吹き出し機構40による浮上エアA2の吹き出し及び分離エア吹き出し機構50による分離エアA3の吹き出し、並びに吸引機構30による吸引エアA1の吸引を再開させる。
【0063】
上述のように、図3のフローチャートでは、制御部91は、クリーニングシートCの搬送方向Dの搬送(ステップS12)と反対方向の搬送(ステップS14)とによるクリーニングシートCの往復を1往復以上行わせるようにベルト搬送駆動部95及びローラ搬送駆動部96,97を制御する。
【0064】
なお、制御部91は、クリーニングシートCの搬送方向Dの搬送(ステップS12)と反対方向の搬送(ステップS14)とのうち一方のみを行わせてもよい。また、制御部91は、クリーニングシートCの搬送方向Dの搬送(ステップS12)と反対方向の搬送(ステップS14)とによるクリーニングシートCの往復時に片方の搬送のみ(往路又は復路のみ)で、搬送ベルト21と搬送ローラ対61,62との搬送速度の速度差を生じさせてもよい。また、制御部91は、搬送ベルト21及び第1搬送ローラ対61のみのクリーニングを行わせるように、第2搬送ローラ対62を省略した上述の処理を行ってもよい。
【0065】
以上説明した第1実施形態では、媒体供給装置1は、複数の媒体Mが積載される積載台10と、この積載台10に積載された複数の媒体Mのうち最上位の媒体M1を繰り出して搬送方向Dに搬送する第1搬送部の一例である搬送ベルト21と、この搬送ベルト21よりも搬送方向Dの下流側に配置され、最上位の媒体M1を搬送方向Dに搬送する1つ以上の第2搬送部の一例である搬送ローラ対61,62及びレジストローラ対63と、搬送ベルト21を正転駆動することによって最上位の媒体M1を搬送方向Dに搬送させる第1搬送駆動部の一例であるベルト搬送駆動部95と、搬送ローラ対61,62及びレジストローラ対63を正転駆動することによって最上位の媒体M1を搬送方向Dに搬送させる第2搬送駆動部の一例であるローラ搬送駆動部96,97,98と、ベルト搬送駆動部95及びローラ搬送駆動部96,97,98を制御する制御部91とを備える。制御部91は、積載台10に積載された最上位の媒体M1であるか又は積載台10に積載されていない媒体MであるクリーニングシートCを用いて搬送ベルト21及び搬送ローラ対61,62(第1搬送部及び第2搬送部のうち少なくとも一方の一例)のクリーニングを行う場合に、第1クリーニング処理を行う。この第1クリーニング処理は、搬送ベルト21及び搬送ローラ対61,62を正転駆動させることによってクリーニングシートCを搬送方向Dに搬送する場合と、搬送ベルト21及び搬送ローラ対61,62を逆転駆動させることによってクリーニングシートCを搬送方向Dとは反対方向に搬送する場合とのうち少なくとも片方の場合で、搬送ベルト21及び搬送ローラ対61,62のうち下流側の搬送速度が速くなるように制御部91がベルト搬送駆動部95及びローラ搬送駆動部96,97を制御する処理である。
【0066】
このように、搬送ベルト21の搬送速度と搬送ローラ対61,62の搬送速度とを、クリーニングシートCを搬送する方向の下流側の搬送速度が速くなるようにすることによって、搬送速度が遅い上流側の搬送ベルト21又は搬送ローラ対61,62と、クリーニングシートCとの摩擦によって、搬送ベルト21の搬送速度と搬送ローラ対61,62の搬送速度とに速度差が無い場合と比較してクリーニングを十分に行うことができる。更には、クリーニングシートCを搬送することによりクリーニングを行うことができるため、手作業によるクリーニングと比較して、手間を省略することができる。よって、本第1実施形態によれば、媒体Mを搬送する搬送部(搬送ベルト21及び搬送ローラ対61,62)のクリーニングを簡単かつ十分に行うことができる。
【0067】
また、本第1実施形態では、制御部91は、第1クリーニング処理において、クリーニングシートCの搬送方向Dの搬送(ステップS12)と搬送方向Dの反対方向の搬送(ステップS14)とによるクリーニングシートCの往復を1往復以上行わせるようにベルト搬送駆動部95及びローラ搬送駆動部96,97を制御する。望ましくは、制御部91は、搬送ベルト21及び搬送ローラ対61,62を正転駆動させることによってクリーニングシートCを搬送方向Dに搬送する場合と、搬送ベルト21及び搬送ローラ対61,62を逆転駆動させることによってクリーニングシートCを搬送方向Dとは反対方向に搬送する場合との両方の場合で、搬送ベルト21及び搬送ローラ対61,62のうち下流側の搬送速度が速くなるように制御部91がベルト搬送駆動部95及びローラ搬送駆動部96,97を制御する。
【0068】
このように、クリーニングシートCを往復させることによって、搬送方向Dに搬送する際の搬送ベルト21のクリーニングと、クリーニングシートCを反対方向に搬送する際の搬送ローラ対61,62のクリーニングとの両方を行ったり、クリーニングシートCを搬送方向D又は反対方向に搬送する際の搬送ベルト21のクリーニングを複数回行ったりすることができる。したがって、クリーニングをより十分に行うことができる。
【0069】
また、本第1実施形態では、制御部91は、クリーニングシートCの厚さに基づいて、搬送ベルト21と搬送ローラ対61,62との速度差を調整してベルト搬送駆動部95及びローラ搬送駆動部96,97を制御する。
【0070】
ところで、クリーニングシートCの厚さが厚いほど、例えば、搬送速度が遅いときの搬送ベルト21又は搬送ローラ対61,62と、クリーニングシートCとの摩擦が強く働く。そのため、制御部91が、クリーニングシートCの厚さが厚いほど、搬送ベルト21と搬送ローラ対61,62との速度差を小さくし、クリーニングシートCの厚さが薄いほど、搬送ベルト21と搬送ローラ対61,62との速度差を大きくすることなどによって、搬送ベルト21又は搬送ローラ対61,62に適切な摩擦を働かせてクリーニングを行うことができる。
【0071】
また、本第1実施形態では、媒体供給装置1は、エア(吸引エアA1)を吸引することによって最上位の媒体M1を搬送ベルト21に吸着させる吸引機構30を更に備え、制御部91は、クリーニングシートCの厚さに基づいて、吸引機構30の吸引力を調整してクリーニングシートCを搬送ベルト21に吸着させる。
【0072】
ところで、クリーニングシートCの厚さが厚いほど、クリーニングシートCが自重で搬送ベルト21から垂れ下がって搬送ベルト21に密着しにくくなる。そのため、例えば、制御部91が、クリーニングシートCの厚さが厚いほど吸引エアA1の吸引力を強め、クリーニングシートCの厚さが薄いほど吸引エアA1の吸引力を弱めることによって、必要最低限の吸引力でクリーニングシートCを搬送ベルト21に吸着させることができる。
【0073】
また、本第1実施形態では、媒体供給装置1は、積載台10に積載された複数の媒体Mのうち少なくとも最上位の媒体M1を浮上させる浮上エアA2を吹き出す浮上エア吹き出し機構40と、この浮上エア吹き出し機構40による浮上エアA2の吹き出しによって浮上した最上位の媒体M1と2番目の媒体M2とを分離させるための分離エアA3を吹き出す分離エア吹き出し機構50と、浮上エア吹き出し機構40による浮上エアA2の吹き出しによって浮上した最上位の媒体M1を、エア(吸引エアA1)を吸引することによって搬送ベルト21(搬送機構20)に吸着させる吸引機構30とを更に備える。制御部91は、最上位の媒体M1であるクリーニングシートCを2番目の媒体M2と分離した状態で搬送ベルト21に吸着させるように浮上エア吹き出し機構40、分離エア吹き出し機構50、及び吸引機構30を制御し、上述の第1クリーニング処理(第1クリーニング処理及び第2クリーニング処理のうち少なくとも一方の一例)を、浮上エア吹き出し機構40による浮上エアA2の吹き出し及び分離エア吹き出し機構50による分離エアA3の吹き出しを停止させた状態で行う。
【0074】
そのため、浮上エア吹き出し機構40、分離エア吹き出し機構50、及び吸引機構30を用いて、積載台10に積載された媒体Mとは分離させたクリーニングシートCを搬送ベルト21に吸着させた状態で、クリーニング処理を行うことができる。これにより、クリーニング処理時に、クリーニングシートCが積載台10に積載された媒体Mと接触するのを回避することができるため、クリーニングをより十分に行うことができる。
【0075】
また、本第1実施形態では、媒体供給装置1は、最上位の媒体M1であるか又は積載台10に積載されていない媒体M(例えば、手差し又は挿入装置によって搬送経路Rに挿入される媒体M)に洗剤を供給することによりクリーニングシートCとする洗剤供給部70を更に備える。
【0076】
これにより、積載台10に積載された最上位の媒体M1、手差し又は挿入装置によって搬送経路Rに挿入される媒体Mなどを、クリーニング作用を有さない媒体Mとすることができるため、より簡単にクリーニングを行うことができる。
【0077】
また、本第1実施形態では、積載台10に積載された媒体Mは、少なくとも片面に印刷が行われた媒体Mであり、制御部91は、少なくとも、搬送ベルト21及び搬送ローラ対61,62によって搬送された最上位の媒体M1の枚数と、媒体Mに印刷が行われてからの経過時間とに基づいて、搬送ベルト21及び搬送ローラ対61,62(第1搬送部及び第2搬送部のうち少なくとも一方の一例)のクリーニングを開始する。
【0078】
ところで、媒体Mに印刷が行われてからの経過時間が短いほど媒体Mの印刷面のインク等が搬送ベルト21及び搬送ローラ対61,62に付着しやすく、経過時間が長いほどインク等が搬送ベルト21及び搬送ローラ対61,62に付着しにくい。そのため、搬送ベルト21及び搬送ローラ対61,62によって搬送された最上位の媒体M1の枚数と、媒体Mに印刷が行われてからの経過時間とに基づいてクリーニングを開始する(すなわちクリーニングタイミングを決定する)ことによって、搬送ベルト21及び搬送ローラ対61,62のクリーニングの必要性を推測し、適切にクリーニングを行うことができる。
【0079】
<第2実施形態>
図5は、第2実施形態におけるクリーニング処理を説明するためのフローチャートである。
【0080】
本第2実施形態におけるクリーニング処理は、搬送ベルト21を停止させ、搬送ローラ対61,62の正転駆動時及び逆転駆動時にクリーニングシートCを搬送しながら搬送ベルト21のクリーニングを行う点において、図3に示す第1実施形態におけるクリーニング処理と主に相違する。重複する事項についての詳細な説明は省略する。
まず、制御部91は、浮上エア吹き出し機構40による浮上エアA2の吹き出し及び分離エア吹き出し機構50による分離エアA3の吹き出しが行われていなければ、これらの吹き出しを開始させる。また、制御部91は、吸引機構30による吸引エアA1の吸引が行われていなければ、吸引機構30に吸引エアA1の吸引を開始させることによって、最上位の媒体M1(又は、上述のように手差し又は挿入装置によって挿入された媒体M若しくはクリーニングシートC)を搬送ベルト21に吸着させるとともに、搬送ベルト21によって第1搬送ローラ対61にニップされる位置まで搬送方向Dに最上位の媒体M1を搬送するようにベルト搬送駆動部95及びローラ搬送駆動部96を制御する(ステップS21)。制御部91は、最上位の媒体M1が搬送ベルト21に吸着された後、浮上エア吹き出し機構40による浮上エアA2の吹き出し及び分離エア吹き出し機構50による分離エアA3の吹き出しを停止させるとよい。
【0081】
そして、制御部91は、最上位の媒体M1に洗剤を供給するように洗剤供給部70を制御する。これにより、洗剤が供給された最上位の媒体M1であるクリーニングシートCが図4Aに示すように搬送方向Dに搬送される。
【0082】
その後、制御部91は、搬送ベルト21を停止させるようにベルト搬送駆動部95を制御するとともに、第1搬送ローラ対61と同様に第2搬送ローラ対62を正転駆動させるようにローラ搬送駆動部97を制御する(ステップS22)。これにより、停止している搬送ベルト21と、この搬送ベルト21に接触しているクリーニングシートCとの摩擦によって、搬送ベルト21のクリーニングが行われる。なお、制御部91は、第1搬送ローラ対61よりも第2搬送ローラ対62で、クリーニングシートCの搬送速度が速くなるようにローラ搬送駆動部96,97を制御してもよい。
【0083】
このステップS22の処理、すなわち、搬送ベルト21をクリーニングシートCに接触させ、搬送ローラ対61,62を正転駆動(正転駆動又は逆転駆動の一例)させるように制御部91がベルト搬送駆動部95及びローラ搬送駆動部96,97を制御する処理が、第2クリーニング処理の一例である。
【0084】
なお、本第2実施形態においても、上述の第1実施形態と同様に、制御部91は、クリーニングシートCの厚さに基づいて、搬送速度ゼロの搬送ベルト21と搬送ローラ対61,62との速度差や、吸引機構30の吸引エアA1の吸引力を調整するとよい。また、本第2実施形態では、搬送ベルト21が停止した状態でクリーニングシートCが搬送されるため、搬送ベルト21とクリーニングシートCとの摩擦が強く働きすぎないように、搬送負荷調整のために吸引機構30の吸引エアA1の吸引力を調整してもよい。
【0085】
次に、制御部91は、クリーニングシートCの搬送距離が規定の搬送距離に到達し、搬送が完了したか否かの判定を、搬送が完了するまで繰り返す(ステップS23)。
【0086】
制御部91は、クリーニングシートCの搬送距離が規定の搬送距離に到達すると(ステップS23:YES)、搬送ローラ対61,62を逆転駆動させるようにローラ搬送駆動部96,97を制御する(ステップS24)。これにより、クリーニングシートCは、搬送方向Dとは反対方向に搬送され、再び、停止している搬送ベルト21とクリーニングシートCとの摩擦によって搬送ベルト21のクリーニングが行われる。なお、制御部91は、第2搬送ローラ対62よりも第1搬送ローラ対61で、クリーニングシートCの搬送速度が速くなるようにローラ搬送駆動部96,97を制御してもよい。
【0087】
このステップS24の処理、すなわち、搬送ベルト21をクリーニングシートCに接触させ、搬送ローラ対61,62を逆転駆動(正転駆動又は逆転駆動の一例)させるように制御部91がベルト搬送駆動部95及びローラ搬送駆動部96,97を制御する処理が、第2クリーニング処理の他の一例である。
【0088】
なお、制御部91は、搬送ローラ対61,62の逆転駆動のときにも、クリーニングシートCの厚さに基づいて、搬送ベルト21と搬送ローラ対61,62との速度差や、吸引機構30の吸引エアA1の吸引力を調整するとよい。
【0089】
次に、制御部91は、クリーニングシートCの搬送距離が規定の搬送距離に到達し、搬送が完了したか否かの判定を、搬送が完了するまで繰り返す(ステップS25)。
【0090】
制御部91は、クリーニングシートCの搬送距離が規定の搬送距離に到達すると(ステップS25:YES)、クリーニング処理の停止(終了)指示、所定のクリーニング処理が行われたか否かなどに基づいてクリーニング処理を終了させるか否かを判定する(ステップS26)。
【0091】
制御部91は、クリーニング処理を終了させない場合(ステップS26:NO)、搬送ベルト21のうちクリーニングシートCに接触する面を入れ替えるようにベルト搬送駆動部95を制御し(ステップS27)、上述のステップS22の処理から処理を繰り返す。
【0092】
制御部91は、クリーニング処理を終了させる場合(ステップS26:YES)、搬送ローラ対61,62を停止させるようにローラ搬送駆動部96,97を制御し、吸引エアA1の吸引を停止するように吸引機構30を制御する(ステップS28)。そして、制御部91は、図5に示す処理を終了する。
【0093】
上述のように、本第2実施形態においても、制御部91は、クリーニングシートCの搬送方向Dの搬送(ステップS22)と反対方向の搬送(ステップS24)とによるクリーニングシートCの往復を1往復以上行わせるようにベルト搬送駆動部95及びローラ搬送駆動部96,97を制御する。搬送ベルト21のクリーニング面の更新(ステップS27)の観点からは、クリーニングシートCの往復を2往復以上行わせるとよい。なお、制御部91は、クリーニングシートCの搬送方向Dの搬送(ステップS22)と反対方向の搬送(ステップS24)とのうち一方のみを行わせてもよい。また、制御部91は、クリーニングシートCの搬送方向Dの搬送(ステップS22)と反対方向の搬送(ステップS24)とによるクリーニングシートCの往復のうち片方の搬送のみ(往路又は復路のみ)で、搬送ベルト21を停止させてもよい。
【0094】
以上説明した第2実施形態では、制御部91は、上述の第1実施形態における第1クリーニング処理に代えて第2クリーニング処理を行う。この第2クリーニング処理は、搬送ベルト21(搬送ベルト21と搬送ローラ対61,62とのうち一方の一例)をクリーニングシートCに接触させた状態で停止させ、搬送ローラ対61,62(搬送ベルト21と搬送ローラ対61,62及びレジストローラ対63とのうち他方の一例)を正転駆動又は逆転駆動させるようにベルト制御部91が搬送駆動部95及びローラ搬送駆動部96,97を制御する処理である。また、本第2実施形態では、制御部91は、第2クリーニング処理において、搬送ベルト21をクリーニングシートCに接触させた状態で停止させるとともに、搬送ローラ対61,62を正転駆動又は逆転駆動させクリーニングシートCを搬送することによって、搬送ベルト21のクリーニングを行うようにベルト搬送駆動部95及びローラ搬送駆動部96,97を制御する。
【0095】
このように、搬送ベルト21をクリーニングシートCに接触させた状態で停止させ、搬送ローラ対61,62を正転駆動又は逆転駆動させクリーニングシートCを搬送することによって、搬送ベルト21とクリーニングシートCとの接触による摩擦でクリーニングを十分に行うことができる。更には、クリーニングシートCを用いてクリーニングを行うことができるため、手作業によるクリーニングと比較して、手間を省略することができる。よって、本第2実施形態によっても、搬送ベルト21のクリーニングを簡単かつ十分に行うことができる。
【0096】
<第3実施形態>
図6は、第3実施形態におけるクリーニング処理を説明するためのフローチャートである。
【0097】
本第3実施形態におけるクリーニング処理では、制御部91は、第2クリーニング処理として、上述の第2実施形態とは異なり、搬送ベルト21を逆転駆動させるとともに、搬送ローラ対61,62及びレジストローラ対63を停止させクリーニングシートCをニップさせて静止させた状態で搬送ベルト21を空回りさせることによって搬送ベルト21のクリーニングを行うようにベルト搬送駆動部95及びローラ搬送駆動部96,97,98を制御する。上述の第1実施形態及び第2実施形態と重複する事項については、詳細な説明を省略する。
【0098】
まず、制御部91は、浮上エア吹き出し機構40による浮上エアA2の吹き出し及び分離エア吹き出し機構50による分離エアA3の吹き出しが行われていなければ、これらの吹き出しを開始させる。また、制御部91は、吸引機構30による吸引エアA1の吸引が行われていなければ、吸引機構30に吸引エアA1の吸引を開始させることによって、最上位の媒体M1(又は、上述のように手差し又は挿入装置によって挿入された媒体M若しくはクリーニングシートC)を搬送ベルト21に吸着させるとともに、搬送ベルト21によってレジストローラ対63にニップされる位置まで搬送方向Dに最上位の媒体M1を搬送するようにベルト搬送駆動部95及びローラ搬送駆動部96,97,98を制御する(ステップS31)。制御部91は、最上位の媒体M1が搬送ベルト21に吸着された後、浮上エア吹き出し機構40による浮上エアA2の吹き出し及び分離エア吹き出し機構50による分離エアA3の吹き出しを停止させるとよい。なお、第1実施形態で述べたとおり、搬送ローラ対61,62及びレジストローラ対63は、最上位の媒体M1をニップしながら搬送する。そのため、搬送ローラ対61,62及びレジストローラ対63は、クリーニングシートCもニップしながら搬送可能である。
【0099】
そして、制御部91は、最上位の媒体M1に洗剤を供給するように洗剤供給部70を制御する。これにより、洗剤が供給された最上位の媒体M1であるクリーニングシートCが図4Aに示す搬送方向Dに搬送される。
【0100】
その後、制御部91は、搬送ベルト21を逆転駆動させるようにベルト搬送駆動部95を制御するとともに、搬送ローラ対61,62及びレジストローラ対63を停止させるようにローラ搬送駆動部96,97,98を制御する(ステップS32)。これにより、クリーニングシートCが搬送ローラ対61,62及びレジストローラ対63によってニップされて静止した状態で、搬送ベルト21が空回りすることにより、搬送ベルト21のクリーニングが行われる。
【0101】
このステップS32の処理、すなわち、搬送ローラ対61,62及びレジストローラ対63をクリーニングシートCに接触させ、搬送ベルト21を逆転駆動(正転駆動又は逆転駆動の一例)させるように制御部91がベルト搬送駆動部95及びローラ搬送駆動部96,97,98を制御する処理が、第2クリーニング処理の一例である。なお、搬送ベルト21を正転駆動させる場合、搬送ベルト21と搬送ローラ対61,62及びレジストローラ対63との間でクリーニングシートCに弛みが生じ得るため、搬送ベルト21を逆転駆動させることが望ましい。
【0102】
制御部91は、クリーニング処理の停止(終了)指示、所定のクリーニング処理が行われたか否かなどに基づいてクリーニング処理を終了させるか否かを判定する(ステップS33)。
【0103】
制御部91は、クリーニング処理を終了させない場合(ステップS33:NO)、ステップS32の搬送ベルト21のクリーニングを継続する。
【0104】
制御部91は、クリーニング処理を終了させる場合(ステップS33:YES)、搬送ベルト21を停止させるようにベルト搬送駆動部95を制御し、吸引エアA1の吸引を停止するように吸引機構30を制御する(ステップS34)。そして、制御部91は、図6に示す処理を終了する。
【0105】
以上説明した第3実施形態では、搬送ローラ対61,62及びレジストローラ対63は、最上位の媒体M1をニップしながら搬送する。制御部91は、第2クリーニング処理において、上述の第2実施形態とは異なり、搬送ベルト21を逆転駆動させるとともに、搬送ローラ対61,62及びレジストローラ対63を停止させクリーニングシートCを搬送ローラ対61,62及びレジストローラ対63によってニップさせて静止させた状態で搬送ベルト21を空回りさせることによって、搬送ベルト21のクリーニングを行うようにベルト搬送駆動部95及びローラ搬送駆動部96,97,98を制御する。
【0106】
このように、搬送ローラ対61,62及びレジストローラ対63によってクリーニングシートCをニップさせて静止させ、搬送ベルト21を逆転駆動させることによって、搬送ベルト21とクリーニングシートCとの接触による摩擦でクリーニングを十分に行うことができる。更には、クリーニングシートCを用いてクリーニングを行うことができるため、手作業によるクリーニングと比較して、手間を省略することができる。よって、本第3実施形態によっても、搬送ベルト21のクリーニングを簡単かつ十分に行うことができる。
【0107】
<第4実施形態>
図7は、第4実施形態におけるクリーニング処理を説明するためのフローチャートである。
【0108】
本第4実施形態におけるクリーニング処理は、レジストローラ対63の正転駆動及び逆転駆動を行う点と、クリーニングシートCの逆搬送がレジストローラ対63にニップされることによって阻害されないようにするために、クリーニングシートCの逆搬送時にレジストローラ対63のニップ圧を減圧させる点とにおいて、図3に示す第1実施形態におけるクリーニング処理と主に相違する。そのため、重複する事項についての詳細な説明は省略する。
【0109】
まず、制御部91は、浮上エア吹き出し機構40による浮上エアA2の吹き出し及び分離エア吹き出し機構50による分離エアA3の吹き出しが行われていなければ、これらの吹き出しを開始させる。また、制御部91は、吸引機構30による吸引エアA1の吸引が行われていなければ、吸引機構30に吸引エアA1の吸引を開始させることによって、最上位の媒体M1(又は、上述のように手差し又は挿入装置によって挿入された媒体M若しくはクリーニングシートC)を搬送ベルト21に吸着させる(ステップS41)。制御部91は、最上位の媒体M1が搬送ベルト21に吸着された後、浮上エア吹き出し機構40による浮上エアA2の吹き出し及び分離エア吹き出し機構50による分離エアA3の吹き出しを停止させるとよい。
【0110】
その後、制御部91は、搬送ベルト21を正転駆動させるようにベルト搬送駆動部95を制御し、搬送ローラ対61,62及びレジストローラ対63を正転駆動させるようにローラ搬送駆動部96,97,98を制御する(ステップS42)。そして、制御部91は、最上位の媒体M1に洗剤を供給するように洗剤供給部70を制御する。
【0111】
これにより、洗剤が供給された最上位の媒体M1であるクリーニングシートCは、図4Aに示すように搬送方向Dに搬送される。このとき、制御部91は、搬送ベルト21(搬送速度:遅)よりも搬送ローラ対61,62(搬送速度:中)、搬送ローラ対61,62よりもレジストローラ対63(搬送速度:速)で、クリーニングシートCの搬送速度が速くなるようにベルト搬送駆動部95及びローラ搬送駆動部96,97,98を制御する。これにより、搬送速度が相対的に遅い搬送ベルト21等(搬送ベルト21及び搬送ローラ対61,62)とクリーニングシートCとの摩擦によって搬送ベルト21等のクリーニングが行われる。なお、第1搬送ローラ対61よりも第2搬送ローラ対62で、クリーニングシートCの搬送速度が速くてもよい。
【0112】
このステップS42の処理、すなわち、搬送ベルト21、搬送ローラ対61,62、及びレジストローラ対63を正転駆動させることによってクリーニングシートCを搬送方向Dに搬送する場合で、搬送ベルト21、搬送ローラ対61,62、及びレジストローラ対63のうち下流側(レジストローラ対63)の搬送速度が速くなるように制御部91がベルト搬送駆動部95及びローラ搬送駆動部96,97,98を制御する処理が、第1クリーニング処理の一例である。
【0113】
なお、本第4実施形態においても、制御部91は、クリーニングシートCの厚さに基づいて、搬送ベルト21と搬送ローラ対61,62及びレジストローラ対63との速度差や、吸引機構30の吸引エアA1の吸引力を調整するとよい。
【0114】
次に、制御部91は、クリーニングシートCの搬送距離が規定の搬送距離に到達し、搬送が完了したか否かの判定を、搬送が完了するまで繰り返す(ステップS43)。
【0115】
制御部91は、クリーニングシートCの搬送距離が規定の搬送距離に到達すると(ステップS43:YES)、レジストローラ対63のニップ圧を減圧するようにニップ圧調整機構80を制御する(ステップS44)。
【0116】
また、制御部91は、搬送ベルト21を逆転駆動させるようにベルト搬送駆動部95を制御し、搬送ローラ対61,62及びレジストローラ対63を逆転駆動させるようにローラ搬送駆動部96,97,98を制御する(ステップS45)。これにより、クリーニングシートCは、図4Bに示すように搬送方向Dとは反対方向(左方向)に搬送される。このとき、制御部91は、レジストローラ対63(搬送速度:遅)よりも搬送ローラ対61,62(搬送速度:中)、搬送ローラ対61,62よりも搬送ベルト21(搬送速度:速)で、クリーニングシートCの搬送速度が速くなるようにベルト搬送駆動部95及びローラ搬送駆動部96,97,98を制御する。これにより、搬送速度が相対的に遅いレジストローラ対63等(レジストローラ対63及び搬送ローラ対61,62)とクリーニングシートCとの摩擦によってレジストローラ対63等のクリーニングが行われる。なお、第2搬送ローラ対62よりも第1搬送ローラ対61で、クリーニングシートCの搬送速度が速くてもよい。
【0117】
このステップS45の処理、すなわち、搬送ベルト21、搬送ローラ対61,62、及びレジストローラ対63を逆転駆動させることによってクリーニングシートCを搬送方向Dとは反対方向に搬送する場合で、搬送ベルト21、搬送ローラ対61,62、及びレジストローラ対63のうち下流側(搬送ベルト21)の搬送速度が速くなるように制御部91がベルト搬送駆動部95及びローラ搬送駆動部96,97,98を制御する処理が、第1クリーニング処理の他の一例である。
【0118】
なお、制御部91は、搬送ベルト21、搬送ローラ対61,62、及びレジストローラ対63の逆転駆動のときにも、クリーニングシートCの厚さに基づいて、搬送ベルト21と搬送ローラ対61,62及びレジストローラ対63との速度差や、吸引機構30の吸引エアA1の吸引力を調整するとよい。
【0119】
次に、制御部91は、クリーニングシートCの搬送距離が規定の搬送距離に到達し、搬送が完了したか否かの判定を、搬送が完了するまで繰り返す(ステップS45)。
【0120】
制御部91は、クリーニングシートCの搬送距離が規定の搬送距離に到達すると(ステップS46:YES)、クリーニング処理の停止(終了)指示の有無、所定のクリーニング処理が行われたか否かなどに基づいてクリーニング処理を終了させるか否かを判定する(ステップS47)。
【0121】
制御部91は、クリーニング処理を終了させない場合(ステップS47:NO)、レジストローラ対63のニップ圧を減圧前の通常圧に戻すようにニップ圧調整機構80を制御し(ステップS48)、上述のステップS42の処理から処理を繰り返す。
【0122】
制御部91は、クリーニング処理を終了させる場合(ステップS47:YES)、搬送ベルト21、搬送ローラ対61,62、及びレジストローラ対63を停止させるようにベルト搬送駆動部95及びローラ搬送駆動部96,97,98を制御し、吸引エアA1の吸引を停止するように吸引機構30を制御する(ステップS49)。そして、制御部91は、図7に示す処理を終了する。
【0123】
上述のように、図6のフローチャートでは、制御部91は、クリーニングシートCの搬送方向Dの搬送(ステップS42)と反対方向の搬送(ステップS45)とによるクリーニングシートCの往復を1往復以上行わせるようにベルト搬送駆動部95及びローラ搬送駆動部96,97,98を制御する。
【0124】
なお、制御部91は、クリーニングシートCの搬送方向Dの搬送(ステップS42)と反対方向の搬送(ステップS45)とのうち一方のみを行わせてもよい。また、制御部91は、クリーニングシートCの搬送方向Dの搬送(ステップS42)と反対方向の搬送(ステップS45)とによるクリーニングシートCの往復のうち片方の搬送のみ(往路又は復路のみ)で、搬送ベルト21と搬送ローラ対61,62及びレジストローラ対63との搬送速度の速度差を生じさせてもよい。
【0125】
以上説明した第4実施形態では、上述の第1実施形態と同様の事項に関しては同様の効果、すなわち、媒体Mを搬送する搬送部(搬送ベルト21、搬送ローラ対61,62、及びレジストローラ対63)のクリーニングを簡単かつ十分に行うことができるという効果を得ることができる。
【0126】
また、本第4実施形態では、レジストローラ対63は、最上位の媒体M1をニップしながら搬送し、媒体供給装置1は、レジストローラ対63のニップ圧を調整するニップ圧調整機構80を更に備える。
【0127】
これにより、例えば、レジストローラ対63のニップ圧を減圧することによって、搬送ベルト21、搬送ローラ対61,62、及びレジストローラ対63の逆転駆動によるクリーニングシートCの逆搬送がレジストローラ対63にニップされて阻害されるのを抑制することができる。そのため、適切にクリーニングを行うことができる。
【0128】
<第5実施形態>
図8は、第5実施形態におけるクリーニング処理を説明するためのフローチャートである。
【0129】
本第5実施形態におけるクリーニング処理は、レジストローラ対63の正転駆動を行う点と、レジストローラ対63の停止時にクリーニングシートCの逆搬送がレジストローラ対63にニップされることによって阻害されないようにするために、クリーニングシートCの逆搬送時にレジストローラ対63のニップ圧を減圧させた状態でレジストローラ対63を逆搬送させる点とにおいて、図5に示す第2実施形態におけるクリーニング処理と主に相違する。そのため、重複する事項についての詳細な説明は省略する。
【0130】
まず、制御部91は、浮上エア吹き出し機構40による浮上エアA2の吹き出し及び分離エア吹き出し機構50による分離エアA3の吹き出しが行われていなければ、これらの吹き出しを開始させる。また、制御部91は、吸引機構30による吸引エアA1の吸引が行われていなければ、吸引機構30に吸引エアA1の吸引を開始させることによって、最上位の媒体M1(又は、上述のように手差し又は挿入装置によって挿入された媒体M若しくはクリーニングシートC)を搬送ベルト21に吸着させるとともに、搬送ベルト21によって第1搬送ローラ対61にニップされる位置まで搬送方向Dに最上位の媒体M1を搬送するようにベルト搬送駆動部95及びローラ搬送駆動部96を制御する(ステップS51)。制御部91は、最上位の媒体M1が搬送ベルト21に吸着された後、浮上エア吹き出し機構40による浮上エアA2の吹き出し及び分離エア吹き出し機構50による分離エアA3の吹き出しを停止させるとよい。
【0131】
そして、制御部91は、最上位の媒体M1に洗剤を供給するように洗剤供給部70を制御する。これにより、洗剤が供給された最上位の媒体M1であるクリーニングシートCが図4Aに示すように搬送方向Dに搬送される。
【0132】
その後、制御部91は、搬送ベルト21を停止させるようにベルト搬送駆動部95を制御するとともに、搬送ローラ対61,62及びレジストローラ対63を正転駆動させるようにローラ搬送駆動部96,97,98を制御する(ステップS52)。これにより、停止している搬送ベルト21と、この搬送ベルト21に接触しているクリーニングシートCとの摩擦によって、搬送ベルト21のクリーニングが行われる。なお、制御部91は、第1搬送ローラ対61よりも第2搬送ローラ対62で、第2搬送ローラ対62よりもレジストローラ対63で、クリーニングシートCの搬送速度が速くなるようにローラ搬送駆動部96,97,98を制御してもよい。
【0133】
このステップS52の処理、すなわち、搬送ベルト21をクリーニングシートCに接触させた状態で停止させ、搬送ローラ対61,62及びレジストローラ対63を正転駆動(正転駆動又は逆転駆動の一例)させるように制御部91がベルト搬送駆動部95及びローラ搬送駆動部96,97,98を制御する処理が、第2クリーニング処理の一例である。
【0134】
なお、制御部91は、上述のように、クリーニングシートCの厚さに基づいて、搬送ベルト21と搬送ローラ対61,62及びレジストローラ対63との速度差や、吸引機構30の吸引エアA1の吸引力を調整するとよい。
【0135】
次に、制御部91は、クリーニングシートCの搬送距離が規定の搬送距離に到達し、搬送が完了したか否かの判定を、搬送が完了するまで繰り返す(ステップS53)。
【0136】
制御部91は、クリーニングシートCの搬送距離が規定の搬送距離に到達すると(ステップS53:YES)、レジストローラ対63のニップ圧を減圧するようにニップ圧調整機構80を制御する(ステップS54)。
【0137】
また、制御部91は、搬送ベルト21とともにレジストローラ対63を停止させ、搬送ローラ対61,62を逆転駆動させるようにベルト搬送駆動部95及びローラ搬送駆動部96,97,98を制御する(ステップS55)。これにより、クリーニングシートCは、搬送方向Dとは反対方向に搬送され、停止している搬送ベルト21及びレジストローラ対63とクリーニングシートCとの摩擦によって搬送ベルト21及びレジストローラ対63のクリーニングが行われる。なお、制御部91は、第2搬送ローラ対62よりも第1搬送ローラ対61で、クリーニングシートCの搬送速度が速くなるようにローラ搬送駆動部96,97を制御してもよい。
【0138】
このステップS55の処理、すなわち、搬送ベルト21及びレジストローラ対63をクリーニングシートCに接触させ、搬送ローラ対61,62を逆転駆動(正転駆動又は逆転駆動の一例)させるように制御部91がベルト搬送駆動部95及びローラ搬送駆動部96,97,98を制御する処理が、第2クリーニング処理の他の一例である。
【0139】
なお、制御部91は、搬送ローラ対61,62の逆転駆動のときにも、クリーニングシートCの厚さに基づいて、搬送ベルト21と搬送ローラ対61,62との速度差や、吸引機構30の吸引エアA1の吸引力を調整するとよい。
【0140】
次に、制御部91は、クリーニングシートCの搬送距離が規定の搬送距離に到達し、搬送が完了したか否かの判定を、搬送が完了するまで繰り返す(ステップS56)。
【0141】
制御部91は、クリーニングシートCの搬送距離が規定の搬送距離に到達すると(ステップS56:YES)、クリーニング処理の停止(終了)指示、所定のクリーニング処理が行われたか否かなどに基づいてクリーニング処理を終了させるか否かを判定する(ステップS57)。
【0142】
制御部91は、クリーニング処理を終了させない場合(ステップS57:NO)、搬送ベルト21のうちクリーニングシートCに接触する面を入れ替えるようにベルト搬送駆動部95を制御し(ステップS58)、レジストローラ対63のニップ圧を減圧前の通常圧に戻すようにニップ圧調整機構80を制御し(ステップS59)、上述のステップS52の処理から処理を繰り返す。
【0143】
制御部91は、クリーニング処理を終了させる場合(ステップS57:YES)、搬送ベルト21及び搬送ローラ対61,62及びレジストローラ対63を停止させるようにベルト搬送駆動部95及びローラ搬送駆動部96,97,98を制御し、吸引エアA1の吸引を停止するように吸引機構30を制御する(ステップS60)。そして、制御部91は、図8に示す処理を終了する。
【0144】
上述のように、本第5実施形態においても、制御部91は、クリーニングシートCの搬送方向Dの搬送(ステップS52)と反対方向の搬送(ステップS55)とによるクリーニングシートCの往復を1往復以上行わせるようにベルト搬送駆動部95及びローラ搬送駆動部96,97,98を制御する。なお、制御部91は、クリーニングシートCの搬送方向Dの搬送(ステップS52)と反対方向の搬送(ステップS55)とのうち一方のみを行わせてもよい。また、制御部91は、クリーニングシートCの搬送方向Dの搬送(ステップS52)と反対方向の搬送(ステップS55)とによるクリーニングシートCの往復のうち片方の搬送のみ(往路又は復路のみ)で、搬送ベルト21を停止させてもよい。
【0145】
以上説明した第5実施形態では、上述の第2実施形態と同様の事項に関しては同様の効果、すなわち、媒体Mを搬送する搬送部(搬送ベルト21)のクリーニングを簡単かつ十分に行うことができるという効果を得ることができる。
【0146】
また、本第5実施形態では、レジストローラ対63は、最上位の媒体M1をニップしながら搬送し、媒体供給装置1は、レジストローラ対63のニップ圧を調整するニップ圧調整機構80を更に備える。
【0147】
これにより、例えば、レジストローラ対63のニップ圧を減圧することによって、レジストローラ対63の停止時におけるクリーニングシートCの逆搬送がレジストローラ対63にニップされて阻害されるのを抑制することができる。そのため、適切にクリーニングを行うことができる。
【0148】
<第6実施形態>
図9は、第6実施形態におけるクリーニング処理を説明するためのフローチャートである。
【0149】
本第6実施形態におけるクリーニング処理は、搬送ベルト21の逆転駆動によってクリーニングシートCが逆搬送されないようにするために、クリーニングシートCの逆搬送時にレジストローラ対63のニップ圧を加圧させた状態でレジストローラ対63を逆搬送させる点において、図6に示す第3実施形態におけるクリーニング処理と主に相違する。そのため、重複する事項についての詳細な説明は省略する。
【0150】
まず、制御部91は、浮上エア吹き出し機構40による浮上エアA2の吹き出し及び分離エア吹き出し機構50による分離エアA3の吹き出しが行われていなければ、これらの吹き出しを開始させる。また、制御部91は、吸引機構30による吸引エアA1の吸引が行われていなければ、吸引機構30に吸引エアA1の吸引を開始させることによって、最上位の媒体M1(又は、上述のように手差し又は挿入装置によって挿入された媒体M若しくはクリーニングシートC)を搬送ベルト21に吸着させるとともに、搬送ベルト21によってレジストローラ対63にニップされる位置まで搬送方向Dに最上位の媒体M1を搬送するようにベルト搬送駆動部95及びローラ搬送駆動部96,97,98を制御する(ステップS61)。制御部91は、最上位の媒体M1が搬送ベルト21に吸着された後、浮上エア吹き出し機構40による浮上エアA2の吹き出し及び分離エア吹き出し機構50による分離エアA3の吹き出しを停止させるとよい。
【0151】
そして、制御部91は、最上位の媒体M1に洗剤を供給するように洗剤供給部70を制御する。これにより、洗剤が供給された最上位の媒体M1であるクリーニングシートCが図4Aに示す搬送方向Dに搬送される。
【0152】
次に、制御部91は、レジストローラ対63のニップ圧を加圧するようにニップ圧調整機構80を制御する(ステップS62)。
【0153】
その後、制御部91は、搬送ベルト21を逆転駆動させるようにベルト搬送駆動部95を制御するとともに、搬送ローラ対61,62及びレジストローラ対63を停止させるようにローラ搬送駆動部96,97,98を制御する(ステップS63)。これにより、クリーニングシートCが搬送ローラ対61,62及びレジストローラ対63によってニップされて静止した状態で、搬送ベルト21が空回りすることにより、搬送ベルト21のクリーニングが行われる。
【0154】
このステップS63の処理、すなわち、搬送ローラ対61,62及びレジストローラ対63をクリーニングシートCに接触させ、搬送ベルト21を逆転駆動(正転駆動又は逆転駆動の一例)させるように制御部91がベルト搬送駆動部95及びローラ搬送駆動部96,97,98を制御する処理が、第2クリーニング処理の一例である。なお、搬送ベルト21を正転駆動させる場合、搬送ベルト21と搬送ローラ対61,62及びレジストローラ対63との間でクリーニングシートCに弛みが生じ得るため、搬送ベルト21を逆転駆動させることが望ましい。
【0155】
制御部91は、クリーニング処理の停止(終了)指示、所定のクリーニング処理が行われたか否かなどに基づいてクリーニング処理を終了させるか否かを判定する(ステップS64)。
【0156】
制御部91は、クリーニング処理を終了させない場合(ステップS64:NO)、ステップS63の搬送ベルト21のクリーニングを継続する。
【0157】
制御部91は、クリーニング処理を終了させる場合(ステップS64:YES)、搬送ベルト21を停止させるようにベルト搬送駆動部95を制御し、吸引エアA1の吸引を停止するように吸引機構30を制御する(ステップS65)。そして、制御部91は、図9に示す処理を終了する。
【0158】
以上説明した第6実施形態では、上述の第3実施形態と同様の事項に関しては同様の効果、すなわち、媒体Mを搬送する搬送部(搬送ベルト21)のクリーニングを簡単かつ十分に行うことができるという効果を得ることができる。
【0159】
また、本第6実施形態では、レジストローラ対63は、最上位の媒体M1をニップしながら搬送し、媒体供給装置1は、レジストローラ対63のニップ圧を調整するニップ圧調整機構80を更に備える。
【0160】
これにより、例えば、レジストローラ対63のニップ圧を加圧することによって、レジストローラ対63の停止時における搬送ベルト21の逆転駆動によってクリーニングシートCが逆搬送されるのを抑制することができる。そのため、搬送ベルト21のクリーニングを適切に行うことができる。
【0161】
なお、本発明は、上述の第1~第6実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階でその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上述の第1~第6実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。例えば、各実施形態に示される全構成要素を適宜組み合わせても良い。このような、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能であることはもちろんである。以下に、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0162】
[付記1]
複数の媒体が積載される積載台と、
前記積載台に積載された前記複数の媒体のうち最上位の媒体を繰り出して搬送方向に搬送する第1搬送部と、
前記第1搬送部よりも前記搬送方向の下流側に配置され、前記最上位の媒体を前記搬送方向に搬送する1つ以上の第2搬送部と、
前記第1搬送部を正転駆動することによって前記最上位の媒体を前記搬送方向に搬送させる第1搬送駆動部と、
前記第2搬送部を正転駆動することによって前記最上位の媒体を前記搬送方向に搬送させる第2搬送駆動部と、
前記第1搬送駆動部及び前記第2搬送駆動部を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記最上位の媒体であるか又は前記積載台に積載されていない媒体であるクリーニングシートを用いて前記第1搬送部及び前記第2搬送部のうち少なくとも一方のクリーニングを行う場合に、
前記第1搬送部及び前記第2搬送部を正転駆動させることによって前記クリーニングシートを前記搬送方向に搬送する場合と、前記第1搬送部及び前記第2搬送部を逆転駆動させることによって前記クリーニングシートを前記搬送方向とは反対方向に搬送する場合とのうち少なくとも片方の場合で、前記第1搬送部及び前記第2搬送部のうち下流側の搬送速度が速くなるように前記第1搬送駆動部及び前記第2搬送駆動部を制御する第1クリーニング処理と、
前記第1搬送部及び前記第2搬送部のうち一方を前記クリーニングシートに接触させた状態で停止させ、他方を正転駆動又は逆転駆動させるように前記第1搬送駆動部及び前記第2搬送駆動部を制御する第2クリーニング処理と
のうち少なくとも一方を行う
ことを特徴とする媒体供給装置。
【0163】
[付記2]
前記制御部は、前記第2クリーニング処理において、前記第1搬送部及び前記第2搬送部のうち一方を前記クリーニングシートに接触させた状態で停止させるとともに、他方を正転駆動又は逆転駆動させ前記クリーニングシートを搬送することによって、前記第1搬送部及び前記第2搬送部のうちの前記一方のクリーニングを行うように前記第1搬送駆動部及び前記第2搬送駆動部を制御する
ことを特徴とする付記1記載の媒体供給装置。
【0164】
[付記3]
前記第2搬送部は、前記最上位の媒体をニップしながら搬送し、
前記制御部は、前記第2クリーニング処理において、前記第1搬送部を逆転駆動させるとともに、前記第2搬送部を停止させ前記クリーニングシートを前記第2搬送部によってニップさせて静止させた状態で前記第1搬送部を空回りさせることによって、当該第1搬送部のクリーニングを行うように前記第1搬送駆動部及び前記第2搬送駆動部を制御する
ことを特徴とする付記1記載の媒体供給装置。
【0165】
[付記4]
前記制御部は、前記クリーニングシートの厚さに基づいて、前記第1搬送部と前記第2搬送部との速度差を調整して前記第1搬送駆動部及び前記第2搬送駆動部を制御する
ことを特徴とする付記1から3のいずれか記載の媒体供給装置。
【0166】
[付記5]
エアを吸引することによって前記最上位の媒体を前記第1搬送部に吸着させる吸引機構を更に備え、
前記制御部は、前記クリーニングシートの厚さに基づいて、前記吸引機構の吸引力を調整して前記クリーニングシートを前記第1搬送部に吸着させる
ことを特徴とする付記1から4のいずれか記載の媒体供給装置。
【0167】
[付記6]
前記積載台に積載された前記複数の媒体のうち少なくとも前記最上位の媒体を浮上させる浮上エアを吹き出す浮上エア吹き出し機構と、
前記浮上エア吹き出し機構による前記浮上エアの吹き出しによって浮上した前記最上位の媒体と2番目の前記媒体とを分離させるための分離エアを吹き出す分離エア吹き出し機構と、
前記浮上エア吹き出し機構による前記浮上エアの吹き出しによって浮上した前記最上位の媒体を、エアを吸引することによって前記第1搬送部に吸着させる吸引機構とを更に備え、
前記制御部は、前記最上位の媒体である前記クリーニングシートを前記2番目の媒体と分離した状態で前記第1搬送部に吸着させるように前記浮上エア吹き出し機構、前記分離エア吹き出し機構、及び前記吸引機構を制御し、前記第1クリーニング処理及び前記第2クリーニング処理のうち少なくとも一方を、前記浮上エア吹き出し機構による前記浮上エアの吹き出し及び前記分離エア吹き出し機構による前記分離エアの吹き出しを停止させた状態で行う
ことを特徴とする付記1から4のいずれか記載の媒体供給装置。
【0168】
[付記7]
前記積載台に積載された前記媒体は、少なくとも片面に印刷が行われた媒体であり、
前記制御部は、少なくとも、前記第1搬送部及び前記第2搬送部によって搬送された前記最上位の媒体の枚数と、前記媒体に印刷が行われてからの経過時間とに基づいて、前記第1搬送部及び前記第2搬送部のうち少なくとも一方のクリーニングを開始する
ことを特徴とする付記1から6のいずれか記載の媒体供給装置。
【符号の説明】
【0169】
1 媒体供給装置
10 積載台
20 搬送機構
21 搬送ベルト
22,23 プーリ
30 吸引機構
40 浮上エア吹き出し機構
50 分離エア吹き出し機構
61 第1搬送ローラ対
62 第2搬送ローラ対
63 レジストローラ対
70 洗剤供給部
80 ニップ圧調整機構
91 制御部
92 記憶部
93 インターフェース部
94 積載台昇降駆動部
95 ベルト搬送駆動部
96,97,98 ローラ搬送駆動部
A1 吸引エア
A2 浮上エア
A3 分離エア
C クリーニングシート
D 搬送方向
M 媒体
M1 最上位の媒体
M2 2番目の媒体
R 搬送経路
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9