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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-08
(45)【発行日】2024-03-18
(54)【発明の名称】水素処理装置及び原子力プラント
(51)【国際特許分類】
   G21C 9/06 20060101AFI20240311BHJP
   G21D 3/08 20060101ALI20240311BHJP
   G21C 19/317 20060101ALI20240311BHJP
   G21F 9/02 20060101ALI20240311BHJP
【FI】
G21C9/06
G21D3/08 F
G21C19/317
G21F9/02 541B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020117868
(22)【出願日】2020-07-08
(65)【公開番号】P2022015186
(43)【公開日】2022-01-21
【審査請求日】2023-02-07
(73)【特許権者】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001380
【氏名又は名称】弁理士法人東京国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】馬渡 峻史
(72)【発明者】
【氏名】竹山 大基
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 正幸
(72)【発明者】
【氏名】山本 泰
(72)【発明者】
【氏名】田邊 雅士
(72)【発明者】
【氏名】鴻上 弘毅
【審査官】中尾 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-077799(JP,A)
【文献】特開平01-061696(JP,A)
【文献】特開平04-221793(JP,A)
【文献】特開2014-108401(JP,A)
【文献】特表2015-527577(JP,A)
【文献】特表2016-540236(JP,A)
【文献】特開2017-018905(JP,A)
【文献】特開2020-041834(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0200022(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0379723(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21C 9/06
G21D 3/08
G21C 19/317
G21F 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素と接触することで還元反応を示す金属酸化物または金属過酸化物からなる処理材により被処理ガスに含まれる水素を除去する水素処理装置であって、
処理対象設備から前記被処理ガスを導入しまたは返還するためのそれぞれの配管に接続可能な接続手段と、
前記接続手段を介して前記被処理ガスを前記処理対象設備から導入し且つ処理済みガスを返還させる送風手段と、
前記送風手段により導入された前記被処理ガスを前記処理材との反応に適した温度まで昇温させる予熱手段と、
前記処理材を収納すると共に、前記予熱手段により昇温された前記被処理ガス中の水素を前記処理材により除去する反応器と、
前記反応器により水素が除去された前記処理済みガスを冷却する冷却手段と、
前記送風手段、前記予熱手段及び前記冷却手段を駆動させるための駆動源と、を有し、
前記接続手段、前記送風手段、前記予熱手段、前記反応器、前記冷却手段及び前記駆動源が一括してまたは複数に分離してユニット化され、それぞれのユニットが移動可能に構成され
前記反応器を含む前記ユニットは、前記水素処理装置に要求される水素処理の要求仕様の変更に応じて、前記処理材の分量、前記処理材の種類、及び前記反応器の構造の少なくとも1つが変更可能に構成されたことを特徴とする水素処理装置。
【請求項2】
移動可能な前記ユニットが、複数台並列または直列に接続されて構成されたことを特徴とする請求項1に記載の水素処理装置。
【請求項3】
前記送風手段及び前記予熱手段を含むユニットは、駆動源の一部もしくは全部が、水素処理装置外の駆動源に置き換えられ、または前記水素処理装置外の駆動源を受け入れ可能に構成されたことを特徴とする請求項1または2に記載の水素処理装置。
【請求項4】
前記反応器を含むユニットによる処理材の分量、前記処理材の種類、及び前記反応器の構造の少なくとも1つの変更は、前記処理材の分量、前記処理材の種類、及び前記反応器の構造の少なくとも1つが同一もしくは異なる前記反応器を含むユニットが、複数台並列または直列に接続されることで実施されるよう構成されたことを特徴とする請求項に記載の水素処理装置。
【請求項5】
請求項1乃至のいずれか1項に記載の水素処理装置が、処理対象設備としての原子炉格納容器に接続可能に構成されたことを特徴とする原子力プラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、被処理ガスに含まれる水素を除去する水素処理装置、及びこの水素処理装置が接続可能な原子力プラントに関する。
【背景技術】
【0002】
原子炉事故が発生すると、原子炉格納容器内に大量の水素が発生する場合がある。このような場合に何等有効な対策を行うことができず、水素濃度が4vol%以上且つ酸素濃度が5vol%以上に上昇、即ち水素濃度が可燃限界を超えると水素は可燃状態になる。更に水素濃度が上昇すると、爆発等の急激な反応が起きる可能性もある。
【0003】
こうした事態に対する有効な対策として、国内では、発生した水素をフィルタを通して原子炉格納容器外へ排出するようにしているが、微量ではあるものの、放射性を帯びた粒子が同時に原子炉格納容器外へ排出されてしまう恐れがある。
【0004】
これに対し、原子炉圧力容器から原子炉格納容器内に漏れ出た水素を大気中に放出することなく、金属酸化物を用いて水素を酸化させて水に変化させることで水素を処理する水素処理装置が提案されている。
【0005】
この水素処理装置の基本構成は、金属酸化物からなる処理材を備えた水素処理用の反応器、処理対象の原子炉格納容器内の混合ガスを循環させる機構、及び予熱させる機器等からなる装置であり、原子炉格納容器内の水素を含有する混合ガスを被処理ガスとして反応器に流通させ、水素を酸化処理して水に化学変化させたのち、処理済みガスを原子炉格納容器に戻す構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2013-246100号公報
【文献】特開2018-112480号公報
【文献】特開2016-8839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
複数の酸化数を取り得る金属酸化物から構成された処理材によって、被処理ガスに含まれる水素を酸化還元反応により処理する水素処理装置は、処理材を収納する反応管が筐体内に配置された水素処理用の反応器と、処理材及び被処理ガスを十分な反応が得られる温度まで上昇させる加熱機構と、処理済みガスを冷却する冷却機構と、混合ガス(被処理ガス、処理済みガス)の循環を行うためのブロワ等の流体機器と、を有して構成されている。ここで、反応器内に存在する水素を酸化処理するための処理材(金属酸化物)は、プラントごとに要求される水素処理量に応じた分量が必要である。
【0008】
また、水素処理装置では、構成機器を配管等により接続し、プラント建屋内に固定して設置する形式を基本とする。しかしながら、水素を処理するために必要とする処理材が多量であるため、水素処理装置も大型になってしまう。このため、水素処理装置をプラント建屋内に設置する場合、プラントによっては十分な設置スペースが無いなど、処理能力や機器構成、機器配置に制約が生じる懸念があるほか、メンテナンスや部品交換等にも支障がでる恐れがある。
【0009】
本発明の実施形態は、上述の事情を考慮してなされたものであり、水素処理装置設置のための現地工事量を低減できると共に、拡張性、利便性及び冗長性を向上させることができる水素処理装置及び原子力プラントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の実施形態における水素処理装置は、水素と接触することで還元反応を示す金属酸化物または金属過酸化物からなる処理材により被処理ガスに含まれる水素を除去する水素処理装置であって、処理対象設備から前記被処理ガスを導入しまたは返還するためのそれぞれの配管に接続可能な接続手段と、前記接続手段を介して前記被処理ガスを前記処理対象設備から導入し且つ処理済みガスを返還させる送風手段と、前記送風手段により導入された前記被処理ガスを前記処理材との反応に適した温度まで昇温させる予熱手段と、前記処理材を収納すると共に、前記予熱手段により昇温された前記被処理ガス中の水素を前記処理材により除去する反応器と、前記反応器により水素が除去された前記処理済みガスを冷却する冷却手段と、前記送風手段、前記予熱手段及び前記冷却手段を駆動させるための駆動源と、を有し、前記接続手段、前記送風手段、前記予熱手段、前記反応器、前記冷却手段及び前記駆動源が一括してまたは複数に分離してユニット化され、それぞれのユニットが移動可能に構成され、前記反応器を含む前記ユニットは、前記水素処理装置に要求される水素処理の要求仕様の変更に応じて、前記処理材の分量、前記処理材の種類、及び前記反応器の構造の少なくとも1つが変更可能に構成されたことを特徴とするものである。
【0011】
本発明の実施形態における原子力プラントは、前記実施形態に記載の水素処理装置が、処理対象設備としての原子炉格納容器に接続可能に構成されたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の実施形態によれば、水素処理装置設置のための現地工事量を低減できると共に、拡張性、利便性及び冗長性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1実施形態に係る水素処理装置を示す構成図。
図2】第2実施形態に係る水素処理装置を示す構成図。
図3】第3実施形態に係る水素処理装置の水素処理第1ユニットを示す構成図。
図4図3の水素処理第1ユニットにおける他の形態を示す構成図。
図5】第3実施形態に係る水素処理装置の水素処理第2ユニットを示す構成図。
図6図5の水素処理第2ユニットにおける他の形態を示す構成図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態を、図面に基づき説明する。
[A]第1実施形態(図1
図1は、第1実施形態に係る水素処理装置を示す構成図である。この図1に示す水素処理装置10は、例えば、原子力発電プラントにおける処理対象設備としての原子炉格納容器1内の混合ガス中の水素濃度が上昇したときに、現地に運搬されて原子炉格納容器1に接続可能に構成され、上記混合ガスを被処理ガスAとして導入してこの被処理ガスA中の水素を除去し、水素が除去された処理済みガスBを原子炉格納容器1内に返還する可搬式の水素処理装置である。
【0015】
この水素処理装置10は、接続手段としての導入用接続配管11及び返還用接続配管12、送風手段としての送風機13、予熱手段としての予熱器14、水素を除去する反応器15、冷却手段としての冷却器16、並びに駆動源17を有して構成される。
【0016】
導入用接続配管11は、原子炉格納容器1から被処理ガスAを導入する導入配管(不図示)に接続されて、被処理ガスAを水素処理装置10内に導入するものである。導入用の接続手段は、導入用接続配管11に代えて、上記導入配管が直接接続される接続口であってもよい。また、返還用接続配管12は、水素処理装置10からの処理済みガスBを原子炉格納容器1に返還する返還配管(不図示)に接続されて、処理済みガスBを原子炉格納容器1に返還するものである。返還用の接続手段は、返還用接続配管12に代えて、上記返還配管が直接接続される接続口であってもよい。
【0017】
送風機13は、原子炉格納容器1からの被処理ガスAを、導入配管及び導入用接続配管11を経て水素処理装置10に吸引して導入し、更に水素処理装置10からの処理済みガスBを、返還用接続配管12及び返還配管を経て原子炉格納容器1へ送出して返還するものである。この送風機13は、具体的にはブロアまたはファンであり、駆動源17としての発電機からの電力により、または駆動源17としての発動機からの動力により駆動される。
【0018】
予熱器14は、送風機13により導入された被処理ガスAを、反応器15が備える処理材18(後述)との反応に適した温度まで昇温させるものである。この予熱器14は、具体的には熱交換器またはヒータである。予熱器14が熱交換器である場合には、駆動源17としての発電機または発動機から排出される排気の高温の排熱により被処理ガスAを昇温し、予熱器14がヒータである場合には、発電機から供給される電力により加熱されて被処理ガスAを昇温する。
【0019】
反応器15は、筐体19内に複数本の反応管20が配置され、各反応管20に処理材18が通気可能に充填して収納されたものである。処理材18は、水素と接触することで還元反応を示す金属酸化物または金属過酸化物から構成されて、予熱器14により昇温された被処理ガスA中の水素を除去する。
【0020】
つまり、処理材18としては、例えば酸化マグネシウム、過酸化マンガン(Mn)、酸化コバルト(Co)、酸化銅(CuO)等の金属酸化物または金属過酸化物の粉体が固められて成形されたものが用いられる。金属酸化物としては、複数の酸化数を取り得る金属酸化物のうち高次の酸化数をもつものが好ましい。
【0021】
また、金属過酸化物としては、一般的には、スカンジウム(Sc)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、モリブテン(Mo)、テクネチウム(Tc)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、カドミウム(Cd)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、レニウム(Re)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、ニオブ(Nb)等から選択される金属の過酸化物が好ましい。
【0022】
金属酸化物または金属過酸化物が処理材18として用いられることで、被処理ガスAに含まれる水素を酸化させて水素を除去する。この水素除去技術は、金属酸化物または金属過酸化物自体に含まれる酸素を利用するため、外部からの酸素を必要とすることなく被処理ガスAから水素を除去することができる利点がある。処理材18として金属酸化物または金属過酸化物を用いると、金属酸化物または金属過酸化物に含まれる酸素と水素とが結合して水(HO)が生成される。
【0023】
冷却器16は、反応器15により水素が除去された処理済みガスBを冷却する。この冷却された処理ガスBは、返還用接続配管12及び返還配管(不図示)を経て原子炉格納容器1に返還される。冷却器16は、駆動源17としての例えば発電機からの電力により駆動される。上述のように、駆動源17は、送風機13、予熱器14及び冷却器16を駆動させるものである。
【0024】
本第1実施形態の水素処理装置10では、導入用接続配管11、返還用接続配管12、送風機13、予熱器14、反応器15、冷却器16及び駆動源17が一括してユニット化され、コンテナ等の容器に内蔵されて水素処理ユニット21を構成する。そして、この水素処理ユニット21は、例えば原子力発電プラントの現地へ移動可能に構成される。更に、水素処理ユニット21は、原子炉格納容器1の容量に応じて1台または複数台が現地に運搬され、図1の2点鎖線にも示すように、複数台の水素処理ユニット21が原子炉格納容器1に並列または直列に接続されて運用される。
【0025】
以上のように構成されたことから、本第1実施形態によれば、次の効果(1)~(4)を奏する。
(1)導入用接続配管11、返還用接続配管12、送風機13、予熱器14、反応器15、冷却器16及び駆動源17が一括してユニット化され、このユニット化された水素処理ユニット21が移動可能に構成されたので、水素処理装置10を完成状態まで工場で製作でき運搬できる。このため、原子炉格納容器1に水素処理装置を固定して設置する場合に比べ、原子炉格納容器1における水素処理装置設置のための現地工事量を最小限に低減できる。
【0026】
(2)導入用接続配管11、返還用接続配管12、送風機13、予熱器14、反応器15、冷却器16及び駆動源17が一括してユニット化され、このユニット化された水素処理ユニット21が移動可能に構成されたので、原子炉格納容器1の容量に応じて水素処理ユニット21の個数を増減させることができ、これら複数台の水素処理ユニット21を直列または並列に接続することができる。このため、水素処理装置10の拡張性を向上させることができる。
【0027】
(3)導入用接続配管11、返還用接続配管12、送風機13、予熱器14、反応器15、冷却器16及び駆動源17が一括してユニット化され、このユニット化された水素処理ユニット21が移動可能に構成されたので、1台の水素処理ユニット21を複数の原子炉格納容器1で共用化できる。このため、水素処理装置10の利便性を向上させることができる。
【0028】
(4)導入用接続配管11、返還用接続配管12、送風機13、予熱器14、反応器15、冷却器16及び駆動源17が一括してユニット化され、このユニット化された水素処理ユニット21が移動可能に構成されたので、予備の水素処理ユニット21を待機させることで水素処理装置10の冗長性を向上させることができる。例えば、水素処理ユニット21の故障時に予備の水素処理ユニット21を用いることで、水素処理装置10による水素処理を継続して実施できる。また、水素処理ユニット21のメンテナンス時に予備の水素処理ユニット21を用いることで、メンテナンスによる水素処理装置10の稼働不可能期間を短縮でき、この結果、メンテナンス時期の自由度を向上させることができる。
【0029】
[B]第2実施形態(図2
図2は、第2実施形態に係る水素処理装置を示す構成図である。この第2実施形態において第1実施形態と同様な部分については、第1実施形態と同一の符号を付すことにより説明を簡略化し、または省略する。
【0030】
本第2実施形態の水素処理装置25が第1実施形態と異なる点は、導入用接続配管11、返還用接続配管12、送風機13、予熱器14、反応器15、冷却器16及び駆動源17が複数に分離してユニット化され、それぞれのユニット化コンテナ等の容器に内蔵されている。本第2実施形態の水素処理装置25では、導入用接続配管11、送風機13、予熱器14及び駆動源17が水素処理第1ユニット26として構成され、返還用接続配管12、反応器15及び冷却器16が水素処理第2ユニット27として構成される。これらの水素処理第1ユニット26と水素処理第2ユニット27は、それぞれ移動可能に構成されると共に、連絡配管28により接続されている。
【0031】
水素処理第1ユニット26の送風機13及び予熱器14により原子炉格納容器1から導入されて昇温された被処理ガスAが、連絡配管28を経て水素処理第2ユニット27の反応器15へ供給される。また、水素処理第1ユニット26の駆動源17が発生した電力が、連絡配管28に併設された図示しないケーブルを用いて水素処理第2ユニット27の冷却器16へ給電される。更に、水素処理第1ユニット26と水素処理第2ユニット27のそれぞれは、原子炉格納容器1の容量に応じて、それぞれ1台または複数台が現地に運搬され、複数台の場合には並列または直列に接続される。
【0032】
以上のように構成されたことから、本第2実施形態においても、第1実施形態の効果(1)~(4)と同様な効果を奏するほか、次の効果(5)を奏する。
【0033】
(5)導入用接続配管11、返還用接続配管12、送風機13、予熱器14、反応器15、冷却器16及び駆動源17が複数に分離してユニット化されて、例えば水素処理第1ユニット26と水素処理第2ユニット27に構成され、これらの水素処理第1ユニット26及び水素処理第2ユニット27のそれぞれが移動可能に構成されている。このため、各ユニット(水素処理第1ユニット26、水素処理第2ユニット27)が小型化されることで、各ユニットの運搬及び現地の据付工事を容易にすることができる。
【0034】
[C]第3実施形態(図3図6
図3は、第3実施形態に係る水素処理装置の水素処理第1ユニットを示す構成図であり、図5は、第3実施形態に係る水素処理装置の水素処理第2ユニットを示す構成図である。本第3実施形態において第1及び第2実施形態と同様な部分については、第1及び第2実施形態と同一の符号を付すことにより説明を簡略化し、または省略する。
【0035】
本第3実施形態の水素処理装置30が第2実施形態と異なる点は、導入用接続配管11、送風機13及び予熱器14を含む水素処理第1ユニット31では、駆動源17の一部もしくは全部が、水素処理装置30外の外部駆動源35に置き換えられ(図3)、または水素処理装置30外の外部電源35を受け入れ可能に構成(図4)され、更に、返還用接続配管12、反応器15及び冷却器16を含む水素処理第2ユニット32では、水素処理装置30に要求される水素処理の要求仕様の変更に応じて、処理材18の分量、処理材18の種類、及び反応器15の構造の少なくとも1つが変更可能に構成(図5図6)された点である。
【0036】
つまり、水素処理第1ユニット31について、図3に示す水素処理第1ユニット31Aでは、送風機13及び予熱器14並びに水素処理第2ユニット32の冷却器16を駆動する駆動源17の全てが、水素処理装置30外の外部駆動源35に置き換えられ、水素処理第1ユニット31Aにおいて駆動源17が省略されている。外部駆動源35としては、水素処理装置30の移動先の原子力発電プラントからの供給電力、水素処理第1ユニット31Aの運搬用車両におけるエンジン動力、または同エンジンからの排気の排熱などである。
【0037】
また、図4に示す水素処理第1ユニット31Bでは、送風機13及び予熱器14並びに水素処理第2ユニット32の冷却器16を駆動する駆動源17の一部もしくは全てが外部駆動源35を受け入れ可能に構成され、駆動源17は水素処理第1ユニット31Bに搭載されている。従って、水素処理第1ユニット31Bの送風機13及び予熱器14並びに水素処理第2ユニット32の冷却器16は、水素処理第1ユニット31Bの駆動源17と外部駆動源35の両方またはいずれか一方により駆動される。
【0038】
一方、水素処理装置30に要求される水素処理の要求仕様については、原子力発電プラントの仕様、同プラントの運転や点検の方法、または同プラントに対する規制の変更に応じて変更されることがある。このような要求仕様の変更に対して、図5及び図6に示す水素処理第2ユニット32は、反応器15における処理材18の分量、処理材18の種類、及び反応器15の構造の少なくとも1つを変更することで対応可能に構成される。この処理材18の分量、処理材18の種類、及び反応器15の構造の少なくとも1つの変更は、1台の水素処理第2ユニット32において実施されるほか、処理材18の分量、処理材18の種類、及び反応器15の構造の少なくとも1つが同一または異なる反応器15を含む水素処理第2ユニットを複数台、並列または直列に接続して組み合わせることによっても実施される。
【0039】
ここで、処理材18の種類とは、処理材18(金属酸化物または金属過酸化物)の化学組成、処理材18が粉末状であるか粉末を球形状もしくは円柱形状に成形したものであるかの処理材18の形状、または成形した処理材18の直径などの寸法等をいう。
【0040】
また、反応器15の構造とは、図2に示す水素処理第2ユニット27のように、成形された処理材18が反応管20に充填され、この反応管20が多数本筐体19内に配置された反応器15の構造、また、図5に示す水素処理第2ユニット32Aのように、成形された処理材18が反応器20を介することなく、大空間の筐体19内に直接充填された反応器15の構造、また、図6に示す水素処理第2ユニット32Bのように、成形されていない粉末状の処理材18が、回転羽根(不図示)により攪拌されるミキサー装置36を備えた反応器15の構造、更に、図示しないが、成形されていない粉末状の処理材18を噴射させる噴射装置を備えた反応器15の構造等をいう。
【0041】
以上のように構成されたことから、本第3実施形態によれば、第1及び第2実施形態の効果(1)~(5)と同様な効果を奏するほか、次の効果(6)及び(7)を奏する。
【0042】
(6)導入用接続配管11、送風機13及び予熱器14を含む水素処理第1ユニット31では、図3に示す水素処理第1ユニット31Aのように、駆動源17の一部もしくは全部が水素処理装置30外の外部駆動源35に置き換えられ、また、図4に示す水素処理第1ユニット31Bのように、駆動源17の一部もしくは全部が水素処理装置30外の外部駆動源35を受け入れ可能に構成されている。上述のように駆動源17の一部もしくは全部が外部駆動源35に置き換えられることで、水素処理第1ユニット31の簡略化を実現できる。また、駆動源17の一部もしくは全部が外部駆動源35を受け入れ可能に構成されることで、例えば水素処理第1ユニット31B内の駆動源17が故障したときに、外部駆動源35によって送風機13、予熱器14及び冷却器16を駆動させることができるので、駆動源の多重化を実現できる。
【0043】
(7)図5及び図6に示すように、返還用接続配管12、反応器15及び冷却器16を含む水素処理第2ユニット32では、水素処理装置30に要求される水素処理の要求仕様の変更に応じて、処理材18の分量、処理材18の種類及び反応器15の構造の少なくとも1つが変更可能に構成されている。このように処理材18の分量や種類等を後から変更して水素処理第2ユニット32の構成を発展させることで、水素処理の要求仕様に柔軟に対応することができる。
【0044】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができ、また、それらの置き換えや変更は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0045】
1…原子炉格納容器(処理対象設備)、10…水素処理装置、11…導入用接続配管(接続手段)、12…返還用接続配管(接続手段)、13…送風機(送風手段)、14…予熱器(予熱手段)、15…反応器、16…冷却器(冷却手段)、17…駆動源、18…処理材、21…水素処理ユニット、25…水素処理装置、26…水素処理第1ユニット、27…水素処理第2ユニット、30…水素処理装置、31…水素処理第1ユニット、32…水素処理第2ユニット、35…外部駆動源、A…被処理ガス、B…処理済みガス
図1
図2
図3
図4
図5
図6