(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-08
(45)【発行日】2024-03-18
(54)【発明の名称】内視鏡、起上台デバイス
(51)【国際特許分類】
A61B 1/018 20060101AFI20240311BHJP
【FI】
A61B1/018 514
(21)【出願番号】P 2020121319
(22)【出願日】2020-07-15
【審査請求日】2023-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002907
【氏名又は名称】弁理士法人イトーシン国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山谷 高嗣
【審査官】小野 健二
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-047052(JP,A)
【文献】国際公開第2019/225102(WO,A1)
【文献】特開平07-184848(JP,A)
【文献】特開2006-015017(JP,A)
【文献】特開昭56-008030(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00-1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作ノブを備える操作部と、
前記操作部から挿入軸方向に延出し、挿通管路を備える挿入部と、
を有する内視鏡本体と、
前記挿入部の先端部に着脱可能に取り付けられる先端カバーと、
前記先端カバーに設けられた、回動可能な起上台と、
前記挿通管路に挿通され、前記先端カバーに先端側を固定されるガイドシースと、
前記ガイドシース内に挿通され、前記起上台に先端側を連結される操作ワイヤと、
前記ガイドシースの基端側と前記操作ワイヤの基端側との内の一方を固定すると共に、前記操作部に固定される固定部材と、
前記ガイドシースの基端側と前記操作ワイヤの基端側との内の他方を前記操作ノブに連結するものであり、前記操作ノブの操作に応じて前記挿入軸方向に移動する連結部材と、
を有する起上台デバイスと、
を備え、
前記ガイドシースおよび前記操作ワイヤは、前記挿通管路の基端側開口部から延出してループ形状を描いた後に、前記他方が前記連結部材に連結され、
前記連結部材の移動に応じて、前記起上台に連結される前記操作ワイヤの先端側が移動して、前記起上台が回動することを特徴とする内視鏡。
【請求項2】
前記固定部材により固定される前記一方は前記操作ワイヤの基端側であり、前記連結部材に連結される前記他方は前記ガイドシースの基端側であることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
【請求項3】
前記固定部材により固定される前記一方は、前記ガイドシースの基端側であり、前記連結部材に連結される前記他方は前記操作ワイヤの基端側であることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
【請求項4】
前記挿入部の先端部は、先端部本体を備え、
前記ガイドシースは、先端に口金を備え、
前記口金は、前記先端部本体に対して着脱可能に固定されることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
【請求項5】
前記操作ノブおよび前記連結部材は、前記基端側開口部に対して、前記操作部の中心軸を挟んだ反対側に配設されていることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
【請求項6】
操作ノブを備える操作部と、前記操作部から挿入軸方向に延出し、挿通管路を備える挿入部と、を有する内視鏡本体に取り付けられる起上台デバイスであって、
前記挿入部の先端部に着脱可能に取り付けられる先端カバーと、
前記先端カバーに設けられた、回動可能な起上台と、
前記挿通管路に挿通され、前記先端カバーに先端側を固定されるガイドシースと、
前記ガイドシース内に挿通され、前記起上台に先端側を連結される操作ワイヤと、
前記ガイドシースの基端側と前記操作ワイヤの基端側との内の一方を固定すると共に、前記操作部に固定される固定部材と、
前記ガイドシースの基端側と前記操作ワイヤの基端側との内の他方を前記操作ノブに連結するものであり、前記操作ノブの操作に応じて前記挿入軸方向に移動する連結部材と、
を備え、
前記ガイドシースおよび前記操作ワイヤは、前記挿通管路の基端側開口部から延出してループ形状を描いた後に、前記他方が前記連結部材に連結され、
前記連結部材の移動に応じて、前記起上台に連結される前記操作ワイヤの先端側が移動して、前記起上台が回動することを特徴とする起上台デバイス。
【請求項7】
操作ノブを備える操作部と、
前記操作部から挿入軸方向に延出し、挿通管路を備える挿入部と、
を有する内視鏡本体と、
前記挿入部の先端部に着脱可能に取り付けられる先端カバーと、
前記先端カバーに設けられた、回動可能な起上台と、
前記挿通管路に挿通され、前記先端カバーに先端側を固定されるガイドシースと、
前記ガイドシース内に挿通され、前記起上台に先端側を連結される操作ワイヤと、
前記ガイドシースの基端側と前記操作ワイヤの基端側との内の一方を固定すると共に、前記操作部に固定される固定部材と、
前記ガイドシースの基端側と前記操作ワイヤの基端側との内の他方を前記操作ノブに連結するものであり、前記操作ノブの操作に応じて前記挿入軸方向に移動する連結部材と、
を有する起上台デバイスと、
を備え、
前記操作ノブおよび前記連結部材は、前記
挿通管路の基端側開口部に対して、前記操作部の中心軸を挟んだ反対側に配設され
、
前記連結部材の移動に応じて、前記起上台に連結される前記操作ワイヤの先端側が移動して、前記起上台が回動することを特徴とする内視鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡の先端部から延出する処置具の先端を起上する内視鏡、起上台デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
処置具の先端を起上する起上台デバイス、および起上台デバイスを備える内視鏡は、従来より提案されている。
【0003】
例えば、日本国特開平6-315458号公報には、鉗子起上台収納室および起上台操作ワイヤの案内管を容易に洗浄できるようにするために、挿入部の先端部を覆う先端部カバーと、鉗子起上台と、起上台操作ワイヤとを、内視鏡に対して着脱自在とした構成が記載されている。起上台操作ワイヤの基端は、操作部の起上機構に接続具を用いて取り外し可能に連結されている。
【0004】
また、日本国特開2009-273665号公報には、起上台操作ワイヤを内設した長尺のガイドシースを、内視鏡の挿入部の外面に沿って配置した形態で使用する、内視鏡に着脱自在な処置具起上装置付先端フードが記載されている。先端フード筒は、内視鏡の先端部本体に取り付けられ、ガイドシースは、適宜の締め付けバンド等で挿入部の外面の基端側に留められている。
【0005】
さらに、日本国特許第3228618号公報には、内視鏡の挿入部を覆う内視鏡カバーに、処置具を挿通する処置具チャンネルと、処置具起上装置と、を設けたチャンネル付内視鏡カバーが記載されている。処置具起上装置は、処置具起上台と、処置具起上ワイヤおよび/または操作部接続用部材と、を備えている。処置具起上ワイヤは、例えば操作部接続用部材に接続され、操作部接続用部材は、内視鏡の操作部の湾曲操作ノブの軸に取り付けられる。そして、操作部接続用部材を回動することにより、処置具起上ワイヤを牽引操作し、処置具起上台を起上/倒置する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】日本国特開平6-315458号公報
【文献】日本国特開2009-273665号公報
【文献】日本国特許第3228618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、内視鏡は、同型の機種であっても、挿入部の全長が異なる種類(短尺型と長尺型)が存在するものがある。また、内視鏡は、同型かつ種類が同一の機種であっても、挿入部の全長が、製造上のバラツキにより機体毎に微妙に異なることがある。
【0008】
さらに、同一の機体であっても、内視鏡として使用してきた時間の長さにより、挿入部の全長が変化することがある。例えば、内視鏡を使用すると、押し引き操作、ねじり操作などが頻繁に行われ、操作に伴う力が挿入部に加えられる。このために、内視鏡を何度も使用していくと挿入部が徐々に軟化して、経時的に挿入部の全長が伸びていく傾向がある。
【0009】
そのため、上記日本国特開平6-315458号公報に記載の技術では、症例毎に起上台操作ワイヤを連結する作業が必要になるだけでなく、さらに起上台操作ワイヤの張り調整をする必要がある。起上台操作ワイヤの張りが、弱すぎると処置具の起上が不足し、強すぎると処置具の倒置が不十分になる。このために、起上台操作ワイヤの張り調整は、ユーザにとって煩雑で神経を使う作業となっている。
【0010】
また、上記日本国特開2009-273665号公報に記載の技術は、起上/倒置の程度が内視鏡の挿入部の長さに影響されないために、起上台操作ワイヤの張り調整は不要であるが、挿入部の外面に沿ってガイドシースが配置される構造となるために、ガイドシースがない場合と比べて、内視鏡の挿入性が低下する。
【0011】
さらに、日本国特許第3228618号公報に記載の技術でも、起上台操作ワイヤの張り調整が必要になり、内視鏡の挿入性が低下する。
【0012】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、内視鏡の挿入性を低下させることなく、挿入部の全長が異なる複数の内視鏡の何れに対しても、着脱式の起上台デバイスを容易に内視鏡に取り付けることができる内視鏡、起上台デバイスを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一態様による内視鏡は、操作ノブを備える操作部と、前記操作部から挿入軸方向に延出し、挿通管路を備える挿入部と、を有する内視鏡本体と、前記挿入部の先端部に着脱可能に取り付けられる先端カバーと、前記先端カバーに設けられた、回動可能な起上台と、前記挿通管路に挿通され、前記先端カバーに先端側を固定されるガイドシースと、前記ガイドシース内に挿通され、前記起上台に先端側を連結される操作ワイヤと、前記ガイドシースの基端側と前記操作ワイヤの基端側との内の一方を固定すると共に、前記操作部に固定される固定部材と、前記ガイドシースの基端側と前記操作ワイヤの基端側との内の他方を前記操作ノブに連結するものであり、前記操作ノブの操作に応じて前記挿入軸方向に移動する連結部材と、を有する起上台デバイスと、を備え、前記ガイドシースおよび前記操作ワイヤは、前記挿通管路の基端側開口部から延出してループ形状を描いた後に、前記他方が前記連結部材に連結され、前記連結部材の移動に応じて、前記起上台に連結される前記操作ワイヤの先端側が移動して、前記起上台が回動する。
【0014】
本発明の一態様による起上台デバイスは、操作ノブを備える操作部と、前記操作部から挿入軸方向に延出し、挿通管路を備える挿入部と、を有する内視鏡本体に取り付けられる起上台デバイスであって、前記挿入部の先端部に着脱可能に取り付けられる先端カバーと、前記先端カバーに設けられた、回動可能な起上台と、前記挿通管路に挿通され、前記先端カバーに先端側を固定されるガイドシースと、前記ガイドシース内に挿通され、前記起上台に先端側を連結される操作ワイヤと、前記ガイドシースの基端側と前記操作ワイヤの基端側との内の一方を固定すると共に、前記操作部に固定される固定部材と、前記ガイドシースの基端側と前記操作ワイヤの基端側との内の他方を前記操作ノブに連結するものであり、前記操作ノブの操作に応じて前記挿入軸方向に移動する連結部材と、を備え、前記ガイドシースおよび前記操作ワイヤは、前記挿通管路の基端側開口部から延出してループ形状を描いた後に、前記他方が前記連結部材に連結され、前記連結部材の移動に応じて、前記起上台に連結される前記操作ワイヤの先端側が移動して、前記起上台が回動する。
本発明の一態様による内視鏡は、操作ノブを備える操作部と、前記操作部から挿入軸方向に延出し、挿通管路を備える挿入部と、を有する内視鏡本体と、前記挿入部の先端部に着脱可能に取り付けられる先端カバーと、前記先端カバーに設けられた、回動可能な起上台と、前記挿通管路に挿通され、前記先端カバーに先端側を固定されるガイドシースと、前記ガイドシース内に挿通され、前記起上台に先端側を連結される操作ワイヤと、前記ガイドシースの基端側と前記操作ワイヤの基端側との内の一方を固定すると共に、前記操作部に固定される固定部材と、前記ガイドシースの基端側と前記操作ワイヤの基端側との内の他方を前記操作ノブに連結するものであり、前記操作ノブの操作に応じて前記挿入軸方向に移動する連結部材と、を有する起上台デバイスと、を備え、前記操作ノブおよび前記連結部材は、前記挿通管路の基端側開口部に対して、前記操作部の中心軸を挟んだ反対側に配設され、前記連結部材の移動に応じて、前記起上台に連結される前記操作ワイヤの先端側が移動して、前記起上台が回動する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の内視鏡、起上台デバイスによれば、内視鏡の挿入性を低下させることなく、挿入部の全長が異なる複数の内視鏡の何れに対しても、着脱式の起上台デバイスを容易に内視鏡に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の第1の実施形態において、内視鏡に処置具を組み合わせた内視鏡システムを被検体内に挿入した使用状態を示す外観図。
【
図2】上記第1の実施形態において、
図1に示す内視鏡の操作部付近のT矢視図。
【
図3】上記第1の実施形態において、起上台制御部と起上台先端側構成部とを連結する前の起上台デバイスを示す図。
【
図4】上記第1の実施形態において、
図3に示す起上台制御部のP矢視図。
【
図5】上記第1の実施形態において、起上台先端側構成部の起上台操作ワイヤおよびガイドシースを起上台制御部に連結した起上台デバイスの要部を示す図。
【
図6】上記第1の実施形態において、内視鏡本体の操作部が把持されて、起上台操作ノブが操作されている状態を示す図。
【
図7】上記第1の実施形態において、起上台先端側構成部における起上台操作ワイヤおよびガイドシースの基端側の構成を示す拡大図。
【
図8】上記第1の実施形態において、起上台操作ワイヤおよびガイドシースの基端側を起上台制御部に連結した状態を示す縦断面図。
【
図9】上記第1の実施形態において、
図8に示す起上台制御部のQQ断面図。
【
図10】上記第1の実施形態において、内視鏡本体の先端部本体に、第1の先端カバーおよび第2の先端カバーを取り付ける前の状態を示す斜視図。
【
図11】上記第1の実施形態において、起上台操作ワイヤを内部に配置したガイドシースの基端側を、内視鏡本体のガイドシース挿通管路内へ挿通している状態を示す斜視図。
【
図12】上記第1の実施形態において、第1の先端カバーおよび第2の先端カバーを内視鏡本体の先端部本体に取り付け終えた状態を示す斜視図。
【
図13】上記第1の実施形態において、先端カバーが先端部本体に取り付けられた内視鏡の先端部を示す挿入軸方向に沿った縦断面図。
【
図14】上記第1の実施形態において、説明のために見易くするよう第2の先端カバーを外した状態を示したもので、先端カバーを先端部本体から取り外す方法を説明するための斜視図。
【
図15】上記第1の実施形態において、ガイドシースの先端に設けた口金を先端部本体に係止する変形例の構成を説明するための挿入軸方向に沿った縦断面図。
【
図16】上記第1の実施形態の内視鏡本体の先端部本体を構成する素材の変形例を説明するための斜視図。
【
図17】上記第1の実施形態におけるプラスチックで構成された第2の先端部本体の、挿入軸に平行な方向に沿った
図16のAA断面図。
【
図18】上記第1の実施形態において、先端カバーを装着した状態の先端部における、第1の変形例の処置具起上台の構成を示す平面図。
【
図19】上記第1の実施形態において、第1の変形例の処置具起上台の構成を示す、
図18のBB断面図。
【
図20】上記第1の実施形態において、第2の変形例の処置具起上台の構成を示す断面図。
【
図21】上記第1の実施形態において、側面に金属製の補強部材を設けた第3の変形例の処置具起上台の構成を示す断面図。
【
図22】上記第1の実施形態において、
図1の内視鏡本体よりも挿入部の全長が短い内視鏡本体に起上台デバイスを取り付けた場合における、内視鏡に処置具を組み合わせた内視鏡システムを被検体内に挿入した使用状態を示す外観図。
【
図23】上記第1の実施形態において、処置具挿入口よりも先端側にガイドシース取出口を配置した内視鏡本体に起上台デバイスを取り付けた場合における、内視鏡に処置具を組み合わせた内視鏡システムを被検体内に挿入した使用状態を示す外観図。
【
図24】本発明の第2の実施形態において、直視型の内視鏡本体の先端部本体に、第1の先端カバーおよび第2の先端カバーを取り付ける前の状態を示す斜視図。
【
図25】上記第2の実施形態において、直視型の内視鏡本体の先端部本体に、第1の先端カバーおよび第2の先端カバーを取り付け終えた状態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。ただし、以下に説明する実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0018】
なお、図面の記載において、同一または対応する要素には、適宜、同一の符号を付している。また、図面は模式的なものであり、1つの図面内における、各要素の長さの関係、各要素の長さの比率などは、現実と異なる場合があることに留意する必要がある。さらに、複数の図面の相互間においても、互いの長さの関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
[第1の実施形態]
【0019】
図1から
図23は本発明の第1の実施形態を示したものであり、
図1は内視鏡1に処置具9を組み合わせた内視鏡システムを被検体100内に挿入した使用状態を示す外観図、
図2は
図1に示す内視鏡1の操作部11付近のT矢視図である。
【0020】
内視鏡1は、内視鏡本体2と、起上台デバイス5と、を備えている。内視鏡1は、処置具9と組み合わせた内視鏡システムとして使用することができるように構成されている。
【0021】
内視鏡本体2は、術者が把持する操作部11と、操作部11から挿入軸方向の先端側へ延出される細長の挿入部12と、を備えている。
【0022】
ここで、
図1には、挿入部12を被検体100の管腔101内へ挿通して、起上台デバイス5を操作することで、処置具9の処置具先端部9aを管路102へ向けて起上する状態を示している。
【0023】
挿入部12は、挿入軸方向における基端側から先端側へ向かって順に、蛇管ともいわれる可撓管17と、湾曲して観察方向を変化させる湾曲部18と、後述する照明系および観察系などが設けられた先端部19と、を備えている。
【0024】
なお、挿入軸方向は、内視鏡1の長手方向に沿った方向を指すものとする。従って、湾曲部18が湾曲しているときには、3次元における、操作部11における挿入軸方向と、先端部19における挿入軸方向とは一致しないが、内視鏡1の長手方向に沿った1次元の方向は同一である。
【0025】
操作部11にはアングルノブ14および操作ボタン15が設けられ、操作部11の基端側からユニバーサルコード13が延出されている。
【0026】
アングルノブ14は、湾曲部18を上下左右に湾曲するための操作部材である。
【0027】
操作ボタン15は、例えば、先端部19の後述する観察窓24bを洗浄するための送気/送水ボタン、後述する処置具チャンネル開口部21bから吸引を行うための吸引ボタンが該当する。
【0028】
ユニバーサルコード13は、撮像に関連する信号を伝送する信号線24(
図17参照)、被写体を照明するための照明光を伝送するライトガイド25(
図17参照)などを内蔵する。
【0029】
また、操作部11には、起上台デバイス5を操作するための起上台操作ノブ16(以下、操作ノブ16という)が設けられている。操作ノブ16は、例えばアングルノブ14と同軸に操作することができるように構成されていて、取付穴16aを備えている。
【0030】
図6は内視鏡本体2の操作部11が把持されて、操作ノブ16が操作されている状態を示す図である。
【0031】
図6に示すように、操作部11を把持する手の例えば親指で、操作ノブ16が、アングルノブ14と同軸の軸周りに回動操作されるようになっている。
【0032】
さらに、操作部11には、起上台デバイス5を内視鏡本体2に取り付けるための起上台デバイス取付部11aが設けられている。起上台デバイス取付部11aは、例えば、周状凹部として構成されている。
【0033】
内視鏡本体2内には、処置具チャンネル21(
図13等参照)と、ガイドシース挿通管路22(以下、挿通管路22という)と、が設けられている。
【0034】
処置具チャンネル21は、処置具9を挿通するための管路であり、基端側の処置具挿入口21aが操作部11に開口している。
【0035】
挿通管路22は、起上台デバイス5を挿通するための管路であり、挿通管路22の基端側開口部が、ガイドシース取出口22aとして操作部11に開口している。
図1に示す例では、ガイドシース取出口22aは、処置具挿入口21aに近接した位置に配置されている。挿通管路22は、ガイドシース取出口22aから、操作部11および挿入部12内に設けられ、先端部19の後述するガイドシース挿入口22bで終端する。
【0036】
ここで、起上台デバイス5の構成について説明する。
図3は起上台制御部5aと起上台先端側構成部5bとを連結する前の起上台デバイス5を示す図、
図4は
図3に示す起上台制御部5aのP矢視図、
図5は起上台先端側構成部5bの起上台操作ワイヤ61(以下、操作ワイヤ61という)およびガイドシース62を起上台制御部5aに連結した起上台デバイス5の要部を示す図である。
【0037】
起上台デバイス5は、起上台制御部5aと、起上台先端側構成部5bと、を備えている。内視鏡本体2に起上台デバイス5を取り付ける前は、起上台制御部5aと起上台先端側構成部5bとが分離されている。内視鏡本体2に、起上台制御部5aと起上台先端側構成部5bとをそれぞれ取り付けてから、起上台制御部5aと起上台先端側構成部5bとを後述するように連結することで、一体化された起上台デバイス5が構成される。
【0038】
起上台制御部5aは、操作ノブ取付部51と、制御部本体52と、操作部取付部53と、係止ボタン54と、圧縮バネ55と、締め付け環56と、を備えている。
【0039】
操作ノブ取付部51は、例えば、剛性がある線状部材の両端をL字状に折曲して構成されている。操作ノブ取付部51の具体例は、操作棹、リンク棒(棒状のリンク部)などである。起上台制御部5aを内視鏡本体2に取り付ける際に、操作ノブ取付部51の基端側の折曲部51aが、操作ノブ16の取付穴16aに取り外し可能に係入される。
【0040】
制御部本体52には取付穴52bが設けられており、取付穴52bに操作ノブ取付部51の先端側の折曲部51bが係入される。操作ノブ16の操作に応じて挿入軸方向に移動する連結部材は、操作ノブ取付部51と制御部本体52と(さらに締め付け環56を含めても構わない)を有して構成されている。
【0041】
制御部本体52は、例えば円柱状をなす軸状の部材であり、軸方向に細長で径方向に貫通するスライド孔52aが形成されている。
【0042】
制御部本体52の外周面側に、円筒状をなすワイヤ固定部53aが取り付けられている。言い換えれば、円筒状をなすワイヤ固定部53a内に、円柱状をなす制御部本体52が挿通されている。
【0043】
ワイヤ固定部53aは、操作部取付部53と一体的に構成された固定部材である。操作部取付部53は、Cリング状をなし、取り外し可能に起上台デバイス取付部11aと嵌合して、操作部11に対して位置を固定される。従って、操作部取付部53が操作部11に固定されると、ワイヤ固定部53aも操作部11に対して固定される。
【0044】
図8は操作ワイヤ61およびガイドシース62の基端側を起上台制御部5aに連結した状態を示す縦断面図、
図9は
図8に示す起上台制御部5aのQQ断面図である。
【0045】
円筒状をなすワイヤ固定部53aには径方向の貫通孔が形成されており、ワイヤ固定部53aの中心軸を挟んで、貫通孔の一方側が大径孔部53b、貫通孔の他方側が小径孔部53cとなっている。
【0046】
また、円筒状をなすワイヤ固定部53aの中心軸に沿って、大径孔部53bの先端側には貫通孔53dが、大径孔部53bの基端側には有底穴53eがそれぞれ形成されている。貫通孔53dおよび有底穴53eは、大径孔部53bと連通している。
【0047】
ワイヤ固定部53aの大径孔部53bおよび制御部本体52のスライド孔52aには係止ボタン54が挿通され、係止ボタン54の先端部が小径孔部53cに挿入される。スライド孔52aの先端側にワイヤ固定部53aが突き当たる位置(
図8参照)から、スライド孔52aの基端側にワイヤ固定部53aが突き当たる位置までが、制御部本体52の挿入軸方向の移動可能範囲となる。
【0048】
係止ボタン54は、指などで押圧操作するためのボタン頭54aから大径軸部54bを延出し、さらに大径軸部54bの先端側に小径軸部54cを大径軸部54bと同軸に延出している。大径軸部54bはワイヤ固定部53aの大径孔部53bに挿入され、小径軸部54cはワイヤ固定部53aの小径孔部53cに挿入される。
【0049】
また、係止ボタン54には、大径軸部54bから小径軸部54cにかけての軸方向の長孔54d(
図9参照)が、スライド孔52a方向に貫通した孔(
図8参照)として形成されている。
【0050】
そして、ボタン頭54aとワイヤ固定部53aとの間の大径軸部54bの外周側に、圧縮バネ55が配設されている。圧縮バネ55は、ボタン頭54aをワイヤ固定部53aから離間する方向に付勢する。
【0051】
制御部本体52のスライド孔52aよりも先端側には、雄ねじ52fと、例えば放射状の切込み(図示せず)が設けられたテーパ部52eとが形成されている。テーパ部52eの中心軸に沿ってシース受け孔52cが形成され、シース受け孔52cとスライド孔52aとを連通するワイヤ挿通孔52dが制御部本体52の中心軸に沿ってさらに形成されている。
【0052】
締め付け環56は、円筒状部材であり、内周面の先端側にテーパ面56eが、基端側に雌ねじ56fが形成されている。
【0053】
締め付け環56と、制御部本体52のスライド孔52aよりも先端側の部分(テーパ部52eおよび雄ねじ52fを含む)と、の組み合わせにより、ガイドシース62の基端側を連結するためのガイドシース連結部が構成されている。
【0054】
図7は、起上台先端側構成部5bにおける操作ワイヤ61およびガイドシース62の基端側の構成を示す拡大図である。
【0055】
操作ワイヤ61は、長尺のガイドシース62内に挿通されており、ガイドシース62の基端側から操作ワイヤ61の基端側が延出されている。ここで、ガイドシース62および操作ワイヤ61は、長手方向に伸縮可能となるように構成されている。
【0056】
操作ワイヤ61の基端には、ワイヤ端末部材64が例えば半田付け、接着、かしめ等の固定方法により固定されている。ワイヤ端末部材64の中央部には、小径の凹部64aが形成されていて、凹部64aよりも先端側および基端側が、凹部64aよりも大径となっている。
【0057】
起上台制御部5aと起上台先端側構成部5bとを連結する際には、係止ボタン54を押圧して、貫通孔53dおよび有底穴53eと同軸に長孔54dが連通した状態にする。この状態で、操作ワイヤ61およびガイドシース62の基端側を、シース受け孔52cから制御部本体52内へ挿入する。ガイドシース62は、ワイヤ挿通孔52dよりも大径であるためにワイヤ挿通孔52d内へは挿入されず、シース受け孔52c内に留まる。
【0058】
操作ワイヤ61は、ワイヤ挿通孔52d、貫通孔53d、長孔54d、有底穴53eへ順次挿入され、ワイヤ端末部材64の先端が有底穴53eに突き当たったところで、挿入が終了となる。このときには、凹部64aが長孔54d内に位置している。
【0059】
この状態で、係止ボタン54の押圧を止めると、圧縮バネ55の付勢力によって、ボタン頭54aがワイヤ固定部53aから離間する方向に、係止ボタン54が移動する。そして、凹部64aが、小径軸部54cにある長孔54dの下面(係止部)と係合する。
【0060】
上述したように、ワイヤ端末部材64における凹部64aの先端側および基端側は、凹部64aよりも大径であるために、凹部64aと長孔54dの下面にある小径軸部54cとの係合により、ワイヤ固定部53aに相対するL方向への操作ワイヤ61の移動が禁止される。ワイヤ固定部53aは上述したように操作部取付部53と一体的に構成されているために、操作ワイヤ61の基端側は、操作部11に固定されることになる。
【0061】
こうして、操作ワイヤ61の基端側をワイヤ固定部53aへ固定する操作は、係止ボタン54の押圧および押圧解除というワンタッチ操作で行われる。
【0062】
その後、雄ねじ52fに雌ねじ56fを螺合することにより、放射状の切込みを有するテーパ部52eをテーパ面56eが押圧し、テーパ部52eが縮径されてガイドシース62が制御部本体52に連結される。こうして、筒(コレット)状のテーパ部52eを締め付け環56により締め付けることでガイドシース62を連結するいわゆるコレットチャックが、ガイドシース連結部の具体的な構成例となっている。
【0063】
制御部本体52は、操作部取付部53に対して
図8のL方向に摺動可能である。このために、操作ワイヤ61が操作部11に固定されても、ガイドシース62は操作部11に対して移動可能である。こうして、操作ノブ16が
図1および
図6に示すように回動操作されると、ワイヤ固定部53aに対して制御部本体52がL方向に進退し、ひいてはガイドシース62の基端側がL方向に進退する。
【0064】
なお、上述と逆の操作を行うことにより、操作ワイヤ61およびガイドシース62を起上台制御部5aから取り外すことができる。こうして、操作ワイヤ61およびガイドシース62は、起上台制御部5aに対して着脱自在となっている。
【0065】
図10は内視鏡本体2の先端部本体31に第1の先端カバー65および第2の先端カバー66を取り付ける前の状態を示す斜視図、
図11は操作ワイヤ61を内部に配置したガイドシース62の基端側を内視鏡本体2の挿通管路22内へ挿通している状態を示す斜視図、
図12は第1の先端カバー65および第2の先端カバー66を内視鏡本体2の先端部本体31に取り付け終えた状態を示す斜視図、
図13は先端カバー63が先端部本体31に取り付けられた内視鏡1の先端部19を示す挿入軸方向に沿った縦断面図である。
【0066】
先端カバー63は、内視鏡1の挿入部12の先端部19に着脱可能に取り付けられて、先端部19を覆う部材であり、処置具起上台71(以下、起上台71という)を備える処置具起上台付き先端カバーとなっている。
【0067】
先端カバー63は、第1の先端カバー65と、第2の先端カバー66と、を組み合わせて構成されている。第1の先端カバー65は、例えば硬質プラスチックにより先端側がドーム状(半球状)をなすように形成され、円滑な挿入性を確保するようにしている。第2の先端カバー66は、第1の先端カバー65の外周の基端側に配設され、例えばゴムにより円筒状に形成されている。
【0068】
内視鏡1の先端部19における内視鏡本体2には、先端部本体31(先端構成部)が設けられている。先端部本体31には、ノズル23bと、観察窓24bと、照明窓25bとが配設されていて、内視鏡1は側視型の内視鏡となっている。
【0069】
観察窓24bは、被検体100の光学像を撮像するための撮像ユニット24a(
図17参照)の最外部に配置された光学部材である。
【0070】
照明窓25bは、ライトガイド25(
図17参照)により伝送された照明光を被検体100へ向けて照射する光学部材である。
【0071】
ノズル23bは、送気・送水チャンネル23(
図17参照)により伝送された気体/液体(水)を観察窓24bへ向けて放出し、観察窓24bを洗浄するための部材である。
【0072】
また、先端部本体31には、処置具チャンネル開口部21bと、ガイドシース挿入口22bと、が開口している。
【0073】
処置具チャンネル開口部21bは、操作部11の処置具挿入口21aから挿入され、処置具チャンネル21(
図13等参照)を挿通された処置具9の先端側が延出するための開口部である。
【0074】
ガイドシース挿入口22bは、起上台先端側構成部5bの操作ワイヤ61およびガイドシース62の基端側を、挿通管路22内へ挿入するための挿入口である。挿通管路22内へ挿入された操作ワイヤ61およびガイドシース62は、操作部11のガイドシース取出口22aから取り出され、操作部11の外部へ導かれる。
【0075】
ガイドシース取出口22aから延出された操作ワイヤ61およびガイドシース62は、余長を有して起上台制御部5aに取り付けられる。
【0076】
操作ノブ16および連結部材(操作ノブ取付部51および制御部本体52)は、
図1に示すように、ガイドシース取出口22aに対して、操作部11の中心軸を挟んだ反対側に配設されている。そこで、操作ワイヤ61およびガイドシース62は、例えば
図1に示すように、ループ形状を描いた後に起上台制御部5aに取り付けられる。こうして、
図1に示す例では、ループ形状を描くに足りる余長が生じるように、操作ワイヤ61およびガイドシース62の長さが設計されている。
【0077】
さらに、先端部本体31には、凹条溝31aと、係止ピン31bと、支軸受け31cと、が設けられている。
【0078】
凹条溝31aは、挿入軸方向に平行に先端部本体31に設けられた案内溝である。第1の先端カバー65を先端部本体31にスライドして取り付ける際に、凹条溝31aは、第1の先端カバー65に設けられた挿入軸方向の凸条部65aと係合する。そして、凹条溝31aは、先端部本体31に対する第1の先端カバー65の位置決めを行い、挿入軸方向への第1の先端カバー65のスライド動作を案内する。
【0079】
係止ピン31bは、先端部本体31の基端側の周面から外径方向に突出して設けられている。第1の先端カバー65には、係止穴65bと、係止穴65bを挟んだ挿入軸方向に平行な複数のスリット65gと、が設けられている。第1の先端カバー65を凹条溝31aに沿って基端側へスライドすると、複数のスリット65gに挟まれた部分が係止ピン31bに乗り上げて外径方向に広がり、ついには係止ピン31bと係止穴65bとが係合する。これら係止ピン31bと係止穴65bとでなる係合部により、第1の先端カバー65と先端部本体31とが挿入軸方向に位置決めされて係止され、第1の先端カバー65の取り付けが終了する。
【0080】
さらに、第1の先端カバー65の基端側の外周に、係止穴65bを覆うように第2の先端カバー66を嵌め込むことで、先端カバー63が内視鏡本体2に取り付けられる。なお、第2の先端カバー66は、第1の先端カバー65に事前に組み付けられていてもよいし、第1の先端カバー65と一体成型されていてもよい。
【0081】
第1の先端カバー65内の起上台収納部には、例えばステンレス(SUS)などの金属で構成される起上台71が設けられている。起上台71は、処置具9の先端部が載置される溝71aを備え、支軸72を中心として回動可能となっている。先端部本体31の支軸受け31cは、処置具チャンネル開口部21bの出口側の近傍に設けられ、支軸72を回動可能に支持する。
【0082】
操作ワイヤ61の先端には先端端末部材67が設けられている。先端端末部材67は、支軸72を中心として回動する起上台71の、支軸72から離れた位置(起上台71が倒置しているときには、支軸72よりも先端側の位置)において起上台71に連結されている。このような構成により、先端端末部材67が基端側に移動すると起上台71が起上し、先端端末部材67が先端側に移動すると起上台71が倒置する。
【0083】
第1の先端カバー65にはカバー開口部65cが設けられており、カバー開口部65cを通して観察窓24bおよび照明窓25bが外部に露呈し、被検体100に対向することができる。さらに、起上台71が起上すると、
図13に示すように、カバー開口部65cを通して起上台71が外部へ突出する。
【0084】
図10に示すように、カバー開口部65cの基端側には、先端側切込65dが設けられ、さらに先端側切込65dの基端側に基端側切込65eが設けられていて、先端側切込65dと基端側切込65eとの間が脆弱部65fとなっている。
【0085】
そして、脆弱部65fを挟んだ係止穴65bの反対側において、ガイドシース62の先端部が第1の先端カバー65に固定されている。
図13に示すように、ガイドシース62の先端には口金68が設けられており、口金68をガイドシース固定部65hに固定することで、ガイドシース62の先端が第1の先端カバー65に固定される。なお、口金68を含むガイドシース62の先端からは、操作ワイヤ61の先端側が出入可能である。
【0086】
ガイドシース62は、
図13に示すように、コイル62aの外周側を例えばプラスチックなどで形成したチューブ62bにより被覆して構成され、長手方向に伸縮可能である。
【0087】
第1の先端カバー65は、上述したように、係止ピン31bと係止穴65bとの係合により先端部本体31に固定されている。従って、第1の先端カバー65に固定されたガイドシース62は、係止ピン31bと係止穴65bの係合を経由して、先端部本体31に固定されていることになる。
【0088】
図13に示すように、湾曲部18の内部には、複数の湾曲コマ27が連設され、アングルノブ14により湾曲操作を行うための湾曲ワイヤ26の先端が、例えば先端の湾曲コマ27に固定されている。
【0089】
また、第2の先端カバー66は、先端部本体31に設けられた絶縁リング73の外周側に嵌め込まれる。
【0090】
次に、内視鏡本体2に起上台デバイス5を取り付けるときの手順の一例について説明する。
【0091】
起上台デバイス5は、取り付ける前の初期状態では、
図3に示したように、起上台制御部5aと起上台先端側構成部5bとが分離されている(もし、分離されていなければ、分離させて、初期状態を設定する)。また、
図10に示したように、第1の先端カバー65と第2の先端カバー66とが例えば分離されている。
【0092】
このような初期状態から、
図1に示したように、まず、起上台制御部5aの操作部取付部53を、操作部11の起上台デバイス取付部11aに取り付けて、操作ノブ取付部51の折曲部51aを操作ノブ16の取付穴16aに取り付ける。なお、操作ノブ取付部51を操作ノブ16に取り付けるのは、起上台制御部5aと起上台先端側構成部5bとを連結した後でも構わない。
【0093】
そして、起上台先端側構成部5bの操作ワイヤ61が挿通されたガイドシース62をガイドシース挿入口22bから挿入して、挿通管路22内を挿通し、ガイドシース取出口22aから延出させる。
【0094】
さらに、第1の先端カバー65を上述したように先端部本体31に取り付けて係止穴65bを係止ピン31bに係合してから、第2の先端カバー66を第1の先端カバー65の外周側に取り付ける。なお、
図11に示したように、第1の先端カバー65と第2の先端カバー66を一体化して先端カバー63を構成した後に、先端カバー63を先端部本体31に取り付けるようにしても構わない。
【0095】
続いて、ガイドシース取出口22aから延出された操作ワイヤ61およびガイドシース62を、
図1に示したようにループ状にしてから、係止ボタン54を押圧した状態で、制御部本体52のシース受け孔52cに挿入する。ワイヤ端末部材64の基端が有底穴53eの底に突き当たったところで、係止ボタン54の押圧を解除して、ワイヤ端末部材64をワイヤ固定部53aに固定する。さらに、締め付け環56を締め付けて、ガイドシース62の基端部を制御部本体52の先端側に固定する。
【0096】
このような手順により、起上台デバイス5が内視鏡本体2に取り付けられる。ただし、上述したのは取り付け手順の一例であり、幾つかの手順については異なる順序で行っても構わない。例えば、起上台制御部5aと起上台先端側構成部5bを連結した後に、操作部取付部53を起上台デバイス取付部11aに取り付けても構わない、等である。
【0097】
続いて、起上台デバイス5が内視鏡本体2に取り付けられた内視鏡1において、起上台71を起上/倒置するときの作用は、次のようになる。
【0098】
ガイドシース62は、上述したように、コイル62aとチューブ62bとにより構成されていて伸縮可能となっている。また、操作ワイヤ61も、上述したように伸縮可能となっている。
【0099】
術者が、操作ノブ16を、
図1の2点鎖線に示す倒置位置から
図1の実線に示す起上位置へ回動すると、操作ノブ取付部51を経由して制御部本体52が先端側(
図8のL方向の右側)へ移動する。ただし、ワイヤ固定部53aは、操作部取付部53により操作部11に固定されているために移動しない。
【0100】
制御部本体52の先端側にはガイドシース62の基端側が固定されているために、制御部本体52が先端側へ移動するのに従って、ガイドシース62の基端側も先端側へ移動する。これに対し、ガイドシース62の先端側は、口金68により第1の先端カバー65、ひいては先端部本体31に固定されている。このために、ガイドシース62の基端側が先端側へ移動した結果、ガイドシース62は、全体として長手方向(挿入軸方向)に圧縮されることになる。
【0101】
操作ワイヤ61の基端側は、ワイヤ固定部53a、ひいては操作部11に対して挿入軸方向の位置が固定されているために、操作ノブ16を操作しても移動しない。一方、操作ワイヤ61の先端側は、支軸72周りに回動する起上台71に対して先端端末部材67で連結されているために、起上台71の回動と共に移動可能である。そして、操作ノブ16の回動操作に応じて、ガイドシース62全体が圧縮されると、ガイドシース62と共に操作ワイヤ61も圧縮され、操作ワイヤ61の先端側が、挿入軸方向の基端側へ移動する。
【0102】
これにより、起上台71が、先端端末部材67を経由して基端側に引張され、支軸72周りに回動して起上する。
【0103】
また、術者が、操作ノブ16を、
図1の実線に示す起上位置から
図1の2点鎖線に示す倒置位置へ回動すると、操作ノブ取付部51を経由して制御部本体52が基端側(
図8のL方向の左側)へ移動し、ガイドシース62の基端側も基端側へ移動する。これにより、ガイドシース62の長手方向への圧縮が解除される。
【0104】
すると、ガイドシース62と共に操作ワイヤ61の圧縮も解除され、操作ワイヤ61の先端側が、挿入軸方向の先端側へ移動する。この操作ワイヤ61の弛緩により、起上台71が、支軸72周りに回動して倒置する。
【0105】
なお、上述では、操作ワイヤ61の基端側が、固定部材(ワイヤ固定部53aおよび操作部取付部53)により操作部11に固定され、ガイドシース62の基端側が連結部材(操作ノブ取付部51および制御部本体52)に連結されて操作部11に対して移動可能である例を説明した。
【0106】
しかし、これに代えて、ガイドシース62の基端側が固定部材により操作部11に固定され、操作ワイヤ61の基端側が連結部材に連結されて操作部11に対して移動可能であるような第2の構成を採用しても構わない。具体的には、ガイドシース62の基端側をワイヤ固定部53a(ただし、この場合にはガイドシース固定部と呼ぶ方がふさわしい)に固定し、操作ワイヤ61の基端側を制御部本体52に連結するように構成すればよい。この場合でも、ガイドシース62の先端側が先端カバー63に固定され、操作ワイヤ61の先端側が起上台71に連結される点は同様である。
【0107】
このような第2の構成では、操作ワイヤ61およびガイドシース62の伸縮性は不要であるが、操作ワイヤ61がガイドシース62内において長手方向に移動自在であることが必要である。そして、第2の構成では、
図1における操作ノブ16の位置は、実線に示す位置が倒置位置となり、2点鎖線に示す位置が起上位置となる。すなわち、操作ノブ16を操作して制御部本体52を基端側に移動すれば、ガイドシース62に相対して操作ワイヤ61の全体が基端側に移動し、起上台71が起上する。また、操作ノブ16を操作して制御部本体52を先端側に移動すれば、ガイドシース62に相対して操作ワイヤ61の全体が先端側に移動し、起上台71が倒置する。
【0108】
こうして、ガイドシース62の先端側が先端カバー63に固定され、操作ワイヤ61の先端側が起上台71に連結された上で、ガイドシース62の基端側と前記操作ワイヤ61の基端側との内の、一方が固定部材により操作部11に固定され、他方が連結部材により操作ノブ16に連結されていれば、連結部材の移動に応じて起上台71に連結される操作ワイヤ61の先端側が移動し、起上台71が回動して、起上台71の起上/倒置を行うことが可能となっている。
【0109】
また、起上台デバイス5を内視鏡本体2から取り外すときの手順の一例は、次のようになる。
【0110】
例えば、締め付け環56を緩めて、制御部本体52の先端側に対するガイドシース62の基端部の固定を解除する。
【0111】
次に、係止ボタン54を押圧してワイヤ固定部53aへのワイヤ端末部材64の固定を解除し、操作ワイヤ61およびガイドシース62を起上台制御部5aから引き抜く。
【0112】
ここで、
図14は、説明のために見易くするよう第2の先端カバー66を外した状態を示したもので、先端カバー63を先端部本体31から取り外す方法を説明するための斜視図である。
【0113】
次に、カバー開口部65cの開口縁65c1を手指で押さえて、
図14の矢印F方向(周方向)の力を加えることで、脆弱部65fを破断する。脆弱部65fが破断されて開口縁65c1が外径方向に開かれると、係止ピン31bと係止穴65bの係合状態が解除される。
【0114】
なお、実際には脆弱部65fの外周側に第2の先端カバー66が取り付けられているが、第2の先端カバー66はゴム等の弾性部材で形成されているために、第2の先端カバー66が取り付けられた状態のままで脆弱部65fを破断することが可能である。
【0115】
このとき、ガイドシース62の先端の口金68を固定するガイドシース固定部65hは、周方向に脆弱部65fを挟んだ係止穴65b(および係止ピン31b)の反対側に設けられている。このために、脆弱部65fを破断するときに、挿通管路22にダメージが及ぶことはない。
【0116】
続いて、第1の先端カバー65を挿入軸方向の先端側へ引き抜くことで、第1の先端カバー65が先端部本体31から取り外される。上述したように起上台制御部5aと起上台先端側構成部5bとの連結が解除された状態において、さらに挿通管路22からガイドシース62および操作ワイヤ61を引き抜くことで、起上台先端側構成部5bが内視鏡本体2から分離される。
【0117】
その後、操作ノブ取付部51の折曲部51aを操作ノブ16の取付穴16aから取り外す。
【0118】
そして、起上台制御部5aの操作部取付部53を、操作部11の起上台デバイス取付部11aから取り外すことで、起上台制御部5aが内視鏡本体2から分離され、一連の取り外し手順が終了する。
【0119】
このような手順により、起上台デバイス5が内視鏡本体2から取り外される。ただし、上述したのは取り外し手順の一例であり、幾つかの手順については異なる順序で行っても構わない。例えば、起上台制御部5aと起上台先端側構成部5bとの連結を解除した後に、起上台先端側構成部5bよりも先に起上台制御部5aを内視鏡本体2から分離しても構わない、等である。
【0120】
図15は、ガイドシース62の先端に設けた口金68を先端部本体31に係止する変形例の構成を説明するための挿入軸方向に沿った縦断面図である。
【0121】
口金68は、ガイドシース62のコイル62aと、第1の先端カバー65とに接着して固定されている。
【0122】
口金68の先端側に、弾性変形可能な延出部69が、口金68と一体に形成されている。延出部69には、第2の係止穴69aが設けられている。一方、先端部本体31には、第2の係止ピン31dが突設されている。
【0123】
第1の先端カバー65を挿入軸方向に沿って先端部本体31側へスライドすると、延出部69が第2の係止ピン31dに当接して撓んだ後に(
図15の2点鎖線の部分参照)、第2の係止穴69aが第2の係止ピン31dに係合する。
【0124】
このような構成により、ガイドシース62は、延出部69を有する口金68を用いて、先端部本体31に直接係止されることになる。操作ノブ16を操作することでガイドシース62に圧縮力がかかると、ガイドシース62の先端には先端側に押し出される力が作用するが、この力は、第2の係止穴69aと第2の係止ピン31dとの係合により先端部本体31で直接受け止められるために、先端カバー63を脱落させる力として作用することはない。
【0125】
また、第1の先端カバー65を内視鏡本体2から取り外す際には、脆弱部65fを破断して係止ピン31bと係止穴65bの係合状態を解除すると共に、延出部69の先端側を持ち上げて第2の係止穴69aと第2の係止ピン31dとの係合状態を解除してから、第1の先端カバー65を先端側に引き抜くことになる。このように、
図15の変形例の口金68は、先端部本体31に対して着脱可能に固定される。
【0126】
図15に示した構成のその他の効果は、
図13に示した構成の効果と同様である。
【0127】
図16は内視鏡本体2の先端部本体31を構成する素材の変形例を説明するための斜視図、
図17はプラスチックで構成された第2の先端部本体31Bの、挿入軸に平行な方向に沿った
図16のAA断面図である。
【0128】
先端部本体31は、単一の素材で一体で形成するに限るものではなく、
図16に示すように、例えば金属で形成された第1の先端部本体31Aと、プラスチックで形成された第2の先端部本体31Bと、の2体構造としてもよい。
【0129】
2体構造とする場合には、金属で形成された第1の先端部本体31Aに、処置具チャンネル開口部21bおよびガイドシース挿入口22bを設けて処置具チャンネル21および挿通管路22をそれぞれ接続することが好ましい。さらに、起上台71の支軸72を受ける一対の支軸受け31cの内の、少なくとも一方の支軸受け31c1を、第1の先端部本体31Aに設けることが好ましい。なお、他方の支軸受け31c2は、
図16に示すように、プラスチックで形成された第2の先端部本体31Bに設けても構わないし、構造上可能であれば第1の先端部本体31Aに設けてもよい。
【0130】
同様に、プラスチックで形成された第2の先端部本体31Bには、観察窓24bを含む撮像ユニット24a(観察系)、照明窓25bを含む照明系、およびノズル23bを含む送気・送水系の構造を形成することが好ましい。
【0131】
先端部本体31として上述したような2体構造を採用することにより、起上台71により処置具先端部9aを起上したときに発生するガイドシース62の圧縮力を、金属で形成された第1の先端部本体31Aで受けることができるために、起上/倒置を繰り返し行ったとしても第1の先端部本体31Aに破損が生じるのを防ぐことができる。
【0132】
さらに、先端部本体31の一部をプラスチックで形成された第2の先端部本体31Bとすることで、先端部本体31の全部を金属で形成するよりも安価な先端部本体31となる。
【0133】
図17に示すように、観察窓24b、図示しない撮像素子および撮像回路を含む撮像ユニット24aには、信号線24が接続されている。信号線24は、内視鏡本体2内を挿通されて、ユニバーサルコード13を経由し、撮像信号を処理する画像処理装置を含む図示しないプロセッサに接続されるようになっている。
【0134】
また、図示しない光源装置から発光された照明光は、照明系を構成するライトガイド25により伝送される。ライトガイド25により伝送された照明光は、照明窓25bへ供給され、照明窓25bから被検体100へ向けて照射される。
【0135】
ここで、ライトガイド25は、ガラスファイバーを用いて構成してもよいが、これに限らず、例えば複数本のプラスチックファイバーを撚って構成したものであってもよい。このようにプラスチックファイバーを用いることで、ガラスファイバーを用いるよりも、ライトガイド25の低価格化、および軽量化を図ることが可能となる。
【0136】
また、プラスチックファイバーは、ガラスファイバーと比較して単線の径が太くかつ腰がある。このために、プラスチックファイバーで構成したライトガイド25は、ガラスファイバーで構成したライトガイド25よりも、湾曲部18の湾曲によって座屈し易い。このとき、もし複数本のプラスチックファイバーを単に束ねただけでライトガイド25を構成すると、各プラスチックファイバーがそれぞれ異なる方向に曲がる可能性があり、湾曲部18の湾曲を戻しても、各プラスチックファイバーがそれぞれ元の位置に戻らないことがある。そこで、複数本のプラスチックファイバーを撚ってライトガイド25を構成する(撚り線とする)ことで、それぞれ異なる方向への移動を防止すると共に、各プラスチックファイバーの折れを予防するようにしている。
【0137】
図18は先端カバー63を装着した状態の先端部19における第1の変形例の起上台71Aの構成を示す平面図、
図19は第1の変形例の起上台71Aの構成を示す
図18のBB断面図である。
【0138】
上述では、起上台71がステンレス(SUS)などの金属で構成される例を説明したが、これに限定されるものではない。
【0139】
図18および
図19に示すように、起上台71Aの基礎部分をプラスチックで形成し、処置具9との摺動が生じる部分、例えば起上台71Aの溝71aの先端部に、金属部材74を設けても構わない。金属部材74は、例えば、金属板により形成されている。そして、金属部材74は、基端部の両側が曲折されて起上台71に形成された取付孔71bの両側に係入されることで、起上台71Aの基礎部分に対して固定されている。
【0140】
図20は、第2の変形例の起上台71Bの構成を示す断面図である。
【0141】
第2の変形例の起上台71Bは、プラスチックで形成された起上台71Aの基礎部分に対して、溝71aのほぼ全長を覆うように、金属板などで形成される金属部材75を配置したものとなっている。この金属部材75を用いれば、処置具9との摺動が生じる部分が、上述した金属部材74よりも広くカバーされる。
【0142】
図18~
図20の構成を採用すれば、起上台71の基礎部分をプラスチックで形成しているために、起上台71をステンレス(SUS)などの金属で形成した場合に比べて、軽量化を図り、かつ安価に製造することが可能となる。その上で、金属部材74または金属部材75を配置することにより、処置具9が例えば金属製である場合でも、処置具9の進退により起上台71のプラスチック部分が削れるのを防止することができる。
【0143】
図21は、側面に金属製の補強部材76を設けた第3の変形例の起上台71Cの構成を示す断面図である。
【0144】
起上台71Cには取付孔71bが設けられ、取付孔71bに金属部材74が取り付けられているのは、
図19に示した例と同様である。
【0145】
さらに、先端端末部材67と支軸72とを連結する金属製の補強部材76が、起上台71Cの側面に一体的に設けられている。補強部材76は、第1の孔76aが先端端末部材67に支持され、第2の孔76bが支軸72に支持されている。
【0146】
なお、ここでは補強部材76が金属製である場合を例に挙げたが、これに限定されるものではなく、起上台71Cの基礎部分を構成するプラスチックよりも強度が高い素材であれば、その他の適宜の素材を用いて補強部材76を構成しても構わない。
【0147】
こうして、操作ワイヤ61の先端端末部材67と起上台71Cの支軸72とを強度が高い補強部材76を用いて連結したために、起上台71Cを起上するときに大きな力が加わったとしても、起上台71Cが変形するのを防止することができる。
【0148】
図22は、
図1の内視鏡本体2よりも挿入部12の全長が短い内視鏡本体2Aに起上台デバイス5を取り付けた場合における、内視鏡1に処置具9を組み合わせた内視鏡システムを被検体100内に挿入した使用状態を示す外観図である。
【0149】
図22の内視鏡本体2Aの挿入部12の全長L2は、
図1の内視鏡本体2の挿入部12(
図22で2点鎖線により示している)の全長L1よりも短い(L2<L1)。
【0150】
すると、操作部11のガイドシース取出口22aから取り出され、起上台制御部5aに接続されるまでの操作ワイヤ61およびガイドシース62の長さは、
図1に示した例よりも、
図22に示す例の方が長くなる。
【0151】
このために、ガイドシース取出口22aから延出する操作ワイヤ61およびガイドシース62の、
図22に示すループ径R2は、
図22の2点鎖線および
図1に示すループ径R1よりも大きくなっている(R2>R1)。
【0152】
起上台デバイス5の構造自体は
図1と
図22とで同じであり、起上台デバイス5を内視鏡本体2,2Aに取り付ける手順も
図1と
図22とで同じである。このために、起上台71の取り付け作業性、および操作性については、
図1の構成と
図22の構成とで相違せず、同一となっている。
【0153】
こうして、本実施形態の内視鏡1は、内視鏡本体の挿入部12の全長の違いに影響されることはなく、例えば起上台71の操作性も挿入部12の全長の違いに依らず同一となる。
【0154】
なお、挿入部12の全長が異なる複数の内視鏡1の内の、挿入部12の全長が最も長い内視鏡1に合わせて起上台デバイス5を設計すれば、同一機種の起上台デバイス5を、任意の内視鏡1に適用することができる。
【0155】
図23は、処置具挿入口21aよりも先端側にガイドシース取出口22aを配置した内視鏡本体2Bに起上台デバイス5を取り付けた場合における、内視鏡1に処置具9を組み合わせた内視鏡システムを被検体100内に挿入した使用状態を示す外観図である。
【0156】
図23に示す内視鏡本体2Bは、処置具挿入口21aよりも先端側の、周方向における処置具挿入口21aの反対側に、ガイドシース取出口22aが配置されている。
【0157】
すなわち、起上台制御部5aの挿入軸方向先端側にガイドシース取出口22aが配置されているために、ガイドシース取出口22aから延出する操作ワイヤ61およびガイドシース62をループさせることは必須でない。このために、延出された操作ワイヤ61およびガイドシース62は、
図23に示すように、ループすることなく、余長を有して起上台制御部5aに接続されている。
【0158】
このような構成の内視鏡本体2Bに起上台デバイス5を取り付けた場合にも、
図1や
図22の内視鏡1と同一の操作性をもって起上台71を操作することができる。
【0159】
なお、上述したように、起上台制御部5aと起上台先端側構成部5bは、初期状態では分離されていて、内視鏡本体2に取り付ける際に連結される。そして、起上台制御部5aは繰り返して使用可能であるが、起上台先端側構成部5bは内視鏡本体2から取り外す際に脆弱部65fを破断するために基本的にはディスポーザブルである。そこで、操作ワイヤ61およびガイドシース62の長さが様々なタイプの起上台先端側構成部5bを製品として用意しておき、ユーザがもっている内視鏡本体2の挿入部12の全長に応じた、適切なタイプの起上台先端側構成部5bをユーザが購入することができるようにしてもよい。
【0160】
このような第1の実施形態によれば、ガイドシース62内に挿通された操作ワイヤ61の先端側を起上台71に連結し、ガイドシース62の先端側を先端カバー63に固定し、ガイドシース62の基端側と操作ワイヤ61の基端側との内の、一方を固定部材(ワイヤ固定部53aおよび操作部取付部53)に固定すると共に、他方を連結部材(操作ノブ取付部51および制御部本体52)により操作ノブ16に連結するようにした。このために、挿入部12の長さが異なる内視鏡本体に対して起上台デバイス5を取り付ける際の、操作ワイヤ61の張り調整作業が不要となる。また、挿入部12の長さが異なる複数の内視鏡本体の何れに対しても、同様の操作性で起上台デバイス5を着脱することができる。さらに、挿入部12の長さに依存することなく、起上台71を起上/倒置する操作を行うことが可能となる。
【0161】
操作ワイヤ61およびガイドシース62が内視鏡本体2内の挿通管路22を挿通される構造であるために、操作ワイヤ等が内視鏡本体2の外部に配置される構成の内視鏡と比較して、挿入性が向上する。
【0162】
操作ワイヤ61の基端側を固定部材に固定し、ガイドシース62の基端側を連結部材に連結するようにすることで、
図1の構成においては、操作ノブ16の回転方向と、起上台71による処置具先端部9aの回転方向とが同一となるために、直感的な操作性が向上する。
【0163】
一方、ガイドシース62の基端側を固定部材に固定し、操作ワイヤ61の基端側を連結部材に連結するようにすることで、操作ワイヤ61およびガイドシース62の伸縮性を不要としながら、起上台71を起上/倒置することが可能となる。
【0164】
ガイドシース取出口22aから延出された操作ワイヤ61およびガイドシース62を、余長を有して起上台制御部5aに取り付けるようにしたために、挿入部12の全長が異なる様々な内視鏡本体2等に、より広く対応することが可能となる。
【0165】
ガイドシース取出口22aから延出された操作ワイヤ61およびガイドシース62を、ループ形状を描いた後に起上台制御部5aに取り付けるようにしたために、内視鏡1の操作部11の全長を長くすることなく、起上台デバイス5を内視鏡本体2に取り付けることができる。こうして、操作部11を通常の長さとすることができるために、操作部11を把持する術者の操作性に影響を与えることがない。
【0166】
ここで、操作ノブ16および連結部材が、ガイドシース取出口22aに対して、
図1に示したように操作部11の中心軸を挟んだ反対側に配設されているために、操作ワイヤ61およびガイドシース62の余長を長めに設計することで、ループ形状を容易に形成することが可能となる。
【0167】
先端カバー63は、係止穴65bと係止ピン31bとの係合により先端部本体31に係止されているために、例えばガイドシース62の全長に挿入軸方向の圧縮力が加わった場合でも、先端カバー63が先端部本体31から脱落するのを防止することができる。
【0168】
このときさらに、
図15に示したように、口金68と一体に形成された延出部69の第2の係止穴69aが、先端部本体31の第2の係止ピン31dと係合するように構成することで、先端カバー63の脱落をより確実に防止することができる。また、延出部69を弾性変形可能としているために、口金68が先端部本体31に対して着脱可能となる。
【0169】
こうして、内視鏡本体2から起上台デバイス5を完全に分離して取り外すことができるために、挿通管路22および処置具チャンネル21を含む内視鏡本体2の洗浄を、容易に行うことが可能となる。
[第2の実施形態]
【0170】
図24および
図25は本発明の第2の実施形態を示したものであり、
図24は直視型の内視鏡本体2Cの先端部本体31Cに第1の先端カバー65Cおよび第2の先端カバー66を取り付ける前の状態を示す斜視図、
図25は直視型の内視鏡本体2Cの先端部本体31Cに第1の先端カバー65Cおよび第2の先端カバー66を取り付け終えた状態を示す斜視図である。
【0171】
この第2の実施形態において、上述の第1の実施形態と同様である部分については同一の符号を付すなどして説明を適宜省略し、主として異なる点についてのみ説明する。
【0172】
上述した第1の実施形態は側視型の内視鏡に係るものであったが、本実施形態は直視型の内視鏡に係るものとなっている。
【0173】
すなわち、内視鏡本体2Cは、先端部本体31Cの先端面に、観察窓24bと、観察窓24bを挟むように設けられた一対の照明窓25bと、ノズル23bと、が配置されている。
【0174】
また、起上台デバイス5Cにおける先端カバー63Cは、第1の先端カバー65Cと、第2の先端カバー66と、を組み合わせて構成されている。
【0175】
第1の先端カバー65Cに設けられた起上台71Cは、溝71aに代えて、処置具9の処置具先端部9aを挿通するための挿通孔71Caが形成されている。挿通孔71Caは、起上台71Cが倒置されている状態において、処置具チャンネル開口部21b付近の処置具チャンネル21と同軸となっている。これにより、処置具チャンネル開口部21bから延出された処置具先端部9aは、挿通孔71Caに入り、挿通孔71Caの先端からさらに延出される。
【0176】
そして、操作ワイヤ61を引張/弛緩することで、起上台71Cが起上/倒置することも上述した第1の実施形態と同様である。また、第2の先端カバー66を取り外した後に、脆弱部65fを破断して第1の先端カバー65Cを取り外すことも第1の実施形態と同様であり、その他の構成や作用も第1の実施形態に準ずる。
【0177】
また、第2の実施形態においても、上述した第1の実施形態において説明したような、各種の変形例(例えば、
図15~
図22を参照して説明したような変形例)を適用することができる。
【0178】
このような第2の実施形態によれば、直視型の内視鏡においても、上述した第1の実施形態とほぼ同様の効果を奏することができる。
【0179】
なお、本発明は上述した実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明の態様を形成することができる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。このように、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0180】
1…内視鏡
2,2A,2B,2C…内視鏡本体
5,5C…起上台デバイス
5a…起上台制御部
5b…起上台先端側構成部
9…処置具
9a…処置具先端部
11…操作部
11a…起上台デバイス取付部
12…挿入部
13…ユニバーサルコード
14…アングルノブ
15…操作ボタン
16…起上台操作ノブ
16a…取付穴
17…可撓管部
18…湾曲部
19…先端部
21…処置具チャンネル
21a…処置具挿入口
21b…処置具チャンネル開口部
22…ガイドシース挿通管路
22a…ガイドシース取出口(基端側開口部)
22b…ガイドシース挿入口
23…送気・送水チャンネル
23b…ノズル
24…信号線
24a…撮像ユニット
24b…観察窓
25…ライトガイド
25b…照明窓
26…湾曲ワイヤ
27…湾曲コマ
31,31C…先端部本体
31A…第1の先端部本体
31B…第2の先端部本体
31a…凹条溝
31b…係止ピン
31c,31c1,31c2…支軸受け
31d…第2の係止ピン
51…操作ノブ取付部(連結部材)
51a,51b…折曲部
52…制御部本体(連結部材)
52a…スライド孔
52b…取付穴
52c…シース受け孔
52d…ワイヤ挿通孔
52e…テーパ部
52f…雄ねじ
53…操作部取付部(固定部材)
53a…ワイヤ固定部(固定部材)
53b…大径孔部
53c…小径孔部
53d…貫通孔
53e…有底穴
54…係止ボタン
54a…ボタン頭
54b…大径軸部
54c…小径軸部
54d…長孔
55…圧縮バネ
56…締め付け環
56e…テーパ面
56f…雌ねじ
61…起上台操作ワイヤ
62…ガイドシース
62a…コイル
62b…チューブ
63,63C…先端カバー
64…ワイヤ端末部材
64a…凹部
65,65C…第1の先端カバー
65a…凸条部
65b…係止穴
65c…カバー開口部
65c1…開口縁
65d…先端側切込
65e…基端側切込
65f…脆弱部
65g…スリット
65h…ガイドシース固定部
66…第2の先端カバー
67…先端端末部材
68…口金
69…延出部
69a…第2の係止穴
71,71A,71B,71C…処置具起上台
71Ca…挿通孔
71a…溝
71b…取付孔
72…支軸
73…絶縁リング
74,75…金属部材
76…補強部材
76a…第1の孔
76b…第2の孔
100…被検体
101…管腔
102…管路
L1,L2…挿入部の全長
R1,R2…ループ径