(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-08
(45)【発行日】2024-03-18
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/20 20060101AFI20240311BHJP
【FI】
G03G15/20 555
(21)【出願番号】P 2020132267
(22)【出願日】2020-08-04
【審査請求日】2023-07-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村田 直史
【審査官】菅藤 政明
(56)【参考文献】
【文献】特開平3-241382(JP,A)
【文献】特開2008-185652(JP,A)
【文献】特開2006-30623(JP,A)
【文献】特開2003-271034(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録材上にトナー像を形成する画像形成部と、
前記記録材を加熱して前記トナー像を前記記録材に定着させる定着部と、
前記定着部の温度を制御する加熱温度制御部と、
を備えており、前記トナー像を形成し前記記録材に定着させる画像形成動作を連続的に行う画像形成装置であって、
前記加熱温度制御部は、連続的に行われる前記画像形成動作の回数が増加するのに応じて前記定着部を通過した直後の前記記録材の温度が高くなるように、前記定着部の温度を上昇させる制御を行う
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記画像形成動作を行われた前記記録材を積載する記録材積載部をさらに備える
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記加熱温度制御部は、前記記録材積載部に積載された前記記録材の数が増加するのに応じて、前記記録材を加熱するときの前記定着部の温度を上昇させる制御を行う
ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記加熱温度制御部は、前記記録材積載部に積載された前記記録材の数が所定の閾値を超えると、前記記録材を加熱するときの前記定着部の温度を上昇させる制御を行う
ことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記加熱温度制御部は、前記記録材積載部に積載された前記記録材の温度が上昇するのに応じて、前記記録材を加熱するときの前記定着部の温度を上昇させる制御を行う
ことを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記加熱温度制御部は、前記記録材積載部に積載された前記記録材の温度が閾値温度を超える前に、前記記録材を加熱するときの前記定着部の温度を上昇させる制御を行う
ことを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記閾値温度は、予め測定された前記記録材積載部に積載された前記記録材が貼り付く温度に基づいて決定される
ことを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記トナー像を形成するための画像データを解析する画像処理部をさらに備え、
前記加熱温度制御部は、前記画像処理部の解析結果に応じて前記定着部の温度制御を行う
ことを特徴とする請求項2から7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記画像形成動作は、前記記録材の第1の面および第2の面の両方に行われるものであり、
前記記録材積載部に積載される第1の記録材の第1の面と、前記第1の記録材の次に積載される第2の記録材の第2の面が接触するとき、前記画像処理部は、前記第1の記録材の第1の面および前記第2の記録材の第2の面に画像を形成するための画像データを解析して平均印字率を算出し、
前記加熱温度制御部は、前記第1の記録材の第1の面および前記第2の記録材の第2の面の平均印字率がいずれも印字率閾値を超えている場合、前記定着部の温度を上昇させる制御を行う
ことを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記画像処理部は、前記記録材を搬送方向において複数の領域に分割し、前記領域ごとに解析を行う
ことを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
環境温度を検知する環境温度検知手段をさらに備え、
前記加熱温度制御部は、前記環境温度に応じて前記記録材を加熱するときの前記定着部の温度制御を変化させる
ことを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記加熱温度制御部は、前記環境温度が高いほど、前記定着部の温度の上昇を早くすることを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を採用した、各種のプリンタや複写機等の画像形成装置が上市されている。一般的に、電子写真方式の画像形成装置は、現像プロセスにてトナー像を形成し、用紙等の記録材上に転写する。その後、用紙を加熱、加圧することにより画像を定着処理する。その後、定着処理済みの用紙を、排紙ローラを備えた排紙搬送装置により積載トレイ上に排出し、積載する。この用紙のトレイ上への積載時の「排紙貼り付き」と呼ばれる課題が知られている。
【0003】
排紙貼り付きとは、積載された用紙上のトナー像が軟化するほど高い温度の場合に、排出された用紙が貼り付く現象である。片面印字時かつ用紙の印字面がトレイ側を向いている場合(フェイスダウン排紙)は、先行して積載された用紙の裏面と、後続の用紙のトナー像面が貼りつく。用紙の印字面がトレイと逆側を向いている場合(フェイスアップ排紙)は、先行して積載された用紙のトナー像面と、後続の用紙の裏面が貼りつく。また、両面印字時は用紙上のトナー像同士が貼り付く。このような排紙貼り付きが発生した場合、ユーザが用紙を積載トレイから取り上げた際にトナー像が剥がれ、画像の欠損が生じる可能性がある。
【0004】
従来、各種の排紙貼り付き対策が検討されている。まず、ジョブ中の紙間時間を長くして、トレイ上で用紙が冷却される時間を長くする方法がある。また、定着温度を低くしてトレイ上に積載される用紙温度を低くする方法がある。また、ファンの排気を定着処理後の用紙のトナー像面に吹き付けて冷却する方法がある。例えば特許文献1には、連続プリントにおける用紙の紙間制御が記載されている。また特許文献2には、排紙後の紙温度に応じた制御が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2002-296961号公報
【文献】特開2003-302875号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ジョブ中の紙間時間を長くとってしまうと生産性(単位時間あたりに印刷可能な枚数)が低下する。また、定着温度を低くすると定着性が落ち、画像不良が発生する可能性がある。また、冷却のためにファンを設けることは、装置サイズの拡大や製造コストの増大に繋がる。
【0007】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、画像形成装置における排紙貼り付きを抑制するための技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以下の構成を採用する。すなわち、
記録材上にトナー像を形成する画像形成部と、
前記記録材を加熱して前記トナー像を前記記録材に定着させる定着部と、
前記定着部の温度を制御する加熱温度制御部と、
を備えており、前記トナー像を形成し前記記録材に定着させる画像形成動作を連続的に行う画像形成装置であって、
前記加熱温度制御部は、前記画像形成動作が連続的に行われる回数が増加するのに応じて前記定着部を通過した直後の前記記録材の温度が高くなるように、前記記録材を加熱するときの前記定着部の温度を上昇させる制御を行う
ことを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、画像形成装置における排紙貼り付きを抑制するための技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】加熱装置に記録材が搬送される様子を示す断面図
【
図4】用紙枚数、温調温度および用紙温度の関係を示す図
【
図7】排紙の積載枚数と排紙積載用紙温度の関係を示す図
【
図8】実施例の制御における用紙枚数と温調温度の関係を示す図
【
図10】領域ごとの平均印字率と排紙貼り付きの関係を説明する図
【
図11】実施例2の処理を説明するためのフローチャート
【
図12】実施例2の画像パターンを組み合わせた条件を説明する図
【
図13】実施例3の画像形成装置の構成を示す断面図
【
図14A】実施例3の積載枚数と用紙温度の関係を示す図
【
図14B】実施例3の別の環境温度での積載枚数と用紙温度の関係を示す図
【
図14C】実施例3の別の環境温度での積載枚数と用紙温度の関係を示す図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の説明では、図面および実施例を参照して、この発明を実施するための形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の機能、材質、寸法、形状、その相対配置などは、特定の記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。また、以下の説明で一度説明した部材についての機能、材質、寸法、形状、その相対配置などは、特に改めて記載しない限りは初めの説明と同様のものである。
【0012】
<実施例1>
本実施例は、自動両面印字の画像形成装置で画像を形成する場合に、ジョブ中の用紙枚数に応じて段階的に定着温度を引き上げることに特徴がある。これにより画像の定着性を良化させ、貼り付きを抑制する。なお、以下の記載における「印字」という用語は適用対象を文字印刷に限定する意図ではない。本実施例の方法は文字、図形、写真など様々な対象に適用可能である。また記録材は紙には限定されない。
【0013】
(画像形成装置の構成)
図1の概略断面図を用いて、画像形成装置50の構成と、記録材上に未定着トナー像を形成する方法を説明する。画像形成装置50は、感光ドラム上のトナー像を直接記録材P上に転写する、電子写真方式の画像形成装置である。
【0014】
像担持体である感光ドラム1の周面には、回転方向(矢印R1方向)に沿って順に、帯
電器2、レーザ光Lを感光ドラム1に照射する露光装置3、現像器5、転写ローラ10、および、感光ドラムクリーナー16が配置されている。これらは記録材P上にトナー像を形成し転写する画像形成部とも呼べる。
【0015】
まず、帯電器2が、感光ドラム1の表面をマイナス極性に帯電する。次に、露光手段3が、帯電された感光ドラム1の表面上にレーザ光Lを照射する。これにより露光された部分の表面電位が上がり静電潜像が形成される。現像器5にはマイナス極性に帯電されたトナー(ここでは黒トナー)が入っており、このトナーが感光ドラム1上の静電潜像部に付着することで、感光ドラム1上にトナー像が形成される。なお、画像形成装置は、カラー画像の形成に用いる複数色(例えば、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)のトナーに対応する複数の感光ドラムを有していても良い。その場合、画像形成装置は記録材P上に各色の画像を重畳して形成する。
【0016】
記録材Pは、給紙制御部330により給紙タイミングが制御された給紙ローラ4によって給紙され、搬送ローラ6によって転写ニップNに搬送される。転写ローラ10には、転写制御部20からトナーの極性とは逆のプラス極性の転写バイアスが印加されている。これにより、転写ニップ部Nにおいて、感光ドラム1上のトナー像が記録材P上のA面(第1の面)に転写される。弾性体ブレードを有する感光ドラムクリーナー16は、転写後の感光ドラム1の表面から転写残トナーを除去する。
【0017】
トナー像をA面に担持した記録材Pは、加熱温度制御部320により定着温度が調整された加熱装置100に搬送される。加熱装置100は、記録材PのA面のトナー像を加熱、定着する。加熱装置100を通過した記録材Pは排紙ローラ7に送られ、
図1の矢印W1方向に送られる。記録材Pの後端まで加熱定着が完了すると、排紙ローラ7が不図示の切り替え手段により反転し、記録材Pが
図1の矢印W2方向へ送られる。続いて、記録材Pは両面ガイド8を通り、両面ローラ9により再度搬送ローラ6に送られる。したがって、A面の印刷時とは記録材Pの表裏が変わっている。
【0018】
続いて、記録材Pの裏面であるB面(第2の面)への画像転写が行われる。そして、加熱装置100がB面にトナー像を定着させる。そして記録材Pが再び排紙ローラ7に送られる。排紙ローラ7は、両面にトナー像が定着した記録材Pを、排紙トレイ45に排紙する。したがって排紙トレイ45に積載されたとき、記録材PのA面が上を向き、B面が下を向いた状態となっている。記録材積載部としての排紙トレイ45には連続的にプリントされた記録材Pが積載されていく。
【0019】
(加熱装置)
続いて、
図2の断面図を参照して、加熱装置100について説明する。本実施例では、立ち上げ時間の短縮や低消費電力化が可能フィルム加熱方式の加熱装置100を用いる。加熱装置100は、記録材上のトナー像を定着させる定着部である。
【0020】
加熱装置100は、可撓性を有する円筒状の定着フィルム112と、加圧ローラ110が設けられた構成となっている。定着フィルム112の内部には、加熱ヒータ113がヒータホルダー130に保持された構成を持つヒータユニット160が配置されている。ヒータホルダー130は、加熱ヒータ113から熱を奪いにくくするために低熱容量の材料が好ましく、本実施例では耐熱性樹脂である液晶ポリマー(LCP)を用いた。ヒータホルダー130は強度を持たせるために鉄製のステー120で加熱ヒータ113とは反対側から支えられている。ステー120は、記録材Pの搬送方向と直交する方向での両端部において、加圧バネ(不図示)によって、図中の矢印A2方向に加圧されている。加熱ヒータ113は、定着フィルム112の内面に接触して内面ニップNiを形成し、定着フィルム112を内側から加熱する。
【0021】
加圧ローラ110は、定着フィルム112を挟んで加熱ヒータ113と対向して配置される。加圧ローラ110は、定着フィルム112との間で定着ニップNoを形成する。加圧ローラ110が、駆動源(不図示)からの動力により図中の矢印R1方向に駆動されると、定着フィルム112は定着ニップNoで加圧ローラ110からの動力を受けて、矢印R2方向に従動回転する。
【0022】
未定着トナー像Tが転写された記録材Pは、図中の矢印A1方向から搬送され定着ニップNoに送り込まれる。すると、加熱ヒータ113により記録材上のトナー像Tが加熱され、記録材Pに画像が定着する。
【0023】
(定着フィルム)
定着フィルム112は、変形していない状態では外径がφ20mmの円筒形状である。定着フィルム112は、フィルムの強度を保つための基層126と、表面への汚れ付着低減のための離型層127を含む、多層構成となっている。
【0024】
基層126は、加熱ヒータ113の熱に対する耐熱性が必要であり、また加熱ヒータ113と摺動するため強度も必要である。そこで基層126の材質としては、SUS(Stainless Used Steel)やニッケルなどの金属や、ポリイミドなどの耐熱性樹脂が好ましい。金属は強度が高いため薄肉化できる、熱伝導率も高いため加熱ヒータ113の熱を定着フィルム表面へ伝達しやすい等の利点がある。樹脂は金属より熱容量が小さく温まりやすい、塗工成型により安価に成型できる等の利点がある。本実施例では基層126として、ポリイミド樹脂に、熱伝導率と強度を向上させるためのカーボン系のフィラーを添加した材質を用いた。基層126の厚さは、強度と熱伝導性のバランスの観点から15μm~100μm程度が好ましく、本実施例では50μmとした。
【0025】
離型層127の材質は、パーフルオロアルコキシ樹脂(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン樹脂(FEP)等のフッ素樹脂が好ましい。本実施例では離型性と耐熱性に優れるPFAを用いた。離型層127としてはチューブを被覆させたものや、表面を塗料でコートしたものが好適であり、本実施例では、薄肉成型に優れるコートを用いた。離型層127は、耐久性と熱伝導性のバランスの観点から5μm~30μm程度が好ましく、本実施例では10μmとした。
【0026】
(加圧ローラ)
本実施例の加圧ローラ110は、φ12mmの鉄製の芯金117に、シリコーンゴムを発泡した厚さ4mmの弾性層116(発泡ゴム)が形成された構成である。加圧ローラ110の熱容量が大きく熱伝導率が大きいと、加圧ローラ110表面の熱が内部へ吸収されやすくなり、表面温度が上昇しにくくなる。したがって、できるだけ低熱容量で熱伝導率が低く、断熱効果の高い材質を用いることで、加圧ローラ110表面温度の立ち上がり時間を短縮できる。上記シリコーンゴムを発泡した発泡ゴムの熱伝導率は0.11~0.16W/m・Kであり、0.25~0.29W/m・K程度のソリッドゴムよりも熱伝導率が低い。また、熱容量に関係する比重はソリッドゴムが約1.05~1.30であるのに対して、発泡ゴムが約0.45~0.85であり、低熱容量でもある。以上より本実施例で用いる発泡ゴムは、加圧ローラ110表面温度の立ち上がり時間を短縮できる。
【0027】
加圧ローラ110の外径については、熱容量の抑制と、定着ニップNoの幅を確保することのバランスの観点から、φ20mmとした。弾性層116の肉厚に関しては、金属製の芯金に熱を逃がさないために適度な厚みが必要であり、本実施例では4mmとした。弾性層116の上には、トナーの離型のために、パーフルオロアルコキシ樹脂(PFA)か
らなる離型層118が形成されている。なお離型層118として、PTFE、FEP等のフッ素樹脂や、離型性の良いフッ素ゴムやシリコーンゴム等を用いても良い。加圧ローラ110の表面硬度は、耐久性と、硬度を低くすることによる軽圧での定着ニップ幅の確保とのバランスの観点から決定され、本実施例ではAsker-C硬度(4.9N荷重)で40°とした。加圧ローラ110は、不図示の回転手段により、図中の矢印R1方向に、表面移動速度200mm/secで回転する。
【0028】
(加熱ヒータ)
本実施例の加熱ヒータ113は、セラミックス製の基板上に抵抗発熱体を直列に設けたものである。加熱ヒータ113は、記録材搬送方向の幅Wh=6mm、厚さH=1mmのアルミナの基板表面に、Ag/Pd(銀パラジウム)の抵抗発熱体をスクリーン印刷により10μm塗工し、その上に発熱体保護層としてガラスを50μmの厚さで覆ったものである。電極部(不図示)から通電することで抵抗発熱体が発熱する。加熱ヒータ113の背面には、抵抗発熱体の発熱に応じて昇温したセラミック基板の温度を検知する温度検知素子115が配置されている。加熱温度制御部320が、温度検知素子115の信号に応じて抵抗発熱体に流す電流を制御することで、加熱ヒータ113の温度を調整できる。
【0029】
(プリンタ制御装置)
図3に示すプリンタシステム構成を示すブロック図を参照して、プリンタ制御装置304について説明する。プリンタ制御装置304は、コントローラインターフェイス305を用いてホストコンピュータ300と接続し通信を行う。プリンタ制御装置304は、大別してコントローラ部301とエンジン制御部302に分かれる。コントローラ部301の画像処理部303は、ホストコンピュータ300から受信した情報を処理して画像データを生成し、エンジン制御部302のビデオインターフェイス310に送信する。情報処理には例えば、文字コードのビットマップ化やグレイスケール画像のハーフトーニング処理等がある。
【0030】
エンジン制御部302が受信した情報のうち、露光手段3の点灯タイミングの情報は、ASIC314(Application Specific Integrated Circuit)に送信される。ASIC314は、露光手段3等の動作制御を行う画像形成制御部340を制御する。
【0031】
一方、プリントモードと画像サイズに関する情報は、CPU311(Central Processing Unit)に送信される。CPU311は、加熱温度制御部320による加熱装置100の温度制御、給紙制御部330による給紙ローラ4の動作間隔制御、画像形成制御部340によるプロセススピードや現像/帯電/転写制御などを行う。CPU311は、記憶手段であるROM312およびRAM313と接続されている。CPU311は、必要に応じて、RAM313への情報の保存、ROM312またはRAM313に保存されたプログラムの読み出し、ROM312またはRAM313に保存された情報の参照、などの方法で各種の制御処理を行う。
【0032】
さらにコントローラ部301は、ユーザがホストコンピュータ上で行った指示に応じて、プリント命令、キャンセル指示などをエンジン制御部302に送信し、印字動作の開始や中止などの動作を制御する。
【0033】
(温調制御)
樹脂を主成分とするトナーは、熱を与えると軟化して接触している部材に付着しやすくなり、排紙貼り付きや、それに起因する画像欠損が発生する。特に、排紙されて排紙トレイ上に積載された用紙の温度が高い場合や、紙とトナーの付着力が弱い(すなわち、定着性が低い)場合に、排紙貼り付きによる画像欠損が発生しやすい。
【0034】
そこで本実施例では排紙貼り付きを防止するために、排紙積載された用紙温度が高くなるにつれて温調温度を高くしていくことで、定着ニップ直後の用紙温度を高め、定着性を高める。なお、本実施例では定着性を高めるために温調温度を高くしているが、段階的に定着圧を上げて定着ニップ幅を大きくしたり、生産性は落ちるが、段階的に定着スピードを低くしたりするなどの方法でも、定着性を高められる。
【0035】
本実施例に特徴的な温調制御を
図4に示す。横軸はジョブ中のプリント枚数、すなわち画像形成動作が行われて排紙トレイに積載される回数を示す。左縦軸は温調温度Tを示しており、プリント枚数が増加するごとに段階的に温調温度の設定値をT1,T2,T3,T4の順に高くしていく。右縦軸は排紙積載用紙温度Sを示している。加熱温度制御部320は、排紙積載用紙温度Sを確認しながら温調温度Tを切り替える。すなわち、排紙積載用紙温度Sが上昇していき、発生閾値温度S1,S2,S3,および不図示のS4,…に達する前のタイミングで、各々の発生閾値温度に対応する温調温度T1,T2,T3,T4,…に切り替える。
【0036】
以下、温調温度Tと排紙積載温度Sの値を求めるための条件出し試験について説明する
。設定値を決めるため、複数の温調温度で自動両面連続印字試験を行った。印字試験では、
図5の画像パターンを連続で印字し、排紙された用紙が重なったままの状態にする。その状態で5分間冷却してから排紙貼り付きの有無を確認する。そして、排紙貼り付きが無い最大積載可能枚数と、そのときに排紙トレイに積載されている用紙の温度(排紙積載用紙温度S)を測定する。
【0037】
この試験は、23℃の環境温度下で、一般的なLBP印刷用紙である、坪量80g/m2、A4(幅210mm縦297mm)サイズの用紙を用いて行った。排紙積載用紙温度Sの測定には、印刷に用いたものと同じ用紙に貼り付けた熱電対(Type-K)を用いた。そして、各条件での通紙枚数の最後から10枚目が排紙された直後に、上記の熱電対付きの用紙を載せて測定した。熱電対は、排紙トレイ上の排紙出口側の壁面より50mmの位置に配置した。
【0038】
図6は、排紙積載用紙温度Sと、定着ニップ通過直後の用紙温度の関係と、排紙貼り付きの発生の有無を示すグラフである。定着ニップ直後の用紙温度の測定には、放射温度計(ジャパンセンサー株式会社 TMHX-CFE0350(E))を用いた。
図6の縦軸は排紙積載用紙温度Sを、横軸は定着ニップ通過直後の用紙温度を示し、排紙貼り付き発生した場合を×(NG)、発生しなかった場合を○(OK)として、グラフ上にプロットをした。図中、○と×の境界線Bが、各ニップ直後の用紙温度における排紙貼り付き温度閾値に対応する。境界線Bより上の領域では排紙貼り付きが発生し、境界線Bより下の領
域では排紙貼り付きが発生しない。図より、ニップ直後の用紙温度が同じであれば、排紙積載用紙温度が低いほうが良好であり、排紙積載用紙温度が同じであれば、ニップ直後の用紙温度が高いほうが良好であることが分かる。一般に、ニップ直後の用紙温度が高く定着性が良ければ、排紙積載用紙温度が高くても貼り付きが発生しない傾向にある。
【0039】
図4における温調温度の設定値は、ニップ直後の用紙温度と排紙積載用紙温度との関係が、
図6における良好な条件の領域に来るように設定される。本実施例において、温調設定は165℃から195℃の範囲で行っており、画像形成上の問題が無いような温度範囲としている。なお、165℃より低い温度ではコールドオフセットが、195℃より高い温度ではホットオフセットの画像不良が発生するため、この範囲外での温調温度の設定は行わない。
【0040】
図7は、温調温度を165℃~185℃の間で5℃刻みに変えて通紙積載したそれぞれ
の場合の、排紙積載用紙温度(測定時のMAX温度)と積載枚数の関係を示す。表1は、排紙貼り付きが発生した排紙積載用紙温度(貼り付き温度閾値)と、貼り付き無く積載できた枚数を示す。
【表1】
【0041】
温調温度を高くするということは、トナーの定着性を高めるという観点では排紙貼り付きの防止につながるが、その反面、排紙積載用紙温度を上昇させるという観点では排紙貼り付きの発生につながる。したがって排紙貼り付きの有無は、定着性(定着ニップ通過直後の用紙温度)と排紙積載用紙温度の関係で決まり、表1の条件においては温調温度175℃のときに最も発生しやすい。また、温調温度185℃では定着性が高まり、排紙貼り付き防止には有利であるが、排紙積載用紙温度の上昇が早いため効果が薄れる。そこで本実施例では、
図4に示すように、温調温度をプリント枚数ごとに段階的に引き上げることで、定着性を確保しつつ排紙積載用紙温度の上昇を抑えて排紙貼り付きが発生しないようにする。
【0042】
試験の結果を踏まえて、本実施例では表2のようにプリント枚数と温調温度の設定値の関係を決定した。プリント枚数には複数の所定の閾値が設定され、枚数がこの閾値を超えると温調温度が上昇するような制御が行われる。この関係を決定する際には、排紙積載用紙温度が閾値を超える前に、温調温度を5℃高くするようにした。加熱温度制御部320は、予め記憶手段に保存されたテーブルに基づき、カウントされたプリント枚数が設定値に達すると温調温度を変更する。なお、加熱温度制御部320は、排紙積載用紙温度を放射温度計等でモニターをして測定し、温度に基づく温調制御を行っても良い。
【表2】
【0043】
(本実施例の効果)
本実施例における貼り付き防止の効果を、比較例を参照しつつ説明する。
図8は、本実施例および比較例1~3の温調制御の設定を示す。本実施例は、表2で示した印刷枚数に応じた段階的な温調制御である。比較例1~3は各々、印刷枚数によらない165℃、175℃、185℃の一定温調制御である。
【0044】
表3は、実施例および比較例の排紙貼り付き評価の結果であり、貼り付きが発生しなかった場合には○、発生した場合には×を示している。実施例1は積載可能枚数が最も多く
、100枚積載でも排紙貼り付きが発生することは無かった。比較例1の温調温度165℃では50枚、比較例2の温調温度175℃では30枚、比較例3の温調温度185℃では50枚となった。以上より、本実施例のように温調温度を枚数毎に段階的に高くして行くことにより、貼り付き防止効果が得られることが確認された。
【表3】
【0045】
なお、本実施例は特に排紙貼り付きが発生しやすい両面プリント時において効果を確認しているが、片面プリントにおいても貼り付き防止効果を発揮できる。
【0046】
<実施例2>
続いて実施例2について説明する。本実施例の記載において、実施例1と同様の装置構成や制御内容については説明を簡略化する。本実施例では、自動両面印字の連続印字時に、プリント枚数に応じた温度制御に加え、先行紙の後続紙の互いに接触する面それぞれの画像パターンの解析結果に応じた温度制御を行うことで、先行紙と後続紙の貼り付きを防止している。
【0047】
(画像解析)
本実施例の画像解析について説明する。実施例1と同様に、本実施例の画像処理部303も、ホストコンピュータ300から受信した画像データに対してグレイスケール画像のハーフトーニング等の画像処理を行う。そして本実施例ではこの画像処理に並行して画像データの解析を行い、印字率情報を算出する。そして加熱温度制御部320は、印字率情報に応じて温調温度(加熱ヒータ113の温度)を決定する。
【0048】
画像データからの温調温度の算出方法を説明する。画像処理部303は、記録材Pの搬送方向において画像を複数の領域に分割して、領域ごとの平均印字率を算出する。そして、最も平均印字率の高い個所に合わせて記録材Pの温調温度を決定する。
【0049】
(画像印字率の解析)
図9を例として、A4サイズの記録材Pの画像データの解析の方法を説明する。画像処理部303は、記録材Pを搬送方向に領域1~領域4に4分割し、領域ごとに画像データを解析して平均印字率を算出する。具体的には、1ピクセル毎の濃度データを各領域で累積し、1ピクセルの最大濃度(濃度100%)で領域が全て埋め尽くされた状態を印字率100%とし、領域に画像形成されていない状態を印字率0%とする。
【0050】
図9では、領域1は100%濃度で全域が埋め尽くされたベタ黒であるため、印字率は100%である。領域2は50%濃度で埋め尽くされており、領域3は10%濃度で埋め尽くされているため、平均印字率は各々50%、10%である。領域4では、100%濃度でテキストが描かれており、テキストの面積は領域4のうち4%であるため、平均印字率は4%となる。なお、複数色のトナーを用いるカラー画像形成装置の場合も、色分解された画像データごとに印字率を算出して平均化を行うことで平均印字率を算出できる。
【0051】
(温調設定)
自動両面印字で連続印字を行う場合、排紙トレイ45において互いに接触する領域の印字率が両方とも高い場合、貼り付きが発生しやすい。例えば、
図10(a)が先行紙(第1の記録材)の1枚目(背面であり、第1の面)であり、
図10(b)が後続紙(第2の記録材)の2面目(表面であり、先行紙の1面目と接触する第2の面)であるとする。この場合、先行紙の全面ベタ黒領域は後続紙のテキスト領域と接触し、先行紙のテキスト領域は後続紙の全面ベタ黒領域と接触するため、貼り付きは発生しにくい。一方、先行紙の1面目および後続紙の2面目がともに
図10(a)のような画像パターンだと、平均印字率が高いベタ黒領域同士が接触するため、先行紙と後続紙の貼り付きが発生しやすくなる。
【0052】
そこで画像処理部303は、先行紙のA面の画像パターンと後続紙のB面の画像パターンを解析し、先行紙と後続紙の間で平均印字率の高い領域同士の接触の有無を判定する。そして接触の有無に応じて温調補正を行って先行紙と後続紙の貼り付きを防止する。また、排紙積載用紙温度の上昇を抑えてさらに貼り付き防止性能を良化させる。
【0053】
図11に本実施例の画像形成動作における温調制御のフローチャートを示す。プリント動作が開始すると、ステップS1で、画像処理部303は、先行紙のA面と後続紙のB面の画像データを、遅くとも後続紙の給紙の前に解析し、搬送方向に4分割した各領域の平均印字率を算出する。
【0054】
ステップS2にて、排紙トレイ上で接触する可能性のある先行紙と後続紙の領域同士について、少なくともいずれか一方の平均印字率がある閾値未満であるかどうかを判定する。ここでは閾値となる平均印字率(印字率閾値)を40%とする。この条件が満たされれば(S2=YES)、排紙貼り付きが発生しにくいため、ステップS3に進み、後続紙の温度調節の補正は行わずに温調170℃に設定し、プリント処理に進む。
一方、先行紙のA面と後続紙のB面の接触する領域同士を比較し、平均印字率が両方とも閾値以上となるような領域がある場合(S2=NO)、ステップS4に進む。
【0055】
ステップS4にて、加熱温度制御部320は、ジョブ中の枚数カウントに応じた温調補正を行う。温調補正は、全ての画像パターンにおいて温調補正が必要であるとした場合の制御とした。具体的には、1~30枚を170℃、31~72枚が175℃、そして73枚目以降が180℃の制御とした。なお、先行紙の温調設定は、平均印字率によらず、ジョブのプリント枚数による温調補正を行えば良い。
そしてステップS5において、決定された温調温度でプリントを実行する。
【0056】
本実施例のように先行紙のA面の画像パターンと後続紙のB面の画像パターンを解析し、後続紙の温調補正制御を決定することで、用紙温度の不要な上昇を避けつつ、先行紙と後続紙の貼り付きを防止できるため、多くの用紙が積載可能となる。
【0057】
(本実施例の効果)
図12は、本実施例の効果確認のための比較実験で用いた画像パターンを示す。先行紙と後続紙の間で、平均印字率に基づき温調補正が必要と判定される組み合わせを「A」とし、温調補正が不要な組み合わせを「B」とする。このとき、以下の3種類の条件を設定する。
条件1:AとBが交互に続くプリント(ABAB…)
条件2:組み合わせAが1回、組み合わせBが2回続くプリント(ABBABB…)
条件3:組み合わせAが1回、組み合わせBが3回続くプリント(ABBBABBB…)
【0058】
表4は、各条件で連続印字を行い、100枚積載した時の排紙積載用紙温度と、貼り付
きなく積載できた枚数を確認した結果を示す。
【表4】
表4には比較例1~3の確認結果も掲載した。比較例1~3はそれぞれ、条件1~条件3と画像パターンは同じであるが、画像パターンに応じた上記フローの温調設定は行わず、プリント枚数のみに基づいた温調設定を行った場合である。具体的には、比較例1~3では、両面ともに全ての温調設定を、1~30枚:170℃、31~72枚:175℃、73枚~:180℃、とした。
【0059】
条件1と比較例1、条件2と比較例2、条件3と比較例3を各々比べると、いずれの条件も、100枚排紙積載時の排紙積載用紙温度が比較例よりも低く、かつ積載可能枚数が多い。また、条件1、2、3間で比較をすると、積載可能枚数は条件3>条件2>条件1の順で多くなり、100枚排紙積載したときの排紙積載用紙温度は条件1>条件2>条件3の順で高くなる。すなわち、「B」の組み合わせが多い条件3において、最も排紙貼り付きが発生しにくく、本実施例の効果が大きいことが分かる。これは、「B」の組み合わせではプリント枚数による温調温度を高くする制御(温調補正)が不要であることによる。
【0060】
以上より、本実施例の温調補正はいずれの条件でも効果を発揮するが、特にプリント枚数による温調補正が不要な画像パターンのジョブ中枚数が多い方が、排紙貼り付きが最も発生しにくいことが分かる。したがって、必要な場合のみ温調補正を行う方が、より効果が高まることが確認された。
なお、実施例2では、2面目の温調温度設定を調整したが、1面目の補正だけを行う場合においても同様の効果が得られる。また、領域の分割数や分割方法、温度設定や補正の程度などの諸条件は、装置構成や性能に応じて適宜定めることができる。
【0061】
<実施例3>
続いて実施例3について説明する。本実施例の記載において、上記各実施例と同様の装置構成や制御内容については説明を簡略化する。本実施例では、環境温度とジョブ中のプリント枚数に応じて、定着ニップ通過直後の用紙温度を上げて先行紙と後続紙の貼り付きを防止することを特徴としている。
【0062】
(環境検知)
図13に示すように、本実施例の画像形成装置は環境センサ17を備える。ここでは環境センサ17として環境温度検知サーミスタを用いる。環境センサ17の電気的な環境検知情報は、不図示のA/Dコンバータを介してエンジン制御部302に入力される。エンジン制御部302は環境センサ17から入力する環境検知情報に基づいて制御を行う。
【0063】
(温調設定)
ここで、排紙積載用紙温度は環境温度によって変化する。そこで本実施例では、各環境温度によってプリント枚数に応じた温調補正のタイミングを変える。具体的には高温環境下では切り替えタイミングを早くし、低温環境では切り替えタイミングを遅くする。
【0064】
本実施例では、実施例1と同様の方法で温調温度条件を変えて自動両面連続印字試験を行い、環境温度ごとの設定値を決定した。温度に関しては低温(15℃)、常温(23℃)、高温(32℃)それぞれについて試験を行った。
図14A~
図14Cは、環境温度ごとの排紙積載用紙温度(測定時のMAX温度)と積載枚数の関係を示し、それぞれ低温、常温、高温に対応する。表5は、環境温度ごとの排紙貼り付きが発生した排紙積載用紙温度(貼り付き温度閾値)と、貼り付き無く積載できた枚数を示す。これらから分かるように、環境温度が高いほど、排紙積載用紙温度が高くなりやすい。
【表5】
【0065】
以上の結果を踏まえ、本実施例では、表6(環境温度15℃)、表7(環境温度23℃)、および表8(環境温度32℃)に示すような温調設定とした。ここでは各環境温度において、排紙積載用紙温度の閾値を超える前に温調温度を5℃高くする設定にした。
【表6】
【表7】
【表8】
【0066】
(本実施例の効果)
本実施例の効果を確認するため、各環境温度下で表6~表8の温調設定として試験を行った。本実施例でも実施例1と同様に、
図5のパターンを連続で印字した。そして排紙され重なったままの状態で5分間冷却した後、記録材の排紙貼り付きの有無を確認した。比較対象としての比較例は、環境温度を32℃の高温環境とした上で、温調切り替えタイミングは23℃の場合と同様にした。
【0067】
表9に、効果確認結果を示す。環境温度15℃、および23℃の場合は、貼り付きが発生しなかった。また、環境温度32℃の場合でも、積載可能枚数が80枚に達した。一方、比較例における積載可能枚数は10枚であった。したがって本実施例の表8に示したように温調温度の切り替えタイミングを早くすることにより、高温環境下であっても積載可能枚数を増やすことができた。また、常温(環境温度23℃)と比較して、低温(環境温度15℃)では切り替えタイミングを遅くしても貼り付きが発生しておらず、低温では切り替えタイミングを遅くしても排紙貼り付きが発生しないことが確認できた。
【表9】
本実施例は、さらに実施例2のように印字率情報と組み合わせて制御を行うと、さらに効果的である。
【符号の説明】
【0068】
1:感光ドラム、3:露光装置、5:現像機、10:転写ローラ、50:画像形成装置、100:加熱装置、320:加熱温度制御部