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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-08
(45)【発行日】2024-03-18
(54)【発明の名称】錠剤印刷装置および錠剤印刷方法
(51)【国際特許分類】
   A61J 3/06 20060101AFI20240311BHJP
   B05C 11/00 20060101ALI20240311BHJP
   B05C 11/10 20060101ALI20240311BHJP
   B05C 13/02 20060101ALI20240311BHJP
   B05D 7/00 20060101ALI20240311BHJP
   B05D 3/00 20060101ALI20240311BHJP
   B05C 5/00 20060101ALN20240311BHJP
【FI】
A61J3/06 Q
A61J3/06 R
B05C11/00
B05C11/10
B05C13/02
B05D7/00 K
B05D3/00 D
B05C5/00 101
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020156539
(22)【出願日】2020-09-17
(65)【公開番号】P2022050122
(43)【公開日】2022-03-30
【審査請求日】2023-06-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100135013
【弁理士】
【氏名又は名称】西田 隆美
(72)【発明者】
【氏名】疋田 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】谷口 和隆
【審査官】村上 勝見
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-202369(JP,A)
【文献】特許第6737487(JP,B1)
【文献】国際公開第2019/039300(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 3/06
B05C 11/00
B05C 11/10
B05C 13/02
B05D 7/00
B05D 3/00
B05C 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
錠剤を搬送しつつ錠剤の表面に印刷を行う錠剤印刷装置であって、
錠剤を搬送する搬送機構と、
前記搬送機構により搬送される錠剤を撮影して、撮影画像を取得する撮像部と、
前記撮影画像に対して、次元削減と再構成とを行うことにより、再構成画像を出力するオートエンコーダと、
前記再構成画像に基づいて、錠剤の形状、位置、および回転角度の少なくとも1つを判定する判定部と、
前記判定部の判定結果に基づいて、錠剤の表面に印刷を行う印刷部と、
前記再構成画像に基づいて、錠剤の検査領域を設定する検査領域設定部と、
前記撮影画像の、前記検査領域設定部により設定された前記検査領域において、錠剤の欠陥を検査する検査部と、
を備え、
前記オートエンコーダは、入力される錠剤の画像と出力される錠剤の画像との差が小さくなるように、予め機械学習により調整されたパラメータを使用して、前記次元削減および前記再構成を行う、錠剤印刷装置。
【請求項2】
請求項1に記載の錠剤印刷装置であって、
前記判定部は、前記再構成画像に含まれる錠剤の割線に基づいて、錠剤の回転角度を判定する、錠剤印刷装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の錠剤印刷装置であって、
前記検査領域設定部は、前記再構成画像に基づいて複数の前記検査領域を設定し、
前記検査部は、前記検査領域毎に異なる閾値を用いて、錠剤の欠陥を検査する、錠剤印刷装置。
【請求項4】
請求項に記載の錠剤印刷装置であって、
前記複数の検査領域は、錠剤のエッジに相当する領域を含む、錠剤印刷装置。
【請求項5】
錠剤を搬送しつつ錠剤の表面に印刷を行う錠剤印刷方法であって、
a)次元削減と再構成とを行うオートエンコーダに、錠剤の画像を入力し、入力される錠剤の画像と出力される錠剤の再構成画像との差が小さくなるように、前記オートエンコーダのパラメータを調整する工程と、
b)錠剤を搬送しつつ、錠剤を撮影して、撮影画像を取得する工程と、
c)前記工程a)において前記パラメータが調整済みの前記オートエンコーダに、前記撮影画像を入力し、前記オートエンコーダから出力される再構成画像を得る工程と、
d)前記再構成画像に基づいて、錠剤の形状、位置、および回転角度の少なくとも1つを判定する工程と、
e)前記工程d)の判定結果に基づいて、錠剤の表面に印刷を行う工程と、
f)前記再構成画像に基づいて、錠剤の検査領域を設定する工程と、
g)前記撮影画像の、前記工程f)により設定された前記検査領域において、錠剤の欠陥を検査する工程と、
を備える、錠剤印刷方法。
【請求項6】
請求項に記載の錠剤印刷方法であって、
前記工程d)では、前記再構成画像に含まれる錠剤の割線に基づいて、錠剤の回転角度を判定する、錠剤印刷方法。
【請求項7】
請求項5または請求項6に記載の錠剤印刷方法であって、
前記工程f)では、前記再構成画像に基づいて複数の前記検査領域を設定し、
前記工程g)では、前記検査領域毎に異なる閾値を用いて、錠剤の欠陥を検査する、錠剤印刷方法。
【請求項8】
請求項に記載の錠剤印刷方法であって、
前記複数の検査領域は、錠剤のエッジに相当する領域を含む、錠剤印刷方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、錠剤を搬送しつつ錠剤の表面に印刷を行う錠剤印刷装置および錠剤印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医薬品やサプリメントなどの錠剤の表面に、文字やロゴマークなどの画像を、インクジェット方式で印刷する錠剤印刷装置が知られている。従来の錠剤印刷装置については、例えば、特許文献1に記載されている。
【0003】
錠剤印刷装置では、複数の錠剤を整列した状態で搬送しつつ、各錠剤を撮影する。そして、得られた撮影画像に基づいて、錠剤ごとに、形状、位置、回転角度などを判定する。その後、上記の判定結果に応じて、各錠剤に吐出するインク滴の位置を微調整しつつ、錠剤に印刷を行う。例えば、特許文献1の装置では、錠剤の撮影画像に基づいて、錠剤の割線の回転角度を判定し、割線に沿うように印刷を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-200495号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、この種の錠剤印刷装置において搬送される複数の錠剤は、その形状や表面状態が厳密に一定ではない。このため、錠剤の撮影画像において、錠剤の表面に不規則な光沢や、薬剤成分の粗さによるざらつきなどが現れる場合がある。また、一部の錠剤には、欠けや黒点などの欠陥が存在する場合もある。したがって、これらの光沢、ざらつき、または欠陥の影響によって、錠剤の形状、位置、または回転角度を、精度よく判定できない場合がある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、錠剤の形状、位置、または回転角度を、精度よく判定し、それにより、錠剤の表面に精度よく印刷を行うことができる、錠剤印刷装置および錠剤印刷方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本願の第1発明は、錠剤を搬送しつつ錠剤の表面に印刷を行う錠剤印刷装置であって、錠剤を搬送する搬送機構と、前記搬送機構により搬送される錠剤を撮影して、撮影画像を取得する撮像部と、前記撮影画像に対して、次元削減と再構成とを行うことにより、再構成画像を出力するオートエンコーダと、前記再構成画像に基づいて、錠剤の形状、位置、および回転角度の少なくとも1つを判定する判定部と、前記判定部の判定結果に基づいて、錠剤の表面に印刷を行う印刷部と、前記再構成画像に基づいて、錠剤の検査領域を設定する検査領域設定部と、前記撮影画像の、前記検査領域設定部により設定された前記検査領域において、錠剤の欠陥を検査する検査部と、を備え、前記オートエンコーダは、入力される錠剤の画像と出力される錠剤の画像との差が小さくなるように、予め機械学習により調整されたパラメータを使用して、前記次元削減および前記再構成を行う。
【0008】
本願の第2発明は、第1発明の錠剤印刷装置であって、前記判定部は、前記再構成画像に含まれる錠剤の割線に基づいて、錠剤の回転角度を判定する。
【0010】
本願の第発明は、第1発明または第2発明の錠剤印刷装置であって、前記検査領域設定部は、前記再構成画像に基づいて複数の前記検査領域を設定し、前記検査部は、前記検査領域毎に異なる条件で、錠剤の欠陥を検査する。
【0011】
本願の第発明は、第発明の錠剤印刷装置であって、前記複数の検査領域は、錠剤のエッジに相当する領域を含む。
【0012】
本願の第発明は、錠剤を搬送しつつ錠剤の表面に印刷を行う錠剤印刷方法であって、a)次元削減と再構成とを行うオートエンコーダに、錠剤の画像を入力し、入力される錠剤の画像と出力される錠剤の再構成画像との差が小さくなるように、前記オートエンコーダのパラメータを調整する工程と、b)錠剤を搬送しつつ、錠剤を撮影して、撮影画像を取得する工程と、c)前記工程a)において前記パラメータが調整済みの前記オートエンコーダに、前記撮影画像を入力し、前記オートエンコーダから出力される再構成画像を得る工程と、d)前記再構成画像に基づいて、錠剤の形状、位置、および回転角度の少なくとも1つを判定する工程と、e)前記工程d)の判定結果に基づいて、錠剤の表面に印刷を行う工程と、f)前記再構成画像に基づいて、錠剤の検査領域を設定する工程と、g)前記撮影画像の、前記工程f)により設定された前記検査領域において、錠剤の欠陥を検査する工程と、を備える。
【0013】
本願の第発明は、第発明の錠剤印刷方法であって、前記工程d)では、前記再構成画像に含まれる錠剤の割線に基づいて、錠剤の回転角度を判定する。
【0015】
本願の第発明は、第5発明または第6発明の錠剤印刷方法であって、前記工程f)では、前記再構成画像に基づいて複数の前記検査領域を設定し、前記工程g)では、前記検査領域毎に異なる閾値を用いて、錠剤の欠陥を検査する。
【0016】
本願の第発明は、第発明の錠剤印刷方法であって、前記複数の検査領域は、錠剤のエッジに相当する領域を含む。
【発明の効果】
【0017】
本願の第1発明~第発明によれば、オートエンコーダにより、撮影画像から光沢、ざらつき、欠陥などのランダムな要素が低減された再構成画像を生成できる。このため、再構成画像に基づいて、錠剤の形状、位置、または回転角度を、精度よく判定できる。したがって、錠剤の表面に精度よく印刷を行うことができる。
【0018】
また、本願の第1発明~第8発明によれば、再構成画像に基づいて、検査領域を精度よく設定できる。したがって、錠剤の欠陥を、精度よく検査できる。
【0019】
特に、本願の第発明または第発明によれば、再構成画像に基づいて、複数の検査領域を精度よく設定できる。
【0020】
特に、本願の第発明または第発明によれば、ズレが生じやすい錠剤のエッジに相当する検査領域を、再構成画像を使用することにより、精度よく設定できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】錠剤印刷装置の構成を示した図である。
図2】搬送機構の部分斜視図である。
図3】ヘッドの下面図である。
図4】コンピュータと、錠剤印刷装置の各部との電気的接続を示したブロック図である。
図5】コンピュータの機能を概念的に示したブロック図である。
図6】オートエンコーダが実行する次元削減と再構成の処理を、概念的に示した図である。
図7】検査領域の例を示した図である。
図8】機械学習の流れを示すフローチャートである。
図9】印刷処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明においては、複数の錠剤が搬送される方向を「搬送方向」と称し、搬送方向に対して垂直かつ水平な方向を「幅方向」と称する。
【0023】
<1.印刷装置の全体構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る錠剤印刷装置1の構成を示した図である。この錠剤印刷装置1は、複数の錠剤9を搬送しながら、各錠剤9の表面に、製品名、製品コード、会社名、ロゴマーク等の画像を印刷する装置である。図1に示すように、本実施形態の錠剤印刷装置1は、搬送機構10、第1撮像部20、印刷部30、第2撮像部40、不良品排出部50、良品排出部60、およびコンピュータ70を備えている。
【0024】
搬送機構10は、複数の錠剤9を整列した状態で保持しつつ搬送する機構である。搬送機構10は、一対のプーリ11と、一対のプーリ11の間に架け渡された環状の搬送ベルト12とを有する。錠剤印刷装置1に投入された複数の錠剤9は、振動フィーダや搬送ドラム等により構成される搬入機構80によって、等間隔に整列されるとともに、搬送ベルト12の表面に供給される。一対のプーリ11の一方は、搬送用モータ13から得られる動力により回転する。これにより、搬送ベルト12が、図1中の矢印の方向に回動する。このとき、一対のプーリ11の他方は、搬送ベルト12の回動に伴い従動回転する。
【0025】
図2は、搬送機構10の部分斜視図である。図2に示すように、搬送ベルト12には、複数の吸着孔14が設けられている。複数の吸着孔14は、搬送方向および幅方向に、等間隔に配列されている。また、図1に示すように、搬送機構10は、搬送ベルト12の内側の空間から気体を吸い出す吸引機構15を有する。吸引機構15を動作させると、搬送ベルト12の内側の空間が、大気圧よりも低い負圧となる。複数の錠剤9は、この負圧によって、吸着孔14に吸着保持される。
【0026】
このように、複数の錠剤9は、搬送ベルト12の表面に、搬送方向および幅方向に整列した状態で保持される。そして、搬送機構10は、搬送ベルト12を回動させることによって、複数の錠剤9を搬送方向に搬送する。後述する4つのヘッド31の下方では、複数の錠剤9は、水平方向に搬送される。
【0027】
第1撮像部20は、印刷前の錠剤9の撮影画像を取得する部位である。第1撮像部20は、搬入機構80よりも搬送経路の下流側かつ後述する印刷位置P2よりも搬送経路の上流側の第1撮像位置P1において、搬送ベルト12により搬送される複数の錠剤9を、上方から撮影する。第1撮像部20には、例えば、CCDやCMOS等の撮像素子が幅方向に配列されたラインセンサが用いられる。ただし、第1撮像部20に、エリアセンサ等の他の撮像装置が用いられていてもよい。撮影により取得された撮影画像は、第1撮像部20から後述するコンピュータ70へ送信される。コンピュータ70は、第1撮像部20から得られた撮影画像に基づいて、各吸着孔14における錠剤9の有無、錠剤9の位置、錠剤9の回転角度、および錠剤9に欠け等の欠陥が無いかどうか等を検査する。
【0028】
印刷部30は、第1撮像位置P1よりも搬送経路の下流側かつ後述する第2撮像位置P3よりも搬送経路の上流側の印刷位置P2において、錠剤9の表面に、インクジェット方式で画像を印刷する処理部である。図1に示すように、本実施形態の印刷部30は、4つのヘッド31を有する。4つのヘッド31は、搬送ベルト12の上方に位置し、錠剤9の搬送方向に沿って、一列に配置されている。4つのヘッド31は、錠剤9の表面に向けて、互いに異なる色(例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、およびブラックの各色)のインク滴を吐出する。すると、これらの各色により形成される単色画像の重ね合わせによって、錠剤9の表面に、多色画像が印刷される。なお、各ヘッド31から吐出されるインクには、日本薬局方、食品衛生法等で認可された原料により製造された可食性インクが使用される。
【0029】
図3は、1つのヘッド31の下面図である。図3には、搬送ベルト12と、搬送ベルト12に保持された複数の錠剤9とが、二点鎖線で示されている。図3中に拡大して示したように、ヘッド31の下面である吐出面310には、インク滴を吐出可能な複数のノズル311が設けられている。本実施形態では、ヘッド31の下面に、複数のノズル311が、搬送方向および幅方向に二次元的に配列されている。各ノズル311は、幅方向に位置をずらして配列されている。このように、複数のノズル311を二次元的に配置すれば、各ノズル311の幅方向の位置を、互いに接近させることができる。ただし、複数のノズル311は、幅方向に沿って一列に配列されていてもよい。
【0030】
ノズル311からのインク滴の吐出方式には、例えば、ピエゾ素子に電圧を加えて変形させることにより、ノズル311内のインクを加圧して吐出する、いわゆるピエゾ方式が用いられる。ただし、インク滴の吐出方式は、ヒータに通電してノズル311内のインクを加熱膨張させることにより吐出する、いわゆるサーマル方式であってもよい。
【0031】
第2撮像部40は、印刷後の錠剤9の撮影画像を取得する部位である。第2撮像部40は、印刷位置P2よりも搬送経路の下流側かつ後述する不良品排出位置P4よりも搬送経路の上流側の第2撮像位置P3において、搬送ベルト12により搬送される複数の錠剤9を、上方から撮影する。撮像部40には、例えば、CCDやCMOS等の撮像素子が幅方向に配列されたラインセンサが用いられる。ただし、第2撮像部40に、エリアセンサ等の他の撮像装置が用いられていてもよい。撮影により取得された撮影画像は、第2撮像部40から後述するコンピュータ70へ送信される。コンピュータ70は、第2撮像部40から得られた第2撮影画像に基づいて、錠剤9の表面に形成された印刷画像の良否を検査する。
【0032】
不良品排出部50は、第2撮像位置P3よりも搬送経路の下流側かつ後述する良品排出位置P5よりも搬送経路の上流側の不良品排出位置P4において、不良品と判定された錠剤9を排出する部位である。不良品排出部50は、搬送ベルト12の内側に配置された不良品ブロー機構51と、不良品ブロー機構51から搬送ベルト12をはさんで下方に配置された不良品回収部52とを有する。不良品ブロー機構51は、搬送ベルト12の複数の吸着孔14のうち、不良品と判定された錠剤9を保持する吸着孔14のみに、気体を吹き付ける。そうすると、当該吸着孔14が、大気圧よりも高い陽圧となる。これにより、当該吸着孔14における錠剤9の吸着が解除され、搬送ベルト12から不良品回収部52へ、不良品と判定された錠剤9が落下する。
【0033】
良品排出部60は、不良品排出位置P4よりも搬送経路の下流側の良品排出位置P5において、良品と判定された錠剤9を排出する部位である。良品排出部60は、搬送ベルト12の内側に配置された良品ブロー機構61と、良品ブロー機構61から搬送ベルト12をはさんで下方に配置された良品回収部62とを有する。良品ブロー機構61は、搬送ベルト12の複数の吸着孔14へ向けて、気体を吹き付ける。そうすると、当該吸着孔14が、大気圧よりも高い陽圧となる。これにより、当該吸着孔14における錠剤9の吸着が解除され、搬送ベルト12から良品回収部62へ、良品と判定された錠剤9が落下する。
【0034】
コンピュータ70は、錠剤印刷装置1内の各部の動作制御と、後述する機械学習とを行うための情報処理装置である。図4は、コンピュータ70と、錠剤印刷装置1の各部との電気的接続を示したブロック図である。図4中に概念的に示したように、コンピュータ70は、CPU等のプロセッサ701、RAM等のメモリ702、およびハードディスクドライブ等の記憶部703を有する。記憶部703内には、印刷処理および後述する機械学習を実行するためのコンピュータプログラムCPが、記憶されている。また、記憶部703内には、機械学習により得られる学習済みモデルMも記憶される。
【0035】
コンピュータ70は、上述した搬送機構10、第1撮像部20、4つのヘッド31、第2撮像部40、不良品ブロー機構51、良品ブロー機構61、および搬入機構80と、有線または無線により通信可能に接続されている。コンピュータ70は、コンピュータプログラムCPおよび学習済みモデルMに従って、これらの各部を動作制御する。
【0036】
<2.コンピュータについて>
図5は、上述したコンピュータ70の機能を、概念的に示したブロック図である。図5に示すように、コンピュータ70は、オートエンコーダ71、判定部72、印刷指示部73、検査領域設定部74、および検査部75を有する。オートエンコーダ71、判定部72、印刷指示部73、検査領域設定部74、および検査部75の各機能は、コンピュータ70のプロセッサ701が、コンピュータプログラムCPに従って動作することにより実現される。
【0037】
オートエンコーダ71は、入力される撮影画像D1に対して、多層ニューラルネットワークによる次元削減(エンコード)と再構成(デコード)とを行うことにより、再構成画像D3を出力する処理部である。図6は、オートエンコーダ71が実行する次元削減と再構成の処理を、概念的に示した図である。
【0038】
図6に示すように、次元削減は、入力された高次元の撮影画像D1を、潜在変数D2と呼ばれる低次元のデータに圧縮する処理である。再構成は、潜在変数D2から、錠剤9の画像を再現して再構成画像D3を生成する処理である。オートエンコーダ71は、次元削減の処理において、錠剤9の形状、色、割線の向きなどの本質的な情報を残しつつ、光沢、ざらつき、欠陥などのランダムな情報を削減する。このため、再構成により生成される再構成画像D3は、光沢、ざらつき、欠陥などのランダムな要素が低減された錠剤9の画像となる。
【0039】
オートエンコーダ71は、機械学習を行うことにより、次元削減および再構成の各処理に使用されるパラメータを調整可能である。機械学習では、多数の良品の錠剤9の撮影画像D1を使用し、オートエンコーダ71へ入力する錠剤9の撮影画像D1と、オートエンコーダ71から出力される錠剤9の再構成画像D3との差が小さくなるように、次元削減および再構成のパラメータを調整する。これにより、調整されたパラメータを含む学習済みモデルMが得られる。
【0040】
学習済みモデルMは、コンピュータ70の記憶部703に記憶される。錠剤印刷装置1において錠剤9の印刷処理を行うときには、オートエンコーダ71は、事前の機械学習により得られた学習済みモデルMが示すパラメータを使用して、次元削減および再構成の処理を実行する。したがって、第1撮像部20が取得した錠剤9の撮影画像D1をオートエンコーダ71へ入力すると、光沢、ざらつき、欠陥などのランダムな要素が低減された錠剤9の再構成画像D3を、オートエンコーダ71から出力することができる。
【0041】
判定部72は、搬送機構10により搬送される錠剤9の形状、位置、および回転角度を判定する処理部である。判定部72は、オートエンコーダ71から出力される再構成画像D3に対して、画像処理を行うことにより、錠剤9の形状、位置、および回転角度を判定する。具体的には、判定部72は、再構成画像D3から錠剤9のエッジに相当する部分を抽出し、そのエッジの形状および位置に基づいて、錠剤9の形状および位置を判定する。また、判定部72は、再構成画像D3から錠剤9の割線に相当する部分を抽出し、その割線の形状および位置に基づいて、錠剤9の回転角度を判定する。なお、本願において「回転角度」とは、錠剤9の中心を通り、かつ、搬送方向および幅方向に対して垂直な軸に対する錠剤9の回転角度を意味する。判定部72は、これらの判定結果D4を、印刷指示部73へ出力する。
【0042】
印刷指示部73は、印刷部30に、インクの吐出処理を実行させるための処理部である。印刷指示部73には、判定部72の判定結果D4と、錠剤9に印刷すべき画像を示す画像データD5とが、入力される。印刷指示部73は、判定部72から入力される判定結果D4に応じて、画像データD5を調整する。具体的には、印刷指示部73は、判定結果D4により示される錠剤9の位置に応じて、画像データD5の座標をずらす。また、印刷指示部73は、判定結果D4により示される錠剤9の回転角度に応じて、画像データD5を回転させる。そして、印刷指示部73は、調整後の画像データD5に基づいて、印刷部30の複数のヘッド31に、印刷指示D6を出力する。
【0043】
複数のヘッド31は、印刷指示部73から出力される印刷指示D6に基づいて、搬送される錠剤9の上面にインク滴を吐出する。これにより、錠剤9の表面の適切な位置に、適切な回転角度で、画像が印刷される。
【0044】
なお、コンピュータ70の記憶部703に、回転角度が異なる複数の画像データD5を、予め記憶させておいてもよい。その場合、印刷指示部73は、判定結果D4が示す錠剤9の回転角度に応じて、記憶部703から、適切な回転角度の画像データD5を選択して読み出してもよい。このようにすれば、画像データD5の回転にかかるコンピュータ70の処理負担を軽減できる。
【0045】
検査領域設定部74は、撮影画像D1の検査すべき領域(以下「検査領域」と称する)を設定するための処理部である。図7は、撮影画像D1の検査領域の例を示した図である。図7の例では、撮影画像D1に対して、錠剤9のエッジに相当する検査領域A1と、錠剤9の割線とエッジとに囲まれた半円状の2つの検査領域A2,A3と、錠剤9の側面に相当する検査領域A4とが、設定されている。検査領域設定部74は、オートエンコーダ71から出力される再構成画像D3において、画像処理により、錠剤9のエッジに相当する部分および割線に相当する部分の座標を特定する。そして、特定された座標に基づいて、撮影画像D1における複数の検査領域A1~A4を設定する。すなわち、検査対象となる画像は撮影画像D1であるが、検査領域設定部74は、その撮影画像D1における検査領域A1~A4の設定を、再構成画像D3を利用して行う。
【0046】
検査部75は、撮影画像D1に基づいて、錠剤9の欠陥を検査する処理部である。検査対象となる撮影画像D1は、第1撮像部20により取得される印刷前の錠剤9の画像であってもよく、第2撮像部40により取得される印刷後の錠剤9の画像であってもよい。検査部75は、撮影画像D1中の、上述した検査領域設定部74により設定された複数の検査領域A1~A4のそれぞれにおいて、錠剤9の欠陥を検査する。
【0047】
検査の方法は、例えば、撮影画像D1と、正常な錠剤9の画像である参照画像とを比較し、両画像の画素値の差が、予め設定された閾値よりも大きい部分を、欠陥として検出する。あるいは、撮影画像D1と、オートエンコーダ71から出力される再構成画像D3とを比較し、両画像の画素値の差が、予め設定された閾値よりも大きい部分を、欠陥として検出してもよい。
【0048】
本実施形態では、1つの撮影画像D1に対して、複数の検査領域A1~A4が設定される。このため、検査領域A1~A4毎に異なる条件で、錠剤9の欠陥を検査できる。例えば、誤検出が発生しやすい検査領域については、閾値を緩めることができる。また、誤検出が発生しにくい検査領域については、閾値を厳しくすることができる。これにより、欠陥の誤検出を抑制しつつ、精度のよい検査を行うことができる。ただし、1つの撮影画像D1に対して、検査領域設定部74により設定される検査領域の数は、1つであってもよい。
【0049】
<3.機械学習について>
続いて、オートエンコーダ71において行われる機械学習について、説明する。図8は、機械学習の流れを示すフローチャートである。この機械学習は、錠剤印刷装置1において複数の錠剤9に対する印刷処理が実行される前に、予め実行される。
【0050】
機械学習を行うときには、欠陥のない良品の錠剤9の撮影画像D1を、多数(例えば、100~1000枚)用意する。そして、図8に示すように、良品の錠剤9の撮影画像D1を、オートエンコーダ71に入力する(ステップS1)。オートエンコーダ71は、入力された撮影画像D1に対して、次元削減と再構成の処理を実行することにより、再構成画像D3を生成する(ステップS2)。オートエンコーダ71から再構成画像D3が出力されると、コンピュータ70は、機械学習のアルゴリズムに基づき、撮影画像D1と再構成画像D3との差分が小さくなるように、次元削減および再構成の各処理のパラメータを調整する(ステップS3)。
【0051】
コンピュータ70は、上記のステップS1~S3の処理を、所定の終了条件が満たされるまで繰り返す(ステップS4:No)。終了条件は、例えば、撮影画像D1と再構成画像D3との差分が、予め設定された許容範囲内に収束すること、とすればよい。また、終了条件は、ステップS1~S3の学習処理の繰り返し実行回数が、予め設定された回数に到達すること、としてもよい。
【0052】
やがて、終了条件が満たされると、コンピュータ70は、機械学習を終了する(ステップS4:Yes)。これにより、調整されたパラメータを含む学習済みモデルMが得られる。学習済みモデルMを得たオートエンコーダ71は、錠剤9の撮影画像D1を、光沢、ざらつき、欠陥などのランダムな要素が低減された錠剤9の再構成画像D3に変換して出力することが可能となる。
【0053】
<4.印刷処理について>
続いて、上述した機械学習の完了後に、錠剤印刷装置1において実行される印刷処理について説明する。図9は、印刷処理の流れを示したフローチャートである。なお、この錠剤印刷装置1は、複数の錠剤9を順次に搬送しつつ処理を行うものであるが、図9では、1つの錠剤9に着目したときの処理の流れが示されている。
【0054】
印刷処理の実行時には、まず、搬入機構80を介して搬送ベルト12の上面に、錠剤9が搬入される(ステップS5)。そして、搬送ベルト12の回動により、錠剤9が、搬送方向の下流側へ向けて搬送される。錠剤9が搬送経路上の第1撮像位置P1に到達すると、第1撮像部20は、錠剤9を撮影する。これにより、第1撮像部20は、印刷前の錠剤9の撮影画像D1を取得する(ステップS6)。第1撮像部20は、得られた撮影画像D1を、コンピュータ70へ送信する。
【0055】
コンピュータ70は、第1撮像部20から得られた撮影画像D1を、オートエンコーダ71へ入力する。オートエンコーダ71は、入力された撮影画像D1に対して、学習済みモデルMが示すパラメータを用いて、次元削減および再構成の処理を行う。これにより、光沢、ざらつき、欠陥などのランダムな要素が低減された錠剤9の再構成画像D3が生成される(ステップS7)。オートエンコーダ71は、生成された再構成画像D3を、判定部72および検査領域設定部74へ出力する。
【0056】
続いて、判定部72が、再構成画像D3に対して画像処理を行うことにより、錠剤9の形状、位置、および回転角度を判定する(ステップS8)。具体的には、判定部72は、再構成画像D3から錠剤9のエッジに相当する部分を抽出し、そのエッジの形状および位置に基づいて、錠剤9の形状および位置を判定する。また、判定部72は、再構成画像D3から錠剤9の割線に相当する部分を抽出し、その割線の形状および位置に基づいて、錠剤9の回転角度を判定する。そして、判定部72は、これらの判定結果D4を、印刷指示部73へ出力する。
【0057】
このように、判定部72は、撮影画像D1ではなく、再構成画像D3に基づいて、錠剤9の形状、位置、および回転角度を判定する。このため、光沢、ざらつき、欠陥などのランダムな要素の影響を抑えて、錠剤9の形状、位置、および回転角度を、精度よく判定できる。
【0058】
続いて、印刷指示部73が、判定部72から入力される判定結果D4に応じて、画像データD5を調整する(ステップS9)。具体的には、印刷指示部73は、判定結果D4により示される錠剤9の位置に応じて、画像データD5の座標をずらす。また、印刷指示部73は、判定結果D4により示される錠剤9の回転角度に応じて、画像データD5を回転させる。そして、印刷指示部73は、調整後の画像データD5に基づいて、印刷部30の複数のヘッド31に、印刷指示D6を出力する。
【0059】
錠剤9が搬送経路上の印刷位置P2に到達すると、複数のヘッド31は、印刷指示部73から出力される印刷指示D6に従って、錠剤9の上面にインク滴を吐出する。これにより、画像データD5により示される画像が、錠剤9の表面の適切な位置に、適切な回転角度で、印刷される(ステップS10)。
【0060】
その後、錠剤9が搬送経路上の第2撮像位置P3に到達すると、第2撮像部40が、錠剤9を撮影する。これにより、第2撮像部40は、印刷後の錠剤9の撮影画像D1を取得する(ステップS11)。第2撮像部40は、得られた撮影画像D1を、コンピュータ70へ送信する。
【0061】
続いて、コンピュータ70の検査領域設定部74が、撮影画像D1に対して検査領域A1~A4を設定する(ステップS12)。ここでは、検査対象となる撮影画像D1は、第1撮像部20から得られる印刷前の錠剤9の画像と、第2撮像部40から得られる印刷後の錠剤9の画像との両方とする。検査領域設定部74は、オートエンコーダ71から出力される再構成画像D3に基づいて、複数の検査領域A1~A4を設定する。このため、光沢、ざらつき、欠陥などのランダムな要素の影響を抑えて、複数の検査領域A1~A4を精度よく設定できる。特に、錠剤9のエッジに相当する検査領域A1は、撮影画像D1自体に基づいて設定すると、錠剤9の光沢、ざらつき、欠けなどの影響を受けることにより、ズレが生じやすい。しかしながら、再構成画像D3を利用すれば、錠剤9の光沢、ざらつき、または欠けの影響を抑えて、検査領域A1を、精度よく設定できる。
【0062】
その後、コンピュータ70の検査部75は、撮影画像D1中の、上述したステップS12において設定された複数の検査領域A1~A4のそれぞれにおいて、錠剤9の欠陥を検査する(ステップS13)。これにより、その錠剤9が、欠陥のない良品であるか、あるいは、欠陥がある不良品であるかを判定する。上記の通り、複数の検査領域A1~A4は、再構成画像D3に基づいて、精度よく設定されている。このため、検査部75は、各領域において、錠剤9の欠陥を精度よく検査できる。検査部75は、検査領域A1~A4毎に異なる条件で、錠剤9の欠陥を検査してもよい。
【0063】
錠剤9が不良品と判定された場合、コンピュータ70は、錠剤9が搬送経路上の不良品排出位置P4に到達した時点で、不良品ブロー機構51を動作させる。不良品ブロー機構51は、搬送ベルト12の複数の吸着孔14のうち、不良品と判定された錠剤9を保持する吸着孔14に、気体を吹き付ける。これにより、搬送ベルト12から不良品回収部52へ、不良品と判定された錠剤9が排出される(ステップS14)。
【0064】
錠剤9が良品と判定された場合、コンピュータ70は、錠剤9が搬送経路上の良品排出位置P5に到達した時点で、良品ブロー機構61を動作させる。良品ブロー機構61は、搬送ベルト12の複数の吸着孔14へ向けて、気体を吹き付ける。これにより、搬送ベルト12から良品回収部62へ、良品と判定された錠剤9が排出される(ステップS15)。
【0065】
以上のように、この錠剤印刷装置1では、オートエンコーダ71により、撮影画像D1から光沢、ざらつき、欠陥などのランダムな要素が低減された再構成画像D3を生成できる。そして、生成された再構成画像D3を、錠剤9の形状、位置、および回転角度の判定に利用する。このため、上記のランダムな要素の影響を抑えて、錠剤9の形状、位置、および回転角度を、精度よく判定できる。したがって、錠剤9の表面に精度よく印刷を行うことができる。
【0066】
また、この錠剤印刷装置1では、オートエンコーダ71により生成された再構成画像D3を、検査領域A1~A4の設定に利用する。このため、上記のランダムな要素の影響を抑えて、検査領域A1~A4を精度よく設定できる。したがって、錠剤9の欠陥を、精度よく検査できる。
【0067】
<5.変形例>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではない。
【0068】
上記の実施形態では、コンピュータ70の判定部72が、錠剤9の形状、位置、および回転角度を判定していた。しかしながら、判定部72は、必ずしも錠剤9の形状、位置、および回転角度の全てを判定しなくてもよい。判定部72は、印刷部30による印刷処理のために、錠剤9の形状、位置、および回転角度の少なくとも1つ判定するものであればよい。
【0069】
また、上記の実施形態では、コンピュータ70の検査領域設定部74が、撮影画像D1に対して、複数の検査領域A1~A4を設定していた。そして、検査部75は、これらの検査領域A1~A4のそれぞれを検査していた。しかしながら、複数の検査領域A1~A4の中に、検査を行わない領域があってもよい。
【0070】
また、検査部75による検査の方法は、上記の実施形態で例示した比較検査には限定されない。
【0071】
また、オートエンコーダ71は、単純なオートエンコーダに限らず、VAE(Variational Auto Encoder)や、UR(UnRegularized anomaly score)-VAEなどの発展的なオートエンコーダであってもよい。
【0072】
また、錠剤印刷装置1は、上記の実施形態の構成に加えて、錠剤9に付着したインクを乾燥させる乾燥機構を有していてもよい。乾燥機構は、印刷部30よりも搬送方向の下流側、かつ、不良品排出部50よりも搬送方向の上流側に設けるとよい。乾燥機構には、例えば、搬送ベルト12により搬送される錠剤9に向けて熱風を吹き付ける機構とすればよい。
【0073】
また、上記の実施形態では、印刷部30に、4つのヘッド31が設けられていた。しかしながら、印刷部30に含まれるヘッド31の数は、1~3つであってもよく、5つ以上であってもよい。
【0074】
また、本発明における「錠剤」は、医薬品としての錠剤だけではなく、サプリメントとしての錠剤や、ラムネなどの錠菓であってもよい。
【0075】
その他、錠剤印刷装置および錠剤印刷方法の細部については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜に変更を加えることが可能である。また、上記の実施形態や変形例に登場した各要素を、矛盾が生じない範囲で、適宜に組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0076】
1 錠剤印刷装置
9 錠剤
10 搬送機構
20 第1撮像部
30 印刷部
31 ヘッド
40 第2撮像部
50 不良品排出部
60 良品排出部
70 コンピュータ
71 オートエンコーダ
72 判定部
73 印刷指示部
74 検査領域設定部
75 検査部
80 搬入機構
A1~A4 検査領域
D1 撮影画像
D2 潜在変数
D3 再構成画像
D4 判定結果
D5 画像データ
D6 印刷指示
M 学習済みモデル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9