(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-08
(45)【発行日】2024-03-18
(54)【発明の名称】可搬型工作機械
(51)【国際特許分類】
B23D 45/16 20060101AFI20240311BHJP
B23Q 17/00 20060101ALI20240311BHJP
B23Q 17/22 20060101ALI20240311BHJP
【FI】
B23D45/16
B23Q17/00 A
B23Q17/22 C
(21)【出願番号】P 2020513770
(86)(22)【出願日】2018-09-27
(86)【国際出願番号】 EP2018076253
(87)【国際公開番号】W WO2019063687
(87)【国際公開日】2019-04-04
【審査請求日】2020-05-07
【審判番号】
【審判請求日】2022-12-26
(31)【優先権主張番号】102017122742.3
(32)【優先日】2017-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102017129812.6
(32)【優先日】2017-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】518361790
【氏名又は名称】フェスツール ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】フランク、ヨシュア
【合議体】
【審判長】渋谷 善弘
【審判官】刈間 宏信
【審判官】大山 健
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-168642(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0308369(US,A1)
【文献】特開2003-48202(JP,A)
【文献】特開平10-294870(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0327216(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第102011083435(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23D 45/16 B23Q 17/00 B23Q 17/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作物(W)を加工するための、手持ち工作機械(10)または半据付型工作機械(10)である、可搬型工作機械(10)であって、前記工作機械(10)は、前記工作物(W)において前記工作機械(10)を、または前記工作機械(10)において前記工作物(W)を案内するためのガイド面(32)を有する、ガイド部材(30)を具備し、前記工作機械(10)は、作業工具(15)を収容するために駆動ユニット(11)に配置された工具ホルダ(14)を駆動するための駆動モータ(13)を有する前記駆動ユニット(11)を具備し、前記工作機械(10)は
カバー装置(21)に覆われた粉塵排出領域内に工具センサ(61、62)を有し、前記工具センサの検出範囲(EB1、EB2)が、作業工具(15)を用いて工作物(W)を加工したときに生成される微粒子で少なくとも部分的に汚される、可搬型工作機械において、前記工作機械は、前記検出範囲(EB1、EB2)にある微粒子による前記工具センサ(61、62)の工具センサ信号への影響を少なくするための少なくとも1つの最適化手段(OPT)を有し、
前記少なくとも1つの最適化手段(OPT)は、前記工具センサ信号を処理するための、または前記工具センサ信号を形成するためのデジタル信号処理手段を備えるか、またはデジタル信号
処理手段によって形成され、
前記デジタル信号処理手段は、微粒子によって生成された画素をフィルタリングするための少なくとも1つのデジタルフィルタを備えるか、または少なくとも1つのデジタルフィルタによってなり、
前記デジタル信号処理手段は、ランクオーダフィルタ、および/またはヒストグラムフィルタ、および/またはヒストグラム補正、および/または輝度フィルタ、および/またはガウシアンフィルタ、および/またはバイラテラルフィルタ、および/または平均値フィルタ、を備えるか、あるいは、それによって形成されることを特徴とする、可搬型工作機械。
【請求項2】
前記少なくとも1つの最適化手段(OPT)は、照明装置(70)を有することを特徴とする、請求項1に記載の工作機械。
【請求項3】
前記照明装置(70)は、前記工具センサの光学軸に対して横向きの角度で前記検出範囲(EB1、EB2)を照明するように配置されていることを特徴とする、請求項
2に記載の工作機械。
【請求項4】
前記角度は、少なくとも30°であることを特徴とする、請求項3に記載の工作機械。
【請求項5】
工作物(W)を加工するための、手持ち工作機械(10)または半据付型工作機械(10)である、可搬型工作機械(10)であって、前記工作機械(10)は、前記工作物(W)において前記工作機械(10)を、または前記工作機械(10)において前記工作物(W)を案内するためのガイド面(32)を有する、ガイド部材(30)を具備し、前記工作機械(10)は、作業工具(15)を収容するために駆動ユニット(11)に配置された工具ホルダ(14)を駆動するための駆動モータ(13)を有する前記駆動ユニット(11)を具備し、前記工作機械(10)は
カバー装置(21)に覆われた粉塵排出領域内に工具センサ(61、62)を有し、前記工具センサの検出範囲(EB1、EB2)が、作業工具(15)を用いて工作物(W)を加工したときに生成される微粒子で少なくとも部分的に汚される、可搬型工作機械において、前記工作機械は、前記検出範囲(EB1、EB2)にある微粒子による前記工具センサ(61、62)の工具センサ信号への影響を少なくするための少なくとも1つの最適化手段(OPT)を有し、
前記少なくとも1つの最適化手段(OPT)は、照明装置(70)を有し、
前記照明装置(70)は、前記検出範囲(EB1、EB2)を拡散照射するように形成され、
前記照明装置(70)は、前記工具センサ(61、62)の前記検出範囲(EB1、EB2)を互いに反対の各側から照明するように配置されていることを特徴とする、可搬型工作機械。
【請求項6】
前記工作機械は、外部光の影響に対して検出範囲(EB1、EB2)を覆うためのカバー装置(21)を有することを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の工作機械。
【請求項7】
前記検出範囲(EB1、EB2)は、前記工作機械の運転時に前記カバー装置(21)および前記工作物(W)によって前記外部光の影響に対して覆われることを特徴とする、請求項6に記載の工作機械。
【請求項8】
前記カバー装置(21)は、前記作業工具(15)を少なくとも部分的に収容するか、または覆う、前記作業工具(15)のための保護カバーをなすことを特徴とする、請求項6または7に記載の工作機械。
【請求項9】
前記工具センサ(61、62)の前記検出範囲(EB1、EB2)は、カバー装置(21)または保護カバーから、前記作業工具(15)が前記工作物(W)と接触するか、または接触することができる工作物接触領域の方に向けられていることを特徴とする、請求項
1~8のいずれか1項に記載の工作機械。
【請求項10】
前記工具センサ(61、62)はカメラを備えるか、またはカメラによってなることを特徴とする、請求項1~
9のいずれか1項に記載の工作機械。
【請求項11】
前記工具センサ(61、62)の前記検出範囲(EB1、EB2)は、少なくとも45°であること、および/または前記工具センサ(61、62)は広角対物レンズを有することを特徴とする、請求項1~
10のいずれか1項に記載の工作機械。
【請求項12】
少なくとも1つの最適化手段(OPT)は、洗浄空気または冷気流とは別個の手段であることを特徴とする、請求項1~
11のいずれか1項に記載の工作機械。
【請求項13】
前記工具センサ(61、62)の前記検出範囲(EB1、EB2)に前記駆動モータ(13)の洗浄空気および/または冷気流を流すことを特徴とする、請求項1~
12のいずれか1項に記載の工作機械。
【請求項14】
前記検出範囲(EB1、EB2)に向いた前記工具センサ(61、62)のフロント側に透明カバーまたはフィルタが配置されており、前記透明カバーは、滑りコーティングを備えていることを特徴とする、請求項1~
13のいずれか1項に記載の工作機械。
【請求項15】
工作物(W)を加工するための、手持ち工作機械(10)または半据付型工作機械(10)である、可搬型工作機械(10)であって、前記工作機械(10)は、前記工作物(W)において前記工作機械(10)を、または前記工作機械(10)において前記工作物(W)を案内するためのガイド面(32)を有する、ガイド部材(30)を具備し、前記工作機械(10)は、作業工具(15)を収容するために駆動ユニット(11)に配置された工具ホルダ(14)を駆動するための駆動モータ(13)を有する前記駆動ユニット(11)を具備し、前記工作機械(10)は
カバー装置(21)に覆われた粉塵排出領域内に工具センサ(61、62)を有し、前記工具センサの検出範囲(EB1、EB2)が、作業工具(15)を用いて工作物(W)を加工したときに生成される微粒子で少なくとも部分的に汚される、可搬型工作機械において、前記工作機械は、前記検出範囲(EB1、EB2)にある微粒子による前記工具センサ(61、62)の工具センサ信号への影響を少なくするための少なくとも1つの最適化手段(OPT)を有し、
前記工作機械は、前記工具センサ(61、62)の微粒子による汚れを検査するための汚れ検査手段を有し、前記工作機械(10)は、前記工具センサ(61、62)の汚れ度合に依存して前記工具センサ信号を処理するように、および/または前記工具センサ(61、62)の汚れ度合に依存して警告を出力するように形成され、
前記汚れ検査手段は、前記工具センサ信号の少なくとも1つの輝度値を、前記汚れ度合を検知するように設定していることを特徴とする、可搬型工作機械。
【請求項16】
工作物(W)を加工するための、手持ち工作機械(10)または半据付型工作機械(10)である、可搬型工作機械(10)であって、前記工作機械(10)は、前記工作物(W)において前記工作機械(10)を、または前記工作機械(10)において前記工作物(W)を案内するためのガイド面(32)を有する、ガイド部材(30)を具備し、前記工作機械(10)は、作業工具(15)を収容するために駆動ユニット(11)に配置された工具ホルダ(14)を駆動するための駆動モータ(13)を有する前記駆動ユニット(11)を具備し、前記工作機械(10)は
カバー装置(21)に覆われた粉塵排出領域内に工具センサ(61、62)を有し、前記工具センサの検出範囲(EB1、EB2)が、作業工具(15)を用いて工作物(W)を加工したときに生成される微粒子で少なくとも部分的に汚される、可搬型工作機械において、前記工作機械は、前記検出範囲(EB1、EB2)にある微粒子による前記工具センサ(61、62)の工具センサ信号への影響を少なくするための少なくとも1つの最適化手段(OPT)を有し、
前記工作機械は、前記工具センサ(61、62)の微粒子による汚れを検査するための汚れ検査手段を有し、前記工作機械(10)は、前記工具センサ(61、62)の汚れ度合に依存して前記工具センサ信号を処理するように、および/または前記工具センサ(61、62)の汚れ度合に依存して警告を出力するように形成され、
前記汚れ検査手段は、前記工具センサ信号の少なくとも1つの輝度値および/または前記工具センサ信号を検知するように設けられた前記工具センサ(61、62)の出力信号を、前記汚れ度合を検知するように設定し、
前記汚れ検査手段は、前記工具センサ(61、62)のフロント側を照明するための少なくとも1つの光源と、前記工具センサ(61、62)の前記フロント側の微粒子による汚れに依存して、前記工具センサ(61、62)の前記フロント側の反射を検知するための少なくとも1つの光センサとを有することを特徴とする、可搬型工作機械。
【請求項17】
前記工具センサ(61、62)の前記検出範囲(EB1、EB2)は、前記作業工具(15)が前記工作物(W)と接触する工作物接触領域、または生じる加工エッジ(KV、KH)を含むことを特徴とする、請求項1~
16のいずれか1項に記載の工作機械。
【請求項18】
前記工具センサ(61、62)の前記検出範囲(EB1、EB2)は、前記工作機械(10)を前記工作物(W)に沿って、または前記工作物(W)を前記工作機械に沿って案内可能な作業方向で前の領域を含むことを特徴とする、請求項1~
17のいずれか1項に記載の工作機械。
【請求項19】
前記工具センサ(61、62)は、前記工作物に配置された工作物マーキング(MA)を検出するように形成され、および/または向けられていることを特徴とする、請求項1~
18のいずれか1項に記載の工作機械。
【請求項20】
前記工作物(W)に配置された工作物マーキング(MA)の検出に依存して少なくとも1つの機能を提供するように形成されていることを特徴とする、請求項1~
19のいずれか1項に記載の工作機械。
【請求項21】
前記少なくとも1つの機能は、前記工作物マーキング(MA)からの現在加工エッジ(KV、KH)の距離の表示、ならびに/あるいは前記駆動ユニット(11)の制御、ならびに/あるいは前記作業工具(15)および/または、前記工作物マーキング(MA)の到達に依存してガイドユニットに相対して前記駆動ユニット(11)を位置調節するための前記工作機械(10)の調整駆動装置(90)の制動を含むことを特徴とする、請求項
20に記載の工作機械。
【請求項22】
前記工作機械は、前記作業工具(15)の、または前記工具ホルダ(14)の、前記駆動ユニット(11)から離反した側に少なくとも1つの工具センサ(61、62)を有し、ならびに/あるいは前記作業工具(15)の、前記駆動ユニット(11)に向いた側に少なくとも1つの工具センサ(61、62)を有することを特徴とする、請求項1~
21のいずれか1項に記載の工作機械。
【請求項23】
前記工具センサ(61、62)は、少なくとも前記作業工具(15)が前記ガイド面(32)の前に突出する場合に、前記ガイド面(32)と前記作業工具(15)の回転軸(DW)との間の距離の外側に配置されることを特徴とする、請求項1~
22のいずれか1項に記載の工作機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作物を加工するための可搬型工作機械、すなわち手持ち工作機械または半据付型工作機械であって、工作機械は、工作物において工作機械を、または工作機械において工作物を案内するためのガイド面を有する、特にプレート状のガイド部材を具備し、工作機械は、作業工具を収容するために駆動ユニットに配置された工具ホルダを駆動するための駆動モータを有する駆動ユニットを具備し、工作機械は工具センサを有し、工具センサの検出範囲が、作業工具を用いて工作物を加工したときに生成される微粒子で少なくとも部分的に汚される、可搬型工作機械に関する。
【背景技術】
【0002】
このような工作機械は、例えば欧州特許出願公開第1980363号明細書に記載されている。
【0003】
工具センサ、例えばカメラの検出範囲は、すなわち作業工具の作業領域もしくは工作物接触領域の方に向けられている。そこには少なくとも工具センサの工具センサ信号をあからさまに妨害する切削屑、粉塵、およびそれに類する他の微粒子が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【0005】
したがって、本発明の課題は、工具センサの改善されたセンサ検出を提供する改善された工作機械を提供することである。
【0006】
上記課題を解決するために、冒頭で述べた種類の工作機械において、工作機械が、検出範囲にある微粒子による工具センサの工具センサ信号への影響を少なくするための少なくとも1つの最適化手段を有することが予定されている。
【0007】
少なくとも1つの工具センサの検出範囲が、作業工具を用いて工作物を加工したときに生成される粒子で少なくとも部分的に汚される可能性がある。この事例では、有利にも、検出範囲にある粒子による工具センサの工具センサ信号への影響を少なくするために、工作機械が少なくとも1つの最適化手段を有することが予定されている。
【0008】
工具センサ信号は、工具センサの出力信号であってもよいし、または工具センサの出力信号を用いて生成されるか、または生成可能な信号であってもよい。すなわち工具センサの出力信号は、工具センサ信号を生成するために、最適化手段を用いてすでに改善される。
【0009】
すなわち、1つの最適化手段または複数の最適化手段の基本コンセプトは、いずれにしても検出範囲において避けられない粒子、例えば切削屑、粉塵、またはそれに類するものが、少なくとも1つの最適化手段を用いて、いわば光学的にカットされるか、または工具センサ信号への作用が低減されるということである。当然のことながら、これは画像品質の向上のための他の措置が予定されることを排除せず、それにより例えば、洗浄空気が工具センサの検出範囲への粒子の侵入を少なくするか、そこにある粒子を可能な限り最適に洗い流す。例えば洗浄空気流が、粒子を検出範囲から洗い取る、いわば吸気流または冷気流の形で予定されていてもよい。つまり、特に工具センサの検出範囲に、洗浄空気、例えば駆動モータの吸気流および/または冷気流を流すことが可能である。
【0010】
もっとも、少なくとも1つの最適化手段は、合目的的には洗浄空気、例えば吸気流または冷気流とは別個の手段であることが合目的的である。
【0011】
少なくとも1つの最適化手段がデジタル信号処理手段を備えるか、またはデジタル信号処理手段によってなることが合目的的であり、信号処理手段は、工具センサ信号を処理または発生するように予定または形成されている。したがって、すなわち、例えば工具センサが生成する信号は、信号処理手段によって、工具センサ信号を発生するように加工または処理される信号であってもよい。
【0012】
例えば、デジタル信号処理手段は、粒子によって生成された画素をフィルタリングするための少なくとも1つのデジタルフィルタを備えるか、または少なくとも1つのデジタルフィルタによってなる。これらの画素は、例えばデジタルフィルタによってフィルタリング除去される、例えば干渉情報である。デジタルフィルタは、例えば工作機械のプロセッサによって実行可能なプログラムコードによって作成されている。
【0013】
デジタル信号処理手段は、ランクオーダフィルタを備えていてもよい。しかしヒストグラムフィルタ、輝度フィルタ、またはそれに類するものも問題なく有利である。さらに、上記のフィルタを互いに組み合わせること、すなわち、例えば輝度フィルタ、続いてランクオーダフィルタが適用されることが可能である。
【0014】
ランクオーダフィルタの場合、それがいわゆるメディアンフィルタを備えるか、またはメディアンフィルタによってなることが有利である。例えば、画素の所定の周囲に他の画像情報が集められ、次いでこのソートされたリストの中央グレー値、すなわちメディアンが選択され、次いで干渉画素が中央値、特にグレー値またはカラー値と置き換えられる。
【0015】
しかし、例えばガウシアンフィルタおよび/またはバイラテラルフィルタおよび/または平均値フィルタおよび/または平均化フィルタなどの他のフィルタが設けられていてもよい。ガウシアンフィルタは、例えばそれぞれのステップ応答がオーバーシュートを有さず、それと同時に遷移領域に最大エッジ急峻度が得られるいわゆる周波数フィルタである。伝達関数とインパルス応答とは、例えばいわゆるガウシアンベル曲線の形状を有する。
【0016】
バイラテラルフィルタは、画像を滑らかに描くと同時に、オブジェクトのエッジを得るために利用される、例えば非線形フィルタである。オブジェクトのエッジは、例えば工作物への鋸断であり得る。しかし、作業工具の表面またはエッジもこの仕方でフィルタリングされてもよい。
【0017】
ヒストグラムフィルタまたはヒストグラム補正は、例えばより均一な、またはより良好な輝度分布を得るために有利である。したがって、すなわち工具センサの信号は、ヒストグラム補正によって、その輝度分布および/または色分布に関してより均一になる。
【0018】
工具センサのフロント側または透明カバーには、殊に滑りコーティングが設けられており、粒子は、この滑りコーティングに沿って滑動するか、またはこの滑りコーティングから粒子が滑り落ちることができる。透明カバーは、例えば工具センサのフロントレンズによってなる。フィルタまたは透明ディスクを透明カバーとして設けることもできる。
【0019】
しかし少なくとも1つの最適化手段は照明装置を備えるか、または照明装置によってなってもよい。したがって、すなわち検出範囲が、照明装置によっていわば的確に明るくされるか、または照らされ、このことは画像検出を格段に改善する。
【0020】
照明装置は、工具センサの、特にカメラの光学軸に対して横向きの角度で検出範囲を照明するように配置されていることが合目的的である。特に、照明装置は、検出範囲の専用の照明であるか、または専用の照明をなすことが予定されている。したがって、すなわち的確に工具センサの光学軸においては、または光学軸の近くでは検出範囲が照らされず、それにより妨害的な反射が生じるつまりこの事例では、粒子は、照明装置の光を工具センサのいわば光学軸もしくは検出軸へ鏡反射し返すか、または反射し返すだろう。
【0021】
工具センサの光学軸と光源との上記の角度は、合目的的には少なくとも1つの平面に対して、殊に複数の平面に対して設けられている。例えば、角度は、ガイド面と平行の平面、および/またはガイド面に対して角度をなす、例えば直角の平面に対して設けられている。
【0022】
この角度の場合、角度が少なくとも30°であるならば有利である。しかしより急な角度、例えば45°、少なくとも60°、またはそれに類する角度がより有利である。例えば約80~120°、特に約90°の角度は特に好都合である。
【0023】
したがって、すなわち中心軸または光円錐中心軸は、例えば30°、40°、60°、または特に好ましくは80~90°の角度で配置されている。したがって、すなわち検出範囲は、工具センサの光学軸に対していわば横向きに照射される。
【0024】
照明装置の場合、照明装置が検出範囲を拡散照射するように形成されているならば合目的的である。例えば照明装置は、拡散板、例えばフレネルレンズ、つや消し板、またはそれに類するものの背後に配置されている1つまたは複数の光源を備える。したがって、例えば粒子、工具表面、または工作機械の構成要素における、例えば強いおよび/または点状の反射が回避される。
【0025】
有利なコンセプトは、工具センサの検出範囲を証明するための照明装置が互いに反対の各側に配置されていることを予定する。照明装置は、例えば検出範囲の互いに反対の各側に発光手段、特にLED、またはそれに類するものを有する。互いに反対の各側から照明される場合、この場合もまた、それぞれの発光手段の光円錐または主照射軸と、工具センサの光学軸との間の角度が少なくとも30°、殊に少なくとも45°であるならば有利である。発光手段または照明装置の主軸または光円錐軸が、工具センサの光学軸に対して約80~120°、特に約90°の角度をなして配置されているならば特に好都合である。互いに反対の各側または両側から、例えば鋸刃またはそれ以外の作業工具に対して直角に照明することによって、影の投影または影射しが回避されるか、または少なくとも低減される。
【0026】
さらに、工作機械が外部光の影響に対して検出範囲を覆うためのカバー装置を有するならば有利である。したがって、すなわち検出範囲はいわば外部光に対して保護されている。その場合、検出範囲において、上記の照明装置が配置されているならば、検出範囲の的確な照明が可能であり、それにより照明装置と工具センサとの最適な同調が可能である。したがって、例えば工具センサによって最適に検出可能な特定の光色を生成することができる。
【0027】
カバー装置は、検出範囲をいわば専門に覆うカバー装置、すなわち例えばブラインドまたはそれに類するものであってもよい。しかし、作業工具を保護するため、または他の措置のために必要な工作機械の構成要素、例えば粉塵カバーまたはそれに類するものがカバー装置の一部をなすか、またはカバー装置全体であることも可能である。
【0028】
検出範囲は、工作機械が工作物から離れているか、工作物が工作機械から離れている場合に少なくとも部分的に外部光にさらされてもよい。しかし、工作機械の運転時にカバー装置および工作物が検出範囲を外部光の影響に対して覆い、少なくとも実質的に覆うならば好ましい。その場合、いわば暗い、および覆われた領域において照明装置が作動したときに最適な画像検出および/または画像評価が可能である。例えば上記のカバー装置が工作機械のガイド面まで延在し、ガイド面の領域にのみ開口が設けられていることが予定されていてもよく、作業工具は、少なくとも1つの運転状態において、またはガイド面に対する駆動集合体の相対位置において、この開口の前へ突出する。
【0029】
工具センサは、例えば工作機械の粒子で汚れた粉塵空気を排出するための粉塵空気流路に配置されていてもよい。例えば、粉塵空気流路は作業工具に、および/または作業工具の周りに延在する。粉塵空気流路は、カバー装置により、またはカバー装置によって全体的または部分的に区画されることが有利であり、カバー装置は作業工具を全体的または部分的に覆うか、または格納する。
【0030】
合目的的には、工具センサの領域において、例えば1つまたは複数の導風壁または導風板、またはそれに類するものを有する空気案内装置が設けられている。空気案内アセンブリは、それが粒子を含む粒子気流を工具センサから偏向させるように形成および/または配置されている。
【0031】
以下の有利な実施形態は、請求項1の前提部の特徴との関連でそれ自体独立した発明でもあり得る。
【0032】
有利には、1つの工具センサまたは複数の工具センサは、作業工具を少なくとも部分的に覆う、および/または格納するカバー装置および/または保護カバーの下に配置されることが予定されている。このようなカバー装置または保護カバーはそれ自体、工具センサのセンサ検出、例えば工作機械の、特に工作物接触領域の周囲の検出を妨げる。しかし、カバー装置が、例えば外部光の影響を回避すること、および/または工具センサを保護することができることは有利である。カバー装置は、例えばカバーフード、保護フード、またはそれに類するものである。しかし、カバー装置が、例えば外部光の影響を回避すること、および/または工具センサを保護することができることは有利である。カバー装置は、例えばカバーフード、保護フード、またはそれに類するものである。
【0033】
作業工具のための上記またはあるカバー装置は、工具センサのための支持体またはホルダをなしてもよい。したがって、すなわち工具センサは、例えばカバー装置に配置されていてもよいし、またはカバー装置によって保持されていてもよい。
【0034】
有利には、工具センサの検出範囲は、カバー装置または保護カバーから、例えば、作業工具が工作物と接触しているか、または接触することができる工作物接触領域の方に向けられることが予定されている。すなわち、例えば光学的な、またはカメラとして形成された工具センサの検出範囲は、例えばカバーフードまたは保護フードから方位付けされる。工具センサの検出範囲は、殊に、作業工具が検出範囲にあるようにも方位付けおよび/または形成されている。
【0035】
複数の工具センサ、例えば2つの工具センサがカバー装置または保護カバーの下に配置されていることも問題なく可能である。例えば、作業工具の互いに反対の各側に配置されている、および/または互いに反対の各側間に配置されている2つの工具センサが設けられている。
【0036】
少なくとも1つの工具センサ、殊に少なくとも2つの工具センサが、少なくとも作業工具がガイド面の前へ突出する場合に、ガイド面と作業工具の回転軸との間の距離の外側に配置されているならば好ましい。その際、工具センサは、作業工具を覆うカバー装置の外側に、または下に配置されることが可能である。作業工具は、工作物に切り込む、または入り込むために、例えばカバー装置から現れ、および/またはさらにガイド面の前へ突出する。作業工具の回転軸は、工作物に切り込むか、または入り込むときに、例えば鋸刃を、作業工具が工作物に進入しないか、またはガイド面の前へ突出しないか、またはそれほど突出しない静止位置にあるときよりもガイド面または工作物に近い。
【0037】
工具センサは、カメラを備えるか、またはカメラによってなることが合目的的である。しかし、例えば光学センサ、静電容量センサ、またはそれに類するものによる測定などの、他のセンサ原理も可能である。この場合も粒子は、ある種の干渉を引き起こし得る。
【0038】
工具センサの検出範囲は、少なくとも45°、殊に少なくとも60°、特に好ましくは少なくとも70°であることが合目的的である。工具センサは、例えば広角対物レンズを備える。
【0039】
工具センサは、作業工具のすぐ近く、例えば5cm未満、特に4cm未満または3cm未満の距離をおいて配置されていることが好ましい。まさにその場合に、広角対物レンズを用いて検出することが特に有利である。
【0040】
それ自体独立した、さらに上記の発明との関連で有利なコンセプト、またはそれ自体独立した発明は、工作機械が微細粒による工具センサの汚れを検査するための汚れ検査手段を有することを予定する。工作機械は、工具センサの汚れ度合に依存して工具センサ信号を処理するように、および/または工具センサの汚れ度合に依存して例えば光学的または音響的警告などの警告を出力するように形成されている。例えば汚れ検査手段は、汚れ度合を表すセンサ信号または出力信号を生成する。しかし汚れ検査手段は、画像処理によって、または工具センサの信号を処理して工具センサ信号を提供する信号処理装置によって実現されていてもよい。したがって、例えば工具センサ信号の輝度値を、特にヒストグラム補正により適合させることができる。予め定められた、または調整可能な輝度の閾値を下回ると、工作機械が例えばスクリーンに、LED表示を用いて、信号音を用いて、スピーカまたはそれに類するものを介して警告を出力する。
【0041】
好ましいコンセプトは、汚れ検査手段が、工具センサ信号および/または工具センサ信号を検知するように予定された工具センサの出力信号の形の少なくとも1つの輝度値によって汚れ度合を検知するように形成されていることを予定する。
【0042】
汚れ検査手段が、工具センサのフロント側を照明するための少なくとも1つの光源、例えば上記の照明装置の1つまたは複数の光源、または別個の光源と、粒子によるフロント側の汚れに依存して工具センサのフロント側の反射を検知するための少なくとも1つの光センサとを有するならば好ましい。工具センサのフロント側、例えば対物レンズフロント側、フィルタ部材、またはそれに類するものが光源によって、例えばLEDによって照明されるならば有利である。
【0043】
光源および光センサは、工具センサのフロント側に相対する入射角および出射角に応じて配置されていることが合目的的である。照明は、合目的的には全反射未満で行われる。すなわち光センサ、例えばフォトダイオードが、工具センサのフロント側によって、もしくはフロント側にある粒子によって反射された光を検出する場合、例えばフロント側が粒子によって汚されたときに、汚れ度合のサインとして、もしくは程度として高反射または低反射が光センサによって検出されてもよい。
【0044】
さらに、工具センサによって検出可能でないか、または検出を妨害しない色スペクトルで照明を行うことが可能である。光源は、例えば不可視領域および/または赤外線領域の光を生成する。工具センサとして有利な典型的なカメラは、例えば赤外線光を認識できないので、赤外線光源および相応の光センサとを用いる上記の輝度検査は、工作物接触領域の検出を妨害しない。
【0045】
工具センサの検出範囲は、合目的的には作業工具が工作物と接触する工作物接触領域、例えば作業工具を用いて工作物を加工することによって生じた、または生じる加工エッジ、および作業方向で前の領域を含む。工作機械を工作物に沿って作業方向に案内可能であるか、または工作物を工作機械に沿って案内可能である。作業工具は、作業方向に例えば工作物に切り込む。
【0046】
さらに、工具センサが工作物に配置された工作物マーキングを検出するように形成および/または方向合わせされているならば合目的的である。例えば工具センサの検出範囲は、工作物の作業方向に前置された領域の方に、もしくは作業方向で作業工具の前にある加工領域の方に向けられていてもよい。
【0047】
したがって工具センサの検出範囲は、有利にも本来の入り込み領域、または作業工具と工作物との接触領域、そしてこれに加えて作業方向で前置された領域をも含む。それにより操作者は作業工程を最適に管理する。
【0048】
さらに、工作機械、または本発明による工作機械が工作物に配置された工作物マーキングの検出に依存して少なくとも1つの機能を提供するように形成されているならば合目的的である。したがって、評価装置において、工作物マーキングを認識する、例えばエッジ検出またはライン検出が予定されていてもよい。工作物マーキングは、例えば罫、線、またはそれに類するものである。
【0049】
少なくとも1つの機能は、例えば工作物マーキングからの現在加工エッジの距離の表示を含む。表示は、例えばある表示装置に、または上記表示装置で行われ、それにより操作者は、工作物に対する作業工具の現在加工エッジが工作物マーキングからまだどれだけ離れているのかを管理する。
【0050】
しかし、工作機械が工作物マーキングへの到達に依存してモータ機能、ブレーキ機能、またはアクチュエータ機能を実行する自動のコンセプトも可能である。したがって、例えば工作物マーキングに達すると作業工具が制動されてもよい。その際、予想する手法、すなわち、加工エッジが工作物マーキングの近傍にあるときすでに、工作機械がいわば駆動ユニットの速度を下げさせることが有利である。さらに、ガイドユニットに相対して駆動ユニットを位置調節するための工作機械の調整駆動装置、例えばガイド部材に相対して駆動ユニットを旋回または摺動させる調整駆動装置が設けられていてもよい。工作物マーキングへの到達に依存して、工作機械、例えば評価装置は相応する調整駆動装置を制御する。したがって、例えば工作物マーキングに達すると、または達する前に、調整駆動装置によって作業工具を工作物から移動させることができる。当然のことながら、この機能は、駆動ユニットの制御、例えば工作物マーキングへの到達に依存した駆動モータの回転数の調整も含む。
【0051】
工作機械が少なくとも1つの工具センサ、特にカメラを、駆動ユニットから、特に作業工具の、駆動モータから離反した側に有するならば好ましい。工具センサは、例えば作業工具の自由端面または平面上にある。作業工具は、いわば工具センサと駆動ユニット、特に駆動ユニットの駆動モータとの間に配置されている。工具センサは、例えば作業工具のカバーの蓋に配置されている。
【0052】
しかしこれに代えて、またはこれに加えて、少なくとも1つの工具センサが作業工具の、駆動ユニットに向いた、例えば駆動モータに向いた側に設けられている実施形態も可能である。すなわち工具センサは、例えば粉塵排出流路に、またはそれ以外の位置に設けられている。
【0053】
さらに、少なくとも1つの工具センサがガイド面の上方に配置され、および/または側方からガイド面の前へ突出しないならば合目的的である。それにより、工作物加工時に工具センサが邪魔にならない。すなわち工具センサは、ガイド面に対して投影面の上方に、特に駆動ユニットの領域にある。
【0054】
工具センサがガイド部材に対して定置であり、すなわちガイド部材に配置されていることが可能である。特に、このような工具センサ、例えばカメラは、ガイド面の長辺側の領域に配置されており、それによりその検出範囲が工作物接触領域の方に向けられている。
【0055】
さらに、少なくとも1つの工具センサが駆動ユニットに配置されているならば有利であり、それにより工具センサは、ガイド部材に相対する駆動ユニットの移動に加わり、すなわち工具センサの検出範囲がいわば駆動ユニットとともに位置調節される。
【0056】
工作機械は、工具センサによって生成された工具センサ信号を評価するための評価装置を有することが有利である。工作機械は、工具センサとして、例えばカメラを有し、カメラの画像がディスプレイに表示される。カメラの配置と向きとによって、ディスプレイにおける画像が変化する。すなわち、表示される画像はカメラの向きに高度に依存する。
【0057】
工具センサの検出範囲において、工具センサによって生成可能な基準マーキングが配置されており、評価装置がこの基準マーキングに依存して工具センサ信号のための少なくとも1つの補正値を検知するように形成されることが予定されていることが有利である。
【0058】
この場合、基本思想は、基準マーキングが工具センサによって、いわば自身で検出され、工具センサの構成部分であってもよい評価装置は、基準マーキングを用いて少なくとも1つの補正値を検知するということである。少なくとも1つの補正値を用いて、工具センサ信号を相応に補正することができ、例えば工具センサ信号を用いて生成された出力情報の向きを、例えばスクリーンもしくはディスプレイなどの例えば出力装置に適合させることができる。したがって、工作物接触領域の画像の向きを、例えば他の構成要素に対して、例えばガイド部材のサイドエッジに対して一致させることができる。すなわち操作者は、工作機械のその他の構成要素に最適に向きを合わせた画像を用いて出力装置上で作業の進捗を認識できる。
【0059】
基準マーキングが線またはパターンを備えるか、線またはパターンによってなるならば好ましい。
【0060】
基準マーキングは、合目的的には線、あるいは線、パターン、またはそれに類するものの配列を含む。碁盤目状パターンが特に有利である。しかし例えばバーコードまたはそれ以外の幾何学的パターンを基準マーキングとして使用することもできる。基準マーキングが1つまたは複数の点を備えることも可能である。したがって、例えばいくつかの基準点の関係が評価装置によって少なくとも1つの補正値を検知するために考慮に入れられてもよい。
【0061】
さらに、基準マーキングが一意的な基準マーキングであり、例えばコーディングであるならば有利である。
【0062】
基準マーキングは、例えばQRコード(登録商標)(QR=Quick Response)または同等のパターンであってもよいし、またはQRコードまたは同等のパターンを有してもよい。
【0063】
少なくとも1つの基準マーキングが、基準マーキングの周囲における工作機械の、基準マーキングの機能を果たさない機能構成要素から大きさおよび/またはジオメトリおよび/または面積および/または色および/またはコントラストの点で区別されるならば特に好ましい。工作機械の機能構成要素は、例えばガイド部材または機械ハウジングの一部である。例えば、基準マーキングは基準マーキングが配置されている壁面とは違う色または違う色スペクトルを有している。
【0064】
基準マーキングが、基準マーキングの周囲の典型的な色スペクトルから予め定められた程度だけ異なるか、もしくは基準マーキングの周囲の典型的なコントラスト範囲から予め定められた値だけ異なる少なくとも1つの色および/または少なくとも1つのコントラストを有することが予定されていることが有利である。例えば、基準マーキングの少なくとも1つの色の色距離が、基準マーキングの周囲の色温度とは予め定められた値だけ異なる。ユークリッド距離は、例えば基準マーキングおよび周囲の色間で少なくとも0.5~1.0であり、それによりユークリッド距離は熟練の目には見える。しかしユークリッド距離は、それより大きくてもよく、例えば2~4の値の範囲であってもよい。基準マーキングの周囲、例えば基準マーキングの隣の壁面の明暗コントラストは、例えば5対1または10対1であるのに対して基準マーキングのコントラストはより高く、例えば少なくとも2倍の大きさまたは3倍の大きさである。このことは、例えば白色面および黒色面、あるいはダークグレー面を有する碁盤目状パターンまたはQRコードの場合がこれに該当する。
【0065】
基準マーキングが特に補正値を検知する目的で設けられた、例えば検査パターン、線配列またはそれに類するものなどの検査マーキングを有するか、または検査マーキングによってなることが特に好ましい。検査マーキングは、例えば、特に補正値を検知するためだけに、または特にそのために工作機械に配置されている幾何学的構造である。検査マーキングまたは検査パターンは、例えば塗膜、コーティング、箔、またはそれに類するものとして形成されているか、または設けられている。検査マーキングは、殊に補正値を検知する目的のためだけに基準マーキングとして用いられ、それ以外には、例えば機械的な支持機能などの機能または空所を区画する目的を有していない。
【0066】
しかし、1つまたは複数の構成要素が、いわばいずれにしても工作機械の構成部分をなす基準マーキングとして利用可能であることも可能である。本発明の一変形形態は、基準マーキングが、工作機械の少なくとも1つの機械的機能構成要素の少なくとも1つの輪郭によって、例えば作業工具および/またはガイド部材の少なくとも1つの輪郭によってなるか、または少なくとも1つの輪郭を備えることを予定する。工作機械の機械的機能構成要素は、例えば駆動構成要素、ガイド構成要素、支持構造またはそれに類するものである。これに対して、補正値を検知する目的のために特に取り付けられている、例えば色付きのおよび/または構造化された面の形態の単に光学的なマーキングは、この関連で機械的機能構成要素とは解されない。
【0067】
例えば、作業工具の、ガイド部材の、またはそれに類するもののエッジは、そのような輪郭をなすか、またはそのような輪郭を有することができる。それぞれの工具センサの検出範囲、特に視界範囲に複数の機械部品がある場合、これらの機械部品が個々に、または全体で基準マーキングを形成することができる。例えば、ガイド部材、例えばソーテーブルまたは作業テーブルのエッジと、同時に作業工具のエッジとを基準マーキング(単数または複数)として用いることが可能である。
【0068】
好ましいコンセプトは、評価装置が、少なくとも1つの補正値を検知するために基準マーキングの直線部分の湾曲形状を解析するように形成されていることを予定する。したがって、例えば直線は、工具センサもしくは工具センサの対物レンズの光学歪にもとづいて湾曲形状を有し得る。評価装置は、基準マーキングの湾曲した、光学的に検出された線の湾曲値もしくは幾何学的値を用いて、直線からの偏差を検知し、続いてこれらの補正値または少なくとも1つの補正値を用いて工具センサ信号を相応に補正する。したがって、例えば工具センサ信号に含まれた画像情報を、湾曲形状から導出される補正値を用いていわば光学的にまっすぐにずらすことができる。すなわち評価装置は、例えば工具センサ信号に含まれるか、または工具センサの生信号に含まれる画像信号を歪補正するように形成されている。したがって、例えば評価装置によって加工または処理された工具センサ信号がいわば光学的に歪補正されていてもよい。
【0069】
好ましいコンセプトは、工具センサがカメラを備えるか、またはカメラによってなることを予定する。カメラは、例えばデジタルカメラである。
【0070】
さらに、工具センサ、特に上記のカメラが内部較正されるならば好ましい。内部較正は、殊に多軸、すなわち例えば2軸または3軸/立体による。
【0071】
工具センサ、特にカメラが外部較正されることも有利である。外部の較正も2軸較正、または3軸較正、もしくは立体較正であってもよい。
【0072】
評価装置が工具センサを内部較正するように形成されていることも可能である。したがって、例えば1つまたは複数の検査パターンの配列が較正手段としての基台上に提供され、特に工作機械のシステム構成部分をなすことが予定されていてもよい。評価装置は、例えば1つの検査パターンまたは複数の検査パターンの複数の像を検出し、それによって工具センサ、特にカメラのための内部較正値を検知することができる。
【0073】
内部較正では、例えば不正確、湾曲、またはそれに類する他の光学的エラーが較正によっていわば均等化または補償されることが可能である。したがって、工具センサは補正された/較正された値を提供することができる。工具センサ信号が、例えば表示装置に表示される前に、評価装置が工具センサ信号を、いわば内部較正によって取得された値を用いて自身で補正/較正することも可能である。
【0074】
すでに内部較正されたカメラまたは内部較正された工具センサは、続いて工作機械の基準マーキングを最適に評価するように形成されている。例えば評価装置は、内部較正されたカメラまたは内部較正された工具センサを用いて基準マーキングに対するカメラまたは工具センサの相対向きおよび/または方位を検知することができる。
【0075】
基準マーキングに対する少なくとも1つの工具センサのいわゆる外部較正が好ましい。
【0076】
例えば、評価装置は、基準マーキングによって与えられた、特に2次元または3次元のグローバル座標系を、それぞれのポーズ、すなわち空間におけるカメラまたは工具センサの方位と位置決めに関連付けられたローカル座標系に換算または変換することができる。
【0077】
殊に、評価装置が、内部較正されたカメラまたは内部較正された工具センサを用いていわゆる外部較正、つまり工作機械の少なくとも1つの基準マーキングに対する較正を実行するように形成されることが予定されている。したがって、例えば評価装置により基準マーキングを用いた検査範囲の向きおよび/または方位を実現可能である。
【0078】
好ましいコンセプトは、評価装置が、基準マーキングを用いて検出範囲内の検査範囲を検知するように形成されていることを予定する。したがって、例えば、作業工具を用いた工作物加工時に生じる切断エッジまたは加工エッジが形成された検査範囲を基準マーキングを用いて検知することができる。すなわち、例えばかなり大きい検出範囲内に、検出範囲と比べて小さい、詳細な評価のために考慮に入れられる検査範囲が検知される。したがって、検査範囲外にある干渉情報、例えば切削屑、光反射、またはそれに類するものをいわばフェードアウトすることができる。評価装置は、いわば評価のためにふさわしい重要な範囲、つまり検査範囲に「専念する」。
【0079】
したがって、それぞれの工具センサの取付位置および/または向きとは関係なく検査範囲が検知されるか、または検知可能である。すなわち例えば、工具センサ、特にカメラが、機械ハウジングに、あるいは機械ハウジングまたは工作機械のそれ以外の構成要素における理想的な取付位置および/または向きから逸脱して取り付けられている場合、工作機械は検査範囲を、工作機械のために理想的でない工具センサの取付位置および/または向きについても検知する。工具センサそれ自体の取付誤差または誤差、例えばカメラ軸またはそれに類するものに対するデジタル画像センサの取付位置が、いわば自動的に補償される。
【0080】
この検査範囲または特定の検査範囲の検知は、作業工具が工作物から離れたときに、例えば鋸断またはそれ以外の加工輪郭を用いて行うことができる。この状況において、例えば検査範囲の向き、例えば鋸エッジまたはそれ以外の加工エッジの形状を、特に簡単に実現することができる。
【0081】
評価装置が、作業工具によって工作物に作成された加工輪郭、例えば工作機械の作業方向に延びる鋸エッジを用いて工具センサの検査範囲、または検出範囲内の検査範囲を検知するように形成されているならば好ましい。特にフィルタリング、エッジ認識、またはそれに類するものを用いてこのような加工輪郭を問題なく検知可能である。検査範囲は、例えば加工輪郭に方向合わせされる。加工輪郭は、例えば工作物の一種の試し加工、例えば鋸断によって生じ、試し加工は、単に、または殊に、較正および/または工作物への検査範囲の方向合わせのために行われる。加工輪郭の配置および/または向きおよび/または幾何学的形状は、例えばガイドレールを有する工作機械、またはガイド装置、またはこのようなものが使用されるかどうかに依存する。さらに、例えば作業工具の種類およびジオメトリ、作業工具またはガイド装置の摩耗などが加工輪郭に影響を及ぼす。加工輪郭へのこのような影響は、検査範囲を検知するために加工輪郭が使用される場合に評価装置によっていわば考慮される。
【0082】
工作機械または評価装置に複数の検査範囲を問題なく設定および/または記憶することができる。したがって、例えばガイドレールがある検査範囲、およびガイドレールない検査範囲が検知可能または検知されてもよい。
【0083】
好ましいコンセプトは、工作機械、例えば評価装置が、工具センサ信号を用いて生成されたか、または生成可能な光学情報を、基準マーキングに相対して方向合わせするように形成されていることを予定する。したがって、例えば作業工具と工作物との接触領域を表す光学情報を、少なくとも1つの補正値を用いて、いわば残りの工作機械に相対して方向合わせすることができる。
【0084】
合目的的にも、工作機械が工作物の高さを検知するための高さ測定装置を有することが予定され、高さは、作業工具が進入することが予定された工作物上側と工作物上側とは反対の位置にある工作物の工作物下側との間の距離に相当する。
【0085】
この場合、基本思想は、操作者が工作物の高さに関するデータを得ることにより、操作者は工作物への作業工具の進入深さの最適な調整に成功するということである。高さ測定装置は工作機械に搭載されており、このことは取り扱いを簡単にする。すなわち、操作者は、工作物の高さを確かめるために、例えば測定棒またはそれ以外の測定装置を工作物に当てる必要がない。操作が楽である。
【0086】
工作物の高さの検出は、例えば、最適な切断品質および/または最適な吸塵を達成するために有利である。さらに、工作物の高さに関して最適に調整された工作機械では、例えば切断力などの加工力が少なくて済み得る。
【0087】
高さ測定装置は、工作物の端面と工作物上側との間の工作物上エッジを検出するように、および/または工作物の端面と工作物下側との間の工作物下エッジを検出するように形成されていることが合目的的である。端面は、殊に、工作物上側および/または工作物下側に対して直角である。高さ測定装置が2つの工作物エッジ、つまり上工作物エッジおよび下工作物エッジを検出できるならば有利であるが、これはどんな場合も必ず必要なのではない。このことは後にさらに明確になる。それぞれの工作物エッジを検出するために、高さ測定装置は、例えばコントラストフィルタ、メディアンフィルタ、またはそれに類する、工作物エッジを検知するための他のセンサを有する。したがって、例えば高さ測定装置の評価装置は、直線、したがってすなわち工作物エッジを検出するためのロジックを有する。これに加えて、評価装置は、殊に、評価装置が作業方向に対して横向きに延びる線のみを工作物エッジとして認識するように形成されている。
【0088】
高さ測定装置は、工作物上側または工作物上側面に対して、ならびに/あるいは工作物下側または工作物下側面に対して直交する方向または軸の工作物の高さを決定するように形成されていることが有利である。
【0089】
高さ測定装置は、高さ測定装置が測定を行う場合に、工作機械がガイド面の可能な限り大きい部分で工作物上に載るか、または半据置型工作機械の場合には、工作物がガイド面上の大面積に載ることができるように位置決めされていることが好ましい。したがって、好ましい一実施形態はガイド面の一部分が高さ測定装置の前に延在し、この部分で、ガイド面を工作物上側に、または工作物上側に載るガイド装置、例えばガイドレールに支持可能であることを予定する。特に半据置型工作機械の場合、工作物をガイド面のこの部分上に支持可能であることも可能である。
【0090】
好ましい一実施例は、高さ測定装置が、ガイド面の一方の例えば後にある長手方向端領域に配置されており、高さ測定装置の検出範囲、例えば光学軸が、ガイド面の他方の長手方向端領域の方向に向けられていることを予定する。したがって、例えば高さ測定装置は、ガイド面の上方に配置され、斜め下へ、ガイド面の方向に検出範囲を有してもよい。
【0091】
高さ測定装置は、殊に少なくとも1つの非接触で検出または測定するセンサ、または非接触のみで検出または測定するセンサを有する。
【0092】
高さ測定装置において異なった測定原理、例えば静電容量原理、誘導原理、またはそれ以外の測定原理が可能である。
【0093】
しかし光学系が好ましい。高さ測定装置は、少なくとも1つの光学センサおよび/またはカメラを備えることが合目的的である。光学センサは、例えば1つの輝度センサまたは複数の輝度センサを備えていてもよい。輝度センサを用いて、例えば工作物エッジの通過を検知することができる。すなわち例えば基準マーキングが検知されるべき場合、工作機械がそれぞれの工作物エッジを通過するときに、例えば輝度センサなどの光学センサを用いて検知することができる。
【0094】
さらに、高さ測定装置が少なくとも1つの距離センサを有するならば合目的的である。距離センサを用いて、例えば工作物エッジを検出するセンサと工作物との間の距離を検知可能である。
【0095】
高さ測定装置が、工作物に基準マーキングを生成するための少なくとも1つの基準光源を備えることが合目的的である。基準マーキングは、特に幅狭または点状、特に線状または点状であることが合目的的である。基準マーキングは、例えば高さ測定装置の光学センサまたはカメラによって検出されてもよく、この仕方で、基準光源によって生成された基準光の光反射を用いて工作物の工作物エッジが検知される。すなわち、例えば基準光が、まず工作物の傍らを通り過ぎるように方向合わせされ、続いて工作物と工作機械とが相対して動かされ、この移動に従って基準光源の光が工作物にぶつかる場合、それはさしあたり工作物下エッジの領域に当てはまる。工作物における、つまり工作物下エッジの領域における基準マーキングの「最初の」反射を用いて、高さ測定装置は工作物下エッジを検知することができる。
【0096】
好ましいコンセプトは、高さ測定装置は、工作機械を工作物に対して、例えば工作物の工作物エッジに対して横向きに動的に動かしたときの、基準光源によって生成された基準光の光反射の方向変化および/または速度変化を用いて工作物の高さを検知するように形成されていることを予定する。すなわち工作機械が工作物に相対して動かされ、それにより、高さが測定されるべき工作物の工作物側が高さ測定装置の検出範囲に、例えば光学センサまたはカメラの範囲にある場合に、基準光がその工作物側を照明する。工作機械は、例えば第1方向、特に典型的な作業方向に沿って工作物上を前方へ動かされる。その際、基準光の光反射は、例えば工作物の下工作物エッジから上工作物エッジへ移動し、その際、工作機械のセンサに相対して、第1方向に対して角度をなす第2方向、例えば斜めの移動方向を有する。基準光源の光線が上工作物エッジを越えて移動する場合、この光線は工作物表面によっていわば連続的に反射され、それにより、この光反射は、動かされる系、つまり動かされる工作機械に関連するセンサに対していわば定置であり、すなわち方向変化および/または相対運動しない。この場合、この情報を用いて、高さ測定装置が工作物の高さを検知することができる。
【0097】
高さ測定装置が、工作機械が工作物に相対して動かされる方向に対して横向きの、光反射が伝播する距離を用いて工作物の高さを検知するように形成されることが予定されていることが好ましい。例えば、高さ測定装置は、第2方向の移動の長さ、および有利には例えば表および/または割り当て関数などの追加情報を用いて工作物の高さを検知することができる。第2方向の移動の長さは、例えば、高さ測定装置の画像シーケンス、単一画像、またはそれに類するものに記憶されている。第2方向の移動の長さを検知するために、高さ測定装置が個々の画像を記憶したり中間記憶したりすることなしに、個々の画像を、例えばいわゆるライブストリームとして直接評価することが可能である。しかし、工作機械が、例えば光反射の第1方向の移動と第2方向の移動との間の関係を用いて工作物の高さを検知することも可能である。
【0098】
基準光源または光学センサまたはその両方が、光学フィルタ、例えばUVフィルタ、カラーフィルタ、偏光フィルタまたはそれに類するものを有するならば好ましい。各光学フィルタは、殊に、例えば光学センサが基準光源の反射光の反射の光色および/または光輝度および/または偏光に最適に同調されるように互いに同調されている。したがって、例えば、互いに同調させた2つの偏光フィルタを基準光源および光学センサ、特にカメラに配置することによって、基準光源に由来しない外部光をいわばフィルタリング除去することができる。したがって、例えば日光の入射またはそれ以外の外部光による干渉反射を除去することができる。
【0099】
高さ測定装置が別個のセンサを必要とせず、工作機械にいずれにしても搭載されているセンサ、例えば工具センサが高さ測定のために利用されるならば好ましい。高さ測定装置の該センサまたは唯一のセンサは、作業工具が工作物と接触する工作物接触領域を検出するための、および/または作業方向で作業工具の前に位置する工作物の部分を検出するための工具センサ、例えばカメラ、光学センサ、静電容量センサ、またはそれに類するものによってなることが合目的的である。すなわちセンサによって、例えば鋸刃またはそれ以外の作業工具が工作物に切り込む領域を検出することができる。しかし、作業方向で前の工作物の部分の検出も合目的的である。例えば、カメラは、前方へ、加工されるべき工作物の方に向けられており、同時に高さ測定装置のための構成要素として、または唯一の構成要素として用いられる。
【0100】
さらに、高さ測定装置が、作業工具によって工作物を加工することにより作成された加工エッジを検出するように形成されているならば有利である。すなわち、高さ測定装置は、同時に加工エッジ、例えば切断エッジも検知することができる。工作物の工作物エッジを検知するときすでに有利な光学的プロセスをこのためにもいわば引き続き利用することもできる。したがって、例えば高さ測定装置にいずれにしても搭載されている、例えばコントラストフィルタリング、エッジ認識、またはそれに類するものを加工エッジを検知するために利用することができる。
【0101】
工作機械は、高さ測定装置によって提供される情報を表示するために、表示装置、例えばディスプレイ、グラフィックディスプレイ、またはそれに類するもの、特にスクリーンを有することが合目的的である。当然のことながら、工作物の高さを合わせるか、または表示するために、簡単な表示装置、例えば、1または複数のLED、またはそれに類するものが設けられていてもよい。工作物高さが、操作者に簡単に認識できるように、例えばLCD表示、またはセグメント表示により伝えられることも可能である。
【0102】
高さ測定装置によって提供され、表示装置に表示可能な情報は、工作物エッジを表示する、または表す少なくとも1つのマーキングを含むことが合目的的である。情報は、特にマーキングに加えて、工作物の少なくとも1つの部分領域、例えば工作物の端面を示すこともできる。したがって、操作者は、例えば、マーキングを概観的に表示される工作物の写像と比較することにより、工作物エッジを示すべきマーキングが本当に工作物上エッジであるのかどうかを認識することができる。しかし情報は、工作物の高さに関する高さデータ、例えば目盛り、数データ、またはそれに類するものを含んでもよい。マーキングは、工作物上エッジおよび/または工作物下エッジの認識を用いて高さ測定装置によって生成されることが合目的的である。したがって、操作者は、すなわちマーキングを用いて、高さ測定装置が工作物上エッジまたは工作物下エッジを正しく認識したかどうか、およびそれに相応してマーキングとして表示装置に出力するかどうかを認識する。
【0103】
工作機械は、高さ測定装置によって検知された工作物の高さを用いて作業工具のプリセット進入深さを検知するように形成されているならば好ましい。したがって、工作機械は、いわば最適な進入深さをプリセットする。操作者は、例えば作業工具をプリセット進入深さまでしか工作物内に位置調節しないことにより、この指示に従うことができる。
【0104】
サーボモータによる、または半自動のコンセプトが特に楽である。プリセット進入深さに依存してガイド部材に相対して駆動ユニットを位置調節するための調整駆動装置が設けられていることが有利である。工作機械は、調整駆動装置をプリセット進入深さに相応して制御し、それにより駆動ユニットを、したがって作業工具を有する工具ホルダを理想的なプリセット進入深さに位置調節するように形成されている。
【0105】
しかし半手動または手動の深さ調整も可能である。工作機械が、プリセット進入深さに相応して調整可能な少なくとも1つのストッパ部材によって工作物への作業工具の進入深さを調整するための深さ調整装置を有することが好ましい。操作者は、プリセット進入深さに相応して深さ調整装置の例えば保持輪郭にストッパ部材を固定することができる。この場合も、サーボモータによるコンセプトが可能であり、すなわち、例えばストッパ部材は調整駆動装置によって、深さ調整装置の保持輪郭に関連するプリセット進入深さに相当する位置に位置調節される。
【0106】
高さ測定装置の保護された配置が有利である。高さ測定装置が粉塵排出領域に、および/またはカバーの下に配置されていることが合目的的である。
【0107】
工作物の高さ測定のために工作機械を方向合わせするため、例えばいわば機械的マーキングが設けられていてもよい。したがって一変形形態は、高さ測定装置が、工作機械を工作物の工作物エッジ、例えば工作物上エッジに方向合わせするために、ガイド部材に、または工作機械のハウジングに、特に駆動ユニットに配置されるマーキングを有することを予定する。マーキングは、例えばラインマーキング、凸部、凹部、またはそれに類するものである。そのようなマーキングをガイド部材の短辺側に設けることが特に有利である。さらに、例えば発光ダイオードまたはそれに類する他の光源がマーキングの領域に設けられていてもよく、それにより工作物に工作機械を方向合わせするための基準位置が操作者に示される。
【0108】
しかし表示装置にフェードインされるマーキングも工作物に工作機械を方向合わせするのに適している。したがって、一実施例は、高さ測定装置が、光学マーキング、例えば線、少なくとも唯一の点、またはそれに類するもの、ならびに工作物エッジのいわば概観的写像を表示装置に表示するように形成されていることを予定する。すなわち、操作者は、この仕方で、光学マーキングを表示された工作物エッジと一致させることができ、その結果、高さ測定のために工作機械が工作物に方向合わせされる。
【0109】
好ましいコンセプトは、高さ測定装置が、工作物と工作機械との相対運動中に、工作物の少なくとも1つの工作物エッジ、例えば工作物上エッジまたは工作物下エッジを動的に検出するように形成されることを予定する。その際、工作物がガイド面に当接することにより、工作機械が工作物に沿って、または工作物が工作機械に沿って案内されることが好ましい。特に、工作物上側または工作物下側がガイド面に当接する。高さ測定装置は、例えば、工作物エッジが基準位置にあるときに動的に認識することができる。
【0110】
高さ測定装置が動的に2つの工作物エッジを検出し、それに加えて有利にも、工作物の端面からの検出するセンサの相対距離をも検知し、それにより高さ測定装置は、相対距離および検出された工作物エッジ間の距離、または各工作物エッジの写像間の距離を用いて工作物の高さを検知することが可能である。
【0111】
好ましくは、駆動ユニットが、軸受アセンブリを用いて、ガイド面に相対する工具ホルダの少なくとも2つの設定位置を調整するためにガイド部材に位置調節可能に支承されることが予定され、少なくとも1つの設定位置は、工具ホルダに配置された作業工具が工作物接触領域において工作物と接触する、特に工作物に切り込む工作物加工位置に相当する。
【0112】
有利には、工作機械が、工作物接触領域を検出するための少なくとも1つの工具センサと、工作物センサとは別個の、ガイド部材に相対する駆動ユニットの相対位置を検出するための少なくとも1つの位置センサとを有することと、工作機械が位置センサおよび工具センサのセンサ信号を評価するための評価装置を有することとが予定されている。
【0113】
位置センサによって検出可能な相対位置は、ガイド部材に相対する駆動ユニットの調整された、または調整可能な相対位置であってもよい。相対位置は、実際相対位置を、したがってガイド部材に相対する駆動ユニットの現在位置、または目標相対位置、例えばストッパを用いて調整可能な、駆動ユニットがストッパに打ち当たるときにガイド部材に相対してとる相対位置であってもよい。
【0114】
位置センサは、1つまたは複数の位置センサを備えてもよい。当然のことながら、工具センサについても同じことが当てはまり、工具センサは1つまたは複数の工具センサを備えてもよい。請求項では、位置センサは「少なくとも1つの位置センサ」、そして工具センサは「少なくとも1つの工具センサ」と記載され得る。
【0115】
工作機械の基本コンセプトは、1つには、例えば操作者に容易な取り扱いを可能にするため、作業工具の位置を検知するため、またはそれに類するもののために、作業領域が工具センサによって直接検出可能であるということを出発点とする。それによって、操作者は、例えば作業工具が工作物に入り込むこと、および入り込む場所を認識することができる。別のセンサ、すなわち位置センサは、ガイド部材に相対する作業ユニットの相対位置を検知することができ、それにより例えば工作物への作業工具の現在のおよび/または調整された作業深さまたは進入深さを監視することができる。例えば、位置センサは、工作機械のディスプレイに設けられている目盛りで、駆動ユニットのそれぞれの相対位置および/またはガイド部材に相対する駆動ユニットのいわば将来の調整可能な相対位置と、それとともに工作物に相対する駆動ユニットおよび作業工具の割り当てられた設定位置を表示することが可能である。
【0116】
評価装置は、位置センサのセンサ信号および/または工具センサのセンサ信号を用いて生成される、または生成可能な少なくとも1つの光学的情報を表示するために、殊に光学表示装置、特にスクリーン、LCDディスプレイ、LED表示器、またはそれに類するものを具備している。したがって、すなわち例えば工具センサは、これがカメラを含む場合、工作物接触領域の像を光学表示装置に表示することができる。位置センサは、マーキング、光信号、目盛り表示、またはそれに類するものとして表示装置に表示されるか、もしくはまたは表示装置によって表示される位置信号を生成することができる。
【0117】
一事例では、光学表示装置は、例えばLED、またはそれに類するものなどの個々の光信号である。発光素子帯または発光体、特にLEDの列状配置も問題なく可能である。快適な表示は、例えばLCDディスプレイによって達成される。さらに、表示装置としてグラフィックディスプレイが設けられること、または表示装置がグラフィックディスプレイを備え、それにより例えば、工作物接触領域のリアルな像を表示装置に表示可能であることが有利である。
【0118】
光学表示装置に表示可能な光学的情報は、例えば、ガイド部材に相対する、および/または工作物に相対する駆動ユニットの設定位置を表示するための設定位置情報を含む。評価装置は、位置センサの位置信号を用いて設定位置情報を生成する。設定位置情報は、例えば線描、点描、またはそれに類するものを含んでもよいし、または線描、点描、またはそれに類するものによってなってもよい。しかし設定位置情報は、目盛り表示または寸法表示であってもよいし、あるいは目盛り表示または寸法表示を含んでもよい。設定位置情報によって、例えばガイド面に対する、または工作物の表面に対する駆動ユニットの相対位置が信号で伝えられる。それにより例えば、操作者は、例えば分断切断、切削加工、またはそれに類するものの場合に、作業工具がすでにどれだけ工作物に進入したのかを認識することができる。
【0119】
設定位置情報は、合目的的には、ガイド部材に相対する駆動ユニットの調整された実際相対位置である。すなわち、駆動ユニットをガイド部材に相対して位置調節すると、これが実際相対位置もしくは設定位置情報によって示される。しかし、設定位置情報がガイド部材に相対する駆動ユニットの位置調節によって調整可能な目標相対位置を含むことも可能である。したがって、例えば駆動ユニットがガイド部材に相対してとるべきストッパ位置または予め設定された、または予め設定可能な目標設定位置を設定位置情報によって示すことができる。
【0120】
つまり、本発明の有利な実施形態は、ガイド部材に対して定置の、または定置固定可能なストッパによって、ガイド部材に相対する駆動ユニットの目標設定位置が予め設定可能であることを予定することができる。駆動ユニットをガイド部材に相対して位置調節すると、駆動ユニットは、例えばストッパに打ち当たり、ストッパによって予め設定された駆動ユニットの目標設定位置が設定位置情報として表示装置に表示される。ストッパは、定置であってもよく、すなわち、例えばガイド部材における凸部または面によってなってもよい。しかし、例えば工作物への作業工具の進入深さまたは作業深さを調整するために、ストッパがガイド部材に相対して位置調節可能であることも可能である。
【0121】
光学表示装置は、合目的的には、工作物に配置された工作物マーキングを表示するように、ならびに/あるいは工具センサによって検出され工作物接触領域を写像する画像情報を再生するように形成および/または予定されることが合目的的である。したがって、例えば工具センサによって、工作物マーキング、特に工作物上の線または他の光学マーキングが検出されてもよく、光学マーキングは表示装置に表示される。しかしすでに述べたように、工作物接触領域が工具センサによって写像または検出されて、画像情報として出力されてもよく、画像情報が表示装置によって操作者に可視化される。
【0122】
工作物接触領域に関する画像情報および/または工作物上のマーキングは、すでに述べた設定位置情報とともに表示装置に概観的に表示されることが合目的的である。
【0123】
好ましくは、位置センサおよび/または位置センサの位置信号が較正される。
【0124】
合目的的には、評価装置は、工具センサによって検知された工具実際位置信号を用いて、位置センサによって検知された位置信号を較正するための較正手段を備える。すなわち、位置センサもしくは位置センサの位置信号は、工具実際位置信号を用いて較正可能である。位置センサは、例えば非線形の位置値または位置信号を出力してもよく、これらが工具実際位置信号を用いていわば較正され、線形の値に、および/またはガイド部材に相対する駆動ユニットのそれぞれの設定位置、例えば深さ調整位置を表す値に変換されてもよい。工具実際位置信号は、例えば工作物への作業工具のリアルな入り込み領域、例えば鋸切断、分断切断、またはそれに類するものを含む。すなわち、例えば位置信号が非線形であり、工具実際位置信号を用いて線形化されることが可能である。位置信号が、例えばガイド部材に相対する駆動ユニットの移動運動学(Bewegungskinematik)にもとづいて、工作物への作業工具の実際の没入深さまたは進入深さを表さないことも可能である。すなわち、例えば駆動ユニットが軸を中心としてガイド部材に相対して、したがって工作物に相対して旋回する場合、作業工具は、ガイド平面に対して直交する運動ベクトルとガイド平面に対して平行の運動ベクトルとで、例えば円弧軌道を描き、これらの運動ベクトルは、それぞれの円弧部分に応じて異なる値を有し、その結果、工作物に切り込むか、または進入する際に作業工具の前加工エッジおよび/または後加工エッジに異なった影響が及ぼされる。
【0125】
工具実際位置信号は、例えば作業工具の縁領域および/または作業工具を用いて工作物を加工することによって形成される工作物の加工エッジ、特に切断エッジを表すことができる。したがって、例えば作業工具の作業方向で前または後の切断エッジまたは加工エッジを工具センサによって検出可能であり、工具実際位置信号によって表される。
【0126】
工具実際位置信号を検出、および/または工具実際位置信号を処理するときの有利な措置が予定されている。
【0127】
評価装置は、合目的的には工具実際位置信号を検知するために、少なくとも1つの光学フィルタおよび/またはデジタルフィルタを備える、あるいはそのようなフィルタを使用する。したがって、例えば光学的フィルタリング、グレー値のフィルタリング、偏光フィルタリング、またはそれに類するものによってより良い工具実際位置信号を検知することができる。例えば不鮮明、揺れ、またはそれに類するものがソフトウェアフィルタまたはそれに類するものによってフィルタリング除去されるデジタルフィルタリングも、工具実際位置信号の検知との関連で合目的的である。
【0128】
別の有利な措置は、較正手段が割り当て情報を生成するように形成されていることを予定する。
【0129】
評価装置は、有利には、割り当て情報と、工作機械において調整された、または調整可能なガイド部材に相対する駆動ユニットの設定位置とを用いて、作業工具で工作物を加工することによって形成された、または形成される工作物の加工エッジ、例えば切断エッジに関する情報を検知するように形成されている。割り当て情報は、例えば割り当て表、数学的な割り当て関数、またはこれらの両方を含む。ガイド部材に相対して調整された、または調整可能な駆動ユニットの設定位置が合目的的に位置センサによって検出されるか、または検出可能である。
【0130】
割り当て情報は、合目的的には、評価装置が、特に位置センサを用いて検出されたガイド部材に相対する駆動ユニットの設定位置を、作業工具を用いて工作物を加工することによって形成される、またはすでに形成された工作物の加工エッジに関する情報を検知するために利用することのために用いられる。すなわち、例えばストッパが駆動ユニットの調整可能な調整位置を示す場合、この設定位置が位置センサによって検出される。評価ユニットは、位置信号と割り当て情報とを用いて、工作物に実際に形成される加工エッジに相当する情報、つまり目標位置を検知する。操作者が、ストッパによって予め設定された設定位置まで駆動ユニットをガイド部材に相対して調整すると、作業工具はこの仕方で検知および/または表示された目標位置まで工作物に切り込み、それにより加工エッジまたは切断エッジが形成される。すなわち操作者は、殊に表示装置に表示される情報を用いて、自分がどの深さで、および/またはどの場所まで工作物に切り込むのかをすでに認識することができる。
【0131】
しかし、位置信号と割り当て情報とを用いて検知された情報が、実際の、工作物の現在加工時にすでに、形成される切断エッジまたは加工エッジを表すことも可能である。すなわち工具センサが、例えば工作物加工時に、いわば工作物接触領域への視界を有さない場合、すなわち工作物接触領域が、例えば安全部材、カバー、またはそれに類するもの、粉塵等々によって覆い隠されている場合、評価装置は、位置信号および割り当て情報を用いて、作業工具が実際にどこにあるのかという情報を検知し、この情報が例えば表示装置に表示されるか、またはそれ以外の仕方で以後の工作物加工のために使用される。
【0132】
上記の措置によって精度が大幅に向上する。例えば工作機械の組み立て時の、軸受アセンブリにおける、位置センサおよび/または工具センサの組み立て時の機械的誤差は、いわば埋め合わされるか、または補償されるか、または排除される。割り当て情報を用いて、いわば位置信号を、ガイド部材に相対する駆動ユニットの実際の設定位置、または例えば駆動ユニットのためのストッパの調整された位置を表す位置信号と解釈することができる。
【0133】
割り当て情報は、有利には、少なくとも2つの互いに角度をなす割り当て座標または割り当て軸に関係付けられている。
【0134】
すなわち割り当て情報は、多軸に、特に2つの互いに角度をなす、特に直角の割り当て軸に関係付けて形成されていることが合目的的である。例えば、工具センサの工具センサ信号は、互いに角度をなす方向に、例えばx方向およびy方向に設けられている画像情報または画素を含む。それに応じて、位置信号のための割り当て情報は、例えばx軸などの割り当て軸にも、さらに、例えばy軸などの別の割り当て軸、特に互いに直角の割り当て軸にも関係付けられる。すなわち、例えば工具センサの画像情報が、工作物を工作機械に沿って、またはその逆に工作機械を工作物に沿って案内可能な工作物に対する工作機械の作業方向と精確に一直線に並ばない場合、x割り当て軸およびy割り当て軸に、または少なくとも2つの互いに角度をなす割り当て軸に画像情報を割り当てることによって、位置信号のための一意的な割り当て情報が検知される。
【0135】
したがってすなわち、例えば位置信号は、作業工具に相対して精確に、例えば0.1~0.5mmに正確に調整された加工エッジ、例えば作業工具の前加工エッジまたは後加工エッジを表すことができ、精度は、工具センサの分解能、例えば工具センサのデジタル分解能、ならびに評価装置または位置センサの分解能によって制限されるだけである。それにより、工作機械、作業工具、またはそれに類するものに場合によって生じ得る機械的誤差はいわば解消される。上述した機械的誤差については、これが例えば作業工具の摩耗によっても発生する可能性があることをさらに補足しておかなければならない。
【0136】
合目的的なコンセプトは、位置センサおよび工具センサが2つの互いに異なる物理的測定原理を有することを予定する。
【0137】
さらに、工具センサがカメラを備えるか、またはカメラによってなり、位置センサはカメラでないならば有利である。しかしここで述べておきたいのは、位置センサと工具センサの両方がカメラによってなってもよいし、カメラを備えていてもよいということである。位置センサと工具センサの両方がカメラによってなっているのではなく、例えば異なった測定原理を有する光学センサ、誘導センサ、またはそれに類するものによってなるか、あるいはこのようなセンサを備えていてもよい。
【0138】
好ましいコンセプトは、工作機械が、工作物接触領域を照明するための照明装置を有することを予定する。照明装置、特にLEDアセンブリまたはそれに類するものを用いることで、工作物接触領域が良好に見え、このことは工具センサによる検出を容易にするか、またはより良くする。
【0139】
工具センサに少なくとも1つのフィルタ、特に偏光フィルタおよび/またはカラーフィルタおよび/またはグレーフィルタが前置されているならば好ましい。この事例では、工具センサは、例えば光学センサ、カメラ、またはそれに類するものである。偏光フィルタ、特に線形偏光フィルタ、または円形偏光フィルタを用いて、例えば反射をフィルタリングすることができ、それにより工具センサ信号に反射の影響があまり及ぼされないか、または及ぼされない。カラーフィルタは、例えば工具センサによって検出可能な色スペクトルを制限することができ、それにより関係のない色、例えば木材またはそれに類するものの色は最初からフィルタリング除去される。唯一のグレースケール、または1つのグレーグラデーション、または強い光透過ゾーンおよび光をあまり透過させないゾーンを有し得るグレーフィルタは、明るい領域をいわばフェードアウトすることができる。
【0140】
有利な照明装置は、工作物接触領域ならびに/あるいは1つの工具センサの1つの検出範囲、または複数の工具センサの複数の検出範囲を工作機械の周囲の輝度より大きい輝度で照明する。例えば、作業空間において通常超過されない輝度での照明が可能である。したがって、例えば周囲光の干渉の影響を最小化または回避することができ、そのことが工具センサの検出品質を向上させる。
【0141】
有利な照明装置では、輝度が調整可能であってもよい。このことは、工作機械が有する、例えば調整部材またはグラフィック操作面によって可能である。しかし自動の輝度適応も有利であり、すなわち工作機械が、特に工作機械の周りの周囲光のための少なくとも1つの輝度センサを有し、かつ工作機械の周囲の周囲光に依存して照明装置の輝度を調整するように形成されているということである。
【0142】
工具センサおよび/または位置センサは、異なったセンサまたは測定原理を備えるか、または、異なったセンサまたは測定原理によってなってもよい。例えば以下に例示的に挙げておくが、工具センサおよび位置センサにおいて、以下のセンサまたは測定原理を組み合わせることは問題なく可能である:
カメラ、誘導センサ、静電容量センサ、光学センサ、傾斜センサ、加速度センサ、距離センサ、電気測定抵抗器、またはそれに類するもの。
【0143】
したがって、例えばガイド部材に相対する駆動ユニットのガイドに、例えば電気測定抵抗が設けられていてもよい。さらに位置検出のために、光学センサ、例えばレーザを用いるセンサ、フォトセル、またはそれに類するものが予定されていてもよい。さらに、例えばガイド部材に相対する駆動ユニットの傾きまたは旋回位置を検出することができる傾斜センサが有利である。誘導測定原理または静電容量測定原理を用いて、例えばガイド部材に相対する作業工具の位置を検出することが可能である。
【0144】
軸受アセンブリに少なくとも1つの位置センサが設けられているならば有利である。
【0145】
位置センサは、例えばガイド部材に相対する作業ユニットの角度位置を調整するための角度調整装置に配置される位置センサを備える。したがって、例えば角度ガイド、またはそれに類するものに位置センサが設けられていてもよい。
【0146】
さらに、位置センサは、工作物への作業工具の進入深さを調整するための深さ調整装置に配置される位置センサを備えるか、またはこの位置センサによってなるならば有利である。したがって、例えば位置センサは、深さ調整装置に可動に支承されているストッパの位置を検出することができる。
【0147】
さらに、位置センサがガイド装置、例えばリニアガイド、旋回ガイド、弓形ガイド、またはそれに類するものに配置された位置センサを有し、その際、駆動ユニットをガイド部材に相対して案内するためのガイドが設けられているならば有利である。
【0148】
さらに、位置センサを軸受アセンブリの旋回軸受または滑り軸受に設けることが可能である。
【0149】
当然のことながら、例えばガイド装置に位置センサ、および軸受アセンブリに位置センサなど、上記の位置センサのうちのいくつかが設けられてもよい。
【0150】
工作機械が工作物への作業工具の進入深さを調整するための深さ調整装置を有することが好ましい。深さ調整装置は、ガイド部材に配置される保持輪郭を備える。保持輪郭にはストッパ部材が可動に支承され、および/またはガイド面に相対する工具ホルダのそれぞれの設定位置において、/工作物、または工作物表面に割り当てられた調整位置において固定可能である。駆動ユニットは、それぞれの調整位置においてストッパ部材に打ち当たる。したがって、すなわち操作者は、深さ調整装置を用いて工作物への作業工具のそれぞれ所望の進入深さまたは加工深さを調整することができる。このような深さ調整装置は、例えばガイド部材に相対する駆動ユニットの目標設定位置を調整するのに適している。
【0151】
位置センサが、保持輪郭に対するストッパ部材の調整位置を検出するための位置センサを備えるか、またはこの位置センサによってなることが好ましい。例えば保持輪郭には、ストッパ部材の位置を検出することができる電気測定抵抗器が配置されている。しかし、ストッパ部材を検出することができるか、もしくは保持輪郭に相対する、したがってガイド部材に相対するストッパ部材の位置を検出可能な光学原理も合目的的である。ストッパ部材もしくはストッパ部材の位置を検出する位置センサにおいて他の測定原理、例えば誘導測定原理、静電容量測定原理、またはそれ以外の測定原理も問題なく可能である。
【0152】
評価装置は、合目的的には、少なくとも1つの位置センサおよび/または工具センサのセンサ信号に依存して駆動ユニットをガイド部材に相対して位置調節するための駆動モータおよび/または調整駆動装置を制御するように形成されている。したがって、それぞれの目標設定位置に到達した場合に、例えば駆動モータを自動的にオフにするか、または駆動ユニットを自動的に位置調節することができる。この実施形態でも、上記の光学表示装置が設けられることが問題なく可能であり、すなわち操作者は、例えば光学表示装置を用いて、機械が自動で行うことを目で見るか、または操作者は、機械を、評価装置が駆動モータまたは調整駆動装置を制御する自動モードから、操作者がいわば光学表示装置を用いて工作物を加工するマニュアルモードに切り替えることができる。例えば、評価装置は、鋸断またはそれ以外の工作物加工が終了した場合に駆動モータをオフにすることができる。さらに、評価装置が、例えば作業工具が工作物から離れる方向に、または工作物に向かって移動されるように調整駆動装置を制御することが可能である。
【0153】
工作機械が1つの工具センサだけでなく、複数の、特に少なくとも2つの工具センサを有するならば好ましい。
【0154】
作業工具の互いに反対の各側に、工作物接触領域のそれぞれの工作物接触部分領域を検出するための少なくとも2つの工具センサを有する工具センサアセンブリが設けられていることが好ましい。各工作物接触部分領域において、作業工具の一部が工作物に入り込む。したがって、例えば作業工具の作業方向で前側、および作業方向で後側をそれぞれ1つの工具センサによって検出することができる。それにより、つまり1つの工具センサだけでなく、複数の工具センサが例えば工作物への作業工具のそれぞれの進入深さを検出することができるので、上記の割り当て情報またはそれに類するものを格段に正確に検知可能である。
【0155】
つまり、評価装置が、工作物接触領域の工作物接触部分領域に割り当てられた工具センサによって検知された工作物実際位置信号を用いて位置センサによって検知された位置信号を較正するための較正手段、特に上記および上述の較正手段を有するならば有利である。それによって格段に高い精度が達成可能である。
【0156】
さらに、工作機械、例えば評価装置が、ガイド部材を案内するためのガイド装置、例えばガイドレール上のガイド部材の位置決めを検知するように形成されているならば有利である。ガイド装置またはガイドレールでガイド部材が、例えば作業方向に直線状に案内されていてもよいし、または案内可能であってもよい。工作物への作業工具の加工深さまたは進入深さは、ガイド部材がガイド装置上に配置されているのか、またはガイド装置の隣に配置されているのかによって決まる。例えば、ガイド部材がガイドレール/ガイド装置上にあり、工作物上に直接載っていない場合、工作物への作業工具の同じ進入深さまたは加工深さを達成するために、駆動ユニットをガイド部材の方向にさらに旋回させなければならない。評価装置は、例えばガイド部材がガイド装置上に位置決めされているのか、またはそこから離れて、例えば工作物上に直接位置決めされているのかに依存して、上記の較正、位置信号および表示装置上の表示装置の割り当て、またはそれに類するものを行うことができる。それにより、ガイドレールまたはガイド装置のそれぞれの高さ、すなわちガイド装置の上側から工作物上に載るガイド装置の下側までの距離が信号の較正、割り当て、およびそれに類するもの等に、工作機械によっていわば自動的に算入される。
【0157】
しかしガイドレールを認識するために、例えば工作機械のエッジと工作物および/またはガイドレールとの関係など、異なったセンサコンセプトまたは画像処理コンセプトを使用することができる。さらに、ガイドレールは、例えばガイドレールの直線状の長手方向の形状、ガイドレールの色、ガイドレールのパターン付けなどの例えば一意的な視覚的特徴を用いて、または、例えばビットパターンまたはバーコードなどのガイドレールに配置された一意的な識別子を用いて検知されてもよい。さらには、工具センサによって検知されたガイドレールの画像が比較画像と比較される、画像比較またはテンプレート比較も可能である。
【0158】
工作機械の1つの工具センサまたはすべての工具センサがガイド面から比較的大きい距離を有するならば好ましい。駆動ユニットは、例えばガイド面から離れる方向の、例えば最大高さ延在部に延在する。最大高さ延在部が、例えば駆動ユニットの機械ハウジングの上側によって定義されるのに対して、ガイド面は工作機械のいわば下側である。工具センサは、殊に駆動ユニットがガイド面から離れる方向に延在する最大高さ延在部の少なくとも20%、殊に30%、特にそれどころか40%または50%である距離をおいてガイド面から離隔したところで工作機械に配置されている。
【0159】
有利な一実施形態は、工具センサアセンブリが少なくとも2つの工具センサを有し、これらのセンサの検出範囲が工作物接触領域の異なった工作物接触部分領域に割り当てられていることを予定する。
【0160】
有利には、作業工具が少なくとも部分的に工具センサの検出範囲間に入り込み、それにより工作物接触領域に割り当てられた一方の工具センサの検出範囲が、他方の工具センサによる検出のために、作業工具によって少なくとも部分的に覆い隠されることが予定されている。
【0161】
有利には、工作機械、または冒頭で述べた種類の工作機械では、工具センサアセンブリが作業工具の互いに反対の各側に、工作物接触領域のそれぞれの工作物接触部分領域を検出するための少なくとも2つの工具センサを有し、各工作物接触領域において、作業工具の一部が工作物に入り込むことが予定されている。
【0162】
したがって2つの工具センサ(より多くの工具センサが設けられてもよい)は、それぞれ工作物接触部分領域を検出する。工作物接触部分領域は、それぞれの工具センサの検出範囲において最適に位置し、このことは工作物接触領域への格段に改善された視界を可能にする。しかし「工作物接触領域への視界」は、カメラで、または光学センサでしか作ることができないと解されるべきではない。その代わりに工具センサのための他の測定原理、例えば静電容量、誘導、またはそれに類する他の、特に非接触で動作または機能する測定原理または検出原理も有利である。
【0163】
検出範囲が作業工具の互いに反対の各側に割り当てられているならば好ましい。したがって、すなわち各工具センサは、作業工具の1つの側でそれぞれの工作物接触領域を検出する。
【0164】
工作物接触領域の工作物接触部分領域は、作業工具の互いに反対の各側に設けられていることが合目的的である。
【0165】
作業工具の互いに反対の各側に設けられた工作物接触部分領域は、例えば作業工具によって全体または部分的に覆い隠され、それにより一方の工具センサに割り当てられている工作物接触部分領域は、それぞれ他方の工具センサによって検出可能でないか、または部分的にのみ検出可能である。
【0166】
さらに、工作機械は、それぞれの工作物接触部分領域を検出するために、より多くの、すなわち2つより多い工具センサを有することが可能である。工具センサは、殊に一列に横並びに配置されている。したがって、例えば2つの工具センサが作業工具の互いに反対の各側に割り当てられており、もしくはそこにある工作物接触部分領域を検出し、第3の、またはさらなる工具センサの検出範囲が上記の2つの工具センサの検出範囲間に位置することが可能である。
【0167】
合目的的には、工作機械が少なくとも3つの工具センサを有し、少なくとも3つの工具センサは、作業工具の外周輪郭において作業工具の外周輪郭のジオメトリで延びる列状配置で配置されていることが予定されている。したがって、工具センサが、例えば作業工具の外周に列状に横並びに配置されていることが可能である。工具センサの列状配置は、合目的的には作業工具の外周輪郭と相関関係にあるか、または合目的的には作業工具の外周輪郭に対応する。したがって、例えば直線状の作業工具の場合、工具センサは直線に沿って列状配置で配置されてもよい。湾曲した、または弓形の作業工具では、工具センサは湾曲した、または弓形の列に沿って配置される。
【0168】
それにより各工具センサは、それぞれに割り当てられた工作物接触部分領域を最適に検出することができる。したがって、例えば切削工具の外周に3つ以上の工具センサの列状配置が予定されていてもよい。
【0169】
有利な措置は、一方の工作物接触部分領域が、工作物への作業工具の入口領域に相当し、他方の工作物接触領域が工作物からの作業工具の出口領域に相当することを予定する。このような配置は、特に作業工具がいわば上から工作物に進入するプランジ丸ノコ、またはそれに類する他の工作機械の場合に有利であり、その際、工作物への作業工具の進入深さが増すにつれて、工作物の工作物表面に入り込む作業工具の外周が増す。それにより操作者は、両方の領域、つまり入口領域と出口領域とを最適に監視することができる。
【0170】
工作物への作業工具の進入深さを調節するために、工具ホルダがガイド面に相対して位置調節可能に支承されていることと、工具センサは、工作物への作業工具の進入深さが最大のときに工作物接触部分領域の最大距離の領域に配置されていることが予定されていることが合目的的である。すなわち工具センサ間には、工作物への進入深さが最大のときに工具センサ間の中間空間に作業工具が納まるのに十分な距離が設けられている。したがって、すなわち例えば工具センサは、作業工具の最大の径方向外周の領域に配置されている。
【0171】
少なくとも1つの工具センサが、ガイド部材のガイド面に向いた側に配置されていることが考えられる。したがって、例えばガイド部材から作業ユニットの方向にブームまたはアームが突出し、ガイド部材の、いわば駆動ユニットから離反した側を検出することができる。
【0172】
しかし、少なくとも1つの工具センサ、殊に両方またはすべての工具センサが、ガイド部材の、ガイド面から離反した側に配置されているならば有利である。言い換えると、工具センサまたは少なくとも1つの工具センサは、ガイド部材の、駆動ユニットに割り当てられた側に配置されている。したがって、すなわちガイド面には、いわば工具センサがなく、このことは工作機械の取り扱いを容易にする。工作物はガイド面に自由に接近できる。
【0173】
さらに、少なくとも1つの工具センサ、殊に2つまたはすべての工具センサが粉塵排出領域に、および/またはカバーの下に配置されているならば有利である。さらに、1つの工具センサまたは複数の工具センサがカバーの下に配置されているならばこれらのセンサにとって有利である。それによって工具センサが保護される。特に粉塵排出領域は、通常、作業工具の近くに設けられ、それにより工具センサは、工具センサにそれぞれ割り当てられた工作物接触部分領域をその都度直接現場で、つまり作業工具の近くで検出することができる。
【0174】
有利な措置は、工作機械が工具接触領域を照明するための照明装置を有することを予定する。照明装置は、例えばLEDアセンブリまたはそれ以外の照明装置を備える。
【0175】
この関連で、それぞれの工作物接触部分領域を個別に照明するために、照明装置が各工作物接触部分領域に対して1つの照明部材を有するならば好ましい。したがって、すなわち現場での最適な照明も保証される。つまり1つの照明部材の照らす作用を、例えば光色、波長、照度、またはそれに類するものに関して最適に工作物接触部分領域もしくはそれぞれの工具センサの検出範囲に合わせることができる。さらに、作業工具は、他の工具センサの検出範囲への照明部材の光の出射を妨げるか、もしくは遮ることができる。
【0176】
好ましい一変形形態は、工作機械が工具センサのセンサ信号を表示するための例えばスクリーンなどの表示装置を有することを予定する。例えば、センサ信号は、表示装置によって表示可能である、それぞれの工作物接触部分領域を写像する像情報を含むことができる。
【0177】
好ましいコンセプトは、工作機械が工具センサのセンサ信号間の切り替えのための切替装置を有し、切替装置は、一方の工具センサのセンサ信号、または他方の工具センサのセンサ信号を、少なくとも1つの切替条件に依存してそれぞれもう一方のセンサ信号の前に優先的に出力信号として出力することを予定する。切替装置は、例えばディスプレイまたは表示装置の構成部分であってもよい。切替装置は、センサ信号を評価するための評価装置によってなってもよいし、または少なくとも部分的に評価装置によって実現されてもよい。
【0178】
少なくとも1つの切替条件は、例えば時間的条件を含む。したがって、例えば一方の工具センサのセンサ信号が予め定められた第1期間の間、続いて他方の工具センサのセンサ信号が、例えば表示装置の画像情報として出力されてもよい。したがって、例えば工作機械をオンにしたときにまず、作業方向で後の工具センサのセンサ信号が出力されてもよく、それにより操作者は、作業工具を工作物に相対して位置決めする、すなわち、例えば鋸刃を工作物に没入させる時間を有する。予め定められた第1期間の経過後に、切替装置は、いわば画像情報または作業方向で前の工具センサのそれ以外のセンサ信号に切り替える。したがって操作者は、例えば工作機械を作業方向に沿って工作物沿いに、または工作物を作業方向に沿って工作機械沿いに送るときに、工作物への作業工具のそれぞれの切り込み領域、または作業工具の入り込み領域を管理することができる。
【0179】
しかし工作機械は、例えば操作者によって操作可能なボタンなどの手動で操作可能な操作部材を有してもよい。操作部材は、工具センサのセンサ信号間の切り替えのための切替装置によって評価される切替信号を生成する。
【0180】
ここで述べておきたいのは、センサ信号の優先的な出力が、他のセンサ信号は出力されないということを意味するのではないということである。したがって、例えば一方の工具センサのセンサ信号が、他方の工具センサのセンサ信号より大きい写像として表示装置に出力されてもよい。
【0181】
さらに、スイッチング条件が加速度信号を含むか、または加速度信号によってなるならば有利である。したがって、例えば作業方向に沿った工作機械の前進または工作機械の運動が加速度として検出されてもよい。ガイド部材に相対する、もしくは工作物に相対する駆動ユニットの没入移動が加速度信号と解釈されることも可能である。したがって、上記の没入運動時に、例えばこの没入移動それ自体が加速度センサによって検出されてもよい。その場合、加速度信号、つまり、例えばこの加速度センサの加速度信号に依存して、例えば評価装置がまず、作業方向で後ろの工具センサのセンサ信号を表示することができる。次いで、工作物に向かうさらなる加速がないことが検出されると、没入過程が終了する。次いで、評価装置は、例えば作業方向で前の工具センサのセンサ信号に切り替える。
【0182】
好ましいコンセプトは、少なくとも1つの工具センサ、合目的的には複数または両方の工具センサがガイド部材に配置されていることを予定する。それにより工具センサは、例えば工作物接触部分領域の非常に近いところに位置決めされている。
【0183】
工具センサの検出範囲および/または工具センサの光学軸が、作業工具の外周に相対して異なった角度で配置されているならば好ましい。したがって、例えば一方の工具センサは、他方の工具センサより急な角度で作業工具もしくは作業工具の外周を検出することができる。より急な角度によって、より正確なエッジ検出を行うことができる。比較的平坦な角度は、例えば作業工具の隣の工作物のより大きい領域が工具センサの検出範囲に入ることを可能にする。
【0184】
さらに、工具センサの検出範囲が、異なった検出角度、例えば20~50%異なった検出角度を有するならば合目的的である。したがって、例えば作業方向で前の工具センサが広角対物レンズまたは広角検出範囲を備えているのに対して、他方の、作業方向で後の工具センサは、より小さい検出角度を有することが予定されていてもよい。しかし一方の工具センサの検出角度は、他方の工具センサの検出角度とは格段に異なり、例えば少なくとも80%、特に好ましくはそれどころか少なくとも100%、または約200%、特に200%~300%であってもよい。すなわち、一方の工具センサは、いわば標準検出範囲を有する工具センサであるのに対して、他方の工具センサは一種の広角工具センサであってもよいことがわかる。
【0185】
少なくとも1つの工具センサおよび/または少なくとも1つの位置センサが、非接触で動作するセンサであるか、またはこのようなセンサを備えることが合目的的である。
【0186】
本発明による可搬型工作機械は、例えば手持ち工作機械として工作物に相対して案内されてもよい。特に、工作機械は、操作者がこれを把持し、工作物に沿って案内することができるように軽量である。このような工作機械は、例えば工作物に当接させるためのガイドレールを備える、例えば分断機、鋸、切削機、特にルータ、プランジソー、チョップソー、ジグソー、またはそれに類するものである。可搬型工作機械がいわゆる半据置型工作機械であることも可能であり、すなわち使用場所へ、例えば建設現場へ楽に運搬可能である工作機械である。この場合、工作機械は、例えばキャップソー、チョップソー、引き挽きソー、チョップ引き挽きソー、テーブルソーまたはそれに類するものである。
【0187】
作業工具は、殊に分断工具、例えば鋸刃、分断機、またはそれに類するものである。作業工具は、例えば振動鋸、特にジグソー等の長尺の鋸刃であってもよいし、または円形の鋸刃であってもよい。さらに、作業工具は、切削工具、穿孔工具、またはそれに類するものであってもよい。
【0188】
以下に、図面を用いて本発明の実施例を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0189】
【
図3】
図1および
図2による工作機械の斜め上からの図である。
【
図4】上記の各図による工作機械を側方から、および斜め下からの図であり、蓋は取去られている。
【
図5】上記の各図による工作機械の照明装置の詳細図である。
【
図6】中間設定位置にある上記の各図による工作機械の側面図である。
【
図7】
図6の図であるが、工作機械は下設定位置をとる。
【
図8】上記の各図による工作機械および工作機械のためのガイドレールの斜視図である。
【
図9】工作機械のガイド部材に対して上設定位置にある工作機械の模式図である。
【
図10】
図9の図であるが、駆動ユニットが
図6による設定位置に略ある図である。
【
図11】
図9、
図10に相当する工作機械の図であり、駆動ユニットは、
図7に略相当する設定位置をとる。
【
図12】
図9に示された設定位置にある上記の図による工作機械の表示装置の図である。
【
図13】
図10に示された設定位置にある上記の図による工作機械の表示装置の図である。
【
図14】
図11に示された設定位置にある上記の図による工作機械の表示装置の図である。
【
図15】
図9による設定位置にある工作機械によってそれぞれ加工された工作物と、その際に形成された切断線の図である。
【
図16】
図10による設定位置にある工作機械によってそれぞれ加工された工作物と、その際に形成された切断線の図である。
【
図17】
図11による設定位置にある工作機械によってそれぞれ加工された工作物と、その際に形成された切断線の図である。
【
図18】作業方向で前の切断エッジまたは加工エッジの検出時の工作機械の工具センサの検出範囲の模式図である。
【
図19】
図18の図と関連した工作機械の位置センサの位置信号に対する画素の推移の図である。
【
図20】
図18の図と関連した工作機械の表示装置における光学的に表示された切断エッジの推移の図である。
【
図21】
図8に示されたガイドレールの検出を説明するための模式図である。
【
図22】プロセッサを有する工作機械の模式的回路図である。
【
図24】
図18による加工エッジ検出時の画像処理の経過の図である。
【
図25】ガイド部材に相対する工作機械の駆動ユニットの目標位置の指示と関連したフローチャートである。
【
図26】ガイド部材に相対する駆動ユニットの実際相対位置の出力に関するフローチャートである。
【
図27】基準マーキングを用いた工作機械の工具センサの検出範囲の図である。
【
図28】工作機械の工具センサの内部較正のための基準マーキングの配置の図である。
【
図29】本発明の代替的実施例による半据置型工作機械の形態の工作機械の図である。
【
図31】高さ測定によって提供される画像情報を用いる
図30による工作機械の表示装置の図である。
【
図32】第1工作物と関連した
図30による工作機械および高さ測定装置の大きく模式化した図である。
【
図33】
図32の配置であるが、別の比較的薄い工作物を測定するときの図である。
【
図34】工作物高さとの関係する画素数の推移の図表であり、画素数は、
図31による表示装置に表示可能である。
【
図35】作業方向で後切断エッジまたは加工エッジを検出するときの工作機械の工具センサの検出範囲の模式図である。
【
図36】特に
図35の図示と関連した工作機械の位置センサの位置信号に対する画素の推移の図である。
【
図37】工作機械の表示装置に光学的に表示された切断エッジの推移の図である。
【
図38】工作物の高さ測定を具体的に説明するための模式的画像部分の図である。
【発明を実施するための形態】
【0190】
工作機械10は、例えば鋸機として形成されている。特に、工作機械10はプランジ丸ノコである。
【0191】
工作機械10は、駆動モータ13が収容された機械ハウジング12を有する駆動ユニット11を備えている。駆動モータ13は、工具ホルダ14を直接、または図示されない伝動装置を介して駆動する。図面において工具ホルダ14には作業工具15が取り付けられているが、少なくとも着脱可能に取り付け可能である。作業工具15は、例えば鋸刃またはそれ以外の分断工具を備える。ここで述べておきたいのは、この実施例は、他の可搬型の工作機械、すなわち、例えば手持ち分断切断機、ルータ、またはそれに類するものも表すということである。
【0192】
工作機械10は、可搬型であり、すなわち工作機械には、エネルギー供給端子17を介して電流を供給することができる。駆動モータ13は、電気駆動モータであるが、これに代えて空気圧、またはそれ以外の駆動モータも問題なく考えられる。エネルギー供給端子17は、例えば電源ケーブル17Bを備え、電源ケーブルには電源供給網、例えば110Vまたは230Vの交流網、直流電源網、またはそれに類するものに差し込むためのプラグ18Bが配置されている。しかし、具体的な実施事例において、電源ケーブル17Bはオプションと解されるべきであり、すなわち工作機械10はコードレスもしくは電源ケーブルなしで運転可能である。エネルギー供給端子17は、つまりエネルギー貯蔵器18、特にいわゆるバッテリパックを着脱可能に取り付けるための図示されない例えば差込接触部を備える。エネルギー貯蔵器18は、工作機械10に電気エネルギーを供給する。したがって、工作機械10は可搬に最適である。
【0193】
駆動ユニット11には工作機械10を握るためのハンドグリップアセンブリが配置されている。それによって工作機械10の取り扱いが容易になる。ハンドグリップアセンブリは、例えば上ハンドグリップ19と作業方向ARで前のハンドグリップ20とを備えている。すなわち操作者は、ハンドグリップ19、20を握り、それによって工作機械10を作業方向ARに工作物Wに沿って案内することができるとともに、場合によってはガイド部材30に対して斜めに置いた位置へ位置調節することができる。
【0194】
作業工具15は、保護カバーまたはカバー装置21の下に少なくとも部分的に収容されている。特に、駆動ユニット11がガイド部材30に対して上設定位置SOまたは基本位置をとる場合には、作業工具15はカバー装置21の下に実質的に完全に収容されている。
【0195】
カバー装置21は、いわばカバー装置21に没入する作業工具15の上部分または作業工具15の下部分の周りに延在する粉塵排出流路22を区画する。粉塵排出流路22は、例えば吸引機器100またはそれ以外の吸引装置に連結可能である吸取り接続部23へ通じている。吸取り接続部23には、例えば、吸取り接続部23を吸引機器100と流れに関して接続する、すなわち流れ結合を作成する吸引ホース101を連結可能である。
【0196】
粉塵排出流路22および/またはカバー装置21は、蓋24によって覆われている。蓋24は取外し可能であり、このことは例えば
図3および
図4に見て取れる。
【0197】
操作者に向いた工作機械10または駆動ユニット11の上側には工作機械10の諸機能を監視可能および/または制御可能するために用いられる表示装置25が設けられている。表示装置25は、例えばディスプレイ26、特にスクリーンを備える。ディスプレイ26は、単色/1色であってもよいが多色であってもよい。特に、ディスプレイ26は、複数のグラフィック制御可能な画素またはピクセルを含む。画素またはピクセルは、例えばX方向に相並べてかつY方向に上下に配置され、特に個別に制御可能である。
【0198】
駆動モータ13は、操作部材が図に見て取れる電気駆動スイッチ27によりオンおよびオフすることができ、特に回転数に関しても調節することができる。操作部材または駆動スイッチ27は、ハンドグリップ19の、操作者に向いた部分にあり、それにより操作者がハンドグリップ19を握ったときに、例えば人差し指で操作部材27を操作することができる。
【0199】
同様に、ハンドグリップ19の近くに深さ調整装置40のための操作部材28があることが人間工学的に好都合である。操作部材28により深さ調整装置40をロック解除することができ、それにより駆動ユニット11を設定位置S0から例示的に示された設定位置S1およびS2へ位置調節可能である。
【0200】
ガイド部材30は、例えばソーテーブルをなす。ガイド部材30は、プレート状である。例えば、ガイド部材30はガイドプレート31である。ガイド部材30の、駆動ユニット11から離反した下側にはガイド面32が設けられており、このガイド面により、工作機械10を基台、例えば工作物Wまたはガイドレール50に沿って誘導することができる。ガイド面32は、殊に平面である。
【0201】
ガイド面32には、ガイドレール50のガイド凸部52が係合できる凹部および/またはガイド溝33が設けられていてもよい。当然のことながら、運動学的に逆、すなわちガイドレール50(図示されない)の凹部に係合するガイド凸部がガイド部材30に設けられていることも可能である。
【0202】
駆動ユニット11は、軸受アセンブリ35を用いてガイド部材30に対して位置調節可能、ここでは旋回可能である。しかし、異なった深さ設定位置または設定位置S0~S2を調整するために摺動することも問題なく可能である。これは、例えば相応のガイド柱を有するルータの場合にそのように実現することができる。
【0203】
軸受アセンブリ35は、特に深さ調整軸受36を備えている。深さ調整軸受36は、作業方向ARで後にあり、工作機械10の一実施形態では揺動フード鋸として、または振動防止カバー・プランジ丸ノコの組み合わせとして深さ調整軸受が作業方向で前にあることも可能である。深さ調整軸受36により、設定位置S0~S2およびこれらの設定位置間にある設定位置が調整可能である。
【0204】
さらに、駆動ユニット11をガイド部材10に対して斜め切り位置または斜め置き位置に調整することができ、そのために斜め置き軸受37が設けられている。斜め置き軸受37は、駆動ユニット11およびガイド部材30に作業方向ARで前および後に配置されている軸受部材38を備えている。駆動ユニット11は、軸受部材38間に配置されている。
【0205】
深さ調整軸受36を用いて、深さ調整軸TSを中心として駆動ユニット11を旋回させることができる。斜め置き軸受37、特に斜め切り軸受を用いて、駆動ユニット11をガイド部材30に対して斜め置き軸SAに関して位置調節することができる。斜め置き軸SAは、作業方向ARと平行に延び、深さ調整軸TSは、作業方向ARに対して横向きに、特に直角に横向きに延びる。
【0206】
操作者は、所望の深さ調整を深さ調整装置40により工作機械10に予め設定することができる。深さ調整装置40は、例えばカバー装置21の上側または前側にガイドとして形成された保持輪郭41を備える。ガイドまたは保持輪郭41は、さらに、目盛り42を有し、操作者は、この目盛りを用いてそれぞれの深さ調整位置または設定位置S0~S2、および各中間位置を読み取ることができる。
【0207】
ガイドまたは保持輪郭41にはストッパ部材43が移動可能に支承されており、操作者は、このストッパ部材を所望の深さ調整位置もしくは設定位置S0~S2で固定することができる。例えば、ストッパ部材43には係止装置または締付装置が設けられており、したがって、すなわちストッパ部材43をガイドまたは保持輪郭41における異なった深さ調整位置で固定することができる固定装置44が設けられている。例えば、ストッパ部材43には、固定装置44を係止位置および/または締付位置から、ストッパ部材43をガイドまたは保持輪郭41に対して位置調節可能である解放位置へ位置調節可能な操作部材45が設けられている。ストッパ部材43のそれぞれの深さ調整位置において、駆動ユニット11のストッパ29がストッパ部材43に当接し、それによりそれぞれの設定位置S0~S2または深さ調整位置が調整可能である。
【0208】
ガイドレール50は、工作機械10を作業方向ARに沿って案内するためのガイド装置50Aをなす。
【0209】
ガイドレール50は、上側51を有しガイド部材30がこの上側に沿って滑動することができる。上側51の前に、例えば一種のガイドリブなどのガイド凸部52が突出する。ガイドレール50は、長尺状の形態を有し、それにより工作機械10はガイドレール50の長手方向延在に沿って、したがって作業方向ARに案内可能である。それにより、公知のように、工作物Wへの特に精確に、かつ直線状の鋸断が可能である。
【0210】
ガイドレール50の下側53は、工作物Wまたはそれ以外の基台上に載置するために用いられる。側方、すなわちガイドレール50の長手方向延在に対して横向きに、ガイドレール50の短辺側54が延在し、この短辺側で作業工具15を工作物Wの方向に移動可能である。上側51と短辺側54との間に上エッジ55が延在する。すなわち操作者は、ガイドレール50上にある工作機械10をガイドレール50の長手方向端56からガイドレールの長手方向端57まで楽に移動させることができる。
【0211】
工作機械10は、複数のセンサを備えるセンサアセンブリ60を具備する。例えば、工具センサ61、62はカメラの形態で設けられている。工具センサ61は作業工具15に対して作業方向ARで前に配置され、工具センサ62は作業方向ARで後に配置されている。工具センサ61、62は、作業工具15が工作物Wと接触し、例えば工作物Wに切り込む工作物接触部分領域WK1、WK2を検出するために用いられる。
【0212】
2つの工具センサ61、62は、いわば工作機械10の粉塵空間または汚れ物空間に、つまりカバー装置21の領域に配置されている。これは、工具センサ61、62が典型的な粉塵侵入またはそれ以外の汚れを除いて周囲環境の影響にさらされないという利点を有する。特に、工具センサ61、62は、さらに言及されるそれぞれの画像認識に関して最適に配置され得る。
【0213】
したがって、吸取り接続部23を介した粉塵排出だけでも、工具センサ61、62の検出範囲または測定範囲が作業工具15による工作物Wの加工時に発生する粒子Pが大幅に放出されることをもたらす。それでも、最適に粒子排出または粉塵排出したとしても、画像検出を妨害するか、または阻止さえ得る粒子P、特に切削屑、粉塵、またはそれに類するものが工具センサ61、62の検出範囲に存在する。この問題に対処するために、工具センサ61、62の検出範囲にある粒子Pがこの工具センサ61、62の工具センサ信号に及ぼす影響を低減するか、または殊に除去さえする最適化手段OPTが設けられている。
【0214】
最適化手段OPTは、例えば工具センサ61、62の検出範囲を照明するのに適した角度をなす工具センサ61、62の光学軸の配置を含む。
【0215】
工具センサ61の光学軸O1は、ガイド面32に対して例えば約60~90°の角度で延びる。工具センサ61は、作業工具15を特に略接線方向に検出するように形成および/または予定されている。工具センサ61の検出範囲の視線方向もしくは向きは、例えば
図18に示唆されている。
【0216】
作業方向ARで後の工具センサ62の光学軸O2も同様に、ガイド平面32に対して急角度をなし、したがって同様に、作業工具15に対して略接線方向である。工具センサ62は、作業工具15が工作物Wに切り込むときに生じる後切断エッジを検出するために用いられる。
【0217】
工具センサ61、62は、いわば暗室にある。工具センサは、カバー装置21によって実質的に覆われている。すなわち工具センサ61、62の検出範囲は、特に、ガイド面32が工作物W上に載っている場合に外部光の影響から守られた空間内にある。
【0218】
もっとも、工具センサ61、62は、それでも必ずしも高感度でなければならないか、または光が弱い周囲に適さなければならないのではなく、最適な検出を行うことができる。このために、複数の光源71、72と、複数の光源73の列状配置、すなわち光源アセンブリ73を備える照明装置70が設けられている。
【0219】
例えば工作機械10の周囲の輝度に照明装置70の輝度を適応させるために、照明装置70は、例えば工作機械10の周囲の輝度を検出可能な輝度センサ69を有してもよい。
【0220】
光源71と光源アセンブリ73とは工具センサ61に割り当てられている。光源71および光源アセンブリ73はそれぞれ、互いに反対の各側から、工作物接触領域の、つまり作業工具15が工作物Wに切り込む領域の領域において作業工具15を照明する。
【0221】
光源72は、工具センサ62に割り当てられており、工具センサの検出範囲を照明する。
【0222】
したがって、照明装置70がオンにされると、基本的に反射、鏡反射、またはそれに類するものが起こるかもしれない。しかし、よもや避けられない場合、工具センサ61、62の画像品質または検出品質への照明装置70の悪影響を小さくするために、工具センサ61、62の光学軸O1およびO2が光源71~73の主光軸または光円錐軸に対して大きい角度をなす方向に向けられる。
【0223】
したがって、例えば光源71の光円錐軸または主軸L1は、ガイド面32と平行の平面上で工具センサ61の光学軸O1に対して角度W12、かつガイド平面またはガイド面32に対して垂直の平面上で角度W11をなす方向に向けられる。角度W11およびW12は、90°より大きい角度であり、それにより光源71から放射される光が、例えば光学軸O1に対して角度をなして、作業工具15による工作物Wの工作物加工時に発生する粒子Pにぶつかる。それによって粒子Pは、工具センサ、特にカメラ61の光学軸O1において照射され、それにより粒子は、工具センサ61が検出する画像においてそれほど明るくないか、または妨害しない。
【0224】
光源アセンブリ73の光源73A、73Cの光円錐軸または主軸の方位も、光学軸O1に対して角度をなし、例えば角度W3に相当する略直角である(
図3)。
【0225】
少なくともガイド面またはガイド平面32と平行の平面と関係する類似の角度性は、工具センサ62および光源72に関しても、例えば光学軸O2と光源72の光円錐軸または主軸L2との間の角度W2で予定されている。角度W2は、例えば少なくとも30または40°である。
【0226】
画像品質を改善する他の措置は、照明装置70の光が可能な限り拡散され、かつ方向を定めることなく放射されることである。例えば、光源71および光源アセンブリ73は、それぞれ拡散部材74、754の背後に配置されている。当然のことながら、これは光源72の場合にも有利である。拡散部材74、75は、例えば拡散板、つや消しした板、またはそれに類するものを備える。
【0227】
さらに、例えば作業工具15の前エッジまたは前加工エッジを検出するために、
図5に特に見て取れるように、照明は、作業工具15の互い反対の各側から行われることが有利である。それにより不都合な影の投影が回避される。すなわち、
図3~
図5から、工具センサ61、62によって生成された画像信号の画像品質を格段に改善する最適な照明コンセプトが見て取れる。
【0228】
センサアセンブリ60は、深さ調整装置40に割り当てられている例えば位置センサ63などの他のセンサを有することがなお有利である。位置センサ63は、例えばガイドまたは保持輪郭41に対するストッパ部材43のそれぞれの位置を検出することができる。
【0229】
別の位置センサ64は、例えば深さ調整軸受36に配置されており、それによりこの位置センサは、ガイド部材30に対する駆動ユニット11のそれぞれの角度位置を検出することができる。
【0230】
センサアセンブリ60は、合目的的には、特にガイド部材30に相対する駆動ユニット11の角度位置または傾きを検出することができる傾斜センサ65も備える。傾斜センサ65は、駆動ユニット11または工作機械10の加速度を検出する、相応に調節および選定された加速度センサ66によってなってもよい。加速度センサ66は、例えば駆動ユニット11が深さ調整軸TSを中心として旋回する場合にガイド面32の方向に駆動ユニット11の加速度を検出することができる。さらに、加速度センサ66は、ガイド平面またはガイド面32と平行に加速度を検出することができ、それにより基台または工作物Wに相対する工作機械10の送りを加速度センサ66によって検出可能である。
【0231】
さらに、工作機械10には、特に列方向に、または列状配置で横並びに配置された工具センサが設けられていてもよい。例示的に、蓋24に、または駆動ユニット11の、蓋24の向かい側に他の工具センサ161、162、特に光学センサ、有利にはカメラが設けられている。工具センサ161、162を用いて、工作機械10が工作物Wに切り込む鋸断SNをさらに正確に監視することができる。
【0232】
しかしさらに、粉塵排出空間の外側、すなわちカバー装置21の外側にも、特にガイド部材30の軸受部材38のすぐ隣に配置される、例えば工具センサ261、262などの工具センサが設けられていてもよい。カメラによってなることが有利であるが、他のセンサコンセプトを実現することもできる工具センサ261、262の検出範囲は、例えば正面の前から、および後から作業工具15に向けられている。
【0233】
作業方向ARに向けられた、いわば前方視線方向で工作物の方向に向けられている工具センサが設けられているならば有利である。したがって、例えば工具センサ263の検出範囲EB3(
図1)は、作業方向ARで前方へ向けられている。工具センサ261、263は、同一の保持部材に配置されていてもよく、一方の工具センサ261が作業方向ARで後方へ作業工具10の方向に向けられ、他方の工具センサ263は作業方向ARで前方へ向けられている。
【0234】
以下に、
図9~
図17を用いて、作業工具15によって工作物Wに実際に生成された1つの加工エッジ、または複数の加工エッジと、位置センサ63の位置信号POSとを合わせるための最適なコンセプトについて説明する。位置センサ63は、例えばガイドに配置されていてストッパ部材43の影響を受ける抵抗測定ゲージを備えている。しかしこれに代えて、またはこれに加えて、ガイド面32に相対するストッパ部材43の光学的検出、距離測定、またはそれに類するものも可能であろう。
【0235】
駆動ユニット11は、設定位置S0(
図9)を出発点として、1つまたは複数の中間位置S1を介して下設定位置S2へ位置調節され(
図11)、この下設定位置で作業工具15は、工作物Wの表面に最大程度に切り込み、および/またはガイド面32の前に最も遠くまで突出する。設定位置S0において、ストッパ43は、例えばまだ最上位置にある(
図9)。表示装置25には、鋸断はこのときまだ表示されない。それでも工具センサ61、62は、すでにある程度の作業範囲を示すこともできるが、簡略化の理由から図面には示されていない。同様に、工作物Wがまだ加工されておらず、すなわち
図15では一様な「破壊されていない」表面を有する。
【0236】
次に深さ調整軸TSを中心として駆動ユニット11を旋回させると、ストッパ29は、ストッパ部材43がガイドまたは保持輪郭41にまだ定置固定されていない間に、このストッパ部材を
図11に示される下位置に到達するまで連行する。それと同時に、位置センサ63が出力する位置信号POSが変化する。
【0237】
設定位置S1(
図10、
図13、
図16)において、作業工具15によって工作物Wに切り込まれた鋸断SNが前加工エッジKV1と後加工エッジKH1との間に延在する。鋸断SNは、切断長さSL1を有する。位置センサ64は、前切断エッジと後切断エッジKV1、KH1とに相応して2つの加工エッジの実際位置信号IST1およびIST2を表示する。しかし、
図11に示されたストッパ部材43の下位置に相応して、駆動ユニット11は目標設定位置S2をとることができ(ストッパ部材43を完全に下へ位置調節した場合/
図11)、このことは表示装置25に、前切断エッジおよび後切断エッジKV、KHのための目標マーキングSO1およびSO2によって示唆されている。
【0238】
旋回軸TSを中心としてさらに調整移動すると、実際マーキングIST1およびIST2は最終的に目標マーキングSO1およびSO2にぴったり合って重なる。その場合、鋸断SNは切断長さSL2を有し、その前切断エッジKV2から後切断エッジKH2まで延在する。
【0239】
すなわち
図9~
図17による図示は、最適に調整された構成にもとづくが、この構成は予め「較正」される必要がある。以下にこのことを
図18~
図20を用いてより明確にする。
【0240】
図18は、工具センサ61の検出範囲EB1を模式的に示す。工作機械10の評価装置80は、検出範囲61内で、例えば前加工エッジKVが検知されるべき検査範囲PBを特定する。前加工エッジKVまたは切断エッジは、模式的に示唆される作業工具15によって切り込まれる。ここで述べておきたいのは、作業工具15は、運転時、すなわちこの作業工具が駆動モータ13によって駆動されるときに、いずれにしても不鮮明に現れ、それゆえ破線15は、比較的不明瞭に認識可能な作業工具15を表すということである。少なくとも前加工エッジKVが形成され、この前加工エッジは、評価装置80によって検査範囲PB内でのみ識別される。加工エッジKVは、
図18の写像において、作業工具15の外周より少し前に位置し、つまりこの外周は画像において不鮮明に現れる。
図18の写像は、現実にかなり近い。つまり、前加工エッジKVは、検出範囲EB1または検査範囲PBにおいて非常に小さいかまたは幅狭いものにすぎないことがわかる。つまり、加工エッジKVの最大領域は、作業工具15によって覆い隠され、すなわち工具センサ61によって全く検出できない。
【0241】
殊に、検査範囲PBは、実質的に前加工エッジKVの領域に限定されている。
【0242】
以下に、
図19を用いて、位置センサ63の位置信号POSを用いて、ガイド部材30に相対する駆動ユニット11の調整された深さ調整位置がどのように較正される、または割り当てられるのかを明らかにする。軸SPには表示装置25における表示画素の各位置がプロットされ、軸POSには位置センサ63の位置信号POSがプロットされている。ここで、駆動ユニット11がガイド部材30に相対して没入移動または調整移動した場合、ストッパ部材43がストッパ29によって連行されると、すなわちガイド面32の方向に位置調節されると(
図9~
図11を参照)、位置信号POSがいわば増加する。同時に、加工エッジKVの画素が位置値PXおよびPYとして検知される。
【0243】
図20において、よりわかりやすくするために、その結果が過大に示されている。例えば、作業工具15が工作物Wに切り込んですぐのときには切断エッジまたは加工エッジKV0は比較的斜めに延びる。例えば、工具センサ61が最適に方向合わせされ、移動がほとんど平行になる場合、加工エッジKV0の理想的形状または理想的方位は実質的に水平もしくはX方向であろう。加工エッジKV0は、鋸断の作成時にY方向に移動する。設定位置S1では、加工エッジKV0もしくは表示装置25上のこの加工エッジの写像よりすでにはるかに水平に延びる加工エッジKV1が形成される。
【0244】
ガイド部材10に相対する駆動ユニット11の旋回位置または設定位置を検出するために位置センサ64の信号を用いても同様の手順が問題なく可能である。
【0245】
図35~
図37において、前加工エッジKVに関する
図18~
図20による図示と同等の後加工エッジKHの領域における状況が示されている。後加工エッジKHは、簡略化して同様に検査範囲PBと呼ばれる検査範囲内で、いわば下後方へ移動することが見て取れる(
図35)。したがって、表示装置25には、工作物Wへ切り込んですぐのときの加工エッジKH0を出発点として設定位置S1における加工エッジKH1までの加工エッジKHの推移が示される。
【0246】
評価装置80は、工作機械10がガイドレール50を用いて運転されるのか、なしで運転されるのかを検知するようにも形成されている。つまり上記の較正は、合目的的には、ある時はガイドレール50ありで、またある時はガイドレール50がなしで行われ、それによりガイドレール50に対するガイド部材30の位置、および/またはガイドレール50自体によって生じる可能性がある誤差が検知され、それによりガイドレール50があるときとないときにそれぞれの目標位置SO1およびSO2の最適な表示が可能である。つまり
図19および
図20による較正が行われている場合、操作者は、ストッパ部材43を所望の鋸深さまたは加工深さに調整することができる。表示装置25において、駆動ユニット11をストッパ部材43まで位置調節した場合に生じるであろう加工エッジを表す目標マーキングSO1およびSO2が調整される。次いで、操作者は、目標マーキングSO1および/またはSO2を、例えば工作物Wの表面における工作物マーキングMAと一致させることができ、それにより没入切断または鋸断が、表示装置25によって表示されたマーキングSO1およびSO2が表示されるところできっちり制限されるかもしくは終端する。それによって、特に精確かつ正確な工作物加工が可能である。
【0247】
したがって、すなわちガイドレール50が工具センサ61、62および/または評価装置80によって認識されるならば有利である。
【0248】
例えば作業方向で前の工具センサ61の検出範囲EB1においてガイドレール50を確実に認識するために、例えば測定場M1~M4が設けられている。測定場M1およびM2において、評価装置80は、例えばガイド部材30とガイドレール50との間のエッジK3を検出し、検出範囲M2において基台に対するガイドレール50のエッジ、例えば短辺側54または上エッジ55を検出する。エッジK3は、例えばコントラスト測定によって、および/または特に勾配にもとづくエッジフィルタを用いて検知することができる。ガイドレール50と工作物Wとの間のコントラストも同様に例えばエッジK5を検知するために考慮に入れられる。エッジK3を用いて、またはエッジK3を出発点としてエッジK5が検知されることが予定されていることが好ましい。
【0249】
もっとも、エッジのうちの1つを検知することで十分でもあろう。したがって、ガイドレールの存在はそれ以外の測定またはセンサによる検出、特にガイドレールの一意的特徴、例えばガイドレールの構造、色、長手方向の形状、またはそれに類するものの光学的検出を用いて検出されることが予定されていてもよい。
【0250】
それに加えて、測定をいわば特に確実にするために、さらにガイドレールのいわば輝度を有する工作物W上に工作機械10が載っていることのサインとみなされる、ガイドレール50と工作物Wとの間のコントラストを検知するために、測定場M3およびM4のコントラスト測定が行われる。
【0251】
もっとも、個々の測定場における測定は必ずしも必要ではない。したがって、インテリジェント評価装置80は、例えば長いエッジ、つまり例えばエッジ55が存在することを検知することができ、このようにしてガイドレール50の存在を推測する。さらにこれに加えて、すでに検知されたガイドレールエッジK5の両側でコントラスト測定または色測定、あるいは両方が行われ、これらの色またはコントラストが互いに比較される場合(M4場およびM3場における測定に相当)、それによって工作機械10が実際にはガイドレール50上にあり、工作物上にはないことを確実に認識することが可能である。
【0252】
図23を用いて、位置センサ信号POSを用いて割り当て値を検知する、および
図18による加工エッジ検出する方法V1について説明する。
【0253】
例えばユーザが較正を呼び出す最初の方法ステップV11を出発点として、方法が開始する。ステップV11において、ユーザは、例えば鋸刃または作業工具および/またはガイドレールを交換したので較正を呼び出す。
【0254】
方法ステップV12において、例えば、まず工作機械10がガイドレール50上に位置するのか否かが検知される。
【0255】
方法ステップV13において、ストッパ部材43が、例えば係止、締付け、またはそれに類するものによりストッパ29と結合され、それにより駆動ユニット11の没入移動または調整移動が同時にストッパ部材43の位置調節をもたらす。
【0256】
オプションのステップV14において、深さ調整軸受63で位置センサ64が現在角度位置を検知する。
【0257】
方法ステップV15において、位置センサ63は、ストッパ部材43のそれぞれの位置、すなわち調整された深さを検知する。
【0258】
方法ステップV16において、個々の加工エッジが
図18に相応して評価装置80によって検知される。方法ステップV17において、それぞれの位置センサ値POSと切断エッジまたは加工エッジによって検知された値PX、PYが記憶される。それによって、例えば評価装置80は、記憶装置82に相応の割り当て表83を記憶することができる。しかしこれに代えて、またはこれに加えて、評価装置80は、値POS、PXおよびPYから、例えば3次、4次などの多項式といった数学的な割り当て関数83A、83Bを生成することもできる。すなわち、相応の多項式または他の数学的な割り当て関数83A、83Bを生成するために、いくつかの位置値PX、PY、およびPOSで十分である。数学的な割り当て関数83A、83Bの精度は、利用可能な位置値PX、PYおよびPOSの数が増すにつれて高くなる。
【0259】
殊に、割り当て関数83Aおよび/または83Bを検知するために、位置値の平均値を求める、および/または重み付けが行われる。割り当て関数83Aおよび/または83Bを検知するために最小二乗法の使用が好ましい。
【0260】
ステップV18は、方法V1の終了を示す。しかしステップV18において、以下に説明される方法V2の方法ステップV27および/またはV28を実現することもできよう。
【0261】
評価装置80は、後加工エッジKHについて類似に行うことができ、その際、例えば位置値PxHおよびPyHを用いて数学的な割り当て関数183A、183Bを生成することができる。
【0262】
検査範囲PBの局所化は、作業工具15が工作物Wから離れている場合、例えば次のように行うことができる。その際、工具センサ61、62、すなわちカメラに対する、例えば鋸断SNの位置、したがって例えば鋸断の、作業方向ARで右側の加工輪郭BKの位置、例えば長尺の鋸エッジの位置が、例えばガイドレール50がどの高さを有するか、作業工具または鋸は15がどの幅を有するか、作業工具15の歯またはそれ以外の切断輪郭のジオメトリがどのようであるのか、などに依存して変化するということを考慮することができる。したがって、例えばまず鋸断SNを工作物Wに導入することができる。続いて、評価装置80は、加工エッジBKを検出し、検出範囲EB1における加工エッジBKの形状および方位に依存して、加工輪郭BKをはさむ、検査範囲PBの作業方向ARで左側の境界PLIと作業方向ARで右側の境界PLRとを検知する。
【0263】
これに続いて、殊に方法V1が実行される。
【0264】
図18による画像処理もしくはエッジ認識は、例えば以下に説明される方法V2を用いて行うことができる。
【0265】
方法V2では、例えば工具センサ61によって検出された画像が、方法ステップV21においてまずグレーススケール画像に変換され、方法ステップV22においてフィルタリングまたは補償加工を用いて後加工される。この場合、例えばガウシアンフィルタリング、メディアンフィルタリング、バイラテラルフィルタリング、平均化フィルタリング、またはそれに類するものが考えられる。
【0266】
方法ステップV23において、検査範囲PBが検知されるか、またはマスキングされる。
【0267】
方法ステップV24では、閾値法が適用され、すなわち、例えばすでにステップV21で生成されたグレー画像を2値画像に変化させる。その際、例えば工作物表面は白色になり、切断エッジまたは加工エッジは黒色になる。
【0268】
方法ステップV21、V22およびV24は、例えばデジタルフィルタを含む。
【0269】
方法ステップV21、V22、およびV24の1つまたは複数が例えば最適化手段OPTの構成部分を表す。
【0270】
方法ステップV25は、ステップV24において生成された画像におけるエッジ検出を表す。
【0271】
方法ステップV26において、例えば方法ステップV25において取得された、画像における相応の明画素および暗画素が解析されることにより相応の値PXおよびPYが検知される。
【0272】
オプションの方法ステップV27において、曲線PXおよびPY(
図19)、例えば上記の多項式が検知される。
【0273】
方法V2との関連だけでなく、全く一般に本発明との関連で、安全性照会が行われるならば有利であり、つまり実際に存在する切断エッジの位置のみが画素位置として記憶され、それにより例えば外部の影響が排除される。そのような外部の影響は、例えば粉塵、切削屑、またはそれに類する他の不鮮明または異物であり得る。
【0274】
さらに、本発明の意味におけるエッジの検出時に、例えばニューラルネットワークまたはそれに類するものを用いてエッジの妥当性が認識または解析されるならば有利である。ニューラルネットワークは、例えばこの目的のために前もって学習させておいてもよいし、学習させてもよい。
【0275】
方法ステップV28において、例えば割り当て表83および/または割り当て関数83A、83Bが生成される。
【0276】
方法ステップV21および/またはV22および/またはV23および/またはV24の順序は違っていてもよい。場合によっては、個々の方法ステップの必要がない。したがって、例えば、方法ステップV21、V22が実行される前に、まず検査範囲PB、方法ステップV23が検出されてもよい。
【0277】
方法V1およびV2において取得された情報が方法V3およびV4で利用されてもよい。
【0278】
例えば、方法V3のステップV31において、ユーザはストッパ部材43を所望の位置に位置調節することによって相応の没入深さを調整することができる。方法ステップV32において、評価装置80は、ガイドレール50が存在するか否かを検知する。
【0279】
方法ステップV33において、位置センサ63は、ストッパ部材43により調整された位置を測定する。
【0280】
方法ステップV34において、調整された目標位置SO1、SO2が表示装置25に表示される。ここで、
図18、
図19、
図20による方法が前工具センサ61との関連のみならず、後工具センサ62との関連でも実行されることが明確になり、それにより操作者に、前および後の調整された目標加工エッジが表示装置25に表示される。
【0281】
方法V4は、ガイド部材30に相対する駆動ユニット11の実際設定位置の表示を表す。方法ステップV41において、ガイド部材30に相対する駆動ユニット11の位置調節動作が始まる。方法ステップV41において、位置センサ64がガイド部材10に相対する駆動ユニット11のそれぞれの旋回位置または設定位置を測定する。
【0282】
方法ステップV43において、評価装置80は、例えば割り当て表83または
図19による曲線PX、PYを用いて、駆動ユニット11がガイド部材10に相対して実際にどの実際位置を有するか、もしくは現在位置においてどの加工エッジが生じているのかを検知する。
【0283】
方法ステップV44は、方法V4の終了を表す。この方法ステップにおいて、例えばマーキングIST1および/またはIST2が表示される。
【0284】
方法V1~V4は、評価装置80によって実施される。方法V1、V2、V3、V4は、例えば、プロセッサ81によって実行可能なプログラムコードを含むプログラムモジュールPV1、PV2、PV3、PV4によって実現され、プログラムコードを実行する場合、方法V1~V4が行われる。
【0285】
次に、工具センサ61、62の組付けによって、工作機械10の衝撃荷重、特に落下、またはそれに類するものによって、若干の不正確が生じ、例えば工具センサ61、62の工具センサ信号が表示装置25のために不利に方向合わせされた画像を生成する。例えば加工エッジ自体は、Y方向と平行に表示されるべきであっても、画像では斜めの形状を有し得ることを
図20との関連ですでに述べた。さらに、例えば検査範囲PBが確実に検出可能であることが重要である。例えば、検査範囲PBが工作物表面への工具15の没入時に生じる長い切断エッジに沿って、すなわちY方向に精確に、または可能な限り精確に方向合わせされ、それにより較正時の誤情報が回避または低減されるならば有利である。
【0286】
このために、有利な諸措置が予定されている:
例えば、工具センサ61および/または62の検出範囲もしくは表示される画像領域を方向合わせするのに適した基準マーキングR1がガイド部材30の領域に設けられている。
【0287】
まず、カメラまたは工具センサ61、62がすでに内部較正されており、それにより光学的エラー、例えば広角エラーまたはそれに類するもの、工具センサ61、62の光学系によって生じる湾曲などがすでに「除去」されていることを出発点とする。したがって基準マーキングR2を用いて、工具センサ61、62は、いわば空間における位置および/または方位を検知することができるか、もしくは評価装置80は、工作機械10の取付け空間における工具センサ61、62の位置を検知することができる。したがって、例えば工具センサ61、62のいわゆるラジカルな較正が可能である。
【0288】
基準パターンR2、例えば、パターンの線が見方によって互いに向かって移動するか、または互いに離れる方向に移動する碁盤目状パターンが少なくとも特定の角度位置をとることがわかる。このことは、評価装置80によってそれぞれの工具センサ61、62の光学軸O1またはO2空間的配置を検知するための基礎である。基準パターンとして、例えばいわゆるデータマトリクスパターン、または放射状の幾何学的パターンそれに類するものが適している。評価装置80は、それぞれの基準パターンの歪みのないジオメトリ(エッジの形状、エッジの長さなど)を見分けさえすればよい。
【0289】
しかし、簡単な事例では、直線または2次元マーキング、例えばガイドプレート31のサイドエッジ、または基準マーキングR1に方向合わせすることでも十分であり得る。
【0290】
他の基準マーキングR3は、例えばガイド部材30のサイドエッジまたはエッジ線(RM1)および/または作業工具15の外側エッジ(RM2)によって表される。
図27において、基準マーキングR3が検出範囲EB2において斜めに傾けられ、つまり、検出範囲EB2のX軸XEおよびY軸YEに対して斜めに傾けられていることがわかる。しかし基準マーキングR3または線R3はそれ自体、作業方向ARと平行に延びていなければならない。それが工作機械10の操作者をいらだたせないようにするために、評価装置80は、表示装置25に検出範囲EB2および/またはEB1の写像が正しく方向合わせされるようにする。評価装置80は、例えばX軸XEおよび/またはY軸YEに対する基準マーキングR3の形状を検知し、基準マーキングR3の向きを補正して、Y軸YEと平行に延びるようにする。相応に補正された写像が、
図3における表示装置25に例示的に示されている。当然のことながら、評価装置80は、さらに、表示装置25における検出範囲EB1またはEB2の相応の写像の歪み補正も行うことができ、それにより例えば基準マーキングR1および/またはR2が基準マーキングR3と平行の、もしくは直交する線で示されている。もっとも
図3において、歪み補正は、基準マーキングR2に対してしか行われず基準マーキングR1については行われない。基準マーキングR2と比べて相応に歪められた基準マーキングR1が図示されていることがわかる。
【0291】
基準マーキングR1および/またはR2を評価する別の可能性は、例えば基準マーキングR1およびR2の記憶された写像SR1およびSR2を用いて可能である。評価装置80は、記憶された写像SR1およびSR2を工具センサ61、62によって検知された写像AR1およびAR2と比較することができ、このようにして1つまたは複数の補正値が検知され、歪み補正が行われるか、またはそれに類するものが行われる。したがって、例えばいわばリアルな写像AR1およびAR2を歪み補正するために検知された歪み補正関数、または歪み補正表が、工具センサ61、62のセンサ信号によって表される、かつ例えば作業工具15またはそれに類するものを示す他の写像を歪み補正するために、評価装置80によって利用することができる。写像SR1およびSR2は、例えばプロセッサ81によって実行可能な評価プログラム80Aにプログラムコードまたは記憶された情報として格納されていてもよいし、または図面に示されるように記憶装置82に記憶されていてもよい。記憶装置82に記憶する場合、写像SR1およびSR2をパラメータデータとして記憶装置82にロードすることが可能である。
【0292】
図28を用いて、工具センサ61、62の内部較正について説明する。例えば作業工具15のためのカバー装置21を開くことによって、工具センサ61、62の検出範囲がセットされている場合、すでに例えば工作機械10に取り付けられたこれらの工具センサは、それぞれの検出範囲で基準マーキングRI1、RI2、RI3およびRI4を検出することができる。この事例では、工作機械10は、基準マーキングRI1~RI4に相対して複数の位置へ運ばれ、評価装置80は、それぞれの基準マーキングRI1~RI4を検出し、特に基準マーキングの位置と空間における歪みを検出する。続いて、評価装置80は、工具センサ61、62を内部較正するか、または工具センサの工具センサ信号をいわば内部較正して評価することができる。
【0293】
検出範囲EB1およびEB2は、図面において実質的にその方位に関して示されている。工具センサ62の検出範囲EB2は、検出範囲EB1よりはるかに小さい角度を有する。例えば、工具センサの検出角度は、工具センサ61の検出範囲EB2の2倍の大きさ、またはそれより大きい。
【0294】
したがって、すなわち工具センサ61は、いわば広角センサである。工具センサ61は、いわば広角カメラを備える。
【0295】
この実施形態を用いて、工具センサ62が前加工エッジKVの領域を検出するのみならず、例えば工作物W上の工作物マーキングMAを検出および表示することができることが可能であり、このことは
図12および
図15に示唆されている。工作物マーキングMAは、
図13、
図14、
図16および
図17には簡略化の理由から省略されているが、表示装置25により表示される。
【0296】
操作者は、工作物マーキングMAで方向を確認することができ、例えば、目標線SO1を工作物マーキングMAと一致させることができ、それにより前加工エッジKV2の位置が最適に定義される。しかし、自動または半自動のコンセプトも有利である。したがって、例えば表示装置25に、実際加工エッジ、特にマーキングIST1(
図13)と目標加工位置SO1および/または工作物マーキングMAの位置との間の現在距離を表示する相違情報DIが表示されてもよい。それにより操作者は、作業の進捗を容易に認識し、それに対応して前加工エッジKV1または工作物マーキングMAに到達する前に例えば駆動モータ13の回転数を低減することができ、および/または工作物Wに対する手持ち工作機械10の送り速度を下げることができる。
【0297】
しかし自動または半自動のコンセプトが特に好都合である。その際、例えば、評価装置80は、工作物マーキングMAへの到達時、または到達前に工作物Wの加工を終了するように、駆動モータ13および/または調整駆動装置90および/またはブレーキ91を制御する。例えば、評価装置80は、上記の加工ステップ、特にエッジ認識、グレー値生成その他を用いてマーキングMAの形状を認識する。作業工具15が工作物マーキングMAに位置する場合、すなわち前加工エッジKV1が工作物マーキングMAに到達すると、例えば評価装置80は駆動モータ13をオフにすることができる。これに代えて、またはこれに加えて同時に、評価装置80によってブレーキ91が起動され、それにより工具15が可能な限り迅速に停止することが有利である。さらに、これに加えて、またはこれに代えて、加工エッジKVが工作物マーキングMAに到達したときに、例えば作業工具15を交換するか、もしくは工作物Wから遠ざけるために、評価装置80が制御する調整駆動装置90の制御も合目的的である。
【0298】
すでに説明した本発明によるコンセプトは、可搬型の、工作物に相対して位置調節可能または案内可能な機械にだけでなく、半据置型の機械、例えば工作機械110にも実現することができる。工作機械110は、作業工具115、例えば鋸刃のための工具ホルダ14を駆動するために用いられる駆動モータ113を有する駆動ユニット11を具備する。駆動ユニット11は、基台上に設置可能な機台129に相対して位置調節可能である。例えば、機台129においてガイド部材130、例えば回転テーブルが軸A1を中心として回転可能に支承されている。軸A1は、ガイド部材130のガイド面132に対して水平に立つ。さらに、ガイド部材130にはタワーのような構造134が設けられており、この構造からガイドレールまたはガイド部材135が突出する。ガイドレールまたはガイド部材135は、摺動軸A2に沿う長手方向の位置調節または摺動位置調節SLを可能にし、それにより鋸刃または作業工具115を、いわばガイド面132上に載る工作物Wに沿って直線状に位置調節することができる。
【0299】
これに加えて、作業ユニット111を旋回軸A3を中心として旋回させることができ、それにより作業工具115が異なった深さで工作物に進入する。
【0300】
操作者は、駆動ユニット11を、例えばハンドグリップ120を把持することができ、軸A1~A3の1つまたは複数に関してガイド部材130に対して位置調節することができる
工作機械110も、例えば、作業工具15の互いに反対の各側に、殊に作業工具15のためのカバー装置121に、またはカバー装置の下に工具センサ161、162のセンサ信号または工具センサ信号を表示する表示装置25を備えていてもよい。したがって、表示装置25には、同様に実際加工エッジまたは目標加工エッジが表示されてもよい。
【0301】
その際、軸A2に沿った送り運動時に、まず、後の、工具センサ162に由来する画像部分が、続いて前の、工具センサ161によって生成された画像部分が表示装置125に表示されることが可能である。この事例では、時間的条件が決定的であり、すなわち例えば駆動モータ113をオンにする場合、まず工具センサ162によって生成または提供される画像部分が表示装置125に表示される。
【0302】
工作機械10にも同じ原理が予定されていることが有利であり、それにより工具センサ61、62の工具センサ信号を用いて生成される、または生成可能な画像部分が例えば切替装置84によって制御されて表示される。
【0303】
切替装置84は、例えば、プロセッサ81によって実行可能なプログラムコードを含む相応のプログラムモジュールを備えるか、または相応のプログラムモジュールによってなる。
【0304】
さらに、切替装置84は、例えば、傾斜センサ65および/または加速度センサ66を用いて、表示装置25に工具センサ61の工具信号が表示されるべきか、または工具センサ62の工具信号が表示されるべきかを検知することができる。さらに、切替装置84は、例えば、工具センサ61、62の工具信号を時間的条件に応じて、例えば交互に順次、運転開始時にまず一方の工具センサの工具信号を、次いで他方の工具センサの工具信号を等々、表示装置25に表示することができる。
【0305】
ついには例えば押しボタンスイッチ、操作者によって操作可能な輝度センサまたはそれに類するものなどの手動操作部材76が工具センサ61、62の工具信号間で切り替えるための切替装置84を制御するように予定されているおよび/または形成されているならばさらに有利である。
【0306】
ここで述べておきたいのは、表示装置25は、接触感度の高い表示装置であってもよく、例えばいわゆるタッチパネルを有してもよいし、またはタッチパネルとして形成されていてもよいということである。表示装置25の予め定められたフィールドまたは領域を操作することによって、および/または予め定められた操作ジェスチャによって、例えばスワイプ運動またはそれに類するものによって操作者は工作機械10への制御命令を生成することができる。操作者は、表示装置25に、例えば切替装置84を制御するための制御信号を生成することができ、それにより切替装置は、例えば同時に工具センサ61、62の両方の工具信号、またはそのうちの1つだけを表示する。
【0307】
工作物Wへの作業工具15の没入時に、殊にまず工具センサ62の工具センサ信号が表示され、加速度センサ66が、あるいは深さ調整位置S1、S2またはそれに類するものを相応に検出することにより傾斜センサ65も検出することができる次の送り運動時に、工具センサ61の工具センサ信号が続いて表示され、それにより操作者に、前加工エッジが表示される。しかし、時間制御、つまりまず工作機械10の始動時に工具センサ62の信号が表示され、予め定められた、または調整可能な時間の後に工具センサ61の信号が表示されることも可能である。
【0308】
以下に、
図30~
図34を用いて高さ測定の機能について詳しく説明する。高さ測定は、特に予測される加工エッジの表示との関連で非常に有利である。つまり、作業工具15が最適な進入深さで工作物Wに進入するならば有利であり、そのためには工作物の高さが既知でなければならない。最適な進入深さは、深さ調整装置40で調整可能または調整駆動装置90を用いて調整可能である。その場合、それぞれの深さ調整時、またはガイド部材30に相対する駆動ユニット11の相対位置において生じる加工エッジまたは予想される加工エッジが表示装置25に表示されるか、または、つまり例えば調整駆動装置90またはブレーキ91が操作されることにより、いわばその上自動で監視もされるならば操作者にとって快適なコンセプトが達成されている。
【0309】
以下に、工作機械10の高さ測定の異なった変形形態について説明する:
工作機械10の高さ測定装置95は、例えば後工具センサ62を利用する。工具センサ62の検出範囲が工作物Wの、作業方向で後の端面の方に最適に向けられ、それにより工作物上エッジWKOと工作物下エッジWKUとが工具センサ62の検出範囲にあることがわかる。その際、工作機械10は、ガイド面32の大部分で工作物W上で支持されており、それにより最適な境界条件で高さ測定装置95の相応の高さ測定が行われる。
【0310】
高さ測定との関連で、例えばディスプレイまたは表示装置25に、
図31に示される画像がフェードインされ、この画像において、操作者は、作業工具15を少なくとも輪郭として、しかし殊にリアルに見る一方で、工作物Wの少なくとも1つの部分写像WT、例えば端面WS、および工作物上側WOの部分画像、および2つの工作物エッジWKU、WKOも見る。これに加えて、操作者のために工作物上エッジWKOおよび工作物下エッジWKUのマーキングMOおよびMUが表示装置25に表示されることが合目的的である。
【0311】
高さ測定装置95を用いる高さ測定は、いくつかの様々に行うことができる。
【0312】
第1変形形態では、例えば工作機械10は、工作物上エッジWKOのためのマーキングMOを
図13による工作物Wのリアルに表示された写像と一致させるように方向合わせされている。それに加えて、高さ測定装置95は、例えばコントラスト測定またはそれに類する他の措置にもとづいて下工作物エッジWKUを認識することができ、マーキングMUをフェードインする。その際、公知のように、測定角度MWがあり、マーキングMOが表示装置25の画像に表示される工作物Wの写像と一致する場合、カメラまたは工具センサ62はこの測定角度でいわば上工作物エッジWKOに視線を向けるか、または工具センサ62が上工作物エッジWKOに向けらえることが前提とされる。測定角度MWは、ガイド面32と平行の平行平面PLと、工作物上エッジWKOと工具センサ62との間に延在する光線との間に設けられる。同じ角度MWが、測定平面MEと工作物Wの端面WSとの間にも設けられている。したがって、高さH、例えば
図32における高さH1と、測定平面ME上の、例えば表示装置25における画素の数に相当する距離d×1との間に線形関係が成り立つ。このことは、特に
図32と
図33との比較によって明確になる。
図32に示された工作物W1の場合、測定平面ME上で距離d×1として現れる高さH1が存在する。これに対して、高さH2を有する工作物W2の場合、工具センサ62と工作物下エッジWKUとの間に延在する光線と、工作物上エッジWKOに割り当てられている光線との間に高さH2に比例する、相応により短い距離d×2が存在する。
【0313】
それぞれの工作物高さは、合目的的には表示装置25において、高さデータHIとして、特に数値で表示される。図面における高さデータHIの場合、例えば47mmの工作物Wの高さが表示されている。
【0314】
これに代わる測定原理は、高さ測定装置95が、まずまたは第1ステップにおいて、工作物高さを測定するために下の工作物下エッジWKUに方位付けすることを予定する。このことは、例えば、操作者が工作機械10を相応に工作物Wに位置決めすることによって、または自動的方法では第1ステップにおいて高さ測定装置95が工作機械10と工作物Wとの相対運動時に下工作物エッジWKUを検知することによって行われてもよい。
【0315】
下工作物エッジWKUに対する工作機械10および工作物Wの手動での方向合わせには、操作者が、通常認識し難い下工作物エッジWKUを自分の確かな目で自力で見つけ出すことができるという利点がある。つまり下の工作物下エッジWKUの場合、通常、つまり工作物と周囲との間に比較的低いコントラストを観察することができる。
【0316】
これに対して上工作物エッジWKOの検知に関して、高さ測定装置95は、いわばより簡単に行う。例えば上工作物エッジWKOの領域において、比較的高いコントラストを観察することができる。コントラストは、例えば工作物エッジが工作機械10から、特に照明装置70を用いて照明されることによって生成される。さらに、高さ測定装置95は、場合によっては工作物端面WSに存在する木目またはそれ以外の、工作物エッジを表さない有効でない構造としての横方向の構造をフィルタリング除去するが、それはつまりガイド面32の下のいわば最後の横方向輪郭を上工作物エッジとして一意的に識別可能だからである。
【0317】
しかしこの仕方では、線形関係ではなく、
図34に示唆されるプロファイルの形で存在する。つまりそこには、表示装置25には、異なった工作物高さH1、H2、H3およびHMAXで生じる、工作物下エッジWKUと工作物上エッジWKOとを表す画素間の画素間隔DPIXが示される。
【0318】
ここから評価装置80は、例えば(Hの)曲線DPIX、すなわち、工作物高さに依存した画素間隔を検知することができる。すなわち操作者は、例えば曲線DPIX(H)を検知するために、基準工作物をガイド面32の下へ少しずつ置く。次いで、高さ測定装置は、表示装置25に、例えば工作物高さに対応するマーキングMOおよびMUをフェードインすることができる。しかし(Hの)曲線DPIXがすでに予めプログラミングされているか、それ以外の仕方で記憶されていることが合目的的である。
【0319】
しかし光学マーキングMOを用いて工作機械10の方向合わせをする代わりに、操作者がガイド部材30にラインマーキングをなど、いわば機械的または物理的なマーキング96を工作物エッジWKOに方向合わせすることも考えられる。
【0320】
上記の方法は、いわば静的であり、すなわち操作者は、工作機械10を高さ測定のために工作物Wに方向合わせする。操作者が工作機械10および工作物Wを相対して移動させさえすればよく、高さ測定装置95がいわば自動的に工作物Wの高さHを検知するという以下に説明される措置ははるかに簡単である。
【0321】
したがって、例えば工作物Wと工作機械10とが相対して位置調節される場合の工作機械10の光学的画像認識は、工作物上エッジWKOまたは工作物下エッジWKUが工具センサ62に対して基準位置、例えば
図30、
図32および
図33に示される位置をとるときに認識することができる。このために例えばエッジ認識が考えられるか、または可能である。このために、高さ測定装置95は、この瞬間に、それぞれ別の工作物エッジ、つまり工作物上エッジWKOまたは工作物下エッジWKUの位置を検知し、それにより測定時点に2つの工作物エッジWKOおよびWKUが高さ測定装置によって検出される。基準位置、工作物Wと工作機械10との相対位置調節時に例えば
図30、
図32、および
図33に示された位置が生じる場合、高さ測定装置95が、いわばこの基準状況のスナップショット、すなわち2つの工作物エッジWKUおよびWKOが可視の画像を作成することが可能である。
【0322】
それぞれの基準位置を検知するために、基準光源68が利用されてもよい。基準光源68は、工具センサ62の検出範囲と略平行に照らす。工作機械10が工作物Wからさらに離れた(
図30においてさらに左へ位置調節した)場合、基準光源68の光線、例えばレーザビームまたはレーザポインタが工作物Wの傍らを通る。その場合、工作機械10が工作物Wに相対して前方へ、例えば
図30に示された位置へ位置調節されると、基準光源68の光が下工作物エッジWKUをかすめる。カメラまたは工具センサ62は、例えば工作物下エッジWKUおよび工作物上エッジWKOが可視である上述した画像を検出するためのトリガ信号として工作物下エッジWKUでの反射を認識する。この状況において、工具センサ62もしくは高さ測定装置95が画像認識または他の措置によって上工作物エッジWKOを検知し、最後に、工作物下エッジWKUおよび工作物上エッジWKOに関する情報から工作物Wの高さHが検知される。
【0323】
図38において、相応の手順が示唆されている。例えば、作業方向で後の工具センサ62によって検出された画像が
図38に示されている。例えば、工作機械10は、移動方向BR1に沿って工作物Wを移動される。その際、基準光源68を用いて工作物Wに投射される基準光によって生成される光反射LRは、いわば下工作物エッジWKUから上工作物エッジWKOへ移動しかつ、いわば経路PLに沿って移動する。基準光が下工作物エッジWKUに到達する前に、基準光は工作物Wの周囲によってほとんど反射されず、工具センサ62はそのことを相応に検出する。基準光が上工作物エッジWKOを越えて移動した場合、光反射LRは例えば作業工具15に相対して定置のままである。光反射LRは、移動方向BR1と平行の運動成分で移動する一方で、この移動方向に対して横向きに移動方向BR2にも移動する。光反射LRが移動方向BR1、BR2の一方または両方に通り抜ける距離、例えば移動方向BR2の距離DR2を用いて、高さ測定装置95は、例えば
図34に示される割り当て関数を用いて工作物Wの高さHを検知することができる。
【0324】
工具センサ62および/または基準光源68に、例えば偏光フィルタ、カラーフィルタ、またはそれに類するものなどのフィルタ362、368(
図30)が前置されていてもよい。フィルタ362、368を互いに同調させることが好ましく、それにより例えば基準光源68の光がフィルタ368によって、予め定められた色スペクトルに制限され、フィルタ362を用いて工具センサ62がこの色スペクトルに対して特に敏感に、または排他的に反応する。さらに、偏光フィルタとしてのフィルタ368が基準光源68の光を偏光すること、すなわち、予め定められた向きで通過させること、そして相応に同様に方向合わせされた偏光フィルタとしてのフィルタ362がフィルタ362によるフィルタリングに相応する向きの光のみをカメラまたは工具センサ62へ通過させることが可能である。
【0325】
しかし、フィルタ362、368のうちの1つのみが存在することも有利である。したがって、例えばフィルタ362を偏光フィルタとして形成した場合、特に外部光の影響による、または基準光源68にもとづいた鏡反射またはそれに類するものをフィルタリング除去することができる。工具センサ62が特定の光色に対して特に敏感である場合、例えば基準光源68の色スペクトルをこの光色に制限するためにフィルタ368で十分である。
【0326】
つまり端面WSからの工具センサ62の、したがって高さ測定装置95の長手方向距離が検出されることによる工作物高さの連続的な検知は、例えば距離センサ67を用いて可能である。
【0327】
距離センサ67は、例えばレーザセンサ、超音波センサ、またはそれに類するものである。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 工作物(W)を加工するための可搬型工作機械(10)、すなわち手持ち工作機械(10)または半据付型工作機械(10)であって、前記工作機械(10)は、前記工作物(W)において前記工作機械(10)を、または前記工作機械(10)において前記工作物(W)を案内するためのガイド面(32)を有する、特にプレート状のガイド部材(30)を具備し、前記工作機械(10)は、作業工具(15)を収容するために駆動ユニット(11)に配置された工具ホルダ(14)を駆動するための駆動モータ(13)を有する前記駆動ユニット(11)を具備し、前記工作機械(10)は工具センサ(61、62)を有し、前記工具センサの検出範囲(EB1、EB2)が、作業工具(15)を用いて工作物(W)を加工したときに生成される微粒子で少なくとも部分的に汚される、可搬型工作機械において、前記工作機械は、前記検出範囲(EB1、EB2)にある微粒子による前記工具センサ(61、62)の工具センサ信号への影響を少なくするための少なくとも1つの最適化手段(OPT)を有することを特徴とする、可搬型工作機械。
[2] 前記少なくとも1つの最適化手段(OPT)は、前記工具センサ信号を処理するための、または前記工具センサ信号を形成するためのデジタル信号処理手段を備えるか、またはデジタル信号手段によってなることを特徴とする、[1]に記載の工作機械(10)。
[3] 前記デジタル信号処理手段は、微粒子によって生成された画素をフィルタリングするための少なくとも1つのデジタルフィルタを備えるか、または少なくとも1つのデジタルフィルタによってなることを特徴とする、[2]に記載の工作機械。
[4] 前記デジタル信号処理手段は、ランクオーダフィルタ、特にメディアンフィルタ、および/またはヒストグラムフィルタ、および/またはヒストグラム補正、および/または輝度フィルタ、および/またはガウシアンフィルタ、および/またはバイラテラルフィルタ、および/または平均値フィルタまたは平均化フィルタを備えるか、あるいはフィルタによってなってもよいことを特徴とする、[2]または[3]に記載の工作機械。
[5] 前記少なくとも1つの最適化手段(OPT)は、照明装置(70)を有することを特徴とする、[1]~[4]のいずれか1項に記載の工作機械。
[6] 前記照明装置(70)は、前記工具センサの光学軸に対して横向きの角度で前記検出範囲(EB1、EB2)を特に排他的に照明するように配置されていることを特徴とする、[5]に記載の工作機械。
[7] 前記角度は、少なくとも30°、殊に少なくとも45°、特に少なくとも60°、特に好ましくは少なくとも80°~120°、特に約90°であることを特徴とする、[6]に記載の工作機械。
[8] 前記照明装置(70)は、前記検出範囲(EB1、EB2)を拡散照射するように形成されていることを特徴とする、[5]~[7]のいずれか1項に記載の工作機械。
[9] 前記照明装置(70)は、前記工具センサ(61、62)の前記検出範囲(EB1、EB2)を互いに反対の各側から照明するように配置されていることを特徴とする、[5]~[8]のいずれか1項に記載の工作機械。
[10] 前記工作機械は、外部光の影響に対して検出範囲(EB1、EB2)を覆うためのカバー装置(21)を有することを特徴とする、[1]~[9]のいずれか1項に記載の工作機械。
[11] 前記検出範囲(EB1、EB2)は、前記工作機械の運転時に前記カバー装置(21)および前記工作物(W)によって前記外部光の影響に対して覆われることを特徴とする、[10]に記載の工作機械。
[12] 前記カバー装置(21)は、前記作業工具(15)を少なくとも部分的に収容するか、または覆う、前記作業工具(15)のための保護カバーをなすことを特徴とする、[10]または[11]に記載の工作機械。
[13] 前記工具センサ(61、62)は、前記工作機械の微粒子で汚れた粉塵空気を排出するための粉塵空気流路に配置されていることを特徴とする、[1]~[12]のいずれか1項に記載の工作機械。
[14] 前記工具センサ(61、62)は、前記作業工具(15)を少なくとも部分的に覆う、および/または格納するカバー装置(21)または保護カバーの下に配置されていることを特徴とする、[1]~[13]のいずれか1項、または[1]の前提部に記載の工作機械。
[15] 前記工具センサ(61、62)の前記検出範囲(EB1、EB2)、カバー装置(21)または保護カバーから、特に前記作業工具(15)が前記工作物(W)と接触するか、または接触することができる工作物接触領域の方に向けられていることを特徴とする、[14]に記載の工作機械。
[16] 前記工具センサ(61、62)はカメラを備えるか、またはカメラによってなることを特徴とする、[1]~[15]のいずれか1項に記載の工作機械。
[17] 前記工具センサ(61、62)の前記検出範囲(EB1、EB2)は、少なくとも45°、殊に少なくとも60°、特に少なくとも70°であること、および/または前記工具センサ(61、62)は広角対物レンズを有することを特徴とする、[1]~[16]のいずれか1項に記載の工作機械。
[18] 少なくとも1つの最適化手段(OPT)は、洗浄空気、特に吸気流または冷気流とは別個の手段であることを特徴とする、[1]~[17]のいずれか1項に記載の工作機械。
[19] 前記工具センサ(61、62)の前記検出範囲(EB1、EB2)に前記駆動モータ(13)の洗浄空気、特に吸気流および/または冷気流を流すことを特徴とする、[1]~[18]のいずれか1項に記載の工作機械。
[20] 前記検出範囲(EB1、EB2)に向いた前記工具センサ(61、62)のフロント側に透明カバー、特にフロントレンズまたはフィルタが配置されており、前記透明カバーは、滑りコーティングを備えていることを特徴とする、[1]~[19]のいずれか1項に記載の工作機械。
[21] 前記工作機械は、前記工具センサ(61、62)の微粒子による汚れを検査するための汚れ検査手段を有し、前記工作機械(10)は、前記工具センサ(61、62)の汚れ度合に依存して前記工具センサ信号を処理するように、および/または前記工具センサ(61、62)の汚れ度合に依存して警告を出力するように形成されていることを特徴とする、[1]~[20]のいずれか1項に、または[1]の前提部に記載の工作機械。
[22] 前記汚れ検査手段は、前記工具センサ信号および/または前記工具センサ信号を検知するように予定された前記工具センサ(61、62)の出力信号の形の少なくとも1つの輝度値を前記汚れ度合を検知するように形成されていることを特徴とする、[21]に記載の工作機械。
[23] 前記汚れ検査手段は、前記工具センサ(61、62)のフロント側を照明するための少なくとも1つの光源と、前記工具センサ(61、62)の前記フロント側の微粒子による汚れに依存して、前記工具センサ(61、62)の前記フロント側の反射を検知するための少なくとも1つの光センサとを有することを特徴とする、[21]または[22]に記載の工作機械(10)。
[24] 前記工具センサ(61、62)の前記検出範囲(EB1、EB2)は、前記作業工具(15)が前記工作物(W)と接触する工作物接触領域、特に前記作業工具(15)を用いて前記工作物を加工することによって生じた、または生じる加工エッジ(KV、KH)を含むことを特徴とする、[1]~[23]のいずれか1項に記載の工作機械。
[25] 前記工具センサ(61、62)の前記検出範囲(EB1、EB2)は、前記工作機械(10)を前記工作物(W)に沿って、または前記工作物(W)を前記工作機械に沿って案内可能な作業方向で前の領域を含むことを特徴とする、[1]~[24]のいずれか1項に記載の工作機械。
[26] 前記工具センサ(61、62)は、前記工作物に配置された工作物マーキング(MA)を検出するように形成され、および/または向けられていることを特徴とする、[1]~[25]のいずれか1項に記載の工作機械。
[27] 前記工作物(W)に配置された工作物マーキング(MA)の検出に依存して少なくとも1つの機能を提供するように形成されていることを特徴とする、[1]~[26]のいずれか1項に記載の工作機械。
[28] 前記少なくとも1つの機能は、前記工作物マーキング(MA)からの現在加工エッジ(KV、KH)の距離の表示、ならびに/あるいは前記駆動ユニット(11)の制御、ならびに/あるいは前記作業工具(15)および/または、前記工作物マーキング(MA)の到達に依存してガイドユニットに相対して前記駆動ユニット(11)を位置調節するための前記工作機械(10)の調整駆動装置(90)の制動を含むことを特徴とする、[27]に記載の工作機械。
[29] 前記工作機械は、前記作業工具(15)の、または前記工具ホルダ(14)の、前記駆動ユニット(11)から、特に前記駆動モータ(13)から離反した側に、特に自由端面に少なくとも1つの工具センサ(61、62)を有し、ならびに/あるいは前記作業工具(15)の、前記駆動ユニット(11)に、特に前記駆動モータ(13)に向いた側に少なくとも1つの工具センサ(61、62)を有することを特徴とする、[1]~[28]のいずれか1項に記載の工作機械。
[30] 前記工具センサ(61、62)は、少なくとも前記作業工具(15)が前記ガイド面(32)の前に突出する場合に、前記ガイド面(32)と前記作業工具(15)の回転軸(DW)との間の距離の外側に配置されることを特徴とする、[1]~[29]のいずれか1項に記載の工作機械。