(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-08
(45)【発行日】2024-03-18
(54)【発明の名称】第一級アミノ基を有するポリアスパラギン酸エステルと少量のフマル酸ジアルキルエステルとを含有するポリアスパラギン酸エステル組成物
(51)【国際特許分類】
C07C 229/24 20060101AFI20240311BHJP
C08G 18/10 20060101ALI20240311BHJP
C08G 18/32 20060101ALI20240311BHJP
C07C 227/18 20060101ALI20240311BHJP
C07C 69/60 20060101ALI20240311BHJP
C09D 175/04 20060101ALI20240311BHJP
【FI】
C07C229/24
C08G18/10
C08G18/32 050
C07C227/18
C07C69/60
C09D175/04
(21)【出願番号】P 2020515951
(86)(22)【出願日】2018-09-14
(86)【国際出願番号】 EP2018074884
(87)【国際公開番号】W WO2019057626
(87)【国際公開日】2019-03-28
【審査請求日】2021-09-10
(32)【優先日】2017-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】515266223
【氏名又は名称】コベストロ、ドイチュラント、アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】COVESTRO DEUTSCHLAND AG
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100203035
【氏名又は名称】五味渕 琢也
(74)【代理人】
【識別番号】100185959
【氏名又は名称】今藤 敏和
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100202267
【氏名又は名称】森山 正浩
(74)【代理人】
【識別番号】100182132
【氏名又は名称】河野 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】グレスタ-フランツ,ドルタ
(72)【発明者】
【氏名】ウェイカード,ジャン
(72)【発明者】
【氏名】ヴィンターマンテル,マティアス
(72)【発明者】
【氏名】マレイカ,ロベルト
(72)【発明者】
【氏名】クリマッシュ,トマス
(72)【発明者】
【氏名】シュットラー,トマス
【審査官】三須 大樹
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-513554(JP,A)
【文献】特開平03-043472(JP,A)
【文献】特開平07-228831(JP,A)
【文献】特開2000-095738(JP,A)
【文献】特開平10-087583(JP,A)
【文献】特開2002-121178(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
C08G
C09D
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つまたは複数の一般式(I)のポリアスパラギン酸エステル
【化1】
(式中、
Xは、(環状)脂肪族的または芳香脂肪族的に結合したアミノ基を有し、60~6000g/molの分子量範囲であり、イソシアネート基に対して反応性であるさらなる官能基を含み得る対応するポリアミンから第一級アミノ基を除去することによって得ることができる、1つまたは複数のヘテロ原子を含有してもよい、m価の有機基であり、
R1およびR2は、それぞれ1~18個の炭素原子を有する同一のまたは異なる有機基であり、
mは1超の整数であり、
前記Xが誘導される前記ポリアミンは、エチレンジアミン、1,2-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノブタン、1,5-ジアミノペンタン、2,5-ジアミノ-2,5-ジメチルヘキサン、1,5-ジアミノ-2-メチルペンタン、1,6-ジアミノヘキサン、2,2,4-および/または2,4,4-トリメチル-1,6-ジアミノヘキサン、1,11-ジアミノウンデカン、1,12-ジアミノドデカン、トリアミノノナン、エーテルアミン、または脂肪族的に結合した第一級アミノ基を有す
るポリエーテルポリアミン、脂肪族多環式ポリアミン、アミノ官能性シロキサン、二量体脂肪酸ジアミン、1-アミノ-3,3,5-トリメチル-5-アミノメチルシクロヘキサン(IPDA)、2,4-および/または2,6-ヘキサヒドロトリレンジアミン(H6-TDA)、イソプロピル-2,4-ジアミノシクロヘキサンおよび/またはイソプロピル-2,6-ジアミノシクロヘキサン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、2,4’-および/または4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン、
1つのメチル基で
各環が置換された異性体ジアミノジシクロヘキシルメタ
ン、3(4)-アミノメチル-1-メチルシクロヘキシルアミン(AMCA)、および芳香脂肪族ジアミンから選択される)
と、
1つまたは複数の一般式(II)の第一級アミノ基を有するポリアスパラギン酸エステル
【化2】
(式中、
nはm-1であり、
Xならびに基R1およびR2は上に定義される意味を有する)
とを含む組成物であって、
一般式(II)の化合物の割合が、(ガスクロマトグラムで面積%として測定される)GC表面積の4%~15%に相当し、一般式(I)および(II)の2つの化合物のGC表面積の合計が100%であり、フマル酸ジアルキルが0.01~1重量%の割合で存在することを特徴とする、
組成物。
【請求項2】
前記エーテルアミンが、4,9-ジオキサドデカン-1,12-ジアミンまたは4,7,10-トリオキサトリデカン-1,13-ジアミンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記脂肪族多環式ポリアミンが、トリシクロデカンビスメチルアミン(TCDジアミン)またはビス(アミノメチル)ノルボルナンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記アミノ官能性シロキサンが、ジアミノプロピルシロキサンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記芳香脂肪族ジアミンが、1,3-ビス(アミノメチル)ベンゼンまたはm-キシリレンジアミンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
1つまたは複数の一般式(I)のポリアスパラギン酸エステル
【化3】
(式中、
Xは、(環状)脂肪族的または芳香脂肪族的に結合したアミノ基を有し、60~6000g/molの分子量範囲であり、イソシアネート基に対して反応性であるさらなる官能基を含み得る対応するポリアミンから第一級アミノ基を除去することによって得ることができる、1つまたは複数のヘテロ原子を含有してもよいm価の有機基であり、
R1およびR2は、
それぞれ1~18個の炭素原子を有する同一のまたは異なる有機
基であり、
mは1超の整数であり、
前記Xが誘導される前記ポリアミンは、エチレンジアミン、1,2-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノブタン、1,5-ジアミノペンタン、2,5-ジアミノ-2,5-ジメチルヘキサン、1,5-ジアミノ-2-メチルペンタン、1,6-ジアミノヘキサン、2,2,4-および/または2,4,4-トリメチル-1,6-ジアミノヘキサン、1,11-ジアミノウンデカン、1,12-ジアミノドデカン、トリアミノノナン、エーテルアミン、または脂肪族的に結合した第一級アミノ基を有す
るポリエーテルポリアミン、脂肪族多環式ポリアミン、アミノ官能性シロキサン、二量体脂肪酸ジアミン、1-アミノ-3,3,5-トリメチル-5-アミノメチルシクロヘキサン(IPDA)、2,4-および/または2,6-ヘキサヒドロトリレンジアミン(H6-TDA)、イソプロピル-2,4-ジアミノシクロヘキサンおよび/またはイソプロピル-2,6-ジアミノシクロヘキサン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、2,4’-および/または4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン、
1つのメチル基で
各環が置換された異性体ジアミノジシクロヘキシルメタ
ン、3(4)-アミノメチル-1-メチルシクロヘキシルアミン(AMCA)、および芳香脂肪族ジアミンから選択される)
と、
1つまたは複数の一般式(II)の第一級アミノ基を有するポリアスパラギン酸エステル
【化4】
(式中、
nはm-1であり、
Xならびに基R1およびR2は上に定義される意味を有する)
とを含み、
一般式(III)のポリアミン
【化5】
(式中、Xおよびmは上に定義される意味を有する)
を一般式(IV)の化合物
【化6】
(式中、基R1およびR2は上に定義される意味を有する)
と反応させ、一般式(IV)の化合物の未反応部分を蒸留によって除去することによって製造される組成物を製造する方法であって、
得られるポリアスパラギン酸エステル組成物が、(ガスクロマトグラムで面積%として測定される)GC表面積の4%~15%の割合の一般式(II)の化合物を含有し、一般式(I)および(II)の2つの化合物のGC表面積の合計が100%であり、フマル酸ジアルキルが0.01~1重量%の割合であることを特徴とする、
方法。
【請求項7】
前記エーテルアミンが、4,9-ジオキサドデカン-1,12-ジアミンまたは4,7,10-トリオキサトリデカン-1,13-ジアミンである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記脂肪族多環式ポリアミンが、トリシクロデカンビスメチルアミン(TCDジアミン)またはビス(アミノメチル)ノルボルナンである、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記アミノ官能性シロキサンが、ジアミノプロピルシロキサンである、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記芳香脂肪族ジアミンが、1,3-ビス(アミノメチル)ベンゼンまたはm-キシリレンジアミンである、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
二成分ポリウレタン系またはプレポリマーの製造における反応性成分としての請求項1に記載のポリアスパラギン酸エステル組成物の使用。
【請求項12】
請求項1に記載のポリアスパラギン酸エステル組成物を使用して得られるコーティングされた基材。
【請求項13】
一般式(I)及び(II)において、R1およびR2は、それぞれ1~18個の炭素原子を有する同一のまたは異なるアルキル基である、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
一般式(I)、(II)及び(IV)において、R1およびR2は、それぞれ1~18個の炭素原子を有する同一のまたは異なるアルキル基である、請求項6に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第一級アミノ基を有するポリアスパラギン酸エステルと少量のフマル酸ジアルキルとを含むポリアスパラギン酸エステル組成物、その製造方法、および二成分ポリウレタン系におけるポリイソシアネートの反応性成分としてのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
イソシアネートに対して反応性の成分、特にポリヒドロキシル成分と組み合わせてポリイソシアネート成分をバインダーとして含有する二成分(2K)コーティング組成物は長い間知られている。これらは、硬質で、弾力性で、耐摩耗性および耐溶剤性で、とりわけ耐候性となるよう適合させることができる高品質コーティングの製造に適している。
【0003】
この2Kポリウレタンコーティング技術の中で、近年確立された一定のエステル含有第二級ポリアミンは、塗料ポリイソシアネートと組み合わせて、低溶剤または無溶剤(ハイソリッド(high-solid))コーティング組成物のバインダーとして特に適しており、低温でのコーティングの迅速な硬化を可能にする。
【0004】
これらの第二級ポリアミンは、例えば欧州特許第0403921号明細書に記載されている、いわゆるポリアスパラギン酸エステルである。単独で、またはイソシアネートに対して反応性のさらなる成分との混合物での2Kポリウレタンコーティング組成物におけるこれらの使用は、例えば欧州特許第0403921号明細書、欧州特許第0639628号明細書、欧州特許出願公開第0667362号明細書、欧州特許第0689881号明細書、米国特許第5214086号明細書、欧州特許第0699696号明細書、欧州特許第0596360号明細書、欧州特許第0893458号明細書、ドイツ特許出願公開第19701835号明細書および米国特許第5243012号明細書に記載されている。
【0005】
ポリアスパラギン酸エステルの合成はそれ自体知られており、文献に十分に記載されている、例えばマレイン酸エステルまたはフマル酸エステルについて存在する、ビニローグ(vinylogous)カルボニル化合物の活性化炭素-炭素二重結合への第一級ポリアミンの付加を通して行われる(Hauben Weyl,Meth.d.Org.Chemie vol.11/1,272(1957),Usp.Khim.1969,38,1933)。ポリアミンのただ1つのアミノ基がビニローグカルボニル化合物の二重結合と反応した場合、この反応は、副産物として、第一級アミノ基を有するポリアスパラギン酸エステルの形成をもたらし得る。市販のポリアスパラギン酸エステルでは、マレイン酸エステルがビニローグカルボニル化合物として使用されている。マレイン酸エステルに基づくポリアスパラギン酸エステルの製造中に、ポリアミンの除去が微量成分としてのフマル酸ジアルキルの形成をもたらすさらなる望ましくない副反応として、レトロマイケル付加(retro-Michael addition)が起こり得る。したがって、ポリアスパラギン酸エステルの典型的な製造方法は、いったん出発材料のほとんどが相互に反応したら4~6週間の貯蔵時間を要する。この間、生成物はいわゆる成熟を受け、これは粘度の安定化によって明らかになる。この間、転化率が増加し続けるため、フマル酸ジアルキルの含有量も低下する。数週間にわたるこの貯蔵は、製造中に多大な物流コストをもたらす。生成物は貯蔵期間が終了するまで顧客に出荷されないが、それでも相当量のフマル酸ジアルキルをまだ含有しており、これが重度の感作を引き起こすおそれがある。例えば、フマル酸ジエチルはVOC(揮発性有機化合物)に分類されるので、VOCを含まないコーティングの提供を妨げる。フマル酸ジアルキルの存在に起因する別の欠点は、その可塑化効果の結果としてコーティング膜のガラス転移温度が低下することである。
【0006】
これまでにポリアスパラギン酸エステル組成物およびその製造に関連する上記の欠点の結果として、短縮された成熟時間のみを要するまたは全く必要としない方法によって製造することができる低フマル酸ジアルキル含有量のポリアスパラギン酸エステル組成物の需要が長い間あった。
【0007】
理論的には、上記の不利益を受けないポリアスパラギン酸エステル組成物を生成するために、ポリアスパラギン酸エステル組成物を製造する方法を修正する2つの選択肢が存在する。反応時間を延長してもよいし、または反応温度を上昇させてもよい。前者は、経済的理由で考えられない。一方、反応温度を、例えば100℃、またはさらには80℃に上げると、生成物が劇的に黄変する。
【0008】
欧州特許第0816326号明細書は、特定の触媒の添加を通して、ポリアミンのマレイン酸ジアルキルへの付加を加速し、フマル酸ジアルキル含有量を減少させる方法を開示している。触媒を使用しているのにもかかわらず、貯蔵の必要性を避けることはできないため、このアプローチでは最終的に満足のいく結果は得られない。欧州特許第1197507号明細書は、フマル酸ジアルキルの捕捉剤としてのチオール化合物の添加を記載している。チオール化合物はかなりの有害臭を引き起こすことが知られているため、これも実際に実行できる解決策ではない。
【0009】
蒸留による後処理の理論的選択肢が、例えば欧州特許第0403921号明細書に記載されている。これは、過剰のマレイン酸ジアルキルを使用する方法での蒸留によるフマル酸ジアルキルの除去を記載している。この開示は、蒸留の例も方法も指定していない。過剰のマレイン酸ジエチルがこの方法で使用されるため、後処理された生成物は、有意な量の第一級アミノ基を有するポリアスパラギン酸エステルを含有するとは予想されない。使用される過剰量のマレイン酸ジエチルが悪い空時収率および大量の廃棄物をもたらし、経済的に正当化できないため、この方法は受け入れられなかった。
【0010】
ドイツ特許出願公開第102006002153号明細書も同様に、過剰のマレイン酸ジアルキルを使用し、その後、蒸留によってフマル酸ジアルキルを除去して製造される生成物を記載している。これは、第一級アミノ基を含まないジアスパル酸エステルである。
【0011】
アミノ官能性アスパラギン酸エステルの製造は原則として知られている。国際公開第15130501号および国際公開第15130502号は、(ガスクロマトグラムで面積%として測定される)15~30%の第一級アミノ基を有するアスパラギン酸エステルを含有するポリアスパラギン酸エステル組成物を開示している。しかしながら、いずれの文献も、第一級アミノ基を有するアスパラギン酸エステルの含有量の増加から生じる利点を特定しておらず、許容できるポットライフを有するポリアスパラギン酸エステル組成物は、好ましくは脂環式ポリイソシアネートとのさらなる反応によってのみ達成された。従来の製造方法を考えると、こうして製造されたコーティング組成物は、フマル酸ジエチルの含有量が減少していないと考えられ得る。
【0012】
本発明の文脈では、(ガスクロマトグラムで面積%として測定される)1%~20%の第一級アミノ基を有するポリアスパラギン酸エステル含有量、および0.01重量%~3重量%の減少したフマル酸ジアルキル含有量を有すると同時に、先行技術から知られているポリアスパラギン酸エステル組成物の欠点を克服するポリアスパラギン酸エステル組成物を製造することができる。本発明によるこれらの組成物は、貯蔵工程を伴う方法および伴わない方法を介して製造することができるだろう。
【0013】
非成熟ポリアスパラギン酸エステル組成物(すなわち、製造直後)の薄膜蒸留により、1%未満のレベルのフマル酸ジアルキルを含有する生成物が得られることが分かった。薄膜蒸留時の反応転化率は約90%であるため、第一級アミノ基を有するポリアスパラギン酸エステルの割合は、従来のポリアスパラギン酸エステル組成物よりも生成物で著しく高い。第一級アミノ基を有するポリアスパラギン酸エステルの割合が高いと、ポットライフが短くなると予想され得る。しかしながら、驚くべきことに、本発明によるポリアスパラギン酸エステル組成物のポットライフは、従来的に製造されたポリアスパラギン酸エステル組成物のポットライフと変わらないことが分かった。さらに、本発明によるポリアスパラギン酸エステル組成物は、さらなる技術的利点として、加速された乾燥および凝縮水に対する改善された耐性を示す。薄膜蒸留法は、成熟したポリアスパラギン酸エステル組成物にも適用することができる。この場合の利点は、成熟の省略ではなく、第一級アミノ基を有するポリアスパラギン酸エステルの割合が増加しているためフマル酸ジアルキルの量が減少しており、乾燥が速いことである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【文献】欧州特許第0403921号明細書
【文献】欧州特許第0639628号明細書
【文献】欧州特許出願公開第0667362号明細書
【文献】欧州特許第0689881号明細書
【文献】米国特許第5214086号明細書
【文献】欧州特許第0699696号明細書
【文献】欧州特許第0596360号明細書
【文献】欧州特許第0893458号明細書
【文献】ドイツ特許出願公開第19701835号明細書
【文献】米国特許第5243012号明細書
【文献】欧州特許第0816326号明細書
【文献】欧州特許第1197507号明細書
【文献】ドイツ特許出願公開第102006002153号明細書
【文献】国際公開第15130501号
【文献】国際公開第15130502号
【非特許文献】
【0015】
【文献】Hauben Weyl,Meth.d.Org.Chemie vol.11/1,272(1957),Usp.Khim.1969,38,1933
【発明の概要】
【0016】
本発明は、1つまたは複数の一般式(I)のポリアスパラギン酸エステル
【化1】
【0017】
(式中、
Xは、(環状)脂肪族的または芳香脂肪族的に結合したアミノ基を有し、60~6000g/molの分子量範囲であり、イソシアネート基に対して反応性および/または最大100℃の温度で不活性であるさらなる官能基を含み得る対応するポリアミンから第一級アミノ基を除去することによって得ることができる1つまたは複数のヘテロ原子を含有してもよいm価有機基であり、
R1およびR2は、それぞれ1~18個の炭素原子を有する同一のまたは異なる有機基であり、
mは1超の整数である)
と、
1つまたは複数の一般式(II)の第一級アミノ基を有するポリアスパラギン酸エステル
【化2】
【0018】
(式中、
nはm-1であり、
Xならびに基R1およびR2は上に定義される意味を有する)
とを含む組成物であって、
一般式(II)の化合物の割合が、(ガスクロマトグラムで面積%として測定される)GC表面積の1%~20%に相当し、一般式(I)および(II)の2つの化合物のGC表面積の合計が100%であり、フマル酸ジアルキルが0.01~3重量%の割合で存在することを特徴とする、
組成物を提供する。
【0019】
R1およびR2が、それぞれ1~18個の炭素原子を有する同一のまたは異なるアルキル基、好ましくはそれぞれ1~8個の炭素原子を有する同一のまたは異なるアルキル基、最も好ましくは各場合でメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチルまたはイソブチル基などのアルキル基である、本発明によるポリアスパラギン酸エステル組成物が好ましい。エチルが極めて特に好ましい。
【0020】
本発明によるポリアスパラギン酸エステル組成物は、Xが、以下の群:一般式(III)に従う第一級アミノ基を有する全ての既知のポリアミンから選択される、第一級アミノ基を有する対応する(環状)脂肪族的または芳香脂肪族的に結合したポリアミンから第一級アミノ基を除去することによって得られる有機基であるものである。例として以下の化合物が挙げられる:エチレンジアミン、1,2-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノブタン、1,5-ジアミノペンタン、2,5-ジアミノ-2,5-ジメチルヘキサン、1,5-ジアミノ-2-メチルペンタン(Dytek(登録商標)A、DuPont)、1,6-ジアミノヘキサン、2,2,4-および/または2,4,4-トリメチル-1,6-ジアミノヘキサン、1,11-ジアミノウンデカン、1,12-ジアミノドデカンまたはトリアミノノナン、エーテルアミン、例えば4,9-ジオキサドデカン-1,12-ジアミン、4,7,10-トリオキサトリデカン-1,13-ジアミン、または脂肪族的に結合した第一級アミノ基を有する高分子量ポリエーテルポリアミン、例えばHuntsmanによってJeffamine(登録商標)という名称で市販されているもの。脂肪族多環式ポリアミン、例えばトリシクロデカンビスメチルアミン(TCDジアミン)またはビス(アミノメチル)ノルボルナン、アミノ官能性シロキサン、例えばジアミノプロピルシロキサンG10 DAS(Momentive製)、オレオアルキル系アミン、例えばSolvay製のFentamine、二量体脂肪酸ジアミン、例えばCroda製のPriamineも使用可能である。
【0021】
Xが、一般式(III)(式中、m=2であり、Xは少なくとも1つの環状炭素環を含む環状炭化水素基である)のポリアミンの1つから第一級アミノ基を除去することによって得られる有機基である、本発明によるポリアスパラギン酸エステル組成物が好ましい。特に好ましく使用可能なジアミンの例は、1-アミノ-3,3,5-トリメチル-5-アミノメチルシクロヘキサン(IPDA)、2,4-および/または2,6-ヘキサヒドロトリレンジアミン(H6-TDA)、イソプロピル-2,4-ジアミノシクロヘキサンおよび/またはイソプロピル-2,6-ジアミノシクロヘキサン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、2,4’-および/または4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン(Laromin(登録商標)C 260、BASF AG)、メチル基で環が置換された異性体ジアミノジシクロヘキシルメタン(=C-モノメチル-ジアミノジシクロヘキシルメタン)、3(4)-アミノメチル-1-メチルシクロヘキシルアミン(AMCA)、および芳香脂肪族ジアミン、例えば1,3-ビス(アミノメチル)ベンゼンまたはm-キシリレンジアミンである。
【0022】
Xが、以下の群:脂肪族的に結合した第一級アミノ基を有するポリエーテルポリアミン、1,2-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノブタン、1,6-ジアミノヘキサン、1,5-ジアミノ-2-メチルペンタン、2,5-ジアミノ-2,5-ジメチルヘキサン、2,2,4-および/または2,4,4-トリメチル-1,6-ジアミノヘキサン、1,11-ジアミノウンデカン、1,12-ジアミノドデカン、1-アミノ-3,3,5-トリメチル-5-アミノメチルシクロヘキサン、2,4-および/または2,6-ヘキサヒドロトリレンジアミン、1,5-ジアミノペンタン、2,4’-および/または4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタンまたは3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタンから選択される一般式(III)のポリアミンの1つから第一級アミノ基を除去することによって得られる有機基である、本発明によるポリアスパラギン酸エステル組成物も同様に好ましい。3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン、1,5-ジアミノペンタン、2,4’-および/または4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン、1,5-ジアミノ-2-メチルペンタンが特に好ましく、2,4’-および/または4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタンの使用が極めて特に好ましい。
【0023】
Xが、以下の群:脂肪族的に結合した第一級アミノ基を有するポリエーテルポリアミン、1,2-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノブタン、1,5-ジアミノペンタン、1,6-ジアミノヘキサン、1,5-ジアミノ-2-メチルペンタン、2,5-ジアミノ-2,5-ジメチルヘキサン、2,2,4-および/または2,4,4-トリメチル-1,6-ジアミノヘキサン、1,11-ジアミノウンデカン、1,12-ジアミノドデカン、1-アミノ-3,3,5-トリメチル-5-アミノメチルシクロヘキサン、2,4-および/または2,6-ヘキサヒドロトリレンジアミン、2,4’-および/または4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタンまたは3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタンから選択される一般式(III)のポリアミンの1つから第一級アミノ基を除去することによって得られる有機基である、本発明によるポリアスパラギン酸エステル組成物が特に好ましい。
【0024】
Xが、以下の群:3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン、2,4’-および/または4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン、1,5-ジアミノ-2-メチルペンタンから選択される一般式(III)のポリアミンの1つから第一級アミノ基を除去することによって得られる有機基である、本発明によるポリアスパラギン酸エステル組成物が最も好ましい。
【0025】
好ましくは、mは1超の整数であり、より好ましくは2である。
【0026】
一般式(I)および(II)の2つの化合物のGC表面積の合計が100%である、(ガスクロマトグラムで面積%として測定される)GC表面積の1%~20%、好ましくは4%~20%、より好ましくは最大4%~15%の割合の一般(II)の化合物を含有する本発明によるポリアスパラギン酸エステル組成物が好ましい。
【0027】
0.01~3重量%、好ましくは0.01~1重量%、より好ましくは0.01~0.1重量%の割合のフマル酸ジアルキルを含有する本発明によるポリアスパラギン酸エステル組成物が好ましい。
【0028】
0.01~0.99重量%の割合のフマル酸ジアルキルを含有する本発明によるポリアスパラギン酸エステル組成物も同様に好ましい。
【0029】
本発明は、特に好ましくは、1つまたは複数の一般式(I)のポリアスパラギン酸エステル
(式中、
Xは、脂肪族的に結合した第一級アミノ基を有するポリエーテルポリアミン、1,2-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノブタン、1,5-ジアミノペンタン、1,6-ジアミノヘキサン、1,5-ジアミノ-2-メチルペンタン、2,5-ジアミノ-2,5-ジメチルヘキサン、2,2,4-および/または2,4,4-トリメチル-1,6-ジアミノヘキサン、1,11-ジアミノウンデカン、1,12-ジアミノドデカン、1-アミノ-3,3,5-トリメチル-5-アミノメチルシクロヘキサン、2,4-および/または2,6-ヘキサヒドロトリレンジアミン、2,4’-および/または4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタンまたは3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタンから第一級アミノ基を除去することによって得られる、1つまたは複数のヘテロ原子を含有してもよいm価有機基であり、
R1およびR2は、それぞれ1~8個の炭素原子を有する同一のまたは異なるアルキル基であり、
mは1超の整数である)
と、
1つまたは複数の一般式(II)の第一級アミノ基を有するポリアスパラギン酸エステル
(式中、
nはm-1であり、
Xならびに基R1およびR2は上に定義される意味を有する)
とを含む組成物であって、
一般式(II)の化合物の割合が、(ガスクロマトグラムで面積%として測定される)GC表面積の4%~20%に相当し、一般式(I)および(II)の2つの化合物のGC表面積の合計が100%であり、フマル酸ジアルキルが0.01~1重量%の割合で存在することを特徴とする、
組成物を提供する。
【0030】
本発明は、最も好ましくは、1つまたは複数の一般式(I)のポリアスパラギン酸エステル
(式中、
Xは、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン、2,4’-および/または4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン、1,5-ジアミノ-2-メチルペンタンから第一級アミノ基を除去することによって得ることができるm価有機基であり、
R1およびR2は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチルまたはイソブチル基からなる群から選択される同一のまたは異なるアルキル基であり、
mは2である)
と、
1つまたは複数の一般式(II)の第一級アミノ基を有するポリアスパラギン酸エステル
(式中、
nはm-1であり、
Xならびに基R1およびR2は上に定義される意味を有する)
とを含む組成物であって、
一般式(II)の化合物の割合が、(ガスクロマトグラムで面積%として測定される)GC表面積の4%~15%に相当し、一般式(I)および(II)の2つの化合物のGC表面積の合計が100%であり、フマル酸ジアルキルが0.01~0.1重量%の割合で存在することを特徴とする、
組成物を提供する。
【0031】
本発明は、特に好ましくは、さらに、1つまたは複数の一般式(I)のポリアスパラギン酸エステル
(式中、
Xは、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン、2,4’-および/または4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタンから第一級アミノ基を除去することによって得ることができるm価有機基であり、
R1およびR2はエチル基であり、
mは2である)
と、
1つまたは複数の一般式(II)の第一級アミノ基を有するポリアスパラギン酸エステル
(式中、
nはm-1であり、
Xならびに基R1およびR2は上に定義される意味を有する)
とを含む組成物であって、
一般式(II)の化合物の割合が、(ガスクロマトグラムで面積%として測定される)GC表面積、一般式(I)および(II)の2つの化合物の割合の4%~15%に相当し、一般式(I)および(II)の2つの化合物のGC表面積の合計が100%であり、フマル酸ジアルキルが0.01~0.1重量%の割合で存在することを特徴とする、
組成物を提供する。
【0032】
本発明は、特に好ましくは、さらに、1つまたは複数の一般式(I)のポリアスパラギン酸エステル
【化3】
【0033】
(式中、
Xは、(環状)脂肪族的または芳香脂肪族的に結合したアミノ基を有し、60~6000g/molの分子量範囲であり、イソシアネート基に対して反応性および/または最大100℃の温度で不活性であるさらなる官能基を含み得る対応するポリアミンから第一級アミノ基を除去することによって得ることができる1つまたは複数のヘテロ原子を含有してもよいm価有機基であり、
R1およびR2は、それぞれ1~18個の炭素原子を有する同一のまたは異なる有機基であり、
mは1超の整数である)
と、
1つまたは複数の一般式(II)の第一級アミノ基を有するポリアスパラギン酸エステル
【化4】
【0034】
(式中、
nはm-1であり、
Xならびに基R1およびR2は上に定義される意味を有する)
とを含む組成物であって、
一般式(II)の化合物の割合が、(ガスクロマトグラムで面積%として測定される)GC表面積の4%~15%に相当し、一般式(I)および(II)の2つの化合物のGC表面積の合計が100%であり、フマル酸ジアルキルが0.01~1重量%の割合で存在することを特徴とする、
組成物を提供する。
【0035】
本発明は、特に好ましくは、さらに、1つまたは複数の一般式(I)のポリアスパラギン酸エステル
【化5】
【0036】
(式中、
Xは、(環状)脂肪族的または芳香脂肪族的に結合したアミノ基を有し、60~6000g/molの分子量範囲であり、イソシアネート基に対して反応性および/または最大100℃の温度で不活性であるさらなる官能基を含み得る対応するポリアミンから第一級アミノ基を除去することによって得ることができる1つまたは複数のヘテロ原子を含有してもよいm価有機基であり、
R1およびR2は、それぞれ1~18個の炭素原子を有する同一のまたは異なる有機基であり、
mは1超の整数である)
と、
1つまたは複数の一般式(II)の第一級アミノ基を有するポリアスパラギン酸エステル
【化6】
【0037】
(式中、
nはm-1であり、
Xならびに基R1およびR2は上に定義される意味を有する)
とを含む組成物であって、
一般式(II)の化合物の割合が、(ガスクロマトグラムで面積%として測定される)GC表面積、一般式(I)および(II)の2つの化合物の割合の4%~15%に相当し、一般式(I)および(II)の2つの化合物のGC表面積の合計が100%であり、フマル酸ジアルキルが0.01~0.99重量%の割合で存在することを特徴とする、
組成物を提供する。
【0038】
100以下、より好ましくは50以下の白金-コバルト色指数(platinum-cobalt color index)を有する本発明によるポリアスパラギン酸エステル組成物が好ましい。白金-コバルト色指数は、DIN EN ISO 6271:2016-05に準拠して測定される。
【0039】
本発明はさらに、1つまたは複数の一般式(I)のポリアスパラギン酸エステル
【化7】
【0040】
(式中、
Xは、(環状)脂肪族的または芳香脂肪族的に結合したアミノ基を有し、60~6000g/molの分子量範囲であり、イソシアネート基に対して反応性および/または最大100℃の温度で不活性であるさらなる官能基を含み得る対応するポリアミンから第一級アミノ基を除去することによって得ることができる1つまたは複数のヘテロ原子を含有してもよいm価有機基であり、
R1およびR2は、同一のまたは異なる有機基、好ましくはそれぞれ1~18個の炭素原子を有する同一のまたは異なるアルキル基、最も好ましくはそれぞれ1~8個の炭素原子を有する同一のまたは異なるアルキル基であり、
mは1超の整数である)
と、
1つまたは複数の一般式(II)の第一級アミノ基を有するポリアスパラギン酸エステル
【化8】
【0041】
(式中、
nはm-1であり、
Xならびに基R1およびR2は上に定義される意味を有する)
とを含み、
一般式(III)のポリアミン
【化9】
【0042】
(式中、Xおよびmは上に定義される意味を有する)
を一般式(IV)の化合物
【化10】
【0043】
(式中、基R1およびR2は上に定義される意味を有する)
と反応させ、一般式(IV)の化合物の未反応部分を蒸留によって除去することによって製造される組成物を製造する方法であって、
得られるポリアスパラギン酸エステル組成物が、一般式(I)および(II)の2つの化合物の割合に相当する、(ガスクロマトグラムで面積%として測定される)GC表面積の1%~20%の割合の一般式(II)の化合物を含有し、一般式(I)および(II)の2つの化合物のGC表面積の合計が100%であり、フマル酸ジアルキルが0.01~3重量%の割合であることを特徴とする、
方法を提供する。
【0044】
本発明は、好ましくはさらに、1つまたは複数の一般式(I)のポリアスパラギン酸エステル(式中
Xは、脂肪族的に結合した第一級アミノ基を有するポリエーテルポリアミン、1,2-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノブタン、1,5-ジアミノペンタン、1,6-ジアミノヘキサン、1,5-ジアミノ-2-メチルペンタン、2,5-ジアミノ-2,5-ジメチルヘキサン、2,2,4-および/または2,4,4-トリメチル-1,6-ジアミノヘキサン、1,11-ジアミノウンデカン、1,12-ジアミノドデカン、1-アミノ-3,3,5-トリメチル-5-アミノメチルシクロヘキサン、2,4-および/または2,6-ヘキサヒドロトリレンジアミン、2,4’-および/または4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタンまたは3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタンから第一級アミノ基を除去することによって得られる、1つまたは複数のヘテロ原子を含有してもよいm価有機基であり、
R1およびR2は、それぞれ1~8個の炭素原子を有する同一のまたは異なるアルキル基であり、
mは1超の整数である)
と、
1つまたは複数の一般式(II)の第一級アミノ基を有するポリアスパラギン酸エステル
(式中、
nはm-1であり、
Xならびに基R1およびR2は上に定義される意味を有する)
とを含み、
一般式(III)のポリアミン(式中、Xおよびmは上に定義される意味を有する)を一般式(IV)の化合物(式中、基R1およびR2は上に定義される意味を有する)と反応させ、
一般式(IV)の化合物の未反応部分を蒸留によって除去することによって製造される組成物を製造する上に開示される方法であって、
得られるポリアスパラギン酸エステル組成物が、一般式(I)および(II)の2つの化合物の割合に相当する、(ガスクロマトグラムで面積%として測定される)GC表面積の4%~20%の割合の一般式(II)の化合物を含有し、一般式(I)および(II)の2つの化合物のGC表面積の合計が100%であり、フマル酸ジアルキルが0.01~1重量%の割合であることを特徴とする、
方法を提供する。
【0045】
本発明は、好ましくはさらに、1つまたは複数の一般式(I)のポリアスパラギン酸エステル(式中
Xは、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン、2,4’-および/または4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン、1,5-ジアミノ-2-メチルペンタンから第一級アミノ基を除去することによって得ることができるm価有機基であり、
R1およびR2は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチルまたはイソブチル基からなる群から選択される同一のまたは異なるアルキル基であり、
mは2である)
と、
1つまたは複数の一般式(II)の第一級アミノ基を有するポリアスパラギン酸エステル(式中、
nはm-1であり、
Xならびに基R1およびR2は上に定義される意味を有する)
とを含み、
一般式(III)のポリアミン(式中、Xおよびmは上に定義される意味を有する)を一般式(IV)の化合物(式中、基R1およびR2は上に定義される意味を有する)と反応させ、
一般式(IV)の化合物の未反応部分を蒸留によって除去することによって製造される組成物を製造する上に開示される方法であって、
得られるポリアスパラギン酸エステル組成物が、一般式(I)および(II)の2つの化合物の割合に相当する、(ガスクロマトグラムで面積%として測定される)GC表面積の4%~15%の割合の一般式(II)の化合物を含有し、一般式(I)および(II)の2つの化合物のGC表面積の合計が100%であり、フマル酸ジアルキルが0.01~0.1重量%の割合であることを特徴とする、
方法を提供する。
【0046】
本発明は、好ましくはさらに、1つまたは複数の一般式(I)のポリアスパラギン酸エステル
【化11】
【0047】
(式中、
Xは、(環状)脂肪族的または芳香脂肪族的に結合したアミノ基を有し、60~6000g/molの分子量範囲であり、イソシアネート基に対して反応性および/または最大100℃の温度で不活性であるさらなる官能基を含み得る対応するポリアミンから第一級アミノ基を除去することによって得ることができる1つまたは複数のヘテロ原子を含有してもよいm価有機基であり、
R1およびR2は、同一のまたは異なる有機基、好ましくはそれぞれ1~18個の炭素原子を有する同一のまたは異なるアルキル基、最も好ましくはそれぞれ1~8個の炭素原子を有する同一のまたは異なるアルキル基であり、
mは1超の整数である)
と、
1つまたは複数の一般式(II)の第一級アミノ基を有するポリアスパラギン酸エステル
【化12】
【0048】
(式中、
nはm-1であり、
Xならびに基R1およびR2は上に定義される意味を有する)
とを含み、
一般式(III)のポリアミン
【化13】
【0049】
(式中、Xおよびmは上に定義される意味を有する)
を一般式(IV)の化合物
【化14】
【0050】
(式中、基R1およびR2は上に定義される意味を有する)
と反応させ、一般式(IV)の化合物の未反応部分を蒸留によって除去することによって製造される組成物を製造する方法であって、
得られるポリアスパラギン酸エステル組成物が、一般式(I)および(II)の2つの化合物の割合に相当する、(ガスクロマトグラムで面積%として測定される)GC表面積の4%~15%の割合の一般式(II)の化合物を含有し、一般式(I)および(II)の2つの化合物のGC表面積の合計が100%であり、フマル酸ジアルキルが0.01~1重量%の割合であることを特徴とする、
方法を提供する。
【0051】
本発明は、好ましくはさらに、1つまたは複数の一般式(I)のポリアスパラギン酸エステル
【化15】
【0052】
(式中、
Xは、(環状)脂肪族的または芳香脂肪族的に結合したアミノ基を有し、60~6000g/molの分子量範囲であり、イソシアネート基に対して反応性および/または最大100℃の温度で不活性であるさらなる官能基を含み得る対応するポリアミンから第一級アミノ基を除去することによって得ることができる1つまたは複数のヘテロ原子を含有してもよいm価有機基であり、
R1およびR2は、同一のまたは異なる有機基、好ましくはそれぞれ1~18個の炭素原子を有する同一のまたは異なるアルキル基、最も好ましくはそれぞれ1~8個の炭素原子を有する同一のまたは異なるアルキル基であり、
mは1超の整数である)
と、
1つまたは複数の一般式(II)の第一級アミノ基を有するポリアスパラギン酸エステル
【化16】
【0053】
(式中、
nはm-1であり、
Xならびに基R1およびR2は上に定義される意味を有する)
とを含み、
一般式(III)のポリアミン
【化17】
【0054】
(式中、Xおよびmは上に定義される意味を有する)
を一般式(IV)の化合物
【化18】
【0055】
(式中、基R1およびR2は上に定義される意味を有する)
と反応させ、一般式(IV)の化合物の未反応部分を蒸留によって除去することによって製造される組成物を製造する方法であって、
得られるポリアスパラギン酸エステル組成物が、(ガスクロマトグラムで面積%として測定される)GC表面積の4%~15%の割合の一般式(II)の化合物を含有し、一般式(I)および(II)の2つの化合物のGC表面積の合計が100%であり、0.01~0.99重量%の割合のフマル酸ジアルキルを含有することを特徴とする、
方法を提供する。
【0056】
本発明は、好ましくはさらに、1つまたは複数の一般式(I)のポリアスパラギン酸エステル(式中
Xは、2,4’-および/または4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタンから第一級アミノ基を除去することによって得ることができるm価有機基であり、
R1およびR2はエチル基であり、
mは2である)
と、
1つまたは複数の一般式(II)の第一級アミノ基を有するポリアスパラギン酸エステル
(式中、
nはm-1であり、
Xならびに基R1およびR2は上に定義される意味を有する)
とを含み、
一般式(III)のポリアミン(式中、Xおよびmは上に定義される意味を有する)を一般式(IV)の化合物(式中、基R1およびR2は上に定義される意味を有する)と反応させ、
一般式(IV)の化合物の未反応部分を蒸留によって除去することによって製造される組成物を製造する上に開示される方法であって、
得られるポリアスパラギン酸エステル組成物が、(ガスクロマトグラムで面積%として測定される)GC表面積の4%~15%の割合の一般式(II)の化合物を含有し、一般式(I)および(II)の2つの化合物のGC表面積の合計が100%であり、フマル酸ジアルキルが0.01~0.1重量%の割合であることを特徴とする、
方法を提供する。
【0057】
本発明はさらに、1つまたは複数の一般式(I)のポリアスパラギン酸エステル
【化19】
【0058】
(式中、
Xは、(環状)脂肪族的または芳香脂肪族的に結合したアミノ基を有し、60~6000g/molの分子量範囲であり、イソシアネート基に対して反応性および/または最大100℃の温度で不活性であるさらなる官能基を含み得る対応するポリアミンから第一級アミノ基を除去することによって得ることができる1つまたは複数のヘテロ原子を含有してもよいm価有機基であり、
R1およびR2は、それぞれ1~18個の炭素原子を有する同一のまたは異なる有機基であり、
mは1超の整数である)
と、
1つまたは複数の一般式(II)の第一級アミノ基を有するポリアスパラギン酸エステル
【化20】
【0059】
(式中、
nはm-1であり、
Xならびに基R1およびR2は上に定義される意味を有する)
とを含む組成物であって、
一般式(II)の化合物の割合が、(ガスクロマトグラムで面積%として測定される)GC表面積、一般式(I)および(II)の2つの化合物の割合の1%~20%に相当し、一般式(I)および(II)の2つの化合物のGC表面積の合計が100%であり、フマル酸ジアルキルが0.01~3重量%の割合で存在することを特徴とする、
組成物を提供する。
【0060】
一般式(I)および(II)の2つの化合物のGC表面積の合計が100%である、(ガスクロマトグラムで面積%として測定される)GC表面積の1%~20%、好ましくは4%~20%、より好ましくは最大4%~15%の割合の一般式(II)および(III)の2つの化合物を含有する本発明によるポリアスパラギン酸エステル組成物が好ましい。
【0061】
本発明は、特に好ましくは、さらに、1つまたは複数の一般式(I)のポリアスパラギン酸エステル(式中、
Xは、脂肪族的に結合した第一級アミノ基を有するポリエーテルポリアミン、1,2-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノブタン、1,5-ジアミノペンタン、1,6-ジアミノヘキサン、1,5-ジアミノ-2-メチルペンタン、2,5-ジアミノ-2,5-ジメチルヘキサン、2,2,4-および/または2,4,4-トリメチル-1,6-ジアミノヘキサン、1,11-ジアミノウンデカン、1,12-ジアミノドデカン、1-アミノ-3,3,5-トリメチル-5-アミノメチルシクロヘキサン、2,4-および/または2,6-ヘキサヒドロトリレンジアミン、2,4’-および/または4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタンまたは3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタンから第一級アミノ基を除去することによって得られる、1つまたは複数のヘテロ原子を含有してもよいm価有機基であり、
R1およびR2は、それぞれ1~8個の炭素原子を有する同一のまたは異なるアルキル基であり、
mは1超の整数である)
と、
1つまたは複数の一般式(II)の第一級アミノ基を有するポリアスパラギン酸エステル
(式中、
nはm-1であり、
Xならびに基R1およびR2は上に定義される意味を有する)
とを含む組成物であって、
一般式(II)の化合物の割合が、(ガスクロマトグラムで面積%として測定される)GC表面積、一般式(I)および(II)の2つの化合物の割合の4%~20%に相当し、一般式(I)および(II)の2つの化合物のGC表面積の合計が100%であり、フマル酸ジアルキルが0.01~1重量%の割合で存在することを特徴とする、
組成物を提供する。
【0062】
本発明は、最も好ましくは、さらに、1つまたは複数の一般式(I)のポリアスパラギン酸エステル
(式中、
Xは、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン、2,4’-および/または4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン、1,5-ジアミノ-2-メチルペンタンから第一級アミノ基を除去することによって得ることができるm価有機基であり、
R1およびR2は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチルまたはイソブチル基からなる群から選択される同一のまたは異なるアルキル基であり、
mは2である)
と、
1つまたは複数の一般式(II)の第一級アミノ基を有するポリアスパラギン酸エステル
(式中、
nはm-1であり、
Xならびに基R1およびR2は上に定義される意味を有する)
とを含む組成物であって、
一般式(II)の化合物の割合が、(ガスクロマトグラムで面積%として測定される)GC表面積、一般式(I)および(II)の2つの化合物の割合の4%~15%に相当し、一般式(I)および(II)の2つの化合物のGC表面積の合計が100%であり、フマル酸ジアルキルが0.01~0.1重量%の割合で存在することを特徴とする、
組成物を提供する。
【0063】
本発明は、特に好ましくは、さらに、1つまたは複数の一般式(I)のポリアスパラギン酸エステル
(式中、
Xは、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン、2,4’-および/または4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタンから第一級アミノ基を除去することによって得ることができるm価有機基であり、
R1およびR2はエチル基であり、
mは2である)
と、
1つまたは複数の一般式(II)の第一級アミノ基を有するポリアスパラギン酸エステル
(式中、
nはm-1であり、
Xならびに基R1およびR2は上に定義される意味を有する)
とを含む組成物であって、
一般式(II)の化合物の割合が、(ガスクロマトグラムで面積%として測定される)GC表面積、一般式(I)および(II)の2つの化合物の割合の4%~15%に相当し、一般式(I)および(II)の2つの化合物のGC表面積の合計が100%であり、フマル酸ジアルキルが0.01~0.1重量%の割合で存在することを特徴とする、
組成物を提供する。
【0064】
本発明はさらに、1つまたは複数の一般式(I)のポリアスパラギン酸エステル
【化21】
【0065】
(式中、
Xは、(環状)脂肪族的または芳香脂肪族的に結合したアミノ基を有し、60~6000g/molの分子量範囲であり、イソシアネート基に対して反応性および/または最大100℃の温度で不活性であるさらなる官能基を含み得る対応するポリアミンから第一級アミノ基を除去することによって得ることができる1つまたは複数のヘテロ原子を含有してもよいm価有機基であり、
R1およびR2は、同一のまたは異なる有機基、好ましくはそれぞれ1~18個の炭素原子を有する同一のまたは異なるアルキル基、最も好ましくはそれぞれ1~8個の炭素原子を有する同一のまたは異なるアルキル基であり、
mは1超の整数である)
と、
1つまたは複数の一般式(II)の第一級アミノ基を有するポリアスパラギン酸エステル
【化22】
【0066】
(式中、
nはm-1であり、
Xならびに基R1およびR2は上に定義される意味を有する)
とを含み、
一般式(III)のポリアミン
【化23】
【0067】
(式中、Xおよびmは上に定義される意味を有する)
を一般式(IV)の化合物
【化24】
【0068】
(式中、基R1およびR2は上に定義される意味を有する)
と反応させることによって製造される組成物を製造する方法であって、
得られるポリアスパラギン酸エステル組成物が、一般式(I)および(II)の2つの化合物の割合に相当する、(ガスクロマトグラムで面積%として測定される)GC表面積の1%~20%の割合の一般式(II)の化合物を含有し、一般式(I)および(II)の2つの化合物のGC表面積の合計が100%であり、フマル酸ジアルキルが0.01~3重量%の割合であることを特徴とする、
方法を提供する。
【0069】
本発明は、好ましくはさらに、1つまたは複数の一般式(I)のポリアスパラギン酸エステル(式中
Xは、脂肪族的に結合した第一級アミノ基を有するポリエーテルポリアミン、1,2-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノブタン、1,5-ジアミノペンタン、1,6-ジアミノヘキサン、1,5-ジアミノ-2-メチルペンタン、2,5-ジアミノ-2,5-ジメチルヘキサン、2,2,4-および/または2,4,4-トリメチル-1,6-ジアミノヘキサン、1,11-ジアミノウンデカン、1,12-ジアミノドデカン、1-アミノ-3,3,5-トリメチル-5-アミノメチルシクロヘキサン、2,4-および/または2,6-ヘキサヒドロトリレンジアミン、2,4’-および/または4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタンまたは3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタンから第一級アミノ基を除去することによって得られる、1つまたは複数のヘテロ原子を含有してもよいm価有機基であり、
R1およびR2は、それぞれ1~8個の炭素原子を有する同一のまたは異なるアルキル基であり、
mは1超の整数である)
と、
1つまたは複数の一般式(II)の第一級アミノ基を有するポリアスパラギン酸エステル
(式中、
nはm-1であり、
Xならびに基R1およびR2は上に定義される意味を有する)
とを含み、
一般式(III)のポリアミン(式中、Xおよびmは上に定義される意味を有する)を一般式(IV)の化合物(式中、基R1およびR2は上に定義される意味を有する)と反応させることによって製造される組成物を製造する上に開示される方法であって、
得られるポリアスパラギン酸エステル組成物が、一般式(I)および(II)の2つの化合物の割合に相当する、(ガスクロマトグラムで面積%として測定される)GC表面積の4%~20%の割合の一般式(II)の化合物を含有し、一般式(I)および(II)の2つの化合物のGC表面積の合計が100%であり、フマル酸ジアルキルが0.01~1重量%の割合であることを特徴とする、
方法を提供する。
【0070】
本発明は、好ましくはさらに、1つまたは複数の一般式(I)のポリアスパラギン酸エステル(式中
Xは、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン、2,4’-および/または4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン、1,5-ジアミノ-2-メチルペンタンから第一級アミノ基を除去することによって得ることができるm価有機基であり、
R1およびR2は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチルまたはイソブチル基からなる群から選択される同一のまたは異なるアルキル基であり、
mは2である)
と、
1つまたは複数の一般式(II)の第一級アミノ基を有するポリアスパラギン酸エステル
(式中、
nはm-1であり、
Xならびに基R1およびR2は上に定義される意味を有する)
とを含み、
一般式(III)のポリアミン(式中、Xおよびmは上に定義される意味を有する)を一般式(IV)の化合物(式中、基R1およびR2は上に定義される意味を有する)と反応させることによって製造される組成物を製造する上に開示される方法であって、
得られるポリアスパラギン酸エステル組成物が、一般式(I)および(II)の2つの化合物の割合に相当する、(ガスクロマトグラムで面積%として測定される)GC表面積の4%~15%の割合の一般式(II)の化合物を含有し、一般式(I)および(II)の2つの化合物のGC表面積の合計が100%であり、フマル酸ジアルキルが0.01~0.1重量%の割合であることを特徴とする、
方法を提供する。
【0071】
本発明は、好ましくはさらに、1つまたは複数の一般式(I)のポリアスパラギン酸エステル(式中
Xは、2,4’-および/または4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタンから第一級アミノ基を除去することによって得ることができるm価有機基であり、
R1およびR2はエチル基であり、
mは2である)
と、
1つまたは複数の一般式(II)の第一級アミノ基を有するポリアスパラギン酸エステル
(式中、
nはm-1であり、
Xならびに基R1およびR2は上に定義される意味を有する)
とを含み、
一般式(III)のポリアミン(式中、Xおよびmは上に定義される意味を有する)を一般式(IV)の化合物(式中、基R1およびR2は上に定義される意味を有する)と反応させることによって製造される組成物を製造する上に開示される方法であって、
得られるポリアスパラギン酸エステル組成物が、一般式(I)および(II)の2つの化合物の割合に相当する、(ガスクロマトグラムで面積%として測定される)GC表面積の4%~15%の割合の一般式(II)の化合物を含有し、一般式(I)および(II)の2つの化合物のGC表面積の合計が100%であり、フマル酸ジアルキルが0.01~0.1重量%の割合であることを特徴とする、
方法を提供する。
【0072】
一般式(I)のポリアスパラギン酸エステルと、1つまたは複数の一般式(II)の第一級アミノ基を有するポリアスパラギン酸エステルとを含む組成物を製造する本発明による方法は、好ましくは2つのステップで行われる。第1のステップでは、一般式(III)の化合物と一般式(IV)の化合物を、一般式(IV)の化合物の残留含有量が2~15重量%、好ましくは3~10重量%になるまで、1:1.2~1.2:1、好ましくは1:1.05~1.05:1の一般式(III)の化合物の第一級アミノ基の当量と一般式(IV)の化合物のC=C二重結合当量の比で、0℃~100℃、好ましくは20~80℃、より好ましくは20~60℃の温度で反応させる。
【0073】
第2のステップでは、一般式(IV)の化合物の未反応部分を蒸留によって除去する。
【0074】
蒸留中の適切な条件は、0.01~2mbarの圧力範囲および170℃以下かつ以下の式(V)から得られる温度以上の蒸留装置を出る際の底部流出の温度である:
T(底部流出)=27×ln(p)+150(V)
(式中、T(底部流出)は底部流出の温度(℃)であり、
pは蒸留装置内の圧力(mbar)である)。
【0075】
この圧力範囲を維持することにより、底部流出の適度な温度でフマル酸ジアルキル含有量を所望の程度まで枯渇させるのに十分であることだけでなく、このプロセスが工業規模で使用可能なままであることが保証される。より低い圧力では、ガス密度が低くなりすぎ、結果として、必要な機器アイテムがあまりに大きくなるので、経済的観点からプロセスが不利になる。
【0076】
底部流出の温度は、好ましくは170℃以下であるが、式(V)から生じる温度より少なくとも20K高い;より好ましくは、この温度が、式(V)から生じる温度よりも20K~40K高いが、170℃を超えない。
【0077】
本発明による方法で使用される一般式(III)の化合物は、一般式(III)に従う第一級アミノ基を有する全ての既知のポリアミンである。例として以下の化合物が挙げられる:エチレンジアミン、1,2-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノブタン、1,5-ジアミノペンタン、2,5-ジアミノ-2,5-ジメチルヘキサン、1,5-ジアミノ-2-メチルペンタン(Dytek(登録商標)A、DuPont)、1,6-ジアミノヘキサン、2,2,4-および/または2,4,4-トリメチル-1,6-ジアミノヘキサン、1,11-ジアミノウンデカン、1,12-ジアミノドデカンまたはトリアミノノナン、エーテルアミン、例えば4,9-ジオキサドデカン-1,12-ジアミン、4,7,10-トリオキサトリデカン-1,13-ジアミン、または脂肪族的に結合した第一級アミノ基を有する高分子量ポリエーテルポリアミン、例えばHuntsmanによってJeffamine(登録商標)という名称で市販されているもの。脂肪族多環式ポリアミン、例えばトリシクロデカンビスメチルアミン(TCDジアミン)またはビス(アミノメチル)ノルボルナン、アミノ官能性シロキサン、例えばジアミノプロピルシロキサンG10 DAS(Momentive製)、オレオアルキル系アミン、例えばSolvay製のFentamine、二量体脂肪酸ジアミン、例えばCroda製のPriamineも使用可能である。
【0078】
本発明による方法では、m=2であり、Xが少なくとも1つの環状炭素環を有する環状炭化水素基である一般式(III)のポリアミンの使用が好ましい。特に好ましく使用可能なジアミンの例は、1-アミノ-3,3,5-トリメチル-5-アミノメチルシクロヘキサン(IPDA)、2,4-および/または2,6-ヘキサヒドロトリレンジアミン(H6-TDA)、イソプロピル-2,4-ジアミノシクロヘキサンおよび/またはイソプロピル-2,6-ジアミノシクロヘキサン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、2,4’-および/または4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン(Laromin(登録商標)C 260、BASF AG)、メチル基で環が置換された異性体ジアミノジシクロヘキシルメタン(=C-モノメチル-ジアミノジシクロヘキシルメタン)、3(4)-アミノメチル-1-メチルシクロヘキシルアミン(AMCA)、および芳香脂肪族ジアミン、例えば1,3-ビス(アミノメチル)ベンゼンまたはm-キシリレンジアミンである。本発明による方法では、以下の群:脂肪族的に結合した第一級アミノ基を有するポリエーテルポリアミン、1,2-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノブタン、1,5-ジアミノペンタン、1,6-ジアミノヘキサン、1,5-ジアミノ-2-メチルペンタン、2,5-ジアミノ-2,5-ジメチルヘキサン、2,2,4-および/または2,4,4-トリメチル-1,6-ジアミノヘキサン、1,11-ジアミノウンデカン、1,12-ジアミノドデカン、1-アミノ-3,3,5-トリメチル-5-アミノメチルシクロヘキサン、2,4-および/または2,6-ヘキサヒドロトリレンジアミン、2,4’-および/または4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタンまたは3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタンから選択される一般式(III)のポリアミンの使用も好ましい。3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン、2,4’-および/または4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン、1,5-ジアミノ-2-メチルペンタンが特に好ましく、2,4’-および/または4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタンの使用が極めて特に好ましい。
【0079】
Xが、以下の群:脂肪族的に結合した第一級アミノ基を有するポリエーテルポリアミン、1,2-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノブタン、1,5-ジアミノペンタン、1,6-ジアミノヘキサン、1,5-ジアミノ-2-メチルペンタン、2,5-ジアミノ-2,5-ジメチルヘキサン、2,2,4-および/または2,4,4-トリメチル-1,6-ジアミノヘキサン、1,11-ジアミノウンデカン、1,12-ジアミノドデカン、1-アミノ-3,3,5-トリメチル-5-アミノメチルシクロヘキサン、2,4-および/または2,6-ヘキサヒドロトリレンジアミン、2,4’-および/または4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタンまたは3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタンから選択される一般式(III)のポリアミンの1つから第一級アミノ基を除去することによって得られる有機基である、本発明によるポリアスパラギン酸エステル組成物が特に好ましい。
【0080】
Xが、以下の群:3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン、2,4’-および/または4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン、1,5-ジアミノ-2-メチルペンタンから選択される一般式(III)のポリアミンの1つから第一級アミノ基を除去することによって得られる有機基である、本発明によるポリアスパラギン酸エステル組成物が最も好ましい。
【0081】
本発明による方法で使用される一般式(IV)の好ましい化合物は、R1およびR2が、それぞれ1~18個の炭素原子を有する同一のまたは異なる有機基である、一般式(IV)のマレイン酸エステルまたはフマル酸エステルである。好ましくは、R1およびR2が独立に、1~8個の炭素原子を有する直鎖または分岐アルキル基である。一般式(IV)の化合物の例は、以下の化合物である:マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジ-n-プロピルもしくはジイソプロピル、マレイン酸ジ-n-ブチル、マレイン酸ジ-2-エチルヘキシルまたは対応するフマル酸エステル。マレイン酸ジエチルが特に好ましい。
【0082】
本発明によるポリアスパラギン酸エステル組成物は、低溶剤または無溶剤二成分ポリウレタン系におけるポリイソシアネートの有用な反応パートナーである。
【0083】
よって、本発明はまた、二成分ポリウレタン系またはプレポリマーの製造における反応性成分としての本発明によるポリアスパラギン酸エステル組成物の使用も提供する。次いで、本発明によるポリアスパラギン酸エステル組成物を含む二成分(2K)ポリウレタン系は、コーティングの製造におけるコーティング組成物として使用することができる。
【0084】
本発明に必須の成分に加えて、本発明に必須のコーティング組成物はまた、コーティング技術で慣用的な助剤、例えば無機もしくは有機顔料、他の有機光安定剤、フリーラジカルスカベンジャー、コーティング添加剤、例えば分散剤、レベリング剤、増粘剤、消泡剤およびその他の助剤、結合剤、殺真菌剤、殺菌剤、安定剤または阻害剤および触媒を使用してもよい。
【0085】
本発明によるコーティング組成物は、好ましくは、自動車のOEM仕上げ、自動車の再仕上げ、大型車両用コーティング、プラスチック用コーティング、一般産業用コーティング、床用および/または木材/家具用コーティングの分野で使用される。
【0086】
したがって、本発明はさらに、本発明によるポリアスパラギン酸エステル組成物を使用して得られるコーティングされた基材も提供する。
【0087】
実験
原材料:
Vestamin PACM:2,4-および4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタンの混合物、製造業者:Evonik
Desmodur N 3600:およそ23%のNCOおよび0.25%以下の遊離HDIを含有する低粘度HDI三量体、製造業者:Covestro
Desmodur N 3900:およそ23.5%のNCOおよび0.25%以下の遊離HDIを含有する低粘度HDI三量体、製造業者:Covestro
Byk 331:ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン表面添加剤、製造業者:Byk
Tinuvin 292:ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケートとメチル1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルセバケートの混合物、BASF製の光安定剤
Tinuvin 384-2:ベンゼンプロパン酸、3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシ、C7~C9分岐および直鎖アルキルエステル、BASF製の光安定剤
方法:
フマル酸ジエチル含有量は、内部標準を使用したGC法を使用して定量的に決定した。標準GCキャピラリー(100%ポリシロキサン相)およびFID検出器を備えたAgilent 6890ガスクロマトグラフを使用した。インジェクター温度(分割出口)は180℃であった;ヘリウムをキャリアガスとして使用した。この方法の定量限界は300ppmであった。
【0088】
GC-MS分析は、70eVでの標準イオン化(電子衝撃)、標準GCキャピラリー(100%ポリシロキサン相)、およびインジェクター温度250°での分割注入で、Agilent 6890ガスクロマトグラフおよびAgilent 5973質量スペクトル検出器を使用して行った。ガスクロマトグラムの評価は面積%であった。
【0089】
全ての粘度測定は、DIN EN ISO 3219:1994-10に準拠してAnton
Paar Germany GmbH(DE)製のPhysica MCR 51レオメーターを使用して行った。
【0090】
NCO含量はDIN EN ISO 11909:2007-05に準拠して滴定的に決定した。
【0091】
ハーゼン色指数値は、DIN EN ISO 6271:2016-05に準拠して、Hach Lange GmbH、Dusseldorf製のLico 400比色計で決定した。
【0092】
アミン価は、結果をアミン価として表したことを除いて、EN ISO 9702:1998(過塩素酸法)に準拠して滴定的に決定した。アミン価(mg KOH/g)は、以下の式に従って計算した:
【数1】
【0093】
a=本試験で消費された過塩素酸の体積(ミリリットル)、c=0.1mol/l;
b=ブランク試験で消費された過塩素酸の体積(ミリリットル)、c=0.1mol/l;
W=試料の重量(グラム)
フロー時間は、DIN 4フローカップを使用したことを除いて、DIN EN ISO 2431:2012-03に準拠して決定した。ポットライフは、フロー時間の2倍に相当する時間として定義した。
【0094】
乾燥決定は、DIN EN ISO 9117-5:2012-11に準拠して行った。
【0095】
反応性を決定するために、以下のゲル化時間測定法を開発した:原料(合計量10g)をビーカーに量り入れ、Speedmixer中3000rpmで15秒間混合した。次いで、曲がった紙ばさみまたは使い捨てピペットを使用して、混合物が糸に引き込まれる、または固体になるまでにかかった時間をストップウォッチで測定した。
【0096】
[例1](比較例)
CovestroからDesmophen NH 1420の名称で市販されているポリアスパラギン酸エステル。
【0097】
材料データ:
式(II)のモノアミン(GC-MS):4.0%
フマル酸ジエチル(GC)2.9重量%
粘度 1220mPas
色指数 27 APHA
アミン価 201mg KOH/g
[例2](比較例)
Vestamin PACM 341.8gを、撹拌しながら、乾燥窒素下23℃で最初に装入した。これに、確実に温度が60℃を超えないようにしながら、マレイン酸ジエチル839.4gを滴加した。添加終了時に、温度を45℃に調整し、混合物を45℃で1時間撹拌した。次いで、混合物を23℃で8週間貯蔵した。貯蔵後のフマル酸ジエチルの含有量は0.04重量%であった。以下の材料データを有する明るい色の生成物が得られた:
式(II)のモノアミン(GC-MS):65.8%
フマル酸ジエチル(GC)0.04重量%
粘度 690mPas
色指数 16 APHA
アミン価 293mg KOH/g
[例3](比較例)
Vestamin PACM 341.8gを、撹拌しながら、乾燥窒素下23℃で最初に装入した。これに、確実に温度が60℃を超えないようにしながら、マレイン酸ジエチル1678.8gを滴加した。添加終了時に、温度を45℃に調整し、混合物を45℃で1時間撹拌した。次いで、混合物を23℃で24時間貯蔵した。貯蔵後のフマル酸ジエチルの含有量は11.5重量%であった。次いで、フマル酸ジエチルを120℃および0.2mbarで留去した。以下の材料データを有する明るい色の生成物が得られた:
式(II)のモノアミン(GC-MS):25.4%
フマル酸ジエチル(GC)0.05重量%
粘度 1330mPas
色指数 8 APHA
アミン価 224mg KOH/g
[例4]
P Vestamin PACM 341.8gを、撹拌しながら、乾燥窒素下23℃で最初に装入した。これに、確実に温度が60℃を超えないようにしながら、マレイン酸ジエチル1678.8gを滴加した。添加終了時に、温度を45℃に調整し、混合物を45℃で2時間撹拌した。次いで、混合物を23℃で7週間貯蔵した。貯蔵後のフマル酸ジエチルの含有量は2.7重量%であった。次いで、フマル酸ジエチルを120℃および0.2mbarで留去した。以下の材料データを有する明るい色の生成物が得られた:
式(II)のモノアミン(GC-MS):5.3%
フマル酸ジエチル(GC)0.08重量%
粘度 1810mPas
色指数 19 APHA
アミン価 203mg KOH/g
[例5]
Vestamin PACM 341.8gを、撹拌しながら、乾燥窒素下23℃で最初に装入した。これに、確実に温度が60℃を超えないようにしながら、マレイン酸ジエチル1678.8gを滴加した。添加終了時に、温度を45℃に調整し、混合物を45℃で2時間撹拌した。次いで、混合物を23℃で30時間貯蔵した。貯蔵後の含有量は8.62重量%であった。次いで、フマル酸ジエチルを120℃および0.2mbarで留去した。以下の材料データを有する明るい色の生成物が得られた:
式(II)のモノアミン(GC-MS):13.2%
フマル酸ジエチル(GC)0.03重量%未満
粘度 1650mPas
色指数 5 APHA
アミン価 213mg KOH/g
[例6]
Vestamin PACM 341.8gを、撹拌しながら、乾燥窒素下23℃で最初に装入した。これに、確実に温度が60℃を超えないようにしながら、マレイン酸ジエチル1678.8gを滴加した。添加終了時に、温度を45℃に調整し、混合物を45℃で1時間撹拌した。次いで、混合物を23℃で24時間貯蔵した。貯蔵後のフマル酸ジエチルの含有量は8.85重量%であった。次いで、フマル酸ジエチルを120℃および0.2mbarで留去した。以下の材料データを有する明るい色の生成物が得られた:
式(II)のモノアミン(GC-MS):14.1%
フマル酸ジエチル(GC)0.08重量%
粘度 1630mPas
色指数 5 APHA
アミン価 214mg KOH/g
性能試験の前に、選択されたポリアスパラギン酸エステルの反応性を、上記のゲル化時間測定法によって決定した。
【表1】
【0098】
表1から、例5および6のポリアスパラギン酸エステルを含む本発明の組成物は、市販の製品と比較して第一級アミノ基を有するポリアスパラギン酸エステルの含有量が高いにもかかわらず、ゲル化時間短縮を示さず、したがってコーティングに適していることが分かる。
【0099】
コーティングにおける試験
例1および5の本発明のポリアスパラギン酸エステル組成物をコーティング配合物で試験した。
【0100】
コーティングベースの調製
表2に示される成分Aの量に、表に示される添加剤および酢酸ブチルの量を添加し、混合物を十分に撹拌した。
【0101】
硬化剤溶液の調製
表2に示される成分Bの量に、表に示される酢酸ブチルの量を添加し、混合物を十分に撹拌した。
【0102】
コーティングベースと硬化剤の混合および適用:
上記のコーティングベースと硬化剤を合わせて十分に混合した。次いで、混合物をそれぞれ、エアガンを使用して、黒色ベースコートでプレコーティングされたコイルコーティングシートに適用し、室温で10分間フラッシュオフし、次いで、室温および60℃で乾燥させた。層厚50μmの鮮やかで高光沢のコーティングを得た。
【0103】
コーティングについて決定されたコーティング特性の概要を表3に示す。
【表2】
【表3】
【0104】
比較コーティング(例9)について表3に示されたコーティング特性と本発明のコーティング(例7および8)のコーティング特性の比較は、本発明のコーティングが、ポットライフは変化せずに、より迅速に乾燥することを示している。