(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-08
(45)【発行日】2024-03-18
(54)【発明の名称】直接通話支援装置
(51)【国際特許分類】
B66B 3/00 20060101AFI20240311BHJP
G08B 25/04 20060101ALI20240311BHJP
H04M 1/00 20060101ALI20240311BHJP
H04M 9/00 20060101ALI20240311BHJP
【FI】
B66B3/00 T
G08B25/04 J
H04M1/00 M
H04M9/00 A
(21)【出願番号】P 2020528616
(86)(22)【出願日】2018-07-04
(86)【国際出願番号】 JP2018025422
(87)【国際公開番号】W WO2020008579
(87)【国際公開日】2020-01-09
【審査請求日】2021-05-25
【審判番号】
【審判請求日】2023-05-15
(73)【特許権者】
【識別番号】502250178
【氏名又は名称】ジャパンエレベーターサービスホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104190
【氏名又は名称】酒井 昭徳
(72)【発明者】
【氏名】関根 忍
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 和隆
【合議体】
【審判長】中屋 裕一郎
【審判官】小川 恭司
【審判官】尾崎 和寛
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-120371(JP,A)
【文献】特開2014-172723(JP,A)
【文献】特開2002-226148(JP,A)
【文献】特開2007-1774(JP,A)
【文献】特開2007-8648(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0022990(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 3/00
G08B 25/04
H04M 1/00
H04M 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベーターのカゴ内の利用者の呼出操作を受け付ける呼出操作受付部と、前記カゴ内の音声を集音するマイクと、前記カゴ内に音声を出力するスピーカーと、を備え、前記カゴ内に
後付で設置されるカゴ内端末装置と、
前記カゴ内に画像を出力表示する表示画面を備え、前記カゴ内に
後付で設置されるカゴ内表示装置と、
前記カゴ内端末装置および前記カゴ内表示装置とは別体で、前記カゴの外の無線通信回線網に接続可能な位置であって、前記エレベーターが備える各部を駆動制御する制御盤の近傍に
後付で設けられ、当該カゴ内端末装置および当該カゴ内表示装置に有線接続され、前記マイクによって集音された音声に基づく音声データを当該無線通信回線網に出力するとともに、当該無線通信回線網から受け付けた音声データに基づく音声を前記スピーカーから出力させ、当該無線通信回線網から受け付けた画像データに基づく画像を前記表示画面に出力させる通信制御装置と、
を備え、
前記通信制御装置は、前記呼出操作受付部によって受け付けた操作に応じて保守管理会社の音声通信端末装置に対する発呼をおこない、当該発呼による通話が確立された場合、前記マイクによって集音された前記カゴ内の音声に基づく音声データを接続された前記無線通信回線網に出力するとともに、接続された当該無線通信回線網から受け付けた音声データに基づく前記保守管理会社のオペレーターの音声を前記スピーカーから出力させ、接続された当該無線通信回線網から受け付けた画像データに基づく前記オペレーターの画像を前記表示画面に出力させることを特徴とする直接通話支援装置。
【請求項2】
自装置に給電するバックアップ用の充電池を前記カゴ上のボックス内、または、当該ボックスの近傍に備え、当該充電池を介して自装置へ給電することを特徴とする請求項1に記載の直接通話支援装置。
【請求項3】
前記カゴ内に
後付で設置され、前記通信制御装置と有線接続された、表示画面を備えた情報端末装置を、
前記カゴ内端末装置として、当該情報端末装置が備えるマイクによって音声を集音し、当該情報端末装置が備えるスピーカーによって音声を出力し、かつ、前記カゴ内表示装置として、当該情報端末装置の表示画面に前記オペレーターの画像を表示させることを特徴とする請求項1または2に記載の直接通話支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、エレベーターのカゴ内の利用者と保守管理会社のオペレーターとの直話を支援する直接通話支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、公衆電話回線網やPHS回線網を介して、エレベーターのカゴ内に設けられたインターフォンからエレベーターの保守管理会社に通報し、保守管理会社のオペレーターとエレベーターのカゴ内の利用者とが直接通話(直話)できるようにした直話システムがあった。このような直話システムにおいては、たとえば、エレベーターのカゴ内に閉じ込められた利用者が、カゴ内に設けられた操作盤における非常ボタンを長押しするなどすることによって、カゴ内の利用者と保守管理会社におけるオペレーターとの直話を実現することができる。
【0003】
関連する技術として、具体的には、従来、たとえば、エレベーターのカゴ内に設けられた非常通話ボタンが操作された場合にカゴ内の利用者と保守管理会社のオペレーターとの直話ができるように、インターフォンと保守管理会社とを電話回線網を介して接続するとともに、インターフォンの音声を記録するようにした技術があった(たとえば、下記特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の技術は、カゴ内の利用者と保守管理会社のオペレーターとの直話を実現するためには、当該エレベーターがインターフォンを備えていなければならず、設置時においてインターフォンを備えていないエレベーターにおいては、設置後の直話を実現することが難しいという問題があった。
【0006】
具体的に、設置時にインターフォンを備えていないエレベーターに、上述した従来の技術のような直話機能を追加する場合、まず、カゴ内にインターフォンの子機を設置するとともに管理室などにインターフォンの親機を設置し、これらの子機と親機とを接続してから、さらに、親機を電話回線に接続しなくてはならない。
【0007】
このため、上述した従来の技術は、作業が大掛かりになって工期が長くなり、エレベーターを使用できない期間が長くなってしまうことによって、エレベーターの利用者に不便をかけてしまうという問題があった。
【0008】
また、カゴ内の利用者と保守管理会社のオペレーターとの直話ができないエレベーターにおいて障害が発生すると、カゴ内の利用者の救助に時間がかかるなどして当該利用者を不安にさせてしまうという問題がある一方で、カゴ内の利用者からの直話要求はいつおこなわれるか予測ができないため、上述した従来の技術によってカゴ内の利用者からの直話要求に常時対応するためには、保守管理会社など一定の場所にオペレーターを常駐させる必要があり、運用コストがかかるという問題があった。
【0009】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、カゴ内の利用者と保守管理会社のオペレーターとの直話を容易かつ安価に実現することができる直接通話支援装置を提供することを目的とする。
【0010】
また、この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、利用者が安心して利用できるエレベーターを容易かつ安価に実現することができる直接通話支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、この発明にかかる直接通話支援装置は、利用者の呼出操作を受け付ける呼出操作受付部と、カゴ内の音声を集音するマイクと、前記カゴ内に音声を出力するスピーカーとを備え、エレベーターのカゴ内に設置されカゴ内端末装置と、前記カゴ内端末装置および電話回線網に接続され、前記マイクによって集音された音声に基づく音声データを当該電話回線網に出力するとともに、当該電話回線網から受け付けた音声データに基づく音声を前記スピーカーから出力させる通信制御装置と、を備え、前記通信制御装置が、前記呼出操作受付部によって受け付けた操作に応じて所定の音声通信端末装置に対する発呼をおこない、当該発呼による通話が確立された場合、前記マイクによって集音された音声に基づく音声データを前記電話回線網に出力するとともに、当該電話回線網から受け付けた音声データに基づく音声を前記スピーカーから出力させることを特徴とする。
【0012】
また、この発明にかかる直接通話支援装置は、上記の発明において、前記通信制御装置が、アンテナを備え、当該アンテナを介して基地局との間で無線通信をおこなうことにより、前記マイクによって集音された音声に基づく音声データを当該電話回線網に出力するとともに、当該電話回線網から受け付けた音声データに基づく音声を前記スピーカーから出力させることを特徴とする。
【0013】
また、この発明にかかる直接通話装置は、上記の発明において、前記カゴ内端末装置が、前記呼出操作受付部と前記マイクと前記スピーカーとを、エレベーターのカゴ内に設置される単一の筐体に収容していることを特徴とする。
【0014】
また、この発明にかかる直接通話支援装置は、上記の発明において、前記通信制御装置が、前記カゴ内端末装置と別体であって、エレベーターが備えるテールコードを構成する導線の一部の導線を用いて当該カゴ内端末装置と接続されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
この発明にかかる直接通話支援装置によれば、カゴ内の利用者と保守管理会社のオペレーターとの直話を容易かつ安価に実現することができるという効果を奏する。
【0016】
また、この発明にかかる直接通話支援装置によれば、利用者が安心して利用できるエレベーターを容易かつ安価に実現することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、この発明にかかる実施の形態の直接通話支援装置を示す説明図である。
【
図2】
図2は、この発明にかかる実施の形態の直接通話支援装置のハードウエア構成の一例を示す説明図である。
【
図3】
図3は、この発明にかかる実施の形態の直接通話装置の適用対象となるエレベーターの構成の一例を示す説明図である。
【
図4】
図4は、この発明にかかる実施の形態の直接通話支援装置の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる直接通話支援装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0019】
(直接通話支援装置の構成)
まず、この発明にかかる実施の形態の直接通話支援装置について説明する。
図1は、この発明にかかる実施の形態の直接通話支援装置を示す説明図である。
図1において、この発明にかかる実施の形態の直接通話支援装置100は、カゴ内端末装置110と、通信制御装置120と、を備えている。
【0020】
カゴ内端末装置110は、略長方体形状をなす筐体111を備え、エレベーターのカゴ内に設置される(
図3を参照)。カゴ内端末装置110は、呼出操作受付部112と、マイク113と、スピーカー114とを備えている。呼出操作受付部112、マイク113およびスピーカー114は、カゴ内端末装置110の筐体111の一面に設けられている。
【0021】
呼出操作受付部112は、利用者の呼出操作を受け付ける。呼出操作受付部112は、たとえば、押ボタンスイッチによって実現することができる。押ボタンスイッチは、筐体から突出した操作部(押ボタン)を備え、当該操作部を筐体の内側へ押し込むように操作する(押す)ことができる。
【0022】
より具体的には、押ボタンスイッチは、たとえば、押ボタンが、筐体の外側に突出する方向に付勢されており、操作されている間のみ筐体の内側に押し込むことができるノーマリー・オープンのモーメンタリの押ボタンスイッチを用いることができる。以降、押ボタンスイッチに符号112を付して説明する。
【0023】
マイク113は、カゴ内の音声を集音する。マイク113は、具体的には、たとえば、ダイヤフラム(振動板)、ムービングコイル、磁石などによって構成されるムービングコイル型のマイク113を用いることができる。あるいは、マイク113は、具体的には、たとえば、アルミなどを用いて形成された薄い金属箔に折り目を設けたリボンを磁極で挟まれたスリットの間に垂らした構造のリボン型のマイク113であってもよい。
【0024】
スピーカー114は、カゴ内に音声を出力する。スピーカー114は、具体的には、たとえば、磁石、スピーカーコーン、ボイスコイルなどを備えたダイナミックスピーカーによって実現することができる。
【0025】
通信制御装置120は、カゴ内端末装置110と接続されている。通信制御装置120とカゴ内端末装置110とは、たとえば、配線101を介して有線接続されている。具体的に、カゴ内端末装置110と通信制御装置120とは、エレベーターが備えるテールコードを構成する導線の一部の導線を配線101として用いて電気的に接続することができる。より具体的には、通信制御装置120とカゴ内端末装置110とを接続する配線101は、たとえば、エレベーターのカゴとエレベーターの制御基板とを接続し、カゴに設けられた各部に対する電力の供給や制御信号の伝達に用いるテールコード(
図3を参照)における余り線を用いることができる。
【0026】
通信制御装置120は、SIM(Subscriber Identity Module)カード121の挿入を受け付けるSIMカードスロット122を備えている。この実施の形態において、SIMカードスロット122は、カゴ内端末装置110とは別体とされた通信制御装置120の筐体123に設けられている。
【0027】
SIMカードスロット122は、挿入されたSIMカード121が備えるICチップ121aに接続されるスロット端子を備えている(
図2を参照)。SIMカード121は、IMSI(International Mobile Subscriber Identity)、MSISDN(Mobile Subscriber Integrated Service Digital Network Number)、ICCID(Integrated Circuit Card ID)、鍵情報などを記憶している。
【0028】
IMSIは、直接通話支援装置100(SIMカード121)ごとに割り当てられた電話番号を特定するための固有のID番号(識別情報)を示す。IMSIは、15桁の識別番号であって、SIMカード121に記憶された鍵情報とともに、該当するキャリアのネットワークに接続するための認証に用いられる。MSISDNは、15桁以内の数字によって構成され、いわゆる携帯電話番号を示す。通常は、IMSIやMSISDNは、規制当局によって発行されてキャリアに付与される。ICCIDは、19桁あるいは20桁の文字や数字によって構成され、SIMカード121自身のシリアルナンバーを示す。
【0029】
(直接通話支援装置100のハードウエア構成の一例)
つぎに、直接通話支援装置100のハードウエア構成の一例について説明する。
図2は、この発明にかかる実施の形態の直接通話支援装置100のハードウエア構成の一例を示す説明図である。
図2において、直接通話支援装置100は、カゴ内端末装置110と通信制御装置120とを備えている。カゴ内端末装置110は、上記のように、押ボタンスイッチ112と、マイク113と、スピーカー114と、を備えている。
【0030】
押ボタンスイッチ112は、筐体の内側に、開閉可能な接点を備えたスイッチ回路(図示を省略する)を有している。スイッチ回路の接点は、通常は開放されており、押ボタンスイッチ112が操作された場合に閉回路を形成する。押ボタンスイッチ112は、スイッチ回路の開閉状態に応じて、通信制御装置120に対してON信号またはOFF信号を出力する。
【0031】
マイク113は、アナログデータとして入力された話者の声などの音声をアナログ/デジタル変換し、デジタル形式の音声データを生成する。そして、マイク113は、生成したデジタル形式の音声データを通信制御装置120に対して出力する。
【0032】
スピーカー114は、通信制御装置120から出力されたデジタル形式の音声データの入力を受け付ける。スピーカー114は、通信制御装置120から出力されたデジタル形式の音声データをデジタル/アナログ変換し、アナログ形式の音声データに基づいてボイスコイルに通電することによってスピーカーコーンを振動させ、音声を出力する。
【0033】
通信制御装置120は、端子201と、スロット端子202と、マイコン(microcomputer)203と、送受信回路204と、アンテナ205と、を備えている。端子201は、押ボタンスイッチ112、マイク113、スピーカー114にそれぞれ接続されている。押ボタンスイッチ112に接続された端子201は、押ボタンスイッチ112から出力された信号をマイコン203に出力する。マイク113に接続された端子201は、マイク113から出力された信号をマイコン203に出力する。スピーカー114に接続された端子201は、マイコン203から出力された信号をスピーカー114に出力する。
【0034】
スロット端子202は、SIMカードスロット122に挿入されたSIMカード121(のICチップ121a)に接触して、マイコン203の制御によって当該SIMカード121(のICチップ121a)に記憶されているIMSIやMSISDNなどのデータを読み取り、読み取ったデータをマイコン203へ出力する。
【0035】
マイコン203は、CPU(Central Prossesing Unit)やメモリを備えている。CPUは、直接通話支援装置100の全体の制御をつかさどる。メモリは、各種のプログラムや各種のデータテーブルなどを記憶している。具体的に、メモリは、たとえば、所定の音声通信端末装置210に対する発呼をおこなうプログラムや、発呼先となる音声通信端末装置(所定の音声通信端末装置)210の電話番号(MSISDNなど)を格納するデータテーブルなどを記憶している。
【0036】
発呼先となる音声通信端末装置210は、たとえば、エレベーターの保守管理をおこなう保守管理会社のオペレーターが携行する携帯型電話機によって実現することができる。発呼先となる音声通信端末装置210は、たとえば、保守管理会社のオペレーターが携行する携帯型電話機に限るものではなく、保守管理会社のコールセンターに設置された電話機であってもよい。
【0037】
発呼先となる音声通信端末装置210としてメモリに記憶する電話番号の数は、単数であってもよく、複数であってもよい。メモリに複数の電話番号を記憶する場合、各電話番号に優先順位を設定してもよい。また、メモリに複数の電話番号を記憶する場合、各電話番号に、当該電話番号が割り当てられた端末装置との通信が可能な時間帯を関連付けて記憶してもよい。
【0038】
また、メモリは、CPUのワークエリアとして使用される。メモリは、たとえば、ROM(Read-Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、NANDメモリとNANDメモリの制御をおこなうNANDメモリコントローラとによって構成されるSSD(Solid State Drive)などによって実現することができる。
【0039】
マイコン203は、送受信回路204に対して、DTMF(Dual-Tone Multi-Frequency)によるPB(PushButton)信号(トーン信号、プッシュ信号)を出力するPB送出回路(またはプログラム)を備えている。マイコン203は、たとえば、押ボタンスイッチ112から出力されて端子201を介して入力された信号に基づいて、当該信号が所定時間連続して入力(押ボタンスイッチ112が長押し)された場合に、メモリを参照して所定の音声通信端末装置210に割り当てられた電話番号を取得し、送受信回路204に対して、所定の音声通信端末装置210に割り当てられた電話番号を示すPB信号を出力する。これにより、押ボタンスイッチ112が長押しされた場合に、所定の音声通信端末装置210に対する発呼(架電)をおこなうことができる。
【0040】
送受信回路204は、変復調回路、発振器、増幅回路、フィルタなどを備えている(いずれも図示を省略する)。送受信回路204は、マイコン203によって制御されて、変復調回路において、マイク113から出力されて端子201を介して入力されたデジタル形式の音声データを変調する。発振器は、無線通信に利用できる周波数のRF信号の周波数で発振する。増幅回路は、RF信号の電力を増幅する。フィルタは、不要な周波数成分を除去した信号をアンテナ205に出力する。アンテナ205は、送受信回路204から出力された信号に基づく電波を空間に放射する。通信制御装置120は、アンテナ205を介して電話回線網200に接続されている。
【0041】
また、送受信回路204は、アンテナ205を介して直接通話支援装置100の外部から受信した信号を、増幅回路により増幅してフィルタに出力する。フィルタは、増幅回路から出力された信号から所望の信号を抽出して、変復調回路に出力する。変復調回路は、フィルタから出力された信号をデジタル形式の音声データに復調する。マイコン203は、発呼による通話が確立された状態で、外部(電話回線網200)から受信した信号を復調して得られるデジタル形式の音声データを、スピーカー114に出力する。これにより、スピーカー114から発呼先の話者の声などの音声を出力することができる。
【0042】
通信制御装置120は、直接通話支援装置100(通信制御装置120が備えるSIMカード121)ごとに割り当てられたIMSIなどの固有のID番号を用いて、回線交換方式による通話を実現する。なお、通信制御装置120は、無線LANインターフェイスを備え、インターネット回線を用いたパケット交換方式によって通話を実現するものであってもよい。パケット交換方式による通話をおこなう通信制御装置120を備えた直接通話支援装置100は、通話の他、画像データの送受信をおこなうことができる。
【0043】
(エレベーターの構成の一例)
つぎに、この発明にかかる実施の形態の直接通話装置の適用対象となるエレベーターの構成の一例について説明する。
図3は、この発明にかかる実施の形態の直接通話装置の適用対象となるエレベーターの構成の一例を示す説明図である。
図3において、エレベーター300は、たとえば、ロープ式(トラクション式)のエレベーターによって実現することができる。
【0044】
エレベーター300は、たとえば、複数階建てのビルなどの建物内に設置される。エレベーター300が備える各部は、制御盤301によって駆動制御される。制御盤301は、エレベーター300が備える各部と接続されており、たとえば、制御盤301からエレベーター300が備える各部に対する信号、いわゆる「下り信号」を出力する。また、制御盤301は、たとえば、エレベーター300が備える各部から制御盤301に対する信号、いわゆる「上り信号」を受け付ける。
【0045】
エレベーター300は、建物における各階床を、鉛直方向に沿って貫通する昇降路(図示を省略する)を備えている。昇降路は、1台のエレベーター300に1つずつ設けられている。昇降路内には、人や物品を搭載するカゴ(乗りカゴ)302が設けられている。カゴ302は、1台のエレベーター300、すなわち、1つの昇降路に1つずつ設けられており、昇降路の方向すなわち鉛直方向に沿って昇降移動する。カゴ302は、図示を省略するカゴ枠によって支持されており、当該枠とともに昇降移動する。
【0046】
昇降路の側面には、カゴ302(カゴ枠)の昇降位置をガイドするガイドレール(図示を省略する)が設けられている。昇降路の底部には、万一、カゴ302が落下して底面に衝突したときの衝撃を和らげる緩衝器303が設けられている。緩衝器303は、昇降路の天井面にも設けられていてもよい。
【0047】
昇降路における各階床に対応した位置(乗り場)304には、それぞれ扉304aが設けられている。乗り場304に設けられた扉304aは、図示を省略するインターロックなどと称される装置で施錠されている。インターロックは、カゴ102が停止階に到着した状態でカゴ302の扉302aを開閉させるモーターを駆動した場合にのみ、カゴ302の扉302aの開閉機構とかみ合って施錠を解放する。
【0048】
各乗り場304には、それぞれ、操作盤305が設置されている。操作盤305は、それぞれ、乗り場呼びボタン305a、カゴ302が位置する階床などを表示する表示器305bなどを備えている。また、操作盤305は、それぞれ、操作盤305用の制御基板305cを備えている。各操作盤305は、それぞれが備える制御基板305cを介して制御盤301に接続されている。
【0049】
カゴ302は、ロープ306の一端に連結されている。ロープ306は、つるべ式に滑車(図示を省略する)および巻上機(トラクションマシン)307に架けられ、他端がカウンタウエイト308に連結されている。ロープ式のエレベーター300における巻上機307は、たとえば、エレベーター300の最上部に設けられた機械室に設置される。巻上機307は、機械室の有無にかかわらず、エレベーター300における最上部に設けることができる。あるいは、エレベーター300が、機械室がないタイプである場合、巻上機307は、エレベーター300における下部に設けられるものであってもよい。
【0050】
巻上機307は、たとえば、インバーターを介して制御盤301に接続されており、カゴ302を停止させる階床において回転を停止するように制御盤301によって駆動制御される。巻上機307は、図示を省略するエンコーダを備えており、制御盤301はエンコーダからの出力信号に基づいて、巻上機307の回転速度や回転位置を判断することができる。
【0051】
また、エレベーター300は、電磁ブレーキ309、調速機(ガバナマシン)310、リミットスイッチ311などを備えている。電磁ブレーキ309は、コイルを備え、制御盤301によって駆動制御されて当該コイルに通電することにより発生する電磁力を利用して、巻上機307の回転を停止する。電磁ブレーキ309は、巻上機307の回転を停止した状態を保持することができる。
【0052】
電磁ブレーキ309は、停電などによって電源の供給が停止した場合に、巻上機307の回転を制止する。電磁ブレーキ309は、具体的には、たとえば、停電時などコイルへの通電が切れたときにスプリングの力で動作して巻上機307の回転を制止する無励磁作動型の電磁ブレーキ309を用いることができる。
【0053】
調速機310は、カゴ302の速度超過を検出する。調速機310は、たとえば、ガバナロープ310a、ガバナプーリー310b、回転錘(図示を省略する)などを備えた遠心調速機によって実現することができる。リミットスイッチ311は、巻上機307に対する電源の供給/遮断を切り替えるスイッチレバー(図示を省略する)を備えている。スイッチレバーは、平時は巻上機307に対して電源を供給する位置に位置付けられており、調速機310の回転錘に付勢された場合に、巻上機307に対する電源の供給を遮断する位置に変位する。さらに、エレベーター300は、図示を省略する非常停止装置を備えていてもよい。
【0054】
カゴ302には、操作盤302bが設けられている。操作盤302bは、各種の操作ボタンや、カゴ302が位置する階床などを表示する表示器302cを備えている。表示器302cは、階床のみを表示する7セグメントディスプレイによって実現してもよく、画像の表示が可能な液晶ディスプレイなどによって実現してもよい。表示器302cは、カゴ302にあらかじめ設けられているものに限らず、エレベーター300の設置後に後付けされたものであってもよい。また、カゴ302には、扉302aを開閉させるモーター、扉開閉センサ、障害物検出装置、荷重センサなどの各種のセンサやブザー(いずれも図示を省略する)などが設けられている。
【0055】
カゴ302の上部には、カゴ上ボックス312が設けられている。カゴ上ボックス312は、たとえば、カゴ302の天井板の上、すなわち、カゴ302の外側に設けられる。カゴ上ボックス312には、電源回路や制御回路などを備えた電気回路を構成する基板が収容されている(図示を省略する)。
【0056】
カゴ上ボックス312には、テールコード313の一端が接続されている。テールコード313は、複数本の導線によって構成されており、一部の導線の他端は電源に接続され、別の一部の導線の他端は制御盤301に接続されている。これにより、カゴ302に設けられた各部に対する電力の供給や制御信号の伝達をおこなうことができる。
【0057】
操作盤302b、扉302aを開閉させるモーター、扉開閉センサ、障害物検出装置、荷重センサなどの各種のセンサおよびブザーなど、カゴ302に設けられた各種の負荷は、カゴ上ボックス312が収容する基板の電気回路に電気的に接続されている。カゴ302に設けられた各種の負荷と、電気回路との間には、リレーや変圧器あるいはインバーターなどが介在していてもよい。
【0058】
直接通話支援装置100におけるカゴ内端末装置110は、エレベーター300のカゴ302内に設けられている。具体的には、カゴ内端末装置110は、たとえば、操作盤302bの近傍に設ける。直接通話支援装置100における通信制御装置120は、アンテナ205による電波の送受信が可能な位置に設けられる。具体的には、通信制御装置120は、たとえば、制御盤301の近傍や、エレベーター300における最上部に設けることができる。カゴ内端末装置110と通信制御装置120とを別体とすることにより、カゴ302内の電波受信環境にかかわらず、確実な直話を実現することができる。
【0059】
直接通話支援装置100は、バックアップ用のバッテリ314を備えていてもよい。バックアップ用のバッテリ314は、たとえば、カゴ上ボックス312内、あるいは、カゴ上ボックス312の近傍に設けることができる。この場合、たとえば、テールコード313を構成する複数本の導線のうちの一部の導線の一端(カゴ上ボックス側の端部)をバックアップ用のバッテリ314に接続し、バックアップ用のバッテリ314を介して直接通話支援装置100に給電するようにしてもよい。
【0060】
これにより、交流電圧を直流電圧に変換するアダプタを別途設けることなく直接通話支援装置100に対して給電をおこなうことができるとともに、エレベーター300に対して外部から電源が給電されている場合はバックアップ用のバッテリ314の充電をおこなうことができる。また、バックアップ用のバッテリ314を介して直接通話支援装置100に対する給電をおこなうことにより、エレベーター300に対して外部からの電源の給電が停止した場合に、電源の切替をおこなう回路やプログラムを用いることなく、直接通話支援装置100に対する給電を継続することができる。
【0061】
(直接通話支援装置100の処理手順)
つぎに、この発明にかかる実施の形態の直接通話支援装置100の処理手順について説明する。
図4は、この発明にかかる実施の形態の直接通話支援装置100の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0062】
図4に示すフローチャートにおいて、まず、押ボタンスイッチ112が長押しされたと判断するまで待機する(ステップS401:No)。ステップS401において、押ボタンスイッチ112が長押しされた場合(ステップS401:Yes)、メモリを参照して、発呼先の音声通信端末装置210に割り当てられた電話番号を取得する(ステップS402)。
【0063】
つぎに、ステップS402において取得された電話番号を発呼先として、当該電話番号が割り当てられた音声通信端末装置210に対して発呼をおこなう(ステップS403)。ステップS403においては、通信事業者が構築する携帯電話網を構成する基地局(無線基地局)のうち直接通話支援装置100に最も近い基地局との間で通信をおこなう。
【0064】
音声通信端末装置210からの発呼を受け付けた基地局は、電話回線網200を経由して、発呼先の音声通信端末装置210に最も近い基地局と通信をおこなう。発呼先の音声通信端末装置210に最も近い基地局は、当該発呼先の音声通信端末装置210に呼出し音を出力させる。このとき、発呼先の音声通信端末装置210に最も近い基地局は、直接通話支援装置100に対して、呼出音(RingBack Tone:RBT)を出力する。
【0065】
そして、発呼先の音声通信端末装置210に最も近い基地局は、発呼先の音声通信端末装置210において着信したことを示す端末応答信号を受信すると、直接通話支援装置100へのRBTの出力を停止し、直接通話支援装置100に最も近い基地局に対して、発呼先の音声通信端末装置210が応答したことを伝える信号を出力する。直接通話支援装置100に最も近い基地局は、発呼先の音声通信端末装置210が応答したことを伝える信号に基づいて、直接通話支援装置100と発呼先の音声通信端末装置210との通話を確立する。
【0066】
つぎに、ステップS403においておこなった発呼による、直接通話支援装置100と発呼先の音声通信端末装置210との通話が確立するまで待機する(ステップS404:No)。ステップS404において、通話が確立した場合(ステップS404:Yes)、確立した通話が切断されるまで待機する(ステップS405:No)。
【0067】
通話が確立した状態においては、アンテナ205を介して、直接通話支援装置100に最も近い基地局との間で無線通信をおこなうことによって、マイク113によって集音された音声に基づく音声データを電話回線網200に出力するとともに、当該電話回線網200から受け付けた音声データに基づく音声をスピーカー114から出力させる。
【0068】
これにより、保守管理会社のオペレーターが、エレベーター300のカゴ302内に閉じ込められるなどした利用者から、状況などを直接確認することができ、救助などの適切な対応をとることができる。また、オペレーターからエレベーター300のカゴ302内に閉じ込められるなどした利用者に対して、救助の状況などを直接伝えることができ、利用者を落ち着かせることができる。
【0069】
インターネット回線を用いたパケット交換方式によって通話を実現する場合、通話相手となる保守管理会社のオペレーターの画像を、カゴ302が備える表示器302cに表示させるようにしてもよい。これにより、エレベーター300のカゴ302内に閉じ込められるなどした利用者に対して、保守管理会社のオペレーターの画像とともに救助の状況などを伝えることができるので、利用者を安心させ、落ち着かせることができる。
【0070】
この場合、オペレーターの画像は、既設の表示器302cに表示させるものに限らない。カゴ302が位置する階床などを表示する表示器302cとは別に、液晶ディスプレイなどの表示装置をカゴ302内に設置し、当該表示装置にオペレーターの画像を表示させるようにしてもよい。この表示装置は、カゴ内端末装置110の筐体111に設けられていてもよい。
【0071】
あるいは、表示画面を備えた情報端末装置をカゴ302内に設置し、当該情報端末装置の表示画面にオペレーターの画像を表示させるようにしてもよい。この場合、情報端末装置が備えるマイクおよびスピーカーによって、この発明にかかるカゴ内端末装置(直接通話支援装置)を実現するようにしてもよい。
【0072】
また、インターネット回線を用いたパケット交換方式によって通話を実現する場合、カゴ302内の監視カメラなどによって撮影されたカゴ302内の画像を、直接通話支援装置100からオペレーターの携行する音声通信端末装置210や保守管理会社の管理サーバコンピューターなどに送信してもよい。これにより、保守管理会社のオペレーターが、エレベーター300のカゴ302内に閉じ込められるなどした利用者の状況などを直接目視によって確認することができ、より適切な対応をとることができる。
【0073】
ステップS405において、ステップS404:Yesにおいて確立した通話が切断された場合(ステップS405:Yes)、一連の処理を終了する。ステップS405においては、たとえば、発呼先の音声通信端末装置210において通話を終了することにより発呼先の音声通信端末装置210に最も近い基地局から発せられる切断信号(終話信号)に基づいて、直接通話支援装置100に最も近い基地局から直接通話支援装置100に出力される、通話が終了したことを示す信号を受信することによって、ステップS404:Yesにおいて確立した通話が切断されたことを判断することができる。
【0074】
上述した実施の形態の直接通話支援装置100においては、カゴ内端末装置110と通信制御装置120とを別体とし、カゴ内端末装置110と通信制御装置120とをテールコード313の余り線などを介して接続した構成について説明したが、これに限るものではない。カゴ内端末装置110と通信制御装置120とは、一体に設けられていてもよい。カゴ内端末装置110と通信制御装置120とを一体とする場合、通信制御装置120は、カゴ内端末装置110の筐体111内に収容される。この場合、アンテナ205のみを筐体111の外部に設けてもよい。これにより、カゴ302内の電波受信環境にかかわらず、確実な直和を実現することができる。
【0075】
また、通信制御装置120とカゴ内端末装置110とは、無線接続されていてもよい。この場合、通信制御装置120とカゴ内端末装置110との双方に、トランシーバーのような通信機を設ける。また、この場合、通信制御装置120とカゴ内端末装置110との双方に、バックアップ用のバッテリ314を接続する。
【0076】
また、カゴ内端末装置110が備えるマイク113およびスピーカー114は、略長方体形状をなす筐体111内に設けられているものに限らない。マイク113およびスピーカー114は、具体的には、たとえば、マイク113を直話をおこなうカゴ302内の利用者の口元に位置づけるとともに、スピーカー114を当該利用者の耳元に位置づける、電話機における受話器のような形状の筐体に設けられていてもよい。この場合、押ボタンスイッチ112は、受話器形状をなす筐体に設けられていてもよく、当該筐体とは別に、カゴ302の壁面や操作盤302bに設けられていてもよい。
【0077】
以上説明したように、この発明にかかる実施の形態の直接通話支援装置100は、カゴ内端末装置110と、通信制御装置120と、を備える。カゴ内端末装置110は、利用者の呼出操作を受け付ける呼出操作受付部112を実現する押ボタンスイッチ112と、カゴ302内の音声を集音するマイク113と、カゴ302内に音声を出力するスピーカー114とを備えており、エレベーター300のカゴ302内に設置される。通信制御装置120は、カゴ内端末装置110および電話回線網200に接続され、マイク113によって集音された音声に基づく音声データを当該電話回線網200に出力するとともに、当該電話回線網200から受け付けた音声データに基づく音声をスピーカー114から出力させる。
【0078】
そして、通信制御装置120は、呼出操作受付部112によって受け付けた操作に応じて所定の音声通信端末装置210に対する発呼をおこない、当該発呼による通話が確立された場合、マイク113によって集音された音声に基づく音声データを電話回線網200に出力するとともに、当該電話回線網200から受け付けた音声データに基づく音声をスピーカー114から出力させることを特徴としている。
【0079】
この発明にかかる実施の形態の直接通話支援装置100によれば、エレベーター300のカゴ302内の利用者が押ボタンスイッチ112を操作することによる、通信制御装置120からの発呼を、保守管理会社のオペレーターが携行する所定の音声通信端末装置210に着呼させ、カゴ302内の利用者と保守管理会社のオペレーターとの直接通話(直話)を実現することができる。
【0080】
これにより、カゴ302内の利用者からの直話要求に対応する保守管理会社のオペレーターを、保守管理会社やエレベーター300の設置場所などの一定の場所に常駐させることなく、カゴ302内の利用者が必要とする任意のタイミングで、カゴ302内の利用者と保守管理会社のオペレーターとの直話を実現することができる。
【0081】
これにより、カゴ302内の利用者は、カゴ302内に閉じ込められたなどの万一の非常時に、保守管理会社のオペレーターと直ちに直話することができる。そして、これにより、カゴ302内の利用者の不安を早期に解消することができ、利用者が安心してエレベーター300を利用することができる。
【0082】
このように、この発明にかかる実施の形態の直接通話支援装置100によれば、保守管理会社のオペレーターが常駐するコールセンターを設けることなく、カゴ302内の利用者と保守管理会社のオペレーターとの直話を容易かつ安価に実現することができる。
【0083】
また、この発明にかかる実施の形態の直接通話支援装置100によれば、設置時にカゴ302内にインターフォン装置を備えていないエレベーター300であっても、当該エレベーター300の設置後に、カゴ302内の利用者と保守管理会社のオペレーターとの直話を容易かつ安価に実現することができる。これにより、利用者の安全性および利便性を確保できるエレベーター300を容易かつ安価に実現することができる。
【0084】
また、この発明にかかる実施の形態の直接通話支援装置100は、通信制御装置120が、アンテナ205を備え、当該アンテナ205を介して基地局(たとえば、直接通話支援装置100に最も近い基地局)との間で無線通信をおこなうことにより、マイク113によって集音された音声に基づく音声データを当該電話回線網200に出力するとともに、当該電話回線網200から受け付けた音声データに基づく音声をスピーカー114から出力させることを特徴としている。
【0085】
この発明にかかる実施の形態の直接通話支援装置100によれば、エレベーター300が設けられた構内に有線の電話回線が引き込まれていない場合にも、カゴ302内の利用者と保守管理会社のオペレーターとの直話を容易かつ安価に実現することができる。これにより、エレベーター300の利用者の安全性および利便性を確保できるエレベーター300を容易かつ安価に実現することができる。
【0086】
また、この発明にかかる実施の形態の直接通話支援装置100は、カゴ内端末装置110が、呼出操作受付部112とマイク113とスピーカー114とを、エレベーター300のカゴ302内に設置される単一の筐体111に収容していることを特徴としている。
【0087】
この発明にかかる実施の形態の直接通話支援装置100によれば、直話機能を備えていない既設のエレベーター300のカゴ302内に、カゴ内端末装置110を取り付けることにより、当該既設のエレベーター300のカゴ302内の利用者と保守管理会社のオペレーターとの直話を容易かつ安価に実現することができる。
【0088】
また、この発明にかかる実施の形態の直接通話支援装置100は、通信制御装置120が、カゴ内端末装置110と別体であって、エレベーター300が備えるテールコード313を構成する導線の一部の導線を用いて当該カゴ内端末装置110と接続されていることを特徴としている。
【0089】
この発明にかかる実施の形態の直接通話支援装置100によれば、エレベーター300の制御盤301や電源と、カゴ302に設けられた各部とを接続し、制御盤301とカゴ302との通信やカゴ302に設けられた各部に電力を供給するテールコード313を利用して、カゴ内端末装置110と通信制御装置120との通信やカゴ内端末装置110に対する給電をおこなうことができる。
【0090】
これにより、既設のエレベーター300のカゴ302内に後付けするカゴ内端末装置110に給電するための大掛かりな作業をおこなうことなく、カゴ302内の利用者と保守管理会社のオペレーターとの直話を容易かつ安価に実現することができる。
【0091】
また、カゴ上ボックス312のような、カゴ302の天井板の上などにカゴ内端末装置110に対する給電をおこなうバックアップ用のバッテリ314を設け、停電時にはバックアップ用のバッテリ314からの給電に切り替えるようにしてもよい。これにより、停電によりカゴ302内に閉じ込められた利用者と保守管理会社のオペレーターとの直話を確実におこなうことができ、エレベーター300の利用者の安全性および利便性を確保できるエレベーター300を容易かつ安価に実現することができる。
【0092】
この場合、テールコード313から、バックアップ用のバッテリ314を介して直接通話支援装置100に給電するようにしてもよい。これにより、エレベーター300に対して外部からの電源の給電が停止した場合に、電源の切替をおこなう回路やプログラムを用いることなく、直接通話支援装置100に対する給電を継続することができるので、停電時などの非常時において電源の切替が正常におこなわれないために所定の音声通信端末装置210に対する発呼ができなくなることを防止できる。
【0093】
そして、これにより、エレベーター300に対して外部からの電源の給電が停止した場合にも、カゴ302内の利用者と保守管理会社のオペレーターとの直話を確実に実現することができる。これによって、利用者がカゴ302内に長時間閉じ込められてしまうことを確実に防止でき、カゴ302内の利用者の不安を早期に解消し、利用者が安心してエレベーター300を利用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0094】
以上のように、この発明にかかる直接通話支援装置は、エレベーターのカゴ内の利用者と保守管理会社のオペレーターとの直話を支援する直接通話支援装置に有用であり、特に、設置時にインターフォンを備えていないエレベーターのカゴ内の利用者と保守管理会社のオペレーターとの直話を支援する直接通話支援装置に適している。
【符号の説明】
【0095】
100 直接通話支援装置
110 カゴ内端末装置
112 呼出操作受付部(押ボタンスイッチ)
113 マイク
114 スピーカー
120 通信制御装置
121 SIMカード
200 電話回線網
201 端子
202 スロット端子
203 マイコン
204 送受信回路
205 アンテナ
210 音声通信端末装置