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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-08
(45)【発行日】2024-03-18
(54)【発明の名称】廃液を排出するための装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/16 20060101AFI20240311BHJP
【FI】
A61M1/16 160
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020538625
(86)(22)【出願日】2019-01-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-04-22
(86)【国際出願番号】 EP2019050281
(87)【国際公開番号】W WO2019137885
(87)【国際公開日】2019-07-18
【審査請求日】2022-01-07
(31)【優先権主張番号】102018000146.7
(32)【優先日】2018-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501276371
【氏名又は名称】フレセニウス・メディカル・ケア・ドイチュラント・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】エンゲルン、フロリアン
【審査官】小林 睦
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0041928(US,A1)
【文献】特開2016-106801(JP,A)
【文献】米国特許第04176684(US,A)
【文献】特表2004-503302(JP,A)
【文献】米国特許第06210381(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0119823(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/16
A61M 1/14
A61M 1/34
A61M 1/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃液ライン、特に透析装置の廃液ラインを接続するための複数のライン接続部を備える、廃液、特に使用済み透析液を排出するための装置であって、前記廃液を排出するための装置が、保持容器の底部に立設されることができる部分として設計されていることを特徴とし、前記ライン接続部は、少なくとも1つの流入ラインと流体接続し、前記流入ラインの下端部は、自由落下距離が形成されるように、前記保持容器の底部に立設されることができる前記部分の下側から離隔して配置され、
前記廃液を排出するための装置が、前記少なくとも1つの流入ラインを囲むケーシングを備え、
前記ケーシングが複数の支持脚を備え、前記支持脚が前記ケーシングから横方向に突き出る、
廃液を排出するための装置。
【請求項2】
前記支持脚が、前記ケーシングの下側が前記保持容器の底部から離隔して配置されるようにする支持足を備えることを特徴とする、請求項1に記載の廃液を排出するための装置。
【請求項3】
前記ケーシングが中空円筒形部分を備えることを特徴とする、請求項1または2に記載の廃液を排出するための装置。
【請求項4】
前記廃液を排出するための装置が、前記ライン接続部が設けられた蓋を備えることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の廃液を排出するための装置。
【請求項5】
前記蓋が円形部分を備えることを特徴とする、請求項4に記載の廃液を排出するための装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つの流入ラインがカニューレであり、その上端部が、ホースラインを接続するための接続ピースとして設計されていることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の廃液を排出するための装置。
【請求項7】
前記接続ピースは折れ曲がり形状を有することを特徴とする、請求項6に記載の廃液を排出するための装置。
【請求項8】
各ライン接続部が、それぞれ、1つの流入ラインと流体接続することを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の廃液を排出するための装置。
【請求項9】
前記流入ラインの下端部が、前記保持容器の底部に立設されることができる前記部分の下側から同じ間隔をあけるように、前記装置が少なくとも2つの同じ長さの流入ラインを備えることを特徴とする、請求項8に記載の廃液を排出するための装置。
【請求項10】
前記流入ラインの下端部が、前記保持容器の底部に立設されることができる前記部分の下側から異なる間隔をあけるように、前記装置が少なくとも2つの異なる長さの流入ラインを備えることを特徴とする、請求項8に記載の廃液を排出するための装置。
【請求項11】
前記流入ラインが同じ直径であることを特徴とする、請求項8~10のいずれか一項に記載の廃液を排出するための装置。
【請求項12】
前記流入ラインが異なる直径であることを特徴とする、請求項8~11のいずれか一項に記載の廃液を排出するための装置。
【請求項13】
前記流入ラインまたは前記流入ラインのうちの少なくとも1つが、流体の流れが減速されるように、ディフューザを備えるか、またはディフューザとして設計されることを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の廃液を排出するための装置。
【請求項14】
前記流入ラインまたは前記流入ラインのうちの1つが、下端部に向かって広がる断面を有することを特徴とする、請求項13に記載の廃液を排出するための装置。
【請求項15】
前記ケーシングがステンレス鋼からなることを特徴とする、請求項1~14のいずれか一項に記載の廃液を排出するための装置。
【請求項16】
前記蓋がステンレス鋼からなることを特徴とする、請求項4および請求項4を直接的または間接的に引用する請求項5~14のいずれか一項に記載の廃液を排出するための装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃液ライン、特に透析装置の廃液ラインを接続するための複数のライン接続部を備える、廃液、特に使用後または使用済み透析液を排出するための装置に関する。
【0002】
臨床現場での医療技術機器の使用は、使用後または使用済み流体がドレインに排出されることを必要とすることが多い。以下、これらの流体を廃液と呼ぶ。
【背景技術】
【0003】
既知の透析装置は、例えば使用後および/または使用済み透析液を排出するための廃液チューブを有する。汚染のリスクがあるので、透析液を排出するとき、廃液チューブと廃液ラインシステムとの間に直接の流体接続があってはならないことに留意することが重要である。これは、廃液チューブの自由端を廃液ラインシステムに直接接続するのではなく、特定の自由落下距離を維持することによって達成されることができる。廃液チューブの自由端は、例えば、廃液保持容器(wastewater basin)(シンク)の底部の上方の特定の高さに配置されることができる。
【0004】
実際には、特定の自由落下距離を依然として維持しながら、廃液ラインを適切にガイドして固定するという問題が生じる。この問題は、慢性および急性透析の両方において起きる。特に、1つのステーションで複数の透析装置を使用するときに複数の廃液ラインをガイドして固定することが問題となることが分かっている。
【0005】
衛生工学または家庭用機器の分野において、自由落下距離をもたらす原理は、US7290557B1により既知である。しかしながら、医療用流体または医療技術装置の汚染の問題は、家庭用機器または衛生工学の分野では生じない。US7290557B1は、食洗機の給水チューブを給水ラインシステムの立下り管(downpipe)に接続するための接続ピースを開示している。ねじ接続または挿入接続によって立下り管に堅固に接続される接続ピースは、用水が立下り管に流れ込むパイプ部分を備える。当該パイプ部分は、より良好な通気および/または換気のための側方開口部を備える。接続ピースおよび立下り管は実質的に同じ直径である。接続ピースは、好ましくはプラスチック材料で作られている。
【0006】
不利な点は、接続ピースが、単一の給水チューブを立下り管に接続することしか可能にしないということである。複数の給水チューブを接続するためには、複数の接続ピースが必要であり、対応する分岐管が立下り管上に必要となり、この分岐管に接続ピースが接続されることができる。これは、より多くの空間を必要とする。
【0007】
さらに、給水ライン、例えば洗濯機の給水ラインをシンクの保持容器縁部に固定することが、家庭用機器の分野で既知である。
【発明の概要】
【0008】
本発明の目的は、汚染のリスクが生じることなく、廃液、特に使用後または使用済み透析液の排出を単純化することである。
【0009】
この目的は、請求項1に記載の特徴によって本発明にしたがって達成される。従属請求項は、本発明の好ましい実施形態に関連する。
【0010】
廃液を排出するための本発明による装置は、医療用流体が排出されることを可能にするために、特に医療機器、特に透析装置を対象とする。したがって好ましい使用は、廃液処理のための技術設備における建設サービス工学(衛生または建築工学)におけるものではない。廃液、特に使用後または使用済み透析液を排出するための装置は、廃液ライン、特に透析装置の廃液ラインを接続するための複数のライン接続部を備える。本装置は、複数の機器、特に透析装置の廃液ラインが接続されることができるように、例えば、2つ、3つ、または3つより多いライン接続部を備えることができる。
【0011】
本発明の基本概念は、本発明による廃液を排出するための装置を、保持容器の底部に立設されることができる部分として設計することにある。したがって本装置は、取り扱いが容易であり、および保持容器の底部に立設されることができる支持足を形成する。本装置は、限られた空間しか必要とせずに複数の廃液ラインが接続されることを可能にする。当該装置は、接続ラインの横方向の張力を吸収することもできる。
【0012】
本装置が例えば保持容器の縁部に固定される必要なく、本装置の重量(重力)のみにより、十分な安定性が達成されることができる。したがって、本装置は、さらに固定されることなく保持容器の中心に置かれることができる。
【0013】
それによって、ライン接続部が少なくとも1つの流入ラインと流体接続し、当該流入ラインの下端部が、自由落下距離が形成されるように、保持容器の底部に立設されることができる部分の下側またはフットプリントから離隔して配置されるという点で、汚染が効果的に防止される。自由落下距離の長さは、流入ラインの下端部の高さまたは装置の寸法によって決定される。自由落下距離により、廃液は、汚染のリスクなしに、比較的高い圧力下、例えば2~4バールの間で排出されることもできる。
【0014】
好ましい実施形態では、廃液を排出するための装置は、少なくとも1つの流入ラインを囲むケーシングを備える。ケーシングは、比較的高い圧力下で流入ラインから出てくる廃液が周囲に達することができないように、フードの形態の飛散ガードを形成する。ケーシングの重量のみにより十分な安定性が達成されることができる。
【0015】
ケーシングは、好ましくは、横方向に突き出る複数の支持脚(supporting legs)を備え、それらによって、本装置は、自重だけでは十分な安定性に足りない場合に装置自体が傾くことも倒れることもできないように、保持容器の底部に対して横方向からしっかりと支持されることができる。したがって、接触面は、廃液ラインの直径よりも何倍も大きい。しかしながら、追加の支持脚を設ける必要はない。
【0016】
特に好ましい実施形態では、支持脚は、ケーシングの下側が保持容器の底部から離隔して配置されるようにする支持足(supporting feet)を備える。この実施形態は、跳ねた水がケーシングの壁を流れ落ちるための自由落下距離ももたらされるという利点を有する。自由落下距離、すなわちケーシングの下縁部と底部との間の間隔の長さは、支持足の寸法によって決定される。支持足は、廃液があらゆる面でケーシングの下を自由に流れていくことを可能にする。
【0017】
さらなる実施形態では、本装置は、ライン接続部が設けられる蓋を備える。蓋およびケーシングは、堅固に相互接続された2つの部分として、または一体として製造されることができる。蓋は、好ましくは円形または皿形状の部分であるのに対して、ケーシングは、好ましくは中空円筒形部分である。しかしながら、蓋およびケーシングは、他の形状とすることもできる。例えば、蓋は半球形とすることができ、ケーシングは円筒形とすることができる。
【0018】
少なくとも1つの流入ラインは、様々な方法で設計および配置されることができ、例えば、少なくとも1つの流入チューブは、カニューレとすることができる。カニューレは、好ましくは直線状のカニューレであるが、湾曲していてもよい。カニューレは垂直に配置される必要はなく、斜めに配置されることもできる。
【0019】
流入ラインの上端部は、好ましくは、ホースラインを接続するための接続ピースとして設計される。接続ピースは、好ましくは、流出ラインが横からガイドされ、横方向から接続されることができるように、角度がつけられている。
【0020】
好ましい実施形態では、各ライン接続部は、それぞれ、1つの流入ラインと流体接続している。しかしながら、すべてのライン接続部が1つだけの流入ラインと流体接続することも可能である。個々のライン接続部は、複数の流入ラインと流体接続することもできる。
【0021】
流入ラインは、保持容器の底部に立設されることができる部分の下側から同じ間隔をあけるように同じ長さとすることができ、または流入ラインは、保持容器の底部に立設されることができる部分の下側から異なる間隔をあけるように異なる長さとすることができる。流入ラインは、同じ直径または異なる直径とすることができる。したがって流入ラインの長さおよび直径は、個々の機器の異なる流量または異なる圧力に個別に調整されることができる。
【0022】
蓋および/またはケーシングは、好ましくは、洗浄および/または消毒が容易なステンレス鋼からなる。蓋および/またはケーシングがステンレス鋼からなる場合、本装置はまた、十分な安定性を与える十分な自重も有する。2つのステンレス鋼部分は、容易に相互接続、例えば溶接されることができるが、互いに接着結合されることもできる。したがって、飛散ガードを一体に製造する必要はない。しかしながら、支持脚が十分な安定性を保証する場合、蓋および/またはケーシングは、原則としては、プラスチック材料で作られることもできる。
【0023】
実際には、特定の使用は、廃液、特に透析液が、高流速、例えば6m/sで流入ラインから自由落下距離に入るようになる比較的高い流束を伴い、これは望ましくない飛散を引き起こし得る。
【0024】
さらなる実施形態では、流入ラインまたは流入ラインのうちの少なくとも1つは、流体の流れが減速されるように、ディフューザを備えるか、またはディフューザとして設計される。関連するライン接続部は、流入ラインの代わりに、ディフューザを備えるかまたはディフューザとして設計されることができる。好ましい実施形態では、流入ラインまたは流入ラインのうちの少なくとも1つは、下端部に向かって広がる断面を有する。断面は、全長にわたって、または長さの一部のみにわたって増加することができ、例えば、流入ラインの下端部においてのみ増加することができる。廃液、特に透析液の流速がより低くなることにより、望ましくない飛散が少なくとも減少または低減される。
【0025】
廃液を排出するための本発明による装置の実施形態は、図面を参照して以下により詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明による装置の一実施形態の斜視図である。
図2図1の装置の平面図である。
図3図1の装置の断面図である。
図4】装置の第2の実施形態の断面図である。
図5】装置の第3の実施形態の断面図である。
図6】装置の斜視図であり、廃液チューブが装置に接続されている。
図7】流入ラインのさらなる実施形態の図である。
【詳細な説明】
【0027】
図1は、廃液を排出するための本発明による装置の斜視図である。図2は、装置の平面図である。本装置は中空円筒形ケーシング1を備え、その頂部は円形蓋2に接続されている。ケーシング1および蓋2は、ステンレス鋼からなり、ベルと呼ぶこともできるフード形状の本体を形成するように相互接続、特に溶接される。
【0028】
相互に離隔した3つのライン接続部3、4、5が、ホースライン(図示せず)を接続するために蓋2上に設けられる。ライン接続部3、4、5は、接続ピースとして設計され、当該接続ピース上に、医療技術装置、特に透析装置の廃液チューブが嵌合して摺動されることができる。接続ピースの代わりにホースライン連結部などが、ホースラインを容易に接続したり取り外したりするために設けられることもできる。接続ピース3、4、5は、廃液チューブが横方向から摺動されることができるように、円筒形ケーシング1の軸線に対して90°の角度がつけられている。中央接続ピース3は、外側接続ピース4、5の外径d2、d3よりも大きい外径d1を有し、その結果、より大きい直径を有する廃液チューブが、中央接続ピース3上に嵌合して摺動されることができる。接続ピースは、ケーシング1の内部に延在する流入ライン6、7、8と一体に形成される。接続ピース3、4、5を備える流入ライン6、7、8は、好ましくはステンレス鋼からなる(図3)。
【0029】
図3は、ケーシング1の断面図である。流入ライン6、7、8は、蓋2から下方に延在する直線状のカニューレである。中央流入ライン6は、長手方向軸に沿って延在し、2つの外側流入ライン7、8は、円筒形ケーシング1の長手方向軸に隣接して延在する。流入ライン6、7、8は、同じ長さlである。流入ライン6、7、8の下端部は、廃液が流入ライン6、7、8から出てくるための自由落下距離が形成されるように、ケーシング1の下縁部から離隔して配置される。この間隔は、図3において参照記号Aで示されている。
【0030】
ケーシング1は、複数の支持脚9を備える。本実施形態では、3つの支持脚9が設けられ(三脚)、これらは、ケーシング1の下縁部から半径方向外側に延在する。支持脚9は各々、支持足10を備える。支持足10は、支持脚9に固定、例えばねじ止めされたゴム足とすることができ、当該ゴム足によって、本装置は底部にしっかりと立設され、滑ることも傾くこともできない。本装置が支持足10を使用して底部に立設されるので、ケーシング1の下縁部は底部11から離隔している。この間隔は、図3において参照記号Bで示されている。
【0031】
廃液を排出するための装置は、廃液保持容器、例えばシンクの底部11に置かれる。本装置の動作中、廃液は、3バールとすることができる比較的高い圧力下で流入ライン6、7、8から出てきて、保持容器の底部11にはねかかる。再汚染は、長さL=A+Bである自由落下距離によって防止される。廃液は、ケーシング1の下を流れ、あらゆる面で保持容器に流れ込むことができ、保持容器のドレインへと流れ出ることができる。跳ねた水は、蓋2およびケーシング1によって保持され、ケーシング1の壁を流れる。ケーシング1の下縁部が保持容器の底部11から離隔しており、その結果、長さL=Bの自由落下距離が形成されることから、流れ出る跳ね水による再汚染が防止される。跳ねた水は、ケーシング1の下縁部の全周を流れ伝うかまたは滴下し、ケーシングの下を流れてドレインに流れ込むことができる。
【0032】
図4は、本装置の第2の実施形態の断面図であり、これは、流入ライン6、7、8が異なる長さl1、l2である点で第1の実施形態とは異なる。相互に対応する部分には同じ参照記号が設けられている。中央流入ライン6の長さl1は、外側流入ラインの長さよりも長い。これは、異なる長さL1、L2の自由落下距離をもたらす。
【0033】
図5は、本装置の第3の実施形態の断面図であり、これは、流入ライン6、7、8が同じ直径dおよび同じ長さlである点で第1の実施形態とは異なる。相互に対応する部分には同じ参照記号が設けられている。
【0034】
図6は、用水を排出するための装置の斜視図であり、医療技術装置(図示せず)の廃液チューブ12、13、14が、接続ピース3、4、5に接続されている。中央廃液チューブ12は、外側廃液チューブ13、14よりも大きい管径である。接続ピース3、4、5に横方向から接続された廃液チューブ12、13、14は、半円の曲線状に蓋2の上を戻るようにガイドされ、面ファスナ15などによって管束に束ね合わされる。したがって、本装置は、廃液チューブ12、13、14をガイドして固定するためにも使用される。しかしながら、廃液チューブ12、13、14は、半円状の曲線を形成することなく、他方側に延びることもできる。
【0035】
同時に複数の医療技術装置のために安全、安定して排出することが、本発明による「排出ベル」によって達成されることができる。排出ベルは、いずれのシンクにも置かれることができる。廃液チューブをガイドして固定することにより、廃液の制御された排液が保証され、自由落下距離により、関連する廃液チューブの再汚染が防止される。単純な幾何学的形状により、排出ベルは、製造工学技術、特に寸法精度に対する高い要求なしに、溶接された構成部品としてコスト効率よく製造されることができる。排出ベルは、道具を用いずに自由にアクセスされることができ、洗浄および/または消毒が容易である。廃液があらゆる面で下方に流れることができるので、保持容器において廃液を容易に見ることができ、したがってその視覚的特徴が監視されることができる。排出ベルは、医療技術においてだけでなく、流体がドレインに排出されるすべての分野においても普遍的に使用されることができる。
【0036】
図7は、廃液、特に透析液を排出するための装置の流入ライン7を示す。流入ライン7は、ディフューザとして設計され、端部に向かって増加する断面を有し、その結果、廃液は、減速され、より低い速度、例えば1m/s以下で自由落下距離に入る。このようにして、望ましくない飛散が少なくとも減少または低減される。
以下に、本願出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[C1]
廃液ライン、特に透析装置の廃液ラインを接続するための複数のライン接続部を備える、廃液、特に使用済み透析液を排出するための装置であって、前記廃液を排出するための装置が、保持容器の底部に立設されることができる部分として設計されていることを特徴とし、前記ライン接続部は、少なくとも1つの流入ラインと流体接続し、前記流入ラインの下端部は、自由落下距離が形成されるように、前記保持容器の底部に立設されることができる前記部分の下側から離隔して配置される、廃液を排出するための装置。
[C2]
前記廃液を排出するための装置が、前記少なくとも1つの流入ラインを囲むケーシングを備えることを特徴とする、C1に記載の廃液を排出するための装置。
[C3]
前記ケーシングが、横方向に突き出る複数の支持脚を備えることを特徴とする、C2に記載の廃液を排出するための装置。
[C4]
前記支持脚が、前記ケーシングの下側が前記保持容器の底部から離隔して配置されるようにする支持足を備えることを特徴とする、C3に記載の廃液を排出するための装置。
[C5]
前記ケーシングが中空円筒形部分であることを特徴とする、C3または4に記載の廃液を排出するための装置。
[C6]
前記廃液を排出するための装置が、前記ライン接続部が設けられた蓋を備えることを特徴とする、C1~5のいずれか一項に記載の廃液を排出するための装置。
[C7]
前記蓋が円形部分であることを特徴とする、C6に記載の廃液を排出するための装置。
[C8]
前記少なくとも1つの流入ラインがカニューレであり、その上端部が、ホースラインを接続するための接続ピースとして設計されていることを特徴とする、C1~7のいずれか一項に記載の廃液を排出するための装置。
[C9]
前記接続ピースに角度がつけられていることを特徴とする、C8に記載の廃液を排出するための装置。
[C10]
各ライン接続部が、それぞれ、1つの流入ラインと流体接続することを特徴とする、C1~9のいずれか一項に記載の廃液を排出するための装置。
[C11]
前記流入ラインの下端部が、前記保持容器の底部に立設されることができる前記部分の下側から同じ間隔をあけるように、前記流入ラインが同じ長さであることを特徴とする、C10に記載の廃液を排出するための装置。
[C12]
前記流入ラインの下端部が、前記保持容器の底部に立設されることができる前記部分の下側から異なる間隔をあけるように、前記流入ラインが異なる長さであることを特徴とする、C10に記載の廃液を排出するための装置。
[C13]
前記流入ラインが同じ直径であることを特徴とする、C10~12のいずれか一項に記載の廃液を排出するための装置。
[C14]
前記流入ラインが異なる直径であることを特徴とする、C10~13のいずれか一項に記載の廃液を排出するための装置。
[C15]
前記ケーシングおよび/または前記蓋がステンレス鋼からなることを特徴とする、C1~14のいずれか一項に記載の廃液を排出するための装置。
[C16]
前記流入ラインまたは前記流入ラインのうちの少なくとも1つが、流体の流れが減速されるように、ディフューザを備えるか、またはディフューザとして設計されることを特徴とする、C1~15のいずれか一項に記載の廃液を排出するための装置。
[C17]
前記流入ラインまたは前記流入ラインのうちの1つが、下端部に向かって広がる断面を有することを特徴とする、C16に記載の廃液を排出するための装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7