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特許7451411統合された拡張及び角度調節機構を有する椎間ケージ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-08
(45)【発行日】2024-03-18
(54)【発明の名称】統合された拡張及び角度調節機構を有する椎間ケージ
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/44 20060101AFI20240311BHJP
【FI】
A61F2/44
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020546387
(86)(22)【出願日】2019-03-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-07-15
(86)【国際出願番号】 EP2019055562
(87)【国際公開番号】W WO2019170739
(87)【国際公開日】2019-09-12
【審査請求日】2022-02-10
(31)【優先権主張番号】62/639,138
(32)【優先日】2018-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/293,483
(32)【優先日】2019-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518462112
【氏名又は名称】イーアイティー・エマージング・インプラント・テクノロジーズ・ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】EIT EMERGING IMPLANT TECHNOLOGIES GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】アイゼン・グントマー
(72)【発明者】
【氏名】ガンター・デトレフ
(72)【発明者】
【氏名】ガイガー・ステファン
【審査官】小林 睦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/101989(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0140207(US,A1)
【文献】米国特許第09750618(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
拡張可能な椎間ケージであって、
上側プレート、及び前記上側プレートから外に延在する上側側壁を有する上側ハウジング部分であって、前記上側プレートが、第1の椎体の終板に接する配置のために構成された上側支持表面を画定する、上側ハウジング部分と、
下側プレート、及び前記下側プレートから外に延在する下側側壁を有する下側ハウジング部分であって、前記下側プレートが、第2の椎体の終板に接する配置のために構成された下側支持表面を画定し、前記上側及び下側側壁が、互いに沿って摺動するように構成されている、下側ハウジング部分と、
前記上側プレートと前記下側プレートとの間に配設され、前記椎間ケージの高さ及び角度調節をもたらすように構成された、拡張及び角度調節機構であって、前記拡張及び角度調節機構が、1)一対の楔体であって、各楔体が、前記上側及び下側側壁のそれぞれの係合表面と係合するように構成された上側及び下側係合表面を有する、一対の楔体と、2)前記一対の楔体を一緒に接続するドライバ構成要素であって、前記ドライバ構成要素の作動時に前記一対の楔体を互いに向かって移動させるように構成され、それによって、前記一対の楔体の前記係合表面を前記上側及び下側側壁の前記係合表面に当接させ、それによって、前記上側及び下側支持表面を互いから離れるように移動させる、ドライバ構成要素と、を含む、拡張及び角度調節機構と、
を備え、
前記椎間ケージは、長手方向における一端部および他端部を備え、前記上側プレートは、前記長手方向における一端部および他端部を備え、前記下側プレートは、前記長手方向における一端部および他端部を備え、前記一対の楔体の一方は、前記椎間ケージの前記一端部に位置し、前記一対の楔体の他方は、前記椎間ケージの前記他端部に位置し、
前記椎間ケージの前記一端部に荷重が加えられた場合に、前記上側プレートの前記一端部および前記下側プレートの前記一端部が前記一対の楔体の前記一方に圧縮荷重を加え、前記ドライバ構成要素の作動時に、前記上側プレートの前記一端部および前記下側プレートの前記一端部と前記一対の楔体の前記一方との間の摩擦力に起因して、前記一対の楔体の前記一方が静止状態に維持され、前記一対の楔体の前記他方が前記一対の楔体の前記一方に向かって移動して、前記上側プレートの前記他端部と前記下側プレートの前記他端部との間の距離が、前記上側プレートの前記一端部と前記下側プレートの前記一端部との間の距離よりも大きくなるように、前記上側プレートを前記下側プレートに対して角度付けさせる、拡張可能な椎間ケージ。
【請求項2】
前記上側及び下側側壁の各々の前記係合表面が傾斜している、請求項1に記載の拡張可能な椎間ケージ。
【請求項3】
前記椎間ケージの拡張を制御するように構成された少なくとも1つのばね部材を更に含み、前記少なくとも1つのばね部材の一端部が前記上側ハウジング部分に取り付けられ、前記少なくとも1つのばね部材の他端部が前記下側ハウジング部分に取り付けられ、前記少なくとも1つのばね部材は、前記上側ハウジング部分および前記下側ハウジング部分が互いに離間することに抵抗する、請求項1に記載の拡張可能な椎間ケージ。
【請求項4】
前記一対の楔体の前記上側及び下側係合表面が、凸面を含む、請求項1に記載の拡張可能な椎間ケージ。
【請求項5】
各楔体の前記上側及び下側係合表面の各々が、それぞれの一定かつ連続的に丸みを帯びた表面を画定する、請求項4に記載の拡張可能な椎間ケージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2018年3月6日出願の米国特許出願第62/639,138号の利益を主張するものであり、その開示は、その全体があたかも本明細書に記載されているかのように、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、移植可能な整形外科用デバイスに関し、より具体的には、脊椎を安定させるための移植可能なデバイスに関する。更により具体的には、本開示は、縮小されたサイズを有する第1の挿入構成から、拡張されたサイズを有する第2の移植された構成へのケージの拡張を可能にする、統合された拡張及び角度調節機構を備える、椎間ケージに関する。椎間ケージは、角度を調節することができ、脊椎の矢状バランス及びアライメントを回復させながら、前弯角度、特により大きい前弯角度に適合することができる。
【背景技術】
【0003】
多くの場合、ケージ又はスペーサと呼ばれる、固定促進する椎体間移植可能なデバイスの使用は、特定の脊椎障害又は疾患の治療のためのケアの標準として周知である。例えば、1つのタイプの脊椎障害では、椎間板が、急性損傷若しくは外傷、椎間板疾患、又は単純に自然な老化過程に起因して、劣化されるか、又は損傷されている。健康な椎間板は、脊椎を安定化させ、椎骨間の力を分散させると共に、椎体を保護する役割を果たす。それゆえに、弱化又は損傷した椎間板は、脊椎の力の不均衡及び不安定化を生じさせ、不快感及び痛みを結果的にもたらす。今日の標準的な治療は、それぞれ、部分的又は全体的な椎間板切除術として既知のプロセスで疾患のある又は損傷した椎間板の一部又は全部を外科的に除去することを伴い得る。椎間板切除術は、多くの場合、ケージ又はスペーサの挿入に続き、この弱化又は損傷した脊椎領域を安定化させる。このケージ又はスペーサは、損傷の更なる進行を回避するために、及び/又は損傷若しくは傷害によって引き起こされる痛みを軽減若しくは緩和するために、治療された領域の可動性を低減又は抑制する役割を果たす。更に、これらのタイプのケージ又はスペーサは、正常な椎間板高さを回復及び維持するための機械的又は構造的足場としての機能を果たし、いくつかの場合、隣接する椎骨間の骨固定も促進し得る。
【0004】
しかしながら、これらのタイプの処置の現在の課題のうちの1つは、外科医が、治療される椎間エリア内にケージを操作及び挿入するために与えられる非常に制限された作業空間である。椎間腔へのアクセスは、大動脈、大静脈、硬膜、及び神経根などの、収縮した隣接する血管及び組織の周囲のナビゲーションを必要とし、アクセスのための非常に狭い経路を残している。椎間腔自体への開口部もまた、比較的小さい。したがって、周囲の組織又は椎体自体を著しく破壊せずに挿入され得るケージの実際のサイズには、物理的制限が存在する。
【0005】
問題を更に複雑化していることは、椎体が正常な脊椎内で互いに平行に位置付けられていないという事実である。椎体の互いに対する角度関係に起因して、脊椎に対する自然な湾曲が存在する。理想的なケージは、椎体のこの角度関係に適応することができなければならないか、又はケージは、椎間腔の内側にあるときに適切に着座しないことになる。不適切に適合されたケージは、位置から外れるか又は移動することになり、経時的に有効性を失うか、又は既に弱化したエリアを更に損傷させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、椎間板の高さ又は治療される脊椎セグメントに対する椎骨アライメントを回復するための機械的強度又は構造的完全性を有するのみならず、椎間腔内への狭いアクセス経路を容易に通過し、次いで、特に、より大きい前弯角度について、この椎間腔の角度制約に適応するように構成されている、椎間ケージ又はスペーサを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、上述の課題に対処し、所望の目的を満たす脊椎移植可能なデバイスを説明する。これらの脊椎移植可能なデバイス、又はより具体的には、椎間ケージ若しくはスペーサは、拡張可能であると共に、角度調節可能であるように構成されている。ケージは、椎体の終板に当接するための上側及び下側プレートを含み得、ケージが必要に応じて少ない労力でサイズ及び角度を変化することを可能にする統合された拡張及び角度調節機構を有し得る。いくつかの実施形態では、ケージは、狭いアクセス通路を通して椎間腔内への挿入を容易にするために、縮小された挿入サイズによって特徴付けられる、第1の挿入構成を有し得る。ケージは、第1の構成で挿入され得、ケージが移植されると、ケージは、挿入サイズよりも大きいサイズを有する第2の構成に拡張され得る。それらの第2の構成では、ケージは、適切な椎間板高さを維持し、矢状バランス及びアライメントを回復することによって脊椎を安定化させることができる。加えて、椎間ケージは、前弯の角度を調節することができるように構成され、より大きい前弯角度に適応すると共に、それらの第2の拡張された構成で、純粋に拡張のみ(即ち、高さ調節)、又は角度及び高さ調節の両方の組み合わせを提供し得る。更に、これらのケージは、隣接する椎体を固定化することによって脊椎安定性を更に向上させるために融合を促進し得る。
【0008】
本開示の一態様によると、ケージは、選択的レーザ溶融(selective laser melting、SLM)技術、付加製造の形態を使用して製造され得る。ケージはまた、例えば、3D印刷、電子ビーム溶融(electron beam melting、EBM)、層堆積、及び迅速製造などの他の同等の技術によって製造されてもよい。これらの生産技術によると、構成要素を一緒に維持するために外部固定又は取り付け要素を更に必要とせずに、相互接続された可動部品を有し得る、一体型多部品デバイスを作成することが可能である。したがって、本開示の椎間ケージは、一緒に維持するために追加の外部固定要素を必要としない、複数の相互接続された部品から形成される。
【0009】
なお更に関連して、このようにして製造されたケージは、接続継目を有していないが、従来的に製造されたデバイスは、1つの構成要素を別の構成要素に接続するために接合された継目を有することになる。これらの接続継目は、多くの場合、特に、これらの継目の結合が、繰り返される使用又は応力下で経時的に摩耗又は破断したときに、移植可能なデバイスの弱化したエリアの典型となる場合がある。付加製造を使用して開示された移植可能なデバイスを製造することにより、利点の1つは、接続継目が完全に回避され、それにより、問題が回避されることである。
【0010】
本デバイスの別の利点は、付加製造プロセスを使用してこれらのデバイスを製造することによって、デバイスの構成要素の全てが、挿入プロセス及び拡張プロセスの両方の間に完全な構成体を維持することである。つまり、複数の構成要素が、集合的単一ユニットとして一緒に提供されるため、集合的単一ユニットは、患者に挿入され、拡張を可能にするように作動され、次いで、その場で集合的単一ユニットとして残ることを可能にされる。拡張のための雄ねじ又は楔体の挿入を必要とする他のケージとは対照的に、本実施形態では、拡張及び閉塞構成要素は、プロセス中の任意の段階で、ケージに挿入されることも、ケージから取り外されることも必要としない。これは、これらの構成要素が、ケージ内で内部に捕捉されるように製造され、ケージ内で自由に移動可能であるが、ケージ内に既に収容されているため、追加の挿入又は取り外しが必要ではないためである。
【0011】
いくつかの実施形態では、ケージは、ケージの一部分又は全体にわたって、操作された細胞構造を有し得る。この細胞構造は、骨接合を容易にする細孔、マイクロ構造及びナノ構造の網状構造を含み得る。例えば、操作された細胞構造は、細孔、並びにメッシュ状外観を採用する他のマイクロ及びナノサイズ構造の相互接続された網状構造を含み得る。これらの操作された細胞構造は、ナノレベルでデバイスの表面を変化させるために、エッチング又はブラスト処理によって提供され得る。1つのタイプのエッチングプロセスは、例えば、HF酸処理を利用し得る。
【0012】
加えて、これらのケージはまた、ユーザがデバイスを適切に位置合わせすること、及びナビゲーション中の可視化を通して挿入を概して容易にすることを可能にする、内部撮像マーカを含んでもよい。撮像マーカは、例えば、X線、蛍光透視、又はCTスキャン下のメッシュの中で中実体として示される。
【0013】
本開示の移植可能なデバイスによって提供される別の利益は、それらが患者の必要性に対して具体的にカスタマイズされ得ることである。移植可能なデバイスのカスタマイズは、インプラントデバイスと、例えば、皮質対海綿質、骨端対中央、及び硬化性対骨減少骨などの、治療される骨の様々な品質及びタイプとの間で整合する好ましい弾性率を提供することに関連し、治療される骨の様々な品質及びタイプの各々は、構造的損傷データに対する、それ自体の異なる圧縮を有する。同様に、同様のデータは、例えば、多孔質対中実、骨梁対非骨梁などの、様々なインプラント設計のために生成され得る。そのようなデータは、死体、又は生成されたコンピュータ有限要素であり得る。例えば、DEXAデータとの臨床的相関はまた、移植可能なデバイスが、硬化性、正常、又は骨減少骨と共に使用するために具体的に設計されることを可能にし得る。したがって、本明細書に提供されるものなどの、カスタマイズされた移植可能なデバイスを提供する能力は、複合構造体の弾性率(Elastic Modulus of Complex Structures、EMOCS)の整合を可能にし、これは、移植可能なデバイスが、不整合を最小限に抑え、沈下を軽減し、治癒を最適化し、それによって、より良好な臨床転帰を提供するように操作されることを可能にする。
【0014】
例示的な一実施形態では、拡張可能な脊椎インプラントが提供される。拡張可能な脊椎インプラントは、上側ハウジング部分及び下側ハウジング部分を含むハウジングを備え得る。上側ハウジング部分は、第1の椎体の終板に接する配置のために構成された上側プレートを含み得る。下側ハウジング部分は、第2の隣接する椎体の終板に接する配置のために構成された下側プレートを含み得る。上側ハウジング部分は、上側プレートから延在する上側側壁を更に含み得る。下側ハウジング部分は、下側プレートから延在する下側側壁を含み得る。上側及び下側側壁は、互いに沿って摺動するように構成され得る。
【0015】
拡張可能な脊椎インプラントは、脊椎インプラントの角度調節、高さ調節、又はその両方の組み合わせをもたらすように構成されている、ハウジング内の拡張及び角度調節機構を更に含み得る。拡張及び角度調節機構は、ハウジングの対向端に位置する一対の楔体を備え得、各楔体は、上側プレート及び下側プレートの側壁に対して付勢するための支持表面を有する。加えて、拡張及び角度調節機構は、楔体を一緒に接続し、作動時に楔体を互いに向かって引っ張るように構成されている、ドライバ構成要素を更に含み得る。
【0016】
上側及び下側側壁の各々は、傾斜した輪郭を有し得る。ハウジングは、椎間ケージの拡張を制御するための1つ又は2つ以上の変形可能なストリップを更に含み得る。楔体の支持表面は、凸面を含み得る。楔体は、中央開口部を含み得、そこを通してドライバ構成要素を受容する。ドライバ構成要素は、ドライバ構成要素を作動させるために工具に連結するように構成された工具係合部材を含み得る。例えば、ドライバは、ドライバ構成要素を作動させるために工具を受容するための開口部を含み得る。拡張及び角度調節機構は、ハウジング内に自由に保持されることが意図される。
【0017】
別の例示的な実施形態では、拡張可能な脊椎インプラントが提供される。拡張可能な脊椎インプラントは、第1の椎体の終板に接する配置のために構成された上側プレートであって、上側プレートが、そこから延在する上側側壁を有する、上側プレートと、第2の隣接する椎体の終板に接する配置のために構成された下側プレートであって、下側プレートが、そこから延在する下側側壁を有する、下側プレートと、を含むハウジングを備え得る。
【0018】
拡張可能な脊椎インプラントは、ハウジング内の拡張及び角度調節機構を更に含み得、脊椎インプラントの角度調節、高さ調節、又はその両方の組み合わせをもたらすように構成され得る。拡張及び角度調節機構は、ハウジングの対向端に位置する一対の楔体を備え得る。各楔体は、下側プレート上のガイドレールに沿って並進するために下面上にスロットを有し得、それにより、楔体の移動は、互いに対するプレートの伸延又は角度付けを引き起こす。
【0019】
楔体は、上側プレートを下側プレートから離れるように付勢するために上側ハウジング部分の突起を受容するように構成されているスロットを有し得る。下側プレートは、下側側壁から延在する弾性変形可能なストリップを更に含み得る。楔体の支持表面は、角度付き表面を含み得る。楔体は各々、工具係合開口部を含み得る。上側プレートは、下側プレートの弾性変形可能なストリップを係合するための丸みを帯びたピンを含み得、側壁の内部に丸みを帯びた突出部を更に含み得、丸みを帯びた突出部が、楔体の上側表面上のスロットと係合する。楔体の上側表面上のスロットは、角度付けされ得る。
【0020】
例示的な実施形態の一態様によると、拡張可能な脊椎インプラントは、上側プレート上に位置する多孔質構造を含み得る。別の態様によると、多孔質構造は、下側プレート上に位置してもよい。いくつかの実施形態では、弾性変形可能なスクリーンが、上側プレートと下側プレートとの間に延在して提供され得る。加えて、歯が、骨に対する強化された固定のために下側プレート上に提供され得る。
【0021】
いくつかの実施形態では、ガイドレールは、歯を含み得る。楔体は、ガイドレールの歯と係合するための歯止め指状部を更に含み得る。楔体は、互いに対して独立して移動可能であり得、それによって、楔体のうちの一方の移動が上側プレートの角度変位をもたらす。
【0022】
更に別の例示的な実施形態では、拡張可能な脊椎インプラントが提供される。拡張可能な脊椎インプラントは、第1の椎体の終板に接する配置のために構成された上側プレートと、第2の隣接する椎体の終板に接する配置のために構成された下側プレートと、を含むハウジングを備え得る。上側ハウジング部分及び下側ハウジング部分は各々、上側プレート及び下側プレートからそれぞれ延在する側壁を有し得、側壁の各々は、ノブなどの一組の突起を含む。ハウジングは、一組のブラケットを更に含み得る。各ブラケットは、ハウジングの一端から外に延在するアクチュエータロッドに固定され得る。ハウジングは、上側及び下側プレートの各々から突起を受容するように構成されている垂直スロットを更に含み得る。側壁の突起は、ブラケットの角度付きスロット内に存在し得る。使用中、ロッドのうちの1つを引っ張ることは、角度付きスロットに対するノブの移動をもたらし、これは、ハウジングに対するプレートの角度調節を引き起こす。
【0023】
本開示の一態様によると、側壁の各々は、ノブとして構成され得る一組の突起を含み得る。アクチュエータロッドの各々は、一方向のみに水平方向に並進するように構成され得る。ハウジングは、上側プレートが拡張時にハウジングから外に延在することを可能にする頂部開口部と、下側プレートが拡張時にハウジングから外に延在することを可能にする底部開口部と、を含み得る。ロッドは、独立して移動可能であるように構成され得る。加えて、各ブラケットは、一対の角度付きスロットを含み、スロットが、互いから離れるように角度付けされている。
【0024】
以下の議論は、脊椎インプラントに焦点を当てているが、膝、肩、足首、又は指の関節などの他の関節を含む、ヒト又は動物の体内の骨修復又は骨固定を必要とする他の構造体部位にも同様に適用され得ることが理解されるであろう。
【0025】
上記の一般的な説明及び以下の詳細な説明は、どちらも具体例であって、例示だけを目的としており、本発明の範囲を限定するものではないことを理解されたい。本開示の追加の特徴は、後に続く説明に一部が記載されることになるか、又は本開示の実践を通じて知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
添付の図面は、本明細書に組み入れられ、その一部を構成するものであり、本開示のいくつかの実施形態を説明と共に例示し、本開示の原理を説明する役割を果たす。
図1A】挿入構成で示される、一例によって構築された椎間ケージの斜視図である。
図1B図1Aに例示される椎間ケージの側面立面図である。
図1C】拡張構成で示される、図1Aに例示される椎間ケージの斜視図である。
図1D図1Cに例示される椎間ケージの側面立面図である。
図1E図1Cに例示される椎間ケージの断面側面立面図である。
図1F】拡張され角度調節された構成の図1Aに例示される椎間ケージの斜視図である。
図1G図1Eに例示される椎間ケージの側面立面図である。
図2A】挿入構成の椎間ケージを示す、別の例で構築された椎間ケージの側面図である。
図2B図2Aに例示される椎間ケージの分解斜視図である。
図2C】拡張された構成で示される、図2Aに例示される椎間ケージの側面立面図である。
図2D】拡張され角度調節された構成で示される、図2Aに例示される椎間ケージの側面図である。
図2E図2Dに例示される拡張され角度調節された構成から拡張された構成に移動された状態で示される、図2Aに例示される椎間ケージの側面図である。
図2F図2Aに例示される椎間ケージのガイドレール及び楔体の拡大図である。
図2G】角度調節された構成の図2Fに例示される椎間ケージの斜視図である。
図3A】拡張された構成で示される、別の例によって構築された椎間ケージの部分透過図である。
図3B】角度調節された構成の図3Aに例示される椎間ケージの部分透過図である。
図3C】初期又は挿入構成で示される、図3Aに例示される椎間ケージの断面側面立面図である。
図3D】挿入構成から角度調節された構成への作動中に示される、図3Cに例示される椎間ケージの断面側面立面図である。
図3E図3Dに例示される椎間ケージの断面側面立面図であるが、完全に角度調節された構成で示されている。
図3F図3Eに例示される椎間ケージの断面側面立面図であるが、拡張された構成で示されている。
図4A】前方経路腰椎椎体間固定(anterior lumbar interbody fusion、ALIF)用に構成された、別の例によって構築された椎間ケージの斜視図である。
図4B図4Aに例示される椎間ケージの別の斜視図である。
図4C】挿入構成にあるケージを示す、図4Aに例示される椎間ケージの側面立面図である。
図4D図4Cに例示される椎間ケージの側面立面図であるが、第1の角度調節された構成にあるケージを示す。
図4E】第1の角度調節された構成とは反対の第2の角度調節された構成にあるケージを示す、図4Dに例示される椎間ケージの側面立面図である。
図4F図4Aの椎間ケージの角度調節の原理を例示する。
図4G】側方経路腰椎椎体間固定(lateral lumbar interbody fusion、LLIF)用に構成された、別の例によって構築された椎間ケージの斜視図である。
図4H図4Gに例示される椎間ケージの別の斜視図である。
図4I】初期構成で示される、図4Gに例示される椎間ケージの別の斜視図である。
図4J図4Iに例示される椎間ケージの斜視図であるが、第1の角度調節された構成にあるケージを示す。
図4K図4Jに例示される椎間ケージの斜視図であるが、第1の角度調節された構成とは反対の第2の角度調節された構成にあるケージを示す。
図4L】挿入器具に取り付けられて示される、図4Iに例示される椎間ケージの断面側面立面図である。
図4M】挿入器具に取り付けられて示される、図4Jに例示される椎間ケージの断面側面立面図である。
図4N】挿入器具に取り付けられて示される、図4Kに例示される椎間ケージの断面側面立面図である。
図5A】別の例によって構築された椎間ケージの斜視図である。
図5B】拡張されていない挿入構成で示される、図5Aに例示される椎間ケージの側面立面図である。
図5C図5Bに例示される椎間ケージの側面立面図であるが、拡張され角度調節された構成で示されている。
図5D】拡張され角度調節された構成で示される、図5Bに例示される椎間ケージの別の側面立面図である。
図6A】初期又は挿入構成で示される、別の例によって構築された椎間ケージの上面斜視背面図である。
図6B図6Aに例示される椎間ケージ及び関連するアクチュエータ工具を含むインプラントアセンブリの斜視図である。
図6C】拡張された構成で示される、図6Aに例示される椎間ケージの斜視図である。
図6D図6Aに例示される椎間ケージの断面斜視図である。
図6E図6Aの椎間ケージの底面図である。
図6F】初期又は挿入構成で示される、図6Aに例示される椎間ケージの概略側面立面図である。
図6G】ケージが図6Fに例示される初期又は挿入構成にあるときの椎間ケージの格子構造の断面側面立面図である。
図6H】拡張された構成で示される、図6Aに例示される椎間ケージの概略側面立面図である。
図6I】ケージが図6Hに例示される拡張された構成にあるときの椎間ケージの格子構造の断面側面立面図である。
図6J】角度調節された構成で示される、図6Aに例示される椎間ケージの概略側面立面図である。
図6K】ケージが図6Jに例示される角度調節された構成にあるときの椎間ケージの格子構造の断面側面立面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本開示は、隣接する椎骨間での挿入のための、椎体間固定スペーサ又はケージなどの、様々な脊椎インプラントデバイスを提供する。デバイスは、脊椎の頸部又は腰椎領域のいずれかで使用するために構成され得る。いくつかの実施形態では、これらのデバイスは、ALIFケージ、又はLLIFケージとして構成され得る。しかしながら、本開示の原理は、経椎間孔腰椎椎体間固定(transforaminal lumbar interbody fusion、TLIF)デバイス、後方経路腰椎椎体間固定(posterior lumbar interbody fusion、PLIF)ケージ、及び前側方経路腰椎椎体間固定(oblique lumbar interbody fusion、OLIF)ケージで同様に利用され得ることが企図される。
【0028】
これらのケージは、治療される脊椎セグメントの椎間高さを回復及び維持し、矢状バランス及びアライメントを回復させることによって脊椎を安定化させ得る。いくつかの実施形態では、ケージは、ケージが高さ及び角度を必要に応じて少ない労力で変化することを可能にする、統合された拡張及び角度調節機構を有し得る。ケージは、狭いアクセス通路を通して椎間腔内への挿入を容易にするために、第1の又は縮小されたサイズ又は高さによって特徴付けられる、第1の挿入構成を有し得る。いくつかの例では、第1の又は縮小された高さは、ケージによって達成可能な最小高さを画定し得る。ケージは、第1の挿入構成で挿入され、次いで、移植されると、第2の拡張された構成に拡張され得る。第2の拡張された構成は、第1の又は縮小されたサイズ又は高さよりも大きい、第2の又は拡大されたサイズ又は高さによって特徴付けられ得る。それらの第2の構成では、ケージは、適切な椎間板高さを維持し、矢状バランス及びアライメントを回復することによって脊椎を安定化させることができる。加えて、椎骨終板に接触する椎間ケージのプレートは、角度調節可能である。したがって、椎間ケージは、前弯又は後弯の角度を調節することができるように構成され、第2の拡張された構成のより大きい前弯又は後弯角度に適応し得る。この点に関して、ケージが脊椎の腰椎領域への移植のために構成されているときの前弯角度に対する言及は、ケージが脊椎の頸部領域への移植のために構成されているときの後弯角度に等しく適用することができる。更に、これらのケージは、隣接する椎体を固定化することによって脊椎安定性を更に向上させるために固定を促進し得る。
【0029】
加えて、移植可能なデバイスは、選択的レーザ溶融(SLM)技術、付加製造の形態を使用して製造され得る。デバイスはまた、例えば、3D印刷、電子ビーム溶融(EBM)、層堆積、及び迅速製造などの他の同等の技術によって製造されてもよい。これらの生産技術によると、構成要素を一緒に維持するために外部固定又は取り付け要素を更に必要とせずに、相互接続された可動部品を有し得る、一体型多部品デバイスを作成することが可能である。したがって、本開示の椎間ケージは、一緒に維持するために追加の外部固定要素を必要としない、複数の相互接続された部品から形成される。
【0030】
したがって、このようにして製造されたデバイスは、接続継目を有していないが、従来的に製造されたものは、1つの構成要素を別の構成要素に接続するために接合された継目を有することになる。これらの接続継目は、多くの場合、特に、これらの継目の結合が、繰り返される使用又は応力下で経時的に摩耗又は破断したときに、移植可能なデバイスの弱化したエリアの典型となる場合がある。付加製造を使用して開示された移植可能なデバイスを製造することにより、接続継目が完全に回避され、それにより、問題が回避される。
【0031】
加えて、付加製造プロセスを使用してこれらのデバイスを製造することによって、デバイスの内部構成要素の全てが、挿入プロセス及び拡張プロセスの両方の間に完全な構成体を維持する。つまり、複数の構成要素が、集合的単一ユニットとして一緒に提供されるため、集合的単一ユニットは、患者に挿入され、拡張を可能にするように作動され、次いで、その場で集合的単一ユニットとして残ることを可能にされる。拡張のための雄ねじ又は楔体の挿入を必要とする他のケージとは対照的に、本実施形態では、拡張及び閉塞構成要素は、プロセス中の任意の段階で、ケージに挿入されることも、ケージから取り外されることも必要としない。これは、これらの構成要素が、ケージ内で内部に捕捉されるように製造され、ケージ内で自由に移動可能であるが、ケージ内に既に収容されているため、追加の挿入又は取り外しが必要ではないためである。
【0032】
いくつかの実施形態では、ケージは、ケージの一部分又は全体にわたって、操作された細胞構造を有し得る。この細胞構造は、骨接合を容易にする細孔、マイクロ構造及びナノ構造の網状構造を含み得る。例えば、操作された細胞構造は、細孔、並びにメッシュ状外観を採用する他のマイクロ及びナノサイズ構造の相互接続された網状構造を含み得る。これらの操作された細胞構造は、ナノレベルでデバイスの表面を変化させるために、エッチング又はブラスト処理によって提供され得る。1つのタイプのエッチングプロセスは、例えば、HF酸処理を利用し得る。
【0033】
加えて、これらのケージはまた、ユーザがケージを適切に位置合わせすること、及びナビゲーション中の可視化を通して挿入を概して容易にすることを可能にする、内部撮像マーカを含んでもよい。撮像マーカは、例えば、X線、蛍光透視、又はCTスキャン下のメッシュの中で中実体として示される。
【0034】
本開示の移植可能なデバイスによって提供される別の利益は、それらが患者の必要性に対して具体的にカスタマイズされ得ることである。移植可能なデバイスのカスタマイズは、インプラントデバイスと、例えば、皮質対海綿質、骨端対中央、及び硬化性対骨減少骨などの、治療される骨の様々な品質及びタイプとの間で整合する好ましい弾性率を提供することに関連し、治療される骨の様々な品質及びタイプの各々は、構造的損傷データに対する、それ自体の異なる圧縮を有する。同様に、同様のデータは、例えば、多孔質対中実、骨梁対非骨梁などの、様々なインプラント設計のために生成され得る。そのようなデータは、死体、又は生成されたコンピュータ有限要素であり得る。例えば、DEXAデータとの臨床的相関はまた、移植可能なデバイスが、硬化性、正常、又は骨減少骨と共に使用するために具体的に設計されることを可能にし得る。したがって、本明細書に提供されるものなどの、カスタマイズされた移植可能なデバイスを提供する能力は、複合構造体の弾性率(EMOCS)の整合を可能にし、これは、移植可能なデバイスが、不整合を最小限に抑え、沈下を軽減し、治癒を最適化し、それによって、より良好な臨床転帰を提供するように操作されることを可能にする。以下の説明をとおして、椎間ケージの一例に関して説明される特徴、構造、及び方法は、反する指示がない限り、椎間ケージの全ての他の例に適用され得ることを理解されたい。
【0035】
ここで図面を参照すると、図1A図1Fは、本開示の拡張可能かつ角度調節可能な椎間ケージ110の一例を例示する。図1A図1Bは、その第1の又は挿入構成にある椎間ケージ100を示す。挿入構成はまた、拡張されていない構成とも呼ばれ得る。椎間ケージ110は、上位又は上側ハウジング部分119、及び下位又は下側ハウジング部分139によって画定されるハウジング112を含む。上側ハウジング部分119は、上位又は上側プレート120を含み得、下側ハウジング部分139は、下位又は下側プレート140を含み得る。上側プレート120及び下側プレート140は、それぞれ、それぞれの上位及び下位椎体に接する配置のために構成されている。例えば、上側プレート120は、上位椎体の終板に当接するように構成されている外側又は上側支持表面121を画定し得る。同様に、下側プレート140は、下位椎体の終板に当接するように構成されている外側又は下側支持表面141を画定し得る。上側及支持表面121及び下側支持表面141は、横方向Tに沿って互いに離間されている。一例では、支持表面121及び141は、終板に接する配置のために平坦であり得る。当然ながら、支持表面121及び141もまた、所望に応じて傾斜してもよいことが理解される。例えば、支持表面121及び141は、所望であれば、凸状かつ丸みを帯びてもよい。更に、上側支持表面121及び下側支持表面141は、横方向Aに沿って互いに離間され、長手方向Lに沿って細長い可撓性スレートによって画定され得る。
【0036】
椎間ケージ110は、上位及び下位椎骨間に画定された椎間板腔への挿入に関して第1の前端114を画定し得る。椎間ケージ110は、長手方向Lに沿って前端114と反対側の第2の後端116を更に画定し得る。長手方向Lは、横断方向Tに対して直交して配向され得る。したがって、椎間ケージ110は、後端116から前端114に向かって延在する進み方向を画定し得る。したがって、椎間ケージ110の前方構成要素は、椎間ケージの後方構成要素から前方方向に離間され得る。椎間ケージ110は、前端114から後端116に向かって延在する後方方向を同様に画定し得る。
【0037】
上側ハウジング部分119は、上側プレート120から延在する上側側壁124を更に含み得る。例えば、上側側壁124は、横断方向Tに沿って上側プレート120から下方に延在し得る。上側側壁124は、横方向Aに沿って互いに離間され得る。横方向Aは、長手方向L及び横断方向Tの各々に直交して配向され得る。一例では、横断方向Tは、使用中に垂直方向を画定し得る。横方向A及び長手方向Lは、使用中に水平方向を画定し得る。下側ハウジング部分139は、下側プレート140から延在する下側側壁144を含み得る。例えば、下側側壁144は、横断方向Tに沿って下側プレート140から上方に延在し得る。下側側壁144は、横方向Aに沿って互いに離間され得る。上側側壁124及び下側側壁144は、互いに沿って摺動するように構成され得る。したがって、上側プレート120及び下側プレート140は、互いに対して垂直に並進可能かつ回転可能であり得る。
【0038】
上側ハウジング部分119及び下側ハウジング部分139は、傾斜し得る。つまり、上側ハウジング部分119及び下側ハウジング部分139は、それぞれ、上側の傾斜した係合表面123及び下側の傾斜した係合表面143を画定し得る(図1D参照)。例えば、上側の傾斜した係合表面123のうちの1つは、前方上側の傾斜した係合表面とすることができ、上側の傾斜した係合表面123のうちの他方は、後方上側に傾斜した係合表面とすることができる。同様に、下側の傾斜した係合表面143のうちの1つは、前方下側の傾斜した係合表面とすることができ、下側の傾斜した係合表面143のうちの他方は、後方下側に傾斜した係合表面とすることができる。一例では、上側の傾斜した係合表面123及び下側の傾斜した係合表面143は、それぞれ、上側側壁124及び下側側壁144によって画定され得る。例えば、上側の傾斜した係合表面123及び下側の傾斜した係合表面143は、それぞれ、上側側壁124及び下側側壁144の長手方向に最も外側の表面によって画定され得る。
【0039】
係合表面123及び143は、それらが長手方向Lに延在するとき、横断方向Tに対して角度付けされるか、丸みを帯びるか、又は角度的にオフセットされ得る。例えば、前方係合表面123及び143は、それぞれの上側プレート120及び下側プレート140から離れるように延在するとき、後方端に向かって広がり得る。同様に、後方係合表面123及び143は、それぞれの上側プレート120及び下側プレート140から離れるように延在するとき、前端に向かって広がり得る。
【0040】
椎間ケージ110は、上側側壁124及び下側側壁144のそれぞれの互いに対する移動を制御するように構成されている少なくとも1つの弾性変形可能なストリップ130を更に含み得る。弾性変形可能なストリップ130は、上側ハウジング部分119及び下側ハウジング部分139の各々に取り付けられ得る。弾性変形可能なストリップ130は、上側ハウジング部分119及び下側ハウジング部分139の互いに対する移動を可能にするが、それに抵抗するばね定数を有し得る。この点に関して、弾性変形可能なストリップ130は、ストリップ又は所望に応じて任意の好適な代替構成として構成され得る、ばね部材と呼ばれ得る。弾性変形可能なストリップ130は、図1Aに示されるように、横方向Aに対して側壁124及び144の外側に位置し得る。
【0041】
椎間ケージ110は、椎間ケージ110内に完全に統合されている、統合された拡張及び角度調節機構を更に含み得る。角度調節機構は、上側プレート120と下側プレート140との間にそれぞれ配設され得る。例えば、角度調節機構は、横断方向Tに対して上側プレート120と下側プレート140との間に配設され得る。角度調節機構は、ドライバ構成要素160及び少なくとも1つの楔体150を含み得る。例えば、角度調節機構は、第1の楔体150及び第2の楔体151をそれぞれ含み得る。第1の楔体150及び第2の楔体151は、長手方向Lに対して互いに対向して配設され得る。例えば、第1の楔体150は、前方楔体であり得、第2の楔体151は、後方楔体であり得る。楔体150及び151の一方又は両方は、ドライバ構成要素160を受容する開口部又は孔152を含み得る。一例では、孔152は、中心孔である。
【0042】
ドライバ構成要素160は、中心軸に沿って延在し得る。中心軸は、長手方向Lに沿って延在し得る。一例では、以下により詳細に説明されるように、ドライバ構成要素160は、楔体150及び151のうちの少なくとも一方又は両方を楔体150及び151の他方に向かって引き込むか又は引っ張るように、作動又は駆動されるように構成される。
【0043】
楔体150及び151は、それらが長手方向Lに延在するとき、横断方向Tに対して、角度付けされるか、丸みを帯びるか、又は別様に角度的にオフセットされ得る、外側係合表面を有し得る。例えば、係合表面は、丸みを帯びた凸面とすることができる。一例では、前方楔体150は、上側及び下側係合表面を画定し得、これらは、それらが、それぞれ、上側プレート120及び下側プレート140から離れるように延在するときに、後方楔体151に向かって広がる。一例では、前方楔体150の上側及び下側係合表面は、一定かつ連続的に丸みを帯びた凸状係合表面を画定するように組み合わせられ得る。同様に、後方楔体151は、上側及び下側係合表面を画定し得、これらは、それらが、それぞれ、上側プレート120及び下側プレート140から離れるように延在するときに、前方楔体150に向かって広がる。一例では、後方楔体151の上側及び下側係合表面は、一定に丸みを帯びた凸状係合表面を画定するように組み合わせられ得る。
【0044】
楔体150及び151が長手方向Lに沿って互いに向かって引き込まれるか、引っ張られるか、又は別様に移動されるとき、前方楔体150の上側及び下側係合表面は、それぞれ、それぞれの前方上側の傾斜した係合表面123及び前方下側の傾斜した係合表面143に当接する。同様に、後方楔体151の上側及び下側係合表面は、それぞれ、それぞれの後方上側の傾斜した係合表面123及び後方下側の傾斜した係合表面143に当接する。結果として、ハウジング112は、図1A図1Bに例示される第1の又は挿入構成から、図1C図1Dに例示される第2の又は拡張された構成に拡張する。具体的には、楔体150及び151は、上側ハウジング部分119及び下側ハウジング部分139を、横断方向Tに沿って互いから離れるように移動させるように付勢する。したがって、上側支持表面121及び下側支持表面141は、横断方向Tに沿って互いから離れるように移動する。椎間ケージ110が第1の又は初期構成にあるとき、上側支持表面121及び下側支持表面141は、横断方向Tに沿って第1の距離、互いから離間される。椎間ケージ110が第2の又は拡張された構成にあるとき、上側支持表面121及び下側支持表面141は、横断方向Tに沿って第1の距離よりも大きい第2の距離、互いから離間される。上側支持表面121及び下側支持表面141が互いから離れるように移動すると、上側側壁124及び下側側壁144は、互いに沿って摺動する。
【0045】
上側支持表面121及び下側支持表面141は、椎間ケージ110が第1の又は初期構成にあるとき、互いに対して第1の相対角度配向を画定する。ばね部材130は、上側ハウジング部分119を第1の相対角度配向に向けて付勢し得る。一例では、上側支持表面121及び下側支持表面141は、第1の相対角度配向で互いに平行に配向され得る。上側支持表面121及び下側支持表面141は、椎間ケージ110が第2の又は拡張された構成にあるとき、互いに対して第2の相対角度配向を画定する。一例では、第2の相対角度配向は、第1の相対角度配向と同じであり得る。したがって、上側支持表面121及び下側支持表面141は、第2の相対角度配向で互いに平行に配向され得る。
【0046】
いくつかの例では、椎間ケージ110は、ばね130の力に対して、上側プレート120及び下側プレート140の互いに対する角度調節を可能にし得る。ドライバ構成要素160並びに楔体150及び151を含む駆動アセンブリは、ハウジングアセンブリ内に少なくとも部分的に又は完全に浮遊するように構成され得る。ハウジングアセンブリは、上側プレート120及び下側プレート140を含むハウジング112と、上側プレート120と下側プレート140との間に接続された、ばね130などの弾性部材とを含み得る。ドライバ構成要素160は、ドライバ構成要素160を駆動するように構成されている作動工具と係合するように構成され得る駆動端部163を含み得る。例えば、作動工具は、ドライバ構成要素160を回転させるように構成され得る。駆動端163は、例えば、作動工具を受容するように構成されている開口部162を画定し得る。ドライバ構成要素は、第1の楔体150及び第2の楔体150を支持するシャフト164を更に含み得る。
【0047】
シャフト164は、駆動端163と反対側のその遠位端にねじ山165を有するねじ山付きシャフト164とすることができる。したがって、ねじ山165は、シャフト164の前端に配設され得る。第1の楔体150は、シャフト164とねじで係合するように構成され得る。例えば、第1の楔体は、シャフト164のねじ山165と螺合するように構成されている雌ねじ166を担持し得る。一例では、第1の楔体150は、第1の楔体150内で回転可能ではないナット169を受容し得る。アーム169は、雄ねじ166を画定し得る。あるいは、第1の楔体150は、雌ねじ166を画定し得る。したがって、シャフト164、及び、したがって、ドライバ構成要素160が第1の回転方向に回転すると、ねじ山付き係合は、第2の楔体151に向かって第1の楔体150に力を加え、第1の楔体150と第2の楔体151との間の長手方向距離を減少させる。シャフト164、及び、したがって、ドライバ構成要素160が反対の第2の回転方向に回転すると、ねじ山付き係合は、第2の楔体151から離れるように第1の楔体150に力を加え、第1の楔体150と第2の楔体151との間の長手方向距離を増加させる。
【0048】
第2の楔体部材151は、シャフト164に沿って自由に並進するように構成され得る。具体的には、第2の楔体部材151は、シャフト164を作動させずに、シャフト164に沿って、第1の楔体部材150に向かう及び離れるように並進し得る。しかしながら、プレート120及び140に加えられる荷重が、第2の傾斜面151を駆動構成要素160の停止部材167に当接させ、第2の楔体151がシャフト164から外れることを防止することが認識される。あるいは、第1の楔体150は、シャフト164に沿って自由に摺動可能であってもよい。したがって、楔体150及び151の両方は、シャフト164に沿って自由に摺動可能であってもよい。あるいは、楔体150及び151のうちの一方は、シャフト164に沿って自由に摺動可能であり得るが、一方、楔体150及び151のうちの他方は、シャフト164とねじで係合され得る。動作中、シャフト164が第1の回転方向に回転されると、第1の楔体150は、第2の楔体151に向かってねじ込まれる。しかしながら、第1の楔体150及び第2の楔体151のうちの一方又は両方は、ケージ110に加えられる荷重に依存して、第1の楔体150及び第2の楔体151のうちの他方に向かって移動し得る。
【0049】
つまり、第1の楔体150は、長手方向Lに沿って第2の楔体151に向かって移動し得るが、一方、第2の楔体151は、長手方向Lに沿った移動に対して静止したままである。あるいは、第2の楔体151は、長手方向Lに沿って第1の楔体150に向かって移動し得るが、一方、第1の楔体150は、長手方向Lに沿った移動に対して静止したままである。またあるいは、第1の楔体150及び第2の楔体151の各々は、第1の楔体150及び第2の楔体151のうちの他方に向かって移動し得る。いくつかの例では、第1の楔体150及び第2の楔体151のうちの一方は、第1の楔体150及び第2の楔体151のうちの他方よりも長い距離を移動し得る。
【0050】
具体的には、ケージ110の一端に加えられる圧縮荷重は、プレート120及び140に、対応する楔体に圧縮力を加えさせることになる。したがって、ケージ110の前方端114に加えられる圧縮荷重は、プレート120及び140の前方端に、前方楔体150に圧縮荷重を加えさせる。その結果、前方楔体150が、前方楔体に対するプレート120及び140の圧縮から結果的に生じる、前方楔体150と上側プレート120及び下側プレート140との間の摩擦力に起因して、静止して維持されるため、第1の方向のドライバ構成要素160の作動は、後方楔体151を前方楔体150に向かって移動させ得る。したがって、ケージ110は、後方端116が前方端114よりも高い高さを有するように角度付けすることになる。
【0051】
反対に、ケージ110の後方端116に加えられる圧縮荷重は、プレート120及び140の後方端に、後方楔体151に圧縮荷重を加えさせる。その結果、後方楔体151が、後方楔体151に対するプレート120及び140の圧縮から結果的に生じる、後方楔体151と上側プレート120及び下側プレート140との間の摩擦力に起因して、静止して維持されるため、第1の方向のドライバ構成要素160の作動は、前方楔体150を後方楔体151に向かって移動させ得る。したがって、ケージ110は、前方端114が後方端116よりも高い高さを有するように角度付けすることになる(図1F参照)。
【0052】
またあるいは、ケージ110に加えられる荷重が均一である場合、第1の楔体150及び第2の楔体151は、長手方向Lに沿って等距離を前進し得、拡張前の上側プレート120及び下側プレート140の相対配向は、拡張後の上側プレート120及び下側プレート140の相対配向と等しくなる。
【0053】
したがって、楔体150及び151は、プレート120及び140上の荷重分布に基づく相対位置をとり得ることを理解されたい。荷重分布は、椎間ケージ110が椎間腔内に移植されると、解剖学的荷重によって加えられ得る。荷重の配向に依存して、横断方向Tに沿ったケージ110の拡張は、一方側で停止することになり、プレート120及び140がそれぞれの椎骨終板と完全に接触するまでケージ110が拡張されるように、他方側で継続し得る。したがって、椎間ケージ110は、ハウジング112内に完全に収容される、統合された拡張及び角度調節機構によって角度調節可能かつ拡張可能であり得る。この点に関して、第2の相対角度配向は、第1の相対角度配向とは異なり得る。正常な解剖学的荷重は、楔体150及び151を長手方向Lに沿って互いから離れるように移動させないことが企図される。
【0054】
ドライバ構成要素160は、作動のための工具に取り付けるように工具係合開口部162を有し得る。工具は、ドライバ構成要素160を駆動して楔体150及び151を互いに向かって引き込んで、インプラントを拡張させるように構成され得、楔体150及び151を互いに分離させるように更に構成され得る。任意のタイプの駆動機構がドライバ構成要素160に用いられ得ることが企図される。例えば、1つは、ねじ山付きねじ又はボルト機構であってもよく、一方、別の例では、駆動機構は、プッシュプル機構であってもよい。別の例では、駆動機構は、滑車タイプ機構を用いてもよく、更に別の例では、駆動機構は、タイラップ又は弾性変形可能な捕捉機構を用いてもよい。
【0055】
図2A図2Gは、本開示の拡張可能かつ角度調節可能な椎間ケージ210の別の例を例示する。図1A図1Fに関連して上記に説明された椎間ケージ110と同様、この椎間ケージ210は、ハウジング212を含み得、次いで、ハウジング212は、上側ハウジング部分219及び下側ハウジング部分239を含む。上側ハウジング部分219は、上側支持表面221を画定する上側プレート220を含む。下側ハウジング部分239は、下側支持表面241を画定する下側プレート240を含む。上側プレート220及び下側プレート240は、それぞれ、椎体間に画定されている椎間腔内の一対の隣接する椎体の終板に対接する配置のために構成されている。一例では、支持表面221及び241は、終板に接する配置のために平坦であり得る。当然ながら、支持表面221及び241もまた、所望に応じて傾斜してもよいことが理解される。例えば、支持表面221及び241は、所望であれば、凸状かつ丸みを帯びてもよい。更に、上側支持表面221及び下側支持表面241は、横方向Aに沿って互いに離間され、長手方向Lに沿って細長い可撓性スレートによって画定され得る。
【0056】
上側ハウジング部分219は、上側プレート220から下方に延在する上側側壁224を含み得、下側ハウジング部分239は、下側プレート240から上方に延在する下側側壁244を含み得る。側壁224及び244は、互いに沿って摺動するように構成されており、以下に説明されるように、上側ハウジング部分219及び下側ハウジング部分239、及び、したがって、上側プレート22及び下側プレート240が、互いに対して垂直に並進及び回転することを可能にし得る。更に、図2Bに示されるように、上側ハウジング部分219は、上側側壁部224の最下端に近接して上側側壁224から外に延在する、複数の対の突出部228a~228cを含み得る。突出部228a~228cは、所望に応じて、丸みを帯びたノブ若しくは突出部、又は任意の代替的な幾何学的形状として構成され得る。第1の突出部228aは、第1の外側突起として位置決めされ得、第2の突出部228bは、第2の外側突起として位置決めされ得、第3の突出部228cは、長手方向Lに沿って第1の外側突起と第3の外側突起との間に配設される中央外側突起として構成され得る。
【0057】
上側ハウジング部分219及び下側ハウジング部分239のうちの一方は、少なくとも1つの座部236を含み得、上側ハウジング部分219及び下側ハウジング部分239のうちの他方は、座部に当接する自由端を有するばね部材230を含み得る。一例では、下側ハウジング部分239は、下側側壁244の一方又は両方に沿って延在するばね部材230を含み得る。上側プレート220は、上側側壁224から外に延在する少なくとも1つの座部を含み得る。少なくとも1つの座部は、上側側壁224の上端に近接して上側側壁から外に延在する、半円形若しくは丸みを帯びたピン226、又は任意の好適な代替的な幾何学的形状の形態であってもよい。弾性変形可能なばね230とピン226との組み合わせは、図2Aに示されるように、上側ハウジング部分219と下側ハウジング部分239との間、及び、したがって、上側プレート220と下側プレート240との間にも弾性相互接続を形成する。
【0058】
椎間ケージ210は、椎間ケージ210内に完全に統合されている、統合された拡張及び角度調節機構を更に含み得る。角度調節機構は、上側プレート220と下側プレート240との間にそれぞれ配設され得る。例えば、角度調節機構は、横断方向Tに対して上側プレート220と下側プレート240との間に配設され得る。角度調節機構は、少なくとも1つの楔体を含み得る。例えば、角度調節機構は、第1の楔体250及び第2の楔体251をそれぞれ含み得る。第1の楔体250及び第2の楔体251は、長手方向Lに対して互いに対向して配設され得る。椎間ケージ210は、1回の実行で製造又はSLM印刷され得る4つの別個の構成要素から構成され得ることを理解されたい。4つの別個の構成要素は、上側ホース部分219、下側ハウジング部分239、第1の楔体250、及び第2の楔体251によって画定され得る。
【0059】
第1の楔体250は、横断方向Tに沿って上側プレート220の第1の部分と位置合わせされ得る。同様に、第2の楔体251は、横断方向Tに沿って上側プレート220の第2の部分と位置合わせされ得る。楔体250及び251が長手方向Lに沿って移動可能であるため、上側プレート220の第1及び第2の部分の場所は、楔体250及び251が移動すると、同様に変化し得る。
【0060】
楔体250及び251は、それらが長手方向Lに延在するとき、横断方向Tに対して、角度付けされるか、丸みを帯びるか、又は別様に角度的にオフセットされ得る、係合表面を有し得る。例えば、係合表面は、直線表面とすることができる。一例では、各楔体250及び251は、係合表面を画定する一対の横方向に対向する傾斜したスロット258を含み得る。第1の楔体250の傾斜したスロット258は、それらが横断方向Tに沿って上側プレート220から離れるように延在するときに、第2の楔体251に向かって傾斜し得る。同様に、第2の楔体251の傾斜したスロット258は、それらが横断方向Tに沿って上側プレート220から離れるように延在するときに、第1の楔体250に向かって傾斜し得る。以下の説明から理解されるように、第1の楔体250及び第2の楔体251の傾斜したスロット258は、第1のプレート220の少なくとも一部分を横断方向Tに沿って第2のプレート240から離れるように移動させ、それによって、ケージ210を拡張及び/又は角度付けするように、それぞれ、突出部228a及び228bを受容するように構成されている。下側プレート240は、上側プレート220の移動中に静止したままであり得る。
【0061】
下側プレート240は、その離れた長手方向端に、楔体250及び251がハウジング212から外れることを防止し得る一対の停止部材246を含み得る。下側ハウジング部分239は、長手方向Lに沿って楔体250及び251を通って延在する対応するチャネル256によって受容されるように構成されている、少なくとも1つのガイドレール248を更に含み得る。少なくとも1つのガイドレール248は、長手方向Lに沿って配向され得る。更に、少なくとも1つのガイドレール248は、下側プレート240の横断内側表面に沿って延在し得る。一例では、下側ハウジング部分239は、横方向Aに沿って互いに離間され、かつ楔体250及び251のそれぞれのチャネル256内に受容される、第1及び第2のガイドレール248を含み得る。ガイドレール248は、外向きに突出する歯272を有し得る(図2F参照)。同様に、楔体250は、ガイドレール248の歯272と係合して噛み合うように構成されているチャネル256内に少なくとも1つの相補的な指状部274を含み得る(図2F参照)。
【0062】
動作中、楔体250は、個別に展開され得、長手方向Lに沿ってガイドレール248に沿って個別に摺動するように構成されている。第1の楔体部材250の傾斜したスロット258は、第1の突出部228aを受容し、第2の楔体部材251の傾斜したスロット258は、第3の突出部228bを受容する。したがって、図2Cに示されるように、部材250及び251の各々が、他方の楔体部材250及び251に向かって長手方向に並進すると、傾斜したスロット258によって画定される楔体部材250の係合表面は、それぞれ、第1の突出部228a及び第2の突出部228bに当接し、これが、上側ハウジング部分219、及び、したがって、上側プレート220を付勢して、下側ハウジング部分239、及び、したがって、下側プレート240から離れるように横断方向Tに沿って移動させる。
【0063】
下側ハウジング部分239は、下側側壁244の各々に延在する横断スロット253を画定し得る(図2B参照)。横断スロット253は、第3の突出部228cを受容するように構成されている。あるいは、上側ハウジング部分219は、上側側壁の各々に延在する横断スロット253を画定し得、第3の突出部228cは、下側ハウジング部分239によって担持され得る。第3の突出部228cは、上側ハウジング部分219が横断方向に沿って下側ハウジング部分239に対して移動するときに、横断スロット253に沿って進み得る。中央突出部228cは、横断スロット25内で垂直又は横断方向Tに沿って前進するが、一方、第1の突出部228a及び第2の突出部228bは、横断方向に対して角度付けされている傾斜したスロット258内を進むことを理解されたい。図2A及び図2Cに例示されているように、拡張前のプレート220及び240の第1の相対角度配向は、拡張後のプレート220及び240の第2の相対角度配向と等しくなり得る。
【0064】
ここで図2Dを参照すると、楔体250及び251は、別個に展開可能であり、独立して移動可能であり得る。楔体250及び251のうちの一方を独立して移動させることは、椎間ケージ210の角度調節を引き起こし得る。具体的には、楔体250及び251を独立して移動させることは、下側プレート240に対する上側プレート220の角度調節を引き起こし得る。例えば、第2の楔体251を静止状態に維持しながら、第1の楔体250を第2の楔体251に向かって移動させることによって、上側プレート220が角度調節され得る。具体的には、上側プレート220の第1の部分は、上側プレート220の第2の部分に対して横断方向Tに沿って下側プレート240から離れるように移動させられ得る。上側プレート220は、第2の楔体251が静止したままであるとき、又は第1の楔体250が、第2の楔体251の並進に対して不釣り合いな量で長手方向に沿って並進するときの両方(両方とも、長手方向Lに沿った第2の楔体に対する第1の楔体の移動と称される)で角度付けされ得ることを理解されたい。不釣り合いな量の両方の楔体250及び251の並進は、ケージ210に、横断方向Tに沿った拡張及び角度付けの両方を行わせ得る。上側プレート220は、横断スロット253内に配設されるときに、中央突出部228cを中心として角度調節し得ることを更に理解されたい。したがって、中央突出部228は、上側プレート220の角運動の支点を画定し得る。したがって、第1及び第2のプレート220の第2の相対角度配向は、第1及び第2プレート220の第2の相対角度配向とは異なり得る。反対の角度調節は、第2の楔体250を長手方向Lに沿って第1の楔体に対して移動させることによって達成され得ることを理解されたい。
【0065】
第1の相対角度配向に等しい第2の相対角度配向を達成することが所望される場合、第2の楔体251は、第1の楔体250に向かって長手方向に移動され得、これは、上側プレート220の第2の場所を付勢して、横断方向に沿って下側プレート240から離れるように上側プレート220の第1の場所に対して移動させる。これは、上側プレート220を、上側プレート220の第1及び第2の部分が、横断方向Tに沿って下側プレート240から均等に離間されるまで、中央突出部228cを中心として角度付けさせる。結果として得られる椎間ケージ210は、その第2の又は拡張された構成で平行な上側プレート220及び下側プレート240を有し得る。第1の楔体250及び第2の楔体251は、椎間ケージ210を折り畳むことが望ましい場合、上側プレート220を付勢して、横断方向Tに沿って下側プレート240に向かって移動させるように、互いから離れるように移動され得る。側壁224及び244は、ケージ210が拡張して角度付けするときに、互いに沿って摺動し得る。
【0066】
ここで図2F及び図2Gを参照すると、上記に説明されるように、ハウジング212は、ガイドレール248を画定し得、第1の楔体250及び第2の楔体251は、第1の楔体250及び第2の楔体251が長手方向に並進するときに、ガイドレール248に沿って受容して進むチャネル256を画定し得る。指状部274は、楔体250及び251が長手方向Lに沿って互いに向かって移動するときに歯272に沿って進むように構成されている歯止め指状部274であり得る。しかしながら、指状部274は、解剖学的荷重に応答して、第1の楔体部材250及び第2の楔体部材251の互いから離れる移動を防止するように、歯272と噛み合い得る。あるいは、指状部274は、第1の楔体部材250及び第2の楔体部材251が互いに向かう及び互いから離れる、両方の移動を防止するように、歯272と噛み合い得る。インプラントアセンブリは、いずれかの楔体250の工具係合開口部262に挿入される、挿入可能なバヨネットタイプの作動器具290を含み得る。器具290は、指状部274を歯272から離れるように付勢し、それによって、指状部274を歯272から係合解除するように構成され得る。したがって、指状部274と歯272との間の係合は、互いから離れる、及び、いくつかの例では、互いに向かう、楔体250及び251の相対移動を防止しなくなる。一例では、工具のバヨネット形状端を回す(例えば、90度)ことが、指状部274を歯272から離れるように付勢させ、それによって、楔体250を歯274から係止解除し得る。器具290を解放することは、指状部274を再び歯272と係合させ、それによって、楔体250をレール248に対して定位置に係止し得る。
【0067】
ばね部材230が、上側ハウジング部分219と下側ハウジング部分239とを一緒に接続する予張力を提供し得ることが理解される。ばね部材230は、予張力を与えられたばね力に対して、上記のタイプの垂直及び角運動の両方を可能にするように形状決めされ得る。ばね部材230は、上記の移動のみを可能にするように設計され得る。
【0068】
図3A図3Fは、本開示の拡張可能かつ角度調節可能な椎間ケージ310の更に別の例を例示する。椎間ケージ310は、外側ハウジング312と、外側ハウジング312内で移動可能である上側ハウジング部分319及び下側ハウジング部分339と、を含み得る。外側ハウジング312は、上側ハウジング部分319及び下側ハウジング部分339の移動に適応するための開口頂部及び底部を有し得る。上側ハウジング部分319は、上側プレート320と、横断方向Tに沿って上側プレート320から下方に延在する上側側壁324と、を含み得る。下側ハウジング部分339は、下側プレート340と、下側プレート340から横断方向Tに沿って上方に延在する下側側壁344と、を含み得る。上側プレート320及び下側プレート340は、それぞれ、一対の隣接する椎体の終板に接して配置されるように構成され得る。上側プレート320は、上位椎体の椎骨終板に当接するように構成された上側支持表面を画定し得、下側プレート340は、下位椎体の椎骨終板に当接するように構成された下側支持表面を画定し得る。一例では、支持表面は、実質的に平坦であり得る。当然ながら、支持表面は、所望される場合、凸状及び丸みを帯びた形状などの、形状決めされた表面であり得ることが理解される。
【0069】
図3Aは、上側プレート320と下側プレート340との間の距離が横断方向Tに沿って増加している、拡張された構成の椎間ケージ310を示す。図3Bは、上側プレート320と下側プレート340との間の相対角度配向が変化している、拡張されて角度調節された構成の同じ椎間ケージ310を示す。
【0070】
図3A図3Bを参照すると、椎間ケージ310は、横断方向Tに対して上側プレート320と下側プレート340との間に配設された拡張及び角度調節機構を更に含む。拡張及び角度調節機構は、外側ハウジング312内に配設されている第1のブラケット350及び第2のブラケット351を含み得る。第1のブラケット350及び第2のブラケット351は、一例ではブラケットとして構成され得る。第1のブラケット350は、横断方向Tに沿って上側プレート320の第1の部分及び下側プレート340の第1の部分の両方と位置合わせされ得る。同様に、第2のブラケット351は、横断方向Tに沿って上側プレート320の第2の部分及び下側プレート340の第2の部分と位置合わせされ得る。ブラケット350及び351が、以下に説明されるように、長手方向Lに沿って移動可能であるため、上側プレート320及び下側プレート340の第1及び第2の部分の場所は、ブラケット350及び351が移動すると、同様に変化し得る。
【0071】
第1のブラケット350及び第2のブラケット351の各々は、それらが長手方向Lに延在するとき、横断方向Tに対して、角度付けされるか、丸みを帯びるか、又は別様に角度的にオフセットされ得る、係合表面を有し得る。例えば、係合表面は、直線表面とすることができる。一例では、各ブラケット350及び351は、係合表面を画定する、一対の横方向に対向する傾斜した上側スロット352及び横方向に対向する下側スロット353を含み得る。第1のブラケット350の上側の傾斜したスロット352は、それが横断方向Tに沿って上側プレート320から離れるように延在するときに、第2のブラケット351から離れるように傾斜し得る。第2のブラケット351の上側の傾斜したスロット352は、それが横断方向Tに沿って上側プレート220から離れるように延在するときに、第1のブラケット350から離れるように傾斜し得る。第1のブラケット350の下側の傾斜したスロット353は、それが横断方向Tに沿って下側プレート340から離れるように延在するときに、第2のブラケット351から離れるように傾斜し得る。第2のブラケット351の下側の傾斜したスロット353は、それが横断方向Tに沿って下側プレート340から離れるように延在するときに、第1のブラケット350から離れるように傾斜し得る。ここで説明されることになるように、傾斜スロット258及び259は、上側プレート320及び下側プレート340を付勢して、横断方向Tに沿って互いに対して移動させ、それによって、ケージ210を拡張及び/又は角度付けする、上側プレート部材319及び下側プレート部材339の突起を受容するように構成されている。
【0072】
具体的には、上側プレート部分319は、第1の対及び第2の対の上側突出部326を含み得る。上側突出部326は、上側側壁324から外に延在し得る。対の各々は、長手方向Lに沿って互いに離間され得る。更に、各対の上側突出部326は、横方向Aに沿って互いに対向し得る。上側突出部326は、一例では、ノブとして構成され得る。下側突出部326は、上側の傾斜したスロット352内に受容されるようにサイズ決めされ、上側の傾斜したスロット352内で自由に摺動可能である。第1の対の上側突出部326は、第1のブラケット350の上側スロット内で進むように構成されている。第2の対の上側突出部326は、第2のブラケット351の上側スロット内で進むように構成されている。
【0073】
同様に、下側プレート部分339は、第1の対及び第2の対の下側突出部346を含み得る。下側突出部346は、下側側壁344から外に延在し得る。対の各々は、長手方向Lに沿って互いに離間され得る。更に、各対の下側突出部346は、横方向Aに沿って互いに対向し得る。下側突出部346は、一例では、ノブとして構成され得る。突出部346は、下側の傾斜したスロット353内に受容されるようにサイズ決めされ、下側の傾斜したスロット353内で自由に摺動可能である。例えば、第1の対の下側突出部346は、第1のブラケット350の下側の傾斜したスロット353内で受容されるように構成されている。第2の対の下側突出部346は、第2のブラケット351の下側の傾斜したスロット353内で受容されるように構成されている。したがって、上側突出部326及び下側突出部346は、上側ハウジング部分319及び下側ハウジング部分339を横断方向Tに沿って互いに対して移動させるように、上側スロット352及び下側スロット353内のそれぞれの係合表面に沿って進む係合表面を画定し得る。
【0074】
外側ハウジング312は、第1のブラケット350として例示されている、ブラケット350及び351の一方を通って延在する突出部326及び346のうちの一方と横方向Aに位置合わせされている一対の横断側面チャネル318を画定し得る。したがって、第1のブラケット350のそれぞれの上側スロット352及び下側スロット353を通って延在する上側突出部326及び下側突出部346は、チャネル318内に更に延在し得る。側面チャネル318が横断方向Tに沿って細長いため、それぞれの突出部326及び346との側面チャネル318の係合は、上側プレート320及び下側プレート340の長手方向移動を防止又は制限する。一例では、外側ハウジング312は、第2のブラケット351の突出部を受容する任意の側面チャネル318を画定しない。
【0075】
椎間ケージ310、特に、拡張及び角度調節機構は、第1のブラケット350に並進可能に固定され、かつ第2のブラケット351に対して長手方向に並進可能である、第1の作動ロッド370と、第2のブラケット351に並進可能に固定され、かつ第1のブラケット350に対して長手方向に並進可能である、第2の作動ロッド380と、を含み得る。第1のロッド370及び第2のロッド380は、外側ハウジング312から外に長手方向に延在する把持端を延在し得る。したがって、第1のブラケット350は、第1の作動ロッド370と共に長手方向に移動する。同様に、第2のブラケット351は、第2の作動ロッド380と共に長手方向に移動する。一例では、第1の作動ロッド370及び第2の作動ロッド380は、長手方向に引っ張られてブラケット350及び351の摺動する長手方向移動をもたらすように構成されているプルロッドとして構成され得る。
【0076】
上記のように、上側ハウジング部材319及び下側ハウジング部材339の上側突出部326及び下側突出部346のうちの第1のものは、第1のブラケット350の上側の傾斜したスロット352及び下側の傾斜したスロット353内で摺動可能である。これは、第1のプレート320及び第2のプレート340の第1の部分の間の距離を、横断方向に沿って変化させる。例えば、第1のブラケット350が第2のブラケット351から離れるように移動すると、第1の突出部326及び346は、上側ハウジング部分319及び下側ハウジング部分339を押圧する。したがって、第1のプレート320及び第2のプレート340の第1の部分の間の距離は、横断方向Tに沿って増大する。第1のブラケット350が第2のブラケット351に向かって移動すると、第1のプレート320及び第2のプレート340の第1の部分の間の距離は、横断方向Tに沿って減少する。
【0077】
同様に、上側ハウジング部材319及び下側ハウジング部材339の上側突出部326及び下側突出部346のうちの第2のものは、それぞれ、第2のブラケット351の上側の傾斜したスロット352及び下側の傾斜したスロット353内で摺動可能である。これは、第1のプレート320及び第2のプレート340の第2の部分の間の距離を、横断方向Tに沿って変化させる。例えば、第2のブラケット351が第1のブラケット350から離れるように移動されると、第2の突出部326及び346は、上側ハウジング部分319及び下側ハウジング部分339を押圧する。したがって、第1のプレート320及び第2のプレート340の第2の部分の間の距離は、横断方向Tに沿って増大する。第2のブラケット350が第1のブラケット350に向かって移動すると、第1のプレート320及び第2のプレート340の第2の部分の間の距離は、横断方向Tに沿って減少する。
【0078】
第1の作動ロッド370及び第2の作動ロッド380は、外側ハウジング312に対して長手方向に移動するように構成されている。ロッド370及び380の長手方向移動は、ロッドに固定されたそれぞれのブラケット350及び351を、同様に長手方向に移動させる。ブラケット350の各々は、上記のように、上側角度付きスロット352及び下側角度付きスロット353である。スロット352及び353は、互いに上下に統合され、反対方向に角度を有する。第1のブラケット350のスロット352及び353は、鏡面対称であり、第2の楔体部材351のスロット352及び353とは独立して展開され得、逆もまた同様である。外側ハウジング312内の機構は、上側プレート320及び下側プレート340が、角度付きスロット352内のノブ326、346によって画定されるヒンジ又は枢動継手で垂直に摺動することを可能にする。更に、第1の突出部326及び346は、外側ハウジング312の横断方向側面チャネル318内で摺動し得、一方、第2の突出部326及び346は、第2のブラケット351のそれぞれのスロット内のみで摺動し得る。
【0079】
椎間ケージ310を作動させる方法が、図3C図3Fを参照して説明されることになる。図3Cに例示される開始位置では、椎間ケージ310がその第1の又は挿入構成にある状態で、上側突起326及び下側突起346は、それぞれ、それぞれのスロット352及び353の横断最内位置にある。更に、第1の突起326及び346は、側面チャネル318内のそれらのそれぞれの横断最内位置にある。図3Dを参照すると、第2のロッド380が作動されて、第2のブラケット351を第1のブラケット350から離れるように長手方向に移動させると、第2の上側突出部326及び下側突出部346は、第2のブラケット351の角度付きスロット352及び353によって、それぞれ、上向き及び下向きに力を加えられる。したがって、上側プレート320及び下側プレート340の第2の部分は、横断方向Tに沿って互いから離れるように移動される。上側プレート320及び下側プレート340の第1の部分は、横断方向Tに沿った相対移動に対して静止したままであり得、それによって、図3Eに示されるように椎間ケージ310の拡張及び角度調節をもたらし得る。具体的には、上側プレート320及び下側プレート340のそれぞれの角度配向は、外側ハウジング312に対して変化し得る。したがって、ケージ310の第2の相対角度配向は、ケージ310の第1の角度配向とは異なり得ることが更に理解されるであろう。
【0080】
ここで図3Fを参照すると、第1のロッド370が作動されて、第1のブラケット350を第2のブラケット351から離れるように長手方向に移動させると、第1の上側突出部326及び下側突出部346は、第1のブラケット350の角度付きスロット352及び353によって、それぞれ、上向き及び下向きに力を加えられる。したがって、上側プレート320及び下側プレート340の第1の部分は、横断方向Tに沿って互いから離れるように移動される。上側プレート320及び下側プレート340の第2の部分は、横断方向Tに沿った相対移動に対して静止したままであり得る。上側プレート320及び下側プレート340の第1の部分は、第1のプレート320及び第2のプレート340が拡張前と同じ相対角度配向にある位置まで垂直に拡張し得る。したがって、第1の相対角度配向は、第2の相対角度配向と等しくなり得る。あるいは、上側プレート320及び下側プレート340の第1の部分は、第1のプレート320及び第2のプレート340が拡張前とは異なる相対角度配向にある位置まで垂直に拡張し得る。
【0081】
ロッド370及び380の移動は、外側ハウジング312によって、長手方向Lに沿った移動に制限され得る。垂直チャネル318内の第1の上側突出部326と下側突出部346との間の係合のため、上側ハウジング部分319及び下側ハウジング部分339は、長手方向に移動することを防止される。更に、第1の上側突出部326は、支点を画定し得、この支点を中心として、上側プレート320の第2の部分は、第2のブラケット351が第1のブラケット350から離れるように移動されるときに、角度付けし得る。
【0082】
図4A図4Nは、本開示の拡張可能かつ角度調節可能な椎間ケージ410、410’の更により多くの例を例示する。図4A図4Fは、前方経路腰椎椎体間固定(ALIF)用に構成された椎間ケージ410を示し、一方、図4G図4Nは、同じ椎間ケージ410’を示すが、側方経路腰椎椎体間固定(LLIF)用に構成されている。図4A図4Fに示される椎間ケージ410は、拡張及び角度調節用の内部機構などの、上記の椎間ケージ210の特徴を含む。示されるように、ケージ410は、第1の又は前方端414と、長手方向Lに沿って前方端414の反対側の第2の又は後方端416を含み得る。ケージ410は、上側ハウジング部分419及び下側ハウジング部分439を含むハウジング412を含み得る。上側ハウジング部分419は、上側プレート420と、横断方向Tに沿って上側プレート420から下方に延在する上側側壁424と、を含み得る。下側ハウジング部分439は、下側プレート440と、下側プレート440から横断方向Tに沿って上方に延在する下側側壁444と、を含み得る。椎間ケージ410は、下側プレート440の内側横断表面上に位置するガイドレール448上で並進する一対の楔体450及び451を更に含み得、椎間ケージ210について上記に説明された様式で移動し得る。しかしながら、椎間ケージ410は、細胞活性及び骨の内部成長を容易にする上側プレート420及び下側プレート440の一方又は両方に多孔質構造422を更に含み得る。したがって、多孔質構造422は、それぞれ、上側プレート420及び下側プレート440の上側支持表面及び下側支持表面の少なくとも一部分を画定し得る。
【0083】
図4C図4Eを参照すると、楔体450及び451の長手方向又は水平方向の移動(互いに独立している)は、図4Fの図面によって表されるように、及び椎間ケージ210に関して上記に説明されたように、互いに対するプレート420及び440の高さの拡張及び角度調節をもたらす。図4Cは、第1の又は拡張されていない挿入構成にあり、かつ挿入及び作動器具490に取り付けられた、椎間ケージ410を示す。図4Dは、取り付けられた器具490を使用して第2の楔体451に向かって長手方向に移動された第1の楔体450を示し、ケージ410を拡張させ、また角度調節される。図4Eは、取り付けられた器具490を使用して第1の楔体450に向かって長手方向に移動された第2の楔体451を示し、ケージ410を拡張させ、また反対に角度調節される。したがって、楔体450及び451の独立した移動は、図4Fに概略的に示されるように、ユーザに、上側プレート420が第1の長手方向に下側プレートに向かって傾斜している第1の角度と、上側プレート420が第1の長手方向とは反対の第2の長手方向に下側プレート440に向かって傾斜している第2の角度との間でケージ410の角度を調節することを可能にすることを理解されたい。
【0084】
概して、本開示の椎間ケージ410は、前方経路腰椎椎体間固定(ALIF)用に構成され得る。ケージ410は、必要に応じて、寸法決めされ得る。一例では、ケージ410は、34×25、37×27、40×29、及び45×32mmの範囲の寸法を有し得る。したがって、ケージ410の長手方向の長さは、約34mm~約45mmの範囲であり得る(その間で約1mm刻み)。ケージ410の横幅は、約25mm~約32mmの範囲であり得る(その間で約1mm刻み)。上側支持表面から下側支持表面への横断方向に沿ったケージ410の高さは、約8mm~約20mm(その間で約1mm刻み)の範囲であり得る。「約」という用語は、製造公差及び他の潜在的な変動を認識し、記載された数のプラス又はマイナス10%を含む。角度調節は、約0度、約5度、約10度、約15度、及び約20度の範囲であり得る。ケージ410は、小ステップでの調節を可能にし、処置中に可逆的であり得ることが企図される。ケージ410は、独立している楔体450の展開、及び専用のアクチュエータ/挿入器具490の使用を伴って、1回の実行で印刷され得る。
【0085】
図4G図4Nは、上記に既に説明された椎間ケージ410と同様であるが、側方経路腰椎椎体間固定(LLIF)用に構成されている、椎間ケージ410’を例示する。ケージ410は、椎間板腔内に移植されると、矢状面内で角度付けするように構成され得るが、ケージ410’は、椎間板腔内に移植されたときに冠状面内で角度付けするように構成され得る。ケージ410’は、それ以外、ケージ410と同じであり、それゆえに、記号「’」が続く、同じ参照番号によって表される同様の特徴を共有する。示されるように、ケージ410’は、ハウジング412’を含み得、次いで、ハウジング412’は、上側ハウジング部分419’及び下側ハウジング部分439’を含む。上側ハウジング部分419’は、上側プレート420’と、横断方向Tに沿って上側プレート420’から下方に延在する上側側壁424’と、を含む。下側ハウジング部分439’は、下側プレート440’と、下側プレート440’から横断方向Tに沿って上方に延在する下側側壁444’と、を含む。椎間ケージ410’は、下側プレート440’の内側横断表面上に位置するガイドレール448’上で並進する一対の楔体450’及び451’を含み得、椎間ケージ210及び410について上記に説明されたものと同様の様式で移動し得る。上側ハウジング部分419’はまた、細胞活性及び骨の内部成長を容易にする多孔質構造422’も含み得る上側プレート420’上に多孔質構造422’を有し得る。したがって、上側プレート420’の上側支持表面の少なくとも一部分は、多孔質構造422’によって画定され得る。
【0086】
図4I図4Nに示されるように、楔体450’の横又は水平移動(互いに独立している)は、互いに対するプレート420’、440’の高さの拡張及び角度調節をもたらす。図4I及び図4Lは、第1の又は拡張されていない挿入構成にあり、かつ挿入/作動器具490に取り付けられた椎間ケージ410’を示す。椎間ケージ410の楔体450’及び451’は、取り付けられた器具490を使用して図4J及び図4Mでは、独立して互いに向かって長手方向に移動し得、ケージ410’を拡張させ、また上記の様式で角度調節され得る。楔体450’及び451’の独立した移動は、図4K及び図4Nに示されるように、ユーザがケージ410’の角度を調節することを可能にする。
【0087】
概して、本開示の椎間ケージ410’は、側方経路腰椎椎体間固定(LLIF)用に構成され得、一例では、約40mm、約45mm、約50mm、約55mm、及び約60mmを含む、約40mm~約60mmの範囲の長手方向の寸法を有し得る。ケージ410は、約22mm及び約26mmを含む、約22mm~約26mmの範囲の横方向の寸法を有し得る。ケージは、約8mm~約16mm(その間で約1mm刻み)の範囲の高さを有し得る。ケージ410’の角度調節は、上側プレート420’及び下側プレート440’によって画定される角度によって測定されるとき、約0度、約8度、及び約16度を含む、約0度~約16度の範囲であり得る。ケージ410’は、小ステップでの調節を可能にし、処置中に可逆的であり得ることが企図される。ケージ410’は、独立している楔体450の展開、及び専用のアクチュエータ/挿入器具490の使用を伴って、1回の実行で印刷され得る。
【0088】
図5A図5Dは、上記に説明された例の同じ特徴の多くを利用する、本開示の拡張可能かつ角度調節可能な椎間ケージ510のなお更に別の例を例示する。示されるように、ケージ510は、上側ハウジング部分519及び下側ハウジング部分539を含むハウジング512を含み得る。上側ハウジング部分519は、上側プレート520と、上側プレート520から下方に延在する上側側壁524と、を含み得る。下側ハウジング部分539は、下側プレート540と、下側プレート540から上方に延在する下側側壁544と、を含み得る。椎間ケージ510は、下側プレート540の内側横断表面上に位置するガイドレール548上で互いに独立して並進する一対の第1の楔体550及び第2の楔体551を更に含み得る。楔体550及び551は、ケージ210に関して上記に説明された様式で移動し得、それによって、ケージ210に関して上記に説明された様式で椎間ケージ510を拡張及び角度調節する。加えて、上側プレート520及び下側プレート540は、上記に説明された様式でプレート520及び540の相対移動を制御するために弾性ばね530と接続され得る。ばね530は、弾性変形可能なストリップ530として幾何学的に構成され得るか、又は所望に応じて代替的に構成され得る。
【0089】
図5Bに示されるように、椎間ケージ510がその圧縮された挿入構成にあるとき、楔体550及び551は、それらの初期構成にある。図5Cに示されるように、ガイドレール548に沿った第2の楔体551への第1の楔体550の移動は、上側プレート520を、横断方向に沿って下側プレート540から離れるように移動させ(拡張)、上側プレート520の第1の部分を、上側プレート520の第2の部分に対して横断方向に沿って下側プレート540から離れるように更に移動させ、それによって、椎間ケージ510を角度調節する。図5Dに示されるように、ガイドレール548に沿った第1の楔体550への第2の楔体551の移動は、上側プレート520を、横断方向Tに沿って下側プレート540から離れるように移動させ(拡張)、上側プレート520の第2の部分を、上側プレート520の第1の部分に対して横断方向に沿って下側プレート540から離れるように更に移動させ、それによって、椎間ケージ510を角度調節する。第1の楔体550及び第2の楔体551のうちの他方の後続の移動は、ケージ210をその第1の相対角度配向に戻し得る。
【0090】
弾性ばね530は、下側プレート540に対する上側プレート520の移動に抵抗するが、その移動を可能にする力をプレート520及び540に対して加え得る。ばね530は、ばね530の自由端が上側プレート520を下側プレート540に接続し、ばね530の自由端の緩み及び未取り付けがないように、構成され得る。例えば、ばね530の一端は、下側プレート540に取り付けられ得、ばね530の他端は、上側プレート520に取り付けられ得る。椎間ケージ510は、チタンなどの金属中で1回の実行で3D印刷されるときに特に有利であり得る。
【0091】
図6A図6Fは、上記に説明された例の同じ特徴の多くを利用する、本開示の拡張可能かつ角度調節可能な椎間ケージ610のなお更に別の例を例示する。示されるように、ケージ610は、ハウジング612を含み得、次いで、ハウジング612は、上側ハウジング部分619及び下側ハウジング部分639を含む。上側ハウジング部分619は、上側プレート620と、横断方向Tに沿って上側プレート620から下方に延在する上側側壁624と、を含み得る。下側ハウジング部分639は、下側プレート640と、下側プレート640から横断方向Tに沿って上方に延在する下側側壁644と、を含み得る。椎間ケージ610は、下側プレート640の内側横断表面上に位置するガイドレール648上で並進する一対の楔体650及び651を更に含み得、椎間ケージ210について上記に説明された様式で移動し得る。しかしながら、弾性変形可能なストリップとして構成されるばね部材を含むことに代えて、又はそれに加えて、ケージ610は、ケージ610の移動に抵抗するが、その移動を可能にする、代替的なばね部材630を含み得る。例えば、一例では、ケージ610は、弾性格子構造631として構成されたばね630を含み得る。格子構造631は、ハニカム状スクリーン630として構成され得る。ばね部材630は、上側プレート620から下側プレート640まで延在し、かつ横方向Aに沿って互いに離間されている、椎間ケージ610の側面を更に画定し得る。
【0092】
ハウジング612は、下側プレート640の横断内側表面上に位置するガイドレール648上で並進する一対の楔体650及び651を含み得、椎間ケージ210に関して上記に説明された様式で移動し得る。上側プレート620及び下側プレート640のうちの一方又は両方は、ケージ410に関して上記に説明された多孔質構造を含み得る。例えば、上側プレート620は、上側支持表面を少なくとも部分的に画定する多孔質構造622を含み得る。更に、下側ハウジング部分639は、図6D及び図6Eに示されるように、下側支持を画定する多孔質構造642を含み得る。更に、上側プレート620及び下側プレート640のうちの一方又は両方は、それぞれの椎骨終板を把持するように構成された歯646を含み得る。楔体650及び651のうちの一方又は両方は、アクチュエータに連結するように構成されている器具係合部材を画定し得、器具係合部材は、次いで、楔体650及び651のうちの一方又は両方を移動させて、椎間ケージ610を拡張及び/又は角度付けするように構成されている。一例では、器具係合部材は、図6Bに示されるように、アクチュエータ及び挿入器具690を受容するように構成されている器具係合開口部652として構成され得る。アクチュエータ及び挿入器具690は、ケージ610を椎間腔内に挿入するように構成され得、ケージ610を、上記の様式で、その第1の又は挿入構成からその第2の又は拡張された構成に更に作動し得る。更に、器具690は、ケージ610を上記の様式で角度付けさせ得る。具体的には、楔体650及び651の他方に向かって並進するための楔体650及び610の各々の作動は、上記に既に説明された様式で達成され得る。
【0093】
本実施形態は、1つのデバイスを使用して、冠状面での伸延及び角度付けの両方を達成するために特に有用であり得ることが企図される。ケージ610は、矢状バランスを回復するために有効であり得るが、依然として低侵襲性であり、冠状面で角度付けされるその能力に起因して、変性脊柱側湾症を治療するか、又は他の冠状面異常を矯正するために有効である。本開示のケージ610は、ばね部材630が弛緩された構成にあり得る、図6F図6Gに例示される第1の又は挿入構成から、独立して移動可能な2つの楔体650及び651を提供することによって、これらの2つの目標を達成し得る。つまり、ばね630の格子構造631は、弛緩され得、したがって、上側プレート620及び下側プレート640のいずれも力を加えない。楔体650及び651は、図6H図6Iに示されるように、同じ量だけ移動されて、伸延され得る。図6H及び図6Iに例示されるように、椎間ケージが第1の相対角度配向と等しい第2の相対角度配向を有する第2の又は拡張された構成にあるとき、ばね630の格子構造631は、横断方向Tに沿って張力下で配置され得る。したがって、格子構造631は、横断方向Tに沿って上側終板620及び下側終板640に圧縮力を加え、この圧縮力は、上側終板620及び下側終板60を互いに向かって付勢する。楔体650及び651は、それらがケージ610を拡張された構成に移動させるときにその力を克服する。代替的に又は追加的に、ここで図6J図6Kを参照すると、楔体650及び651のうちの一方が、単に角度付けのみをもたらすように移動されてもよく、又は両方の楔体650及び651が、伸延及び角度付けの両方が存在するように、不釣り合いな量で移動されてもよい。
【0094】
ケージ610が角度付けされたとき、格子構造631の一方の長手方向端は、格子構造631の他方の長手方向端よりも大きい張力下で配置され得る。格子構造631の他方の長手方向端は、圧縮又はより小さい張力下で配置され得るか、又は別様に中立であり得る。一般的に言うと、横断方向Tに沿ったケージ610の高さの増加又は拡張の量は、インプラントの高さに依存し得る。いくつかの実施形態では、拡張は、最大約5mmの範囲であり得る。角度付けは、約0度~約8度を含む、約0度~約16度の範囲内であり得る。
【0095】
上述のように、本開示の椎間ケージは、狭いアクセス経路を通じた挿入を可能にすることができるように構成されているが、ケージが椎骨セグメントの前弯角度を調節することができるように、拡張及び角度調節されることができる。角度調節及び拡張(又は伸延)することができることによって、ケージは、挿入のための非常に狭い前方経路及び移植後のより大きい前方経路が、前弯及び後弯のより大きい角度に適応及び適合することを可能にする。加えて、ケージは、脊椎の矢状バランス及びアライメントを効果的に回復し得、脊椎セグメントを固定化及び安定化させるように固定を促進し得る。
【0096】
固定を促進する拡張可能なケージの能力に関して、骨治癒及び固定に対する多くの生体外及び生体内研究は、多孔性が血管新生を容易にし得ることを示しており、新しい骨成長を促進するための所望される基盤は、細胞接着、移動、増殖、及び分化のために最適化されている表面特性を有する多孔質の相互接続された孔の網状構造を有するべきである。同時に、新しい細胞活性に対する適切な構造的支持又は機械的完全性を提供するケージの能力は、臨床的成功を達成するための別の主な要因であると考えられる。他と比較して一態様の相対的重要性にかかわらず、明確なことは、安定化するための構造的完全性、及び細胞成長を支持する多孔質構造の両方が、適切かつ持続可能な骨再成長を支援し得ることである。
【0097】
本明細書に説明されるケージは、中実及び多孔質の特徴の両方を1つに有し得る単一体を作成することによって、デバイスのより優れたカスタマイズを可能にする、現行の付加製造技術を更に利用し得る。示されるようないくつかの実施形態では、ケージは、多孔質構造を有し得、骨接合を容易にする細孔、マイクロ構造、及びナノ構造の網状構造を含む、操作された細胞構造で作製され得る。例えば、操作された細胞構造は、細孔、並びにメッシュ状外観を採用する他のマイクロ及びナノサイズ構造の相互接続された網状構造を含み得る。これらの操作された細胞構造は、ナノレベルでデバイスの表面を変化させるために、エッチング又はブラスト処理によって提供され得る。1つのタイプのエッチングプロセスは、例えば、HF酸処理を利用し得る。これらの同じ製造技術が、これらのケージに内部撮像マーカを提供するために用いられ得る。例えば、これらのケージはまた、ユーザがケージを適切に位置合わせすること、及びナビゲーション中の可視化を通して挿入を概して容易にすることを可能にする、内部撮像マーカを含んでもよい。撮像マーカは、例えば、X線、蛍光透視、又はCTスキャン下のメッシュの中で中実体として示される。本明細書に説明されるケージは、単一のマーカ、又は複数のマーカを含んでもよい。これらの内部撮像マーカは、ナビゲーション及び移植中の改善された可視化のために、1つ又は2つ以上の内部埋め込みマーカを用いてケージを製造することが可能であるため、ケージを移植する容易さ及び精度を大幅に促進する。
【0098】
本開示の移植可能なデバイスによって提供される別の利益は、それらが患者の必要性に対して具体的にカスタマイズされることができることである。移植可能なデバイスのカスタマイズは、インプラントデバイスと、例えば、皮質対海綿質、骨端対中央、及び硬化性対骨減少骨などの、治療される骨の様々な品質及びタイプとの間で整合する好ましい弾性率を提供することに関連し、治療される骨の様々な品質及びタイプの各々は、構造的損傷データに対する、それ自体の異なる圧縮を有する。同様に、同様のデータは、例えば、多孔質対中実、骨梁対非骨梁などの、様々なインプラント設計のために生成され得る。そのようなデータは、死体、又は生成されたコンピュータ有限要素であり得る。例えば、DEXAデータとの臨床的相関はまた、移植可能なデバイスが、硬化性、正常、又は骨減少骨と共に使用するために具体的に設計されることを可能にし得る。したがって、本明細書に提供されるものなどの、カスタマイズされた移植可能なデバイスを提供する能力は、複合構造体の弾性率(EMOCS)の整合を可能にし、これは、移植可能なデバイスが、不整合を最小限に抑え、沈下を軽減し、治癒を最適化し、それによって、より良好な臨床転帰を提供するように操作されることを可能にする。
【0099】
脊椎の頸部又は腰椎領域のいずれかで使用するための椎体間固定ケージを含む、様々な脊椎インプラントが本開示によって提供され得る。更に、本開示の原理は、頸椎椎体間固定(cervical interbody fusion、CIF)デバイス、経椎間孔腰椎椎体間固定(TLIF)デバイス、前方経路腰椎椎体間固定(ALIF)ケージ、側方経路腰椎椎体間固定(LLIF)ケージ、後方経路腰椎椎体間固定(PLIF)ケージ、及び前側方経路腰椎椎体間固定(OLIF)ケージに利用され得ることが企図される。
【0100】
図に示された実施形態の例示及び議論は、単に例示のためにすぎず、本開示を限定するものと解釈すべきではないことを理解されたい。本開示は、様々な実施形態を意図することを、当業者は理解するであろう。加えて、上記の実施形態と共に上述された概念を、単独で又は上述された他の実施形態のいずれかとの組み合わせで用いてもよいことを理解すべきである。特に指定しない限り、例示される一実施形態に関して上に記載された様々な変形実施形態を、本明細書に記載される全ての実施形態に適用できることを更に理解すべきである。
【0101】
〔実施の態様〕
(1) 拡張可能な椎間ケージであって、
上側プレート、及び前記上側プレートから外に延在する上側側壁を有する上側ハウジング部分であって、前記上側プレートが、第1の椎体の終板に接する配置のために構成された上側支持表面を画定する、上側ハウジング部分と、
下側プレート、及び前記下側プレートから外に延在する下側側壁を有する下側ハウジング部分であって、前記下側プレートが、第2の椎体の終板に接する配置のために構成された下側支持表面を画定し、前記上側及び下側側壁が、互いに沿って摺動するように構成されている、下側ハウジング部分と、
前記上側プレートと前記下側プレートとの間に配設され、前記椎間ケージの高さ及び角度調節をもたらすように構成された、拡張及び角度調節機構であって、前記拡張及び角度調節機構が、1)前記ハウジングの対向端に位置する一対の楔体であって、各楔体が、前記上側及び下側側壁のそれぞれの係合表面と係合するように構成された上側及び下側係合表面を有する、一対の楔体と、2)前記楔体を一緒に接続するドライバ構成要素であって、前記ドライバ構成要素の作動時に前記楔体を互いに向かって移動させるように構成され、それによって、前記楔体の前記係合表面を前記側壁の前記係合表面に当接させ、それによって、前記上側及び下側支持表面を互いから離れるように移動させる、ドライバ構成要素と、を含む、拡張及び角度調節機構と、
を備え、
前記ケージの端に加えられる荷重が、前記上側プレートを前記下側プレートに対して角度付けさせる、拡張可能な椎間ケージ。
(2) 前記上側及び下側側壁の各々の前記係合表面が傾斜している、実施態様1に記載の拡張可能な椎間ケージ。
(3) 前記ハウジングが、前記ケージの拡張を制御するように構成された少なくとも1つのばね部材を更に含む、実施態様1に記載の拡張可能な椎間ケージ。
(4) 前記楔体の前記係合表面が、凸面を含む、実施態様1に記載の拡張可能な椎間ケージ。
(5) 各楔体の前記上側及び下側係合表面の各々が、それぞれの一定かつ連続的に丸みを帯びた表面を画定する、実施態様4に記載の拡張可能な椎間ケージ。
【0102】
(6) 拡張可能な椎間ケージであって、
第1の椎体の終板に接して配置されるように構成された上側プレートを含む上側ハウジング部分であって、前記上側ハウジング部分が、前記上側プレートから延在する上側側壁を有する、上側ハウジング部分と、
第2の椎体の終板に接して配置されるように構成された下側プレートを含む下側ハウジング部分であって、前記下側ハウジング部分が、前記下側プレートから延在する下側側壁を有する、下側ハウジング部分と、
前記上側プレートと前記下側プレートとの間に配設され、前記上側プレートを前記下側プレートから離れるように移動させるように構成され、前記上側プレートを前記下側プレートに対して角度付けするように更に構成されている、拡張及び角度調節機構であって、前記拡張及び角度調節機構が、前記上側プレートと前記下側プレートとの間に配設された一対の楔体を備え、各楔体が、前記下側プレートのガイドレールに沿って並進するように構成されたチャネルを有する、拡張及び角度調節機構と、
を備え、
前記楔体の互いに向かう移動が、前記下側プレートから離れる前記上側プレートの移動を引き起こし、前記楔体のうちの一方の、前記楔体のうちの他方に対する移動が、前記上側プレートを前記下側プレートに対して角度付けさせる、拡張可能な椎間ケージ。
(7) 各楔体は、前記楔体が互いに向かって移動する際に、前記下側ハウジング部分から離れるように前記上側ハウジング部分を付勢するように構成されているスロットを含む、実施態様6に記載の拡張可能な椎間ケージ。
(8) 前記上側プレートが突出部を含み、前記突出部が、前記楔体の移動に応答して前記下側プレートから離れるように前記上側プレートを付勢するように、前記スロット内にそれぞれ延在し、前記スロット内の前記楔体の係合表面に接触する、実施態様7に記載の拡張可能な椎間ケージ。
(9) 前記楔体の前記上側表面上の前記スロットが、角度付けされている、実施態様8に記載の拡張可能な椎間ケージ。
(10) 前記上側ハウジング部分が、ばね座を含み、前記下側ハウジング部分が、前記ばね座に支えられているばね部材を含む、実施態様7に記載の拡張可能な椎間ケージ。
【0103】
(11) 前記ガイドレールが、歯を含み、前記楔体が、前記ガイドレールの前記歯と係合するように構成されている少なくとも1つの指状部を含む、実施態様6に記載の拡張可能な椎間ケージ。
(12) 前記楔体が、互いに対して独立して移動可能である、実施態様6に記載の拡張可能な椎間ケージ。
(13) 前記拡張可能な椎間ケージが、前記上側プレート及び前記下側プレートのうちの少なくとも一方に位置する多孔質構造を含む、実施態様6に記載の拡張可能な椎間ケージ。
(14) 前記上側プレートと前記下側プレートとの間に延在する弾性変形可能なスクリーンを更に含む、実施態様6に記載の拡張可能な椎間ケージ。
(15) 前記第2の椎体の前記終板への強化された固定のために前記下側プレート上に歯を更に含む、実施態様6に記載の拡張可能な椎間ケージ。
【0104】
(16) 拡張可能な椎間ケージであって、
第1の椎体の終板に接する配置のために構成された上側プレート、及び前記上側プレートから延在する上側側壁を含む上側ハウジング部分であって、前記上側ハウジング部分が、複数の上側突起を含む、上側ハウジング部分と、
前記第1の椎体に隣接する第2の椎体の終板に接する配置のために構成された下側プレートを含む下側ハウジング部分であって、前記下側ハウジング部分が、前記下側プレートから延在する下側側壁を有し、前記下側ハウジング部分が、複数の下側突起を含む、下側ハウジング部分と、
第1の対の前記上側突起をそれぞれ受容するように構成された上側対の傾斜したスロットを画定し、第1の対の前記下側突起をそれぞれ受容するように構成された下側対の傾斜したスロットを更に画定している、第1のブラケットと、
前記第1のブラケットに対向し、第2の対の前記上側突起をそれぞれ受容するように構成された上側対の傾斜したスロットを画定し、第2の対の前記下側突起をそれぞれ受容するように構成された下側対の傾斜したスロットを更に画定している、第1のブラケットと、
前記第1及び第2のブラケットにそれぞれ並進可能に固定された第1及び第2のアクチュエータロッドであって、前記第1及び第2のアクチュエータロッドが、互いに対して独立して並進可能である、第1及び第2のアクチュエータロッドと、
を備え、
前記ロッドのうちの一方を作動させることが、それぞれの固定された前記ブラケットの移動をもたらし、それによって、前記上側及び下側プレートの互いに対する角度調節を引き起こす、拡張可能な椎間ケージ。
(17) 前記上側及び下側部分の各々が、それぞれ、前記側壁の各々から外に延在している、それぞれの上側及び下側突起を含む、実施態様16に記載の拡張可能な椎間ケージ。
(18) 前記作動ロッドの各々が、長手方向のみに沿って並進するように構成されている、実施態様16に記載の拡張可能な椎間ケージ。
(19) 前記上側及び下側ハウジング部分を受容する外側ハウジングを更に備える、実施態様16に記載の拡張可能な椎間ケージ。
(20) 各ブラケットが、一対の角度付きスロットを含み、前記スロットが、互いから離れるように角度付けされている、実施態様16に記載の拡張可能な椎間ケージ。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
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図4C
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図5B
図5C
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