IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アキュレイ インコーポレイテッドの特許一覧

特許7451416撮像放射線量の制限及び治療送出中の画像品質の改良
<>
  • 特許-撮像放射線量の制限及び治療送出中の画像品質の改良 図1
  • 特許-撮像放射線量の制限及び治療送出中の画像品質の改良 図2
  • 特許-撮像放射線量の制限及び治療送出中の画像品質の改良 図3
  • 特許-撮像放射線量の制限及び治療送出中の画像品質の改良 図4
  • 特許-撮像放射線量の制限及び治療送出中の画像品質の改良 図5
  • 特許-撮像放射線量の制限及び治療送出中の画像品質の改良 図6A
  • 特許-撮像放射線量の制限及び治療送出中の画像品質の改良 図6B
  • 特許-撮像放射線量の制限及び治療送出中の画像品質の改良 図7
  • 特許-撮像放射線量の制限及び治療送出中の画像品質の改良 図8
  • 特許-撮像放射線量の制限及び治療送出中の画像品質の改良 図9
  • 特許-撮像放射線量の制限及び治療送出中の画像品質の改良 図10
  • 特許-撮像放射線量の制限及び治療送出中の画像品質の改良 図11A
  • 特許-撮像放射線量の制限及び治療送出中の画像品質の改良 図11B
  • 特許-撮像放射線量の制限及び治療送出中の画像品質の改良 図12
  • 特許-撮像放射線量の制限及び治療送出中の画像品質の改良 図13
  • 特許-撮像放射線量の制限及び治療送出中の画像品質の改良 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-08
(45)【発行日】2024-03-18
(54)【発明の名称】撮像放射線量の制限及び治療送出中の画像品質の改良
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/03 20060101AFI20240311BHJP
   A61N 5/10 20060101ALI20240311BHJP
   A61B 6/40 20240101ALI20240311BHJP
【FI】
A61B6/03 577
A61N5/10 J
A61B6/03 560D
A61B6/40 530K
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2020548738
(86)(22)【出願日】2019-03-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-02
(86)【国際出願番号】 US2019022109
(87)【国際公開番号】W WO2019178270
(87)【国際公開日】2019-09-19
【審査請求日】2022-03-01
(31)【優先権主張番号】15/922,688
(32)【優先日】2018-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505172824
【氏名又は名称】アキュレイ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100210239
【弁理士】
【氏名又は名称】富永 真太郎
(72)【発明者】
【氏名】ベネキ マシュー
(72)【発明者】
【氏名】ジョーダン ペトル
(72)【発明者】
【氏名】レイン トレヴァー
(72)【発明者】
【氏名】マウラー カルヴィン アール ジュニア
【審査官】松岡 智也
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-545391(JP,A)
【文献】国際公開第2007/046372(WO,A1)
【文献】特開2009-213704(JP,A)
【文献】国際公開第2014/162275(WO,A1)
【文献】特開2004-180715(JP,A)
【文献】再公表特許第2007/046372(JP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0140874(US,A1)
【文献】橘 昌幸 他4名,リニアックによるStereotactic Radiosurgeryの検討,日本放射線技術学会雑誌,48巻,5号,日本放射線技術学会,2017年06月29日,p.770-773
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00-6/58
A61M36/10-36/14
A61N5/00-5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イメージャによって第1位置からの患者の関心領域(ROI)を含む関心体積(VOI)の第1視野(FOV)を撮像するステップと、
前記イメージャによって第2位置からの前記患者のROIを含む前記VOIの前記第1FOVを撮像するステップと、
撮像される前記ROIを指定する前記第1位置からの前記撮像されたVOIの第1部分の第1識別情報を受け取るステップと、
撮像される前記ROIを指定する前記第2位置からの前記撮像されたVOIの第2部分の第2識別情報を受け取るステップと、
前記ROIの動きを追跡するステップと、
前記第1識別情報の受け取りに応答して、前記ROIの前記追跡された動きに基づいて、撮像源のコリメータのアパーチャを、前記第1位置からの前記第1FOVより小さく且つ前記第1位置からの前記ROIに対応する第2FOVに調節するステップと、
前記第2FOVを用いて前記第1位置からの前記患者の前記ROIを撮像するステップと、
前記第2識別情報の受け取りに応答して、前記ROIの前記追跡された動きに基づいて、前記撮像源のコリメータの前記アパーチャを、前記第2FOVとは異なり、前記第2位置からの前記第1FOVより小さく、且つ、前記第2位置からの前記ROIに対応する第3FOVに調節するステップと、
前記第3FOVを用いて前記第2位置からの前記患者の前記ROIを撮像するステップであって、前記第2位置は前記第1位置とは異なる位置である、ステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記撮像されたVOIの前記第1部分の前記第1識別情報及び前記撮像されたVOIの前記第2部分の前記第2識別情報は、前記ROIのユーザ選択に基づく、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記撮像されたVOIの前記第1部分の前記第1識別情報及び前記撮像されたVOIの前記第2部分の前記第2識別情報は、前記ROIの自動識別情報に基づく、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記患者の前記VOIにおける前記ROIは、前記VOI内に位置付けられた少なくとも1つのフィデューシャルマーカを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記患者の前記VOIにおける前記ROIは、前記VOI内に位置付けられた解剖学的特徴を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記撮像源のアパーチャを調節するステップは、前記アパーチャのサイズを前記ROIのサイズに対応するよう調節するステップを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記撮像源のアパーチャを調節するステップは、前記アパーチャの形状を調節するステップを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項8】
記アパーチャを前記第3FOVに調節するステップは、前記第3FOVを使用して前記第2位置から前記ROIを撮像するために、前記第2FOVを使用して前記第1位置から前記ROIを撮像した後、前記イメージャ前記第1位置から前記第2位置に移動させる間に生じる
請求項1に記載の方法。
【請求項9】
X線撮像源及びX線検出器を含み、前記X線撮像源が可変アパーチャコリメータを含むX線イメージャと、
前記X線イメージャに作動可能に結合された処理デバイスと、
を備えたシステムであって、
前記処理デバイスが、
前記X線イメージャによって第1位置からの患者の関心領域(ROI)を含む関心体積(VOI)の第1視野(FOV)を撮像し、
前記X線イメージャによって第2位置からの前記患者のROIを含む前記VOIの第1FOVを撮像し、
撮像される前記ROIを指定する前記第1位置からの前記撮像されたVOIの第1部分の第1識別情報を受け取り、
撮像される前記ROIを指定する前記第2位置からの前記撮像されたVOIの第2部分の第2識別情報を受け取り、
前記ROIの動きを追跡し、
前記第1識別情報の受け取りに応答して、前記ROIの前記追跡された動きに基づいて、前記X線撮像源の前記可変アパーチャを、前記第1位置からの前記第1FOVより小さく且つ前記第1位置からの前記ROIに対応する第2FOVに調節し、
前記第2FOVを用いて前記第1位置からの前記患者の前記ROIを撮像し、
前記第2識別情報の受け取りに応答して、前記ROIの前記追跡された動きに基づいて、前記X線撮像源の前記可変アパーチャを、前記第2FOVとは異なり、前記第2位置からの前記第1FOVより小さく、且つ、前記第2位置からの前記ROIに対応する第3FOVに調節し、
前記第3FOVを用いて前記第2位置からの前記患者の前記ROIを撮像し、前記第2位置は前記第1位置とは異なる位置である、
ことを特徴とする、システム。
【請求項10】
前記撮像されたVOIの前記第1部分の前記第1識別情報及び前記撮像されたVOIの前記第2部分の前記第2識別情報は、前記ROIのユーザ選択に基づく、
請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記撮像されたVOIの前記第1部分の前記第1識別情報及び前記撮像されたVOIの前記第2部分の前記第2識別情報は、前記ROIの自動識別情報に基づく、
請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
前記患者の前記VOIにおける前記ROIは、前記VOI内に位置付けられた少なくとも1つのフィデューシャルマーカである、
請求項9に記載のシステム。
【請求項13】
前記患者の前記VOIにおける前記ROIは、前記VOI内に位置付けられた解剖学的特徴である、
請求項9に記載のシステム。
【請求項14】
前記X線撮像源のアパーチャを調節するステップは、前記アパーチャのサイズを前記ROIのサイズに対応するよう調節するステップを含む、
請求項9に記載のシステム。
【請求項15】
前記X線撮像源のアパーチャを調節するステップは、前記アパーチャの形状を調節するステップを含む、
請求項9に記載のシステム。
【請求項16】
記アパーチャを前記第3FOVに調節するステップは、前記第3FOVを使用して前記第2位置から前記ROIを撮像するために、前記第2FOVを使用して前記第1位置から前記ROIを撮像した後、前記イメージャ前記第1位置から前記第2位置に移動させる間に生じる
請求項9に記載のシステム。
【請求項17】
前記X線撮像源は、キロ電圧(kV)X線撮像源を含む、
請求項9に記載のシステム。
【請求項18】
前記X線撮像源は、メガ電圧(MV)X線撮像源を含む、
請求項9に記載のシステム。
【請求項19】
命令を有する非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体であって、前記命令は、処理デバイスによって実行されたときに、請求項1に記載の方法を前記処理デバイスに実行させる、非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体。
【請求項20】
前記撮像源のアパーチャを調節するステップは、前記アパーチャのサイズを前記ROIのサイズに対応するよう調節するステップを含む、
請求項19に記載の非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体。
【請求項21】
前記撮像源のアパーチャを調節するステップは、前記アパーチャの形状を前記ROIの形状に対応するよう調節するステップを含む、
請求項19に記載の非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体。
【請求項22】
前記撮像源のアパーチャは、前記イメージャが前記第1位置から前記第2位置に移動する間に調節される、
請求項19に記載の非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、その内容全体が引用により本明細書に組み入れられる、名称が「撮像放射線量の制限及び治療送出中の画像品質の改良」の2018年3月15日に出願された米国特許出願第15/922,688号明細書に対して米国特許法第119(e)条に基づく優先権を主張する。
【0002】
本開示の実施形態は、放射線治療送出撮像の分野に関する。
【背景技術】
【0003】
放射線療法治療の間のフラクション内(intra-franction)の腫瘍の動きは、最近の画像誘導放射線治療における問題点である。放射線腫瘍治療システムの提供者は、放射線標的の2DX線像を取得するためにkVX線撮像システムを組み入れて、腫瘍位置に関する情報をリアルタイムで提供している。この情報は、治療システムによって用いられ、治療線量の送出を修正し腫瘍の動きを補償することができる。
【0004】
これらの開発と並行して、医療撮像手法から患者によって吸収される放射線量が注視されるようになってきた。放射線治療手法においてX線撮像システムを使用することにより、患者が吸収する放射線量が増大することになる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
1つの実施形態において、装置は、ヘリカル(helical)送出システムのX線撮像源を備え、このX線撮像源は可変アパーチャコリメータを含む。コリメータは、マルチリーフコリメータを備えることができる。或いは、コリメータは、アイリスコリメータを備えることができる。
【0006】
1つの実施形態において、方法は、患者の関心領域(ROI)を含む関心体積(VOI)を備えた治療プランニングシステムから画像を受け取るステップと、治療プランニングシステムからの画像の受け取りに応答して、X線撮像源のアパーチャをVOIに対応する第1視野(FOV)に調節するステップと、を含む。本方法はまた、X線イメージャによって患者のROIを含むVOIの第1FOVを撮像するステップを含む。本方法はまた、撮像されるROIを指定する撮像されたVOIの識別情報を受け取るステップと、識別情報の受け取りに応答して、X線撮像源のコリメータのアパーチャをROIに対応する第2FOVに調節するステップを含み、第2FOVは、第1FOVとは異なる。本方法はまた、第2FOVを用いて患者のROIを撮像するステップを含む。本方法は更に、患者のROIを含むVOIを備えたセットアップ画像を受け取るステップと、セットアップ画像の受け取りに応答して、X線撮像源のコリメータのアパーチャをVOIの一部分に対応する第3FOVに調節するステップと、患者のROIを含むVOIの一部分の第3FOVを撮像するステップと、を含むことができる。
【0007】
1つの実施形態において、本方法は、患者の関心領域(ROI)を含む関心体積(VOI)の診断前(又はセットアップ前)スキャンを生成するステップと、診断前スキャンの受け取りに応答して、X線撮像源のコリメータのアパーチャをVOIに対応する第1視野(FOV)に調節するステップと、を含む。本方法はまた、X線イメージャにより患者のROIを含むVOIの第1FOVを撮像するステップと、撮像されるROIを指定するVOIの撮像された第1部分の第2部分の第2識別情報を受け取るステップと、を含む。第2識別情報の受け取りに応答して、本方法はまた、X線撮像源のコリメータのアパーチャをROIに対応し第1FOVとは異なる第2FOVに調節するステップと、第2FOVを用いて患者のROIを撮像するステップと、を含む。
【0008】
1つの実施形態において、本方法は、第1X線撮像源を含む第1X線イメージャによって第1位置からの患者の関心領域(ROI)を含む関心体積(VOI)の第1視野(FOV)を撮像するステップと、第2X線撮像源を含む第2X線イメージャによって第2位置からの患者のROIを含むVOIの第2FOVを撮像するステップと、を含む。本方法はまた、撮像されるROIを指定する第1位置からの撮像されたVOIの第1部分の第1識別情報を受け取るステップと、撮像されるROIを指定する第2位置からの撮像されたVOIの第2部分の第2識別情報を受け取るステップと、を含む。本方法はまた、第1識別情報の受け取りに応答して、第1X線撮像源のコリメータのアパーチャを第1位置からの第1FOVとは異なり、第1位置からのROIに対応する第3FOVに調節するステップと、第3FOVを用いて第1位置からの患者のROIを撮像するステップと、を含む。本方法はまた、第2識別情報の受け取りに応答して、第2X線撮像源のコリメータのアパーチャを第2位置からの第2FOVとは異なり、第2位置からのROIに対応する第4FOVに調節するステップと、第4FOVを用いて第2位置からの患者のROIを撮像するステップと、を含む。
【0009】
本開示の実施形態は、添付図面の図において限定ではなく例証として示される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の実施形態によるヘリカル送出システムを示す図である。
図2図1の治療撮像システムの断面図である。
図3】本開示の実施形態による、関心領域を撮像するためにkV撮像源のコリメータのアパーチャを調節する方法を示すフローチャートである。
図4】第1角度からの全視野(FOV)を有するX線画像を生成するステップを示す図である。
図5】第2角度からの全FOVを有するX線画像を生成するステップを示す図である。
図6A図4において生成されたX線画像における関心領域(ROI)の識別情報を示す図である。
図6B図5で生成されたX線画像におけるROIの識別情報を示す図である。
図7】本開示の実施形態による図1のコリメータを示す図である。
図8】第1角度からの部分的FOVを有するX線画像の生成を示す図である。
図9】第2角度からの部分的FOVを有するX線画像の生成を示す図である。
図10】kV撮像源が第1角度から第2角度まで回転する間にkX撮像源のコリメータのアパーチャを調節する方法を示す図である。
図11A図8において生成された第1角度からのX線画像を示す図である。
図11B図9において生成された第2角度からのX線画像を示す図である。
図12】本開示の実施形態を実施することができる画像誘導放射線治療システムの構成を示す図である。
図13】本開示の実施形態を実施することができるガントリベースの放射線治療システムの構成を示す図である。
図14】本開示の実施形態を実施することができるポータル撮像システムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
放射線治療手法を制御するために、治療される標的領域(例えば腫瘍)の位置は、キロボルト(kV)X線撮像システムを用いて追跡することができる。これは、肺又は肺の近傍、心臓又は心臓の近傍、前立腺又は前立腺の近傍及びその他にある標的領域など、治療中に移動する可能性がある標的にとって特に重要とすることができる。幾つかのタイプの標的領域では、患者への追加の放射線の曝露に起因して標的領域を追跡する既存の手法が最適ではない場合がある。例えば、一部の標的領域は、患者を多くの放射線量に曝露させる使用可能なX線画像を得るために、撮像X線ビームのエネルギーの増加を必要とする可能性がある。別の実施例では、患者内で移動している標的領域を正確に治療するために、標的領域のX線画像が、標的領域の位置を検証するのに十分な周波数で生成される場合があり、患者を追加の放射線に曝露させてしまう。本開示の実施形態は、放射線治療送出中の患者の治療関心体積(VOI)内でより小さな関心領域(ROI)の画像を生成及び使用して、追加の放射線への患者の曝露を最小限にする方法及びシステムに関する。
【0012】
治療送出中、ROIの動的追跡は、標的領域を識別するために撮影されるX線画像の使用に基づいて実施することができる。標的領域の位置がコンピュータで計算されると、治療送出(例えば、放射線治療送出システムの放射線ビーム源位置)を調節して、標的の動的な動きを補償することができる。標的領域の動きを正確に追跡するために、X線撮像システムを用いて治療全体にわたり患者内の標的のX線画像を連続的に生成することができる。しかしながら、この結果として、患者が追加の放射線に曝露される可能性がある。
【0013】
本開示の1つの実施形態は、コリメータによってkV撮像源の視野(FOV)を治療標的の周りの特定の関心領域(ROI)に対してより小さな視野に調節することにより、上述の追加の放射線への曝露問題を最小限にすることができる。例えばX線撮像システムの全FOVにおけるROIの識別情報に基づいて、kV撮像源のコリメータのアパーチャを調節し、ROIのサイズ又は形状に対応することができ、これにより、例えば患者セットアップ段階の間に生成された全FOVX線画像よりも小さなFOVを有することができるROIのX線画像を生じる。これにより、ROIを囲む健康な組織を望ましくない放射線に曝すことなく全FOVを有するX線画像と同じか又は優れた品質を有するROIのX線画像の生成を可能にし、患者への全体的な画像放射線量を低減させることを可能にすることができる。換言すると、本開示の実施形態は、照射される組織の量を低減することができ、これにより散乱を低減し、従って、より大きなFOVを有する当該領域の画像品質(例えばコリメートされていない)に対して撮像される低減されたFOVの画像品質を改良することができる。
【0014】
以下に説明する一部の実施形態では、同じ放射線源を用いて高エネルギー治療放射線及び低エネルギー撮像放射線の両方を提供できる点に留意されたい。このような実施形態では、放射線源は、一次コリメータ及び二次コリメータを有する線形加速度(LINAC)とすることができる。一次コリメータは、固定アパーチャを有することができ、電子ビームがX線発射標的を通過した後に位置付けられる。二次コリメータは、以下に詳細に説明するように、一次コリメータの後に位置付けることができ、また可変アパーチャを有することができる。
【0015】
本開示の実施形態は、特に放射線外科治療システム及び方法に応用可能であり、本文脈では、本開示のこれらの実施形態について説明する。しかしながら、本開示によるシステム及び方法は、他のタイプの医療器具による他のタイプの医療手法などに健康な組織への損傷を避けるために患者内の標的領域にて治療を正確に位置付けることが必要である他のタイプの治療に優れた有用性を有することは理解されるであろう。
【0016】
図1は、本開示の実施形態によるヘリカル送出システム100を示す。図1のヘリカル送出システム100は、リングガントリ120に装着された線形加速器(LINAC)110を含むことができる。LINAC110を用いてX線発射標的に向けて電子ビームを配向することによって、狭い強度変調ペンシルビーム(すなわち治療ビーム)を生成することができる。この治療ビームは、放射線を標的領域(すなわち腫瘍)に送出することができる。リングガントリ120は一般的には、トロイダル形状を有し、この中で患者130がリング/トロイドのボアを通って延在し、LINAC110がリング外周に装着され、中心を貫通する軸の周りを回転して、患者の周りの1又は2以上の角度からビームが照射される状態で標的領域を照射する。治療中、患者130は、治療寝台140上でガントリのボアを通って同時に移動することができる。
【0017】
図1のヘリカル送出システム100は、kV撮像源150及びX線検出器170を含むことができる治療撮像システムを含む。kV撮像源150を用いて、kV撮像源150の反対側にあるX線検出器170上に入射するX線ビームのシーケンスをROIで配向し、セットアップの患者130を撮像して治療中画像を生成することによって、患者130のROIのX線画像を生成することができる。治療撮像システムは更に、コリメータ160を含むことができる。1つの実施形態において、コリメータ160は、図7で説明する可変アパーチャコリメータとすることができる。別の実施形態では、コリメータ160は、マルチリーフコリメータ(MLC)とすることができる。MLCは、MLCのアパーチャを調節して撮像X線ビームの成形を可能にするために可動式である複数のリーフを収容するハウジングを含む。別の実施形態では、可変アパーチャコリメータ160は、カメラアイリスに類似の方式でフレームに沿って移動して撮像X線ビームの成形を可能にする可変サイズのアパーチャを生成する台形ブロックを包含するアイリスコリメータとすることができる。kV撮像源150及びX線検出器170は、リングガントリ120上にLINAC110に対して直角に(例えば90度分離させて)装着することができ、標的領域にて撮像X線ビームを投射して患者130を通過した後に検出器170の撮像面を照明するよう位置合わせすることができる。一部の実施形態では、LINAC110及び/又はkV撮像源150は、アイソセンターを通過する軸の周りにLINAC110及びkV撮像源150を回転させるCアームガントリにカンチレバー状の様式で装着することができる。
【0018】
1つの実施形態において、放射線治療システム100は、標的の動きを決定するモーション検出デバイス180を含むことができる。モーション検出デバイス180は、撮像場内で起こる外側の患者の動き(呼吸中の胸の移動など)を検出することができる。モーション検出デバイス180は、標的の動きを識別することができる何れかのセンサ又は他のデバイスとすることができる。モーション検出デバイス180は、例えば、カメラなどの光学センサ、圧力センサ、電磁センサ、又は患者130に電離放射線を送出することなくモーション検出を提供できる他の何れかのセンサ(例えば、X線撮像システム以外のセンサ)とすることができる。1つの実施形態において、モーション検出デバイス180は、標的の動きを示す測定データをリアルタイムで取得する。或いは、測定データは、X線撮像により(各X線画像によって患者130に送出される電離放射に起因して)達成できるよりも高い(場合によってはかなり高い)又は望ましい以上の周波数で取得することができる。1つの実施形態において、モーション検出デバイス180は、高い絶対位置精度を提供しない。代わりに、モーション検出デバイス180は、患者の移動及び/又は標的の移動を検出するのに十分な相対的位置精度を提供することができる。
【0019】
1つの実施形態において、モーション検出デバイス180は、カメラなどの光学系である。光学系は、患者130に位置している発光ダイオード(LED)190の位置を追跡することができる。或いは、光学系は、患者130のLED190の追跡とは区別される、患者130の表面領域(例えば皮膚表面)を直接追跡することができる。以下の図3~6で詳細に説明される標的領域の移動と、LED及び/又は患者130の表面領域の移動との間に相関関係が存在することができる。標的領域の位置と追跡しているLED190及び/又は患者130の表面領域との間に相関関係モデルを生成して、その後の時点での標的領域の位置を予測することができる。この予測に基づいて、kV撮像源150のコリメータ160のアパーチャを調節して、標的領域の予測位置に対応することができる。コリメータ160のアパーチャの調節について、以下の図7で詳細に説明する。
【0020】
図2は、図1の治療撮像システムの断面200である。前述のように、kV撮像源150は、患者を通過した後にX線検出器170の撮像面を照明する治療システムのボア220を通して撮像X線ビーム210を投射する。kV撮像源150及びX線検出器170は、治療システムのボア220の周りのリングガントリ120の円形トラック230に沿って回転し、複数の角度からの標的領域のX線画像を生成することができる。
【0021】
図3は、本開示の実施形態による、標的領域を撮像するためにkV撮像源のコリメータのアパーチャを調節する方法を示すフローチャート300である。図3の方法は、VOIの全FOV画像からの標的領域を含むROIの識別情報を可能にする。この識別情報を用いて、治療撮像システムは、識別されたROIに対応するようコリメータ160のアパーチャを調節し、ROIを囲む組織の放射線曝露を最小限にする。ブロック302において、kV撮像源150及びX線検出器170は、第1角度からの標的領域を包含する患者のVOIの画像を生成する。ブロック304において、第1角度からの患者のVOIのX線画像を生成した後に、kV撮像源150及びX線検出器170は、第2角度まで回転することができる。ブロック306において、kV撮像源150及びX線検出器170は、第2角度からの標的領域を包含する患者のVOIの画像を生成する。一部の実施形態では、第1角度及び第2角度は、治療プランニングシステムを用いた治療の前に決定することができる。VOIの画像は、全FOVで取り込むことができ、ここではコリメータデバイスが撮像X線ビームを成形しない場合がある。一部の実施形態では、標的領域を含むROIは、治療プランニング段階中に識別することができ、VOIの画像は、治療プランニング中に識別されたROIに対応する部分的FOVで取り込むことができる。
【0022】
ブロック308において、治療撮像システムは、ブロック302で生成されたVOI画像における標的領域を含むROIの識別情報を受け取る。一部の実施形態では、標的領域は、生成された画像からユーザが標的領域を選択することによって識別することができる。他の実施形態では、標的領域は、画像認識ソフトウェア又は同様のものを用いて治療撮像システムによって識別することができる。ブロック310において、治療撮像システムは、ブロック306にて生成されたVOI画像における標的領域を含むROIの識別情報を受け取る。標的領域は、ブロック308にて記載された方法と類似した方法を用いて識別することができる。ブロック312において、kV撮像源150のコリメータ160のアパーチャは、上述の方法を用いて調節して、ブロック308にて識別されたROIに対応することができる。アパーチャの調節は、kV撮像源150及びX線検出器170が、ブロック302にてFOVより小さな部分的FOVを有する画像を生成することを可能にすることができる。ブロック314において、kV撮像源150及びX線検出器170は、第1角度からのROIの部分的FOVを有する画像を生成し、結果として得られる画像は、ブロック308にて識別されたROIに対応することができる。ブロック316において、第1角度からの患者のROIのX線画像を生成した後に、kV撮像源150及びX線検出器170は、第2角度まで回転することができる。ブロック318において、kV撮像源150のコリメータ160のアパーチャは、ブロック310にて識別されたROIに対応するように上述の方法を用いて調節することができる。アパーチャの調節により、kV撮像源150及びX線検出器170がブロック306でFOVよりも小さな部分的FOVを有する画像を生成できるようにすることができる。ブロック320において、kV撮像源150及びX線検出器170は、第2角度からのROIの部分的FOVを有する画像を生成し、結果として得られる画像は、ブロック310にて識別されたROIに対応することができる。本発明の実施形態は、患者130に送出される放射線量を低減するために部分的FOVを有するROIの撮像を記載している。しかしながら、標的領域の実際の追跡は、患者130に取り付けられた外部マーカを用いた他の技術と共に用いられ、外部マーカの移動と標的領域の移動を相関付けることができる。1つのこのようなシステムの例は、Accuray社によって開発されたSynchrony(商標)呼吸追跡システムである。
【0023】
図4は、第1角度からの全FOVを有するX線画像を生成する図400である。図4に示した図は、本開示の実施形態による図3の方法のブロック302を表すことができる。kV撮像源150及びX線検出器170は、第1角度からの標的領域420を包含する患者130のVOIの全FOVを有する撮像X線ビーム410を生成する。撮像X線ビーム410は、患者130及び標的領域420を通過して、X線検出器170に入射する。撮像X線ビーム410は、患者130を通過した後にX線検出器170の撮像面を照明し、これを治療撮像システムによって用いて、第1角度からの第1位置の標的領域420を包含するVOIのX線画像を生成することができる。第1角度からのVOIのX線画像が取得されると、kV撮像源150及びX線検出器170は、ブロック304で上述したように、円形トラック230に沿って第2角度まで回転させることができる。
【0024】
kV撮像源150及びX線検出器170が第2角度位置に到達すると、VOIの全FOVをカバーする画像を生成することができる。図5に示した図500は、本開示の実施形態による、図3の方法のブロック306を表すことができる。kV撮像源150及びX線検出器170は、第2角度からの標的領域420を包含する患者130のVOIの全FOVを有する撮像X線ビーム510を生成する。撮像X線ビーム510は、患者130及び標的領域420を通過して、X線検出器170に入射する。撮像X線ビーム510は、患者130を通過した後にX線検出器170の撮像面を照明して、これを治療撮像システムが用いて、第2角度からの標的領域420を包含するVOIのX線画像を生成することができる。
【0025】
図6Aは、図4で生成されたX線画像における関心領域(ROI)の識別情報の図である。第1角度からのVOIの生成されたX線画像600は、標的領域420と、標的領域420の近くに位置付けられた内部参照構造620を含むことができる。図示した実施形態では、内部参照構造620は、標的領域420内又はその近傍に埋め込まれ且つX線画像600において可視であるフィデューシャルマーカとすることができる。別の実施形態では、内部参照構造620は、標的領域420に近接して位置付けられた患者130の骨とすることができる。一部の実施形態では、標的領域420の可視X線画像を生成することを可能にすることができ、また、標的領域420の直接標的撮像を実施することができる。次いで、治療システムは、標的領域420を含む、第1角度からのROI610の識別情報を受け取ることができる。上述のように、一部の実施形態では、ROIの識別情報は、ユーザによるROIの選択に基づくことができる。ユーザによるROIの選択は、ヘリカル送出システムのユーザインタフェースからROIをユーザが選択することにより完了することができる。他の実施形態では、ROIは、画像認識ソフトウェア又は同様のものを用いてヘリカル送出システムによって自動的に識別することができる。他の実施形態では、ROIの選択は、治療プランニングシステム又は診断前スキャンから受け取ることができる。
【0026】
図6Bは、図5で生成されたX線画像におけるROIの識別情報の図である。第2角度からのVOIの生成されたX線画像620は、標的領域420並びに標的領域を囲むVOIを包含することができる。次いで、治療システムは、標的領域420を含む第2角度からのROI630の識別情報を受け取ることができる。ROI630の識別情報は、図6Aで記載された方法に類似した方法を用いて完了することができる。
【0027】
図7は、本開示の実施形態による、図1のコリメータ160の図700である。1つの実施形態において、コリメータ160は、可変アパーチャコリメータとすることができる。kV撮像源150のコリメータ160のアパーチャ750は、図3のブロック312及びブロック318で上述したように調節することができる。アパーチャのサイズ及び/又は形状は、図6A及び6Bにおいて識別されたROIに対応するよう調節することができる。コリメータ160は、一連のプレート710、720、730、740から構成することができ、ここでプレートの位置付けにより、プレートの中心にてアパーチャ750が生成される。撮像X線ビームがアパーチャ750を通過して、撮像X線ビームの形状は、アパーチャ750の形状に対応することができる。従って、X線ビームのサイズ及び形状は、コリメータ160内でプレート710、720、730、740を移動させることでアパーチャ750のサイズ及び形状を変えることにより調節することができる。プレート710、720、730、740は、鉛など、放射線の通過を阻止する材料から作ることができる。プレート710及び720は、コリメータ160内の平行面上に位置付けることができ、縦軸に沿って互いに独立して垂直方向に移動することができる。プレート730及び740は、コリメータ160内の平行面上に位置付けることができ、横軸に沿って互いに独立して水平方向に移動することができる。一部の実施形態では、プレート710、720、730、740は、延長又は収縮することができるプレート710、720、730、740に結合された一連のアクチュエータによって動かすことができる。別の実施形態では、ユーザによりプレートを横軸又は縦軸に沿って滑動させ、プレート710、720、730、740をファスナーで所定位置に固定することにより、手動で動かすことができる。従って、アパーチャ750及びX線ビームは、様々なサイズを有する様々な矩形形状に調節することができる。上述のように、一部の実施形態では、コリメータ160は、カメラアイリスに類似の方式でフレームに沿って移動して撮像X線ビームの成形を可能にする可変サイズのアパーチャを生成する台形ブロックを包含する可変アパーチャコリメータとすることができる。
【0028】
図8は、第1角度からの部分的FOVを有するX線画像を生成する図800である。図8に示した図は、本開示の実施形態による、図3の方法のブロック314を表すことができる。撮像の前に、コリメータ160は、図7で記載した方法を用いて図6Aにおいて識別されたROIに対応するようアパーチャを調節することができ、kV撮像源150のための部分的FOVを作成することができる。次いで、kV撮像源150は、第1角度からの標的領域420を含む患者130のROIの部分的FOVを有する撮像X線ビーム810を生成することができる。撮像X線ビーム810は、患者130及び標的領域420を通過して、X線検出器170に入射する。撮像X線ビーム810は、患者130を通過した後にX線検出器170の撮像面を照明し、これを治療撮像システムが用いて、第1角度からの標的領域420を含むROIのX線画像を生成することができる。第1角度からのROIのX線画像が取得されると、kV撮像源150及びX線検出器170は、円形トラック230に沿って第2角度まで回転することができる。
【0029】
kV撮像源150及びX線検出器170が第2角度に到達すると、第2角度からのROIの部分的FOVをカバーする画像を生成することができる。図9に示した図900は、本開示の実施形態による、図3の方法のブロック320を表すことができる。撮像の前に、コリメータ160は、図7に記載した方法を用いて図6Bにおいて識別されたROIに対応するようアパーチャを調節することができ、kV撮像源150のための部分的FOVを作成することができる。次いで、kV撮像源150及びX線検出器170は、第2角度からの標的領域420を含む患者130のROIの部分的FOVを有する撮像X線ビーム910を生成することができる。撮像X線ビーム910は、患者130及び標的領域420を通過して、X線検出器170によって収集される。撮像X線ビーム810は、患者130を通過した後にX線検出器170の撮像面を照明し、これを治療撮像システムが用いて、第1角度からの標的領域420を包含するROIのX線画像を生成することができる。第1角度からのROIのX線画像が取得されると、kV撮像源150及びX線検出器170は、円形トラック230に沿って回転して第1角度まで戻すことができ、ここで撮像シーケンスを繰り返すことができる。
【0030】
図10は、kV撮像源150が第1角度から第2角度まで回転する間にkV撮像源150のコリメータのアパーチャを調節する方法の図1000である。kV撮像源150は、第1角度1010に位置付けることができ、図8に示されるようにROIを撮像するためにFOV1020を有する撮像X線ビーム810を生成することができる。X線画像が取り込まれた後、kV撮像源150及びX線検出器170は、第2角度まで回転を始めることができる。kVイメージャが第2角度に向かって回転すると、kV撮像源150のコリメータのアパーチャは、上述した方法に従って調節を開始することができる。1つの実施形態において、角度1030において、kVイメージャは、第1角度と第2角度の間の回転の過程にあるとすることができる。kV撮像源150のコリメータのアパーチャを調節して、第1角度1010でのFOV1020に対してFOV1050を小さくすることができる。別の実施形態では、kVイメージャが第2角度に到達すると、kV撮像源150のコリメータのアパーチャを調節することができる。kVイメージャが第2角度1060に到達したときには、図6Bにおいて識別されたROIに対応するようにするkV撮像源150のコリメータのアパーチャの調節は、完了することができる。次いで、kVイメージャは、図9に示したようにROIを撮像するためにFOV1070を有する撮像X線ビーム910を生成することができる。
【0031】
図11Aは、図8において生成された第1角度からのX線画像の図1100である。X線画像1110は、図6Aにおいて識別されたROIに対応することができ、第1角度からの患者130の標的領域420を含むことができる。図11Bは、図9において生成された第2角度からのX線画像の図1120である。X線画像1130は、図6Bにおいて識別されたROIに対応することができ、第2角度からの患者130の標的領域420を含むことができる。一部の実施形態では、撮像シーケンスは、図6A及び6Bにおいて識別されたROIを用いて治療セッション中に繰り返すことができる。他の実施形態では、治療撮像システムは、上述した方法を用いて図11A及び11BのX線画像における新しいROIの識別情報を受け取ることができ、新しい撮像シーケンスを始めることができる。
【0032】
図12は、本開示の実施形態を実施することができる画像誘導放射線治療(IGRT)システム1200の構成を示す。IGRTシステム1200は、kV撮像源1202A及び1202Bを含むことができ、これらは、オペレーティングルームの天井1220のトラック1222A及び1222Bに装着することができ、2つの異なる位置から撮像X線ビーム1204A及び1204Bを投射するよう位置合わせすることができ、その結果、ビーム1204Aの放射線1212Aが、撮像中心1226(すなわちアイソセンター)にてビーム1204Bの放射線1212Bと交差して、治療ビーム1216A、1216B及び1216Cを生成するためのLINAC1208及び治療中の治療寝台1214上の患者1210を位置付けるための基準ポイントを提供する。撮像X線ビーム1204A及び1204Bは、患者1210を通過した後、オペレーティングルームの床1218又はこの近傍で互いに実質的に平行(例えば5度以内)に装着することができるX線検出器1224A及び1224Bのそれぞれの撮像表面を照明することができる。kV撮像源1202A及び1202Bは、kV撮像源1202A及び1202Bの撮像表面が単一の撮像面を形成するように実質的に同一平面に存在することができる。1つの実施形態において、kV撮像源1202A及び1202Bは、単一のkV撮像源と置き換えることができる。患者1214のX線画像が生成されると、LINAC1208が回転して、異なる角度から治療ビーム1216を生成することができる。LINAC1208が異なる角度まで回転する間に、kV撮像源1202A及び1202Bは、トラック1222A及び1222Bに沿って移動して、新しい角度からの患者1210のX線画像を生成することができる。
【0033】
一部の実施形態では、kV撮像源及びLINACは、他のタイプのガントリベースシステムで、例えば図13に示したVarian Medical Systemによって製造されたTrueBeam(商標)放射線治療システムで用いることができる。放射線治療システム1300は、アイソセンターを通過する軸の周りを回転するCアームガントリ1320に装着されたLINAC1310を含むことができる。放射線治療システムはまた、kV撮像源1330及びX線検出器1340から構成される治療撮像システムを含むことができる。可変アパーチャコリメータ及びX線検出器1340を有するkV撮像源1330は、Cアームガントリ1320のアイソセンターに対して互いに反対側に位置付けられたロボットアームに装着されて、治療寝台1350上の患者のVOIの撮像を可能にすることができる。
【0034】
本開示の実施形態は、図14に示されるようにポータル撮像システム1400において実施することができる。ポータル撮像システム1400では、LINACのビームエネルギーを治療中に調節することができ、X線撮像及び放射線治療の両方にLINACを使用できるようにすることができる。ガントリベースの放射線システム1400は、ガントリ1410、放射線源1420(すなわちLINAC)及びポータル撮像デバイス1450を含む。ガントリ1410は、選択された投射に対応する角度まで回転させ、治療寝台1440上の患者1430のVOIのX線画像を取得するのに用いることができる。次いで、放射線源1420は、患者1430のVOIを通過するX線ビームを生成することができ、ポータル撮像デバイス1450に入射してVOIのX線画像を生成する。VOIのX線画像が生成された後、放射線源1420のビームエネルギーを増加させ、これによって放射線源1420は患者1430の標的領域を治療するための治療ビームを生成することができる。
【0035】
或いは、本明細書で記載されるkV撮像源及び動作方法は、他のタイプのガントリベースのシステムにも用いることができる。一部のガントリベースのシステムでは、ガントリは、アイソセンターを通過する軸の周りにkV撮像源及びLINACを回転させる。ガントリベースのシステムは、患者の身体がリング/トロイドのボアを通って延びる略トロイド形状を有するリングガントリを含み、kV撮像源及びLINACは、リングの周囲に装着されてアイソセンターを通過する軸の周りを回転する。ガントリベースのシステムは更に、Cアームガントリを含むことができ、CアームガントリにkV撮像源及びLINACがカンチレバー状の方式で装着され、アイソセンターを通過する軸の周りを回転する。別の実施形態では、kV撮像源及びLINACは、kV撮像源及びLINACが装着されるロボットアームを含むロボットアームベースのシステムにて用いることができる。
【0036】
上述の説明から明らかなものとして特に明記されていない限り、「processing(処理する)」、「computing(コンピュータ計算する)」、「generating(生成する)」、「comparing(比較する)」、「determining(決定する)」、「calculating(計算する)」、「performing(実行する)」、「identifying(識別する)」などの用語は、コンピュータシステム、又はコンピュータシステムのレジスタ及びメモリ内の物理的(例えば電子的)な量として表されるデータを操作して、コンピュータシステムのメモリ又はレジスタ又は他のこのような情報ストレージ又はディスプレイデバイス内の物理的量として同様に表される他のデータに変換するコンピュータシステム又は類似の電子コンピュータデバイスの動作及び処理を指すことができると理解されるであろう。本明細書で説明する方法の実施形態は、コンピュータソフトウェアを用いて実施することができる。認可規格に準拠するプログラミングで書かれている場合、本方法を実行するように設計された命令シーケンスは、多種多様なハードウェアプラットフォーム上での実行及び多種多様なオペレーティングシステムへのインタフェースのためにコンパイルすることができる。加えて、本開示の実施形態は、何れかの特定のプログラミング言語を参照して記載されていない。多種多様なプログラミング言語を用いて本開示の実施形態を実施できることは、理解されるであろう。
【0037】
本明細書で説明した方法及び装置は、医療診断撮像及び治療の使用のみに限定されない点に留意されたい。代替の実施形態では、本明細書の方法及び装置は、工業用撮像及び材料の非破壊試験などの医療技術分野以外の用途で用いることができる。このような用途では、例えば「治療」は、ビーム(例えば放射線、音響など)の適用などの治療プランニングシステムによって制御される動作の達成を一般に指すことができ、「標的」は、非解剖学的物体又は領域を指すことができる。
【0038】
概要に記載したものを含む本開示の例証の実施形態の上記の説明は、包括的であること又は本開示を開示される形態に限定することを意図するものではない。本開示の特定の実施形態及び実施例は、例証の目的で本明細書に記載されており、様々な等価の修正形態が、当業者が理解するであろう本開示の範囲内で実施可能である。単語「example(例)」又は「exemplary(例示的)」は、実施例、事例、又は例証として機能することを意味するものとして本明細書で用いられる。「example(例)」又は「exemplary(例示的)」として本明細書に記載される何れかの態様又は設計は、必ずしも他の態様又は設計に対して好ましい又は有利であるとみなされるものではない。逆に、単語「example(例)」又は「exemplary(例示的)」の使用は、明確な方式で概念を示すことを意図している。本出願で用いられる「or(又は)」という用語は、排他的な「or(又は)」ではなく、包括的な「or」を意味するものとする。すなわち、別途指示のない限り、又は文脈から明らかでない限り、「XはA又はBを含む」は、必然的な包含的置換の何れも意味することを意図している。すなわち、XがAを含む、XがBを含む、又はXがA及びBの両方を含む場合、「XはA又はBを含む」は、上述の事例の何れの下でも満足される。加えて、本出願及び添付の請求項で用いる冠詞「a」及び「an」は、一般的には、他に指示がない限り又は単数形として指示されるよう文脈から明らかでない限り、「1又は2以上」を意味するものと解釈すべきである。更に、全体を通して用語「ある実施形態」又は「1つの実施形態」又は「ある実施構成」又は「1つの実施構成」の使用は、そのようなものとして記載されない限り、同じ実施形態又は実施構成を意味することを意図するものではない。本明細書で用いる場合の用語「第1」、「第2」、「第3」、「第4」などは、異なる要素を区別するためのラベルを意味し、必ずしもその数値的表示に従う序数の意味を有するものではない。
【0039】
上述の明細書では、特定の例示的な実施形態を参照しながら本開示を説明した。しかしながら、添付の請求項に示される本開示の広範な精神及び範囲から逸脱することなく、様々な修正及び変更が本開示に行い得ることが明らかであろう。従って、本明細書及び図面は、限定的な意味ではなく例証の意味とみなすべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12
図13
図14