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特許7451422イオン発生装置、放電基板および電子機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-08
(45)【発行日】2024-03-18
(54)【発明の名称】イオン発生装置、放電基板および電子機器
(51)【国際特許分類】
   H01T 19/04 20060101AFI20240311BHJP
【FI】
H01T19/04
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020557584
(86)(22)【出願日】2019-11-20
(86)【国際出願番号】 JP2019045386
(87)【国際公開番号】W WO2020110851
(87)【国際公開日】2020-06-04
【審査請求日】2022-09-21
(31)【優先権主張番号】P 2018221708
(32)【優先日】2018-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】大江 信之
(72)【発明者】
【氏名】江崎 哲也
(72)【発明者】
【氏名】岡野 哲之
【審査官】鎌田 哲生
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/141034(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/049933(WO,A1)
【文献】特開2004-087971(JP,A)
【文献】特開2015-022996(JP,A)
【文献】特開2008-027724(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01T 17/00-23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放電電極が実装されるとともに、当該放電電極に接続された第1電極が形成された放電電極基板と、
前記放電電極との間で放電を生じる誘導電極および当該誘導電極に接続された第2電極が形成された誘導電極基板と、
少なくとも前記放電電極と前記誘導電極との間に充填され、前記放電電極と前記誘導電極とを絶縁する絶縁樹脂と、を備え、
前記第1電極および前記第2電極は、少なくとも一部で対向するように配置され、
前記第1電極と、前記第2電極と、前記第1電極および前記第2電極の間に介在する前記絶縁樹脂とによってコンデンサが形成されていることを特徴とするイオン発生装置。
【請求項2】
前記放電電極基板は樹脂によって形成されており、
前記第1電極は、前記放電電極基板における、前記誘導電極基板と対向する面と反対側の面に形成され、
前記第2電極は、前記誘導電極基板における、前記放電電極基板と対向する面に形成され、
前記コンデンサは、前記第1電極と、前記第2電極と、前記第1電極および前記第2電極の間に介在する、前記絶縁樹脂および前記放電電極基板とによって形成されていることを特徴とする請求項1に記載のイオン発生装置。
【請求項3】
前記誘導電極基板は樹脂によって形成されており、
前記第1電極は、前記放電電極基板における、前記誘導電極基板と対向する面に形成され、
前記第2電極は、前記誘導電極基板における、前記放電電極基板と対向する面と反対側の面に形成され、
前記コンデンサは、前記第1電極と、前記第2電極と、前記第1電極および前記第2電極の間に介在する、前記絶縁樹脂および前記誘導電極基板とによって形成されていることを特徴とする請求項1に記載のイオン発生装置。
【請求項4】
前記放電電極基板および前記誘導電極基板は樹脂によって形成されており、
前記第1電極は、前記放電電極基板における、前記誘導電極基板と対向する面と反対側の面に形成され、
前記第2電極は、前記誘導電極基板における、前記放電電極基板と対向する面と反対側の面に形成され、
前記コンデンサは、前記第1電極と、前記第2電極と、前記第1電極および前記第2電極の間に介在する、前記絶縁樹脂、前記放電電極基板および前記誘導電極基板とによって形成されていることを特徴とする請求項1に記載のイオン発生装置。
【請求項5】
前記放電電極基板および前記誘導電極基板を内蔵する筐体をさらに備え、
前記絶縁樹脂は、前記筐体の内部に充填されており、前記放電電極基板と前記誘導電極基板との間に充填される第1樹脂層と、前記放電電極基板および前記誘導電極基板のいずれか一方と接する第2樹脂層とを含み、前記第1樹脂層を形成する樹脂材料と、前記第2樹脂層を形成する樹脂材料とが異なることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のイオン発生装置。
【請求項6】
樹脂によって形成されている基板と、
前記基板に実装された放電電極と、
前記放電電極との間で放電を生じる誘導電極と、
前記基板の一方の面に形成され、前記放電電極に接続された第1電極と、
前記誘導電極とともに前記基板の他方の面に形成され、前記誘導電極に接続された第2電極と、を備え、
前記第1電極および前記第2電極は、少なくとも一部が対向するように配置され、
前記第1電極と、前記第2電極と、前記第1電極および前記第2電極の間に介在する前記基板とによってコンデンサが形成されていることを特徴とする放電基板。
【請求項7】
請求項6に記載の放電基板を備えていることを特徴とするイオン発生装置。
【請求項8】
請求項1、2、3、4、5または7に記載のイオン発生装置を備えていることを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イオン発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
イオン発生装置は、交流の入力電圧をトランスで昇圧し、さらに整流および平滑した後に放電電極に印加することにより高圧放電を生じることでイオンを発生する。
【0003】
例えば、特許文献1には、上記の平滑のために高圧コンデンサが設けられたイオン発生装置が開示されている。また、特許文献2には、トランスから出力されるパルス電圧の波形をコンデンサによってなまらせてパルス電圧のピーク値を低くすることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】日本国公開特許公報「特開2001-338743号(2001年12月7日公開)」
【文献】日本国特許公報「特許第5234762号(2013年7月10日発行)」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
高圧コンデンサは、大型であるので、基板上での占有面積が大きく、かつ高価である。また、高圧コンデンサは、チップ部品としてイオン発生装置に組み込まれる場合、基板上での配置位置は制限される。
【0006】
本発明の一態様は、部品としてのコンデンサを不要にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るイオン発生装置は、放電電極が実装されるとともに、当該放電電極に接続された第1電極が形成された放電電極基板と、前記放電電極との間で放電を生じる誘導電極および当該誘導電極に接続された第2電極が形成された誘導電極基板と、少なくとも前記放電電極と前記誘導電極との間に充填され、前記放電電極と前記誘導電極とを絶縁する絶縁樹脂と、を備え、前記第1電極および前記第2電極が、少なくとも一部で対向するように配置され、前記第1電極と、前記第2電極と、前記第1電極および前記第2電極の間に介在する前記絶縁樹脂とによってコンデンサが形成されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、部品としてのコンデンサを不要にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】(a)は本発明の実施形態1に係るイオン発生装置の構成を示す平面図であり、(b)は(a)のA-A線矢視断面図である。
図2】(a)は上記イオン発生装置における誘導電極基板の構成を示す下面図であり、(b)は上記イオン発生装置における放電電極基板の構成を示す上面図であり、(c)は上記放電電極に形成された面電極と上記誘導電極基板に設けられた複合電極との上記誘導電極基板および上記放電電極の面に垂直な方向に重なる重なり領域を示す図である。
図3】上記イオン発生装置の回路構成を示す回路図である。
図4】実施形態1の変形例に係るイオン発生装置の一部の構成を示す縦断面図である。
図5】本発明の実施形態2に係るイオン発生装置の一部の構成を示す縦断面図である。
図6】本発明の実施形態2に係る他のイオン発生装置の一部の構成を示す縦断面図である。
図7】本発明の実施形態2に係るさらに他のイオン発生装置の一部の構成を示す縦断面図である。
図8】(a)は本発明の実施形態3に係るイオン発生装置の一部の構成を示す縦断面図であり、(b)は(a)のイオン発生装置における両面基板の構成を示す上面図であり、(c)は(a)の上記両面基板の構成を示す下面図であり、(d)は上記両面基板に形成された面電極と複合電極との上記両面基板の面に垂直な方向に重なる重なり領域を示す図である。
図9】本発明の実施形態4に係る空気清浄機の概略構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔実施形態1〕
本発明の実施形態1について図1図4に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0011】
図1の(a)は、実施形態1に係るイオン発生装置11の構成を示す平面図である。図1の(b)は、図1の(a)のA-A線矢視断面図である。図2の(a)は、イオン発生装置11における誘導電極基板3の構成を示す下面図である。図2の(b)は、イオン発生装置11における放電電極基板2の構成を示す上面図である。図2の(c)は、放電電極基板2に形成された面電極7と誘導電極基板3に形成された複合電極9との誘導電極基板3および放電電極基板2の面に垂直な方向に重なる重なり領域Rを示す図である。
【0012】
なお、図2の(a)~(c)は、放電電極5側のみを示しているが、放電電極6側も放電電極5側と同様に構成されている。
【0013】
図1の(a)および(b)に示すように、イオン発生装置11は、筐体1と、放電電極基板2と、誘導電極基板3と、絶縁樹脂4と、放電電極5,6と、面電極7,8(第1電極)と、複合電極9,10(誘導電極,第2電極)とを備えている。
【0014】
筐体1は、絶縁性の樹脂で箱状に形成されている。筐体1は、箱形を規定する3辺のうちの長辺および短辺を含む面(図1の(a)の例では上面)に開口部1aが設けられている。筐体1は、その内部に、放電電極基板2と、誘導電極基板3と、放電電極5,6の一部とを内蔵している。
【0015】
筐体1の内部には、絶縁樹脂4が充填されている。絶縁樹脂4を形成する樹脂材料としては、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等が用いられる。絶縁樹脂4は、放電電極基板2および誘導電極基板3の間を電気的に絶縁する。また、開口部1aは、絶縁樹脂4により封止されるので、開口部1aに蓋体を設けなくても、放電電極基板2および誘導電極基板3に埃等が付着することを防止できる。
【0016】
放電電極基板2および誘導電極基板3は細長かつ略矩形の回路基板である。放電電極基板2は、筐体1の底部の上方に、底部と間隔をおいて配置されている。誘導電極基板3は、放電電極基板2の上方に放電電極基板2と間隔おいて平行に配置されている。また、放電電極基板2および誘導電極基板3(基板部分のみ)は、エポキシなどの樹脂によって形成されている。
【0017】
放電電極基板2には、放電電極基板2の長手方向に所定の間隔をおいて放電電極5,6が実装されている。放電電極5,6は、放電電極基板2の表面から垂直に立ち上がるように放電電極基板2に固定され、絶縁樹脂4の表面から突出している。また、放電電極5,6は、その先端が先鋭に形成された針状の電極である。放電電極5,6は、針状の電極に限らず、先端がブラシ状に形成された電極であってもよい。
【0018】
また、図2の(b)に示すように、面電極7は、放電電極基板2における放電電極5の周囲に、放電電極5の全周にわたって接続されるように形成されている。面電極7は、放電電極基板2における、誘導電極基板3と対向する面の上に、配線パターン20aと一体に例えば銅箔によって形成されている。図示はしないが、面電極8も面電極7と同じに構成されている。
【0019】
なお、面電極7,8は、それぞれ放電電極5,6の周囲に形成されていなくてもよく、放電電極5,6に電気的に接続されていれば、放電電極基板2上で放電電極5,6から離れた位置に形成されていてもよい。
【0020】
誘導電極基板3には、誘導電極基板3の長手方向に所定の間隔をおいて円形をなす2つの開口部3aが形成されている。放電電極5,6は、それぞれ2つの開口部3aにおいて誘導電極基板3を貫通するように配置されている。
【0021】
図2の(a)に示すように、複合電極9は、誘導電極基板3における放電電極基板2と対向する面上、かつ誘導電極基板3に設けられた開口部3aの周囲に形成されている。このため、複合電極9は、開口部3aよりわずかに大きい径を有する円形の開口部9aを有している。複合電極9は、誘導電極基板3上に形成された配線パターン30と一体に例えば銅箔によって形成されている。図示はしないが、複合電極10も複合電極9と同じに構成されている。
【0022】
複合電極9は、誘導電極と、後述するコンデンサ21の電極とを兼ねた電極である。複合電極10は、誘導電極と、後述するコンデンサ22の電極とを兼ねた電極である。
【0023】
複合電極9が兼ねる誘導電極は、放電電極5との間に放電を生じる電極である一方、複合電極10が兼ねる誘導電極は、放電電極6との間に放電を生じる電極である。放電電極5は、複合電極9(誘導電極)との間で正イオンを発生する一方、放電電極6は、複合電極10(誘導電極)との間で負イオンを発生する。
【0024】
なお、複合電極9,10は、必ずしも、誘導電極と、後述するコンデンサ21,22の電極とを兼ねる必要はなく、コンデンサ21,22の電極として誘導電極と分離して形成されていてもよい。この構成において、放電電極5,6にそれぞれ対応する2つの誘導電極は、誘導電極基板3における2つの開口部3aの周囲に形成されており、互いに接続される。また、コンデンサ21,22の電極は、誘導電極基板3上で、それぞれに対応する誘導電極に配線パターンを介して電気的に接続され、誘導電極から離れた位置に形成される。
【0025】
面電極7,8および複合電極9,10は、それぞれ放電電極基板2および誘導電極基板3の形状に沿うように長方形に形成されている。ただし、面電極7,8および複合電極9,10の形状は、長方形に限定されない。また、面電極7,8と複合電極9,10とは、少なくとも一部が対向するように配置されている。具体的には、図2の(c)に示すように、面電極7と複合電極9とは、放電電極基板2および誘導電極基板3の双方の面に垂直な方向に重なる重なり領域Rで対向している。面電極8と複合電極10とは、図示はしないが、重なり領域Rと同じ、放電電極基板2および誘導電極基板3の双方の面に垂直な方向に重なる重なり領域で対向している。
【0026】
イオン発生装置11は、コンデンサ21,22を備えている。コンデンサ21は、面電極7と、複合電極9と、面電極7および複合電極9の間に介在する絶縁樹脂4とによって形成されている。コンデンサ22は、面電極8と、複合電極10と、面電極7および複合電極10の間に介在する絶縁樹脂4とによって形成されている。コンデンサ21,22において、絶縁樹脂4は誘電体として機能する。
【0027】
コンデンサ21,22の静電容量Cは、重なり領域Rの面積をSとし、次式で表される。次式において、εは絶縁樹脂4の誘電率であり、dは面電極7,8と複合電極9,10との間の距離である。
【0028】
C=ε(S/d)
コンデンサ21,22の静電容量Cは、面積S、誘電率εおよび距離dの少なくともいずれか1つを調整することにより、調整することができる。
【0029】
続いて、イオン発生装置11の回路構成について説明する。図3は、イオン発生装置11の回路構成を示す回路図である。
【0030】
図3に示すように、イオン発生装置11は、ダイオード23,24と、トランス25と、駆動回路26とをさらに備えている。
【0031】
ダイオード23のアノードおよびダイオード24のカソードは、トランス25における2次側コイル(高圧側)の一方の端子に接続されている。ダイオード23のカソードは、放電電極基板2上に形成された配線パターン20aを介して、コンデンサ21の一方の電極を兼ねる面電極7と放電電極5とに接続されている。ダイオード24のアノードは、放電電極基板2に形成された配線パターン20bを介して、コンデンサ22の一方の電極を兼ねる面電極8と放電電極6とに接続されている。ダイオード23は、トランス25から出力される交流の高電圧を整流して、正の電圧を放電電極5に印加する。ダイオード24は、トランス25から出力される交流の高電圧を整流して、負の電圧を放電電極6に印加する。
【0032】
複合電極9は、コンデンサ21の他方の電極を形成し、複合電極10は、コンデンサ22の他方の電極を形成する。複合電極9と複合電極10とは、誘導電極基板3に形成された配線パターン30を介して、互いに接続されるとともに、トランス25における2次側コイルの他方の端子に接続されている。
【0033】
駆動回路26は、入力された直流電圧を所定の周波数の交流電圧に変換し、変換した交流電圧をトランス25の1次側コイルに印加することにより、トランス25を駆動する。
【0034】
以上のように構成されるイオン発生装置11においては、面電極7と、複合電極9と、面電極7および複合電極9の間に介在する絶縁樹脂4とによってコンデンサ21が形成されている。また、イオン発生装置11においては、面電極8と、複合電極10と、面電極8および複合電極10の間に介在する絶縁樹脂4とによってコンデンサ22が形成されている。
【0035】
これにより、高圧部品となるコンデンサを不要とすることができる。それゆえ、当該コンデンサを放電電極基板2または誘導電極基板3に実装するための面積が削減できる。したがって、放電電極基板2または誘導電極基板3の大きさを縮小できる。よって、イオン発生装置11の小型化も可能になる。
【0036】
また、コンデンサ21,22は、放電電極基板2、誘導電極基板3および絶縁樹脂4といった既存の構成部品を用いて構成されている。それゆえ、イオン発生装置11を安価に作製することができる。しかも、コンデンサ21,22の静電容量は、面電極7,8および複合電極9,10のパターンの重なり面積、電極間の間隔、および絶縁樹脂4の誘電率の少なくともいずれか1つを調整することによって容易に調整することができる。
【0037】
ところで、特許文献2に開示されたイオン発生装置は、放電電極と対地間の浮遊容量を利用して、平滑された直流高電圧を放電電極に印加している。また、当該イオン発生装置では、直流高電圧を放電電極に印加するために、大きな静電容量を有する平滑コンデンサが必要となる。このため、平滑コンデンサが大型化し、イオン発生装置を小型化することが困難となる。また、当該イオン発生装置は、放電電極を備えるが誘導電極を備えていないため、電位の基準が対地となる。これにより、電界の分布が近傍の金属物や帯電した物体に対して安定しにくくなる。
【0038】
これに対し、本実施形態のイオン発生装置11において、コンデンサ21,22の電極を構成する面電極7,8および複合電極9,10は、コンデンサ部品と異なって放電電極基板上および誘導電極基板上で形成される位置の制約が少ない。それゆえ、面電極7,8および複合電極9,10を、それぞれ放電電極基板2および誘導電極基板3において使用されていない領域に設けることができる。したがって、コンデンサ部品を実装するための領域を放電電極基板2および誘導電極基板3に確保する必要がなくなり、放電電極基板2および誘導電極基板3の面積を縮小することができる。よって、イオン発生装置11を小型に提供することができる。また、イオン発生装置11では、浮遊容量ではなく、既存の構成部品でコンデンサ21,22を構成する。これにより、静電容量を安定して得ることができ、かつ、電位の基準を誘導電極とすることができる。
【0039】
また、イオン発生装置11は、高圧のコンデンサ21,22を設けることから、特許文献2に開示されたイオン発生装置と同じく、パルス電圧波形をなまらせて、イオン発生効率の向上と放電音の低減との両立を実現することができる。
【0040】
〔変形例〕
続いて、本実施形態の変形例に係るイオン発生装置について説明する。図4は、当該変形例のイオン発生装置12の一部の構成を示す縦断面図である。
【0041】
図4に示すように、イオン発生装置12は、絶縁樹脂4に代えて絶縁樹脂4Aを備えていること以外は、イオン発生装置11と同じに構成されている。
【0042】
絶縁樹脂4Aは、第1樹脂層41と、第2樹脂層42とを含んでいる。第1樹脂層41は、放電電極基板2と誘導電極基板3との間に充填されている。第2樹脂層42は、誘導電極基板3上に誘導電極基板3と接するように配置されるとともに、筐体1の底部と放電電極基板2との間に放電電極基板2と接するように配置されている。
【0043】
絶縁樹脂4Aの形成手順は、大まかに次の3つの工程からなる。まず、筐体1の底部に第2樹脂層42を形成する樹脂材料を充填した状態で、当該樹脂材料の上に放電電極基板2を配置し、当該樹脂材料を硬化させて底部に第2樹脂層42を形成する。次に、放電電極基板2上に第1樹脂層41を形成する樹脂材料を充填した状態で、当該樹脂材料の上に誘導電極基板3を配置し、当該樹脂材料を硬化させて第1樹脂層41を形成する。そして、誘導電極基板3上に第2樹脂層42を形成する樹脂材料を充填して硬化させて第2樹脂層42を形成する。
【0044】
第1樹脂層41の誘電率は、第2樹脂層42の誘電率より高い。これにより、コンデンサ21,22の誘電体の誘電率が高く設定されるので、高圧に適したコンデンサ21,22を得ることができる。
【0045】
また、誘電率が高い樹脂材料は一般に高価であるため、当該樹脂材料を絶縁樹脂4Aの全体を形成するために用いると、イオン発生装置12の価格を高めてしまう。そこで、絶縁樹脂4Aを第1樹脂層41と第2樹脂層42とに分離して形成するとともに、コンデンサ21,22を構成する第1樹脂層41を形成する樹脂材料と、第2樹脂層42を形成する樹脂材料を異ならせる。これにより、絶縁樹脂4Aの形成に要するコストを抑えることができる。したがって、イオン発生装置12の価格上昇を抑えることができる。
【0046】
なお、本変形例の構成は、以降の実施形態2に係るイオン発生装置13~15(図5図7参照)にも適用することができる。
【0047】
〔実施形態2〕
本発明の実施形態2について、図5図7に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、説明の便宜上、実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
【0048】
図5は、本実施形態に係るイオン発生装置13の一部の構成を示す縦断面図である。図6は、本実施形態に係る他のイオン発生装置14の一部の構成を示す縦断面図である。図7は、本実施形態に係るさらに他のイオン発生装置15の一部の構成を示す縦断面図である。
【0049】
なお、図5図7において、便宜上、放電電極6を含む部分の構成を省略しているが、当該部分も図5図7に示した部分とそれぞれ同じに構成されている。
【0050】
図5に示すように、イオン発生装置13は、面電極7(面電極8)が、放電電極基板2における、誘導電極基板3と対向する面と反対側の面に形成されること以外は、イオン発生装置11と同じに構成されている。
【0051】
また、コンデンサ21は、面電極7と、複合電極9と、面電極7および複合電極9の間に介在する、絶縁樹脂4および放電電極基板2とによって形成されている。コンデンサ22は、面電極8と、複合電極10と、面電極8および複合電極10の間に介在する、絶縁樹脂4および放電電極基板2とによって形成されている。
【0052】
これにより、コンデンサ21,22の静電容量C1は、次式で表される。次式において、Sは重なり領域Rの面積であり、d11は放電電極基板2および複合電極9,10の間の距離であり、d1は放電電極基板2の厚さであり、εは絶縁樹脂4の誘電率であり、ε1は放電電極基板2の誘電率である。
【0053】
1/C1=1/ε(S/d11)+1/ε1(S/d1)
コンデンサ21,22の静電容量C1は、面積S、誘電率ε,ε1、距離d11および厚さd1の少なくともいずれか1つを調整することにより、調整することができる。
【0054】
図6に示すように、イオン発生装置14は、複合電極9(複合電極10)が、誘導電極基板3における、放電電極基板2と対向する面と反対側の面に形成されること以外は、イオン発生装置11と同じに構成されている。
【0055】
また、コンデンサ21は、面電極7と、複合電極9と、面電極7および複合電極9の間に介在する、絶縁樹脂4および誘導電極基板3とによって形成されている。コンデンサ22は、面電極8と、複合電極10と、面電極8および複合電極10の間に介在する、絶縁樹脂4および誘導電極基板3とによって形成されている。
【0056】
これにより、コンデンサ21,22の静電容量C2は、次式で表される。次式において、Sは重なり領域Rの面積であり、d12は誘導電極基板3および面電極7,8の間の距離であり、d2は誘導電極基板3の厚さであり、εは絶縁樹脂4の誘電率であり、ε2は誘導電極基板3の誘電率である。
【0057】
1/C2=1/ε(S/d12)+1/ε2(S/d2)
コンデンサ21,22の静電容量C2は、面積S、誘電率ε,ε2、距離d12および厚さd2の少なくともいずれか1つを調整することにより、調整することができる。
【0058】
図7に示すように、イオン発生装置15において、面電極7(面電極8)が、放電電極基板2における、誘導電極基板3と対向する面と反対側の面に形成されている。また、イオン発生装置15において、複合電極9(複合電極10)が、誘導電極基板3における、放電電極基板2と対向する面と反対側の面に形成されている。イオン発生装置15は、この構成以外は、イオン発生装置11と同じに構成されている。
【0059】
また、コンデンサ21は、面電極7と、複合電極9と、面電極7および複合電極9の間に介在する、絶縁樹脂4、放電電極基板2および誘導電極基板3とによって形成されている。コンデンサ22は、面電極8と、複合電極10と、面電極8および複合電極10の間に介在する、絶縁樹脂4、放電電極基板2および誘導電極基板3とによって形成されている。
【0060】
これにより、コンデンサ21,22の静電容量C3は、次式で表される。次式において、Sは重なり領域Rの面積であり、d13は放電電極基板2および誘導電極基板3の間の距離であり、d1は放電電極基板2の厚さであり、d2は誘導電極基板3の厚さである。また、εは絶縁樹脂4の誘電率であり、ε1は放電電極基板2の誘電率であり、ε2は誘導電極基板3の誘電率である。
【0061】
1/C3=1/ε(S/d)+1/ε1(S/d1)+1/ε2(S/d2)
コンデンサ21,22の静電容量C2は、面積S、誘電率ε,ε1,ε2、距離d13および厚さd1,d2の少なくともいずれか1つを調整することにより、調整することができる。
【0062】
以上のように、イオン発生装置13~15は、放電電極基板2および誘導電極基板3の少なくともいずれか一方をコンデンサ21,22の誘電体として含んでいる。
【0063】
これにより、放電電極基板2の厚さd1および誘電率ε1と、誘導電極基板3の厚さd2および誘電率ε2を適宜調整することによっても、コンデンサ21,22の静電容量C1~C3を調整することができる。
【0064】
〔実施形態3〕
本発明のさらに他の実施形態について、図8に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、説明の便宜上、実施形態1および2にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
【0065】
図8の(a)は、実施形態3に係るイオン発生装置16の一部の構成を示す縦断面図である。図8の(b)は、図8の(a)のイオン発生装置16における両面基板51の構成を示す上面図である。図8の(c)は、両面基板51の構成を示す下面図である。図8の(d)は、両面基板51に形成された面電極7,8と複合電極9,10との両面基板51の面に垂直な方向に重なる重なり領域を示す図である。
【0066】
なお、図8の(a)~(d)において、便宜上、面電極8および複合電極10を含む部分の記載を省略しているが、当該部分も図8の(a)~(c)に示した部分と同じに構成されている。特に、図8の(a)については、面電極8、複合電極10およびコンデンサ22Aのそれぞれの符号を付記している。
【0067】
図8の(a)に示すように、イオン発生装置16は、イオン発生装置11の放電電極基板2および誘導電極基板3に代えて放電基板50を備えている。放電基板50は、両面基板51(基板)を備えている。
【0068】
両面基板51の形状および大きさは、放電電極基板2および誘導電極基板3の形状および大きさと、それぞれ同じである。両面基板51の材質も、放電電極基板2および誘導電極基板3の材質と同じである。
【0069】
また、イオン発生装置16は、イオン発生装置11のコンデンサ21,22に代えて、コンデンサ21A,22Aを備えている。
【0070】
イオン発生装置16は、上記の構成以外についてイオン発生装置11と同じに構成されている。
【0071】
放電電極5,6は、両面基板51において、放電電極基板2に実装される位置と同じ位置に実装されている。
【0072】
図8の(c)に示すように、面電極7は、両面基板51の一方の面に形成され、図8の(b)に示すように、複合電極9は両面基板51の他方の面に形成されている。面電極8も両面基板51の一方の面に形成され、複合電極10も両面基板51の他方の面に形成されている。
【0073】
また、図8の(d)に示すように、面電極7と複合電極9とは、両面基板51の両面に垂直な方向に重なる重なり領域Rで対向している。面電極8と複合電極10とは、重なり領域Rと同じ、両面基板51の両面に垂直な方向に重なる重なり領域で対向している。
【0074】
コンデンサ21Aは、面電極7と、複合電極9と、面電極7および複合電極9の間に介在する両面基板51とによって形成されている。コンデンサ22Aは、面電極8と、複合電極10と、面電極8および複合電極10の間に介在する両面基板51とによって形成されている。コンデンサ21A,22Aにおいて、両面基板51は誘電体として機能する。
【0075】
コンデンサ21A,22Aの静電容量C4は、次式で表される。次式において、Sは重なり領域Rの面積であり、d4は両面基板51の厚さ、すなわち面電極7,8と複合電極9,10との間の距離であり、ε4は両面基板51の誘電率である。
【0076】
C4=ε4(S/d4)
コンデンサ21A,22Aの静電容量C4は、面積S、誘電率ε4および厚さd4の少なくともいずれか1つを調整することにより、調整することができる。
【0077】
以上のように構成されるイオン発生装置16においては、面電極7と、複合電極9と、面電極7および複合電極9の間に介在する両面基板51とによってコンデンサ21Aが形成されている。また、イオン発生装置16においては、面電極8と、複合電極10と、面電極7および複合電極9の間に介在する両面基板51とによってコンデンサ22Aが形成されている。
【0078】
これにより、高圧部品となるコンデンサを不要とし、当該コンデンサを両面基板51に実装するための面積が削減できる。それゆえ、放電基板50の小型化が可能になるので、イオン発生装置16の小型化も可能になる。
【0079】
また、コンデンサ21A,22Aは、両面基板51および両面基板51に形成される電極パターンといった既存の構成部品を用いて構成されている。それゆえ、イオン発生装置16を安価に作製することができる。また、コンデンサ21A,22Aの静電容量は、面電極7,8および複合電極9,10のパターンの重なり面積、両面基板51の厚さ、および両面基板51の誘電率の少なくともいずれか1つを調整することによって容易に調整することができる。
【0080】
さらに、イオン発生装置16では、イオン発生装置11と同じく、浮遊容量ではなく、上記のように既存の構成部品でコンデンサ21A,22Aを構成する。これにより、安定した静電容量を得ることができ、かつ、電位の基準を誘導電極とすることができる。また、イオン発生装置16は、高圧のコンデンサ21A,22Aを設けることから、イオン発生装置11と同じく、パルス電圧波形をなまらせて、イオン発生効率の向上と放電音の低減との両立を実現することができる。
【0081】
〔実施形態4〕
本発明のさらに他の実施形態について、図9に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、説明の便宜上、実施形態1~3にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
【0082】
図9は、実施形態4に係る空気清浄機100の概略構成を示す平面図である。
【0083】
図9に示すように、空気清浄機100(電子機器)は、イオン発生装置101と、送風装置102とを備えている。イオン発生装置101は、実施形態1~3におけるイオン発生装置11~16のいずれか1つである。
【0084】
送風装置102は、イオン発生装置101によって生成されたイオンを送出するために、図9に矢印で示す方向に空気の流れを発生する。
【0085】
なお、本実施形態では、イオン発生装置101が空気清浄機100に搭載される例について説明した。イオン発生装置101は、空気清浄機100以外にも、空気調和機、送風機、掃除機、冷蔵庫、脱臭機、ふとん乾燥機、加湿機、除湿機、調理機器、ドライヤー等の他の電子機器に搭載されてもよい。
【0086】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係るイオン発生装置は、放電電極5,6が実装されるとともに、当該放電電極5,6に接続された第1電極(面電極7,8)が形成された放電電極基板2と、前記放電電極5,6との間で放電を生じる誘導電極(複合電極9,10)および当該誘導電極に接続された第2電極(複合電極9,10)が形成された誘導電極基板3と、少なくとも前記放電電極5,6と前記誘導電極との間に充填され、前記放電電極5,6と前記誘導電極とを絶縁する絶縁樹脂4と、を備え、前記第1電極および前記第2電極が、少なくとも一部で対向するように配置され、前記第1電極と、前記第2電極と、前記第1電極および前記第2電極の間に介在する前記絶縁樹脂4とによってコンデンサ21,22が形成されている。
【0087】
上記の構成によれば、絶縁樹脂を誘電体として利用し、第1電極を放電電極基板に設け、第2電極を誘導電極基板に設けることで、コンデンサが形成される。それゆえ、部品としてのコンデンサを不要にすることができる。しかも、第1電極および第2電極は、コンデンサ部品と異なって放電電極基板上および誘導電極基板上での実装位置の制約が少ない。それゆえ、第1電極および第2電極を、それぞれ放電電極基板および誘導電極基板において使用されていない領域に設けることができる。したがって、コンデンサ部品を実装するための領域を放電電極基板および誘導電極基板に確保する必要がなくなり、放電電極基板および誘導電極基板の面積を縮小することができる。
【0088】
本発明の態様2に係るイオン発生装置は、上記態様1において、前記放電電極基板2が樹脂によって形成されており、前記第1電極が、前記放電電極基板2における、前記誘導電極基板3と対向する面と反対側の面に形成され、前記第2電極が、前記誘導電極基板3における、前記放電電極基板2と対向する面に形成され、前記コンデンサ21,22が、前記第1電極と、前記第2電極と、前記第1電極および前記第2電極の間に介在する、前記絶縁樹脂4および前記放電電極基板2とによって形成されてもよい。
【0089】
上記の構成によれば、誘電体として放電電極基板が加わる。それゆえ、放電電極基板の厚さおよび誘電率を適宜変更することにより、コンデンサの静電容量を調整することができる。
【0090】
本発明の態様3に係るイオン発生装置は、上記態様1において、前記誘導電極基板3が樹脂によって形成されており、前記第1電極が、前記放電電極基板2における、前記誘導電極基板3と対向する面に形成され、前記第2電極が、前記誘導電極基板3における、前記放電電極基板2と対向する面と反対側の面に形成され、前記コンデンサ21,22が、前記第1電極と、前記第2電極と、前記第1電極および前記第2電極の間に介在する、前記絶縁樹脂4および前記誘導電極基板3とによって形成されていてもよい。
【0091】
上記の構成によれば、誘電体として誘導電極基板が加わる。それゆえ、誘導電極基板の厚さおよび誘電率を適宜変更することにより、コンデンサの静電容量を調整することができる。
【0092】
本発明の態様4に係るイオン発生装置は、上記態様1において、前記放電電極基板2および前記誘導電極基板3は樹脂によって形成されており、前記第1電極が、前記放電電極基板2における、前記誘導電極基板3と対向する面と反対側の面に形成され、前記第2電極が、前記誘導電極基板3における、前記放電電極基板2と対向する面と反対側の面に形成され、前記コンデンサ21,22が、前記第1電極と、前記第2電極と、前記第1電極および前記第2電極の間に介在する、前記絶縁樹脂4、前記放電電極基板2および前記誘導電極基板3とによって形成されていてもよい。
【0093】
上記の構成によれば、誘電体として放電電極基板および誘導電極基板が加わる。それゆえ、放電電極基板および誘導電極基板の少なくともいずれか一方の厚さおよび誘電率を適宜変更することにより、コンデンサの静電容量を調整することができる。
【0094】
本発明の態様5に係るイオン発生装置は、上記態様1から3のいずれかにおいて、前記放電電極基板2および前記誘導電極基板3を内蔵する筐体1をさらに備え、前記絶縁樹脂4が、前記筐体1の内部に充填されており、前記放電電極基板2と前記誘導電極基板3との間に充填される第1樹脂層41と、前記放電電極基板および前記誘導電極基板のいずれか一方と接する第2樹脂層42とを含み、前記第1樹脂層41を形成する樹脂材料と、前記第2樹脂層42を形成する樹脂材料とが異なっていてもよい。
【0095】
上記の構成によれば、第1樹脂層の形成に誘電率の高い高価な樹脂材料を用いる一方、第2樹脂層の形成に誘電率の低い安価な樹脂材料を用いることができる。それゆえ、コンデンサに要求される性能を確保するために、絶縁樹脂の全てに高価な樹脂材料を用いる必要がなく、イオン発生装置の価格高騰を抑えることができる。
【0096】
本発明の態様6に係る放電基板は、樹脂によって形成されている基板(両面基板51)と、前記基板に実装された放電電極5,6と、前記放電電極5,6との間で放電を生じる誘導電極(複合電極9,10)と、前記基板の一方の面に形成され、前記放電電極5,6に接続された第1電極(面電極7,8)と、前記誘導電極とともに前記基板の他方の面に形成され、前記誘導電極に接続された第2電極(複合電極9,10)と、を備え、前記第1電極および前記第2電極が、少なくとも一部が対向するように配置され、前記第1電極と、前記第2電極と、前記第1電極および前記第2電極の間に介在する前記基板とによってコンデンサが形成されている。
【0097】
上記の構成によれば、基板を誘電体として利用し、第1電極および第2電極を基板に設けることで、コンデンサが形成される。それゆえ、部品としてのコンデンサを不要にすることができる。しかも、第1電極および第2電極は、コンデンサ部品と異なって基板上での実装位置の制約が少ない。それゆえ、第1電極および第2電極を基板において使用されていない領域に設けることができる。したがって、コンデンサ部品を実装するための領域を基板上に確保する必要がなくなり、基板の面積を縮小することができる。
【0098】
本発明の態様7に係るイオン発生装置は、上記態様6の放電基板を備えている。
【0099】
本発明の態様8に係る電子機器は、上記態様1、2、3、4、5または7のイオン発生装置を備えている。
【0100】
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【符号の説明】
【0101】
1 筐体
2 放電電極基板
3 誘導電極基板
4,4A 絶縁樹脂
5,6 放電電極
7,8 面電極(第1電極)
9,10 複合電極(誘導電極,第2電極)
11~16,101 イオン発生装置
21,21A,22,22A コンデンサ
41 第1樹脂層
42 第2樹脂層
50 放電基板
51 両面基板(基板)
100 空気清浄機(電子機器)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9