(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-08
(45)【発行日】2024-03-18
(54)【発明の名称】機器の停止時間により除去されなかった流体の量を補償するための患者流体除去レートの計算
(51)【国際特許分類】
A61M 1/16 20060101AFI20240311BHJP
【FI】
A61M1/16 117
(21)【出願番号】P 2020564367
(86)(22)【出願日】2019-05-07
(86)【国際出願番号】 EP2019061626
(87)【国際公開番号】W WO2019219442
(87)【国際公開日】2019-11-21
【審査請求日】2022-02-07
(32)【優先日】2018-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501473877
【氏名又は名称】ガンブロ・ルンディア・エービー
【氏名又は名称原語表記】GAMBRO LUNDIA AB
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100188857
【氏名又は名称】木下 智文
(74)【代理人】
【識別番号】100207354
【氏名又は名称】楠 康正
(72)【発明者】
【氏名】オマホニー, ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ストゥヴァ, リッキー
【審査官】岡▲さき▼ 潤
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0060362(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0213890(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
体外血液処理システム(10、100)であって、
体外血液処理を実行する際に使用するための1つ以上のポンプ(120)および1つ以上のセンサ(130、142)を含む体外血液処理装置(24)であって、前記1つ以上のポンプ(120)は、患者流体除去レートに従って体外血液処理中に患者から流体を除去するための排出液ポンプを含む、体外血液処理装置(24)と、
1つ以上のプロセッサを含み、前記体外血液処理装置に動作的に結合されたコンピュータ装置(12)と、を備え、前記コンピュータ装置は、
前記排出液ポンプの停止に応じて患者流体除去メイクアップ量を決定し、ここで、前記患者流体除去メイクアップ量は前記停止の間に生じなかった患者の流体除去の量であり、
前記排出液ポンプの停止に応じて、前記停止が終わった後の使用のために前記患者流体除去レートを増加させるように構成され、
前記患者流体除去レートを増加させることは、増加した患者流体除去メイクアップ量に応じて、前記患者の質量に比例する流体除去の選択されたレートだけ、前記患者流体除去レートを増加させることを含む、
体外血液処理システム。
【請求項2】
前記コンピュータ装置は、前記患者流体除去メイクアップ量を、患者流体除去メイクアップ量制限以下に制限するようにさらに構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記患者流体除去メイクアップ量制限は、患者流体除去レートに選択された期間を掛けたものに等しい、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記患者流体除去メイクアップ量制限は、現在の患者流体除去レート設定値に10分を掛けたものに等しい、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
患者流体除去レート設定が変更された場合、前記コンピュータ装置は、前記患者流体除去メイクアップ量制限を再計算するようにさらに構成される、請求項2または3に記載のシステム。
【請求項6】
患者流体除去レート設定がゼロに設定された場合、前記患者流体除去メイクアップ量制限がゼロに減少される、請求項2または3に記載のシステム。
【請求項7】
前記選択された流体除去レートは、キログラム当たり1時間当たり3.5ミリリットル以下であり、キログラム当たり1時間当たり1ミリリットル以上である請求項1~6のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項8】
前記患者流体除去レートを増加させることが、
‐前記選択されたパーセンテージの患者流体除去レート増加
‐前記患者流体除去レート増加の、質量に関連する流体除去の選択されたレート
のうちのより少ない患者流体除去レート値を使用することを含む、請求項1~7のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項9】
前記患者流体除去レートを増加させることは、血液流量に基づいて前記患者流体除去レートを制限することを含む、請求項1~8のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項10】
患者流体除去メイクアップによる増加を含む全患者流体除去レートが、血液流量の50%に制限される、請求項1~9のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項11】
前記排出液ポンプの前記停止は、バッグ交換、アラーム状態、およびユーザ起動動作のうちの1つ以上を含む、請求項1~10のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項12】
前記コンピュータ装置は、前記増加した患者流体除去レートを使用するときに、前記排出液ポンプの継続に応じて、前記患者流体除去メイクアップ量を減少させるようにさらに構成される、請求項1~11のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項13】
前記コンピュータ装置は、前記患者から除去された流体の追加の量が前記患者流体除去メイクアップ量に等しいことに応じて、前記患者流体除去レートを減少させるようにさらに構成され、前記患者流体除去レートを減少させることは、前記患者流体除去レートを、増加する前の前記値に戻すことを含む、請求項1~12のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項14】
前記コンピュータ装置は、前記患者流体除去メイクアップ量を増加させるかどうかをユーザが選択可能なようにさらに構成される、請求項1~13のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項15】
前記コンピュータ装置は、持続的腎代替療法(CRRT)を提供するようにさらに構成される、請求項1~14のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項16】
規定の患者流体除去量は、オペレータが入力した患者流体除去レートの時間積分であり、前記規定の患者流体除去量は、患者流体除去量制限に達していない限り、バッグ交換またはアラームによって流体ポンプが停止された場合であっても、処理がアクティブである限り増加し続ける、請求項1~15のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項17】
指令された実際の患者流体除去量は、指令された排出液流量から、シリンジ流量、置換流量、透析液流量、およびプレ血液ポンプ流量を差し引いたものの積分時間である、請求項
16に記載のシステム。
【請求項18】
前記患者流体除去メイクアップ量は、
前記規定
の患者流体除去量から
前記指令された
実際の患者流体除去量を差し引いたものである、請求項
17に記載のシステム。
【請求項19】
前記患者流体除去メイクアップは、アラームまたは流体バッグの交換によって処理が停止されたときに除去されなかっ
た患者流体除去量を補償するように計算された追加の排出液流量である、請求項
10に記載のシステム。
【請求項20】
体外血液処理システム(10、100)であって、
体外血液処理を実行する際に使用するための1つ以上のポンプ(120)および1つ以上のセンサ(130、142)を含む体外血液処理装置(24)であって、前記1つ以上のポンプ(120)が患者流体除去レートに従って体外血液処理中に患者から流体を除去するための排出液ポンプを含む、体外血液処理装置(24)と、
1つ以上のプロセッサを含み、前記体外血液処理装置に動作的に結合されたコンピュータ装置(12)であって、前記コンピュータ装置は、
前記排出液ポンプの停止に応じて患者流体除去メイクアップ量を決定し、ここで、前記患者流体除去メイクアップ量は前記停止の間に生じなかった患者流体除去の量であり、
前記排出液ポンプの停止に応じて、前記停止が終わった後の使用のために前記患者流体除去レートを増加させるように構成され、
前記患者流体除去レートを増加させることは、増加した患者流体除去メイクアップ量に応じて、
・30%以下、かつ7.5%以上である、選択されたパーセンテージの患者流体除去レート増加、又は、
・前記患者の質量に比例する流体除去の選択されたレート、
だけ、前記患者流体除去レートを増加させることを含み、
前記患者流体除去レートを増加させることは、前記選択されたパーセンテージの患者流体除去レート増加と、前記患者の質量に比例する流体除去の前記選択されたレートのうちの、より少ない方の患者流体除去レート値を使用することを含む、体外血液処理システム。
【請求項21】
前記コンピュータ装置は、前記患者流体除去メイクアップ量を、患者流体除去メイクアップ量制限以下に制限するようにさらに構成され、前記患者流体除去メイクアップ量制限は患者流体除去レートに選択された期間を掛けたものに等しい、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記患者流体除去レートを増加させることは、血液流量に基づいて前記患者流体除去レートを制限することを含む、請求項20~21のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項23】
患者流体除去メイクアップによる増加を含む全患者流体除去レートは、血液流量の50%に制限される、請求項20~22のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項24】
体外血液処理システム(10、100)であって、
体外血液処理を実行する際に使用するための1つ以上のポンプ(120)および1つ以上のセンサ(130、142)を含む体外血液処理装置(24)であって、前記1つ以上のポンプ(120)が患者流体除去レートに従って体外血液処理中に患者から流体を除去するための排出液ポンプを含む、体外血液処理装置(24)と、
1つ以上のプロセッサを含み、前記体外血液処理装置に動作的に結合されたコンピュータ装置(12)であって、前記コンピュータ装置は、
前記排出液ポンプの停止に応じて患者流体除去メイクアップ量を決定し、ここで前記患者流体除去メイクアップ量は前記停止の間に生じなかった患者流体除去の量であり、
前記排出液ポンプの停止に応じて、前記停止が終わった後の使用のために前記患者流体除去レートを増加させるように構成され、
前記患者流体除去レートを増加させることは、
‐選択されたパーセンテージの患者流体除去レート増加、
‐前記患者の質量に比例する流体除去の選択されたレート、又は、
‐血液流量に基づく患者流体除去レート
だけ、患者流体除去レート値を増加させることを含み、
前記患者流体除去レートを増加させることは、
‐前記選択されたパーセンテージの患者流体除去レート増加、
‐前記患者の質量に比例する流体除去の前記選択されたレート、及び
‐血液流量に基づく前記患者流体除去レート
のうちのより小さい患者流体除去レート値を使用することを含む、体外血液処理システム。
【請求項25】
患者流体除去メイクアップによる増加を含む全患者流体除去レートは、前記血液流量の50%に制限される、請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
前記患者流体除去メイクアップは、アラームまたは流体バッグの交換によって処理が停止されたときに除去されなかっ
た患者流体除去量を補償するために計算された追加の排出液流量であり、
規定の患者流体除去量は、オペレータが入力した患者流体除去レートの時間積分であり、前記規定の患者流体除去量は患者流体除去量制限に達していない限り、流体ポンプがバッグの交換またはアラームによって停止された場合であっても、処理がアクティブである限り増加し続け、
指令された実際の患者流体除去量は、指令された排出液流量から、シリンジ流量、置換流量、透析液流量、およびプレ血液ポンプ流量を差し引いたものの時間積分であり、
前記患者流体除去メイクアップ量は、前記規定の患者流体除去量から
前記指令された
実際の患者流体除去量を差し引いた値である、請求項
25に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書の開示は、体外血液処理に関する。より詳細には、本開示は、患者の流体除去メイクアップを含むシステムおよび方法に関する。
【0002】
体外血液処理とは、患者から血液を採取し、患者の体外で血液を処理し、処理した血液を患者に戻すことを指す場合がある。体外血液処理は典型的には患者の血液から望ましくない物質または分子を抽出するために、および/または血液に有益な物質または分子を添加するために使用される。体外血液処理は、例えば、一時的または恒久的な腎不全を患う患者の場合のように、血液から物質を効果的に排除することができない患者と共に利用され得る。これらのおよび他の患者は、例えば、血液に物質を加えるもしくは排除するため、酸塩基平衡を維持するため、または、過剰な体液を排除するために、体外血液処理を受けることができる。
【0003】
様々な体外血液処理において、1つ以上の流体または液体が処理中に使用するために体外血液処理装置に供給されてもよく、1つ以上の流体が処理の一部として収集されてもよい。供給された及び収集された流体の両方は、1つ以上のリザーバに貯留されてもよい。これらのリザーバは、単一の患者の処理の過程の間、空になる(処理の一部として供給される流体の場合)か、または容量まで満たされる(処理の一部として収集される流体の場合)かのいずれかで、交換される必要があり得る。
【0004】
体外血液処理の過程の間、体外血液処理システムの1つ以上のポンプの停止をもたらす結果となる様々な問題が生じうる。一方、患者の流体量は、停止中に除去されないか、またはほとんど除去されない。例えば、排出液バッグの交換は、排出液ポンプおよび透析液ポンプ(ならびに透析液回路の残り)の停止をもたらし得、そして排出液バッグの交換の間、流体は除去され得ない。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、患者流体除去(PFR)メイクアップを提供するものとして説明され得るシステムおよび方法を説明する。PFRメイクアップは例えば、リザーバ交換のようなユーザによる自発的なアクションのために、排出液ポンプおよび透析液ポンプのような1つ以上のポンプの停止中に損失したPFRを「メイクアップ」することができる。一般に、一実施形態では例示的なシステムおよび方法は、停止中に失われるか又は発生しない流体除去の「集計」として機能することができるPFRメイクアップ容量を使用又は利用することができる。PFRレートの増加は停止中に損失した流体除去を補償するために使用することができ、増加したPFRレートはPFRメイクアップ容量が「メイドアップ」されるまで利用されることができる。
【0006】
PFRメイクアップはアラームまたは流体バッグの交換により処理が停止されたときに損失した(すなわち、除去されていない)PFR量を補償するように計算される追加の排出液流量として説明することができる。PFR量損失は排出液リザーバの重量または質量に基づいて計算することはできず、代わりに、規定のPFR量および処理の停止時間に基づいて計算することができる。例えば、持続的腎代替療法(CRRT)の処理中に、バッグの交換および/または故障によるポンプの停止に起因する最大10分の処理の「停止時間」をメイクアップするために、排出液流量を増加させることができ、これは、「PFRメイクアップ」と呼ばれるオペレータが選択可能なオプション(例えば、グラフィカルユーザインターフェースを使用して選択可能)であり、処理時間にわたる実際の指令されたPFR容量が規定PFR容量に一致することを可能にすることができる。
【0007】
1つの例示的な体外血液処理システムは体外血液処理装置と、1つ以上のプロセッサを含み、体外血液処理装置に動作可能に結合されたコンピュータ装置とを含むことができる。体外血液処理装置は体外血液処理を実行する際に使用するための1つ以上のポンプおよび1つ以上のセンサを含むことができ、1つ以上のポンプは、体外血液処理中に患者の流体除去レートに従って患者から流体を除去するための排出液ポンプを含むことができる。コンピュータ装置は、排出液ポンプの停止に応じて患者流体除去メイクアップ量を決定するように構成されてもよい。患者流体除去メイクアップ量は、停止中に生じなかった患者流体除去量であってもよい。コンピュータ装置はさらに、排出液ポンプの停止に応じて、停止が終わった後に使用するために、患者の流体除去レートを増加させるように構成されてもよい。
【0008】
体外血液処理システムのための1つの例示的な方法は、少なくとも1つ以上のポンプおよび1つ以上のセンサを含む体外血液処理装置を提供することを含み得る。1つ以上のポンプは、患者の流体除去レートに従って体外血液処理中に患者から流体を除去するための排出液ポンプを含むことができる。例示的な方法は、排出液ポンプの停止に応答して、患者流体除去メイクアップ量を決定することをさらに含んでもよい。患者流体除去メイクアップ量は、停止中に生じなかった患者流体除去量であってもよい。例示的な方法は、停止が終わった後に使用するために、排出液ポンプの停止に応答して、患者の流体除去レートを増加させることをさらに含んでもよい。
【0009】
1つ以上の実施形態では、患者流体除去メイクアップ量を患者流体除去メイクアップ量制限以下に制限することをコンピュータ装置が実行するようにさらに構成されてもよく、方法がこれをさらに含んでもよい。さらに、1つ以上の実施形態では、患者流体除去メイクアップ量制限が患者流体除去レートに選択された時間を掛けたものに等しくてもよい。
【0010】
1つ以上の実施形態では、患者流体除去レートを増加させることは、増加した患者流体除去メイクアップ量に応じて選択されたパーセンテージだけ患者流体除去レートを増加させることを含んでもよい。例えば、選択されたパーセンテージは20%であってもよい。
【0011】
1つ以上の実施形態では、患者の流体除去レートを増加させることは、患者の流体除去メイクアップ量の増加に応じて、患者の質量に関連する流体除去の選択されたレートだけ患者の流体除去レートを増加させることを含むことができる。例えば、流体除去の選択されたレートは、1キログラム当たり1時間当たり2ミリリットルであってもよい。
【0012】
1つ以上の実施形態では、排出液ポンプの停止は、バッグ交換、アラーム状態、およびユーザ開始動作のうちの1つまたは複数を含むことができる。1つ以上の実施形態では、増加した患者流体除去レートを使用するときに排出液ポンプの継続に応じて患者流体除去メイクアップ量を減少させることを、コンピュータ装置が実行するようにさらに構成されてもよいし、または方法がこれをさらに含んでもよい。
【0013】
1つ以上の実施形態では、患者から除去された流体の追加の量が患者流体除去メイクアップ量に等しいことに応じて患者流体除去レートを減少させることを、コンピュータ装置が実行するようにさらに構成されてもよいし、または方法がこれをさらに含んでもよい。さらに、例えば、患者流体除去レートを減少させることは、患者の流体除去レートを、それを増加させる前の値に戻すことを含んでもよい。
【0014】
1つ以上の実施形態では、患者流体除去メイクアップ量を増加させることを有効化するかどうかをユーザが選択することを許容することを、コンピュータ装置が実行するようにさらに構成されてもよく、または方法はこれをさらに含んでもよい。1つ以上の実施形態では、持続的腎代替療法(CRRT)を提供することを、コンピュータ装置が実行するようにさらに構成されてもよく、または方法がこれをさらに含んでもよい。
【0015】
本開示の上記の概要は、各実施形態またはそのすべての実装を説明することを意図したものではない。利点は、本開示のより完全な理解とともに、添付図面と併せて以下の詳細な説明および特許請求の範囲を参照することによって明らかになり、理解されるのであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本明細書に記載の方法およびプロセスを利用することができる入力装置、表示装置、および処理装置を含む、例示的な体外血液処理システムのブロック図である。
【
図2】本明細書に記載の方法およびプロセスを利用することができる例示的な体外血液処理システムの説明図である。
【
図3】例えば、
図1~2に一般的に示されるような、体外血液処理システムにおいて使用するための患者流体除去メイクアップの例示的な方法のフロー図である。
【
図4】例えば、
図1~3に一般的に示されるような、体外血液処理システムおよび方法において使用するための患者流体除去メイクアップの例の種々のグラフを示す。
【
図5】例えば、
図1~3に一般的に示されるような、体外血液処理システムおよび方法において使用するための患者流体除去メイクアップの例の種々のグラフを示す。
【
図6】例えば、
図1~3に一般的に示されるような、体外血液処理システムおよび方法において使用するための患者流体除去メイクアップの例の種々のグラフを示す。
【
図7】例えば、
図1~3に一般的に示されるような、体外血液処理システムおよび方法において使用するための患者流体除去メイクアップの例の種々のグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
例示的な実施形態の以下の詳細な説明では、本明細書の一部を形成する図面の添付の図を参照し、その中には、図示の方法で、実施され得る特定の実施形態が示されている。他の実施形態が利用されてもよく、構造的な変更が、ここに提示された開示の範囲から逸脱することなく(例えば、まだ範囲内に収まることなく)行われてもよいことが理解されよう。
【0018】
体外血液処理に使用するための患者流体除去(PFR)メイクアップを含む例示的なシステムおよび方法を、
図1~7を参照して説明する。1つの実施形態からの要素またはプロセスは他の実施形態の要素またはプロセスと組み合わせて使用されてもよく、本明細書で説明される特徴の組み合わせを使用するそのようなシステムおよび方法の可能な実施形態は図に示され、かつ/または本明細書で説明される特定の実施形態に限定されないことが、当業者には明らかであろう。さらに、本明細書で説明される実施形態は、必ずしも縮尺通りに示されていない多くの要素を含むことができることが理解されるのであろう。さらに、本明細書に記載されたプロセスの特定のタイミングまたは使用は、他のものに比べて有利であるかもしれないが、変更されてもなお本開示の範囲内に収まることが認識されるであろう。
【0019】
本開示は例えば、持続的腎代替療法(CRRT)などの体外血液処理のための患者流体除去(PFR)メイクアップを含むシステムおよび方法として記載されてもよい。例示的なPFRメイクアッププロセスは、例えば、障害、アラーム、または流体バッグの交換によって処理が停止されたときに損失したPFR量を補償することができる。例示的なPFRメイクアッププロセスは、平均値指令PFRレートを規定のPFRレートに一致させるために処理が再開されるときに、PFRレートを一時的に増加させることができる。
【0020】
例えば、排出液ポンプ(および、例えば、透析液ポンプ)が停止されるたびに、患者は規定の流体除去レートが得られない。このPFRレートの一部は外部ソースからの追加の流体増加を補償するためのものであり、患者は、流体ポンプ停止中に流体を増加することになる。累積された停止時間が10分未満である場合、例示的なシステムおよび方法は、例えばアラームまたはバッグ交換による停止中に累積PFRエラーを自動的に補償するために、流体除去を再開する際に短期間PFRレートを増加させてもよい。このメイクアップフローは、ユーザ定義のPFRレートに基づいて、低血圧を防止するために患者の体重の関数として制限されてもよい。
【0021】
例示的なシステムおよび方法は、患者の流体バランスを維持することができるものとして説明することができる。例えば、集中治療室(ICU)では、複数のポンプが薬剤を同時に患者に注入する場合があり、患者の流体バランスを維持するためには正味の流体増加をPFRと相殺しなければならない。本明細書に記載された例示的な患者流体メイクアッププロセスは、バッグの変更およびアラームの結果としてのPFRエラーを手動で補償する動作を排除することにより、看護師の作業負荷を軽減することができる。例示的な患者流体メイクアッププロセスは選択的であり、ユーザによって選択可能であってもよい。例えば、グラフィカルユーザインターフェースは、ユーザが患者の流体メイクアッププロセスを有効化または無効化することを許容することができる。
【0022】
1つ以上の実施形態では流体ポンプ(例えば、排出液ポンプ、透析液ポンプなど)は、10分未満の期間(例えば、バッグ交換などの自発的なユーザ動作のために、またはアラーム状態のために)停止された場合、流体ポンプが再び稼働し始めると、例示的なシステムおよび方法は停止された流体ポンプのために損失したPFRを補償することができる。さらに、累積PFRメイクアップ量は例えば、現在のPFR設定で10分などの選択値に制限されてもよい。PFRメイクアップが有効化されている場合、例示的なPFRメイクアッププロセスは、どれだけPFRメイクアップが実行されるべきかの量(例えば、ミリリットル(ml))を維持することができる。例えば、排出液ポンプが停止されるたびに、現在のPFRメイクアップ量は(例えば、最大PFRメイクアップ量を対象として)以下の量だけ増加する:PFRメイクアップ量増加=排出液ポンプ停止時間の継続時間にPFRレート設定値を乗じた値。
【0023】
最大PFRメイクアップ量は、現在のPFR設定で約10分に制限されてもよい。PFR設定がユーザによって変更された場合、上記の最大値が再計算されることになり、これは、PFRがゼロに設定された場合、最大PFR量がゼロまで減少され得ることを意味し得る。新しい最大値を超える以前のPFRメイクアップ値は、置き換えられない。最大値に達すると、例示的な患者流体メイクアッププロセスは、対応するイベントを宣言することができる。排出液ポンプが稼働しているとき、指令された排出液ポンプ速度は増加してもよく、現在のメイクアップ量がゼロに減少するまで、現在のPFRレートの20%または2ml/時間/キログラム(kg)に患者の体重(kg)を乗じたもののいずれか小さい方のレートで現在のメイクアップ量を減少させることができる。体重に基づく流量制限は看護師が流体の追加の注入を補償するために、小さな患者に高いPFRレートが使用される場合に、PFRメイクアップ流量に関する追加の経過観察を提供するものとして説明され得る。
【0024】
図1に示される例示的な体外血液処理システム10は、本明細書に記載される例示的な方法および/またはプロセスを実行または実行するために使用されてもよい。少なくとも1つの実施形態では、システム10が血液の体外処理のための機械であってもよい。システム10は例えば、代替的に、血液処理デバイス、血液成分調製デバイス、または流体送達/収集のための他の医療装置であり得る。
【0025】
図示のように、例示的な体外血液処理システム10は、コンピュータ装置12を含む。コンピュータ装置12は入力装置20から入力を受信し、表示装置22に出力を送信するように構成することができる。さらに、コンピュータ装置12は、データ記憶装置14を含むことができる。データ記憶装置14は、体外血液処理を実施する際に使用するための例示的な方法および/またはプロセス(例えば、ポンプの稼働、PFRメイクアップ量の計算、PFRレートの増減、処理の稼働、最大PFRメイクアップ量の計算、処理に関する問題の決定、リザーバの交換/変更、問題のオペレータ/ユーザへの通知、状態情報の表示など)を実行するために用いられ得る、処理プログラムまたはルーチン16および1つ以上の他のタイプのデータ18へのアクセスを可能にしてもよい。例えば、コンピュータ装置12は1つ以上のポンプの停止に基づいてPFRメイクアップ量を計算し、その停止および/またはPFRメイクアップ量に基づいてPFRレートを増加させるように構成されてもよい(例えば、
図3~7に対応して本明細書でさらに説明する)。
【0026】
コンピュータ装置12は入力装置20および表示装置22に動作可能に結合されて、例えば、入力装置20および表示装置22のそれぞれとの間でデータを送信することができる。例えば、コンピュータ装置12は例えば、アナログ電気的接続、デジタル電気的接続、無線接続、バスベース接続などを用いて、入力装置20および表示装置22のそれぞれに電気的に結合されてもよい。本明細書でさらに説明するように、オペレータは入力装置20に入力を提供して、表示装置22上に表示された1つ以上のグラフィカルな描写を操作または修正して、例えば、ここで説明するようなPFRメイクアッププロセスおよび機能を有効化または無効化するなどの各種情報を選択し、閲覧することができる。
【0027】
さらに、各種のデバイスおよび装置は、本明細書で説明される機能、方法、および/またはロジックだけでなく、1つ以上の体外プロシージャ/処理を実行するために、コンピュータ装置12とともに使用されるように、コンピュータ装置12に動作可能に結合され得る。図示のように、システム10はコンピュータ装置12に動作可能に結合された入力装置20、表示装置22、および処理装置24を含むことができる(例えば、コンピュータ装置12は装置20、22、24からの情報またはデータを使用し、情報またはデータを装置20、22、24に提供するように構成されてもよい)。入力装置20は、本明細書で説明する機能、方法、および/またはロジックを実行するためにコンピュータ装置12に入力を提供可能な任意の装置を含むことができる。
【0028】
例えば、入力装置20はタッチパネル(例えば、静電容量式タッチパネル、抵抗式タッチパネル、マルチタッチ式タッチパネル等)、マウス、キーボード、トラックボール等を含んでもよい。タッチパネルは例えば、オペレータがタッチパネルを使用して、表示装置22上に表示されたグラフィカルユーザインターフェースと対話する(例えば、タッチによって)ことができるように、表示装置22に重ね合わされることができる。例えば、入力装置20は、表示装置22に伴って使用される(例えば、グラフィカルユーザインターフェースを表示する)場合に、オペレータが本明細書で説明されるようなPFRメイクアッププロセスおよび機能を有効化または無効化するための構成領域を含むグラフィカルユーザインターフェースと対話することを可能にし得る。
【0029】
表示装置22は本明細書で説明される機能、方法、および/またはロジックを実行するために、グラフィカルユーザインターフェースなど、オペレータに情報を表示可能な任意の装置を含むことができる。例えば、表示装置22は、液晶ディスプレイ、有機発光ダイオードスクリーン、タッチパネル、陰極線管ディスプレイ等を含むことができる。本明細書でさらに説明されるように、表示装置22は、PFRメイクアッププロセスおよび機能性、ならびに様々な他の領域およびエリアを構成するための構成などの1つ以上の領域を含むグラフィカルユーザインターフェースを表示するように構成されてもよい。例えば、表示装置22によって表示されるグラフィカルユーザインターフェースは、1つ以上の流体領域を含み得るか、または表示し得、各流体領域は体外血液処理において使用される異なる流体または異なるポンプに対応する。さらに、これらの流体領域の各々は、流量を調整し、流量、リザーバ内の流体の量、リザーバ交換前に残された時間の量などの流体に対応するステータス情報を閲覧するために、オペレータによって使用されてもよい。
【0030】
処理プログラムまたはルーチン16は、計算数学、行列数学、標準化アルゴリズム、比較アルゴリズム、または本明細書で説明される1つ以上の例示的な方法および/またはプロセスを実装するために必要とされる任意の他の処理を実行するためのプログラムまたはルーチンを含むことができる。データ18は、例えば、PFRレート、PFRメイクアップボリューム、PFRメイクアップボリューム制限または最大値、患者重量データ、リザーバ質量データ、ポンプデータ、ポンプ停止データ、アラームデータ、流体データ、他の流量、流体量、誤動作を示すヒューリスティック、グラフィック(例えば、グラフィカルな要素、アイコン、ボタン、ウィンドウ、ダイアログ、プルダウンメニュー、グラフィックエリア、グラフィック領域、3Dグラフィックス等)、グラフィカルユーザインターフェース、本明細書の開示に従って用いられる1つ以上の処理プログラムまたはルーチンからの結果、または本明細書で説明される1つおよび/または複数のプロセスまたは方法を実行するために必要であり得る任意の他のデータを含むことができる。
【0031】
1つ以上の実施形態では、システム10は、例えば、処理能力、データ記憶装置(例えば、揮発性または不揮発性メモリおよび/または記憶素子)、入力デバイス、および出力デバイスを含むコンピュータなどのプログラマブルコンピュータ上で実行される1つ以上のコンピュータプログラムを使用して実装することができる。本明細書で説明されるプログラムコードおよび/またはロジックは、本明細書で説明される機能を実行し、所望の出力情報を生成するために、入力データに適用され得る。出力情報は本明細書に記載されるように、または既知の方法で適用されるように、1つ以上の他のデバイスおよび/または方法への入力として適用されてもよい。
【0032】
本明細書に記載された方法および/またはプロセスを実施するために使用されるプログラムは、任意のプログラム可能な言語、例えば、コンピュータシステムとの通信に適した高レベルの手続き的および/またはオブジェクト指向のプログラミング言語を使用して提供されてもよい。任意のそのようなプログラムは、例えば、本明細書で説明されるプロシージャを実行するために適切なデバイスが読み取られるときに、コンピュータシステムを構成し、動作させるために、コンピュータシステム(例えば、処理装置を含む)上で実行される汎用または専用プログラムによって読み取り可能で任意の適切なデバイス、例えば、記憶媒体上に格納されてもよい。換言すれば、少なくとも一実施形態では、システム10は、コンピュータプログラムで構成されたコンピュータ読取可能な記憶媒体を使用して実装されることができ、その場合、構成された記憶媒体はコンピュータを特定の、そして所定の方式で動作させて、本明細書に記載する機能を実行させる。さらに、少なくとも1つの実施形態では、システム10は、実行のためのコードを含む1つ以上の非一時的媒体にエンコードされたロジック(例えば、オブジェクトコード)によって実装されるものとして説明され得、プロセッサによって実行される場合、本明細書で説明される方法、プロセス、および/または機能などの操作を実行するように操作可能である。
【0033】
コンピュータ装置12は例えば、任意の固定またはモバイルコンピュータシステム(例えば、コントローラ、マイクロコントローラ、パーソナルコンピュータ、ミニコンピュータなど)とすることができる。コンピュータ装置12の正確な構成は限定的ではなく、適切な計算能力および制御能力(例えば、ポンプ流量制御、PFR構成演算、体外血液処理装置の制御など)を提供可能な本質的に任意のデバイスが使用されてもよい。
【0034】
本明細書で説明されるように、デジタルファイルは、本明細書で説明されるコンピュータ装置12によって読取り可能および/または書込み可能であり得るデジタルビット(例えば、バイナリ、トライナリなどで符号化される)を含む任意の媒体(例えば、揮発性または不揮発性メモリ、CD-ROM、パンチカード、磁気記録可能テープなど)であり得る。また、本明細書に記載するように、ユーザが読み取り可能な形式のファイルは、任意の媒体(例えば、用紙、ディスプレイなど)上で読み取り可能および/またはオペレータが理解可能な任意の表現のデータ(例えば、アスキーテキスト、2進数、16進数、10進数、グラフィカルになど)であってもよい。
【0035】
上記に鑑みて、本開示による1つ以上の実施形態で説明されるような機能は、当業者に知られているような任意の方法で実装され得ることが容易に明らかになるのであろう。したがって、本明細書で説明されるプロセスを実装するために使用されるコンピュータ言語、コンピュータシステム、または任意の他のソフトウェア/ハードウェアは本明細書で説明されるシステム、プロセス、またはプログラム(たとえば、そのようなシステム、プロセス、またはプログラムによって提供される機能)の範囲を限定するものではない。
【0036】
システム、または様々な構成要素に起因するものを含む、本開示で説明される方法および/またはロジックは、少なくとも部分的に、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはそれらの任意の組み合わせで実装され得る。例えば、本技術の様々な態様は、1つ以上のマイクロプロセッサ、DSP、ASIC、FPGA、または任意の他の同等の集積または個別論理回路、ならびにそのような構成要素の任意の組み合わせ、または他の装置を含む、1つ以上のプロセッサ内で実装され得る。「プロセッサ」または「処理回路」という用語は一般に、上記の論理回路のいずれかを、単体で、または他の論理回路と組み合わせて、または任意の他の等価回路を指し得る。
【0037】
そのようなハードウェア、ソフトウェア、および/またはファームウェアは本開示で説明される様々な動作および機能をサポートするために、同じデバイス内で、または別個のデバイス内で実装され得る。加えて、記載された構成要素のいずれも、別個であるが相互運用可能な論理デバイスとして、一緒に、または別々に実装されてもよい。例えば、ブロック図などを使用した、異なる特徴の図示は異なる機能的態様を強調することを意図しており、そのような特徴が別個のハードウェアまたはソフトウェア部品によって実現されなければならないことを必ずしも暗示していない。むしろ、機能は、別個のハードウェアまたはソフトウェア部品によって実行されてもよく、または共通または別個のハードウェアまたはソフトウェア部品内に統合されてもよい。
【0038】
ソフトウェアで実装される場合、本開示に記載されるシステム、デバイスおよび方法に起因する機能性は、RAM、ROM、NVRAM、EEPROM、フラッシュメモリ、磁気データ記憶媒体、光データ記憶媒体などのコンピュータ可読媒体上の命令および/またはロジックとして実施可能である。命令および/またはロジックは本開示で説明される機能の1つ以上の態様をサポートするために、1つ以上のプロセッサによって実施可能である。
【0039】
処理装置24は、例えば、ポンプ、リザーバ、スケール、処理セット、フィルタ、停止センサ、圧力センサ等のような、体外血液処理を実行可能な例示的な体外血液処理システムによって使用される任意の装置を含むことができる。例えば、処理装置24は、
図2を参照して本明細書に記載される体外血液処理システム100の1つ以上の要素または構成要素を含んでもよい。
【0040】
本明細書に記載される例示的なシステム、およびそのような例示的なシステムによって実行または使用される例示的な方法は、一般に透析システムと呼ばれてもよい。本明細書中で使用される一般的な用語「透析」は、他の同様の処理プロシージャの中でも、血液透析、血液濾過、血液透析濾過、血液潅流、肝臓透析、および治療的血漿交換(TPE)を含む。透析では、一般に、血液が体外に取り出され、そこから物質を分離するため、および/またはそこに物質を添加するために、処理デバイスに曝され、次いで、体内に戻される。一般的な透析(上記で定義されるようにTPEを含む)を実行可能な体外血液処理システム、並びに薬品の注入のためのものが本明細書中で想定されるが、例示的なシステムは一般的に、持続的腎代替療法(CRRT)を行うように構成され得る。さらに、体外膜酸素化(ECMO)、血液潅流、肝臓透析、アフェレーシス、TPEなどを実施する体外血液処理システムは、本明細書に記載されるシステム、方法、およびプロセスから利益を得ることができ、本開示は、任意の特定の流体処理システムに限定されない。
【0041】
図2を参照すると、体外血液処理システム又は装置100の1つの例示的な実施形態が示されている。システム100は、正面112を有するハウジング110を含む。システム100は、正面112を有するハウジング110を含む。システム100は、1つ以上のポンプ120と、1つ以上の使い捨て要素140(例えば、一体化されたモジュールを含むか、またはその部分)と、1つ以上の体外血液処理を行う際に使用するための1つ以上のセンサ142とをさらに含む。1つ以上のポンプ120は、処理プロセスの一部としてシステムを通して液体を移動させるために使用されてもよい。ポンプ120は蠕動ポンプの形成で描かれているが、本明細書に記載される体外血液処理システムで使用されるポンプは様々な代替形成、例えば、ピストンポンプ、シリンジと共に使用するためのポンプ、ダイアフラムポンプなどで提供されてもよい。1つ以上のポンプ120は、1つ以上の透析液ポンプおよび1つ以上の排出液ポンプを含むことができる。透析液ポンプは一般的に、透析液回路上の血液処理ユニット(例えば、フィルタ)の上流側にあると記載されてもよく、排出液ポンプは、一般的に、透析液回路上の血液処理ユニットの下流側にあると記載されてもよい。PFRレートは、透析液ポンプレート、シリンジポンプ速レート、交換ポンプレート、プレ血液ポンプレートなどの複数の入力に基づくことができる、1つ以上の排出液ポンプによって使用されるポンプレートとすることができる。
【0042】
1つ以上の使い捨て要素140は体外血液処理を実行する際に使用するために、システム100に結合されてもよい。1つ以上の使い捨て要素140は例えば、透析または透析液流体回路、血液回路等のような1つ以上の流体回路、および/または、例えば、フィルタ等のような1つ以上の血液処理ユニットを含んでもよい。少なくとも1つの実施形態では、使い捨て要素140は、体外血液処理を実行するように構成された複数の種々の構成部品、または部分を含むカートリッジまたは一体型ユニットである。さらに、1つ以上の使い捨て要素140は、体外血液処理の実行に使用するための1つ以上の物質を収容する、または保持する容器または容器を含むことができる。例えば、使い捨て要素140は、重炭酸塩、クエン酸塩、および/または透析液/透析流体回路に動作可能に連結され得る透析液/透析流体を保持する容器または容器を含み得る。さらに、使い捨て要素140は、体外血液処理を実行する際に使用するために、システム100の1つ以上のポンプ120および1つ以上のセンサ142に動作可能に結合することができる体外血液処理流体回路の少なくとも一部を提供するものとして説明することができる。図示のように、2つの使い捨て可能な要素140はシステム100のハウジング110の正面112に結合されて、例えば、システム100の1つ以上の他の流体回路、ポンプ120、およびセンサ142と一体化するように見える。
【0043】
本明細書に記載されるように、1つ以上の使い捨て要素140は、1つ以上の使い捨て流体回路と、1つ以上の使い捨て流体回路に動作可能に連結された1つ以上の血液処理ユニットとを含むものとして記載されてもよい。1つ以上の使い捨て要素140は、患者から/へ血液を受け取り、循環させ、戻すための血液回路を含むものとしてさらに説明することができる。血液回路は(例えば、使い捨て要素の一部として)1つ以上の血液ラインを含み得る。さらに、1つ以上の使い捨て要素140は、患者の血液から老廃物を除去するために、血液回路に動作可能に結合された、または結合可能な透析/透析液回路を含むものとしてさらに説明することができる。透析/透析液回路は、透析/透析液流体(例えば、老廃物を含む戻り透析/透析液流体)を受け取り、循環させ、戻すことができる。透析/透析液回路は(例えば、使い捨て要素140の一部として)1つ以上の透析/透析液ラインを含み得る。血液処理ユニットは例えば、血漿フィルタ、血液透析フィルタ、血液濾過フィルタなどであり得る。一般に、血液処理ユニットは、「フィルタ」と呼ばれることがある 。
【0044】
本明細書で説明するように、システム100は、1つ以上のセンサ142をさらに含んでもよい。示されるように、3つのセンサ142は、システム100上で識別される。1つのセンサ142はハウジング110の正面112上に位置するか、またはそれに結合され、第2のセンサ142は使い捨て要素140上に位置するか、またはそれに結合され、第3のセンサ142はポンプ120上に位置するか、またはそれに結合される。さらに、システム100は、ハウジング110の外側には見えない、代わりに、システム100の内部(例えば、ハウジング110内)にセンサ142を含んでもよい。一般に、システム100は、例えば、1つ以上の体外血液処理の実行中のプロセスなど、システム100の任意のプロセスの任意の値(例えば、任意の態様、設定、レベル、状態、システム100内部の事象など)を監視することができるように、任意の1つ以上のセンサ142を含んでもよい。例えば、システム100は例えば、体外血液処理の実行中、前処理プロセスの実行中、消毒の実行中、後処理プロセス中などに、システム100の様々な回路、チャンバ、ポッド、リザーバなどの様々な圧力を測定または監視するように操作可能な1つ以上の圧力センサ142を含むことができる。さらに、例えば、システム100は、例えば体外血液処理の実行中、前処理プロセスの実行中、消毒の実行中、後処理プロセス中などに、システム100の様々なポンプ、回路、チャンバ、ポッド、リザーバなど内の流体の様々な流体流量を測定または監視するように操作可能な1つ以上の流量センサ142を含むことができる。具体的には、システム100は、例えばシステム100の血液回路全体にわたって様々な血液流量を監視するための流量センサ、患者の拡張期および収縮期血圧を監視するための血圧センサ、動脈および静脈血管圧を監視するための血液回路圧力センサ、患者の心拍数を測定するための心拍数センサなど、1つ以上の血液関連パラメータセンサ142を含むことができる。さらに、例えば、システム100は、例えば体外血液処理の実行中に、患者から(例えば、患者の血液から)除去されている老廃物の量を測定または監視するように構成されるか、または操作可能で1つ以上の老廃物センサ142を含み得る。さらに、例えば、システム100は、体外血液処理が実行される前に、体外血液処理の実行中に、および/または体外血液処理が実行された後に使用されてもよい、流体レベルセンサ、温度センサ、漏れ検出センサなどの他のセンサ142を含んでもよい。
【0045】
さらに、システム100の体外血液処理流体回路は、使い捨て要素140とシステム100との組み合わせによって完成されるものとして記載されてもよく、例えば、患者の血管アクセスに挿入されたカテーテルを介して患者から血液を除去し、血液除去ラインを介して血液を採取する血液回路を定義するものとして一般的に記載されてもよい。次いで、血液はチャンバ(例えば、血液チャンバ)を通過し得、そして戻りラインを介して、患者に戻され得る。
【0046】
体外血液処理システム100はまた、1つ以上の実施形態では、オペレータまたはユーザに情報を伝達するために使用される表示部160を含む。表示部160は例えば、表示部160がタッチパネルの形成である場合、入力デバイスを兼ねてもよい。また、表示部160はハウジング110内に位置するように示されているが、1つ以上の代替実施形態では表示部160が体外血液処理システム100のハウジング110から分離されてもよい。例えば、表示部160は移動可能(例えば、スイベル、チルトなど)に取り付けられてもよく、またはハウジング110の上端に連結されてもよい。
【0047】
体外血液処理システム100はまた、別のタイプのセンサであると考えられるリザーバスケール130を含む。リザーバスケール130の各々は、リザーバ132を保持し、計量するように構成されてもよい。リザーバスケール130は、リザーバ132が典型的にリザーバスケール130に付着し、それから垂れ下がっているため、少なくとも部分的にはハウジング110の底端部114の下に位置する。体外血液処理システム100の図示された実施形態は4つのリザーバスケール130および関連するリザーバ132を含むが、本明細書に記載される体外血液処理装置の代替実施形態は1つ以上のリザーバスケール130および関連するリザーバ132(例えば、わずか2つのリザーバスケール130および関連するリザーバ132、4つ以上のリザーバスケール130および関連するリザーバ132など)を含み得る。
【0048】
図示の実施形態では、リザーバ132が例えば、液体を保持するように構成された可撓性ポリマーバッグの形態とすることができる。しかしながら、本明細書に記載される例示的な体外血液処理システムに接続して使用されるリザーバ132は、例えば、ボトル、タンク、カートン、シリンジ、ジャグなど、液体を貯留し、任意のスケールまたは計量装置(例えば、リザーバスケール130など)により計量することができる任意の適切な形態をとることができる。
【0049】
1つ以上の実施形態では、システム100は、リザーバの状態を監視することの一部として、リザーバスケール130に取り付けられたリザーバ132が選択された重量制限を通過したことの表示を提供することができる。その選択された重量制限は、体外血液処理装置から液体を収集するために使用されるリザーバ132の場合、選択された重量制限を通過する(例えば、到達する、および/または超える)ことが、リザーバ132がその積載容量に到達すること、または到達したことの指標となるように、上限であり得、液体を収集するためのより多くの容量を有するリザーバ132と交換される必要があり得る。体外血液処理装置に液体を供給するために使用されるリザーバ132の場合、リザーバ132が選択された重量制限を通過する(例えば、到達および/または下降する)ことが、体外血液処理システム100に供給される追加の液体を含む新しいリザーバ132に交換される必要があるレベルにリザーバ132が到達すること、または到達したことの指標になるように、選択された重量制限は下限であってもよい。
【0050】
図1に示すように、また
図2に関連して、処理装置24は、コンピュータ装置12に動作可能に結合または接続されてもよい。
図2に示すように、処理装置24の中には、ポンプ120及びリザーバスケール130がコンピュータ装置12に動作可能に結合されている。
【0051】
コンピュータ装置12は、1つ以上の実施形態では各リザーバスケール130から重量信号を受信するように構成することができ、各リザーバスケール130からの重量信号は、リザーバスケール130に取り付けられたリザーバ132の重量を示す。コンピュータ装置12は、リザーバスケール130から受信した重量信号に基づいて、1つ以上の流量調整または決定を行うようにさらに構成することができる。例えば、リザーバスケール130は患者からどれだけの流体が除去されたか(PFR)を決定するために使用されてもよいし、システム100は例えば、この情報を使用して、例えば、透析液ポンプ、排出液ポンプ、プレ血液ポンプ、および交換ポンプなどの1つ以上のポンプの速度を決定してもよい。
【0052】
本明細書に記載の体外血液処理装置で使用されるリザーバを保持し、計量するために使用されるリザーバスケールは、任意の数の様々な異なる形態をとることができる。いくつかの潜在的に適切なリザーバスケールおよび関連する構造の例は国際公開WO 2004/069311号および米国特許第7,891,625号明細書、ならびにいくつかの商用血液透析機器(例えば、Gambro Lundia ABから利用可能なPRISMAFLEXマシンなど)において使用されるリザーバスケールおよびハンガーに見出され得る。
【0053】
体外血液処理のための患者流体除去(PFR)メイクアップの例示的な方法150を
図3に示す。PFRメイクアップの例示的な方法は、
図1を参照して本明細書で説明されるシステム10および
図2のシステム100の一方または両方によって使用または実行されてもよい。
【0054】
方法150は、ポンプが停止したかどうかを判定するステップ152を含むことができる。とりわけ、ポンプが停止したかどうかを判定するステップ152は排出液ポンプ(例えば、血液処理ユニット(例えば、フィルタ)の下流に位置する)が停止したかどうかを判定することを含むことができる。一般に、透析液回路の排出液ポンプおよび透析液ポンプ(例えば、血液処理ユニット(例えば、フィルタ)の上流に位置する)は、同時に停止され得る。換言すれば、排出液ポンプが停止されると、透析液ポンプも停止され、逆に、透析液ポンプが停止されると、排出液ポンプも停止される。
【0055】
排出液ポンプ(および透析液ポンプ)は、多くの理由で停止され得る。停止の理由のいくつかはユーザ起動によるものもあれば、停止の他の理由はシステム起動によるものや自動のものもある。ユーザ起動の停止の例は、進行中の体外血液処理を停止することができるグラフィカルユーザインターフェースの停止または一時停止グラフィカル領域をユーザが選択する(例えば、タッチする、クリックするなど)ことであってもよい。ユーザが進行中の体外血液処理の停止を選択するよう促したいずれの問題も解決した後、ユーザは体外血液処理を再開することができる。システム起動の停止の例は、例えば、透析液回路の漏れ、クランプされた血液ラインまたは凝固したカテーテルによる過剰な圧力、フィルタの詰まりによる過剰な圧力、重量スケールの乱れ、戻りラインの気泡検出、クランプされたまたは未接続流体ラインによる重量誤差などの停止が必要とされるアラーム状態であってもよい。アラーム状態を解消した後、ユーザは体外血液処理を再開することができる。
【0056】
他の停止理由としては、リザーバ、またはバッグ交換が含まれる。例えば、排出液を受け取るための排出液バッグは体外血液処理の過程にわたって満杯になることがあり、したがって、交換する必要があることがある。排出液バッグの交換中に、透析液回路を停止することができ、したがって、排出液ポンプおよび透析液ポンプを停止することができる。他のリザーバの交換もまた、停止をもたらし得る。透析液回路、特に排出液ポンプの停止には多くの理由があり、本明細書に記載される例示的なシステムおよび方法は、患者の流体除去(PFR)の停止をもたらす任意の種類の停止とともに利用されることが意図されることを理解されたい。
【0057】
透析液回路または排出液ポンプの停止中、流体は、停止時間の過程に渡って、患者から除去されない。「失われた」PFRを追跡するために、例示的な方法150は、患者流体除去(PFR)メイクアップ量を利用または使用することができる。より具体的には、例示的な方法150は、排出液ポンプ(および透析液回路の残り)の停止に応じて、PFRメイクアップ量154を決定してもよい。PFRメイクアップ量は、停止中に起こらなかった患者からの流体除去の量として説明することができる。
【0058】
一実施形態では、PFRメイクアップ量154を決定することは停止中に時間が経過することにつれてPFRメイクアップ量を増加させることを含むことができる。換言すれば、方法150は、排出液ポンプの停止に応じてPFRメイクアップ量を増加してもよい。より具体的には、PFRメイクアップ量は、停止時間にわたって起こるべきの患者からの流体除去の量だけ増加されてもよい。この流体除去量は、患者の流体除去(PFR)レートおよび経過した停止時間を使用して決定または計算することができる。PFRメイクアップ量は、停止が終了するまで、PFRレートに従って時間増分されてもよい。その他の実施形態では、PFRメイクアップ量は、停止が終了したときに、PFRレートと経過停止時間とを乗じることで計算されてもよい。
【0059】
さらに、本停止は、体外血液処理中の最初の停止ではないことを理解されたい。したがって、本停止が生じたときにPFRメイクアップ量がすでにゼロを超えた場合、現在決定されたPFRメイクアップ量は、以前の非ゼロPFRメイクアップ量に追加されるだろう。インクリメンタルプロセスを使用する場合、以前のPFRメイクアップ量は、単に停止時間の間に増加させることができる。計算された停止終了時プロセスを使用する場合、新しいPFRメイクアップボリュームを以前のPFRメイクアップ量に追加されてもよい。
【0060】
にもかかわらず、方法150のプロセス154は、排出液ポンプおよび透析回路が再開するときに、停止中に起こらなかった流体除去を「メイクアップする」ために使用されてもよいPFRメイクアップ量をもたらし得る。
【0061】
さらに、1つ以上の実施形態では、PFRメイクアップ量の量が選択された量に制限されてもよい。言い換えると、PFRメイクアップ量は、例示的なシステムおよび方法が可能にする最大量を有することができる。少なくとも1つの実施形態では、PFRメイクアップ量がPFRメイクアップ量制限以下に制限されてもよい。PFRメイクアップ量制限は、選択値(例えば、ユーザによって選択される、診療所管理者によって選択されるなど)、固定値(例えば、製造業者または流通業者によってプログラムされる)、および1つ以上の要因(例えば、患者の体重、患者の年齢、処理の種類など)に基づいて決定される、決定された、または計算された値とすることができる。少なくとも1つの実施形態では、PFRメイクアップ量制限が(例えば、方法150による増加の前の)現在のPFRレートに、例えば、10分などの選択された期間を乗算した、または数倍した時間に等しくてもよい。
【0062】
1つ以上の実施形態では、規定されたPFR量がオペレータが入力したPFRレートの時間積分値であると説明することができる。PFR量はPFR量制限に達していない限り、流体ポンプがアラームのバッグ交換のために停止しても、処理がアクティブである限り、増加し続ける。実際に指令されたPFR量は、指令された排出液流量マイナス(-)推定シリンジ流量マイナス(-)置換、透析液、およびプレ血液ポンプ(PBP)流量の時間積分値である。指令された流量は、バッグ交換またはアラームのために流体ポンプが停止された場合、すべてゼロになる。したがって、指令されるPFR量は、流体ポンプが停止されたときに静的である。次いで、PFRメイクアップ量は、規定されたPFR量から指令されたPFR量を差し引いたものとすることができる。これは、個々の閉ループポンプ重量コントローラに任されて、それぞれの個々の流体バッグの指令された流量を達成するため、測定されたPFRに依存しない。
【0063】
例示的な方法150は、排出液ポンプ(および透析液回路の残り)の停止に応じてPFRレートを増加させること156をさらに含んでもよい。増加したPFRレートは例えば、停止中に失われたPFRをメイクアップするために、排出液ポンプ(および透析液ポンプ)が再始動したときに停止が終わった後に使用されてもよい。
【0064】
1つ以上の実施形態では、PFRレートへの増加がPFRメイクアップレートと呼ばれてもよく、これは指令された実際のPFR量と比較して、規定されたPFR量(例えば、規定されたPFRの時間積分)に基づいてもよい。実際に測定されたPFR量に依存しないことが理解されるべきである。言い換えれば、PFRまたはPFRメイクアップレートを増加させる決定は、患者から実際に除去される流体の重量(または重量から計算される量)に依存しなくてもよく、その代わりに、規定のPFRレートおよび停止時間に基づいてもよい(例えば、PFRメイクアップ量を計算するために)。
【0065】
PFRレートは、多くの異なる方法で増加させることができる。一例では、PFRレートが選択されたパーセンテージだけ増加され得る。選択されたパーセンテージは、約2.5%以上、約7.5%以上、約12.5%以上、約17.5%以上等であってもよい。さらに、選択されたパーセンテージは、約30%以下、約25%以下、約22.5%以下、約15%以下などであってもよい。少なくとも1つの実施形態では、選択されるパーセンテージは20%である。この例ではPFRレートが最初に規定され、1時間当たり80ミリリットル(ml)となるように構成された場合、増加したPFRレートは1時間当たり96mlであってもよい。
【0066】
別の実施例では、PFRレートが患者の質量に関連する流体除去の選択されたレートによって増加されてもよい。流体除去の選択されたレートは、1キログラム当たり1時間当たり約0.5ml以上、1キログラム当たり1時間当たり約1ml以上、1キログラム当たり1時間当たり約1.75ml以上等であってもよい。さらに、流体除去の選択されたレートは、1キログラム当たり1時間当たり約1.5ml以下、1キログラム当たり1時間当たり約2.5ml以下、1キログラム当たり1時間当たり約3.5ml以下などであってもよい。少なくとも1つの実施形態では、流体除去の選択されたレートが1キログラム当たり1時間当たり2mlである。この例ではPFRレートが最初に規定され、1時間当たり80ミリリットル(ml)に構成され、患者の体重が5キログラムである場合、PFRレートは1時間当たり90mlであると決定されてもよい。
【0067】
選択されたパーセンテージPFRレート増加プロセスと、患者の質量に関連する流体除去の選択されたレートのPFRレート増加プロセスと、が併せて使用されてもよく、2値のうちの小さい方が使用されてもよい。選択されたパーセンテージPFRレート増加プロセス、および、患者の質量に関連する流体除去の選択されたレートのPFRレート増加プロセスから生成された2値のうちの小さい方を使用するためのこの決定は、高PFRレートが小さい患者に使用される場合、看護師が流体のさらなる注入を補償するために、PFRレートについてのさらなる経過観察を提供し得る。
【0068】
さらに、PFRレート増加は、他の選択された制限および他の要因によってさらに制限され得る。例えば、PFRレート増加は、低い血液流量のために減少され得る。例えば、PFRメイクアップによる増加を含む総PFRレートは、血液流量の約50%に近づくように制限されてもよい。さらに、1つ以上の実施形態では、グラフィカルユーザインターフェース上の監視規定入力内のPFRレート・オペレータ・エントリが患者の血液流量の最大50%に制限される。規定PFRレートがすでに制限にある場合、PFRの増加(例えば、PFRメイクアップレート)に対する制約は、規定PFRレートが50%の限界に近づくにつれて、PFRへの最大増加(例えば、最大PFRメイクアップレート)が減少されるか、またはゼロレートに制限されることさえあることを意味する。
【0069】
さらに、本明細書ではPFRレートが排出液ポンプの停止に応じて増加されることが記載されているが、1つ以上の実施形態ではPFRレートがPFRメイクアップ量に基づいて増加されてもよい。例えば、PFRメイクアップ量がゼロを超える場合、PFRレートが増加してもよい。
【0070】
図示のように、方法150は、排出液ポンプを再始動させること158をさらに含んでもよい。いったん排出液ポンプが再始動されると、PFRメイクアップ量が満たされる(160)か、または補償されるまで、増加したPFRレートが使用されてもよいし、次いで、PFRレートが減少されてもよい(162)。例えば、方法150は、増加したPFRレート(例えば、元のPFRレートにPFRメイクアップレートを加えたもの)を使用して排出液ポンプが再始動された後、患者から除去される規定されたものを超える流体の量または量がPFRメイクアップ量に等しくなるまで、体外血液処理を提供し続けることができる。言い換えれば、増加したPFRレートは、PFRメイクアップ量が「メイドアップ」されるまで使用されてもよいし、次いで、PFRレートは例えば、増加前の値、規定値などに減少されてもよい。
【0071】
PFRメイクアップ量は、排出液ポンプが多くの異なる方法で再始動された後、増加したPFRレートに応じて調整されてもよい。例えば、PFRメイクアップ値はリアルタイムで減算させられるか、または減少されるか、またはPFRメイクアップ値はイベント発生時に減少される。
【0072】
より具体的には、1つ以上の実施形態ではPFRメイクアップ量が追加の流体が患者から除去されるにつれて、経時的に減算されてもよい。このようにして、別の停止が発生した場合、PFRメイクアップ量は「現時点」のものとなり、例えば、新たな停止中に、さらなる処理を実行しながら増加させることができる。
【0073】
さらに、より具体的には、1つ以上の実施形態では、患者から追加的に除去される流体の量がPFRメイクアップ量に合致するとき、または別の停止が起こるときのいずれかに、PFRメイクアップ量を調整することができる。患者から追加的に除去される流体の量がPFRメイクアップ量に合致するか、または等しい場合、PFRメイクアップ量は、ゼロに設定されてもよく、またはプログラムされてもよい。停止の場合、患者から追加的に除去された流体の量はPFRメイクアップ量から差し引かれて、PFRメイクアップ量を「現時点」のものにし、例えば、新たな停止中に増加させることができる。
【0074】
さらに、
図3のフローチャートに示されるように、排出液ポンプ(および透析液回路の残りの部分)が再始動された後、方法150は、処理158から処理152に戻る矢印ループによって別の排出液ポンプ停止を監視し続けることができる。
【0075】
例示的な体外血液処理システムおよび方法で使用するためのPFR構成の一例が、
図4~
図7の様々なグラフに示され、または描かれている。体外血液処理中の経時的なPFRレートを
図4に示す。示されるように、PFRレートは100ml/時として開始するが、500秒で0ml/時に減少する。0ml/時のPFRレートは停止を示す。図示されるように、停止は500秒から620秒まで発生する。
【0076】
停止中、規定の累積PFRは、規定の累積PFR(実線)および実際の指令された累積PFR(点線)を経時的に示す
図5のグラフに示されるように、満たされないであろう。図示されているように、停止が500秒から620秒まで発生すると、規定の累積PFRが成長し続けている間、実際の指令された累積PFRフラットラインが増加する。
【0077】
「損失」PFRを補償するために、例示的なシステムおよび方法は、PFRメイクアップ量を決定し、排出液ポンプを再始動したことに追随してPFRレートを増加させることができる。経時的なPFRメイクアップ量を
図6に示す。図示のように、停止が500秒で始まると、PFRメイクアップ量は増加を開始し、排出液ポンプを再起動すると620秒で増加が終わる。PFRメイクアップ量は、排出液ポンプが再始動されるとき、約3.4mlである。
【0078】
経時的なPFRメイクアップレートを
図7に示す。PFRメイクアップレートは、停止中に失われたPFRを補償するためのPFRレートへの増加を表すことができる。この例では、停止が500秒で生じた場合、PFRメイクアップレートは、0ml/hrから、元のPFRレートの20%である20ml/hrに増加した。したがって、
図4に示すようなPFRレートは、停止が620秒で終わるときに、この例では20ml/hrであるPFRメイクアップレートによって増加させることができる。
図4に示すように、620秒で、PFRレートを120ml/hrに増加させる。
【0079】
指令されたPFRレートが停止後に増加した後、
図6に示されるようにPFRメイクアップ量は減少し始め、PFRメイクアップ量がゼロに近づくまで減少し続ける。約1200秒で、PFRメイクアップ量は0mlに近づき、したがって、PFRメイクアップレートもはや必要とされなくなり、
図7に示されるように減少させることができ、したがって、
図4に示されるようにPFRが減少する。
図5に示されるように、実際の指令PFRは、約1400秒で規定のPFRに近づく。このようにして、増加したPFRは、失われたPFRを効果的に「メイドアップ」した。
【0080】
言い換えれば、
図4~7は、100ml/時に設定されたPFR規定レートを利用する例示的なシステムに関する例示的なテストケースを示す。この場合、流体ポンプは120秒間(プロット上で500秒から620秒まで)停止された。これらのプロットはポンプが一時停止された間のPFR量の不足を補償するために、て生じるPFRメイクアップ量と、それに続く排出液ポンプ速度の増加とを示している。
【0081】
本明細書に引用される全ての特許、特許文献、および参考文献はそれぞれが別々に組み込まれるかのように、その全体が組み込まれる。本開示は例示的な実施形態を参照して提供されたものであり、限定的な意味で解釈されることを意味するものではない。前述のように、当業者は、他の様々な例示的なアプリケーションが本明細書で説明されるシステムおよび方法の有益な特性を利用するために、本明細書で説明される技法を使用することができることを認識するのであろう。本開示の追加の実施形態と同様に、例示的な実施形態の様々な修正は、この説明を参照すると明らかになるのであろう。