(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-08
(45)【発行日】2024-03-18
(54)【発明の名称】エアロゾル発生システム、エアロゾル形成装置、およびそのためのカートリッジ
(51)【国際特許分類】
A24F 40/42 20200101AFI20240311BHJP
A24F 40/465 20200101ALI20240311BHJP
H05B 6/10 20060101ALI20240311BHJP
【FI】
A24F40/42
A24F40/465
H05B6/10 381
(21)【出願番号】P 2020567534
(86)(22)【出願日】2019-06-07
(86)【国際出願番号】 EP2019065034
(87)【国際公開番号】W WO2019234245
(87)【国際公開日】2019-12-12
【審査請求日】2022-05-18
(32)【優先日】2018-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100158551
【氏名又は名称】山崎 貴明
(72)【発明者】
【氏名】タウリノ イレーヌ
(72)【発明者】
【氏名】ジノヴィク イハル ニコラエヴィッチ
【審査官】河内 誠
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/108987(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/029268(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第107454700(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00~47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生装置用のカートリッジであって、
ニコチン供与源を包含する第一の空洞および酸供与源を包含する第二の空洞であって、前記第一の空洞および前記第二の空洞の間の内側空間と、前記第一の空洞および第二の空洞の外周とを画定する、第一の空洞および第二の空洞と、
一つ以上のサセプタ素子を備えるサセプタであって、前記第一の空洞および第二の空洞の間の前記内側空間の中に部分的に位置付けられていて、かつ前記第一の空洞および第二の空洞の前記外周内に部分的に位置付けられているように配設されていて、前記第一の空洞および第二の空洞の前記外周が前記第一の空洞および第二の空洞の壁と前記カートリッジの壁との間の空間である、サセプタと、を備えるカートリッジ。
【請求項2】
前記サセプタが、第一のサセプタ素子および第二のサセプタ素子を備え、
前記第一のサセプタ素子が、前記第一の空洞および前記第二の空洞の間の前記内側空間の中に位置付けられていて、かつ
前記第二のサセプタ素子が、前記第一の空洞、または前記第二の空洞、または前記第一の空洞と前記第二の空洞の両方に隣接して、前記第一の空洞および前記第二の空洞の前記外周内に位置付けられている、請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項3】
前記サセプタが第三のサセプタ素子を備える、請求項2に記載のカートリッジ。
【請求項4】
前記サセプタは、
前記第一のサセプタ素子が、前記第一の空洞と前記第二の空洞の間の前記内側空間の中に位置付けられていて、
前記第一の空洞が前記第一のサセプタ素子と前記第二のサセプタ素子との間にあり、かつ
前記第二の空洞が、前記第一のサセプタ素子と前記第三のサセプタ素子との間にあるように配設されている、請求項3に記載のカートリッジ。
【請求項5】
前記第一の空洞および前記第二の空洞が長円形状の断面を有し、かつ前記長円形の長軸同士が平行であるように位置付けられていて、前記第一の空洞
及び前記第二の空洞が実質的に
前記カートリッジの長軸方向で平行に位置づけされ、かつ前記第一のサセプタ素子、第二のサセプタ素子、および第三のサセプタ素子が前記第一の空洞および前記第二の空洞に平行に位置付けられている、請求項3または請求項4に記載のカートリッジ。
【請求項6】
前記カートリッジが円筒状であり、横断断面を有し、かつ前記カートリッジの前記横断断面が円形状または六角形である、請求項1~5のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項7】
前記カートリッジが熱伝導性材料を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項8】
前記熱伝導性材料が、炭素添加剤を含有するポリマーを含む、請求項7に記載のカートリッジ。
【請求項9】
前記熱伝導性材料が、黒鉛粉末または導電性ガラスビーズで充填された液晶ポリマー(LCP)を含む、請求項7または請求項8に記載のカートリッジ。
【請求項10】
前記ニコチン供与源および前記酸供与源が担体材料の中に包埋されている、請求項1~9のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項11】
前記担体材料が固体多孔性基材を含む、請求項10に記載のカートリッジ。
【請求項12】
前記固体多孔性基材が、ホウケイ酸ガラス、または石英、またはホウケイ酸ガラスと石英の組み合わせを含む、請求項11に記載のカートリッジ。
【請求項13】
前記第一の空洞および前記第二の空洞の間の前記内側空間がサセプタ空洞壁により画定され、前記サセプタが前記サセプタ空洞壁と接触している、請求項1~12のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項14】
エアロゾル発生装置と、請求項1~13のいずれか一項に記載のカートリッジとを備えるエアロゾル発生システムであって、前記エアロゾル発生装置が、本体、マウスピース、電源、および磁界供与源を備え、前記本体が、前記カートリッジを受容するように構成された受容チャンバを備える、エアロゾル発生システム。
【請求項15】
前記磁界供与源がインダクタコイルを備え、かつ前記装置が、前記インダクタコイルに接続されたコントローラを備え、前記コントローラが前記インダクタコイルに交流電流を提供するように構成され、これによって使用時に前記インダクタコイルが交番磁界を発生して前記サセプタ素子を加熱し、かつこれによって前記カートリッジの少なくとも一部分を加熱する、請求項14に記載のエアロゾル発生システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル発生装置と、液体状のエアロゾル形成基体を含有するカートリッジとを備えるエアロゾル発生システムに関する。特に、エアロゾル形成基体は、ニコチン塩粒子を含むエアロゾルを発生するためのニコチン供与源および揮発性送達促進化合物供与源を備える。
【背景技術】
【0002】
周知のカートリッジは通常、二つの空洞を備える。一つの空洞はニコチン供与源を包含し、もう一方は揮発性送達促進化合物(例えば、乳酸)を包含する。ニコチン供与源、または揮発性送達促進化合物、またはその両方は、担体材料によって担持されてもよい。
【0003】
周知のエアロゾル発生装置は通常、電源を備え、これは電力を電気的に作動するヒーターに提供する。ヒーターは、例えば抵抗発熱体またはサセプタを備えてもよい。ヒーターは典型的に、装置の中またはカートリッジの中に提供されていて、また空洞の内容物を加熱し、それ故にエアロゾルを発生させるために、カートリッジに近接して、またはカートリッジ内に位置付けられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
周知の装置において、カートリッジの加熱は不均一である場合がある。この結果、カートリッジの中に含有された化合物も不均一に加熱される。その結果として、ニコチン送達も連続的な吸煙にわたって不均一になり、最初の吸煙と最後の吸煙の間に比較的大きい差異を伴い、例えば最後の吸煙は、最初の吸煙に含有されたニコチンの量の5倍以上の量を含有する場合がある。これは結果として、特に最初の数回の吸煙にわたって不満足なユーザー体験をもたらす。
【0005】
カートリッジの中に含有された化合物のより均一な加熱を可能にするであろうカートリッジを提供することが望ましく、従ってまた、吸煙当たりのニコチン収率の一貫性の意味で、より均一なニコチン送達を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一の態様によると、エアロゾル発生装置用のカートリッジが提供されている。カートリッジは、ニコチン供与源を包含する第一の空洞と、乳酸供与源を包含する第二の空洞とを備え、第一の空洞および第二の空洞は、空洞と空洞の外周との間に内側空間を画定する。カートリッジは、一つ以上のサセプタ素子を備えるサセプタをさらに備え、サセプタは、サセプタが空洞の間の内側空間の中に部分的に位置付けられていて、かつ空洞の外周内に部分的に位置付けられているように配設されていて、空洞の外周は空洞壁とカートリッジ壁の間の空間である。
【0007】
本発明の第一の態様によるカートリッジでは、カートリッジ、空洞またはニコチン供与源および乳酸供与源の加熱はより均一であり、吸煙当たりのニコチン収率の一貫性の意味でニコチンの均一な送達の改善につながる。本発明の実施形態は、以下に記載されている。様々な特徴、または実際にはすべての特徴は適切に組み合わされてもよい。
【0008】
本明細書で使用される「空洞同士の間の内側空間」とは、空洞が相互に隣接して提供されている時に、空洞の隣接する壁同士の間に画定されている空間である。
【0009】
内側空間は、カートリッジ内の、かつサセプタ素子が中に位置付けられてもよい空洞同士の間の空間として画定されてもよく、これによってサセプタ素子と内側空間を区切る第一のカートリッジの壁との間の距離は、サセプタ素子と内側空間を区切る第二のカートリッジの壁との間の距離と等しい。空洞自体は内側空間とは見なされない。サセプタ素子は平坦であってもよく、または湾曲していてもよい。
【0010】
空洞の隣接する壁が平坦であり、かつ空洞が長方形の形状である場合、空洞間の内側空間は、隣接する壁の間に画定された空間であってもよい。空洞同士の間の内側空間は、空洞の隣接する壁によって区切られた空間であってもよい。
【0011】
隣接する壁のうちの少なくとも一つが、湾曲した形状またはそうでなければ曲げられた形状であり、また内側空間に隣接した壁が凸状の形状である場合、空洞同士の間の内側空間は、長方形によって、または湾曲した壁または曲げられた壁(複数可)の周りを囲んだ長方形によって画定されてもよい。
【0012】
空洞がオフセットされている場合において、空洞間の内側空間は、空洞の重なり合う部分の間に、または二つの空洞の隣接した壁の間に画定されてもよい。
【0013】
自身の長軸方向軸が平行であるように互いに隣接して位置付けられた、実質的に円形状、長円形または楕円形の断面を有する空洞の場合において、内側空間は以下の通りに画定されてもよい。空洞同士の間の中間点は、第一の空洞と第二の空洞のそれぞれの壁を接続する最短線の中央にある。内側空間は、平行軸に沿った中間点からの半径距離以下であって、また空洞のうちの一つの中にない空間として画定されてもよい。
【0014】
一般に、内側空間は以下の通りに画定されてもよい。カートリッジおよび空洞は、カートリッジまたは空洞の長さに沿った長軸方向軸を画定し、第一の横断軸は、カートリッジまたは空洞の幅を画定し、また第二の横断軸は、カートリッジまたは空洞の深さを画定する。空洞は、空洞の長軸方向軸が平行であり、かつ空洞の第一の横断方向軸が平行または実質的に平行であるように、互いに隣接して位置付けられてもよい。空洞同士の間の中間点は、第一の空洞と第二の空洞のそれぞれの壁を接続する最短線の中央にある。少なくとも一つの中間点があるが、二つ以上の中間点がある場合がある。例えば、空洞が平行な長軸方向軸を有する場合、二つの空洞の間の中間点は、両方の空洞の長軸方向軸に平行に延びる線である場合がある。内側空間は、第一の横断方向軸に沿った中間点からの幅距離以下であって、また空洞のうちの一つの中にない空間として画定されてもよい。
【0015】
空洞同士の間の内側空間の長さは、カートリッジの長さの少なくとも50%、少なくとも80%、または100%であってもよい。空洞同士の間の第一の横断方向における内側空間の幅は、第一の横断方向におけるカートリッジの幅の少なくとも50%、少なくとも80%、または100%であってもよい。
【0016】
本明細書で使用される「空洞の外周」は、内側空間ではない空洞の周りの空間である。外周は、空洞壁とカートリッジ壁の間の空間として画定されている。空洞の外周内に部分的に位置付けられたサセプタは、空洞の壁またはカートリッジ壁のいずれかに延びない。「空洞の外周」は、カートリッジの外周またはカートリッジの最も外側の部分を指さない。
【0017】
サセプタは材料の単一片を含んでもよい。サセプタは複数の素子を含んでもよい。サセプタ素子は分離していてもよい。サセプタ素子は共に接続されていてもよい。サセプタ素子は共に材料の単一片を形成してもよい。サセプタは複数の素子を備えてもよく、一部のサセプタ素子は共に接続されていてもよく、一方で他のサセプタ素子は共に接続された要素から分離して提供されていてもよい。
【0018】
サセプタの材料は、サセプタが空洞同士の間だけでなく空洞の外周でも内側空間の中に位置付けられているように、湾曲していてもよく、または折り曲げられていてもよい。サセプタは、それぞれ第一の空洞および第二の空洞の少なくとも一部分を囲むS字形状またはW字形状であってもよい。サセプタは、第一の空洞および第二の空洞のそれぞれ少なくとも一部分を包囲する二つのループの形態で提供されてもよい。サセプタは、三つの平坦な素子の形態で提供されてもよく、平坦な素子のうちの一つは空洞同士の間の内側空間の中に位置付けられていて、その他の二つの平坦な素子は空洞の外周内に位置付けられていて、これによって空洞はサセプタ素子の間に配設されている。サセプタは、空洞同士の間の内側空間の中に位置付けられた三つの湾曲した素子、および空洞の外周内に位置付けられたその他の二つの平坦な素子の形態で提供されてもよく、これによって空洞はサセプタ素子の間に配設されている。サセプタは、任意の数の平坦な素子および湾曲した素子の形態で提供されてもよく、例えば一つの平坦な素子は空洞同士の間の内側空間の中に配設されていて、また湾曲した素子は空洞の外周内に位置付けられている。サセプタまたはサセプタ素子が湾曲している、またはアーチ状である場合において、サセプタまたはサセプタ素子は、空洞の周囲に、空洞の外周の少なくとも一部分を囲んで位置付けられてもよい。
【0019】
内側空間の中に提供されているサセプタまたはサセプタ素子は、サセプタまたはサセプタ素子が内側空間の少なくとも80%を占めるような形状およびサイズで提供されてもよい。内側空間の中に提供されているサセプタまたはサセプタ素子の長さは、空洞の長さの少なくとも50%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%であってもよい。内側空間の中に提供されているサセプタまたはサセプタ素子の幅は、空洞の幅の少なくとも50%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%であってもよい。内側空間の中に提供されたサセプタまたはサセプタ素子の各寸法は、空洞の対応する寸法の少なくとも90%であってもよい。
【0020】
内側空間の中に提供されているサセプタまたはサセプタ素子の長さは、カートリッジの長さの少なくとも50%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%であってもよい。内側空間の中に提供されているサセプタまたはサセプタ素子の幅は、カートリッジの幅の少なくとも50%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%であってもよい。内側空間の中に提供されたサセプタまたはサセプタ素子の各寸法は、カートリッジの対応する寸法の少なくとも90%であってもよい。
【0021】
サセプタまたはサセプタ素子は、サセプタに隣接する空洞の壁の面積と同一の面積を有してもよく、またサセプタまたはサセプタ素子が空洞のそれぞれの隣接する壁と整列されるように位置付けられてもよい。
【0022】
外周内に提供されているサセプタまたはサセプタ素子は、サセプタまたはサセプタ素子が空洞の外周の少なくとも50%を占めるような形状およびサイズで提供されてもよい。外周内に提供されているサセプタまたはサセプタ素子は、サセプタまたはサセプタ素子が空洞の外周の少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%を占めるような形状およびサイズで提供されてもよい。外周内に提供されているサセプタまたはサセプタ素子の長さは、空洞の長さの少なくとも50%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%であってもよい。内側空間の中に提供されているサセプタまたはサセプタ素子の幅は、空洞の幅の少なくとも50%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも110%、少なくとも120%、または少なくとも130%であってもよい。外周内に提供されたサセプタまたはサセプタ素子の各寸法は、空洞の対応する寸法の少なくとも90%であってもよい。サセプタまたはサセプタ素子の断面が湾曲している、またはアーチ状である場合において、「幅」は湾曲またはアーチの長さとして理解されてもよい。
【0023】
サセプタまたはサセプタ素子の厚さは、約1mm、約0.5mm、または約0.3mmであってもよい。サセプタまたはサセプタ素子の厚さは、サセプタ空洞の深さと同じであってもよく、これはサセプタとカートリッジの間のより良好な熱伝達につながる。サセプタの厚さは、材料、予想される最高温度、および加熱のために必要な所要時間に依存して選ばれてもよい。一般に、サセプタがより薄いほど、サセプタは空洞の内容物をより速く加熱する。しかしながら、サセプタの材料に依存して、サセプタは空洞の内容物を加熱し過ぎる場合がある。サセプタがより厚いほど、サセプタ材料の熱慣性の理由で、サセプタは空洞の内容物をより遅く加熱する。
【0024】
サセプタは、第一のサセプタ素子および第二のサセプタ素子を備えてもよく、第一のサセプタ素子は空洞同士の間の内側空間の中に位置付けられていて、また第二のサセプタ素子は第一の空洞、または第二の空洞、または第一の空洞と第二の空洞の両方に隣接して空洞の外周内に位置付けられている。
【0025】
サセプタは第三のサセプタ素子を備えてもよい。相互に平行に位置付けられた、同一のサイズの三つのサセプタ素子があってもよい。サセプタは、第一の空洞が第一のサセプタ素子と第三のサセプタ素子の間にあり、また第二の空洞が第一のサセプタ素子と第三のサセプタ素子の間にあるように配設されてもよい。
【0026】
使用時に、カートリッジは受容チャンバを備えるエアロゾル発生装置の中に挿入されている。受容チャンバは、カートリッジがチャンバ内に嵌合するように形作られている。
【0027】
エアロゾル発生装置はインダクタを備える。使用中に、インダクタは交番磁界を発生して、サセプタ内に渦電流およびヒステリシス損失を発生し、サセプタ素子の加熱を生じさせ、これによってエアロゾル形成基体を加熱する。
【0028】
上述のサセプタまたはサセプタ素子とともに使用されるインダクタは、インダクタコイルの形態で提供されてもよい。インダクタコイルは、受容チャンバの少なくとも一部分の周りに配置されてもよい。使用時にインダクタコイルが交番磁界を発生してサセプタまたはサセプタ素子を加熱し、これによってチャンバの中に受容されたエアロゾル発生物品の少なくとも一部分を加熱するように、電源およびコントローラはインダクタコイルに接続されていて、交流電流をインダクタコイルに提供するように構成されている。
【0029】
カートリッジは、ニコチン供与源および乳酸供与源を含有する。ニコチン供与源および乳酸供与源は、カートリッジが加熱されるにつれて加熱される。ニコチン供与源から放出されたニコチンベイパーおよび乳酸供与源から放出された乳酸ベイパーは、混合チャンバに導かれ、ここでこれらは気相で相互に反応して乳酸ニコチン塩粒子を含むエアロゾルを形成する。次いでエアロゾルはマウスピースを通してユーザーの口の中に導かれる。
【0030】
カートリッジは、任意の適切な形状であってもよい。例えば、カートリッジは円筒状であってもよい。本明細書で使用される「円筒状」または「円筒」は、二つの端面と、所与の線に平行で、かつ所与の線に平行でない平面内の固定された平面曲線を通過するキャップの間のすべての線上のすべての点とによって画定された本体を意味する。例えば、カートリッジまたはその部品のうちのいずれかは、キャップが円形状、長円形、楕円形、または丸み付き縁部を有する多角形である円筒状であってもよい。例えば、高さと、台形または丸み付き縁部を有する六角形(または任意の類似の形状)である基部とを有する本体はまた、円筒である。円筒は、円形状のまたは湾曲した壁、平坦な壁、またはこれらの任意の組み合わせを備えてもよい。
【0031】
カートリッジは、任意の適切なサイズであってもよい。カートリッジは、約5mm~約30mmの長さを有してもよい。カートリッジは、約10mm~約20mmの長さを有してもよい。カートリッジは、約13mmまたは約15.4mmの長さを有してもよい。
【0032】
カートリッジは、例えば約4mm~約10mmの直径を有してもよい。ある特定の実施形態において、カートリッジは約7mmの直径を有してもよい。カートリッジは約6.75mmの直径を有してもよい。カートリッジは、約6.2mm、例えば6.16mmの直径を有してもよい。本明細書で使用される「直径」は、カートリッジの長軸方向軸に垂直な平面によって画定されたカートリッジの断面内の点の対の間のすべての距離の組の最小の上限を意味する。
【0033】
カートリッジは、それぞれニコチン供与源および乳酸供与源のための第一の空洞および第二の空洞を備える。カートリッジは、サセプタまたはサセプタ素子を収容する少なくとも一つのサセプタ空洞をさらに備えてもよい。カートリッジは、単一片の材料として形成されたサセプタを収容する単一のサセプタ空洞を備えてもよい。カートリッジは、三つのサセプタ素子を収容する単一のサセプタ空洞を備えてもよい。カートリッジは、三つのサセプタ素子を収容するための三つのサセプタ空洞を備えてもよい。サセプタ素子は、それぞれの各サセプタ空洞の少なくとも80%を占めてもよい。
【0034】
サセプタは、サセプタ空洞壁と接触するように位置付けられてもよい。例えば、サセプタの厚さはサセプタ空洞の深さと同一であってもよく、またはサセプタはサセプタ空洞の中にしっかりと嵌合されていてもよい。これは、サセプタとニコチン供与源および乳酸供与源をそれぞれ包含する空洞との間の熱伝達を改善する場合がある。
【0035】
上述の通りに位置付けられたサセプタまたはサセプタ素子では、ニコチン供与源および乳酸供与源の加熱はより均一である。空洞同士の間の内側空間に隣接するカートリッジの部分での温度と、空洞同士の間の内側空間に隣接するカートリッジの部分の反対側のカートリッジの側面での温度との差異は、単一のサセプタが空洞同士の間の内側空間の中に提供されているだけの時よりも小さい。結果として、各吸煙からのニコチン収率は連続した吸煙にわたって、より均一であり、1~3回の吸煙後に最大(または最大に近い)収率に達し、その後より均一な収率を維持する。
【0036】
カートリッジは単一部品として形成されてもよい。カートリッジは複数の部品を含んでもよい。
【0037】
カートリッジは二つの相補的な部品を含んでもよい。二つの相補的な部品は、円筒の二つの部品の形状、例えば二つの半円筒の形状を有してもよい。円筒の部品は実質的に、円筒の長軸方向軸に沿って切断された通りであってもよい。円筒の二つの部品(例えば、二つの半円筒)は、円筒の湾曲した部分が相互に離れる方を向いているように位置付けられてもよい。相補的な部品のうちの各一つは、それぞれ第一の空洞および第二の空洞のうちの一つを備える。
【0038】
二つの相補的な部品は、相互に連動するように適合されてもよく、それ故に実質的に円筒状のカートリッジを形成する。二つの相補的な部品は、外側ハウジングによって包囲されてもよい。外側ハウジングはまた、円筒状であってもよい。外側ハウジングの横断断面は、共に組み立てられた二つの相補的な部品の横断断面と同一の形状であってもよい。外側ハウジングの横断断面は、共に組み立てられた二つの相補的な部品の横断断面と異なる形状であってもよい。例えば、外側ハウジングは円形断面を有してもよく、一方で二つの相補的な部品は共に組み立てられた時に、少なくとも二つの平坦な部分および丸み付き縁部を有する、実質的に多角形の断面であってもよい。
【0039】
カートリッジを形成する二つの相補的な部品は、それらの間にサセプタ空洞を画定してもよい。このサセプタ空洞は、深さ1mm未満、または深さ0.5mm未満、例えば深さ0.3mmであってもよい。サセプタ空洞の深さは、サセプタまたはサセプタ素子がサセプタ空洞の壁と接触するように、サセプタまたはサセプタ素子の厚さと同一であってもよい。これは、サセプタによって発生した熱が、サセプタ空洞の壁を通して、かつカートリッジの中に伝達されることを確実にする。
【0040】
二つの相補的な部品のうちの一方または両方は、相補的な部品が共に組み立てられることを可能にするための係止機能を備えてもよい。二つの相補的な部品の各々は、二つの相補的な部品が組み立てられると、空洞の外周部の一部を形成する空間の中に一つの追加的なサセプタ空洞を画定してもよい。これらのサセプタ空洞は、相補的な部品どうしの間のサセプタ空洞と同一の寸法、またはそれよりも小さい寸法であってもよい。例えば、これらの二つの追加的なサセプタ空洞の各々は、幅0.2mmであってもよい。二つの相補的な部品は、外側本体内に位置付けられた時に、各相補的部分と外側本体の間に空間を画定してもよい。
【0041】
カートリッジは、空洞端にて開口を覆うための少なくとも一つのキャップを備えてもよい。カートリッジの二つの端部を覆うために、二つのキャップがあってもよい。単一のキャップまたはキャップのうちの少なくとも一つは、空気がカートリッジに入ること、かつ発生したエアロゾルがカートリッジから漏れ出てマウスピースの中に進むことを可能にする開口を備えてもよい。二つのキャップが提供されている場合、両方のキャップには開口が提供されてもよい。二つのキャップの各々における開口の数は同一であってもよい。各空洞と関連付けられた各キャップにおける開口の数は、同一であってもよい。第一の空洞と関連付けられた開口よりも、第二の空洞と関連付けられた開口が多くあってもよい。キャップのうちの各一つにおいて、第二の空洞と関連付けられた五つの開口、および第一の空洞と関連付けられた三つの開口があってもよい。キャップの各々において、第一の空洞と関連付けられた一つの開口、および第二の空洞と関連付けられた二つの開口があってもよい。各開口は、例えば直径が0.5mmであってもよい。一般に、開口の直径を決定するにあたり、全体的な引き出し圧力抵抗が考慮される場合がある。全体的な引き出し圧力抵抗は、40~80mmWGの範囲であることが好ましい。加えて、二つの空洞の開口面積の比も考慮に入れられてもよい。特に、この比は、両方の構成要素のモル濃度が混合チャンバ(すなわち、ニコチンベイパーと乳酸ベイパーとを混合して乳酸ニコチン塩粒子を含有するエアロゾルを生成する装置の一部)の中で同一であることを保証することが好ましい。この場合、乳酸より高い蒸気圧を有するニコチンのモル濃度を平衡化するために、酸空洞の開口面積を増大する必要がある。
【0042】
開口とは別に、キャップは、ニコチン供与源および乳酸供与源のそれぞれの漏れに対して空洞を閉じ、かつ密封する。この目的のために、キャップには、空洞の開口の中に緊密に嵌合し、それ故に空洞を閉じる突出部が提供されている。開口は突出部の厚さを通って延びて、カートリッジ1とカートリッジ1の外側との間の流体連通を提供する。
【0043】
ニコチン供与源および乳酸供与源のための第一の空洞および第二の空洞はそれぞれ、相互に隣接して位置付けられてもよい。空洞は、プリズム形状または台形形状であってもよい。空洞は、円形状、楕円形状、長円形状、半月形状、三日月形状、または多角形の断面であってもよい。空洞が少なくとも一つの実質的に平坦な壁を有する場合において、空洞は、平坦な壁が相互に向き合い、かつ空洞同士の間に内側空間を画定するように位置付けられてもよい。一実施形態において、空洞は長円形状の断面であり、これによって長円形の長辺が相互に向き合い、かつ空洞同士の間に内側空間を画定するように位置付けられている。空洞は、カートリッジの実質的に全長に沿って延びてもよい。一実施形態において、空洞は長円形状の断面であり、空洞の各々がカートリッジの一部に定置されているように、かつ長円形の長辺とカートリッジの部分が相互に向き合い、カートリッジの部分どうしの間に内側空間を画定するように位置付けられている。長さ15.4mmでかつ直径が6.75mmのカートリッジにおいて、空洞の各々の寸法は11.6mm×5mm×1mmであってもよい。空洞の軸同士の間の距離は2.21mmであってもよく、一方で空洞の隣接する壁同士の間の距離は1.21mmであってもよい。
【0044】
ニコチン供与源はニコチン、ニコチン塩基、ニコチン塩(ニコチン-HCl、ニコチン酒石酸塩、またはニコチン二酒石酸塩など)、またはニコチン誘導体のうちの一つ以上を含んでもよい。ニコチン供与源は天然ニコチンまたは合成ニコチンを含んでもよい。ニコチン供与源は純粋なニコチン、水性溶媒もしくは非水性溶媒中のニコチン溶液、または液体たばこ抽出物を含んでもよい。ニコチン供与源は電解質形成化合物をさらに含んでもよい。電解質形成化合物はアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属酸化物、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、およびこれらの組み合わせから成る群から選択されてもよい。例えば、ニコチン供与源は、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、酸化リチウム、酸化バリウム、塩化カリウム、塩化ナトリウム、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、硫酸アンモニウムおよびこれらの組み合わせから成る群から選択された電解質形成化合物を含んでもよい。ニコチン供与源はニコチン、ニコチン塩基、ニコチン塩、またはニコチン誘導体、および電解質形成化合物の水溶液を含んでもよい。ニコチン供与源は、天然風味、人工風味、抗酸化物質などが挙げられるがこれらに限定されない他の構成成分をさらに含んでもよい。
【0045】
ニコチン供与源および乳酸供与源は、担体材料の中に包埋されていてもよい。担体材料は収着材料であってもよい。担体材料は重合体基質であってもよい。担体材料は浸漬要素または吸い出し要素であってもよい。担体材料は熱放散を改善するように選ばれてもよい。担体材料は、ホウケイ酸ガラスまたは石英などの固体多孔性基材を含んでもよい。こうした基材では、マトリクスの温度がより均一になり、従ってニコチン供与源および乳酸供与源の蒸発がより均一になる。
【0046】
カートリッジは、耐ニコチン性および耐乳酸性である一つ以上の材料から形成されてもよい。
【0047】
カートリッジは熱伝導性材料を含んでもよい。カートリッジは炭素添加剤を有するポリマーを含んでもよい。カートリッジは黒鉛粉末を充填した液晶ポリマー(LCP)を含んでもよい。充填材料の濃度は、例えば30%であってもよい。カートリッジは、伝導性ガラスビーズと組み合わせた液晶ポリマー(LCP)を含んでもよい。ガラスビーズはLCP中に包埋されてもよい。ガラスビーズは、カートリッジの材料内に、カートリッジの外壁とニコチン供与源および乳酸供与源を包含する空洞の外壁との間に位置付けられてもよい。カートリッジの上述の組成物は、充填剤を有しない、かつガラスビーズを有しないプラスチック(LCP、PEEK)で作製されたカートリッジと比較して、ニコチン供与源および乳酸供与源の中のそれぞれの温度を均質化するのに役立つ場合がある。これは、ニコチン供与源および乳酸供与源のより均一な加熱につながる。
【0048】
本発明に関して本明細書で使用される「エアロゾル発生装置」という用語は、ニコチン供与源および乳酸供与源を備えるエアロゾル発生物品と相互作用して、乳酸ニコチン塩粒子を含むエアロゾルを発生するように構成されている装置を指す。中にカートリッジが挿入される受容チャンバを備えるエアロゾル発生装置である。エアロゾル発生装置は、電源および磁界の供与源、例えば装置をオンに切り替えると、変化する磁界をサセプタに提供するインダクタコイルを備える。それ故にサセプタは加熱され、カートリッジを加熱する。
【0049】
本発明の第二の態様において、エアロゾル発生装置用のカートリッジが提供されている。カートリッジは、ニコチン供与源を包含する第一の空洞、乳酸供与源を包含する第二の空洞を備え、第一の空洞および第二の空洞は熱伝導性材料を含む。
【0050】
カートリッジは炭素添加剤を含有するポリマーを含んでもよい。カートリッジは黒鉛粉末を充填した液晶ポリマー(LCP)を含んでもよい。これは、充填剤を有しないプラスチック(LCP、PEEK)で作製されたカートリッジと比較して、ニコチン供与源および乳酸供与源の中のそれぞれの温度を均質化するのに役立つ場合がある。
【0051】
本発明の第三の態様において、エアロゾル発生装置用のカートリッジが提供されている。カートリッジは、ニコチン供与源を包含する第一の空洞と、乳酸供与源を包含する第二の空洞とを備える。ニコチン供与源および乳酸供与源は、熱放散を改善するように選ばれた担体材料の中に包埋されている。担体材料は、ホウケイ酸ガラスまたは石英などの固体多孔性基材を含んでもよい。こうした基材では、マトリクスの温度がより均一になり、従ってニコチン供与源および乳酸供与源の蒸発がより均一になる。
【0052】
ここで本発明の具体的な実施形態を、添付図面を参照しながら、例証としてのみであるが記述する。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【
図1a】
図1aは、本発明によるカートリッジの概観である。
【
図2】
図2は、カートリッジの線II~IIに沿った長軸方向の断面である。
【
図3】
図3は、カートリッジの線III~IIIに沿った横断断面である。
【
図4a-4e】
図4a~4eは、カートリッジ中のサセプタの幾つかの様々な配設を示す。
【
図5】
図5は、カートリッジの一つの構成要素の概観である。
【
図6】
図6は、カートリッジの外側本体の概観である。
【
図7】
図7は、カートリッジの上方キャップの概観である。
【
図8】
図8は、カートリッジの下方キャップの概要である。
【
図9】
図9は、カートリッジが使用されてもよいエアロゾル発生装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
本発明によるカートリッジ1の例示的な実施形態を図に示している。カートリッジ1は本体2、上方キャップ3、および下方キャップ5を含む。
【0055】
本体2は第一の片11および第二の片12を収容する。片11、12の各々は空洞13、14を収容する。第一の片11は第一の空洞13を収容する。第一の空洞13はニコチン供与源を包含する。第二の片12は第二の空洞14を収容する。第二の空洞14は乳酸供与源を包含する。
【0056】
上方キャップ3および下方キャップ5(
図7および
図8に示す)の各々は、開口4、6を備える。開口4、6は、それぞれの空洞13、14とカートリッジ1の外側との間に流体連通チャネルを提供する。上方キャップ3の中の一つの開口4および下方キャップ5の中の一つの開口6は、第一の空洞13と関連付けられている。上方キャップ3の中の二つの開口4および下方キャップ5の中の二つの開口6は、第二の空洞14と関連付けられている。開口4、6とは別に、キャップ3、5は、ニコチン供与源および乳酸供与源のそれぞれの漏れに対して空洞13、14を閉じ、かつ密封する。この目的のために、突出部3a、5aが提供されていて、これらは空洞13、14の開口の中に挿入されている。穴4、6は、突出部3a、5aの厚さを通って延び、空洞13、14とカートリッジ1の外側との間の流体連通を提供する。
【0057】
本体2の外表面は円筒状であり、円形断面を有する。本体2の内表面は、相互に向き合う二つの平坦な部分7と、相互に向き合う二つの湾曲した部分8とを有する。湾曲した部分8は、外表面によって形成された円より小さい直径を有する円の切片を形成する。湾曲した部分8は平坦な部分7を接続し、また平坦部分7は湾曲した部分8とともに、非円形断面を有する円柱を形成する。非円形断面を有する円筒によって画定された、本体2の内側空間は、カートリッジ1が組み立てられる前は空であり、二つの片11、12を収容するように適合されている。
【0058】
二つの片11、12は、一緒に組み立てられるように、また組み立てられた時に、本体2の内側空間の中に嵌合するように構成されている。二つの片11、12の各々は、二つの湾曲した部分8’、平坦な部分7’および面16a、16bを備える。平坦な部分7’および面16a、16bは、相互に反対側に位置付けられている。二つの片11、12が一緒に組み立てられる時に、面16a、16bは相互に向き合い、かつそれらの間にサセプタ空洞16を画定し、一方で平坦な部分7’は相互に背を向く。二つの片11、12が一緒に組み立てられ、ハウジング2の中に入れられる時、二つの片11、12は、平坦な部分7’が本体2の内表面上に提供された平坦部分7に面し、また湾曲した部分8’が、本体2の内表面上に提供された湾曲した部分8と接触するように位置付けられている。平坦な部分7、7’は相互に向き合うが完全に接触せず、またそれらの間にサセプタ空洞15、17を画定する。
【0059】
カートリッジ1の二つの片11、12の各々は空洞13、14を収容する。空洞13、14は長円形状である。二つの片11、12は、平坦な面7’および面16a、16bに平行である長軸方向軸を画定する。長円形の長軸方向軸は、二つの片11、12の長軸方向軸に平行である。空洞は相互に平行に位置付けられている。サセプタ空洞15、16、および17は相互に平行であり、かつサセプタ空洞15、16、17に平行である。
【0060】
図4aに示す第一の構成において、サセプタ20は三つのサセプタ素子20a、20b、20cを有する。サセプタ素子20a、20b、20cの各々は、それぞれサセプタ空洞15、16、17のうちの一つの中に位置付けられている。サセプタ素子20a、20b、20cは平坦な長方形の要素である。サセプタ素子20a、20b、20cの各々の面積は、それぞれのサセプタ空洞15、16、17の面積と同等である。例えば、サセプタ素子20a、20b、20cの各々は、それぞれのサセプタ空洞15、16、17の面積の90%を覆う場合がある。言い換えれば、長円形に形作られた空洞13、14は、最大面積を有する長軸方向の断面を画定する。サセプタ素子20a、20b、20cはこうしたサイズであり、またサセプタ素子の面積が空洞15、16、17の最大面積を有する長軸方向の断面の少なくとも90%を覆うように、サセプタ空洞15、16、17の中に定置されている。
【0061】
二つの片11、12およびサセプタ素子20a、20b、20cが本体2の内側で定位置にあり、かつ空洞13、14がニコチン供与源および乳酸供与源でそれぞれ充填されると、カートリッジ1は上方キャップ3および下方キャップ5で閉じられる。カートリッジ1は次に、エアロゾル発生装置とともに使用されてもよい。
【0062】
サセプタの代替的な構成は、
図4b、
図4c、
図4d、および
図4eに概略的に示されている。これらのサセプタ構成とともに使用されるカートリッジは、上述のカートリッジ1と類似していて、
図4b~4dに示すサセプタを収容できる形状を有するように、サセプタ空洞に対して適切な修正がなされている。これらの構成の各々において、サセプタは、空洞13、14の長辺がサセプタと重なるように位置付けられている。
【0063】
図4bに示すサセプタの第二の構成において、サセプタは単一のS字形状の片である。
【0064】
図4cに示すサセプタの第三の構成において、サセプタは三つのサセプタ素子20a、20b、20cを含み、これらは共に接続されてW字形状を形成する。
【0065】
図4dに示すサセプタの第四の構成において、サセプタは、空洞を囲む円形のサセプタ素子20aと、および空洞13と空洞14の間の空間の中に位置付けられている中間サセプタ素子20bとの形態で提供されている。サセプタ素子20bはサセプタ素子20aに接続されていない。
【0066】
図4eに示す第五の構成において、サセプタは、三つの要素20a、20b、20cの形態で提供されている。空洞の外周内に位置付けられている要素20a、20cは湾曲している。要素20bは平坦である。
【0067】
図4aに示す実施形態は、良好な加熱効率を有する。
図4bおよび
図4cに示す実施形態は、一部の状況において、製造するのがより簡単かつより安価である場合がある。
【0068】
使用時に、カートリッジ1は、受容チャンバ101を備えるエアロゾル発生装置100(
図9)の中に挿入されている。受容チャンバ101は、カートリッジ1が受容チャンバ101内に嵌合するように形作られている。エアロゾル発生装置100は、受容チャンバ101の周りに配置されているインダクタコイル102を備える。電源103およびコントローラ104は、インダクタコイル102に交流電流を提供する。それ故に、インダクタコイル102は交番磁界を発生して、上述のサセプタまたはサセプタ素子20を加熱し、かつこれによってチャンバ101の中に受容されたカートリッジ1の少なくとも一部分を加熱する。
【0069】
カートリッジ1中の空洞13、14は、それぞれニコチン供与源および乳酸供与源を包含する。ニコチン供与源および乳酸供与源は、カートリッジ1が加熱されるにつれて加熱される。ニコチン供与源から放出されたニコチンベイパーおよび乳酸供与源から放出された乳酸ベイパーは、混合チャンバ105に導かれ、ここでこれらは気相で相互に反応して、乳酸ニコチン塩粒子を含むエアロゾルを形成する。次いでエアロゾルはマウスピース106を通してユーザーの口の中に導かれる。