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特許7451431側方流動アッセイのシグナルを増幅させるシステム、装置および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-08
(45)【発行日】2024-03-18
(54)【発明の名称】側方流動アッセイのシグナルを増幅させるシステム、装置および方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/543 20060101AFI20240311BHJP
   G01N 33/569 20060101ALI20240311BHJP
   G01N 33/545 20060101ALI20240311BHJP
【FI】
G01N33/543 525W
G01N33/543 521
G01N33/543 541Z
G01N33/569 L
G01N33/543 541A
G01N33/545 A
【請求項の数】 28
(21)【出願番号】P 2020570523
(86)(22)【出願日】2019-06-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-04
(86)【国際出願番号】 US2019035725
(87)【国際公開番号】W WO2019245744
(87)【国際公開日】2019-12-26
【審査請求日】2022-06-03
(31)【優先権主張番号】62/686,606
(32)【優先日】2018-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100168631
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 康匡
(72)【発明者】
【氏名】レン フイミャオ
【審査官】北条 弥作子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0229913(US,A1)
【文献】特表2013-513113(JP,A)
【文献】特表2010-512537(JP,A)
【文献】特開2017-181368(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0134803(US,A1)
【文献】特開2013-213803(JP,A)
【文献】国際公開第2015/109255(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/043746(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/48~33/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料中の目的分析物を検出するための側方流動アッセイ装置であって、
第1のラベル、前記目的分析物に特異的に結合するように構成されている作用物質、および第1の結合パートナーを含む第1のコンジュゲート、
側方流動アッセイ装置の流体流路に沿って前記第1のコンジュゲートの上流にある第2のコンジュゲート、ここで、前記第2のコンジュゲートは、第2のラベルと、前記第1の結合パートナーに特異的に結合するように構成される第2の結合パートナーとを含む、並びに
前記側方流動アッセイ装置の前記流体流路に沿って、前記第1のコンジュゲートおよび前記第2のコンジュゲートの下流にある検出帯、ここで、前記検出帯は、前記目的分析物に特異的に結合する固定化された捕捉用物質を含む
を含み、ここで
前記第1のラベルと前記第2のラベルは同じであり、
前記第1のコンジュゲートは、前記側方流動アッセイ装置の試料受入帯に存在し、または前記第1のコンジュゲートは、前記試料受入帯の下流の第1のコンジュゲート帯に存在し、且つ
前記第2のコンジュゲートは、前記試料受入帯の上流のバッファ受入帯に存在し、または前記第2のコンジュゲートは、前記バッファ受入帯の下流であって且つ前記試料受入帯の上流にある第2のコンジュゲート帯に存在する、
側方流動アッセイ装置
【請求項2】
流体試料を前記側方流動アッセイ装置に適用すると、前記第1のコンジュゲートが、可溶化され、且つ前記検出帯に移動するように構成されている、請求項1に記載のアッセイ装置
【請求項3】
前記第1のコンジュゲートが前記検出帯に移動した後に、前記第2のコンジュゲートが、可溶化され且つ前記検出帯に移動するように構成されており且つ、緩衝液が前記第2のコンジュゲートに適用されるか又は前記第2のコンジュゲートの上流にある側方流動アッセイ装置上の位置に適用されると、前記第2のコンジュゲートが、可溶化され且つ前記検出帯に移動するように構成されている、請求項に記載のアッセイ装置
【請求項4】
目的分析物に特異的に結合するように構成される前記作用物質が、目的分析物に特異的に結合する抗体または抗体結合断片である、請求項1に記載のアッセイ装置
【請求項5】
前記第1の結合パートナーおよび前記第2の結合パートナーが、抗原/抗体、ハプテン/抗体、ホルモン/受容体、核酸鎖/相補性核酸鎖、基質/酵素、阻害剤/酵素、炭水化物/レクチン、ビオチン/アビジン、受容体/リガンド、およびウイルス/細胞受容体から成る群から選択される結合対を含む、請求項1に記載のアッセイ装置
【請求項6】
前記第1の結合パートナーおよび前記第2の結合パートナーがビオチン/アビジン結合対を含み、且つ前記アビジンがストレプトアビジンまたはニュートラアビジンを含む、請求項1に記載のアッセイ装置
【請求項7】
前記第1の結合パートナーおよび前記第2の結合パートナーが抗原/抗体結合対を含み、前記抗原がペプチドまたはデカペプチドである、請求項1に記載のアッセイ装置
【請求項8】
前記目的分析物が目的の生物学的または環境的物質である、請求項1に記載のアッセイ装置
【請求項9】
前記目的分析物がインフルエンザウイルスである、請求項1に記載のアッセイ装置
【請求項10】
前記インフルエンザウイルスが、インフルエンザAウイルス、インフルエンザBウイルスまたはインフルエンザCウイルスである、請求項に記載のアッセイ装置
【請求項11】
前記固定化された捕捉用物質が、前記目的分析物に特異的に結合する抗体または抗体結合断片である、請求項1に記載のアッセイ装置
【請求項12】
ニトロセルロース膜を含む試験ストリップを含む、請求項1に記載のアッセイ装置
【請求項13】
前記第1のコンジュゲートに特異的に結合する固定化された捕捉用物質を含む制御帯をさらに含む、請求項1に記載のアッセイ装置
【請求項14】
前記第1および第2のラベルが、金属ナノ粒子、ブルーラテックスビーズ、金属ナノ粒子、着色ラテックス粒子、着色ラテックスビーズ、磁気粒子、炭素ナノ粒子、量子ドット、アップコンバーティング蛍光体、有機フルオロフォア、繊維染料、酵素またはリポソームから成る群から選択される、請求項1に記載のアッセイ装置
【請求項15】
前記第1のラベルおよび前記第2のラベルが金ナノ粒子を含む、請求項1に記載のアッセイ装置
【請求項16】
前記第1のラベルおよび前記第2のラベルが、光学的シグナル、蛍光シグナルまたは磁気シグナルを生成するように構成される、請求項1に記載のアッセイ装置
【請求項17】
前記第1のコンジュゲートの側方上部または上流に配置される試料ウェル、前記第2のコンジュゲート帯の側方上部または上流に配置されるバッファウェル、および前記検出帯にアクセス可能な読み取りウィンドウを含む筐体
をさらに含む、請求項に記載のアッセイ装置
【請求項18】
前記バッファウェル、前記第2のコンジュゲート帯、前記試料ウェルおよび前記第1のコンジュゲート帯が、前記側方流動アッセイ装置の前記流体流路に沿って、空間的に分離されている、請求項17に記載のアッセイ装置
【請求項19】
前記第1のコンジュゲートを、側方流動試験ストリップの試料受入帯においてまたはその下流において、前記側方流動試験ストリップに適用すること、および
前記第2のコンジュゲートを、前記試料受入帯の上流のバッファ受入帯においてまたはその下流において、前記側方流動試験ストリップに適用すること
を含む、請求項1に記載の側方流動アッセイ装置製造する方法。
【請求項20】
前記第1のコンジュゲートおよび前記第2のコンジュゲートを前記試験ストリップに同時に適用する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記第1のコンジュゲートおよび前記第2のコンジュゲートを、エアージェット付着によって前記試験ストリップに適用する、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
試料中の目的分析物を検出する方法であって、
第1のラベル、前記目的分析物に特異的に結合するように構成される作用物質、および第1の結合パートナーを含む第1のコンジュゲート、
側方流動アッセイ装置の流体流路に沿って前記第1のコンジュゲートの上流にある第2のコンジュゲート、ここで、前記第2のコンジュゲートは、第2のラベルと、前記第1の結合パートナーに特異的に結合するように構成される第2の結合パートナーと含む、ならびに
前記側方流動アッセイ装置の前記流体流路に沿って、前記第1のコンジュゲートおよび前記第2のコンジュゲートの下流にある検出帯、ここで前記検出帯は、前記目的分析物に特異的に結合する固定化された捕捉用物質を含む
を含む側方流動アッセイ装置に試料を適用すること、
前記検出帯において前記固定化された捕捉用物質に複合体を結合させること、ここで前記複合体は、前記第1のコンジュゲートに結合した前記目的分析物を含む、
前記複合体を結合させた後、前記第2のコンジュゲートを放出して、前記側方流動アッセイ装置の前記流体流路に沿って流動させること、ここで、前記第2のコンジュゲートを放出することが、緩衝液を前記第2のコンジュゲートに適用するか、または前記第2のコンジュゲートの上流の前記側方流動アッセイ装置の位置に適用することを含む、
前記第2のコンジュゲートを、前記検出帯において結合されている前記複合体に結合させること
を含む方法。
【請求項23】
前記検出帯において結合されている前記複合体および前記第2のコンジュゲートによって生成されたシグナルを検出することをさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記目的分析物に結合していない第1のコンジュゲートを、前記検出帯において前記複合体に結合ている前記第2のコンジュゲートに結合させることをさらに含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記第1のラベルおよび第2のラベルが、光学的シグナル、蛍光シグナルまたは磁気シグナルを生成するように構成される、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
試料を前記側方流動アッセイ装置に適用した後、5秒、10秒、15秒、20秒、25秒、30秒、35秒、40秒、45秒、50秒、55秒、1分、2分、3分、4分、5分、6分、7分、8分、9分、または10分で前記第2のコンジュゲートが放出される、請求項22に記載の方法。
【請求項27】
前記検出帯において前記固定化された捕捉用物質に複合体を結合させることが、
前記目的分析物を前記第1のコンジュゲートで標識して、複合体を形成すること、および
前記検出帯において前記複合体を前記固定化された捕捉用物質に結合させること
を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項28】
緩衝液を適用することが、前記第2のコンジュゲートの側方上部または上流に配置されるバッファ受入ウェルに、緩衝液を注ぐことを含む、請求項22に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年6月18日に出願された米国特許仮出願第62/686,606号の利益を主張し、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、概して、側方流動装置、試験システムおよび方法に関する。より詳細には、本開示は、検出シグナルを増幅することによって、少量または低濃度の試料に存在する分析物を測定することができる側方流動アッセイ装置に関する。
【背景技術】
【0003】
側方流動アッセイを含む免疫アッセイシステムは、信頼性のある、高価ではない、小型の、迅速および単純な診断試験を提供する。側方流動アッセイは、試料中の目的分析物の有無を素早く、正確に検出し、およびいくつかの場合において、定量することができる。有利なこととして、側方流動アッセイは、侵襲性が最小限であり、ポイントオブケア検査システムとして使用することができる。
側方流動アッセイは、試料中の目的分析物の有無または量を示すために測定することができるシグナルを生成する。試料に分析物が少量または低濃度で存在する場合、しかしながら、側方流動アッセイの試験領域において捕捉された標識化分析物によって生成されるシグナルは、シグナルを読み取り、処理する測定システムの検出閾値を超えない場合がある。結果として、側方流動アッセイは、目的分析物が試料に存在することを、信頼性をもってまたは正確に示さないおそれがある。
【発明の概要】
【0004】
要約
したがって、本開示の態様は、試料中の分析物の有無または量を検出することができる改善された側方流動アッセイを提供することである。本明細書に記載の方法およびシステムの実施形態は、分析物が少量または低濃度であり、通常は、シグナルが測定システムの検出閾値未満であるレベルで生成されてしまうと思われる場合であっても、分析物の存在、およびいくつかの場合において、量または濃度を測定することができる。結果として、本明細書に記載のシステム、装置および方法の実施形態は、少量または低濃度であっても、目的分析物について非常に感受性がある。さらに、本明細書に記載の方法およびシステムの実施形態は、先行の方法およびシステムよりも高い信頼度で試料中の目的分析物の欠如を決定することができる。本開示の実施形態における検出可能なシグナルの欠如は、(実際には存在するが、生成されたシグナルがシステムの検出閾値未満であるこのような低濃度で存在する分析物とは対照的に)試料中の目的分析物の欠如を、信頼性をもって示すことができる。したがって、本開示の実施形態は、偽陰性の読み取りを減少することができる。以下に詳細に記載されるように、本開示に記載の側方流動アッセイは、側方流動アッセイの捕捉帯等の試験領域に生成されるシグナルを通常の測定システムが少量または低濃度の試料に存在する目的分析物を検出することを可能にするレベルにまで増幅する。
【0005】
本開示に記載のアッセイによって生成されるシグナルは、反射率型ラベル(限定されないが、金ナノ粒子ラベルおよび異なる色のラテックス粒子等)によって生成される光学的シグナルの文脈において本明細書に記載される。本開示の実施形態は「光学的」シグナルを参照することによって本明細書に記載されるが、本明細書に記載のアッセイが、限定されないが、蛍光シグナルを生成する蛍光型ラテックスビーズラベルおよびアッセイに関連する磁場の変化を示すシグナルを生成する磁気ナノ粒子ラベルを含むがこれに限定されないシグナルを生成するために、ラベルに任意の適切な材料を使用することができることを理解されよう。
本明細書に記載の側方流動アッセイの実施形態は、目的分析物が、少量または低濃度で試験ストリップ(test strip)に存在する診断試験において特に有利である。目的分析物は、限定されないが、試験ストリップに適用される試料中の目的分析物が限られた量であること、および試験ストリップに適用される試料が限られた容積であることを含む多くの理由のために、低濃度で試験ストリップに存在し得る。本開示の実施形態は、低濃度で目的分析物を検出することに関連して記載されるが、本開示は、少量の目的分析物も検出することができることを理解されよう。
【0006】
本明細書に開示されるいくつかの実施形態は、試料中の目的分析物を検出するための側方流動アッセイに関する。側方流動アッセイは、第1のラベル、目的分析物に特異的に結合するように構成される作用物質、および第1の結合パートナーを含む第1のコンジュゲート;側方流動アッセイの流体流路に沿って第1のコンジュゲートの上流の第2のコンジュゲートであって、第2のラベルおよび第1の結合パートナーと特異的に結合するように構成される第2の結合パートナーを含む第2のコンジュゲート;ならびに側方流動アッセイの流体流路に沿って第1のコンジュゲートおよび第2のコンジュゲートの下流の検出帯であって、目的分析物に特異的に結合する固定化された捕捉用物質(固定化捕捉物質)を含む検出帯、を含む。
第1のコンジュゲートは、側方流動アッセイの試料受入帯に存在することができ、または第1のコンジュゲートは、試料受入帯の下流の第1のコンジュゲート帯に存在する。第2のコンジュゲートは、試料受入帯の上流のバッファ受入帯に存在することができ、または第2のコンジュゲートは、バッファ受入帯の下流で試料受入帯の上流の第2のコンジュゲート帯に存在する。第1のコンジュゲートは、流体試料を側方流動アッセイに適用すると、可溶化されて、且つ検出帯に移動する(集まる)ように構成することができる。第2のコンジュゲートは、第1のコンジュゲートが検出帯に移動した後に、可溶化されて、且つ検出帯に移動するように構成することができる。
【0007】
目的分析物に特異的に結合するように構成される作用物質は、目的分析物に特異的に結合する抗体または抗体結合断片でもよい。第1の結合パートナーおよび第2の結合パートナーは、抗原/抗体、ハプテン/抗体、ホルモン/受容体、核酸鎖/相補性核酸鎖、基質/酵素、阻害剤/酵素、炭水化物/レクチン、ビオチン/アビジン、受容体/リガンド、およびウイルス/細胞受容体から成る群から選択される結合対を含み得る。第1の結合パートナーおよび第2の結合パートナーは、ビオチン/アビジン結合対を含み、アビジンは、ストレプトアビジンまたはニュートラアビジンを含み得る。第1の結合パートナーおよび第2の結合パートナーは、抗原/抗体結合対を含むことができ、抗原は、ペプチドまたはデカペプチドを含み得る。目的分析物は、目的の生物学的または環境的物質でもよい。目的分析物は、インフルエンザウイルスでもよい。インフルエンザウイルスは、インフルエンザAウイルス、インフルエンザBウイルスまたはインフルエンザCウイルスでもよい。固定化された捕捉用物質は、目的分析物に特異的に結合する抗体または抗体結合断片でもよい。試験ストリップは、ニトロセルロース膜を含み得る。側方流動アッセイは、第1のコンジュゲートに特異的に結合する固定化された捕捉用物質を含む制御帯も含み得る。
【0008】
第1および第2のラベルは、金属ナノ粒子、ブルーラテックスビーズ、金属ナノ粒子、着色ラテックス粒子、着色ラテックスビーズ、磁気粒子、炭素ナノ粒子、量子ドット、アップコンバーティング蛍光体(up converting phosphor)、有機フルオロフォア、繊維染料、酵素またはリポソームから成る群から選択し得る。第1のラベルおよび第2のラベルは、金ナノ粒子を含み得る。第1のラベルおよび第2のラベルは、光学的シグナル、蛍光シグナルまたは磁気シグナルを生成するように構成することができる。
側方流動アッセイは、第1のコンジュゲートの側方上部または上流に配置される試料ウェルを含む筐体、第2のコンジュゲート帯の側方上部または上流に配置されるバッファウェル、および検出帯にアクセス可能な読み取りウィンドウも含み得る。バッファウェル、第2のコンジュゲート帯、試料受入ウェルおよび第1のコンジュゲート帯は、側方流動アッセイの流体流路に沿って、空間的に分離し得る。
本明細書に開示されるさらなる実施形態は、側方流動アッセイの作製方法に関する。方法は、第1のコンジュゲートを側方流動試験ストリップの試料受入帯において、または下流の側方流動試験ストリップに適用し、および第2のコンジュゲートを試料受入帯の上流にあるバッファ受入帯において、または下流の試験ストリップに適用することを含む。第1のコンジュゲートおよび第2のコンジュゲートは、試験ストリップに同時に適用し得る。第1のコンジュゲートおよび第2のコンジュゲートは、エアージェットデポジションによって試験ストリップに適用し得る。
【0009】
本明細書に記載のその他の実施形態は、試料中の目的分析物を検出する方法に関する。方法は、試料を側方流動アッセイに適用することを含む。側方流動アッセイは、第1のラベル、目的分析物に特異的に結合するように構成される作用物質、および第1の結合パートナーを含む第1のコンジュゲート;側方流動アッセイの流体流路に沿って第1のコンジュゲートの上流にある第2のコンジュゲートであって、第2のラベルおよび第1の結合パートナーと特異的に結合するように構成される第2の結合パートナーを含む第2のコンジュゲート;ならびに側方流動アッセイの流体流路に沿って第1のコンジュゲートおよび第2のコンジュゲートの下流にある検出帯であって、目的分析物に特異的に結合する固定化された捕捉用物質を含む検出帯、を含んでいる。方法は、検出帯において、複合体を固定化された捕捉用物質に結合することも含み、複合体は、第1のコンジュゲートに結合される目的分析物を含む。複合体を結合した後、方法は、第2のコンジュゲートを放出して、側方流動アッセイの流体流路に沿って流すことを含む。方法は、さらに、第2のコンジュゲートを検出帯において結合された複合体に結合することを含む。
【0010】
方法は、検出帯において結合された複合体および第2のコンジュゲートによって生成されたシグナルを検出することを含み得る。方法は、目的分析物に結合されなかった第1のコンジュゲートを検出帯における複合体に結合された第2のコンジュゲートに結合することも含み得る。第1のラベルおよび第2のラベルは、光学的シグナル、蛍光シグナルまたは磁気シグナルを生成するように構成することができる。試料を側方流動装置に適用した後、第2のコンジュゲートを、5秒、10秒、15秒、20秒、25秒、30秒、35秒、40秒、45秒、50秒、55秒、1分、2分、3分、4分、5分、6分、7分、8分、9分、または10分で放出することができる。
複合体を検出帯において固定化された捕捉用物質に結合することは、第1のコンジュゲートで目的分析物を標識して、複合体を形成し、および複合体を検出帯において固定化された捕捉用物質に結合することを含み得る。第2のコンジュゲートを放出することは、緩衝液を第2のコンジュゲート、または第2のコンジュゲートの側方流動アッセイの上流の位置に適用することを含み得る。緩衝液を適用することは、第2のコンジュゲートの側方上部または上流に配置されるバッファ受入ウェルに、緩衝液を注ぐことを含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】バッファウェル、試料ウェルおよび読み取りウィンドウを含む本開示に記載の例示的な側方流動装置の上面図を示す。
図2】本開示に記載の側方流動シグナル増幅アッセイの例示的なアッセイ試験ストリップを示す。
図3】本開示に記載のアッセイ試験ストリップによって生成されたシグナルを増幅する例示的な方法を模式的に示す。
図4】本開示に従って実施される側方流動装置のシグナル増幅反応の結果を示し、対照シグナル(シグナル増幅コンジュゲート-◆の欠如)および(シグナル増幅コンジュゲート-■を有する)試験シグナルについての読み取り時間を関数として、シグナル強度を示す。
図5】本開示に従って実施される側方流動装置のシグナル増幅反応の結果を示し、10分(◆)および20分(▲)後のシグナル増幅コンジュゲートのない場合に実施されるアッセイの対照シグナル、ならびに10分(■)および20分(●)後のシグナル増幅コンジュゲートのある場合の試験シグナルを含む、分析物の濃度を関数としてシグナル強度を示す。
図6】低濃度の試料中の目的分析物を検出するために側方流動アッセイを使用する例示的な方法についてのフローダイアグラムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
通常の側方流動サンドイッチアッセイは、コンジュゲートパッド(またはラベリング帯)、捕捉もしくは試験帯、および流体流路に沿って整列され、通常は、試験ストリップの長手方向軸に沿って必ずしも整列される必要のない吸収パッドを有する試験ストリップを含む。試験ストリップは、コンジュゲートパッドの上流に試料受入帯またはウェルを含み得る。コンジュゲートパッドは、通常、コンジュゲートと呼ばれる標識された分析物特異的抗体を含む。このコンジュゲートのラベルは、限定されないが金ナノ粒子等の検知分子に結合される分析物特異的抗体を含み得る。捕捉帯は、固定化された捕捉用物質、例えば、ニトロセルロース膜等の担体材料に固定化される分析物特異的抗体を含む。吸収パッドは、担体材料を通って捕捉帯に流れるようにコンジュゲートパッド(または存在する場合、試料受入帯)に適用される液体試料を補助する。液体試料が(試料受入帯またはコンジュゲートパッドの)試験ストリップに適用されると、標識された分析物特異的抗体は、再水和され、可動化可能になる。目的の抗体特異的分析物が存在する場合、分析物は、標識された分析物特異的抗体に結合し、担体材料を通って試験帯を下流に移動する分析物-抗体-検知物質複合体を形成する。試験帯において、分析物-抗体-検知物質複合体の分析物は、捕捉帯に固定化された分析物特異的抗体と相互作用して、通常、サンドイッチと呼ばれる抗体-分析物-抗体-検知物質構造を形成する。これらのサンドイッチ構造の閾値数が捕捉帯に形成される場合、サンドイッチ構造における検知分子によって生成されるシグナルは、測定システムによって検出することができる。
【0013】
測定システムは、検出されたシグナルを処理して、試料中の目的分析物の存在、およびいくつかの場合では量を決定することができる。目的分析物が試料に存在しない場合、分析物-抗体-検知物質複合体が形成されず、結果として、サンドイッチ構造は捕捉帯に形成されない。この例において、捕捉帯に検知分子はなく、測定システムは、捕捉帯からのシグナルの欠如と試料中の目的分析物の欠如の相互関係を示す。目的分析物が実際には試料に存在するが、非常に少量または低濃度である場合では、捕捉帯に形成されるサンドイッチ構造の数は非常に少ない可能性がある。いくつかの例において、サンドイッチ構造の数が少なすぎるため、検知分子によって生成されるシグナルは、測定システムの検出閾値未満である。この場合、測定システムは、目的分析物は実際には試料に存在するが、非常に少量または低濃度であるにも関わらず、捕捉帯からのシグナルの欠如(またはシステムの検出閾値超のシグナルの欠如)と試料中の目的分析物の欠如の相互関係を示す。したがって、通常の側方流動サンドイッチアッセイは、少量または低濃度に存在する目的分析物に対して限定された感受性を有する。
【0014】
本明細書に記載の装置、システムおよび方法は、側方流動アッセイに適用される試料中の目的分析物の存在下で生成されるシグナルを増幅することによって、これらおよびその他の欠点を解決する。有利なこととして、本開示に記載の装置、システムおよび方法の実施形態は、側方流動アッセイの捕捉帯等の試験領域において生成されるシグナルを、目的分析物が低濃度で存在する場合であっても、通常のリーダーの検出閾値超のレベルに増幅することができる。本開示に記載の側方流動装置、試験システムおよび方法は、(1)捕捉帯の固定化された捕捉用物質に結合される第1の分析物特異的コンジュゲートと、(2)捕捉帯に存在するが、固定化された捕捉用物質に結合していない第2の残余の分析物特異的コンジュゲートとの両方に結合するシグナル増幅コンジュゲートを含む。この第2の以前には結合していない残余の分析物特異的コンジュゲート(捕捉帯の第1のシグナル増幅コンジュゲートには結合してしまった)は、第2のシグナル増幅コンジュゲートに相互作用し、結合する追加の結合部位を含み、それ自体は、捕捉帯における結合イベントのマルチレベルの連鎖反応において、捕捉帯に存在する第3の残余の分析物特異的コンジュゲートと相互作用し、結合することなどをする。
【0015】
捕捉帯に結合するようになった追加の分析物特異的コンジュゲートの存在は、シグナル増幅コンジュゲートとの相互作用と結合することによって可能になり、捕捉帯において生成されるシグナルの強度を、通常の測定システムの検出閾値を超えるレベルに増加させることができる。捕捉帯に結合されるシグナル増幅コンジュゲートの存在は、捕捉帯において生成されるシグナルの強度を、測定システムの検出閾値を超えるレベルに増加させることもできる。本開示の実施形態は、側方流動アッセイによって生成されるシグナルを測定システムの特徴を修正するよりも通常の検出可能範囲に増加させることによって、側方流動アッセイの感受性を改善し、有利なこととして、本開示の記載の側方流動アッセイを通常の側方流動アッセイ試験システムに後方互換させることができる。
【0016】
いかなる特定の理論に束縛されることなく、シグナル増幅コンジュゲートは、通常、捕捉帯を通過すると思われる追加の分析物特異的コンジュゲートが捕捉帯において捕捉され、保持することができるスキャフォールドに形成し、結果的に増幅したシグナルが捕捉帯に生成されると考えられる。分析物特異的コンジュゲートにおける検知分子の他に、シグナル増幅コンジュゲートは、検知分子も含むことができ、捕捉帯に結合することになるシグナル増幅コンジュゲートも捕捉帯にシグナルも生成し、それによって、捕捉帯で生成されたシグナルの強度が検出閾値を超えるレベルに増加することに寄与する。有利なこととして、本開示の実施形態は、捕捉帯におけるシグナルを増幅するために、試料に存在する目的分析物の全てまたは実質的に全てが分析物特異的コンジュゲートと捕捉帯における固定化された捕捉用物質との両方に結合することに依存しない、または必要としない。本開示の利点は、分析物特異的コンジュゲートおよび捕捉帯に固定化された捕捉用物質に結合している目的分析物(例えば、低濃度で存在する目的分析物を有する試料の場合に)が非常に低いレベルであっても、いくらかの量、いくつかの場合では非常に少量の目的分析物が、捕捉帯において固定化された捕捉用物質と結合した後に形成されるスキャフォールド内の目的分析物の有無に関係なく、捕捉帯において結合イベントの連鎖反応を起こすことができることである。したがって、本明細書に記載のシステム、装置および方法の実施形態は、微量であっても、試料に存在する目的分析物について側方流動アッセイの感受性をかなり向上させることができる。
【0017】
低濃度の試料中の目的分析物の有無または量を測定するために側方流動アッセイの感受性を増加させる他に、本明細書に記載の装置、システムおよび方法は、高度に専門化した、いくつかの場合では、時間のかかる試料調製技術および通常、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)等の低濃度の試料の分析物を分析するために使用される検出システムを使用せずに、ポイントオブケア設定において有利に実施することができる。本明細書に記載の側方流動装置の実施形態は、ユーザーにとって便利で使用が容易なフォーマットを提供し、通常のリーダーによって検出することができるシグナルを迅速に生成し、現場外の検査施設でなく、ポイントオブケア設定において実施することができる。
記載は、低濃度で存在する場合であっても、試験試料中の目的分析物を測定するための試験ストリップの例示を意図するものである。当業者は、この例が例示を意図するものであり、様々な修正およびバリエーションが本明細書に記載の側方流動アッセイに使用し得ることを認識する。例えば、試料は、低濃度で存在する1つ以上の目的分析物を含み得、アッセイ試験ストリップは1つ以上の目的分析物を測定し得る。様々な反復のそれぞれにおいて、側方流動アッセイは、試験試料の分析物を測定するための検出帯において、シグナルを増幅する本開示に記載の特徴を含む。
1つ以上の目的分析物が検出される場合、例えば、試料中の複数の目的分析物、検出帯は、目的分析物のそれぞれに特異的な別個の捕捉帯を含み得る。例えば、試料は、3つの目的分析物:第1の目的分析物、第2の目的分析物、および第3の目的分析物を含み得る。側方流動アッセイの検出帯は、したがって、3つの捕捉帯:第1の目的分析物に特異的な第1の捕捉帯、第2の目的分析物に特異的な第2の捕捉帯、および第3の目的分析物に特異的な第3の捕捉帯を含むと思われる。
【0018】
したがって、本開示は、低濃度で存在する場合であっても、試験試料中の目的分析物を測定するためのアッセイ試験ストリップ、試験ストリップを含む側方流動アッセイ、本明細書に記載の試験ストリップを使用して目的分析物を測定する方法、および本明細書に記載のアッセイ試験ストリップを作製する方法を提供する。
本明細書に記載の側方流動アッセイの実施形態は、目的分析物が、少量で試験ストリップに存在する診断試験において特に有利である。本開示の実施形態が、分析物が低濃度で試料に存在することで、試験ストリップに存在する分析物の量が少ないことに関連して本明細書に記載されるが、本開示の実施形態は、試料が検出閾値を超えるシグナルを生じることができる量の分析物を含有するが、限定された量の試料しか試験ストリップに適用されない場合にも、適用可能であることを理解されよう。
【0019】
装置、試験システムおよび方法の様々な態様は、添付の図面に関連してこれ以降、より充分に記載される。しかしながら、本開示は、多くの異なる形態に具体化し得る。本明細書の教示に基づいて、当業者は、本開示の範囲が、独立して、または本開示の任意のその他の態様と組み合わせて実施される本明細書に開示される装置、試験システムおよび方法の任意の態様を網羅することを意図していることを認識されたい。例えば、本明細書に記載の任意の数の態様を使用して、装置を実装し、または方法を実行してもよい。
特定の態様が本明細書に記載されるが、これらの態様の多くのバリエーションおよび並べ替えが本開示の範囲にある。いくつかの利益および利点が言及されているが、本開示の範囲は、特定の利益、用途または目的に限定することを意図しない。むしろ、本開示の態様は、図および以下の記述に、例示するために示されるものもある異なる検出技術および装置構成に広義に適用可能であることを意図する。
【0020】
通常の側方流動装置
本明細書に記載の側方流動装置は、側方流動クロマトグラフィーに使用される分析装置である。側方流動アッセイは、本明細書に記載の側方流動装置で実施することができるアッセイである。側方流動装置は、アッセイ試験ストリップに実装することができるが、その他の形態、例えば、尿試験ストリップ、素通り画分装置またはマイクロ流体デバイスに適用することができる。試験ストリップフォーマットにおいて、流体試料は、分析物を含有するまたは含有するものと思われ、試料受入帯に置かれる。目的分析物は、試験ストリップに接触した後に標識される。まさに標識された目的分析物は、その後、(例えば、毛管作用によって)試験ストリップを流動する。試験ストリップは、紙、ニトロセルロース、セルロース、繊維もしくはナイロン等の媒体、または媒体に試料を流すことができるその他の材料から作製してもよい。
【0021】
このようなアッセイは、サンドイッチアッセイと呼ばれる。本開示に記載のサンドイッチアッセイは、光学的シグナルを生成する反射型ラベル(金ナノ粒子ラベルおよび異なる色のラテックス粒子)の文脈において記載されるが、本開示に記載のアッセイは、蛍光シグナルを生成するように構成されるラテックスビーズラベル、磁気シグナルを生成するように構成される磁気ナノ粒子ラベル、または検出可能なシグナルを生成するように構成される任意のその他のラベルを含み得ることを理解されよう。サンドイッチ型側方流動アッセイは、固体基材の試料受入帯に付着される標識されたコンジュゲートを含む。試料が試料受入帯に適用された後、標識されたコンジュゲートは、試料に溶解または可溶化し、そこで標識されたコンジュゲートは、試料の分析物上の第1のエピトープを認識し、特異的に結合し、ラベル-コンジュゲート-分析物複合体を形成する。この複合体は、試料受入帯から固体基材を通って(「テストライン」または「捕捉帯」と呼ばれる場合がある)検出帯に液体前面に沿って流れ、固定化された捕捉用物質(例えば、固定化された分析物特異的抗体)は置かれる。分析物が多量体である、または同モノマーに複数の同一のエピトープを含むいくつかの場合において、試料受入帯に付着した標識されたコンジュゲートは、検出帯に固定化された捕捉用物質と同じである可能性がある。固定化された捕捉用物質は、分析物にエピトープを認識し、特異的に結合し、それによって、ラベル-コンジュゲート-分析物複合体を検出帯において捕捉する。検出帯における標識されたコンジュゲートの存在は、分析物が充分な量で存在する場合、検出帯における検出可能なシグナルを提供する。1つの非限定的な例において、金ナノ粒子は、比較的安価であり、安定しており、金ナノ粒子の表面プラズモン共鳴属性によって容易に観察可能な色表示を提供するため、金ナノ粒子を使用して、コンジュゲートを標識する。
【0022】
検出帯に生成されたシグナルを検出することは、目的分析物が試料に存在することを示すことができる。例えば、シグナルが測定システムの検出閾値を上回る場合、測定システムは、その存在を検出することができ、いくつかの場合において、試料の分析物を定量することができる。しかしながら、検出帯における任意の検出可能なシグナルの欠如は、目的分析物が試料に存在しない、または検出限界以下で存在し得ることを示す可能性がある。例えば、試料が目的の任意の分析物を含有しないならば、試料は標識されたコンジュゲートを可溶化したままであり、標識されたコンジュゲートは、依然として検出帯に流れるだろう。標識されたコンジュゲートは、しかしながら、検出帯における固定化コンジュゲートに結合しないであろう。標識されたコンジュゲートは、代わりに、検出帯を通って、制御ライン(存在する場合)を通って、いくつかの場合において任意の吸収帯に流れるだろう。いくつかの標識されたコンジュゲートは、制御ラインに付着した制御物質に結合し、制御ラインにおいて検出可能なシグナルを生成し、装置が適切に動作していることを示す。分析物が存在するが、検出限界以下の量で存在する場合、ラベル-コンジュゲート-分析物複合体は、検出帯において結合するが、検出されない。これらの状況下において、検出帯から発する検出可能なシグナルの欠如は、ユーザーが、分析物が試料に欠如しているのか、または測定システムの検出限界以下で試料に存在するのかどうかを決定的に確認することができないことを意味する。
【0023】
本開示に記載の例としての側方流動シグナル-増幅装置
本明細書に記載の側方流動アッセイ、試験システムおよび方法は、試料における分析物の欠如と、検出限界未満の量の分析物の存在の差を確認することができない側方流動アッセイのこれらおよびその他の欠点に対処する。分析物の定量的測定を改善する他に、本開示のアッセイ、試験システムおよび方法の実施形態は、通常のリーダーによって測定値の感受性をかなり増加させることもでき、いくつかの場合において、分析物の定量的測定を可能にする。
【0024】
図1は、本開示に記載の側方流動装置100の一例を示す。アッセイ試験ストリップは、装置100の筐体に受け取られる。側方流動装置100のこの非限定的な例において、筐体は、バッファウェル110、試料ウェル120および読み取りウィンドウ130を規定する。側方流動装置100は、使用を容易にし、試験結果を迅速に送達し、携帯性があって、自動リーダーに適切に機能し、配置され、使用する材料およびコストを節減し、またはその他を考慮したサイズおよび形状となり得る。サイズおよび形状は、したがって、任意の特定のサイズまたは形状に限定されず、特定の使用状況の特定の必要性または必要条件に適合するように容易に修正することができる。
図2は、本開示に記載のアッセイ試験ストリップ101の一例を示す。アッセイ試験ストリップ101は、図1の側方流動装置100に受け入れまたは収容し得る。この非限定的な実施形態における例としてのアッセイ試験ストリップ101は、試料受入帯およびバッファ受入帯、検出帯および吸収パッドを有する基材、アッセイ膜を含む。本開示は、この例としてのアッセイ試験ストリップに限定されず、異なる特性を有するその他の試験ストリップを本開示に従って実装することができることを理解されよう。
【0025】
図2の実施形態において、アッセイ試験ストリップ101は、バックカード102、試料受入帯121およびバッファ受入帯111を有するコンジュゲートパッド103、検出帯131を有する膜、および吸収パッド105を有する膜104を含む。膜104は、ニトロセルロース材料であってもよい。アッセイ試験ストリップ101は、側方流動装置100に収容され、バッファ受入帯111は、バッファウェル110によってアクセス可能であり、試料受入帯121は、試料ウェル120によってアクセス可能であり、および検出帯131は読み取りウィンドウ130によってアクセス可能である。アッセイの結果は、もしある場合、検出帯131で生成されたシグナルを測定することによって、読み取りウィンドウ130で測定し得る。
バックカード102は、アッセイ試験ストリップを支持するのに充分な任意の適切な材料であり、例えば、固形プラスチック、積層シート、複合材料等の遮水層でもよい。吸収パッド105は、毛管作用および膜を通る流体流動を促進することを補助し、例えば、ニトロセルロース、セルロース由来の材料、多孔性ポリエチレンパッド、ガラス繊維ろ過紙等を含む、流体を吸収するための任意の適切な材料を含み得る。吸収性材料は、吸水プロセスを補助するために界面活性剤で処理してもよい。
【0026】
流体は、アッセイ試験ストリップ101の長手方向軸に沿って、コンジュゲートパッド103から吸収パッド105に流動するように構成される。アッセイ試験ストリップ101の成分は、流体流動のこの方向に関連して記載される。例えば、膜104は、コンジュゲートパッド103の下流であり、吸収パッド105の上流である。例えば、試料受入帯121は、バッファ受入帯111の下流であり、検出帯131の上流である。
膜104の検出帯131は、試料に存在する場合、目的分析物を特異的に結合するように構成される固定化された捕捉用物質を含む。膜104は、さらに、1つ以上の目的分析物を検出するための追加の検出帯を含み得、1つ以上の制御帯を含み得る。膜104は、可視領域において透明であって、目的分析物の存在および/または量を正確に決定するために、望ましくない読み取り干渉を最小にすることができる。捕捉用物質は、例えば、捕捉用物質を膜104の上に、または内部に、付着、噴霧、浸漬(soaking)、浸漬(immersing)、注入(pouring)、または注入(injecting)を含む任意の適切な方法を使用して、膜104の上に、または内部に固定化し得る。例えば、捕捉用物質は、捕捉用物質を含む溶液を調製し、溶液をエアージェット技術で膜104に噴霧することによって、膜104に付着および固定化し得る。別の例において、捕捉用物質は、捕捉用物質を有する溶液を調製し、溶液を注入し、溶液を噴霧し、粉末または試験ストリップに置かれもしくは擦られるゲルとして溶液を製剤化することによって、または任意のその他の適切な方法で付着される。
【0027】
捕捉用物質は、アッセイ試験ストリップ101の検出帯131に、任意の適切な量で固定化することができる。有利なこととして、本開示の実施形態は、ある種類の捕捉用物質および通常の側方流動サンドイッチアッセイに典型的な量を使用して、低濃度の目的分析物の有無および量を検出することができる。いくつかの実施形態において、固定化された捕捉用物質は、約0.1~20μL/試験ストリップの範囲の量で存在する。
コンジュゲートパッド103は、この例示的な実施において、バックカード102の部分に置かれる。アッセイ試験ストリップ101が側方流動装置100に収容される場合、バッファ受入帯111は、バッファウェル110によってアクセス可能であり、この場合では、バッファウェル110の下に側方に配置される。試料受入帯121は、試料ウェル120によってアクセス可能であり、この場合では、試料ウェル120の下に側方に配置される。いくつかの場合において、コンジュゲートパッド103は、バックカード102に固定し得る。コンジュゲートパッド103は、繊維(ガラス繊維を含む)、ポリエステル、またはコンジュゲートパッド103によって流体の流動を提供するその他の材料等の材料によって流体の流動を可能にする任意の適切な材料であってもよい。この例示的な実施において、コンジュゲートパッド103は、試料受入帯121に付着された分析物特異的コンジュゲート200を含む。分析物特異的コンジュゲート200の実施形態は、本開示に記載の「第1のコンジュゲート」と呼んでもよい。分析物特異的コンジュゲート200は、流体が試料受入帯121において受け取られる場合、可溶化するように構成される。図3に関連して以下に記載されるように、分析物特異的コンジュゲート200は、(検知分子等の)第1のラベル210、第1の結合パートナー230、および目的分析物221(試料に存在する場合)に特異的に結合する作用物質220を含む。したがって、分析物特異的コンジュゲート200は、試料受入帯において受け入れた試料中の(存在する場合)目的分析物に特異的に結合するように構成される。
【0028】
一例において、分析物特異的コンジュゲート200は、試料受入帯121上に、またはその内部に置かれる。別の例において、分析物特異的コンジュゲート200は、試料受入帯121に加えられた試料(および存在する場合、任意の目的分析物)が第1のコンジュゲート帯を通って流れ、分析物特異的コンジュゲート200と相互作用するように、試料受入帯121の下流に位置される第1のコンジュゲート帯上に、またはその内部に置かれる。分析物特異的コンジュゲート200は、例えば、試料受入帯121上に、またはその内部に分析物特異的コンジュゲートを付着する、噴霧する、浸漬する(soaking)、浸漬する(soaking)、注入する(pouring)、または注入する(injecting)ことを含む任意の適切な方法を使用して、アッセイ試験装置101上に、またはその内部に置くことができる。例えば、分析物特異的コンジュゲートは、分析物特異的コンジュゲートを有する溶液を調製し、エアージェット技術で溶液を噴霧することによって、付着され得る。別の例において、分析物特異的コンジュゲートは、溶液に調製してもよく、溶液を注入し、溶液を噴霧し、試験ストリップに置きもしくはこすりつけた粉末またはゲルとして、溶液を製剤化することによって、または任意のその他の適切な方法で付着させ得る。
【0029】
分析物特異的コンジュゲート200は、アッセイ試験ストリップ101の試料受入帯121(またはその他の適切な位置)において、任意の適切な量で提供することができる。有利なこととして、本開示の実施形態は、ある種類の分析物特異的コンジュゲート200および通常の側方流動サンドイッチアッセイに典型的な量を使用して、低濃度の目的分析物の有無および量を検出することができる。いくつかの実施形態において、分析物特異的コンジュゲートは、約0.1~20μL/試験ストリップの範囲の量で付着される。
【0030】
本開示に記載のシステム、装置および方法の実施形態は、シグナル増幅コンジュゲート250を含む。シグナル増幅コンジュゲート250の実施形態は、本開示に記載の「第2のコンジュゲート」と呼んでもよい。図3に関連して以下に記載されるように、シグナル増幅コンジュゲート250は、第2のラベル211および第2の結合パートナー231を含む。第2の結合パートナー231は、分析物特異的コンジュゲート200の第1の結合パートナー230に特異的に結合するように構成される。シグナル増幅コンジュゲート250は、存在し、または分析物特異的コンジュゲート200の上流の位置に加えられる。図2に関連して記載される一例において、シグナル増幅コンジュゲート250は、製造プロセスの間、アッセイ試験ストリップ101に加えられる。別の例において、シグナル増幅コンジュゲート250は、試験イベントの間、オペレーターによってアッセイ試験ストリップ101に加えられる。本開示の実施形態は、シグナル増幅コンジュゲート250が側方流動アッセイに導入される方式によって限定されず、本明細書に記載されるものの他のその他の例が適切であることを理解されよう。
図2に示される一例において、シグナル増幅コンジュゲートは、バッファ受入帯111上またはその内部に置かれる。別の例において、シグナル増幅コンジュゲート250は、試料受入帯121に加えられた試料(および存在する場合、任意の目的分析物)が第2のコンジュゲート帯において、シグナル増幅コンジュゲート250と相互作用しないように、バッファ受入帯111の下流および試料受入帯121の上流に位置する第2のコンジュゲート帯上に、またはその内部に置かれる。この空間定位は、また、バッファ受入帯111に加えられたバッファが、第2のコンジュゲート帯を通って下流に流動し、シグナル増幅コンジュゲート250を可溶化することを確実に行う。図2の非限定的な実施は、試料溶液を使用してシグナル増幅コンジュゲート250を再水和しないが、その他の実施が適切であることを理解されよう。例えば、本開示の別の実施であれば、単一の溶液(試料溶液等)を使用して、分析物特異的コンジュゲート200とシグナル増幅コンジュゲート250との両方を再水和することができる。この場合において、試料溶液は、異なる時間に適用して、分析物特異的コンジュゲート200が流路を下って検出帯に移動した後に、シグナル増幅コンジュゲート250が流路を下って試験ストリップの検出帯に移動することを確実にすることができる。
【0031】
シグナル増幅コンジュゲート250は、例えば、バッファ受入帯111(またはその他の適切な位置)上に、またはその内部にシグナル増幅コンジュゲート250を付着する、噴霧する、浸漬する(soaking)、浸漬する(soaking)、注入する(pouring)、または注入する(injecting)ことを含む任意の適切な方法を使用して、アッセイ試験装置上に、またはその内部に置くことができる。例えば、シグナル増幅コンジュゲート250は、シグナル増幅コンジュゲート250を有する溶液を調製し、エアージェット技術で溶液を噴霧することによって、付着させ得る。別の例において、シグナル増幅コンジュゲート250は、溶液に調製し、溶液を注入し、溶液を噴霧し、試験ストリップに置きもしくはこすりつけた粉末またはゲルとして、溶液を製剤化することによって、または任意のその他の適切な方法で付着させてもよい。
【0032】
シグナル増幅コンジュゲート250が、バッファ受入帯111以外の領域におけるアッセイ試験ストリップに加えることができることを理解されよう。例えば、1つの非限定的な実施形態において、側方流動装置100は、シグナル増幅コンジュゲート250をアッセイ試験ストリップ101上で受け取るために、バッファウェルまたはバッファ受入帯等の別個または専用の位置を含まない。シグナル増幅コンジュゲート250は、分析物特異的コンジュゲート200が試料受入帯121内で可溶化され、検出帯131に移動した後、任意の適切な位置において、アッセイ試験ストリップ101に加えることができる。
本開示のシグナル増幅コンジュゲート250の実施形態は、アッセイ試験ストリップ101のバッファ受入帯111(またはその他の適切な位置)において、任意の適切な量で提供することができる。いくつかの実施形態において、シグナル増幅コンジュゲート250は、約0.1~20μL/試験ストリップの範囲の量で付着される。いくつかの実施形態において、シグナル増幅コンジュゲート250は、アッセイ試験ストリップ101に0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20μL/試験ストリップの量で付着される。
【0033】
シグナル増幅コンジュゲート250は、分析物特異的コンジュゲート200がアッセイ試験ストリップ101に置かれ、または加えられる位置の上流のアッセイ試験ストリップ101に置かれ、または加えられる。シグナル増幅コンジュゲート250および分析物特異的コンジュゲート200は、アッセイ試験ストリップ101の作製プロセスの間、またはアッセイ試験ストリップ101を使用して試験イベントを実施するオペレーターによって、同時にまたは異なる時間に試験ストリップに置くことができる。1つの非限定的な例において、シグナル増幅コンジュゲート250と分析物特異的コンジュゲート200の両方が、例えば、シグナル増幅コンジュゲートと分析物特異的コンジュゲートの両方を同時にまたはほぼ同時に試験ストリップに導入または付着することによって、同時に、または実質的に同時にアッセイ試験ストリップ101加えられるが、異なる位置のアッセイ試験ストリップ101に加えられる。この例において、分析物特異的コンジュゲート200は、シグナル増幅コンジュゲート250が加えられ、配置される位置のアッセイ試験ストリップ101下流に加えられ、または配置される。この空間定位は、分析物特異的コンジュゲートが検出帯131に移動し、且つ検出帯131で結合される前における、コンジュゲート間の相互作用を最小にする。別の非限定的な例において、シグナル増幅コンジュゲート250は、限定されないが、任意の適切な位置に、本明細書に記載されるものを含む任意の適切な方法または技術を使用して、分析物特異的コンジュゲート200を加える前または後に、アッセイ試験ストリップ101に加えられる。例えば、シグナル増幅コンジュゲート250は、分析物特異的コンジュゲート200が検出帯131に移動して、且つ検出帯131で結合された後に、シグナル増幅コンジュゲート250が加えられる場合、分析物特異的コンジュゲート200が最初に加えられた同じ位置、または実質的に同じ位置に加えてもよい。
【0034】
いくつかの実施形態において、側方流動装置100は、バッファウェルまたはバッファ受入帯等の別個または専用の位置を含まず、アッセイ試験ストリップ101を使用して試験イベントの前に、シグナル増幅コンジュゲート250を含む。代わりに、シグナル増幅コンジュゲート250は、試験イベントの間、オペレーターによってアッセイ試験ストリップ101に導入される。例えば、シグナル増幅コンジュゲート250は、試料がアッセイ試験ストリップに導入された後、アッセイ試験ストリップに導入することができる。特に、試料は、最初に試料受入帯に置かれ、試料は、適切な時間、試験アッセイストリップを通って移動することができる。時間は、分析物特異的コンジュゲート200が可溶化し、試料中の目的分析物(存在する場合)と結合相互作用を形成し、検出帯に移動し、且つ検出帯において固定化された捕捉用物質と結合相互作用を形成するのに充分な時間であってもよい。適切な時間インキュベーションした後、シグナル増幅コンジュゲート250を含む溶液が側方流動装置100に導入される。シグナル増幅コンジュゲート250は、その後、アッセイ試験ストリップ101を通って検出帯131に移動する。
【0035】
試料およびシグナル増幅コンジュゲート250をアッセイ試験ストリップ101に加えるまでの遅延時間は、目的分析物の特徴に限定されないが、目的分析物を含有するまたは含有すると思われる流体、分析物特異的コンジュゲート200、シグナル増幅コンジュゲート250、およびアッセイ試験ストリップ101の材料特性を含む様々なパラメータに基づいて調節することができる。遅延時間の例として、限定されないが、5秒、10秒、15秒、20秒、25秒、30秒、35秒、40秒、45秒、50秒、55秒、1分、2分、3分、4分、5分、6分、7分、8分、9分、10分、12分および15分が挙げられる。したがって、この例において、シグナル増幅コンジュゲート250は、試験イベントの開始時に、アッセイ試験ストリップ101に存在しない。したがって、検出限界以下の濃度等の低濃度で存在する分析物のシグナルを増幅するための本開示の実施形態は、様々な方法で、シグナル増幅コンジュゲート250を使用して達成することができ、存在するシグナル増幅コンジュゲート250で試験ストリップを調製し、または後半のステップにおいてシグナル増幅コンジュゲート250を加えることを含む。
【0036】
本開示に記載のシステム、装置および方法の実施形態は、目的分析物を非常に迅速に検出することができる。試験イベントの開始(試料が試験ストリップに加えられる時の時間として規定される)から試験イベントの終了(測定システムが、もしある場合、検出帯において生成されたシグナルを検出した時の時間として規定される)までの合計時間は、限定されないが、1分、2分、3分、4分、5分、6分、7分、8分、9分、10分、12分および15分でもよい。
図3は、本開示に記載のシステム、装置および方法の例示的な実施形態を模式的に示す。いかなる特定の理論にも束縛されることなく、分析物特異的コンジュゲート200が、目的分析物221、捕捉帯242に固定化される捕捉用物質240、およびシグナル増幅コンジュゲート250と結合するプロセスを、図3を参照して今や表示するが、本開示は、図3の模式図に限定されないことを理解されよう。
【0037】
分析物特異的コンジュゲート200は、第1のラベル210、第1の結合パートナー230、および目的分析物221(試料に存在する場合)に特異的に結合する作用物質220を含む。目的分析物221に特異的に結合するように構成される作用物質220は、目的分析物221に特異的に結合する抗体または抗体結合断片を含み得る。分析物特異的コンジュゲート200は、例えば、図2に関連して前述の方法を使用して、アッセイ試験ストリップ101の試料受入帯121(または任意のその他の適切な位置)に付着され、または加えられる。試料は、例えば、試料受入帯121において、アッセイ試験ストリップ101に加えられる。分析物特異的コンジュゲート200は、試料に可溶化し、作用物質220は、試料に存在する場合、目的分析物221に特異的に結合し、分析物-作用物質-第1のラベルの複合体225を形成する。複合体225は、アッセイ試験ストリップ101を通って検出帯131に流動し、目的分析物221に特異的に結合するように構成される固定化された捕捉用物質240を含む。複合体225は、図3に示されるように、検出帯131に捕捉される。
【0038】
複合体225が移動し、検出帯131において捕捉されるようになるまでの適切な時間が経過した後、本開示に記載のシグナル増幅コンジュゲート250を、アッセイ試験ストリップ101に沿って、検出帯131の下流に移動させる。シグナル増幅コンジュゲート250は、第2のラベル211および第2の結合パートナー231を含む。1つの非限定的な実施において、シグナル増幅コンジュゲート250は、試料が加えられ(図2に関連して前述のものを含む任意の適切な方法で付着された)、緩衝液をシグナル増幅コンジュゲート250に適用することによって、検出帯131の下流に移動させる前に、アッセイ試験ストリップ101に存在する。この実施において、以前に付着したシグナル増幅コンジュゲート250は、試料受入帯121、例えば、試料受入帯121の上流に位置されるバッファ受入帯111の上流に付着する。試料受入帯121の分析物特異的コンジュゲート200の上流のバッファ受入帯111におけるシグナル増幅コンジュゲート250のこの空間定位は、試料受入帯121に試料を加えることにより、シグナル増幅コンジュゲート250ではなく、分析物特異的コンジュゲート200が可溶化し、移動性を持たせることを確実にする。別の非限定的な実施において、シグナル増幅コンジュゲート250は、適切な時間が経過し、続いて試料を試料受入帯に加えた後に、アッセイ試験ストリップ101に加えられる。この実施において、シグナル増幅コンジュゲート250を含む緩衝液は、バッファ受入帯111(存在する場合)、試料受入帯121、またはアッセイ試験ストリップ101の任意のその他の適切な位置において、アッセイ試験ストリップ101に加えてもよい。
【0039】
これらの実施の両方において、本開示の実施形態により、分析物特異的コンジュゲート200は、シグナル増幅コンジュゲート250に曝露され、結合相互作用を形成する前に、検出帯131に移動して捕捉用物質240と結合することができる。本開示の実施形態は、有利なこととして、シグナル増幅コンジュゲート250の放出タイミングを、側方流動アッセイの特徴に合わせ、および緩衝液がシステムに(シグナル増幅コンジュゲート250を含むバッファ受入帯111、または緩衝液自体がシグナル増幅コンジュゲート250を含む場合の任意の適切な位置のいずれかに)加えられた場合にのみ、放出を作動させることができる。本開示のこれらの実施形態は、また、有利なこととして、分析物特異的コンジュゲート200とシグナル増幅コンジュゲート250との間の相互作用が、望ましくない、主に、検出帯131の上流の位置であるアッセイ試験ストリップ101の位置に生じないようにする。したがって、シグナル増幅コンジュゲート250の放出タイミングを最適な時間(充分な量の分析物特異的コンジュゲート200が検出帯131に移動して結合した後)にはかることができる本開示の実施形態は、有利なこととして、検出帯(捕捉用物質240に結合するまたは結合しないに関わらず)に存在する分析物特異的コンジュゲート200と最適な位置、つまり検出帯131のシグナル-増幅コンジュゲート250との間の結合相互作用の発生を最大にする。これにより、検出帯のコンジュゲート200、250によって生成されるシグナルが検出閾値を上回るレベルにまで凝集および増加する。
【0040】
緩衝液がアッセイ試験ストリップ101に加えられ、シグナル増幅コンジュゲート250をシステムに直接的に導入するか、またはシステムにすでに存在するシグナル増幅コンジュゲート250を可溶化するかのいずれかの後、本開示のシグナル増幅コンジュゲート250の特性によって第2の一連の結合イベントが生じる。前述のように、第2の結合パートナー231は、分析物特異的コンジュゲート200の第1の結合パートナー230に特異的に結合する。いかなる特定の理論にも束縛されることなく、シグナル増幅コンジュゲート250がアッセイ試験ストリップ101を通って検出帯131に流動する場合、シグナル増幅コンジュゲート250の第2の結合パートナー231は、捕捉用物質240に結合される複合体225の第1の結合パートナー230に特異的に結合し、それによってシグナル-増幅コンジュゲート250は、検出帯131において捕捉されると考えられる。まさに結合されたシグナル増幅コンジュゲート250の第2のラベル211は、検出帯にシグナルを生成する。このようにして、検出帯に結合された単一の分析物特異的コンジュゲート200からのシグナルは、増幅される。いくつかの実施形態において、複合体225の単一の分析物特異的コンジュゲート200は、複数のシグナル増幅コンジュゲート250に結合し、それ自体が、複合体225の単一の分析物特異的コンジュゲート200によって生成されたシグナルに寄与する。本開示のいくつかの実施形態において、複合体225と1つ以上のシグナル増幅コンジュゲート250との間のこの第1レベルの結合相互作用でさえも、閾値検出レベルを上回る検出帯に生成されたシグナルを増加させるのに充分である。
【0041】
有利なこととして、本開示の実施形態は、第1レベルの結合相互作用だけで可能になるシグナル増幅のレベルよりもさらに高いレベルのシグナル増幅を生成することができる。本明細書に記載のシステム、装置および方法の実施形態において、検出帯において生成されたシグナルの増幅は、まさに結合されたシグナル増幅コンジュゲート250の、検出帯に存在するが、捕捉用物質240に結合しなかった残余の分析物特異的コンジュゲート200と結合する能力によって、さらに増強される。この残余の分析物特異的コンジュゲート200は、通常、検出帯131を通過し、または通常の側方流動アッセイにおける検出帯に散在性に散乱したままでもよい。本開示に記載のシグナル増幅コンジュゲート250の存在下で、この残余の分析物特異的コンジュゲート200は、複合体225を介して、検出帯131に留められるコンジュゲートのスキャフォールドに結合することができ、さらに、検出帯131において生成された凝集シグナルに寄与することができる。本開示の実施形態によって生成されたシグナルは、指数関数的に強度を増加することができる。したがって、いくつかの実施形態において、検出帯131において生成されたシグナル強度は、2~100倍の量、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、40、50、60、70、80、90または100倍の量でシグナルを増幅することにより増加することができる。本開示は、これらの例示的な増幅のレベルに限定されず、その他の増幅レベルが本開示の実施形態で可能となることを理解されよう。
【0042】
有利なこととして、結合イベントの前述の連鎖反応は、非常に少量の試料中の目的分析物の存在下であっても生じ得る。いかなる特定の理論にも束縛されることなく、残余の分析物特異的コンジュゲート200は、残余の分析物特異的コンジュゲート200が試料中の分析物に結合する、しないに関わらず、シグナル増幅コンジュゲート250と結合相互作用を形成し得ると考えられる。言い換えれば、複合体225とシグナル増幅コンジュゲート250との間の第1相互作用の後の結合相互作用は、この第1相互作用に依存して、局所的な領域(検出帯)において確実に結合イベントの連鎖反応を起こすが、追加の目的分析物に依存して、複合体225によって生成されたシグナルを増幅する結合コンジュゲート200、250の対のスキャフォールドを形成しない。
本開示の利点は、また、検出帯131におけるシグナルの欠如が高い信頼度で試料中の目的分析物の存在と相関し得ることである。試料中の目的分析物の欠如下で、複合体225は、形成せず、検出帯131において捕捉用物質240に結合しない。結合イベントの欠如下で、シグナル増幅コンジュゲート250は、検出帯131において結合しなく、検出帯131を通過して、吸収パッド151に至る。
【0043】
本明細書に使用される場合、バッファは、結合相互作用を干渉せず、目的分析物および装置のその他の成分を変性せず、成分を試験ストリップに流動させるという目的の中立性を保持する側方流動アッセイに使用される溶液を指す。様々なバッファが知られており、任意の様々なバッファを、本明細書に記載の側方流動アッセイに使用される特定の分析物、化合物および成分について使用し得る。いくつかの実施形態において、バッファは、リン酸緩衝食塩水(PBS)である。
本開示の実施形態は、試料受入帯の上流に位置されるバッファ受入帯、および試料が加えられた後にアッセイ試験ストリップの任意の適切な位置に加えられるシグナル増幅コンジュゲートを含む緩衝液に加えられる追跡バッファに関連して記載された。しかしながら、緩衝液をシステムに加えるまたは放出するその他の方法が適切であり、本開示の実施形態に使用することができることを理解されよう。例えば、追跡緩衝液は、小さい袋またはその他の適した構造にプレパッケージすることができ、付着したシグナル増幅コンジュゲートの上流のアッセイ試験ストリップおよびアッセイ試験ストリップの試料受入ウェルに組み込むことができる。追跡緩衝液は、試料がアッセイ試験ストリップに加えられた後、適切な時間に、任意の適切な機構を使用して、小さい袋を破くことによって放出することができる。
【0044】
いくつかの実施形態において、シグナル増幅コンジュゲート250は、検出帯131に到達するまで、その他のコンジュゲートに(分析物特異的コンジュゲート200等に)結合しない。いくつかの実施形態において、シグナル増幅コンジュゲート250のその他のコンジュゲートへの結合は、結合コンジュゲートの析出を生じ、試験ストリップを介して析出したラベルのスミアを生じ、それによってその結果を妨害し、または混乱させる。前述のように、本開示の実施形態は、検出帯131の上流の結合コンジュゲートのこの析出を防ぎまたは最小にする特徴を含む。これらの特徴は、シグナル増幅コンジュゲート250が溶液に可溶化したままであり、検出帯131において捕捉された複合体225の分析物特異的コンジュゲート200に到達する前に、分析物特異的コンジュゲート200と結合しないことを確実に行う。一例において、本開示の実施形態は、試料受入帯121において、分析物特異的コンジュゲート200の上流のアッセイ試験ストリップ101にシグナル増幅コンジュゲート250を付着し、分析物特異的コンジュゲートが最初に、側方流動装置を通って検出帯131に流動する機会を有した後にのみ、シグナル増幅コンジュゲート250を可溶化することを含む。別の例において、本開示の実施形態は、分析物特異的コンジュゲート200が最初に、側方流動装置を通って検出帯131に流動する機会を有した後にのみ、アッセイ試験ストリップ101に適用される緩衝液にシグナル増幅コンジュゲート250を加えることを含む。
【0045】
分析物特異的コンジュゲート200の第1のラベル210は、シグナル増幅コンジュゲート250の第2のラベル211と同じラベルとなり得る。1つの非限定な例において、第1のラベル210および第2のラベル211は、コロイド金ラベルであってもよい。コロイド金ラベルは、金ナノ粒子を含んでもよい。第1のラベル210および第2のラベル211は、検出可能なシグナルを提供し得る任意の適切なラベルを含み得る。したがって、いくつかの実施形態において、第1のラベル210および第2のラベル211は、酵素、コロイド金粒子(金または銀ナノ粒子等の金属ナノ粒子とも呼ばれる)、着色ラテックス粒子、放射性同位元素、補助因子、リガンド、化学発光もしくは蛍光物質、タンパク質吸収銀粒子、タンパク質吸収鉄粒子、タンパク質吸収銅粒子、タンパク質吸収セレン粒子、タンパク質吸収硫黄粒子、タンパク質吸収テルル粒子、テルル炭素粒子、もしくはタンパク質吸収ダイサック(dye sac)または任意のその他の適切なラベルである。
【0046】
前述のように、作用物質220は、目的分析物221に特異的に結合する作用物質であり、目的分析物221に特異的に結合する抗体または抗体結合断片を含み得る。したがって、作用物質220は、抗分析物抗体でもよい。分析物特異的コンジュゲート200の第1の結合パートナー230は、シグナル増幅コンジュゲート250の第2の結合パートナー231に特異的に結合し、したがって、第1および第2の結合パートナー230、231は結合対を構成する。この結合対として、例えば、抗原/抗体、ハプテン/抗体、ホルモン/受容体、核酸鎖/相補性核酸鎖、基質/酵素、阻害剤/酵素、炭水化物/レクチン、ビオチン/アビジン、受容体/リガンド、またはウイルス/細胞受容体から成る群から選択される結合対を含み得る。1つの非限定的な例において、第1の結合パートナー230は、アビジン(またはその誘導体または類似体)であり、第2の結合パートナー231は、ビオチン(またはその誘導体または類似体)である。例えば、分析物特異的コンジュゲート200は、ビオチン化することができ、シグナル増幅コンジュゲート250は、抗ビオチン抗体またはストレプトアビジン結合パートナーを含み得る。別の非限定的な例において、結合対は、ペプチドおよび抗体等の抗原/抗体である。いくつかの実施形態において、ペプチドはデカペプチドである。さらなる非限定的な例において、結合対は、ドキソルビシンおよび抗ドキソルビシンである。さらなる非限定的な例において、結合対は、メトトレキサートおよび抗メトトレキサートである。さらに別の非限定的な例において、結合対は、FITCおよび抗FITC抗体である。本開示の実施形態は、第2の結合パートナー231に特異的に結合する任意の適切な第1の結合パートナー230を使用することができ、前述の例に限定されないことを理解されよう。
【0047】
本開示の実施形態の利点は、シグナル増幅コンジュゲート240の第2の結合パートナー231が、目的分析物221が分析物特異的コンジュゲート200の分析物特異的抗体と結合することを干渉せず、分析物特異的コンジュゲート200の第1の結合パートナー230に特異的に結合するように選択することができることである。一例において、異なるタンパク質/ペプチドは、第1のラベル210上の分析物特異的抗体と共結合して、分析物特異的コンジュゲート200を形成することができる。別の例において、別のタンパク質/ペプチドは、最初にビオチン化し、その後、第1のラベル210上の分析物特異的コンジュゲートと共結合して、分析物特異的コンジュゲート200を形成することができる。さらなる例において、ビオチン等の小分子が分析物特異的抗体に加えられ、後に分析物特異的コンジュゲート200の第1のラベル210に結合され、シグナル増幅コンジュゲート250は、小分子特異的結合タンパク質/抗体を含む。この例において、分析物特異的抗体に加えられた小分子は、分析物の分析物特異的コンジュゲート200における分析物特異的抗体への結合を干渉しないように選択される。さらに別の例において、ビオチンよりむしろ、タンパク質/ペプチドのほうが別の抗体または結合タンパク質が存在する別の分子に結合することができる。第1のラベル210に結合される加えられたタンパク質/ペプチド、ビオチンまたはその他の分子は、そのため、目的分析物221と第1のラベル210に結合される分析物特異的抗体との間の分析物特異的結合相互作用に干渉することなく、シグナル増幅コンジュゲート250において、このタンパク質/ペプチド、ビオチンまたはその他の分子に対する抗体についての結合部位を提供することができる。
【0048】
いくつかの実施形態において、側方流動装置は、1つ以上の制御帯(コントロール帯)を含む。制御帯は、検出帯にあってもよく、または検出帯と別でもよい。いくつかの実施形態において、制御帯は、正の制御帯でもよく、ウシ血清アルブミン(BSA)等のタンパク質に結合される小分子を含み得る。小分子に特異的に結合する正の制御標識抗体は、コンジュゲートパッドに付着させ得る。正の制御標識抗体が液体試料に再水和される場合、正の制御帯に流動し、小分子に結合し、半サンドイッチを形成する。いくつかの実施形態において、正の制御帯は、分析物特異的コンジュゲートに特異的に結合する固定化された捕捉用物質を含み、目的分析物に結合しない分析物特異的コンジュゲートは、検出帯(試験ライン)を通過し、制御ラインにおいて固定化された捕捉用物質に特異的に結合し、側方流動装置の適切な機能を示すシグナルを生成する。任意の適切な制御帯を本開示の実施形態に実装させ得ることを理解されよう。
本明細書に開示のリーダーおよびデータアナライザーの実施形態は、制御帯から得られるシグナル測定値を処理して、検出帯において測定されたシグナルを修正し、または試験が無効であることをオペレーターに警告することができる。
【0049】
本明細書に使用される場合、「分析物」は、概して、検出すべき物質を指す。いくつかの実施形態において、分析物は、測定システムの検出限界未満の濃度等の低濃度の試料に見出されるものである。いくつかの分析物は、通常、高濃度で試料に存在するが、特定の障害によって、障害のフェーズによって、または試料の処理によって、試験対象の特定の試料に低濃度で存在し得る。例えば、分析物は、疾患または障害の初期の段階、続いて疾患または障害のピーク段階において、試料に低濃度で存在し得る。本開示の実施形態は試料に少量で存在するまたは存在すると思われる任意の分析物を測定する側方流動アッセイ、またはこのような分析物を測定する感受性が低い場合に適用可能であることを理解されよう。
【0050】
分析物は、抗原性物質、ハプテン、抗体、およびその組み合わせを含み得る。分析物として、限定されないが、トキシン、有機化合物、タンパク質、ペプチド、微生物、アミノ酸、核酸、ホルモン、ステロイド、ビタミン、薬物(治療目的に投与される薬物および違法に投与される薬物を含む)、薬物中間体もしくは副産物、細菌、ウイルス粒子、および任意の前述の物質の代謝物もしくは抗体が挙げられる。いくつかの実施形態において、目的分析物は、インフルエンザA、インフルエンザBまたはインフルエンザCウイルス等のインフルエンザウイルスである。追加の分析物を、目的の生物または環境物質のために含み得る。
【0051】
いくつかの実施形態において、試料は、目的の1つ以上の分析物を含み得、したがって側方流動装置は、目的分析物を1つ以上検出するために構成し得る。目的分析物を1つ以上検出するために、本開示の記載の側方流動装置は、1つ以上の分析物特異的コンジュゲート200を含み得、それぞれの分析物特異的コンジュゲート250は目的分析物に特異的に結合する。したがって、例えば、試料に存在するまたは存在すると思われる所望の数の目的分析物について、第1の分析物特異的コンジュゲート200Aは、第1の目的分析物221Aに特異的に結合し、第2の分析物特異的コンジュゲート200Bは、第2の目的分析物221Bに特異的に結合し、第3の分析物特異的コンジュゲート200Cは第3の目的分析物221Cに特異的に結合することなどである。いくつかの実施形態において、目的分析物に特異的に結合するそれぞれの分析物特異的コンジュゲートは、任意のその他の目的分析物に特異的に結合しない。さらに、いくつかの実施形態において、それぞれの分析物特異的コンジュゲートは、互いの分析物特異的コンジュゲートと同一のラベルまたは異なるラベルを有し得る。そのため、例えば、それぞれの分析物特異的コンジュゲートは、分析物特異的コンジュゲートの任意のその他のラベルと異なるユニークなラベルを含み得る。さらに、1つ以上の目的分析物が存在する場合、側方流動装置は1つ以上の捕捉ラインを含み得、それぞれの捕捉ラインは、1つの特定の目的分析物に特異的に結合する固定化された捕捉用物質を含む。例えば、試験試料に分析される所望の数の目的分析物について、捕捉帯242Aに固定化される第1の捕捉用物質240Aは、第1の目的分析物221Aに特異的に結合し、捕捉帯242Bに固定化される第2の捕捉用物質240Bは、第2の目的分析物221Bに特異的に結合し、捕捉帯242Cに固定化される第3の捕捉用物質242Cは、第3の目的分析物221Cに特異的に結合する。
側方流動装置が1つ以上の目的分析物を測定するように構成されるいくつかの実施形態において、装置は、シグナル増幅コンジュゲート250をさらに含む。シグナル増幅コンジュゲート250は、結合対の別の結合パートナーに特異的に結合する結合対の1つの結合パートナーを含み得る。いくつかの実施形態において、シグナル増幅コンジュゲートは、所望の数の目的分析物について、第1の分析物特異的コンジュゲート、第2の分析物特異的コンジュゲート、第3の分析物特異的コンジュゲート等に結合し、それによって、目的分析物のそれぞれについてシグナルを増幅する。いくつかの実施形態において、シグナル増幅コンジュゲートは、1、2、3つ以上の分析物特異的コンジュゲートに結合し、それによって所望の数の分析物についてのみ、例えば、試料に低濃度で存在することが知られているまたは存在すると思われる目的分析物についてのみシグナルを増幅させる。
【0052】
目的分析物は、様々な濃度で試料に存在することが多く、そのため、シグナルの増幅は、目的分析物のそれぞれに必要とされるわけではなく、測定システムの検出限界以下の濃度等の、低濃度で存在することが知られているまたは存在すると思われる目的分析物についてのみ必要とし得ることを理解されたい。したがって、いくつかの実施形態において、低濃度で存在する第1の分析物に特異的に結合する第1の分析物特異的コンジュゲートは、結合パートナーを含み、検出限界以上の濃度で存在する第2の分析物に特異的に結合する第2の分析物特異的コンジュゲートは、結合パートナーを含まず、それによって、シグナル増幅コンジュゲートは、第1の分析物特異的コンジュゲートに結合するが、第2の分析物特異的コンジュゲートには結合せず、それによって第1の目的分析物のシグナルを増幅する。本開示の様々な反復は、例えば、測定システムの検出限界未満のシグナルを含む、任意の所望のシグナルを増幅することによって、実施し得る。
以下の非限定な例は、本明細書に記載の側方流動装置、試験システムおよび方法の特徴を示し、いかなる場合でも本開示の範囲を限定することを意図しない。
【0053】
(実施例1)
本発明に記載の側方流動アッセイの調製
以下の実施例は、低濃度で試料に存在する分析物を測定するための本開示に記載の側方流動アッセイの調製を記載する。この非限定的な例において、目的分析物は、インフルエンザA(「Flu A」)である。
試験ストリップは、試料受入帯およびバッファ受入帯を有するコンジュゲートパッドを有して調製された。分析物特異的コンジュゲートは溶液に調製され、溶液は、エアージェット付着によって、試料受入帯に噴霧された。端的には、抗Flu A抗体およびビオチンは、金ナノ粒子でインキュベートされて、分析物特異的コンジュゲートを形成した。分析物特異的コンジュゲートは、エアージェットを有する分析物特異的コンジュゲートを含む溶液を噴霧することによって、試料受入帯において、7μL/試験ストリップの量でコンジュゲートパッドに付着された。コンジュゲートパッドは、加熱されて、分析物特異的コンジュゲートをコンジュゲートパッドに乾燥した。分析物特異的コンジュゲートを製剤にするために使用されるコンジュゲートパッドに付着される抗Flu A抗体の量は、試験ストリップ当たり約260ngであった。
【0054】
シグナル増幅コンジュゲートは溶液に調製され、溶液は、エアージェット付着によって、バッファ受入帯に噴霧された。端的には、抗ビオチンは、金ナノ粒子でインキュベートされて、シグナル増幅コンジュゲートを形成した。シグナル増幅コンジュゲートは、エアージェットを有するシグナル増幅コンジュゲートを含む溶液を噴霧することによって、バッファ受入帯において、2μL/試験ストリップの量でコンジュゲートパッドに付着された。コンジュゲートパッドは、加熱されて、シグナル増幅コンジュゲートをコンジュゲートパッドに乾燥した。シグナル増幅コンジュゲートを製剤にするために使用されるコンジュゲートパッドに付着される抗ビオチン抗体の量は、試験ストリップ当たり約74ngであった。
さらに、検出帯を有する試験ストリップが調製された。検出帯は、Flu Aに特異的に結合する固定化された捕捉用物質を含んだ。この例において、抗Flu A抗体は、0.75μL/cmに2.4mg/mLの量で検出帯に付着された。
この例において、検出帯は、正の制御捕捉帯も含んだ。正の制御捕捉帯は、確実にアッセイが適切に機能するように調製された。この例において、正の制御捕捉帯は、抗ビオチンで誘導体化された固定化ウシ血清アルブミン(BSA-抗ビオチン)を含んでいた。固定化BSA-ビオチンは、バッファで再水和された試験ストリップに存在するシグナル増幅コンジュゲートを捕捉し、正の制御帯に流動し、このことはアッセイが適切に機能していることを示している。シグナル増幅コンジュゲートは、正の制御ラインに捕捉され、正の制御シグナルは、アッセイの適切な機能を示した。
試験ストリップは、試験ストリップを保持する筐体を有する側方流動装置に置かれた。側方流動装置は、図1に示されるように、バッファ受入帯の上に置かれたバッファウェル、試料受入帯の上に置かれた試料ウェル、および検出帯の上に置かれた読み取りウィンドウを含んだ。
【0055】
(実施例2)
低濃度の分析物のシグナルの増幅
以下の実施例は、試料における低濃度のFlu Aを検出するために、実施例1に記載される側方流動アッセイの使用を示す。
実施例1において調製されるように側方流動アッセイは、低濃度のFlu Aを含有する試料と接触した。この非限定的な例において、Flu A抗原は、大腸菌(E.coli)に発現される組換えFlu Aヌクレオプロテインの希釈液であり、粗細胞溶解として適用された。対照として、実施例1において調製される側方流動アッセイは、シグナル増幅コンジュゲートを欠いているが使用された。Flu Aを有する試料が、側方流動装置の試料ウェルおよび制御側方流動装置に加えられた。生成されたシグナルは、図4および表1に示されるように、様々なタイムポイントで測定された。
【0056】
【表1】
【0057】
目的分析物を含有しなかった試料は、本開示に記載のシグナル増幅コンジュゲートの様々な量で調製された側方流動アッセイにも適用された。特に、0.5、1、1.5、および3μLのシグナル増幅コンジュゲートの量は、試験ストリップに付着され、対照ストリップと比較され、読み取りは、10分および20分で得られた。結果は表2に示され、それぞれのタイムポイントで二重に測定された。目的分析物を含有しなかった試料は、アッセイ試験ストリップに付着されて、目的分析物が試料に存在しない場合に、シグナルが試験ラインに生成されないことを検証した。以下の表2に示されるように、試験ラインのシグナルは、目的分析物を含有していない全試料について、負を維持した(0AUまたは実質的に0AUのシグナル強度が試験ラインにおいて測定された)。したがって、1AU以下の任意のシグナルは、システムノイズとして0AUの測定値と同等と考え得る。さらに、以下の表2に示されるように、システムノイズ測定値の強度は、シグナル増幅コンジュゲートの量の増加と共に増加しなかった。いかなる特定の理論に束縛されることなく、シグナル増幅コンジュゲートは、増幅する初期のシグナルがないため、目的分析物の欠如下で、シグナルを増幅しない(言い換えれば、試料の分析物の欠如により、試験ラインにサンドイッチ構造が形成されず、したがって、シグナル増幅コンジュゲートによって増幅されるシグナルを生成するために存在するサンドイッチ構造はない)と考えられる。
【0058】
【表2】
【0059】
最後に、Flu Aの量は、側方流動装置に置かれる前に、試料において変化した。特に、(試料における抗原濃度の割合で表される)0%、0.04%、0.1%、0.2%および0.5%の量でFlu Aを有する試料が調製され、試料は、任意のシグナル増幅コンジュゲートがない側方流動装置および制御側方流動装置に付着した。シグナル強度は、10分および20分に読み取られた。結果は図5および表3に示される。
【0060】
【表3】
【0061】
有利なこととして、本開示に記載の側方流動アッセイは、検出限界以下の濃度等の低濃度で試料に存在する分析物のシグナルを増幅し、それによって、低濃度で試料に存在する分析物を信頼性を有して測定することができる。試料における目的分析物の存在を決定する他に、本開示の実施形態は、試料に存在する目的分析物の量を定量するために使用することもできる。例えば、公知の量の目的分析物を有する溶液は、本開示の実施形態に従って調製されたアッセイ試験ストリップに適用することができる。測定システムは、試験ストリップによって生成されたシグナルの強度を測定することができ、用量反応曲線はこのデータを使用して作製することができる。本開示の実施形態に従って調製された試験ストリップを使用して試験イベントを行った後、測定システムは、試験ストリップによって生成されたシグナルを測定し、この試験シグナルを用量反応曲線にプロットされたシグナルと比較して、試験試料中の目的分析物の量を決定することができる。目的分析物の量を定量するその他の方法が本開示の実施形態を使用して可能であることを理解されよう。
【0062】
本開示に記載の側方流動アッセイを使用して試料中の目的分析物を検出する方法
図6は、側方流動アッセイを使用して、本開示に記載の低濃度の試料中の目的分析物を検出する例示的な方法600を示す。方法600は、本明細書に記載の側方流動アッセイが提供されるステップ605から開始する。ステップ610において、試料は、側方流動装置の試料ウェルに適用される。
いくつかの実施形態において、試料ウェルに試料を適用することは、試料を側方流動アッセイに接触することを含む。試料は、スポイトまたはその他のアプリケータと同様に、外部適用によって試料を試料ウェルに導入することによって、側方流動アッセイに接触することができる。いくつかの実施形態において、試料リザーバは、試験ストリップが試料を保持する容器に浸す場合等、試料に直接的に浸漬してもよい。いくつかの実施形態において、試料は、注ぎ、浸し、噴霧し、置き、または試料リザーバに接触させてもよい。
方法は、次にステップ615に移り、ここでは試料ウェルにおける試料の適用が、試料受入帯または試料受入帯の下流の第1のコンジュゲート帯に存在する分析物特異的コンジュゲート(「第1のコンジュゲート」)を可溶化する。分析物特異的コンジュゲートは、第1のラベル、第1の結合パートナー、および目的分析物に特異的に結合する作用物質を含む。前述のように、装置は、分析される分析物の数に依存して、ラベル、結合パートナーおよび第2の目的分析物に特異的に結合する作用物質を含む第2の分析物特異的コンジュゲートを含み得、装置は、ラベル、結合パートナーおよび第3の目的分析物に特異的に結合する作用物質を含む第3の分析物特異的コンジュゲートまたは追加の分析物特異的コンジュゲートを含み得る。いくつかの実施形態において、分析物特異的コンジュゲートは、試料中の特定の目的分析物の予想されるまたは一般的な濃度のために、特定の目的分析物が増幅を必要としないことがあるので、結合パートナーを含まなくてもよい。
【0063】
分析物特異的コンジュゲート(または場合によって1つ以上の分析物特異的コンジュゲート)は、物理的または化学的結合によって試料受入帯に統合することができる。試料が試料ウェルに加えられた後に、試料は分析物特異的コンジュゲートに可溶化し、分析物特異的コンジュゲートをコンジュゲートパッドに保持する結合を解放する。
次にステップ620に移ると、目的分析物(試料に存在する場合)は、分析物特異的コンジュゲートで標識される。分析物特異的コンジュゲートは、試料に存在する場合、目的分析物に結合し、複合体を形成する。ステップ615およびステップ620が実質的に同時に起こり得ることを理解されよう。
方法は次にステップ625に移り、複合体は、アッセイ試験装置の流体流路に沿って移動し、側方流動アッセイの検出帯において、固定化された捕捉用物質に結合され、サンドイッチ構造を形成する。本開示の実施が多くの異なる方法で検出帯にサンドイッチ構造を形成し得ることも理解されよう。例えば、ステップ615、620および625は、ステップ615Aと置き換えてもよく、ステップ615Aでは、目的分析物および分析物特異的コンジュゲートが検出帯に別個に流動し、目的分析物が検出帯において固定化された捕捉用物質に結合し、その後、分析物特異的コンジュゲートがまさに結合された目的分析物に結合し、サンドイッチと一般的に呼ばれる、抗体-分析物-抗体-第1のラベルの構造を形成する。
【0064】
複合体を固定化された捕捉用物質に結合(またはサンドイッチ構造を形成)した後、方法は、次にステップ630に移り、バッファが装置のバッファウェル(またはその他の適切な位置)に適用される。ステップ635において、バッファは、バッファ受入帯の下流に存在するまたは位置されるシグナル増幅コンジュゲート(「第2のコンジュゲート」)を可溶化する。シグナル増幅コンジュゲートは、第2のラベルおよび分析物特異的コンジュゲートの第1の結合パートナーに特異的に結合する第2の結合パートナーを含む。シグナル増幅コンジュゲートは、物理的または化学的結合によって、バッファ受入帯(またはその他の適切な位置)に統合し得る。バッファがバッファウェルに加えられた後、バッファはシグナル-増幅コンジュゲートを可溶化し、シグナル増幅コンジュゲートを保持する結合をバッファ受入帯(またはその他の適切な位置)のコンジュゲートパッドに解放する。ステップ630および635は、代替の方法に置き換えられて、シグナル増幅コンジュゲートを側方流動アッセイに加えてもよいことを理解されよう。
【0065】
方法は次にステップ640に移り、シグナル増幅コンジュゲートは、バッファと共に検出帯に流動する。検出帯において、第の2結合パートナーは、検出帯において捕捉用物質に結合される複合体の分析物特異的コンジュゲートの第1の結合パートナーと結合対を形成する。前述のように、シグナル増幅コンジュゲートと検出帯において捕捉用物質に結合される複合体との間の第1結合相互作用は、検出帯において生成されたシグナルを閾値の検出レベルを超えるレベルにまで増幅することができる。したがって、いくつかの例示的な実施において、方法は次にステップ650に移り、増幅されたシグナルが検出帯で検出される。
本開示に記載の方法の実施形態は、前述のように次の結合相互作用も含み得る。結合イベントの連鎖反応が本開示に従って生じ、一連の第1の結合対および第2の結合対の相互作用が、検出帯において形成する分析物特異的コンジュゲートおよびシグナル増幅コンジュゲートを蓄積させる。検出帯におけるコンジュゲートの蓄積によって、検出帯に生成されたシグナルが増幅し、いくつかの場合では、シグナルを指数関数的に増幅する。結合イベントのこの連鎖反応は、図6のステップ645に示され、検出帯に存在する結合されていない第1のコンジュゲートは、検出帯において複合体に結合することとなったシグナル増幅コンジュゲートに結合する。
【0066】
次にステップ650に移ると、方法は、検出帯で生成されたシグナルを検出することを含む。検出帯は、それぞれの複合体を捕捉する捕捉帯を含み得る(1つ以上の目的分析物が検出され、および/または定量化される)。例えば、検出帯は、第1の複合体を捕捉するための第1の捕捉帯、第2の複合体を捕捉するための第2の捕捉帯、および第3の複合体を捕捉するための第3の捕捉帯を含み得る。第1の捕捉帯における第1の固定化された捕捉用物質は、第1の分析物(存在する場合)および第1の複合体に結合する。第1の複合体が第1の捕捉帯において第1の固定化された捕捉用物質に結合し、シグナル増幅コンジュゲートがそこに結合する場合、第1の増幅シグナルが検出される。第1の増幅シグナルは、本明細書に記載の光学的シグナルを含み得る。検出帯において生成されたシグナルは、限定されないが、装置の目視検査および光学リーダーを使用した光学的検出を含むステップ650の任意の適切な測定システムを使用して検出することができる。ステップ650において検出されたシグナルは、試料中の目的分析物の有無、または量に相関し得る。
いくつかの実施形態において、試料は、環境的または生物学的源を含む源から得られる。いくつかの実施形態において、試料は、測定システムの検出限界以下の濃度等の低濃度で存在する1つ以上の目的分析物を含む、1つ以上の目的分析物を有すると思われる。いくつかの実施形態において、試料は、任意の目的分析物を有していないと思われる。いくつかの実施形態において、試料は、複数の分析物の有無を検証するために得られ、分析される。いくつかの実施形態において、流体試料は、血液または血漿である。いくつかの実施形態において、流体試料は、50~100μLの量で適用される。
いくつかの実施形態において、検出されるシグナルは、光学的シグナル、蛍光シグナル、または磁気シグナルである。
【0067】
本開示に記載の側方流動アッセイを含む例示的な試験システム
本明細書に記載の側方流動アッセイ試験システムは、側方流動アッセイ試験装置(限定されないが試験ストリップ等)、試験装置の全てまたは部分を受けるように構成されるポートを含むシステム筐体、光源および光検出器を含むリーダー、データアナライザーおよびその組み合わせを含み得る。システム筐体は、プラスチック、金属または複合材料を含む広く多様な材料のいずれか1つによって作製し得る。システム筐体は、診断試験システムの部品の保護囲いを形成する。システム筐体は、リーダーについて試験ストリップを機械的に登録する容器も規定する。容器は、広く多様な異なる種類の試験ストリップのいずれか1つを受けるように設計し得る。いくつかの実施形態において、システム筐体は、ベンチ、フィールド、家、または国内、市販、または環境的適用のための施設を含む様々な環境において、側方流動アッセイを実施する能力を有する小型装置である。
【0068】
リーダーは、試験ストリップの検出帯の曝露された領域を光学的に検査するための1つ以上の光電子部品を含み得、検出帯における複数の捕捉帯を検出することができる。いくつかの実施において、リーダーは、少なくとも1つの光源および少なくとも1つの光検出器を含む。いくつかの実施形態において、光源は、半導体発光ダイオードを含み得、光検出器は、半導体フォトダイオードを含み得る。試験ストリップによって使用されるラベルの性質に依存して、光源は、特定の波長範囲内の光または特定の偏光を有する光を発光するように設計し得る。例えば、ラベルが量子ドット等の蛍光ラベルである場合、光源は、試験ストリップの捕捉帯の曝露された領域を、ラベルから蛍光発光を誘発する波長範囲の光で照射するように設計される。同様に、光検出器は、捕捉帯の曝露された領域から光を選択的に捕捉するように設計し得る。例えば、ラベルが蛍光ラベルである場合、光検出器は、ラベルによって、または特定の偏光の光で発光される蛍光の波長範囲内で光を選択的に捕捉するように設計される。他方において、ラベルが反射タイプのラベルである場合、光検出器は、光源によって発光される光の波長範囲内の光を選択的に捕捉するように設計される。最後に、光検出器は、捕捉された光の波長範囲または偏光軸を規定する1つ以上の光学フィルターを含み得る。ラベルからのシグナルは、目視、または発色基質からの色を検出する分光光度計、125Iを検出するためのγ計測器等の放射線を検出するための放射線計測器、または特定の波長の光の存在下で蛍光を検出するための蛍光光度計を使用して分析することができる。酵素結合アッセイが使用される場合、目的分析物の量の定量的分析は、分光光度計を使用して実施することができる。本明細書に記載の側方流動アッセイは、ロボット的に自動化または実施することができ、望ましい場合、複数の試料からのシグナルを同時に検出することができる。さらに、複数の目的分析物について、それぞれの目的分析物のラベルが同じであるまたは異なる場合を含んで、複数のシグナルを検出することができる。
【0069】
データアナライザーは、リーダーによって得られるシグナル測定値を処理する。概して、データアナライザーは、デジタル電気回路またはコンピュータハードウェア、ファームウェアまたはソフトウェアを含む任意の計算または処理環境に実装し得る。いくつかの実施形態において、データアナライザーは、プロセッサ(例えば、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、またはASIC)およびアナログ-デジタルコンバーターを含む。データアナライザーは、診断試験システムの筐体に組み込むことができる。その他の実施形態において、データアナライザーは、有線または無線接続によって診断試験システムと通信することができるコンピュータ等の別個の装置に配置される。データアナライザーは、データ分析または結果のレビューのために外部装置に無線接続することによって、結果を移動させるための回路も含み得る。
【0070】
概して、結果指示器は、アッセイ試験の1つ以上の結果を示す広く多様な異なる機構のいずれか1つを含み得る。いくつかの実施において、結果指示器は、例えば、アッセイ試験の完了を示すために活性される1つ以上の光(例えば、発光ダイオード)を含む。その他の実施において、結果指示器は、アッセイ試験の結果を示すために英数字ディスプレイ(例えば、2または3文字の発光ダイオードアレイ)を含む。
本明細書に記載の試験システムは、リーダー、データアナライザー、および結果指示器を含む診断試験システムの活動状態の部品に電源を供給する電源を含み得る。電源供給は、例えば、交換可能バッテリーまたは再充電バッテリーによって実施し得る。その他の実施形態において、診断試験システムは、外部ホスト装置(例えば、USBケーブルによって接続されたコンピュータ)によって電源を供給し得る。
【0071】
例示的な側方流動装置の特徴
本明細書に記載の側方流動装置は装置筐体を含む。本明細書に記載の任意の側方流動装置の筐体は、上部筐体または基底筐体を含み、例えば、ビニル、ナイロン、塩化ポリビニル、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリスルファン、ポリエステル、ウレタンまたはエポキシを含む任意の適切な材料で作製し得る。筐体は、例えば、射出成形、圧縮成形、トランスファー成形、吹込み成形、押出し成形、発泡成形、熱成形、鋳造、層堆積またはプリントを含む任意の適切な方法によって調製し得る。
本明細書に記載の側方流動装置は、限定されないが、側方流動装置に存在する免疫クロマトグラフィー試験ストリップ等の試験ストリップに流体試料が導入される試料ウェルを含み得る。一例において、試料は、スポイトまたはその他のアプリケータを用いるように、外部からの適用によって試料ウェルに導入し得る。試料は、試料ウェルに注ぎまたは絞り出してもよい。別の例において、試料ウェルは、試料を保持する容器に試験ストリップを浸す場合のように、試料に直接浸漬してもよい。
【0072】
本明細書に記載の側方流動装置は、限定されないが、側方流動装置に存在する免疫クロマトグラフィー試験ストリップ等の試験ストリップにバッファが導入されるバッファウェルを含み得る。一例において、バッファは、スポイトまたはその他のアプリケータを用いるように、外部からの適用によってバッファウェルに導入し得る。バッファは、バッファウェルに注ぎまたは絞り出してもよい。別の例において、バッファウェルは、バッファを保持する容器に試験ストリップを浸す場合のように、バッファに直接浸漬してもよい。
本明細書に記載の側方流動装置は、固体支持体または基材を含み得る。適切な固体支持体は、限定されないが、ニトロセルロース、反応トレイのウェルの壁、マルチウェルプレート、試験管、ポリスチレンビーズ、磁気ビーズ、膜および微小粒子(ラテックス粒子等)を含む。分析物特異的コンジュゲートおよびシグナル増幅コンジュゲートによってアクセスすることが可能であり、固定化された捕捉用物質に対する適切な表面親和性を有する充分な多孔性を有する任意の適切な多孔性材料を本明細書に記載の側方流動装置に使用することができる。例えば、ニトロセルロースの多孔性構造は、広く多様な物質、例えば、固定化された捕捉用物質について優れた吸収および吸収品質を有する。ナイロンも、同様の特徴を有し、適切でもある。微多孔構造は、水和状態のゲル構造を有する材料と同様に有用である。
【0073】
有用な固体支持体のさらなる例として、天然ポリマー炭水化物およびその合成修飾、架橋または置換誘導体、例えば、寒天、アガロース、架橋アルギン酸、置換および架橋グアーガム、特にニトリル酸およびカルボン酸、混合セルロースエステル、およびセルロースエーテルを有するセルロースエステル;架橋または修飾ゼラチンを含むタンパク質および誘導体等の窒素含有天然ポリマー;ラテックスおよびゴム等の天然炭化水素ポリマー;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルクロリド、ポリビニルポリビニルアセテートおよびその部分的加水分解誘導体、ポリアクリルアミド、ポリメタクリル酸、前述の重縮合体のコポリマーおよびターポリマー、例えば、ポリエステル、ポリアミドおよびポリウレタンまたはポリエポキシド等のその他のポリマーを含むビニルポリマー等の適切な多孔性構造で調製し得る合成ポリマー;硫酸バリウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、アルカリおよびアルカリ土類金属のケイ酸塩、アルミニウムおよびマグネシウムを含む、アルカリ土類金属およびマグネシウムの硫酸塩または炭酸塩等の多孔性無機物質;ならびに粘土、アルミナ、タルク、カオリン、ゼオライト、シリカゲルまたはガラス等のアルミニウムまたはシリコン酸化物(これらの材料は、前述のポリマー材料と共にフィルターとして使用し得る);ならびに既存の天然ポリマーに、合成ポリマーの重合化を開始することによって得られるグラフトコポリマー等の前述のクラスの混合物またはコポリマーが挙げられる。
【0074】
本明細書に記載の側方流動装置は、シートまたは一片の形態のニトロセルロース等の多孔性固体支持体を含み得る。このようなシートまたは一片等の厚みは、広い範囲で変化し得、例えば、約0.01~0.5mm、約0.02~0.45mm、約0.05~0.3mm、約0.075~0.25mm、約0.1~0.2mm、または約0.11~0.15mmである。このようなシートまたは一片等の孔径は、同様に広い範囲で変化し得、例えば、約0.025~15μm、より詳細には約0.1~3μmであるが、孔径は、固体支持体の選択において限定要因になることを意図しない。固体支持体の流速も、適用可能な場合、広い範囲で変化し得、例えば、約12.5~90秒/cm(すなわち、50~300秒/4cm)、約22.5~62.5秒/cm(すなわち、90~250秒/4cm)、約25~62.5秒/cm(すなわち、100~250秒/4cm)、約37.5~62.5秒/cm(すなわち、150~250秒/4cm)または約50~62.5秒/cm(すなわち、200~250秒/4cm)である。本明細書に記載の装置の特定の実施形態において、流速は、約35秒/cm(すなわち、140秒/4cm)である。本明細書に記載のその他の特定の実施形態において、流速は、約37.5秒/cm(すなわち、150秒/4cm)である。
【0075】
固体支持体の表面は、作用物質(例えば、固定化コンジュゲート)の支持体への共有結合を生じる化学的処理によって活性化し得る。以下に記載するように、固体支持体は、コンジュゲートパッドを含み得る。多くのその他の適切な方法を、作用物質(例えば、固定化された捕捉用物質)を固体支持体に固定化するために使用し得るが、そうした方法は、限定されないが、イオン相互作用、疎水性相互作用、共有結合相互作用等を含む。
物理的に制約される場合を除いて、固体支持体は、フィルム、シート、細片もしくはプレート等の任意の適切な形状で使用してもよく、または固体支持体は、紙、ガラス、プラスチックフィルムまたは布等の適切な不活性担体にコーティングまたは結合または積層してもよい。
【0076】
本明細書に記載の側方流動装置は、膜または捕捉用物質を含むその他の種類の材料等のコンジュゲートパッドを含むことができる。コンジュゲートパッドは、酢酸セルロース、ニトロセルロース、ポリアミド、ポリカーボネート、ガラス繊維、膜、ポリエーテルスルホン、再生セルロース(RC)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタラート)、ポリカーボネート(例えば、4,4-ヒドロキシ-ジフェニル-2,2’-プロパン)、酸化アルミニウム、混合セルロースエステル(例えば、酢酸セルロースおよびニトロセルロースの混合物)、ナイロン(例えば、ポリアミド、ヘキサメチレンジアミンおよびナイロン66)、ポリプロピレン、PVDF、高密度ポリエチレン(HDPE)+核剤「アルミニウムジベンゾアート」(DBS)(例えば、80u0.024HDPE DBS(Porex))、およびHDPEでもよい。
本明細書に記載の側方流動装置は、低濃度の分析物を有し、または一般的な濃度の分析物であるが低用量の試料に存在する試料等の低感受性試料に使用される。「感受性」は、陽性と正しく識別される実際の陽性の割合を指す(例えば、病態を有すると正しく識別される、感染済み、潜在性または徴候性の対象の割合)。感受性は、真陽性数と偽陰性の数の和によって割られた真陽性の数として計算することができる。
【0077】
本明細書に記載の側方流動装置は、多くの異なる種類の試料における複数の目的分析物を正確に測定することができる。試料は、任意の源、ならびに生物学的および環境学的試料から得られる病変または培養物を含むことができる。生体試料は、(ヒトを含む)動物から得られ、流体、固体、組織および気体を含み得る。試料は、本開示の側方流動装置に適用する前に処理し得る。第1の非限定的な例において、全血試料は、血漿または血清を得るように処理することができ、血漿および血清は、本開示に記載の側方流動装置に適用することができる。第2の非限定的な例において、細胞を含む試料は、限定されないが、検出のために細胞内タンパク質を放出する細胞溶解ステップ等の1つ以上の試料調製ステップを使用して処理される。処理された試料は、本開示に記載の側方流動装置に適用し得る。生体試料として、尿、唾液および血漿、血清等の血液産物が挙げられる。このような例は、しかしながら、本開示に適用可能な試料の種類を限定するものとしては考えられない。
【0078】
本明細書に記載の側方流動装置はラベルを含み得る。ラベルは、分析物、分析物類似体、検知試薬、または分光学的、光化学的、生化学的、免疫化学的、電気的、光学的または化学的手段によって検出することができる結合パートナーに結合されるまたは結合することができる分子または組成物を含む多くの異なる形態を取り得る。ラベルの例として、酵素、コロイド金粒子(金ナノ粒子とも呼ばれる)、着色ラテックス粒子、放射性同位元素、補助因子、リガンド、化学発光または蛍光物質、タンパク質吸収銀粒子、タンパク質吸収鉄粒子、タンパク質吸収銅粒子、タンパク質吸収セレン粒子、タンパク質吸収硫黄粒子、タンパク質吸収テルル粒子、タンパク質吸収炭素粒子およびタンパク質結合ダイサックが挙げられる。化合物(例えば、検知試薬)のラベルへの付着は、共有結合、吸収プロセス、嫌気性および/もしくはキレート等のように、静電結合またはその結合および相互作用の組み合わせによってなされ、ならびに/または結合基を伴い得る。
「特異的結合パートナー」または「結合パートナー」という用語は、関与する分子の3次元構造に依存する特異的、非共有相互作用によって相互作用する分子対のメンバを指す。一般的な特異的結合パートナー対として、抗原/抗体、ハプテン/抗体、ホルモン/受容体、核酸鎖/相補性核酸鎖、基質/酵素、阻害剤/酵素、炭水化物/レクチン、ビオチン/(ストレプト)アビジン、受容体/リガンド、またはウイルス/分子受容体、またはその様々な組み合わせが挙げられる。
【0079】
本明細書で使用される場合、「免疫グロブリン」または「抗体」という用語は、特異的抗原に結合するタンパク質を指す。免疫グロブリンとして、限定されないが、ポリクローナル、モノクローナル、キメラおよびヒト化抗体、Fab断片、F(ab’)2断片が挙げられ、以下のクラス:IgG、IgA、IgM、IgD、IgEおよび分泌免疫グロブリン(sIg)の免疫グロブリンを含む。免疫グロブリンは、概して、2つの同一の重鎖および2つの軽鎖を含む。しかしながら、「抗体」および「免疫グロブリン」という用語は、一本鎖抗体および2つの鎖抗体も含む。本明細書で使用される場合、抗体という用語は、全体として抗体またはその結合断片を含むその任意の断片を指す。したがって、目的分析物に特異的に結合する標識抗体を指す場合、この用語は標識抗体または目的分析物に特異的に結合するその断片を指す。同様に、捕捉用物質または抗体を指す場合、この用語は、捕捉抗体または目的分析物に特異的に結合するその断片を指す。
本開示に記載の側方流動装置における抗体、試験装置および方法は、ポリクローナル抗体を含み得る。本明細書に開示される任意の目的分析物を測定するためのポリクローナル抗体として、限定されないが、以下:ウサギ、ヤギ、ヒツジ、ニワトリ、カモ、モルモット、マウス、ロバ、ラクダ、ラットおよびウマの1つ以上の活性免疫化によって、血清から産生された抗体を含む。本開示に記載の側方流動装置における抗体、試験装置および方法は、モノクローナル抗体を含み得る。目的分析物に結合するための抗体は、当該技術分野で公知であり、または、当該技術分野で公知の方法によって容易に発現することができる。
【0080】
本開示に記載の側方流動装置は、固定化された捕捉用物質を含む。固定化された捕捉用物質は、遊離(非標識)分析物および/または標識分析物(本明細書に記載されるように、分析物特異的コンジュゲートに結合される分析物等)を含む分析物に結合することができる作用物質を含む。固定化された捕捉用物質は、(i)分析物特異的コンジュゲートによって結合される目的分析物、(ii)遊離分析物、または(iii)間接的アッセイのように、それ自体が分析物に特異的である付帯特異的結合パートナーに特異的である非標識特異的結合パートナーを含む。本明細書に使用される場合、「付帯特異的結合パートナー」は、分析物の特異的結合パートナーに結合する特異的結合パートナーである。例えば、付帯特異的結合パートナーは、別の抗体、例えば、ヤギ抗ヒト抗体に特異的な抗体を含み得る。
【0081】
本明細書に記載の側方流動装置は、1つ以上の捕捉領域または捕捉帯を含む領域であり、検出可能なシグナルを検出し得る領域である「検出領域」または「検出帯」を含み得る。本明細書に記載の側方流動装置は、捕捉用物質が固定化される側方流動装置の領域である「捕捉帯」または「捕捉領域」を含み得る。本明細書に記載の側方流動装置は、1つ以上の捕捉帯を含み得る。いくつかの場合において、異なる捕捉用物質は、(第1の捕捉帯における第1の固定化された捕捉用物質および第2の捕捉帯における第2の固定化された捕捉用物質等の)異なる捕捉帯に固定化される。複数の捕捉帯は、側方流動基材上で互いに任意の定位を取ってもよく、例えば、第1の捕捉帯は、流体流動の通路に沿って第2の(またはその他の)捕捉帯に対して遠位または近位でもよく、その逆でもよい。あるいは、第1の捕捉帯および第2の(またはその他の)捕捉帯は、流体が同時に、またはほぼ同時にそれら捕捉帯に接触するように流体流動の通路に垂直な軸に沿って整列してもよい。
【0082】
本開示に記載の側方流動装置は、側方流動装置が正常に動作している間、固定化された捕捉用物質の移動が制限されるように固定化されている、固定化された捕捉用物質を含む。例えば、固定化された捕捉用物質の移動は、流体試料が側方流動装置に適用される前および後に制限される。固定化された捕捉用物質の固定化は、遮蔽物、静電相互作用、水素結合、生物親和性、共有結合相互作用、またはその組み合わせ等の物理的手段によって達成することができる。
本開示に記載の側方流動装置は、生体を測定することができる。生体として、原核生物細胞株、真核生物細胞株、哺乳動物細胞株、微生物細胞株、昆虫細胞株、植物細胞株、混合細胞株、天然発生細胞株、または合成操作細胞株を含む生物によって産生される化学的または生化学的化合物が挙げられる。生体は、タンパク質、多糖、脂質および核酸等の大巨大分子、ならびに一次代謝物、二次代謝物および天然産物等の小分子を含み得る。
【0083】
記述、特定の例およびデータは、例示的な実施形態を示しながら、例示のために提供され、本開示の様々な実施形態を限定することを意図しないことを理解されよう。本開示における様々な変化および修正は、本明細書に含まれる記述およびデータから当業者に明確となり、したがって、本開示の様々な実施形態の部分と考えられる。
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1〕試料中の目的分析物を検出するための側方流動アッセイであって、
第1のラベル、前記目的分析物に特異的に結合するように構成されている作用物質、および第1の結合パートナーを含む第1のコンジュゲート、
側方流動アッセイの流体流路に沿って前記第1のコンジュゲートの上流にある第2のコンジュゲート、ここで、前記第2のコンジュゲートは、第2のラベルと、前記第1の結合パートナーに特異的に結合するように構成される第2の結合パートナーとを含む、並びに
前記側方流動アッセイの前記流体流路に沿って、前記第1のコンジュゲートおよび前記第2のコンジュゲートの下流にある検出帯、ここで、前記検出帯は、前記目的分析物に特異的に結合する固定化された捕捉用物質を含む
を含む側方流動アッセイ。
〔2〕前記第1のコンジュゲートが前記側方流動アッセイの試料受入帯に存在し、または前記第1のコンジュゲートが前記試料受入帯の下流の第1のコンジュゲート帯に存在する、前記〔1〕に記載のアッセイ。
〔3〕前記第2のコンジュゲートが、前記試料受入帯の上流のバッファ受入帯に存在し、または前記第2のコンジュゲートが、前記バッファ受入帯の下流であって且つ前記試料受入帯の上流にある第2のコンジュゲート帯に存在する、前記〔1〕に記載のアッセイ。
〔4〕流体試料を前記側方流動アッセイに適用すると、前記第1のコンジュゲートが、可溶化され、且つ前記検出帯に移動するように構成されている、前記〔1〕に記載のアッセイ。
〔5〕前記第1のコンジュゲートが前記検出帯に移動した後に、前記第2のコンジュゲートが、可溶化され、且つ前記検出帯に移動するように構成されている、前記〔4〕に記載のアッセイ。
〔6〕目的分析物に特異的に結合するように構成される前記作用物質が、目的分析物に特異的に結合する抗体または抗体結合断片である、前記〔1〕に記載のアッセイ。
〔7〕前記第1の結合パートナーおよび前記第2の結合パートナーが、抗原/抗体、ハプテン/抗体、ホルモン/受容体、核酸鎖/相補性核酸鎖、基質/酵素、阻害剤/酵素、炭水化物/レクチン、ビオチン/アビジン、受容体/リガンド、およびウイルス/細胞受容体から成る群から選択される結合対を含む、前記〔1〕に記載のアッセイ。
〔8〕前記第1の結合パートナーおよび前記第2の結合パートナーがビオチン/アビジン結合対を含み、且つ前記アビジンがストレプトアビジンまたはニュートラアビジンを含む、前記〔1〕に記載のアッセイ。
〔9〕前記第1の結合パートナーおよび前記第2の結合パートナーが抗原/抗体結合対を含み、前記抗原がペプチドまたはデカペプチドである、前記〔1〕に記載のアッセイ。
〔10〕前記目的分析物が目的の生物学的または環境的物質である、前記〔1〕に記載のアッセイ。
〔11〕前記目的分析物がインフルエンザウイルスである、前記〔1〕に記載のアッセイ。
〔12〕前記インフルエンザウイルスが、インフルエンザAウイルス、インフルエンザBウイルスまたはインフルエンザCウイルスである、前記〔11〕に記載のアッセイ。
〔13〕前記固定化された捕捉用物質が、前記目的分析物に特異的に結合する抗体または抗体結合断片である、前記〔1〕に記載のアッセイ。
〔14〕前記試験ストリップがニトロセルロース膜を含む、前記〔1〕に記載のアッセイ。
〔15〕前記第1のコンジュゲートに特異的に結合する固定化された捕捉用物質を含む制御帯をさらに含む、前記〔1〕に記載のアッセイ。
〔16〕前記第1および第2のラベルが、金属ナノ粒子、ブルーラテックスビーズ、金属ナノ粒子、着色ラテックス粒子、着色ラテックスビーズ、磁気粒子、炭素ナノ粒子、量子ドット、アップコンバーティング蛍光体、有機フルオロフォア、繊維染料、酵素またはリポソームから成る群から選択される、前記〔1〕に記載のアッセイ。
〔17〕前記第1のラベルおよび前記第2のラベルが金ナノ粒子を含む、前記〔1〕に記載のアッセイ。
〔18〕前記第1のラベルおよび前記第2のラベルが、光学的シグナル、蛍光シグナルまたは磁気シグナルを生成するように構成される、前記〔1〕に記載のアッセイ。
〔19〕前記第1のコンジュゲートの側方上部または上流に配置される試料ウェル、前記第2のコンジュゲート帯の側方上部または上流に配置されるバッファウェル、および前記検出帯にアクセス可能な読み取りウィンドウを含む筐体
をさらに含む、前記〔3〕に記載のアッセイ。
〔20〕前記バッファウェル、前記第2のコンジュゲート帯、前記試料受入ウェルおよび前記第1のコンジュゲート帯が、前記側方流動アッセイの前記流体流路に沿って、空間的に分離されている、前記〔19〕に記載のアッセイ。
〔21〕前記第1のコンジュゲートを、側方流動試験ストリップの試料受入帯においてまたはその下流において、前記側方流動試験ストリップに適用すること、および
前記第2のコンジュゲートを、前記試料受入帯の上流のバッファ受入帯においてまたはその下流において、前記試験ストリップに適用すること
を含む、前記〔1〕に記載の側方流動アッセイを行う方法。
〔22〕前記第1のコンジュゲートおよび前記第2のコンジュゲートを前記試験ストリップに同時に適用する、前記〔21〕に記載の方法。
〔23〕前記第1のコンジュゲートおよび前記第2のコンジュゲートを、エアージェット付着によって前記試験ストリップに適用する、前記〔21〕に記載の方法。
〔24〕試料中の目的分析物を検出する方法であって、
第1のラベル、前記目的分析物に特異的に結合するように構成される作用物質、および第1の結合パートナーを含む第1のコンジュゲート、
側方流動アッセイの流体流路に沿って前記第1のコンジュゲートの上流にある第2のコンジュゲート、ここで、前記第2のコンジュゲートは、第2のラベルと、前記第1の結合パートナーに特異的に結合するように構成される第2の結合パートナーと含む、ならびに
前記側方流動アッセイの前記流体流路に沿って、前記第1のコンジュゲートおよび前記第2のコンジュゲートの下流にある検出帯、ここで前記検出帯は、前記目的分析物に特異的に結合する固定化された捕捉用物質を含む
を含む側方流動アッセイに試料を適用すること、
前記検出帯において前記固定化された捕捉用物質に複合体を結合させること、ここで前記複合体は、前記第1のコンジュゲートに結合した前記目的分析物を含む、
前記複合体を結合させた後、前記第2のコンジュゲートを放出して、前記側方流動アッセイの前記流体流路に沿って流動させること、
前記第2のコンジュゲートを、前記検出帯において結合されている前記複合体に結合させること
を含む方法。
〔25〕前記検出帯において結合されている前記複合体および前記第2のコンジュゲートによって生成されたシグナルを検出することをさらに含む、前記〔24〕に記載の方法。
〔26〕前記目的分析物に結合されなかった第1のコンジュゲートを、前記検出帯において前記複合体に結合されている前記第2のコンジュゲートに結合させることをさらに含む、前記〔25〕に記載の方法。
〔27〕前記第1のラベルおよび第2のラベルが、光学的シグナル、蛍光シグナルまたは磁気シグナルを生成するように構成される、前記〔24〕に記載の方法。
〔28〕試料を前記側方流動装置に適用した後、5秒、10秒、15秒、20秒、25秒、30秒、35秒、40秒、45秒、50秒、55秒、1分、2分、3分、4分、5分、6分、7分、8分、9分、または10分で前記第2のコンジュゲートが放出される、前記〔24〕に記載の方法。
〔29〕前記検出帯において前記固定化された捕捉用物質に複合体を結合させることが、
前記目的分析物を前記第1のコンジュゲートで標識して、複合体を形成すること、および
前記検出帯において前記複合体を前記固定化された捕捉用物質に結合させること
を含む、前記〔24〕に記載の方法。
〔30〕前記第2のコンジュゲートを放出することが、緩衝液を前記第2のコンジュゲートに適用するか、または前記第2のコンジュゲートの上流の前記側方流動アッセイの位置に適用することを含む、前記〔24〕に記載の方法。
〔31〕緩衝液を適用することが、前記第2のコンジュゲートの側方上部または上流に配置されるバッファ受入ウェルに、緩衝液を注ぐことを含む、前記〔30〕に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6