(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-08
(45)【発行日】2024-03-18
(54)【発明の名称】分配制御システム、分配デバイスの制御方法、及びコンピュータ・プログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 20/13 20180101AFI20240311BHJP
H04M 11/00 20060101ALI20240311BHJP
A61C 5/62 20170101ALI20240311BHJP
【FI】
G16H20/13
H04M11/00 301
A61C5/62
(21)【出願番号】P 2020572681
(86)(22)【出願日】2019-06-28
(86)【国際出願番号】 EP2019067321
(87)【国際公開番号】W WO2020002596
(87)【国際公開日】2020-01-02
【審査請求日】2022-01-19
(32)【優先日】2018-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】510199605
【氏名又は名称】メドミクス スウィッツァランド アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ターナー、ヘイデン
(72)【発明者】
【氏名】クレメンス、ビクター
【審査官】梅岡 信幸
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-531459(JP,A)
【文献】国際公開第2017/093803(WO,A1)
【文献】特開平07-136258(JP,A)
【文献】特表2018-535788(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
H04M 11/00-11/10
A61C 5/40- 5/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分配制御システム(10)であって、
分配デバイスと、
リモート・デバイス(14)と
を備え、
前記分配デバイス(12)は、
1つ又は複数のプッシュロッド
と、
1つ又は複数のピストンを含むカートリッジ(50)であって、前記分配デバイス(12)内に配置可能である、カートリッジ(50)と、
前記カートリッジ(50)から材料を分配するため
に、前記1つ又は複数のプッシュロッドを前記カートリッジ(50)の方向に引っ張
って、前記1つ又は複数のピストンを作動させるように構成された作動機構
と、
前記カートリッジ(50)が前記分配デバイス(12)内で受け取られるときに
、前記カートリッジ(50)と前記分配デバイス(12)との間でデータを伝送するように構成された第1のワイヤレス通信手段であって
、前記カートリッジ(50)に関する情報を受信するように構成された第1の受信器(26a)を備え
る、第1のワイヤレス通信手段と、
前記分配デバイス(12)とリモート・デバイスのコントローラ(86)との間でデータを伝送するように構成された第2のワイヤレス通信手段であって
、前記カートリッジ(50)に関する前記情報を伝送するように構成された送信器(26c)を備える、第2のワイヤレス通信手段と、
前記分配デバイスの前記送信器(26c)に前記カートリッジ(50)に関する前記情報を送信させるように構成された電子コントローラと
を備え、
前記リモート・デバイス(14)は、
前記コントローラ(86)
と、
前記第2のワイヤレス通信手段
と通信するための受信器及び送信器(78)を備え、
前記リモート・デバイス(14)の前記受信器は
、前記カートリッジ(50)に関する前記情報を受信するように構成され、
前記リモート・デバイス(14)の前記コントローラ(86)は、前記カートリッジ(50)に関する前記情報を監視するように、及び、前記リモート・デバイス(14)の前記送信器(78)に前記カートリッジ(50)に関する前記情報をリモート・サーバ(16)に送信させるように構成され、
前記第1の受信器(26a)は
、前記リモート・デバイス(14)によって受信される信号とは異なる信号を受信するように構成される
、分配制御システム(10)。
【請求項2】
前記第1のワイヤレス通信手段は、前記第2のワイヤレス通信手段として異なる通信標準を使用してデータを送信及び受信する、請求項1に記載の分配制御システム(10)。
【請求項3】
前記第1のワイヤレス通信手段の前記第1の受信器(26a)は、RFID信号、NFC信号、QRコード(登録商標)、及び可視コードのうちの1つを受信するように構成される、請求項1又は2に記載の分配制御システム(10)。
【請求項4】
前記カートリッジ(50)は、前記第1のワイヤレス通信手段の一部として無線周波(RFID)タグ(94)を含む、請求項1から3までの少なくとも一項に記載の分配制御システム(10)。
【請求項5】
前記リモート・デバイス(14)の前記コントローラは、前記カートリッジ(50)に関する前記情報に基づいて、前記リモート・デバイス(14)の前記送信器(78)に、前記カートリッジ(50)内の前記材料を分配するための命令を前記分配デバイスに送信させるように構成され、また任意選択で、ユーザに関連する情報を表示するようにも構成され、前記ユーザに関連する情報は、分配速度、分配距離及び分配率のうちの少なくとも1つを含む、請求項1から4までの少なくとも一項に記載の分配制御システム(10)。
【請求項6】
前記リモート・デバイス(14)は入力デバイス(80)を含み、前記リモート・デバイス(14)の前記コントローラ(86)は、前記入力デバイス(80)内に入力される情報に基づいて、前記リモート・デバイス(14)の前記送信器(78)に、前記カートリッジ(50)内の前記材料を分配するための命令を前記分配デバイスに送信させるように構成される、請求項1から5までの少なくとも一項に記載の分配制御システム(10)。
【請求項7】
前記リモート・デバイス(14)と通信するように構成された第2の受信器(26b)を更に備え、前記第2の受信器(26b)は、Bluetooth、無線LAN、NFC、zigbee、LTE、UMTS、Z-Wave、及び赤外線という信号タイプのうちの少なくとも1つから信号を受信するように構成される、請求項1から6までの少なくとも一項に記載の分配制御システム(10)。
【請求項8】
前記第2の受信器(26b)は、前記分配デバイス及び/又は前記分配デバイス内に配置される、請求項7に記載の分配制御システム(10)。
【請求項9】
前記第2の受信器(26b)は、前記分配デバイスのハウジング内又はハウジングに、任意選択として前記カートリッジの容器に配置され、前記ハウジングは、前記1つ又は複数のプッシュロッドを引っ張るように構成された前記作動機構も収容する、請求項8に記載の分配制御システム(10)。
【請求項10】
前記第1のワイヤレス通信手段の前記第1の受信器(26a)の回路板、及び前記第2の受信器(26b)の回路板は、ハウジング内に配置される、請求項8又は9に記載の分配制御システム(10)。
【請求項11】
前記第1の受信器(26a)の回路板、及び前記第2の受信器(26b)の回路板は、互いに別々である、請求項10に記載の分配制御システム(10)。
【請求項12】
前記第1の受信器(26a)の回路板、及び前記第2の受信器(26b)の回路板は、共通回路板によって形成される、請求項10に記載の分配制御システム(10)。
【請求項13】
前記共通回路板は、前記作動機構の回路板も備える、請求項12に記載の分配制御システム(10)。
【請求項14】
前記リモート・デバイス(14)の前記受信器(76)は、前記リモート・サーバ(16)から情報を受信するように構成され、前記リモート・デバイス(14)の前記送信器(78)は、前記リモート・サーバ(16)から受信した前記情報を前記分配デバイスに送信するように構成される、請求項1から13までの少なくとも一項に記載の分配制御システム(10)。
【請求項15】
前記分配デバイス(12)及び/又は前記カートリッジ(50)に格納された前記カートリッジ・コンテンツの、現在の使用状態に関するパラメータを検出するように構成された、1つ又は複数のセンサ(24)を更に備える、請求項1から14までの少なくとも一項に記載の分配制御システム(10)。
【請求項16】
前記1つ又は複数のセンサ(24)は、前記分配デバイス(12)に配置され、前記分配デバイス(12)が使用される環境の温度に関する温度データを検出するように構成された、温度センサ;前記分配デバイス(12)内に配置され、前記分配デバイス(12)が使用される前記環境の湿度に関する湿度データを検出するように構成された、湿度センサ;圧力センサ;位置センサ、特にGPSセンサ;ジャイロ・センサ;重みセンサ;ひずみセンサ;及びそれらの組み合わせのうちの、少なくとも1つである、
請求項15に記載の分配制御システム(10)。
【請求項17】
前記センサ(24)は、第1及び第2の材料ディスペンサ(54)のラック(52)に近接して配設され、及び/又は、ハウジング(18)の内部に配設され、また、前記材料ディスペンサ(54)及び/又は前記ラック(52)の動きを検出することが可能である、請求項15又は16に記載の分配制御システム(10)。
【請求項18】
前記センサ(24)は、光センサ、スライド・キャリパ、又は、材料ディスペンサ(54)の動きの距離及び/又は速度を決定することが可能な更なるセンサのうちの、1つである、請求項15又は16に記載の分配制御システム(10)。
【請求項19】
前記センサ(24)は、モータ(42)の速度に基づいて、材料ディスペンサ(54)の速度を決定するために、前記モータ(42)及び前記コントローラ(28)に接続される、請求項15から18までのいずれか一項に記載の分配制御システム(10)。
【請求項20】
前記センサ(24)からのデータは、前記材料ディスペンサ(54)の移動の速度及び/又は距離を制御するために、前記コントローラ(28)に通信可能である、請求項19に記載の分配制御システム(10)。
【請求項21】
前記分配デバイス(12)及び/又は前記カートリッジ(50)に格納された前記カートリッジ・コンテンツの、現在の使用状態に関する前記パラメータは、前記センサ(24)を介して記録され、前記第2のワイヤレス通信手段を介して収集され、前記リモート・デバイス(14)及び/又は前記リモート・ネットワーク端末又はサーバ(16)に通信される、請求項15から20までのいずれか一項に記載の分配制御システム(10)。
【請求項22】
前記分配デバイス(12)の現在の使用状態に関する前記パラメータは、カートリッジ情報、環境状態、分配情報、プランジャの速度、前記プランジャの速さ比、モータの電圧、前記モータに印加される最大電圧、前記モータの電流、前記分配デバイスの力、及びそれらの組み合わせからなる、メンバ・グループから選択される、請求項15から21までのいずれか一項に記載の分配制御システム(10)。
【請求項23】
分配デバイスを制御するための方法であって、前記分配デバイスは、1つ又は複数のプッシュロッド、及び、前記分配デバイス内に配設されたカートリッジ(50)から材料を分配するために前記カートリッジ(50)内に配置された1つ又は複数のピストンを作動させるために、前記1つ又は複数のプッシュロッドを前記カートリッジ(50)の方向に引っ張るように構成された作動機構を備え、前記方法は、
第1のワイヤレス通信手段が、前記分配デバイス上の第1の受信器(26a)を用いて情報を受信することであって、前記情報は前記分配デバイス内に配設された前記カートリッジ(50)に関する、受信すること、
第2のワイヤレス通信デバイスが、第1の送信器(26c)を介して前記カートリッジ(50)に関する前記情報をリモート
・デバイス(14)上の第2の受信器(26b)に送信すること、及び、
第2の送信器(78)が、前記カートリッジ(50)に関する前記情報を前記リモート
・デバイスからリモート・サーバ(16)に送信することであって、前記第1の受信器(26a)は、前記リモート・デバイス(14)によって受信される信号とは異なる信号を受信するように構成される、送信すること、
を含む、分配デバイスを制御する方法。
【請求項24】
第1の受信器(26a)を用いて情報を前記受信することは第1の信号を介して情報を受信することを含み、前記カートリッジ(50)に関する前記情報を前記第2の受信器(26b)に前記送信することは、第2の信号を介して送信することを含み、前記第1及び第2の信号は異なる、請求項23に記載の分配デバイスを制御する方法。
【請求項25】
第1の信号はRFID信号である、請求項23又は24に記載の分配デバイスを制御する方法。
【請求項26】
第2の信号は、Bluetooth、無線LAN、NFC、zigbee、LTE、UMTS、Z-Wave、及び赤外線という信号タイプのうちの少なくとも1つである、請求項23から25までのいずれか一項に記載の分配デバイスを制御する方法。
【請求項27】
前記第2の送信器(78)が、前記カートリッジ(50)に関する前記情報に基づいて、前記カートリッジ(50)内の前記材料を分配するための命令を、前記リモート・デバイス(14)から前記分配デバイスに送信することを更に含む、請求項23から26までのいずれか一項に記載の分配デバイスを制御する方法。
【請求項28】
前記カートリッジ(50)に関する前記情報は、温度、湿度、所定のミキサ・モータRPM、プッシュロッドの速度、及び、分配される容量を計算するために前記プッシュロッドによって移動される分配距離のパターンのうちの、少なくとも1つを更に含む、請求項27に記載の分配デバイスを制御する方法。
【請求項29】
前記カートリッジ(50)内の前記材料を分配するための命令を、入力デバイスが、前記リモート・デバイス(14)内に入力すること、及び、前記第2の送信器を用いて、前記命令を前記分配デバイスに送信することを、更に含む、請求項23から28までのいずれか一項に記載の分配デバイスを制御する方法。
【請求項30】
前記第2の受信器(26b)が前記リモート・サーバ(16)から情報を受信すること、及び、前記第2の送信器(78)が前記リモート・サーバ(16)から受信した前記情報を前記分配デバイスに送信することを、更に含む、請求項23から29までのいずれか一項に記載の分配デバイスを制御する方法。
【請求項31】
1つ又は複数のセンサ(24)が、前記分配デバイス(12)の、及び/又は、前記カートリッジ(50)に格納された前記カートリッジ・コンテンツの、現在の使用状態に関するパラメータを検出するステップを更に含む、請求項23から30までのいずれか一項に記載の分配デバイスを制御する方法。
【請求項32】
前記1つ又は複数のセンサ(24)は、前記分配デバイス(12)に配置され、前記分配デバイス(12)が使用される環境の温度に関する温度データを検出するように構成された、温度センサ;前記分配デバイス(12)内に配置され、前記分配デバイス(12)が使用される前記環境の湿度に関する湿度データを検出するように構成された、湿度センサ;圧力センサ;位置センサ、特にGPSセンサ;ジャイロ・センサ;重みセンサ;ひずみセンサ;及びそれらの組み合わせのうちの、少なくとも1つである、請求項31に記載の分配デバイスを制御する方法。
【請求項33】
前記センサ(24)は
、第1及び第2の材料ディスペンサ(54)のラック(52)に近接して配設され、及び/又は、ハウジング(18)の内部に配設され、また、前記材料ディスペンサ(54)及び/又は前記ラック(52)の動きを検出することが可能である、請求項31又は32に記載の分配デバイスを制御する方法。
【請求項34】
前記センサ(24)は、光センサ、スライド・キャリパ、又は
、材料ディスペンサ(54)の動きの距離及び/又は速度を決定することが可能な更なるセンサのうちの、1つである、請求項31又は32に記載の分配デバイスを制御する方法。
【請求項35】
前記センサ(24)は、モータ(42)の速度に基づいて
、材料ディスペンサ(54)の速度を決定するために、前記モータ(42)及びコントローラ(28)に接続される、請求項31から34までのいずれか一項に記載の分配デバイスを制御する方法。
【請求項36】
前記センサ(24)からのデータは、前記材料ディスペンサ(54)の移動の速度及び/又は距離を制御するために、前記コントローラ(28)に通信可能である、請求項35に記載の分配デバイスを制御する方法。
【請求項37】
前記分配デバイス(12)及び/又は前記カートリッジ(50)に格納された前記カートリッジ・コンテンツの、現在の使用状態に関する前記パラメータは、前記センサ(24)を介して記録され、第2のワイヤレス通信手段を介して収集され、前記リモート・デバイス(14)及び/又は前記リモート・ネットワーク端末又はサーバ(16)に通信される、請求項31から36までのいずれか一項に記載の分配デバイスを制御する方法。
【請求項38】
請求項1から22までのいずれか一項に記載の分配デバイスを制御及び動作させるために、非一時的コンピュータ可読媒体上に具体化されたコンピュータ・プログラムであって、前記コンピュータ・プログラムは、電子コントローラによって実行されるとき、前記分配デバイス上の送信器(26c)から受信される情報を監視するように構成され、カートリッジ(50)に関する前記情報は前記分配デバイス内に配設され、前記カートリッジ(50)に関する前記情報をリモート・サーバ(16)に送信するように構成され、及び、前記カートリッジ(50)に関する前記情報に基づいて命令を前記分配デバイスに送信するように構成され、前記命令は、前記カートリッジ(50)内の材料を分配することに関する情報を含む、非一時的コンピュータ可読媒体上に具体化されたコンピュータ・プログラム。
【請求項39】
前記分配デバイス上の前記送信器(26c)から受信される前記情報は、Bluetooth、無線LAN、NFC、zigbee、LTE、UMTS、Z-Wave、及び赤外線という信号タイプのうちの少なくとも1つとして受信される、請求項38に記載の非一時的コンピュータ可読媒体上に具体化されたコンピュータ・プログラム。
【請求項40】
前記コンピュータ・プログラムは、入力デバイスを介して、前記分配デバイスに送信するべき情報を前記リモート・デバイス(14)内に入力するように更に構成される、請求項38又は39に記載の非一時的コンピュータ可読媒体上に具体化されたコンピュータ・プログラム。
【請求項41】
前記具体化されたコンピュータ・プログラムは、前記リモート・サーバ(16)から情報を受信するように更に構成され、また、前記リモート・サーバ(16)から受信した前記情報に基づいて、命令を前記分配デバイスに送信するように構成される、請求項38から40までのいずれか一項に記載の非一時的コンピュータ可読媒体上に具体化されたコンピュータ・プログラム。
【請求項42】
前記分配デバイスに送信する前記命令は、温度、湿度、及び、前記カートリッジ(50)の所定のミキサ・モータRPMのうちの少なくとも1つに基づく、請求項38から41までのいずれか一項に記載の非一時的コンピュータ可読媒体上に具体化されたコンピュータ・プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に分配制御システムに関する。特に本発明は、分配デバイスをリモートに監視することが可能な分配制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
建設及び歯科部門において、カートリッジはしばしば、液体、例えば封止成分、化学ドエル又は化学アンカ用の成分、接着剤、ペースト、又は歯科部門における印象材を分配するために用いられる。
【0003】
従来のディスペンサは、分配されるべき材料が1つの成分から形成される単一成分システム、及び、少なくとも2つの異なる成分が同じカートリッジの別々のチャンバ内、又は別々のカートリッジ内に格納される、2成分又はマルチ成分システムとすることができる。2成分システム又はマルチ成分システムでは、成分は動的又は静的混合装置によって混合される。マルチ成分システムの例は、2つの成分の混合後にのみ硬化する接着剤又は化学ドエルを含む。2成分システムは、腐食防止のためなどの機能保護層を生成するためにしばしば用いられる、塗料の産業部門でも使用可能である。
【0004】
更なる従来技術のディスペンサは、米国特許出願第2017/119918A1号、米国特許出願第2018/236181A1号、米国特許出願第2014/263423A1号、米国特許出願第2011/082595A1号、米国特許出願第2016/169446A1号、国際特許出願第2017/096205A1号、米国特許出願第2011/245983A1号、米国特許出願第2011/245984A1号、及び欧州特許出願第2923774A1号から知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許出願第2017/119918A1号
【文献】米国特許出願第2018/236181A1号
【文献】米国特許出願第2014/263423A1号
【文献】米国特許出願第2011/082595A1号
【文献】米国特許出願第2016/169446A1号
【文献】国際特許出願第2017/096205A1号
【文献】米国特許出願第2011/245983A1号
【文献】米国特許出願第2011/245984A1号
【文献】欧州特許出願第2923774A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
分配デバイスの追加の制御及び監視を有することが望ましいことがわかっている。本開示の一目的は、リモート・デバイスによる監視及び制御が可能な分配制御システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本目的は、請求項1に従った分配制御システムによって満たされる。こうした分配制御システムは、
1つ又は複数のプッシュロッド、及び、分配デバイス内に配設されたカートリッジから材料を分配するために当該カートリッジ内に配置された1つ又は複数のピストンを作動させるために、1つ又は複数のプッシュロッドを当該カートリッジの方向に引っ張るように構成された作動機構を備える、ディスペンサと、ディスペンサ内で受け取られるときに当該カートリッジとディスペンサとの間でデータを伝送するように構成された第1のワイヤレス通信手段であって、第1のワイヤレス通信手段は、ディスペンサに配置され、カートリッジに関する情報を受信するように構成された第1の受信器を備え、当該情報は当該カートリッジに記憶される、第1のワイヤレス通信手段と、ディスペンサとリモート・デバイスのコントローラとの間でデータを伝送するように構成された第2のワイヤレス通信手段であって、第2のワイヤレス通信手段は、カートリッジに関する情報を伝送するように構成された送信器を備える、第2のワイヤレス通信手段と、分配デバイスの送信器にカートリッジに関する情報を送信させるように構成された電子コントローラとを含む、分配デバイス、並びに、
当該コントローラを含むリモート・デバイスであって、リモート・デバイスは第2のワイヤレス通信手段の受信器及び送信器を備え、リモート・デバイスの受信器はカートリッジに関する情報を受信するように構成され、リモート・デバイスのコントローラは、カートリッジに関する情報を監視するように、及び、リモート・デバイスの送信器にカートリッジに関する情報をリモート・サーバに送信させるように構成され、第1の受信器はリモート・デバイスによって受信される信号とは異なる信号を受信するように構成される、リモート・デバイス、
を備える。
【0008】
既知の技術の状態に鑑みて、本開示の一態様は、分配デバイス及びリモート・デバイスを備える、分配制御システムを提供することである。分配デバイスは、分配デバイス内に配設されたカートリッジから材料を分配するように構成されたディスペンサと、カートリッジに関する情報を受信するように構成された第1の受信器と、カートリッジに関する情報を送信するように構成された送信器と、分配デバイスの送信器にカートリッジに関する情報を送信させるように構成された電子コントローラと、を含む。リモート・デバイスは、電子コントローラ、受信器、及び送信器を含み、リモート・デバイスの受信器は、カートリッジに関する情報を受信するように構成され、リモート・デバイスのコントローラは、カートリッジに関する情報を監視するように、及び、リモート・デバイスの送信器に、カートリッジに関する情報をリモート・サーバに送信させるように、構成される。
【0009】
既知の技術の状態に鑑みて、本開示の別の態様は、分配デバイスを制御する方法を提供することであり、方法は、分配デバイス上の第1の受信器を用いて情報を受信することであって、情報は分配デバイス内に配設されたカートリッジに関する、受信すること、第1の送信器を介してカートリッジに関する情報をリモート・ハンドヘルド・デバイス上の第2の受信器に送信すること、及び、第2の送信器を介して、カートリッジに関する情報をリモート・ハンドヘルド・デバイスからリモート・サーバに送信することを含む。
【0010】
既知の技術の状態に鑑みて、本開示の別の態様は、分配デバイスを制御及び動作させるために、非一時的コンピュータ可読媒体上に具体化されたコンピュータ・プログラムを提供することであり、コンピュータ・プログラムは、電子コントローラによって実行されるとき、分配デバイス上の送信器から受信される情報を監視するように構成され、カートリッジに関する情報は分配デバイス内に配設され、カートリッジに関する情報をリモート・サーバに送信するように構成され、及び、カートリッジに関する情報に基づいて命令を分配デバイスに送信するように構成され、命令は、カートリッジ内の材料を分配することに関する情報を含む。
【0011】
本発明の別の態様(第1の態様)は、カートリッジからの材料を分配するための電気ディスペンサに関し、電気ディスペンサはカートリッジを受け取るように構成され、電気ディスペンサは、
・1つ又は複数のプッシュロッド、
・当該カートリッジからの材料を分配するために当該カートリッジ内に配置されたピストンを作動させるために、1つ又は複数のプッシュロッドをカートリッジの方向に引っ張るように構成された作動機構、
・電気ディスペンサ内に受け取られたときに当該カートリッジと電気ディスペンサとの間でデータを伝送するように構成された、第1のワイヤレス通信手段、
・電気ディスペンサと制御システム、好ましくはリモート制御システム(例えば、リモート・デバイス又はネットワーク・コンピュータ又はサーバ)との間でデータを伝送するように構成された、第2のワイヤレス通信手段、
を備え、
第1のワイヤレス通信手段は第2のワイヤレス通信手段とは異なる。こうしたディスペンサを用いて、ユーザは、第1のワイヤレス通信手段を用いてカートリッジのコンテンツを読み取り、第2のワイヤレス通信手段を用いて制御システムに転送することが可能であるため、カートリッジのコンテンツを自動的に決定することが可能である。第1の通信手段を第2のワイヤレス通信手段とは異なるように形成することによって、それぞれのワイヤレス通信手段をそれらの用途に合わせることができる。例えば、第1のワイヤレス通信手段は、50cm未満の短い距離を介することが可能な通信のみを必要とする一方で、第2のワイヤレス通信手段は、50cm又はそれ以上のより長い距離をエラーなく通信可能とすべきである。
【0012】
本発明の第2の態様は、第1の態様に従った電気ディスペンサに関し、第1のワイヤレス通信手段はRFIDを備え、第2のワイヤレス通信手段は、Bluetooth、無線LAN、NFC、zigbee、LTE、UMTS、Z-Wave、及び赤外線からなるメンバ・グループから選択される。
【0013】
本発明の第3の態様は、第1又は第2の態様に従った電気ディスペンサに関し、第2のワイヤレス通信手段は、電気ディスペンサの現在の使用状態に関するパラメータ、及び/又は、電気ディスペンサと制御システムとの間の電気ディスペンサの使用環境に関するパラメータ、及び/又は、カートリッジと電気ディスペンサとの間を第1の通信手段を介して通信されるカートリッジのコンテンツに関するパラメータを、通信するように構成される。
【0014】
本発明の第4の態様は、先行態様のうちの少なくとも1つに従った電気ディスペンサに関し、制御システムは電気ディスペンサから分離したリモート制御システムである。
【0015】
本発明の第5の態様は、先行態様のうちの少なくとも1つに従った電気ディスペンサに関し、制御システムは、携帯電話、スマート・フォン、タブレット、スマート・ウォッチ、パーソナル・コンピュータ、ポータブル・コンピュータ、マイクロコントローラ、及び、前述のデバイスのうちの少なくとも1つにインストールされたAPPからなる、メンバ・グループから選択される。
【0016】
本発明の第6の態様は、先行態様のうちの少なくとも1つに従った電気ディスペンサに関し、制御システムを更に備え、制御システムは、カートリッジ及び電気ディスペンサのうちの少なくとも1つのデータを記憶し、このデータをクラウド・ストレージ空間との間で通信するように構成される。
【0017】
本発明の第7の態様は、第6の態様に従った電気ディスペンサに関し、制御システムは、クラウド・ストレージ空間と制御システムとの間でデータを通信するための第3の通信手段を更に備える。
【0018】
本発明の第8の態様は、第6又は第7の態様に従った電気ディスペンサに関し、制御システムは、制御システムとクラウド・ストレージ空間との間でデータを非同期的に通信するように構成される。
【0019】
本発明の第9の態様は、先行態様のうちの少なくとも1つに従った電気ディスペンサに関し、電気ディスペンサに配置され、電気ディスペンサが使用される環境の温度に関する温度データを検出するように構成された、温度センサを更に備え、当該温度データは任意選択として、第2の通信手段を介してリモート・コントロールに通信される。
【0020】
本発明の第10の態様は、先行態様のうちの少なくとも1つに従った電気ディスペンサに関し、電気ディスペンサに配置され、電気ディスペンサが使用される環境の湿度に関する湿度データを検出するように構成された、湿度センサを更に備え、当該湿度データは任意選択として、第2の通信手段を介してリモート・コントロールに通信される。
【0021】
本発明の第11の態様は、第9又は第10の態様に従った電気ディスペンサに関し、1つ又は複数の更なるセンサを備える。
【0022】
本発明の第12の態様は、第11の態様に従った電気ディスペンサに関し、当該1つ又は複数の更なるセンサは、電気ディスペンサ、及び/又は、当該カートリッジ内に格納されたコンテンツのそれぞれの当該カートリッジの、現在の使用状況に関するパラメータを決定するように構成される。
【0023】
本発明の第13の態様は、第11の態様又は第12の態様に従った電気ディスペンサに関し、当該1つ又は複数の更なるセンサは、圧力センサ、位置センサ、特にGPSセンサ、ジャイロ・センサ、重みセンサ、ひずみセンサ、及びそれらの組み合わせからなる、メンバ・グループから選択される。
【0024】
本発明の第14の態様は、先行態様のうちの少なくとも1つに従った電気ディスペンサに関し、制御デバイスと電気ディスペンサとの間で通信されるデータは、カートリッジと電気ディスペンサとの間で伝送されるデータに鑑みて、電気ディスペンサの動作を適合及び/又は制御する際に用いることが可能な動作データを備える。
【0025】
本発明の第15の態様は、先行の第9の態様から第14の態様のうちの少なくとも1つに従った電気ディスペンサに関し、制御デバイスと電気ディスペンサとの間で通信されるデータは、カートリッジと電気ディスペンサとの間で伝送されるデータに鑑みて、及び、センサのうちの1つを用いて決定されるパラメータに基づいて、電気ディスペンサの動作を適合及び/又は制御する際に用いることが可能な動作データを備える。
【0026】
本発明の第16の態様は、電気ディスペンサ、1つ又は複数のカートリッジ、リモート制御システム、及びクラウド・ストレージ・デバイスを備える、システムに関し、電気ディスペンサは当該1つ又は複数のカートリッジを受け取るように構成され、電気ディスペンサは、1つ又は複数のプッシュロッド、及び、当該カートリッジからの材料を分配するために当該カートリッジ内に配置されたピストンを作動させるために、1つ又は複数のプッシュロッドを当該カートリッジの方向に引っ張るように構成された作動機構を備え、電気ディスペンサは、電気ディスペンサ内で受け取られるとき、当該カートリッジと電気ディスペンサとの間でデータを伝送するように構成された、第1のワイヤレス通信手段を更に備え、電気ディスペンサは、電気ディスペンサと制御システムとの間でデータを伝送するように構成され、第1のワイヤレス通信手段とは異なる、第2のワイヤレス通信手段を更に含み、リモート制御システムは、リモート制御システムとクラウド・ストレージ・デバイスとの間でデータを伝送するように構成される。
【0027】
次に、本オリジナル開示の一部を形成する添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の一実施例に従った、分配制御システムを示す図である。
【
図2】受信器/送信器が示された
図1のディスペンサを示す図である。
【
図4】
図2のディスペンサのためのRFIDを伴うデュアル・カートリッジを示す図である。
【
図5】
図1のリモート・デバイスを示す概略図である。
【
図6】分配制御システムを選択する機能を示す、
図5のリモート・デバイスを示す図である。
【
図7】複数の分配デバイスのうちの1つを選択する機能を示す、
図5のリモート・デバイスを示す図である。
【
図8】
図2のディスペンサからの情報のディスプレイを示す、
図5のリモート・デバイスを示す図である。
【
図9】分配デバイスからネットワークへの情報の受信及び送信のプロセスを示すフロー・チャートである。
【
図10】分配デバイスのパラメータをリモートに調整するプロセスを示すフロー・チャートである。
【
図11】分配デバイスのパラメータをリモートに調整するプロセスを示すフロー・チャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
次に図面を参照しながら、選択された実施例を説明する。当業者であれば、実施例の下記の説明が、添付の特許請求の範囲及びそれらの等価物によって定義されるような本発明を限定するためではなく、単なる例示のために提供されることが、本開示から明らかとなろう。
【0030】
最初に
図1を参照すると、本発明の一実施例に従った分配制御システム10が示される。
図1は、ハンドヘルド分配デバイス(ディスペンサ12)、リモート・デバイス14、及びネットワーク端末又はサーバ16を含む、分配制御システム10を示す。
【0031】
図1に示されるように、ディスペンサ12は、リモート・デバイス14及び/又はリモート・ネットワーク端末又はサーバ16(例えば、クラウド)の両方に対してワイヤレスに直接、情報を送信及び受信することが可能である。更に、リモート・デバイス14は、ディスペンサ12或いはリモート・ネットワーク端末又はサーバ16(例えば、クラウド)の両方に対してワイヤレスに直接、情報を送信及び受信することが可能である。リモート・ネットワーク端末又はサーバ16は、ディスペンサ12又はリモート・デバイス14の両方に対してワイヤレスに直接、情報を送信及び受信することが可能である。
【0032】
図2及び
図3を参照すると、ディスペンサ12は一実施例に従って示される。本実施例において、ディスペンサ12は電気ディスペンサであり、ハウジング18、駆動ユニット20(作動機構としても知られる)、モータ、材料ディスペンサ54、センサ24、受信器/送信器26、及びコントローラ28を含む。
【0033】
ハウジング18は、ディスペンサ12を動作させて材料を分配するために、オペレータが握るためのハンドル30を含む。ハンドル30は、トリガ・スイッチ又はトリガ32、速度制御ダイヤル(SCD)34、及び、オン/オフ・モード・スイッチ36の形の動作モード選択スイッチ(この点については
図3を参照)を含む。ハウジング18は、駆動ユニット20及びコントローラ28を収容する。ハウジング18の底部38には、再充電可能バッテリ・パック又は電源40が、ポータブル電気ツールにとって通常の様式で取り付けられる。
【0034】
代替として、ディスペンサ12は、電源出力などの電源と接続するためのコードを含むことができる。理解されるように、電源40(例えば、バッテリ)は、ディスペンサ12を動作させるために駆動ユニット又は作動機構20に電圧を供給する。
【0035】
特定の条件を示すために、ハンドル30上にインジケータ44が配設可能である。言い換えれば、インジケータ44は、温度、圧力、活動化された第1の分配モード、活動化された第2の分配モード、低又はフル・バッテリ充電、過負荷(トルク)、高温、活動化された終端停止スイッチなどの、多数の特定条件のうちの1つ又は複数を示す、LEDとすることができる。インジケータ44は、任意の好適な情報を表示することが可能な、任意の他の好適なインジケータ又はディスプレイとすることができる。
【0036】
分配するべき材料の容器を受け取るために、ハウジング18の前端48にホルダ46が配設される。したがってホルダ46は、ディスペンサ12の前端48を画定する。材料の容器は任意のタイプとすることができ、好ましくは本明細書で説明するようなカートリッジ50(
図5を参照)であるが、ソーセージ型容器などの任意の好適な容器、又は任意の他の好適なタイプの容器とすることができる。分配するべき材料は、任意のタイプの封止剤又は接着剤とすることができる。例えば封止剤は、任意の通常の一液型シリコンとすることができる。シリコンの硬化は、周囲大気内に存在する通常の湿気で開始される。代替として材料は、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ、又はエポキシ・アクリルなどの、二液型材料とすることができる。これらの材料は、接着剤、パテ、又は封止剤としても使用可能である。
【0037】
ディスペンサ12は、ラック52を更に備える。ラック52の前端は、少なくとも1つの材料ディスペンサ54である。一実施例において、材料ディスペンサ54は、第1の材料ディスペンサ及び第2の材料ディスペンサのうちの、第1の材料ディスペンサであり、材料ディスペンサ54の各々は、カートリッジ50のそれぞれの容器内に挿入されるように構成されたプランジャ(プッシュロッドに接続)である。材料ディスペンサ54は、カートリッジ内に受け取られた図示されていないピストンを介して、カートリッジから材料を駆動及び分配するように構成される。材料ディスペンサ54はプランジャとして図示されているが、任意の好適なデバイスとすることができる。ラック52は駆動ユニット20を介して延在し、ラック52の前端とは反対側の後端に第2のハンドル56が取り付けられる。
【0038】
第1及び第2の材料ディスペンサ54はラック52の第2のハンドル56を介して接続されるため、第1及び第2の材料ディスペンサ54は一致した動きをする。図示された実施例のディスペンサ12は、一般に、
図1及び
図5に示されるような並列カートリッジ50と共に用いられる。すなわちカートリッジ50は、互いに隣り合った2つのカートリッジ50a及び50bを含むため、第1及び第2の材料ディスペンサ54は隣接カートリッジ内に配設可能であり、別々の材料を同時に分配可能となる。別々の材料は、通常、材料を組み合わせることが可能な静的ミキサ及び動的ミキサ(図示せず)のうちの1つに誘導される。
【0039】
ディスペンサ、カートリッジ、及びミキサを備えるこうしたシステムは、材料を完全に混合し、接着剤又は混合材料を、表面又はエリアに塗布される直前又は塗布されている際に形成することが可能である。しかしながらディスペンサ12は、粘着性材料の同軸コンテナを含むコンテナと共に使用可能であることに留意されたい。すなわちコンテナは、コンテナ内に同軸上に配置され、コンテナ内部の輪状部分によって分離された、粘着性材料の2つの成分を含む。同軸コンテナにおいて、2つの別々の材料は、特定の表面又はエリアに塗布される前に、それぞれのコンテナからミキサ内にも分配される。更に所望であれば、ディスペンサ12は、粘着性材料の1つの成分のみを含むコンテナ、又は任意の他の好適なコンテナと共に使用可能である。
【0040】
図2に示されるように、駆動ユニット20は、ラックを駆動させるために駆動ユニット20内部でラック52とかみ合う円筒ピニオン・ギアを伴うギア列を介して駆動する、モータ42を収容する。
【0041】
検出器又はセンサ24は、好ましくは、ディスペンサ12及び/又はカートリッジに格納されたカートリッジ・コンテンツの現在の使用状態に関するパラメータを決定するように構成された、1つ又は複数のセンサのうちの1つである。例えば、センサ24は、ディスペンサ12に配置され、ディスペンサ12が使用される環境の温度に関する温度データを検出するように構成された、温度センサ、及び/又は、ディスペンサ12内に配置され、ディスペンサ12が使用される環境の湿度に関する湿度データを検出するように構成された、湿度センサとすることができる。
【0042】
更に所望であれば、センサ24は、圧力センサ、位置センサ、特にGPSセンサ、ジャイロ・センサ、重みセンサ、ひずみセンサ、及びそれらの組み合わせを含むが限定されないグループから選択された、1つ又は複数のセンサのうちの1つとすることができる。言い換えれば、ディスペンサ12は、本明細書で考察される条件のうちの1つ又は複数を感知するように構成された、単一センサ又は複数のセンサを有することができる。
【0043】
GPSセンサ及び/又はジャイロ・センサを用いて、ディスペンサ12の使用の位置及び場所に関する位置データを検出し、その結果、例えば、第2のワイヤレス通信デバイスを介して、リモート・デバイス14及び/又はリモート・ネットワーク端末又はサーバ16に通信されると、記録することが可能である。
【0044】
一実施例において、センサ24は、第1及び第2の材料ディスペンサ54のラック52に近接して配設すること、及び/又は、ハウジング18の内部に配設することが可能であり、また、材料ディスペンサ54及び/又はラック52の動きを検出することが可能である。しかしながら、センサ24は任意の好適な位置に配設することが可能であることに留意されたい。追加として、センサ24は、光センサ、スライド・キャリパ、又は、材料ディスペンサの動きの距離及び/又は速度を決定することが可能な任意の好適なセンサとすることができる。
【0045】
一実施例において、センサ24は、
図3に示されるように、モータ42及びコントローラ28に接続可能である。したがってセンサ24は、モータ42の速度に基づいて、材料ディスペンサ54の速度を決定することができる。
【0046】
その後、センサ24からのデータは、材料ディスペンサ54の移動の速度及び/又は距離を制御する目的で、コントローラ28に通信され得る。一実施例において、センサ24は、材料ディスペンサ54が移動する速度及び距離をコントローラ28が決定できるようにする。しかしながら、センサ24は任意の好適なセンサとすることが可能であり、本明細書で提供される説明に限定されないことに留意されたい。センサのタイプに関係なく、センサ24を介して記録されるデータは収集され、第2のワイヤレス通信デバイスを介してリモート・デバイス14及び/又はリモート・ネットワーク端末又はサーバ16に通信される。
【0047】
センサ24は、ユーザIDを検出するようにも構成可能であり、並びに/或いは、ディスペンサは、ユーザIDを記録した後、第2のワイヤレス通信デバイスを介してリモート・デバイス14及び/又はリモート・ネットワーク端末又はサーバ16にユーザIDを通信できるように構成可能である。このようにして、各分配アクションをいずれのユーザが実施したかを追跡することが可能である。
【0048】
前述のように、ディスペンサ12は受信器/送信器26を含む。受信器/送信器26は、第1の受信器26a、第2の受信器26b、及び送信器26cを含む。第1の受信器26aは、カートリッジ50から情報を受信することが可能である。第1の受信器26aは、RFIDタグから信号を受信することが可能なワイヤレス通信手段又はデバイス、或いは任意の他の好適なデバイスとすることが可能である。言い換えれば、第1のワイヤレス通信デバイスは、カートリッジがディスペンサ12内で受け取られるとき、カートリッジからデータを受信するように構成される。
【0049】
第2の受信器26b及び送信器26cは、単一のデバイス(例えば、トランシーバ)又は別々のデバイスとすることができる。第2の受信器26b及び送信器26cは、Bluetooth、無線LAN、NFC、zigbee、LTE、UMTS、Z-Wave、及び赤外線からなるメンバ・グループから選択される、第2のワイヤレス通信手段又はデバイス、或いは任意の他の好適な通信手段とすることができる。ワイヤレス通信手段又はデバイスは、ディスペンサ12とリモート・デバイス14又はネットワーク・コンピュータ又はサーバ16との間でデータを伝送するように構成される。いくつかの実施例において、第1のワイヤレス通信デバイスと第2のワイヤレス通信デバイスとは異なり、異なる様式で動作する。したがって、第1のワイヤレス通信システム及び第2のワイヤレス通信システムにおけるワイヤレス通信は、実質的に同時に発生可能であり、いかなるクロストーク又は通信ミスも生じさせない。しかしながら、第1及び第2のワイヤレス通信デバイスは同じデバイスであり、同じ様式で動作可能であることに留意されたい。
【0050】
図3に概略的に示されるように、ディスペンサ12は、マイクロコンピュータ58、データ処理デバイス60、双方向DCモータ・ドライバ61、機械的故障を生じさせる可能性のある過剰トルクを回避するためのトルク・コントロール62、バッテリ・モニタ64、例えばモータ42において過剰温度を回避するための温度監視システム(TMS)66、及び、オン/自動オフ・スイッチ68を伴う、コントローラ28を備えることができる。
【0051】
コントローラ28は、ストレージ・デバイス70(例えば、ROM(読み取り専用メモリ)デバイス及びRAM(ランダム・アクセス・メモリ)デバイス)などの、他の従来型コンポーネントを含むことも可能である。コントローラ28のマイクロコンピュータ58は、本明細書で考察するような判定又は決定を行うために、駆動ユニット20、トリガ32、オン/オフ・モード・スイッチ36、材料ディスペンサ54、センサ24、第1の受信器26a、第2の受信器26b、送信器26c、及び任意の他の要素のうちの、1つ又は複数を制御するようにプログラムされる(又は構成される)。
【0052】
メモリ回路は、プロセッサ回路によって実行される、駆動ユニット20、トリガ32、オン/オフ・モード・スイッチ36、材料ディスペンサ54、センサ24、第1の受信器26a、第2の受信器26b、及び送信器26cの動作のためなどの、処理結果及び制御プログラムを記憶する。
【0053】
コントローラ28は、駆動ユニット20、トリガ32、オン/オフ・モード・スイッチ36、材料ディスペンサ54、及びセンサ24、第1の受信器26a、第2の受信器26b、送信器26cに、従来の様式で動作可能に結合される。こうした接続によって、コントローラ28は、所望に応じて、これらのシステム又はデバイスのうちのいずれかを監視及び制御することができる。
【0054】
コントローラ28の内部RAMは、動作フラグ及び様々な制御データの状況を記憶する。
【0055】
コントローラ28の内部ROMは、様々な動作についての情報を記憶する。
【0056】
コントローラ28は、制御プログラムに従って、ディスペンサ12のコンポーネントのいずれかを選択的に制御することができる。当業者であれば、本開示から、コントローラ28についての精密な構造及びアルゴリズムが、本発明の機能を実施することになるハードウェア及びソフトウェアの任意の組み合わせであり得ることが明らかとなろう。
【0057】
コントローラ28への入力の場合、ディスペンサ12は、トリガ32、オン/オフ・モード・スイッチ36、及び、ラック52の終端位置を示すための終端停止スイッチ72を備える。トリガ32及び速度制御ダイヤル34は、モータ42又は材料ディスペンサ54が動作する速度を制御するために、ポテンショメータに結合可能である。すなわち、ターゲット速度はポテンショメータの入力から導出可能であり、そのターゲット速度のための対応する実効電圧が決定される。この実効電圧は、公称電圧を使用することによってパルス長さに変換可能であり、この信号はモータ42に送達される。
【0058】
モータ42で印加される電圧は、モータ42で印加される電流と同様に、適切な電圧又は電流センサ24を使用して検出可能である。測定された電圧及び/又は電流を収集し、第2のワイヤレス通信デバイスを介してリモート・デバイス14及び/又はリモート・ネットワーク端末又はサーバ16に通信可能であり、また、これらのパラメータから、材料ディスペンサ54の各々の分配力が推定可能である。
【0059】
ディスペンサ12は、周知のような分配するべき材料との容器の交換のために、ラック52及び材料ディスペンサ54を任意の好適な様式でひっこめるように構成可能である。
【0060】
通常動作の下では、オペレータはオン/オフ・モード・スイッチ36を使用して、第1の分配モード(オフ)又は第2の分配モード(オン)を選択する。第1の分配モードでは、オペレータは、コンテナから材料を分配するためにトリガ32を引く。トリガ32を引くことで、オン/自動オフ・スイッチ68を活動化してコントローラ28をオンにし、制御プログラムを活動化してストレージ・デバイス70をリセットし、モータ42の駆動を開始する。モータ42は、ギア列及びピニオン・ギア(図示せず)を介して、ラック52及び材料ディスペンサ54を駆動し、それによって、分配するべき材料が容器から放出される。理解できるように、この情報はその後ストレージ・デバイス70に記憶され、送信器26cを介してリモート・デバイス14又はネットワーク・コンピュータ又はサーバ16に伝送可能である。
【0061】
本明細書で説明するように、ディスペンサ12はリモート制御又はリモート監視可能である。一実施例において、ディスペンサ12は、リモート・デバイス14又はネットワーク・コンピュータ又はサーバ16によって制御可能である。リモート・デバイス14及び/又はネットワーク・コンピュータ又はサーバ16は、携帯電話、スマート・フォン、タブレット、スマート・ウォッチ、パーソナル・コンピュータ、ポータブル・コンピュータ、マイクロコントローラ、及び、前述のデバイスのうちの少なくとも1つにインストールされたAPP、又は任意の他の好適なデバイスからなる、メンバ・グループから選択される制御システムとすることができる。
【0062】
図4に示されるように、リモート・デバイス14は、ハウジング74、受信器76、送信器78、入力デバイス80、ディスプレイ82、アンテナ・システム84、及び電子コントローラ86を含むことができる。
【0063】
リモート・デバイス14は、音の送信のための1つ又は複数のスピーカ88、及び音の受信のための1つ又は複数のマイクロフォン90も含むことができる。
【0064】
ハウジング74は、好ましくはプラスチックであるか、又は熱可塑性ハウジング、又は、それらの電気的及び他のコンポーネントを収容するための任意の好適な材料である。ハウジング74は、矩形又は任意の好適な構成とすることができる。更にハウジング74は、入力デバイス80及びディスプレイ82にアクセスするための部分を有することができる。これらの要素をまとめて、電気コンポーネントのための内部部分IPを画定する。
【0065】
コントローラ86は、好ましくはハウジング74の内部部分IP内に配設され、電子コントローラである。コントローラ86は、好ましくは、リモート・デバイス14のコンポーネントを制御する制御プログラムを備える1つ又は複数のプロセッサを有するマイクロコンピュータを含む。コントローラ86は、入力インターフェース回路、出力インターフェース回路、並びに、ROM(読み取り専用メモリ)デバイス及びRAM(ランダム・アクセス・メモリ)デバイスなどの1つ又は複数のデータ・ストレージ・デバイス92などの、他の従来のコンポーネントを含み得る。
【0066】
コントローラ86のマイクロコンピュータは少なくとも、下記で考察するように、
図10のフロー・チャートに従って動作するようにプログラムされる。当業者であれば、本開示から、コントローラ86についての精密な構造及びアルゴリズムが、本発明の機能を実施することになるハードウェア及びソフトウェアの任意の組み合わせであり得ることが明らかとなろう。更にコントローラ86は、本明細書で考察するように、例えば制御域ネットワーク(CAN)バスを介して、又は当分野で知られる任意の他の好適な様式で、他のコンポーネントと通信可能である。
【0067】
コントローラ86は、受信器76、送信器78、入力デバイス80、ディスプレイ82、データ・ストレージ・デバイス92、スピーカ88、マイクロフォン90、アンテナ・システム84、及びリモート・デバイス14内の他のタイプのコンポーネントと、当分野で知られた任意の好適な様式で動作可能に結合され、本明細書で考察するように、これらのコンポーネントを監視及び制御するようにプログラムされる。
【0068】
データ・ストレージ・デバイス92は、受信器76、送信器78、入力デバイス80、ディスプレイ82、データ・ストレージ・デバイス92、スピーカ88、マイクロフォン92、アンテナ・システム84、及び任意の他の好適な情報に関する処理結果及び制御プログラムなどの、コントローラ86によって実行される処理結果及び制御プログラムも記憶することができる。
【0069】
データ・ストレージ・デバイス92はコンピュータ・メモリ・デバイス(すなわち、不揮発性メモリ・デバイス)であり、システム・データ並びに任意の他の好適なデータを記憶することができる。更にデータ・ストレージ・デバイス92は、ディスペンサ12のパラメータに関するデータなどの、他のタイプのデータを記憶することができる。
【0070】
データ・ストレージ・デバイス92は、例えばディスペンサ12のパラメータを更新するための、コントローラ86からの命令に応答して、記憶媒体内に保持されたデータを読み出す読み出し動作を更に許可する。データ・ストレージ・デバイス92内の情報は、本明細書で考察するような及び当分野で知られた任意の好適な様式で、コントローラ86によって更新することも可能である。
【0071】
リモート・デバイス14は、リモート・デバイス14の位置を特定するように構成された、位置検出システム94を含むことができる。一実施例において、位置検出システム94はGPS(全地球測位システム)デバイスである。すなわち、位置検出システム94は、リモート・デバイス14がリモート・デバイス14の位置を特定できるようにする、衛星ベースの無線ナビゲーション・デバイスとすることができる。
【0072】
マイクロフォン90は任意の好適な場所に配設され、音を受信するように構成された任意の好適なマイクロフォン90とすることができる。理解できるように、マイクロフォン90は、ユーザからの声の形の音を受信することが可能であり、コントローラ86と電気的に通信する。音は電気信号に変換され、その後コントローラ86によって処理され、所望であれば送信器78によって送信され、且つ/又は、データ・ストレージ・デバイス92内に記憶される。
【0073】
スピーカ88は任意の好適な場所に配設され、音を送信するように構成された任意の好適なスピーカ88とすることができる。スピーカ88は、コントローラ86と電気的に通信する。理解できるように、スピーカ88は、ユーザへの声の形で、又は当分野で知られるような任意の他の好適な音の形で、音を送信することが可能である。一実施例において、当業者であれば理解されるように、スピーカは受信器76によって受信される可聴音、又はコントローラ86によって生成される可聴音を、生成することができる。
【0074】
アンテナ・システム84は、ワイヤレス(例えば、セルラ)信号の送信及び受信のための、任意の好適なアンテナ・システム84とすることができる。アンテナ・システム84は、単一の二重目的(送信及び受信)アンテナ・システム84とすることができるか、又は、2つの別々のアンテナが存在可能である。第1のアンテナ・システム84aは信号を送信するためであり、第2のアンテナ・システム84bは信号を受信するためである。理解できるように、1つ又は複数のアンテナ・システム84は、任意の好適な1つ又は複数のアンテナとすることができる。アンテナ・システム84は、他のデバイス、コンピュータ、ポータブル通信デバイス、又は任意の他のタイプのデバイスから、ワイヤレスに信号を受信することができる。アンテナ・システム84は、セルラ・ネットワークを介して、又は別のデバイスから任意の好適な様式で直接、信号を受信することができる。
【0075】
入力デバイス80は任意の好適な入力デバイス80とすることができ、コントローラ86と電気的に通信する。例えば入力デバイス80は、ユーザが情報及びコマンドをリモート・デバイス14に入力できるようにするキーボードとするか、又は、リモート・デバイス14の態様を動作させるボタンとすることができる。キーボードは、電子デジタル・キーボード、或いは、ボタン又はキーを伴う物理キーボードとすることができる。追加として、入力デバイス80は、音声コマンド、手又は指コマンド、ボタン又はスタイラス又はペン入力とすることができる。
【0076】
ディスプレイ82は、任意の所望な又は好適なデータを表示できるようにする、任意の好適なディスプレイ82とすることができる。例えばディスプレイ82は、ユーザによって入力された情報、又は受信器76によって受信されたデータを、表示するように構成された、透過型スクリーンとすることができる。ディスプレイ82は、ディスペンサ12データ、ユーザ位置、ディスペンサ12の位置、又は任意の好適な情報を表示することが可能である。
【0077】
受信器76及び送信器78は、所望の任意の好適な受信器76及び送信器78とすることができる。一実施例において、受信器76及び送信器78は1つのデバイス(すなわち、トランシーバ)である。別の実施例において、受信器76及び送信器78は別々のデバイスである。
【0078】
受信器76及び送信器78は、リモート・デバイス14との間でワイヤレス信号を受信及び送信するように構成される。受信器76及び送信器78は、コントローラ86及びアンテナ・システム84に電気的に接続される。受信器76及び送信器78は、他のデバイス(例えば、ディスペンサ12)、コンピュータ(例えば、ネットワーク・コンピュータ又はサーバ16)、又は他のデバイスとの間で、ワイヤレスに信号を受信及び送信することができる。受信器76及び送信器78は、セルラ・ネットワークを介して、又は、任意の好適な様式でアンテナ・システム84を介して別のデバイスから直接、信号を受信及び送信することができる。
【0079】
ネットワーク端末又はサーバ16は、制御システム又は任意の好適なシステムとすることができ、また所望であればオフサイト又はリモートとすることができる。ネットワーク端末又はサーバ16は、インターネットなどのネットワークを介して、或いは、任意の好適な様式でディスペンサ12又はリモート・デバイス14から直接、情報を送信及び/又は受信することが可能な、従来のコンピュータ又はサーバ16とすることができる。ネットワーク端末又はサーバ16は、ディスペンサ12及び/又はリモート・デバイス14に関する情報を記憶するように構成された、及び、要求又は情報をリモート・デバイス14に送信するように構成された、ストレージ・デバイスを含むことができる。例えば、ネットワーク端末又はサーバ16は、カートリッジ情報を監視し、新しいカートリッジが必要な場合は新しいカートリッジを供給する、サプライヤとすることができる。言い換えれば、カートリッジは、カートリッジが残り少なくなってきたときにサプライヤに通知する、バッチ番号などの情報を含むことができる。
【0080】
図5に示されるように、一般に使用されるカートリッジ50は並列カートリッジである。すなわちカートリッジ50は、互いに隣り合う2つのカートリッジ50a及び50bを含むため、第1及び第2の材料ディスペンサ54が隣接カートリッジ50a及び50b内に配設可能であり、それ自体知られた様式でピストンを使用するアウトレットを介して(どちらも図示せず)、それ自体知られた様式で別々の材料を同時に分配できるようになる。こうしたシステムは、カートリッジに取り付け可能な静的又は動的ミキサ(図示せず)を介して、材料を完全に混合し、接着剤又は混合材料を表面又はエリアに塗布される直前又は塗布されている際に形成することが可能である。
【0081】
しかしながらディスペンサ12は、粘着性材料の同軸コンテナを含むコンテナと共に使用可能であることに留意されたい。すなわちコンテナは、コンテナ内に同軸上に配置され、コンテナ内部の輪状部分によって分離された、粘着性材料の2つの成分を含む。同軸コンテナにおいて、2つの別々の材料は、特定の表面又はエリアに塗布される前に、それぞれのコンテナからミキサ内にも分配される。更に所望であれば、ディスペンサ12は、粘着性材料の1つの成分のみを含むコンテナ、又は任意の他の好適なコンテナと共に使用可能である。
【0082】
カートリッジのうちの少なくとも1つは、無線周波識別(RFID)タグ94を含む。RFIDタグ94は、ディスペンサ12、特にディスペンサ12内の第1の受信器26aに通信可能な、電子記憶情報を含むことができる。
【0083】
RFIDタグ94は、カートリッジ50a及び50b内の材料、製造日、バッチ番号、充填日、ADM情報、有効期限、及び/又は、カートリッジ50a及び50bに関する任意の好適な情報などの、カートリッジ50a及び50bに関する情報を含むことができる。
【0084】
RFIDタグは好ましい実施例であるが、カートリッジ50は、ディスペンサ12又は任意の他のシステムとの情報の通信を可能にする任意のタイプのシステムを有することができることに留意されたい。
【0085】
図6~
図8に進むと、リモート・デバイス14の動作が考察される。
図6に示すように、リモート・デバイス14はスマート・フォン又はタブレットとすることができる。それ自体が知られた様式で、スマート・フォン又はタブレットは、複数のAPP A
1~A
5及びディスペンサAPP Dを備え、それぞれがダウンロードされる。ユーザがディスペンサ12の監視又はディスペンサ12に関するパラメータの制御を望む場合、ディスペンサAPP Dを選択及び開始することができる。
【0086】
更に、RFIDタグに記憶されるコード、ホログラム、可視マーク、NFCタグなどの読み取り可能コードを、ミキサ又はミキサ内に記憶することができる。次いでディスペンサ12は、当該読み取り可能コードを読み取るように構成された、更なるセンサ24を備えることができる。当該コードは、混合チップのタイプ、混合チップの製造業者、混合チップの製造日、混合チップの長さ、混合チップの直径、混合チップのサイズ、及び混合チップに準拠した材料のリストのうちの、少なくとも1つを示すことができる。ミキサに記憶された情報は、第2のワイヤレス通信デバイスを介してリモート・デバイス14及び/又はリモート・ネットワーク端末又はサーバ16に通信することも可能である。ディスペンサに存在する第1のコントローラ28及び/又はリモート・デバイスの第2のコントローラ86を使用して、カートリッジ50に設置されたミキサが当該カートリッジ内に格納された材料と共に使用するのに適しているかどうかを、チェックすることができる。
【0087】
その理由は、カートリッジ50内に格納された特定の材料と共に使用するように適合された、異なるサイズ及び形状のミキサが存在するためである。誤ったミキサが使用された場合、所望の混合効率は著しく損なわれる可能性がある。混合効率は、すなわち、ミキサ内に残る少ない廃棄物量と、良好な混合品質との間のバランスである。理解できるように、デバイス(例えば、ディスペンサ12)は、1つの現場にある、又は別々及び別個の現場にある、又はそれらの組み合わせにあるものとすることができる。APPが選択されると、制御及び/又は監視のために使用可能なデバイスのリストが表示される。例えば、
図7に示されるように、3つの別々のディスペンサ12が表示される(ディスペンサ1、ディスペンサ2、ディスペンサ3)。
【0088】
ディスペンサのうちの1つ、例えばディスペンサ1を選択することができる。
図8に示されるように、次いでシステムは、選択されたディスペンサ12のパラメータを表示する。パラメータは、所望の任意の情報とすることができる。例えばパラメータは、ディスペンサ12内に設置された現在のカートリッジ50に関する情報(例えば、製造日、バッチ番号、充填日、ADM情報、有効期限など)、及び/又は、センサ24によって現在検出される情報(例えば、温度、圧力、活動化された第1の分配モード、活動化された第2の分配モード、低又はフル・バッテリ充電、過負荷(トルク)、高温、活動化された終端停止スイッチなど)、又は任意の他の好適な情報を含むことができる。
【0089】
次いでユーザは、本明細書で考察するように、表示及び/又は調整するパラメータを選択することができる。パラメータ情報は、所望であればストレージ・デバイス92に記憶することができる。
【0090】
更にこの情報は、リモート・デバイス14によって(又はディスペンサ12から直接)、リモート端末又はサーバ16(例えば、クラウド)に送信することができる。したがって情報は、例えば品質管理の目的で、リアル・タイム又は後の時点で監視及び分析することができる。例えば、カートリッジ内の材料に関する環境パラメータの理解を分析することが可能である、供給の状況(例えば、現在のカートリッジ50の有効期間)を分析及び監視することが可能である、或いは、ディスペンサ12及び/又はカートリッジ50a及び50bの任意の他の好適な態様を分析及び監視することが可能である。
【0091】
図9は、カートリッジ50とディスペンサ12との間の通信プロセスを示す。ステップS100において、カートリッジがディスペンサ12に挿入された後、カートリッジ50bのRFIDタグ94に関する情報が送信され、ディスペンサ12内の第1の受信器26aによって受信される。本明細書で考察するように、この情報は、カートリッジの製造日、バッチ番号、充填日、ADM情報、有効期限など、又は任意の他の好適な情報を含むことができる。次いでこの情報は、ステップS110において、ディスペンサ12上のストレージ・デバイス70に記憶される。
【0092】
次いでセンサ24(又は複数のセンサ)は、動作パラメータを検出する。本明細書で考察するように、センサ24は、ステップS120において、温度、圧力、活動化された第1の分配モード、活動化された第2の分配モード、低又はフル・バッテリ充電、過負荷(トルク)、高温、活動化された終端停止スイッチなどのうちの、少なくとも1つを検出することができる。
【0093】
更に、検出される動作パラメータは、エラー・ログ、使用ログ、すなわち分配された材料の量、分配時間、分配された材料、分配の速度、分配の状態、ディスペンサ12の位置、作業者識別、動作の日時、作業のタイプ又は記述、或いは任意の他の好適な情報を含むことができる。
【0094】
概して、ディスペンサ12、カートリッジ50、使用状態、及び/又はディスペンサ12の使用時に利用可能な使用環境に関する、任意の情報を、ディスペンサ12の使用時間にわたってコンパイルすること、又はディスペンサ12に入力すること、又は任意の好適な様式で生成してディスペンサ12に記憶することができる。
【0095】
次いでステップS130において、この情報を送信器26cによってネットワーク(例えば、リモート・デバイス14及び/又はネットワーク端末又はサーバ16)に送信することができる。理解できるように、送信器26cは、ディスペンサ12とリモート・デバイス14及び/又はネットワーク・コンピュータ又はサーバ16との間の、ディスペンサ12の現在の使用状態のパラメータ、及び/又はディスペンサ12の使用環境に関するパラメータ、及び/又は、カートリッジ50とディスペンサ12との間でRFIDタグ94及び第1の受信器26aを介して通信されるカートリッジ50のコンテンツに関するパラメータを、通信するように構成される。
【0096】
図10は、リモート・デバイス14の動作を示すフロー・チャートである。ステップS200に示されるように、情報は、ネットワーク内の任意のデバイス(ディスペンサ12)から受信器76によって受信される。例えば
図7に示されるように、複数のディスペンサが提供される。特に、リモート・デバイス14に情報を送信できる3つのディスペンサが提供される。次いでリモート・デバイス14は、ステップS210において、ネットワーク内のデバイスの各々の情報を監視することができる。
【0097】
ステップS220において、ユーザ又はコントローラ86はディスペンサ12を選択することができる。言い換えれば、リモート・デバイス14は個々のディスペンサ12を自動的に監視及び選択することができる。代替として、ユーザは個々のディスペンサ12を監視及び選択することができる。
【0098】
次いで、特定デバイス(ディスペンサ12)についてのパラメータを検討して、ステップS230において、それらが受け入れ可能であるかどうかを判定する。例えばカートリッジ50a及び50b内の材料の状況を検討及び分析することができるか、又は、ディスペンサ12の状況及び状態を分析することができる。
【0099】
パラメータが受け入れ可能な場合、パラメータは、ステップS240において、送信器78によってクラウド(例えば、ネットワーク・コンピュータ又はサーバ16)に、及びデバイス(ディスペンサ12)に、送信することができる。したがってリモート・デバイス14は、リモート・デバイス14とクラウド(例えば、ネットワーク・コンピュータ又はサーバ16)との間で、データ(情報)を非同期的に通信するように構成される。クラウドに送信されるとき、情報は、検討及び分析するために他の情報と相関することが可能であり、情報は、ユーザ・ログ・エントリを決定するために動作マネージャによって検討及び分析可能であり、情報は、ショップ状態を反映させることが可能である。例えば、周囲状態(温度、湿度など)は、モータRPMを上げることなくモータ電流に影響を与える可能性がある。
【0100】
ステップS230に戻り、パラメータが受け入れ不可であると決定された場合、APP(すなわち、ユーザ又はコントローラ86)は、ステップS250においてパラメータを選択し、ステップS260においてパラメータを調整することができる。例えば分配モードが変更可能であり、分配速度が改変可能であり、リミット・ストップが改変可能であり、又は任意の好適なパラメータが修正又は変更可能である。
【0101】
この情報は、リモート・デバイス14の送信器78によって送信可能であり、ディスペンサ12内の第2の受信器26bによって受信可能である。したがって、リモート・デバイス14とディスペンサ12との間で通信される情報(データ)は、カートリッジ50とディスペンサ12との間で送信されるデータに鑑みてディスペンサ12の動作を適合及び/又は制御する際に使用可能な、動作データを含む。
【0102】
追加として、リモート・デバイス14は、ディスペンサ12の動作を終了させる情報を送信することができる。例えば、使用が許可されていない場合、或いは、材料が期限切れであるか、又は、任意の他のパラメータがリモート・デバイス14のユーザ又はリモート・デバイス14のコントローラ86に受け入れ不可であると思われる場合、ディスペンサ12の動作を終了させることができる。
【0103】
パラメータが変更可能であるか、或いは、ディスペンサ12がリモート・デバイス14のユーザによって、又はリモート・デバイス14のコントローラ86によって自動的に、現在の情報に基づいて停止可能であることに留意されたい。したがって、リモート・デバイス14のコントローラ86は、ユーザによって、又はリモート・デバイス14のユーザによる任意の他のアクションによって、入力デバイス80に入力された情報に基づいて、カートリッジ50内の材料を分配デバイス12に分配するための命令を、送信器78に送信させることができる。
【0104】
代替として、コントローラ86は、事前にプログラムされた/事前に決定された情報に基づいて、ディスペンサのパラメータを自動的に変更すること、又はディスペンサの動作を停止することができる。したがって、理解できるように、リモート・デバイス14とディスペンサ12との間で通信される情報(データ)は、カートリッジ50とディスペンサ12との間で送信されるデータに鑑みて、ディスペンサ12の動作を適合及び/又は制御する際に使用可能な動作データを含む。
【0105】
理解できるように、
図10は、コンピュータ・プログラム製品についてのプロセスを示す。したがって、一実施例において、リモート・デバイス14は、分配デバイス12を制御及び動作するための非一時的コンピュータ可読媒体(例えば、データ・ストレージ・デバイス92)上に具体化されたコンピュータ・プログラムを含み、コンピュータ・プログラムは、コントローラ86によって実行されるとき、分配デバイス12上の送信器26cから受信される情報を監視するように構成され、情報は分配デバイス12内に配設されたカートリッジ50に関し、カートリッジ50に関する情報をリモート・サーバ16に送信させるように構成され、また、カートリッジ50に関する情報に基づいて命令を分配デバイス12に送信させるように構成され、命令はカートリッジ50内の材料の分配に関する情報を含む。
【0106】
図11は、ディスペンサ12による情報の受信を示すフロー・チャートである。ステップS300において、リモート・デバイス14又はネットワーク・コンピュータ又はサーバ16(クラウド)からの情報(例えば、パラメータ変更情報、又は停止命令、又は任意の他の好適な情報)が、ディスペンサ12内の第2の受信器26bによって受信される。情報は、ステップS310において、メモリ・ストレージ・デバイス70内に記憶される。
【0107】
したがって、センサ24からの情報及び/又は調整されたパラメータに基づいて、ディスペンサ12は、材料及び環境考慮事項のために適切な混合挙動を自動的に適用することができる。ステップS320において、ディスペンサ12は、リモート・デバイス14からの命令に基づいてパラメータを調整する。次いでステップS330において、ディスペンサ12が動作され、ステップS340において、更新されたパラメータ及びセンサ24によって検出された追加情報が、送信器を使用してリモート・デバイス14及び/又はクラウドに送信される。
【0108】
したがって、本明細書で説明する実施例は多くの利益及び利点を有する。ユーザ及び/又はシステム10は、ディスペンサ12に現在設置されているカートリッジ50によって提供される情報に基づいて、供給チェーン/分配チャネル内にあるカートリッジ50が、オリジナルとして妥当性検査及び検証されたことを、(手動で又は自動的に)確認することができる。システムは、粘着活性、例えば航空宇宙産業の自動ジャーナリングを、実行可能にすることができる。ディスペンサ12の各使用は、クラウド(例えば、ネットワーク・コンピュータ又はサーバ16)又はリモート・デバイス14にアップロード可能な、作業者、作業名、カートリッジ番号、接着剤タイプ、分配の持続時間、混合及び分配機械データなどを伴うデータ・ログを作成することができる。
【0109】
上記の情報は、センサ24によって記録されたデータを用いて補足することができる。例えば、後の時点で、カートリッジ50に格納された材料は、それぞれの印加について最良の結果を達成するために、例えば10から25℃の範囲内の温度で、又は或る湿度レベルでのみ、印加すべきであることが決定された場合、実際に正しい温度で印加されたかどうかを調べるために、材料の各精密な印加を追跡することができる。このようにして、材料が正しい温度で印加されたことが決定された場合、印加において生じる可能性のある材料不良を排除することができる。
【0110】
センサ24は、カートリッジ50が始動してから経過した時間又は他の機能不良に関するしきい値を局所的に超える、カートリッジ50の障害があれば検出し、ディスペンサ12のオペレータ又はリモート・デバイス14のユーザに警告することができる。この警告は、ディスペンサ12において、LEDインジケータ44を用いて、又はリモート・デバイス14上のAPP内のアラートを介して、又はネットワーク・コンピュータ又はサーバ16に直接、実行可能である。システム10は、時間的な売却促進を可能にし、廃棄/棚卸損を回避するために、カートリッジ50が有効期限データに近づいている旨を、クラウド又はネットワーク・コンピュータ又はサーバ16を介して販売流通経路に警告することができる。
【0111】
システム10は、現場のインボイス作成スタッフによってインボイスを作成するために消費可能な、材料の実際の使用量データに基づいて、透明性のあるインボイスを生成することが可能である。使用量及びカートリッジ属性も示しながら、作業者、会社/場所、及び接着作業に使用される資産を示すレポートを展開できるように、カートリッジ及びディスペンサ12から受信される情報をデータに組み込み、送信することができる。
【0112】
ディスペンサ12及びカートリッジ50に格納された材料に関してセンサ24によって記録される情報は、カートリッジ50に格納された特定材料についてのディスペンサ12の機能を向上させるように、分配の速度などの分配パラメータが適合を必要とするかどうかを調べるために相関することも可能である。
【0113】
用語の一般的解釈
本発明の範囲を理解する際に、本明細書で使用される「備える」という用語及びその派生語は、述べられた特徴、要素、コンポーネント、グループ、整数、及び/又はステップの存在を指定するオープン・エンドの用語であるものと意図されるが、他の述べられていない特徴、要素、コンポーネント、グループ、整数、及び/又はステップの存在を排除するものではない。上記の内容は、「含む」、「有する」という用語、及びそれらの派生語などの、同様の意味を有する単語にも適用される。また、「部」、「セクション」、「部分」、「メンバ」、又は「要素」という用語も、単数形で使用される場合、単一の部分又は複数の部分の2つの意味を有することができる。また、上記実施例を説明するために本明細書で使用される、横などの方向を示す用語並びに任意の他の同様の方向を示す用語は、分配制御システムのそれらの方向を示す。したがって、これらの用語は、本発明を説明するために利用される場合、分配制御システムに関するものと解釈するべきである。
【0114】
本明細書で使用される「構成される」という用語は、所望の機能を実施するように構築された構造を含むデバイスの、コンポーネント、セクション、又は部分を記述するものである。
【0115】
選択した実施例は、本発明を例示するためにのみ選択されたものであるが、当業者であれば本開示から、本明細書において添付の特許請求の範囲で定義される発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更及び修正が実行可能であることが明らかとなろう。例えば、様々なコンポーネントのサイズ、形状、位置、又は配向は、必要に応じて及び/又は所望であれば、変更可能である。互いに直接接続又は接触するように示されるコンポーネントは、それらの間に配設される中間構造を有することが可能である。1つの要素の機能は2つによって実行可能であり、その逆も真である。一実施例の構造及び機能は、別の実施例でも適合可能である。特定の実施例においてすべての利点が同時に存在する必要はない。従来技術よりも優れたあらゆる特徴は、単独で、又は他の特徴と組み合わせて、こうした特徴によって具体化される構造的及び/又は機能的概念を含む、出願人による更なる発明の別の記述であるとみなされるべきである。したがって、本発明に従った実施例の前述の記述は、添付の特許請求の範囲及びそれらの等価物によって定義されるように本発明を限定するためではなく、単なる例示のために提供されるものである。