(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-08
(45)【発行日】2024-03-18
(54)【発明の名称】電極群、バイポーラ型電極群、二次電池、電池パック、車両及び定置用電源
(51)【国際特許分類】
H01M 10/0585 20100101AFI20240311BHJP
H01M 10/052 20100101ALI20240311BHJP
H01M 10/36 20100101ALI20240311BHJP
H01M 50/284 20210101ALI20240311BHJP
H01M 50/463 20210101ALI20240311BHJP
H01M 50/489 20210101ALI20240311BHJP
【FI】
H01M10/0585
H01M10/052
H01M10/36 A
H01M50/284
H01M50/463 Z
H01M50/489
(21)【出願番号】P 2021036363
(22)【出願日】2021-03-08
【審査請求日】2023-02-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】休石 紘史
(72)【発明者】
【氏名】堀田 康之
(72)【発明者】
【氏名】久保木 貴志
(72)【発明者】
【氏名】松野 真輔
【審査官】佐溝 茂良
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-080243(JP,A)
【文献】特開2020-149875(JP,A)
【文献】特開2007-095653(JP,A)
【文献】特表2019-536233(JP,A)
【文献】特開2018-120852(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0104913(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/0585
H01M 10/052
H01M 10/36
H01M 50/284
H01M 50/463
H01M 50/489
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1セパレータと、正極と、第2セパレータと、負極と、第3セパレータとをこの順で積層して備えており、
前記第1セパレータと前記第2セパレータとの対向部の外周のうち、一部は第1封止部により封止されており、他の部分は第2封止部により封止されており、前記第1セパレータと前記第2セパレータとの間には第1空間が規定され、
前記第2セパレータと前記第3セパレータとの対向部の外周のうち、一部は第3封止部により封止されており、他の部分は第4封止部により封止されており、前記第2セパレータと前記第3セパレータとの間には第2空間が規定され、
前記第1空間は、前記正極及び第1電解質を内包しており、
前記第2空間は、前記負極及び第2電解質を内包しており、
前記第2封止部の位置と前記第4封止部の位置とは、前記第1セパレータ、前記正極、前記第2セパレータ、前記負極、及び、前記第3セパレータの積層方向に沿って重複して
おらず、
前記第1セパレータ、前記第2セパレータ及び前記第3セパレータのうちの少なくとも1つは、透気係数が10
-14
m
2
以下であり、かつ、1価の陽イオンを透過させることができる電極群。
【請求項2】
前記第1セパレータの主面の形状、前記正極の主面の形状、前記第2セパレータの主面の形状、前記負極の主面の形状、及び、前記第3セパレータの主面の形状は、いずれも正方形又は矩形であり、
前記電極群の形状は、立方体又は直方体であり、
前記第2封止部は、前記立方体又は前記直方体が有する複数の側面のうち、第1側面の一部に設けられており、
前記第4封止部は、前記第1側面の他の一部に設けられており、
前記第2封止部は、前記積層方向に直交し且つ前記第1側面の面内方向と平行な方向に沿った幅w1を有し、前記電極群は、前記幅w1に対応する第1領域を含み、
前記第4封止部は、前記積層方向に直交し且つ前記第1側面の面内方向と平行な方向に沿った幅w2を有し、前記電極群は、前記幅w2に対応する第2領域を含み、
前記積層方向に直交し且つ前記第1側面の面内方向と平行な方向に関する、前記第1領域と前記第2領域との距離Δwは、0以上である請求項1に記載の電極群。
【請求項3】
前記第1セパレータの主面の形状、前記正極の主面の形状、前記第2セパレータの主面の形状、前記負極の主面の形状、及び、前記第3セパレータの主面の形状は、いずれも正方形又は矩形であり、
前記電極群の形状は、立方体又は直方体であり、
前記第2封止部は、前記立方体又は前記直方体が有する複数の側面のうち、第1側面の一部に設けられており、
前記第4封止部は、前記立方体又は前記直方体が有する複数の側面のうち、第2側面の一部に設けられており、
前記第1側面と前記第2側面とは異なる面である請求項1に記載の電極群。
【請求項4】
前記第1側面と前記第2側面とは、互いに向かい合う面である請求項3に記載の電極群。
【請求項5】
前記第1セパレータ、前記第2セパレータ及び前記第3セパレータのうちの少なくとも1つは、固体電解質粒子を含む請求項1~
4の何れか1項に記載の電極群。
【請求項6】
前記第1電解質及び前記第2電解質のうちの少なくとも一方は、水系電解質である請求項1~
5の何れか1項に記載の電極群。
【請求項7】
前記第1封止部及び前記第3封止部の少なくとも一方は、熱可塑性樹脂を含む請求項1~
6の何れか1項に記載の電極群。
【請求項8】
前記第2封止部及び前記第4封止部の少なくとも一方は、熱硬化性樹脂を含む請求項1~
7の何れか1項に記載の電極群。
【請求項9】
前記熱可塑性樹脂の融点は、50℃以上150℃以下の範囲内にある請求項
7に記載の電極群。
【請求項10】
前記第1セパレータと、前記正極と、前記第2セパレータと、前記負極と、前記第3セパレータとがこの順で積層された積層体を複数備え、
前記複数の積層体は、前記積層方向に沿って積層されており、
前記積層方向について隣り合う2つの積層体において、一方の積層体が具備する前記第3セパレータと、他方の積層体が具備する前記第1セパレータとは同一のセパレータであり、
前記複数の積層体の間で、複数の前記第2封止部の位置は、前記積層方向に沿って重複しており、
前記複数の積層体の間で、複数の前記第4封止部の位置は、前記積層方向に沿って重複している請求項1~
9の何れか1項に記載の電極群。
【請求項11】
第1セパレータと、正極活物質含有層と、集電体と、負極活物質含有層と、第2セパレータとをこの順で積層して備えており、
前記第1セパレータと前記集電体との対向部の外周のうち、一部は第1封止部により封止されており、他の部分は第2封止部により封止されており、前記第1セパレータと前記集電体との間には第1空間が規定され、
前記集電体と前記第2セパレータとの対向部の外周のうち、一部は第3封止部により封止されており、他の部分は第4封止部により封止されており、前記集電体と前記第2セパレータとの間には第2空間が規定され、
前記第1空間は、前記正極活物質含有層及び第1電解質を内包しており、
前記第2空間は、前記負極活物質含有層及び第2電解質を内包しており、
前記第2封止部の位置と前記第4封止部の位置とは、前記第1セパレータ、前記正極活物質含有層、前記集電体、前記負極活物質含有層、及び、前記第2セパレータの積層方向に沿って重複して
おらず、
前記第1セパレータ及び前記第2セパレータのうちの少なくとも1つは、透気係数が10
-14
m
2
以下であり、かつ、1価の陽イオンを透過させることができるバイポーラ型電極群。
【請求項12】
前記第1セパレータ及び前記第2セパレータのうちの少なくとも1つは、固体電解質粒子を含む請求項11に記載の電極群。
【請求項13】
内部に収納空間を有する外装部材と、
請求項1~1
0の何れか1項に係る電極群、及び、請求項
11~12の何れか1項に記載のバイポーラ型電極群からなる群より選択される少なくとも1つとを備え、
前記電極群及び前記バイポーラ型電極群からなる群より選択される前記少なくとも1つは、前記収納空間に収納されている二次電池。
【請求項14】
請求項13に記載の二次電池を具備した電池パック。
【請求項15】
通電用の外部端子と、保護回路とを更に具備する請求項14に記載の電池パック。
【請求項16】
複数の前記二次電池を具備し、前記二次電池が、直列、並列、又は、直列及び並列を組み合わせて電気的に接続されている請求項14又は15に記載の電池パック。
【請求項17】
請求項14~16の何れか1項に記載の電池パックを具備する車両。
【請求項18】
請求項14~16の何れか1項に記載の電池パックを具備する定置用電源。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電極群、バイポーラ型電極群、二次電池、電池パック、車両及び定置用電源に関する。
【背景技術】
【0002】
負極活物質として炭素材料又はリチウムチタン酸化物を、正極活物質としてニッケル、コバルト及びマンガン等を含有する層状酸化物用いた非水電解質電池、特にリチウム二次電池が、幅広い分野における電源として既に実用化されている。このような非水電解質電池の形態は、各種電子機器用などの小型の物から、電気自動車用などの大型の物まで多岐にわたる。これらリチウム二次電池の電解液には、ニッケル水素電池又は鉛蓄電池と異なり、エチレンカーボネートやメチルエチルカーボネートなどが混合された非水系の有機溶媒が用いられている。これらの溶媒を用いた電解液は、水溶液電解液よりも耐酸化性および耐還元性が高く、溶媒の電気分解が起こりにくい。そのため、非水系のリチウム二次電池では、2V~4.5Vの高い起電力を実現することができる。
【0003】
一方で、有機溶媒の多くは可燃性物質であるため、有機溶媒を用いた二次電池の安全性は、水溶液を用いた二次電池に比べて原理的に劣りやすい。有機溶媒を含む電解液を用いたリチウム二次電池の安全性を向上させるために種々の対策がなされているものの、必ずしも十分とはいえない。また、非水系のリチウム二次電池は、製造工程において、ドライ環境が必要になるため、製造コストが必然的に高くなる。そのほか、有機溶媒を含む電解液は導電性が劣るので、非水系のリチウム二次電池の内部抵抗が高くなりやすい。このような課題は、電池安全性及び電池コストが重要視される電気自動車又はハイブリッド電気自動車、更には電力貯蔵向けの大型蓄電池用途においては、大きな欠点となっている。
【0004】
非水系二次電池の課題を解決するために、水溶液電解質を用いた二次電池が提案されている。しかし、水溶液電解質の電気分解により、集電体から活物質が容易に剥離し得るため、二次電池の動作が安定せず、満足な充放電を行うには課題があった。
【0005】
水の電気分解を起こり難くするために、正極側で使用する水系電解質と負極側で使用する水系電解質とを異ならせる研究が行われている。例えば、正極側では電解質の耐酸化性を高くし、負極側では電解質の耐還元性を高くすることが有効である。しかしながら、正負極間で電解質の種類を異ならせる場合に、正極側に注液する電解質と、負極側に注液する電解質とを高い精度で混合しないようにすることは、実際の製造工程においては困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第5811034号
【文献】特開2017-059529号公報
【文献】特許第6714474号
【非特許文献】
【0007】
【文献】Journal of the Electrochemical Society, 158(12) A1490-A1497 (2011) "Rechargeble Aqueous Lithium-Ion Battery of TiO2/LiMn2O4 with a High Voltage" This paper relates to the aqueous LIB.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、正負極間での電解質の混合を抑制し、寿命特性に優れる二次電池を実現可能な電極群又はバイポーラ型電極群を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態によると、電極群が提供される。電極群は、第1セパレータと、正極と、第2セパレータと、負極と、第3セパレータとをこの順で積層して備えている。第1セパレータと第2セパレータとの対向部の外周のうち、一部は第1封止部により封止されており、他の部分は第2封止部により封止されている。第1セパレータと第2セパレータとの間には第1空間が規定されている。第2セパレータと第3セパレータとの対向部の外周のうち、一部は第3封止部により封止されており、他の部分は第4封止部により封止されている。第2セパレータと第3セパレータとの間には第2空間が規定されている。第1空間は、正極及び第1電解質を内包している。第2空間は、負極及び第2電解質を内包している。第2封止部の位置と第4封止部の位置とは、第1セパレータ、正極、第2セパレータ、負極、及び、第3セパレータの積層方向に沿って重複していない。第1セパレータ、第2セパレータ及び第3セパレータのうちの少なくとも1つは、透気係数が10
-14
m
2
以下であり、かつ、1価の陽イオンを透過させることができる。
【0010】
他の実施形態によると、バイポーラ型電極群が提供される。バイポーラ型電極群は、第1セパレータと、正極活物質含有層と、集電体と、負極活物質含有層と、第2セパレータとをこの順で積層して備える。第1セパレータと集電体との対向部の外周のうち、一部は第1封止部により封止されており、他の部分は第2封止部により封止されている。第1セパレータと集電体との間には第1空間が規定されている。集電体と第2セパレータとの対向部の外周のうち、一部は第3封止部により封止されており、他の部分は第4封止部により封止されている。集電体と第2セパレータとの間には第2空間が規定されている。第1空間は、正極活物質含有層及び第1電解質を内包している。第2空間は、負極活物質含有層及び第2電解質を内包している。第2封止部の位置と第4封止部の位置とは、第1セパレータ、正極活物質含有層、集電体、負極活物質含有層、及び、第2セパレータの積層方向に沿って重複していない。第1セパレータ及び第2セパレータのうちの少なくとも1つは、透気係数が10
-14
m
2
以下であり、かつ、1価の陽イオンを透過させることができる。
【0011】
他の実施形態によると、二次電池が提供される。二次電池は、実施形態に係る電極群又は実施形態に係るバイポーラ型電極群を具備する。
【0012】
他の実施形態によると、電池パックが提供される。電池パックは、実施形態に係る二次電池を含む。
【0013】
他の実施形態によると、車両が提供される。車両は、実施形態に係る電池パックを含む。
【0014】
他の実施形態によると、定置用電源が提供される。定置用電源は、実施形態に係る電池パックを含む。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施形態に係る電極群の一例を概略的に示す斜視図。
【
図2】
図1に示す電極群のII-II線に沿った断面図。
【
図3】
図1に示す電極群を分解した状態を概略的に示す分解斜視図。
【
図4】
図1に示す電極群の製造過程の一例を概略的に示す分解斜視図。
【
図5】実施形態に係る電極群の他の例を概略的に示す斜視図。
【
図6】
図5に示す電極群を分解した状態を概略的に示す分解斜視図。
【
図7】実施形態に係る電極群の他の例を概略的に示す斜視図。
【
図8】
図7に示す電極群のX軸方向と垂直又は略垂直な方向に沿った断面を概略的に示す断面図。
【
図9】実施形態に係るバイポーラ型電極群の一例を概略的に示す断面図。
【
図10】実施形態に係る二次電池の一例を概略的に示す断面図である。
【
図11】
図10に示す二次電池のX軸方向と垂直又は略垂直な方向に沿った断面を概略的に示す断面図。
【
図12】
図10に示す二次電池のZ軸方向と垂直又は略垂直な方向に沿った断面を概略的に示す断面図。
【
図13】
図10に示す二次電池が備える電極群に含まれる積層体のうちの1つを分解した状態を概略的に示す分解斜視図。
【
図15】
図14に係る積層体の一変形例を概略的に示す側面図。
【
図16】
図14に係る積層体の他の変形例を概略的に示す側面図。
【
図17】実施形態に係る電池パックの一例を概略的に示す分解斜視図。
【
図18】
図17に示す電池パックの電気回路の一例を示すブロック図。
【
図19】実施形態に係る車両の一例を概略的に示す断面図。
【
図20】実施形態に係る定置用電源を含むシステムの一例を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、実施の形態について適宜図面を参照して説明する。なお、実施の形態を通して共通の構成には同一の符号を付すものとし、重複する説明は省略する。また、各図は実施の形態の説明とその理解を促すための模式図であり、その形状や寸法、比などは実際の装置と異なる個所があるが、これらは以下の説明と公知の技術とを参酌して、適宜設計変更することができる。
【0017】
溶媒に水を含む水系電解質が用いられた二次電池では、前述の通り水の電気分解が生じ易いという問題がある。この問題に対する解決手段の一つとして、使用する水系電解質の量を減らすことが考えられる。例えば、正極又は負極と接触する可能性がある水系電解質の体積を低減することにより、電極と水系電解質との副反応を抑制することができる。また、正極側と負極側とで使用する水系電解質の種類を異ならせる場合、一方の電極に用いるための水系電解質に対して他方の電極に用いるための水系電解質が混合することは望ましくない。二次電池の製造過程において、正極側水系電解質と負極側水系電解質との混合が生じた場合、望ましくない副反応が生じる可能性が高い。その結果、電池劣化が早まる傾向がある。
【0018】
(第1実施形態)
第1実施形態によると、電極群が提供される。電極群は、第1セパレータと、正極と、第2セパレータと、負極と、第3セパレータとをこの順で積層して備えている。第1セパレータと第2セパレータとの対向部の外周のうち、一部は第1封止部により封止されており、他の部分は第2封止部により封止されている。第1セパレータと第2セパレータとの間には第1空間が規定されている。第2セパレータと第3セパレータとの対向部の外周のうち、一部は第3封止部により封止されており、他の部分は第4封止部により封止されている。第2セパレータと第3セパレータとの間には第2空間が規定されている。第1空間は、正極及び第1電解質を内包している。第2空間は、負極及び第2電解質を内包している。第2封止部の位置と第4封止部の位置とは、第1セパレータ、正極、第2セパレータ、負極、及び、第3セパレータの積層方向に沿って重複していない。
【0019】
実施形態に係る電極群について、図面を参照しながら説明する。
【0020】
図1~
図3では、実施形態に係る電極群の一例を概略的に示す電極群10を示している。電極群10は、水系二次電池に組み込まれてもよく、非水系二次電池に組み込まれてもよい。電極群10は、積層型電極群でありうる。
図1は、電極群10を概略的に示す斜視図である。
図2は、電極群10のII-II線に沿った概略断面図である。
図3は、電極群10を分解した状態を概略的に示す分解斜視図である。以下の説明において、X軸方向及びY軸方向は、電極群10の主面に対して平行であり且つ互いに直交する方向である。また、Z軸方向は、X軸方向及びY軸方向に対して垂直な方向である。即ち、Z軸方向は、厚さ方向である。
【0021】
電極群10は、第1セパレータ8aと、正極6と、第2セパレータ8bと、負極7と、第3セパレータ8cとを備える。第1セパレータ8a、正極6、第2セパレータ8b、負極7及び第3セパレータ8cは、それぞれ、例えばシート形状を有している。シート形状とは、側面の面積に対して、厚さ方向(Z軸方向)と直交する面内方向に伸びる主面の面積が大きな形状である。第1セパレータ8aと、正極6と、第2セパレータ8bと、負極7と、第3セパレータ8cとは、互いの主面が向かい合うようにして、この順で積層されている。
【0022】
図1~
図3に例示される電極群10において、第1セパレータ8a、正極6、第2セパレータ8b、負極7及び第3セパレータ8cは、いずれも主面の形状が矩形である。しかしながら、これら部材の主面の形状は正方形、円形又は楕円形等であってもよい。
【0023】
図2及び
図3に示しているように、第1セパレータ8aと第2セパレータ8bとは、正極6を介して対向している。第1セパレータ8aと第2セパレータ8bとの対向部の外周のうち、一部は第1封止部29により封止されており、他の部分は第2封止部28により封止されている。これにより、第1セパレータ8aと第2セパレータ8bとの間には第1空間3が規定される。正極6の主面の面積は、第1セパレータ8a及び第2セパレータ8bの対向部の面積と比較して小さい。それ故、正極6は第1空間3に内包されている。第1空間3には、正極側電解質としての第1電解質26が更に内包されている。
【0024】
正極6は、正極集電体19と、正極集電体19上に形成された正極活物質含有層13とを備える。正極集電体19には、正極リード14が電気的に接続されている。正極リード14は、例えば、第1空間3の内部から外部に向かって第2封止部28を貫通している。正極リード14は、第1空間3の内部から外部に向かって第1封止部29を貫通していてもよい。
【0025】
図3に示しているように、第1封止部29は、第1セパレータ8aの外周に沿って、第1セパレータ8aの主面上の一部に設けられている。第1セパレータ8aの主面上の外周のうち、第1封止部29が設けられていない部分には、第2封止部28が設けられている。第1封止部29及び第2封止部28は、封止部70を構成している。封止部70は、面内方向に伸びる矩形枠状に形成されている。第2封止部28は、例えば、矩形枠状の封止部70の一辺のうちの一部に設けられている。
【0026】
第1封止部29は、例えば、熱可塑性樹脂を含むか、又は、熱可塑性樹脂からなる。第1封止部29は、熱可塑性樹脂が溶融した後、再度固化して形成され得る。それ故、1つの態様によれば、第1セパレータ8aの外周と第2セパレータ8bの外周とは、熱可塑性樹脂を介して熱融着されている。熱融着後に、当該熱可塑性樹脂が第1封止部29を構成する。第2封止部28は、第1空間3内に第1電解質26を注液した後、第1空間3を閉塞させるために設けられる。第2封止部28は、例えば、熱硬化性樹脂を含むか、又は、熱硬化性樹脂からなる。
【0027】
第1空間3は、何れもシート形状を有する第1セパレータ8a及び第2セパレータ8bの間に規定される空間である。それ故、第1空間3は、電極群10の面内方向(X軸方向及びY軸方向)への空間的広がりが大きいのに対して、電極群10の厚さ方向(Z軸方向)に対する空間的広がりが小さい。そのため、正極6と共に第1空間3に内包される第1電解質26の体積を最小限に抑えることができる。これにより、正極6と第1電解質26との間で生じる副反応を低減することができるため、優れた寿命特性を達成できる。
【0028】
一方、第2セパレータ8bと第3セパレータ8cとは、負極7を介して対向している。第2セパレータ8bと第3セパレータ8cとの対向部の外周のうち、一部は第3封止部31により封止されており、他の部分は第4封止部30により封止されている。これにより、第2セパレータ8bと第3セパレータ8cとの間には第2空間4が規定される。負極7の主面の面積は、第2セパレータ8b及び第3セパレータ8cの対向部の面積と比較して小さい。それ故、負極7は第2空間4に内包されている。第2空間4には、負極側電解質としての第2電解質27が更に内包されている。
【0029】
負極7は、負極集電体20と、負極集電体20上に形成された負極活物質含有層16とを備える。負極集電体20には、負極リード17が電気的に接続されている。負極リード17は、例えば、第2空間4の内部から外部に向かって第4封止部30を貫通している。負極リード17は、第2空間4の内部から外部に向かって第3封止部31を貫通していてもよい。
【0030】
図3に示しているように、第3封止部31は、第2セパレータ8bの外周に沿って、第2セパレータ8bの主面上の一部に設けられている。第2セパレータ8bの主面上の外周のうち、第3封止部31が設けられていない部分には、第4封止部30が設けられている。第3封止部31及び第4封止部30は、封止部71を構成している。封止部71は、面内方向に伸びる矩形枠状に形成されている。第4封止部30は、矩形枠状の封止部71の一辺のうちの一部に設けられている。
【0031】
第3封止部31は、例えば、熱可塑性樹脂を含むか、又は、熱可塑性樹脂からなる。第3封止部31は、熱可塑性樹脂が溶融した後、再度固化して形成され得る。それ故、1つの態様によれば、第2セパレータ8bの外周と第3セパレータ8cの外周とは、熱可塑性樹脂を介して熱融着されている。熱融着後に、当該熱可塑性樹脂が第3封止部31を構成する。第4封止部30は、第2空間4内に第2電解質27を注液した後、第2空間4を閉塞させるために設けられる。第4封止部30は、例えば、熱硬化性樹脂を含むか、又は、熱硬化性樹脂からなる。
【0032】
第2空間4は、何れもシート形状を有する第2セパレータ8b及び第3セパレータ8cの間に規定される空間である。それ故、第2空間4は、電極群10の面内方向(X軸方向及びY軸方向)への空間的広がりが大きいのに対して、電極群10の厚さ方向(Z軸方向)に対する空間的広がりが小さい。そのため、負極7と共に第2空間4に内包される第2電解質27の体積を最小限に抑えることができる。これにより、負極7と第2電解質27との間で生じる副反応を低減することができるため、優れた寿命特性を達成できる。
【0033】
実施形態に係る電極群10は、第1空間3に内包される第1電解質26の体積を低減できるだけでなく、第2空間4に内包される第2電解質27の体積も低減することができる。即ち、正負極の双方において、電極と接しうる電解質量が低減されるため、副反応が抑制されて優れた寿命特性を達成することができる。第1電解質26及び/又は第2電解質27が水系電解質である場合には、水の電気分解を抑制する効果が得られやすいため、優れた寿命特性を達成することができる。
【0034】
また、電極群10において、第2封止部28の位置と第4封止部30の位置とは、第1セパレータ8a、正極6、第2セパレータ8b、負極7及び第3セパレータ8cの積層方向に沿って重複していない。実施形態に係る電極群10の製造過程において、第2封止部28が設けられる前の時点においては、例えば、
図4の分解斜視図に示すように、第2封止部28の位置が第1空間3の開口部60でありうる。開口部60は、第1電解質26を注液するための注液口でありうる。同様に、電極群10の製造途中において、第4封止部30が設けられる前の時点においては、
図4の分解斜視図に示すように、第4封止部30の位置が第2空間4の開口部61でありうる。開口部61は、第2電解質27を注液するための注液口でありうる。
【0035】
それ故、第2封止部28の位置と第4封止部30の位置とが、上記積層方向に沿って重複していない場合、電極群10製造時における第1電解質26と第2電解質27との混合を抑制しやすい。第2封止部28の位置と第4封止部30の位置とが上記積層方向に沿って重複している場合には、例えば、第1空間3に対して第1電解質26を注液する際に、第1電解質26が第2空間4にも混入する可能性が高い。正極用の電解液(例えば第1電解質26)と、負極用の電解液(例えば第2電解質27)とが混合すると、望まない副反応が生じる可能性があるため好ましくない。しかしながら、実施形態に係る電極群10によれば、第1電解質26と第2電解質27との混合を抑制できるため、優れた寿命特性を実現できる。
【0036】
図1に示すように、電極群10は、第1セパレータ8a、正極6、第2セパレータ8b、負極7及び第3セパレータ8cが積層してなる直方体形状を有する。ここで、直方体形状とは、厳密な直方体でなくてもよく、略直方体形状であることを意味する。例えば、正極6が第1空間3に内包される限り、第1セパレータ8aと第2セパレータ8bとの主面の面積は互いに異なっていてもよい。また、例えば、負極7が第2空間4に内包される限り、第2セパレータ8bと第3セパレータ8cとの主面の面積は互いに異なっていてもよい。
【0037】
第2封止部28は、電極群10としての直方体が有する複数の側面5a、5b、5c及び5dのうち、第1側面5aの一部に設けられている。第4封止部30は、直方体が有する複数の側面5a、5b、5c及び5dのうち、第2側面5bの一部に設けられている。第2封止部28が設けられている側面と、第4封止部30が設けられている側面とが異なるため、電極群10の製造時において、第1電解質26及び第2電解質27を異なる方向から注液することができる。それ故、2種類の電解質の混合を生じ難くすることができる。
【0038】
図5は、第2封止部28が設けられている側面と、第4封止部30が設けられている側面とが異なる場合の他の例を概略的に示す斜視図である。
図6は、
図5に係る電極群10を分解した状態を概略的に示す分解斜視図である。
図5及び
図6に示す電極群10は、第2封止部28の位置が異なることを除いて、
図1~
図3に係る電極群10と同様の構成を有する。
図5及び
図6に示す電極群10において、第2封止部28は側面5cに設けられている。第4封止部30は、側面5bに設けられている。従って、この場合にも、第1電解質26と第2電解質27とを異なる方向から注液することができるため、これら電解質の混合するのを抑制することができる。
【0039】
望ましくは、
図1~
図4を参照しながら説明したように、第2封止部28が設けられている側面5aと、第4封止部30が設けられている側面5bとが、互いに向かい合う面であることである。第2封止部28が設けられている側面と第4封止部30が設けられている側面とが互いに向かい合う面である場合、電極群10の製造時において、第1電解質26及び第2電解質27を、互いに反対側から注液することができる。そのため、2種類の電解質の混合をより生じ難くすることができ、ひいては優れた寿命特性を実現できる。
【0040】
第1セパレータ8aと第1封止部29との間の剥離強度(PS1)は、例えば0.05kN/m以上であり、好ましくは0.45kN/m以上である。第1セパレータ8aと第1封止部29との間の剥離強度(PS1)は、一例によると0.5kN/m以下である。第1セパレータ8aと第1封止部29との間の剥離強度が過度に低いと、第1空間3に内包されている第1電解質26が漏洩するおそれがある。
【0041】
第1セパレータ8aと第2封止部28との間の剥離強度(PS2)は、例えば、0.6kN/m以上であり、好ましくは1.6kN/m以上である。第1セパレータ8aと第2封止部28との間の剥離強度(PS2)は、1.4kN/m以下であってもよく、2.0kN/m以下であってもよい。第1セパレータ8aと第2封止部28との間の剥離強度(PS2)が過度に低いと、第1空間3に内包されている第1電解質26が漏洩するおそれがある。
【0042】
第1セパレータ8aと第1封止部29との間の剥離強度(PS1)は、第1セパレータ8aと第2封止部28との間の剥離強度(PS2)と異なり得る。PS1は、例えばPS2と比較して高い。
【0043】
第3セパレータ3cと第3封止部31との間の剥離強度(PS3)は、例えば0.05kN/m以上であり、好ましくは0.45kN/m以上である。第3セパレータ3cと第3封止部31との間の剥離強度(PS3)は、一例によると0.5kN/m以下である。
【0044】
第3セパレータ3cと第4封止部30との間の剥離強度(PS4)は、例えば、0.6kN/m以上であり、好ましくは1.6kN/m以上である。第3セパレータ3cと第4封止部30との間の剥離強度(PS4)は、1.4kN/m以下であってもよく、2.0kN/m以下であってもよい。
【0045】
第3セパレータ3cと第3封止部31との間の剥離強度(PS3)は、第3セパレータ3cと第4封止部30との間の剥離強度(PS4)と異なり得る。PS3は、例えばPS4と比較して高い。
【0046】
層間の剥離強度は、サイカス(Surface And Interfacial Cutting Analysis System;SAICAS)(登録商標)のような切削強度測定装置を用いて行うことができる。切り刃には、刃幅が1.0mmのボラゾン材質のセラミック刃を使用する。刃角は、すくい角度20度、にげ角度10度とする。測定においてはまず、水平速度2μm/秒、垂直速度0.2μm/秒の一定速度で切削を行うことで、セパレータ内の所定の深さまで刃を移動させる。セパレータ表面から6μm深さに到達した後、垂直方向の切削を停止し、水平速度2μm/秒の定速度モードにより剥離強度測定を行う。なお、測定温度は室温、試料温度の何れも室温(25℃)とする。
【0047】
以下、各構成要素の詳細を説明する。
【0048】
(1)セパレータ
第1セパレータ8a、第2セパレータ8b及び第3セパレータ8cは、同じ材質からなるセパレータでありうる。第1セパレータ8a、第2セパレータ8b及び第3セパレータ8cは、互いに異なる材質のセパレータであってもよい。
図1~
図3においては、第1セパレータ8a、第2セパレータ8b及び第3セパレータ8cの面内方向の寸法が互いに同一である場合を示しているが、これらの寸法は互いに異なっていてもよい。例えば、第1セパレータ8aの面内方向の寸法に対して、第2セパレータ8bの面内方向の寸法が大きくてもよい。この場合、第1セパレータ8aと第2セパレータ8bとの対向部は、より小さな寸法を有するセパレータの外周に依存して規定される。即ち、第2セパレータ8bと対向する第1セパレータ8aの面において、正極6と対向していない外周部分が、第1セパレータ8a及び第2セパレータ8bの対向部となる。また、これらセパレータの厚さは、互いに異なっていてもよく、同一であってもよい。
【0049】
以下、セパレータについて説明するが、特に断らない限り、第1セパレータ8a、第2セパレータ8b及び第3セパレータ8cのそれぞれを、まとめて「セパレータ」として説明する。
【0050】
セパレータは、非多孔質セパレータであることが好ましい。非多孔質セパレータは、液状電解質を透過しないセパレータである。第1セパレータ8a、第2セパレータ8b及び第3セパレータ8cの透気係数は、いずれも10-14m2以下であることが好ましい。透気係数が10-14m2以下のセパレータは、液状電解質を透過させないか、又は、透過を困難とすることができる。セパレータの透気係数は、10-17m2以下であってもよい。一例によれば、セパレータの透気係数は、10-20m2以上である。
【0051】
セパレータは、負極と正極との間に介在し、負極及び正極の互いに対する接触を防ぐ。また、セパレータは、絶縁体であり、負極と正極とを電気的に絶縁する。セパレータによって負極側及び正極側を互いに対して適切に隔てることにより、水の電気分解をより抑制することができる。
【0052】
セパレータは、1価の陽イオンを透過させることができる。1価の陽イオンとしては、例えば、リチウムイオン及びナトリウムイオン等のアルカリ金属イオンが挙げられる。また、セパレータは、鉛イオン、亜鉛イオン及び水酸化物イオン等を透過させることができる。セパレータは、負極及び正極の間の電位差によって、前述のイオンを選択的に透過させることが好ましい。セパレータは、溶媒和したアルカリ金属イオンが通過できないことが好ましい。
【0053】
セパレータは、固体電解質層を備える。セパレータは、固体電解質層が担持され得る多孔質層を更に備えていてもよい。セパレータは、固体電解質層のみからなっていてもよい。
【0054】
固体電解質層は、1種類の固体電解質粒子を含んでいても良く、複数種類の固体電解質粒子を含んでいてもよい。固体電解質層は、固体電解質粒子を含む固体電解質複合膜であってもよい。固体電解質複合膜は、例えば、固体電解質粒子を、高分子材料を用いて膜状に成形したものである。固体電解質層は、可塑剤及び電解質塩からなる群より選択される少なくとも1つを含んでいても良い。固体電解質層が電解質塩を含んでいると、例えば、固体電解質層のアルカリ金属イオン伝導性をより高めることができる。
【0055】
電解質塩としては、リチウム塩、ナトリウム塩又はこれらの混合物を用いることが好ましい。電解質塩は、1種類又は2種類以上のものを使用することができる。
【0056】
リチウム塩として、例えば、塩化リチウム(LiCl)、臭化リチウム(LiBr)、水酸化リチウム(LiOH)、硫酸リチウム(Li2SO4)、硝酸リチウム(LiNO3)、酢酸リチウム(CH3COOLi)、シュウ酸リチウム(Li2C2O4)、炭酸リチウム(Li2CO3)、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド)(LiTFSI;LiN(SO2CF3)2)、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI;LiN(SO2F)2)、及びリチウムビスオキサレートボラート(LiBOB:LiB[(OCO)2]2)などを用いることができる。
【0057】
また、ナトリウム塩としては、塩化ナトリウム(NaCl)、硫酸ナトリウム(Na2SO4)、水酸化ナトリウム(NaOH)、硝酸ナトリウム(NaNO3)及びナトリウムトリフルオロメタンスルホニルアミド(NaTFSA)などを用いることができる。
【0058】
高分子材料の例は、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリアミン系、ポリエチレン系、シリコーン系及びポリスルフィド系を含む。
【0059】
固体電解質粒子及び高分子材料のリチウムイオン伝導度は、いずれも1×10-10S/cm以上であることが好ましい。固体電解質複合膜に対して可撓性を持たせるために高分子材料を使用する場合、高分子材料のリチウムイオン伝導度は、1×10-10S/cm未満であってもよい。
【0060】
固体電解質層における固体電解質の割合は、固体電解質層の密度を高める観点からは、50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、75質量%以上であることがさらに好ましい。また、固体電解質層における固体電解質の割合は、固体電解質層の可撓性を高める観点からは、98質量%以下であることが好ましく、94質量%以下であることがより好ましく、92質量%以下であることがさらに好ましい。固体電解質粒子と高分子材料との混合割合は、固体電解質層又はセパレータの透気係数に影響を与える。セパレータの透気係数を1.0×10-14m2以下にする観点からは、固体電解質層における固体電解質の割合は、50質量%以上であることが好ましい。また、セパレータの透気係数を1.0×10-17m2以下にする観点からは、固体電解質層における固体電解質の割合は、60質量%以上であることが好ましい。
【0061】
固体電解質粒子の形状は特に限定されないが、例えば、球状、楕円形状、扁平形状、又は繊維状等にすることができる。固体電解質粒子の平均粒子径(D50)は、アルカリ金属イオン伝導性を高めるという観点からは、100μm以下であることが好ましく、70μm以下であることがより好ましく、50μm以下であることがさらに好ましい。固体電解質粒子の平均粒子径(D50)の下限値は、特に限定するものではないが、ある一例では、0.05μm以上である。
【0062】
固体電解質粒子としては、無機固体電解質を用いることが好ましい。無機固体電解質としては、例えば、酸化物系固体電解質、又は硫化物系固体電解質を挙げることができる。酸化物系固体電解質としては、NASICON型構造のリチウムリン酸固体電解質を用いることができる。NASICON型構造のリチウムリン酸固体電解質は、一般式Li1+xM2(PO4)3(Mは、Ti,Ge,Sr,Zr,Sn及びAlより成る群から選ばれる一種または二種以上、xは0≦x≦0.5)で表される。NASICON型構造のリチウムリン酸固体電解質としては、LATP(Li1+xAlxTi2-x(PO4)3(xは0≦x≦0.5))、Li1+xAlxZr2-x(PO4)3(xは0≦x≦0.5)、及び、Li1+xAlxGe2-x(PO4)3(xは0≦x≦0.5)等が、挙げられる。特に、NASICON型構造のリチウムリン酸固体電解質の中でも、LATPを固体電解質として用いることが好ましい。LATPは、耐水性に優れるため、固体電解質としてLATPを用いることにより、電池において加水分解が生じ難い。
【0063】
また、酸化物系固体電解質としては、アモルファス状のLIPON(Li2.9PO3.3N0.46)、又は、ガーネット型構造のLLZ(Li7La3Zr2O12)を用いてもよい。また、酸化物系固体電解質としては、リチウムチタン含有複合酸化物が用いられてもよい。固体電解質として用いられるリチウムチタン含有複合酸化物の例には、スピネル構造のリチウムチタン酸化物(例えば一般式Li4+xTi5O12(xは-1≦x≦3))が挙げられる。混合層に用いられる固体電解質は、1種類であってもよく、2種類以上を混合して使用してもよい。
【0064】
また、固体電解質としては、ナトリウム含有固体電解質を用いてもよい。ナトリウム含有固体電解質は、ナトリウムイオンのイオン伝導性に優れている。ナトリウム含有固体電解質としては、β-アルミナ、ナトリウムリン硫化物、及び、ナトリウムリン酸化物等が挙げられる。ナトリウム含有固体電解質は、ガラスセラミックスの形態にあることが好ましい。
【0065】
多孔質層は、例えば、ポリエチレン(polyethylene;PE)、ポリプロピレン(polypropylene;PP)、セルロース、若しくはポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene fluoride;PVdF)を含む多孔質フィルム、又は合成樹脂製不織布からなる。多孔質層の層厚は、例えば、20μm以上100μm以下の範囲内にある。
【0066】
固体電解質層の層厚は、電池(二次電池)のエネルギー密度を高める観点からは、100μm以下であることが好ましく、70μm以下であることがより好ましい。高分子材料を含む固体電解質層では、層厚を薄くしても、十分な強度を得ることができる。また、固体電解質層の層厚は、機械的強度を高めるという観点からは、1μm以上であることが好ましく、10μm以上であることがより好ましい。
【0067】
前述したセパレータの透気係数KT(m2)は、以下のようにして算出する。透気係数KTの算出では、例えば、厚さL(m)のセパレータを測定対象とする場合、測定面積A(m2)の範囲に、粘性係数σ(Pa・s)の気体を透過させる。この際、投入される気体の圧力p(Pa)が互いに対して異なる複数の条件で、気体を透過させ、複数の条件のそれぞれにおいて、セパレータを透過した気体量Q(m3/s)を測定する。そして、測定結果から、圧力pに対する気体量Qをプロットし、傾きであるdQ/dpを求める。そして、厚さL、測定面積A、粘性係数σ及び傾きdQ/dpから、下記式(1)に従って透気係数KTを算出する。
【0068】
【0069】
透気係数KTの算出方法の一例では、それぞれに直径10mmの孔が開いた一対のステンレス板でセパレータを挟み込む。そして、一方のステンレス板の孔から空気を圧力pで送り込む。そして、他方のステンレス板の孔から漏れる空気の気体量Qを測定する。測定対象のセパレータの面積(25πmm2)を測定面積Aとして用いられ、粘性係数σとしては0.000018Pa・sが用いられる。また、気体量Qは、100秒の間に孔から漏れる量δ(m3)を測定し、測定された量δを100で割ることにより算出する。
【0070】
そして、圧力pが互いに対して少なくとも1000Pa離れる4点で、前述のようにして圧力pに対する気体量Qを測定する。例えば、圧力pが1000Pa、2500Pa、4000Pa及び6000Paとなる4点のそれぞれで、圧力pに対する気体量Qを測定する。そして、測定した4点について圧力pに対する気体量Qをプロットし、直線フィッティング(最小二乗法)によって圧力pに対する気体量Qの傾き(dQ/dp)を算出する。そして、算出した傾き(dQ/dp)に(σ・L)/Aを乗算することにより、透気係数KTを算出する。
【0071】
なお、セパレータの透気係数の測定においては、電池を分解し、セパレータを電池の他の部品から分離する。セパレータを純水で両面洗浄した後、純水に浸漬させて48時間以上放置する。その後、さらに純水で両面を洗い流し、100℃の真空乾燥炉にて48時間以上乾燥させた後に、透気係数の測定を行う。このときセパレータにおいて任意の複数箇所で透気係数を測定する。そして、任意の複数箇所の中で透気係数が最も低い値になる箇所での値をセパレータの透気係数とする。
【0072】
(2)第1封止部及び第3封止部
第1封止部29及び第3封止部31は、互いに対向した複数のセパレータ間に介在して、これらセパレータの対向部の外周の一部を結着させている。第1封止部及び第3封止部は、例えば、熱可塑性樹脂を含むか、又は、熱可塑性樹脂からなる。熱可塑性樹脂として、例えば、融点が50℃以上のものを使用する。融点が低いと、二次電池の充放電によって熱可塑性樹脂が分解し易いため好ましくない。熱可塑性樹脂が分解すると、分解した成分が第1電解質26及び/又は第2電解質27に含まれる。そして、当該成分による副反応が生じる可能性があるため好ましくない。熱可塑性樹脂の融点は、100℃以上であることが好ましい。熱可塑性樹脂の融点は、例えば150℃以下である。
【0073】
熱可塑性樹脂の種類は特に制限されないが、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ芳香族エーテル又はチオエーテル系樹脂、ポリ芳香族エステル系樹脂、ポリスルホン系樹脂、スチレン系樹脂及びアクリレート系樹脂からなる群より選択される少なくとも一種でありうる。溶融した状態の樹脂が広がり易く且つ接着性も高いことから、熱可塑性樹脂としてポリビニルブチラールを用いるのがより好ましい。
【0074】
(3)第2封止部及び第4封止部
第2封止部28及び第4封止部30は、互いに対向した複数のセパレータ間に介在して、これらセパレータの対向部の外周のうち、第1封止部29及び第3封止部31が結着させていない部分を結着する。第2封止部28及び第4封止部30は、例えば、熱硬化性樹脂を含むか、又は、熱硬化性樹脂からなる。熱硬化性樹脂としては、常温で硬化するものが好ましい。
【0075】
熱硬化性樹脂の種類は、例えば、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、シリコーン、プロピレンゴム、ブタジエンゴム及びオレフィンゴムからなる群より選択される少なくとも一種でありうる。
【0076】
第1~第4封止部を構成する樹脂の種類は、以下の手順で分析することができる。まず、電極群が組み込まれた二次電池を分解し、二次電池から測定対象の電極群を取り出す。この電極群を、純水などの適切な溶媒で洗浄する。電極群から、セパレータと共に第1~第4封止部をそれぞれ切り出して試料を得る。このとき、同一の試料を2枚ずつ準備する。同一の試料を貼り合わせてホットプレート上に静置し、150℃の温度で30分間に亘り加熱する。その後、加熱しながら、貼り合わせた2枚の試料に対して手又はピンセットなどで剪断力を加えて、2枚の試料の位置が加熱前と比較してずれなければ、分析対象の試料が、熱硬化性樹脂を含む封止部を備えると判断できる。一方、貼り合わせた2枚の試料の位置がずれた場合には、分析対象の試料が、熱可塑性樹脂を含む封止部を備えると判断できる。試料に剪断力を加える手段は問わない。
【0077】
なお、フーリエ変換赤外分光法(FT-IR:Fourier Transform Infrared Spectroscopy)、ガスクロマトグラフィー-質量分析法(GC-MS:Gas Chromatography - Mass spectrometry)及び蛍光X線元素分析(XRF:X-ray Fluorescence Analysis)などの手法により、対象試料の封止部に含まれる樹脂の種類を類推することができる。
【0078】
(4)正極
正極は、正極集電体と、正極集電体の少なくとも一方の主面上に担持された正極活物質含有層とを含み得る。
【0079】
正極集電体は、例えば、ステンレス、アルミニウム(Al)及びチタン(Ti)などの金属からなる。正極集電体は、例えば、箔、多孔体又はメッシュの形態である。正極集電体と水系電解質との反応による腐食を防止するため、正極集電体の表面は、異種元素で被覆されていてもよい。正極集電体は、例えばTi箔などの耐蝕性及び耐酸化性に優れたものであることが好ましい。なお、水系電解質がLi2SO4を含む場合は、腐食が進行しないことから、正極集電体としてAlを使用してもよい。
【0080】
正極集電体の厚さは、5μm以上20μm以下であることが好ましく、15μm以下であることがより好ましい。
【0081】
また、正極集電体は、その表面に正極活物質含有層が形成されていない部分を含むことができる。この部分は、正極集電タブとして働くことができる。
【0082】
正極活物質含有層は、正極活物質を含んでいる。正極活物質含有層は、正極集電体の両方の主面に担持されていてもよい。
【0083】
正極活物質としては、リチウムイオン吸蔵放出電位が金属リチウムを基準とする電位で、2.5V(vs.Li/Li+)以上5.5V以下(vs.Li/Li+)である化合物を用いることができる。正極は、1種類の正極活物質を含んでいてもよく、2種類以上の正極活物質を含んでいてもよい。
【0084】
正極活物質の例には、リチウムマンガン複合酸化物、リチウムニッケル複合酸化物、リチウムコバルトアルミニウム複合酸化物、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物、スピネル型リチウムマンガンニッケル複合酸化物、リチウムマンガンコバルト複合酸化物、リチウム鉄酸化物、リチウムフッ素化硫酸鉄、オリビン結晶構造のリン酸化合物(例えば、LixFePO4(0<x≦1)、LixMnPO4(0<x≦1))などが含まれる。オリビン結晶構造のリン酸化合物は、熱安定性に優れている。
【0085】
高い正極電位の得られる正極活物質の例としては、例えばスピネル構造のLixMn2O4(0<x≦1)、LixMnO2(0<x≦1)などのリチウムマンガン複合酸化物、例えばLixNi1-yAlyO2(0<x≦1、0<y<1)などのリチウムニッケルアルミニウム複合酸化物、例えばLixCoO2(0<x≦1)などのリチウムコバルト複合酸化物、例えばLixNi1-y―zCoyMnzO2(0<x≦1、0<y<1、0≦z<1)などのリチウムニッケルコバルト複合酸化物、例えばLixMnyCo1-yO2(0<x≦1、0<y<1)などのリチウムマンガンコバルト複合酸化物、例えばLixMn1-yNiyO4(0<x≦1、0<y<2、0<1-y<1)などのスピネル型リチウムマンガンニッケル複合酸化物、例えばLixFePO4(0<x≦1)、LixFe1-yMnyPO4(0<x≦1、0≦y≦1)、LixCoPO4(0<x≦1)などのオリビン構造を有するリチウムリン酸化物、フッ素化硫酸鉄(例えばLixFeSO4F(0<x≦1))が挙げられる。
【0086】
正極活物質は、リチウムコバルト複合酸化物、リチウムマンガン複合酸化物及びオリビン構造を有するリチウムリン酸化物からなる群より選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。これら活物質の作動電位は、3.5V(vs.Li/Li+)以上4.2V(vs.Li/Li+)以下である。すなわち、これらの活物質の作動電位は比較的高い。これら正極活物質を、上述したスピネル型のチタン酸リチウム及びアナターゼ型酸化チタンなどの負極活物質と組み合わせて使用することにより、高い電池電圧が得られる。
【0087】
正極活物質は、例えば、粒子の形態で正極に含まれている。正極活物質粒子は、単独の一次粒子、一次粒子の凝集体である二次粒子、あるいは、一次粒子と二次粒子の混合物であり得る。粒子の形状は、特に限定されるものではなく、例えば、球状、楕円形状、扁平形状、又は繊維状等にすることができる。
【0088】
正極活物質の一次粒子の平均粒子径(直径)は10μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.1μm以上5μm以下である。正極活物質の二次粒子の平均粒子径(直径)は100μm以下であることが好ましく、より好ましくは10μm以上50μm以下である。
【0089】
正極活物質の一次粒子径及び二次粒子径は、負極活物質粒子と同様の方法で測定することができる。
【0090】
正極活物質含有層は、正極活物質の他に、導電剤及び結着剤などを含んでいてもよい。導電剤は、集電性能を高め、且つ活物質と集電体との接触抵抗を抑えるために、必要に応じて配合される。結着剤は、活物質、導電剤及び集電体を結着させる作用を有する。
【0091】
導電剤の例には、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ、黒鉛及びコークスなどの炭素質物が含まれる。導電剤は、1種類であってもよく、2種類以上を混合して使用してもよい。
【0092】
正極活物質含有層において、正極活物質及び結着剤は、それぞれ、80質量%以上98質量%以下、及び2質量%以上20質量%以下の割合で配合することが好ましい。
【0093】
結着剤の量を2質量%以上にすることにより、十分な電極強度が得られる。また、結着剤は、絶縁体として機能し得る。そのため、結着剤の量を20質量%以下にすると、電極に含まれる絶縁体の量が減るため、内部抵抗を減少できる。
【0094】
導電剤を加える場合には、正極活物質、結着剤及び導電剤は、それぞれ、77質量%以上95質量%以下、2質量%以上20質量%以下、及び3質量%以上15質量%以下の割合で配合することが好ましい。
【0095】
導電剤の量を3質量%以上にすることにより、上述した効果を発揮することができる。また、導電剤の量を15質量%以下にすることにより、電解質と接触する導電剤の割合を低くすることができる。この割合が低いと、高温保存下において、電解質の分解を低減することができる。
【0096】
正極は、例えば、以下の方法により得ることができる。まず、活物質、導電剤及び結着剤を適切な溶媒に懸濁してスラリーを調製する。次いで、このスラリーを集電体の片面又は両面に塗布する。集電体上の塗膜を乾燥することにより活物質含有層を形成する。その後、集電体及びその上に形成された活物質含有層にプレスを施す。活物質含有層としては、活物質、導電剤及び結着剤の混合物をペレット状に形成したものを用いてもよい。
【0097】
(5)負極
負極は、負極集電体と、負極集電体の片面又は両面に担持される負極活物質含有層とを含み得る。負極活物質含有層は、負極活物質と、任意に導電剤及び結着剤を含むことができる。
【0098】
負極集電体の材料には、アルカリ金属イオンが挿入又は脱離するときの負極電位範囲において、電気化学的に安定である物質が用いられる。負極集電体は、例えば、亜鉛(Zn)箔、アルミニウム箔、又は、マグネシウム(Mg)、チタン(Ti)、亜鉛、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、銅(Cu)及びケイ素(Si)から選択される少なくとも1種の元素を含むアルミニウム合金箔であることが好ましい。
【0099】
負極集電体は、多孔体又はメッシュなどの他の形態であってもよい。負極集電体の厚さは、5μm以上30μm以下であることが好ましい。このような厚さを有する集電体は、電極の強度と軽量化のバランスをとることができる。
【0100】
また、負極集電体は、その表面に負極活物質含有層が形成されていない部分を含むことができる。この部分は、負極集電タブとして働くことができる。
【0101】
負極活物質としては、リチウムイオン吸蔵放出電位が金属リチウムを基準とする電位で、1V(vs.Li/Li+)以上3V以下(vs.Li/Li+)である化合物を用いることができる。負極活物質としては、具体的には、チタン酸化物、リチウムチタン複合酸化物、ニオブチタン複合酸化物、ナトリウムニオブチタン複合酸化物などのチタン含有酸化物を使用することができる。負極活物質は、チタン含有酸化物を1種、又は2種以上含むことができる。
【0102】
チタン酸化物は、例えば、単斜晶構造のチタン酸化物、ルチル構造のチタン酸化物、アナターゼ構造のチタン酸化物を含む。各結晶構造のチタン酸化物は、充電前の組成をTiO2、充電後の組成をLixTiO2(xは0≦x≦1)で表すことができる。また、単斜晶構造のチタン酸化物の充電前構造をTiO2(B)と表すことができる。
【0103】
リチウムチタン酸化物は、例えば、スピネル構造のリチウムチタン酸化物(例えば一般式Li4+xTi5O12(xは-1≦x≦3))、ラムスデライト構造のリチウムチタン酸化物(例えば、Li2+xTi3O7(-1≦x≦3))、Li1+xTi2O4(0≦x≦1)、Li1.1+xTi1.8O4(0≦x≦1)、Li1.07+xTi1.86O4(0≦x≦1)、LixTiO2(0<x≦1)などを含む。また、リチウムチタン酸化物は、異種元素が導入されているリチウムチタン複合酸化物であってもよい。
【0104】
ニオブチタン複合酸化物は、例えば、単斜晶型の結晶構造を有している。単斜晶型ニオブチタン複合酸化物は、例えば、一般式LixTi1-yM1yNb2-zM2zO7+δで表される複合酸化物、及び、一般式LixTi1-yM3y+zNb2-zO7-δで表される複合酸化物からなる群より選択される少なくとも1つである。ここで、M1は、Zr,Si,及びSnからなる群より選択される少なくとも1つである。M2は、V,Ta,及びBiからなる群より選択される少なくとも1つである。M3は、Mg,Fe,Ni,Co,W,Ta,及びMoからなる群より選択される少なくとも1つである。組成式中のそれぞれの添字は、0≦x≦5、0≦y<1、0≦z<2、及び、-0.3≦δ≦0.3を満たす。
【0105】
単斜晶型ニオブチタン複合酸化物の具体的な例として、例えば、Nb2TiO7、Nb2Ti2O9、Nb10Ti2O29、Nb14TiO37及びNb24TiO62を挙げることができる。単斜晶型ニオブチタン複合酸化物は、Nb及び/又はTiの少なくとも一部が異種元素に置換された置換ニオブチタン複合酸化物であってもよい。置換元素の例は、Na、K、Ca、Co、Ni、Si、P、V、Cr、Mo、Ta、Zr、Mn、Fe、Mg、B、Pb及びAlなどである。置換ニオブチタン複合酸化物は、1種類の置換元素を含んでいてもよく、2種類以上の置換元素を含んでいてもよい。
【0106】
ナトリウムチタン複合酸化物は、例えば、一般式Li2+VNa2―WM1XTi6-y-zNbyM2zO14+δ(0≦v≦4、0≦w<2、0≦x<2、0≦y<6、0≦z<3、-0.5≦δ≦0.5、M1はCs,K,Sr,Ba,Caより選択される少なくとも1つを含み、M2はZr,Sn,V,Ta,Mo,W,Fe,Co,Mn,Alより選択される少なくとも1つを含む)で表される直方晶(orthorhombic)型Na含有ニオブチタン複合酸化物を含む。
【0107】
負極活物質としては、アナターゼ構造のチタン酸化物、単斜晶構造のチタン酸化物、スピネル構造のリチウムチタン酸化物、ニオブチタン複合酸化物又はこれらの混合物を用いることが好ましい。これらの酸化物を負極活物質として用いると、例えば正極活物質としてのリチウムマンガン複合酸化物と組み合わせることで、高い起電力を得ることができる。
【0108】
負極活物質は、例えば粒子の形態で負極活物質含有層に含まれている。負極活物質粒子は、一次粒子、一次粒子の凝集体である二次粒子、あるいは、単独の一次粒子及び二次粒子の混合物であり得る。粒子の形状は、特に限定されるものではなく、例えば、球状、楕円形状、扁平形状、及び繊維状などにすることができる。
【0109】
負極活物質の一次粒子の平均粒子径(直径)は3μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.01μm以上1μm以下である。負極活物質の二次粒子の平均粒子径(直径)は30μm以下であることが好ましく、より好ましくは5μm以上20μm以下である。
【0110】
この一次粒子径及び二次粒子径は、レーザー回折式の粒度分布測定装置により求めた粒度分布において、体積積算値が50%となる粒径を意味している。レーザー回折式の粒度分布測定装置としては、例えば、島津SALD-300を用いる。測定に際しては、2秒間隔で64回光度分布を測定する。この粒度分布測定を行う際の試料としては、負極活物質粒子の濃度が0.1重量%乃至1重量%となるようにN-メチル-2-ピロリドンで希釈した分散液を用いる。あるいは、測定試料としては、0.1gの負極活物質を、界面活性剤を含む1~2mlの蒸留水に分散させたものを用いる。
【0111】
導電剤は、集電性能を高め、且つ活物質と集電体との接触抵抗を抑えるために、必要に応じて配合される。結着剤は、活物質、導電剤及び集電体を結着させる作用を有する。
【0112】
導電剤の例には、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ、黒鉛及びコークスなどの炭素質物が含まれる。導電剤は、1種類であってもよく、2種類以上を混合して使用してもよい。
【0113】
結着剤の例には、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoro ethylene;PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene fluoride;PVdF)、フッ素系ゴム、スチレンブタジェンゴム、ポリアクリル酸化合物、イミド化合物、カルボキシルメチルセルロース(carboxymethyl cellulose;CMC)、及びCMCの塩が含まれる。これらの1つを結着剤として用いてもよく、或いは、2つ以上を組み合わせて結着剤として用いてもよい。
【0114】
負極活物質含有層中の負極活物質、導電剤及び結着剤の配合割合は、負極活物質が70質量%以上95質量%以下、導電剤が3質量%以上20質量%以下、結着剤が2質量%以上10質量%以下の範囲であることが好ましい。導電剤の配合割合が3質量%以上であると、負極活物質含有層の集電性能を向上させることができる。また、結着剤の配合割合が2質量%以上であると、十分な電極強度が得られ、10質量%以下であると電極の絶縁部を減少させることができる。
【0115】
負極は、例えば、以下の方法により得ることができる。まず、活物質、導電剤及び結着剤を適切な溶媒に懸濁してスラリーを調製する。次いで、このスラリーを集電体の片面又は両面に塗布する。集電体上の塗膜を乾燥することにより活物質含有層を形成する。その後、集電体及びその上に形成された活物質含有層にプレスを施す。活物質含有層としては、活物質、導電剤及び結着剤の混合物をペレット状に形成したものを用いてもよい。
【0116】
(6)電解質
電解質は、水系電解質であってもよく、非水系電解質であってもよい。第1電解質と第2電解質とは同一の電解質であってもよく、異なる電解質であってもよい。第1電解質及び第2電解質の双方が水系電解質であってもよく、第1電解質及び第2電解質の双方が非水系電解質であってもよい。
【0117】
水系電解質は、水系溶媒と電解質塩とを含む。水系電解質は、例えば、液状である。液状水系電解質は、溶質としての電解質塩を水系溶媒に溶解することにより調製される水溶液である。水溶液は、溶質となる塩1molに対し、水系溶媒量が1mol以上であることが好ましく、3.5mol以上であることがさらに好ましい。
【0118】
水系溶媒としては、水を含む溶液を用いることができる。水を含む溶液とは、純水であってもよく、水と有機溶媒との混合溶媒であってもよい。水系溶媒は、例えば、水を50体積%以上の割合で含む。
【0119】
水系電解質に水が含まれていることは、GC-MS(ガスクロマトグラフィー-重量分析;Gas Chromatography - Mass Spectrometry)測定により確認できる。また、水系電解質中の塩濃度および水含有量は、例えばICP(誘導結合プラズマ;Inductively Coupled Plasma)発光分析などで測定することができる。水系電解質を規定量はかり取り、含まれる塩濃度を算出することで、モル濃度(mol/L)を算出できる。また水系電解質の比重を測定することで、溶質と溶媒のモル数を算出できる。
【0120】
水系電解質は、ゲル状電解質であってもよい。ゲル状電解質は、上述した液状水系電解質と、高分子化合物とを混合して複合化することにより調製される。高分子化合物としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリアクリロニトリル(PAN)、及びポリエチレンオキシド(PEO)等を挙げることができる。
【0121】
電解質塩としては、例えば、リチウム塩、ナトリウム塩又はこれらの混合物を用いることができる。リチウム塩及びナトリウム塩としては、上述の固体電解質層において含まれ得るものと同様のものを用いることができる。リチウム塩としては、LiClを含むことが好ましい。LiClを用いると、水系電解質のリチウムイオン濃度を高めることができる。また、リチウム塩は、LiClに加えて、LiSO4及びLiOHの少なくとも一方を含んでいることが好ましい。
【0122】
水系電解質におけるリチウムイオンのモル濃度は、3mol/L以上であってもよく、6mol/L以上であってもよく、12mol/L以上であってもよい。一例によれば、水系電解質におけるリチウムイオンのモル濃度は、14mol/L以下である。水系電解質中のリチウムイオンの濃度が高いと、負極における水系溶媒の電気分解が抑制されやすく、負極からの水素発生が少ない傾向にある。
【0123】
水系電解質は、アニオン種として、塩素イオン(Cl-)、水酸化物イオン(OH-)、硫酸イオン(SO4
2-)、硝酸イオン(NO3
-)から選ばれる少なくとも1種以上を含むことが好ましい。
【0124】
水系電解質のpHは、3以上14以下であることが好ましく、4以上13以下であることがより好ましい。負極側電解質と、正極側電解質とで別々の電解質を用いる場合には、負極側電解質のpHは、3以上14以下の範囲内にあることが好ましく、正極側電解質のpHは、1以上8以下の範囲内にあることが好ましい。
【0125】
負極側電解質のpHが上記範囲内にあることにより、負極での水素発生電位が低下するため、負極での水素発生が抑制される。これにより、電池の保存性能及びサイクル寿命性能が向上する。正極側電解質のpHが上記範囲内にあることにより、正極での酸素発生電位が高くなるため、正極での酸素発生が減少する。これにより、電池の保存性能及びサイクル寿命性能が向上する。正極側電解質のpHは、3以上7.5以下の範囲内にあることがより好ましい。
【0126】
水系電解質は、界面活性剤を含んでいてもよい。界面活性剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、チオ尿素、3、3‘-ジチオビス(1-プロパンホス酸)2ナトリウム、ジメルカプトチアジアゾール、ホウ酸、シュウ酸、マロン酸、サッカリン、ナフタレンスルホン酸ナトリウム、ゼラチン、硝酸カリウム、芳香族アルデヒド、複素環アルデヒドなどの非イオン性界面活性剤などが挙げられる。界面活性剤は単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いることもできる。
【0127】
非水系電解質としては、例えば、リチウムイオン伝導性の液状非水電解質又はゲル状非水電解質を用いることができる。液状非水電解質は、溶質としての電解質塩を有機溶媒に溶解することにより調製される。液状非水電解質に対してPVdF、PAN及びPEOなどの高分子材料を添加することで、ゲル状非水電解質が得られる。
【0128】
電解質塩の濃度は、0.5mol/L以上2.5mol/L以下であることが好ましく、0.8mol/L以上1.5mol/L以下であることがより好ましい。電解質塩の濃度がこの範囲内にあると、電解液のイオン伝導度が高いため、レート特性及び低温特性に優れる。
【0129】
有機溶媒の例には、プロピレンカーボネート(propylene carbonate;PC)、エチレンカーボネート(ethylene carbonate;EC)、ビニレンカーボネート(vinylene carbonate;VC)のような環状カーボネート;ジエチルカーボネート(diethyl carbonate;DEC)、ジメチルカーボネート(dimethyl carbonate;DMC)、メチルエチルカーボネート(methyl ethyl carbonate;MEC)のような鎖状カーボネート;テトラヒドロフラン(tetrahydrofuran;THF)、2メチルテトラヒドロフラン(2-methyl tetrahydrofuran;2MeTHF)、ジオキソラン(dioxolane;DOX)のような環状エーテル;ジメトキシエタン(dimethoxy ethane;DME)、ジエトキシエタン(diethoxy ethane;DEE)のような鎖状エーテル;γ-ブチロラクトン(γ-butyrolactone;GBL)、アセトニトリル(acetonitrile;AN)、及びスルホラン(sulfolane;SL)が含まれる。これらの有機溶媒は、単独で、又は混合溶媒として用いることができる。
【0130】
続いて、実施形態に係る電極群の製造方法の一例を、
図4を参照しながら説明する。
【0131】
第1セパレータ8aとして、少なくとも一方の主面の外周部の一部に熱可塑性樹脂を含浸させたセパレータを用意する。例えば、
図4に示す第1封止部29の位置に対応した位置に熱可塑性樹脂を含浸させる。第2セパレータ8bとして、少なくとも一方の主面の外周部の一部に熱可塑性樹脂を含浸させたセパレータを用意する。例えば、
図4に示す第3封止部31の位置に対応した位置に熱可塑性樹脂を含浸させる。加えて、第3セパレータ8cを用意する。第3セパレータ8cの外周部には、熱可塑性樹脂が含浸していてもよく、含浸していなくてもよい。第3セパレータ8cに熱可塑性樹脂を含浸させる場合、第3セパレータ8cの主面のうち、第2セパレータ8bと対向する面においては、例えば、第2セパレータ8bに含浸された熱可塑性樹脂の位置と対応する位置に含浸させることが好ましい。別途、正極リード14を備える正極6と、負極リード17を備える負極7とを準備する。
【0132】
第1~第3セパレータとしては、同一のセパレータを、向きを変えて使用することができる。例えば、第1セパレータ8aに相当するセパレータを3枚準備し、そのうちの1枚を
図4に示す第1セパレータ8aの位置に設置する。次いで、同セパレータをY軸方向に沿って反転させ、正極6を介して、第2セパレータ8bとして第1セパレータ8a上に設置する。また、同セパレータをY軸方向及びZ軸方向に沿って反転させ、負極7を介して、第3セパレータ8cとして第2セパレータ8b上に設置する。こうして、5枚のシートが積層された積層体を得る。
【0133】
次に、当該積層体の外周部を熱プレスすることにより、各セパレータに含浸された熱可塑性樹脂を溶融させる。こうして、各セパレータの外周部の一部が熱融着した状態の積層体を得ることができる。具体的には、第1セパレータ8aと第2セパレータ8bとの間に第1封止部29が形成されると共に、開口部60の位置で開口した第1空間3が規定される。また、第2セパレータ8bと第3セパレータ8cとの間に第3封止部31が形成されると共に、開口部61の位置で開口した第2空間4が規定される。
【0134】
次いで、開口部60から第1空間3内に、正極側電解質(第1電解質26)を注液する。その後、開口部60の位置を熱硬化性樹脂で覆い、加熱することで第2封止部28を設けて第1空間3を閉塞させる。一方、開口部61から第2空間4内に、負極側電解質(第2電解質27)を注液する。その後、開口部61の位置を熱硬化性樹脂で覆い、加熱することで第4封止部30を設けて第2空間4を閉塞させる。
【0135】
或いは、開口部60から第1空間3内に正極側電解質(第1電解質26)を注液した後、開口部61から第2空間4内に負極側電解質(第2電解質27)を注液する。その後、開口部60及び61の位置を熱硬化性樹脂で覆い、加熱することで第1空間3及び第2空間4を閉塞させてもよい。この場合、第1電解質26と第2電解質27とを異なる方向から同時に注液することが可能であるため、2種類の電解質の混合を抑制しつつ、電極群の製造効率を高めることができる。
【0136】
こうして、例えば
図1~
図3を参照しながら説明した電極群10を作製することができる。
【0137】
図1~
図3を参照しながら説明した電極群10は、実施形態に係る電極群を構成するための最小構成単位である。実施形態に係る電極群は、
図7及び
図8に示すように、最小構成単位としての積層体50が複数回積層されたものでありうる。
図7は、実施形態に係る電極群の他の例を概略的に示す斜視図である。
図8は、
図7に係る電極群について、X軸方向と垂直又は略垂直な断面を概略的に示す図である。
【0138】
実施形態に係る電極群10は、最小構成単位としての積層体50aを少なくとも備える。積層体50aは、
図1~
図3を参照しながら説明した電極群10と同様の構成を有する。電極群10は、積層体50a上に、正極6、第2セパレータ8b、負極7及び第3セパレータ8c(8a)をこの順に積層して備える積層体50bを更に備える。積層体50aが備える第3セパレータ8cは、当該積層体50aと隣り合う積層体50bの第1セパレータ8aとして機能する。即ち、積層方向について隣り合う2つの積層体において、一方の積層体が具備する第3セパレータと、他方の積層体が具備する第1セパレータとは、同一のセパレータである。
【0139】
積層体50bにおいても、第1セパレータ8a(8c)と第2セパレータ8bとは、正極6を介して対向している。第1セパレータ8a(8c)と第2セパレータ8bとの対向部の外周のうち、一部は第1封止部29により封止されており、他の部分は第2封止部28により封止されている。また、第2セパレータ8bと第3セパレータ8cとは、負極7を介して対向している。第2セパレータ8bと第3セパレータ8cとの対向部の外周のうち、一部は第3封止部31により封止されており、他の部分は第4封止部30により封止されている。積層体50bにおいて、第2封止部28の位置と第4封止部30の位置とは、第1セパレータ8a、正極6、第2セパレータ8b、負極7及び第3セパレータ8cの積層方向に沿って重複していない。
【0140】
電極群10は、積層体50b上に、正極6、第2セパレータ8b、負極7及び第3セパレータ8c(8a)をこの順に積層して備える積層体50cを更に備える。積層体50bが備える第3セパレータ8cは、当該積層体50bと隣り合う積層体50cの第1セパレータ8aとして機能する。即ち、積層体a及びbにおいて述べたのと同様に、積層体b及びcに関しても、一方の積層体が具備する第3セパレータと、他方の積層体が具備する第1セパレータとは同一のセパレータである。
【0141】
積層体50cにおいても、第1セパレータ8a(8c)と第2セパレータ8bとは、正極6を介して対向している。第1セパレータ8a(8c)と第2セパレータ8bとの対向部の外周のうち、一部は第1封止部29により封止されており、他の部分は第2封止部28により封止されている。また、第2セパレータ8bと第3セパレータ8cとは、負極7を介して対向している。第2セパレータ8bと第3セパレータ8cとの対向部の外周のうち、一部は第3封止部31により封止されており、他の部分は第4封止部30により封止されている。積層体50bにおいて、第2封止部28の位置と第4封止部30の位置とは、第1セパレータ8a、正極6、第2セパレータ8b、負極7及び第3セパレータ8cの積層方向に沿って重複していない。
【0142】
このように、積層体50a、50b及び50cは、Z軸方向に平行な積層方向Lに沿って積層されている。図示していないが、電極群10は、積層体50c上に、正極6、第2セパレータ8b、負極7及び第3セパレータ8c(8a)をこの順に積層して備える積層体を、更に繰り返し備えることができる。実施形態に係る電極群が、2以上の積層体が積層してなる場合、積層方向について隣り合う2つの積層体において、一方の積層体が具備する第3セパレータと、他方の積層体が具備する第1セパレータとは同一の又は共通したセパレータでありうる。
【0143】
図7及び
図8に示す電極群10では、最小構成単位としての各積層体において、第2封止部28の位置と第4封止部30の位置とが、各層の積層方向(Z軸方向)に沿って重複していない。それ故、電極群10製造時において第1電解質26と第2電解質27との混合を抑制しやすい。加えて、最小構成単位としての各積層体において、正負極の双方において電極と接しうる電解質量を低減させることができる。従って、最小構成単位としての積層体が、厚さ方向に沿って複数回積層されて成る電極群10によれば、優れた寿命特性を達成できる。
【0144】
そして、複数の積層体の間で、各積層体が備える第2封止部28の位置が積層方向に沿って重複していることが好ましい。複数の積層体の間で、少なくとも2つの積層体が備える第2封止部28の位置が積層方向に沿って重複していてもよい。前述した通り、電極群10の製造過程において、第2封止部28の位置は開口しており、この開口から第1電解質26を注液し得る。それ故、複数の積層体の間で、各積層体が備える第2封止部28の位置が積層方向に沿って重複している場合、各積層体が有する第1空間3に対して、第1電解質26を高い精度で一度に注液することが可能である。この注液は、例えば、一列に整列した複数のノズルを用いて行うことができる。
【0145】
同様に、複数の積層体の間で、各積層体が備える第4封止部30の位置が積層方向に沿って重複していることが好ましい。複数の積層体の間で、少なくとも2つの積層体が備える第2封止部28の位置が積層方向に沿って重複していてもよい。前述した通り、電極群10の製造過程において、第4封止部30の位置は開口しており、この開口から第2電解質27を注液し得る。それ故、複数の積層体の間で、各積層体が備える第4封止部30の位置が積層方向に沿って重複している場合、各積層体が有する第2空間4に対して、第2電解質27を高い精度で一度に注液することが可能である。この注液は、例えば、一列に整列した複数のノズルを用いて行うことができる。
【0146】
より好ましくは、複数の積層体の間で、各積層体が備える第2封止部28の位置が積層方向に沿って重複しており、且つ、複数の積層体の間で、各積層体が備える第4封止部30の位置が積層方向に沿って重複していることである。
図7及び
図8には、この場合を概略的に示している。この場合、寿命特性に優れる二次電池を実現できる上に、電極群を高い効率で製造することができる。
【0147】
なお、各積層体が備える正極、負極及びセパレータは、複数の積層体の間で同一のものを使用してもよく、異なるものを使用してもよい。
【0148】
第1実施形態によると、電極群が提供される。電極群は、第1セパレータと、正極と、第2セパレータと、負極と、第3セパレータとをこの順で積層して備えている。第1セパレータと第2セパレータとの対向部の外周のうち、一部は第1封止部により封止されており、他の部分は第2封止部により封止されている。第1セパレータと第2セパレータとの間には第1空間が規定されている。第2セパレータと第3セパレータとの対向部の外周のうち、一部は第3封止部により封止されており、他の部分は第4封止部により封止されている。第2セパレータと第3セパレータとの間には第2空間が規定されている。第1空間は、正極及び第1電解質を内包している。第2空間は、負極及び第2電解質を内包している。第2封止部の位置と第4封止部の位置とは、第1セパレータ、正極、第2セパレータ、負極、及び、第3セパレータの積層方向に沿って重複していない。
【0149】
実施形態に係る電極群によると、正負極の双方において、電極と接しうる電解質量を低減させることができると共に、正極側電解質と負極側電解質との混合を抑制することができる。それ故、実施形態に係る電極群は、寿命特性に優れる二次電池を実現可能である。
【0150】
(第2実施形態)
第2実施形態によると、バイポーラ型電極群が提供される。バイポーラ型電極群は、第1セパレータと、正極活物質含有層と、集電体と、負極活物質含有層と、第2セパレータとをこの順で積層して備える。第1セパレータと集電体との対向部の外周のうち、一部は第1封止部により封止されており、他の部分は第2封止部により封止されている。第1セパレータと集電体との間には第1空間が規定されている。集電体と第2セパレータとの対向部の外周のうち、一部は第3封止部により封止されており、他の部分は第4封止部により封止されている。集電体と第2セパレータとの間には第2空間が規定されている。第1空間は、正極活物質含有層及び第1電解質を内包している。第2空間は、負極活物質含有層及び第2電解質を内包している。第2封止部の位置と第4封止部の位置とは、第1セパレータ、正極活物質含有層、集電体、負極活物質含有層、及び、第2セパレータの積層方向に沿って重複していない。
【0151】
図9は、実施形態に係るバイポーラ型電極群の一例を概略的に示す断面図である。
図9に示すバイポーラ型電極群11は、
図2に示す電極群10における第2セパレータ8bを集電体9に置き換えた構成に類似している。
【0152】
具体的には、バイポーラ型電極群11において、集電体9の一方の面上に正極活物質含有層13が形成されており、集電体9の他方の面上に負極活物質含有層16が形成されている。第1セパレータ8aと集電体9とは、正極活物質含有層13を介して対向している。第1セパレータ8aと集電体9との対向部の外周のうち、一部は第1封止部29により封止されており、他の部分は第2封止部28により封止されている。これにより、第1セパレータ8aと集電体9との間には第1空間3が規定される。正極活物質含有層13の主面の面積は、第1セパレータ8a及び集電体9の対向部の面積と比較して小さい。それ故、正極活物質含有層13は第1空間3に内包されている。第1空間3には、正極側電解質としての第1電解質26が更に内包されている。
【0153】
一方、集電体9と第2セパレータ8bとは、負極活物質含有層16を介して対向している。集電体9と第2セパレータ8bとの対向部の外周のうち、一部は第3封止部31により封止されており、他の部分は第4封止部30により封止されている。これにより、集電体9と第2セパレータ8bとの間には第2空間4が規定される。負極活物質含有層16の主面の面積は、集電体9及び第2セパレータ8bの対向部の面積と比較して小さい。それ故、負極活物質含有層16は第2空間4に内包されている。第2空間4には、負極側電解質としての第2電解質27が更に内包されている。
【0154】
図9に示すバイポーラ型電極群11においても、
図1~
図3を参照しながら説明した電極群10と同様に、第2封止部28の位置と第4封止部30の位置とが、第1セパレータ8a、正極活物質含有層13、集電体9、負極活物質含有層16、及び、第2セパレータ8bの積層方向に沿って重複していない。従って、第1電解質26及び第2電解質27の混合を生じ難くすることができ、ひいては優れた寿命特性を実現できる。加えて、正極活物質含有層13と共に第1空間3に内包される第1電解質26の体積を最小限に抑えることが可能である。また、負極活物質含有層16と共に第2空間4に内包される第2電解質27の体積を最小限に抑えることが可能である。従って、各電極において、電解質との副反応を低減することができるため、優れた寿命特性を実現できる。
【0155】
また、バイポーラ型電極群によれば、コンパクト且つ高容量な二次電池を実現することができる。
【0156】
第1実施形態に係る電極群について説明した内容、例えば各部材に用いられる材料等は、上述した第2実施形態に係るバイポーラ型電極群の要旨を逸脱しない範囲で、当該バイポーラ型電極群に適用され得る。
【0157】
(第3実施形態)
第3実施形態によると、第1実施形態に係る電極群を備える二次電池が提供される。二次電池は、第2実施形態に係るバイポーラ型電極群を備えていてもよい。二次電池が備える電極群の数は、1又は複数でありうる。二次電池が備えるバイポーラ型電極群の数は、1又は複数でありうる。二次電池は、第1実施形態に係る電極群及び第2実施形態に係るバイポーラ型電極群を少なくとも1つ備える。
【0158】
二次電池は、電極群を収容する外装部材を更に具備することができる。また、二次電池は、負極に電気的に接続された負極端子及び正極に電気的に接続された正極端子を更に具備することができる。
【0159】
二次電池は、リチウムイオン二次電池又はナトリウムイオン二次電池などのアルカリ金属イオン二次電池であり得る。
【0160】
以下、外装部材、負極端子及び正極端子について説明する。
【0161】
(A)外装部材
外装部材は、内部に収納空間を有する。この収納空間には、電極群及びバイポーラ型電極群のうちの少なくとも1つが収納される。外装部材には、金属製容器、ラミネートフィルム製容器、又は樹脂製容器を使用することができる。
【0162】
金属製容器としては、ニッケル、鉄、及びステンレスなどからなる金属缶で角形、円筒形の形状のものが使用できる。樹脂製容器としては、ポリエチレン又はポリプロピレンなどからなるものを用いることができる。
【0163】
樹脂製容器及び金属製容器のそれぞれの板厚は、0.05mm以上1mm以下の範囲内にあることが好ましい。板厚は、より好ましくは0.5mm以下であり、更に好ましくは0.3mm以下である。
【0164】
ラミネートフィルムとしては、例えば、金属層を樹脂層で被覆した多層フィルムなどを挙げることができる。金属層の例に、ステンレス箔、アルミニウム箔、及びアルミニウム合金箔が含まれる。樹脂層には、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ナイロン、及びポリエチレンテレフタレート(PET)などの高分子を用いることができる。ラミネートフィルムの厚さは、0.01mm以上0.5mm以下の範囲内にあることが好ましい。ラミネートフィルムの厚さは、より好ましくは0.2mm以下である。
【0165】
(B)負極端子
負極端子は、上述の負極活物質のLi吸蔵放出電位において電気化学的に安定であり、かつ導電性を有する材料から形成することができる。具体的には、負極端子の材料としては、亜鉛、銅、ニッケル、ステンレス若しくはアルミニウム、又は、Mg,Ti,Zn,Mn,Fe,Cu,及びSiからなる群より選択される少なくとも1種の元素を含むアルミニウム合金が挙げられる。負極端子は、負極集電体との接触抵抗を低減するために、負極集電体と同様の材料からなることが好ましい。
【0166】
(C)正極端子
正極端子は、リチウムの酸化還元電位に対し2.5V以上5.5V以下の電位範囲(vs.Li/Li+)において電気的に安定であり、且つ導電性を有する材料から形成することができる。正極端子の材料としては、アルミニウム、或いは、Mg、Ti、Zn、Mn、Fe、Cu及びSiからなる群より選択される少なくとも1種の元素を含むアルミニウム合金が挙げられる。正極端子は、正極集電体との接触抵抗を低減するために、正極集電体と同様の材料から形成されることが好ましい。
【0167】
実施形態に係る二次電池は、角形、円筒形、扁平型、薄型、コイン型等の様々な形態で使用され得る。
【0168】
実施形態に係る二次電池について、図面を参照しながらより具体的に説明する。
【0169】
図10~
図12は、実施形態に係る二次電池の一例を示す。
図10は、二次電池について、Y軸方向に対して垂直又は略垂直な断面を示す。
図11は、X軸方向に対して垂直又は略垂直な断面を示す。
図12は、Z軸方向に対して垂直又は略垂直な断面を示す。本実施形態では、外装部材2は底付きの筒状であり、内部に収納空間5を有する。外装部材2の収納空間5は、二次電池100のZ軸方向について一方側へ向かって開口している。
【0170】
収納空間5には、少なくとも電極群10が収納されている。電極群10は、
図7及び
図8を参照しながら説明した最小構成単位としての積層体50が複数個積層されて構成されている。複数の積層体は、Y軸方向に沿って積層されている。
図13は、電極群10が備える積層体50のうちの1つを分解した状態を概略的に示す分解斜視図である。
図13に示す積層体50(電極群10)は、第2封止部28の位置、第4封止部30の位置、正極リード14の位置及び負極リード17の位置が異なることを除いて、
図3を参照しながら説明した電極群10と同様の構造を有する。
図13に示すように、第2封止部28の位置と第4封止部30の位置とは、略直方体形状の電極群10が有する複数の側面のうち、同一の側面に存在していてもよい。
図13に示す積層体50において、第2封止部28の位置と第4封止部30の位置とは、第1セパレータ8a、正極6、第2セパレータ8b、負極7、及び、第3セパレータ8cの積層方向に沿って重複していない。それ故、少なくとも1つの積層体50を含む二次電池100は、優れた寿命特性を達成できる。
【0171】
ここで、
図14~
図16を参照しながら、電極群10が備える第2封止部28及び第4封止部30の位置関係について説明する。
図14は、
図13において積層体50として説明した電極群10の一側面を概略的に示す側面図である。
図14は、電極群10が有する複数の側面のうち、第2封止部28及び第4封止部30が存在する一側面をX軸方向から観察した状態を概略的に示している。
【0172】
第2封止部28は、上記積層方向に直交し且つ上記一側面の面内方向と平行な方向(Y軸方向)に沿った幅w1を有する。電極群10は、第2封止部28の幅w1に対応する第1領域101を含む。第1領域101は、電極群10において、第1セパレータ8a、第2封止部28、第2セパレータ8b、第3封止部31、及び、第3セパレータ8cが積層された領域であって、第2封止部28の幅w1に対応する領域である。また、第4封止部30は、上記積層方向に直交し且つ上記一側面の面内方向と平行な方向に沿った幅w2を有する。電極群10は、第4封止部30の幅w2に対応する第2領域102を含む。第2領域102は、電極群10において、第1セパレータ8a、第1封止部29、第2セパレータ8b、第4封止部30、及び、第3セパレータ8cが積層された領域であって、第4封止部30の幅w2に対応する領域である。
【0173】
図14に示すように、上記積層方向に直交し且つ上記一側面の面内方向と平行な方向に関する、第1領域101と第2領域102との距離をΔwと規定する。実施形態に係る電極群10において、第2封止部28及び第4封止部30は、第1領域101及び第2領域102が、上記一側面の面内方向と平行な方向に関して少なくとも重複しないように設けられている。
図14には、Δwが十分に大きい場合を例示している。具体的には、Δwは、幅w1及び幅w2のうち、より小さい方の値と同じかそれ以上の値であることが好ましい。即ち、Δwは、Δw≧w1を満たすか又はΔw≧w2を満たすことが好ましく、Δw≧w1を満たし且つΔw≧w2を満たすことがより好ましい。Δwの値が十分に大きい場合、電極群10の製造途中において、第2封止部28の位置に対応する開口部から第1空間3内に注液される第1電解質26と、第4封止部30の位置に対応する開口部から第2空間4内に注液される第2電解質27との混合を抑制しやすいため、優れた寿命特性を実現できる。
【0174】
図15は、
図14に示す電極群10の一変形例を概略的に示す側面図である。
図16は、
図14に示す電極群10の他の変形例を概略的に示す側面図である。
図15及び
図16に示すように、Δwは、幅w1よりも小さく且つ幅w2よりも小さくてもよい。つまり、Δwは0以上であればよい。
図16に示すように、Δwは0であってもよい。Δwが0である場合にも、第1電解質26と第2電解質27との混合を抑制することができるため、優れた寿命特性を実現できる。
【0175】
電極群10には、正極側電解質としての第1電解質26、及び、負極側電解質としての第2電解質27が含まれている。それ故、収納空間5には、他の電解質が収納されていなくてもよい。他の電解質が含む電解質塩の種類によっては、正極集電体及び正極リード、並びに、負極集電体及び負極リード等が腐食される可能性がある。しかしながら、収納空間5に他の電解質が収納されていない場合、こうした正負極の腐食を抑制し易いため好ましい。
【0176】
図10~
図12に示すように、二次電池100は、正極リード14、負極リード17及び蓋18を備える。蓋18は、例えば、金属から形成される。蓋18は、収納空間5の開口部において溶接等によって外装部材2に取付けられ、収納空間5の開口部を塞ぐ。リード14、17のそれぞれは、例えば、金属等から形成され、導電性を有する。正極6のそれぞれでは、正極集電体19において正極活物質含有層13が担持されていない正極集電タブ部に、正極リード14が接続される。同様に、負極7のそれぞれでは、負極集電体20において負極活物質含有層16が担持されていない負極集電タブ部に、負極リード17が接続される。リード14,17は、X軸方向に対して互いに離れて配置されており、リード14,17の互いに対する接触が防止される。また、リード14,17のそれぞれの外装部材2及び蓋18への接触は、絶縁部材(図示しない)等によって防止される。このため、リード14,17の間の短絡は有効に防止される。
【0177】
蓋18の外表面には、正極端子21及び負極端子22が取付けられる。端子21,22のそれぞれは、例えば、金属等から形成され、導電性を有する。正極端子21には、正極リード14が接続され、負極端子22には、負極リード17が接続される。端子21,22は、X軸方向に対して互いに離れて配置されており、端子21,22の互いに対する接触が防止される。また、正極端子21の蓋18への接触は、絶縁部材23等によって防止され、負極端子22の蓋18への接触は、絶縁部材25等によって防止される。このため、端子21,22の間の短絡は有効に防止される。
【0178】
実施形態に係る二次電池は、組電池を構成していてもよい。組電池は、実施形態に係る二次電池を複数個具備している。組電池において、各単電池は、電気的に直列若しくは並列に接続して配置してもよく、又は直列接続及び並列接続を組み合わせて配置してもよい。
【0179】
第3実施形態によると、二次電池が提供される。二次電池は、第1実施形態に係る電極群又は第2実施形態に係るバイポーラ型電極群を含む。それ故、この二次電池は優れた寿命特性を示す。
【0180】
(第4実施形態)
第4実施形態によると、電池パックが提供される。この電池パックは、第3実施形態に係る二次電池を具備している。この電池パックは、第3実施形態に係る二次電池を1つ具備していてもよく、複数個の二次電池で構成された組電池を具備していてもよい。
【0181】
第4実施形態に係る電池パックは、保護回路を更に具備することができる。保護回路は、二次電池の充放電を制御する機能を有する。或いは、電池パックを電源として使用する装置(例えば、電子機器、自動車等)に含まれる回路を、電池パックの保護回路として使用してもよい。
【0182】
また、第4実施形態に係る電池パックは、通電用の外部端子を更に具備することもできる。通電用の外部端子は、外部に二次電池からの電流を出力するため、及び/又は二次電池に外部からの電流を入力するためのものである。言い換えれば、電池パックを電源として使用する際、電流が通電用の外部端子を通して外部に供給される。また、電池パックを充電する際、充電電流(自動車などの動力の回生エネルギーを含む)は通電用の外部端子を通して電池パックに供給される。
【0183】
次に、第4実施形態に係る電池パックの一例について、図面を参照しながら説明する。
【0184】
図17は、第4実施形態に係る電池パックの一例を概略的に示す分解斜視図である。
図18は、
図17に示す電池パックの電気回路の一例を示すブロック図である。
【0185】
図17及び
図18に示す電池パック300は、収容容器310と、蓋320と、保護シート33と、組電池200と、プリント配線基板34と、配線35と、図示しない絶縁板とを備えている。
【0186】
図17に示す収容容器310は、長方形の底面を有する有底角型容器である。収容容器310は、保護シート33と、組電池200と、プリント配線基板34と、配線35とを収容可能に構成されている。蓋320は、矩形型の形状を有する。蓋320は、収容容器310を覆うことにより、組電池200等を収容する。収容容器310及び蓋320には、図示していないが、外部機器等へと接続するための開口部又は接続端子等が設けられている。
【0187】
組電池200は、複数の単電池100と、正極リード14と、負極リード17と、粘着テープ24とを備えている。
【0188】
複数の単電池100の少なくとも1つは、第3実施形態に係る二次電池である。複数の単電池100は、外部に延出した正極端子21及び負極端子22が同じ向きになるように揃えて積層されている。複数の単電池100の各々は、
図18に示すように電気的に直列に接続されている。複数の単電池100は、電気的に並列に接続されていてもよく、直列接続及び並列接続を組み合わせて接続されていてもよい。複数の単電池100を並列接続すると、直列接続した場合と比較して、電池容量が増大する。
【0189】
粘着テープ24は、複数の単電池100を締結している。粘着テープ24の代わりに、熱収縮テープを用いて複数の単電池100を固定してもよい。この場合、組電池200の両側面に保護シート33を配置し、熱収縮テープを周回させた後、熱収縮テープを熱収縮させて複数の単電池100を結束させる。
【0190】
正極リード14の一端は、単電池100の積層体において、最上層に位置する単電池100の正極端子21に接続されている。負極リード17の一端は、単電池100の積層体において、最下層に位置する単電池100の負極端子22に接続されている。
【0191】
プリント配線基板34は、収容容器310の内側面のうち、一方の短辺方向の面に沿って設置されている。プリント配線基板34は、負極側コネクタ341と、正極側コネクタ342と、サーミスタ343と、保護回路344と、配線345及び346と、通電用の外部端子347と、マイナス側配線348aと、プラス側配線348bとを備えている。プリント配線基板34の一方の主面は、組電池200において正極端子21及び負極端子22が延出する面と向き合っている。プリント配線基板34と組電池200との間には、図示しない絶縁板が介在している。
【0192】
負極側コネクタ341には、貫通孔が設けられている。この貫通孔に、負極リード17の他端が挿入されることにより、負極側コネクタ341と負極リード17とは電気的に接続される。正極側コネクタ342には、貫通孔が設けられている。この貫通孔に、正極リード14の他端が挿入されることにより、正極側コネクタ342と正極リード14とは電気的に接続される。
【0193】
サーミスタ343は、プリント配線基板34の一方の主面に固定されている。サーミスタ343は、単電池100の各々の温度を検出し、その検出信号を保護回路344に送信する。
【0194】
通電用の外部端子347は、プリント配線基板34の他方の主面に固定されている。通電用の外部端子347は、電池パック300の外部に存在する機器と電気的に接続されている。
【0195】
保護回路344は、プリント配線基板34の他方の主面に固定されている。保護回路344は、マイナス側配線348aを介して通電用の外部端子347と接続されている。保護回路344は、プラス側配線348bを介して通電用の外部端子347と接続されている。また、保護回路344は、配線345を介して負極側コネクタ341に電気的に接続されている。保護回路344は、配線346を介して正極側コネクタ342に電気的に接続されている。更に、保護回路344は、複数の単電池100の各々と配線35を介して電気的に接続されている。
【0196】
保護シート33は、収容容器310の長辺方向の両方の内側面と、組電池200を介してプリント配線基板34と向き合う短辺方向の内側面とに配置されている。保護シート33は、例えば、樹脂又はゴムからなる。
【0197】
保護回路344は、複数の単電池100の充放電を制御する。また、保護回路344は、サーミスタ343から送信される検出信号、又は、個々の単電池100若しくは組電池200から送信される検出信号に基づいて、保護回路344と通電用の外部端子347との電気的な接続を遮断する。
【0198】
サーミスタ343から送信される検出信号としては、例えば、単電池100の温度が所定の温度以上であることを検出した信号を挙げることができる。個々の単電池100若しくは組電池200から送信される検出信号としては、例えば、単電池100の過充電、過放電及び過電流を検出した信号を挙げることができる。個々の単電池100について過充電等を検出する場合、電池電圧を検出してもよく、正極電位又は負極電位を検出してもよい。後者の場合、参照極として用いるリチウム電極を個々の単電池100に挿入する。
【0199】
なお、保護回路344としては、電池パック300を電源として使用する装置(例えば、電子機器、自動車等)に含まれる回路を用いてもよい。
【0200】
また、この電池パック300は、上述したように通電用の外部端子347を備えている。したがって、この電池パック300は、通電用の外部端子347を介して、組電池200からの電流を外部機器に出力するとともに、外部機器からの電流を、組電池200に入力することができる。言い換えると、電池パック300を電源として使用する際には、組電池200からの電流が、通電用の外部端子347を通して外部機器に供給される。また、電池パック300を充電する際には、外部機器からの充電電流が、通電用の外部端子347を通して電池パック300に供給される。この電池パック300を車載用電池として用いた場合、外部機器からの充電電流として、車両の動力の回生エネルギーを用いることができる。
【0201】
なお、電池パック300は、複数の組電池200を備えていてもよい。この場合、複数の組電池200は、直列に接続されてもよく、並列に接続されてもよく、直列接続及び並列接続を組み合わせて接続されてもよい。また、プリント配線基板34及び配線35は省略してもよい。この場合、正極リード14及び負極リード17を通電用の外部端子として用いてもよい。
【0202】
このような電池パックは、例えば大電流を取り出したときにサイクル性能が優れていることが要求される用途に用いられる。この電池パックは、具体的には、電子機器の電源、定置用電池、及び各種車両の車載用電池として用いられる。電子機器としては、例えば、デジタルカメラを挙げることができる。この電池パックは、車載用電池として特に好適に用いられる。
【0203】
第4実施形態に係る電池パックは、第3実施形態に係る二次電池を備えている。従って、第4実施形態に係る電池パックは寿命特性に優れている。
【0204】
(第5実施形態)
第5実施形態によると、車両が提供される。この車両は、第4実施形態に係る電池パックを搭載している。
【0205】
第5実施形態に係る車両において、電池パックは、例えば、車両の動力の回生エネルギーを回収するものである。車両は、車両の運動エネルギーを回生エネルギーに変換する機構を含み得る。
【0206】
車両の例としては、例えば、二輪乃至四輪のハイブリッド電気自動車、二輪乃至四輪の電気自動車、アシスト自転車、及び鉄道用車両が挙げられる。
【0207】
車両における電池パックの搭載位置は、特には限定されない。例えば、電池パックを自動車に搭載する場合、電池パックは、車両のエンジンルーム、車体後方又は座席の下に搭載することができる。
【0208】
車両は、複数の電池パックを搭載してもよい。この場合、電池パックは、電気的に直列に接続されてもよく、電気的に並列に接続されてもよく、直列接続及び並列接続を組み合わせて電気的に接続されてもよい。
【0209】
次に、第5実施形態に係る車両の一例について、図面を参照しながら説明する。
【0210】
図19は、第5実施形態に係る車両の一例を概略的に示す断面図である。
【0211】
図19に示す車両400は、車両本体40と、第4実施形態に係る電池パック300とを含んでいる。
図19に示す例では、車両400は、四輪の自動車である。
【0212】
車両400は、複数の電池パック300を搭載してもよい。この場合、電池パック300は、直列に接続されてもよく、並列に接続されてもよく、直列接続及び並列接続を組み合わせて接続されてもよい。
【0213】
図19では、電池パック300が車両本体40の前方に位置するエンジンルーム内に搭載されている例を図示している。上述したとおり、電池パック300は、例えば、車両本体40の後方又は座席の下に搭載してもよい。この電池パック300は、車両400の電源として用いることができる。また、この電池パック300は、車両400の動力の回生エネルギーを回収することができる。
【0214】
第5実施形態に係る車両は、第4実施形態に係る電池パックを搭載している。それ故、本実施形態によれば、寿命特性に優れた電池パックを具備した車両を提供することができる。
【0215】
(第6実施形態)
第6実施形態によると、定置用電源が提供される。この定置用電源は、第4実施形態に係る電池パックを搭載している。なお、この定置用電源は、第4実施形態に係る電池パックの代わりに、第3実施形態に係る二次電池又は組電池を搭載していてもよい。
【0216】
図20は、第6実施形態に係る定置用電源を含むシステムの一例を示すブロック図である。
図20は、第6実施形態に係る電池パック300A、300Bの使用例として、定置用電源112、123への適用例を示す図である。
図20に示す一例では、定置用電源112,123が用いられるシステム110が示される。システム110は、発電所111、定置用電源112、需要家側電力系統113及びエネルギー管理システム(EMS)115を備える。また、システム110には、電力網116及び通信網117が形成され、発電所111、定置用電源112、需要家側電力系統113及びEMS115は、電力網116及び通信網117を介して、接続される。EMS115は、電力網116及び通信網117を活用して、システム110全体を安定化させる制御を行う。
【0217】
発電所111は、火力及び原子力等の燃料源によって、大容量の電力を生成する。発電所111からは、電力網116等を通して電力が供給される。また、定置用電源112には、電池パック300Aが搭載される。電池パック300Aは、発電所111から供給される電力等を蓄電できる。また、定置用電源112は、電池パック300Aに蓄電された電力を、電力網116等を通して供給できる。システム110には、電力変換装置118が設けられる。電力変換装置118は、コンバータ、インバータ及び変圧器等を含む。したがって、電力変換装置118は、直流と交流との間の変換、互いに対して周波数が異なる交流の間の変換、及び、変圧(昇圧及び降圧)等を行うことができる。このため、電力変換装置118は、発電所111からの電力を、電池パック300Aへ蓄電可能な電力に変換できる。
【0218】
需要家側電力系統113には、工場用の電力系統、ビル用の電力系統、及び、家庭用の電力系統等が、含まれる。需要家側電力系統113は、需要家側EMS121、電力変換装置122及び定置用電源123を備える。定置用電源123には、電池パック300Bが搭載される。需要家側EMS121は、需要家側電力系統113を安定化させる制御を行う。
【0219】
需要家側電力系統113には、発電所111からの電力、及び、電池パック300Aからの電力が、電力網116を通して供給される。電池パック300Bは、需要家側電力系統113に供給された電力を蓄電できる。また、電力変換装置121は、電力変換装置118と同様に、コンバータ、インバータ及び変圧器等を含む。したがって、電力変換装置121は、直流と交流との間の変換、互いに対して周波数が異なる交流の間の変換、及び、変圧(昇圧及び降圧)等を行うことができる。このため、電力変換装置121は、需要家側電力系統113に供給された電力を、電池パック300Bへ蓄電可能な電力に変換できる。
【0220】
なお、電池パック300Bに蓄電された電力は、例えば、電気自動車等の車両の充電等に用いることができる。また、システム110には、自然エネルギー源が設けられてもよい。この場合、自然エネルギー源は、風力及び太陽光等の自然エネルギーによって、電力を生成する。そして、発電所111に加えて自然エネルギー源からも、電力網116を通して、電力が供給される。
【0221】
第6実施形態に係る定置用電源は、第4実施形態に係る電池パックを具備している。それ故、本実施形態によれば、寿命特性に優れた電池パックを具備した定置用電源を提供することができる。
【0222】
以上述べた少なくとも1つの実施形態によると、電極群が提供される。電極群は、第1セパレータと、正極と、第2セパレータと、負極と、第3セパレータとをこの順で積層して備えている。第1セパレータと第2セパレータとの対向部の外周のうち、一部は第1封止部により封止されており、他の部分は第2封止部により封止されている。第1セパレータと第2セパレータとの間には第1空間が規定されている。第2セパレータと第3セパレータとの対向部の外周のうち、一部は第3封止部により封止されており、他の部分は第4封止部により封止されている。第2セパレータと第3セパレータとの間には第2空間が規定されている。第1空間は、正極及び第1電解質を内包している。第2空間は、負極及び第2電解質を内包している。第2封止部の位置と第4封止部の位置とは、第1セパレータ、正極、第2セパレータ、負極、及び、第3セパレータの積層方向に沿って重複していない。この電極群によると、正負極の双方において、電極と接しうる電解質量を低減させることができると共に、正極側電解質と負極側電解質との混合を抑制することができる。それ故、実施形態に係る電極群は、寿命特性に優れる二次電池を実現可能である。
【0223】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 第1セパレータと、正極と、第2セパレータと、負極と、第3セパレータとをこの順で積層して備えており、
前記第1セパレータと前記第2セパレータとの対向部の外周のうち、一部は第1封止部により封止されており、他の部分は第2封止部により封止されており、前記第1セパレータと前記第2セパレータとの間には第1空間が規定され、
前記第2セパレータと前記第3セパレータとの対向部の外周のうち、一部は第3封止部により封止されており、他の部分は第4封止部により封止されており、前記第2セパレータと前記第3セパレータとの間には第2空間が規定され、
前記第1空間は、前記正極及び第1電解質を内包しており、
前記第2空間は、前記負極及び第2電解質を内包しており、
前記第2封止部の位置と前記第4封止部の位置とは、前記第1セパレータ、前記正極、前記第2セパレータ、前記負極、及び、前記第3セパレータの積層方向に沿って重複していない電極群。
[2] 前記第1セパレータの主面の形状、前記正極の主面の形状、前記第2セパレータの主面の形状、前記負極の主面の形状、及び、前記第3セパレータの主面の形状は、いずれも正方形又は矩形であり、
前記電極群の形状は、立方体又は直方体であり、
前記第2封止部は、前記立方体又は前記直方体が有する複数の側面のうち、第1側面の一部に設けられており、
前記第4封止部は、前記第1側面の他の一部に設けられており、
前記第2封止部は、前記積層方向に直交し且つ前記第1側面の面内方向と平行な方向に沿った幅w1を有し、前記電極群は、前記幅w1に対応する第1領域を含み、
前記第4封止部は、前記積層方向に直交し且つ前記第1側面の面内方向と平行な方向に沿った幅w2を有し、前記電極群は、前記幅w2に対応する第2領域を含み、
前記積層方向に直交し且つ前記第1側面の面内方向と平行な方向に関する、前記第1領域と前記第2領域との距離Δwは、0以上である[1]に記載の電極群。
[3] 前記第1セパレータの主面の形状、前記正極の主面の形状、前記第2セパレータの主面の形状、前記負極の主面の形状、及び、前記第3セパレータの主面の形状は、いずれも正方形又は矩形であり、
前記電極群の形状は、立方体又は直方体であり、
前記第2封止部は、前記立方体又は前記直方体が有する複数の側面のうち、第1側面の一部に設けられており、
前記第4封止部は、前記立方体又は前記直方体が有する複数の側面のうち、第2側面の一部に設けられており、
前記第1側面と前記第2側面とは異なる面である[1]に記載の電極群。
[4] 前記第1側面と前記第2側面とは、互いに向かい合う面である[3]に記載の電極群。
[5] 前記第1セパレータ、前記第2セパレータ及び前記第3セパレータのうちの少なくとも1つは、透気係数が10
-14
m
2
以下である[1]~[4]の何れか1項に記載の電極群。
[6] 前記第1セパレータ、前記第2セパレータ及び前記第3セパレータのうちの少なくとも1つは、固体電解質粒子を含む[1]~[5]の何れか1項に記載の電極群。
[7] 前記第1電解質及び前記第2電解質のうちの少なくとも一方は、水系電解質である[1]~[6]の何れか1項に記載の電極群。
[8] 前記第1封止部及び前記第3封止部の少なくとも一方は、熱可塑性樹脂を含む[1]~[7]の何れか1項に記載の電極群。
[9] 前記第2封止部及び前記第4封止部の少なくとも一方は、熱硬化性樹脂を含む[1]~[8]の何れか1項に記載の電極群。
[10] 前記熱可塑性樹脂の融点は、50℃以上150℃以下の範囲内にある[8]に記載の電極群。
[11] 前記第1セパレータと、前記正極と、前記第2セパレータと、前記負極と、前記第3セパレータとがこの順で積層された積層体を複数備え、
前記複数の積層体は、前記積層方向に沿って積層されており、
前記積層方向について隣り合う2つの積層体において、一方の積層体が具備する前記第3セパレータと、他方の積層体が具備する前記第1セパレータとは同一のセパレータであり、
前記複数の積層体の間で、複数の前記第2封止部の位置は、前記積層方向に沿って重複しており、
前記複数の積層体の間で、複数の前記第4封止部の位置は、前記積層方向に沿って重複している[1]~[10]の何れか1項に記載の電極群。
[12] 第1セパレータと、正極活物質含有層と、集電体と、負極活物質含有層と、第2セパレータとをこの順で積層して備えており、
前記第1セパレータと前記集電体との対向部の外周のうち、一部は第1封止部により封止されており、他の部分は第2封止部により封止されており、前記第1セパレータと前記集電体との間には第1空間が規定され、
前記集電体と前記第2セパレータとの対向部の外周のうち、一部は第3封止部により封止されており、他の部分は第4封止部により封止されており、前記集電体と前記第2セパレータとの間には第2空間が規定され、
前記第1空間は、前記正極活物質含有層及び第1電解質を内包しており、
前記第2空間は、前記負極活物質含有層及び第2電解質を内包しており、
前記第2封止部の位置と前記第4封止部の位置とは、前記第1セパレータ、前記正極活物質含有層、前記集電体、前記負極活物質含有層、及び、前記第2セパレータの積層方向に沿って重複していないバイポーラ型電極群。
[13] 内部に収納空間を有する外装部材と、
[1]~[11]の何れか1項に係る電極群、及び、[12]に記載のバイポーラ型電極群からなる群より選択される少なくとも1つとを備え、
前記電極群及び前記バイポーラ型電極群からなる群より選択される前記少なくとも1つは、前記収納空間に収納されている二次電池。
[14] [13]に記載の二次電池を具備した電池パック。
[15] 通電用の外部端子と、保護回路とを更に具備する[14]に記載の電池パック。
[16] 複数の前記二次電池を具備し、前記二次電池が、直列、並列、又は、直列及び並列を組み合わせて電気的に接続されている[14]又は[15]に記載の電池パック。
[17] [14]~[16]の何れか1項に記載の電池パックを具備する車両。
[18] [14]~[16]の何れか1項に記載の電池パックを具備する定置用電源。
【符号の説明】
【0224】
2…外装部材(容器)、3…第1空間、4…第2空間、5…収納空間、6…正極、7…負極、8…セパレータ、9…集電体、10…電極群、11…バイポーラ型電極群、13…正極活物質含有層、14…正極リード、16…負極活物質含有層、17…負極リード、18…蓋、19…正極集電体、20…負極集電体、21…正極端子、22…負極端子、23…絶縁部材、24…粘着テープ、25…絶縁部材、26…第1電解質、27…第2電解質、28…第2封止部、29…第1封止部、30…第4封止部、31…第3封止部、33…保護シート、34…プリント配線基板、35…配線、40…車両本体、50…積層体、60…開口部、61…開口部、70…封止部、71…封止部、100…二次電池、101…第1領域、102…第2領域、110…システム、111…発電所、112…定置用電源、113…需要家側電力系統、115…エネルギー管理システム(EMS)、116…電力網、117…通信網、118…電力変換装置、121…電力変換装置、122…電力変換装置、123…定置用電源、200…組電池、300…電池パック、300A…電池パック、300B…電池パック、310…収容容器、320…蓋、341…負極側コネクタ、342…正極側コネクタ、343…サーミスタ、344…保護回路、345…配線、346…配線、347…通電用の外部端子、348a…マイナス側配線、348b…プラス側配線、400…車両。