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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-08
(45)【発行日】2024-03-18
(54)【発明の名称】値比較装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 1/00 20060101AFI20240311BHJP
   H03K 5/08 20060101ALI20240311BHJP
   H03K 19/21 20060101ALI20240311BHJP
【FI】
H02J1/00 306K
H03K5/08 P
H03K19/21
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021045485
(22)【出願日】2021-03-19
(65)【公開番号】P2022144457
(43)【公開日】2022-10-03
【審査請求日】2022-07-29
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、実施許諾の用意がある。
(73)【特許権者】
【識別番号】521117665
【氏名又は名称】高場 信豪
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】高場 信豪
【審査官】田中 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-200739(JP,A)
【文献】特開2008-005196(JP,A)
【文献】特開2010-117384(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 1/00
H03K 5/08
H03K 19/21
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
つの入力値を入力し比較結果に基づいて所定の処理をする値比較装置であって、
2つの前記入力値を入力して論理演算結果を出力する論理演算器と、
前記論理演算結果を入力して積分した積分値を出力する積分器と、
反転入力端子と非反転入力端子とを有し、一方の入力端子に前記積分値を入力し、他方の入力端子に基準値を入力して比較し、高又は低のいずれかの出力値を出力する2つのコンパレータと、を備え、
前記積分値が増加すると、2つの前記コンパレータから出力する前記出力値を低から高又は高から低に切り替え、
2つの前記コンパレータに入力される前記基準値を等しい値とした場合に、2つの前記コンパレータから出力される前記出力値の切り替えタイミングを同じにする前記所定の処理をし、
2つの前記コンパレータに入力される前記基準値を異なる値とした場合に、2つの前記コンパレータから出力される前記出力値の切り替えタイミングを異ならせる前記所定の処理をする値比較装置
【請求項2】
前記積分値が増加すると、2つの前記コンパレータから出力する前記出力値をいずれも低から高へ切り替える処理、2つの前記コンパレータから出力する前記出力値をいずれも高から低へ切り替える処理、又は、一方の前記コンパレータから出力する前記出力値を低から高へ切り替え他方の前記コンパレータから出力する前記出力値を高から低へ切り替える処理、のいずれか1つの前記所定の処理をする、
請求項1に記載の値比較装置。
【請求項3】
2つの前記入力値が不一致である場合に、当該値比較装置に供給される電源を遮断する、当該値比較装置が制御している電源装置を制御して当該値比較装置以外に供給される電源を遮断する、又は、当該値比較装置が制御している電源装置を制御して当該値比較装置以外に供給される電流の値を調整する、の少なくともいずれか1つの前記所定の処理をする、
請求項1又は請求項2に記載の値比較装置。
【請求項4】
当該値比較装置の電源の投入から所定時間以内に、当該値比較装置に供給される電源を遮断する、当該値比較装置が制御している電源装置を制御して当該値比較装置以外に供給される電源の供給を遮断する、又は、当該値比較装置が制御している電源装置を制御して当該値比較装置以外に供給される電流の値を調整する、の少なくともいずれか1つの前記所定の処理をする、
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の値比較装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、双線型写像を応用し、電圧等の入力値を比較してその結果を出力する値比較装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電圧等入力し、その値を比較して比較結果を出力する値比較装置として、例えば、特許文献1が開示されている。特許文献1に開示されている電圧比較回路は、比較器の出力電圧に応じて所定のヒステリシス電圧幅を持たせて比較器の比較電圧を変化させる電圧比較回路において、一端が比較器の出力端子に接続され、他端に基準電圧に応じた電圧が印加され、比較器の出力電圧に応じてオンまたはオフするダイオードを備え、このダイオードがオフしている時は、基準電圧が比較器の比較電圧となるように構成されたものである。
【0003】
また、双線型写像を応用した値比較装置には様々なものがあり、以下に値比較装置の代表的な例を何点か示す。
【0004】
サーミスタ(thermistor)は、通電による発熱を利用して、ある温度を超えると急激に電気抵抗が変化する材料の性質を利用している。これは内部に基準温度(ヒステリシスが有り得るので単一の温度とは限らない)を持つことによって、外部からの入力電流との間に値比較装置を形成し所望の動作を実現していると言える。
【0005】
また、増幅回路はアナログ信号などの2系統の電圧や電流の関係から(理論上、又は理想的に)無限大に増幅された出力(実際には飽和電圧)を得られるように、1つ以上の能動素子(トランジスタなど)と1つ以上の抵抗素子によって比較器(comparator)を構成し、値比較装置として使用する場合がある。
【0006】
そして、1つ以上の能動素子(トランジスタなど)と1つ以上の抵抗素子(resistor)によって、増幅度が1以上の演算増幅器(operational amplifier)を構成する事ができるが、2つの演算増幅器の間に、少なくとも1つ以上のキャパシタ(capacitor)と、更に、必要であれば複数の抵抗素子によって構成される積分器(能動素子を加えてもよい)、又は、微分器(上記と同様に能動素子を加えてもよい)を追加することによって値比較装置を構成して、2状態系を実装した発振回路(multivibrator)を実現する事ができる。
【0007】
更に、中央演算処理装置(CPU)の内部などでは、2つ以上の有限状態装置(finite state machine)を含むのが一般的であるが、CPU全体の動作を調整し仕様通りに動作させるために有限状態装置間に値比較装置を構成した回路(glue logic)を設ける場合がある。
【0008】
移動する装置に設置された直流モーターを駆動するための電源としては電池(battery)がよく用いられる方法であるが、直流モーターを複数設置し、それぞれの直流モーター専用に別々の電池を接続して運用するような移動装置の場合、電池の1つに供給電力(電圧)の低下などの不具合(或いは、事故)が生じたために、直流モーターの1つが突然使用不能に陥る危険がある。
このような直流モーターの突然の使用不可能を回避して安全に停止するまでの時間確保や代替電源の自動的な接続によって運用時間の延長をする事が、移動装置の適切な場所にダイオード素子(diode)1本(或いは数本)を追加して値比較装置を構成することにより可能になる。
【0009】
その他、シグモイド関数やMiniMax関数などの確率関数や密度関数を基にした回路で値比較装置を構成して、それを更に複数連結してテンソルモデルを構成し、それらを内蔵したカルマンフィルター(Kalman filter)のような装置も実現されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開2011-97396号公報
【非特許文献】
【0011】
【文献】はじめてのMaxima(改訂α17版) 平成23年2月20日(日)
【文献】Finite extinction time for the solutions to the Ricci flow on certain three-manifolds, 2003年7月17日
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、特許文献1に開示された従来技術では、値を比較した結果を1つのVoutとして出力するものであり、値を比較した結果を複数の出力として様々な目的に活用することができなかった。
【0013】
そこで、本開示は、値を比較した結果を複数の出力として様々な目的に活用することができる値比較装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、上記目的を達成するために以下によって把握される。
(1)本発明の値比較装置は、双線型写像を応用した、2つの入力値を入力し比較結果に基づいて所定の処理をする。
(2)上記(1)において、2つの前記入力値が不一致である場合に、当該値比較装置に供給される電源を遮断する、当該値比較装置が制御している電源装置を制御して当該値比較装置以外に供給される電源を遮断する、又は、当該値比較装置が制御している電源装置を制御して当該値比較装置以外に供給される電流の値を調整する、の少なくともいずれか1つの前記所定の処理をする。
(3)上記(1)又は(2)において、当該値比較装置の電源の投入から所定時間以内に、当該値比較装置に供給される電源を遮断する、当該値比較装置が制御している電源装置を制御して当該値比較装置以外に供給される電源の供給を遮断する、又は、当該値比較装置が制御している電源装置を制御して当該値比較装置以外に供給される電流の値を調整する、の少なくともいずれか1つの前記所定の処理をする。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、値を比較した結果を複数の出力として様々な目的に活用することができる値比較装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係る値比較装置の構成図である。
図2】本発明の実施形態に係る値比較装置のコンパレータの出力の例を示す図である。
図3】本発明の実施形態に係る値比較装置のコンパレータの出力の例を示す図である。
図4】本発明の実施形態に係る値比較装置のコンパレータの出力の例を示す図である。
図5】本発明の実施形態に係る値比較装置のコンパレータの出力の例を示す図である。
図6】本発明の実施形態に係る値比較装置のコンパレータの出力の例を示す図である。
図7】本発明の実施形態に係る値比較装置のコンパレータの出力の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照しながら各実施形態について詳細に説明する。
なお、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号又は符号を付している。
【0018】
図1は、本発明の実施形態に係る値比較装置1の構成図である。
図1を用いて、本発明の実施形態に係る値比較装置1について説明する。
【0019】
本実施形態に係る値比較装置1は、双線型写像を応用した、2つの入力値を入力し比較結果に基づいて所定の処理をする値比較装置1である。具体的には、例えば、双線型写像を応用した、2つの入力値を入力する値比較装置1であって、2つの入力値である入力値S1in及び入力値S2inを入力して論理演算結果Soutを出力する論理演算器10と、論理演算結果Soutを入力して積分した積分値Vintを出力する積分器20と、積分値Vintと基準値を入力して比較し、比較結果を出力する2つのコンパレータ30及びコンパレータ40と、を有し、コンパレータ30及びコンパレータ40の比較結果である出力値V1out及び出力値V2outに基づいて所定の処理をするものである。
【0020】
図1には示されていないが、値比較装置1の電源は単電源でも正負両電源でもよい。また、図示されている出力端子は、必ずしも全てを使用しなくてもよい。図1において、出力端子50は論理演算結果Soutを出力する端子であり、出力端子51は積分値Vintを出力する端子であり、これらは様々な演算回路、制御回路、装置などに接続して様々な目的に使用することができる。図1では論理演算結果Soutを出力する出力端子50、積分値Vintを出力する出力端子51はそれぞれ1つであるが、これに限定されず、それぞれ2つ、3つ、又はそれ以上を設けてもよい。
【0021】
論理演算器10に入力される2つの入力値である入力値S1in及び入力値S2inは、論理演算器10の入力端子11に入力値S1inが入力され、入力端子12に入力値S1inが入力される。
【0022】
論理演算器10の入力端子11、12は、例えば、検知回路や値生成回路、メモリ読出し回路、又は、本実施形態に係る値比較装置1を更にひとつ構成したもの、などの出力がそれぞれに接続されるようにしてもよい。
【0023】
論理演算器10は、図1では排他的論理和であるが、これに限定されるものではなく、例えば、AND(論理積)、OR(論理和)、NOT(論理反転)などを組み合わせた組合せ論理回路であってもよく、時相論理回路などであってもよい。また、2つの2値入力となっているが、これに限定されるものではなく、例えば、2つの多値入力であってもよい。
【0024】
論理演算器10が、図1で示すように排他的論理和である場合には、入力値S1inと入力値S2inが等しい場合には、論理演算結果Soutとして「0」が出力され、入力値S1inと入力値S2inが異なる場合には、論理演算結果Soutとして「1」が出力される。
【0025】
積分器20は、抵抗21と、コンデンサ22と、このコンデンサ22と並列に接続された演算増幅器23と、を有するものである。積分器20には、端子26により、論理演算器10が出力する論理演算結果Soutが入力される。演算増幅器23には、非反転入力端子である第1入力端子24に基準電圧V3が入力され、反転入力端子である第2入力端子25に抵抗21を通過後の論理演算結果Soutの値が入力される。
【0026】
図1に示す構成において、積分器20の出力は論理演算結果Soutの極性に対して反転される。したがって、極性を反転しないようにしたい場合には、図示しない極性反転手段を積分器20の出力側に接続して、積分器20の出力の極性を論理演算結果Soutの極性に合わせるようにしてもよいし、非反転型の積分器を用いてもよい。積分器20において、論理演算結果Soutの値が積分されて積分値Vintとして出力される。
【0027】
基準電圧V3は、図示しない電源の正側と負側(あるいは、グランド(GND))を2本の抵抗素子で分圧して生成してもよいし、同様に両電源間に可変抵抗器を接続してその中点を使用してもよい。あるいは、レギュレータ回路を構成して接続してもよい。
【0028】
なお、論理演算器10はデジタル回路であり、積分器20はアナログ回路である。このようにデジタル回路とアナログ回路の接続を行う場合には、デジタル回路側の吸込み電流と吐き出し電流が足りないために所望の変換が得られない場合がある。十分な吸込み電流と吐き出し電流を確保して、このような変換不良を防止するために、CMOS素子でプッシュプル回路を構成して、論理演算器10と積分器20の間にバッファ回路として挿入してもよい。
【0029】
2つのコンパレータ30及びコンパレータ40は、第1入力端子31、41と、第2入力端子32、42と、第1電源端子33、43と、第1電源端子33、43より低い電圧が印加される第2電源端子34、44と、出力端子35、45と、を備えている。
【0030】
2つのコンパレータ30及びコンパレータ40は、第1入力端子31、41の電位が第2入力端子32、42の電位より高い場合に第1電源端子33、43に印加された電圧を出力値V1out、出力値V2outとして出力端子35、45より出力し、第1入力端子31、41の電位が第2入力端子32、42の電位より低い場合に第2電源端子34、44に印加された電圧を出力値V1out、出力値V2outとして出力端子35、45より出力する。
【0031】
積分器20が出力した積分値Vintは、2つのコンパレータ30及びコンパレータ40に入力される。図1において、積分値Vintは、2つのコンパレータの一方であるコンパレータ30において反転入力端子である第2入力端子32に入力され、他方であるコンパレータ40において非反転入力端子である第1入力端子41に入力されるように示されている。しかし、これに限定されず、積分値Vintは、コンパレータ30の非反転入力端子である第1入力端子31とコンパレータ40の反転入力端子である第2入力端子42に入力されてもよく、あるいは、コンパレータ30及びコンパレータ40の非反転入力端子である第1入力端子31、41に入力されてもよく、コンパレータ30及びコンパレータ40の反転入力端子である第2入力端子32、42に入力されてもよい。
【0032】
コンパレータ30及びコンパレータ40において、積分値Vintが入力されない側の入力端子には、基準値V1及び基準値V2が入力される。基準値V1及び基準値V2は、等しい値でもよく、異なる値でもよい。
【0033】
図2図7は、本発明の実施形態に係る値比較装置1のコンパレータ30、40の出力の例を示す図である。図2図7は、いずれも、論理演算器10の入力値S1inと入力値S2inが異なり、論理演算結果Soutとして「1」が出力される場合を示している。また、図2図5において、第2電源端子34、第2電源端子44が接地されている場合を示しており、第2電源端子34の電圧VL1、第2電源端子44の電圧VL2は、それぞれGNDになっているが、図6図7に示すように、これに限定されるものではない。
【0034】
なお、論理演算器10が図1に示すように排他的論理和であり、論理演算器10の入力値S1inと入力値S2inが等しく、論理演算結果Soutとして「0」が出力される場合には、積分値Vintが初期値の状態を維持するため、コンパレータ30、40の出力も初期値の状態を維持する。
【0035】
図2は、図1に示すように、2つのコンパレータの一方であるコンパレータ30において、積分値Vintが反転入力端子である第2入力端子32に入力され、基準値V1が非反転入力端子である第1入力端子31に入力される。一方、2つのコンパレータの他方であるコンパレータ40において、積分値Vintが非反転入力端子である第1入力端子41に入力され、基準値V2が反転入力端子である第2入力端子42に入力される。また、基準値V1及び基準値V2が異なり、基準値V2が基準値V1より高い値である場合を示している。
【0036】
積分値Vintが基準値V1より小さい場合には、コンパレータ30は第1電源端子33の電圧VH1を出力値V1outとして出力端子35より出力する。基準値V2は基準値V1より高いため、コンパレータ40は第2電源端子44の電圧VL2、すなわち、GNDを出力値V2outとして出力端子45より出力する。
【0037】
積分値Vintが増加していき基準値V1に達してこれを超えると、コンパレータ30は第2電源端子34の電圧VL1、すなわちGNDを出力値V1outとして出力端子35より出力し、この出力を継続する。
【0038】
更に積分値Vintが増加していき基準値V2に達してこれを超えると、コンパレータ40は第1電源端子43の電圧VH2を出力値V2outとして出力端子45より出力し、この出力を継続する。
【0039】
このように、図2に示す場合には、積分値Vintが増加していくと、コンパレータ30はGNDを出力値V1outとして出力端子35より出力し、コンパレータ40は電圧VH2を出力値V2outとして出力端子45より出力する状態を継続するようになる。
【0040】
図3は、積分値Vintが、コンパレータ30の非反転入力端子である第1入力端子31とコンパレータ40の非反転入力端子である第1入力端子41に入力され、基準値V1、基準値V2が反転入力端子である第2入力端子32、42に入力され、基準値V1及び基準値V2が異なり、基準値V2が基準値V1より高い値である場合を示している。
【0041】
積分値Vintが、基準値V1より低い場合には、出力値V1out、出力値V2outともGNDである。積分値Vintが増加していき基準値V1に達してこれを超えると、コンパレータ30は第1電源端子33の電圧VH1を出力値V1outとして出力端子35より出力し、この出力を継続する。
【0042】
更に積分値Vintが増加していき基準値V2に達してこれを超えると、コンパレータ40は第1電源端子43の電圧VH2を出力値V2outとして出力端子45より出力し、この出力を継続する。
【0043】
このように、図3に示す場合には、積分値Vintが増加していくと、コンパレータ30は電圧VH1を出力値V1outとして出力端子35より出力し、コンパレータ40は電圧VH2を出力値V2outとして出力端子45より出力する状態を継続するようになる。
【0044】
図4は、図1に示すように、積分値Vintが、コンパレータ30の反転入力端子である第2入力端子32とコンパレータ40の非反転入力端子である第1入力端子41に入力され、基準値V1及び基準値V2が等しい値である場合を示している。
【0045】
図4に示す出力の変化は図2に示す場合と基本的には同様であるが、基準値V1及び基準値V2が等しい値であるため、出力値V1outが電圧VH1からGNDに変化するタイミングと出力値V2outがGNDから電圧VH2に変化するタイミングが同時である点が異なる。
【0046】
したがって、図4に示す場合には、積分値Vintが増加していくと、コンパレータ30はGNDを出力値V1outとして出力端子35より出力し、コンパレータ40は電圧VH2を出力値V2outとして出力端子45より出力する状態を継続するようになる。
【0047】
図5は、積分値Vintが、コンパレータ30の非反転入力端子である第1入力端子31とコンパレータ40の非反転入力端子である第1入力端子41に入力され、基準値V1及び基準値V2が等しい値である場合を示している。
【0048】
図5に示す出力の変化は図3に示す場合と基本的には同様であるが、基準値V1及び基準値V2が等しい値であるため、出力値V1outがGNDから電圧VH1に変化するタイミングと出力値V2outがGNDから電圧VH2に変化するタイミングが同時である点が異なる。
【0049】
したがって、図5に示す場合には、積分値Vintが増加していくと、コンパレータ30は電圧VH1を出力値V1outとして出力端子35より出力し、コンパレータ40は電圧VH2を出力値V2outとして出力端子45より出力する状態を継続するようになる。
【0050】
このように、本実施形態に係る値比較装置1は、積分器20が、論理演算器10が出力する論理演算結果Soutを積分して積分値Vintを出力し、コンパレータ30、コンパレータ40に入力される積分値Vintが漸次上昇して基準値V1、基準値V2の値に達してこれらを超える状態になることで、コンパレータ30、コンパレータ40の出力値V1outが電圧VL1及び電圧VH1において変化し、出力値V2outが電圧VL2及び電圧VH2において変化するものである。
【0051】
図2-5に示す場合のように、積分値Vintを入力するコンパレータ30、コンパレータ40の端子や基準値V1、基準値V2の値の設定、あるいは、電圧VH1、電圧VL1、電圧VH2、電圧VL2の値の設定により、コンパレータ30、コンパレータ40の出力値V1out及び出力値V2outを様々なパターンにすることができる。したがって、コンパレータ30、コンパレータ40の出力値V1out及び出力値V2outを様々な目的に活用することができる。
【0052】
具体的には、図2図4に示す場合のように、コンパレータ30において積分値Vintが反転入力端子である第2入力端子32に入力され、コンパレータ40において積分値Vintが非反転入力端子である第1入力端子41に入力されるように構成することで、積分値Vintが基準値V1、V2より大きな値に増加して継続した出力となった場合に、コンパレータ30は低い出力値V1outである電圧VL1(=GND)を出力し、コンパレータ40は高い出力値V2outである電圧VH2を出力するため、電圧VL1(=GND)を用いて値比較装置1が制御する装置の電源を遮断し、電圧VH2を用いて値比較装置1が制御する別の装置に電源を供給して動作させるような制御、すなわち所定の処理を行うことができる。また、基準値V1、V2の値を調整することで、電圧VL1(=GND)と電圧VH2を供給するタイミングを図2に示すようにずらしたり、図4に示すように同時にしたりすることができる。
【0053】
図3図5に示すように、コンパレータ30、コンパレータ40において積分値Vintが非反転入力端子である第1入力端子31、41に入力されるように構成することで、積分値Vintが基準値V1、V2より大きな値に増加して継続した出力となった場合に、コンパレータ30は高い出力値V1outである電圧VH1を出力し、コンパレータ40は高い出力値V2outである電圧VH2を出力するため、異なる電圧である電圧VH1と電圧VH2を用いて値比較装置1が制御する装置に異なる電圧の電源を供給して動作させるような制御を行うことができる。また、基準値V1、V2の値を調整することで、電圧VH1と電圧VH2を供給するタイミングを図3に示すようにずらしたり、図5に示すように同時にしたりすることができる。
【0054】
図6は、積分値Vintが、コンパレータ30の反転入力端子である第2入力端子32とコンパレータ40の反転入力端子である第2入力端子42に入力され、基準値V1及び基準値V2が等しい場合を示している。また、コンパレータ30の第2電源端子34に印加される電圧VL1はGNDであり、コンパレータ40の第2電源端子44に印加される電圧VL2はGNDではなくGNDより高い電位となっている。
【0055】
図7は、積分値Vintが、コンパレータ30の反転入力端子である第2入力端子32とコンパレータ40の反転入力端子である第2入力端子42に入力され、基準値V1及び基準値V2が異なり、基準値V2が基準値V1より高い値である場合を示している。また、コンパレータ30の第2電源端子34に印加される電圧VL1はGNDであり、コンパレータ40の第2電源端子44に印加される電圧VL2はGNDではなくGNDより高い電位となっているのは図6の場合と同様である。
【0056】
図6において、積分値Vintが基準値V1及び基準値V2より小さい場合には、コンパレータ30は第1電源端子33の電圧VH1を出力値V1outとして出力端子35より出力する。同様に、コンパレータ40は第1電源端子43の電圧VH2を出力値V2outとして出力端子45より出力する。
【0057】
そして、値比較装置1の電源の投入から時間tが経過し、積分値Vintが基準値V1(=基準値V2)に達してこれを超えると、コンパレータ30は第2電源端子34の電圧VL1、すなわちGNDを出力値V1outとして出力端子35より出力し、この出力を継続する。
【0058】
同様に、コンパレータ40は第2電源端子44の電圧VH2を出力値V2outとして出力端子45より出力し、この出力を継続する。
【0059】
このように、図6に示す場合には、積分値Vintが増加していくと、コンパレータ30はGNDを出力値V1outとして出力端子35より出力し、コンパレータ40は電圧VH2を出力値V2outとして出力端子45より出力する状態を継続するようになる。
【0060】
図7は、図6に示す場合に対して基準値V1と基準値V2が異なり、基準値V2が基準値V1より高い値である点が異なるものである。このため、値比較装置1の電源の投入から時間t1が経過し、積分値Vintが基準値V1に達してこれを超えると、コンパレータ30は第2電源端子34の電圧VL1、すなわちGNDを出力値V1outとして出力端子35より出力し、この出力を継続する。この時点で、コンパレータ40は第1電源端子43の電圧VH2を出力値V2outとして出力端子45より出力したままである。
【0061】
値比較装置1の電源の投入から時間t2が経過し、更に積分値Vintが増加して基準値V2に達してこれを超えると、コンパレータ40は第2電源端子44の電圧VL2を出力値V2outとして出力端子45より出力し、この出力を継続する。
【0062】
このように、図6図7で示す例は、基準値V1及び基準値V2が等しいか異なるかにより、コンパレータ30、コンパレータ40の出力値V1out、出力値V2outが電圧VH1、電圧VH2から電圧VL1(=GND)、電圧VL2に切り替わるタイミングが図6では時間tで同時であり、図7では時間t1と時間t2にずれる点が異なるものである。
【0063】
本実施形態に係る値比較装置1は、2つの入力値S1in及び入力値S2inが不一致である場合に、値比較装置1に供給される電源を遮断する、値比較装置1が制御している電源装置を制御して値比較装置1以外に供給される電源を遮断する、又は、値比較装置1が制御している電源装置を制御して値比較装置1以外に供給される電流の値を調整する、の少なくともいずれか1つの所定の処理をするものである。
【0064】
コンパレータ30、コンパレータ40の出力端子35及び/又は出力端子45を値比較装置1及び/又は値比較装置1以外の装置等の電源入力端子に直接接続しないで、出力端子35又は出力端子45と値比較装置1及び/又は値比較装置1以外の装置等の電源入力端子の間に値比較装置1が制御している電源装置を配置し、この電源装置を制御して値比較装置1及び/又は値比較装置1以外の装置等の電源を制御するようにしてもよい。この場合、電源装置は出力端子35又は出力端子45の出力値V1out及び/又は出力値V2outに基づいてこの電源装置を制御することになる。
【0065】
また、値比較装置1及び/又は値比較装置1以外の装置等の電源入力端子にコンパレータ30、コンパレータ40の出力端子35又は出力端子45を直接接続してもよい。この場合、値比較装置1及び/又は値比較装置1以外の装置等の電源として出力値V1out又は出力値V2outを供給するように構成することで、値比較装置1における比較結果によりこれらの電源供給を直接制御することができる。
【0066】
図6で示す場合において、例えば、コンパレータ30の出力端子35と値比較装置1及び値比較装置1以外の装置等の電源入力端子が直接接続されていると、積分値Vintが基準値V1に達してこれを超えると、出力端子35の出力値V1outが電圧VH1から電圧VL1(=GND)に変動し、電源投入から所定の時間である時間tが経過した時点で値比較装置1及び値比較装置1以外の装置等の電源が遮断される。
【0067】
また、コンパレータ30の出力端子35と値比較装置1の電源入力端子が直接接続され、コンパレータ40の出力端子45と値比較装置1以外の装置等の電源入力端子が直接接続されている場合には、積分値Vintが基準値V1(=V2)に達してこれを超えると、出力端子35の出力値V1outが電圧VH1から電圧VL1(=GND)に変動し、出力端子45の出力値V2outが電圧VH2から電圧VL2に変動するため、電源投入から時間tが経過した時点で値比較装置1の電源が遮断され、値比較装置1以外の装置等の電源が電圧VL2に調整され、したがって電流の供給が調整(制限)される。
【0068】
同様に、コンパレータ30の出力端子35と値比較装置1の電源入力端子が直接接続され、コンパレータ40の出力端子45と値比較装置1以外の装置等の電源入力端子が直接接続されている場合であって、図7に示す場合には、基準値V1と基準値V2が異なるため、電源投入から時間t1が経過した時点で値比較装置1の電源が遮断され、電源投入から時間t2が経過した時点で値比較装置1以外の装置等の電源が電圧VL2に調整され、したがって電流の供給が調整(制限)される。
【0069】
このように、本実施形態に係る値比較装置1は、値比較装置1の電源の投入から所定時間、すなわち、図6においては時間t、図7においては時間t1、時間t2以内に、値比較装置1に供給される電源を遮断する、値比較装置1が制御している電源装置を制御して値比較装置1以外に供給される電源の供給を遮断する、又は、値比較装置1が制御している電源装置を制御して値比較装置1以外に供給される電流の値を調整する、の少なくともいずれか1つの所定の処理をするものである。そして、値比較装置1が制御している電源装置は、出力端子35、45の出力値V1out、出力値V2outを直接電源として使用するようにして、値比較装置1がこの電源装置を兼ねるようにしてもよい。
【0070】
値比較装置1は、2つのコンパレータ30、コンパレータ40に入力する基準値V1及び基準値V2が異なる状態と等しい状態を切り替え可能に構成してもよい。例えば、図示しないスイッチなどの切り替え手段を備え、これにより、基準値V1及び基準値V2が異なる状態と等しい状態を切り替え可能に構成してもよい。
【0071】
このようにすることで、コンパレータ30、コンパレータ40の出力端子35又は出力端子45が、電圧VH1と電圧VL1、電圧VH2と電圧VL2の間で変化するタイミングを異なるタイミングにしたり、同時にしたりすることができる。
【0072】
また、例えば、図示しないスイッチや可変抵抗器などの切り替え手段を備え、これにより電圧VH1、電圧VL1、電圧VH2、電圧VL2の値を変更可能にして、コンパレータ30、コンパレータ40の出力値V1out、出力値V2outの値を変更可能に構成してもよい。例えば、電圧VL1や電圧VL2をGNDにしたり、所定の電位にしたりすることで、電源の遮断する状態と所定値に調整する状態を切り替えることが可能になる。
【0073】
コンパレータ30、コンパレータ40の出力端子35、出力端子45には、演算回路、モーターや電源などの制御回路、本実施形態に係る値比較装置1をもうひとつ構成したもの、などを接続してもよい。
【0074】
また、積分器20において、コンデンサ22に並列してアナログスイッチを設け、このアナログスイッチをON(接続)することで積分器20を放電させ、積分値Vintを初期値にリセットできるように構成してもよい。このようにすることで、必要に応じて値比較装置1の状態を初期値に戻す制御を行うことができる。そして、アナログスイッチをOFF(遮断)することで積分器20の積分を初期値から再開することができる。
【0075】
以上の説明のとおり、本開示によれば、値を比較した結果を複数の出力として様々な目的に活用することができる値比較装置1を提供することができる。
【0076】
以上、具体的な実施形態に基づいて本発明を説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形や改良を実施しても良い。
【0077】
このように、本発明は、具体的な実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形や改良を施したものも本発明の技術的範囲に含まれるものであり、そのことは、当業者にとって特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0078】
1 値比較装置
10 論理演算器
11 入力端子
12 入力端子
20 積分器
21 抵抗
22 コンデンサ
23 演算増幅器
24 第1入力端子
25 第2入力端子
26 端子
30 コンパレータ
31 第1入力端子
32 第2入力端子
33 第1電源端子
34 第2電源端子
35 出力端子
40 コンパレータ
41 第1入力端子
42 第2入力端子
43 第1電源端子
44 第2電源端子
45 出力端子
50 出力端子
51 出力端子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7