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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-08
(45)【発行日】2024-03-18
(54)【発明の名称】内燃機関
(51)【国際特許分類】
   F02B 19/10 20060101AFI20240311BHJP
   F02B 19/16 20060101ALI20240311BHJP
   F02B 23/00 20060101ALI20240311BHJP
   F02M 37/00 20060101ALI20240311BHJP
   F02D 41/30 20060101ALI20240311BHJP
   F02D 41/02 20060101ALI20240311BHJP
   F02D 19/02 20060101ALI20240311BHJP
   F02B 43/00 20060101ALI20240311BHJP
   F02M 21/02 20060101ALI20240311BHJP
   F02M 25/00 20060101ALI20240311BHJP
【FI】
F02B19/10 P
F02B19/16 A
F02B19/16 H
F02B23/00 F
F02B19/10 G
F02M37/00 341D
F02D41/30
F02D41/02
F02D19/02 D
F02B43/00 A
F02M21/02 L
F02M21/02 N
F02M25/00 H
F02M25/00 L
【請求項の数】 13
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021114954
(22)【出願日】2021-07-12
(65)【公開番号】P2022019616
(43)【公開日】2022-01-27
【審査請求日】2021-09-02
(31)【優先権主張番号】PA 2020 70490
(32)【優先日】2020-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(73)【特許権者】
【識別番号】519441006
【氏名又は名称】マン・エナジー・ソリューションズ、フィリアル・エフ・マン・エナジー・ソリューションズ・エスイー、ティスクランド
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】ラッセ・ヘンツェ
(72)【発明者】
【氏名】ステファン・マイヤー
(72)【発明者】
【氏名】ヨハン・ハルト
【審査官】鶴江 陽介
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-522941(JP,A)
【文献】実開昭56-079622(JP,U)
【文献】特開平05-033653(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02998537(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02B 19/10
F02B 19/16
F02B 23/00
F02M 37/00
F02D 41/30
F02D 41/02
F02D 19/02
F02B 43/00
F02M 21/02
F02M 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関であって、少なくとも1つのシリンダと、シリンダカバーと、ピストンと、燃料供給システムと、掃気空気システムとを備え、前記シリンダはシリンダ壁を有し、前記シリンダカバーは前記シリンダの上部に配置されており、かつ排気弁を有し、前記ピストンは、下死点と上死点との間で中心軸に沿って前記シリンダ内に移動可能に配置されており、前記掃気空気システムは、前記シリンダの底部に配置された掃気空気入口を有し、前記燃料供給システムは、前記ピストンと前記シリンダカバーとの間に画定された主燃焼室内に燃料を噴射するように構成されており、ここにおいて、前記機関は予燃焼室セットを更に備え、前記予燃焼室セットは、内側予燃焼室及び外側予燃焼室を備え、前記外側予燃焼室は、第1の開口部を通して前記主燃焼室に開口しているとともに前記内側予燃焼室に流体接続されており、ここにおいて、前記内側予燃焼室には、前記予燃焼室セット内の燃料/空気混合気を着火させるように構成された着火システムが設けられており、前記着火の結果、トーチが前記主燃焼室内に伝播して前記主燃焼室内の燃料を着火させ、
前記燃料供給システムは燃料ガス供給システムであり、前記燃料ガス供給システムは、圧縮ストローク中に前記シリンダ内に燃料ガスを噴射するように構成された燃料ガス弁を備え、前記燃料ガスが掃気空気と混合することができ、掃気空気と燃料ガスの混合気を着火前に圧縮することを可能にし、
前記着火システムは、前記内側予燃焼室に配置されたパイロット燃料弁を備え、前記パイロット燃料弁は、自己着火パイロット燃料を前記内側予燃焼室内に噴射するように構成され、前記予燃焼室セットは、前記自己着火パイロット燃料を着火させるための温度及び圧力を提供するように構成され、それによって、前記予燃焼室セット内の前記燃料/空気混合気を着火させ、前記パイロット燃料弁によって前記内側予燃焼室に噴射されるパイロット燃料の量は、燃焼サイクル中に前記シリンダに提供される燃料の総量のうちのごく一部を構成する、2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関。
【請求項2】
前記機関は、前記予燃焼室セットと接続状態で設けられた予燃焼室セットパイロットガス弁を更に備え、前記予燃焼室セットパイロットガス弁は、前記予燃焼室セットにパイロット燃料ガスを供給するように構成されている、請求項1に記載の2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関。
【請求項3】
前記予燃焼室セットパイロットガス弁は、前記予燃焼室セットの一部であり、パイロット燃料ガスを前記予燃焼室セット内に直接噴射するように構成されている、請求項2に記載の2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関。
【請求項4】
前記予燃焼室セットパイロットガス弁は、前記着火システムの作動前に、前記外側予燃焼室内の平均空気燃料等量比λが、前記主燃焼室内の平均λよりも低くなることを保証するように構成されている、請求項2又は3に記載の2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関。
【請求項5】
前記パイロット燃料弁はノズルを有し、前記ノズルは、第1のノズル開口部及び第2のノズル開口部を備える、請求項1~4のいずれか一項に記載の2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関。
【請求項6】
前記パイロット燃料弁の前記ノズルは、中心ノズル軸に沿って延びており、前記第1のノズル開口部は、第1のノズル軸に沿って前記内側予燃焼室内に自己着火パイロット燃料を噴射するように構成され、前記第2のノズル開口部は、第2のノズル軸に沿って前記内側予燃焼室内に自己着火パイロット燃料を噴射するように構成されており、ここにおいて、前記第1のノズル軸及び前記第2のノズル軸は、前記中心ノズル軸に対して、5度~70度、10度~50度、又は15度~30度の角度で配置されている、請求項5に記載の2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関。
【請求項7】
前記第1のノズル軸は、前記中心ノズル軸に対して第1の角度で配置され、前記第2のノズル軸は、前記中心ノズル軸に対して第2の角度で配置されており、前記第1の角度は前記第2の角度とは異なる、請求項6に記載の2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関。
【請求項8】
前記パイロット燃料弁は、噴射期間中に前記自己着火パイロット燃料を噴射するように構成されており、前記自己着火パイロット燃料は、着火遅れ後に自己着火し、前記パイロット燃料弁は、前記自己着火パイロット燃料が自己着火する前に、燃焼サイクル中に噴射される前記自己着火パイロット燃料の少なくとも70%が噴射されていることを保証するように構成されている、請求項1~7のいずれか一項に記載の2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関。
【請求項9】
前記パイロット燃料弁は、未燃パイロット燃料物質が前記内側予燃焼室から噴出することを保証するために十分な量のパイロット燃料を前記内側予燃焼室内に噴射するように構成されている、請求項1~8のいずれか一項に記載の2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関。
【請求項10】
前記内側予燃焼室の内部容積は、前記外側予燃焼室の内部容積よりも小さい、請求項1~9のいずれか一項に記載の2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関。
【請求項11】
前記予燃焼室セットは第1のチャネルを備え、前記第1のチャネルは、前記内側予燃焼室に開口する第1の開口部と、前記外側予燃焼室に開口する第2の開口部とを有する、請求項1~10のいずれか一項に記載の2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関。
【請求項12】
前記予燃焼室セットは、取り外し可能な予燃焼室セットハウジングを備え、前記内側予燃焼室及び前記外側予燃焼室は、前記取り外し可能な予燃焼室セットハウジング内に配置されている、請求項1~11のいずれか一項に記載の2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関。
【請求項13】
2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関のための予燃焼室セットであって、少なくとも1つのシリンダと、シリンダカバーと、ピストンと、燃料供給システムと、掃気空気システムとを備え、前記シリンダはシリンダ壁を有し、前記シリンダカバーは前記シリンダの上部に配置されており、かつ排気弁を有し、前記ピストンは、下死点と上死点との間で中心軸に沿って前記シリンダ内に移動可能に配置されており、前記掃気空気システムは、前記シリンダの底部に配置された掃気空気入口を有し、前記燃料供給システムは、前記ピストンと前記シリンダカバーとの間に画定された主燃焼室内に燃料を噴射するように構成されており、前記予燃焼室セットは、内側予燃焼室及び外側予燃焼室を備え、前記外側予燃焼室は、第1の開口部を通して前記主燃焼室に開口するように構成されているとともに前記内側予燃焼室に流体接続されており、ここにおいて、前記内側予燃焼室には、前記予燃焼室セット内の燃料/空気混合気を着火させるように構成された着火システムが設けられており、前記着火の結果、トーチが前記主燃焼室内に伝播して前記主燃焼室内の燃料を着火させ、
前記着火システムは、前記内側予燃焼室に配置されたパイロット燃料弁を備え、前記パイロット燃料弁は、自己着火パイロット燃料を前記内側予燃焼室内に噴射するように構成されており、前記予燃焼室セットは、前記自己着火パイロット燃料を着火させるための温度及び圧力を提供するように構成され、それによって、前記予燃焼室セット内の前記燃料/空気混合気が着火され、前記パイロット燃料弁によって前記内側予燃焼室に噴射されるパイロット燃料の量は、燃焼サイクル中に前記シリンダに提供される燃料の総量のうちのごく一部を構成する、予燃焼室セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関及び2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関のための予燃焼室セットに関する。
【背景技術】
【0002】
2ストローク内燃機関は、コンテナ船、ばら積み貨物船、及びタンカのような船舶において推進機関として使用されている。内燃機関からの不要な排気ガスを低減することが、ますます重要になってきている。
【0003】
不要な排気ガス量を低減する効果的な方法は、燃料油、例えば、重油(HFO)から燃料ガスに切り替えることである。燃料ガスを圧縮ストロークの最後にシリンダ内に噴射することができ、ここで、燃料ガスは、シリンダ内のガスが圧縮されたときに到達する高温又はパイロット燃料の着火のいずれかによって即座に着火し得る。しかしながら、圧縮ストロークの最後にシリンダ内に燃料ガスを噴射するには、シリンダ内の高圧を克服するために、噴射前に燃料ガスを圧縮するための高圧圧縮機が必要となる。
【0004】
しかしながら、高圧ガス圧縮機は、製造及び維持が高価かつ複雑である。高圧圧縮機が必要となるのを回避する1つの方法は、シリンダ内の圧力がかなり低い圧縮ストロークの開始時に燃料ガスを噴射するように機関を構成することである。
【0005】
DK176118Bは、そのような機関を開示している。燃料ガスの適切な着火を確保するために、パイロット着火予燃焼室がシリンダカバー内に設けられる。一定量のパイロット燃料が、パイロット着火予燃焼室内に噴射され、次いで着火する。この結果、シリンダの主燃焼室内の燃料ガスを着火させるトーチが得られる。
【0006】
WO2013007863は、シリンダカバー内に予燃焼室が設けられた機関の別の例を開示しており、ここで、着火を開始するために一定量の液体パイロット燃料が予燃焼室内に噴射される。
【0007】
しかしながら、主燃焼室内の燃料空気混合気の適切な着火を確保するために、著しい量の液体パイロット燃料を予燃焼室内に噴射する必要がある。液体パイロット燃料が燃焼した結果、不要な排気ガスのレベルが著しく高くなるので、燃料ガスを使用する利点の一部が失われる。これは、特に、大型の燃焼室を有する大型機関の場合に問題である。
【0008】
更に、予燃焼室も、主燃焼室内の燃料の適切な着火を確保するのに十分なサイズのトーチを発生させることができるように大型である必要がある。しかしながら、これにより、パイロット燃料の着火不良及び清浄でない燃焼を防止するために重要である、予燃焼室の温度の制御が困難になる。
【0009】
したがって、これは、2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関の主燃焼室内の燃料を着火させる方法の改善を提供するのに未だ問題となっている。
【発明の概要】
【0010】
第1の態様によれば、本発明は、2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関に関し、本2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関は、少なくとも1つのシリンダと、シリンダカバーと、ピストンと、燃料供給システムと、掃気空気システムとを備え、シリンダはシリンダ壁を有し、シリンダカバーはシリンダの上部に配置されており、かつ排気弁を有し、ピストンは、下死点と上死点との間で中心軸に沿ってシリンダ内に移動可能に配置されており、掃気空気システムは、シリンダの底部に配置された掃気空気入口を有し、燃料供給システムは、ピストンとシリンダカバーとの間に画定された主燃焼室内に燃料を噴射するように構成されており、ここにおいて、本機関は予燃焼室セットを更に備え、予燃焼室セットは、内側予燃焼室及び外側予燃焼室を備え、外側予燃焼室は、第1の開口部を通して主燃焼室に開口しているとともに内側予燃焼室に流体接続されており、ここにおいて、内側予燃焼室には、予燃焼室セット内の燃料/空気混合気を着火させるように構成された着火システムが設けられており、その結果、トーチが主燃焼室内に伝播して主燃焼室内の燃料を着火させる。
【0011】
したがって、本機関に予燃焼室セットを設けることによって、内側予燃焼室は、もはや主燃焼室内の燃料と空気の混合気を着火させる必要がなくなり、予燃焼室セットのうちの別の予燃焼室、例えば外側予燃焼室内の燃料と空気の混合気のみを着火させるだけでよいので、より小型になり得る。これにより、不要な排気ガスの発生量を低減することができる。更に、内側予燃焼室の温度をより制御しやすくなり、それによって、パイロット燃料の着火不良及び清浄でない燃焼のリスクを抑えることができる。
【0012】
内燃機関は、好ましくは、1シリンダ当たり少なくとも400kWのパワーを有する船舶又は定置発電装置を推進するための、大型低速ターボチャージャ付きのユニフロー掃気の2ストローククロスヘッド型内燃機関である。内燃機関は、内燃機関によって発生される排気ガスによって駆動され、かつ掃気空気を圧縮するように構成されたターボチャージャを備え得る。
【0013】
内燃機関は、好ましくは、複数のシリンダ、例えば、4個~14個のシリンダを備える。内燃機関は更に、複数のシリンダのシリンダごとに、シリンダカバー、排気弁、ピストン、燃料弁、予燃焼室セット、及び掃気空気入口を備え得る。
【0014】
好ましくは、燃料供給システムは燃料ガス供給システムであり、この燃料ガス供給システムは、圧縮ストローク中に、例えば、下死点から0度~160度以内で、下死点から0度~130度以内で、又は下死点から0度~90度以内で、シリンダ内に燃料ガスを噴射するように構成された燃料弁を備える。それによって、燃料が掃気空気と混合することができ、掃気空気と燃料の混合気を着火前に圧縮することが可能となる。燃料弁は、低圧、例えば、5バール~50バールの圧力で、燃料を噴射するように構成され得る。
【0015】
好適な燃料の例は、液化天然ガス(LNG)、メタン、アンモニア、エタン、及び液化石油ガス(LPG)である。
【0016】
代替的に、燃料供給システムは、高圧下、例えば、250バール~500バールの圧力で圧縮ストロークの最後に燃料を噴射するように構成された、シリンダカバー内に配置された1つ又は複数の燃料噴射器を備える。
【0017】
好適な燃料の例は、液化天然ガス(LNG)、メタン、アンモニア、エタン、及び液化石油ガス(LPG)、重油、又は船舶用ディーゼル油である。しかしながら、燃料は、液化天然ガス(LNG)、メタン、アンモニア、エタン、及び液化石油ガス(LPG)などの、自己着火性が乏しい燃料であることが好ましい。
【0018】
予燃焼室セットは、3つ以上の予燃焼室を備えてもよく、したがって、内側予燃焼室は、外側予燃焼室に接続された中間予燃焼室に接続されてもよい。したがって、内側予燃焼室から伝播する第1のトーチが、外側予燃焼室内の燃料空気混合気の着火を間接的にもたらし得るが、これは、直接的に中間予燃焼室内の燃料と空気の混合気の着火をもたらし、次いでその結果、第2のトーチが外側予燃焼室内に伝播して外側予燃焼室内の燃料と空気の混合気を着火させることによって行われる。予燃焼室セットは、少なくとも1つ、少なくとも2つ、又は少なくとも3つなど、任意の数の中間予燃焼室を備え得る。
【0019】
しかしながら、内側予燃焼室は、外側予燃焼室に直接的に流体接続されてもよく、すなわち、予燃焼室セットは、中間予燃焼室を備えなくてもよい。異なる予燃焼室が、狭窄部、1つ又は複数の開口部、又は1つ又は複数のチャネルを通して流体接続され得る。1つ又は複数のチャネルの各々には、1つ又は複数の開口部を有するノズルが設けられ得る。
【0020】
予燃焼室セットは、シリンダカバー内に少なくとも部分的に配置され得、例えば、予燃焼室セットのうちの少なくとも外側予燃焼室が、シリンダカバー内に配置され得る。代替的に、予燃焼室セットは、シリンダ壁内に少なくとも部分的に配置されてもよく、例えば、少なくとも外側予燃焼室が、シリンダ壁内に配置され得る。少なくとも1つのシリンダは、ベース部材及び予燃焼室セット部材を有し得、予燃焼室セット部材は、ベース部材の上部に配置され、シリンダカバーは、予燃焼室セット部材の上部に配置されており、ここにおいて、予燃焼室セットは、予燃焼室セット部材のシリンダ壁内に少なくとも部分的に配置されている。これにより、予燃焼室セット部材を、例えば、好適な材料を選択することによって、予燃焼室セット内の高温及び高圧を取り扱うように特別に設計することが可能になる。更に、これにより予燃焼室セットに対してメンテナンスがより行いやすくなり得る。
【0021】
着火システムは、スパークプラグ点火システム、コロナ/プラズマ点火システム、マイクロ波点火システム、グロープラグ点火システム、レーザ点火システム、ジェットトーチ点火システム、又はパイロット燃料着火システムなどの、任意の種類の着火システムであってもよい。
【0022】
いくつかの実施形態では、内側予燃焼室は外側予燃焼室よりも小さい。
【0023】
いくつかの実施形態では、内側予燃焼室の内部容積は、外側予燃焼室の内部容積よりも小さい。
【0024】
内側予燃焼室の内部容積は、予燃焼室セットの全内部容積の15%~45%を構成し得る。内側予燃焼室の内部容積は、予燃焼室セットの全内部容積の20%~40%を構成し得る。
【0025】
したがって、内側予燃焼室のサイズを小さく保つことによって、内側予燃焼室の温度をより正確に制御することができる。
【0026】
外側予燃焼室の内部容積は、予燃焼室セットの全内部容積の55%~85%を構成し得る。外側予燃焼室の内部容積は、予燃焼室セットの全内部容積の60%~80%を構成し得る。
【0027】
いくつかの実施形態では、燃料供給システムは燃料ガス供給システムであり、この燃料ガス供給システムは、圧縮ストローク中にシリンダ内に燃料ガスを噴射するように構成された燃料ガス弁を備え、燃料ガスが掃気空気と混合することができ、掃気空気と燃料ガスの混合気を着火前に圧縮することを可能にする。
【0028】
内燃機関は、燃料ガスで動くときのオットーサイクルモードと、代替燃料、例えば、重油又は船舶用ディーゼル油で動くときのディーゼルサイクルモードとを有する複式燃料機関であり得る。このような複式燃料機関は、代替燃料を噴射するためのそれ自体の専用の燃料供給システムを有する。
【0029】
燃料ガス供給システムは、好ましくは、音速状態下で、すなわち音速に等しい速度、すなわち等速で、1つ又は複数の燃料ガス弁を介して燃料ガスを噴射するように構成されている。音速状態は、ノズルスロート部(断面の最小面積)にわたる圧力降下率が略2よりも大きいときに到達し得る。
【0030】
いくつかの実施形態では、1つ又は複数の燃料ガス弁は、圧縮ストローク中に、下死点から0度~160度以内、下死点から0度~130度以内、又は下死点から0度~90度以内で、シリンダ内に燃料ガスを噴射するように構成されている。
【0031】
燃料ガス弁は、シリンダ壁内に少なくとも部分的に配置され得る。1つ又は複数の燃料ガス弁は、上死点と下死点との間のシリンダ壁内、好ましくは、掃気空気入口より上の位置に、少なくとも部分的に配置され得る。1つ又は複数の燃料ガス弁は、シリンダ内に燃料ガスを噴射するための、シリンダ壁内に配置されたノズルを備え得る。(ノズル以外の)燃料ガス弁の他の部分は、シリンダ壁の外側に配置され得る。
【0032】
いくつかの実施形態では、本機関は、更に、予燃焼室セットと接続状態で設けられた予燃焼室セットパイロットガス弁を備え、予燃焼室セットパイロットガス弁は、予燃焼室セットにパイロット燃料ガスを供給するように構成されている。
【0033】
したがって、予燃焼室セットパイロットガス弁を有することによって、予燃焼室セット内の空気燃料等量比λをより正確に制御することができる。これにより、予燃焼室セット内のλが主燃焼室内のλよりも低くなることも可能となり得、すなわち、予燃焼室セット内のガス/空気混合気が、主燃焼室内の混合気よりも濃くなり得る。
【0034】
パイロット燃料ガスの例は、液化天然ガス(LNG)、メタン、アンモニア、エタン、及び液化石油ガス(LPG)である。機関がガスで動く場合、主燃料として使用するガスと、パイロット燃料ガスとして使用するガスは、同じタイプのガスであり得る。
【0035】
しかしながら、主燃料として使用するガスとパイロット燃料ガスとして使用するガスが異なってもよい。一例として、主燃料として使用するガスが、アンモニアなどの着火しにくいガスである場合、メタン又はエタンなどのより着火しやすいガスをパイロット燃料ガスとして使用してもよく、すなわち、パイロット燃料ガスは、主燃料として使用するガスよりも低いオクタン価を有し得る。この設計は、自己着火パイロット燃料(self-ignitable pilot fuel)の量を抑えることが可能となり得るので、着火システムがパイロット燃料着火システムである場合に特に有利であり得る。
【0036】
いくつかの実施形態では、予燃焼室セットパイロットガス弁は、シリンダ壁内に少なくとも部分的に配置されており、かつ予燃焼室内にパイロット燃料ガスを噴射するように構成されており、又は予燃焼室セットパイロットガス弁は、パイロット燃料ガスを直接的に予燃焼室セット内に噴射するように構成されている。
【0037】
いくつかの実施形態では、燃料ガス弁は、第1の高さでシリンダ壁内に少なくとも部分的に配置され、予燃焼室セットパイロットガス弁は、第1の高さより上の第2の高さでシリンダ壁内に少なくとも部分的に配置されている。
【0038】
したがって、予燃焼室セットパイロットガス弁をシリンダ壁内に配置させることによって、予燃焼室のサイズが比較的小さいことに起因して複雑となる場合もある、予燃焼室セットの予燃焼室への直接的なガス供給の必要がなくなる。更に、予燃焼室セットパイロットガス弁を主ガス弁より上に配置させることによって、予燃焼室セットへのガスの流入がより制御しやすくなる。
【0039】
予燃焼室セットパイロットガス弁は、外側予燃焼室の第1の開口部の辺り、例えば、第1の開口部よりわずかに下の領域に第1の量のパイロット燃料ガスを堆積させ、次いで、圧縮ストローク中にピストンによって発生される圧力に依拠して第1の量のパイロット燃料ガスの一部を予燃焼室セットに押し込むように構成され得る。予燃焼室セットパイロットガス弁は、外側予燃焼室の第1の開口部の近くに配置されており、主燃焼室内を長距離移動しないパイロット燃料ガスの低速ジェットを供給するように構成され得る。しかしながら、予燃焼室セットパイロットガス弁はまた、外側予燃焼室の第1の開口部の反対側に配置されてもよく、外側予燃焼室の第1の開口部辺り、例えば第1の開口部より下のシリンダ壁に衝突するパイロット燃料ガスの高速ジェットを供給するように構成され得る。
【0040】
いくつかの実施形態では、燃料ガス弁は、第1の時点で圧縮ストローク中に燃料ガスの噴射を開始するように構成されており、予燃焼室セットパイロットガス弁は、第2の時点で圧縮ストローク中にパイロット燃料ガスの噴射を開始するように構成されており、第2の時点は第1の時点の後である。
【0041】
これにより、排気弁が閉鎖する前に燃料ガス弁が噴射を開始することが可能となり、燃料ガスが掃気空気とより混合するようにでき得る。
【0042】
いくつかの実施形態では、予燃焼室セットパイロットガス弁は、予燃焼室セットの一部であり、パイロット燃料ガスを予燃焼室セット内に直接噴射するように構成されている。
【0043】
したがって、パイロット燃料ガスを予燃焼室セット内に直接噴射することによって、予燃焼室セットに供給される燃料ガスの量のより良好な制御を達成することができる。
【0044】
予燃焼室セットパイロットガス弁は、予燃焼室セットのうちのいずれかの予燃焼室、例えば、外側予燃焼室又は内側予燃焼室内に燃料ガスを噴射するように構成され得る。
【0045】
いくつかの実施形態では、予燃焼室セットパイロットガス弁は、着火システムの作動前に、外側予燃焼室内の平均空気燃料等量比λが、主燃焼室内の平均λよりも低くなる、すなわち、予燃焼室セット内のガス/空気混合気が、主燃焼室内の混合気よりも濃くなることを保証するように構成されている。
【0046】
したがって、第2のトーチによってより多くエネルギーが主燃焼室に運ばれ、主燃焼室内の燃料の効率的かつ確実な着火を確保することができる。
【0047】
いくつかの実施形態では、外側予燃焼室は、主燃焼室から燃料ガスを受けるように構成された、受動的に燃料供給される予燃焼室である。
【0048】
したがって、予燃焼室セットへの専用の燃料ガス供給がないので、機関はより単純になる。
【0049】
予燃焼室セットには、より濃いガス空気混合気を確保するために、予燃焼室セットに配置された排気弁が設けられてもよい。予燃焼室セットには、好ましくは、内側予燃焼室に配置されたパイロット燃料弁が設けられ得、パイロット燃料弁は、自己着火パイロット燃料を内側予燃焼室内に噴射して第1のトーチを生成するように構成されており、それによって、受動的に燃料供給される外側予燃焼室内の燃料/空気混合気の着火をもたらす。
【0050】
いくつかの実施形態では、着火システムは、内側予燃焼室に配置されたパイロット燃料弁を備え、パイロット燃料弁は、自己着火パイロット燃料を内側予燃焼室内に噴射するように構成されており、それによって、予燃焼室セット内の燃料/空気混合気を着火させる。したがって、内側予燃焼室内の燃料空気混合気を着火させる単純な方法が提供される。更に、従来の単一の予燃焼室ではなく、予燃焼室セットのうちの内側予燃焼室内にパイロット燃料を噴射することによって、結果として生じるトーチが、燃焼室全体ではなく別の予燃焼室内の燃料空気混合気を着火させるだけでよいので、パイロット燃料の量を抑えることができる。これにより、NOx及び他の不要な排気ガスの発生を抑えることができる。更に、内側予燃焼室がより小型になり得るので、内側予燃焼室の温度の制御がより単純になり、それによって、パイロット燃料の着火不良及び清浄でない燃焼のリスクを抑えることができる。最後に、温度制御の向上により、パイロット燃料の自己着火限界に向かって温度を更に低下させることが可能となり、これにより、更にNOxの発生を低減することができる。
【0051】
内側予燃焼室は、予燃焼室内の温度及び圧力に起因してパイロット燃料が自己着火するように構成され得る。パイロット燃料は、重油又は船舶用ディーゼル油などの液体パイロット燃料、又は好適な着火性をもつ他の任意の燃料であり得る。このようなパイロット燃料システムは、構成部品のサイズが大きいことに起因して本目的には好適でない場合もある、代替燃料用の専用の燃料供給システムと比較して、サイズがはるかに小さく、正確な量のパイロット燃料を噴射するのにより好適であり得る。パイロット燃料弁は、上死点近くの、主チャージ(main charge)の最適な着火に好適なクランク角度で、一定量のパイロット油を噴射するように構成され得る。
【0052】
いくつかの実施形態では、パイロット燃料弁はノズルを有し、ここにおいて、ノズルは、第1のノズル開口部及び第2のノズル開口部を備える。
【0053】
したがって、自己着火パイロット燃料を予燃焼室セット内により均一に分散させることができ、それによって、予燃焼室セット内でより強力な着火及びより急激な圧力増加が生じ得る。この結果、主燃焼室内の燃料/空気混合気のより効果的な着火をもたらし得る。
【0054】
いくつかの実施形態では、パイロット燃料弁のノズルは、中心ノズル軸に沿って延びており、第1のノズル開口部は、第1のノズル軸に沿って内側予燃焼室内に自己着火パイロット燃料を噴射するように構成され、第2のノズル開口部は、第2のノズル軸に沿って内側予燃焼室内に自己着火パイロット燃料を噴射するように構成されており、ここにおいて、第1のノズル軸及び第2のノズル軸は、中心ノズル軸に対して、5度~70度、10度~50度、又は15度~30度の角度で配置される。
【0055】
上記角度で自己着火パイロット燃料を噴射することによって、自己着火パイロット燃料の均一な分散が生じ、予燃焼室セット内のより強力な着火及びより急激な圧力増加をもたらすことができる。
【0056】
いくつかの実施形態では、第1のノズル軸は、中心ノズル軸に対して第1の角度で配置され、第2のノズル軸は、中心ノズル軸に対して第2の角度で配置されており、第1の角度は第2の角度とは異なる。
【0057】
したがって、第1のノズル開口部は、自己着火パイロット燃料を予燃焼室セットの第1の部分のほうに向けることができ、第2のノズル開口部は、自己着火パイロット燃料を予燃焼室セットの第2の部分のほうに向けることができる。
【0058】
第1の角度は、第2の角度よりも少なくとも5度大きくてもよいし、又は第2の角度よりも少なくとも10度大きくてもよい。
【0059】
ノズルは、3つ以上のノズル開口部を備え得、例えば、ノズルは、中心ノズル軸に対して第1の角度で配置されたノズル軸を有する2つ以上のノズル開口部と、中心ノズル軸に対して第2の角度で配置されたノズル軸を有する2つ以上のノズル開口部を備え得る。
【0060】
いくつかの実施形態では、パイロット燃料弁は、噴射期間中に自己着火パイロット燃料を噴射するように構成されており、自己着火パイロット燃料は、着火遅れ後に自己着火し、ここにおいて、パイロット燃料弁は、自己着火パイロット燃料が自己着火する前に、燃焼サイクル中に噴射される自己着火パイロット燃料の少なくとも70%、80%、又は90%が噴射されていることを保証するように構成されている。
【0061】
したがって、自己着火パイロット燃料の着火が生じるときに、燃焼サイクル中に噴射される自己着火パイロット燃料の少なくとも70%、80%、又は90%が予燃焼室セット内に存在することを保証することによって、予燃焼室セット内でより強力な着火及びより急激な圧力増加が生じ得る。
【0062】
パイロット燃料弁は、自己着火パイロット燃料が自己着火する前にすべての自己着火パイロット燃料を噴射するように構成され得、すなわち、噴射期間が終了してから、自己着火パイロット燃料が自己着火する。
【0063】
いくつかの実施形態では、予燃焼室セットは、噴射された自己着火パイロット燃料の着火遅れが、全機関負荷(full engine load)で少なくとも0.8ms、1ms、1.5ms、又は2msであることを保証するように構成される。
【0064】
したがって、着火遅れが長いことによって、自己着火パイロット燃料を噴射する時間がより多く利用可能である。これにより、着火が生じるときに、より多くの自己着火パイロット燃料が予燃焼室セット内に存在することができ、更にパイロット燃料弁のサイズを小さくすることが可能となり得る。
【0065】
着火遅れは、温度、圧力、及び自己着火パイロット燃料のタイプに依存する。例として、着火遅れは、予燃焼室セットの温度を下げるために予燃焼室セット冷却システムを使用することによって延長することができる。
【0066】
予燃焼室セットは、噴射された自己着火パイロット燃料の着火遅れが、8ms、6ms、又は5ms未満であることを保証するように構成され得る。
【0067】
いくつかの実施形態では、パイロット燃料弁は、未燃パイロット燃料物質が第1のトーチと共に内側予燃焼室から噴出することを保証するために十分な量のパイロット燃料を内側予燃焼室内に噴射するように構成されている。
【0068】
したがって、未燃物質は、次の予燃焼室、例えば外側予燃焼室での効果的かつ確実な燃焼を確保するために使用され得る。
【0069】
いくつかの実施形態では、予燃焼室セットは第1のチャネルを備え、第1のチャネルは、内側予燃焼室に開口する第1の開口部と、外側予燃焼室に開口する第2の開口部とを有する。
【0070】
いくつかの実施形態では、予燃焼室セットは、取り外し可能な予燃焼室セットハウジングを備え、内側予燃焼室及び外側予燃焼室は、取り外し可能な予燃焼室セットハウジング内に配置されている。
【0071】
いくつかの実施形態では、予燃焼室セットは、例えば、付加製造技法を使用して、単一工程で製造される。
【0072】
これにより、より複雑な幾何学形状を有する予燃焼室セットを製造することが可能となり得る。
【0073】
第2の態様によれば、本発明は、2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関のための予燃焼室セットに関し、本予燃焼室セットは、少なくとも1つのシリンダと、シリンダカバーと、ピストンと、燃料供給システムと、掃気空気システムとを備え、シリンダはシリンダ壁を有し、シリンダカバーはシリンダの上部に配置されており、かつ排気弁を有し、ピストンは、下死点と上死点との間で中心軸に沿ってシリンダ内に移動可能に配置されており、掃気空気システムは、シリンダの底部に配置された掃気空気入口を有し、燃料供給システムは、ピストンとシリンダカバーとの間に画定された主燃焼室内に燃料を噴射するように構成されており、予燃焼室セットは、内側予燃焼室及び外側予燃焼室を備え、外側予燃焼室は、第1の開口部を通して主燃焼室に開口するように構成されているとともに内側予燃焼室に流体接続されており、ここにおいて、内側予燃焼室には、予燃焼室セット内の燃料/空気混合気を着火させるように構成された着火システムが設けられており、その結果、トーチが主燃焼室内に伝播して主燃焼室内の燃料を着火させる。
【0074】
本発明の異なる態様は、2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関及び複式燃料2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関のための予燃焼室セットを含む、異なる方法で実現することができ、その各々は、上述した態様の少なくとも1つに関連して説明した利益及び利点のうちの1つ又は複数をもたらし、その各々は、上述した及び/又は従属請求項において開示される態様の少なくとも1つに関連して説明する好ましい実施形態に対応する1つ又は複数の好ましい実施形態を有する。更に、本明細書で説明する態様のうちの1つに関連して説明する実施形態を、他の態様にも等しく適用できることが理解されよう。
【0075】
本発明の上記及び/又は追加の目的、特徴、及び利点について、付属の図面を参照して、本発明の実施形態の以下の例示的かつ非限定的な詳細な説明によって更に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
図1】本発明の一実施形態による、2ストローク内燃機関の断面図を概略的に示す。
図2】本発明の一実施形態による、ユニフロー掃気の2ストローククロスヘッド型内燃機関の一部の概略断面図を示す。
図3】本発明の一実施形態による、ユニフロー掃気の2ストローククロスヘッド型内燃機関の一部の概略断面図を示す。
図4a-4d】本発明の一実施形態による、ユニフロー掃気の2ストローククロスヘッド型内燃機関のための予燃焼室セットの概略断面図を示す。
図5】本発明の一実施形態による、ユニフロー掃気の2ストローククロスヘッド型内燃機関のための予燃焼室セットの概略断面図を示す。
図6】本発明の一実施形態による、ユニフロー掃気の2ストローククロスヘッド型内燃機関のための予燃焼室セットの概略断面図を示す。
図7】本発明の一実施形態による、ユニフロー掃気の2ストローククロスヘッド型内燃機関のための予燃焼室セットの概略断面図を示す。
図8】本発明の一実施形態によるパイロット燃料弁のノズルの概略断面図を示す。
図9】本発明の一実施形態によるパイロット燃料弁のノズルの概略断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0077】
以下の説明では、本発明をどのように実施することができるかを例示として示す添付の図を参照する。
【0078】
図1は、本発明の一実施形態による、船舶を推進するための、大型低速ターボチャージャ付きのユニフロー掃気の2ストローククロスヘッド型内燃機関100の断面図を概略的に示す。機関100は、掃気空気システム111、排気ガスレシーバ108、燃料ガス供給システム、及びターボチャージャ109を備える。機関は、複数のシリンダ101(断面図では単一のシリンダのみが示されている)を有する。各シリンダ101は、シリンダ壁115を有し、シリンダ101の底部に配置された掃気空気入口102を備える。機関は、シリンダごとに、シリンダカバー112及びピストン103を更に備える。シリンダカバー112は、シリンダ101の上部に配置されており、排気弁104を有する。ピストン103は、下死点と上死点との間で中心軸113に沿ってシリンダ内に移動可能に配置されている。燃料ガス供給システムは、1つ又は複数の燃料ガス弁105(概略的にのみ図示する)を備え、この燃料ガス弁は、圧縮ストローク中にシリンダ101内に燃料ガスを噴射するように構成されており、燃料ガスが掃気空気と混合することができ、掃気空気と燃料ガスの混合気を着火前に圧縮することを可能にする。燃料ガス弁105は、シリンダカバー112と掃気空気入口102との間のシリンダ壁内に少なくとも部分的に配置され得る。機関は、シリンダカバー112内に配置された予燃焼室セット114(概略的にのみ図示する)を更に備える。予燃焼室セット114は、内側予燃焼室及び外側予燃焼室を備え、外側予燃焼室は、第1の開口部を通して主燃焼室150に開口しているとともに内側予燃焼室に流体接続されており、ここにおいて、内側予燃焼室には、内側予燃焼室内の燃料/空気混合気を着火させて第1のトーチを生成するように構成された着火システムが設けられており、第1のトーチは、直接的に又は間接的に外側予燃焼室内の燃料空気混合気の着火をもたらし、その結果、第2のトーチが主燃焼室内に伝播して主燃焼室150内の燃料を着火させる。掃気空気入口102は、掃気空気システムに流体接続されている。ピストン103は、その最低位置(下死点)に示されている。ピストン103は、クランクシャフト(図示せず)に連結されたピストン棒を有する。燃料ガス弁105は、圧縮ストローク中にシリンダ内に燃料ガスを噴射するように構成されており、燃料ガスが掃気空気と混合することができ、掃気空気と燃料ガスの混合気を着火前に圧縮することを可能にする。燃料ガス弁105は、好ましくは、圧縮ストロークの開始時に、下死点から0度~130度以内で、すなわち、クランクシャフトが下死点での向きから0度~130度回転したときに、シリンダ101内に燃料ガスを噴射するように構成されている。好ましくは、燃料ガス弁105は、燃料ガスが排気弁104及び掃気空気入口102から流出することを防止するために、クランクシャフト軸が下死点から数度回転してピストンが掃気空気入口102を通り過ぎた後に、燃料ガスの噴射を開始するように構成されている。掃気空気システム111は、掃気空気レシーバ110及び空気冷却器106を備える。燃料ガス弁105がシリンダ壁内に配置されている燃料ガス供給システムの代わりに、機関は、例えば、高圧ガス又はアンモニアいずれかの燃料を圧縮ストロークの最後に噴射するように構成された、シリンダカバー112内に配置された1つ又は複数の燃料噴射器116を備えてもよい。しかしながら、機関100は、好ましくは、燃料ガスで動くときのオットーサイクルモードと、代替燃料、例えば、重油又は船舶用ディーゼル油で動くときのディーゼルサイクルモードとを有する複式燃料機関である。したがって、シリンダカバー112内に配置された1つ又は複数の燃料噴射器116は、代替燃料供給システムの一部を形成し得る。機関100が代替燃料で動くとき、燃料噴射器116は、高圧下の圧縮ストロークの最後に代替燃料、例えば、重油を噴射するように構成されている。
【0079】
図2は、本発明の一実施形態による、ユニフロー掃気の2ストローククロスヘッド型内燃機関の一部の概略断面図を示す。シリンダ101、シリンダカバー112、ピストン103、及び排気弁104が示されている。ピストン103は、上死点に位置している。シリンダ101は、第1の予燃焼室セット114及び第2の予燃焼室セット116が設けられたシリンダ壁115を有し、第1の予燃焼室セット114及び第2の予燃焼室セット116の各々は、内側予燃焼室及び外側予燃焼室を備え、外側予燃焼室は、第1の開口部を通して主燃焼室に開口しているとともに内側予燃焼室に流体接続されており、ここにおいて、内側予燃焼室には、内側予燃焼室内の燃料/空気混合気を着火させて第1のトーチを生成するように構成された着火システムが設けられており、第1のトーチは、直接的に又は間接的に外側予燃焼室内の燃料空気混合気の着火をもたらし、その結果、第2のトーチが主燃焼室内に伝播して主燃焼室内の燃料を着火させる。
【0080】
図3は、本発明の一実施形態による、ユニフロー掃気の2ストローククロスヘッド型内燃機関の一部の概略断面図を示す。この部分は、図2に示す部分に対応するが、シリンダ101がベース部材117及び予燃焼室セット部材118を有し、予燃焼室セット部材118がベース部材117の上部に配置され、シリンダカバー112が予燃焼室部材118の上部に配置されている点が異なる。第1の予燃焼室セット114及び第2の予燃焼室セット116は、予燃焼室セット部材118のシリンダ壁内に配置されている。これにより、予燃焼室部材を、例えば、好適な材料を選択することによって、予燃焼室セット内の高温及び高圧を取り扱うように特別に設計することが可能になる。
【0081】
図4a~図4dは、本発明の一実施形態による、ユニフロー掃気の2ストローククロスヘッド型内燃機関のための予燃焼室セット160の概略断面図を示す。予燃焼室セット160は、内側予燃焼室121及び外側予燃焼室120を備え、外側予燃焼室120は、第1の開口部170を通して機関の主燃焼室に開口するように構成されているとともに内側予燃焼室121に流体接続されている。内側予燃焼室121には、内側予燃焼室121内の燃料/空気混合気130(図4a参照)を着火させて第1のトーチ131(図4b参照)を生成するように構成された着火システム(図示せず)が設けられており、第1のトーチ131は、外側予燃焼室120内に伝播し、それによって直接的に外側予燃焼室120内の燃料空気混合気133(図4c参照)の着火をもたらし、その結果、第2のトーチ134が主燃焼室内に伝播して(図4d参照)主燃焼室内の燃料を着火させる。
【0082】
したがって、機関に予燃焼室セットを設けることによって、内側予燃焼室121は、もはや主燃焼室内の燃料と空気の混合気を着火させる必要がなくなり、外側予燃焼室120内の燃料と空気の混合気のみを着火させるだけでよいので、より小型になり得る。これにより、不要な排気ガスの発生量を低減することができる。更に、内側予燃焼室の温度をより制御しやすくなり、それによって、パイロット燃料の着火不良及び清浄でない燃焼のリスクを抑えることができる。
【0083】
図5は、本発明の一実施形態による、ユニフロー掃気の2ストローククロスヘッド型内燃機関のための予燃焼室セットの概略断面図を示す。予燃焼室セット160は、内側予燃焼室121及び外側予燃焼室120を備え、外側予燃焼室120は、第1の開口部170を通して機関の主燃焼室に開口するように構成されているとともに内側予燃焼室121に流体接続されている。この実施形態では、パイロット燃料弁181が内側予燃焼室121に配置されており、パイロット燃料弁181は、自己着火パイロット燃料を内側予燃焼室内に噴射して第1のトーチを生成するように構成されており、すなわち、このパイロット燃料は、内側予燃焼室121内の圧力及び温度に起因して着火する。パイロット燃料は、重油又は船舶用ディーゼル油などの液体パイロット燃料であり得る。この実施形態では、予燃焼室セット160は更に、パイロット燃料ガス190を外側予燃焼室120内に噴射するように構成された予燃焼室セットパイロットガス弁180を備える。パイロット燃料ガスは、好ましくは、パイロット燃料弁181がパイロット燃料を噴射して着火を開始する前に、予燃焼室セット内に存在する圧力及び温度条件下で自己着火できない。パイロット燃料ガスは、液化天然ガス(LNG)、メタン、アンモニア、エタン、及び液化石油ガス(LPG)であり得る。したがって、空気燃料等量比λを正確に制御することができる。予燃焼室セットパイロットガス弁180は、好ましくは、パイロット燃料弁181の作動前に、外側予燃焼室内の平均λが主燃焼室内の平均λよりも低くなることを保証するように構成される。したがって、異なる2つのパイロット燃料を使用することによって、第1の火炎が外側予燃焼室120内のパイロット燃料ガスを着火させるだけでよく、第2のトーチによって主燃焼室に移動されるエネルギーの大部分がパイロット燃料ガスによって供給され得るので、自己着火パイロット燃料の量を抑えることができる。典型的にはパイロット燃料ガスのほうが、重油又は船舶用ディーゼル油などの自己着火パイロット燃料よりも清浄に燃焼するので、NOxの発生量を低減することができる。更に、内側予燃焼室がより小型になり得るので、内側予燃焼室の温度の制御がより単純になり、それによって、パイロット燃料の着火不良及び清浄でない燃焼のリスクを抑えることができる。最後に、温度制御の向上により、パイロット燃料の自己着火限界に向かって温度を更に低下させることが可能となり、これにより、更にNOxの発生を低減することができる。
【0084】
図6は、本発明の一実施形態による、ユニフロー掃気の2ストローククロスヘッド型内燃機関のための予燃焼室セットの概略断面図を示す。予燃焼室セット160は、図5に示す予燃焼室セットに類似しているが、外側予燃焼室に予燃焼室セットパイロットガス弁が設けられておらず、主燃焼室から第1の開口部170を介して燃料ガスを受けることによって受動的に燃料供給されるように構成されている点が異なる。予燃焼室セットには、任意選択的に、より濃いガス空気混合気を確保するために、予燃焼室セットに配置された排気弁(図示せず)が設けられてもよい。
【0085】
図7は、本発明の一実施形態による、ユニフロー掃気の2ストローククロスヘッド型内燃機関のための予燃焼室セット160の概略断面図を示す。予燃焼室セット160は、内側予燃焼室121及び外側予燃焼室120を備え、外側予燃焼室120は、第1の開口部170を通して機関の主燃焼室に開口するように構成されているとともに内側予燃焼室121に流体接続されている。内側予燃焼室121には、ノズル182を有するパイロット燃料弁181の形態の着火システムが設けられており、パイロット燃料弁181は、自己着火パイロット燃料を内側予燃焼室121内に噴射するように構成されており、それによって、予燃焼室セット160内の燃料/空気混合気を着火させる。この実施形態では、内側予燃焼室121は、狭窄部125を通して外側予燃焼室120に直接的に流体接続されている。外側予燃焼室120は、ベンド124が設けられた通路123を通して機関の主燃焼室に開口するように構成されており、それによって、主燃焼室内に伝播するトーチは、シリンダの中心軸113に対して角度をつけた方向に伝播し得る。これは、予燃焼室がシリンダカバー内に配置されている場合に有利であり得る。予燃焼室セット160は、任意選択的に更に、パイロット燃料ガスを外側予燃焼室120内に噴射するように構成された予燃焼室セットパイロットガス弁180を備えてもよい。
【0086】
図8は、本発明の一実施形態によるパイロット燃料弁のノズル182の概略断面図を示す。パイロット燃料弁は、図7に関連して開示されたパイロット燃料弁181であり得る。ノズルは、第1のノズル開口部184及び第2のノズル開口部183を備える。パイロット燃料弁のノズルは、中心ノズル軸185に沿って延びており、第1のノズル開口部184は、第1のノズル軸186に沿って内側予燃焼室内に自己着火パイロット燃料を噴射するように構成され、第2のノズル開口部183は、第2のノズル軸187に沿って内側予燃焼室内に自己着火パイロット燃料を噴射するように構成されており、ここにおいて、第1のノズル軸186及び第2のノズル軸187は、中心ノズル軸185に対して角度188で配置されている。この実施形態では、第1のノズル軸186と中心ノズル軸185との間の角度、第2のノズル軸187と中心ノズル軸185との間の角度は同じである。角度188は、5度~70度、10度~50度、又は15度~30度であり得る。
【0087】
図9は、本発明の一実施形態によるパイロット燃料弁のノズル182の概略断面図を示す。パイロット燃料弁は、図7に関連して開示されたパイロット燃料弁181であり得る。ノズルは、第1のノズル開口部184、第2のノズル開口部183、第3のノズル開口部190、及び第4のノズル開口部191を備える。パイロット燃料弁のノズルは、中心ノズル軸185に沿って延びており、第1のノズル開口部184は、第1のノズル軸186に沿って内側予燃焼室内に自己着火パイロット燃料を噴射するように構成され、第2のノズル開口部183は、第2のノズル軸187に沿って内側予燃焼室内に自己着火パイロット燃料を噴射するように構成され、第3のノズル開口部190は、第3のノズル軸192に沿って内側予燃焼室内に自己着火パイロット燃料を噴射するように構成され、第4のノズル開口部191は、第4のノズル軸193に沿って内側予燃焼室内に自己着火パイロット燃料を噴射するように構成されている。第1のノズル軸186は、中心ノズル軸185に対して第1の角度で配置され、第2のノズル軸187は、中心ノズル軸185に対して第2の角度で配置されており、第1の角度は第2の角度とは異なる。第1の角度は、第2の角度よりも少なくとも5度大きくてもよいし、又は第2の角度よりも少なくとも10度大きくてもよい。したがって、第1のノズル開口部184は、自己着火パイロット燃料を予燃焼室セットの第1の部分のほうに向けることができ、第2のノズル開口部183は、自己着火パイロット燃料を予燃焼室セットの第2の部分のほうに向けることができる。この結果、自己着火パイロット燃料の均一な分散が生じ、予燃焼室セット内のより強力な着火及びより急激な圧力増加をもたらすことができる。この実施形態では、第3のノズル軸192も、中心ノズル軸185に対して第1の角度で配置されており、第4のノズル軸193も、中心ノズル軸に対して第2の角度で配置されている。この実施形態では、すべてのノズル開口部が同じ平面に配置されている。しかしながら、異なるノズル開口部を異なる平面に配置してもよく、例えば、第1のノズル開口部184及び第3のノズル開口部190を第1の平面に配置してもよく、第2のノズル開口部183及び第4のノズル開口部191を第2の平面に配置してもよい。
【0088】
いくつかの実施形態について詳細に説明及び図示したが、本発明は、これらに限定されず、以下の特許請求の範囲に規定される主題の範囲内で他の方法でも具現化することできる。特に、本発明の範囲から逸脱することなく、他の実施形態を利用してもよいし、構造的及び機能的改変を行ってもよいことを理解されたい。
【0089】
いくつかの手段を列挙する装置請求項では、これらの手段のいくつかを、ハードウェアの1つ及び同じ項目によって具現化することができる。特定の対策が相互に異なる従属請求項に記載されるか、又は異なる実施形態において説明されるということだけで、これらの対策の組合せを有利に使用できないことを示すものではない。
【0090】
「備える/備えている」という用語は、本明細書で使用されるとき、記載された特徴、整数、ステップ、又は構成要素の存在を明記すると捉えられるが、1つ又は複数の他の特徴、整数、ステップ、構成要素、又はそれらのグループの存在又は付加を排除するものではないことを強調しておかなければならない。

ここに、出願当初の特許請求の範囲の記載事項を付記する。
[1] 2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関であって、少なくとも1つのシリンダと、シリンダカバーと、ピストンと、燃料供給システムと、掃気空気システムとを備え、前記シリンダはシリンダ壁を有し、前記シリンダカバーは前記シリンダの上部に配置されており、かつ排気弁を有し、前記ピストンは、下死点と上死点との間で中心軸に沿って前記シリンダ内に移動可能に配置されており、前記掃気空気システムは、前記シリンダの底部に配置された掃気空気入口を有し、前記燃料供給システムは、前記ピストンと前記シリンダカバーとの間に画定された主燃焼室内に燃料を噴射するように構成されており、ここにおいて、前記機関は予燃焼室セットを更に備え、前記予燃焼室セットは、内側予燃焼室及び外側予燃焼室を備え、前記外側予燃焼室は、第1の開口部を通して前記主燃焼室に開口しているとともに前記内側予燃焼室に流体接続されており、ここにおいて、前記内側予燃焼室には、前記予燃焼室セット内の燃料/空気混合気を着火させるように構成された着火システムが設けられており、その結果、トーチが前記主燃焼室内に伝播して前記主燃焼室内の燃料を着火させる、2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関。
[2] 前記燃料供給システムは燃料ガス供給システムであり、前記燃料ガス供給システムは、圧縮ストローク中に前記シリンダ内に燃料ガスを噴射するように構成された燃料ガス弁を備え、前記燃料ガスが掃気空気と混合することができ、掃気空気と燃料ガスの混合気を着火前に圧縮することを可能にする、[1]に記載の2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関。
[3] 前記機関は、前記予燃焼室セットと接続状態で設けられた予燃焼室セットパイロットガス弁を更に備え、前記予燃焼室セットパイロットガス弁は、前記予燃焼室セットにパイロット燃料ガスを供給するように構成されている、[1]又は[2]に記載の2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関。
[4] 前記予燃焼室セットパイロットガス弁は、前記予燃焼室セットの一部であり、パイロット燃料ガスを前記予燃焼室セット内に直接噴射するように構成されている、[3]に記載の2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関。
[5] 前記予燃焼室セットパイロットガス弁は、前記着火システムの作動前に、前記外側予燃焼室内の平均空気燃料等量比λが、前記主燃焼室内の平均λよりも低くなることを保証するように構成されている、[3]又は[4]に記載の2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関。
[6] 前記着火システムは、前記内側予燃焼室に配置されたパイロット燃料弁を備え、前記パイロット燃料弁は、自己着火パイロット燃料を前記内側予燃焼室内に噴射するように構成されており、それによって、前記予燃焼室セット内の前記燃料/空気混合気を着火させる、[1]~[5]のいずれか一項に記載の2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関。
[7] 前記パイロット燃料弁はノズルを有し、前記ノズルは、第1のノズル開口部及び第2のノズル開口部を備える、[6]に記載の2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関。
[8] 前記パイロット燃料弁の前記ノズルは、中心ノズル軸に沿って延びており、前記第1のノズル開口部は、第1のノズル軸に沿って前記内側予燃焼室内に自己着火パイロット燃料を噴射するように構成され、前記第2のノズル開口部は、第2のノズル軸に沿って前記内側予燃焼室内に自己着火パイロット燃料を噴射するように構成されており、ここにおいて、前記第1のノズル軸及び前記第2のノズル軸は、前記中心ノズル軸に対して、5度~70度、10度~50度、又は15度~30度の角度で配置されている、[7]に記載の2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関。
[9] 前記第1のノズル軸は、前記中心ノズル軸に対して第1の角度で配置され、前記第2のノズル軸は、前記中心ノズル軸に対して第2の角度で配置されており、前記第1の角度は前記第2の角度とは異なる、[8]に記載の2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関。
[10] 前記パイロット燃料弁は、噴射期間中に前記自己着火パイロット燃料を噴射するように構成されており、前記自己着火パイロット燃料は、着火遅れ後に自己着火し、前記パイロット燃料弁は、前記自己着火パイロット燃料が自己着火する前に、燃焼サイクル中に噴射される前記自己着火パイロット燃料の少なくとも70%、80%、又は90%が噴射されていることを保証するように構成されている、[6]~[9]のいずれか一項に記載の2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関。
[11] 前記パイロット燃料弁は、未燃パイロット燃料物質が前記内側予燃焼室から噴出することを保証するために十分な量のパイロット燃料を前記内側予燃焼室内に噴射するように構成されている、[6]~[10]のいずれか一項に記載の2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関。
[12] 前記内側予燃焼室の内部容積は、前記外側予燃焼室の内部容積よりも小さい、[1]~[11]のいずれか一項に記載の2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関。
[13] 前記予燃焼室セットは第1のチャネルを備え、前記第1のチャネルは、前記内側予燃焼室に開口する第1の開口部と、前記外側予燃焼室に開口する第2の開口部とを有する、[1]~[12]のいずれか一項に記載の2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関。
[14] 前記予燃焼室セットは、取り外し可能な予燃焼室セットハウジングを備え、前記内側予燃焼室及び前記外側予燃焼室は、前記取り外し可能な予燃焼室セットハウジング内に配置されている、[1]~[13]のいずれか一項に記載の2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関。
[15] 2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関のための予燃焼室セットであって、少なくとも1つのシリンダと、シリンダカバーと、ピストンと、燃料供給システムと、掃気空気システムとを備え、前記シリンダはシリンダ壁を有し、前記シリンダカバーは前記シリンダの上部に配置されており、かつ排気弁を有し、前記ピストンは、下死点と上死点との間で中心軸に沿って前記シリンダ内に移動可能に配置されており、前記掃気空気システムは、前記シリンダの底部に配置された掃気空気入口を有し、前記燃料供給システムは、前記ピストンと前記シリンダカバーとの間に画定された主燃焼室内に燃料を噴射するように構成されており、前記予燃焼室セットは、内側予燃焼室及び外側予燃焼室を備え、前記外側予燃焼室は、第1の開口部を通して前記主燃焼室に開口するように構成されているとともに前記内側予燃焼室に流体接続されており、ここにおいて、前記内側予燃焼室には、前記予燃焼室セット内の燃料/空気混合気を着火させるように構成された着火システムが設けられており、その結果、トーチが前記主燃焼室内に伝播して前記主燃焼室内の燃料を着火させる、予燃焼室セット。
図1
図2
図3
図4a-4d】
図5
図6
図7
図8
図9