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特許7451481農作業支援システム、自動走行車両の制御システム及び制御方法、並びにプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-08
(45)【発行日】2024-03-18
(54)【発明の名称】農作業支援システム、自動走行車両の制御システム及び制御方法、並びにプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20240311BHJP
   B60P 3/00 20060101ALI20240311BHJP
   A01B 69/00 20060101ALI20240311BHJP
【FI】
G08G1/00 X
B60P3/00 M
A01B69/00 303Z
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021194889
(22)【出願日】2021-11-30
(65)【公開番号】P2023081161
(43)【公開日】2023-06-09
【審査請求日】2022-09-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】弁理士法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石山 健二
(72)【発明者】
【氏名】本田 士郎
(72)【発明者】
【氏名】今井 浩久
【審査官】宮本 礼子
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-178714(JP,A)
【文献】特開2021-003016(JP,A)
【文献】特開2018-170992(JP,A)
【文献】特開2019-114102(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109964191(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
G01C 21/00-25/00
B60P 3/00
A01B 69/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の果樹列と各果樹列に沿った収穫作業路を有し、前記果樹列に沿った方向における一方の側と反対の側のうち前記一方の側に前記複数の果樹列の端部領域を有している圃場において、果樹からの収穫物を搬送する第1車両を制御する第1制御部と、
前記圃場において収穫物を搬送する第2車両を制御する第2制御部と
を含み、
前記第1車両が第1開始位置から第1終了位置まで第1収穫作業路を走行し、前記第1終了位置から少なくとも1つの荷下ろし位置まで走行するように、前記第1制御部は前記第1車両を制御し、
前記第2車両が第2開始位置から第2終了位置まで第2収穫作業路を走行し、前記第2終了位置から前記少なくとも1つの荷下ろし位置まで走行するように、前記第2制御部は前記第2車両を制御し、
前記第1終了位置と前記第2開始位置は、前記複数の果樹列の前記端部領域に規定され、
前記第2制御部は、前記第1車両が前記第1終了位置に到達するまで、前記第2車両を第2開始位置で待機させる
自動走行車両の制御システム。
【請求項2】
前記第1車両が前記少なくとも1つの荷下ろし位置から第3収穫作業路の第3の開始位置まで走行し、前記第2車両又は別の車両が収穫作業路の終了位置に到達するまで前記第3の開始位置で待機するように、前記第1制御部は前記第1車両を制御し、
前記第2車両が前記少なくとも1つの荷下ろし位置から第4収穫作業路の第4の開始位置まで走行し、前記第1車両又は別の車両が収穫作業路の終了位置に到達するまで前記第4の開始位置で待機するように、前記第2制御部は前記第2車両を制御する
請求項1に記載の自動走行車両の制御システム。
【請求項3】
前記第1車両が前記少なくとも1つの荷下ろし位置から第3の開始位置まで走行し、前記第3の開始位置から第3の終了位置まで第3収穫作業路を走行するように、前記第1制御部は前記第1車両を制御し、
前記第3の開始位置は前記複数の果樹列の前記端部領域に規定され、
前記第1制御部は、前記第2車両が前記第2終了位置への到達するまで前記第1車両を前記第3の開始位置で待機させる
請求項1の自動走行車両の制御システム。
【請求項4】
前記第1収穫作業路は隣り合う2つの果樹列の間に規定され、
前記第2車両が前記少なくとも1つの荷下ろし位置から前記第2開始位置に移動するとき、前記隣り合う2つの果樹列の間の領域を避けて走行するように、前記第2制御部は前記第2車両を制御する
請求項1の自動走行車両の制御システム。
【請求項5】
前記第2収穫作業路は隣り合う2つの果樹列の間に規定され、
前記第1車両が前記第1終了位置から前記少なくとも1つの荷下ろし位置へ移動するとき、前記隣り合う2つの果樹列の間の領域を避けて走行するように、前記第1制御部は前記第1車両を制御する
請求項1の自動走行車両の制御システム。
【請求項6】
前記第2車両が前記第2開始位置で待機しているときに、前記第2収穫作業路に沿った走行の開始指令を作業者が前記第2制御部に入力するための入力部をさらに有している
請求項1に記載される車両の制御システム。
【請求項7】
前記第1終了位置から前記少なくとも1つの荷下ろし位置までの走行の開始指令を前記第1制御部に入力するための入力部と、
前記第2終了位置から前記少なくとも1つの荷下ろし位置までの走行の開始指令を前記第2制御部に入力するための入力部とを有している
請求項1に記載される車両の制御システム。
【請求項8】
前記第1収穫作業路において、前記第1収穫作業路よりも短い所定の距離又は前記第1収穫作業路の走行に要する時間よりも短い所定の時間だけ前記第1車両を走行させる走行指令を入力するための入力部と、
前記第2収穫作業路において、前記第2収穫作業路よりも短い所定の距離又は前記第2収穫作業路の走行に要する時間よりも短い所定の時間だけ前記第2車両を走行させる走行指令を入力するための入力部とを有している
請求項1に記載される車両の制御システム。
【請求項9】
前記第1開始位置と前記第1終了位置とが予め規定され、
前記第2開始位置と前記第2終了位置とが予め規定されている
請求項1に記載される車両の制御システム。
【請求項10】
前記第1制御部の記憶部は、前記第1終了位置から前記少なくとも1つの荷下ろし位置までの経路情報を記憶しており、
前記第2制御部の記憶部は、前記第2終了位置から前記少なくとも1つの荷下ろし位置までの経路情報を記憶している
請求項1に記載される車両の制御システム。
【請求項11】
前記圃場は、前記果樹列に沿った方向における前記反対の側にも端部領域を有し、
前記第1車両が第3開始位置から第3終了位置まで第3収穫作業路を走行し、前記第3終了位置から少なくとも1つの荷下ろし位置まで走行するように、前記第1制御部は前記第1車両を制御し、
前記第2車両が第4開始位置から第4終了位置まで第4収穫作業路を走行し、前記第4終了位置から前記少なくとも1つの荷下ろし位置まで走行するように、前記第2制御部は前記第2車両を制御し、
前記第3終了位置と前記第4開始位置の双方は、前記反対の側の端部領域に規定され、
前記第2制御部は、前記第1車両が前記第3終了位置に到達するまで、前記第2車両を第4開始位置で待機させる
請求項1に記載される自動走行車両の制御システム。
【請求項12】
前記第1車両と、
前記第2車両と、
請求項1に記載の制御システムと、を有している
農作業支援システム。
【請求項13】
複数の果樹列と各果樹列に沿った収穫作業路を有し、前記果樹列に沿った方向における一方の側と反対の側のうち前記一方の側に前記複数の果樹列の端部領域を有している圃場において、果樹からの収穫物を搬送する第1車両を制御する第1制御部、
前記圃場において収穫物を搬送する第2車両を制御する第2制御部と
としてコンピュータを機能させるプログラムであって、
前記第1車両が第1開始位置から第1終了位置まで第1収穫作業路を走行し、前記第1終了位置から少なくとも1つの荷下ろし位置まで走行するように、前記第1制御部は前記第1車両を制御し、
前記第2車両が第2開始位置から第2終了位置まで第2収穫作業路を走行し、前記第2終了位置から前記少なくとも1つの荷下ろし位置まで走行するように、前記第2制御部は前記第2車両を制御し、
前記第1終了位置と前記第2開始位置は、前記複数の果樹列の前記端部領域に規定され、
前記第2制御部は、前記第1車両が前記第1終了位置に到達するまで、前記第2車両を第2開始位置で待機させる
プログラム。
【請求項14】
複数の果樹列と各果樹列に沿った収穫作業路を有し、前記果樹列に沿った方向における一方の側と反対の側のうち前記一方の側に前記複数の果樹列の端部領域を有している圃場において、果樹からの収穫物を搬送する第1車両と、
前記圃場において収穫物を搬送する第2車両と
を制御する方法であって、
前記第1車両が第1開始位置から第1終了位置まで第1収穫作業路を走行し、前記第1終了位置から少なくとも1つの荷下ろし位置まで走行するように、前記第1車両を制御し、
前記第2車両が第2開始位置から第2終了位置まで第2収穫作業路を走行し、前記第2終了位置から前記少なくとも1つの荷下ろし位置まで走行するように、前記第2車両を制御し、
前記第1終了位置と前記第2開始位置は、前記複数の果樹列の前記端部領域に規定され、
前記第1車両が前記第1終了位置に到達するまで、前記第2車両を第2開始位置で待機させる
自動走行車両の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、農作業支援システム、自動走行車両の制御システム及び制御方法、並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、農道に設置した軽トラックまで収穫物を搬送するための運搬車が開示されている。運搬車には、収穫物を入れることができる移動パレットが搭載されている。運搬車から軽トラックの荷台への収穫物の載せ替えにこの移動パレットを利用することで、収穫物の軽トラックへの積み込み作業の負担軽減が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-143375号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、農業人口の減少や農業従事者の高齢化が深刻化しており、農作業のより一層の効率化が望まれている。特許文献1の技術では、運搬車から軽トラックへの積み込み作業の負担軽減は可能であるが、収穫作業者が運搬車とともに軽トラックまで移動することが必要であり、効率性に改善の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)本開示で提案する自動走行車両の制御システムの一例は、複数の果樹列と各果樹列に沿った収穫作業路とを有している圃場において果樹からの収穫物を搬送する第1車両を制御する第1制御部と、前記圃場において収穫物を搬送する第2車両を制御する第2制御部とを含む。前記第1車両が第1開始位置から第1終了位置まで第1収穫作業路を走行し、前記第1終了位置から少なくとも1つの荷下ろし位置まで走行するように、前記第1制御部は前記第1車両を制御し、前記第2車両が第2開始位置から第2終了位置まで第2収穫作業路を走行し、前記第2終了位置から前記少なくとも1つの荷下ろし位置まで走行するように、前記第2制御部は前記第2車両を制御する。前記第2開始位置は前記第1終了位置の近傍であり、前記第2制御部は、前記第1車両が前記第1終了位置に到達するまで、前記第2車両を第2開始位置で待機させる。このシステムによると、作業者が車両とともに荷下ろし位置に移動する必要がなくなり、農作業を効率化できる。また、収穫作業者は、第1終了位置において第1車両への収穫物の積み込みを終えた後、第2車両を利用する収穫作業を効率的に開始できる。
【0006】
(2)本開示で提案する自動走行車両の制御システムの別の例は、複数の果樹列と各果樹列に沿った収穫作業路とを有している圃場において果樹からの収穫物を搬送する第1車両を制御する第1制御部と、前記圃場において収穫物を搬送する第2車両を制御する第2制御部とを含む。前記第1車両が第1開始位置から第1終了位置まで第1収穫作業路を走行し、前記第1終了位置から少なくとも1つの荷下ろし位置まで走行するように、前記第1制御部は前記第1車両を制御し、前記第2車両が第2開始位置から第2終了位置まで第2収穫作業路を走行し、前記第2終了位置から前記少なくとも1つの荷下ろし位置まで走行するように、前記第2制御部は前記第2車両を制御する。前記第1終了位置と前記第2開始位置は、果樹列に沿った方向での前記複数の果樹列の端部領域に規定され、前記第2制御部は、前記第1車両が前記第1終了位置に到達するまで、前記第2車両を第2開始位置で待機させる。このシステムによると、作業者が車両とともに荷下ろし位置に移動する必要がなくなり、農作業を効率化できる。また、収穫作業者は、第1終了位置において第1車両への収穫物の積み込みを終えた後、第2車両を利用した収穫作業を効率的に開始できる。
【0007】
(3)(1)又は(2)の制御システムにおいて、前記第1車両が前記少なくとも1つの荷下ろし位置から第3収穫作業路の第3の開始位置まで走行し、前記第2車両又は別の車両が収穫作業路の終了位置に到達するまで前記第3の開始位置で待機するように、前記第1制御部は前記第1車両を制御してよい。前記第2車両が前記少なくとも1つの荷下ろし位置から第4収穫作業路の第4の開始位置まで走行し、前記第1車両又は別の車両が収穫作業路の終了位置に到達するまで前記第4の開始位置で待機するように、前記第2制御部は前記第2車両を制御してよい。このシステムによると、収穫作業者は、第1車両と、第2車両(及びさらに別の車両)を順番に利用できる。
【0008】
(4)(1)の制御システムにおいて、前記第1車両が前記少なくとも1つの荷下ろし位置から第3の開始位置まで走行し、前記第3の開始位置から第3の終了位置まで第3収穫作業路を走行するように、前記第1制御部は前記第1車両を制御してよい。前記第3の開始位置は前記第2終了位置の近傍であり、前記第1制御部は、前記第2車両が前記第2終了位置への到達するまで前記記第1車両を前記第3の開始位置で待機させてよい。このシステムによると、収穫作業者は、第2終了位置において第2車両への収穫物の積み込みを終えた後、第1車両を利用した収穫作業を効率的に開始できる。
【0009】
(5)(2)の制御システムにおいて、前記第1車両が前記少なくとも1つの荷下ろし位置から第3の開始位置まで走行し、前記第3の開始位置から第3の終了位置まで第3収穫作業路を走行するように、前記第1制御部は前記第1車両を制御してよい。前記第3の開始位置は前記複数の果樹列の前記端部に規定されてよい。前記第1制御部は、前記第2車両が前記第2終了位置への到達するまで前記記第1車両を前記第3の開始位置で待機させてよい。このシステムによると、収穫作業者は、第2終了位置において第2車両への収穫物の積み込みを終えた後、第1車両を利用した収穫作業を効率的に開始できる。
【0010】
(6)(1)又は(2)の制御システムにおいて、前記第1収穫作業路は隣り合う2つの果樹列の間に規定され、前記第2車両が前記少なくとも1つの荷下ろし位置から前記第2開始位置に移動するとき、前記隣り合う2つの果樹列の間の領域を避けて走行するように、前記第2制御部は前記第2車両を制御してよい。これによると、制御システムを隣り合う2つの果樹列間の距離が小さい圃場にこの制御システムを適用することが容易化できる。
【0011】
(7)(1)又は(2)の制御システムにおいて、前記第2収穫作業路は隣り合う2つの果樹列の間に規定され、前記第1車両が前記第1終了位置から前記少なくとも1つの荷下ろし位置へ移動するとき、前記隣り合う2つの果樹列の間の領域を避けて走行するように、前記第1制御部は前記第1車両を制御してよい。これによると、制御システムを隣り合う2つの果樹列間の距離が小さい圃場にこの制御システムを適用することが容易化できる。
【0012】
(8)(1)又は(2)の制御システムは、前記第2車両が前記第2開始位置で待機しているときに、前記第2収穫作業路に沿った走行の開始指令を作業者が前記第2制御部に入力するための入力部をさらに有してよい。これによると、第2車両の動きと作業者の作業と連携させることが容易となる。
【0013】
(9)(1)又は(2)の制御システムは、前記第1終了位置から前記少なくとも1つの荷下ろし位置までの走行の開始指令を前記第1制御部に入力するための入力部と、前記第2終了位置から前記少なくとも1つの荷下ろし位置までの走行の開始指令を前記第2制御部に入力するための入力部とを有してよい。これによると、車両の動きと作業者の作業と連携させることが容易となる。
【0014】
(10)(1)又は(2)の制御システムは、前記第1収穫作業路において、前記第1収穫作業路よりも短い所定の距離又は前記第1収穫作業路の走行に要する時間よりも短い所定の時間だけ前記第1車両を走行させる走行指令を入力するための入力部と、前記第2収穫作業路において、前記第2収穫作業路よりも短い所定の距離又は前記第2収穫作業路の走行に要する時間よりも短い所定の時間だけ前記第2車両を走行させる走行指令を入力するための入力部とを有してよい。これによると、車両の動きと作業者の作業と連携させることが容易となる。
【0015】
(11)(1)又は(2)の制御システムにおいて、前記第1開始位置と前記第1終了位置とが予め規定され、前記第2開始位置と前記第2終了位置とが予め規定されていてよい。
【0016】
(12)(11)の制御システムにおいて、前記第1制御部の記憶部は、前記第1終了位置から前記少なくとも1つの荷下ろし位置までの経路情報を記憶しており、前記第2制御部の記憶部は、前記第2終了位置から前記少なくとも1つの荷下ろし位置までの経路情報を記憶してよい。
【0017】
(13)本開示で提案する農業支援システム一例は、(1)又は(2)に記載の制御システムと、前記第1車両と、前記第2車両とを有している。
【0018】
(14)本開示で提案するプログラムの一例は、複数の果樹列と各果樹列に沿った収穫作業路とを有している圃場において果樹からの収穫物を搬送する第1車両を制御する第1制御部、前記圃場において収穫物を搬送する第2車両を制御する第2制御部としてコンピュータを機能させる。前記第1車両が第1開始位置から第1終了位置まで第1収穫作業路を走行し、前記第1終了位置から少なくとも1つの荷下ろし位置まで走行するように、前記第1制御部は前記第1車両を制御する。前記第2車両が第2開始位置から第2終了位置まで第2収穫作業路を走行し、前記第2終了位置から前記少なくとも1つの荷下ろし位置まで走行するように、前記第2制御部は前記第2車両を制御する。前記第2開始位置は前記第1終了位置の近傍であり、前記第2制御部は、前記第1車両が前記第1終了位置に到達するまで、前記第2車両を第2開始位置で待機させる。
【0019】
(15)本開示で提案するプログラムの別の例は、複数の果樹列と各果樹列に沿った収穫作業路とを有している圃場において果樹からの収穫物を搬送する第1車両を制御する第1制御部、前記圃場において収穫物を搬送する第2車両を制御する第2制御部としてコンピュータを機能させる。前記第1車両が第1開始位置から第1終了位置まで第1収穫作業路を走行し、前記第1終了位置から少なくとも1つの荷下ろし位置まで走行するように、前記第1制御部は前記第1車両を制御する。前記第2車両が第2開始位置から第2終了位置まで第2収穫作業路を走行し、前記第2終了位置から前記少なくとも1つの荷下ろし位置まで走行するように、前記第2制御部は前記第2車両を制御する。前記第1終了位置と前記第2開始位置は、前記果樹列に沿った方向での前記複数の果樹列の端部領域に規定される。前記第2制御部は、前記第1車両が前記第1終了位置に到達するまで、前記第2車両を第2開始位置で待機させる。
【0020】
(16)本開示で提案する自動走行車両の制御方法の一例は、複数の果樹列と各果樹列に沿った収穫作業路とを有している圃場において果樹からの収穫物を搬送する第1車両と、前記圃場において収穫物を搬送する第2車両とを制御する方法である。前記第1車両が第1開始位置から第1終了位置まで第1収穫作業路を走行し、前記第1終了位置から少なくとも1つの荷下ろし位置まで走行するように、前記第1車両を制御する。前記第2車両が第2開始位置から第2終了位置まで第2収穫作業路を走行し、前記第2終了位置から前記少なくとも1つの荷下ろし位置まで走行するように、前記第2車両を制御する。前記第2開始位置は前記第1終了位置の近傍であり、前記第1車両が前記第1終了位置に到達するまで、前記第2車両を第2開始位置で待機させる。
【0021】
(17)本開示で提案する自動走行車両の制御方法の一例は、複数の果樹列と各果樹列に沿った収穫作業路とを有している圃場において果樹からの収穫物を搬送する第1車両と、前記圃場において収穫物を搬送する第2車両とを制御する方法である。前記第1車両が第1開始位置から第1終了位置まで第1収穫作業路を走行し、前記第1終了位置から少なくとも1つの荷下ろし位置まで走行するように、前記第1車両を制御する。前記第2車両が第2開始位置から第2終了位置まで第2収穫作業路を走行し、前記第2終了位置から前記少なくとも1つの荷下ろし位置まで走行するように、前記第2車両を制御する。前記第1終了位置と前記第2開始位置は、前記果樹列に沿った方向での前記複数の果樹列の端部領域に規定される。前記第1車両が前記第1終了位置に到達するまで、前記第2車両を第2開始位置で待機させる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本開示で提案する自動運転システムの構成を示すブロック図である。
図2】自動走行車両の構成を示すブロック図である。
図3A】2台の車両の動きを説明するための第1の図である。
図3B】2台の車両の動きを説明するための第2の図である。
図3C】2台の車両の動きを説明するための第3の図である。
図3D】2台の車両の動きを説明するための第4の図である。
図4】車両が待機する果樹列の端部領域を説明するための図である。
図5図2で示す制御装置が有している機能を示すブロック図である。
図6図3A図3Dで示す第1車両の動きを実現する経路情報を説明するための図である。
図7図3A図3Dで示す第2車両の動きを実現する経路情報を説明するための図である。
図8A】第1車両と第2車両の制御装置が実行する処理の例を示すフロー図である。
図8B】第1車両と第2車両の制御装置が実行する処理の例を示すフロー図である。
図9】車両の動き及び収穫作業の別の例を説明するための図である。
図10】車両の動き及び収穫作業のさらに別の例を説明するための図である。
図11】車両の動き及び収穫作業のさらに別の例を説明するための図である。
図12】収穫作業路の開始位置及び終了位置の別の例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本開示で提案する農作業支援システムと、農作業支援システムにおいて自動走行車両を制御する制御システム及び制御方法について説明する。図1は本開示で提案する農作業支援システムの一例である農作業支援システム1を示すブロック図である。
【0024】
図1で示すように、農作業支援システム1は、複数の自動走行車両V1・V2を有している。また、農作業支援システム1は車両管理装置70を有していてよい。車両管理装置70は、情報通信網Cnを介して自動走行車両V1・V2と接続されてよい。情報通信網Cnは、インターネット、携帯電話網、WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)、専用回線などを含む。
【0025】
農作業支援システム1は、ナシや、リンゴ、モモなどの果樹を栽培している圃場において複数の車両V1・V2を走行させる制御システムを含んでいる。制御システムは、車両V1・V2に搭載される後述する制御装置11によって構成される。車両V1・V2は圃場内に規定された走行経路に沿って走行する。収穫作業者は、収穫物を採取し、車両V1・V2に収穫物を積み込む作業を行いながら、車両V1・V2とともに果樹列に沿って移動する。
【0026】
[自動走行車両の概要]
図2は自動走行車両V1・V2のハードウェアを示すブロック図である。車両V1・V2は、処理装置12と記憶装置13とを含む制御装置11を有している。処理装置12は、CPU(Central Processing Unit)や、GPU(Graphics Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などを含んでいる。処理装置12は、記憶装置13に格納されているプログラムを実行し、駆動機構21やステアリング機構23などを制御する。記憶装置13は、例えば、RAM(Random Access Memory)や、ROM(Read Only Memory)を含んでいる。制御装置11は、車両V1・V2に搭載されるネットワーク(例えば、CAN(Controller Area Network))を介して互いに接続される複数の装置(各装置が処理装置と記憶装置とを含む)によって構成されてもよい。記憶装置13には、プログラムに加えて、例えば車両V1・V2が自車位置を推定するためのデータ(例えば、点群データから作成されたマップ)が保存される。また、車両V1・V2の走行時には圃場内に規定された経路情報が記憶装置13に保存される。この経路情報は、予め記憶装置13に記録されてもよいし、後述するように車両管理装置70から受信して記憶装置13に記録されてもよい。同様に、自車位置を推定するためのデータ(例えば、上述した点群データから作成されたマップ)も、予め記憶装置13に記録されてもよいし、車両管理装置70から受信して記憶装置13に記録されてもよい。
【0027】
[駆動機構等]
図1で示すように、車両V1・V2は、圃場からの収穫物を載せるための荷台19を有している。また、図2で示すように、車両V1・V2は、駆動機構21と、ブレーキ機構22と、ステアリング機構23とを有している。駆動機構21は、車輪の駆動源として、例えば電動モータを有する。この場合、車両V1・V2は電動モータに供給する電力を蓄えるバッテリを有する。駆動源はエンジンであってもよい。駆動機構21は、駆動源から車輪への動力伝達経路上に変速機や減速機を有してもよい。ブレーキ機構22は車輪に対して制動力を付与する機構であり、ブレーキ装置と、ブレーキ装置に油圧を介して接続されるコントロールバルブとを含む。ステアリング機構23は、例えば前輪を操舵するための機構であり、ステアリングシャフト、ステアリングシャフトと車輪とを連結するタイロッドと、ステアリングシャフトを回転させるアクチュエータとを含む。
【0028】
図2で示すように、車両V1・V2は、車両V1・V2の周囲にある地物の位置を表す周辺情報を出力する外界センサ群30を有している。外界センサ群30は、例えば、LiDAR(Light Detection and Ranging)31と、カメラ32とを含んでよい。また、外界センサ群30は、ミリ波レーダを含んでもよい。車両V1・V2はGNSS受信機34を有してよい。GNSS受信機34はGNSS衛星(例えばGPS衛星)から到来する電波を受信し、その電波に基づいて車両V1・V2の位置を測位する。通信装置38は情報通信網Cnを介して車両管理装置70に接続するための無線通信モジュールである。
【0029】
また、図2で示すように、制御システムは、制御装置11への入力装置として、寸進ボタン35を有している。寸進ボタン35は、収穫作業者が、所定の時間(例えば1~5秒)や所定の距離(例えば1~5m)だけ車両V1・V2を前進させるためのボタンである。収穫作業者は、寸進ボタン35の操作を繰り返すことで、車両V1・V2を果樹列に沿って少しずつ前進させることができる。寸進ボタン35は、例えば近距離無線で接続されてよい。寸進ボタン35は、有線で制御装置11に接続されてよい。
【0030】
図2で示すように、制御システムは、制御装置11への入力装置として、発進ボタン36を有している。発進ボタン36は、収穫作業者が停止中の車両V1・V2に対して走行開始を指示するためのボタンである。発進ボタン36も、寸進ボタン35と同様、例えば近距離無線で接続されてよい。発進ボタン36は、有線で制御装置11に接続されてよい。後において説明するように、制御システムを利用した収穫作業には、1台の車両の操作に複数の作業者が関与する。発進ボタン36が複数の作業者(具体的には、収穫作業者及び荷下ろし作業者)にそれぞれ所持されていてよい。なお、発進ボタン36は、車両V1・V2が走行しているときには、制御装置11に停止を指示できてよい。
【0031】
[車両管理装置の概要]
車両管理装置70は、図1に示すように、処理装置71、記憶装置72、通信装置73、及び表示装置74を有している。処理装置71は、CPU(Central Processing Unit)を含んでいる。記憶装置72はHDD(Hard Disk Drive)や、SSD(Solid State Drive)、RAM、ROMなど含んでよい。処理装置71は、記憶装置72に記憶されているプログラムを実行し、車両V1・V2の制御に係る種々の処理を実行する。また、記憶装置72には、車両V1・V2が走行すべき経路情報、圃場の地図情報(例えば、点群データから作成されたマップ)などが格納されている。通信装置73は、情報通信網Cnを介して、車両V1・V2と通信するための通信モジュールである。記憶装置72に格納されている経路情報や地図情報は、通信装置73を介して車両V1・V2に送信されてよい。表示装置74は、例えば、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイであってよい。表示装置74は、通信装置73を通して受信した車両V1・V2に関する情報を表示してよい。
【0032】
[収穫作業と車両の動きの第1の例]
図3A図3Dを参照しながら、農作業支援システム1における車両V1・V2の動きの例について説明する。これらの図では、果樹列F1~F4に沿って描かれている複数の黒丸は果実を表している。
【0033】
これらの図に示す車両V1・V2の動きは、後述する経路情報に従った走行と、果樹列Fに沿った走行とによって実現される。以下では、経路情報に従った走行を「計画走行」と称し、果樹列Fに沿った走行を「ガイド走行」と称する。
【0034】
図3Aで示すように、圃場では複数の果樹列F1~F4が並んでいる。各果樹列F1~F4では、複数の果樹が並んでいる。果樹列は、主幹が独立した果樹の列だけでなく、接ぎ木等によって相互に連結している果樹の列であってもよい。また、果樹列は、ブドウの様なつる性の果樹であってもよい。この場合、果樹を支える支柱が果樹列として見なされてよい。すなわち、複数の支柱が一方向に並び果樹列を構成してよい。図で示す例では、4つの果樹列F1~F4が概ね並行に形成されているが、果樹列F1~F4の配置はこれに限られない。各果樹列F1~F4は湾曲していてもよい。
【0035】
以下では、複数の果樹列を区別する場合に、果樹列について符号F1~F4を用いる。複数の果樹列F1~F4を区別しない場合、果樹列について符号Fを用いる。また、以下では、各果樹列Fが伸びている方向(図3AにおいてD1)を「果樹列縦方向」と称する。複数の果樹列Fが並んでいる方向(図3AにおいてD2)を「果樹列横方向」と称する。
【0036】
図3Aで示すように、圃場には枕地領域R1・R2が確保されている。枕地領域R1・R2は果樹が栽培されていない領域である。図で示す例では、果樹列Fが形成されている領域に対して果樹列縦方向の一方側に枕地領域R1が確保されている。そして、枕地領域R1とは反対側に枕地領域R2が確保されている。
【0037】
また、圃場には、荷下ろし位置Pdが確保されている。荷下ろし位置Pdは、作業者が、車両V1・V2によって搬送された収穫物を車両V1・V2から降ろし、別の車両に積み替えたり、或いは、収穫物を品質に応じて分類したりする場所である。図3Aで示すように、複数の果樹列Fの周囲には複数のマーカーMが配置されている。マーカーMの機能については、後において説明する。
【0038】
[収穫作業路の開始位置への移動]
図3Aで示すように、まず車両V1・V2のそれぞれは収穫作業路G1・G2の開始位置(図3Aで車両V1・V2が描かれている位置)に配置される。図で示す例では、第1車両V1の開始位置(第1開始位置)は果樹列F1の端部近傍であり、第2車両V2の開始位置(第2開始位置)は果樹列F2の端部近傍である。収穫作業者は第1車両V1の側に移動する。荷下ろし作業者は荷下ろし位置Pdで待機する。車両V1・V2は、荷下ろし位置Pdや、車庫(不図示)から自動で開始位置まで走行してもよいし、作業者の運転によって開始位置まで移動してもよい。
【0039】
なお、本明細書において、収穫作業路とは、果樹列Fの右側又は左側に沿った、車両V1・V2用の動線である。以下では、複数の収穫作業路を区別する場合に収穫作業路について符号G1・G2等を用い、それらを区別しない場合には収穫作業路について符号Gを用いる。複数の収穫作業路Gの距離は実質的に均等であってよい。
【0040】
[第1車両を利用した収穫作業]
収穫作業者は果樹列F1から得た収穫物を第1車両V1の荷台19に蓄積する。第1車両V1は、果樹列F1の右側の第1収穫作業路G1を走行する。第1車両V1は、例えば、果樹列F1からのオフセット距離が所定距離(例えば、数メートル)となるようにステアリング機構23を制御する。すなわち、第1車両V1は果樹列F1に沿ったガイド走行を実行する。このガイド走行によって、例えば果樹列が曲がっている場合でも、車両V1は果樹列に沿って走行することとなり、また収穫作業者の余分な動き(果樹と車両V1との間の移動)を減らすことができる。
【0041】
このとき、収穫作業者は、例えば寸進ボタン35を通して走行指令を入力できてもよい。以下では、寸進ボタン35のオン操作による走行指令を寸進指令と称する。寸進指令が入力されると、第1車両V1は、所定の距離或いは所定の時間だけ前進し、その後、停止する。以下では、この所定の距離を「寸進距離」と称し、この所定の時間を「寸進時間」と称する。寸進距離は、車両V1・V2が果樹列Fに沿った作業路よりも十分に短い距離であり、例えば1~5メートルであってよい。寸進時間は、車両V1・V2が果樹列Fに沿った作業路の走行に要する時間よりも十分に短い時間であり、例えば1~5秒であってよい。
【0042】
収穫作業者が、寸進ボタン35のオン操作による第1車両V1の寸進と、収穫作業とを繰り返すことによって、第1車両V1は果樹列F1の右側に沿った第1収穫作業路G1を走行する。なお、収穫作業路に沿った走行は、このような寸進に限られない。例えば、車両V1・V2は、寸進ボタン35の操作によることなく、断続的に前進してもよい。すなわち、車両V1・V2は、収穫作業路に沿って前進と停止とを自動で繰り返してもよい。さらに他の例として、車両V1・V2は、収穫作業者の移動速度に合う低い速度で連続走行(すなわち、断続的でない走行)してもよい。
【0043】
第1車両V1が果樹列F1の反対側の端部(枕地領域R2)に到達すると、収穫作業者は発進ボタン36をオンする。すると、第1車両V1は計画走行を実行し、図3Aの実線矢印で示されるように、果樹列F1の反対側(図3Aにおいて左側)に回りこみ、果樹列F1の端部で停止する。
【0044】
その後、収穫作業者は、寸進ボタン35のオン操作による第1車両V1の寸進と、収穫作業とを繰り返すことによって、第1車両V1は果樹列F1の左側に沿った第1収穫作業路G1を走行する。このとき第1車両V1はガイド走行を実行してよい。このようにして、第1車両V1は、第1収穫作業路G1の端部(第1終了位置)まで走行する。
【0045】
図3Bで示すように、収穫作業者は、第1収穫作業路G1の終了位置で発進ボタン36を通して走行開始指令を入力すると、第1車両V1は経路情報に従った計画走行を実行し、荷下ろし位置Pdに移動する。荷下ろし作業者が、その作業の終了後に、発進ボタン36を通して走行開始指令を入力すると、果樹列F4の端部近傍(第3開始位置)まで計画走行を実行する。
【0046】
[第2車両を利用した収穫作業]
第2車両V2は、第1車両V1が第1収穫作業路G1の終了位置に到着するまで、果樹列F2の端部近傍(第2開始位置)で待機している。図3Bで示すように、収穫作業者は、第1収穫作業路G1の終了位置から第2車両V2の開始位置まで移動する。
【0047】
収穫作業者が第2車両V2の開始位置に到着すると、第2車両V2は果樹列F2の左側の第2収穫作業路G2をガイド走行する。収穫作業者が寸進ボタン35の操作と収穫作業とを繰り返し行うことで、第2車両V2は果樹列F2の左側に沿った第2収穫作業路G2を走行してもよい。
【0048】
図3Bで示すように、第2車両V2が果樹列F2の端部(枕地領域R2、図3A参照)に到達すると、収穫作業者は発進ボタン36を通して走行開始指令を入力する。すると、第2車両V2は再び計画走行を実行し、図3Bの実線矢印で示されるように果樹列F3の左側に回りこみ、果樹列F3の端部で自動的に停止する。その後、寸進ボタン35の操作と収穫作業とを収穫作業者が繰り返すことによって、第2車両V2は果樹列F3の左側に沿った第2収穫作業路G2をガイド走行する。これによって、第2車両V2は、第2収穫作業路G2の端部(第2終了位置)まで走行する。
【0049】
図3Cで示すように、第2収穫作業路G2の終了位置で作業者が発進ボタン36を通して走行開始指令を入力すると、第2車両V2は計画走行を実行し、荷下ろし位置Pdに移動する。荷下ろし作業者が、その作業の終了後に、発進ボタン36を通して走行開始指令を入力すると、果樹列F3の端部近傍(第4開始位置)まで計画走行を実行する。
【0050】
[第1車両を利用した収穫作業]
この後も、これまでと同様の手順で、第1車両V1を利用した収穫作業と、第2車両V2を利用した収穫作業とを繰り返し実行する。
【0051】
すなわち、図3Cで示すように、第1車両V1は、第2車両V2が第2収穫作業路G2の終了位置に到着するまで、果樹列F4の端部近傍(第3開始位置)で待機している。第2車両V2が第2収穫作業路G2の終了位置に到着すると、収穫作業者は第1車両V1まで移動し、寸進ボタン35の操作と収穫作業とを繰り返す。これによって、第1車両V1は、果樹列F4の左側に沿った第3収穫作業路G3をガイド走行する。第1車両V1は、果樹列F4の端部(枕地領域R2、図3A参照)に到達すると、発進ボタン36を通した走行開始指令を受けて、計画走行を実行する。これによって、第1車両V1は、図3Cの実線矢印で示されるように、果樹列F4の右側に回りこみ、果樹列F4の端部で停止する。その後、収穫作業者が寸進ボタン35の操作と収穫作業とを繰り返すことによって、第1車両V1は果樹列F4の右側に沿った第3収穫作業路G3を、その端部(第3終了位置)までガイド走行する。
【0052】
図3Dで示すように、第1車両V1は、第3収穫作業路G3の終了位置で走行開始指令を受けると、計画走行を実行し、荷下ろし位置Pdに移動する。これにより、第1車両V1を利用した作業は終了する。
【0053】
[第2車両を利用した収穫作業]
第2車両V2は、第1車両V1が第3収穫作業路G3の終了位置に到着するまで、果樹列F3の端部近傍(第4開始位置)で待機している。図3Dで示すように、収穫作業者は、第1車両V1が第3収穫作業路G3の終了位置に到達すると、第2車両V2まで移動し、寸進ボタン35の操作と収穫作業とを繰り返す。これによって、第2車両V2は、果樹列F3の右側に沿った第4収穫作業路G4をガイド走行する。第2車両V2は、果樹列F3の端部(枕地領域R2、図3A参照)に到達すると、発進ボタン36を通した走行開始指令を受けて、計画走行を実行する。これによって、第2車両V2は、図3Dの実線矢印で示されるように、果樹列F2の右側に回りこみ、果樹列F2の端部で停止する。その後、収穫作業者が寸進ボタン35の操作と収穫作業とを繰り返すことによって、第2車両V2は果樹列F2の右側に沿った第4収穫作業路G4を、その端部(第4終了位置)までガイド走行する。
【0054】
収穫作業者は、第4収穫作業路G4の終了位置で発進ボタン36をオンすると、第2車両V2は計画走行し、荷下ろし位置Pdに移動する。これにより、第2車両V2を利用した作業は終了する。
【0055】
[荷下ろし位置への移動]
上述したように、第1車両V1は第1開始位置から第1終了位置まで第1収穫作業路G1を走行し(図3A)、第1終了位置から荷下ろし位置Pdまで走行するよう、制御される(図3B)。第2車両V2は第2開始位置から第2終了位置まで第2収穫作業路G2を走行し(図3B)、第2終了位置から荷下ろし位置Pdまで走行するよう、制御される(図3C)。また、第1車両V1は第3開始位置から第3終了位置まで第3収穫作業路G3を走行し(図3C)、第3終了位置から荷下ろし位置Pdまで走行する(図3D)。第2車両V2は第4開始位置から第4終了位置まで第4収穫作業路G4を走行し(図3D)、第4終了位置から荷下ろし位置Pdまで走行する。このように車両V1・V2は自動的に荷下ろし位置Pdに移動するため、収穫作業者が荷下ろし位置Pdまで移動することが必要とされず、収穫作業を効率的に行うことができる。
【0056】
なお、各収穫作業路G1~G4の終了位置に到達するタイミングに合わせて荷台19が実質的に満載となるペースで収穫するのが望ましい。こうすることで、収穫作業をより効率化できる。また、例えば、各収穫作業路G1~G4の終了位置に到達するタイミングに合わせて荷台19を実質的に満載にするために、収穫作業者は果樹の一部だけから収穫してよい。この場合、作業者が残りの果実を収穫するために、車両V1・V2は同じ収穫作業路を複数回走行するように制御されてよい。
【0057】
[開始位置(待機位置)と終了位置]
また、上述したように、第1車両V1が第1終了位置(第1収穫作業路G1の終点)に到達するまで、第2車両V2は第2開始位置(第2収穫作業路G2の始点)で待機する。また、第2車両V2が第2終了位置(第2収穫作業路G2の終点)に到達するまで、第1車両V1は第3開始位置(第3収穫作業路G3の始点)で待機する。一方の車両の終了位置と他方の車両の開始位置は近くに規定されている。これにより、収穫作業者は、終了位置において一方の車両への収穫物の積み込みを終えた後、他方の車両への収穫物の積み込みを、時間的な無駄を生じることなく開始できる。また、収穫物を載せる車両が収穫作業中に不在となる時間を無くすことができる。その結果、車両が不在の間に収穫した収穫物を一時的にストックしたり、ストックした収穫物を、車両が到着したときに積むといった作業を無くすことができる。
【0058】
なお、「終了位置と開始位置が近い」とは、隣り合う2つの果樹列Fに沿って規定されている収穫作業路の間の距離よりも小さい範囲内に、開始位置と終了位置とが規定されていることを意味する。図3A図3Dの例では、一方の車両の開始位置と他方の車両の終了位置との距離が、果樹列F(例えば、果樹列F1)の右側の収穫作業路と、1つ隣の果樹列F(例えば、果樹列F2)の左側の収穫作業路との距離よりも小さいことを意味する。
【0059】
また、図3A図3Dの例では、一方の車両の収穫作業路の終了位置と、他方の車両の収穫作業路の開始位置の双方が、複数の果樹列F1~F4の端部領域に規定されている。ここで、端部領域とは、図4で示すように、例えば、果樹列F1~F4の端部を果樹列縦方向D2の外側に距離L1だけ超えた外側領域R3と、果樹列F1~F4の端部から果樹列縦方向D2の内側に距離L1だけ入った内側領域R4とを含む。距離L1は、例えば隣り合う2つの果樹列Fの間の距離であってよい。距離L1は、車両V1・V2の長さと同じか、車両V1・V2の長さの2倍であってもよい。複数の果樹列F1~F4の端部領域は、内側領域R4と、枕地領域R1(図3A参照)とを含んでもよい。開始位置と終了位置とをこのように規定することによって、収穫作業者は、終了位置において一方の車両への収穫物の積み込みを終えた後、他方の車両への収穫物の積み込みを時間的な無駄を生じることなく開始できる。また、収穫物を載せる車両が収穫作業中に不在となる時間を無くすことができる。その結果、車両が不在の間に収穫した収穫物を一時的にストックしたり、ストックした収穫物を、車両が到着したときに積むといった作業を無くすことができる。
【0060】
なお、図3A図3Dの例では、開始位置と終了位置は隣り合う2つの果樹列Fに沿った収穫作業路上に規定されていた。例えば、図3Aで示すように、第1収穫作業路G1の終了位置は果樹列F1に沿って規定され、第2収穫作業路G2の開始位置は1つ隣の果樹列F2に沿って規定されていた。しかしながら、開始位置と終了位置は、例えば、2つ隣の果樹列(例えば、果樹列F1と果樹列F3)の収穫作業路上にそれぞれ規定されてもよい。さらに他の例として、開始位置と終了位置は、3つ隣の果樹列(例えば、果樹列F1と果樹列F4)の収穫作業路上にそれぞれ規定されてもよい。この場合でも、開始位置と終了位置は、複数の果樹列Fの端部領域(領域R3・R4)の範囲内にあることが望ましい。
【0061】
車両V1・V2が開始位置にあるとき、それらの車体の一部は隣り合う2つの果樹列の間に位置してよい。言い換えれば、車両V1・V2が開始位置にあるとき、車体の一部は上述した内側領域R4に位置していてよい。これによれば、車両V1・V2と果樹列Fの端部との距離が小さくなるので、収穫作業者は開始位置に到着後、収穫作業を直ぐに開始できる。
【0062】
[収穫作業路の開始位置が避けている領域]
図3Bにおいて、領域R5は、第1車両V1の第1収穫作業路G1が規定されている隣り合う2つの果樹列F1・F2の間の領域を、果樹列縦方向に延長した領域である。第2車両V2の第2収穫作業路G2の開始位置は、この領域R5を避けて規定されてよい。図3Cにおいて領域R6は、第2車両V2の第2収穫作業路G2が規定されている隣り合う2つの果樹列F3・F4の間の領域を、果樹列縦方向に延長した領域である。第1車両V1の第4収穫作業路G4の開始位置は、この領域R6を避けて規定されてよい。このことは、他の全ての収穫作業路の開始位置と終了位置についても同様に成立してよい。これによって、車両V1・V2が隣り合う2つの果樹列Fの間ですれ違うことを回避でき、車両V1・V2の制御が容易となる。
【0063】
[車両のすれ違い・追い越しの回避]
2台の車両V1・V2の走行経路は、隣り合う2つの果樹列Fの間で、互いに反対方向に走行(すれ違い)したり、隣り合う2つの果樹列Fの間で一方の車両が他方の車両を追い越さないように規定されてよい。これによると、農作業支援システム1を果樹列F間の距離が小さい圃場にも適用することが容易となる。
【0064】
例えば、図3Bで示すように、第1車両V1は、収穫作業路Gの終了位置から荷下ろし位置Pdに移動するとき、第2車両V2の収穫作業路が規定される隣り合う2つの果樹列Fの間の領域(果樹列F2・F3間の領域と果樹列F3・F4間の領域)を避けて走行する。また、図3Cで示すように、第2車両V2は、収穫作業路Gの終了位置から荷下ろし位置Pdに移動するとき、第1車両V1の収穫作業路が規定される隣り合う2つの果樹列の間の領域(果樹列F3・F4間の領域)を避けて走行する。このことは、他の全ての工程においても同様に成立してよい。
【0065】
なお、第1車両V1は、収穫作業路の終了位置から荷下ろし位置Pdに移動するとき、複数の果樹列F1~F4の外側(最も右側にある果樹列F1のさらに右側や、最も左側にある果樹列F4のさらに左側)を走行してもよい。これによって、第2車両V2は、第1車両V1の収穫作業路が規定される隣り合う2つの果樹列Fの間の領域を容易に回避できる。同様に、第2車両V2は、収穫作業路の終了位置から荷下ろし位置Pdに移動するとき、複数の果樹列F1~F4の外側(最も右側にある果樹列F1のさらに右側や、最も左側にある果樹列F4のさらに左側)を走行してもよい。
【0066】
また、第2車両V2は、荷下ろし位置Pdから収穫作業路Gの開始位置に移動するとき、第1車両V1の収穫作業路Gが規定される、隣り合う2つの果樹列Fの間の領域を避けて走行してよい。例えば、図3Cで示すように、第2車両V2は、荷下ろし位置Pdから第4収穫作業路G4の開始位置に移動するとき、複数の果樹列F1~F4の外側(例えば、最も右側にある果樹列F1のさらに右側)を走行してもよい。これによって、第2車両V2と第1車両V1とのすれ違いを容易に回避できる。同様に、第1車両V1も、荷下ろし位置Pdから収穫作業路の開始位置に移動するとき、第2車両V2の収穫作業路Gが規定される、隣り合う2つの果樹列Fの間の領域を避けて走行してよい。
【0067】
[制御装置の機能]
図5は、車両V1・V2の制御装置11が有している機能を示すブロック図である。制御装置11は、その機能として、経路情報取得部11a、現在位置検出部11b、計画走行制御部11c、及びガイド走行制御部11dを含んでいる。これらの機能は、処理装置12が記憶装置13に格納されているプログラムを実行することによって実現される。
【0068】
[経路情報取得部]
経路情報取得部11aは、図3A図3Dを参照しながら説明した経路を示す情報(経路情報)を取得する。経路情報取得部11aは、経路情報を、例えば管理装置70から情報通信網Cnを介して受信してよい。第1車両V1の経路を規定する経路情報と、第2車両V2の経路を規定する経路情報が、管理装置70において生成され、対応する車両V1・V2に送信されてよい。
【0069】
[経路情報]
図6図3A図3Dで示す第1車両V1の動きを実現する経路情報を説明するための図である。図7図3A図3Dで示す第2車両V2の動きを実現する経路情報を説明するための図である。
【0070】
経路情報は、例えば、経路を規定する連続した複数のウェイポイントを含んでよい。各ウェイポイントは位置情報(例えば、圃場におけるX座標とY座標)で特定される。図6及び図7においては、矢印の実線(1、2、3等)がウェイポイントで規定される経路を示している。経路情報では、各位置での車両の速度が規定されていてもよい。
【0071】
また、経路情報では、ウェイポイントに対応づけて動作指令が規定されていてもよい。動作指令として、停止指令がある。図6及び図7にある「S」の位置は、経路情報において、停止指令が付与された位置である。経路情報において停止指令が規定されている位置(ウェイポイント)に車両V1・V2が到来したとき、制御装置11は車両V1・V2を停止させる。以下では、停止指令(S)が付与されている位置を「停止位置」と称する。
【0072】
制御装置11は、その制御モードとして、計画走行制御部11cによって実現される計画走行モードAと、ガイド走行制御部11dによって実現されるガイド走行モードBとを有している。計画走行モードAでは、連続した複数のウェイポイントで特定される経路に沿って車両V1・V2が走行するように、計画走行制御部11cが駆動機構21、ブレーキ機構22、及びステアリング機構23を制御する。ガイド走行モードBでは、ガイド走行制御部11dが果樹列Fからのオフセット距離を一定に保ちながら車両V1・V2を走行させる。
【0073】
経路情報には、動作指令として、モード変更指令を有していてもよい。図6及び図7にある「A→B」の位置は、計画走行モードAからガイド走行モードBへのモード変更指令が、動作指令として付与されている位置である。また、これらの図にある「B→A」の位置は、ガイド走行モードBから計画走行モードAへのモード変更指令が、動作指令として付与されている位置である。制御装置11は、車両V1・V2がこのモード変更指令が付された位置(ウェイポイント)に到来したとき、制御モードを変更する。以下では、モード変更指令が付与されている位置を「モード変更位置」と称する。
【0074】
第1車両V1の経路情報では、図6で示す経路1~5がこの順序で規定されている。具体的には、第1車両V1の経路情報では、荷下ろし位置Pdから収穫作業路G1・G3(図3A及び図3C)の開始位置までの経路が規定されてよい。また、第1車両V1の経路情報では、収穫作業路G1・G3の終了位置から荷下ろし位置Pdまでの経路も規定されてよい。また、第1車両V1の経路情報では、図6で示す停止位置(S)及びモード変更位置(A→B、B→A)が規定されてよい。第1車両V1は、計画走行モードAにおいては、この経路情報に従って走行するよう制御装置11によって制御される。
【0075】
同様に、第2車両V2の経路情報では、図7で示す経路1~5がこの順序で規定されている。具体的には、第2車両V2の経路情報では、荷下ろし位置Pdから収穫作業路G2・G4(図3B及び図3D)の開始位置までの経路が規定されてよい。また、第2車両V2の経路情報では、収穫作業路G2・G4の終了位置から荷下ろし位置Pdまでの経路が規定されてよい。また、第2車両V2の経路情報でも、図7で示す停止位置(S)及びモード変更位置(A→B、B→A)が規定されてよい。第2車両V2は、この経路情報に従って走行するよう制御装置11によって制御される。
【0076】
荷下ろし位置Pd、及び、収穫作業路G1~G4の開始位置に、停止指令(S)が規定されている。車両V1・V2が荷下ろし位置Pdで停止しているとき、荷下ろし作業者が発進ボタン36を通して走行開始指令を入力する。これにより、計画走行モードAによる制御が開始し、車両V1・V2は経路情報に従った走行を開始する。また、車両V1・V2が収穫作業路G1~G4の開始位置で停止しているとき、収穫作業者が寸進ボタン35を通して走行開始指令を入力する。これにより、ガイド走行モードBによる制御が開始し、車両V1・V2は果樹列Fに沿った走行を開始する。後において説明するように、制御装置11は、圃場に設けられたマーカーM(図3A参照)と自車両V1・V2との相対位置に基づいて、自車両が各収穫作業路G1~G4の終了位置にあるか否かを判定してよい。そして、車両V1・V2が収穫作業路G1~G4の終了位置に至ったとき、収穫作業者は発進ボタン36を通して走行開始指令を入力する。これにより計画走行モードAによる制御が開始し、車両V1・V2は経路情報に従った走行を開始する。このことによって、図3A図3Dで説明した車両V1・V2の動きが順番に実行される。
【0077】
果樹列Fに沿った収穫作業路Gの一方の端部には、モード変更指令(A→B)が規定され、同収穫作業路Gの他方の端部には、モード変更指令(B→A)が規定されている。この指令を実行する結果、果樹列Fに沿った収穫作業路Gではガイド走行モードBが実行されることとなる。
【0078】
なお、車両V1・V2が有する経路情報は、図6及び図7で示す例に限られない。例えば、果樹列Fに沿った経路(すなわち、収穫作業経路)に経路情報(ウェイポイント)は規定されていなくてもよい。例えば、隣り合う2つの果樹列の間では、経路情報は規定されていなくてもよい。隣り合う2つの果樹列Fの間では、果樹列Fとの相対位置(例えば、隣り合う2つの果樹列Fの中央からのオフセット距離)に基づいて走行するガイド走行が実行されてよい。また、最右部にある果樹列F(図3A等において果樹列F1)の更に右側や、最左部にある果樹列F(図3A等において果樹列F4)の更に左側にも、経路情報(ウェイポイント)は規定されていなくてもよい。最右部にある果樹列Fの右側や、最左部にある果樹列Fの左側を走行するときにも、果樹列Fから一定のオフセット距離を確保しながら行うガイド走行が実行されてよい。
【0079】
経路情報に、モード変更指令は含まれていなくてもよい。例えば、制御装置11は、計画走行モードAの実行中、停止位置(S)において寸進ボタン35を通して走行指令を受けたときに、制御モードをガイド走行モードBへ変更してもよい。また、制御装置11は、ガイド走行モードBの実行中、マーカーM(図3A参照)との相対位置(例えば、距離や方向)が予め規定された位置となり、且つ発進ボタン36を通して走行指令を受けたときに、制御モードを計画走行モードAへ変更してもよい。
【0080】
[現在位置検出部]
現在位置検出部11bは、外界センサ群30の出力に基づいて、自車両の現在位置(現在座標)と車両の向きとを検出(推定)する。例えば、記憶装置13には点群データから作成されたマップが格納されている。現在位置検出部11bは、LiDAR31の出力データとマップとを照合することによって、自車両の現在位置と向きと算出する。
【0081】
現在位置検出部11bの処理は、これに限られない。現在位置検出部11bは、LiDAR31の出力データに加えて、又はLiDAR31の出力データに代えて、カメラ32の出力及び/又はGNSS受信機34で受信した信号に基づいて、車両の現在位置と向きと算出してもよい。
【0082】
制御装置11は、現在位置検出部11bによって算出された現在位置と車両V1・V2の向きを、管理装置70に送信してもよい。管理装置70は、各車両V1・V2から受信した現在位置等に基づいて、車両V1・V2の動きを監視してもよい。例えば、管理装置70は、受信した現在位置等に基づいて、各車両V1・V2の運転における異常や、2台の車両V1・V2の連携の異常を検出してよい。より具体的には、管理装置70は、一方の車両が収穫作業路の開始位置に適切なタイミングで到着しているか否かを判定してもよい。管理装置70は、例えば、一方の車両が収穫作業路の終了位置に到達する前に、他方の車両が収穫作業路の開始位置(待機位置)に到着しているか否かを判定してもよい。このような異常が検出された場合、管理装置70は、その旨を作業者の携帯端末(不図示)或いは車両V1・V2に通知してもよい。
【0083】
[計画走行制御部]
計画走行制御部11cは、計画走行モードAによる制御を実行する。すなわち、計画走行制御部11cは、検出された現在位置(現在座標)と経路情報とに基づいて、駆動機構21、ブレーキ機構22、及びステアリング機構23を制御する。そして、自車両が経路情報で規定される経路に沿って移動するように駆動機構21等を制御する。
【0084】
また、計画走行制御部11cは、計画走行モードAの途中で停止指令(S)が付された位置に自車両が到達したとき、車両V1・V2を停止させる。その後、計画走行制御部11cは、発進ボタン36の操作による走行指令を受けたときに走行を再開させる。例えば、停止指令(S)が付されている荷下ろし位置Pdに車両V1・V2が到達したとき、計画走行制御部11cは、この位置で第1車両V1を停止させる。その後、発進ボタン36を通して荷下ろし作業者による走行開始指令を受けたときに、計画走行制御部11cは走行を再開させる。停止指令(S)に加えて、モード変更指令(A→B)が付された位置に車両V1・V2が到達したときに、計画走行制御部11cは車両を停止させる。そして、制御装置11は、その制御モードをガイド走行モードBに変更する。
【0085】
なお、モード変更指令(A→B)が付された位置と、停止位置は同じでなくてもよい。例えば、車両V1・V2は停止位置を通過した後に、モード変更指令(A→B)が付された位置に到来してもよい。この場合、車両V1・V2が停止位置にあるときに、収穫作業者は寸進ボタン35を通して走行指令を入力する。そうすると、車両V1・V2は少し走行し、その走行過程でモード変更指令(A→B)が付された位置を通過する。このときに、制御装置11は、制御モードを計画走行モードAからガイド走行モードBに変更してよい。
【0086】
[ガイド走行制御部]
ガイド走行制御部11dは、ガイド走行モードBによる制御を実行する。ガイド走行制御部11dは、ガイド走行モードBにおいて、車両V1・V2を果樹列Fに沿って走行させる。例えば、ガイド走行制御部11dは、車体と果樹列Fとの間に所定のオフセット距離(例えば数メートル)が確保されるように、ステアリング機構23を制御してよい。具体的には、ガイド走行制御部11dは、外界センサ群30の出力に基づいて果樹列Fと車体との距離を計測し、計測する距離が所定の距離を維持するように、ステアリング機構23を制御してよい。
【0087】
制御装置11は、ガイド走行モードBとして、車両V1・V2の左側にある果樹列Fからのオフセット距離を維持する左ガイド走行モードB(L)と、車両V1・V2の右側にある果樹列Fからのオフセット距離を維持する右ガイド走行モードB(R)とを有してよい。例えば、図3Aで示す第1収穫作業路G1を第1車両V1が走行するときに、果樹列F1は第1車両V1の左側にあるため、左ガイド走行モードB(L)が実行されてよい。これに対し、図3Cで示す第3収穫作業路G3を第1車両V1が走行するときに、果樹列F4は車両V1の右側にあるため、右ガイド走行モードB(R)が実行されてよい。こうすることによって、隣り合う2つの果樹列Fの間の距離が大きい場合でも、果樹列Fと車両V1・V2との距離を適正に保つことができる。
【0088】
ガイド走行制御部11dの制御は、ここで説明する例に限られない。例えば、車両V1・V2が隣り合う2つの果樹列Fの間を走行する場合、すなわち車両V1・V2の左右に果樹列Fがある場合、ガイド走行制御部11dは、左右の果樹列Fの中心からのオフセット距離が一定となるように走行してもよい。この制御でも、車両V1・V2を果樹列Fに沿って走行させることができる。
【0089】
ガイド走行制御部11dは、ガイド走行モードBにおいて、寸進ボタン35を通して寸進指令が入力されたときに、上述した寸進距離又は寸進時間だけ車両V1・V2を前進させ、その後、車両V1・V2を停止してもよい。これによって、作業者が、寸進ボタン35を繰り返し操作することによって、車両V1・V2を少しずつ前進させることができる。
【0090】
ガイド走行制御部11dが実行する処理は、これに限られない。例えば、ガイド走行制御部11dは、収穫作業者に追従するように走行してもよい。さらに他の例では、ガイド走行制御部11dは、寸進ボタン35の操作によることなく、断続的に前進してもよい。すなわち、ガイド走行制御部11dは、前進と停止とを自動で繰り返してもよい。例えば、所定の距離(又は所定の時間)だけ前進し、その後、所定の時間だけ停止するという制御を繰り返し実行してもよい。他の例として、車両V1・V2は、収穫作業者の移動速度に合う低い速度で連続走行(すなわち、断続的でない走行)してもよい。
【0091】
さらに他の例として、ガイド走行モードBにおいては、ガイド走行制御部11dは、計画走行モードAよりも遅い速度で車両V1・V2を走行させてもよい。そして、収穫作業者のボタン操作により停止指令を受けたとき、ガイド走行制御部11dは車両V1・V2を停止してもよい。そして、停止から所定時間が経過したときに、ガイド走行制御部11dは、走行を再開してもよい。
【0092】
なお、図3A図3Dで説明した例とは異なり、車両V1・V2は、収穫作業路Gの終了位置から荷下ろし位置Pdに移動するときや、荷下ろし位置Pdから収穫作業路Gの開始位置に移動するときに、隣り合う果樹列Fの間を走行してもよい。このように、隣り合う果樹列Fの間を走行するとき、ガイド走行制御部11dがガイド走行モードBを実行してよい。車両V1・V2は、収穫作業路Gの終了位置から荷下ろし位置Pdに移動するときや、荷下ろし位置Pdから収穫作業路Gの開始位置に移動するときに、複数の果樹列Fの外側(図3A等において複数の果樹列F1~F4の全体の右側と左側)を走行するときに、ガイド走行制御部11dがガイド走行モードBを実行してよい。この場合、寸進ボタン35は利用されず、車両V1・V2は例えば一定速度で走行してもよい。
【0093】
また、制御装置11は、必ずしもガイド走行制御部11dを有していなくてもよい。この場合、車両V1・V2が走行する全経路について経路情報が規定されてよい。
【0094】
[処理フローの例]
図8A及び図8Bは、各車両V1・V2の制御装置11が実行する処理の流れを示す図である。これらの処理は、2台の車両V1・V2のそれぞれで実行される。
【0095】
経路情報取得部11aが、図6及び図7を参照しながら説明した経路情報を取得する(S101)。制御装置11は、発進ボタン36を通して走行開始指令を受けたか否かを判定する(S102)。制御装置11は、発進ボタン36がオンされるまで、待機する。制御装置11が走行開始指令を受けると、現在位置検出部11bは、例えばLiDAR31の出力データに基づいて、自車両の現在位置(圃場内の現在座標)を算出する(S103)。また、計画走行制御部11cは、S101で取得した経路情報を参照し、目標位置を取得する(S104)。例えば、計画走行制御部11cは、経路情報に規定されている複数の位置(ウェイポイント)のうち、S103で算出された現在位置の次の位置を目標位置として取得する。計画走行制御部11cは、目標位置に近づくように、駆動機構21及びステアリング機構23を制御する(S105)。
【0096】
計画走行制御部11cは、目標位置が停止位置であるかどうか、すなわち、目標位置のウェイポイントが停止指令(S)を含むか否かを判定する(S106)。目標位置が停止位置でない場合、計画走行制御部11cは、S103に戻り、その後の処理を実行する。
【0097】
目標位置が停止位置である場合、計画走行制御部11cは、車両V1・V2が停止位置に到達したときに、ブレーキ機構22を操作して、車両V1・V2を停止する(S107)。また、制御装置11は、停止位置が、計画走行モードAからガイド走行モードBへのモード変更位置であるか否か(S108)、すなわち目標位置のウェイポイントがモード変更指令(A→B)を含むか否かを判定する。なお、S103からS107までが計画走行モードAの制御である。
【0098】
目標位置がモード変更位置でない場合、制御装置11は、停止位置が経路情報で規定される経路全体の終了位置であるか否かを判定する(S109)。例えば、第1車両V1の制御装置11は、停止位置が、第3収穫作業路G3の終了位置を出発したあとの荷下ろし位置Pd(又は、車庫)であるか否かを判定する。また、第2車両V2の制御装置11は、停止位置が、第4収穫作業路G4の終了位置を出発したあとの荷下ろし位置Pd(又は、車庫)であるか否かを判定する。
【0099】
停止位置が経路情報で規定される経路全体の終了位置である場合、制御装置11は車両V1・V2がその終了位置に終了したときに、処理を終了する。停止位置が経路全体の終了位置ではない場合、制御装置11の処理は、S102に戻り、その後の処理を再び実行する。
【0100】
一方、S108において、停止位置が計画走行モードAからガイド走行モードBへのモード変更位置である場合、制御装置11の処理はガイド走行モードBに移行し、ガイド走行制御部11dがその処理を開始する。具体的には、ガイド走行制御部11dは寸進ボタン35のオン操作による寸進指令を受けたか否かを判定する(S110)。ガイド走行制御部11dは、寸進指令を受けるまで、車両V1・V2を待機させる。ガイド走行制御部11dは、寸進指令を受けると、果樹列Fからのオフセット距離を算出し(S111)、算出したオフセット距離と予め規定した距離(例えば、数メートル)との差に基づいて目標操舵角を算出する(S112)。すなわち、ガイド走行制御部11dは、果樹列Fからの距離が数メートルに維持されるように、目標操舵角を算出する。そして、ガイド走行制御部11dは、実際の操舵角が目標操舵角になるようにステアリング機構23を操作しながら、所定の寸進距離(又は寸進時間)だけ車両V1・V2を走行させ、その後車両V1・V2を停止する(S113)。
【0101】
制御装置11は、車両V1・V2がガイド走行モードBから計画走行モードAへのモード変更位置に到達したか否かを判定する(S114)。すなわち、制御装置11は、車両V1・V2が収穫作業路Gの終了位置に到達したか否かを判定する。例えば、制御装置11は、圃場内に予め設置されたマーカーM(図3A参照)を外界センサ群(例えば、カメラ32)で検出したか否かを判定する。マーカーMは、例えば圃場に配置される発光部や、圃場に配置される特定パターンが描かれた標識、反射パネルなどであってよい。図3Aで示すように、マーカーMは、例えば、隣り合う2つの果樹列Fの間の領域の延長上に配置されてよい。車両V1・V2がマーカーMに近づき、カメラ32で検知するマーカーMと自車両V1・V2との相対位置(距離や方向)が予め規定した位置となると、制御装置11は、車両V1・V2がガイド走行モードBから計画走行モードAへのモード変更位置に到達した、すなわち車両V1・V2が収穫作業路Gの終了位置に到達したと判断してよい。なお、この判定処理は、ここで説明する例に限られない。例えば、車両V1・V2が走行する全経路について経路情報が規定されてよい。この場合、経路情報において、収穫作業路Gの終了位置のウェイポイントに停止指令(S)が付与されていてよい。
【0102】
S114において、車両V1・V2が未だモード変更位置に到達していないとき、制御装置11は、S110の処理に戻り、以降の処理を実行する。一方、車両V1・V2がモード変更位置に到達したとき、制御装置11は、S102の処理に戻り、以降の処理を実行する。これによって、計画走行モードAが再開されることとなる。以上が、制御装置11が実行する処理の例である。
【0103】
なお、制御装置11が実行する処理は、図8A及び図8Bの例に限られない。例えば、図8A及び図8Bで示す例では、S114において車両V1・V2がガイド走行モードBから計画走行モードAへのモード変更位置に到達したと判断されたとき、S102の発進ボタン36の操作をきっかけとして(走行開始指令を受けて)、計画走行モードAによる走行が開始していた。これとは異なり、S114において車両V1・V2がモード変更位置に到達したと判断されたとき、発進ボタン36の操作をきっかけとすることなく、計画走行モードAによる走行(S103~S106)が開始してもよい。
【0104】
[収穫作業と車両の動きの第2の例]
図9を参照しながら、システム1における車両V1・V2の動きの第2の例について説明する。以下では、主として、図3A図3Dで説明した動きとの相違点について説明する。図9で示される動きに関して説明の無い事項は、上述した例と同じであってよい。車両V1・V2の記憶装置13には、図9で示す車両V1・V2の走行経路を規定する経路情報が格納される。図8A及び図8Bを参照しながら説明した処理を、この経路情報に基づいて制御装置11が実行することで、これらの図に示す動きが実現される。
【0105】
図3A図3Dの例では、2台の車両V1・V2の切り換えは、荷下ろし位置Pdに近い、果樹列Fの端部領域に規定されていた。端部領域とは、例えば、図4を例示した外側領域R3と内側領域R4とを含む領域である。図3A等の例とは異なり、図9で示す例では、第1車両V1が通る収穫作業路の開始位置と、第2車両V2が通る収穫作業路の開始位置は、互いに反対側にある2つの端部領域にそれぞれ規定されている。収穫作業者は、各収穫作業路G1~G4の終了位置(端部領域)に到達するタイミングに合わせて車両V1・V2の荷台19が実質的に満載となるペースで収穫してよい。以下、車両V1・V2の動きについて、具体的に説明する。
【0106】
図9の(a)で示すように、第1車両V1は果樹列F1の右側に沿った第1収穫作業路G1の開始位置に配置される。また、第2車両V2は果樹列F1の左側に沿った第1収穫作業路G2(図9の(b)参照)の開始位置に配置される。第1収穫作業路G1の開始位置と、第2収穫作業路G2の開始位置は、果樹列縦方向において互いに反対側の端部領域に規定されている。収穫作業者は、例えば第1車両V1の寸進ボタン35を利用した寸進と収穫作業とを繰り返す。これによって、第1車両V1は第1収穫作業路G1をガイド走行する。
【0107】
図9の(b)で示すように、第1車両V1は、第1収穫作業路G1の終了位置に到達した後、収穫作業者による発進ボタン36の操作(走行開始指令)を受けて、第3収穫作業路G3の開始位置に向かう計画走行を実行する。このとき、第1車両V1は、荷下ろし位置Pdを経由する。図で示す例では、第3収穫作業路G3は果樹列F2の左側に規定されている(図9の(c)参照)。第3収穫作業路G3の開始位置と、第2収穫作業路G2の開始位置は、果樹列縦方向において互いに反対側の端部領域に規定される。
【0108】
第2車両V2は、第1車両V1が第1収穫作業路G1の終了位置に到達するまで、第2収穫作業路G2(図9の(b)参照)の開始位置で待機している。収穫作業者は、第1収穫作業路G1の終了位置への到達後、第2収穫作業路G2の開始位置に移動し、寸進ボタン35の操作による第2車両V2の寸進と収穫作業とを繰り返す。このとき、第2車両V2は果樹列F1に沿ったガイド走行を実行する。
【0109】
図9の(c)で示すように、第2車両V2は、第2収穫作業路G2の終了位置に到達すると、収穫作業者による発進ボタン36の操作を受けて、第4収穫作業路G4の開始位置に向かう計画走行を実行する。このときも、第2車両V2は、荷下ろし位置Pdを経由する。第4収穫作業路G4は、果樹列F3の左側に規定されている。第4収穫作業路G4の開始位置と、第3収穫作業路G3の開始位置は、果樹列縦方向において互いに反対側の端部領域に規定される。
【0110】
第2車両V2は、第1車両V1が第3収穫作業路G3の終了位置に到達するまで、第4収穫作業路G4の開始位置で待機する。収穫作業者は、第3収穫作業路G3の終了位置への到達後、第4収穫作業路G4の開始位置に移動し、寸進ボタン35の操作による第2車両V2の寸進と収穫作業とを繰り返す。このとき、第2車両V2は果樹列F3に沿ったガイド走行を実行する。
【0111】
図9の(d)で示すように、第1車両V1は、第3収穫作業路G3の終了位置に到達した後、収穫作業者による発進ボタン36の操作を受けて、第5収穫作業路G5の開始位置に向かう計画走行を実行する。収穫作業者は、第3収穫作業路G3の終了位置への到達後、第4収穫作業路G4の開始位置で待機している第2車両V2に移動する。そして、寸進ボタン35の操作による第2車両V2の寸進と収穫作業とを繰り返す。
【0112】
この後も、車両V1・V2は、図9の(a)~(d)と同様に収穫作業路を交互に走行し、圃場内に規定された全ての収穫作業路を走行する。
【0113】
[収穫作業と車両の動きの第3の例]
図10を参照しながら、システム1における車両V1・V2の動きの第3の例について説明する。以下では、これまで説明した動きとの相違点について説明する。図10で示される動きに関して説明の無い事項は、上述した例と同じであってよい。車両V1・V2の記憶装置13には、図10で示す車両V1・V2の走行経路を規定する経路情報が格納される。図8A及び図8Bで例示した処理をこの経路情報に基づいて制御装置11が実行することで、これらの図に示す動きが実現される。
【0114】
図3A図3D、及び図9の例とは異なり、車両V1・V2は同じ収穫作業路を複数回走行してよい。図10で示す例では、車両V1・V2は同じ収穫作業路を2回走行する。これにより、収穫作業者は、例えば、1回目の走行においては果樹列Fの下部に実っている果実だけを収穫し、2回目の走行において果樹列Fの上部に実っている果実を収穫することが可能となる。これによると、例えば果樹の栽植密度が高い場合であっても、車両V1・V2が各収穫作業路の終了位置に到達するタイミングに合わせて荷台19を実質的に満載にすることが可能となる。これによって、収穫作業をより効率化できる。以下、車両V1・V2の動きについて説明する。図10において、果樹列Fに沿って並んでいる複数の黒丸は、例えば果樹列Fの上部に実っている果樹であり、果樹列Fに沿って並んでいる複数の白丸は、例えば果樹列Fの下部に実っている果樹である。
【0115】
図10の(a)で示すように、第1車両V1は果樹列F1の右側に沿った第1収穫作業路G1の開始位置に配置される。また、第2車両V2は果樹列F1の左側に沿った第1収穫作業路G2の開始位置に配置される。第1収穫作業路G1の開始位置と、第2収穫作業路G2の開始位置は、果樹列縦方向において互いに反対側の端部領域に規定されてよい。
【0116】
図10の(a)及び(b)で示すように、第1車両V1が果樹列F1の右側の第1収穫作業路G1を走行するとき、収穫作業者は、例えば果樹列F1の下部に実っている果実(図10において白丸)だけを収穫する。第1車両V1は、第1収穫作業路G1の終了位置に到達した後、収穫作業者による発進ボタン36の操作(走行開始指令)を受けて、第3収穫作業路G3の開始位置に向かう計画走行を実行する。このとき、第1車両V1は、これまでの例と同様、荷下ろし位置Pdを経由する。
【0117】
図10の(a)及び(c)で示すように、第3収穫作業路G3は、第1収穫作業路G1と同様に、果樹列F1の右側に規定される。第3収穫作業路G3の開始位置と、第1収穫作業路G1の開始位置は実質的に同じであってよい。
【0118】
第2車両V2は、第1車両V1が第1収穫作業路G1の終了位置に到達するまで、第2収穫作業路G2の開始位置で待機している。収穫作業者は、第1収穫作業路G1の終了位置への到達後、第2収穫作業路G2の開始位置で待機している第2車両V2に移動する。第2車両V2が果樹列F1の左側の第2収穫作業路G2を走行するとき、収穫作業者は、例えば果樹列F1の下部に実っている果実(図10において白丸)だけを収穫する。
【0119】
図10の(c)で示すように、第2車両V2は、第2収穫作業路G2の終了位置に到達した後、収穫作業者による発進ボタン36の操作(走行開始指令)を受けて、第4収穫作業路G4の開始位置に向かう計画走行を実行する。このとき、第2車両V2は、これまでの例と同様、荷下ろし位置Pdを経由する。
【0120】
図10の(b)及び(d)で示すように、第4収穫作業路G4は、第2収穫作業路G2と同様に、果樹列F1の左側に規定されている。第4収穫作業路G4の開始位置と、第2収穫作業路G2の開始位置は実質的に同じであってよい。
【0121】
第1車両V1は、第2車両V2が第2収穫作業路G2の終了位置に到達するまで、第3収穫作業路G3の開始位置で待機する。収穫作業者は、第2収穫作業路G2の終了位置への到達後、第3収穫作業路G3の開始位置に移動する。第1車両V1が第3収穫作業路G3を走行するとき、収穫作業者は、例えば果樹列F1の上部に実っている果実(図10において黒丸)を収穫する。
【0122】
図10の(d)で示すように、第1車両V1は、第3収穫作業路G3の終了位置に到達した後、作業者による発進ボタン36の操作を受けて、第5収穫作業路G5の開始位置に向けて走行する。また、収穫作業者は、第3収穫作業路G3の終了位置への到達後、第4収穫作業路G4の開始位置で待機している第2車両V2に移動する。第2車両V2が第4収穫作業路G4を走行するとき、収穫作業者は、例えば果樹列F1の上部に実っている果実(図10において黒丸)を収穫する。
【0123】
この後も、車両V1・V2は、図10の(a)~(d)と同様に、各果樹列の沿った作業路を2回走行し、圃場内に規定された全ての収穫作業路を走行する。
【0124】
図10の例とは異なり、収穫作業路を走行している1台の車両に複数の収穫作業者が収穫物を積み込んでもよい。この場合、図10で示したように、一人の収穫作業者は果樹列Fの上部の果実を収穫し、もう一人の収穫作業者は果樹列Fの下部の果実を収穫してもよい。この場合、車両V1・V2の荷台19は、各収穫作業路Gの1回の走行で得られる収穫量に合わせた容量、すなわち各果樹列Fの下部から得られる全ての収穫物と各果樹列Fの上部から得られる全ての収穫物とを積み込むことが可能な容量を有してよい。こうすることによって、植栽密度が高い圃場においても、図10で例示したような1つの収穫作業路を複数回走行することが必要とされない。このように、複数の作業者が収穫作業に従事する場合、車両V1・V2の動きは、図3A図3Dで例示したものや、図9で例示したものであってよい。この場合、荷下ろし作業者は1名であってもよいし、複数名であってもよい。
【0125】
[収穫作業と車両の動きの第4の例]
図11を参照しながら、農作業支援システム1における車両V1・V2の動きの第4の例について説明する。以下では、これまで説明した動きとの相違点について説明する。図11で示される動きに関して説明の無い事項は、上述した例と同じであってよい。車両V1・V2の記憶装置13には、図11で示す車両V1・V2の走行経路を規定する経路情報が格納される。
【0126】
図11で示すように、農作業支援システム1では、第1車両V1と第2車両V2とに加えて、第3車両V3と第4車両V4とが利用されてもよい。第1車両V1と第2車両V2とが交互に収穫作業路を走行し、第3車両V3と第4車両V4とが交互に収穫作業路を走行してよい。
【0127】
また、複数の作業者が収穫作業路を走行している1台の車両に収穫物を積み込んでもよい。図11で示す例では、収穫作業路を走行している1台の車両に二人の作業者が収穫物を積み込んでいる。以下、車両V1・V2・V3・V4の動きについて説明する。
【0128】
図11の(a)で示すように、第1車両V1は果樹列F1の右側に沿った第1収穫作業路G1の開始位置に配置される。また、第3車両V3は果樹列F1の左側に沿った第5収穫作業路G5の開始位置に配置される。この図で示すように、第1収穫作業路G1の開始位置と、第5収穫作業路G5の開始位置は、果樹列縦方向において互いに反対側の端部領域に規定されてよい。
【0129】
第1車両V1が第1収穫作業路G1を走行するとき、第1車両V1とともに移動する二人の収穫作業者の一方は、例えば果樹列F1の下部に実っている果実(図11において白丸)を収穫し、他方は、例えば果樹列F1の上部に実っている果実(図11において黒丸)を収穫してよい。また、図11の(a)で示すように、第1車両V1が第1収穫作業路G1を走行している最中、第3車両V3は第5収穫作業路G5を走行する。このとき、第3車両V3とともに移動する二人の収穫作業者の一方は、例えば果樹列F1の下部に実っている果実を収穫し、他方は、果樹列F1の上部に実っている果実を収穫してよい。
【0130】
図11の(a)で示すように、第4車両V4は、果樹列F2の左側の第6収穫作業路G6の開始位置で待機していてよい。第2車両V2が走行する第2収穫作業路G2は、果樹列F2の右側に規定されている。第2車両V2は、第3車両V3が果樹列F1・F2の間の第5収穫作業路G5の開始位置を離れるまで、第2収穫作業路G2の開始位置とは異なる位置で待機していてもよい。これによって、第2車両V2と第3車両V3との距離を確保できる。
【0131】
図11の(b)で示すように、第1車両V1は、第1収穫作業路G1の終了位置に到達した後、第3収穫作業路G3の開始位置に向けて走行する。図で示す例では、第3収穫作業路G3は果樹列F3の右側に規定されている。第3収穫作業路G3の開始位置と、第2収穫作業路G2の終了位置は、果樹列Fの端部領域に規定されてよい。
【0132】
第1車両V1の第3収穫作業路G3(果樹列F3の右側に沿った作業路)と、第4車両V4の第6収穫作業路G6(果樹列F2の左側に沿った作業路)は、隣り合う2つの果樹列F2・F3の間である。この場合、図11の(c)で示すように、第1車両V1は、第4車両V4が第6収穫作業路G6の開始位置を離れるまで、第3収穫作業路G3の開始位置とは異なる位置で待機していてもよい。これによって、第1車両V1と第4車両V4との距離が確保し易くなる。
【0133】
第2車両V2は、第1車両V1が第1収穫作業路G1の終了位置に到達するまで、第2収穫作業路G2の開始位置で待機している。収穫作業者は、第1収穫作業路G1の終了位置への到達後、第2収穫作業路G2の開始位置に移動する。第2車両V2は果樹列F2の右側の第2収穫作業路G2を走行する(図11の(c)参照)。このとき、二人の収穫作業者が果樹列F2の右側から果実を収穫してよい。また、第2車両V2は、果樹列F1・F2の間を走行している第3車両V3に追いつかないスピードで、第2収穫作業路G2を走行してよい。
【0134】
図11の(c)で示すように、第3車両V3は、第5収穫作業路G5の終了位置に到達すると、収穫作業者による発進ボタン36の操作(走行開始指令)を受けて、第7収穫作業路G7の開始位置に向けて走行する。図で示す例では、第7収穫作業路G7は果樹列F3の左側に規定されている。
【0135】
図11の(c)で示すように、第4車両V4は、第3車両V3が第5収穫作業路G5の終了位置に到達するまで、第6収穫作業路G6の開始位置で待機している。収穫作業者は、第5収穫作業路G5の終了位置への到達後、第6収穫作業路G6の開始位置に移動する。第4車両V4は、果樹列F2の左側の第6収穫作業路G6を走行する。このとき、二人の収穫作業者が果樹列F2の左側から果実を収穫する。第1車両V1は、第1車両V1と第4車両V4との距離を確保するため、第4車両V4が果樹列F2・F3の間の第6収穫作業路G6の開始位置を離れた後に、第3収穫作業路G3の開始位置に到達してよい。
【0136】
図11で示したように、第1車両V1と第2車両V2は、各果樹列Fの右側の収穫作業路を走行してよい。一方、第3車両V3と第4車両V4は、各果樹列Fの左側の収穫作業路を走行してよい。第1車両V1(又は第2車両V2)と、第3車両V3(又は第4車両V4)が、共通の2つの果樹列Fの間の収穫作業路の開始位置に配置されることがある。このとき、一方の車両が開始位置を離れるまで、他方の車両は、開始位置とは異なる位置で待機してよい。例えば、図11の(c)で示した例では、第4車両V4が第6収穫作業路G6の開始位置を離れるまで、第1車両V1が第3収穫作業路G3の開始位置とは異なる位置で待機している。このことによって、2台の車両の距離を確保することが容易となる。
【0137】
[まとめ]
以上説明したように、自動走行車両の制御システムは、第1車両V1の制御装置11と、第2車両V2の制御装置11とを含んでいる。第1車両V1は、第1開始位置から第1終了位置まで第1収穫作業路G1を走行し、その後、第1終了位置から荷下ろし位置Pdまで走行するように、制御される。また、第2車両V2は、第2開始位置から第2終了位置まで第2収穫作業路G2を走行し、その後、第2終了位置から荷下ろし位置Pdまで走行するように、制御される。このシステムによると、作業者が車両とともに荷下ろし位置に移動する必要がなくなり、農作業を効率化できる。すなわち、収穫物の一時保管や、別の車両への収穫物の積み替え作業に要する時間や労力を低減できる。
【0138】
(1)また、第2収穫作業路G2の第2開始位置は第1収穫作業路G1の第1終了位置の近傍である。また、第2車両V2は、第1車両V1が第1終了位置に到達するまで第2開始位置で待機する。これによると、収穫作業者は、第1終了位置において第1車両V1への収穫物の積み込みを終えた後、第2車両V2を利用した収穫作業を効率的に開始できる。
【0139】
(2)第1収穫作業路G1の第1終了位置と第2収穫作業路G2の第2開始位置は、果樹列に沿った方向での複数の果樹列Fの端部領域(領域R3・R4)に規定される。第2車両V2は、第1車両V1が第1終了位置に到達するまで第2開始位置で待機する。これによると、収穫作業者は、第1終了位置において第1車両V1への収穫物の積み込みを終えた後、第2車両V2を利用した収穫作業を効率的に開始できる。
【0140】
(3)第1車両V1は荷下ろし位置Pdから第3収穫作業路G3の第3開始位置まで走行する。第1車両V1は、第2車両V2が第2収穫作業路の第2終了位置に到達するまで、第3開始位置で待機する。また、第2車両V2は荷下ろし位置Pdから第4収穫作業路の第4開始位置まで走行する。第2車両V2は、第1車両V1が第3収穫作業路の第3終了位置に到達するまで第4開始位置で待機する。これによると、収穫作業者は、第1車両V1と第2車両V2を交互に利用できる。
【0141】
(4)第1車両V1は、荷下ろし位置Pdから第3収穫作業路G3の第3開始位置まで走行し、その後、第3開始位置から第3終了位置まで第3収穫作業路G3を走行する。第3開始位置は、第2収穫作業路G2の第2終了位置の近傍である。第1車両V1は、第2車両V2が第2収穫作業路G2の第2終了位置への到達するまで、第3開始位置で待機する。これによると、収穫作業者は、第2終了位置において第2車両V2への収穫物の積み込みを終えた後、第1車両を利用した収穫作業を効率的に開始できる。
【0142】
(5)第1車両V1は、荷下ろし位置Pdから第3収穫作業路G3の第3開始位置まで走行し、第3開始位置から第3終了位置まで第3収穫作業路G3を走行する。第3開始位置は複数の果樹列Fの端部領域(領域R3・R4)に規定されている。第1車両V1は、第2車両V2が第2終了位置への到達するまで、第3開始位置で待機する。これによると、収穫作業者は、第2終了位置において第2車両V2への収穫物の積み込みを終えた後、第1車両V1を利用した収穫作業を効率的に開始できる。
【0143】
(6)第2車両V2は、荷下ろし位置Pdから収穫作業路Gの開始位置に移動するとき、第1車両V1の収穫作業路Gが間に形成される隣り合う2つの果樹列Fの間の領域を避けて走行する。これによると、隣り合う2つの果樹列F間の距離が小さい圃場に、このシステムを適用することが容易となる。
【0144】
(7)第1車両V1は、収穫作業路Gの終了位置から荷下ろし位置Pdへ移動するとき、第2車両V2の収穫作業路Gが間に形成される隣り合う2つの果樹列Fの間の領域を避けて走行する。これによると、隣り合う2つの果樹列F間の距離が小さい圃場に、このシステムを適用することが容易化できる。
【0145】
(8)第2車両V2が第2収穫作業路G2の第2開始位置で待機しているとき、収穫作業者は、入力部(寸進ボタン35)を通して、第2収穫作業路G2に沿った走行の開始指令(寸進指令)を制御装置11に入力できる。これによると、第2車両V2の動きと収穫作業者の作業と連携させることが容易となる。
【0146】
(9)収穫作業者は、収穫作業路Gの終了位置から荷下ろし位置Pdまでの走行の開始指令を、入力部(発進ボタン36)を通して、車両V1・V2の制御装置11に入力できる。これによると、車両V1・V2の動きと収穫作業者の作業と連携させることが容易となる。
【0147】
(10)収穫作業者は、収穫作業路Gよりも短い寸進距離又は収穫作業路Gの走行に要する時間よりも短い寸進時間だけ車両V1・V2を走行させる走行指令を、入力部(寸進ボタン35)を通して、車両V1・V2の制御装置11に入力できる。これによると、車両の動きと作業者の作業と連携させることが容易となる。
【0148】
(11)第1車両V1の制御装置11は、第1開始位置と第1終了位置とが規定された経路情報を記憶している記憶装置13を含んでいる。第2車両V2の制御装置11は、第2開始位置と第2終了位置とが規定された経路情報を記憶している記憶装置13を有している。
【0149】
(12)第1車両V1の記憶装置13は、第1終了位置から荷下ろし位置Pdまでの経路情報を記憶している。第2車両V2の記憶装置13は、第2終了位置から荷下ろし位置Pdまでの経路情報を記憶している。
【0150】
[その他の例]
なお、本開示で提案する農作業支援システム及び自動走行車両の制御システムは、以上説明した例に限られず、種々の変更が可能である。
【0151】
図3A図3D図9図10図11で示した例では、車両V1・V2・V3・V4が待機する収穫作業路の開始位置は、果樹列Fの端部領域(図4で示す領域R3・R4)内に規定されていた。しかしながら、2台の車両のうち一方の車両の開始位置と他方の車両の終了位置は、隣り合う2つの果樹列Fの間の領域に規定されてもよい。すなわち、図12で示すように、これら2台の車両の開始位置と終了位置は、互いに反対側に確保されている複数の果樹列Fの端部領域R7の間の領域R8内に規定されてもよい。この場合、この2台の車両の開始位置と終了位置は、隣り合う2つの果樹列Fの間であってよい。こうすることによって、開始位置と終了位置との距離は小さくなり、収穫作業者は、一方の車両への収穫物の積み込みを終えた後、他方の車両への収穫物の積み込みを、時間的な無駄を生じることなく開始できる。また、この場合、複数の収穫作業路Gの距離は実質的に均等であってよい。つまり、車両V1・V2の切り換えが一定の間隔で行われてよい。なお、図12において、端部領域R7は、図4で示す領域R3と領域R4とに対応している。
【0152】
また、収穫作業路の開始位置と終了位置は、経路情報において予め規定されていた。しかしながら、一方の車両での収穫の速度(例えば、収穫物の重量の増加速度)に基づいて、他方の車両の収穫作業路の開始位置が決定されてもよい。この場合、各車両V1・V2は、荷重センサを荷台19に有してよい。車両管理装置70は荷重センサの出力を受信し、その出力に基づいて収穫物の重量の増加速度を算出してよい。そして、その増加速度に基づいて、荷台19の収穫物が所定量(例えば、荷台19が満載になる量)に達する位置(収穫作業路の終了位置)を推定してもよい。そして、その終了位置に基づいて、他方の車両の収穫作業の開始位置を算出してもよい。この場合、開始位置は、終了位置の近くに設定されるのが望ましい。
【0153】
さらに他の例として、収穫作業路を走行する車両の切り換えは、一定時間(以下において、切り換え周期T)毎に実行されてもよい。この場合、車両管理装置70は、一方の車両の走行速度に基づいて収穫作業の終了位置を推定してよい。例えば、走行速度の平均(Sh)に切り換え周期Tを乗じた距離(Sh×T)だけ、開始位置から離れた位置を終了位置として算出してよい。走行速度の平均Shが高い場合、終了位置は開始位置から遠くなり、走行速度の平均Shが低い場合、終了位置は開始位置から近くなる。車両管理装置70は、その推定された終了位置に基づいて、他方の車両の収穫作業の開始位置を算出してもよい。この場合でも、終了位置と開始位置は近くに設定されるのが望ましい。
【0154】
また、以上説明した例では、収穫作業者は2台の車両(例えば、第1車両V1と第2車両V2)を交互に使用していた。すなわち、2台の車両が交互に果樹列Fに沿った収穫作業路を走行していた。しかしながら、車両の台数はこれに限られない。例えば、3台の車両が順番に果樹列Fに沿った収穫作業路を走行してもよい。この場合、第1車両が走行する収穫作業路の終了位置と第2車両が走行する収穫作業路の開始位置とが近くに規定され、第2車両が走行する収穫作業路の終了位置と第3車両が走行する収穫作業路の開始位置とが近くに規定され、第3車両が走行する収穫作業路の終了位置と第1車両が走行する収穫作業路の開始位置とが近くに規定されてよい。
【0155】
また、以上の説明では、第1車両V1と第2車両V2は同じ荷下ろし位置Pdに移動している。これとは異なり、圃場には、第1車両V1の収穫物を下ろすための第1荷下ろし位置と、第2車両V2の収穫物を下ろすための第2荷下ろし位置とが設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0156】
1 農作業支援システム、11 制御装置、11a 経路情報取得部、11b 現在位置検出部、11c 計画走行制御部、11d ガイド走行制御部、12 処理装置、13 記憶装置、19 荷台、21 駆動機構、22 ブレーキ機構、23 ステアリング機構、30 外界センサ群、31 LiDAR、32 カメラ、34 GNSS受信機、35 寸進ボタン、36 発進ボタン、38 通信装置、70 車両管理装置、71 処理装置、72 記憶装置、73 通信装置、Cn 情報通信網、G 収穫作業路、G1~G7 収穫作業路、R1・R2 枕地領域、R3 外側領域、R4 内側領域、V1・V2・V3・V4 自動走行車。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12