IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ メルド マニュファクチュアリング コーポレイションの特許一覧

特許7451500導電性ポリマー複合材料を合成するための固体添加物製造方法、導電性プラスチックパーツ及び導電性コーティングの製造
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-08
(45)【発行日】2024-03-18
(54)【発明の名称】導電性ポリマー複合材料を合成するための固体添加物製造方法、導電性プラスチックパーツ及び導電性コーティングの製造
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/314 20170101AFI20240311BHJP
   B29C 64/106 20170101ALI20240311BHJP
   B33Y 70/10 20200101ALI20240311BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20240311BHJP
【FI】
B29C64/314
B29C64/106 ZAB
B33Y70/10
B33Y10/00
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021513441
(86)(22)【出願日】2019-09-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-04
(86)【国際出願番号】 US2019050595
(87)【国際公開番号】W WO2020055989
(87)【国際公開日】2020-03-19
【審査請求日】2022-09-09
(31)【優先権主張番号】62/740,758
(32)【優先日】2018-10-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/729,836
(32)【優先日】2018-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520352791
【氏名又は名称】メルド マニュファクチュアリング コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100159846
【弁理士】
【氏名又は名称】藤木 尚
(72)【発明者】
【氏名】ブローチ アニタ ティー
(72)【発明者】
【氏名】コックス チェイス
(72)【発明者】
【氏名】ハードウィック ナンシー
【審査官】北澤 健一
(56)【参考文献】
【文献】ロシア登録特許第2620435(RU,C1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0007474(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0040581(US,A1)
【文献】国際公開第2017/187800(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0129170(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0129808(US,A1)
【文献】国際公開第2017/060573(WO,A2)
【文献】米国特許出願公開第2012/0279441(US,A1)
【文献】特許第6323823(JP,B1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0321083(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00-64/40
B33Y 10/00-99/00
B09B 1/00- 5/00
B09C 1/00- 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの伝導性充填材及び少なくとも1つのポリマーまたはプラスチックを有する伝導性ポリマーまたは伝導性プラスチック複合材料を、固体添加物製造を使用して形成することと、
前記伝導性ポリマーまたは前記伝導性プラスチック複合材料を、基板を含む複数構成要素の部品の伝導性コーティングまたは層として堆積させることによって伝導性3Dオブジェクトを形成することと、
を含み、前記堆積させることが、
前記少なくとも1つの伝導性充填材及び前記少なくとも1つのポリマーまたはプラスチックを、固体添加物製造マシンの中空スピンドルまたはツールであって回転肩部を有する前記中空スピンドルまたはツールを介して供給することと、
前記中空スピンドルまたはツールの前記回転肩部により、法線力、剪断力、及び/または摩擦力を印加することによって前記少なくとも1つの伝導性充填材及び前記少なくとも1つのポリマーまたはプラスチックの塑性変形を発生させることであって、前記少なくとも1つの伝導性充填材及び/または少なくとも1つのポリマーまたはプラスチックを前記基板上に堆積させるために、前記少なくとも1つの伝導性充填材及び/または前記少なくとも1つのポリマーまたはプラスチックが、前記基板と前記中空スピンドルまたはツールとの間の界面領域において可鍛性及び/または粘弾性の状態にあるようになっており、成型された前記伝導性3Dオブジェクトを生成する、前記発生させることと、を含む、
方法。
【請求項2】
前記堆積させることは、供給中の伝導性充填材温度を監視している間に実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記伝導性ポリマーまたは前記伝導性プラスチック複合材料が、熱的に伝導性であるが、電気的に絶縁性の組成である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記伝導性ポリマーまたは前記伝導性プラスチック複合材料が、電気的に伝導性であるが、熱的に絶縁性の組成である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記伝導性ポリマーまたは前記伝導性プラスチック複合材料が、熱的及び電気的に伝導性である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記伝導性ポリマーまたは前記伝導性プラスチック複合材料が、非伝導性の基板またはオブジェクト上に堆積される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記伝導性ポリマーまたは前記伝導性プラスチック複合材料が、伝導性の基板またはオブジェクト上に堆積される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記伝導性ポリマーまたは前記伝導性プラスチック複合材料が、静電気防止(AS)コーティングを形成するように堆積される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記伝導性ポリマーまたは前記伝導性プラスチック複合材料が、静電気放電(ESD)コーティングを形成するように堆積される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記伝導性ポリマーまたは前記伝導性プラスチック複合材料が堆積され、電磁干渉(EMI)シールドコーティングを形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記伝導性ポリマーまたは前記伝導性プラスチック複合材料の電気伝導率が、102S/cmより大きい、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記伝導性ポリマーまたは前記伝導性プラスチック複合材料の電気伝導率が、1S/cmより大きい、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記伝導性ポリマーまたは前記伝導性プラスチック複合材料が堆積され、良好な熱管理特性を有するコーティングまたはオブジェクトを形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記伝導性ポリマーまたは前記伝導性プラスチック複合材料の熱伝導が、1W/mKより大きい、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記伝導性ポリマーまたは前記伝導性プラスチック複合材料の熱伝導が、10W/mKより大きい、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記伝導性ポリマーまたは前記伝導性プラスチック複合材料が、ミクロンサイズの伝導性充填材を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記伝導性ポリマーまたは前記伝導性プラスチック複合材料が、ナノサイズの伝導性充填材を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記伝導性ポリマーまたは前記伝導性プラスチック複合材料、及び/または前記伝導性充填材が、カーボンナノチューブ(CNT)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記伝導性ポリマーまたは前記伝導性プラスチック複合材料、及び/または前記伝導性充填材が、カーボンブラックを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記伝導性ポリマーまたは前記伝導性プラスチック複合材料、及び/または前記伝導性充填材が、グラファイトを含む、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年9月11日に出願された米国仮出願第62/729,836号及び2018年10月3日に出願された米国仮出願第62/740,758号の開示に依存するとともに、出願日の優先権及び利益を主張する。これらの各々は、その全体が参照することにより本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本発明は、固体添加物製造の分野を対象としている。より詳細には、本発明の実施形態は、1つまたは複数の導電性ポリマーを有する製品の、固体添加物製造の方法に関する。各実施形態は、プラスチックの廃棄物を供給材料として組み込む固体添加物製造の方法にも関する。本方法は、供給ユニット、スピンドル、ツール、モーター、駆動ユニット、制御ユニット、監視ユニット、電力供給源、及びプロセス制御ソフトウェアの1つまたは複数を含む固体添加物製造マシンで実施され、スピンドル及びツールの各々は内部の通路を有しており、この通路は、充填材が供給ユニットから、スピンドル及びツールの内部の通路を通ってワークピースに達するように、間接的または直接的に、互いに操作可能に連通している。固体添加物製造マシンは、ツールの回転肩部により、法線力、剪断力、及び/または摩擦力を印加することにより、充填材の激しい塑性変形を生成し、それにより、充填材がインターフェース領域において順応性のある、及び/または粘弾性の状態になり、それにより、プラスチックの廃棄物が組み込まれた、成形された導電性ポリマーまたはプラスチック複合材料または3Dプリントされた層またはオブジェクトを提供する。各実施形態は、開示の方法によって製造される製品にも関する。
【0003】
導電性プラスチック
プラスチックは通常、電気的及び熱的に絶縁性の材料である。導電性プラスチックに関する関心が、これらプラスチックが金属に比較して与える、調整可能な導電性、より軽量の重量、固有の腐食/酸化耐性、広範囲の利用可能な特性、設計の柔軟性及び良好な加工性(所望の3D形状のプリントを含む)、拡張性、経済性(金属及び加工されたパーツよりも低コスト、より低い輸送コスト)、ならびにリサイクルに好適であることなど、多くの利点によって促されてきた。
【0004】
多くの用途では、導電性プラスチック部品の製造は、その重量がより軽量であること、及び金属の加工にしばしば必要とされる二次過程を除去することから生じる、対応可能生に起因して、好ましい。また、多くのプラスチックは、凹み、チッピング、スクラッチ、腐食、及び化学物質に対して耐性がある。
【0005】
導電性プラスチック
プラスチックは、その絶縁性に起因して、接地されている場合であっても、非常に容易に帯電する。プラスチック材料は、静電気で帯電した状態でとどまる。帯電したプラスチック材料は、制御されていない静電気放電(ESD)のリスクを生じ得る。接地でさえも、一般的な(絶縁性の)プラスチック材料から電荷を除去することはない。導電性プラスチック複合材料は、絶縁プラスチックとは異なり、導電性の能力を有している。接地されている場合、導電性プラスチックは、このプラスチックが静電気を蓄積しないことから、零電位のままである。数年にわたり、導電性ポリマーが、カーボンブラック、グラファイト、金属繊維、薄片、カーボンファイバーなどの導電性充填材、ならびに、カーボンナノチューブ及び金属ナノ粒子などのナノサイズの充填材を付加することによって開発されてきている。
【0006】
プラスチック材料の使用は、制御されない静電気放電が防止され、除去されなければならない用途において制限される。帯電しない(すなわち、消散する)導電性プラスチック複合材料は、電荷の安全な消散を確実にする。導電性プラスチック複合材料に関する用途のもっとも大きいエリアの1つが、エレクトロニクス産業に見出されている。たとえば、エレクトロニクスの製造において、もっとも重要な製造ステップが、特別なESD保護エリア(EPA)で実施される。EPA内部では、すべてのオブジェクト及び作業者は、同じ電位になるように接地されていなければならない。EPA内部のすべてのプラスチック部品は、導電性プラスチック複合材料で構成されるべきである。導電性プラスチックの複合材料は、感度のよいエレクトロニクス構成要素のパッケージングのためにも必要であり、また、航空宇宙産業の構成要素、医療用デバイス、ならびに、自動車、コンピュータ、及び電気器具の産業でも使用される。特定の用途には、自動車の燃料システム、インク及び危険な液体のための導電性貯蔵容器が含まれ、医療用デバイス、たとえばエアゾールデバイスでは、そのようなプラスチックは、物質がデバイス自体に付着することなく、エアゾールデバイスがパウダーまたは液体の全投与量を分配することを確実にする。プラスチックの導電性の規定のレンジは、制御ユニット、センサー、及びエンクロージャに必要である。
【0007】
導電性プラスチックの他の用途には、静電気放電(ESD)制御、及び電磁干渉(EMI)のシールドの用途が含まれる。電磁(EM)シールドは、エレクトロニクス及びケーブルを導電性材料または磁性材料で囲んで、入ってくるか、または出ていく電磁周波数(EMF)の放射に対して保護する操作である。EMシールドは、いくつかの理由のために行われる。もっとも一般的な目的は、電磁干渉(EMI)が、感度のよい電子機器に影響することを防止することである。航空機の避雷保護は、導電性の粒子が充填されたポリマー複合材料によって実証されている。
【0008】
本来的に電気を通すことができる、たとえばポリアニリン、ポリチオフェン、及びポリピロールなどの特定のポリマーも存在するが、これらは、しばしば、不安定な導電材料(酸素及び湿気に対する暴露に敏感である)であり、低い導電率を有し、処理が困難である。
【0009】
熱伝導性プラスチック
プラスチックの断熱は、特定の用途には有益であるが、多くの発熱用途におけるプラスチックの有用性を制限する。この理由は、そのような断熱により、ホットスポット及び、デバイス温度の上昇など、望ましくない影響を生じるためである。熱伝導性プラスチック、または、いわゆる、熱管理能力を有するプラスチックは、金属の伝熱及び冷却能力を、熱可塑性材料の設計自由度、軽量化、及びコストの利点と合わせるために作り出されたものである。充填材を付加することにより、熱伝導性をプラスチックに付与することは、印加された熱に対してプラスチック部品が反応する方法を変化させる。この理由は、熱管理が、性能、耐用年数、及び電子デバイスの信頼性に重要であるためである。「良好な」熱伝導性プラスチック材料は、印加された熱エネルギーに単に耐えるよりむしろ、熱エネルギーを管理する。
【0010】
熱伝導性プラスチック部品が有用となる用途には、ヒートシンクなどの多くの熱管理用途、及び、電子機器内で発熱が生じる用途におけるものなどの他の熱除去部品、装置、照明装置(たとえばLEDライト)、自動車製品、及び多くの他の産業上の製品が含まれる。センサーのプラスチックハウジングは、導電性プラスチックを必要としている。たとえば、温度センサーでは、熱伝導性プラスチックの封止が、温度センサー自体の応答性を向上させる助けになり得る。熱伝導性複合材料は、モーター及びモーターボビンを封止するためにも使用される。燃料ポンプは、氷点下の温度において燃料を流し続けることを補助するために熱伝導性プラスチックを使用する。
【0011】
従来、アルミニウムは、電子機器内でより高い熱フラックスを制御するための主要な材料である。しかし、ときには、空気の対流が表面から熱を除去できるよりも速く製品の表面に熱を伝える事例など、アルミニウムの高い熱伝導性を有効に利用することができない。多くの用途における伝熱は、対流によって制限されるものであり、伝導性によって制限される(たとえば、材料に依存する)ものではない。熱伝導性プラスチックは、いくつかの金属の設計に等しい伝熱を提供することができる。通常、対流が制限因子である多くの用途に関し、熱伝導性プラスチックが金属よりも良好にフィットする。
【0012】
さらに、熱伝導性プラスチックは、通常、金属よりも低い熱膨張係数(CTE)を有し、それにより、差異のある膨張に起因する応力を低減させることができる。実際、プラスチックは、シリコンまたはセラミックの熱膨張係数により密にマッチする。
【0013】
導電性プラスチックの合成の課題
プラスチックの熱及び/または電気伝導性を向上させるために、プラスチックを複合及び変更することに関連する、いくつかの技術的課題が存在する。初期費用が高いことが、導電性プラスチックの合成をより広く許容することの、もっとも大きい障害の1つである。重要な要素は、良好な電気及び/または熱伝導性を達成するために使用される高額の充填材である。このことは、導電性プラスチックの合成が、金属よりもかなりの費用がかかることに繋がる。さらに、導電性プラスチック材料を形成することは、導電性充填材をポリマーマトリクスに混合するシンプルなステップではない。ポリマー全体にわたる導電ネットワークの良好な分散及び形成がしばしば必要とされる。このネットワークは、電荷及び/または熱を通すための通路としての役割を果たす。そうでなければ、導電性粒子が絶縁ポリマー媒体を通して良好に分散されていないが、絶縁された集合体を形成する場合、最終的な複合材料は、まったく導電性ではない。この複合材料は、絶縁ポリマー内に補足された(または絶縁ポリマーがコーティングされた)導電性粒子複合材料である。
【0014】
今日まで、既知の混合方法は、導電性粒子を、通常は溶融状態のポリマー、すなわち、材料の融点Tmより上の温度で添加することを伴う。このことには、ポリマー材料をそのTmより上まで加熱するためのエネルギーが必要である。また、さらに、これら混合方法の多くは、導電性粒子の集合体となる結果となるか、または、必要な導電性の値に達するように、導電性充填材の導入レベルを高くする必要がある。
【0015】
さらに、高度な電気的及び/または熱的な伝導性を確実にするために、高密度の導電性充填材が必要である。このことは、ベースポリマーの他の特性(たとえば、加工性、機械的特性)に負の影響を生じ得る。導電性充填材の含有量が多くなると、(充填材が良好に分散されていると仮定して)良好な導電性の組成を与えるが、この含有量は、通常、(溶融粘度が顕著に増大することに起因して)ベースポリマーの機械的特性及び加工性に負の影響を生じる。したがって、各材料のタイプに関し、充填材の量及び所望の特性に関し、妥協する必要がある。
【0016】
ミクロンサイズの導電性粒子に対し、ナノサイズの導電性粒子を使用することは、導電性充填材の高い導入レベルの問題を解決する場合がある。通常、ポリマー複合材料が導電性となる密度はかなり低く、ときには、ミクロンサイズの導電性充填材を使用した組成と比較し、ナノサイズの導電性充填材を使用した組成に関して10倍小さくなる。たとえば、特定のポリマーに関する浸透ゾーン、すなわち、絶縁材料から導電材料への変化は、10vol%から20vol%のミクロンサイズの導電性充填材、または、同じ導電性充填材がナノメートルサイズの粒子で使用される場合は0.5vol%から1vol%で、両方のケースで良好な分散が達成されたとの仮定の下で、生じる場合がある。当然、充填材の導入レベルは、形態構造、粒子形状、及び、異方性の充填材粒子のケースではアスペクト比によってさらに影響される。
【0017】
十分な電気的及び/または熱的な伝導性の値を有する導電性ポリマー複合材料に繋がる、導電性充填材をポリマーマトリクス材料内に良好に分散させることの上述の課題を考慮すると、導電性ポリマーベースの複合材料、ならびに、導電性コーティング及び導電性部品としての複合材料の堆積を形成する、費用効果が高くかつ混合に有効な方法が必要とされている。
【0018】
プラスチックのリサイクル
プラスチックのリサイクルは、異なるタイプのプラスチック材料を、様々な他の製品、通常はダウンサイジングされた製品に再処理するために、それらプラスチック材料を回収するプロセスである。プラスチックのリサイクルは、未使用プラスチックを形成するために必要なエネルギー及び天然資源を節約する助けになる。実際、プラスチックの90%は、再生不可能な化石燃料から作られている。プラスチックの廃棄物をリサイクルすることにより、廃棄物が埋立地に蓄積し、地上を占め、他のタイプの廃棄物とともに有毒ガスを放出することがなくなる。潜在的にリサイクルされ得るこのプラスチックの廃棄物のほとんどは、リサイクルできないプラスチックに加え、海洋及び埋立地で終わる。国際連合は、海洋におけるプラスチック汚染を「惑星の危機」と称している。別の研究により、海洋のプラスチック量が、2050年までに(重量で)魚を超えることが概算されている。さらに、向こう数年の間、プラスチックの生産は減速することはない。次の20年の間に2倍になり、2050年までにほぼ4倍になることが予測されている。
【0019】
プラスチックの廃棄物は、大きな問題となってきているが、プラスチックの廃棄物の9%だけしかリサイクルされていない。リサイクルの前に必要とされる技術的ハードルなど、このための多くの理由が存在している。廃棄物は、たとえば、並べ換え、洗浄、細断、分類、及びそれに次ぐ、新たな製品、通常はダウンサイジングされた製品への射出成型または鋳造など、いくつかの段階を経る必要がある。並べ換えは、異なるタイプのプラスチックを分ける必要がある、時間のかかるプロセスである。この理由は、同じであるか同様の特性のプラスチックのみを一緒にリサイクルすることができ、また、非常に多くの異なる種類のプラスチック材料が存在し、その多くが環境内で非常に永続性があり、不活性であるように形成されているためである。さらに、最終的に埋立地となる前に限られた回数だけ、リサイクルできるのみである。ときには、リサイクル可能なプラスチック材料の値段が、より低いオイルの値段により、リサイクルされたプラスチックの低い需要及びその限られた用途のために、未使用プラスチックの値段よりも高い。したがって、多くのプラスチックリサイクル会社は閉鎖し、プラスチックのリサイクルのための新たな技術を開発することに関する関心は限られている。
【0020】
プラスチックに関する2つの主要なリサイクル方法が、プラスチックの機械的リサイクルと化学的リサイクルである。機械的リサイクルは、プラスチックがより小さいピースに切断され、洗浄され、溶融され、あらたな製品へと再成形される場合である。化学的リサイクルは、プラスチックの結合を分子レベルで破壊する。各プラスチック材料は、特徴的な結合を有しており、特別な触媒(化学物質)が、これら特定の結合を攻撃するために使用される。理想的には、プラスチックはモノマーレベルに崩され(触媒が解重合を生じる)、このモノマーが、次いで、同じ新鮮な、またはいわゆる「未使用」プラスチックを形成するために使用され得る。しかし、化学的リサイクルは、通常、非常に高い温度を必要とし、分離する必要がある複数の製品の混合物を生じ、別の緩慢かつ高額のプロセスを生じる。
【0021】
したがって、プラスチックのリサイクルの上述の課題を克服し、リサイクルの前に並べ換え及び他の緩慢な段階を経ることなく、迅速な方法で様々なプラスチック材料をリサイクルすることが可能である、安価な技術が必要とされている。
【発明の概要】
【0022】
本開示の各実施形態は、固体添加物製造技術による、導電性プラスチック複合材料、導電性コーティング、たとえばEMIシールド、静電気防止(AS)及びESDコーティング、及び3D導電性プラスチックオブジェクトの、費用効果のある製造を対象としている。導電性充填材を熱可塑性ポリマー材料に現場で混合するための方法、及びその後の堆積が開示されている。さらに、各実施形態は、現場で細断し、混合し、かつ後の3Dパーツ及びコーティングに堆積させることによってプラスチック廃棄物をリサイクルするための方法を対象としている。各実施形態は、開示の方法によって製造された任意の製品も含んでいる。
【0023】
本開示の実施例には、限定ではないが、以下が含まれる。
【0024】
実施形態1は、少なくとも1つの導電性充填材及び少なくとも1つのポリマーまたはプラスチックを有する導電性ポリマーまたはプラスチック複合材料を、固体添加物製造を使用して形成することと、導電性ポリマーまたはプラスチック複合材料を、複数構成要素の部品内の導電性コーティングまたは層として堆積させることによって導電性3Dオブジェクトを形成することと、を含む、方法である。そのような方法は、少なくとも1つの導電性充填材及び少なくとも1つのポリマーまたはプラスチックを有する導電性ポリマーまたはプラスチック複合材料を、固体添加物製造を通して形成する方法が含まれ、固体添加物製造プロセスが、少なくとも1つの導電性充填材及び少なくとも1つのポリマーまたはプラスチックを、固体添加物製造マシンの中空スピンドルまたはツールを通して供給することと、少なくとも1つの導電性充填材を、少なくとも1つのポリマーまたはプラスチック上か、またはともに堆積させることと、中空ツールの回転肩部により、法線力、剪断力、及び/または摩擦力を印加することによって少なくとも1つの導電性充填材及び少なくとも1つのポリマーまたはプラスチックの激しい塑性変形を発生させることであって、それにより、少なくとも1つの導電性充填材及び/または少なくとも1つのポリマーまたはプラスチックが、界面領域において順応性のある及び/または粘弾性の状態にあるようになっており、それにより、成型された導電性ポリマーまたはプラスチック複合材料を生成する、発生させることと、を含んでいる。
【0025】
実施形態2は、導電性ポリマーまたはプラスチック複合材料が、導電性コーティング、導電性層、または導電性3Dオブジェクトを含む、実施形態1に記載の方法である。
【0026】
実施形態3は、導電性ポリマーまたはプラスチック複合材料が、熱的に伝導性であるが、電気的に絶縁性の組成である、実施形態1または実施形態2に記載の方法である。
【0027】
実施形態4は、導電性ポリマーまたはプラスチック複合材料が、電気的に伝導性であるが、熱的に絶縁性の組成である、実施形態1から実施形態3のいずれかに記載の方法である。
【0028】
実施形態5は、導電性ポリマーまたはプラスチック複合材料が、熱的及び電気的に伝導性である、実施形態1から実施形態4のいずれかに記載の方法である。
【0029】
実施形態6は、導電性ポリマーまたはプラスチック複合材料が、非導電性の基板またはオブジェクト上に堆積される、実施形態1から実施形態5のいずれかに記載の方法である。
【0030】
実施形態7は、導電性ポリマーまたはプラスチック複合材料が、導電性の基板またはオブジェクト上に堆積される、実施形態1から実施形態6のいずれかに記載の方法である。
【0031】
実施形態8は、導電性ポリマーまたはプラスチック複合材料が、静電気防止(AS)コーティングを形成するように堆積される、実施形態1から実施形態7のいずれかに記載の方法である。
【0032】
実施形態9は、導電性ポリマーまたはプラスチック複合材料が、静電気放電(ESD)コーティングを形成するように堆積される、実施形態1から実施形態8のいずれかに記載の方法である。
【0033】
実施形態10は、導電性ポリマーまたはプラスチック複合材料が、電磁干渉(EMI)シールドコーティングを形成するように堆積される、実施形態1から実施形態9のいずれかに記載の方法である。
【0034】
実施形態11は、プラスチック複合材料の導電性が、102S/cmより大きい、実施形態1から実施形態10のいずれかに記載の方法である。
【0035】
実施形態12は、プラスチック複合材料の導電性が、1S/cmより大きい、実施形態1から実施形態11のいずれかに記載の方法である。
【0036】
実施形態13は、導電性ポリマーまたはプラスチック複合材料が、良好な熱管理特性を有するコーティングまたはオブジェクトを形成するように堆積される、実施形態1から実施形態12のいずれかに記載の方法である。
【0037】
実施形態14は、プラスチック複合材料の熱伝導性が、1W/mKより大きい、実施形態1から実施形態13のいずれかに記載の方法である。
【0038】
実施形態15は、プラスチック複合材料の熱伝導性が、10W/mKより大きい、実施形態1から実施形態14のいずれかに記載の方法である。
【0039】
実施形態16は、導電性ポリマーまたはプラスチック複合材料が、ミクロンサイズの導電性充填材を含む、実施形態1から実施形態15のいずれかに記載の方法である。
【0040】
実施形態17は、導電性ポリマーまたはプラスチック複合材料が、ナノサイズの導電性充填材を含む、実施形態1から実施形態16のいずれかに記載の方法である。
【0041】
実施形態18は、導電性ポリマーまたはプラスチック複合材料、及び/または導電性充填材が、カーボンナノチューブ(CNT)を含む、実施形態1から実施形態17のいずれかに記載の方法である。
【0042】
実施形態19は、導電性ポリマーまたはプラスチック複合材料、及び/または導電性充填材が、カーボンブラックを含む、実施形態1から実施形態18のいずれかに記載の方法である。
【0043】
実施形態20は、導電性ポリマーまたはプラスチック複合材料、及び/または導電性充填材が、グラファイトを含む、実施形態1から実施形態19のいずれかに記載の方法である。
【0044】
実施形態21は、導電性ポリマーまたはプラスチック複合材料、及び/または導電性充填材が、グラフェンを含む、実施形態1から実施形態20のいずれかに記載の方法である。
【0045】
実施形態22は、導電性ポリマーまたはプラスチック複合材料、及び/または導電性充填材が、BNを含む、実施形態1から実施形態21のいずれかに記載の方法である。
【0046】
実施形態23は、導電性ポリマーまたはプラスチック複合材料、及び/または導電性充填材が、Al23を含む、実施形態1から実施形態22のいずれかに記載の方法である。
【0047】
実施形態24は、導電性ポリマーまたはプラスチック複合材料、及び/または導電性充填材が、AlNを含む、実施形態1から実施形態23のいずれかに記載の方法である。
【0048】
実施形態25は、導電性ポリマーまたはプラスチック複合材料、及び/または導電性充填材が、細断されたスチールファイバーを含む、実施形態1から実施形態24のいずれかに記載の方法である。
【0049】
実施形態26は、導電性ポリマーまたはプラスチック複合材料、及び/または導電性充填材が、細断された銅ファイバーを含む、実施形態1から実施形態25のいずれかに記載の方法である。
【0050】
実施形態27は、導電性ポリマーまたはプラスチック複合材料、及び/または導電性充填材が、金属粒子を含む、実施形態1から実施形態26のいずれかに記載の方法である。
【0051】
実施形態28は、導電性ポリマーまたはプラスチック複合材料、及び/または導電性充填材が、金属酸化物粒子を含む、実施形態1から実施形態27のいずれかに記載の方法である。
【0052】
実施形態29は、導電性ポリマーまたはプラスチック複合材料、及び/または導電性充填材が、2つ以上の異なるタイプの導電性充填材を含む、実施形態1から実施形態28のいずれかに記載の方法である。
【0053】
実施形態30は、導電性ポリマーまたはプラスチック複合材料が、5×106/℃未満の熱膨張率(CTE)を有している、実施形態1から実施形態29のいずれかに記載の方法である。
【0054】
実施形態31は、堆積の間、少なくとも1つの導電性充填材が導電性ポリマーまたはプラスチック複合材料内に3Dネットワークを形成する、実施形態1から実施形態30のいずれかに記載の方法である。
【0055】
実施形態32は、少なくとも1つの導電性充填材が導電性ポリマーまたはプラスチック複合材料内に3Dネットワークを形成するように、1つまたは複数の固体添加物製造プロセスのパラメータが調整される、実施形態1から実施形態31のいずれかに記載の方法である。
【0056】
実施形態33は、1つまたは複数の固体添加物製造プロセスのパラメータには、充填材温度、スピンドル温度、ツール温度、ツール位置、下向きの力、ツール圧力、スピンドルトルク、スピンドルの角速度、ツールトルク、ツールの横断方向の速度、ツールの角速度、充填材の流量、ガス流量、及び振動が含まれる、実施形態1から実施形態32のいずれかに記載の方法である。
【0057】
実施形態34は、少なくとも1つの導電性充填材が半導体である、実施形態1から実施形態33のいずれかに記載の方法である。
【0058】
実施形態35は、少なくとも1つの導電性充填材がセラミックである、実施形態1から実施形態34のいずれかに記載の方法である。
【0059】
実施形態36は、少なくとも1つのポリマーまたはプラスチックが、反応性モノマーを含んでいる、実施形態1から実施形態35のいずれかに記載の方法である。
【0060】
実施形態37は、堆積ステップの間、反応性モノマーが、光及び/または熱のために架橋される、実施形態1から実施形態36のいずれかに記載の方法である。
【0061】
実施形態38は、1つまたは複数のプラスチックの廃棄物を第1の材料として提供することと、1つまたは複数のプラスチックの廃棄物を1つまたは複数の3Dプリントされた層またはオブジェクトに変換する方式で、1つまたは複数のプロセスパラメータを調整することにより、固体添加物製造マシンを使用して1つまたは複数のプラスチックの廃棄物材料を処理することと、を含む、プラスチックリサイクル方法である。そのような方法には、固体添加物製造マシンでプラスチックの廃棄物をリサイクルする方法が含まれ、この方法は、固体添加物製造マシン内にプラスチックの廃棄物を含む第1の材料を提供することと、固体添加物製造プロセスから生じる、プラスチックの廃棄物を3Dプリントされた層またはオブジェクトに組み込む方式で、1つまたは複数の固体添加物製造プロセスパラメータを調整することと、を含み、固体添加物製造プロセスが、第1の材料を、固体添加物製造マシンの中空スピンドルまたはツールを通して供給することと、第1の材料を第2の材料上に堆積させることであって、第1の材料が、堆積の間その融点(Tm)未満である、堆積させることと、中空ツールの回転肩部により、法線力、剪断力、及び/または摩擦力を印加することにより、第1の材料の激しい塑性変形を生成し、それにより、第1の材料及び第2の材料が界面領域において順応性のある、及び/または粘弾性の状態になり、それにより、プラスチックの廃棄物が組み込まれた、結果としての固体添加物製造の3Dプリントされた層またはオブジェクトを提供することと、を含んでいる。
【0062】
実施形態39は、固体添加物製造プロセスパラメータの1つまたは複数が、法線力、剪断力、及び/または摩擦力を適用することによって第1の材料の激しい塑性変形を生じる方式で調整される、実施形態38に記載の方法である。
【0063】
実施形態40は、固体添加物製造プロセスが、変形された第1の材料が、中空ツールの回転肩部によって堆積される、第2の材料の表面領域における順応性のある状態にする、実施形態38または実施形態39に記載の方法である。
【0064】
実施形態41は、第1の材料の1つまたは複数の層を第2の材料上に堆積させることをさらに含む、実施形態38から実施形態40のいずれかに記載の方法である。
【0065】
実施形態42は、第1の材料が、プラスチックの廃棄物と未使用プラスチックとの混合物を含み、単一の供給原料として提供される、実施形態38から実施形態41のいずれかに記載の方法である。
【0066】
実施形態43は、第1の材料が、別々の供給原料として提供されるプラスチックの廃棄物と未使用プラスチック材料とを含む、実施形態38から実施形態42のいずれかに記載の方法である。
【0067】
実施形態44は、第1の材料が、単一の供給原料として提供される、プラスチックの廃棄物と金属との混合物を含んでいる実施形態38から実施形態43のいずれかに記載の方法である。
【0068】
実施形態45は、第1の材料が、別々の供給原料として提供されるプラスチックの廃棄物と金属材料とを含む、実施形態38から実施形態44のいずれかに記載の方法である。
【0069】
実施形態46は、第1の材料が、単一の供給原料として提供される、プラスチックの廃棄物とセラミックとの混合物を含んでいる実施形態38から実施形態45のいずれかに記載の方法である。
【0070】
実施形態47は、第1の材料が、別々の供給原料として提供されるプラスチックの廃棄物とセラミック材料とを含む、実施形態38から実施形態46のいずれかに記載の方法である。
【0071】
実施形態48は、第1の材料が、プラスチックの廃棄物と補強粒子との混合物を含む、実施形態38から実施形態47のいずれかに記載の方法である。
【0072】
実施形態49は、第1の材料が、プラスチックの廃棄物と補強ファイバーとの混合物を含む、実施形態38から実施形態48のいずれかに記載の方法である。
【0073】
実施形態50は、第1の材料が、プラスチックの廃棄物と細断された補強ファイバーとの混合物を含む、実施形態38から実施形態49のいずれかに記載の方法である。
【0074】
実施形態51は、第1の材料が、プラスチックの廃棄物と潤滑剤との混合物を含む、実施形態38から実施形態50のいずれかに記載の方法である。
【0075】
実施形態52は、第1の材料が、プラスチックの廃棄物とマイクロ粒子との混合物を含む、実施形態38から実施形態51のいずれかに記載の方法である。
【0076】
実施形態53は、第1の材料が、プラスチックの廃棄物とナノ粒子との混合物を含む、実施形態38から実施形態52のいずれかに記載の方法である。
【0077】
実施形態54は、多孔性の堆積を形成するように、第1の材料の堆積の間にガスを供給することをさらに含む、実施形態38から実施形態53のいずれかに記載の方法である。
【0078】
実施形態55は、第1の材料が、プラスチックの廃棄物を含む第1のバッチと、未使用プラスチックを含む第2のバッチとを含んでおり、プラスチックの廃棄物と未使用プラスチックとが交互の層に堆積されることになる、実施形態38から実施形態54のいずれかに記載の方法である。
【0079】
実施形態56は、第1の材料が、プラスチックの廃棄物を含む第1のバッチと、金属を含む第2のバッチとを含んでおり、プラスチックの廃棄物と金属とが交互の層に堆積されることになる、実施形態38から実施形態55のいずれかに記載の方法である。
【0080】
実施形態57は、第1の材料が、プラスチックの廃棄物の第1のバッチと、セラミックの第2のバッチとを含んでおり、プラスチックの廃棄物とセラミックとが交互の層に堆積されることになる、実施形態38から実施形態56のいずれかに記載の方法である。
【0081】
実施形態58は、第1の材料が、プラスチックの廃棄物の約0%の容量から、プラスチックの廃棄物の約100%の容量まで、または未使用プラスチックの約0%の容量から未使用プラスチックの約100%の容量まで徐々に変化する、供給材料としてのプラスチックの廃棄物及び未使用プラスチックを含んでいる、実施形態38から実施形態57のいずれかに記載の方法である。
【0082】
実施形態59は、第1の材料が、プラスチックボトル、プラスチックバッグ、及び/またはプラスチックカップなどの使用済みのプラスチックオブジェクトの細断によって生成された、プラスチックの細粒、ビーズ、ペレット、パウダー、または不定形なピースの形態のプラスチックの廃棄物を含んでいる、実施形態38から実施形態58のいずれかに記載の方法である。
【0083】
実施形態60は、使用済みのプラスチックオブジェクトをより小さいピースに細断して、第1の材料のためのプラスチックの廃棄物を提供することをさらに含む、実施形態38から実施形態59のいずれかに記載の方法である。
【0084】
実施形態61は、基板及び/または第2の材料がプラスチックを含み、プラスチックの廃棄物を含む第1の材料が、プラスチック基板の上に堆積される、実施形態38から実施形態60のいずれかに記載の方法である。
【0085】
実施形態62は、基板及び/または第2の材料が金属を含み、プラスチックの廃棄物を含む第1の材料が、金属基板の上に堆積される、実施形態38から実施形態61のいずれかに記載の方法である。
【0086】
実施形態63は、基板及び/または第2の材料がセラミックを含み、プラスチックの廃棄物を含む第1の材料が、セラミック基板の上に堆積される、実施形態38から実施形態62のいずれかに記載の方法である。
【0087】
実施形態64は、結果としての、プラスチックの廃棄物が組み込まれた状態で、固体添加物製造3Dプリントされた層またはオブジェクトが、3Dオブジェクトである、実施形態38から実施形態63のいずれかに記載の方法である。
【0088】
実施形態65は、結果としての、プラスチックの廃棄物が組み込まれた状態で、固体添加物製造3Dプリントされた層またはオブジェクトが、表面コーティングである、実施形態38から実施形態64のいずれかに記載の方法である。
【0089】
実施形態66は、結果としての、プラスチックの廃棄物が組み込まれた状態で、固体添加物製造3Dプリントされた層またはオブジェクトが、プラスチックブロックである、実施形態38から実施形態65のいずれかに記載の方法である。
【0090】
実施形態67は、1つまたは複数の固体添加物製造プロセスのパラメータには、充填材温度、スピンドル温度、ツール温度、ツール位置、下向きの力、ツール圧力、スピンドルトルク、スピンドルの角速度、ツールトルク、ツールの横断方向の速度、ツールの角速度、充填材の流量、ガス流量、及び/または振動の1つまたは複数が含まれる、実施形態38から実施形態66のいずれかに記載の方法である。
【0091】
実施形態68は、プラスチックの廃棄物が、PET(ポリエチレンテレフタレート)、HDPE(高密度ポリエチレン)、PVC(ポリ塩化ビニル)、LDPE(低密度ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PS(ポリスチレン)、アクリル、ナイロン、ポリカーボネート、及びポリ乳酸(PLA)などの他のプラスチックの、プラスチックの1つまたは複数を含んでいる、実施形態38から実施形態67のいずれかに記載の方法である。
【0092】
実施形態69は、実施形態38から実施形態68のいずれかに記載の方法によって製造される、3Dプリントされた層、オブジェクト、または製品である。
【0093】
実施形態70は、プラスチックの廃棄物またはリサイクルされたプラスチックが、PET(ポリエチレンテレフタレート)、HDPE(高密度ポリエチレン)、PVC(ポリ塩化ビニル)、LDPE(低密度ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PS(ポリスチレン)、アクリル、ナイロン、ポリカーボネート、及びポリ乳酸(PLA)などの他のプラスチックの、1つまたは複数を含む、実施形態69に記載の3Dプリント層、オブジェクト、または製品である。
【0094】
実施形態71は、プラスチックの廃棄物またはリサイクルされたプラスチックが、剛性プラスチックを含む、実施形態69または実施形態70に記載の3Dプリント層、オブジェクト、または製品である。
【0095】
実施形態72は、プラスチックパイプ、プラスチックタイル、もしくはプラスチックブロックであるか、またはプラスチックパイプ、プラスチックタイル、もしくはプラスチックブロックの構成要素である、実施形態69から実施形態71のいずれかに記載の3Dプリント層、オブジェクト、または製品である。
【0096】
実施形態73は、第1の層であって、第2の層に隣接した第1の層を含み、この第1の層がプラスチックの廃棄物またはリサイクルされたプラスチックを含み、この第2の層が未使用プラスチックを含んでいる、3Dプリントオブジェクトである。
【0097】
実施形態74は、第1の層であって、第2の層に隣接した第1の層を含み、この第1の層がプラスチックの廃棄物またはリサイクルされたプラスチックを含み、この第2の層がプラスチックを含んでいない、3Dプリントオブジェクトである。
【0098】
実施形態75は、第2の層が金属を含んでいる、実施形態74に記載の3Dプリントオブジェクトである。
【0099】
実施形態76は、第2の層がセラミックを含んでいる、実施形態74に記載の3Dプリントオブジェクトである。
【0100】
実施形態77は、第2の層が金属とセラミックとの両方を含んでいる、実施形態74に記載の3Dプリントオブジェクトである。
【0101】
実施形態78は、3Dプリントオブジェクトであって、第2の層に隣接した第1の層を含み、第1の層が第1のプラスチックの廃棄物を含み、第2の層が、第1の層のプラスチックの廃棄物とは異なる第2のプラスチックの廃棄物を含んでいる、3Dプリントオブジェクトである。
【0102】
実施形態79は、第1のプラスチックの廃棄物及び第2のプラスチックの廃棄物が、PET(ポリエチレンテレフタレート)、HDPE(高密度ポリエチレン)、PVC(ポリ塩化ビニル)、LDPE(低密度ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PS(ポリスチレン)、アクリル、ナイロン、ポリカーボネート、及びポリ乳酸(PLA)などの他のプラスチックから選択される、実施形態78に記載の3Dプリントオブジェクトである。
【0103】
実施形態80は、プラスチックパイプ、プラスチックタイル、またはプラスチックブロックである、実施形態78または実施形態79に記載の3Dプリントオブジェクトである。
【0104】
これら及び他の実施形態は、以下の詳細な説明で一層精巧なものになるであろう。
【0105】
添付図面は、本発明の実施形態の特定の態様を図示しており、本発明を限定するためには使用されるべきではない。記載の詳細な説明とともに、図面は、本発明の特定の原理を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0106】
図1】絶縁性、半導性、及び導電性の材料に関する導電性の値を提供する図であり、ここで、導電性ポリマーの組成が、ポリマーマトリクスにおける導電性充填材の分散の様々な方法(固体添加物製造とは異なる)によって形成されている。
図2A】実施形態に係る、導電性プラスチック層の現場での配合及び堆積、ならびに既存のパーツ上でのコーティングが可能である固体添加物製造システムの概略図である。
図2B】実施形態に係る、導電性プラスチック層の現場での配合及び堆積、ならびに既存のパーツ上でのコーティングが可能である固体添加物製造システムの概略図である。
図3A】実施形態に係る、絶縁性及び「導電性」のネットワークの形成の潜在的な実施例の概略図である。実施例には、3D導電性ネットワークを形成するのに十分ではない低い導入レベル(図3A)、及び、3D導電性ネットワークを形成するのに十分なより高い導入レベル(図3B)での粒子タイプの導電性充填材、ならびに、導電性3Dネットワークを与えない絶縁された集合体を形成する粒子タイプの充填材(図3C)が含まれる。
図3B】実施形態に係る、絶縁性及び「導電性」のネットワークの形成の潜在的な実施例の概略図である。実施例には、3D導電性ネットワークを形成するのに十分ではない低い導入レベル(図3A)、及び、3D導電性ネットワークを形成するのに十分なより高い導入レベル(図3B)での粒子タイプの導電性充填材、ならびに、導電性3Dネットワークを与えない絶縁された集合体を形成する粒子タイプの充填材(図3C)が含まれる。
図3C】実施形態に係る、絶縁性及び「導電性」のネットワークの形成の潜在的な実施例の概略図である。実施例には、3D導電性ネットワークを形成するのに十分ではない低い導入レベル(図3A)、及び、3D導電性ネットワークを形成するのに十分なより高い導入レベル(図3B)での粒子タイプの導電性充填材、ならびに、導電性3Dネットワークを与えない絶縁された集合体を形成する粒子タイプの充填材(図3C)が含まれる。
図3D】実施形態に係る、絶縁性及び「導電性」のネットワークの形成の潜在的な実施例の概略図である。絶縁材料を与える、低い導入レベル(図3D)、及び、導電ネットワークを与えるより高い導入レベル(図3E及び図3F)でのニードル状またはロッド状の導電性充填材も提供される。
図3E】実施形態に係る、絶縁性及び「導電性」のネットワークの形成の潜在的な実施例の概略図である。絶縁材料を与える、低い導入レベル(図3D)、及び、導電ネットワークを与えるより高い導入レベル(図3E及び図3F)でのニードル状またはロッド状の導電性充填材も提供される。
図3F】実施形態に係る、絶縁性及び「導電性」のネットワークの形成の潜在的な実施例の概略図である。絶縁材料を与える、低い導入レベル(図3D)、及び、導電ネットワークを与えるより高い導入レベル(図3E及び図3F)でのニードル状またはロッド状の導電性充填材も提供される。
図3G】実施形態に係る、絶縁性及び「導電性」のネットワークの形成の潜在的な実施例の概略図である。それぞれ絶縁材料と導電材料とになる、低い導入レベルとより高い導入レベルとでの、細断されたファイバータイプの充填材の実施例が、図3G図3Hとに提供されている。
図3H】実施形態に係る、絶縁性及び「導電性」のネットワークの形成の潜在的な実施例の概略図である。それぞれ絶縁材料と導電材料とになる、低い導入レベルとより高い導入レベルとでの、細断されたファイバータイプの充填材の実施例が、図3G図3Hとに提供されている。
図4】実施形態に係る、様々なタイプのプラスチック廃棄物を受領及び細断し、それらの後の堆積が可能である固体添加物製造システムの概略図である。
図5A】実施形態に係る、基板上の、ソリッドステートの、添加製造され堆積されたプラスチックの廃棄物の層の概略図である。
図5B】実施形態に係る、2つの異なるプラスチックの廃棄物の供給原料からの、2つの異なる層の固体添加物製造の堆積の概略図である。
図5C】実施形態に係る、未使用プラスチック及びプラスチックの廃棄物を含む供給原料からの層の固体添加物製造の堆積の概略図である。
図5D】実施形態に係る、供給原料として未使用プラスチック及びプラスチックの廃棄物を使用した、横断方向に沿う固体添加物製造で生成された組成の勾配の概略図である。
図5E】実施形態に係る、異なる割合の未使用プラスチック及びプラスチックの廃棄物の供給原料を使用した、堆積された層の厚さに沿う固体添加物製造で生成された組成の勾配の概略図である。
図5F】実施形態に係る、リサイクルされたプラスチックの層と、他のタイプの層、たとえば未使用プラスチック層とを含む、交互の固体添加物製造で堆積された層の概略図である。
図6A】実施形態に係る、通常は構造的に弱いゾーンである2つの相間に相の境界が示されている、2つのプラスチックX及びYの間の相の分離を示す概略図である。
図6B】実施形態に係る、相溶剤を使用した結果として、異なる相を含むポリマーシステム内で相の境界が示されていない概略図である。
図7A】実施形態に係る、かみ合いを使用した、未使用プラスチック(VP)とリサイクルされたプラスチックの廃棄物(WP)との、固体添加物製造で堆積された層の断面の概略図である。
図7B】実施形態に係る、異なるかみ合いの断面の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0107】
ここで、本発明の様々な例示的実施形態を詳細に参照する。例示的実施形態の以下の詳細な説明は、本発明の限定としては意図されていないことを理解されたい。むしろ、以下の詳細な説明は、本発明の特定の態様及び特徴のより詳細な理解を読み手に与えるために提供されている。
【0108】
本明細書で仕様される場合、「固体添加物製造」は、「添加物の摩擦攪拌」及び/または本明細書に記載の任意のプロセス、たとえば、供給原料を、ツールを通して搬送し、供給原料及び/または基板の一方または両方を、全体として、または部分的に変形させて、供給原料及び基板及び/または1つまたは複数の追加の構造的特徴を結合することを可能にする方式で供給原料及び/または基板を処理する、回転可能及び/または移動可能なツールを使用した製造プロセスなどに言及するとともに相互交換可能である。
【0109】
本明細書で使用される場合、「コーティング材料」との用語は、「充填材」及び/または「供給原料」及び/または「消耗物」及び/または「消耗材料」と相互交換可能に使用される。これらの各々は、独立してまたは集合的に、本開示に記載されるような回転する攪拌ツールのスロートを通して供給される添加材料に関連する。
【0110】
固体添加物製造技術により、マトリクスを溶融することなく、導電性充填材の粒子の、熱可塑性マトリクス内での現場での混合及び分散が可能にされ、一方、結果としての製品を電気的及び/または熱的に伝導性とする。絶縁性、半導性、及び導電性の材料に関する導電性の値を提供する図であり、ここで、導電性ポリマーの組成が、ポリマーマトリクスにおける導電性充填材の分散の様々な方法(固体添加物製造とは異なる)によって形成されている図が、図1に提供されている。
【0111】
固体添加物製造技術は、材料を溶融することなく、開いた雰囲気で作動する、環境に優しい技術である。固体添加物製造システムは、熱機械的手段によって材料を堆積させる。このシステムは、堆積された材料と、その上に堆積されている材料との両方を順応性のあるものにするように、様々な力と回転との組合せに起因して、材料内の激しい塑性変形を生じる。材料はソリッドステートであり、競合する技術との特有の相違がある。摩擦攪拌動作に起因して、個別の粒/粒子/ピースが、より小さいサイズまで砕かれ、まとめられる。全体の操作は、空中で発生し、固体添加物製造システムを、動作するのに複雑ではなく、かつ安価とする。固体添加物製造プロセスが完結した後は、焼きなましまたは焼結などの、競合する溶融ベースのプロセスによって必要とされる追加のステップは不要である。
【0112】
固体添加物製造プロセスで処理される熱可塑性ポリマーは、粘弾性状態にある。すなわち、材料のガラス転移温度Tgより上であるが、依然としてその融点Tm未満である温度にある。このことは、高分子材料内に粒子を分散させるための他の既知の方法すべてとの主要な差異である。このことは、材料を溶融させるエネルギーが不要であることから、固体添加物製造プロセスが、他の既知のプロセスと比較してエネルギーコストがより低いことをも意味する。導電性充填材の添加、及びポリマー内のそれらの分散は、固体添加物製造システム内で生成される極度の力、摩擦力、及び他のタイプの力によって促進される。これら力は、溶融状態ではないポリマーの粘性を低減させる。さらに、固体添加物製造システムは、現場で生成された導電性の組成を、所望の3Dオブジェクト、層、及び/またはコーティングに同時に堆積させることが可能である。
【0113】
固体添加物製造技術は、異なるプラスチック材料の現場での細断、混合、及び統合と、その後の望ましい3D形状またはコーティングへのプリントが可能である。このため、固体添加物製造技術は、慣習的なプラスチックリサイクル産業において必要とされる準備段階を必要とすることなく、様々な使用済みのプラスチック材料及びプラスチックオブジェクトを処理する安価な方法である。
【0114】
いくつかの態様では、導電性粒子をポリマー材料(またはプラスチック合成製品)に添加することは、ベースポリマー材料の電気伝導性と熱伝導性との両方の向上に寄与する。他の態様では、添加された導電性粒子は、マトリクス材料の導電性を向上させ、またさらに、別の態様では、導電性添加物により、熱伝導性のみが向上する。図2Aは、導電性プラスチック合成製品の現場での合成と、後のその製品の堆積とが可能である、固体添加物製造システムの概略的表示である。本システムは、供給セクション(ホッパー)202Aを備えており、ここで、供給原料201(または複数の供給原料の流れ201A、201B、201C)が固体添加物製造システムに入る。固体添加物製造システムの供給原料として使用される未加工のポリマーまたはプラスチック合成製品(201A)は、限定ではないが、細粒、パウダー、ペレット、ワイヤー、バー、シート、及び/またはこれらの組合せの形態のいずれかで供給される、未使用のポリマーまたは使用済みの(リサイクルされた)プラスチックである。導電性充填材も、システム内への、連続しているかまたは不連続の供給流、たとえば201Bとして供給される。必要であれば、様々な他の添加物、たとえば表面活性剤、安定化材など(201C)が、ポリマーマトリクスと導電性粒子との間の良好な分散及び混和性を可能にするように添加される。供給原料は、次いで、固体添加物製造システムのスピンドル202Bを通る。ここでは、供給原料が順応性のある状態に変化され、次いで、中空ツール202Cを介して基板上に堆積される。さらなる固体添加物製造システムの要素には、材料の堆積が、空気/酸素に対して反応しやすいケースに関する、不活性ガス供給部202Dと、紫外光(UV)、可視光、または赤外光(IR)として供給される外部のエネルギーが、導電性組成物203Aの堆積の助けになるケースに関する、光源または熱源202Eと、が含まれる場合がある。
【0115】
いくつかの実施形態では、複合された導電性組成物203Aが、3D構造またはパーツを構築するために、複数層203B、203C、及び203Dに堆積される(図2A)。他の実施形態では、複合された導電性組成物203Aは、既存の基板、構造、またはパーツ204の頂部上に、導電性コーティングまたは導電性層203Bとして堆積される(図2B)。
【0116】
いくつかの実施形態では、供給割合、スピンドル及びツールの回転、スピンドル及びツールの温度、ならびにトルクなどの、固体添加物製造のプロセスパラメータを調整することにより、固体添加物製造システムが、導電性充填材の良好な分散と、ポリマー(プラスチック材料)を通しての導電性の3D浸透ネットワークの形成と、を提供する。固体添加物製造プロセスの状態は、容易に調整可能であり、他のポリマー特性の中で、ポリマーマトリクスのタイプ、そのガラス転移温度(Tg)及び融点(Tm)、摩擦係数及び圧縮強さに応じて制御される。実施例には、導電性粒子タイプの充填材(図3A図3B、及び図3C)を添加することが含まれ、ここで、重要な充填材の量が、導電性粒子の連続したネットワーク(図3B)を形成するため、そしてひいては、導電材料の組成の形成に必要である。低い導入レベルでは、良好な分散のプロセスの状態においても、3D空間内の連続したネットワークは形成されない(図3A)。固体添加物製造プロセスの状態が特定の材料のタイプ、及び充填材のタイプのために調整されていない場合、最終的な組成は、絶縁媒体内の充填材粒子のクランプ(集合体)を含む絶縁材料となる(図3C)。
【0117】
他の実施例には、絶縁プラスチック材料内に導電性のニードル状またはロッド状の充填材を分散させることが含まれる(図3D図3E、及び図3F)。低い導入レベルでは、導電性充填材の3Dネットワークは形成されず、このため、結果は絶縁複合材料となる(図3D)。より高い導入レベルでは、3D導電性ネットワークは、充填材のアスペクト比に応じて形成される(図3E及び図3F)。より高いアスペクト比の充填材(図3F)は、より低いアスペクト比の充填材(図3E)よりもかなり低い導入レベルで3Dネットワークを与える。概して、ロッド状の充填材に関する導入レベルは、通常、同じプラスチック材料内に3Dネットワークを形成するためには、粒子タイプの充填材の導入レベルよりかなり低い。
【0118】
特定の実施例では、細断された導電性ファイバー、たとえばスチールファイバー、銅ファイバー、カーボンファイバーなどが、導電性充填材として使用される(図3G及び図3H)。充填材のアスペクト比及び導入レベルに大きく依存する導電性組成物の合成(図3H)は、特定の固体添加物製造の処理条件で可能である。このことは、溶融させることなく、高度な「流動性」を生じさせる。図3Gは、導電性ファイバーの導入レベルが重要なレベルよりも低い場合の絶縁組成物の概略図である。
【0119】
いくつかの実施形態では、2つ以上の充填材の組合せが、最終的な固体添加物製造で処理された組成物の、必要な電気的及び/または熱的な伝導性の値を達成するために使用される。一実施例には、所望の導電性を達成するために、プラスチックマトリクスに添加される、グラフェンシートの粒子と、球状の金属または金属酸化物の粒子との混合が含まれる。別の実施例には、個別の充填材が別々に使用される場合に必要とされるレベルよりもかなり低い充填材の導入レベルにおいて、所望の導電性の値を達成するために、粒子状の充填材と組み合わせられた、ファイバー状またはニードル状の充填材が含まれる。
【0120】
特定の態様では、ポリアミド(PAA)、ナイロン6及びナイロン66(Ny6、Ny66)、ポリフェニルスルホン(PPS)、ポリスルホン(PSU)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエステル、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、ポリオレフィン(PP、LDPE、HDPE)、ポリ塩化ビニル(PVC)などのポリマーマトリクスが、導電性プラスチック複合材料、導電性コーティング、及び導電性パーツの固体添加物製造のために使用される。
【0121】
他の態様では、熱可塑性エラストマーが、導電性充填材とともに固体添加物製造システムに供給されて、導電性のエラストマー組成物及びパーツを形成する。
【0122】
いくつかの態様では、反応性の化学種(モノマー)を含む固体添加物製造で配合されたプラスチック合成製品は、さらに、固体添加物製造の堆積ステップの間、UV光または熱202Eのおかげで架橋される(図2A)。
【0123】
特定の実施形態では、プラスチック材料が、細断されたスチールファイバーまたはスチールパウダーとともに固体添加物製造供給システムに添加されて、EMシールド複合材料と、EMシールド機能を必要とするパーツ及び表面上への後のその堆積とを提供する。スチールファイバーの充填材のケースでは、パウダーまたは粒子で充填されたプラスチックで得られものに比べ、より低い導入レベルにおける高いシールド効果が可能である。
【0124】
他の実施形態では、単層及び多層のカーボンナノチューブ(SW-CNT及びMW-CNT)、カーボンブラック、または他のタイプの金属ファイバーまたは粒子が、プラスチック材料に添加されて、有効なEMIシールドコーティングまたはパーツ構築層を形成する。
【0125】
いくつかの実施形態では、固体添加物製造供給システム内のプラスチック材料は、細断された銅ワイヤーまたは銅パウダー/粒子とともに混合され、電気的及び熱的に伝導性のプラスチック複合材料となる。
【0126】
いくつかの実施形態では、固体添加物製造で配合された導電性熱可塑性の組成物により、静電気防止(AS)保護、または静電気放電からの保護(ESD)が提供される。
【0127】
特定の態様では、フレーク、小板、または細断されたシートの形態の電気的及び/または熱的に伝導性の充填材が使用される。特定の実施例には、セラミック導電性粒子を使用した固体添加物製造プロセスによって製造された、電子製品のパッケージングで使用するための、低い熱膨張率及び良好な機械的強度を有する、熱伝導性であるが、電気的に絶縁性のプラスチック複合材料が含まれる。たとえば、BN、SiO2、Si34、Al23、AlNなどのセラミック粒子が、導電性プラスチックの固体添加物製造において、導電性充填材として使用される。
【0128】
固体添加物製造で配合されたプラスチック合成製品は、パーツ全体に均等に、かつ熱源から離れるように、熱が分散されることを可能にする。良好な導電体であるが、多くの用途ではその対流冷却によって限定される従来の金属とは異なり、固体添加物製造で配合されたプラスチック複合材料は、より高い効率を与える。この理由は、対流の割合と熱伝導性の割合とが密にマッチするためである。
【0129】
特定の実施形態では、プラスチックの導電性が、アルミニウムフレーク、カーボンファイバー、カーボンブラックパウダー、カーボンナノチューブ、ステンレス鋼ファイバー、金属パウダー、及びニッケルコーティングされたポリマーファイバーの添加によって向上される場合がある。さらに別の実施例では、グラフェンまたはグラファイトが固体添加物製造技術によって導電性プラスチックを製造するために使用される。
【0130】
いくつかの実施形態では、高いアスペクト比、たとえば、Lを充填材長さ、Wを充填材の幅として、L/W>10を有する、異方性導電性充填材が、固体添加物製造プロセスで使用される。より低いアスペクト比の充填材で形成された合成製品よりも低い充填材の導入レベル(10vol%未満)が、固体添加物製造導電性プラスチック合成製品を形成するために必要とされる。
【0131】
さらに、充填されたプラスチック複合材料の熱伝導性及び電気伝導性が、充填材の導入、充填材の形態構造、充填材のアスペクト比及び向き(ある場合)、ならびに全体の組成のマイクロ構造及びナノ構造に依存することが知られている。特定の態様では、特定のプロセスの状況に結合された固体添加物製造システムは、低い粘性のプラスチック媒体内の(異方性の充填材のケースにおける)充填材の特有の分布及び方向付けが可能である。
【0132】
いくつかの実施形態では、電気及び熱を伝えるグラファイトファイバーまたはグラファイト粒子が、ハンドヘルドの通信デバイスなど、無線周波干渉(RFI)のシールドが必要とされる用途に関し、導電性プラスチックを形成する固体添加物製造プロセスで使用される。
【0133】
他の実施形態では、熱伝導性であるが、電気的に絶縁性であるセラミック添加物が、固体添加物製造で配合されたプラスチック複合材料に添加される。一方、一般的な熱可塑性材料は、約0.2W/mKの熱伝導性を有している。すなわち、熱的に絶縁性である。固体添加物製造で配合されたプラスチックの特定の実施例は、1W/mKから10W/mKか、その10倍も高い範囲の導電性を有することができる。
【0134】
いくつかの実施形態には、10-2S/cmを超える導電性の値を有する、固体添加物製造で形成されたプラスチック複合材料、及び、1S/cmを超える導電性を有する組成が含まれる。
【0135】
特定の実施形態は、異方性の導電特性を有するプラスチックの固体添加物製造に関する。このことは、液晶性ポリマー(LCP)マトリクス及び/または異方性導電性充填材を使用することによって達成される。固体添加物製造の堆積ステップの間、LCP分子及び/または充填材は、堆積されたコーティングまたは3Dオブジェクト内で方向付けられることになる。
【0136】
特定の実施形態では、固体添加物製造の供給システムは、ポリマー(プラスチック)の廃棄物をリサイクルするために使用される(図4)。この目的のために、供給セクション402Aは、ホッパーと、非常に多くの場合、シュレッダーとを備えている。ホッパー及びシュレッダーは、様々なプラスチックの材料及び形状を許容及び処理するように設計されている。シュレッダーは、プラスチックをより小さいピースにカットするように設計されている。本システムは、スピンドル402B、中空ツール402C、不活性ガス供給ユニット402D、及び外部のフィールドユニット402E(たとえば、UV光源、熱源)をさらに備えている。供給原料として使用されるプラスチックの廃棄物401は、未使用プラスチック、及び/または、充填材、相溶剤、及び安定化材などの添加物と混合させることができる。
【0137】
特定の実施形態では、通常はポリエチレンテレフタレート(PET)で形成された使用済みのプラスチックボトルが、固体添加物製造システムにおける供給材料としての役割を果たす。ボトルキャップは、ポリプロピレン(PP)またはポリエチレン(PE)などの異なるプラスチック材料で通常は形成されており、ボトルから分離する必要はない。このことは、他のプラスチックのリサイクル技術のケースではない。
【0138】
別の実施形態では、使用済みのプラスチックボトルは、他のプラスチックの廃棄物、たとえば買い物用のプラスチックバッグと、固体添加物製造の供給システム内で様々な割合で混合され、3Dプリントされたパーツへと、ともに処理される。
【0139】
いくつかの実施形態では、ポリスチレン(PS)またはポリスチレンフォーム(たとえば、スタイロフォーム)またはその両方が、供給材料として使用される。他の実施形態では、ポリ塩化ビニル(PVC)が細断されたオブジェクトが、固体添加物製造システムの供給原料として使用される。
【0140】
各実施形態によれば、プラスチックの標準的な樹脂識別コード(RIC:Resin Identification Code )に応じて列挙される、以下のプラスチックのいずれかまたはすべてが、供給材料として使用される。
♯1-PET(ポリエチレンテレフタレート)、
♯2-HDPE(高密度ポリエチレン)、
♯3-PVC(ポリ塩化ビニル)、
♯4-LDPE(低密度ポリエチレン)、
♯5-PP(ポリプロピレン)、
♯6-PS(ポリスチレン)、
♯7-アクリル、ナイロン、ポリカーボネート、及びポリ乳酸(PLA)などの他のプラスチック。
【0141】
各実施形態では、使用済みのプラスチックの供給物が、固体添加物製造システムによってプラスチックフォームに変換される。実施例として、使用済みのプラスチック材料が、小ピースにカットされると、この小ピースが次いで激しく変形及び統合され、材料は、吹き出されたガス(N2)のおかげで堆積される。最終的に堆積された層は多孔性であり、固体添加物製造のプロセスの条件に応じて、開いているか閉じられた孔またはその両方を含んでいる。別の実施例では、大きく異なる融点(Tm)を有する2つのタイプのプラスチックが、供給原料として使用される。固体添加物製造のプロセスの間、(より低いTmの)一方の材料が、(より高いTmの)他の堆積された材料内に包含された孔を形成するガスに分解される。
【0142】
いくつかの実施形態では、固体添加物製造システム内のプラスチックの廃棄物の供給原料から来る、固体添加物製造で堆積された層503は、プラスチック、セラミック、または金属材料で形成された基板504上に堆積される(図5A)。
【0143】
各実施形態では、2つ以上の異なるプラスチックの廃棄物材料または細断されたプラスチックオブジェクト、またはそれらの組合せの混合物が、固体添加物製造システム内の単一の供給原料として使用され、様々なプラスチック材料で形成された、リサイクルされたプラスチック層となる。他の実施形態では、異なるプラスチックの廃棄物材料が、固体添加物製造マシン内の異なる供給原料として使用され、別々の層503A及び503Bとして堆積される(図5B)。
【0144】
特定の実施形態では、未使用プラスチックまたはリサイクルされたプラスチックが、供給セクションでともに混合され、基板504上の単一の層503Cとして堆積される(図5C)。
【0145】
各実施形態では、未使用プラスチック(VP)とプラスチックの廃棄物(WP)とが、VP/WPが容量で0/100%から、容量で約100/0%までの範囲の異なる容量のパーセンテージで、固体添加物製造システム内の供給原料として使用される。VP及びWPは、これらが堆積される前に、固体添加物製造マシンの供給セクションで、異なる割合で同時にともに混合することができる。いくつかの実施形態では、VP及びWPは、同じタイプのプラスチックであり、一方、他の実施形態では、これらは異なるタイプのプラスチックである。
【0146】
いくつかの実施形態では、VP/WPの割合は、固体添加物製造の堆積プロセスの間、供給原料内で変化し、固体添加物製造でプリントされたオブジェクト、または固体添加物製造で堆積された層の中での組成の勾配を生じる(図5D及び図5E)。組成の勾配は、堆積方向に沿って達成することができる。すなわち、いくつかの実施形態では、平行移動の方向であり(図5D)、一方、他の実施形態では、勾配は、堆積された層503B、503C、503D、503E、503F、503G、及び503Hの厚さに沿って形成される。層503B、503C、503D、503E、503F、503G及び503Hは、それぞれ、図5Eに示すように、たとえばVP/WPが0/100、10/90、30/70、50/50、70/30、90/10、及び100/0に対応する。
【0147】
いくつかの実施例では、組成の勾配は、堆積方向に沿ってか、または堆積された層の厚さに沿って、変化するVP/WPの割合、またはプラスチックのタイプ(たとえば、プラスチックA/プラスチックBの割合)に関し、任意の変化とすることができる。他の実施例では、勾配は、変化するプラスチック/セラミックまたはプラスチック/金属の割合の任意の変化とすることができる。
【0148】
特定の実施形態では、VP及びWPは、固体添加物製造プロセスにおいて、別々の供給原料として使用される。たとえば、固体添加物製造マシン内の供給原料は、図5Fに示されるように、それぞれ交互になっているVP層503HとWP層503Bとになる、交互になっているVP材料とWP材料とである。別の実施形態では、WP層は、金属の中間層と交互になっており、さらに別の実施形態では、WP層は、セラミックまたは金属の中間層と交互になっている。関連する層のすべての厚さは、同じか異なるものとすることができる。
【0149】
いくつかの実施形態では、プラスチックの供給原料とともに、潤滑剤、相溶剤、可塑剤、充填材、及び/または任意の他の添加物が、固体添加物製造プロセスにおいて使用される。添加物は、異なるピースまたは異なる材料の混合及び適合性を向上させることの助けになるか、またはもろいプラスチックのケースでは、良好な流動特性を提供することができる。さらに別の実施形態では、使用済みのプラスチックが、通常は、未使用プラスチック材料よりももろいことから、慣習的ではない低分子量の複合材料、たとえば、オリゴマー、長鎖分子、エラストマーなどが、最終的な堆積された層/製品の一定程度の弾性及び/または延性を提供するために使用される。
【0150】
別の実施形態では、補強粒子または繊維が、使用済みのプラスチックの固体添加物製造供給原料に添加される。補強粒子または繊維は、限定することなく、カーボンファイバー、グラスファイバー、金属粒子、金属ファイバー、セラミック粒子、及び高性能ポリマーファイバーのカテゴリーから選択することができる。
【0151】
異なるタイプのプラスチックが混合され、ともに溶融される場合、これらは、オイルと水とのように、相が分かれる傾向にある。すなわち、異なる相を形成する。高分子系における異なる相を分離する相の境界は、結果として得られる材料の構造的脆弱性を生じる。このことは、限定された用途において使用することができる(図6A)。実施例には、2つのもっとも広く使用される有用なプラスチック、ポリプロピレンとポリエチレンと、またはプラスチックXとプラスチックYとが含まれ、これらの相は分離され、これらをともにリサイクル及び処理することに関する能力を制限する。相の分離の問題を避けるために、相溶剤などの様々な化学物質が、リサイクルの間の相の分離に関連する困難性を克服するために提案されている。
【0152】
固体添加物製造プロセスの間、材料は溶融されないが、その融点(Tm)未満では、いわゆる順応性状態にある。ともにリサイクルする必要がある2つ以上の異なるプラスチック材料を混合することの問題は、相溶剤を添加することによって解決される(図6B)。通常、相溶剤はブロック共重合体であり、この中で、ブロック共重合体のあるブロック(パーツ)が、混合物内のプラスチック材料の1つに適合し(混合でき)、一方、他のブロックが、他のプラスチック材料に適合する。相溶剤は、グラフト共重合体またはヘッド-テール分子(head-tail molecule)または分岐したタイプの分子とすることもできる。
【0153】
特定の実施形態では、固体添加物製造で処理されたプラスチックの廃棄物の層は、オブジェクトまたは基板へのコーティングとして添加される。他の実施形態では、固体添加物製造でプリントされたプラスチックの廃棄物の層が、VPと、金属またはセラミック層との間の「安価な充填材」の層として追加される。
【0154】
いくつかの実施形態では、基板の表面及び/または任意の層が、隣接する層への接着を向上させるように処理される。処理には、限定ではないが、レーザー処理、プラズマ処理、コロナ処理、化学的な表面の機能化、エッチング、プライマー/定着剤の使用、及びイオン衝撃の処理のいずれか、またはこれらの任意の組合せが含まれる場合がある。
【0155】
他の実施形態では、かみ合い705Aが層の1つに形成されて、たとえば、固体添加物製造プロセスによって両方が堆積された、WP層703Bに接着されたVP層703A、またはその逆の場合において、層間の接着を向上させている(図7A)。蟻継タイプのかみ合い705B、ならびに他のタイプのかみ合い705C、705D、及び705Eも製造することができる(図7B)。
【0156】
いくつかの実施形態では、使用済みのプラスチックボトルとともに、固体添加物製造マシンは、カップ、キャップ、蓋、ストロー、食品ラップ、柔軟なパッケージング、フォイル、フィルム、買い物袋などを許容及び処理することが可能である。これらのいくつかは、生成されたバルクプラスチックの廃棄物とは異なる、その量の少なさ、または化学的特性に起因して、現在までリサイクル不可能である。
【0157】
特定の実施形態では、様々な製品が、固体添加物製造プロセスによって製造されている。たとえば、プラスチックパイプ、プラスチックタイル(フロアリング製品)、及び他の製品が、プラスチックの廃棄物の供給原料、または、特定の比率のプラスチックの廃棄物を含む供給原料から処理される。他の実施例では、プラスチックブロックは、プラスチックの廃棄物の供給原料から処理される。これらは、当該技術で既知である他のプロセスまたは操作により、後に所望のオブジェクト及び形状に成形される。
【0158】
別の実施形態では、基板(複数可)及び/または充填材は、金属または金属材料を含んでいる。充填材、または基板(複数可)は、たとえば、Al、Ni、Cr、Cu、Co、Au、Ag、Mg、Cd、Pb、Pt、Ti、Zn、またはFe、Nb、Ta、Mo、W、またはこれらの金属の1つまたは複数を含む合金を含む、任意の金属から独立して選択することができる。各実施形態では、基板(複数可)及び/または充填材は、高分子材料である。充填材として有用な高分子材料の非限定的な実施例には、ポリオレフィン、ポリエステル、ナイロン、ビニル、ポリビニル、アクリル、ポリアクリル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリウレタンなどが含まれる。
【0159】
またさらに別の実施形態では、充填材は、少なくとも1つの金属材料と少なくとも1つの高分子材料とを含む複合材料である。他の実施形態では、複数の材料の組合せは、インターフェースにおいて複合材料を生成するために使用することができる。
【0160】
各実施形態では、基板(複数可)は、たとえば2’×2’、2’×3’、2’×4’、3’×4’、4’×4’、5’×5’、6’×4’など、約1インチから約20フィートの幅及び/または長さを含む、結合のための様々な寸法で、金属シートまたは金属プレートまたはプラスチックシートまたはプレートなどのシートまたはプレートとして提供することができる。シートのサイズは、任意の所望の用途に大きく依存するとともに、フィットさせることができる。上述の基板(複数可)の深さは、マイクロメートルからセンチメートルの大きさとすることができる。
【0161】
これら固体添加物製造の実施形態では、充填材(たとえば、固形のバーまたはパウダー、及び/またはポリマー)は、固体添加物製造システムを通して供給することができ、ここで、摩擦及び断熱の加熱が、充填材の回転移動及び印加される下向きの力に起因して、充填材/基板のインターフェースで発生する。インターフェースにおいて生じる摩擦及び断熱の加熱は、充填材と基板とのインターフェースにおける激しい塑性変形となる。
【0162】
充填材は、限定ではないが、本明細書に記載の任意のポリマーフォーム、及び1)単一または複合の組成の金属またはプラスチックのパウダーまたはロッド、2)供給材料として混合及び使用することができるマトリクスの金属及び補強パウダー、または、3)(たとえば、チューブまたは他の中空シリンダタイプの構造を形成するように)穴を開けることができ、補強パウダーで充填されたマトリクスの固形ロッド、または金属マトリクスの複合材用と補強材料との混合を含む、いくつかの形態とすることができる。後者の混合のケースでは、マトリクスと補強物との混合は、製造プロセスの間にさらに発生し得る。各実施形態では、充填材は、固形金属ロッドとすることができる。一実施形態では、充填材はアルミニウムである。
【0163】
各実施形態では、充填材が、基板に対する充填材の摩擦加熱及び圧縮荷重、ならびに、回転摩擦ツールの移動を使用して基板に結合される。充填材は、消耗材料とすることができる。このことは、摩擦加熱及び圧縮荷重が処理の間に印加される際に、充填材がそのもともとの形態から消費されるとともに、基板に適用されることを意味する。そのような消耗材料は、少し挙げると、パウダー、ペレット、ロッド、及びパウダーが充填されたシリンダーを含む任意の形態とすることができる。より詳細には、印加された荷重が増大するにつれて、ツールと基板とのインターフェースにおける充填材及び基板が、摩擦及び断熱の加熱の結果として順応性のあるものとなり、また、圧縮荷重の下でともに結合される。
【0164】
回転ツールは、様々な形態を取ることができる。たとえば、ツールは、米国公開出願第2008/0041921号、米国公開出願第2010/0285207号、米国公開出願第2012/0009339号、米国公開出願第2012/0279441号、及び米国公開出願第2012/0279442号、ならびに国際特許出願公開第WO2013/002869号、及び国際特許出願公開第WO2019/089764号のいずれかに記載のように構成することができる。これら公開された出願/刊行物は、本明細書で参照することによりその全体が組み込まれる。本発明の方法を実施するための摩擦ベースの製造ツールは、好ましくは、充填材を、非消費部材の内部を通して供給するか、非消費部材の内部を通して別様に堆積させることを許容するように設計または構成されている。この非消費部材は、スロート、ネック、中心、内部、または、ツールの両端を通して配置された貫通穴と称することができる。ツールのこの領域は、非円形の貫通穴形状で構成することができる。ツールに関する様々な内部の幾何学形状が可能である。非円形の幾何学形状では、充填材は、供給原料に対し、ツールスロートの表面において、ツールによって印加される法線力に起因して、ツールの非消費部分と同じ角速度で回転するように強制されるか回転させられる。そのような幾何学形状は、実施例として、正方形の貫通穴、及び楕円形の貫通穴を含むことができる。接線力のみが、ツールのスロートの内部表面によって充填材の表面に印加されると予期することができる構成において、供給原料は、ツールと同じ角速度では回転されることはない。そのような実施形態には、分離されているか、緩められて取り付けられている供給原料と組み合わせて、ツールの断面に関して円形の幾何学形状を含むことができる。このことは、充填材及びツールの異なる速度での回転に繋がると予測される。本開示で使用される場合、「添加物の摩擦-攪拌ツール」、「摩擦-攪拌ツール」、「非消費の摩擦-攪拌ツール」、「回転する非消費の摩擦-攪拌ツール」との用語は、相互交換可能に使用することができる。
【0165】
各実施形態では、ツールのスロートは、非円形の断面形状を有した形状とすることができる。さらに望ましいのは、ツールのスロートが、内部に配置された固形、パウダー、またはパウダーで充填されたチューブのタイプの充填材に法線力を印加するような形状であるツールである。各実施形態は、摩擦加熱及び圧縮荷重が、分配された充填材が、充填材-基板のインターフェースにおいて基板の材料と混合されることを可能にするのに十分な程度であることを確実にする特徴を含むこともできる。
【0166】
より詳細には、回転ツールから充填材に伝達される力の大きさは、2つの間の摩擦係数に依存する。このため、摩擦係数が著しく低く、充填材の回転を発生させるために必要な内部の力が著しく高い場合、ツールは、筒状の充填材の回転を生じることなく(または、ツールよりも低い速度で回転を発生させる)、回転することができる。動作中のいくつかの状況下では、ツールと、ツールの内部の充填材との間の回転速度の差異が、いくらかの充填材がツールの内部に堆積されることに繋がり得、この充填材の集積は問題となり得る。適切なサイズの正方形-正方形または楕円形-楕円形の形状の充填材-分配器の幾何学形状など、特定のツール内の幾何学形状を有することにより、この課題を低減させることができる。ツールと充填材との間の回転速度の差異を低減させる別の方法は、ツールのスロート内に密にフィットするように充填材のロッドを製造すること、または、充填材をツールのスロート内に別様に密にパックすることである。
【0167】
ツール内の充填材に法線力を印加することが可能であるツールの内部の断面の任意の形状を使用することができる。スロート表面の幾何学形状及び充填材の幾何学形状は、一時的または恒久的に、ツールと充填材との係合及び係合解除、ツールと供給材料とのかみ合い、ツールと供給材料とのアタッチメントを提供するように構成することができるか、充填材がツールに依存して回転することを可能にする任意の構成とすることができる。
【0168】
ツール(スロート)の内側表面形状、及び充填材の対応する形状は、特定の用途に適切な方式で構築することができる。これら表面の形状には、限定する意味はないが、正方形、矩形、楕円形、卵形、三角形、または通常は任意の非円形の多角形を含むことができる。さらなる形状には、いくつかを挙げると、星形、ヒナギク形、鍵形及び鍵穴形、ダイアモンド形など、より特有の形状を含むことができる。むしろ、充填材の外側表面の形状は、ツールのスロートの表面と同じタイプの形状である必要はない。たとえば、矩形の断面を有するツールのスロート内に挿入するために、正方形の断面を有する充填材のロッドを有することからの利点が存在し得るか、その逆があり得る。ここで、矩形の断面を有する充填材のロッドは、正方形の断面を有するツールのスロート内に配置することができ、この中で、充填材のロッドの角は、側部が側部に接触する代わりに、正方形のスロートの側部に接触し得る。特定の用途は、ツールの動作の間、スロート内の充填材により大きいまたは小さい力を印加する必要があり得る。充填材とツールとの同軸形状及び非常に密な公差により、特定の利点を実現することができる。さらに、異なる形状は、ツールの内部と、対応する充填材のロッドとの両方の製造のその容易性に起因して、異なる用途により適したものとすることができるか、高度に望ましいものとすることができる。当業者は、本開示の利益により、特定の用途のために使用する適切な形状を知っているであろう。
【0169】
添加物摩擦攪拌ツールのさらなる実施形態には、スロートを有するツールを含むことができ、ここで、充填材とスロートとは、攪拌ツールのスロートを通して充填材を連続して供給するように操作可能に構成することができる。各実施形態では、充填材はパウダーであり、ツールのスロートは中空シリンダーであり、ツールのスロート内に配置されたねじ錐形状の部材は、ツールのスロートを通して基板へパウダー材料を押すように使用される。充填材は、攪拌ツールのスロートを通して充填材を引っ張るか押すことによって搬送することができる。
【0170】
追加の実施形態は、摩擦加熱及び圧縮荷重にさらされた際に変形を防止することができる材料で形成された非消費本体、非消費本体を通しての長手方向の通路を規定する内部形状を有するスロート、ツールのスロート内に配置されたねじ錐であり、ツールと異なる速度でこのねじ錐を回転させるため、及びパウダー状の充填材を、ツールのスロートを通して押し出すための手段を有する、ねじ錐、を備えた、ツールまたは添加物摩擦攪拌ツールを備えることができ、それにより、非消費本体は、基板に対し、充填材の摩擦及び断熱の加熱、ならびに圧縮荷重を向上させるために、操作可能に構成され、充填材及び基板が可塑化する結果となる。
【0171】
各実施形態では、ツール及びねじ錐は、基板に対して回転する。さらなる実施形態では、ツール及びねじ錐は、互いに対して回転する。すなわち、ねじ錐とツール本体との間の回転速度の差が存在する。充填材と基板、ツール、またはねじ錐との間の、いくらかの相対回転が存在し得る。充填材及びツールは、互いに対して取り付けられておらず、ツールのスロートを通しての充填材の、連続しているか半連続した供給または堆積が可能になっている。
【0172】
たとえば、基板に結合される充填材は、「押し付け」方法を使用して基板表面に適用することができ、ここで、回転プランジングツール、たとえばねじ錐が、スピンドルなどの回転ツールを通して充填材を押し出す。供給材料は、非常に大量の充填材をツール本体に、補充可能な容器から、ツールと操作可能に通信して提供することによるものを含む様々な方法で導入することができる。
【0173】
各実施形態では、充填材は、パウダー状の固体であり、ねじ錐の形状のプランジングツール(たとえば、ねじ部材)を使用して、ツール本体を通して供給される。そのような実施形態では、プランジングツールは、基板に向かう方向に移動するか「突っ込む」ように設計することができる。たとえば、ねじ錐自体のねじ山の構成は、パウダー状の供給材料に十分な力を提供して、ツールに対してねじ錐が垂直方向に移動する必要なく、堆積のために、充填材を基板に向けることが可能である。
【0174】
スピンドル及びプランジングツールが回転すると、充填材の圧縮荷重及び摩擦加熱が、下向きの力(基板に向いた力)で充填材を基板表面に押し付けることと、添加物の摩擦攪拌ツールの回転速度とによって実施される。
【0175】
結合プロセスの間、スピンドルは、ねじ錐よりもわずかに遅い速度で回転することができる。代替的には、各実施形態では、スピンドルは、ねじ錐よりも速く回転されることができる。各実施形態で重要なことは、充填材を添付する間、スピンドルとねじ錐との間に相対回転が生じることである。回転速度の差異に起因して、ねじ錐のねじ部分により、ツールから出る材料を基板に向けさせるように、ツール本体を通して充填材を押し出すための手段が提供される。ねじは、線形アクチュエータまたは空気圧式シリンダーまたは、供給原料の表面を押す他の機械的力とほぼ同じように、供給材料を基板に向けて押す供給原料への力を与える。さらにまた、いくつかの用途では、充填材の堆積の間に、ツール本体及び/またはねじ錐の回転速度を変更することが所望であり得る。
【0176】
基板上の充填材の堆積の割合は、ねじ錐のねじとスピンドルとの間の回転速度の差異などのパラメータを変更すること、または、ねじ錐上のねじ山のピッチを変更することにより、調整することができる。所望の場合は、特定の用途に関し、たとえば外部の熱源により、ツール本体の内側または外側の充填材温度を制御することが認められ得る。充填材のそのような熱によって生じる軟化は、材料の付与量を増大させる。
【0177】
本明細書の文脈では、「充填材料」、「消費材料」、「消費充填材料」、「供給材料」、「供給原料」などの用語は、添加物の摩擦攪拌/固体添加物製造ツールから基板に付与されるように適用される材料に言及するように、相互交換可能に使用することができる。一実施形態では、パウダー状の充填材が、スロート内の充填材に一定の変位を適用するために、ツールスロート内に配置されたねじ錐と組み合わせて使用される。
【0178】
充填材(たとえば、パウダーまたは固形供給原料)は、ツールを出るように、回転するスピンドルを通して供給することができ、ここで、充填材の回転移動と、印加される下向きの力とに起因して、充填材/基板のインターフェースにおいて摩擦加熱が生じる。インターフェースにおいて生じる摩擦及び断熱の加熱は、基板及び充填材をインターフェースにおいて塑性変形させるように作用し、基板と充填材との間での冶金による接着または他の接着に繋がる。
【0179】
機構は、スピンドル内にパウダーを供給し、充填材がスピンドル内に適合されることを確実にしつつ、スピンドルの外にパウダーを出すために使用することができる。このシステムは、ねじ錐のねじを利用して、規定の割合でパウダーをスピンドルに通す。このことは、この目的を達成することが可能である1つの手段である。スピンドルの向きに適合された固形ストックを供給し、スピンドルの明確な速度で回転するさらなる方法が考えられる。たとえば、スピンドルとともに回転する金属の回転ミルタイプの機構を使用して、充填材に力を印加することができる。
【0180】
そのような実施形態では、スピンドルは、所望の回転速度でスピンし、ねじ錐のねじは、同じ回転方向に異なる回転速度で駆動し、このことは、スピンドルの外に材料を押し出すように作用する。摩擦攪拌ツールの回転角速度または速度は、ω1として識別され、ねじ錐の回転角速度は、ω2として識別される。本明細書の文脈では、「回転速度(rotational speed)」、「回転速度(rotational velocity)」、「角速度(angular speed)」、及び「角速度(angular velocity)」は、相互交換可能に使用され、使用中のツールの構成要素の角速度に言及することができる。ねじ錐のねじは、スピンドルよりも遅い速度で回転することができるか、ねじ錐のねじは、スピンドルよりも速く回転することができる。重要なことは、充填材を、ツールのスロートを通させるために、スピンドルとねじ錐との間に相対回転が生じることである。
【0181】
ねじ山が形成されたねじ錐のねじのピッチと、ねじの容積測定のピッチの割合とは、一定の状況下で堆積量に影響し、また、特定の目的を達成するために変更され得る。ねじ錐上のねじ山のピッチを変更して、特定の所望の結果を得ることは、当該技術の範囲内にある。本明細書で使用される、「ツール」、「摩擦攪拌ツール」、「スピンドル」、「ツール本体」などの用語は、ツールを通して供給材料を保持及び分配するための、ツールを長手方向の通る通路を備えている、ツール本体の外側部分に言及するために使用することができる。この通路、またはスロートは、概して、中空のシリンダー状の形状である。中空シリンダーは、ねじ錐及びパウダー材料を収容するための、ツールの頂部のより広い開口と、供給材料がツールから分配されるツールのベース部のより小さい開口とを有するように構成することができる。このため、ツールのスロートの形状は、ツールのスロートの長さにわたって一定である必要はなく、ツールの一方の長手方向の端部から他方へ収束するように構成することができる。ツールのスロートは、第1の直径の中空シリンダーの形状である第1の領域を備えることができる。この領域は、第2のより小さい直径の中空シリンダーの形状である、第2の領域に変化することができる。変化領域は、第1の領域と第2の領域とが継ぎ目なしで接続されるように、収束する中空シリンダーまたは漏斗形状の領域とすることができる。
【0182】
ツール本体内に配置されているのは、ねじ錐である。本明細書の文脈では、「ねじ錐」、「ねじ」、及び「プランジャ」は、スロートを通して材料を押すまたは引っ張るための、ツールスロート内部に配置されたツールの構成要素に言及するために使用することができる。各実施形態では、ねじ錐は、摩擦攪拌ツール本体の構成要素と考慮することができる。ねじ錐は、ねじ山を有するねじの概略的形状を有することができるか、ばねのようならせん状の構成の形状とすることができる。ツールスロート内に配置される場合、ねじ錐とスロートとの間で供給材料が通ることを可能にするように、ねじ錐と、ツールスロートの内部表面との間にクリアランスが存在し得る。ツールスロートの表面の内側には、スリーブ及びボアが含まれる。他の実施形態では、スロートの表面からの干渉なしに、ねじ錐の回転を可能にする十分な空間のみが存在する。好ましくは、ねじ錐及びツール本体またはスピンドルは、互いに取り付けられていない。各々は、基板表面に対して構成要素を回転及び平行移動させるための手段により、操作可能に接続されており、それにより、ねじ錐とツールとが、異なる速度で回転できるが、同じ速度で基板に対して平行移動できるようになっている。ねじ錐は、ねじ錐とツール本体との間に相対的な平行移動が存在しないような方式で、ツールスロート内に配置することができる。
【0183】
パウダー状の材料は、流体化されたパウダーの運搬システムを使用して、スピンドルの頂部内に供給することができる。任意のタイプのパウダー運搬システムを本明細書に記載のツール及びシステムと関連して使用することができる。たとえば、ホッパーなどの、重力で供給するパウダー供給システムを使用することができる。そのような供給システムの1つが、Springfield,OhioのPalmer Manufacturingからの、Palmer P-Series Volumetric Powder Feederである。このシステムは、毎時0.1立方フィートから140立方フィートの供給材料を搬送することが可能であり、また、柔軟なポリウレタンホッパー、ステンレス鋼マッサージングパドル、304ステンレス鋼供給チューブ及びねじ錐、90ボルトのDCギアヘッド駆動モーター、柔軟なローラーチェーン駆動システム、シールされたドライブトレイン及びキャビネット、ならびに、ソリッドステートのコントロール及びプッシュボタンコントロールを備えている。供給システムは、好ましくは、パウダー充填材を保持するためのリザーバ、リザーバに追加されたパウダー(複数可)を混合するためのミキサー、及び、ホッパーからツール本体のスロートに供給材料を搬送するための通路と、を備えている。供給材料がツール内へ、及びツールから分配される際に、より多くの供給材料がホッパーからツールに搬送される。この方式で、供給材料は、連続的または半連続的に搬送される。重力で供給される分配システムは、ツール内の材料が分配されるとすぐに、使用中に、供給材料が自動的にホッパーから摩擦攪拌ツールに分配されることを可能にする。
【0184】
各実施形態では、パウダータイプの混合物を、攪拌ツールに操作可能に接続されたホッパーに追加することができる。代替的には、いくつかの異なるタイプのパウダーをホッパーに個別に追加し、次いで、ホッパー内で混合し、混合物として摩擦攪拌ツールに、使用中に分配することができる。たとえば、金属パウダー及びセラミックパウダーは、同時にスピンドル内に、同じであるか別のホッパーから供給することができ、統合/堆積されると、充填材は、金属マトリクス複合材料(MMC)となる。本明細書で使用される場合、「金属マトリクス複合材料」との用語は、ある連続した金属相を有し、この金属相が、その内部に分散された別の不連続の相を有する材料を意味する。金属マトリクスは、純粋な金属、金属の合金、または金属間化合物を備えることができる。不連続の相は、炭化物、ホウ化物、窒化物、及び/または酸化物などのセラミックを含むことができる。不連続のセラミック相のいくつかの実施例には、SiC、TiB2、及びAl23が含まれる。不連続の相は、様々なタイプのアルミナイドなどの金属間化合物をも含むことができる。TiAlなどのチタンアルミナイド及びNi3Alなどのニッケルアルミナイドを、不連続の相として提供することができる。金属マトリクスは、通常、Al、Cu、Ni、Mg、Ti、Feなどを含むことができる。同様に、金属パウダー及びプラスチックパウダー、またはセラミックパウダー及びプラスチックパウダーを、同時に、異なる時間に、同じホッパーから、または別のホッパーから、供給することができる。
【0185】
本発明は、様々な特徴を有する特定の実施形態を参照して記載されている。上述の本開示に照らし、当業者には、本発明の実行の中で、本発明の範囲または精神から逸脱することなく、様々な変更及び変形を行うことができることを理解されたい。当業者は、開示の特徴が、単独で使用されるか、任意の組合せで使用されるか、所与の用途または設計の要請及び詳細に基づいて省略され得ることを理解するであろう。実施形態が特定の特徴を「備えている」と言及する場合、実施形態は、代替的に、その特徴のいずれか1つまたは複数で「構成されている」か、または「基本的に構成されている」ものとすることができることを理解されたい。本発明の他の実施形態は、明細書を考察することから、及び本発明の実行から、当業者には明らかとなる。
【0186】
特に、値の範囲が本明細書で提供されている場合、その範囲の上限と下限との間の各値も、明確に開示されていることに留意されたい。これらのより小さい範囲の上限及び下限は、独立してそのレンジに含まれるか除外される場合がある。単数の形態である「a」、「an」、及び「the」には、文脈で別様に明確に記載されていない限り、複数の言及を含んでいる。本明細書及び実施例が、性質が例示的ものとして考慮されること、及び、本発明の本質から逸脱しないその変形形態が、本発明の範囲内になることが意図されている。さらに、本開示で引用された参照物のすべては、各々が独立して、本明細書で参照することによってその全体が組み込まれており、また、したがって、本発明の機能付与的開示を補強する有効な方法を提供すること、及び、当業者に、背景の詳細を提供することが意図されている。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図3H
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図6A
図6B
図7A
図7B