(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-08
(45)【発行日】2024-03-18
(54)【発明の名称】オーディオ処理のための機械的発電装置
(51)【国際特許分類】
G10K 15/04 20060101AFI20240311BHJP
G06F 1/26 20060101ALI20240311BHJP
【FI】
G10K15/04 302F
G06F1/26
(21)【出願番号】P 2021514041
(86)(22)【出願日】2019-09-12
(86)【国際出願番号】 FI2019050652
(87)【国際公開番号】W WO2020053484
(87)【国際公開日】2020-03-19
【審査請求日】2022-08-25
(32)【優先日】2018-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(73)【特許権者】
【識別番号】521100335
【氏名又は名称】ゾイ・オサケユフティオ
【氏名又は名称原語表記】Zoy Oy
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【氏名又は名称】徳山 英浩
(72)【発明者】
【氏名】クリスタ・キンヌネン
(72)【発明者】
【氏名】ミカ・グローン
(72)【発明者】
【氏名】マルコ・サラスモ
(72)【発明者】
【氏名】トミ・ハウタラ
【審査官】中村 天真
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2007/0102928(US,A1)
【文献】特開2016-208266(JP,A)
【文献】特開2009-265103(JP,A)
【文献】特開2005-045516(JP,A)
【文献】特表2012-513143(JP,A)
【文献】特開2013-063554(JP,A)
【文献】特開2014-215516(JP,A)
【文献】特開2009-184196(JP,A)
【文献】特表2003-535421(JP,A)
【文献】特開2001-186719(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A44C 1/00-27/00
G06F 1/26- 1/3296
G10K 15/00-15/12
G10L 17/00-17/26
G11B 33/00-33/14
H02K 7/00- 7/20
21/12-21/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械モジュール(110)と、
マイクロホン(138)、不揮発性メモリ(140)、及びスピーカ(142)を有し、前記マイクロホンから前記不揮発性メモリ(140)に音声を記録するとともに、前記不揮発性メモリ(140)から前記スピーカ(142)で音声を再生する電子モジュール(130)と、
設計されたハウジング(150)と、
を備える発電装置(100)であって、
前記機械モジュール(110)は、ユーザから回転(160)を受け取るように構成されたインターフェース(112)と、複数の永久磁石(116,118)が埋め込まれるとともに、円板形状の固定子(132)に隣接して回転するように構成される円板形状のフライホイール回転子(114)と、前記インターフェース(112)及び前記フライホイール回転子(114)に接続され、前記回転(160)の速度を向上させるように構成される歯車部(120)と、を有し、
前記電子モジュール(130)は、前記円板形状の固定子(132)を有し、
前記円板形状の固定子(132)は、複数のコイル(134,136)が埋め込まれるとともに、前記フライホイール回転子(114)に隣接して配置されて、前記フライホイール回転子(114)の回転の間に前記電子モジュール(130)の電力供給のための電気エネルギ(170)を生成するように構成され、
前記ハウジング(150)は、前記機械モジュール(110)及び前記電子モジュール(130)を収容して保護するように構成さ
れ、
前記電子モジュール(130)は、前記円板形状のフライホイール回転子(114)のみが回転する間に音声(180)の記録を開始するように、且つ/又は、前記円板形状のフライホイール回転子(114)のみが回転する間に音声(182)の再生を開始するように、構成されている、
発電装置。
【請求項2】
前記円板形状のフライホイール回転子(114)と前記円板形状の固定子(132)とは、互いに重なるように構成及び配置される、請求項1に記載の発電装置。
【請求項3】
前記円板形状のフライホイール回転子(114)は、回転子とフライホイールとを統合した一体構造である、請求項1又は2に記載の発電装置。
【請求項4】
前記円板形状のフライホイール回転子(114)は、タングステンなどの高密度金属で構成され、前記複数の永久磁石(116,118)を収容する複数の空洞部(600,602)を有する、請求項1~3のいずれか1つに記載の発電装置。
【請求項5】
前記円板形状の固定子(132)は、プリント配線板(144)の側面に形成され、前記電子モジュール(130)の他の部品(138,140,142)は、前記プリント配線板(144)の別の側面に固定される、請求項1~4のいずれか1つに記載の発電装置。
【請求項6】
前記歯車部(120)は、ユーザからの回転(160)を受け取る間のみ動作し、その後、前記円板形状のフライホイール回転子(114)のみが回転するように構成される、請求項1~5のいずれか1つに記載の発電装置。
【請求項7】
前記インターフェース(112)は、前記発電装置(100)の一側部にあり、マイクロホン(138)及びスピーカ(142)は、前記発電装置(100)の他の側部にある、請求項1~
6のいずれか1つに記載の発電装置。
【請求項8】
前記歯車部(120)は、前記設計されたハウジング(150)の透明ガラス(152)に取り付けられ、前記透明ガラス(152)は、ユーザによる前記歯車部(120)及び前記円板形状のフライホイール回転子(114)の観察を可能にし、前記機械モジュール(110)は、空所(190)によって前記電子モジュール(130)から分離される、請求項1~
7のいずれか1つに記載の発電装置。
【請求項9】
前記発電装置(100)は、宝飾品、オルゴール、又は記念品である、請求項1~
8のいずれか1つに記載の発電装置。
【請求項10】
前記電子モジュール130は、記録及び再生された音声が人の可聴範囲内にあり、人の声、動物の音、エンジンの音、自然の音、人工の音、及び音楽のいずれか1つ又は2つ以上を備えるように構成される、請求項
9に記載の発電装置。
【請求項11】
前記発電装置(100)は、ユーザ識別装置である、請求項1~
8のいずれか1つに記載の発電装置。
【請求項12】
前記電子モジュール(130)は、記録及び再生された音声が人の可聴範囲外にあり、外部のユーザ認証装置(1000)に出力される変更された周波数範囲の人の声を備えるように構成される、請求項
11に記載の発電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
様々な例示的な実施形態は、オーディオ処理のための機械的発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許出願公開第2010/0077797号明細書は、電池、充電式電池、使い捨て電池、太陽電池、動的な電源(kinetic power)、又は熱エネルギを電力に変換する電源の少なくとも1つの電源を有し得る装飾的な記録モジュールを開示している。米国特許第9398790号明細書は、電池を使用するネックレスペンダント型の個人用記録システムを開示している。国際公開第2015/121524号は、個人向けの音声メッセージを有する宝飾品の構成要素を開示しており、電池が電子機器に電力を供給することを開示する。
【0003】
しかしながら、このような従来技術は、発電装置の長寿命化に関係しない。発電装置が貴重な宝飾品で、貴金属製の可能性があり、音声を保存及び再生できるならば、100年以上経っても長持ちして機能し続けることが望ましい。発電装置がユーザ認証装置であれば、全ての状況において確実に動作する必要がある。電池の使用は、そのような解決策を提供しない。米国特許出願公開第2010/0077797号明細書は、動的な電源について言及しているが、実装の詳細は開示されていないため、その寿命や信頼性は証明されていない。
【発明の概要】
【0004】
一態様によれば、請求項1に記載の発電装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0005】
次に、いくつかの例示的な実施形態を、添付の図面を参照しながら説明する。
【
図1】装置の例示的な実施形態を示す模式図である。
【
図2】
図1に示す装置の宝飾品としての更なる例示的な実施形態を示す図である。
【
図3】
図1に示す装置の宝飾品としての更なる例示的な実施形態を示す図である。
【
図4】
図1に示す装置の宝飾品としての更なる例示的な実施形態を示す図である。
【
図5】
図1に示す装置の宝飾品としての更なる例示的な実施形態を示す図である。
【
図6】
図1に示す装置の宝飾品としての更なる例示的な実施形態を示す図である。
【
図7】
図1に示す装置の宝飾品としての更なる例示的な実施形態を示す図である。
【
図8】
図1に示す装置の宝飾品としての更なる例示的な実施形態を示す図である。
【
図9A】
図1に示す装置のオルゴールとしての更なる例示的な実施形態を示す斜視図である。
【
図9B】
図1に示す装置のオルゴールとしての更なる例示的な実施形態を示す斜視図である。
【
図10】
図1に示す装置のユーザ識別装置としての更なる例示的な実施形態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下の実施形態は単なる例示に過ぎない。本明細書は、いくつかの場面で「ある」実施形態を参照し得るが、これは必ずしも、そのような各参照が同じ実施形態を指すこと、又はその特徴が単一の実施形態にのみ適用されることを意味するものではない。異なる実施形態の単一の特徴を組み合わせて、他の実施形態を提供することもできる。更に、「含む(comprising)」及び「有する(including)」という言葉は、これらの言葉が記載された実施形態が言及された特徴のみで構成されるように限定するものではなく、そのような実施形態は、特に言及されていない特徴/構造も含むことができると理解されるべきである。
【0007】
例示された実施形態の説明及び特許請求の範囲の両方における参照番号は、これらの例のみに限定することなく、図面を参照して例示された実施形態を説明するのに役立つ。
【0008】
以下の説明において、独立請求項の範囲に該当しない実施形態及び特徴が開示されたとしても、本発明の様々な実施形態を理解するのに有用な例として解釈される。
【0009】
図1は、オーディオ処理のための機械的発電装置100を示している。
【0010】
例示的な実施形態では、発電装置100は、宝飾品である。宝飾品100は、例えば、ペンダント、ブレスレット、ネックレス、ブローチ、或いは女性又は男性が身につける小さな装飾品の他のタイプであってもよい。
【0011】
例示的な実施形態では、発電装置100は、オルゴールである。オルゴール100は、楽曲の演奏が可能な機械式オルゴールの電子版であってもよい。
【0012】
例示的な実施形態では、発電装置100は、記念品である。記念品100は、土産物、像、又は別の種類の記念品であってもよく、典型的には、例えば、壁又は天井から吊されて、或いはマントルピース(mantelpiece)、本棚、又は机の上などに置かれて、自宅又はオフィスで視界に入るように保管される。
【0013】
例示的な実施形態では、発電装置100は、ユーザ識別装置である。ユーザ識別装置100は、コンピュータシステム、銀行システム、物理的アクセス制御システム、又は強力なユーザ識別及び認証を必要とする別のタイプのシステムに対するユーザの同一性を確認するために、ユーザ認証装置と相互作用してもよい。
【0014】
図2~
図8も同時に参照しながら、宝飾品100の更なる例示的な実施形態を説明する。
【0015】
発電装置100は、3つの主要な構造、すなわち、機械モジュール110、電子モジュール130、及び設計されたハウジング150を備える。
【0016】
機械モジュール110は、ユーザから回転160を受け取るように構成されたインターフェース(interface)112を有する。
図2に示されるように、インターフェース112は、(着脱可能な)巻き鍵200を収容するように構成されてもよい。インターフェース112は、
図9A及び
図9Bに示すように、ユーザから回転160を受け取るオルゴール100の回転ノブ900、又は他の種類の手動操作可能な機構であってもよい。
【0017】
機械モジュール110は、複数の永久磁石116,118が埋め込まれるともに、円板形状の固定子132に隣接して回転するように構成された円板形状のフライホイール回転子114を有する。
【0018】
円板形状のフライホイール回転子114は、回転子とフライホイールとを統合した一体構造である。円板形状のフライホイール回転子114は、例えば、鋳造又は機械加工などによって製造されてもよい。永久磁石116,118は、固定、接着、及び/又は締まり嵌めによって、円板形状のフライホイール回転子114に埋め込まれてもよい。フライホイールの機能は、回転エネルギを効率的に蓄えることである。これは、フライホイールが、フライホイールの慣性モーメントにより回転速度の変化に抵抗することによって達成される。フライホイールの機能は、例えば、1分未満の適度な長さのオーディオトラックを記録し、後で生成された電気エネルギ170で再生することができるように構成される。従って、フライホイールは、例えば、1分間回転してもよい。フライホイール回転子114は、ワンウェイクラッチベアリング502を備えてもよい。
【0019】
円板形状のフライホイール回転子114は、鋼製のフライホイールと比較してより多くの回転エネルギを蓄えるために、タングステン(ウォルフラム)などの高密度金属で構成されてもよい。
【0020】
円板形状のフライホイール回転子114は、複数の永久磁石116,118を収容する複数の空洞部600,602を有してもよい。このようにすれば、回転子-固定子構造の総厚さを最小限に抑えることができる。
【0021】
機械モジュール110は、インターフェース112及び円板形状のフライホイール回転子114に接続されるとともに、回転160の速度を増加させるように構成された歯車部120を有する。ユーザは、例えば、毎分10回転から100回転の間のような比較的低い速度で回転160を提供することができる。しかし、歯車部120は、例えば、毎分5000回転など、回転160の速度をかなり増加させてもよい。歯車部120を保護するために、トルクリミッタ/クラッチを使用してもよい。円板形状のフライホイール回転子114及び歯車部120は、フレーム500に組み込まれてもよい。
【0022】
電子モジュール130は、複数のコイル134,136が埋め込まれた円板形状の固定子132を有する。電子モジュール130は、円板形状のフライホイール回転子114の回転の間に電子モジュール130に電力を供給するための電気エネルギ170を生成するように、円板形状のフライホイール回転子114に隣接して配置されて構成される。
【0023】
複数の永久磁石116,118が埋め込まれた円板形状のフライホイール回転子114及び複数のコイル134,136が埋め込まれた円板形状の固定子132は、電気エネルギ170を生成するために電磁誘導を採用する発電装置を実現している。
【0024】
図3に示されるように、円板形状のフライホイール回転子114及び円板形状の固定子132は、互いに重なるように構成及び配置されてもよい。複数のコイル134,136は、円板形状の固定子132の外周に直列及び/又は並列に配置されてもよく、永久磁石116,118は、円板形状のフライホイール回転子114の外周に同様に配置されてもよい。永久磁石116,118は、隣接する永久磁石116,118が常に反対の極を隣に並べるように配置してもよい。すなわち、第1の磁石116は、そのS極を外周に向けるのに対して、第2の磁石118は、N極を外周に向けてもよい。
【0025】
永久磁石116,118は、永久磁石116,118の大きさに対して磁力が高くなるように、ネオジム磁石であってもよい。
【0026】
電子モジュール130は、マイクロホン138、不揮発性メモリ140、及びスピーカ142を有する。
【0027】
マイクロホン138は、MEMSタイプであってもよく、その出力タイプは、デジタル(PDM)であり、オーディオアンプのステージを回避するためにメインMCUに直接接続してもよい。
【0028】
スピーカ142は、(人の音声の周波数に)帯域幅が制限されるように構成され、その音声出力が10cm以上15cm以下の距離の範囲で容易に聞こえるように設計されてもよい。これにより、ユーザは、宝飾品100を耳付近に配置することにより音声182を聞くことができる。このように使用することで、電子モジュール130は、少量の電気エネルギ170で機能することができる。高効率のオーディオコーデック/ヘッドホンアンプは、例えば、Cirrus Logic社製CS42L4などのヘッドホンアンプの効率を高めるための内蔵チャージポンプを必要としてもよい。スピーカ142は、高インピーダンス/高感度のスピーカであってもよく、或いは、PUI Audio社製AR01532MS-SC15-WP-Rなどの携帯電話で一般的に使用されるタイプの「IHF」(一体型ハンズフリー)であってもよい。スピーカ142の機械的設計は、最適な音声出力を得るために、前部及び後部の空洞を有することができる。
【0029】
例示的な実施形態では、電子モジュール130は、記録及び再生された音声が人の可聴範囲内にあり、人の声、動物の音、エンジンの音、自然の音、人工の音、及び音楽のいずれか1つ又は2つ以上を備えるように構成される。この例示的な実施形態は、上述したように宝飾品100で動作してもよいが、オルゴール100又は記念品100で動作してもよい。
【0030】
図9A及び9Bは、設計されたハウジング150及び回転ノブ900を備えたオルゴール100を示している。オルゴール100は、開閉可能な蓋902を備えてもよい。スピーカ142は、凹状の空洞部904又は空洞部906内に配置され、再生された音声を増幅してもよい。
【0031】
例示的な実施形態では、電子モジュール130は、記録及び再生された音声が人の可聴範囲外にあり、外部のユーザ認証装置1000に出力される変更された周波数範囲の人の声を備えるように構成される。すなわち、スピーカ142は、人の声の周波数及び人の可聴範囲の外側に帯域幅が制限されるように構成されてもよい。この例示的な実施形態は、
図10に示したユーザ識別装置100で動作してもよい。ユーザの識別及び認証は、受信された音声を、記憶された音声と比較することに基づく。両者が一致する場合は認証が成功し、一致しない場合は認証が失敗する。この例示的な実施形態は、ユーザ識別装置100の不正使用を防ぐために、不揮発性メモリ140の厳重な暗号化などのセキュリティ機能を必要としてもよい。
【0032】
不揮発性メモリ140は、記録された音声180を記憶するための長期持続型メモリとして使用される。不揮発性メモリ140は、パワーサイクル(電源オフ及びオン)を繰り返した後でも、記録された音声180を取り出すことができる。ADPCM(適応差分パルス符号変調)アルゴリズムを使用して音声180をエンコードする場合、60秒の録音で4[bit]×60[秒]×16000[Hz](サンプルレート)=3.84[Mbit]のメモリ容量を消費する。
【0033】
電子モジュール130は、音声180をマイクロホン138で不揮発性メモリ140に記録し、不揮発性メモリ140からの音声182をスピーカ142で再生するように構成される。
【0034】
なお、電子モジュール130は、構成される動作を実行するために、必要な配線、1つ又は複数のマイクロコントローラユニット(MCU)、適応型オーディオアンプなどの他の部品を備えてもよい。ただし、100年の製品寿命を有するために、電池又は見込まれる寿命が100年未満の他の電子部品は備えていない。これは、電子モジュール130に電力を供給するための電気エネルギを、回転160の間のみ生成し、使用することによって達成される。このように、電気エネルギ170は、回転160の間にリアルタイムで使用され、後の使用のために貯蔵されない。当然のことながら、電子モジュール130の特性により、円板形状のフライホイール回転子114の回転が停止又は減速した後、電気エネルギ170を短時間使用することが可能である。
【0035】
ハードウェアの起動は、以下のように実行されてもよい。電子モジュール130は、2つのMCUを有してもよい。いわゆるブートMCUは、内部フラッシュメモリを有しておらず、ROMブートローダーのみを有する。ブートローダーは、外部のFRAM(登録商標)(強磁性RAM)からコードをロードする。FRAMには、ブートMCUのファームウェアとメインMCUのファームウェアとが記憶されている。ブートMCUが起動すると、メインMCUがリセットされ、SWDインターフェースを使用してメインMCURAMへのファームウェアのアップロードが開始される。メインMCUが起動し、FRAMが使用される。メインMCUの内部フラッシュは、データ保持時間が短いため、使用されない。電子モジュール130が十分な電力を検出している場合、電子モジュール130は、ユーザインターフェースモードに応じて、記録の開始、又は既存の音声記録の再生のいずれかを開始する。
【0036】
電子モジュール130は、音声180が満足な結果で記録されると、当該結果が書き込み保護されるように、すなわち、更なる記録が不可能になるように構成されてもよいが、ユーザは、記録された音声182を無数の回数だけ再生することができる。
【0037】
図8に示すように、円板形状の固定子132がプリント配線板144の側面に形成され、電子モジュール130の他の部品138,140,142がプリント配線板144の別の側面に固定されてもよい。それにより、回転子114と固定子132との間の距離は、最小化されてもよい。
【0038】
設計されたハウジング150は、機械モジュール110及び電子モジュール130を収容して保護するように構成される。ハウジング150は、貴金属、又は宝石などを有してもよいが、適切な緩衝材、又はシールなどを使用することで、耐衝撃性、防水性及び防塵性があるように構成される。ハウジング150は、装飾品100の美的及び装飾的な機能が満たされるという意味で(芸術家又は工業デザイナーによって)「設計」されてもよい。宝飾品100は、洗練されたメカニズムが、例えば、愛する人による音声の記録と再生とを可能にするにもかかわらず、美しいデザインを保持する。設計されたハウジング150の内部構造が、標準的な機械モジュール110及び電子モジュール130を収容するように寸法を設定されて構成される限り、設計されたハウジング150の外観は無限に変化してもよい。
図3に示すように、ハウジング150は、電子モジュール130を収容して保護するための内部構造300を有してもよい。
【0039】
要約すると、発電装置100は、音声180を記録して記憶することが可能で、後で、不揮発性メモリ140から音声182を再生することが可能である。
【0040】
例示的な実施形態では、歯車部120は、ユーザから回転160を受け取る間のみ動作し、その後、円板形状のフライホイール回転子114のみが回転するように構成される。歯車部120は、ノイズを引き起こす可能性があるため、音声を記録又は再生する前に歯車部120の動作を停止することが望ましい。電子モジュール130は、円板形状のフライホイール回転子114のみが回転する間に音声180の記録を開始するように構成されてもよい。電子モジュール130は、円板形状のフライホイール回転子114のみが回転する間に音声182の再生を開始するように構成されてもよい。これには、回転160が停止したことを気付かせる機構が実装されてもよい。
【0041】
例示的な実施形態では、インターフェース112は発電装置100の一側部にあり、マイクロホン138及びスピーカ142は発電装置100の他の側部にある。これは、別個の機能、エネルギ生成、及び記録/再生が異なる側面にあるため、設計及び使用を簡易化することができる。
【0042】
例示的な実施形態では、歯車部120は、設計されたハウジング150の透明ガラス152に取り付けられている。透明ガラス152は、ユーザによる歯車部120及び円板形状のフライホイール回転子114の観察を可能にする。このような観察は、審美的に満足するものであると同時に、機械モジュール110の適切な使用及び機能に関するフィードバックをユーザに与えるものである。
【0043】
例示的な実施形態では、機械モジュール110は、空所190によって電子モジュール130から分離される。空所190は、寿命の期待値を増加させるために、機械と電子部品とを分離するのに役立つ。事実上、機械モジュール110から電子モジュール130へのガルバニック(galvanic)接続はないが、最高の発電効率のために、フライホイール回転子114から固定子132までの距離は、できるだけ小さくする必要がある。
【0044】
技術の進歩に伴い、本発明の概念を様々な方法で実施できることは、当業者にとって明らかである。本発明及びその実施形態は、上述した例示的な実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内で変更することができるものである。