(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-08
(45)【発行日】2024-03-18
(54)【発明の名称】発光素子溶媒、それを含む発光素子インクおよび表示装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 33/48 20100101AFI20240311BHJP
H01L 33/62 20100101ALI20240311BHJP
H01L 33/02 20100101ALI20240311BHJP
C09D 11/033 20140101ALI20240311BHJP
C09D 11/36 20140101ALI20240311BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20240311BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20240311BHJP
G09F 9/33 20060101ALI20240311BHJP
【FI】
H01L33/48
H01L33/62
H01L33/02
C09D11/033
C09D11/36
G09F9/00 338
G09F9/30 349Z
G09F9/33
(21)【出願番号】P 2021546386
(86)(22)【出願日】2020-01-30
(86)【国際出願番号】 KR2020001395
(87)【国際公開番号】W WO2020166853
(87)【国際公開日】2020-08-20
【審査請求日】2022-12-06
(31)【優先権主張番号】10-2019-0015722
(32)【優先日】2019-02-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】512187343
【氏名又は名称】三星ディスプレイ株式會社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Display Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】1, Samsung-ro, Giheung-gu, Yongin-si, Gyeonggi-do, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110002619
【氏名又は名称】弁理士法人PORT
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,ジェ フン
(72)【発明者】
【氏名】ホン,ヘ ジョン
【審査官】右田 昌士
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0175104(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第108206228(CN,A)
【文献】特開2008-260073(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0019377(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0138549(US,A1)
【文献】特開2006-241383(JP,A)
【文献】特開2003-268042(JP,A)
【文献】特開2015-004957(JP,A)
【文献】特開2016-074873(JP,A)
【文献】特開2001-098197(JP,A)
【文献】特開昭51-090386(JP,A)
【文献】特表2017-509779(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107706217(CN,A)
【文献】特表2020-512419(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0153371(US,A1)
【文献】特開2010-067543(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0120469(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0127977(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00 ー 33/64
H01S 5/00 - 5/50
G09F 9/00
G09F 9/30 - 9/33
C09D 11/00 - 11/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極および第2電極が形成された対象基板上に第1素子溶媒および前記第1素子溶媒内に分散した発光素子を含む素子インクを噴射するステップ;
前記第1素子溶媒が有する分子構造の異性体構造を有する第2素子溶媒を形成し、前記第1電極および前記第2電極上に前記発光素子を定着させるステップ;および
前記第2素子溶媒を除去するステップを含
み、
前記発光素子は、無機発光ダイオードであり、
前記第1素子溶媒は、
下記化学構造式1で表される第1官能基および第2官能基;および
異性体構造を有する少なくとも一つの二重結合を含み、前記第1官能基と前記第2官能基が結合された第3官能基を含み、
前記発光素子を定着させるステップで、第2素子溶媒の粘度は前記第1素子溶媒の粘度より小さい値を有する、表示装置の製造方法。
[化学構造式1]
【化1】
(前記化学構造式1において、前記nは1~5の整数であり、前記R
3
はC
1
-C
5
のアルキル基、C
2
-C
5
のアルケニル基、C
2
-C
5
のアルキニル基、C
1
-C
5
のアルキルエーテル基、C
2
-C
5
のアルケニルエーテル基およびC
2
-C
5
のアルキルエステル基のいずれか一つである。)
【請求項2】
前記第1素子溶媒は、前記第3官能基が、前記二重結合が照射される光によってシス-トランス異性化反応して前記第2素子溶媒を形成する、請求項
1に記載の表示装置の製造方法。
【請求項3】
前記第1素子溶媒は、下記化学構造式2~4で表される化合物の少なくともいずれか一つを含む、請求項
2に記載の表示装置の製造方法。
[化学構造式2]
【化2】
[化学構造式3]
【化3】
[化学構造式4]
【化4】
(前記化学構造式2~4において、前記R
1およびR
2は前記化学構造式1で表され、前記化学構造式1において、前記R
1のn値(n1)とR
2のn値(n2)の合計は2~6の範囲を有する。)
【請求項4】
前記第1素子溶媒は、下記化学構造式7~9で表される少なくともいずれか一つを含む、請求項
3に記載の表示装置の製造方法。
[化学構造式7]
【化5】
[化学構造式8]
【化6】
[化学構造式9]
【化7】
【請求項5】
前記第1素子溶媒は、前記第3官能基が、前記二重結合が電子環化反応して前記第2素子溶媒を形成する、請求項
1に記載の表示装置の製造方法。
【請求項6】
前記第1素子溶媒は、下記化学構造式5および6で表される化合物の少なくともいずれか一つを含む、請求項
5に記載の表示装置の製造方法。
[化学構造式5]
【化8】
[化学構造式6]
【化9】
(前記化学構造式5および6において、前記R
1およびR
2は前記化学構造式1で表され、前記化学構造式1において、前記R
1のn値(n1)とR
2のn値(n2)の合計は2~6の範囲を有する。)
【請求項7】
前記第1素子溶媒は粘度が7cp~15cpの範囲を有し、
前記第2素子溶媒は、粘度が5cp以下である、請求項
1に記載の表示装置の製造方法。
【請求項8】
前記発光素子を定着させるステップは、
前記第2素子溶媒上に電界を形成するステップ;および
前記電界により前記発光素子の配向方向が整列されるステップを含む、請求項1に記載の表示装置の製造方法。
【請求項9】
前記発光素子は、一方向に延びた形状を有し、
前記発光素子が延びた前記一方向と、前記第1電極および前記第2電極が延びた方向がなす鋭角は88°~90°の範囲を有する、請求項
8に記載の表示装置の製造方法。
【請求項10】
半導体結晶を含む発光素子が分散する発光素子溶媒であって、
前記発光素子溶媒は、下記化学構造式1で表される第1官能基および第2官能基;および
異性体構造を有する少なくとも一つの二重結合を含み、前記第1官能基および前記第2官能基が結合された第3官能基を含み、
下記化学構造式2~6で表される化合物の少なくともいずれか一つを含
み、
前記発光素子は、無機発光ダイオードであり、
前記発光素子溶媒は前記第3官能基を含む第1素子溶媒を形成し、
前記第1素子溶媒は、前記第3官能基が異性化反応して粘度が低い第2素子溶媒を形成する、発光素子溶媒。
[化学構造式1]
【化10】
(前記化学構造式1において、前記nは1~5の整数であり、前記R
3はC
1-C
5のアルキル基、C
2-C
5のアルケニル基、C
2-C
5のアルキニル基、C
1-C
5のアルキルエーテル基、C
2-C
5のアルケニルエーテル基およびC
2-C
5のアルキルエステル基のいずれか一つである。)
[化学構造式2]
【化11】
[化学構造式3]
【化12】
[化学構造式4]
【化13】
[化学構造式5]
【化14】
[化学構造式6]
【化15】
(前記化学構造式2~6において、前記R
1およびR
2は前記化学構造式1で表され、前記化学構造式1において、前記R
1のn値(n1)とR
2のn値(n2)の合計は2~6の範囲を有する。)
【請求項11】
前記発光素子溶媒は、下記化学構造式7~11で表される化合物の少なくともいずれか一つを含む、請求項
10に記載の発光素子溶媒。
[化学構造式7]
【化16】
[化学構造式8]
【化17】
[化学構造式9]
【化18】
[化学構造式10]
【化19】
[化学構造式11]
【化20】
【請求項12】
前記発光素子溶媒は、前記化学構造式7~9で表される化合物の少なくともいずれか一つを含み、
前記第3官能基は、シス-トランス異性化反応して前記第2素子溶媒を形成する、請求項
11に記載の発光素子溶媒。
【請求項13】
前記発光素子溶媒は、前記化学構造式10および11で表される化合物の少なくともいずれか一つを含み、
前記第3官能基は、電子環化反応して前記第2素子溶媒を形成する、請求項
11に記載の発光素子
溶媒。
【請求項14】
半導体結晶および前記半導体結晶の外周面を囲む絶縁膜を含む発光素子;および
少なくとも一つの前記発光素子が分散した発光素子溶媒を含み、
前記発光素子溶媒は、
下記化学構造式1で表される第1官能基および第2官能基;および
異性体構造を有する少なくとも一つの二重結合を含み、前記第1官能基および前記第2官能基が結合された第3官能基を含み、
下記化学構造式2~6で表される化合物の少なくともいずれか一つを含
み、
前記発光素子は、無機発光ダイオードであり、
前記発光素子溶媒は、前記第3官能基を含む第1素子溶媒を形成し、
前記第1素子溶媒は、前記第3官能基が異性化反応して粘度が低い第2素子溶媒を形成する、発光素子インク。
[化学構造式1]
【化21】
(前記化学構造式1において、前記nは1~5の整数であり、前記R
3はC
1-C
5のアルキル基、C
2-C
5のアルケニル基、C
2-C
5のアルキニル基、C
1-C
5のアルキルエーテル基、C
2-C
5のアルケニルエーテル基およびC
2-C
5のアルキルエステル基のいずれか一つである。)
[化学構造式2]
【化22】
[化学構造式3]
【化23】
[化学構造式4]
【化24】
[化学構造式5]
【化25】
[化学構造式6]
【化26】
(前記化学構造式2~6において、前記R
1およびR
2は前記化学構造式1で表され、前記化学構造式1において、前記R
1のn値(n1)とR
2のn値(n2)の合計は2~6の範囲を有する。)
【請求項15】
前記発光素子溶媒は、下記化学構造式7~11で表される化合物の少なくともいずれか一つを含む、請求項
14に記載の発光素子インク。
[化学構造式7]
【化27】
[化学構造式8]
【化28】
[化学構造式9]
【化29】
[化学構造式10]
【化30】
[化学構造式11]
【化31】
【請求項16】
前記半導体結晶は、
第1導電型にドーピングされた第1導電型半導体;
前記第1導電型と異なる極性を有する第2導電型にドーピングされた第2導電型半導体;および
前記第1導電型半導体と前記第2導電型半導体の間に形成される活性層を含む、請求項
15に記載の発光素子インク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子溶媒、それを含む発光素子インクおよび表示装置の製造方法に関する。より詳細には発光素子が分散し、粘度調節が可能な発光素子溶媒、それを含む発光素子インクおよび表示装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置はマルチメディアの発達と共にその重要性が増大している。これに応じて有機発光表示装置(Organic Light Emitting Display,OLED)、液晶表示装置(Liquid Crystal Display,LCD)などのような様々な種類の表示装置が使われている。
【0003】
表示装置の画像を表示する装置として有機発光表示パネルや液晶表示パネルのような表示パネルを含む。その中で、発光表示パネルとして、発光素子を含み得るが、例えば発光ダイオード(Light Emitting Diode,LED)の場合、有機物を蛍光物質として用いる有機発光ダイオード(OLED)、無機物を蛍光物質として用いる無機発光ダイオードなどがある。
【0004】
蛍光物質として無機物半導体を用いる無機発光ダイオードは高温の環境でも耐久性を有し、有機発光ダイオードに比べて青色光の効率が高い長所がある。また、既存の無機発光ダイオード素子の限界として指摘されていた製造工程においても、誘電泳動(Dielectrophoresis,DEP)法を用いた転写方法が開発された。これにより有機発光ダイオードに比べて耐久性および効率に優れた無機発光ダイオードに対する研究が継続されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、少なくとも一つの二重結合を含み、照射される光または熱によって異性化反応する官能基を含む発光素子溶媒およびそれを含む発光素子インクを提供することにある。
【0006】
また、本発明は、前記発光素子溶媒と、それに分散した発光素子を含む発光素子インクを用いた表示装置の製造方法を提供することにある。
【0007】
本発明の課題は、以上で言及した課題に限定されず、言及されていないもう一つの技術的課題は、以下の記載から当業者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための一実施形態による表示装置の製造方法は、第1電極および第2電極が形成された対象基板上に第1素子溶媒および前記第1素子溶媒内に分散した発光素子を含む素子インクを噴射するステップ、前記第1素子溶媒が有する分子構造の異性体構造を有する第2素子溶媒を形成し、前記第1電極および前記第2電極上に前記発光素子を定着させるステップおよび前記第2素子溶媒を除去するステップを含む。
【0009】
前記第1素子溶媒は、下記化学構造式1で表される第1官能基および第2官能基および異性体構造を有する少なくとも一つの二重結合を含み、前記第1官能基と前記第2官能基が結合された第3官能基を含んでもよい。
[化学構造式1]
【化1】
【0010】
前記化学構造式1において、前記nは1~5の整数であり、前記R3はC1-C5のアルキル基、C2-C5のアルケニル基、C2-C5のアルキニル基、C1-C5のアルキルエーテル基、C2-C5のアルケニルエーテル基およびC2-C5のアルキルエステル基のいずれか一つである。
【0011】
前記第1素子溶媒は、前記第3官能基が、前記二重結合が照射される光によってシス-トランス異性化反応して前記第2素子溶媒を形成してもよい。
【0012】
前記第1素子溶媒は下記化学構造式2~4で表される化合物の少なくともいずれか一つを含んでもよい。
[化学構造式2]
【化2】
[化学構造式3]
【化3】
[化学構造式4]
【化4】
前記化学構造式2~4において、前記R
1およびR
2は前記化学構造式1で表されるが、前記化学構造式1において、前記R
1のn値(n1)とR
2のn値(n2)の合計は2~6の範囲を有する。
【0013】
前記第1素子溶媒は下記化学構造式7~9で表される少なくともいずれか一つを含んでもよい。
[化学構造式7]
【化5】
[化学構造式8]
【化6】
[化学構造式9]
【化7】
【0014】
前記第1素子溶媒は、前記第3官能基が、前記二重結合が電子環化反応して前記第2素子溶媒を形成してもよい。
【0015】
前記第1素子溶媒は、下記化学構造式5および6で表される化合物の少なくともいずれか一つを含んでもよい。
[化学構造式5]
【化8】
[化学構造式6]
【化9】
前記化学構造式5および6において、前記R
1およびR
2は前記化学構造式1で表されるが、前記化学構造式1において、前記R
1のn値(n1)とR
2のn値(n2)の合計は2~6の範囲を有する。
【0016】
前記発光素子を定着させるステップで、第2素子溶媒の粘度は前記第1素子溶媒の粘度より小さい値を有してもよい。
【0017】
前記第1素子溶媒は粘度が7cp~15cpの範囲を有し、前記第2素子溶媒は粘度が5cp以下であってもよい。
【0018】
前記発光素子を定着させるステップは、前記第2素子溶媒上に電界を形成するステップおよび前記電界により前記発光素子の配向方向が整列されるステップを含んでもよい。
【0019】
前記発光素子は、一方向に延びた形状を有し、前記発光素子が延びた前記一方向と前記第1電極および前記第2電極が延びた方向がなす鋭角は88°~90°の範囲を有してもよい。
【0020】
前記課題を解決するための一実施形態による発光素子溶媒は、半導体結晶を含む発光素子が分散する発光素子溶媒であって、前記発光素子溶媒は前記化学構造式1で表される第1官能基および第2官能基および異性体構造を有する少なくとも一つの二重結合を含み、前記第1官能基および前記第2官能基が結合された第3官能基を含み、前記化学構造式2~6で表される化合物の少なくともいずれか一つを含む。
【0021】
前記発光素子溶媒は、前記第3官能基を含む第1素子溶媒を形成し、前記第1素子溶媒は、前記第3官能基が異性化反応して粘度が低い第2素子溶媒を形成してもよい。
【0022】
前記発光素子溶媒は、前記化学構造式7~11で表される化合物の少なくともいずれか一つを含んでもよい。
【0023】
前記発光素子溶媒は、前記化学構造式7~9で表される化合物の少なくともいずれか一つを含み、前記第3官能基は、シス-トランス異性化反応して前記第2素子溶媒を形成してもよい。
【0024】
前記発光素子溶媒は、前記化学構造式10および11で表される化合物の少なくともいずれか一つを含み、前記第3官能基は、電子環化反応して前記第2素子溶媒を形成してもよい。
【0025】
前記課題を解決するための一実施形態による発光素子インクは、半導体結晶および前記半導体結晶の外周面を囲む絶縁膜を含む発光素子および少なくとも一つの前記発光素子が分散した発光素子溶媒を含み、前記発光素子溶媒は、前記化学構造式1で表される第1官能基および第2官能基および異性体構造を有する少なくとも一つの二重結合を含み、前記第1官能基および前記第2官能基が結合された第3官能基を含み、前記化学構造式2~6で表される化合物の少なくともいずれか一つを含む。
【0026】
前記発光素子溶媒は、前記化学構造式7~11で表される化合物の少なくともいずれか一つを含んでもよい。
【0027】
前記発光素子溶媒は、前記第3官能基を含む第1素子溶媒を形成し、前記第1素子溶媒は、前記第3官能基が異性化反応して粘度が低い第2素子溶媒を形成してもよい。
【0028】
前記半導体結晶は、第1導電型にドーピングされた第1導電型半導体、前記第1導電型と異なる極性を有する第2導電型にドーピングされた第2導電型半導体および前記第1導電型半導体と前記第2導電型半導体の間に形成される活性層を含んでもよい。
【0029】
その他実施形態の具体的な内容は、詳細な説明および図面に含まれている。
【発明の効果】
【0030】
一実施形態による発光素子溶媒は、少なくとも一つの異性体を有する官能基を含み、照射される光または熱によって異性化反応して粘度が低くなることができる。そのため発光素子インクに含まれた発光素子は、粘度が低くなった発光素子溶媒内に分散することができる。
【0031】
また、一実施形態による表示装置の製造方法は、発光素子が分散した発光素子溶媒を用いて、粘度が低くなった状態で発光素子を配置する工程を行うことによって電極上に配置された発光素子の整列度が改善された表示装置を製造することができる。
【0032】
実施形態による効果は、以上で例示した内容によって限定されず、より多様な効果が本明細書内に含まれている。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図2】
図1のI-I’線に沿って切断した断面図である。
【
図3】一実施形態による表示装置の概略的な断面図である。
【
図4】他の実施形態による発光素子の概略図である。
【
図5】一実施形態による素子インクを示す概略図である。
【
図8】一実施形態による表示装置の製造方法を示すフローチャートである。
【
図9】一実施形態による表示装置の製造方法の一部を示す断面図である。
【
図10】一実施形態による表示装置の製造方法の一部を示す断面図である。
【
図11】一比較例による素子溶媒内に分散した発光素子が電極上に配置されることを示す概略図である。
【
図12】一比較例による素子溶媒内に分散した発光素子が電極上に配置されることを示す概略図である。
【
図13】一比較例による素子溶媒内に分散した発光素子が電極上に配置されることを示す概略図である。
【
図14】一比較例による素子溶媒が除去された状態を示す平面図である。
【
図15】一比較例による素子溶媒が除去された状態を示す断面図である。
【
図16】一実施形態による第2素子溶媒を形成するステップを示す概略図である。
【
図17】一実施形態による素子溶媒内に分散した発光素子が電極上に配置されることを示す概略図である。
【
図18】一実施形態による素子溶媒内に分散した発光素子が電極上に配置されることを示す概略図である。
【
図19】一実施形態による素子溶媒内に分散した発光素子が電極上に配置されることを示す概略図である。
【
図20】一実施形態による第2素子溶媒を除去するステップを示す断面図である。
【
図21】一実施形態による発光素子が整列されたことを示す平面図である。
【
図22】他の実施形態による表示装置の製造方法の一部を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明の利点および特徴、並びにこれらを達成する方法は添付する図面と共に詳細に後述されている実施形態を参照すると明確になる。しかし、本発明は、以下で開示する実施形態に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で実現することができ、本実施形態は、単に本発明の開示を完全にし、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供するものであり、本発明は請求項の範疇によってのみ定義される。
【0035】
素子(elements)または層が他の素子または層の「上(on)」と称する場合、他の素子のすぐ上または中間に他の層または他の素子が介在する場合をすべて含む。明細書全体にわたって同一参照符号は同一構成要素を称する。
【0036】
第1、第2などが多様な構成要素を叙述するために使われるが、これらの構成要素はこれらの用語によって限定されないのはもちろんである。これらの用語は単に一つの構成要素を他の構成要素と区別するために使用する。したがって、以下で言及する第1構成要素は本発明の技術的思想内で第2構成要素であり得ることはもちろんである。
【0037】
以下、添付する図面を参照して実施形態について説明する。
【0038】
図1は一実施形態による表示装置の平面図である。
図2は
図1のI-I’線に沿って切断した断面図である。
【0039】
図1および
図2を参照すると、表示装置1は複数の画素PXを含んでもよい。画素PXそれぞれは特定波長帯の光を放出する発光素子30を一つ以上含んで特定の色を表示してもよい。
【0040】
複数の画素PXそれぞれは、第1サブ画素PX1、第2サブ画素PX2および第3サブ画素PX3を含んでもよい。第1サブ画素PX1は第1色の光を発光し、第2サブ画素PX2は第2色の光を発光し、第3サブ画素PX3は第3色の光を発光する。第1色は赤色、第2色は緑色、第3色は青色であり得るが、これに限定されず、各サブ画素PXnが同じ色の光を発光することもできる。また、
図1では画素PXそれぞれが3個のサブ画素を含む場合を例示したが、これに限定されず、画素PXそれぞれはより多くの数のサブ画素を含んでもよい。
【0041】
一方、本明細書で各構成要素を指す「第1」、「第2」などが使われるが、これは前記構成要素を単に区別するために使われ、必ずしも該当構成要素を意味するものではない。すなわち、第1、第2などと定義された構成が必ずしも特定構造または位置に限定される構成ではなく、場合によっては他の番号が付与されてもよい。したがって、各構成要素に付与された番号は図面および以下の叙述により説明され得、以下で言及される第1構成要素は本発明の技術的思想内で第2構成要素であり得ることはもちろんである。
【0042】
表示装置1の各サブ画素PXnは表示領域および非表示領域と定義される領域を含んでもよい。表示領域は表示装置1に含まれる発光素子30が配置されて特定波長帯の光が表示される領域で定義される。非表示領域は表示領域以外の領域であり、発光素子30が配置されず光が放出されない領域で定義することができる。
【0043】
表示装置1のサブ画素PXnは複数の隔壁40、複数の電極21、22および発光素子30を含んでもよい。
【0044】
複数の電極21、22は発光素子30と電気的に接続され、発光素子30が発光するように所定の電圧の印加を受けてもよい。また、各電極21、22の少なくとも一部は発光素子30を整列するために、サブ画素PXn内に電場を形成するのに活用することができる。
【0045】
複数の電極21、22は第1電極21および第2電極22を含んでもよい。例示的な実施形態で、第1電極21はサブ画素PXnごとに分離した画素電極であり、第2電極22は各サブ画素PXnに沿って共通に接続された共通電極であってもよい。第1電極21と第2電極22のいずれか一つは発光素子30のアノード(Anode)電極であり、他の一つは発光素子30のカソード(Cathode)電極であってもよい。ただし、これに限定されず、その反対の場合もあり得る。
【0046】
第1電極21と第2電極22は、それぞれ第1方向D1に延びて配置される電極幹部21S、22Sと電極幹部21S、22Sで第1方向D1と交差する方向である第2方向D2に延びて分枝する少なくとも一つの電極枝部21B、22Bを含んでもよい。
【0047】
第1電極21は第1方向D1に延びて配置される第1電極幹部21Sと第1電極幹部21Sから分枝して、第2方向D2に延びる少なくとも一つの第1電極枝部21Bを含んでもよい。
【0048】
任意の一画素の第1電極幹部21Sは、各サブ画素PXnの間で離隔した両端を有するするが、同一行に属する(例えば、第1方向D1に隣接する)隣り合うサブ画素の第1電極幹部21Sと実質的に同一直線上に配置されてもよい。そのため、各サブ画素PXnに配置される第1電極幹部21Sは各第1電極枝部21Bに互いに異なる電気信号を印加してもよく、第1電極枝部21Bはそれぞれ別に駆動されてもよい。
【0049】
第1電極枝部21Bは第1電極幹部21Sの少なくとも一部から分枝し、第2方向D2に延びて配置されるが、第1電極幹部21Sに対向して配置される第2電極幹部22Sと離隔した状態で終結してもよい。
【0050】
第2電極22は第1方向D1に延びて第1電極幹部21Sと離隔して対向するように配置される第2電極幹部22Sと第2電極幹部22Sから分枝し、第2方向D2に延びて配置される第2電極枝部22Bを含んでもよい。ただし、第2電極幹部22Sは他端部が第1方向D1に隣接する複数のサブ画素PXnに延びてもよい。そのため、任意の一画素第2電極幹部22Sは両端が各画素PXの間で隣接する画素の第2電極幹部22Sに接続してもよい。
【0051】
第2電極枝部22Bは第1電極枝部21Bと離隔して対向し、第1電極幹部21Sと離隔した状態で終結してもよい。すなわち、第2電極枝部22Bは一端部が第2電極幹部22Sと接続され、他端部は第1電極幹部21Sと離隔した状態でサブ画素PXn内に配置されてもよい。
【0052】
図面では二つの第1電極枝部21Bが配置され、その間に第2電極枝部22Bが配置されたことを示しているが、これに限定されない。
【0053】
複数の隔壁40は各サブ画素PXn間の境界に配置される第3隔壁43、各電極21、22の下部に配置される第1隔壁41および第2隔壁42を含んでもよい。図面では第1隔壁41および第2隔壁42が示されていないが、第1電極枝部21Bと第2電極枝部22Bの下部にはそれぞれ第1隔壁41と第2隔壁42が配置されてもよい。
【0054】
第3隔壁43は各サブ画素PXn間の境界に配置されてもよい。複数の第1電極幹部21Sは各端部が第3隔壁43を基準に互いに離隔して終結してもよい。第3隔壁43は第2方向D2に延びて第1方向D1に配列されたサブ画素PXnの境界に配置されてもよい。ただし、これに限定されず、第3隔壁43は第1方向D1に延びて第2方向D2に配列されたサブ画素PXnの境界にも配置されてもよい。第3隔壁43は第1隔壁41および第2隔壁42と同じ材料を含んで実質的に同じ工程で形成されてもよい。
【0055】
図面には示していないが、各サブ画素PXnには、第1電極枝部21Bと第2電極枝部22Bを含んでサブ画素PXnを全面的に覆う第1絶縁層51が配置されてもよい。第1絶縁層51は、各電極21、22を保護すると同時にこれらが直接接触しないように相互絶縁させてもよい。
【0056】
第1電極枝部21Bと第2電極枝部22Bの間には複数の発光素子30が配置されてもよい。複数の発光素子30の少なくとも一部は、一端部が第1電極枝部21Bと電気的に接続され、他端部が第2電極枝部22Bと電気的に接続されてもよい。
【0057】
複数の発光素子30は第2方向D2に離隔し、実質的に互いに平行に配置されてもよい。発光素子30が離隔する間隔は特に限定されない。場合によっては、複数の発光素子30が隣接するように配置されてグループを形成し、他の複数の発光素子30は一定間隔離隔した状態でグループを形成してもよく、不均一な密集度を有するが、一方向に配向して配置されてもよい。
【0058】
第1電極枝部21Bと第2電極枝部22B上にはそれぞれコンタクト電極26が配置され得る。ただし、コンタクト電極26は実質的に第1絶縁層51上に配置され、コンタクト電極26の少なくとも一部が第1電極枝部21Bおよび第2電極枝部22Bと接触するかまたは電気的に接続されてもよい。
【0059】
複数のコンタクト電極26は第2方向D2に延びて配置され、第1方向D1に互いに離隔して配置されてもよい。コンタクト電極26は発光素子30の少なくとも一端部と接触していてもよく、コンタクト電極26は第1電極21または第2電極22と接触して電気信号の印加を受けてもよい。そのため、コンタクト電極26は各電極21、22から伝達される電気信号を発光素子30に伝達することができる。
【0060】
コンタクト電極26は第1コンタクト電極26aと第2コンタクト電極26bを含んでもよい。第1コンタクト電極26aは第1電極枝部21B上に配置され、発光素子30の一端部と接触して第2コンタクト電極26bは第2電極枝部22B上に配置され、発光素子30の他端部と接触してもよい。
【0061】
第1電極幹部21Sと第2電極幹部22Sはそれぞれコンタクトホール、例えば、第1電極コンタクトホールCNTDおよび第2電極コンタクトホールCNTSを介して表示装置1の回路素子層と電気的に接続されてもよい。図面には複数のサブ画素PXnの第2電極幹部22Sに一つの第2電極コンタクトホールCNTSが形成されたことを示している。ただし、これに限定されず、場合によっては、サブ画素PXnごとに第2電極コンタクトホールCNTSが形成されてもよい。
【0062】
また、図面には示していないが、表示装置1は各電極21、22および発光素子30の少なくとも一部を覆うように配置される第2絶縁層(52、
図2に図示)およびパッシベーション層(55、
図2に図示)を含んでもよい。以下では、
図1および
図2を参照して表示装置1の構造について詳しく説明する。
【0063】
図2は第1サブ画素PX1の断面図を示しているが、他の画素PXまたはサブ画素PXnの場合にも同様に適用することができる。
図2は任意の発光素子30の一端部と他端部を横切る断面を示す。
【0064】
一方、
図2には示していないが、表示装置1は各電極21、22の下部に位置する回路素子層をさらに含んでもよい。回路素子層は複数の半導体層および複数の導電パターンを含み、少なくとも一つのトランジスタと電源配線を含んでもよい。ただし、以下ではこれに係る詳しい説明は省略する。
【0065】
図2を参照して表示装置1について具体的に説明すると、表示装置1はビア層20とビア層20上に配置される電極21、22、発光素子30などを含んでもよい。ビア層20の下部には回路素子層(図示せず)がさらに配置されてもよい。ビア層20は有機絶縁物質を含んで表面平坦化機能を発現することができる。
【0066】
ビア層20上には複数の隔壁41、42、43が配置される。複数の隔壁41、42、43は各サブ画素PXn内で互いに離隔して配置されてもよい。複数の隔壁41、42、43はサブ画素PXnの中心部に隣接して配置された第1隔壁41および第2隔壁42、サブ画素PXn間の境界に配置された第3隔壁43を含んでもよい。
【0067】
第3隔壁43は表示装置1の製造の際に、インクジェットプリンティング装置を用いて素子インク1000を噴射する時、素子インク1000がサブ画素PXnの境界を越えないように遮断する機能を発現することができる。または、表示装置1が他の部材をさらに含む場合、第3隔壁43上に前記部材が配置されて、第3隔壁43がこれを支持する機能を発現することもできる。ただし、これに限定されるものではない。
【0068】
第1隔壁41と第2隔壁42は互いに離隔して対向するように配置される。第1隔壁41上には第1電極21が、第2隔壁42上には第2電極22が配置されてもよい。
図1および
図2では第1隔壁41上には第1電極枝部21Bが、第2隔壁42上には
第2電極枝部22Bが配置されているものと理解することができる。
【0069】
前述したように、第1隔壁41、第2隔壁42および第3隔壁43は実質的に同じ工程で形成してもよい。そのため、隔壁41、42、43は一つの格子型パターンをなすこともできる。複数の隔壁41、42、43はポリイミド(Polyimide,PI)を含んでもよい。
【0070】
複数の隔壁41、42、43はビア層20を基準に少なくとも一部が突出した構造を有してもよい。隔壁41、42、43は発光素子30が配置された平面を基準に上部に突出してもよく、前記突出した部分は少なくとも一部が傾斜を有してもよい。突出した構造の隔壁41、42、43の形状は特に限定されない。図面に示すように、第1隔壁41と第2隔壁42は同じ高さで突出するが、第3隔壁43はさらに高い位置まで突出した形状を有してもよい。
【0071】
第1隔壁41と第2隔壁42上には反射層21c、22cが配置され、反射層21c、22c上には電極層21d、22bが配置され得る。反射層21c、22cと電極層21d、22bはそれぞれ電極21、22を構成することができる。
【0072】
反射層21c、22cは、第1反射層21cと第2反射層22cを含む。第1反射層21cは第1隔壁41を覆い、第2反射層22cは第2隔壁42を覆ってもよい。反射層21c、22cの一部はビア層20を貫くコンタクトホールを介して回路素子層と電気的に接続される。
【0073】
反射層21c、22cは、反射率が高い物質を含んで発光素子30から放出される光を反射させることができる。一例として、反射層21c、22cは、銀(Ag)、銅(Cu)、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、ITZO(Indium Tin-Zinc Oxide)などのような物質を含んでもよく、これに限定されるものではない。
【0074】
電極層21d、22bは、第1電極層21dと第2電極層22dを含む。電極層21d、22bは、実質的に反射層21c、22cと同じパターンを有してもよい。第1反射層21cおよび第1電極層21dは、第2反射層22cおよび第2電極層22dと互いに離隔するように配置される。
【0075】
電極層21d、22bは透明導電性物質を含み、発光素子30から放出される光が反射層21c、22cに入射されてもよい。一例として、電極層21d、22bは、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、ITZO(Indium Tin-Zinc Oxide)などのような物質を含んでもよく、これに限定されるものではない。
【0076】
いくつかの実施形態で、反射層21c、22cと電極層21d、22bはITO、IZO、ITZOなどのような透明導電層と銀、銅のような金属層がそれぞれ一層以上積層された構造をなすことができる。一例として、反射層21c、22cと電極層21d、22bはITO/銀(Ag)/ITO/IZOの積層構造を形成することもできる。
【0077】
一方、いくつかの実施形態で、第1電極21と第2電極22は一つの層に形成されてもよい。すなわち、反射層21c、22cと電極層21d、22bが一つの単一層に形成され、発光素子30に電気信号を伝達すると同時に光を反射することができる。一例として、第1電極21および第2電極22は、反射率が高い導電性物質としてアルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、ランタン(La)などを含む合金であってもよい。ただし、これに限定されるものではない。
【0078】
第1絶縁層51は、第1電極21と第2電極22を部分的に覆うように配置される。第1絶縁層51は第1電極21と第2電極22の上面を殆ど覆うように配置されるが、第1電極21と第2電極22の一部を露出させることができる。第1絶縁層51は、第1電極21と第2電極22が離隔した領域と、第1電極21および第2電極22の前記領域の反対側も部分的に覆うように配置されてもよい。
【0079】
第1絶縁層51は、第1電極21と第2電極22の比較的平坦な上面が露出するように配置され、各電極21、22が第1隔壁41と第2隔壁42の傾斜した側面と重なるように配置される。第1絶縁層51は、発光素子30が配置されるように平坦な上面を形成し、前記上面が第1電極21と第2電極22に向かって一方向に延びる。第1絶縁層51の前記延びた部分は、第1電極21と第2電極22の傾斜した側面で終結する。そのため、コンタクト電極26は、前記露出した第1電極21および第2電極22と接触し、第1絶縁層51の平坦な上面で発光素子30と円滑に接触することができる。
【0080】
第1絶縁層51は、第1電極21と第2電極22を保護すると同時にこれらを相互に絶縁させることができる。また、第1絶縁層51上に配置される発光素子30が他の部材と直接接触して損傷することを防止することもできる。
【0081】
発光素子30は、第1絶縁層51上に配置されてもよい。図面では発光素子30が第1絶縁層51上に配置された場合が示されている。発光素子30は、第1電極21と第2電極22の間の第1絶縁層51上に少なくとも一つ配置されてもよい。発光素子30は、ビア層20に水平な方向に複数の層が配置されてもよい。
【0082】
一実施形態による表示装置1の発光素子30は、上述した導電型半導体と活性層を含み、これらはビア層20に水平な方向に順次配置され得る。図面に示すように、発光素子30は、第1導電型半導体31、活性層33、第2導電型半導体32および導電性電極層37がビア層20に水平な方向に順次配置され得る。ただし、これに限定されない。発光素子30の複数の層が配置された順序は、反対方向であってもよく、場合によっては、発光素子30が他の構造を有する場合、複数の層はビア層20に垂直な方向に配置されてもよい。
【0083】
第2絶縁層52は、発光素子30上に部分的に配置されてもよい。第2絶縁層52は、発光素子30を保護すると同時に、表示装置1の製造工程で発光素子30を固定させる機能を発現することもできる。第2絶縁層52は、発光素子30の外面を囲むように配置されてもよい。すなわち、第2絶縁層52の材料の一部は、発光素子30の下面と第1絶縁層51の間に配置されてもよい。第2絶縁層52は、平面上第1電極枝部21Bと第2電極枝部22Bの間で第2方向D2に延びて島状または線状の形状を有することができる。
【0084】
コンタクト電極26は、各電極21、22および第2絶縁層52上に配置される。第1コンタクト電極26aと第2コンタクト電極26bは、第2絶縁層52上で互いに離隔して配置される。そのため、第2絶縁層52は、第1コンタクト電極26aと第2コンタクト電極26bを相互絶縁させることができる。
【0085】
第1コンタクト電極26aは、少なくとも第1絶縁層51がパターニングされて露出した第1電極21および発光素子30の一端部と接触してもよい。第2コンタクト電極26bは、少なくとも第1絶縁層51がパターニングされて露出した第2電極22および発光素子30の他端部と接触してもよい。第1および第2コンタクト電極26a、26bは、発光素子30の両端部の側面、例えば第1導電型半導体31、第2導電型半導体32または導電性電極層37にそれぞれ接触してもよい。前述したように、第1絶縁層51は、平坦な上面を形成することによって、コンタクト電極26が発光素子30の側面に円滑に接触することができる。
【0086】
コンタクト電極26は、伝導性物質を含み得る。例えば、ITO、IZO、ITZO、アルミニウム(Al)などを含んでもよい。ただし、これに限定されるものではない。
【0087】
パッシベーション層55は第2絶縁層52およびコンタクト電極26の上部に配置される。パッシベーション層55は、ビア層20上に配置される部材を外部環境に対して保護する機能を有してもよい。
【0088】
上述した第1絶縁層51、第2絶縁層52およびパッシベーション層55それぞれは、無機絶縁性物質または有機絶縁性物質を含んでもよい。例示的な実施形態で、第1絶縁層51およびパッシベーション層55は、シリコン酸化物(SiOx)、シリコン窒化物(SiNx)、シリコン酸窒化物(SiOxNy)、酸化アルミニウム(Al2O3)、窒化アルミニウム(AlN)などのような物質を含んでもよい。第2絶縁層52は、有機絶縁性物質として、フォトレジストなどを含んでもよい。ただし、これに限定されるものではない。
【0089】
【0090】
発光素子30は発光ダイオード(Light Emitting diode)であってもよく、具体的には、発光素子30はマイクロメータ(micro-meter)またはナノメータ(nano-meter)単位の大きさを有し、無機物からなる無機発光ダイオードであってもよい。無機発光ダイオードは、互いに対向する二つの電極の間に特定方向に電界を形成すると極性が形成される前記二つの電極の間に配置することができる。発光素子30は、二つの電極上に形成された電界によって電極の間に配置することができる。
【0091】
発光素子30は、一方向に延びた形状を有することができる。発光素子30は、ナノロ
ッド、ナノワイヤ、ナノチューブなどの形状を有することができる。例示的な実施形態で、発光素子30は、円筒形またはロッド形(rod)であってもよい。ただし、発光素子30の形態はこれに限定されるものではなく、正六面体、直六面体、六角柱型など、多様な形態を有することができる。後述する発光素子30に含まれる複数の半導体は前記一方向に沿って順次配置されたり、積層された構造を有することができる。
【0092】
発光素子30は、任意の導電型(例えば、p型またはn型)不純物でドーピングされた半導体結晶を含んでもよい。半導体結晶は外部の電源から印加される電気信号を伝達され、これを特定の波長帯の光で放出することができる。
【0093】
一実施形態による発光素子30は、特定の波長帯の光を放出することができる。例示的な実施形態で、活性層33から放出される光は、中心波長帯域が450nm~495nmの範囲を有する青色(Blue)光を放出することができる。ただし、青色(Blue)光の中心波長帯域は上述した範囲に限定されるものではなく、本技術分野で青色と認識され得る波長範囲をすべて含むものとして理解しなければならない。また、発光素子30の活性層33から放出される光はこれに限定されず、中心波長帯域が495nm~570nmの範囲を有する緑色(Green)光または中心波長帯域が620nm~750nmの範囲を有する赤色(Red)光であってもよい。
【0094】
一方、一実施形態による発光素子30は、第1導電型半導体31、第2導電型半導体32、活性層33および絶縁膜38を含んでもよい。また、一実施形態による発光素子30は、少なくとも一つの導電性電極層37をさらに含むこともできる。
図3では、発光素子30が一つの導電性電極層37をさらに含む場合を示しているが、これに限定されない。場合によって、発光素子30は、より多くの数の導電性電極層37を含むか、または省略することもできる。後述する発光素子30に係る説明は、導電性電極層37の数が変わるか、または他の構造をさらに含んでも同様に適用することができる。
【0095】
図3を参照すると、第1導電型半導体31は、第1導電型を有する、例えばn型半導体であってもよい。一例として、発光素子30が青色波長帯の光を放出する場合、第1導電型半導体31は、Al
xGa
yIn
1-x-yN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)の化学式を有する半導体材料を含んでもよい。例えば、n型にドーピングされたAlGaInN、GaN、AlGaN、InGaN、AlNおよびInNのいずれか一つ以上であってもよい。第1導電型半導体
31は、第1導電性ドーパントがドーピングされてもよく、一例として、第1導電性ドーパントは、Si、Ge、Snなどであってもよい。例示的な実施形態で、第1導電型半導体31は、n型Siでドーピングされたn-GaNであってもよい。第1導電型半導体31の長さは、1.5μm~5μmの範囲を有することができるが、これに限定されるものではない。
【0096】
第2導電型半導体32は、後述する活性層33上に配置される。第2導電型半導体32は、第2導電型を有する、例えばp型半導体であってもよく、一例として、発光素子30が青色または緑色波長帯の光を放出する場合、第2導電型半導体32はAlxGayIn1-x-yN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)の化学式を有する半導体材料を含んでもよい。例えば、p型にドーピングされたAlGaInN、GaN、AlGaN、InGaN、AlNおよびInNのいずれか一つ以上であってもよい。第2導電型半導体32は、第2導電性ドーパントがドーピングされてもよく、一例として、第2導電性ドーパントは、Mg、Zn、Ca、Se、Baなどであってもよい。例示的な実施形態で、第2導電型半導体32は、p型Mgでドーピングされたp-GaNであってもよい。第2導電型半導体32の長さは、0.08μm~0.25μmの範囲を有することができるが、これに限定されるものではない。
【0097】
一方、図面では第1導電型半導体31と第2導電型半導体32が一つの層に構成された場合を示しているが、これに限定されるものではない。場合によっては、活性層33の物質によって第1導電型半導体31と第2導電型半導体32は、より多くの数の層、例えばクラッド層(clad layer)またはTSBR(Tensile strain barrier reducing)層をさらに含むこともできる。
【0098】
活性層33は、第1導電型半導体31と第2導電型半導体32の間に配置される。活性層33は、単一または多重量子井戸構造の物質を含んでもよい。活性層33が多重量子井戸構造の物質を含む場合、量子層(Quantum layer)と井戸層(Well layer)が交互に複数積層された構造であってもよい。活性層33は、第1導電型半導体31および第2導電型半導体32を介して印加される電気信号に応じて、電子-正孔ペアの結合によって発光することができる。一例として、活性層33が青色波長帯の光を放出する場合、AlGaN、AlGaInNなどの物質を含んでもよい。特に、活性層33が多重量子井戸構造で、量子層と井戸層が交互に積層された構造である場合、量子層はAlGaNまたはAlGaInN、井戸層はGaNまたはAlInNなどのような物質を含んでもよい。例示的な実施形態で、活性層33は量子層としてAlGaInNを、井戸層としてAlInNを含んで前述したように、活性層33は、中心波長帯域が450nm~495nmの範囲を有する青色(Blue)光を放出することができる。
【0099】
ただし、これに限定されるものではなく、活性層33は、バンドギャップ(Band gap)エネルギーが大きい種類の半導体物質とバンドギャップエネルギーが小さい半導体物質が交互に積層された構造であってもよく、発光する光の波長帯によって異なる3族~5族半導体物質を含むこともできる。活性層33が放出する光は青色波長帯の光に限定されず、場合によって赤色、緑色波長帯の光を放出することもできる。活性層33の長さは0.05μm~0.25μmの範囲を有することができるが、これに限定されるものではない。
【0100】
一方、活性層33から放出される光は、発光素子30の長手方向の外部面だけでなく、両側面に放出されてもよい。活性層33から放出される光は、一つの方向に方向性が限定されない。
【0101】
導電性電極層37はオーミック(Ohmic)コンタクト電極であってもよい。ただし、これに限定されず、ショットキー(Schottky)コンタクト電極であってもよい。導電性電極層37は、導電性がある金属を含んでもよい。例えば、導電性電極層37はアルミニウム(Al)、チタン(Ti)、インジウム(In)、金(Au)、銀(Ag)、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)およびITZO(Indium Tin-Zinc Oxide)の少なくともいずれか一つを含んでもよい。また、導電性電極層37はn型またはp型にドーピングされた半導体物質を含むこともできる。導電性電極層37は同じ物質を含んでもよく、互いに異なる物質を含むこともでき、これに限定されるものではない。
【0102】
絶縁膜38は、上述した複数の半導体の外面を囲むように配置される。例示的な実施形態で、絶縁膜38は少なくとも活性層33の外面を囲むように配置され、発光素子30が延びた一方向に延びてもよい。絶縁膜38は、前記部材を保護する機能を発現することができる。一例として、絶縁膜38は、前記部材の側面部を囲むように形成され、発光素子30の長手方向の両端部は、露出するように形成されることができる。
【0103】
図面では、絶縁膜38が発光素子30の長手方向に延びて第1導電型半導体31から導電性電極層37までカバーできるように形成された場合を示しているが、これに限定されない。絶縁膜38は、活性層33を含んで一部の導電型半導体の外面のみをカバーしたり、導電性電極層37外面の一部のみをカバーして導電性電極層37の一部外面が露出することもできる。
【0104】
絶縁膜38の厚さは、10nm~1.0μmの範囲を有することができるが、これに限定されるものではない。好ましくは、絶縁膜38の厚さは40nmであってもよい。
【0105】
絶縁膜38は、絶縁性を有する物質、例えば、シリコン酸化物(Silicon oxide、SiOx)、シリコン窒化物(Silicon nitride、SiNx)、酸窒化シリコン(SiOxNy)、窒化アルミニウム(Aluminum nitride、AlN)、酸化アルミニウム(Aluminum oxide、Al2O3)などを含んでもよい。そのため、活性層33が発光素子30に電気信号が伝達される電極と直接接触する場合に発生し得る電気的短絡を防止することができる。また、絶縁膜38は活性層33を含んで発光素子30の外面を保護するので、発光効率の低下を防止することができる。
【0106】
また、いくつかの実施形態で、絶縁膜38は外面が表面処理されてもよい。発光素子30は、表示装置1の製造の際に、所定のインク内で分散した状態で電極上に噴射されて配置されることができる。ここで、発光素子30が素子インク1000内で隣接する他の発光素子30と凝集せずに分散した状態を維持するために、絶縁膜38は表面が疎水性または親水性に処理されてもよい。
【0107】
一方、発光素子30は、長さlが1μm~10μmまたは2μm~6μmの範囲を有してもよく、好ましくは4μm~5μmの長さを有してもよい。また、発光素子30の直径は、300nm~700nmの範囲を有し、発光素子30の縦横比(Aspect ratio)は1.2~100であってもよい。ただし、これに限定されず、表示装置1に含まれる複数の発光素子30は、活性層33の組成差によって互いに異なる直径を有してもよい。好ましくは、発光素子30の直径は500nm前後の範囲を有することができる。
【0108】
一方、発光素子30の構造は
図3に示されたところに限定されず、他の構造を有することもできる。
【0109】
【0110】
図4を参照すると、発光素子30’は複数の層が一方向に積層されず、各層がいずれか他の層の外面を囲むように形成される。
図4の発光素子30’は各層の形状が一部相異することを除いては
図3の発光素子30と同様である。以下では同じ内容は省略して差異点について叙述する。
【0111】
一実施形態によれば、第1導電型半導体31’は一方向に延びて両端部が中心部に向かって傾斜するように形成されることができる。
図28の第1導電型半導体31’はロッド形または円筒形の本体部と、前記本体部の上部および下部にそれぞれ円錐形の端部が形成された形状であってもよい。前記本体部の上端部は下端部に比べてさらに急な傾斜を有することができる。
【0112】
活性層33’は、第1導電型半導体31’の前記本体部の外面を囲むように配置される。活性層33’は、一方向に延びた環状の形状を有することができる。活性層33’は、第1導電型半導体31’の上端部および下端部上には形成されない。すなわち、活性層33’は、第1導電型半導体31’の平行な側面にのみ接触してもよい。
【0113】
第2導電型半導体32’は、活性層33’の外面と第1導電型半導体31’の上端部を囲むように配置される。第2導電型半導体32’は、一方向に延びた環状の本体部との側面が傾斜するように形成された上端部を含んでもよい。すなわち、第2導電型半導体32’は、活性層33’の平行な側面と第1導電型半導体31’の傾斜した上端部に直接接触してもよい。ただし、第2導電型半導体32’は、第1導電型半導体31’の下端部には形成されない。
【0114】
電極物質層37’は、第2導電型半導体32’の外面を囲むように配置される。すなわち、電極物質層37’の形状は、実質的に第2導電型半導体32’と同様であってもよい。すなわち、電極物質層37’は、第2導電型半導体32’の外面に全面的に接触してもよい。
【0115】
絶縁膜38’は、電極物質層37’および第1導電型半導体31’の外面を囲むように配置され得る。絶縁膜38’は電極物質層37’を含み、第1導電型半導体31’の下端部および活性層33’と第2導電型半導体32’の露出した下端部と直接接触してもよい。
【0116】
一方、上述した表示装置1は、発光素子30を電極21、22の間に配置して製造されてもよい。発光素子30は、各画素PXまたはサブ画素PXnに配置された電極21、22の間に複数配置され、電極21、22から印加される電気信号を受けて特定の波長帯の光を放出することができる。
【0117】
一例として、発光素子30は、誘電泳動法(Dielectrophoretic)を用いて電極21、22の間に配置されることができる。発光素子30が分散した素子溶媒(100、
図5に図示)を含む素子インク1000を電極21、22上に噴射し、電極21、22を介して交流電源を印加すると、前記交流電源によって素子インク1000上に電界が形成される。発光素子30は前記電界によって誘電泳動力(Dielectrophoretic force)が印加されて誘電泳動力を受けた発光素子30は電極21、22の間、または電極21、22上に配置されてもよい。
【0118】
図5は、一実施形態による素子インクを示す概略図である。
【0119】
図5を参照すると、素子インク1000は、発光素子30および素子溶媒100を含む。発光素子30は、上述した
図3または
図4の発光素子30であってもよく、図面では
図3の発光素子30が示されている。複数の発光素子30は素子溶媒100上に分散した状態で準備される。発光素子30に係る詳しい説明は上述した内容と同様である。
【0120】
発光素子30は、半導体結晶を含んで比較的大きな比重を有する。一実施形態による素子溶媒100は、発光素子30が分散できるように粘度が大きい物質を含んでもよい。素子インク1000は、インクジェットプリンティング装置を介して電極21、22上に噴射されてもよく、素子溶媒100は、発光素子30が分散した状態を一定時間維持できる粘度を有することができる。例示的な実施形態で、素子溶媒100は、粘度が7cp~15cpの範囲を有することができる。ただし、これに限定されるものではない。素子溶媒100は、有機溶媒または無機溶媒を含んでもよく、後述するように後続工程で除去されることができ、発光素子30の半導体結晶を損傷させない物質を含んでもよい。
【0121】
発光素子30が分散した素子溶媒100は、発光素子30が電極21、22に配置されると、加熱または後続処理工程を行って除去することができる。ここで、素子溶媒100は、分子量が大きい化合物を含んで比較的比重が大きい発光素子30が分散した状態を維持できるように大きい値の粘度を有することができる。そのため素子溶媒100は、後続処理工程で完全に除去されず、電極21、22または発光素子30上に異物として残ることもある。また、素子溶媒100が一定水準以上の粘度を有する場合、電界によって印加される誘電泳動力が充分でないため、発光素子30が電極21、22上に円滑に配置されず、これを除去する工程で発光素子30の配置状態が変わってもよい。
【0122】
一実施形態によれば、素子溶媒100は、異性体構造を有する少なくとも一つの二重結合を含む官能基を含んでもよい。素子溶媒100は前記官能基の異性体構造によって粘度が変わってもよい。すなわち、表示装置1の製造工程で、素子溶媒100は、前記官能基の異性体構造によって粘度が大きい第1素子溶媒101または粘度が低い第2素子溶媒102を形成することができる。
【0123】
【0124】
図6は素子溶媒100が第1素子溶媒101を形成したものであり、
図7は第2素子溶媒102を形成したものである。
【0125】
本明細書で、「素子溶媒100」は発光素子30が分散できる溶媒、またはその媒質を意味し、「素子溶媒分子100’」は素子溶媒100をなす化学分子を指すものと理解することができる。後述するように、「素子溶媒100」は、「素子溶媒分子100’」の状態によって、「第1素子溶媒101」または「第2素子溶媒102」を形成することができ、第1素子溶媒101は、「第1素子溶媒分子101’」を、第2素子溶媒102は「第2素子溶媒分子102’」からなるものと理解することができる。
【0126】
すなわち、
図5の素子溶媒100は、
図6の第1素子溶媒分子101’からなる第1素子溶媒101であり、
図7の第2素子溶媒分子102’は、第2素子溶媒102を構成することができる。ただし、必ずしもこれらの用語を区分して使わなくてもよく、場合によって「素子溶媒100」と「素子溶媒分子101’」は意味の区別なく使うが、実質的に同じものを意味する。以下では素子溶媒100の素子溶媒分子100’について詳しく説明する。
【0127】
図6および
図7を参照すると、素子溶媒分子100’は第1官能基110、第2官能基120および第3官能基150を含んでもよい。
【0128】
第1官能基110、X1と第2官能基120、X2は、発光素子30が分散できるように一定水準以上の分子量を有する官能基であってもよい。第1官能基110と第2官能基120は発光素子30と反応せず、これを分散させることができ、後続の工程で除去できるものであれば、その種類および構造は特に限定されない。一例として、第1官能基110と第2官能基120は、炭素鎖を有する非極性官能基であるか、炭素鎖に酸素(O)または窒素(N)原子を含む極性官能基であってもよい。これに限定されるものではない。
【0129】
一実施形態で、第1官能基110と第2官能基120は、同じ構造の官能基を含んでもよい。第1官能基110と第2官能基120は、同じ構造単位が繰り返されて結合された官能基を含んで実質的に同じ分子構造を有することができる。ただし、これに限定されず、第1官能基110と第2官能基120は、前記単位が繰り返された数が異なってもよく、場合によっては互いに反対の極性を有してもよい。これに係る具体的な説明は後述する。
【0130】
第3官能基150、Pは、第1官能基110および第2官能基120が結合され、少なくとも一つの二重結合を含み、異性体を有する官能基であってもよい。第3官能基150、Pは光または熱が照射されると、第1異性体(151、
図6に図示)から第2異性体(152、
図7に図示)に異性化反応をすることができる。第1異性体151の第3官能基
150、Pは、第1素子溶媒101を形成し、第2異性体152の第3官能基150、P’は、第2素子溶媒102を形成することができる。
【0131】
第3官能基150は、第1および第2異性体151、152の分子構造によって隣接する他の分子間に作用する分散力または極性が変わってもよい。第3官能基150の第2異性体152は、第1異性体151に比べて分子間引力が比較的弱い。すなわち、第2異性体152の第2素子溶媒102は、第1異性体151の第1素子溶媒101に比べて分子間引力が小さくなり、粘度および沸点が低下することができる。
【0132】
第1素子溶媒101は光または熱が照射されることにより、粘度が低い第2素子溶媒102を形成することができる。例示的な実施形態で、第1素子溶媒101の粘度は7cp~15cpの範囲を有し、第2素子溶媒102の粘度は5cp以下の範囲を有することができる。ただし、これに限定されるものではない。
【0133】
前述したように、表示装置1の製造の際、素子インク1000を噴射して発光素子30を電極21、22上に整列した後、素子溶媒100を除去するステップを発現することができる。ここで、素子溶媒100が第1素子溶媒分子101’を含んで粘度が大きい第1素子溶媒101である場合、素子インク1000に電界を形成すると、発光素子30に比較的弱い誘電泳動力が印加されて、電極21、22上に正確に配置されない。また、素子溶媒100を除去するステップで、第1素子溶媒101が完全に除去されず、異物として残り得る。
【0134】
一実施形態によれば、表示装置1の製造方法は、第1素子溶媒101に光または熱を照射して、粘度が低い第2素子溶媒102を形成するステップを含む。一実施形態による素子溶媒100は、照射される光または熱によって異性化反応が可能な第3官能基150を含み、前記光または熱によって粘度および沸点が低下することができる。
【0135】
電極21、22上に噴射された素子溶媒100、すなわち第1素子溶媒101に光または熱を照射し、第1素子溶媒分子101’を異性化反応して第2素子溶媒分子102’を形成する。第2素子溶媒分子102’は比較的分子間引力が低い構造を有し、そのため形成された第2素子溶媒102は低い粘度および沸点を有することができる。
【0136】
第2素子溶媒102を形成した後に、素子インク1000に電界を形成する場合、発光素子30に強い誘電泳動力が伝達されて、電極21、22上に高い整列度を有して配置することができる。また、第2素子溶媒102は、後続の工程に低温の熱処理工程で簡単に除去されて、電極21、22上に配置された発光素子30の配置状態の変化を最小化することができる。すなわち、素子溶媒100は、発光素子30が分散し、分散した状態を維持してノズルから噴射され得る粘度を有するが、後続の工程で粘度が減し得る分子構造を有することができる。より詳しい説明は後述する。
【0137】
一実施形態による素子溶媒分子100’は、下記構造式1の構造を有することができる。
[構造式1]
X1-P-X2
(ここで、Pは第3官能基150であり、X1は第1官能基110、X2は第2官能基120である。)
【0138】
前記構造式1を参照すると、一実施形態による素子溶媒100の素子溶媒分子100’は、第3官能基150、Pを含み、第3官能基150、Pに結合された少なくとも一つの官能基、例えば第1官能基110、X1と第2官能基120、X2を含んでもよい。第3官能基150、Pは、第1異性体151および第2異性体152を含み、第1官能基110、X1と第2官能基120、X2は、第3官能基150の第1および第2異性体151、152構造によってこれらの間の置換位置または距離が変わってもよい。
【0139】
一例として、第3官能基150、Pが第1状態の第1異性体151構造を有する場合、第1官能基110と第2官能基120は相対的に距離が離隔するか、または第3官能基150で反対の位置に置換されてもよい。この場合、第1素子溶媒分子101’は比較的表面積が広い分子構造を有し、分散力が増加して分子間引力が大きく粘度および沸点が大きい。これに対し、第3官能基150、P’が第2状態の第2異性体152構造を有する場合、相対的に距離が近くなるか、第3官能基150で隣接する位置に置換されてもよい。この場合、第2素子溶媒分子102’は、表面積が狭い分子構造を有し、分散力が減少して分子間引力が小さくなり、粘度および沸点が低下することができる。
【0140】
表示装置1の製造工程で、第1素子溶媒101に分散した発光素子30を噴射した後、第2素子溶媒102を形成して粘度が低い状態で発光素子30を電極21、22上に配置し、比較的低い温度でこれを揮発させて除去することができる。そのため、製造された表示装置1は、高い整列度を有する発光素子30を含み、電極21、22上に形成され得る異物を除去して、表示装置1の信頼度を向上させることができる。
【0141】
第3官能基150は異性化反応が可能な少なくとも一つの二重結合を含み得る。例示的な実施形態で、第3官能基150はシス-トランス(cis-trans)異性化反応または電子環化反応(Pericyclic reaction)が可能な官能基であってもよい。一例として、第3官能基150は、シス-トランス(cis-trans)異性化反応が可能なアルケン基(alkene)、ジアルケン基(dialkene)およびアゾベンゼン基(azobenzene)のいずれか一つであるか、電子環化反応(pericyclic reaction)が可能な1,3-ブタジエン基(1,3-butadiene)または1,3,6-トリヘキセン基(1,3,5-trihexene)であってもよい。ただし、これに限定されるものではない。
【0142】
第3官能基150がシス-トランス異性化反応が可能な官能基を含む場合、下記化学反応式1~3のように照射される光によってトランス異性体(trans-isomer)構造からシス異性体(cis-isomer)構造に分子構造が変わってもよい。第3官能基150に置換された置換基は、トランス異性体よりシス異性体で互いに隣接して置換される。そのため、素子溶媒分子100’は、比較的表面積が狭い構造を有し、分子間引力が小さくなることによって粘度と沸点が低下することができる。
[化学反応式1]
【化10】
[化学反応式2]
【化11】
[化学反応式3]
【化12】
【0143】
例えば、前記化学反応式3のように、第3官能基150がアゾベンゼン基(azobenzene)を有する場合、光照射によってベンゼン基の4位に置換された置換基は、トランス異性体状態から、シス異性体状態で互いに隣接して位置するようになる。第3官能基150としてアゾベンゼン基(azobenzene)を有する場合、素子溶媒分子100’はアゾベンゼン基(azobenzene)がシス異性体状態で表面積が減少して分子間引力が小さくなり、素子溶媒100は粘度および沸点が低下することができる。前記化学反応式1および2の場合も同様に理解することができる。
【0144】
また、第3官能基150が、電子環化反応(Pericyclic reaction)が可能な官能基を含む場合、下記化学反応式4~7のように照射される光または熱によって分子内電子環化反応(intramolecular cycloaddition)をすることができる。第3官能基150は、開鎖(open-chain)状態から閉鎖(closed-chain)状態に異性化反応することができる。第3官能基150に置換された置換基は開鎖(open-chain)状態より、開鎖(closed-chain)状態で互いに隣接するように置換位置が固定される。そのため、開鎖状態の第3官能基150を有する素子溶媒分子100’は比較的表面積が狭い構造を有し、分子間引力が小さくなることによって粘度と沸点が低下することができる。詳しい説明は上述した内容と同様に理解することができる。
[化学反応式4]
【化13】
[化学反応式5]
【化14】
[化学反応式6]
【化15】
[化学反応式7]
【化16】
【0145】
一方、例示的な実施形態で、第1官能基110と第2官能基120は、下記化学構造式1で表される化合物であってもよい。
[化学構造式1]
【化17】
【0146】
前記化学構造式1において、前記nは1~5の整数であり、前記R3はC1-C5のアルキル基、C2-C5のアルケニル基、C2-C5のアルキニル基、C1-C5のアルキルエーテル基、C2-C5のアルケニルエーテル基およびC2-C5のアルキルエステル基のいずれか一つである。
【0147】
第1官能基110と第2官能基120は、前記化学構造式1のようにエチレングリコール(Ethylene glycol、-OCH2CH2O-)単位体を少なくとも一つ含んでもよい。第1官能基110および第2官能基120は、第3官能基150に結合されて、素子溶媒100が発光素子30を分散させるほどの分子量および粘度を有することができる。第1および第2官能基110、120の前記n値は、エチレングリコール単位体の繰り返し単位数を意味し、その値は特に限定されないが1~5の整数を有することができる。
【0148】
ただし、素子溶媒分子100’内で第1官能基110のnの値(n1)と第2官能基120のnの値(n2)の合計(n1+n2)は、2~6の範囲を有することができる。一つの素子溶媒分子100’内で、第1官能基110および第2官能基120に含まれたエチレングリコール単位体の数は、2~6の範囲を有することができる。第1官能基110のnの値(n1)と第2官能基120のnの値(n2)の合計(n1+n2)が2以下である場合、第1素子溶媒分子101’が十分な水準の分子量と粘度を有することができず、発光素子30の分散状態が維持されない。第1官能基110のnの値(n1)と第2官能基120のnの値(n2)の合計(n1+n2)が6より大きい場合、第3官能基150の第2異性体152状態でも分子量と粘度が大きい値を有し、発光素子30の誘電泳動反応性が低下し得る。
【0149】
例示的な実施形態で、素子溶媒分子100’は下記化学構造式2~6で表される化合物のいずれか一つであってもよい。
[化学構造式2]
【化18】
[化学構造式3]
【化19】
[化学構造式4]
【化20】
[化学構造式5]
【化21】
[化学構造式6]
【化22】
【0150】
前記化学構造式2~6において、前記R1およびR2は、前記化学構造式1で表されるが、前記化学構造式1において、前記R1のn値(n1)とR2のn値(n2)の合計は、2~6の範囲を有する。
【0151】
前記化学構造式2~6を参照すると、素子溶媒100は、光または熱が照射されると異性化反応が可能な官能基を含み、それぞれ前記化学構造式1で表される官能基を少なくとも一つ含む。前記化学構造式2~6において、前記R1およびR2は前記化学構造式1で表される化合物を含んでもよく、R1およびR2はそれぞれ素子溶媒分子100’の第1官能基110および第2官能基120であってもよい。R1およびR2、すなわち第1官能基110と第2官能基120に係る説明は、上述した内容と同様である。
【0152】
例えば、前記化学構造式4の化合物の場合、光照射によって異性化反応が可能な官能基としてアゾベンゼン基(azobenzene)を含み、第1官能基110および第2官能基120はエチレングリコール(Ethylene glycol、-OCH2CH2O-)単位が繰り返された官能基を含んでもよい。
【0153】
前記化学構造式4は、光照射によってアゾベンゼン基(azobenzene)の窒素-窒素二重結合がトランス異性体構造(trans-isomer structure)からシス異性体構造(cis-isomer structure)に変わってもよい。シス-アゾベンゼン基は各ベンゼン基の4位に置換されてエチレングリコール(Ethylene glycol、-OCH2CH2O-)単位が繰り返された官能基が互いに隣接して位置してもよい。すなわち、第1素子溶媒分子101’の第1異性体151は、トランス-アゾベンゼン基(trans-azobenzene)であり、第2素子溶媒分子102’の第2異性体152はシス-アゾベンゼン基(cis-azobenzene)であり、第1官能基110と第2官能基120はそれぞれエチレングリコール(Ethylene glycol、-OCH2CH2O-)単位を含んでもよい。
【0154】
第2素子溶媒分子102’は、第1素子溶媒分子101’より分子間引力が小さい構造を有し、そのため粘度が低いため分散した発光素子30の誘電泳動反応性が増加し得る。また、第2素子溶媒分子102’は、後続の工程で比較的低い温度で簡単に揮発して除去されることができる。
【0155】
例示的な実施形態で、素子溶媒分子100’は下記化学構造式7~11で表される化合物のいずれか一つであってもよい。
[化学構造式7]
【化23】
[化学構造式8]
【化24】
[化学構造式9]
【化25】
[化学構造式10]
【化26】
[化学構造式11]
【化27】
【0156】
例えば、素子溶媒分子100’が前記化学構造式9で表される化合物である場合、第3官能基150がアゾベンゼン基(azobenzene)であり、第1および第2官能基110、120は前記化学構造式1においてnが2であり、R3がメチル基(methyl、-CH3)であり、前記化学構造式9で表される。前記化学構造式9で表される化合物は、粘度が9cp~11cpの範囲を有することによって、発光素子30が分散した状態を維持することができる。また、前記範囲の粘度を有することによって、素子インク1000は、インクジェットプリンティング装置のノズルを介して電極21、22上に噴射されてもよい。
【0157】
素子溶媒分子100’が前記化学構造式9で表される化合物である場合、下記化学反応式8の反応により第3官能基150が異性化反応することができる。
[化学反応式8]
【化28】
【0158】
前記化学反応式8を参照すると、前記化学構造式9で表される化合物は、光hv照射によってトランス-アゾベンゼン基(trans-azobenzene)がシス-アゾベンゼン基(cis-azobenzene)に異性化してもよい。すなわち、素子溶媒分子100’は前記化学構造式9で表される第1素子溶媒分子101’を含み、第1素子溶媒分子101’は、異性化反応して第2素子溶媒分子102’を形成することができる。
【0159】
前記化学構造式9で表される第1素子溶媒分子101’は、比較的分子間引力が大きい構造を有する。アゾベンゼン基が異性化反応により形成された第2素子溶媒分子102’は分子間引力が小さく、比較的低い粘度および沸点を有することによって、発光素子30は誘電泳動反応性が増加し、後続工程で第2素子溶媒102は簡単に除去されることができる。
【0160】
一方、例示的な実施形態で素子溶媒100は、第1異性体151構造を有する第1素子溶媒101は、粘度が7cp~15cpの範囲を有し、第2異性体152構造を有する第2素子溶媒102は粘度が5cp以下であってもよい。
【0161】
第1素子溶媒101は、一定水準以上の粘度を有するほど比重が大きい発光素子30を一定時間の間分散状態を維持することができる。第1素子溶媒分子101’の粘度が7cp以下の場合、素子インク1000の製造後、発光素子30の分散状態を維持できず、素子インク1000がインクジェットプリンティング装置のノズルを介して不均一な分散度で噴射され得る。また、第1素子溶媒分子101’の粘度が15cp以上で大きい値を有する場合、第2素子溶媒分子102’も大きい粘度を有するようになり、発光素子30の誘電泳動反応性が低下し得る。反面、一実施形態による第1素子溶媒分子101’は、前記範囲内の分子量を有し、第3官能基150が異性化反応して形成される第2素子溶媒分子102’は低い粘度を有することができる。
【0162】
以下では、一実施形態による表示装置1の製造方法について説明する。
【0163】
図8は、一実施形態による表示装置の製造方法を示すフローチャートである。
【0164】
図8を参照すると、一実施形態による表示装置1の製造方法は、第1電極21および第2電極22が形成された対象基板SUB上に、第1素子溶媒101および第1素子溶媒101内に分散した発光素子30を含む素子インク1000を噴射するステップ(S100)、第1素子溶媒101が有する分子構造の異性体構造を有する第2素子溶媒102を形成し、第1電極21および第2電極22上に発光素子30を定着させるステップ(S200)、および第2素子溶媒102を除去するステップ(S300)を含んでもよい。
【0165】
前述したように、表示装置1はインクジェットプリンティング装置を用いて素子インク1000を噴射し、電極21、22上に発光素子30を配置することによって製造されることができる。ここで、素子溶媒100は発光素子30が分散状態を維持できる粘度を有する第1素子溶媒101を含んでもよい。ただし、発光素子30が定着させるステップ(S200)で、発光素子30の整列度改善のために一実施形態による表示装置1の製造方法は、第1素子溶媒101に光または熱を照射して第2素子溶媒102を形成するステップを含んでもよい。第1素子溶媒101より低い粘度を有する第2素子溶媒102を形成して発光素子30の誘電泳動反応性を改善し、第2素子溶媒102を除去するステップで発生する発光素子30の整列状態の変化を最小化することができる。
【0166】
以下では、
図9~
図21を参照して、一実施形態による表示装置の製造方法について詳しく説明する。
【0167】
図9および
図10は、一実施形態による表示装置の製造方法の一部を示す断面図である。
【0168】
先に、
図9に示すように、第1電極21および第2電極22が形成された対象基板SUBを準備(S100)する。以下の図面では説明の便宜上、対象基板SUB上に配置される電極21、22および発光素子30のみを示す。ただし、表示装置1は、これに限定されるものではなく、前述したように表示装置1は隔壁40、コンタクト電極26などより多くの部材を含んでもよい。
【0169】
次に、
図10に示すように、第1電極21と第2電極22上に発光素子30を含む素子インク1000を噴射する。素子インク1000は素子溶媒100を含み、発光素子30は素子溶媒100内に分散し得る。例示的な実施形態で、素子インク1000は溶液またはコロイド(colloid)状態で提供されることができる。電極21、22上に噴射される素子インク1000の素子溶媒100は、前述したように第1異性体151の第3官能基150を含む第1素子溶媒101であってもよい。第1素子溶媒101は比較的粘度が大きく、発光素子30が分散した状態を維持して電極21、22上に噴射され得る。
【0170】
次に、発光素子30を第1電極21と第2電極22の間に定着(S200)させる。発光素子30を定着させるステップ(S200)は、第1電極21と第2電極22に電気信号を印加して素子インク1000に電界Eを形成するステップ、前記電界によって発光素子30が誘電泳動力(Dielectrophoretic force,F)の伝達を受けて、電極21、22上に配置されるステップを含んでもよい。
【0171】
一方、本明細書で、発光素子30を「定着させる」ステップは、発光素子30の少なくとも一部領域が電極21、22上に直接接触して位置したり、他の部材を間に置いて電極21、22と重なるように前記部材上に配置されるステップであると理解することができる。すなわち、電極21、22上に「定着した」発光素子30は必ずしも発光素子30の全領域が電極21、22と接触しなくても、少なくとも一部領域が接触したり、電極21、22と重なるように位置したり、または電極21、22上にランディングされたと解釈することができる。
【0172】
図面に示すように、電極21、22に交流電源を印加すると、電極21、22上に噴射された素子インク1000に電界Eが形成される。電界Eは発光素子30に誘電泳動力を印加することができ、前記誘電泳動力の印加を受けた発光素子30は、第1電極21と第2電極22上に配置され得る。
【0173】
ただし、第1素子溶媒101は、第1異性体151を有する第1素子溶媒分子101’を含んで粘度が大きい値を有する。発光素子30は、粘度が大きい第1素子溶媒101内で弱い強度の誘電泳動力F1を受けることになって、電極21、22上で不均一な整列度を有して配置され得る。
【0174】
図11~
図13は、一比較例による素子溶媒内に分散した発光素子が電極上に配置されることを示す概略図である。
【0175】
図11および
図12に示すように、電極21、22上に第1素子溶媒101および発光素子30が噴射され、電極21、22を介して交流電源が印加されると、電界Eが形成される。発光素子30は電界Eにより誘電泳動力F
1の印加を受け、発光素子30は初期分散した位置(
図12の点線部分)から電極21、22に向かって移動することができる。ただし、発光素子30は粘度が大きい第1素子溶媒101により、抵抗力を受けて強度が比較的弱い誘電泳動力F
1が印加され得る。
【0176】
図13を参照すると、第1電極21と第2電極22に印加された交流電源により、第1素子溶媒101上に電界Eが形成され得る。発光素子30は電界Eにより誘電泳動力F
1が印加されて電極21、22に向かって配向方向が整列し得る。前述したように、第1素子溶媒101は大きい値の粘度を有することができる。発光素子30は粘度が大きい第1素子溶媒101により抵抗力を受けて弱い強度の誘電泳動力F
1が印加される。
【0177】
図面に示すように、一部の発光素子30は電極21、22上に配置されなくてもよい。また、発光素子30は両端部が電極21、22上に配置されても、それぞれの発光素子30が延びた方向と電極21、22がなす鋭角は一定でないこともある。電界Eにより印加される誘電泳動力F1は、大きい粘度を有する第1素子溶媒101上に分散した発光素子30が均一な整列度で配向されるように十分な強度を有さない。
【0178】
また、後続工程で第1素子溶媒101を直接揮発させて除去する場合、粘度が大きい第1素子溶媒101により、発光素子30の配向、または整列状態が変わったり、第1素子溶媒101が完全に除去されない。
【0179】
図14は、一比較例による素子溶媒が除去された状態を示す平面図である。
図15は、一比較例による素子溶媒が除去された状態を示す断面図である。
【0180】
図14を参照すると、第1素子溶媒101上で電極21、22上に定着した発光素子30は、第1素子溶媒101が除去されることにより、一方向に動流体力F
aが印加され得る。粘度が大きい第1素子溶媒101は、揮発して除去されることにより、発光素子30に強い強度の動流体力F
aを印加することができ、発光素子30は初期の整列位置(
図14の点線部分)から離脱して整列状態が変わり得る。そのため、最終的に電極21、22上に定着した発光素子30は、延びた一方向と電極21、22が延びた方向に垂直な方向がなす鋭角(Θi’)が大きい値を有し得る。前記鋭角(Θi’)は20°以上であり得、そのため発光素子30が延びた一方向と電極21、22が延びた方向がなす鋭角は80°以下であり得る。
【0181】
図15を参照すると、第1素子溶媒101は分子量が大きい第1素子溶媒分子101’を含み、これを揮発させて除去する工程を行っても一部の残留物が残っている。前記残留物は表示装置1内で不純物になり、発光素子30と電極21、22の間の接触不良を発生させ得る。
【0182】
反面、一実施形態による表示装置1の製造方法は、発光素子30を定着させるステップ(S200)を行う前に、第1素子溶媒101に光UVまたは熱Hを照射して第2素子溶媒102を形成するステップを含む。第1素子溶媒101は前記光UVまたは熱Hが照射されて、第3官能基150の第1異性体151が、異性化反応により第2異性体152を形成する。第1素子溶媒分子101’は、第2素子溶媒分子102’を形成し、第2素子溶媒分子102’は、第1素子溶媒101に比べて粘度および沸点が低い第2素子溶媒102を形成することができる。発光素子30は、粘度が低い第2素子溶媒102内に分散し、電界Eにより強い強度の誘電泳動力F2の印加を受けて、電極21、22上に配向方向が整列され得る。また、粘度および沸点が低い第2素子溶媒102は、後続の処理工程で簡単に除去することができ、発光素子30の整列状態変化を最小化することができる。
【0183】
図16は、一実施形態による第2素子溶媒を形成するステップを示す概略図である。
【0184】
図16を参照すると、第1素子溶媒101に光UVまたは熱Hを照射して第2素子溶媒102を形成する。第1素子溶媒101は、第1異性体151の第3官能基150を含んで、前記照射された光UVまたは熱Hにより異性化反応して、第2異性体152の第3官能基150を形成することができる。すなわち、第1素子溶媒分子101’は、分子間引力が小さい第2素子溶媒分子102’を形成することができる。そのため、発光素子30は、比較的粘度が低い第2素子溶媒102上に分散することができ、溶媒による抵抗力が小さくなることによって、電界Eにより強い強度の誘電泳動力F
2が印加されることができる。
【0185】
ただし、第2素子溶媒102を形成するステップは、必ずしも第1素子溶媒101が電極21、22上に噴射された後に行われなければならないものではない。例えば、第1素子溶媒101がノズルから噴射される直前に、ノズルに向かって光UVまたは熱Hを照射して、ノズルに位置した一部の第1素子溶媒101を第2素子溶媒102に変換させることもできる。または、第1素子溶媒101がノズルから吐出されて、電極21、22上に落下して噴射する間に光や熱が照射されて、第2素子溶媒102が形成されたり、電極21、22上に電界Eが形成されると同時に光UVや熱Hを照射することによって、第2素子溶媒102を形成することもできる。ただし、これに限定されない。
【0186】
図17~
図19は、一実施形態による素子溶媒内に分散した発光素子が電極上に配置されることを示す概略図である。
【0187】
図17~
図19を参照すると、第2素子溶媒102は、低い粘度を有することによって、電界Eにより発光素子30に印加される誘電泳動力F
2は、強い強度を有することができる。発光素子30は、初期噴射された位置(
図19の点線部分)から両端部が電極21、22に向かって移動することができ、各発光素子30は比較的均一な整列度で配向され得る。図面に示すように、多くの発光素子30は、両端部が電極21、22上に配置することができ、特に、発光素子30が延びた方向と電極21、22がなす鋭角は一定であり得る。一実施形態による表示装置1の製造方法は、第1素子溶媒101に光UVを照射して第2素子溶媒102を形成するステップを含み、発光素子30を粘度が低い第2素子溶媒102上で整列させることができる。すなわち、発光素子30の誘電泳動反応性を向上させ、整列度が改善された表示装置1を製造することができる。
【0188】
最後に、電極21、22上に発光素子30が整列されると、素子溶媒100、すなわち第2素子溶媒102を除去する。
【0189】
図20は、一実施形態による第2素子溶媒を除去するステップを示す断面図である。
図21は、一実施形態による発光素子が整列されたことを示す平面図である。
【0190】
図20および
図21を参照すると、素子溶媒100は通常の方法を行うことにより除去される。第2素子溶媒102は第1素子溶媒101に比べて分子間引力が小さい化合物を含んで低い沸点を有し、比較的低温で揮発して除去されることができる。一例として第2素子溶媒102は熱処理、赤外線照射などの方法により除去されることができる。
【0191】
発光素子30は粘度が低い第2素子溶媒102上で強い強度の誘電泳動力F2の印加を受けて比較的均一な整列度で配向され得る。また、第2素子溶媒102は揮発して除去されても、整列された発光素子30に弱い強度の動流体力を印加することができる。そのため、最終的に電極21、22上に定着した発光素子30は、延びた一方向と電極21、22が延びた方向に垂直な方向がなす鋭角(Θi)は、非常に小さい値を有することができる。前記鋭角(Θi)は5°以上であり得、そのため発光素子30が延びた一方向と電極21、22が延びた方向がなす鋭角は85°以上であり得る。一例として、発光素子30が延びた一方向と電極21、22が延びた方向がなす鋭角は、88°以上90°以下であり得る。ただし、これに限定されるものではない。
【0192】
以上の工程によって発光素子30を含む表示装置1を製造することができる。ただし、表示装置1の製造方法はこれに限定されるものではなく、前述したように表示装置1はより多くの数の部材を含んでより多くの工程が行われ得る。詳しい説明は省略する。
【0193】
図22は、他の実施形態による表示装置の製造方法の一部を示す平面図である。
【0194】
前述したように、発光素子30を電極21、22上に定着させるステップで、第1素子溶媒101に光UVまたは熱Hを照射して、第2素子溶媒102を形成するステップと、電界Eを形成して発光素子30に誘電泳動力Fを印加するステップは、一つの工程で同時に行われ得る。
【0195】
図22を参照すると、電極21、22上に噴射された第1素子溶媒101に光UVまたは熱Hを照射すると同時に、電極21、22を介して交流電源を印加することができる。そのため第1素子溶媒101は第2素子溶媒102を形成し、これと同時に前記交流電源による電界Eが形成されて、発光素子30が誘電泳動力の印加を受けることができる。第2素子溶媒102に電界Eを形成して電極21、22上に発光素子30を定着させるステップは、比較的短い工程時間を有することができる。すなわち、実質的に第1素子溶媒101に光UVまたは熱Hを照射する工程中に、発光素子30を定着させる工程を行うことによって、工程時間を短縮させることができる。
【0196】
また、図面に示していないが、発光素子30を定着させた後、
図20の第2素子溶媒102を揮発させる工程を連続的に行うこともできる。特に、第2素子溶媒102を形成するステップで熱Hを照射することによって第1素子溶媒101で第2素子溶媒102を形成する場合、一つの熱処理工程内で電極21、22に交流電源を印加して発光素子30を電極21、22上に定着させることができる。そのため表示装置1の製造工程上の効率を向上させることもできる。
【0197】
以上、添付する図面を参照して本発明の実施形態について説明したが、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明のその技術的思想や必須の特徴を変更せず他の具体的な形態で実施できることを理解することができる。したがって、上記一実施形態はすべての面で例示的なものであり、限定的なものではないと理解しなければならない。