(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-08
(45)【発行日】2024-03-18
(54)【発明の名称】電動外科用ステープラのための電力制御回路
(51)【国際特許分類】
A61B 17/115 20060101AFI20240311BHJP
【FI】
A61B17/115
(21)【出願番号】P 2021553046
(86)(22)【出願日】2020-02-26
(86)【国際出願番号】 IB2020051653
(87)【国際公開番号】W WO2020183274
(87)【国際公開日】2020-09-17
【審査請求日】2023-02-01
(32)【優先日】2019-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506157570
【氏名又は名称】シラグ・ゲーエムベーハー・インターナショナル
【氏名又は名称原語表記】Cilag GMBH International
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】アダムス・シェーン・アール
(72)【発明者】
【氏名】ロス・ニコラス・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ポロウスキー・ジョセフ・ディー
(72)【発明者】
【氏名】ステージャー・ウィリアム・アール
(72)【発明者】
【氏名】グード・ティモシー・イー
(72)【発明者】
【氏名】ワイズ・オースティン・イー
【審査官】木村 立人
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/200285(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/068― 17/072
A61B 17/115
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
(a)本体であって、
(i)安全スイッチと、
(ii)発射アクチュエータと、
(iii)モータと、を含む、本体と、
(b)前記本体から遠位に延在するシャフトと、
(c)前記シャフトの遠位端に配設されたステープル留めアセンブリであって、前記ステープル留めアセンブリは、開放位置から閉鎖位置へ選択的に移動して、組織をクランプするように構成され、前記安全スイッチは、前記ステープル留めアセンブリが前記閉鎖位置にあるとき、作動状態を取るよう構成され、前記ステープル留めアセンブリは、前記発射アクチュエータの作動に応答して、複数のステープルをクランプされた前記組織内に駆動するように前記モータによって作動可能である、ステープル留めアセンブリと、
(d)前記モータと動作可能に連結された順序論理デバイスであって、前記順序論理デバイスは、前記安全スイッチの作動を検出するように構成され、かつ前記発射アクチュエータの作動を検出するように構成され、前記順序論理デバイスは、
(i)前記安全スイッチ及び前記発射アクチュエータが作動される順番を検出することと、
(ii)検出された前記順番を所定の順番と比較することと、
(iii)
検出された前記順番が前記所定の順番に等しいと判定することに応答して、モータ起動信号を前記モータに送信することと、を行うように動作可能である、順序論理デバイスと、を備える、装置。
【請求項2】
前記順序論理デバイスは、
検出された前記順番が前記所定の順番と異なると判定したことに応答して、前記モータの起動を阻害するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記所定の順番は、前記発射アクチュエータの作動の前に生じる前記安全スイッチの作動を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記所定の順番は、前記発射アクチュエータの作動と同時に発生する前記安全スイッチの作動を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記順序論理デバイスは、アナログ集積回路を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記安全スイッチは、前記安全スイッチの作動に応答して、前記アナログ集積回路に信号を提供するように動作可能であり、前記発射アクチュエータは、その後、前記モータ起動信号を前記モータに提供するように動作可能である、請求項
5に記載の装置。
【請求項7】
前記アナログ集積回路は、エッジトリガ動作モード用に構成された1つ以上のラッチスイッチを含む、請求項
5に記載の装置。
【請求項8】
前記
アナログ集積回路は、第1のラッチスイッチ及び第2のラッチスイッチを含み、前記第1のラッチスイッチの入力部は、前記安全スイッチに動作可能に連結され、前記第2のラッチスイッチの入力部は、前記発射アクチュエータに動作可能に連結されている、請求項
5に記載の装置。
【請求項9】
前記
アナログ集積回路は、第1のラッチスイッチ及び第2のラッチスイッチを含み、前記第2のラッチスイッチへの入力部は、前記第1のラッチスイッチからクロック出力信号を受信するように構成されている、請求項
5に記載の装置。
【請求項10】
前記順序論理デバイスは、プログラム可能なデジタルプロセッサを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記モータは、前記順序論理デバイスが適切な順番を判定する前に、起動不能状態を取るように構成され、前記モータは、前記順序論理デバイスが適切な順番を判定した後、起動可能状態を取るように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
入力部及び出力部を有するトランジスタを更に備え、前記安全スイッチは、前記トランジスタの前記入力部に動作可能に連結され、前記順序論理デバイスは、前記トランジスタの前記出力部に動作可能に連結されている、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記ステープル留めアセンブリは、前記本体に動作可能に連結され、前記本体に対して遠位及び近位に移動するように構成されたアンビルを更に含み、前記アンビルは、前記アンビルが近位に前進するときに、前記安全スイッチを作動させるように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記本体は、
前記発射アクチュエータに動作可能に連結された安全トリガを更に含み、第1の位置における前記安全トリガは、前記発射アクチュエータが作動することを禁止するように構成され、第2の位置における前記安全トリガは、前記発射アクチュエータが作動することを可能にするように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記本体は、安全トリガの突出部を受容するように構成された案内トラックを有するシャーシを含み、前記案内トラックは、
(A)係合位置にある前記安全トリガの前記突出部を受容するように構成された第1の戻り止めと、
(B)係合解除位置にある前記安全トリガの前記突出部を受容するように構成された第2の戻り止めと、
(C)前記安全トリガが前記係合位置と前記係合解除位置との間を移動する際、前記突出部を受容するように構成されている、前記第1の戻り止めと前記第2の戻り止めとの間に配設されたチャネルと、
(D)前記チャネルから突出している隆起部分であって、前記安全トリガを前記係合位置又は前記係合解除位置のいずれか一方に押し込むように構成されている、隆起部分と、を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
装置であって、
(a)本体であって、
(i)安全スイッチと、
(ii)発射アクチュエータと、
(iii)モータと、を含む、本体と、
(b)前記本体から遠位に延在し、アンビルを含む、シャフトと、
(c)前記シャフトの遠位端に配設され、開放位置から閉鎖位置へ選択的に移動して、組織をクランプするように構成されている、ステープル留めアセンブリであって、前記ステープル留めアセンブリは、前記モータの起動に応答して、複数のステープルをクランプされた前記組織内に駆動するように動作可能である、ステープル留めアセンブリと、
(d)前記モータと動作可能に連結された順序論理デバイスであって、前記順序論理デバイスは、前記安全スイッチの作動を検出するように構成され、かつ前記発射アクチュエータの作動を検出するように構成され、前記順序論理デバイスは、
(i)前記安全スイッチ及び前記発射アクチュエータが作動される順番を検出することと、
(ii)検出された前記順番を所定の順番と比較することと、
(iii)
検出された前記順番が前記所定の順番に等しいと判定することに応答して、モータ起動信号を前記モータに送信することと、を行うように動作可能である、順序論理デバイスと、を備え、
前記モータは、前記モータ起動信号を受信すると起動するように構成されている、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権)
本出願は、米国特許仮出願第62/815,678号、発明の名称「Circular Surgical Stapler」(2019年3月8日出願)の優先権を主張するものであり、その開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
一部の外科手術(例えば、大腸外科手術、肥満外科手術、胸部外科手術など)において、患者の消化管の一部分(例えば、胃腸管及び/又は食道など)は、望ましくない組織を除去するために又はその他の理由によって、切除される場合がある。組織を取り除いた後、端々吻合、端側吻合又は側側吻合により、消化管の残りの部分を相互に連結することができる。吻合により、吻合部位から、いかなる種類の漏れを生じることもなく、消化管の1つの部分から消化管の他の部分へと実質的に遮るもののない流路を与えることができる。
【0003】
吻合を提供するために用いられ得る器具の1つの例として、円形ステープラがある。いくつかのそのようなステープラは、組織の層をクランプし、クランプした組織の層を切断し、かつクランプした組織の層を貫通してステープルを駆動し、組織の層を切断した端部の近傍で組織を実質的に相互に封止して、解剖学的管腔の切断された2つの端部を接合するように動作可能である。円形ステープラは、組織を切断し、かつ実質的に同時にその組織を封止するように構成することができる。例えば、円形ステープラは、吻合においてステープルの環状アレイに対して内側である余分な組織を切断して、吻合で接合される解剖学的管腔部間の実質的に滑らかな移行を提供し得る。円形ステープラは、観血手術において、又は内視鏡手術において用いられ得る。場合によっては、円形ステープラの一部分を、患者の身体に元々ある開口部を貫通して挿入する。
【0004】
円形ステープラの例は、1993年4月27日に発行された米国特許第5,205,459号、発明の名称「Surgical Anastomosis Stapling Instrument」;1993年12月21日に発行された米国特許第5,271,544号、発明の名称「Surgical Anastomosis Stapling Instrument」;1994年1月4日に発行された米国特許第5,275,322号、発明の名称「Surgical Anastomosis Stapling Instrument」;1994年2月15日に発行された米国特許第5,285,945号、発明の名称「Surgical Anastomosis Stapling Instrument」;1994年3月8日に発行された米国特許第5,292,053号、発明の名称「Surgical Anastomosis Stapling Instrument」;1994年8月2日に発行された米国特許第5,333,773号、発明の名称「Surgical Anastomosis Stapling Instrument」;1994年9月27日に発行された米国特許第5,350,104号、発明の名称「Surgical Anastomosis Stapling Instrument」;1996年7月9日に発行された米国特許第5,533,661号、発明の名称「Surgical Anastomosis Stapling Instrument」;及び2014年12月16日に発行された米国特許第8,910,847号、発明の名称「Low Cost Anvil Assembly for a Circular Stapler」に記載されている。上に引用した米国特許の各々の開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0005】
一部の円形ステープラは、電動作動機構を含み得る。電動作動機構を備えた円形ステープラの例は、2015年3月26日に公開され、現在は放棄されている米国特許出願公開第2015/0083772号、発明の名称「Surgical Stapler with Rotary Cam Drive and Return」;2018年4月10日に発行された米国特許第9,936,949号、発明の名称「Surgical Stapling Instrument with Drive Assembly Having Toggle Features」;2018年3月6日に発行された米国特許第9,907,552号、発明の名称「Control Features for Motorized Surgical Stapling Instrument」;及び2017年7月25日に発行された米国特許第9,713,469号、発明の名称「Surgical Stapler with Rotary Cam Drive」、に記載されている。上に引用した米国特許出願公開の各々の開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0006】
様々な種類の外科用ステープル留め器具及び関連構成要素が作製され使用されてきたが、本発明者ら以前には、添付の特許請求の範囲に記載されている発明を誰も作製又は使用したことがないものと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本明細書は、本技術を具体的に指摘し、かつ明確にこの技術を特許請求する、特許請求の範囲により完結するが、本技術は、以下のある特定の実施例の説明を添付図面と併せ読むことでよりよく理解されるものと考えられ、図面において同様の参照符号は同じ要素を特定する。
【
図2】電池パックがハンドルアセンブリから取り外され、アンビルがステープル留めヘッドアセンブリから取り外された状態で、
図1の円形ステープラを描いた斜視図である。
【
図3】
図1の円形ステープラのアンビルの斜視図である。
【
図6】
図3のアンビルの代わりに
図1の円形ステープラと共に使用され得る、例示的な代替的アンビルの底面図である。
【
図9】
図1の円形ステープラのステープル留めヘッドアセンブリの斜視図である。
【
図10】
図9のステープル留めヘッドアセンブリの内側本体部材の斜視断面図である。
【
図11】
図9のステープル留めヘッドアセンブリの分解斜視図である。
【
図12】
図9のステープル留めヘッドアセンブリに組み込むことができる例示的な代替的デッキ部材の斜視図である。
【
図14A】
図9のステープル留めヘッドアセンブリに対して第1の長手方向位置にある
図3のアンビルを示す側面立面図である。
【
図14B】
図9のステープル留めヘッドアセンブリに対して第2の長手方向位置にある
図3のアンビルを示す側面立面図である。
【
図15A】円形ステープラの開放状態の接触スイッチを描いた、
図1の円形ステープラの遠位端の断面側面図である。
【
図15B】円形ステープラのトロカール及びアンビルの近位への並進により、閉鎖状態へと移動される
図15Aの接触スイッチを描いた、
図1の円形ステープラの遠位端の断面側面図である。
【
図16B】円形ステープラのトロカール及びアンビルの近位への並進により、
図15Bの閉鎖状態へと移動される
図15Aの接触スイッチの拡大断面側面図である。
【
図17】シャフトアセンブリの各部分が互いに分離して示されている、
図1の円形ステープラの分解斜視図である。
【
図18】
図1の円形ステープラのハンドルアセンブリを、ハンドルアセンブリの内部の構成要素を示すためにハウジング部分を省略して描いた斜視図である。
【
図19】
図1の円形ステープラのステープル留めヘッド作動アセンブリを描いた斜視図である。
【
図20】
図19のステープル留めヘッド作動アセンブリのカム従動子を描いた斜視図である。
【
図22】
図19のステープル留めヘッド作動アセンブリのロータリーカムを描いた斜視図である。
【
図24A】
図19のステープル留めヘッド作動アセンブリを、ロータリーカムが第1の角度位置にあり、かつカム従動子が第1の枢動位置にある状態で描いた側面立面図である。
【
図24B】
図19のステープル留めヘッド作動アセンブリを、ロータリーカムが第2の角度位置にあり、かつカム従動子が第2の枢動位置にある状態で描いた側面立面図である。
【
図25A】
図22のロータリーカムと、振動部材と、停止スイッチとを、ロータリーカムが第1の角度位置にあり、かつ振動部材が第1の枢動位置にある状態で描いた斜視図である。
【
図25B】
図22のロータリーカムと、
図25Aの振動部材と、
図25Aの停止スイッチとを、ロータリーカムが第4の角度位置にあり、かつ振動部材が第2の枢動位置にある状態で描いた斜視図である。
【
図26A】
図22のロータリーカムと、
図20のカム従動子と、
図25Aの振動部材とを、ロータリーカムが第1の角度位置にある状態で、カム従動子が第1の枢動位置にある状態で、かつ振動部材が第1の枢動位置にある状態で描いた、模式的端面図である。
【
図26B】
図22のロータリーカムと、
図20のカム従動子とを、ロータリーカムが第2の角度位置にある状態で、カム従動子が第2の枢動位置にある状態で、
図25Aの振動部材が第1の枢動位置にある状態で描いた、模式的端面図である。
【
図26C】
図22のロータリーカムと、
図20のカム従動子とを、ロータリーカムが第3の角度位置にある状態で、カム従動子が第2の枢動位置にある状態で、
図25Aの振動部材が第1の枢動位置にある状態で描いた、模式的端面図である。
【
図26D】
図22のロータリーカムと、
図20のカム従動子と、
図25Aの振動部材とを、ロータリーカムが第4の角度位置にある状態で、カム従動子が第3の枢動位置にある状態で、かつ振動部材が第2の枢動位置にある状態で描いた、模式的端面図である。
【
図27A】消化管の第1の区域内に位置付けられた
図3のアンビルと、消化管の第2の区域に位置付けられた
図9のステープル留めヘッドアセンブリとを、アンビルがステープル留めヘッドアセンブリから分離された状態で描いた断面側面図である。
【
図27B】消化管の第1の区域内に位置付けられた
図3のアンビルと、消化管の第2の区域に位置付けられた
図9のステープル留めヘッドアセンブリとを、アンビルがステープル留めヘッドアセンブリに固定された状態で描いた断面側面図である。
【
図27C】消化管の第1の区域内に位置付けられた
図3のアンビルと、消化管の第2の区域に位置付けられた
図9のステープル留めヘッドアセンブリとを、アンビルがステープル留めヘッドアセンブリに向かって後退し、それにより、アンビルとステープル留めヘッドアセンブリとの間に組織をクランプした状態で描いた断面側面図である。
【
図27D】消化管の第1の区域内に位置付けられた
図3のアンビルと、消化管の第2の区域に位置付けられた
図9のステープル留めヘッドアセンブリとを、ステープル留めヘッドアセンブリがクランプされた組織を切断してステープル留めするように作動された状態で描いた断面側面図である。
【
図27E】端々吻合で接合された、
図27Aの消化管の第1の区域と第2の区域とを示す断面側面図である。
【
図28】
図18のハンドルアセンブリのブラケットを描いた斜視図である。
【
図29】
図18のハンドルアセンブリのインジケータ部材を描いた斜視図である。
【
図30A】
図1の円形ステープラのアンビル作動アセンブリを、作動ロッドが第1の位置にある状態で描いた斜視図である。
【
図30B】
図30Aのアンビル作動アセンブリを、作動ロッドが第2の位置に動いて、
図28のブラケットに係合した状態で描いた斜視図である。
【
図30C】
図30Aのアンビル作動アセンブリを、作動ロッドが第3の位置に動いて、
図28のブラケットを近位に後退させた状態で描いた斜視図である。
【
図30D】
図30Aのアンビル作動アセンブリを、安全トリガが第1の位置から第2の位置に枢動した状態で描いた斜視図である。
【
図30E】
図30Aのアンビル作動アセンブリを、発射トリガが第1の位置から第2の位置に枢動した状態で描いた斜視図である。
【
図32】
図18のハンドルアセンブリのユーザインターフェースの斜視図である。
【
図33】
図1の器具に組み込むことができる例示的な代替的インジケータ部材の斜視図である。
【
図35】
図1の器具に組み込むことができる例示的な代替的ブラケットの斜視図である。
【
図37】
図33のインジケータ部材及び
図1の器具に組み込むことができる例示的な代替的シャーシの分解斜視図である。
【
図38A】インジケータ部材が第1の角度位置にある、
図37のシャーシと連結された
図33のインジケータ部材の側面立面図である。
【
図38B】インジケータ部材が第2の角度位置にある、
図37のシャーシと連結された
図33のインジケータ部材の側面立面図である。
【
図38C】インジケータ部材が第3の角度位置にある、
図37のシャーシと連結された
図33のインジケータ部材の側面立面図である。
【
図38D】インジケータ部材が第4の角度位置にある、
図37のシャーシと連結された
図33のインジケータ部材の側面立面図である。
【
図39A】ブラケットが第1の長手方向位置にあり、インジケータ部材が第1の角度位置にある、
図33のインジケータ部材及び
図35のブラケットの側面立面図である。
【
図39B】ブラケットが第2の長手方向位置にあり、インジケータ部材が第1の角度位置にある、
図33のインジケータ部材及び
図35のブラケットの側面立面図である。
【
図39C】ブラケットが第3の長手方向位置にあり、インジケータ部材が第2の角度位置にある、
図33のインジケータ部材及び
図35のブラケットの側面立面図である。
【
図39D】ブラケットが第4の長手方向位置にあり、インジケータ部材が第3の角度位置にある、
図33のインジケータ部材及び
図35のブラケットの側面立面図である。
【
図40A】
図1の円形ステープラを操作する例示的な工程のフローチャートを示す図である。
【
図40B】
図1の円形ステープラを操作する例示的な工程のフローチャートを示す図である。
【
図41】更に別の例示的な代替的円形ステープラを描いた斜視図である。
【
図42】
図41の円形ステープラを、電池パックが円形ステープラのハンドルアセンブリから取り外された状態で描いた斜視図である。
【
図44】
図42の電池パックを描いた部分的分解斜視図である。
【
図45A】
図42のハンドルアセンブリを、ケーシングがハンドルアセンブリから取り外された状態で、かつ
図42の電池パックがハンドルアセンブリから離間配置された状態で描いた斜視図である。
【
図45B】
図42のハンドルアセンブリを、ケーシングがハンドルアセンブリから取り外された状態で、かつ
図42の電池パックがハンドルアセンブリに連結された状態で描いた斜視図である。
【
図46】
図42のハンドルアセンブリを、ケーシングがハンドルアセンブリから取り外された状態で、かつ、
図42の電池パックの下側電池ハウジングがハンドルアセンブリに対して第1の位置にある状態で描いた斜視図である。
【
図47】
図46の第1の位置にある
図46の下側電池ハウジングを、下側電池ハウジングの電池ドレインスレッドが下側電池ハウジングの本体に対する第1の位置にある状態で描いた詳細斜視図である。
【
図48】
図46の下側電池ハウジングを、
図47の電池ドレインスレッドが
図47の第1の位置にある状態で描いた別の詳細斜視図である。
【
図49】
図42のハンドルアセンブリを、ケーシングがハンドルアセンブリから取り外された状態で、かつ
図46の下側電池ハウジングがハンドルアセンブリに対する第2の位置まで遠位に動いた状態で、かつ、ハンドルアセンブリのドレイン起動レールが、第1の位置にある下側電池ハウジング内に受容されている状態で描いた斜視図である。
【
図50】
図49の第2の位置にある
図46の下側電池ハウジングを、
図47の電池ドレインスレッドが
図47の第1の位置にとどまった状態で、かつ
図49のドレイン起動レールが
図49の第1の位置にある下側電池ハウジング内に受容されている状態で描いた詳細斜視図である。
【
図51】
図42のハンドルアセンブリを、ケーシングがハンドルアセンブリから取り外された状態で、かつドレイン起動レールが
図47の電池ドレインスレッドに係合するよう、
図50のドレイン起動レールが第2の位置まで動くように、
図46の下側電池ハウジングが遠位にハンドルアセンブリに対する第3の位置まで動いた状態で描いた斜視図である。
【
図52】
図51の第3の位置にある
図46の下側電池ハウジングを、
図47の電池ドレインスレッドが
図47の第1の位置にとどまった状態で、かつ、ドレイン起動レールが電池ドレインスレッドに係合するように、
図49のドレイン起動レールが下側電池ハウジング内に
図51の第2の位置で受容されている状態で描いた詳細斜視図である。
【
図53】
図42のハンドルアセンブリを、ケーシングがハンドルアセンブリから取り外された状態で、かつ、ドレイン起動レールが
図47の電池ドレインスレッドを近位に第2の位置に駆動するよう、
図50のドレイン起動レールが第3の位置に動かされるように、
図46の下側電池ハウジングが遠位にハンドルアセンブリに対する第4の位置まで動いた状態で描いた斜視図である。
【
図54】
図53の第4の位置にある
図46の下側電池ハウジングを、ドレイン起動レールが
図47の電池ドレインスレッドを駆動して
図53の第2の位置に動かすように、
図49のドレイン起動レールが、下側電池ハウジング内の
図53の第3の位置で受容された状態で描いた詳細斜視図である。
【
図55】
図42のハンドルアセンブリを、ケーシングがハンドルアセンブリから取り外された状態で、
図50のドレイン起動レールが下側電池ハウジングから取り外されるように、
図46の下側電池ハウジングがハンドルアセンブリから取り外された状態で、かつ、
図52の電池パックのドレイン接点が、電池パックの陽極接点に向かって付勢されるように、
図47の電池ドレインスレッドが
図53の第2の位置にとどまった状態で描いた斜視図である。
【
図56】
図42のハンドルアセンブリを、
図46の下側電池ハウジングがハンドルアセンブリから取り外された状態で、かつ、
図55のドレイン接点が、
図55の陽極接点に向かって付勢されるように、
図47の電池ドレインスレッドが
図53の第2の位置にとどまった状態で描いた詳細斜視図である。
【
図57】
図42のハンドルアセンブリを、
図46の下側電池ハウジングがハンドルアセンブリから取り外された状態で、かつ、
図55のドレイン接点が、
図55の陽極接点に向かって付勢されるように、
図47の電池ドレインスレッドが
図53の第2の位置にとどまった状態で描いた詳細斜視図である。
【
図58】
図1の円形ステープラに組み込まれ得る、例示的な電池ドレイン回路の概略図である。
【
図59A】発射トリガが非作動位置にある、
図18のハンドルアセンブリの発射トリガ及びモータ起動モジュールの斜視図である。
【
図59B】発射トリガが作動位置にある、
図59Aの発射トリガ及びモータ起動モジュールの斜視図である。
【
図60】
図1の器具に組み込まれ得る第1の例示的な制御回路の概略図である。
【
図62】
図17のトロカール作動ロッド、
図18の右シャーシ部分及びナット、
図35のブラケット、
図37の左シャーシ部分、並びに第1の例示的な代替的コイルスプリングの底面図である。
【
図64】第2の例示的な代替的コイルスプリングの詳細図である。
【
図65】第3の例示的な代替的コイルスプリングの詳細図である。
【
図66】例示的な摺動可能な連結部を使用して
図61のコイルスプリングと連結された
図35のブラケットの斜視図である。
【
図67】
図66のブラケット、コイルスプリング、及び摺動可能な連結部の詳細な斜視部分を示す図である。
【
図68】
図66のブラケット及びコイルスプリングから分離された摺動可能な連結部の分解斜視図である。
【
図70】
図17のトロカール作動ロッド、
図18のナット及びコイルスプリング、
図35のブラケット、並びに例示的なガイドブッシングの分解斜視図である。
【
図72】
図62のブラケット及びコイルスプリングの斜視図であるが、ブラケットがセンタリング機構を含む。
【
図73】
図62のブラケット及びコイルスプリングの斜視図であるが、コイルスプリングがスリーブ内に配設されている。
【
図74】
図73のコイルスプリング及びスリーブの詳細斜視図である。
【
図75】左シャーシ部分内に配設された
図35のブラケットの斜視図である。
【
図76】
図75のブラケット及び左シャーシ部分の詳細斜視図である。
【
図77】
図76のブラケット及び左シャーシ部分の斜視図であるが、別の角度からの斜視図である。
【
図78】
図75のブラケット及び左シャーシ部分の背面立面図であるが、左シャーシ部分が長手方向リブを含む。
【
図79】
図78のブラケット及び左シャーシ部分の右側斜視図である。
【
図80】
図18の右シャーシ部分の第1の戻り止め及び第2の戻り止めによって境界されたトラックと相互作用する安全トリガの突出部の斜視図である。
【
図81】第1の戻り止めと第2の戻り止めとの間に隆起部分を含む別の例示的な右シャーシ部分と相互作用する
図80の安全トリガの突出部の斜視図である。
【
図82】
図1の器具に組み込まれ得る第2の例示的な制御回路の概略図である。
【
図83】
図82の制御回路に連結するための例示的な発射回路の概略図である。
【
図84】
図83の発射回路を動作させる例示的なステップを示すフローチャートである。
【
図85】
図1の器具のモータに発射信号を提供するための
図82の制御回路の一部分の概略図である。
【0008】
図面は、いかなる方法でも限定することを意図しておらず、本技術の様々な実施形態は、図面に必ずしも描写されていないものを含め、その他の様々な方法で実施し得ることが企図される。本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を成す添付の図面は、本技術のいくつかの態様を示しており、その説明と共に本技術の原理を説明するのに役立つものであるが、本技術は、示される厳密な配置に限定されないことが理解される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本技術の特定の実施例の以下の説明は、その範囲を限定する目的で用いられるべきではない。本技術の他の実施例、特徴部、態様、実施形態、及び利点は、実例として、本技術を実施する上で想到される最良の態様の1つである以下の説明により、当業者には明らかとなるであろう。理解されるように、本明細書に記載される技術は、いずれもその技術から逸脱することなく、その他の異なる、かつ明らかな態様が可能である。したがって、図面及び説明は、限定的な性質のものではなく、例示的な性質のものと見なされるべきである。
【0010】
本出願は、2015年3月26日に公開され、現在は放棄されている米国特許出願公開第2015/0083772号、発明の名称「Surgical Stapler with Rotary Cam Drive and Return」;2018年3月6日に発行された米国特許第9,907,552号、発明の名称「Control Features for Motorized Surgical Instrument」;2016年12月29日に公開された米国特許出願公開第2016/0374672号、発明の名称「Method of Applying an Annular Array of Staples to Tissue」;2018年5月17日に公開された米国特許出願公開第2018/0132853号、発明の名称「Circular Stapler with Recessed Deck」;2018年5月17日に公開された米国特許出願公開第2018/0132849号、発明の名称「Staple Forming Pocket Configurations for Circular Surgical Stapler Anvil」;2018年11月1日に公開された米国特許出願公開第2018/0310938号、発明の名称「Hysteresis Removal Feature in Surgical Stapling Instrument」、及び2018年11月1日に公開された米国特許出願公開第2018/0310939号、発明の名称「Liquid-Immune Trigger Circuit for Surgical Instrument」の開示を参照により組み込んでいる。
【0011】
I.例示的な外科用円形ステープル留め外科用器具の概要
図1~
図2は、患者の消化管の一部位のような解剖学的管腔の2つの断面どうしの間で、端々吻合、側側吻合又は端側吻合を提供するために用いられ得る、例示的な外科用円形ステープル留め器具(10)を示す。この実施例の器具(10)は、ハンドルアセンブリ(100)、シャフトアセンブリ(200)、ステープル留めヘッドアセンブリ(300)、及びアンビル(400)を備える。ハンドルアセンブリ(100)は、斜めに配向されたピストルグリップ(112)を画定する、ケーシング(110)を備える。いくつかの変形形態では、ピストルグリップ(112)は、垂直方向に配向されている。いくつかの他の変形形態では、ピストルグリップ(112)は省略されている。ハンドルアセンブリ(100)は、後でより詳しく説明するように、移動可能なインジケータ針(1526)の視認を可能にするユーザフィードバック機構(114)を更に含む。いくつかの変形形態では、一連の符号、着色領域、及び/又はその他の固定インジケータがユーザフィードバック機構(114)に隣接して位置付けられて、インジケータ針(1526)に対する視覚的背景を提供し、それによって、ユーザフィードバック機構(114)内で針(1526)がどの位置にいるのかを操作者が評価するのを容易にしている。本明細書の教示を考慮することで、当業者には、ハンドルアセンブリ(100)の様々な好適な代替的な特徴部及び構成が、明らかとなるであろう。
【0012】
本実施例の器具(10)は、電池パック(120)を更に含む。電池パック(120)は、後でより詳しく説明するように、ピストルグリップ(112)内のモータ(161)に、電力を供給するように動作可能である。電池パック(120)は、ハンドルアセンブリ(100)から取り外し可能である。特に、
図1~
図2に示すように、電池パック(120)は、ケーシング(110)によって画定されるソケット(116)の中に挿入され得る。電池パック(120)がソケット(116)内に完全に挿入された後、電池パック(120)のラッチ(122)が弾性的にケーシング(110)の内側特徴部に係合して、スナップ嵌めされ得る。電池パック(120)を取り外すには、操作者はラッチ(122)を内側に押し込んでラッチ(122)とケーシング(110)の内側特徴部との係合を解除した後、電池パック(120)をソケット(116)から近位に引き抜くことで実現し得る。電池パック(120)及びハンドルアセンブリ(100)は、相補的な電気的接点、ピン及びソケット、並びに/又は、電池パック(120)がソケット(116)内に挿入された場合に、電池パック(120)からハンドルアセンブリ(100)内の電動構成要素への電気的通信用の経路を提供するその他の特徴部を有し得るということを理解されたい。また、いくつかの変形形態では、電池パック(120)がハンドルアセンブリ(100)から取り外し不可能なように、電池パック(120)はハンドルアセンブリ(100)に一体的に統合されるということも理解されたい。
【0013】
シャフトアセンブリ(200)は、ハンドルアセンブリ(100)から遠位に延在し、予め成形された屈曲部を含む。いくつかの変形形態では、予め成形された屈曲部は、患者の大腸内にステープル留めヘッドアセンブリ(300)を位置付けることを容易にするように構成されている。使用できる様々な好適な曲がり角度又は曲率半径が、本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかとなるであろう。いくつかの他の変形形態では、シャフトアセンブリ(200)は真っ直ぐであり、シャフトアセンブリ(200)には、予め形成された曲がり部が存在しない。様々な例示的な構成要素が、シャフトアセンブリ(200)に統合され得るが、それについては後でより詳しく説明する。
【0014】
ステープル留めヘッドアセンブリ(300)は、シャフトアセンブリ(200)の遠位端に位置する。
図1~
図2に示すように、また、後でより詳しく説明するように、アンビル(400)は、ステープル留めヘッドアセンブリ(300)に隣接して、シャフトアセンブリ(200)に取り外し可能に連結するように構成される。また、後でより詳しく説明するように、アンビル(400)及びステープル留めヘッドアセンブリ(300)は、3とおりに協働して組織を操作するように構成されているが、それには、組織をクランプすること、組織を切断すること、及び組織をステープル留めすることが含まれる。ハンドルアセンブリ(100)の近位端に設けられたノブ(130)は、ケーシング(110)に対して回転可能であり、アンビル(400)とステープル留めヘッドアセンブリ(300)との間で、組織を正確にクランプすることができるようになっている。ハンドルアセンブリ(100)の安全トリガ(140)が、ハンドルアセンブリ(100)の発射トリガ(150)から遠ざかるように枢動した場合、発射トリガ(150)は、組織が切断されステープル留めされるように作動され得る。
【0015】
II.例示的なアンビル
A.概要
アンビル(400)についての以後の考察では、「遠位」及び「近位」という用語(並びにそれらの変形)は、アンビル(400)が器具(10)のシャフトアセンブリ(200)に連結されたときのアンビル(400)の配向を指して用いられる。したがって、アンビル(400)の近位要素は、器具(10)の操作者により近い側にある一方で、アンビル(400)の遠位要素は、器具(10)の操作者により遠い側にある。
【0016】
図3~
図5に最もよく示されるように、本実施例のアンビル(400)は、ヘッド(410)及び柄(420)を備える。ヘッド(410)は、複数のステープル成形ポケット(414)を画定する近位表面(412)を含む。ステープル成形ポケット(414)は、本実施例では2列の同心環状アレイに配置される。いくつかの他の変形形態では、ステープル成形ポケット(414)は、3列以上の同心環状アレイで配置される。ステープル成形ポケット(414)は、ステープルがステープル成形ポケット(414)内に駆動されると、ステープルを変形させるように構成されている。例えば、各ステープル成形ポケット(414)は、当該技術分野では既知のように、概ねU字形状のステープルを、B字形状に変形し得る。
図4に最もよく示されるように、近位表面(412)は内縁部(416)で終焉し、それによって柄(420)を取り囲む環状凹部(418)の外側の境界線が画定される。
【0017】
柄(420)は孔(422)を画定し、孔(422)内に位置付けられた一対の枢動ラッチ部材(430)を含む。
図5に最もよく示されるように、各ラッチ部材(430)は、T字形状の遠位端(432)と、丸みのある近位端(434)と、近位端(434)に対して遠位に位置するラッチシェルフ(436)と、を含む。T字形状の遠位端(432)が、ラッチ部材(430)を孔(422)内に固定する。ラッチ部材(430)は、近位端(434)が、柄(420)の側壁を貫通して成形される横方向開口部(424)の近位端に位置付けられるように孔(422)内に位置付けられている。このようにして横方向開口部(424)は、近位端(434)とラッチシェルフ(436)に対して、柄(420)によって画定される長手方向軸線から、径方向外向き反ることができるようにするクリアランスを提供する。しかしながら、ラッチ部材(430)は、近位端(434)及びラッチシェルフ(436)を、柄(420)によって画定される長手方向軸線に向かって径方向内向きに枢動するように、弾性的に付勢するように構成されている。このようにしてラッチ部材(430)は、保持クリップとして動作する。このことにより、後でより詳しく説明するように、ステープル留めヘッドアセンブリ(300)のトロカール(330)に、アンビル(400)が取り外し可能に固定されるのが可能とされる。柄(420)がトロカール(330)に固定され、トロカール(330)が近位に後退されると、本体部材(310)の内側芯部材(312)内の孔(314)の内径は、ラッチ部材(430)を横方向に拘束して、ラッチシェルフ(436)とトロカール(330)のヘッド(334)の近位表面(338)との間の係合を維持する。この係合は、ステープル留めヘッドアセンブリ(300)の発射中にアンビル(400)がトロカール(330)から解放されることを防止する。しかしながら、ラッチシェルフ(436)は、任意で設けられるものに過ぎないということを理解されたい。アンビル(400)は、他の任意の好適な構成要素、特徴部又は技術を用いて、トロカール(330)に取り外し可能に固定され得る。
【0018】
図3~
図4に最もよく示されるように、本実施例の柄(420)は、角度アレイで柄(420)の周りに離間配置されている1組の長手方向に延在するスプライン(426)を含む。各スプライン(426)の近位端は、それぞれの導入縁部(428)を含む。後でより詳しく説明するように、スプライン(426)は、アンビル(400)とステープル留めヘッドアセンブリ(300)との間の所定の角度整合を一貫して提供するために、ステープル留めヘッドアセンブリ(300)の内側本体部材(310)の対応するスプライン(316)と係合するように構成されている。また以下に記載するように、この角度整合は、アンビル(400)のステープル成形ポケット(414)が、ステープル留めヘッドアセンブリ(300)のステープル開口部(324)と適切に一貫して角度整合されることを確実にし得る。したがって、本実施例では、スプライン(426)は、ステープル成形ポケット(414)に対して正確かつ一貫して位置付けられる。ヘッド(410)及び柄(420)が最初に別個の部品として成形され、その後、共に接合される変形形態では、ヘッド(410)及び柄(420)を共に接合するために使用される機械又は他のデバイスは、ヘッド(410)及び柄(420)の適切な角度位置付けを確実かつ一貫して達成し、それによって、ステープル成形ポケット(414)に対するスプライン(426)の正確かつ一貫した位置付けを提供するために、適切な割出能力を有し得る。本明細書の教示を考慮することで、そのような結果が達成され得る様々な好適な方法が、当業者には明らかとなるであろう。いくつかの他の変形形態では、ヘッド(410)及び柄(420)は、単一の一体型構造として共に同時に成形される。
【0019】
場合によっては、アンビル(400)内のステープル成形ポケット(414)の構成及び配置を変更することが望ましいことがある。ステープル成形ポケット(414)を再構成及び再配置することは、ステープル成形ポケット(414)によって形成される、ステープル(90)の再構成及び再配置をもたらし得ることを理解されたい。例えば、ステープル成形ポケット(414)の構成及び配置は、ステープル(90)によって固定される吻合(70)の構造的一体性に影響を及ぼし得る。加えて、ステープル成形ポケット(414)の構成及び配置は、ステープル(90)によって固定される吻合(70)において達成される止血に影響を及ぼし得る。以下の説明は、ステープル成形ポケット(414)とは異なるステープル成形ポケットの構成及び配置を提供する、アンビル(400)のいくつかの例示的な変形例に関する。
【0020】
下記で説明するアンビル(400)に対する様々な代替的な形態は、アンビル(400)の代わりに器具(10)と共に容易に使用され得ることを理解されたい。場合によっては、デッキ部材(320)内のステープル開口部(324)の構成及び配置は、下記で説明する代替的ステープル成形ポケットの構成及び配置を補完するために、変更される必要があり得ることも理解されたい。下記で説明するアンビル(400)に対する代替的な形態が器具(10)に組み込まれ得る様々な好適な方法は、本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかとなるであろう。
【0021】
B.例示的な三次元ステープル形成特徴部
図6~
図8は、器具(10)の修正変形形態と共に使用され得る、例示的な代替的アンビル(500)を示す。この実施例のアンビル(500)は、下記で説明する差異を除いてはアンビル(400)と全く同様に構成され、動作可能である。本実施例のアンビル(500)は、ステープル成形ポケット(510、530)の内側環状アレイ(502)、及びステープル成形ポケット(550、570)の外側環状アレイ(504)を画定する近位表面(506)を含む。面取り縁部(508)は、近位表面(506)の外周の周りに延在する。アンビル(500)は、トロカール(330)に固定されてもよく、近位表面(506)は、デッキ表面(322)に対して組織を圧縮するために使用されてもよく、ステープルドライバ(352)は、ステープル(90)を組織を通してステープル成形ポケット(510、530、550、570)内に駆動して、それによって組織内にてステープル(90)を成形してもよいことを理解されたい。
【0022】
図7~
図8に最もよく示されるように、各ステープル成形ポケット(510)は、ステープル入口表面(512)と、ステープル出口表面(514)と、を含む。表面(512、514)は互いに隣接し、凹状凹部を画定する。表面(512、514)によって形成される凹状凹部は、内壁(516)、第1の外壁(518)、第2の外壁(520)、及び第3の外壁(522)によって更に画定される。本実施例では、壁(516、518、520、522)は各々、実質的に平坦である。壁(518)は、壁(516)との比較的狭い先細間隙を画定する。壁(522)は、壁(516)との比較的広い間隙を画定する。壁(520)は、斜めに角度付けられており、壁(522)から壁(518)へ内向きに傾斜した移行部を提供する。したがって、壁(518、520、522)は共に、ドッグレッグ構成を提供する。壁(516)を壁(522)に接続する縁部は、この実施例では実質的に真っ直ぐである。同様に、壁(516)を壁(518)に接続する縁部は、この実施例では実質的に真っ直ぐである。
【0023】
ステープル(90)の第1の脚部がステープル成形ポケット(510)内へ駆動されると、第1の脚部は、まずステープル入口表面(512)に直面し、概してステープル(90)の第2の脚部に向かって、未形成の第1の脚部の軸線に直交する第1の平面に沿って屈曲し、次いで、概してステープル(90)の冠部に向かって近位に屈曲して戻ることを理解されたい。加えて、第1の脚部は最終的に、壁(520)に直面することになり、これは、未形成の第1の脚部の軸線に直交する第2の平面に沿って、第1の脚部を屈曲させるカム表面を提供するであろう。特に、壁(520)引いては壁(518)は、第1の脚部を径方向内向きに、アンビル(500)の中心軸線に向けて偏向させるであろう。したがって、ステープル成形ポケット(510)は、最終的に、ステープル(90)の第1の脚部を近位に及び径方向内向きに偏向させるであろう。壁(516)は、ステープル(90)の第1の脚部が径方向内向きに偏向する程度を制限するであろう。
【0024】
各ステープル成形ポケット(530)は、ステープル入口表面(532)と、ステープル出口表面(534)と、を含む。表面(532、534)は互いに隣接し、凹状凹部を画定する。表面(532、534)によって形成される凹状凹部は、外壁(536)、第1の内壁(538)、第2の内壁(540)、及び第3の内壁(542)によって更に画定される。本実施例では、壁(536、538、540、542)は各々、実質的に平坦である。壁(538)は、壁(536)との比較的狭い先細間隙を画定する。壁(542)は、壁(536)との比較的広い間隙を画定する。壁(540)は、斜めに角度付けられており、壁(542)から壁(538)へ外向きに傾斜した移行部を提供する。したがって、壁(538、540、542)は共に、ドッグレッグ構成を提供する。壁(536)を壁(542)に接続する縁部は、この実施例では実質的に真っ直ぐである。同様に、壁(536)を壁(538)に接続する縁部は、この実施例では実質的に真っ直ぐである。
【0025】
ステープル(90)の第2の脚部がステープル成形ポケット(530)内へ駆動されると、第2の脚部は、まずステープル入口表面(532)に直面し、概してステープル(90)の第1の脚部に向かって、未形成の第2の脚部の軸線に直交する第1の平面に沿って屈曲し、次いで、概してステープル(90)の冠部に向かって近位に屈曲して戻ることを理解されたい。加えて、第2の脚部は最終的に、壁(540)に直面することになり、これは、未形成の第2の脚部の軸線に直交する第2の平面に沿って、第2の脚部を屈曲させるカム表面を提供するであろう。特に、壁(540)引いては壁(538)は、第2の脚部を径方向外向きに、アンビル(500)の中心軸線から離して偏向させるであろう。したがって、ステープル成形ポケット(530)は最終的に、ステープル(90)の第2の脚部を近位に及び径方向外向きに偏向させるであろう。壁(536)は、ステープル(90)の第2の脚部が径方向外向きに偏向する程度を制限するであろう。
【0026】
各ステープル成形ポケット(550)は、ステープル入口表面(552)と、ステープル出口表面(554)と、を含む。表面(552、554)は互いに隣接し、凹状凹部を画定する。表面(552、554)によって形成される凹状凹部は、外壁(556)、第1の内壁(558)、第2の内壁(560)、及び第3の内壁(562)によって更に画定される。本実施例では、壁(556、558、560、562)は各々、実質的に平坦である。壁(558)は、壁(556)との比較的狭い先細間隙を画定する。壁(562)は、壁(556)との比較的広い間隙を画定する。壁(560)は、斜めに角度付けられており、壁(562)から壁(558)へ外向きに傾斜した移行部を提供する。したがって、壁(558、560、562)は共に、ドッグレッグ構成を提供する。壁(556)を壁(562)に接続する縁部は、この実施例では実質的に真っ直ぐである。同様に、壁(556)を壁(558)に接続する縁部は、この実施例では実質的に真っ直ぐである。
【0027】
ステープル(90)の第2の脚部がステープル成形ポケット(550)内へ駆動されると、第2の脚部は、まずステープル入口表面(552)に直面し、概してステープル(90)の第1の脚部に向かって、未形成の第2の脚部の軸線に直交する第1の平面に沿って屈曲し、次いで、概してステープル(90)の冠部に向かって近位に屈曲して戻ることを理解されたい。加えて、第2の脚部は最終的に、壁(560)に直面することになり、これは、未形成の第2の脚部の軸線に直交する第2の平面に沿って、第2の脚部を屈曲させるカム表面を提供するであろう。特に、壁(560)引いては壁(558)は、第2の脚部を径方向外向きに、アンビル(500)の中心軸線から離して偏向させるであろう。したがって、ステープル成形ポケット(550)は最終的に、ステープル(90)の第2の脚部を近位に及び径方向外向きに偏向させるであろう。壁(556)は、ステープル(90)の第2の脚部が径方向外向きに偏向する程度を制限するであろう。
【0028】
各ステープル成形ポケット(570)は、ステープル入口表面(572)と、ステープル出口表面(574)と、を含む。表面(572、574)は互いに隣接し、凹状凹部を画定する。表面(572、574)によって形成される凹状凹部は、内壁(576)、第1の外壁(578)、第2の外壁(580)、及び第3の外壁(582)によって更に画定される。本実施例では、壁(576、578、580、582)は各々、実質的に平坦である。壁(578)は、壁(576)との比較的狭い先細間隙を画定する。壁(582)は、壁(576)との比較的広い間隙を画定する。壁(580)は、斜めに角度付けられており、壁(582)から壁(578)へ内向きに傾斜した移行部を提供する。したがって、壁(578、580、582)は共に、ドッグレッグ構成を提供する。壁(576)を壁(582)に接続する縁部は、この実施例では実質的に真っ直ぐである。同様に、壁(576)を壁(578)に接続する縁部は、この実施例では実質的に真っ直ぐである。
【0029】
ステープル(90)の第1の脚部がステープル成形ポケット(570)内へ駆動されると、第1の脚部は、まずステープル入口表面(572)に直面し、概してステープル(90)の第2の脚部に向かって、未形成の第1の脚部の軸線に直交する第1の平面に沿って屈曲し、次いで、概してステープル(90)の冠部に向かって近位に屈曲して戻ることを理解されたい。加えて、第1の脚部は最終的に、壁(580)に直面することになり、これは、未形成の第1の脚部の軸線に直交する第2の平面に沿って、第1の脚部を屈曲させるカム表面を提供するであろう。特に、壁(580)引いては壁(578)は、第1の脚部を径方向内向きに、アンビル(500)の中心軸線に向けて偏向させるであろう。したがって、ステープル成形ポケット(570)は、最終的に、ステープル(90)の第1の脚部を近位に及び径方向内向きに偏向させるであろう。壁(576)は、ステープル(90)の第1の脚部が径方向内向きに偏向する程度を制限するであろう。
【0030】
図6に最もよく示されるように、ステープル成形ポケット(510、530、550、570)は、アンビル(500)の中心から外向きに延在する半径線(R
L)が、ステープル成形ポケット(510)のステープル入口表面(512)の領域を通過し、ステープル成形ポケット(550)のステープル入口表面(552)の領域を通過するように配置される。したがって、ステープル成形ポケット(510、550)は、径方向寸法に沿って重なり合っている。加えて、アンビル(500)の中心から外向きに延在する別の半径線(R
L)は、ステープル成形ポケット(530)のステープル入口表面(532)の領域、及びステープル成形ポケット(570)の入口表面(572)の領域を通過する。したがって、ステープル成形ポケット(530、570)は、径方向寸法に沿って重なり合っている。加えて、アンビル(500)の中心から外向きに延在する別の半径線(R
L)は、ステープル成形ポケット(570)の出口表面(574)の領域、及びステープル成形ポケット(550)の出口表面(554)の領域を通過する。したがって、ステープル成形ポケット(550、570)は、径方向寸法に沿って重なり合っている。また、ポケットの各対(550、570)内のステープル成形ポケット(550、570)は、この構成で連動していることも理解されたい。加えて、アンビル(500)の中心から外向きに延在する別の半径線(R
L)は、ステープル成形ポケット(510)のステープル出口表面(514)の領域、及びステープル成形ポケット(530)の出口表面(534)の領域を通過する。したがって、ステープル成形ポケット(510、530)は、径方向寸法に沿って重なり合っている。また、ポケットの各対(510、530)内のステープル成形ポケット(510、530)は、この構成で連動していることも理解されたい。
【0031】
本実施例では、内側環状アレイ(502)及び外側環状アレイ(504)は、内側ポケットの各対(510、530)内の最も内側のポケット(510)が、ポケット対(510、530)の左側(
図7の図において)にあるように、また、外側ポケットの各対(550、570)内の最も内側のポケット(570)が、ポケット対(550、570)の左側(
図7の図において)にあるように、同様に構成されることを理解されたい。
【0032】
また、本実施例では、ステープル入口表面(532)に関連付けられている壁(536)の端部は、屈曲領域(537)を含み、屈曲領域(537)は、わずかに内向きに、アンビル(500)の中心領域に向かって屈曲する。この屈曲領域(537)は、壁(536)と壁(576)との間の最小距離を維持するために形成されてもよく、それによって、ステープル成形ポケット(530)とステープル成形ポケット(570)との間の最小距離を維持し、これは、アンビル(500)のより信頼性の高い製造を更に提供し得ることを理解されたい。加えて、屈曲領域(537)は、ステープル成形ポケット(530)によって形成されるステープル(90)の第2の脚部の異なる挙動を提供し得る。そのような異なる挙動は、アンビル(500)内の偏向及び/又は傾斜に関連する可能性があり、それは、所与のステープル(90)の第1及び第2の脚部が、ステープル留めヘッドアセンブリ(300)の作動中の異なる時点で、対応する表面(512、532)に接触することをもたらし得る。
【0033】
また、屈曲領域(537)の存在は、ステープル成形ポケット(530)を他のステープル成形ポケット(510、550、570)に対して固有にする構造的構成をステープル成形ポケット(530)に提供することも理解されたい。対照的に、ステープル成形ポケット(510)の構造的構成は、ステープル成形ポケット(570)の構造的構成と同一である一方、ステープル成形ポケット(550)の構造的構成は、ステープル成形ポケット(510、570)の構造的構成の鏡映反転である。
【0034】
本実施例では、ポケットの各対(510、530)内のポケット(510、530)間の間隔は、ポケットの各対(550、570)内のポケット(550、570)間の間隔に等しい。したがって、ポケット(510、530)によって形成されたステープル(90)は、ポケット(550、570)によって形成されたステープルと同じ冠部幅を有することになる。しかしながら、いくつかの他の変形形態では、ポケットの各対(510、530)内のポケット(510、530)間の間隔は、ポケットの各対(550、570)内のポケット(550、570)間の間隔よりも小さい。そのような変形形態では、ポケット(550、570)を使用して、ポケット(510、530)を使用して形成されるステープル(90)よりも長い冠部幅を有するステープル(90)を形成してもよい。別の単なる例示的な変形例として、ポケットの各対(510、530)内のポケット(510、530)間の間隔は、ポケットの各対(550、570)内のポケット(550、570)間の間隔よりも大きくてもよい。そのような変形形態では、ポケット(550、570)を使用して、ポケット(510、530)を使用して形成されるステープル(90)よりも短い冠部幅を有するステープル(90)を形成してもよい。換言すれば、ステープルの少なくとも2つの環状アレイが形成される場合、1つのアレイ内のステープル(90)は、別の環状アレイ内のステープル(90)よりも大きい、よりも小さい、又は同じ冠部幅を有し得る。
【0035】
また、
図7でも分かるように、ステープル成形ポケット(510、530)は、アンビル(500)の中心から一定の半径で表面(506)に沿って延在する円周線(C
L)に沿って完全にはセンタリングされないように配置される。ステープル入口表面(512、532)の最も外側の領域は、同じ円周線(C
L)に沿って径方向にセンタリングされている。しかしながら、ステープル成形ポケット(510)は、ステープル出口表面(514)が円周線(C
L)から実質的に径方向内側に位置付けられるように、円周線(C
L)に対して実質的に斜めに配向されている。対照的に、ステープル出口表面(534)は、円周線(C
L)からわずかに径方向外側の部分位置に実質的に沿って位置付けられる。換言すれば、ステープル成形ポケット(530)は、円周線(C
L)に沿って実質的に位置揃えされているが、ステープル成形ポケット(510)は、円周線(C
L)に対して径方向内側に実質的に傾斜し、ステープル入口表面(512、532)の最も外側の領域が、円周線(C
L)に沿って径方向にセンタリングされている。
【0036】
図7~
図8に示される図は、アンビル(500)の全周の一部のみを示しているが、
図7~
図8に示される構造は、アンビル(500)の全周に沿って延在することを理解されたい。
図7~
図8は、構造を更に詳細に示すために拡大として提供されるだけであり、示された構造がアンビル(500)の周方向に沿って限定された角度範囲内にのみ位置していることを示唆することを意図するものではない。
【0037】
当業者であれば、アンビル(500)によって成形されたステープルは、互いに概ね向かって屈曲していることに加えて、脚部がステープルの冠部を通過する平面から角度的にオフセットされている三次元プロファイルを有することを理解するであろう。あくまで一例として、アンビル(500)を使用して成形されたステープルは、開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、2018年10月9日に発行された米国特許第10,092,292号、発明の名称「Staple Forming Features for Surgical Stapling Instrument」に示され、記載されているステープルの少なくとも一部と同様の外観を有してもよい。単に更なる一例として、アンビル(500)を使用して成形されたステープルは、開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、2018年5月17日に公開された米国特許出願公開第2018/0132849号、発明の名称「Staple Forming Pocket Configurations for Circular Surgical Stapler Anvil」に示され、記載されているステープルの少なくとも一部と同様の外観を有してもよい。
【0038】
上記のものに加えて又はその代わりに、アンビル(400)は、開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、下記特許文献の教示のうちの少なくとも一部に従って、更に構築され、かつ動作可能であってもよい。米国特許第5,205,459号;米国特許第5,271,544号;米国特許第5,275,322号;米国特許第5,285,945号;米国特許第5,292,053号;米国特許第5,333,773号;米国特許第5,350,104号;米国特許第5,533,661号;及び/又は米国特許第8,910,847号。更に他の好適な構成については、本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかとなるであろう。
【0039】
III.例示的なステープル留めヘッドアセンブリ
A.概要
図9~
図11に最もよく示されるように、本実施例のステープル留めヘッドアセンブリ(300)は、シャフトアセンブリ(200)の遠位端に連結され、本体部材(310)と、摺動可能なステープルドライバ部材(350)と、を備える。本体部材(310)は、遠位に延在する円筒状内側芯部材(312)を含む。本体部材(310)は、シャフトアセンブリ(200)の外部シース(210)に固定的に取り付けられる。したがって、本体部材(310)及び外部シース(210)は、ステープル留めヘッドアセンブリ(300)の機械的土台として共に役立つ。
【0040】
図10に示すように、本体部材(310)の内側芯部材(312)は、孔(314)を画定する。複数の長手方向に延在するスプライン(316)は、孔(314)内の角度アレイで等距離に離間配置されている。スプライン(316)の遠位端は、アンビル(400)の柄(420)上のスプライン(426)の導入縁部(428)を補完するように構成された導入縁部(318)を含む。特に、後でより詳しく説明するように、柄(420)がトロカール(330)に固定された後、後でより詳しく説明するように、アンビル(400)がその後、ステープル留めヘッドアセンブリ(300)に対して近位に後退されるとき、導入縁部(318、428)は、互いに協働的に係合して、アンビル(400)をトロカール(330)に対して回転するように駆動し、アンビル(400)のスプライン(426)を、本体部材(310)のスプライン(316)間の間隙と角度整合させてもよい。スプライン(316)間の間隙は、スプライン(426)の幅と実質的に等しい幅を有するように構成されてもよい。このようにして、アンビル(400)のスプライン(426)が本体部材(310)のスプライン(316)間の間隙内に位置付けられると、アンビル(400)は、ステープル留めヘッドアセンブリ(300)に対して所定の角度整合を達成することができる。この所定の角度整合は、デッキ部材(320)のステープル開口部(324)がアンビル(400)の対応するステープル成形ポケット(414、510、530)と正確に整合されることを確実にし得る。したがって、スプライン(316、426)は、アンビル(400)が最初にトロカール(330)に固定されているときに、ステープル留めヘッドアセンブリ(300)に対するアンビル(400)の角度配向にかかわらず、ステープル開口部(324)を貫通して放出されたステープルが、対応するステープル成形ポケット(414、510、530)内に一貫して正確に駆動されるように、互いに協働するように構成されている。
【0041】
トロカール(330)は、本体部材(310)の内側芯部材(312)内に同軸的に位置付けられている。後でより詳しく説明するように、トロカール(330)は、ノブ(130)がハンドルアセンブリ(100)のケーシング(110)に対して回転するのに応答して本体部材(310)に対して遠位に及び近位に並進するよう動作可能である。トロカール(330)は、シャフト(332)と、ヘッド(334)と、を備える。ヘッド(334)は、尖形状の先端部(336)と、内向きに延在する近位表面(338)と、を含む。したがって、シャフト(332)は、ヘッド(334)のちょうど近位で外径が小さくなっていて、近位表面(338)が、シャフト(332)のその小さくなった外径とヘッド(334)の外径との間の移行を提供する。本実施例では、先端部(336)が尖形状であるが、先端部(336)は鋭利ではない。したがって、先端部(336)は、組織との不注意な接触による組織への外傷を容易には引き起こさない。ヘッド(334)、及びシャフト(332)の遠位部分は、アンビル(400)の孔(422)に挿入されるように構成されている。近位表面(338)とラッチシェルフ(436)とは、アンビル(400)の柄(420)がトロカール(330)上に完全に着座した場合に、ラッチシェルフ(436)が近位表面(338)に係合するような、相補的な位置及び構成を有する。したがって、アンビル(400)は、ラッチ部材(430)によるスナップ嵌めを介して、トロカール(330)に固定される。
【0042】
ステープルドライバ部材(350)は、後でより詳しく説明するように、モータ(161)の起動に応答して、本体部材(310)内で長手方向に作動するよう動作可能になっている。ステープルドライバ部材(350)は、ステープルドライバ(352)の遠位に提示された2列の同心環状アレイを含む。ステープルドライバ(352)は、上述のステープル成形ポケット(414)の配置に対応するように配置されている。したがって、各ステープルドライバ(352)は、ステープル留めヘッドアセンブリ(300)が作動されると、対応するステープルを対応するステープル成形ポケット(414)の中に駆動するように構成されている。上述のように、ステープルドライバ(352)の配置は、ステープル成形ポケット(414)とちょうど同じように修正し得るということを理解されたい。ステープルドライバ部材(350)はまた、本体部材(310)の内側芯部材(312)を同軸的に受容するように構成されている孔(354)を画定する。スタッド(356)の環状アレイが、孔(354)を取り囲む遠位に提示された表面から遠位に突出している。
【0043】
円筒状ナイフ部材(340)は、ステープルドライバ部材(350)内に、同軸的に位置付けられている。ナイフ部材(340)は、遠位に提示された、鋭利な円形の刃先(342)を含む。ナイフ部材(340)は、ステープルドライバ(352)の内側環状アレイにより画定される直径よりも小さい外径を、ナイフ部材(340)が画定するようにサイズ決めされている。ナイフ部材(340)はまた、本体部材(310)の内側芯部材(312)を同軸的に受容するように構成されている開口部を画定する。ナイフ部材(340)に形成された開口部(346)の環状アレイは、ステープルドライバ部材(350)のスタッド(356)の環状アレイを補完するように構成され、ナイフ部材(340)が、スタッド(356)と開口部(346)とを介してステープルドライバ部材(350)に固定的に取り付けられるようになっている。あくまで一例として、スタッド(356)は、当該技術分野において既知の技術を用いてナイフ部材(340)に熱かしめされ得る。ナイフ部材(340)とステープルドライバ部材(350)との間の他の好適な構造的関係については、本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかとなるであろう。
【0044】
デッキ部材(320)が、本体部材(310)に固定的に取り付けられている。デッキ部材(320)は、ステープル開口部(324)の2列の同心環状アレイを画定する、遠位に向けられたデッキ表面(322)を含む。ステープル開口部(324)は、上述のステープルドライバ(352)及びステープル成形ポケット(414)の配置に対応するように配置されている。したがって、各ステープル開口部(324)は、ステープル留めヘッドアセンブリ(300)が作動された場合に、対応するステープルドライバ(352)が対応するステープルを、デッキ部材(320)を貫通して、対応するステープル成形ポケット(414)の中に駆動する経路を提供するように構成されている。上述のように、ステープル開口部(324)の配置は、ステープル成形ポケット(414)の配置とちょうど同じように修正し得るということを理解されたい。また、ステープル留めヘッドアセンブリ(300)が作動される前に、ステープルをステープル留めヘッドアセンブリ(300)内に収容するために、様々な構造及び技術が用いられ得るということも理解されたい。ステープルをステープル留めヘッドアセンブリ(300)内に収容するために用いられるそのような構造及び技術は、ステープル留めヘッドアセンブリ(300)が作動される前に、ステープルが、ステープル開口部(324)から誤って脱落するのを防ぎ得る。このような構造及び技術が取り得る様々な好適な形態については、本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかとなるであろう。
【0045】
図9に最もよく示されるように、デッキ部材(320)は、ナイフ部材(340)が画定する外径よりも、ほんのわずかに大きい内径を画定する。したがって、デッキ部材(320)は、ナイフ部材(340)が遠位に、刃先(342)がデッキ表面(322)の遠位となる点まで並進するのを可能にするように構成されている。
【0046】
B.例示的な組織把持特徴部
ステープル留めヘッドアセンブリ(300)の作動中の組織の把持性を高める特徴部を含む、ステープル留めヘッドアセンブリ(300)の変形形態を提供することにより、ステープル留めヘッドアセンブリ(300)がステープル留めヘッドアセンブリ(300)の位置付け中に組織に沿って摺動する際に、患者の組織を損傷するリスクを増大させることなく、効果的な組織切断及びステープルの展開を促進することが望ましい場合がある。
図12~
図13は、組織損傷のリスクを増大させることなく、組織把持効果を向上させるデッキ部材(600)の一例を示す。デッキ部材(600)は、デッキ部材(320)の代わりにステープル留めヘッドアセンブリ(300)に容易に組み込むことができる。
【0047】
この実施例のデッキ部材(600)は、第1のデッキ表面(622)、第2のデッキ表面(630)、及びステープル開口部(624)の2列の同心環状アレイを有している。ステープル開口部(624)は、上述のステープルドライバ(352)及びステープル成形ポケット(414)の配置に対応するように配置されている。したがって、各ステープル開口部(624)は、デッキ部材(600)を組み込んだステープル留めヘッドアセンブリ(300)が作動される際に、対応するステープルドライバ(352)が対応するステープルを、デッキ部材(600)を貫通して対応するステープル成形ポケット(414)内へと駆動する経路を与えるように構成されている。デッキ部材(600)は、ナイフ部材(340)によって画定される外径よりもほんのわずかに大きい内径を画定している。したがって、デッキ部材(600)は、ナイフ部材(340)が遠位に、刃先(342)が第2のデッキ表面(630)の平面の遠位となる点まで並進するのを可能にするように構成されている。
【0048】
本実施例では、外側縁部(620)は、一貫した表面形状でデッキ部材(600)の全周にわたっている。本実施例では、外側縁部(620)は、外側縁部(620)が組織に引っ掛かることを防止するように構成されている。いくつかの変形形態では、外側縁部(620)は、湾曲した断面形状を有している。いくつかの他の変形形態では、外側縁部(620)は、面取りされた断面形状を有する。あるいは、外側縁部(620)は、他の任意の適当な種類の断面形状を有してもよい。
【0049】
第2のデッキ表面(630)は、第1のデッキ表面(622)に対して高くなっているため、第1のデッキ表面(622)は第2のデッキ表面(630)に対して引っ込んでいる。図示のように、第2のデッキ表面(630)は、ステープル開口部(624)の内側アレイ及びステープル開口部(624)の外側アレイを含む、全てのステープル開口部(624)を完全に取り囲む。しかしながら、第1のデッキ表面(622)は、ステープル開口部(624)の外側アレイのステープル開口部(624)間で内向きに延在しており、これにより、第2のデッキ表面(630)においてステープル開口部(624)の外側アレイのステープル開口部(624)間に間隙(626)を形成している。
【0050】
複数の凹部(670)が、ステープル開口部(624)の内側環状アレイのステープル開口部(624)間で離間配置されている。本実施例の凹部(670)は、概ね二等辺三角形状であり、各三角形は、等しい長さを有する一対の直線壁(674)と内側環状壁(672)とによって画定されている。壁(674)によって形成された頂点は、凹部(670)の径方向の最も外側の点に位置付けられている。特に、これらの頂点は、ステープル開口部(624)の角度的に最も外側の点が位置する同じ円周に一致する径方向位置に位置している。換言すれば、凹部(670)のこれらの頂点及びステープル開口部(624)の対応する点は、この実施例では、いずれも、同じ円周に沿った同じ径方向距離に位置付けられている。あるいは、凹部(670)の位置及び構成は、ステープル開口部(624)の位置及び構成と他の任意の適当な関係を有してもよい。
【0051】
本実施例の凹部(670)どうしは、内側環状壁(672)と、それぞれの対向する環状壁(676)との間に画定されるチャネル(680)によって互いに接合されている。壁(672、676)は互いに平行であり、互いに対して密接に位置付けられているため、チャネル(680)は、凹部(670)と比較して大幅に小さくなっている。
【0052】
間隙(626)、凹部(670)、及びチャネル(680)は、上述のようにアンビル(400)によって組織がデッキ表面(622、630)に対して圧縮される際に組織を受容するように構成されている。特に、アンビル(400)がノブ(130)により作動されてアンビル(400)とデッキ表面(622、630)との間で組織を圧縮すると、圧縮された組織の一部が間隙(626)、凹部(670)、及びチャネル(680)に入り込む。組織の一部を間隙(626)、凹部(670)及びチャネル(680)に入り込ませることによって、組織がデッキ表面(322)のような一貫して平坦なデッキ表面に対して圧縮される場合に組織に加えられるであろう総圧力を低減することができる。したがって、組織にかかる圧力は、圧力が実際に必要とされる領域、つまりステープル開口部(624)のすぐ隣にのみ集中する。組織にかかる総圧力を低減することにより、デッキ部材(600)は、組織が過剰な圧縮によって破断するリスクを低減することができる。組織にかかる総圧力を低減することに加えて、間隙(626)、凹部(670)及びチャネル(680)内に組織の一部が入り込むことで、デッキ表面(322)のような一貫して平坦なデッキ表面を使用して達成することができる把持力よりも大きな把持力を圧縮された組織に与えることができる。高い組織の把持力は、ナイフ部材(340)による、よりきれいな切断を促進し、更に、組織内へのステープル(90)のより効果的な展開を促進することができる。したがって、間隙(626)、凹部(670)及びチャネル(680)の存在はいずれも、組織の過剰な圧縮のリスクを低減し、組織の切断及びステープル留めにおけるより高い効果を促進することができる。
【0053】
本実施例では、間隙(626)、凹部(670)及びチャネル(680)はいずれも、第2のデッキ表面(630)に対してほぼ同じ深さにまで延在している。いくつかの他の変形形態では、間隙(626)、凹部(670)、及びチャネル(680)は、第2のデッキ表面(630)に対して異なる深さにまで延在する。例えば、間隙(626)は、第2のデッキ表面(630)に対して凹部(670)よりも大きな深さにまで延在してもよく、又はその逆であってもよい。また、間隙(626)は、デッキ部材(600)の角度範囲の少なくとも一部に沿って間隙(626)が比較的浅い間隙(626)と比較的深い間隙(626)との間で交互に代わるように、第2のデッキ表面(630)に対して交互の深さを有し得るということも理解されたい。同様に、凹部(670)は、デッキ部材(600)の角度範囲の少なくとも一部に沿って凹部(670)が比較的浅い凹部(670)と比較的深い凹部(670)との間で交互に代わるように、第2のデッキ表面(630)に対して交互の深さを有してもよい。更に別のあくまで例示的な変形例として、特定の間隙(626)又は凹部(670)の深さが、その特定の間隙(626)又は凹部(670)内で変化してもよい。例えば、特定の間隙(626)の径方向に最も内側の領域が、その同じ間隙(626)の径方向に最も外側の領域よりも深いか、又は浅くともよい。同様に、各凹部(670)の頂点に近い領域が、各凹部(670)の内側環状壁(672)に近い領域よりも深いか、又は浅くともよい。第2のデッキ表面(630)に対する間隙(626)、凹部(670)、及び/又はチャネル(680)の深さにおいて与えることができる他の適当な変形例は、本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかとなるであろう。
【0054】
内側環状壁(672)は、デッキ部材(600)の全周に沿って一貫して延在している。特に、内側環状壁(672)の最上縁部の高さは、デッキ部材(600)の全周に沿って一貫している。したがって、内側環状壁(672)の最上縁部は、組織がアンビル(400)によってデッキ部材(600)に対して圧縮される際に、隣接する組織の環状領域に対して一貫した圧力を与えるように構成されている。このような隣接する組織の環状領域に対する一貫した加圧は、特にナイフ部材(340)が内側環状壁(672)の最上縁部のすぐ隣の組織を切断することになることから、ナイフ部材(340)による組織のきれいな切断を更に助けることができる。本実施例では、内側環状壁(672)の最上縁部は、第2のデッキ表面(630)とほぼ面一となっている。いくつかの他の変形例では、内側環状壁(672)の最上縁部は、第2のデッキ表面(630)に対して高くなっている、すなわち隆起している。更に他の変形例では、内側環状壁(672)の最上縁部は、第2のデッキ表面(630)に対して低くなっている、すなわち引っ込んでいる。
【0055】
C.例示的なアンビル連結検出
器具(10)のいくつかの変形形態では、ステープル留めヘッドアセンブリ(300)のトロカール(330)への、適切な及び/又は不適切なアンビル(400)の連結を指し示すように構成されている特徴部を伴う器具(10)を、提供することが望ましい場合がある。例えば、アンビル(400)が適切にトロカール(330)に連結されていない場合、操作者は、不適切な連結を指し示す、可聴及び/又は触覚的フィードバックを受け取り得る。更に、アンビル(400)が適切にトロカール(330)に連結されている場合、操作者は、適切な連結を指し示す、可聴、触覚的、及び/又は視覚的フィードバックを受け取り得る。追加的にあるいは代替的に、アンビル(400)がトロカール(330)に適切に連結されない限り、構造はステープル留めヘッドアセンブリ(300)の発射を防ぐように構成されてよい。例えば、アンビル(400)が適切にトロカール(330)に連結されていない場合、ステープル留めヘッドアセンブリ(300)は発射を防ぎ得る。アンビル(400)が適切にトロカール(330)に連結されている場合、ステープル留めヘッドアセンブリ(300)の発射が可能であり得る。このような構造の種々の実施例を、後でより詳しく説明する。他の実施例は、当業者には本明細書の教示を考慮することで明らかとなるであろう。更に、以下の教示を、種々のその他の状況中で使用されるデバイスに適用してよい。
【0056】
図14A~
図14Bに示される例では、トロカール(330)は、着色領域(333)を含み、着色領域(333)は、柄(420)がトロカール(330)に完全に着座する前は、着色領域(333)が露出する位置に長手方向において位置付けられ(
図14A)、柄(420)がトロカール(330)上に完全に着座したときは、被覆される(
図14B)。着色領域(333)は、トロカール(330)及び柄(420)の隣接領域に対して容易に視認可能な色(例えば、オレンジ色)を使用して着色されてもよい。柄(420)をトロカール(330)と連結するとき、操作者は着色領域(333)を観察して、ステープル留めヘッドアセンブリ(300)に対してトロカール(330)とアンビル(400)との組み合わせを後退させることを試みる前に、着色領域(333)全体が柄(420)によって覆い隠されていることを確実にし得る。操作者が着色領域(333)の一部さえも引き続き見ることができれば、操作者は、着色領域(333)が柄(420)によって完全に覆い隠されるまで、アンビル(400)をトロカール(330)上に押し付け続けることができる。
【0057】
トロカール(330)が、操作者がトロカール(330)上にアンビル(400)を適切に着座させるのを支援するために着色領域(333)などの視覚的フィードバック機構を含む場合であっても、アンビル(400)がトロカール(330)上に適切に着座されているかどうかを検出するように動作可能なセンサ機構を含むことが望ましい場合がある。そのために、
図15A~
図16Bは、本実施例のステープル留めヘッドアセンブリ(300)の中へと組み込まれた例示的なスイッチアセンブリ(2600)を示す。スイッチアセンブリ(2600)は、ドームスイッチ(2610)及び弾力的なアクチュエータスプリング(2602)を含む。アクチュエータスプリング(2602)は、本体部材(310)内に形成される空洞(2606)内に固定されている。ドームスイッチ(2610)は、アクチュエータスプリング(2602)の一対のフランジ(2612、2614)の間に位置付けられ、これにより、フランジ(2614)がフランジ(2612)に向かって移動すると、ドームスイッチ(2610)が作動する。
【0058】
アンビル(400)が、本明細書に記載されるようにトロカール(330)に適切に固定され、近位に後退すると、アンビル(400)は、フランジ(2612)をフランジ(2614)に向かって移動させて、ドームスイッチ(2610)を作動させる。ドームスイッチ(2610)の作動は、適切な連結を示す、可聴、触覚的、及び/又は視覚的フィードバックを操作者に提供し得る。ドームスイッチ(2610)の作動へのこのような反応を提供するために使用し得る様々な好適な特徴部は、本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかとなるであろう。加えて、本実施例では、ドームスイッチ(2610)の作動は、ステープル留めヘッドアセンブリ(300)の発射を可能にし得る。換言すれば、ドームスイッチ(2610)が作動されない限り、本実施例では、ステープル留めヘッドアセンブリ(300)は発射され得ない。
【0059】
アンビル(400)がトロカール(330)に固定された後、操作者は次いで、上述のように、ノブ(130)を回転させてトロカール(330)及びアンビル(400)を近位に後退させる。本明細書に記載されるように、トロカール(330)及びアンビル(400)がお互いに適切に固定されている場合、トロカール(330)及びアンビル(400)の近位後退が、アンビル(400)とステープル留めヘッドアセンブリ(300)の表面(412、322)間で管状解剖学的構造(20、40)の組織を圧縮する。トロカール(330)及びアンビル(400)が互いに適切に固定されていない場合、トロカール(330)はアンビル(400)なしに近位に後退し、管状解剖学的構造(20、40)の組織は圧縮されないままとなる。トロカール(330)及びアンビル(400)が互いに適切に固定されている場合、トロカール(330)及びアンビル(400)が近位に後退すると、アンビル(400)の柄(420)の近位端が、アクチュエータスプリング(2602)のフランジ(2612)の隆起部分(2604)と係合して、フランジ(2612)をフランジ(2614)に向けて駆動し、それにより、
図15B及び
図16Bに示すようにドームスイッチ(2610)が作動される。
【0060】
本実施例では、ドームスイッチ(2610)は、トロカール(330)上に柄(420)を適切に着座させた直後に作動されない。代わりに、ドームスイッチ(2610)が作動される前に、トロカール(330)及びアンビル(400)は、ステープル留めヘッドアセンブリ(300)に対して、少なくともある程度の距離だけ近位に後退させなければならない。本実施例では、ドームスイッチ(2610)は、アンビル(400)が本明細書に記載される「グリーンゾーン」に到達する前に作動される。いくつかの他の変形例では、ドームスイッチ(2610)は、アンビル(400)が本明細書に記載される「グリーンゾーン」の最遠位境界に到達する後まで作動されない。
【0061】
前述のように、ドームスイッチ(2610)の作動は、適切な連結を示す、可聴、触覚的、及び/又は視覚的フィードバックを操作者に提供し得る。更に、ドームスイッチ(2610)のこのような作動は、ステープル留めヘッドアセンブリ(300)の発射を可能にする。換言すれば、ドームスイッチ(2610)が作動されない限り、ステープル留めヘッドアセンブリ(300)は発射され得ない。ドームスイッチ(2610)が制御回路(2700)に組み込まれ得る例示的な方法については、
図60を参照して後でより詳しく説明する。他の実施例は、本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかとなるであろう。
【0062】
上記のものに加えて又はその代わりに、ステープル留めヘッドアセンブリ(300)は、開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、下記特許文献の教示のうちの少なくとも一部に従って、更に構築され、かつ動作可能であってもよい。米国特許第5,205,459号;米国特許第5,271,544号;米国特許第5,275,322号;米国特許第5,285,945号;米国特許第5,292,053号;米国特許第5,333,773号;米国特許第5,350,104号;米国特許第5,533,661号;及び/又は米国特許第8,910,847号。更に他の好適な構成については、本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかとなるであろう。
【0063】
IV.例示的な駆動アセンブリ
図17は、シャフトアセンブリ(200)の様々な構成要素を示し、このシャフトアセンブリ(200)は、ステープル留めヘッドアセンブリ(300)の構成要素を、ハンドルアセンブリ(100)の構成要素に連結するものである。特に、かつ上に記したように、シャフトアセンブリ(200)は、ハンドルアセンブリ(100)と本体部材(310)との間に延在する外部シース(210)を含む。本実施例では、外部シース(210)は剛性があり、かつ上に記したように、予め形成された、湾曲区域を含む。
【0064】
シャフトアセンブリ(200)は、トロカール作動ロッド(220)とトロカール作動バンドアセンブリ(230)とを更に含む。トロカール作動バンドアセンブリ(230)の遠位端は、トロカール(330)のシャフト(332)の近位端に固定的に取り付けられている。トロカール作動バンドアセンブリ(230)の近位端は、トロカール作動ロッド(220)の遠位端に固定的に取り付けられている。したがって、トロカール作動バンドアセンブリ(230)とトロカール作動ロッド(220)とが外部シース(210)に対して並進するのに応答して、トロカール(330)が長手方向に外部シース(210)に対して並進するということを理解されたい。トロカール作動バンドアセンブリ(230)は、トロカール作動バンドアセンブリ(230)が、長手方向に、外部シース(210)に対して並進させられるにつれて、トロカール作動バンドアセンブリ(230)が、シャフトアセンブリ(200)内の予め形成された湾曲部に沿って動き得るように曲がって構成されている。しかしながら、トロカール作動バンドアセンブリ(230)は、遠位方向及び近位方向の力を、トロカール作動ロッド(220)からトロカール(330)のシャフト(332)に伝えるのに十分な柱強度と引っ張り強さとを有する。トロカール作動ロッド(220)は剛性を有するものである。クリップ(222)は、トロカール作動ロッド(220)に固定的に取り付けられており、かつ、クリップ(222)は、トロカール作動ロッド(220)がハンドルアセンブリ(100)内で長手方向に並進するのを可能に維持している一方で、ハンドルアセンブリ(100)内の補完的特徴部と協働して、トロカール作動ロッド(220)がハンドルアセンブリ(100)内で回転するのを防止するように構成されている。トロカール作動ロッド(220)は、並目螺旋ねじ切り(224)と細目螺旋ねじ切り(226)とを更に含む。トロカール作動ロッド(220)の動きに関する詳細については、後でより詳しく説明する。
【0065】
シャフトアセンブリ(200)は、外部シース(210)内に、摺動可能に受容されるステープル留めヘッドアセンブリドライバ(240)を更に含む。ステープル留めヘッドアセンブリドライバ(240)の遠位端は、ステープルドライバ部材(350)の近位端に固定的に取り付けられている。ステープル留めヘッドアセンブリドライバ(240)の近位端は、ピン(242)を介して駆動ブラケット(250)に固定されている。したがって、ステープル留めヘッドアセンブリドライバ(240)と駆動ブラケット(250)とが外部シース(210)に対して並進するのに応答して、ステープルドライバ部材(350)が長手方向に、外部シース(210)に対して並進するということを理解されたい。ステープル留めヘッドアセンブリドライバ(240)は、ステープル留めヘッドアセンブリドライバ(240)が長手方向に、外部シース(210)に対して並進するにつれて、ステープル留めヘッドアセンブリドライバ(240)が、シャフトアセンブリ(200)内の予め形成された湾曲部に沿って動き得るように曲がって構成されている。しかしながら、ステープル留めヘッドアセンブリドライバ(240)は、遠位方向の力を、駆動ブラケット(250)からステープルドライバ部材(350)に伝えるのに十分な柱強度を有する。駆動ブラケット(250)の動きに関する詳細については、後でより詳しく説明する。
【0066】
図17には示されていないが、シャフトアセンブリ(200)が、外部シース(210)内に、1つ以上のスペーサ要素を更に含み得るということを理解されたい。そのようなスペーサ要素は、トロカール作動バンドアセンブリ(230)及び/又はステープル留めヘッドアセンブリドライバ(240)が外部シース(210)を通って並進する間、トロカール作動バンドアセンブリ(230)及び/又はステープル留めヘッドアセンブリドライバ(240)を支持するように構成され得る。例えば、そのようなスペーサ要素は、トロカール作動バンドアセンブリ(230)及び/又はステープル留めヘッドアセンブリドライバ(240)が外部シース(210)を通って並進する間、トロカール作動バンドアセンブリ(230)及び/又はステープル留めヘッドアセンブリドライバ(240)が、歪むのを防止し得る。そのようなスペーサ要素が取り得る様々な好適な形態については、本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかとなるであろう。
【0067】
図18に示すように、ハンドルアセンブリ(100)は、アンビル(400)及びステープル留めヘッドアセンブリ(300)を作動させるように動作可能ないくつかの構成要素を含む。ハンドルアセンブリ(100)はまた、ステープル留めヘッドアセンブリ(300)に対するアンビル(400)の位置に基づいて、トリガ(140、150)を選択的にロックアウトするように動作可能な構成要素を備えている。トリガ(140、150)がロックアウトされた場合、発射トリガ(150)がステープル留めヘッドアセンブリ(300)の作動を開始することが防止される。したがって、発射トリガ(150)は、ステープル留めヘッドアセンブリ(300)に対するアンビル(400)の位置が、所定の範囲内にある場合にのみ、ステープル留めヘッドアセンブリ(300)の作動を開始するよう動作可能である。上記の動作可能性を提供するハンドルアセンブリ(100)の構成要素については、後でより詳しく説明する。
【0068】
A.例示的なアンビル作動アセンブリ
ノブ(130)は、ハンドルアセンブリのケーシング(110)から近位に突出しており、ケーシング(110)に対して回転可能である。
図19に示すように、ナット(160)は、ノブ(130)の遠位端に固定されている。本実施例では、ナット(160)は、ナット(160)がノブ(130)と一体で回転するように、ノブ(130)の遠位端に固定的に取り付けられている。ナット(160)とノブ(130)とは、トロカール作動ロッド(220)と協働して、ナット(160)とノブ(130)とがケーシング(110)に対して回転するのに応答して、トロカール作動ロッド(220)を長手方向に、ケーシング(110)に対して並進させるように構成されている。上に記したように、トロカール作動ロッド(220)が、外部シース(210)とケーシング(110)とに対して並進するのに応答して、トロカール(330)は長手方向に、外部シース(210)に対して並進する。
【0069】
トロカール作動ロッド(220)の近位部分は、ナット(160)とノブ(130)とに係合するように、ハンドルアセンブリ(100)内部に位置付けられている。特に、トロカール作動ロッド(220)は、並目螺旋ねじ切り(224)がナット(160)の内側のねじ係合特徴部(図示せず)と選択的に係合するように、かつ、細目螺旋ねじ切り(226)がノブ(130)の内側のねじ係合特徴部(図示せず)に選択的に係合するように、ハンドルアセンブリ(100)内部に位置付けられている。いくつかの変形形態では、ナット(160)のねじ係合特徴部は内側に向いたタブを備え、一方、ノブ(130)のねじ係合特徴部は、螺旋ねじ切りを含む。このようなねじ係合特徴部が取り得る、他の好適な形態については、本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかとなるであろう。
【0070】
本実施例では、ナット(160)とノブ(130)とが、ケーシング(110)に対して回転した場合に、トロカール作動ロッド(220)は、並目螺旋ねじ切り(224)がナット(160)に係合されて、比較的速い並進速度を提供する、長手方向動作の第1の範囲を通じて近位に移動する。この動作の範囲の間は、細目螺旋ねじ切り(226)はノブ(130)と係合しない。トロカール作動ロッド(220)が第1の動作範囲を完了した後で、ナット(160)とノブ(130)とがケーシング(110)に対して更に回転した場合に、トロカール作動ロッド(220)は、細目螺旋ねじ切り(226)がノブ(130)に係合して、比較的遅い並進速度を提供する、長手方向動作の第2の範囲を通じて近位に移動し続ける。したがって、トロカール作動ロッド(220)は、まずは並目螺旋ねじ切り(224)とナット(160)との間の係合に基づいて、その後、細目螺旋ねじ切り(226)とノブ(130)との間の係合に基づいて、急速な並進の後に遅い並進が続くシーケンスを通じて近位に並進する。
【0071】
アンビル(400)が、トロカール(330)に連結された場合に、ノブ(130)が回転すると、それに対応してアンビルを、ステープル留めヘッドアセンブリ(300)に対して並進させるということを理解されたい。ノブ(130)を第1の角度方向(例えば、時計回り)に回転させてアンビル(400)をステープル留めヘッドアセンブリ(300)に向けて後退させ、第2の角度方向(例えば、反時計回り)に回転させてアンビル(400)をステープル留めヘッドアセンブリ(300)から離れる方向に前進させることができることも理解されたい。したがって、
図27Cに示され、かつ後でより詳しく説明するように、ノブ(130)は、アンビル(400)とステープル留めヘッドアセンブリ(300)との対向する表面(412、322)どうしの間の間隙距離(d)を、好適な間隙距離(d)が達成されるまで調整するために用いられ得る。
【0072】
B.例示的なステープル留めヘッド作動アセンブリ
図19~
図26Dは、ステープル留めヘッドアセンブリ(300)を作動させるよう動作可能である、様々な構成要素を示す。これらの構成要素には、モータ(161)、ギヤボックス(162)、ロータリーカム部材(700)、カム従動子(1600)、駆動ブラケット(250)、及びステープル留めヘッドアセンブリドライバ(240)が含まれる。ギヤボックス(162)は、モータ(161)の駆動シャフトに連結され、更に、カム部材(700)に連結される。したがって、モータ(161)の起動により、ギヤボックス(162)を介して、カム部材(700)が回転する。あくまで一例として、ギヤボックス(162)は、多段遊星ギヤボックスを含んでもよい。ギヤボックス(162)に用い得る様々な好適な構成が、本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかとなるであろう。後でより詳しく説明するように、カム部材(700)は、カム従動子(1600)と相互作用して、カム従動子(1600)を、ピン(118)の周りで2とおりの角方向に枢動させるように構成されている。ピン(118)は、ケーシング(110)内に位置するシャーシ(例えば、図示のように左右のシャーシ部分(3691、3693)を含む、以下に説明するシャーシ(3690))と連結されている。ブッシング(701)は、カム部材(700)に、ケーシング(110)内のシャーシに対して回転する支持を提供する。
【0073】
カム従動子(1600)は、駆動ブラケット(250)の補完ノッチ(252)に受容される一対の統合ピン(1602)を介して、駆動ブラケット(250)に枢動可能に連結されている。
図20~
図21に示すように、カム従動子(1600)は、第1のベアリング特徴部(1604)と第2のベアリング特徴部(1610)とを含む。第1のベアリング特徴部(1604)は、丸みのある、水平延在表面からなる。第2のベアリング特徴部(1610)は、直線垂直表面(1612)と、水平延在表面(1614)と、湾曲表面(1616)とによって画定される4分の1サイズのパイのような形状である。第2のベアリング特徴部(1610)は、第1のベアリング特徴部(1604)に対して近位に突き出している。
【0074】
図22~
図23は、カム部材(700)をより詳しく図示している。カム部材(700)は、遠位端面(702)と、遠位に突き出しているポスト(704)と、外周面(706)とを備える。第1のカム特徴部(710)と第2のカム特徴部(720)とは、遠位端面(702)から遠位に突き出している。ポスト(704)は、ブッシング(701)と係合する。第1のカム特徴部(710)は、第1の表面領域(712)と、第2の表面領域(714)と、第3の表面領域(716)とを備える。第1の表面領域(712)は、第1の表面領域(712)がほぼ平坦になるように比較的大きな曲率半径で、凸状に画定されている。第2の表面領域(714)は、次第に増加する曲率半径で、凸状に画定されている。第3の表面領域(716)は、比較的大きな曲率半径で、凹状に画定されている。遠位端面(702)から遠位に突き出していることに加えて、第2のカム特徴部(720)は、外周面(706)から外側に突き出している。第2のカム特徴部(720)は、第1の表面領域(722)と第2の表面領域(724)とを含む。第1の表面領域(722)は、実質的に平坦であり、他方、第2の表面領域(724)は、凹状に湾曲している。各湾曲表面領域(712、714、716、724)の曲率半径の起点は、ポスト(704)の中心からずれた位置にある。
【0075】
図24A~
図24Bは、カム従動子(1600)と第1及び第2のカム特徴部(710、720)との間の一般的な相互作用を図示しているが、この相互作用については、
図14A~
図14Dを参照しながら、後でより詳しく説明する。カム部材(700)が、
図24Aに図示されている位置から
図24Bに図示されている位置に回転するにつれて、第1のカム特徴部(710)はカム従動子(1600)の第1のベアリング特徴部(1604)に当接して、カム従動子(1600)をピン(118)の周りで枢動させる。
図24A~
図24Bに示す図において、カム部材(700)が
図24Aに図示されている位置から
図24Bに図示されている位置に回転させられるにつれて、カム従動子(1600)は反時計回りに枢動する。
図24A~
図24Bへの移行に見られるように、カム従動子(1600)のこの反時計回りの枢動が、駆動ブラケット(250)とステープル留めヘッドアセンブリドライバ(240)とを遠位に駆動し、それによって、ステープル留めヘッドアセンブリ(300)を作動させる。カム部材(700)が、
図24Aに図示されている位置に向かって戻るように同じ方向に回転し続けるにつれて、第2のカム特徴部(720)がカム従動子(1600)の第2のベアリング特徴部(1610)に係合して当接し、カム従動子(1600)をピン(118)の周りで、時計回りに枢動させる。このようにカム従動子(1600)がピン(118)の周りで時計回りに枢動すると、駆動ブラケット(250)とステープル留めヘッドアセンブリドライバ(240)とが、
図24Aに図示されている位置に戻るように近位に後退する。
【0076】
再びここで
図22~
図23を参照すると、第3のカム特徴部(730)は、外周面(706)から外側に突き出している。第3のカム特徴部(730)は、第1の表面領域(732)と第2の表面領域(734)とを備える。第1の表面領域(732)は平坦であり、外周面(706)に対して概ね接線方向に配向されている。第2の表面領域(732)もまた平坦であり、外周面(706)に対して径方向外向き配向されている。第3のカム特徴部(730)は、振動部材(800)と相互作用するように構成されている。振動部材(800)は、統合ピン(802)と、ベアリング部材(804)と、パドル(806)とを備える。振動部材(800)が、ケーシング(110)内で、ピン(802)によって画定される長手方向軸線の周りで枢動可能なように、ピン(802)はケーシング(110)内のシャーシに枢動可能に連結されている。後でより詳しく説明するように、ベアリング部材(804)は、第3のカム特徴部(730)と相互作用するように構成されている。パドル(806)は、後でまたより詳しく説明するように、モータ停止モジュール(190)のスイッチボタン(192)を作動させるように構成されている。
【0077】
図25Aは、カム部材(700)を、
図24Aに示すのと同じ位置に図示している。この段階では、第3のカム特徴部(730)の第2の表面領域(734)は、振動部材(800)のベアリング部材(804)に隣接している。
図25Bは、カム部材(700)が
図24Bに図示されている位置を通過して、
図24Aに図示されている位置に向かって戻ろうとするように回転された位置にあるカム部材(700)を図示している。しかしながら、カム部材(700)はまだ丸一回転を完了した状態ではない。
図25Bに図示されている段階において、第1の表面領域(732)は、ベアリング部材(804)に既に係合し、当接した状態であるが、それにより、ピン(802)によって画定される長手方向軸線の周りに、振動部材(800)を枢動させている。これにより、パドル(806)が、モータ停止モジュール(190)のスイッチボタン(192)を作動させた状態である。モータ停止モジュール(190)は、スイッチボタン(192)が作動されると、モータ(161)に提供される電力の極性を逆転させる。この結果、ステープル留めヘッドアセンブリ(300)の作動ストロークが完了すると、モータ(161)の起動が停止される。あくまで一例として、モータ停止モジュール(190)は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2018年3月6日に発行された米国特許第9,907,552号の教示のうちの少なくとも一部に従って構成し、動作可能であり得る。他の好適な構成は、本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかとなるであろう。
【0078】
図26A~
図26Dは、カム部材(700)が回転するにつれて、カム部材(700)と、カム従動子(1600)の特徴部と、振動部材(800)の特徴部との間に起こる相互作用を、模式的に図示している。
図26A~
図26Dに図示されている段階を通じて、カム部材(700)の回転は、モータ(161)とギヤボックス(162)とによって駆動されるということを理解されたい。
図26Aは、
図24A及び
図25Aに図示されている位置と同じ位置にあるカム部材(700)を図示している。この段階では、カム従動子(1600)の第1のベアリング特徴部(1604)が、第1の表面領域(712)上に位置付けられ、かつベアリング部材(804)又は振動部材(800)が、第3のカム特徴部(730)の第2の表面領域(734)に隣接している。またこの段階では、ナイフ部材(340)とステープルドライバ部材(350)とが、近位位置にあり、ステープル留めヘッドアセンブリ(300)が、非作動状態に存在している。カム部材(700)が
図26Bに図示されている位置に回転するにつれて、第2の表面領域(714)がベアリング部材(1604)に当接し、それによってベアリング部材(1604)を上方に駆動する。これにより、カム従動子(1600)がピン(118)の周りで、
図24Bに図示されている位置まで枢動する。したがって、カム従動子(1600)がナイフ部材(340)とステープルドライバ部材(350)とを遠位に、駆動ブラケット(250)とステープル留めヘッドアセンブリドライバ(240)とを介して駆動する。したがって、ステープル留めヘッドアセンブリ(300)は、
図26Bに図示されている段階で、作動状態にある。いくつかの変形形態では、カム部材(700)は、ステープル留めヘッドアセンブリ(300)を非作動状態から作動状態へと遷移させるため、およそ270°の角範囲を通って回転する。
【0079】
ステープル留めヘッドアセンブリ(300)が作動された後で、カム部材(700)は、
図26Cに図示されている位置まで回転を続ける。この段階では、第2のカム部材(720)の第1の表面領域(722)が、カム従動子(1600)の第2のベアリング特徴部(1610)の湾曲表面(1616)に係合を開始する。カム部材(700)が、
図26Dに図示されている位置まで回転し続けるにつれて、第2の表面領域(724)が第2のベアリング特徴部(1610)の湾曲表面(1616)に係合し、第2のベアリング特徴部(1610)を下方に駆動する。これにより、カム従動子(1600)が、
図24Bに図示されている位置から
図24Aに図示されている位置に向かって戻るように、ピン(118)の周りに枢動する。したがって、カム従動子(1600)がナイフ部材(340)とステープルドライバ部材(350)とを近位に、駆動ブラケット(250)とステープル留めヘッドアセンブリドライバ(240)とを介して駆動する。加えて、第1の表面領域(732)は、既にベアリング部材(804)と係合し、当接した状態であるが、それにより、振動部材(800)を、
図26Dに図示されている段階において、ピン(802)によって画定される長手方向軸線の周りに枢動させる。したがって、振動部材(800)は、
図26Dでは、
図25Bに示すのと同じ状態である。したがって、モータ停止モジュール(190)は、
図26Dに図示されている段階において、作動されている。
【0080】
上記のことから、カム部材(700)は、ナイフ部材(340)とステープルドライバ部材(350)とを遠位に駆動し、次いで、ナイフ部材(340)とステープルドライバ部材(350)とを近位に駆動し、更に、
図26A~
図26Dに図示されている動きの範囲を通して単一の角方向に回転させることによって、モータ停止モジュール(190)を作動するように動作可能である、ということを理解されたい。本実施例では、カム部材(700)は、およそ355°の角度動作範囲を通って回転することによって、
図26A~
図26Dに示され、上述された完全な動作シーケンスを提供する。より具体的には、また単に更なる一例として、カム部材(700)の最初の270°の回転は、ナイフ部材(340)及びステープルドライバ部材(350)の遠位移動を提供してもよく、一方、カム部材(700)の残りの85°の回転は、ナイフ部材(340)及びステープルドライバ部材(350)の近位方向への移動、及びモータ停止モジュール(190)の作動を提供し得る。ナイフ部材(340)と、ステープルドライバ部材(350)と、モータ停止モジュール(190)とが作動され得る他の好適な方法は、本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかとなるであろう。
【0081】
C.例示的なクランプ及び発射手順
図27A~
図27Eは、2つの管状解剖学的構造(20、40)間の吻合(70)を形成するために用いられる器具(10)を示す。あくまで一例として、管状解剖学的構造(20、40)は、患者の食道の区域、患者の大腸の区域、患者の消化管のその他の区域、又は他の任意の管状解剖学的構造を含み得る。
図27Aに示すように、アンビル(400)は、一方の管状解剖学的構造(20)内に位置付けられ、ステープル留めヘッドアセンブリ(300)は、もう一方の管状解剖学的構造(40)内に位置付けられる。管状解剖学的構造(20、40)が、患者の大腸の区域を含む変形形態では、ステープル留めヘッドアセンブリ(300)は、患者の直腸を介して挿入され得る。また、
図27A~
図27Eに示されている手順は開腹手術であるが、その手順は腹腔鏡手術としても実施され得るということも理解されたい。吻合(70)を腹腔鏡手術で形成するために器具(10)が用いられ得る様々な好適な方法が、本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかとなるであろう。
【0082】
図27Aに示すように、アンビル(400)は、柄(420)が管状解剖学的構造(20)の開放切断端(22)から突出するように管状解剖学的構造(20)内に位置付けられる。本実施例では、巾着縫合糸(30)が、柄(420)の中央領域の周りに提供され、アンビル(400)の管状解剖学的構造(20)内での位置を大まかに確保する。いくつかの他の変形例では、巾着縫合糸(30)は、柄(420)の近位端の周りに締め付けられる。いくつかのそのような変形例では、柄(420)の近位端は、巾着縫合糸(30)をしっかりと捕捉するためのノッチ又は他の特徴部を含んでもよい。本実施例を続けると、ステープル留めヘッドアセンブリ(300)は、トロカール(330)が管状解剖学的構造(20)の開放切断端(42)から突出するように、管状解剖学的構造(40)内に位置付けられる。巾着縫合糸(50)が、シャフト(332)の中央領域周りに提供され、ステープル留めヘッドアセンブリ(300)の管状解剖学的構造(40)内での位置を大まかに確保する。ステープル留めヘッドアセンブリ(300)は、次いで、ステープル留めヘッドアセンブリ(300)が管状解剖学的構造(40)の遠位端に完全に着座することを確実にするために遠位に促される。
【0083】
次に、
図27Bに示すように、トロカール(330)を孔(422)に挿入することによって、アンビル(400)が、トロカール(330)に固定される。ラッチ部材(430)が、トロカール(330)のヘッド(334)に係合し、それによって、アンビル(400)とトロカール(330)との間のしっかりとした嵌合を提供する。次いで、操作者は、ピストルグリップ(112)を介して、ケーシング(110)を静止状態に保ちつつ、ノブ(130)を回転させる。このノブ(130)の回転により、トロカール(330)とアンビル(400)とが近位に後退する。
図27Cに示すように、トロカール(330)及びアンビル(400)のこの近位後退によって、管状解剖学的構造(20、40)の組織は、アンビル(400)とステープル留めヘッドアセンブリ(300)との表面(412、322)間で圧縮される。これが発生すると、操作者は、ノブ(130)を旋回させながらノブ(130)を介して触覚的抵抗又はフィードバックを観察することができ、そのような触覚的抵抗又はフィードバックは、組織が圧縮されていることを示す。組織が圧縮されているとき、操作者は、ユーザフィードバック機構(114)内での針(1526)の位置を視覚的に観察して、アンビル(400)とステープル留めヘッドアセンブリ(300)との互いに対向する表面(412、322)どうしの間の間隙距離(d)が適切であるかどうかを判断し、調整が必要な場合には、ノブ(130)を介して調整を行うことができる。
【0084】
操作者がノブ(130)を介して間隙距離(d)を適切に設定した後、操作者は、(
図30Dに示すように)安全トリガ(140)を作動させて、発射トリガ(150)の作動を可能にする。次いで、操作者は、発射トリガ(150)を(
図30Eに示すように)作動させる。これにより、パドル(158)が、モータ起動モジュール(180)のスイッチを作動させ、それによってモータを起動してカム部材(700)を(
図26A~
図26Dに示すように)回転させる。このようにカム部材(700)が回転することによって、
図27Dに示すように、ナイフ部材(340)とステープルドライバ部材(350)とを遠位に駆動することで、ステープル留めヘッドアセンブリ(300)が作動する。ナイフ部材(340)が遠位に並進するにつれて、ナイフ部材(340)の刃先(342)が、アンビル(400)の環状凹部(418)内でかつナイフ部材(340)の内部に位置付けられた余分な組織を切断する。
【0085】
図4に示すように、本実施例のアンビル(400)は、環状凹部(418)内の脱離ワッシャ(417)を含む。ナイフ部材(340)が、
図27Cに図示されている位置から
図27Dに図示されている位置まで、完全に遠位方向の動作範囲一杯に動いた場合には、このワッシャ(417)は、ナイフ部材(340)によって破壊される。第2の表面領域の次第に増加する曲率半径は、ナイフ部材(340)がその遠位方向の動きの終端に到達するにつれて、増加する機械的利益を提供するが、それによって、ワッシャ(417)を破壊するために必要な、より大きな力が提供され得る。もちろん、いくつかの変形形態では、脱離ワッシャ(417)は完全に省略され得る。ワッシャ(417)が含まれる変形形態では、ワッシャ(417)は、ナイフ部材(340)が組織の切断を補助するためのカッティングボードとしても役立ち得るということを理解されたい。
【0086】
ステープルドライバ部材(350)が、
図27Cに示されている位置から
図27Dに示されている位置へと遠位に並進するにつれて、ステープルドライバ部材(350)は、ステープル(90)を、管状解剖学的構造(20、40)の組織を貫通して、アンビル(400)のステープル成形ポケット(414)の中に駆動する。ステープル成形ポケット(414)は、当該技術分野では既知のように、駆動されたステープル(90)を、B字形状に変形させ、又はアンビル(500)に関して上述のような三次元形状にする。いずれの場合も、成形されたステープル(90)は、組織の端部どうしをしっかりと閉じる。
【0087】
図27Dに示すように、操作者がステープル留めヘッドアセンブリ(300)を作動させた後、操作者はノブ(130)を回転させて、アンビル(400)をステープル留めヘッドアセンブリ(300)から離れる方へ遠位に駆動して間隙距離(d)を増加させ、表面(412、322)間の組織の解放を容易にする。次いで、操作者は、アンビル(400)がまだトロカール(330)に固定されている状態で、器具(10)を患者から取り外す。管状解剖学的構造(20、40)が患者の大腸の区域を含む例を再び参照すると、器具(10)は、患者の直腸を介して取り外され得る。器具(10)が取り外されると、管状解剖学的構造(20、40)は、
図27Eに示すように、吻合(70)にあるステープル(90)の2列の環状アレイによって、しっかりと閉じられた状態に残される。吻合(70)の内径は、ナイフ部材(340)によって残された切断された縁部(60)によって画定される。
【0088】
V.例示的な安全アセンブリ
上に記したように、ノブ(130)は、アンビル(400)とステープル留めヘッドアセンブリ(300)との対向する表面(412、322)どうしの間の間隙距離(d)を調整するために用いられ得る。ステープル留めヘッドアセンブリ(300)を作動する前に適切な間隙距離(d)を設定することは、吻合を成功裏に行う上で、決定的に重要であり得る。例えば、間隙距離(d)が大きすぎる場合には、吻合する箇所に展開されたステープルが、ステープル成形ポケット(414)によって十分に成形をされない場合があり得る。この結果、吻合箇所からの漏れが起こる場合があり得るが、時には、最終的に、吻合箇所で接合されている解剖学的管腔断面どうしの分離へとつながる場合があり得る。間隙距離(d)が小さすぎる場合には、表面(412、322)間で圧縮された組織の内部構造が、組織の構造的一体性が損なわれるまで損傷され得る。このことは、成形されたステープルを組織が適切に保持するのを妨げ得るが、その結果やはり、漏れや、その他の吻合の不具合が発生し得る。したがって、操作者に対して、間隙距離(d)が適切な範囲にあるかどうかを示す何らかの形のフィードバックを提供することが望ましい場合があり得る。また、間隙距離(d)が適切な範囲になるまで、操作者がステープル留めヘッドアセンブリ(300)を作動するのを防止することも望ましい場合があり得る。
【0089】
A.例示的なトリガブロック特徴部及びアンビル位置インジケータ
図28~
図30Eは、操作者に対して、間隙距離(d)が適切な範囲にあるかどうかを示すためのフィードバックを提供し、かつ間隙距離(d)が適切な範囲になるまで、操作者がステープル留めヘッドアセンブリ(300)を作動するのを防止するための構成要素を示す。
図30B~
図30Cに最もよく示されるように、ブラケット(1500)は、トロカール作動ロッド(220)の動きに応答して、動くように構成され、位置付けられている。
図28に最もよく示されるように、ブラケット(1500)は、第1のスロット(1504)と、第2のスロット(1506)と、第3のスロット(1508)とを画定する、剛性のある本体(1502)を含む。いくつかの変形例では、第3のスロット(1508)は省略される。そのような変形例の例を、
図35を参照して以下に説明する。
【0090】
本実施例では、直立部材(1510)が本体(1502)の近位端に位置付けられ、開口部(1512)を画定する。トロカール作動ロッド(220)が、開口部(1512)を通って同軸的に延在する。
図18に示すように、コイルスプリング(170)が、直立部材(1510)の近位端と、ケーシング(110)内に位置するシャーシ(例えば、以下に説明するシャーシ(3690))により画定された剛性のある隔壁特徴部との間に介在している。剛性のある隔壁特徴部は、ナット(160)のための支持ジャーナル部を形成する。隔壁は、ケーシング(110)内のシャーシに固定され、それにより、コイルスプリング(170)が弾性的に直立部材(1510)を介してブラケット(1500)に、遠位方向のバイアスを付与するように、コイルスプリング(170)の近位端に土台を提供する。ブラケット(1500)は、本体(1502)の遠位端に設けられた、横方向に向けられたフランジ(1516)を更に含む。フランジ(1516)は、スロット(1514)を画定する。
【0091】
図30B~
図30Cに最もよく示されるように、インジケータ部材(1520)は、ブラケット(1500)の並進に応答して枢動するように構成されている。
図29に最もよく示されるように、インジケータ部材(1520)は、直立アーム(1522)と、アーム(1522)の下端から横方向に突き出すスナップピン(1524)と、アーム(1522)の上端から横方向に突き出すインジケータ針(1526)と、アーム(1522)の中間領域から横方向に突き出す連結ピン(1528)とを備える。スナップピン(1524)は、ケーシング(110)内に位置するシャーシ(例えば、以下に記載されるシャーシ(3690)の左シャーシ部分(3691))によって提供される補完的凹部にスナップ嵌めされるように構成されている。それによりスナップピン(1524)は、インジケータ部材(1520)をシャーシに固定しつつも、インジケータ部材(1520)を、シャーシに対して、スナップピン(1524)の長手方向軸線を中心に枢動可能としている。インジケータ針(1526)は、ハンドルアセンブリ(100)のユーザフィードバック機構(114)を通して見えるように位置付けられ、それによって、インジケータ部材(1520)の枢動位置を視覚的に示すようになっている。連結ピン(1528)は、ブラケット(1500)のフランジ(1516)のスロット(1514)内に摺動可能に受容される。インジケータ部材(1520)、ケーシング(110)内のシャーシ、及びブラケット(1500)間のこの係合によって、ブラケット(1500)の並進に応答した、インジケータ部材(1520)の枢動が提供されている。
【0092】
ブラケット(1500)は、トリガ(140、150)の作動を、選択的に防止したり可能にしたりするように構成されている。特に、ブラケット(1500)のスロット(1504、1506)は、トリガ(140、150)の作動に対するクリアランスを選択的に提供するように構成されている。
図30A~
図30Eに示すように、安全トリガ(140)は、第1の直立部材(144)に枢動可能に連結されている。安全トリガ(140)がピストルグリップ(112)に向かって枢動するのに応答して、第1の直立部材(144)が上方に並進するように構成されているように、第1の直立部材(144)がケーシング(110)内に位置するシャーシ(例えば、以下に説明するシャーシ(3690))に連結されている。しかしながら、ブラケット(1500)の本体(1502)は、第1の直立部材(144)の上端(146)を係合することにより、第1の直立部材(144)と安全トリガ(140)の上記の動きを防止するように構成されている。したがって、スロット(1506)が上端(146)に位置揃えされ、それにより、ブラケット(1500)が、第1の直立部材(144)の上方向の動きに対してクリアランスを提供する位置に動くまで、第1の直立部材(144)と安全トリガ(140)との動きを、本体(1502)がブロックする。したがって、スロット(1506)が上端(146)の上に位置付けられるまで、安全トリガ(140)は、ピストルグリップ(112)に向かって枢動できないということを理解されたい。
【0093】
同様に、発射トリガ(150)は、第2の直立部材(154)に枢動可能に連結されている。発射トリガ(150)がピストルグリップ(112)に向かって枢動するのに応答して、第2の直立部材(154)が上方に並進するように構成されるように、第2の直立部材(154)がケーシング(110)内に位置するシャーシ(例えば、以下に説明するシャーシ(3690))に連結されている。しかしながら、ブラケット(1500)の本体(1502)は、第2の直立部材(154)の上端(156)を係合することにより、第2の直立部材(154)と発射トリガ(150)の上記の動きを防止するように構成されている。たとえ安全トリガ(140)が、そうでなければ発射トリガ(150)の動きを可能にするように枢動したとしても、スロット(1504)が上端(156)に位置揃えされ、それにより、ブラケット(1500)が、第2の直立部材(154)の上方向の動きに対してクリアランスを提供する位置に動くまで、第2の直立部材(154)と発射トリガ(150)の動きを、本体(1502)がブロックする。したがって、たとえ安全トリガ(140)が、そうでなければ発射トリガ(150)の動きを可能にするように枢動したとしても、スロット(1504)が上端(156)の上に位置付けられるまで、発射トリガ(150)は、ピストルグリップ(112)に向かって枢動することができないということを理解されたい。
【0094】
第3のスロット(1508)は、トロカール作動ロッド(220)に強固に取り付けられている、下方に向かって突き出すクリップ(222)のボス(223)を受容するように構成されている。ケーシング(110)内に位置するシャーシ(例えば、以下に記載されるシャーシ(3690))は、ブラケット(1500)がシャーシに対して長手方向に並進することを可能にするように構成されているが、シャーシは、シャーシに対してブラケット(1500)が回転するのを防ぐレール、チャネル、及び/又は他の特徴部を含む。したがって、スロット(1508)内でボス(223)を位置付けることにより、クリップ(222)とトロカール作動ロッド(220)とが、シャーシに対して回転することを防止する。それでもなお、後でより詳しく説明するように、ボス(223)とスロット(1508)とは、ブラケット(1500)に、ケーシング(110)内で長手方向に並進することを可能にする。本明細書で述べられるように、第3のスロット(1508)はただ単に任意のものであり、いくつかの変形形態では省略されてもよい。
【0095】
図30A~
図30Eは、様々な動作段階における上述の構成要素を図示している。特に、
図30Aでは、トロカール(330)が最遠位位置になるように、トロカール作動ロッド(220)が、最遠位位置にある。この段階では、操作者は、ラッチ部材(430)が、トロカール(330)のヘッド(334)に固定されるまで、トロカール(330)を孔(422)に挿入することにより、アンビル(400)をトロカール(330)に連結し得る。次いで、操作者は、ノブ(130)を回し、それによりナット(160)が回転する。ノブ(130)とナット(160)とが回転するにつれて、トロカール作動ロッド(220)の並目螺旋ねじ切り(224)とナット(160)の補完的特徴部との間の係合が、トロカール作動ロッド(220)を、比較的速い速度で近位に後退させ、トロカール作動ロッド(220)を
図30Bに図示される位置に至らしめる。このようにトロカール作動ロッド(220)を近位に後退させたことにより、トロカール(330)とアンビル(400)とを後退させることができる。トロカール作動ロッド(220)が、
図30Aに図示される位置から
図30Bに図示される位置へと動く間、ブラケット(1500)は静止したままである。これは、
図30Aに図示されている段階では、クリップ(222)が直立部材(1510)から離間配置されており、トロカール作動ロッド(220)が、
図30Bに図示されている位置に達するまでは、クリップ(222)が直立部材(1510)に係合していないという事実によるものである。
【0096】
図30Bに図示されている段階に達した後も操作者は、ノブ(130)とナット(160)とを回転させ続け得るが、それにより、
図30Cに示すように、トロカール作動ロッド(220)は更に近位に後退させられる。もちろん、このことにより、トロカール(330)とアンビル(400)とが更に近位に後退する。トロカール作動ロッド(220)が、
図30Bに図示されている位置から
図30Cに図示されている位置へと動くのに伴って、クリップ(222)はブラケット(1500)に当接して、ブラケット(1500)を近位に駆動する。このブラケット(1500)の近位方向への動きにより、フランジ(1516)のスロット(1514)内に連結ピン(1528)が位置付けられるため、インジケータ部材(1520)が、
図30Bに図示されている位置から
図30Cに図示されている位置へと枢動する。
【0097】
インジケータ部材(1520)が
図30Bに図示されている位置から
図30Cに図示されている位置に枢動する間、操作者は、ハンドルアセンブリ(100)のユーザフィードバック機構(114)を通してインジケータ針(1526)の位置を観察し得る。後でより詳しく説明するように、一連の符号、着色領域、及び/又はその他の固定インジケータがユーザフィードバック機構(114)に隣接して位置付けられて、インジケータ針(1526)に対する視覚的背景を提供し、それによって、ユーザフィードバック機構(114)内で針(1526)がどの位置にいるのかを操作者が評価するのを容易にし得る。ユーザフィードバック機構(114)内での針(1526)の位置は、トロカール(330)とアンビル(400)との長手方向位置を示すということを理解されたい。したがって、ユーザフィードバック機構(114)内での針(1526)の位置は、アンビル(400)とステープル留めヘッドアセンブリ(300)との対向する表面(412、322)どうしの間の間隙距離(d)を示す。ユーザフィードバック機構(114)内の針(1526)の位置を観察している間、操作者は、ノブ(130)を時計回り又は反時計回りに回して、トロカール(330)とアンビル(400)とを更に後退させるか又は前進させ得るが、それにより、適切な範囲内の所望の間隙距離(d)に到達するまで、間隙距離(d)を微調整することができる。
【0098】
図30Cに図示されている段階における間隙距離(d)の微調整を提供するために、細目螺旋ねじ切り(226)がノブ(130)の補完的特徴部に係合し、かつ並目螺旋ねじ切り(224)がナット(160)の補完的特徴部との係合を解除された状態になる長手方向位置に、トロカール作動ロッド(220)が存在する。いくつかの変形形態では、トロカール作動ロッド(220)が、
図30Bに図示されている長手方向位置に到達すると(すなわち、クリップ(222)が直立部材(1510)と最初に係合するとき)、並目螺旋ねじ切り(224)はナット(160)との係合を解除され、かつ細目螺旋ねじ切り(226)がノブ(130)に係合し始める。いくつかの他の変形形態では、並目螺旋ねじ切り(224)による係合から細目螺旋ねじ切り(226)による係合への移行は、
図30Bに図示されている段階と
図30Cに図示されている段階との間のいずれかの時点で起こる。並目から細目への移行が起こり得る、他の好適な段階については、本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかとなるであろう。また、トロカール作動ロッド(220)のいくつかの代替的な変形形態が、ねじ切りの全長にわたりねじ切りのピッチが一貫している、単一のねじ切り区域のみを有し得るということも理解されたい。換言すれば、トロカール作動ロッド(220)は、異なるピッチの、2つの異なるねじ切り区域(224、226)を、必ずしも有する必要はない。
【0099】
図30Cに図示されている段階において、スロット(1506)は上端(146)に位置揃えされ、それによって、第1の直立部材(144)の上方への動きに対してクリアランスを提供する。同様に、スロット(1504)は上端(156)に位置揃えされ、それによって、第2の直立部材(154)の上方への動きに対してクリアランスを提供する。本実施例では、間隙距離(d)が臨床的に許容可能な範囲にあるという場合に、スロット(1504、1506)が直立部材(144、154)の上方への動きに対するクリアランスを提供するのみであるようなサイズ及び位置に、スロット(1504、1506)がなっている。あくまで一例として、間隙距離(d)について「臨床的に許容可能な範囲」とは、およそ0.110インチとおよそ0.040インチ)との間であり得る。別の単に例示的な例として、間隙距離(d)について「臨床的に許容可能な範囲」とは、およそ0.110インチとおよそ0.020インチとの間であり得る。
図30Cに示すように、スロット(1504、1506)が直立部材(144、154)の上方への動きに対するクリアランスを提供するように位置付けされた場合でも、安全トリガ(140)が
図30Cに図示されている非作動位置にある場合には、安全トリガ(140)は、ピン(152)(
図9)を中心とした発射トリガ(150)の枢動を依然としてブロックする。したがって、発射トリガ(150)の動きを可能にするためには、操作者は、まず安全トリガ(140)を、
図30Cに図示されている位置から
図30Dに図示されている位置へとピン(142)(
図9)を中心として作動させる必要がある。
【0100】
図30Dに示すように、安全トリガ(140)が
図30Cに図示されている位置から
図30Dに図示されている位置に枢動されるにつれて、上端(146)は、スロット(1506)を通過する。この上端(146)の動きは、
図30A~
図30Bに図示されている段階(間隙距離(d)が大きすぎる場合)では不可能であるが、それは、本体(1502)が直立部材(144)の上方への動きを物理的にブロックし、それにより安全トリガ(140)の枢動を物理的にブロックするからであるということを理解されたい。本実施例では、ノブ(130)に組み込まれたキャップ(図示せず)が、アンビル(400)が、近位にあまりに遠く後退させられる(間隙距離(d)が小さすぎるような)地点まで、ノブ(130)が回転することを防止する。別のいくつかの形態では、たとえノブ(130)がアンビル(400)に、近位にあまりに遠く(間隙距離(d)が小さすぎるように)後退させられるのを可能にしたとしても、操作者がトロカール(330)とアンビル(400)とを、近位にあまりに遠く後退させた(間隙距離(d)が小さすぎる)場合には、本体(1502)が直立部材(144)の上方への動きを物理的にブロックし、それにより、安全トリガ(140)の枢動を物理的にブロックする。間隙距離(d)が小さすぎる場合、本体(1502)、ノブ(130)、又は、別の何らかの特徴部が、作動を防止するかどうかにかかわらず、器具(10)が安全トリガ(140)の作動を許すのは、間隙距離(d)が臨床的に許容可能な範囲内にある場合のみであるということを理解されたい。
【0101】
上に記したように、安全トリガ(140)が作動されるまで、安全トリガ(140)は、発射トリガ(150)の作動を防止するように構成されている。安全トリガ(140)が作動されると、操作者は、発射トリガ(150)を
図30Dに図示されている位置から
図30Eに図示されている位置に作動させることができる。
図30Eに示すように、発射トリガ(150)が
図30Dに図示されている位置から
図30Eに図示されている位置に枢動されるにつれて、上端(156)はスロット(1504)を通過する。安全トリガ(140)が全く存在しないという場合においても、この上端(156)の動きは、
図30A~
図30Bに図示されている段階(間隙距離(d)が大きすぎる場合)では不可能であるが、それは、本体(1502)が直立部材(154)の上方への動きを物理的にブロックし、それにより発射トリガ(150)の枢動を物理的にブロックするからであるということを理解されたい。したがって、安全トリガ(140)が完全に存在しないという場合においても、発射トリガ(150)は、間隙距離(d)が臨床的に許容可能な範囲にある場合にのみ作動され得る。
【0102】
本実施例の発射トリガ(150)は、一体型の作動パドル(158)を含む。発射トリガ(150)が
図30Dに図示されている位置から
図30Eに図示されている位置に枢動するにつれて、パドル(158)が前方に枢動する。パドル(158)は、発射トリガ(150)が
図30Dに図示されている位置から
図30Eに図示されている位置に枢動した場合に、
図9に図示されているモータ起動モジュール(180)のスイッチを作動させるように構成されている。モータ起動モジュール(180)は、電池パック(120)とモータ(161)とに連通しており、パドル(158)がモータ起動モジュール(180)のスイッチを作動させるのに応答して、モータ起動モジュール(180)が、電池パック(120)からの電力でモータ(161)を起動するように構成されている。したがって、発射トリガ(150)が
図30Dに図示されている位置から
図30Eに図示されている位置に枢動された場合に、モータ(161)が起動される。後でより詳しく説明するように、このモータ(161)の起動により、ステープル留めヘッドアセンブリ(300)が作動される。
【0103】
図31に示すように、本実施例の安全トリガ(140)は、横方向に延在する戻り止め突出部(141)を含む。突出部(141)は、シャーシ(例えば、以下で説明するシャーシ(3690))の一部分の対応する戻り止め凹部(図示せず)と協働して、
図30D~
図30Eに示されるフリップアップ位置に安全トリガ(140)を選択的に保持するように構成されている。換言すれば、突出部(141)は、フリップアップ位置(
図30D~
図30E)からフリップダウン位置(
図30A~
図30C)への安全トリガ(140)の不注意な動きを防止するように構成されている。それでもなお、突出部(141)は、操作者が、安全トリガ(140)をフリップアップ位置(
図30D~30E)とフリップダウン位置(
図30A~30C)との間で意図的に移行させることを可能にする。
【0104】
図31にも示されるように、第1の直立部材(144)は、第1の直立部材(144)の上端(146)の下方に横方向ノッチ(148)を画定する。横方向ノッチ(148)は、安全トリガ(140)がフリップアップ位置(
図30D~30E)にあり、第1の直立部材(144)が上部位置にある後、ブラケット(1500)の長手方向の移動のためのクリアランスを提供するように構成されている。例えば、操作者が、アンビル(400)及びトロカール(330)の第1の長手方向位置を達成し、アンビル(400)が本明細書に記載されるように「グリーンゾーン」にある場合、操作者は、安全トリガ(140)をフリップアップ位置へと作動させ、次いで操作者はノブ(130)を再び操作してアンビル(400)を再配置すると、ブラケット(1500)は、アンビル(400)のこの再配置中に並進する。操作者がアンビル(400)を「グリーンゾーン」から再配置する場合、ブラケット(1500)は、スロット(1506)がもはや第1の直立部材(144)の上端(146)と位置揃えされなくなる長手方向位置にある。したがって、第1の直立部材(144)は、操作者が、安全トリガ(140)をフリップアップ位置に作動させた後に、操作者が「グリーンゾーン」からアンビル(400)を再配置する場合、剪断されるか、又は別の方法で損傷されない。安全トリガ(140)がフリップアップ位置に作動された後に、アンビル(400)が「グリーンゾーン」から外れる場合、アンビル(400)が「グリーンゾーン」の外側にあるときに、スロット(1504)が第2の直立部材(154)の上端(156)と位置揃えされていないため、ブラケット(1500)は依然として発射トリガ(150)が作動されることを防止する。
【0105】
B.例示的なユーザインターフェース特徴部
上に記したように、インジケータ部材(1520)が
図30Bに図示されている位置から
図30Cに図示されている位置に枢動する間、操作者は、ハンドルアセンブリ(100)のユーザフィードバック機構(114)内でインジケータ針(1526)の位置を観察することができる。特に、
図32に最もよく示されるように、本実施例のユーザフィードバック機構(114)は、固定線状しるし(3552、3554、3556)、ステープルのグラフィカル表現(3560、3562)、及びチェックマークグラフィック(3564)を含む、グラフィカルインジケータ(3550)を含む。ユーザフィードバック機構(114)は、これを通してインジケータ針(1526)を見ることができる窓(3570)を更に画定する。いくつかの変形例では、ユーザフィードバック機構(114)は、ステープル留めヘッドアセンブリ(300)のサイズに関連する直径、ステープル留めヘッドアセンブリ(300)内のステープルのサイズ、アンビル(400)とステープル留めヘッドアセンブリ(300)との間に画定された間隙のサイズ、及び/又は他の情報を示し得るフィールド(3566)を更に含む。あくまで一例として、フィールド(3566)は、23mm、25mm、29mm、又は31mmのステープル留めヘッドアセンブリ(300)サイズを示してもよい。
【0106】
操作者がノブ(130)を回転させてステープル留めヘッドアセンブリ(300)に対するアンビル(400)の長手方向位置を調節する際、操作者は、窓(3570)を通してインジケータ針(1526)の位置を観察することができる。最初に、インジケータ針(1526)は、窓(3570)の遠位端又はその近くに位置付けられてもよい。アンビル(400)が近位に移動し続けると、インジケータ針(1526)は最終的に窓(3570)に対して近位に移動する。操作者は、固定線状のしるし(3552、3554、3556)に対してインジケータ針(1526)の位置を見ることができる。最遠位及び最近位のしるし(3552、3556)は、ステープル留めヘッドアセンブリ(300)の作動を成功させるためのアンビル(400)とステープル留めヘッドアセンブリ(300)との間の許容可能な距離範囲である、「グリーンゾーン」の境界を表し得る。したがって、インジケータ針(1526)が最遠位のしるし(3552)に対して遠位にある場合、アンビル(400)とステープル留めヘッドアセンブリ(300)との間の距離は大きすぎて、インジケータ針(1526)が最近位のしるし(3556)に対して近位にある場合、アンビル(400)とステープル留めヘッドアセンブリ(300)との間の距離は小さすぎる。しるし(3554)は、しるし(3552、3556)の間に長手方向に位置付けられる。グラフィカル表現(3560)は、(例えば、比較的厚い組織での使用に適した)比較的高く形成されたステープルを表す。一方、グラフィカル表現(3562)は、(例えば、比較的薄い組織での使用に適した)比較的短く形成されたステープルを表す。よって、グラフィカル表現(3560、3562)は、組織の観測ないしは別の方法に基づいて、インジケータ針(1526)としるし(3552、3554、3556)との間の適切な対応する空間的関係を選択することにより、所望の成形されたステープル高さを得るかどうか、またその方法に関する操作者の意思決定を容易にし得る。
【0107】
本実施例では、窓(3570)は、発光ダイオード(LED)(図示せず)により照射され、窓(3570)内のインジケータ針(1526)の視認を更に容易にする。加えて、ステープル留めヘッドアセンブリ(300)がステープル留め及び切断サイクルを完了すると、チェックマークグラフィック(3564)が別のLED(図示せず)により照射される。したがって、操作者は、更にチェックマークグラフィック(3564)の照明を頼りにして、ステープル留めと切断サイクルが完了したことを確認し、それによって、アンビル(400)を吻合(70)から離れる方へ遠位に前進させ、器具(10)を患者から取り外すことが安全であることを確認することができる。あくまで一例として、窓(3570)に関連付けられたLEDが白色の可視光を放出するように構成され、チェックマークグラフィック(3564)に関連付けられたLEDが緑色の可視光を放出するように構成されていてもよい。いくつかの変形形態では、制御回路(2700)は、電池パック(120)がケーシング(110)に挿入されるとすぐに、窓(3570)に関連付けられたLEDの照明を提供するように構成される。
【0108】
C.例示的なヒステリシス回避特徴部
上に記したように、インジケータ部材(1520)及びユーザフィードバック機構(114)は、協働して、ステープル留めヘッドアセンブリ(300)に対するアンビル(400)の長手方向位置を示す視覚的フィードバックを操作者に提供する。当業者であれば、この位置付けの精度が吻合(70)の良好な形成のために重要であり得ることを認識するであろう。したがって、インジケータ部材(1520)及びユーザフィードバック機構(114)によって提供されるフィードバックのリアルタイムの精度は、吻合(70)の良好な形成にとって重要であり得る。
【0109】
ブラケット(1500)及びインジケータ部材(1520)のいくつかの変形形態では、ある程度のヒステリシスが存在することにより、ステープル留めヘッドアセンブリ(300)に対するアンビル(400)の長手方向位置の調整と、ユーザフィードバック機構(114)におけるインジケータ部材(1520)の位置との間にわずかな遅延時間が生じる可能性がある。このヒステリシスは、製造公差及び/又はその他の要因に起因する場合がある。このヒステリシスは、インジケータ部材(1520)及びユーザフィードバック機構(114)によって提供されるフィードバックのリアルタイム精度を低下させる可能性があり、この結果、良好な吻合(70)を損なうおそれがある。したがって、ブラケット(1500)、インジケータ部材(1520)及び関連する特徴部を、そのようなヒステリシスを排除又は少なくとも最小限に抑えるように構成して、インジケータ部材(1520)及びユーザフィードバック機構(114)によって提供されるフィードバックのリアルタイム精度を向上させることにより、吻合(70)を良好に形成する可能性を高めることが望ましいであろう。
【0110】
図33~
図39Dは、ステープル留めヘッドアセンブリに対するトロカール(330)及びアンビル(400)の長手方向の位置を示す視覚フィードバックのリアルタイム精度を向上させるために器具(10)に組み込まれてもよい例示的な代替的特徴部を示す。特に、
図33~
図34は、インジケータ部材(1520)の代わりに使用することができる例示的な代替的インジケータ部材(3600)を示す。
図35は、ブラケット(1500)の代わりに使用することができる例示的な代替的ブラケット(3650)を示す。
【0111】
図33~
図34に示すように、この実施例のインジケータ部材(3600)は、直立アーム(3604)と、アーム(3604)の下端から横方向に突き出すスナップピン(3602)と、アーム(3604)の上端から横方向に突き出すインジケータ針(3606)と、アーム(3604)の中間領域から横方向に突き出す連結ピン(3608)とを備える。スナップピン(3602)は、以下で説明するように、シャーシ(3690)の一部分によって提供される補完的凹部にスナップ嵌めされるように構成されている。インジケータ針(3606)は、インジケータ針(1526)に関して上述のように、ハンドルアセンブリ(100)のユーザフィードバック機構(114)内で見えるように位置付けられ、それにより、ステープル留めヘッドアセンブリ(300)に対するアンビル(400)の長手方向の位置を示すインジケータ部材(3600)の枢動位置を視覚的に示すようになっている。連結ピン(3608)は、以下に記載するように、ブラケット(3650)のフランジ(3670)の開口部(3672)内に嵌合するように構成されている。また以下に記載するように、インジケータ部材(3600)、シャーシ(3690)及びブラケット(3650)間のこの係合によって、ブラケット(3650)の並進に応答したインジケータ部材(3600)の枢動が提供されている。上述のインジケータ部材(1520)とは異なり、本実施例のインジケータ部材(3600)は、上向きに突出し、直立アーム(3604)に対して斜めの角度を画定するように弾性的に付勢される弾性アーム(3610)を備える。後でより詳しく説明するように、弾性アーム(3610)は、シャーシ(3690)と相互作用して、インジケータ部材(3600)に弾性角バイアスを付与するように構成されている。
【0112】
図35に示すように、この実施例のブラケット(3650)は、(上述の第1のスロット(1504)に類似の)第1のスロット(3660)及び(上述の第2のスロット(1506)に類似の)第2のスロット(3658)を画定する剛性のある本体(3656)を含む。(上述の直立部材(1510)に類似の)直立部材(3652)は、本体(3656)の近位端に位置付けられ、(上述の開口部(1512)に類似の)開口部(3654)を画定している。開口部(3654)は、トロカール作動ロッド(220)が入る大きさである。直立部材(3652)は、上述のブラケット(1500)の類似の特徴部と同様に、コイルスプリング(170)と係合するように構成されている。ブラケット(3650)は、開口部(3672)を画定する横方向に設けられたフランジ(3670)を更に含む。開口部(3672)は、遠位縁部(3674)と近位縁部(3676)との間に延在している。ブラケット(3650)は、近位部分と遠位部分とを含む。
【0113】
図36に示し、かつ上に記したように、ピン(3608)は、フランジ(3670)の開口部(3672)内に嵌合するように構成されている。ピン(3608)が両方の縁部(3674、3676)に同時に接触できないように、開口部(3672)の幅はピン(3608)の幅よりも大きい。開口部(3672)の幅とピン(3608)の幅との間のこの構造的関係は、
図39A~
図39Dを参照して以下で説明するように、ブラケット(3650)とインジケータ部材(3600)との間にある程度のロストモーションを付与する。
【0114】
図37は、ハンドルアセンブリ(100)に組み込むことができる例示的なシャーシ(3690)の左シャーシ部分(3691)を示す。シャーシ(3690)は、ハンドルアセンブリ(100)の可動構成要素に対する機械的土台を提供するように構成されている。この実施例のシャーシ(3690)の左シャーシ部分(3691)は、インジケータ部材(3600)の弾性アーム(3610)と係合するように位置付けられた、遠位に設けられた隆起部(3692)を含む。
図37に示されるように、スナップピン(3602)は、シャーシ(3690)内に挿入されるように構成されている。それによりスナップピン(3602)は、インジケータ部材(3600)をシャーシ(3690)に固定しつつも、インジケータ部材(3600)を、シャーシ(3690)に対して、スナップピン(3602)の長手方向軸線を中心に枢動可能としている。
【0115】
図38A~
図38Dは、トロカール(330)及びアンビル(400)がステープル留めヘッドアセンブリ(300)に対して近位に後退する時の、シャーシ(3690)に対するインジケータ部材(3600)の様々な角度位置を示す。特に、
図38Aは、第1の角度配向にあるインジケータ部材(3600)を示している。この第1の角度配向は、トロカール(330)及びアンビル(400)がステープル留めヘッドアセンブリ(300)に対して最も遠位の位置にある場合に生じる。例えば、この配向が、
図30A及び
図27Bに示される動作状態に伴うものであってもよい。インジケータ部材(3600)がこの第1の角度配向にあると、弾性アーム(3610)はシャーシ(3690)の隆起部(3692)と接触せず、弾性アーム(3610)と隆起部(3692)との間に間隙が画定される。
【0116】
操作者がノブ(130)を回転させて、ステープル留めヘッドアセンブリ(300)に対してトロカール(330)及びアンビル(400)を近位に後退させると、ブラケット(3650)が最終的にピン(3608)を近位に引っ張り、それによってインジケータ部材(3600)をシャーシ(3690)に対して(
図38A~
図38Dに示す図では)時計回り方向に枢動させる。この時計回りの枢動中、弾性アーム(3610)は、
図38Bに示されるように、最終的にシャーシ(3690)の隆起部(3692)に接触する。
図38A及び
図38Bに示す段階の間、弾性アーム(3610)は非応力状態にある。しかしながら、操作者がノブ(130)を回転させ続けて、トロカール(330)及びアンビル(400)をステープル留めヘッドアセンブリ(300)に対して更に近位に後退させると、ブラケット(3650)はピン(3608)を近位に引っ張り続け、それによりインジケータ部材(3600)をシャーシ(3690)に対して時計回り方向に更に枢動させる。この結果、
図38Cに示されるように、弾性アーム(3610)が変形する。本実施例では、弾性アーム(3610)は、アンビル(400)が上記で言及した「グリーンゾーン」に到達する前に隆起部(3692)に接触し、変形し始める。
【0117】
弾性アーム(3610)が
図38Cに示すように変形しているときには、弾性アーム(3610)は、インジケータ部材(3600)が(
図38A~
図38Dに示す図では)反時計回り方向に弾性的に付勢されるような応力状態にある。弾性アーム(3610)が応力状態にあっても、操作者がノブ(130)を回転させ続けて、トロカール(330)及びアンビル(400)をステープル留めヘッドアセンブリ(300)に対して更に近位に後退させ、それによりインジケータ部材(3600)をシャーシ(3690)に対して時計回り方向に更に枢動させ、最終的に
図38Dに示す状態としてもよい。この段階で、弾性アーム(3610)が直立アーム(3604)と係合し、弾性アーム(3610)がそれ以上変形しないようにしてもよい。いくつかの変形形態では、ブラケット(3650)が、弾性アーム(3610)が直立アーム(3604)に接するのに十分な程度に近位に並進できない場合がある。操作者がノブ(130)の回転を逆にして、弾性アーム(3610)が応力状態にある時にアンビル(400)を遠位に前進させると、弾性アーム(3610)はインジケータ部材(3600)を反時計回り方向に回転するよう駆動する。
【0118】
上に記したように、開口部(3672)の幅とピン(3608)の幅との間の構造的関係は、ブラケット(3650)とインジケータ部材(3600)との間にある程度のロストモーションを付与する。このロストモーションは、
図39A~
図39Bに示されている。
図39Aは、最遠位位置にあるブラケット(3650)を示している。この動作状態は、
図38Aに示される動作状態に対応している。この段階では、開口部(3672)の近位縁部(3676)はピン(3608)と係合し、ピン(3608)は、開口部(3672)の遠位縁部(3674)から離間配置されている。
【0119】
ブラケット(3650)がトロカール(330)及びアンビル(400)と共に近位に並進すると、ブラケット(3650)は最終的に
図39Bに示される長手方向位置に到達する。この段階では、開口部(3672)の遠位縁部(3674)はピン(3608)と係合し、ピン(3608)は、開口部(3672)の近位縁部(3676)から離間配置されている。しかしながら、
図39Aに示す段階から
図39Bに示す段階へと移行する間は、インジケータ部材(3600)は枢動しない。したがって、ブラケット(3650)が
図39Aに示す位置から
図39Bに示す位置へと並進する間は、インジケータ部材(3600)は静止したままである。
図38A~
図38Dに示す段階に関しては、インジケータ部材(3600)は、
図39Aに示す段階及び
図39Bに示す段階の間は、
図38Aに示す位置にとどまる。本実施例では、開口部(3672)は、アンビル(400)が上述のように「グリーンゾーン」の距離に到達する前は、ピン(3608)が
図39Bに示されるように開口部(3672)の遠位縁部(3674)と係合するような大きさ及び構成である。更に、弾性アーム(3610)は、アンビル(400)が上述のように「グリーンゾーン」の距離に到達する前は隆起部(3692)に接触する。したがって、インジケータ針(3606)は、ブラケット(3650)が
図39Bに示される位置に到達して、インジケータ部材(3600)が
図38Bに示す位置に到達する後までは、ユーザフィードバック機構(114)の最遠位のしるし(3552)の近位に位置付けられない。
【0120】
ブラケット(3650)がトロカール(330)及びアンビル(400)と共に近位に並進し続けると、ブラケット(3650)は最終的に
図39Cに示す長手方向位置に到達する。
図39Bに示す段階と
図39Cに示す段階と間の移動範囲の間、この段階では、フランジ(3670)の遠位縁部(3674)は、ピン(3608)に当接してピン(3608)を近位に駆動し、それにより、インジケータ部材(3600)を
図39Cに示される位置に駆動する。シャーシ(3690)は、
図39A~
図39Dでは省略されているが、当業者であれば、
図39Bに示す段階及び
図39Cに示す段階からの移行中に、弾性アーム(3610)と隆起部(3692)との係合により弾性アーム(3610)が変形する(それにより応力を受ける)ことを理解するであろう。当業者はまた、
図39Cに示すブラケット(3650)とインジケータ部材(3600)との間の関係が、
図38B~
図38Dに示す段階間の移行に伴う動作範囲全体にわたることを理解するであろう。
【0121】
上に記したように、吻合(70)が形成された後、又は操作者がアンビル(400)とステープル留めヘッドアセンブリ(300)との間の間隙距離(d)を調整している間に、操作者はトロカール(330)及びアンビル(400)を遠位に駆動させることができる。これに伴い、ブラケット(3650)も遠位に並進する。これにより、
図39Dに示す動きが生じる。ブラケット(3650)は、そのような遠位動作が開始される前に既に(例えば
図39Cに示す位置などの)近位位置にあるため、弾性アーム(3610)は応力状態にあり、それによりインジケータ部材(3600)を遠位に枢動させる。この弾性バイアスにより、ブラケット(3650)が遠位に移動しても、ピン(3608)は開口部(3672)の遠位縁部(3674)との係合を保持する。操作者がノブ(130)を回転させてトロカール(330)及びアンビル(400)を遠位に駆動し続けると、遠位に並進するブラケット(3650)により、弾性アーム(3610)がインジケータ部材(3600)を
図39A~
図39Bに示す枢動位置に戻すように駆動することができる。インジケータ部材(3600)が
図39A~
図39Bに示す枢動位置に到達した後、遠位縁部(3674)はピン(3608)との係合を解除し、ブラケット(3650)は、
図39Aに示す長手方向位置に到達するまで、所定の動作範囲を通して遠位に並進し続けることができる。
【0122】
本実施例では、
図39Aに示す段階と
図39Bに示す段階との間のブラケット(3650)とインジケータ(3600)との間のロストモーション及び、
図38Aに示す段階と
図38Bに示す段階との間の弾性アーム(3610)と隆起部(3692)との間のロストモーションが、トロカール(330)及びアンビル(400)がステープル留めヘッドアセンブリ(300)に向かって近位に後退するのに伴い、インジケータアーム(3600)の動きからヒステリシスを除去する。同様に、
図39Bに示す段階と
図39Aに示す段階との間のブラケット(3650)とインジケータ(3600)との間のロストモーション及び、
図38Bに示す段階と
図38Aに示す段階との間の弾性アーム(3610)と隆起部(3692)との間のロストモーションが、トロカール(330)及びアンビル(400)がステープル留めヘッドアセンブリ(300)から離れる方へ遠位に前進するのに伴い、インジケータアーム(3600)の動きからヒステリシスを除去する。前進及び後退中にアンビル(400)が上記で言及した「グリーンゾーン」外にあるときに、このロストモーションが発生する。したがって、ロストモーションは、アンビル(400)が実際には「グリーンゾーン」外にあるにもかかわらず、場合によってはインジケータ針(3606)をしるし(3552、3556)の間に保持する可能性のあるヒステリシスにより、アンビル(400)が「グリーンゾーン」内にあると操作者が誤解してしまう可能性を低減する。
【0123】
VI.例示的な動作ルーチン
図27A~
図27Eに関しての上述の順序が、外科的処置において操作者によりどのように器具(10)が使用されてよいか、に関連する一方、
図27A~
図27Eに示す手順の前、最中、及び後に、器具(10)内において実施してよい種々のルーチンが存在することを理解されたい。
図40A~
図40Bは、
図27A~
図27Eに示した手順の前、最中、及び後に器具(10)を介して実施されてよい、例示的なプロセス(4000)における各種工程を示す。プロセス(4000)の各種工程がただ単に任意のものであり、また所望する場合省略されてよいことを理解されたい。
【0124】
本実施例では、ブロック(4002)にて示すように、操作者がハンドルアセンブリ(100)のソケット(116)内に電池パック(120)を挿入することから、プロセス(4000)が始まる。いくつかの変形形態では、ソケット(116)への電池パック(120)の挿入は、プロセス(4000)における1種以上の追加の工程を自動的に誘発する。例えば、ブロック(4004)にて示すように、ソケット(116)への電池パック(120)の挿入は、電池パック(120)がケーシング(110)から取り外されたら、電池パック(120)からの電力流出を開始させるドレインスイッチを自動的に起動してよい。あくまで一例として、電池パック(120)からのそのような電力の自動放出は、少なくともいくつかの本明細書の他の教示に従って提供されてもよい。追加的にあるいは代替的に、少なくともいくつかの以下の教示に従い、電池パック(120)からの電力の自動放出を提供してよい。ソケット(116)への電池パック(120)の挿入の際に電力が電池パック(120)から自動的に放出され得るその他の好適な方法は、本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかとなるであろう。あるいは、いくつかの変形形態では、ブロック(4004)に示す工程は単純に省略される。
【0125】
電池パック(120)からの自動的な電力放出の開始に加えて、又は代えて、ソケット(116)への電池パック(120)の挿入は、ブロック(4006)にて示すように、トロカール(330)及びアンビル(400)を近位に後退させる能力を機械的に解除し得る。あくまで一例として、トロカール(330)及びアンビル(400)を近位に後退させるそのような能力の解除は、少なくともいくつかの本明細書の他の教示に従って提供されてもよい。トロカール(330)及びアンビル(400)を近位に後退させる能力が、ソケット(116)への電池パック(120)の挿入の際に自動的に解除され得るその他の好適な方法は、本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかとなるであろう。あるいは、いくつかの変形形態では、ブロック(4006)に示す工程は単純に省略される。
【0126】
ブロック(4008)にて示すように、ソケット(116)への電池パック(120)の挿入は、ステープル留めヘッドアセンブリ(300)を作動させる回路内で必要な電気的接続を提供してよいことを理解されたい。換言すれば、電池パック(120)がない状態では、ステープル留めヘッドアセンブリを作動させる回路は、必要な電気的接続を欠くことになる。いくつかのその他の変形形態では、器具(10)はいくつかのその他の供給元からの電力を受容することができ、これにより、ステープル留めヘッドアセンブリ(300)を操作可能に作動させる回路を完成させるために、電池パック(120)を必ずしもソケット(116)へと挿入する必要はない。
【0127】
いくつかの変形形態では、ブロック(4010)にて示すように、ソケット(116)への電池パック(120)の挿入はまた、安全トリガ(140)を作動させる能力を機械的に解除し得る。ソケット(116)への電池パック(120)の挿入が安全トリガ(140)を作動させる能力を機械的に解除し得る種々の好適な方法は、本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかとなるであろう。あるいは、いくつかの変形形態では、ブロック(4010)に示す工程は単純に省略される。
【0128】
ブロック(4004、4006、4008、4010)に示す工程が最終的にプロセス(4000)に含まれるかどうか(又はその程度)に関係なく、ブロック(4012)にて示すように、解剖学的構造(20)へのアンビル(400)の挿入を用いてプロセス(4000)に着手してよい。上述のように、本工程もまた
図27Aに示す。
図40A~
図40Bにて示すように引き続きプロセス(4000)を用いて、ブロック(4014)にて示すように、アンビル(400)を次いでトロカール(330)に固定する。上述のように、本工程もまた
図27Bに示す。
図40A~
図40Bにて示すように引き続きプロセス(4000)を用いて、ブロック(4016)にて示すように、アンビル(400)及びトロカール(330)を次いで近位に後退させて、解剖学的構造(20、40)の組織を圧縮する。上述のように、本工程もまた
図27Cに示す。ブロック(4018)にて示すように、操作者は適切な間隙距離(d)を達成するためにノブ(130)を回転させる。上述のように、本工程もまた
図30B~
図30C及び27Cに示す。
【0129】
場合によっては、器具(10)は、間隙距離(d)を監視し、かつ操作者に間隙距離(d)に関するフィードバックを提供する、電気機械的特徴部を含む。あくまで一例として、そのような特徴部は、少なくともいくつかの本明細書の他の教示に従って提供されてもよい。器具(10)が、間隙距離(d)を監視し、かつ操作者に間隙距離(d)に関するフィードバックを提供し得るその他の好適な方法は、本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかとなるであろう。本能力を有する器具(10)のこれらの変形形態に関して、ブロック(4020)にて示すように、プロセス(4000)はこのような間隙距離(d)の監視を含む。いくつかの他の変形形態では、ブロック(4020)に示す工程は省略される。ブロック(4022)にて示すように、器具(10)は、間隙距離(d)に関する可聴、視覚的、及び又は触覚的フィードバックを提供し得る。間隙距離(d)が臨床的に許容可能な範囲を下回る(すなわち、アンビル(400)がステープル留めヘッドアセンブリ(300)に接近しすぎる)場合、ブロック(4024)にて示すように、器具(10)は、アンビル(400)が遠位に進んで間隙距離(d)を増大させる必要があることを示す指標を、操作者に提供し得る。いくつかの他の変形形態では、ブロック(4024)に示す工程は単純に省略される。したがって、いくつかの変形形態では、間隙距離(d)を監視し、かつ操作者に間隙距離(d)に関するフィードバックを提供する、電気機械的特徴部がない場合がある。いくつかのそのような変形形態では、純粋な機械的特徴部(例えば、インジケータ針(3606)など)を使用して、間隙距離(d)を監視し、間隙距離(d)に関連するフィードバックを操作者に提供することができる。
【0130】
器具(10)が、間隙距離(d)を監視し、かつ操作者に間隙距離(d)に関するフィードバックを提供する電気機械的特徴部を含むかどうかに関係なく、ブロック(4026)にて示すように、間隙距離(d)が臨床的に許容可能な範囲に到達した場合に、ブラケット(1500)は安全トリガ(140)の作動を解除する位置へと移動する。ブラケット(1500)のこのような位置付けもまた、上述のように
図30Cに示す。ブロック(4028)にて示すように、一度ブラケット(1500)が解除位置へと移動すると、操作者は安全トリガ(140)を作動させてよい。安全トリガ(140)のこのような作動もまた、上述のように
図30Dに示す。ブロック(4030)にて示すように、一度安全トリガ(140)が作動されると、操作者は次いで発射トリガ(150)を作動させてよい。発射トリガ(150)のこのような作動もまた、上述のように
図30Eに示す。
【0131】
ブロック(4032)にて示すように、一度操作者が発射トリガ(150)を作動させると、操作者が発射トリガ(150)を用いて次に何を行うかに関係なく、器具(10)はステープル留めヘッドアセンブリ(300)の作動ストロークを完了させる。換言すれば、一度操作者が発射トリガ(150)を作動させると、ステープル留めヘッドアセンブリ(300)を作動させるアセンブリ(すなわち、モータ(161)及びモータ(161)をステープル留めヘッドアセンブリ(300)に連結させる構成要素の残部)は、たとえ操作者が更に発射トリガ(150)を扱うとしても、効果的に完全にステープル留めヘッドアセンブリ(300)の作動に貢献する。あくまで一例として、開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、2018年3月6日に発行された米国特許第9,907,552号、発明の名称「Control Features for Motorized Surgical Stapling Instrument」の教示のうちの少なくとも一部に従って、器具(10)は、発射トリガ(150)の作動に応答してステープル留めヘッドアセンブリ(300)の作動に完全な貢献を提供する、構成要素を含んでよい。あるいは、器具(10)は、以下の教示に従って、発射トリガ(150)の作動に応答してステープル留めヘッドアセンブリ(300)の作動に完全な貢献を提供する、構成要素を含んでよい。
【0132】
ブロック(4034)にて示すように、ステープル留めヘッドアセンブリ(300)の作動ストロークは、種々の構成要素の遠位及び近位運動を含む。上述のように、この交互の運動を
図24A~
図24B及び
図26A~
図26Dに示す。上述のように、遠位運動もまた
図27Dに示す。
【0133】
器具(10)のいくつかの変形形態では、発射機構がステープル留めヘッドアセンブリ(300)の作動ストロークを完了させる一方、ブロック(4036)にて示すように、器具(10)は発射機構内でひずみを検出する特徴部を含んでよい。あくまで一例として、そのような感知は、少なくともいくつかの本明細書の他の教示に従って提供されてもよい。器具(10)が、発射システムにおけるひずみを感知する特徴部を組み入れ得るその他の好適な方法は、本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかとなるであろう。あるいは、ブロック(4036)に示す工程を省略するように、このような特徴部を省略してよい。ブロック(4038)にて示すように、このような特徴部が含まれる場合、ひずみが閾値を超えたことを感知特徴部が検出した場合に、器具(10)は可聴、視覚的、及び又は触覚的指標を提供し得る。もちろん、ブロック(4038)に示される工程は、いくつかの変形形態では省略されてもよい。
【0134】
ステープル留めヘッドアセンブリ(300)の作動ストロークの間に、発射機構においてひずみを検出する特徴部に加えて、又は代えて、ブロック(4040)に示すように、器具(10)のいくつかの変形形態は、作動ストロークの間に、発射機構の一部分が予想距離を移動したかどうかを検出するスイッチ又はその他の種類のセンサを含んでよい。あくまで一例として、そのような感知は、少なくともいくつかの本明細書の他の教示に従って提供されてもよい。器具(10)に、発射機構が十分な移動を完了したかどうかを感知する特徴部を組み入れ得るその他の好適な方法は、本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかとなるであろう。あるいは、ブロック(4040)に示す工程を省略するように、このような特徴部を省略してよい。ブロック(4042)にて示すように、このような特徴部が含まれる場合、ステープル留めヘッドアセンブリ(300)の作動ストロークが首尾よく完了したことを感知特徴部が検出した場合に、器具(10)は可聴、視覚的、及び又は触覚的指標を提供し得る。
【0135】
ブロック(4044)にて示すように、一度ステープル留めヘッドアセンブリ(300)が首尾よく作動すると、ステープル留めヘッドアセンブリ(300)からアンビル(400)を遠位に前進させてよく、また患者から器具(10)を引き抜いてよい。ブロック(4046)にて示すように、器具(10)が患者から引き抜かれた後、操作者はハンドルアセンブリ(100)から電池パック(120)を取り外してよい。
【0136】
上に記したように、上述したプロセス(4000)の工程は、ただ単に例示的な実施例に過ぎない。器具(10)は、本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかとなるであろう様々な他の方法で使用することができる。加えて、器具(10)は、本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかとなるであろう様々なその他の機能性を有し得る。器具(10)のいくつかの変形例は、プロセス(4000)のいくつかの工程を実行することができない場合があることを理解されたい。更に、器具(10)のいくつかの変形形態は、プロセス(4000)に含まれない工程を実行することが可能であり得る。
【0137】
ブロック(4032)に関して上に記したように、発射トリガ(150)の作動に応答して、ステープル留めヘッドアセンブリ(300)用の発射機構が完全な作動ストロークを完了させるのを、確実にすることが望ましい場合がある。換言すれば、発射トリガ(150)の後続操作が、ステープル留めヘッドアセンブリ(300)の作動ストロークを完了させる発射機構へのいずれかの影響を有するのを、防ぐことが望ましい場合がある。場合によっては、器具(10)は、発射トリガ(150)の後続の操作にかかわらず、発射トリガ(150)の作動に応答する、ステープル留めヘッドアセンブリ(300)の完全な作動ストロークの完了を確実にする、機械的特徴部を組み入れてよい。そのような機械的特徴部の実施例は、開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、2018年3月6日に発行された米国特許第9,907,552号、発明の名称「Control Features for Motorized Surgical Stapling Instrument」に記載されている。このような機械的特徴部の使用に加えて、又は代えて、器具(10)は、発射トリガ(150)の後続の操作にかかわらず、発射トリガ(150)の作動に応答する、ステープル留めヘッドアセンブリ(300)の完全な作動ストロークの完了を確実にする、電気的構成要素組み入れてよい。そのような電気的特徴部のいくつかの実施例を後でより詳しく説明するが、更なる実施例が、本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかとなるであろう。
【0138】
VII.自己放出特徴部を有する例示的な電池パック
図41~
図57は、以下で論じるいずれかの相違点を除いて、上述した電池パック(120)と実質的に同様に動作するように構成されている、例示的な電池パック(5600)を含む器具(10)を図示している。例えば、電池パック(5600)は、電池パック(120)を参照して既に説明したように、電力をピストルグリップ(112)内のモータ(161)に提供するように動作可能である。電池パック(5600)は、ハンドルアセンブリ(100)から取り外し可能である。特に、
図41~
図42及び
図45A~
図45Bに図示されているように、電池パック(5600)は、ケーシング(110)によって画定されるソケット(116)の中に挿入され得る。電池パック(5600)がソケット(116)内に完全に挿入された後、電池パック(5600)のラッチ(5602)が弾性的にケーシング(110)の内側特徴部に係合して、スナップ嵌めされ得る。電池パック(5600)を取り外すには、操作者はラッチ(5602)を内側に押し込んでラッチ(5602)とケーシング(110)の内側特徴部との係合を解除した後、電池パック(5600)をソケット(116)から近位に引き抜くことで実現し得る。電池パック(5600)及びハンドルアセンブリ(100)は、補完的な電気的接点、ピン及びソケット、並びに/又は、電池パック(5600)がソケット(116)内に挿入された場合に、電池パック(5600)からハンドルアセンブリ(100)内の電動構成要素への電気的通信用の経路を提供するその他の特徴部を有し得るということを理解されたい。
【0139】
図43に最もよく示されるように、電池パック(5600)は上側電池ハウジング(5610)及び下側電池ハウジング(5620)を含む。上側電池ハウジング(5610)及び下側電池ハウジング(5620)は、複数の電池(5630)を収容する剛性のあるケーシングを提供するように、超音波溶接によって(又は他の好適な技術を使用して)互いに固定されるように構成される。下側電池ハウジング(5620)は、電池(5630)の正極端子に接続するように構成されている正極電池接点(5622)と、電池(5630)の負極端子に接続するように構成されている負極電池接点(5624)とを含む。下側電池ハウジング(5620)は、ドレイン接点(5626)を更に含む。正極電池接点(5622)の近位端は、ドレイン接点(5626)に向かって付勢されている。後程、より詳細に説明するように、正極電池接点(5622)とドレイン接点(5626)との間の接触は、電池(5630)から電力を放出させるように構成されている。器具(10)のケーシング(110)、電池パック(5600)の上側電池ハウジング(5610)及び電池(5630)は、電池パック(5600)の動作の理解を助けるために
図46~
図57から省略されているということを理解されたい。
【0140】
下側電池ハウジング(5620)は、下側電池ハウジング(5620)内に形成されたチャネル(5621)内に摺動可能に配設されている電池ドレインスレッド(5628)を含み、電池ドレインスレッド(5628)は、チャネル(5621)内を下側電池ハウジング(5620)に対して長手方向に並進するように構成されている。
図46~
図48に図示されているように、初期位置においては、電池ドレインスレッド(5628)はチャネル(5621)内、ドレイン接点(5626)と正極電池接点(5622)の近位端との間に位置付けられ、ドレイン接点(5626)と正極電池接点(5622)とが接触するのを防止している。
【0141】
図49~
図50に図示されているように、電池パック(5600)がケーシング(110)のソケット(116)の中に挿入されるにつれて、シャーシ(3690)の右シャーシ部分(3693)のフランジ(111)が、下側電池ハウジング(5620)の遠位端に形成された開口部(5618)を通って、下側電池ハウジング(5620)のチャネル(5621)に向かって進む。
【0142】
図51~
図52に図示されているように、電池パック(5600)がケーシング(110)のソケット(116)の中に更に挿入されるにつれて、フランジ(111)が、開口部(5618)を通ってチャネル(5621)の中に更に進み、フランジ(111)の近位端が、電池ドレインスレッド(5628)の遠位端に接触するようになる。
【0143】
図53~
図54に図示されているように、電池パック(5600)がケーシング(110)のソケット(116)の中に、電池パック(5600)がソケット(116)内で完全に着座する点まで更に挿入されるにつれて、フランジ(111)が、開口部(5618)を通って、チャネル(5621)の中に更に進み、フランジ(111)が電池ドレインスレッド(5628)を、チャネル(5621)内で近位に駆動する。この位置では、電池ドレインスレッド(5628)はもはや、正極電池接点(5622)とドレイン接点(5626)との間には存在しない。しかしながら、ここではフランジ(111)は、正極電池接点(5622)とドレイン接点(5626)との間に存在する。したがって、電池パック(5600)がソケット(116)の中に進むにつれて、電池ドレインスレッド(5628)とフランジ(111)とが協調して、正極電池接点(5622)とドレイン接点(5626)との間の接触を防止するということを理解されたい。
【0144】
図54に最もよく示されるように、電池ドレインスレッド(5628)が近位に駆動されるにつれて、電池ドレインスレッド(5628)の戻り止め(5629)がチャネル(5621)の側壁に形成された戻り止め(5619)に係合し、電池ドレインスレッド(5628)を近位位置に「ロック」する。
図55~
図57に図示されているように、電池パック(5600)が取り外される間、フランジ(111)が下側電池ハウジング(5620)から取り外され、フランジ(111)はもはや、正極電池接点(5622)とドレイン接点(5626)との間には存在しない。したがって、電池ドレインスレッド(5628)が近位位置にある状態では、正極電池接点(5622)の近位端がドレイン接点(5626)に接触して、電池(5630)から電力を放出させる。したがって、電池パック(5600)をケーシング(110)に挿入したり取り出したりすることで、最終的に電池(5630)が電力を放出するということを理解されたい。換言すれば、電池パック(5600)は、1回使用すると、電力を放出する。そのように電力を放出することにより、潜在的に電池接点(5622、5624)から利用可能なエネルギーを更に取り除き、電池パック(5600)が廃棄された際に、可燃性の物質を点火する可能性を制限する。
【0145】
図58は、上述のように電池(5630)を放出するために使用され得る例示的な電池ドレイン回路(5700)を示す。図示のように、この実施例の回路(5700)は、電池パック(5600)がケーシング(110)内に挿入されたときに閉じられるドレインスイッチ(5640)を含む。この実施例では、ドレインスイッチ(5640)は、電池パック(5600)が最初にケーシング(110)に挿入される前に開いたままであり、電池パック(5600)がケーシング(110)から取り外された後でも閉じたままである。ドレインスイッチ(5640)が閉じられると、電池(5630)は、一対のドレイン抵抗器(5642)と連通して配置される。ドレイン抵抗器(5642)は、互いに直列に配置され、器具(10)の残りの回路(2700)と並列に配置される。ドレイン抵抗器(5642)は、ドレインスイッチ(5640)の閉鎖時に電池(5630)から電力を連続的に放出する。いくつかの他の変形例では、ドレインスイッチ(5640)は、電池パック(5600)がケーシング(110)から取り外されるまで開いたままである。換言すれば、電池ドレイン回路(5700)は、ドレインスイッチ(5640)がケーシング(110)から電池パック(5600)を取り外した際にのみ閉鎖されるように構成されてもよい。
【0146】
図58にも示されるように、本実施例の電池ドレイン回路(5700)はまた、ヒューズ(5650)を含む。あくまで一例として、ヒューズ(5650)は、正の温度係数(positive temperature coefficient、PTC)電流制限デバイスを含み得る。したがって、ヒューズ(5650)は、電池パック(5600)及び/又はその構成要素における任意の温度上昇を最小限に抑えるために、電池(5630)の放電中の電流を制御することができる。例えば、ヒューズ(5650)は、電池パック(5600)及び/又はその構成要素の温度を、使用中又は廃棄後に触れるであろう通常の材料の引火点未満に制限するように構成され得る。ヒューズ(5650)を形成するために使用され得る様々な好適な材料及び構成は、本明細書の教示を考慮すれば当業者には明らかとなるであろう。
【0147】
VIII.例示的な起動回路
発射トリガ(150)は、モータ(161)を起動することによってステープル留めヘッドアセンブリ(300)を作動させるように動作可能である。安全トリガ(140)は、ステープル留めヘッドアセンブリ(300)に対するアンビル(400)の長手方向位置に基づいて発射トリガ(150)の作動を選択的にブロックするように動作可能である。よって、発射トリガ(150)は、安全トリガ(140)が作動された後まで作動され得ない。ハンドルアセンブリ(100)はまた、ステープル留めヘッドアセンブリ(300)に対するアンビル(400)の位置に基づいて、トリガ(140、150)の両方を選択的にロックアウトするように動作可能な構成要素を備えている。トリガ(140、150)がロックアウトされると、安全トリガ(140)は、発射トリガ(150)の作動を可能にするように移動することを防止され、発射トリガ(150)は、ステープル留めヘッドアセンブリ(300)の作動を開始することを防止される。したがって、発射トリガ(150)は、ステープル留めヘッドアセンブリ(300)に対するアンビル(400)の位置が、所定の範囲内にある場合にのみ、ステープル留めヘッドアセンブリ(300)の作動を開始するよう動作可能である。あくまで一例として、このようなロックアウト特徴部は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2019年6月4日に発行された米国特許第10,307,157号、発明の名称「Surgical Stapler with Anvil Seating Detection」の教示のうちの少なくとも一部に従って構築し、動作可能にし得る。
【0148】
図59A~
図59Bに最もよく示されるように、本実施例の発射トリガ(150)は、一体型の作動パドル(158)を含む。安全トリガ(140)が発射トリガ(150)の作動を可能にするように作動されているシナリオでは、発射トリガ(150)が
図59Aに示されている位置から
図59Bに示されている位置へと枢動するにつれ、パドル(158)は前方に枢動する。パドル(158)は、発射トリガ(150)が
図59Aに示されている位置から
図59Bに示されている位置に枢動したときに、モータ起動モジュール(180)のスイッチ(182)(
図60を参照)を作動させるように構成されている。モータ起動モジュール(180)のスイッチ(182)は、電池パック(120)及びモータ(161)に連通しており、モータ起動モジュール(180)は、パドル(158)がモータ起動モジュール(180)のスイッチ(182)を作動させることに応答して、電池パック(120)からの電力でモータ(161)の起動をもたらすように構成されている。したがって、モータ(161)は、発射トリガ(150)が
図59Aに示されている位置から
図59Bに示されている位置に枢動されたときに起動される。本明細書に記載されるように、モータ(161)のこの起動により、ステープル留めヘッドアセンブリ(300)が作動される。あくまで一例として、この作動は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2016年12月29日に公開された米国特許出願公開第2016/0374666号、発明の名称「Surgical Stapler with Reversible Motor」の教示のうちの少なくとも一部に従って実施され得る。モータ起動モジュール(180)が制御回路(2700)に組み込まれ得る例示的な方法については、
図60を参照して後でより詳しく説明する。他の実施例は、本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかとなるであろう。
【0149】
上に記したように、パドル(806)は、ステープル留めヘッドアセンブリ(300)の作動ストロークの終了時に、モータ停止モジュール(190)のスイッチボタン(192)を作動させるように構成されている。本実施例では、モータ停止モジュール(190)は、スイッチボタン(192)が作動されると、モータ(161)に提供される電力の極性を逆転させる。この結果、ステープル留めヘッドアセンブリ(300)の作動ストロークが完了すると、モータ(161)が動的に制動される。あくまで一例として、モータ停止モジュール(190)は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2018年3月6日に発行された米国特許第9,907,552号の教示のうちの少なくとも一部に従って構成し、動作可能であり得る。他の好適な構成は、本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかとなるであろう。
【0150】
当業者であれば、器具(10)の通常の使用中に、器具(10)の少なくとも特定の部分が、患者の体液、生理食塩水などを含むがこれらに限定されない様々な流体に晒され得ることを認識するであろう。あくまで一例として、液体侵入の最も影響を受けやすい器具(10)の領域は、ステープル留めヘッドアセンブリ(300)と、ハンドルアセンブリ(100)の下側又はその近くの特徴部とを含み得、ここで、液体は、シャフトアセンブリ(200)を流れた後に集まる傾向があり得る。当業者であれば、いくつかの電気回路構成要素は、そのような電気回路構成要素が液体に晒されたときに性能が損なわれることを経験し得ることも認識するであろう。例えば、液体は、いくつかの電気回路及び回路構成要素の機能を損ない得る。器具(10)のような外科用器具に関しては、損なわれた回路は、特徴部(例えば、モータ(161)、ひいてはステープル留めヘッドアセンブリ(300))を早期に起動し得、望ましくない結果をもたらし得る。したがって、特定の電気回路構成要素への液体の侵入が、早期の起動又は他の望ましくない効果を引き起こして、そのような電気回路及び回路構成要素の性能を損なうことのない、器具(10)の変形形態を提供することが望ましい場合がある。
【0151】
以下の実施例は、器具(10)の変形例の文脈で提供されるが、同じ教示を、様々な他の種類の外科用器具に容易に組み込むことができる。以下の教示が適用され得る他の種類の器具は、当業者には明らかとなるであろう。
【0152】
図60は、器具(10)内に組み込むことができる例示的な制御回路(2700)を示す。回路(2700)は、ドームスイッチ(2610)及びモータ起動モジュール(180)への液体の侵入が、ドームスイッチ(2610)、モータ起動モジュール(180)、又はモータ停止モジュール(190)の性能を損なわないように構成される。よって、ドームスイッチ(2610)及びモータ起動モジュール(180)は、回路(2700)の液体耐性領域(2750)内にある。図示のように、この実施例の回路(2700)は、いくつかのトランジスタ(2710、2712、2714、2716、2718)、いくつかの抵抗器(2720、2722、2724、2726、2728、2730、2732、2734、2736)、いくつかのショットキーダイオード(2740、2742、2744、2746)、ツェナーダイオード(2748)、及びコンデンサ(2749)を含む。同じく示されるように、電池パック(120)、モータ(161)、モータ起動モジュール(180)、スイッチボタン(192)、ドームスイッチ(2610)、及びLED(2702、2704)もまた回路(2700)に組み込まれる。本実施例では、制御回路(2700)は、ドームスイッチ(2610)への電流の流れがモータ(161)への電流の流れよりも小さいように構成されている。
【0153】
本実施例では、トランジスタ(2710)、モータ起動モジュール(180)、及び抵抗器(2720、2722)は全て、回路(2700)の液体耐性領域(2750)内に位置する。本実施例のトランジスタ(2710)は、比較的低い電圧閾値を有し、ドームスイッチ(2610)、モータ起動モジュール(180)、及び最終的にモータ(161)と連結される他の構成要素と連通する。本実施例では、モータ起動モジュール(180)のスイッチ(182)は、スイッチ(182)がデフォルトで閉鎖状態に保持されるように構成されている。したがって、パドル(158)が、操作者が発射トリガ(150)を枢動させることに応答してモータ起動モジュール(180)と係合すると、パドル(158)は、モータ起動モジュール(180)のスイッチ(182)を閉鎖状態から開放状態に遷移させる。
【0154】
トランジスタ(2710)及び回路(2700)の関連する構成要素は、モータ起動モジュール(180)のスイッチが開放状態にあるとき(発射トリガ(150)が完全に作動されていることを示す)、及びドームスイッチ(2610)が閉鎖状態にあるとき(アンビル(400)がトロカール(330)と適切に連結されていることを示す)に限り、モータ(161)の起動をもたらすように構成されている。したがって、モータ起動モジュール(180)のスイッチが閉鎖状態にあるとき(発射トリガ(150)が完全に作動されていないことを示す)、ドームスイッチ(2610)が閉鎖状態にある場合であっても、モータ(161)は起動されない。同様に、ドームスイッチ(2610)が開放状態にあるとき(アンビル(400)がトロカール(330)と適切に連結されていないことを示す)、モータ起動モジュール(180)のスイッチが開放状態にある場合であっても、モータ(161)は起動されない。
【0155】
当業者であれば、液体に浸されたスイッチは損なわれる傾向にあり得、閉鎖スイッチの結果を早期に生じさせ得ることを認識するであろう。したがって、モータ(161)が、モータ起動モジュール(180)のスイッチの開放状態から閉鎖状態への遷移時に起動される回路(2700)の代替的な変形形態では、液体侵入がスイッチを損ない、それによって、発射トリガ(150)が作動される前に閉鎖状態を有効にもたらし得る。換言すれば、モータ(161)が、モータ起動モジュール(180)のスイッチの開放状態から閉鎖状態への遷移時に起動される回路(2700)の代替的な変形形態では、液体侵入は、モータ(161)、ひいてはステープル留めヘッドアセンブリ(300)の早期起動をもたらし得る。しかしながら、モータ起動モジュール(180)のスイッチは、モータ(161)の起動をもたらすために開放状態であることを必要とされることにより、本実施例の回路(2700)は、モータ(161)、ひいてはステープル留めヘッドアセンブリ(300)が液体侵入によって早期に起動されることを防止する。
【0156】
ドームスイッチ(2610)が開放状態にあるとき(すなわち、アンビル(400)が上述のようにドームスイッチ(2610)を作動していないとき)、トランジスタ(2710)は閉鎖スイッチ(「オン」)として作用する。ドームスイッチ(2610)が閉鎖状態にあるとき(すなわち、アンビル(400)が上述のようにドームスイッチ(2610)を作動させたとき)、トランジスタ(2710)は、開放スイッチ(「オフ」)として挙動する。当業者であれば、エミッタ(トランジスタ(2714、2716)が接続されている点)が0Vの電池に接続されるため、トランジスタ(2714)の電圧閾値が0.7V以上であることを認識するであろう。コンデンサ(2749)、抵抗器(2728、726)、及びトランジスタ(2714)が接続する点がこの閾値を超えると、トランジスタ(2714)は閉鎖スイッチ(「オン」)として作用し、それによってモータ(161)の起動が可能になる。
【0157】
トランジスタ(2714)は、本実施例では比較的低い電圧閾値を有する。よって、トランジスタ(2714)は、モータ起動モジュール(180)が導電性液体に浸されている場合であっても、液体は、閉鎖スイッチとの同等性を生じさせない十分な固有抵抗をもたらすという事実によって、モータ起動モジュール(180)のスイッチ(182)の開放状態を認識することが可能である。液体の固有抵抗は、電圧を低下させるが、トランジスタ(2710)の低電圧閾値未満のレベルにはならないため、トランジスタ(2710)は、スイッチ(182)が開放されたことを認識することができる。
【0158】
上述の回路(2700)の構成を提供することに加えて、又は代えて、液体侵入に対する少なくともある程度の耐性を提供するために、様々な電気的構成要素を液体不透過性コーティングでコーティングしてもよい。例えば、いくつかの変形形態では、回路(2700)の1つ以上のプリント回路基板(例えば、LED(2702、2704)が搭載される回路基板)は、液体不透過性コーティングでコーティングされてもよい。加えて、又は代替的に、LED(2702、2704)のいずれか又は両方は、液体不透過性コーティングでコーティングされてもよい。液体不透過性コーティングでコーティングされ得る回路(2700)の他の特徴部は、本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかとなるであろう。
【0159】
液体不透過性コーティングが回路(2700)の1つ以上の構成要素上で使用されるいくつかの変形形態では、液体不透過性コーティングは、紫外線硬化ウレタンコーティングを含み得る。いくつかの変形形態では、液体不透過性コーティングは透明である。コーティングを透明にすることにより、これは、見られることが意図されるコーティングされた特徴部(例えば、LED(2702、2704)のいずれか又は両方)の読みやすさを保ち得る。更に、LED(2702、2704)の一方又は両方がコーティングされる変形形態では、透明なコーティングの使用は、コーティングされたLED(2702、2704)から放出された光がコーティング沿いに伝導されること(すなわち、「にじみ」)を防止し得る。このようなコーティングを提供するために使用され得る他の様々な好適な材料、及びこのようなコーティングを塗布するために使用され得る様々な方法は、本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかとなるであろう。
【0160】
IX.例示的な円錐形コイルスプリング
上述のように、器具(10)は、本体(例えば、ハンドルアセンブリ(100))、シャフト(例えば、シャフトアセンブリ(200))、ステープル留めヘッドアセンブリ(例えば、ステープル留めヘッドアセンブリ(300))、及びアンビル(例えばアンビル(400))を含んでもよい。シャフトアセンブリ(200)は、ハンドルアセンブリ(100)から遠位に延在し、ステープル留めヘッドアセンブリ(300)は、シャフトアセンブリ(200)の遠位端に位置付けられる。ハンドルアセンブリ(100)は、シャーシ(例えば、左右のシャーシ部分(3691、3693)を含み得るシャーシ(3690))、ブラケット(3650)、及び連結部(例えば、ナット(160))を含む。
【0161】
図61は、
図18のコイルスプリング(170)の詳細図を示す。図示のように、コイルスプリング(170)は、近位端(6012)と、遠位端(6014)と、近位端と遠位端(6012、6014)との間に配設された螺旋状コイル(6016)とを含む。近位端及び遠位端(6012、6014)は、平坦な端部を有するように研磨されてもよい。
【0162】
コイルスプリング(170)が安全トリガ(140)が作動される際に第1の位置と第2の位置との間を移動する際に、コイルスプリング(170)の遠位端(6014)がブラケット(3650)とシャーシ(3690)との間に不注意に引っ掛かる(例えば、挟まれる)ことを防止することが望ましい。加えて、コイルスプリング(170)が器具(例えば器具(10))内に正しく設置されることを確実にすることが有益であろう。したがって、
図61のコイルスプリング(170)は、
図62~
図65を参照して以下に図示及び説明されるような、第1、第2、及び第3の例示的な円錐形コイルスプリング(6110、6210、6310)と交換されてもよい。換言すれば、円錐形コイルスプリング(6110、6210、6310)は、コイルスプリング(170)の代わりに使用されてもよく、追加の修正なしに器具(10)に好適に組み込むことができる。
【0163】
A.第1の例示的な円錐形コイルスプリング
図62~
図63は、第1の例示的な円錐形コイルスプリング(6110)を示す。
図62は、
図17のトロカール作動ロッド(220)、
図18のシャーシ(3690)の右シャーシ部分(3693)及びナット(160)、
図35のブラケット(3650)、
図37の左シャーシ部分(3691)、並びに円錐形コイルスプリング(6110)の底面図を示す。前述したように、安全解放プレートとも呼ばれるブラケット(3650)は、ユーザによって選択的に起動されるとき、シャーシ(3690)の左右のシャーシ部分(3691、3693)に対して、第1の位置と第2の位置との間で移動するように構成されている。上述のように、ブラケット(1500)は、ブラケット(3650)の代わりに使用され得ることも想定される。図示のように、円錐形コイルスプリング(6110)は、ブラケット(3650)とナット(160)との間に配設される。
【0164】
図62~
図63に示されるように、円錐形コイルスプリング(6110)は、近位端(6112)と、遠位端(6114)と、近位端と遠位端(6112、6114)との間に配設された円錐形螺旋状本体(6115)と、を含む。円錐形螺旋状本体(6115)は、複数の円錐形螺旋状コイル(6116)を含む。円錐形コイルスプリング(6110)は、円錐形コイルスプリング(6110)の遠位端(6114)に配設された少なくとも1つのあきコイル(6118)を含む。活性コイルは、エネルギーを蓄積及び解放するコイル(例えば、円錐形螺旋状コイル(6116))である。逆に、あきコイル(すなわち、不活性コイル)は、コイルスプリングの駆動力に寄与しないように、エネルギーを蓄積及び解放しないコイルである。
図63は、3つのあきコイル(6118)を示すが、より多い又はより少ないあきコイル(6118)が想定される。あきコイル(6118)は、円錐形コイルスプリング(6110)の遠位端(6114)がブラケット(3650)とシャーシ(3690)との間に不注意に引っ掛かる(例えば、挟まれる)ことを防止することができる。あきコイル(6118)はまた、円錐形コイルスプリング(6110)がトロカール作動ロッド(220)の細目螺旋ねじ切り(226)に引っ掛かることを防止するように構成されている。あきコイル(6118)はまた、円錐形コイルスプリング(6110)の配向を特定して、器具(例えば器具(10))内への円錐形コイルスプリング(6110)の正確な設置を確実にすることを補助し得る。
【0165】
図62~
図63に示されるように、遠位端(6114)に概ね配設された後屈部分(6120)は、近位端(6112)に向かって距離(d1)だけ後方に屈曲する。後屈部分(6120)はまた、円錐形コイルスプリング(6110)が器具(例えば器具(10))内に正確に設置されることを確実にし、器具を不正確に組み立てられないことを確実にする(近位端(6112)又は遠位端(6114)は、ブラケット(3650)とシャーシ(3690)の左シャーシ部分(3691)との間に配設される)。
図63は、
図62の円錐形コイルスプリング(6110)の詳細図を示す。円錐形コイルスプリング(6110)の近位端(6112)は、第1の外周(C1a)を有する。同様に、円錐形コイルスプリング(6110)の遠位端(6114)は、第1の外周(C1a)よりも小さい第2の外周(C2a)を有する。第2の外周(C2a)存在(being)が第1の外周(C1a)よりも小さいことにより、直径(D)を有する円錐形コイルスプリング(6110)の遠位端(6114)が、円錐形コイルスプリング(6110)の近位端(6112)の第1の外周(C1a)を越えて突出することなく、円錐形螺旋状本体(6115)の外側(6122)に隣接して屈曲する後屈部分(6120)を含むことを可能にする。円錐形状の結果として、円錐形コイルスプリング(6110)は、後屈部分(6120)を含む円錐形コイルスプリング(6110)であっても、コイルスプリング(170)と同じ空間に適合し得る。
【0166】
図62に示すように、ナット(160)は、円錐形コイルスプリング(6110)の第1の外周(C1a)よりも小さい近位フランジ(6020)を含む。加えて、
図62に示すように、ナット(160)は、円錐形コイルスプリング(6110)の第1の外周(C1a)よりも大きい本体部分(6022)を含む。本体部分(6022)は、ナット(160)の近位フランジ(6020)及びナット(160)の本体部分(6022)を通って延在する開口部(
図18に図示)を含み、開口部は、トロカール作動ロッド(220)を内部を通して受容するように構成されている。トロカール作動ロッド(220)の近位端は、ブラケット(3650)の直立部材(3652)の開口部(3654)を通って、円錐形コイルスプリング(6110)を通って延在する。
【0167】
コイルスプリング(170)の代わりに円錐形コイルスプリング(6110、6210、6310)を組み込む代わりに、又はそれに加えて、溶接部(図示せず)は、コイルスプリング(170)の遠位端(6014)又は円錐形コイルスプリング(6110、6210、6310)の遠位端(6114、6214、6314)をブラケット(3650)に固定可能に連結してもよい。同様に、図示されていないが、コイルスプリング(170)の近位端(6012)又は円錐形コイルスプリング(6110、6210、6310)の近位端(6112、6212、6312)の隣接するコイル、及び/又はコイルスプリング(170)の遠位端(6014)又はコイルスプリング(6110、6210、6310)の遠位端(6114、6214、6314)の隣接するコイルが一緒に溶接されてもよい。コイルスプリング(170)の代わりに円錐形コイルスプリング(6110、6210、6310)を組み込む代わりに、又はそれに加えて、代替的スプリング端子端もまた組み込まれてもよい。
【0168】
B.第2の例示的な円錐形コイルスプリング
図64は、第2の例示的な円錐形コイルスプリング(6210)の詳細図を示す。上述のように、円錐形コイルスプリング(6210)は、コイルスプリング(170)又は円錐形コイルスプリング(6110)の代わりに使用されてもよい。図示のように、円錐形コイルスプリング(6210)は、近位端(6212)と、遠位端(6214)と、近位端と遠位端(6212、6214)との間に配設された円錐形螺旋状本体(6215)と、を含む。円錐形螺旋状本体(6215)は、円錐形螺旋状コイル(6216)を含む。円錐形コイルスプリング(6210)は、円錐形コイルスプリング(6210)の遠位端(6214)に配設された少なくとも1つのあきコイル(6218)を含む。
図64は、2つのあきコイル(6218)を示すが、より多い又はより少ないあきコイル(6218)が想定される。あきコイル(6218)は、円錐形コイルスプリング(6210)の遠位端(6214)がブラケット(3650)とシャーシ(3690)との間に不注意に挟まれることを防止することができる。あきコイル(6218)はまた、円錐形コイルスプリング(6210)がトロカール作動ロッド(220)の細目螺旋ねじ切り(226)に引っ掛かることを防止するように構成されている。あきコイル(6218)は、円錐形コイルスプリング(6210)の配向を特定して、円錐形コイルスプリング(6210)の正確な設置を確実にすることを補助し得る。円錐形コイルスプリング(6210)の近位端(6212)は、第1の外周(C1b)を有する。同様に、円錐形コイルスプリング(6210)の遠位端(6214)は、第1の外周(C1b)よりも小さい第2の外周(C2b)を有する。第2の外周(C2b)存在が第1の外周(C1b)よりも小さいことにより、円錐形コイルスプリング(6210)の正確な設置が確実になる。
【0169】
C.第3の例示的な円錐形コイルスプリング
図65は、第3の例示的な円錐形コイルスプリング(6310)の詳細図を示す。上述のように、円錐形コイルスプリング(6310)は、コイルスプリング(170)又は円錐形コイルスプリング(6110、6210)の代わりに使用されてもよい。図示のように、円錐形コイルスプリング(6310)は、近位端(6312)と、遠位端(6314)と、近位端と遠位端(6312、6214)との間に配設された円錐形螺旋状本体(6315)と、を含む。円錐形螺旋状本体(6315)は、円錐形螺旋状コイル(6316)を含む。円錐形コイルスプリング(6310)は、円錐形コイルスプリング(6310)の遠位端(6314)に配設された少なくとも1つのあきコイル(6318)を含む。
図65は、3つのあきコイル(6318)を示すが、より多い又はより少ないあきコイル(6318)が想定される。あきコイル(6318)は、円錐形コイルスプリング(6310)の遠位端(6314)がブラケット(3650)とシャーシ(3690)との間に不注意に挟まれることを防止することができる。あきコイル(6318)はまた、円錐形コイルスプリング(6310)がトロカール作動ロッド(220)の細目螺旋ねじ切り(226)に引っ掛かることを防止するように構成されている。あきコイル(6318)は、円錐形コイルスプリング(6310)の配向を特定して、円錐形コイルスプリング(6310)の正確な設置を確実にすることを補助し得る。円錐形コイルスプリング(6310)の近位端(6312)は、第1の外周(C1c)を有する。同様に、円錐形コイルスプリング(6310)の遠位端(6314)は、第1の外周(C1c)よりも小さい第2の外周(C2c)を有する。第2の外周(C2c)存在が第1の外周(C1c)よりも小さいことにより、円錐形コイルスプリング(6310)の正確な設置が確実になる。
【0170】
X.追加の修正
コイルスプリング(170)の代わりに円錐形コイルスプリング(6110、6210、6310)を組み込むことに代えて、又はそれに加えて、追加の修正が器具(10)に組み込まれてもよい。
図66~
図74を参照して以下で説明するように、これらの追加の修正は、例示的な摺動可能な連結部(6410)、例示的なガイドブッシング(6510)、例示的なブラケット(6610)上の例示的なセンタリング機構(6612)、及び/又は例示的なスリーブ(6710)を含んでもよい。他の修正も想定される。例えば、図示されていないが、左シャーシ部分(3691)はまた、コイルスプリング(170)の遠位端(6014)又は円錐形コイルスプリング(6110、6210、6310)の遠位端(6114、6214、6314)が挟まれることを防止するように構成された切り欠きを含んでもよい。
【0171】
図35及び
図66の以下に示すように、ブラケット(3650)は、ユーザによって選択的に起動されると、第1の位置と第2の位置との間で長手方向軸線に沿って移動するように構成されている。ブラケット(3650)は、近位部分及び遠位部分(3678、3680)を含む。近位部分(3678)は、長手方向軸線に沿って配設されたフレア状部分(3682)を含む。近位部分(3678)はまた、フレア状部分(3682)に対して垂直に配設された直立部材(3652)を含む。ブラケット(3650)の直立部材(3652)は、内側表面及び外側表面(3686、3688)を含む(
図68を参照)。
【0172】
A.例示的な摺動可能な連結部
図66~
図69は、摺動可能な連結部(6410)の様々な斜視図を示す。特に、
図66は、摺動可能な連結部(6410)を使用して
図61のコイルスプリング(170)と連結された
図35のブラケット(3650)の斜視図を示す。
図67は、
図66の詳細な斜視部分を示し、
図68は、
図66の分解斜視図を示す。摺動可能な連結部(6410)は、コイルスプリング(170)及び直立部材(3652)の遠位端(6114)を保持するように構成されている。
図68~
図69に示されるように、摺動可能な連結部(6410)は、直立部材(3652)の外形に概ね対応するように成形され得る本体部分(6412)を含む。摺動可能な連結部(6410)は、本体部分(6412)から長手方向に離間配置された第1及び第2のアーム(6414、6416)を含む。図示のように、摺動可能な連結部(6410)は単一部品として共に一体的に形成される。例えば、摺動可能な連結部(6410)は、1つ以上のスタンピング操作(例えば、金属の薄いプレートから)から形成されてもよい。
【0173】
図69に示すように、第1のアーム(6414)は、第1の側方部分(6418)によって本体部分(6412)と接続され、第2のアーム(6416)は、第2の側方部分(6420)によって本体部分(6412)と接続される。本体部分(6412)は、トロカール作動ロッド(220)の近位端を受容するように構成された弓状開口部(6424)を含む弓状上側部分(6422)を含む。前述したように、弓状上側部分(6422)は、直立部材(3652)の外形に概ね対応するように成形されてもよい。第1及び第2のアーム(6414、6416)は、それぞれ、第1及び第2の上方に延在する部分(6426、6428)、並びに第1及び第2の内側表面(6430、6432)を含む。図示のように、本体部分(6412)の内側表面(6434)と共に第1及び第2のアーム(6414、6416)の第1及び第2の内側表面(6430、6432)は、コイルスプリング(170)の遠位端(6014)及びブラケット(3650)の直立部材(3652)を長手方向に保持するように構成されている。特に、本体部分(6412)の内側表面(6434)は、直立部材(3652)の内側表面(3686)に対して配設される。加えて、直立部材(3652)の外側表面(3688)は、コイルスプリング(170)の遠位端(6014)に対して配設され、コイルスプリング(170)の遠位端(6014)もまた、第1及び第2のアーム(6414、6416)の第1及び第2の内側表面(6430、6432)に対して配設される。加えて、第1及び第2の側方部分(6418、6420)は、コイルスプリング(170)を長手方向に垂直な方向に境界付けることにより、コイルスプリング(170)をセンタリングする。
【0174】
第1の側方部分(6418)は、
図69の図では部分的に遮られているが、第2の側方部分(6420)の鏡像である。これにより、コイルスプリング(170)の横方向の動きが防止され得る。したがって、摺動可能な連結部(6410)は、コイルスプリング(170)の遠位端(6014)又は円錐形コイルスプリング(6110、6210、6310)の遠位端(6114、6214、6314)が挟まれないようにすることができる。摺動可能な連結部(6410)は、コイルスプリング(170)の代わりに円錐形コイルスプリング(6110、6210、6310)を組み込む代わりに、又はそれに加えて、器具(10)に組み込まれてもよい。
【0175】
B.例示的なガイドブッシング
図70~
図71は、例示的なガイドブッシング(6510)を示す。
図70は、
図17のトロカール作動ロッド(220)、
図18のナット(160)及びコイルスプリング(170)、並びに
図35のブラケット(3650)、並びにガイドブッシング(6510)の分解斜視図を示す。
図71は、
図70のガイドブッシング(6510)の詳細斜視図である。
図70に示すように、ガイドブッシング(6510)は、直立部材(3652)とコイルスプリング(170)との間に連結されるように構成されている。ガイドブッシング(6510)は、概ね環状の本体(6512)を含む。所望であれば、ガイドブッシング(6510)は、様々な方法(例えば、接着剤又は溶接)を使用して直立部材(3652)と固定可能に連結されてもよい。本体(6512)は、第1の外径(OD1)を有する第1の部分(6514)と、第2の外径(OD2)を有する第2の部分(6516)(例えば、受容部分)と、を含む。第1の外周(OD1)は、コイルスプリング(170)の遠位端(6014)の外周(C)よりも大きく、一方、第2の外周(OD2)は、コイルスプリング(170)の遠位端(6014)の外周(C)よりも小さい。トロカール作動ロッド(220)は、ガイドブッシング(6510)の開口部(6518)を通過するように構成されている。図示のように、第2の部分(6516)は、コイルスプリング(170)の遠位端(6014)を保持するように構成された突起部(6018)を含む。図示のように、突起部6018)は、第1の部分(6514)に向かって第2の部分(5614)の外径を増大させる弓状表面(6522)を含む。したがって、ガイドブッシング(6510)は、コイルスプリング(170)の遠位端(6014)又は円錐形コイルスプリング(6110、6210、6310)の遠位端(6114、6214、6314)が挟まれないようにすることができる。ガイドブッシング(6510)は、コイルスプリング(170)の代わりに円錐形コイルスプリング(6110、6210、6310)を組み込む代わりに、又はそれに加えて、器具(10)に組み込まれてもよい。
【0176】
C.例示的なセンタリング機構
図72は、
図62の円錐形コイルスプリング(6110)と、例示的なセンタリング機構(6612)を含む例示的な代替的ブラケット(6610)の斜視図を示す。ブラケット(6610)は、ブラケット(3650)と同様であるが、ブラケット(6610)は、センタリング機構(6612)を更に含む。ブラケット(3650)と同様に、ブラケット(6610)は、直立部材(3652)に類似した直立部材(6652)、開口部(3654)に類似した開口部(6654)、フレア状部分(3682)に類似したフレア状部分(6682)、及び外側表面(3688)に類似した外側表面(6688)を含むものとして示されている。ブラケット(6610)の他の特徴部は示されておらず、ブラケット(3650)に類似又は同じであってもよい。
【0177】
図示のように、センタリング機構(6612)は、ブラケット(6610)の外側表面(6688)上に配設される。センタリング機構(6612)は、円錐形コイルスプリング(6110)の遠位端(6114)を保持するように構成されている。センタリング機構は、第1及び第2の突起部(6614、6616)を含む。図示のように、第1及び第2の突起部(6614、6616)は、開口部(6654)によって分離される。第1の突起部(6614)は、第1の内側表面(6618)を含み、第2の突起部(6616)は、第2の内側表面(6620)を含む。第1及び第2の内側表面(6618、6620)は、トロカール作動ロッド(220)が妨げられないように通過することを可能にする。センタリング機構(6612)は直方体として成形されているが、センタリング機構(6612)は、様々な形状及びサイズを有し得ることが想定される。第1及び第2の突起部(6614、6616)は、ブラケット(6610)と単一部品として共に一体的に形成されてもよく、あるいは、第1及び第2の突起部(6614、6616)は、その後、様々な方法(例えば、接着剤又は溶接)を使用してブラケット(6610)と固定可能に連結されてもよい。センタリング機構(6612)は、円錐形コイルスプリング(6110)の遠位端(6114)が横方向に(すなわち、長手方向軸線に垂直な方向に)移動することを防止することができる。したがって、センタリング機構(6612)は、コイルスプリング(170)の遠位端(6014)又は円錐形コイルスプリング(6110、6210、6310)の遠位端(6114、6214、6314)が挟まれないようにすることができる。センタリング機構(6612)は、コイルスプリング(170)の代わりに円錐形コイルスプリング(6110、6210、6310)を組み込む代わりに、又はそれに加えて、器具(10)に組み込まれてもよい。
【0178】
D.例示的なスリーブ
図73~
図74は、例示的なスリーブ(6710)を示す。
図73は、
図62のブラケット(3650)及び円錐形コイルスプリング(6110)の斜視図を示しているが、円錐形コイルスプリング(6110)は、スリーブ(6710)内に部分的に配設されている。
図74は、
図73の円錐形コイルスプリング(6110)及びスリーブ(6710)の詳細斜視図を示す。スリーブ(6710)は、近位端と遠位端(6714、6716)を有する本体(6712)を含む。本体(6712)は、内側表面及び外側表面(6718、6720)を含む。スリーブ(6710)は、近位壁(6722)と、トロカール作動ロッド(220)がそこを通って延在することを可能にするように構成された内側開口部(6724)と、を含む。スリーブ(6710)は、円錐形コイルスプリング(6110)の近位端(6112)を円周方向に取り囲み、近位端(6112)、すなわち尾部が不注意に挟まれることを防止するように構成されている。スリーブ(6710)は、コイルスプリング(170)の代わりに円錐形コイルスプリング(6110、6210、6310)を組み込む代わりに、又はそれに加えて、器具(10)に組み込まれてもよい。
【0179】
XI.例示的なシャーシ
A.長手方向リブなしの左シャーシ部分
図75~
図77は、左シャーシ部分(3691)内に配設された
図35のブラケット(3650)の様々な図を示す。
図76は、
図75のブラケット(3650)及び左シャーシ部分(3691)の詳細斜視図を示す。
図77は、別の角度からの
図76のブラケット(3650)及び左シャーシ部分(3691)の斜視図を示す。図示のように、左シャーシ部分(3691)は、長手方向軸線(LA)に対して概ね垂直に延在する第1及び第2の垂直に延在するリブ(3696、3698)を含む。
【0180】
B.長手方向リブを有する例示的な左シャーシ部分
図78~
図79は、左シャーシ部分(3691)と同様であるが、長手方向リブ(6756)を含む左シャーシ部分(6750)を有する、例示的な代替的左シャーシ部分(6750)を示す。
図78は、長手方向リブ(6756)の左シャーシ部分(6750)内に配設された
図35のブラケット(3650)の背面立面図を示す。
図79は、
図78のブラケット(3650)及び左シャーシ部分(6750)の右側斜視図を示す。
【0181】
ブラケット(3650)の近位部分(3678)は、長手方向軸線(LA)に沿って配設されたフレア状部分(3682)を含む。近位部分(3678)はまた、フレア状部分(3682)に対して垂直に配設された直立部材(3652)を含む。フレア状部分(3682)は、フレア状遠位表面(3684)を含む。ブラケット(3650)の直立部材(3652)は、内側表面及び外側表面(3686、3688)を含む。左シャーシ部分(6750)は、長手方向軸線(LA)に対して概ね垂直に延在する第1及び第2の垂直に延在するリブ(6752、6754)を含む。長手方向に延在するリブ(6756)は、長手方向軸線(LA)に概ね平行に延在し、第1の垂直方向に延在するリブ(6752)に当接する。長手方向に延在するリブ(6756)は、ブラケット(3650)が第1の垂直に延在するリブ(6752)に接触することを防止するように構成されている。その結果、長手方向リブ(6756)は、ブラケット(3650)が固定される(例えば、固定される)ことを防止することができる。第2の垂直方向に延在するリブ(6754)は、長手方向に延在するリブ(6756)に当接する。コイルスプリング(170)又は円錐形コイルスプリング(6110、6210、6310)は、ブラケット(3650)の直立部材(3652)とナット(160)との間に配設されるように構成されている。
【0182】
XII.例示的な案内トラック
A.隆起部分のない案内トラック
図80は、別の角度から取られた
図18の右シャーシ部分(3693)と相互作用する
図31の安全トリガ(140)の突出部(141)の斜視図を示す。図示のように、右シャーシ部分(3693)は、突起部分(6812)を含む。突起部分(6812)は案内トラック(6814)を含む。案内トラック(6814)は、チャネル(6820)によって分離された第1及び第2の戻り止め(6816、6818)を含む。第1の戻り止め(6816)は、安全係合位置(すなわち、ロックアウト位置)にある安全トリガ(140)の突出部(141)を受容するように構成される。第2の戻り止め(6818)は、安全係合解除位置(すなわち、発射準備完了位置)にある安全トリガ(140)の突出部(141)を受容するように構成されている。チャネル(6820)は、安全トリガ(140)が安全係合位置と安全係合解除位置との間で移動されるとき、安全トリガ(140)の突出部(141)を受容するように構成されている。安全トリガ(140)は、ユーザによって選択的に起動されると、器具(10)の作動を防止する係合位置から、器具(10)の作動を可能にする係合解除位置に遷移するように構成されている。
【0183】
換言すれば、突出部(141)は、右シャーシ部分(3693)の第1の戻り止め(6816)と協働して、
図30D~
図30Eに示されるフリップアップ位置に安全トリガ(140)を選択的に保持するように構成されている。突出部(141)は、フリップアップ位置(
図30D~
図30E)からフリップダウン位置(
図30A~
図30C)への安全トリガ(140)の不注意な動きを防止するように構成されている。
【0184】
B.隆起部分を有する例示的な案内トラック
図80を参照して前述したように、安全トリガ(140)は、ユーザによって選択的に起動されると、器具(例えば、器具(10))の作動を防止する係合位置から、器具の作動を可能にする係合解除位置に遷移するように構成されている。安全トリガ(140)を所望の組織間隙範囲内でのみ作動させることが望ましい。安全トリガ(140)が中間位置(案内トラック(6814)の第1及び第2の戻り止め(6816、6818)内にない)に残されると、器具(10)を発射することが可能であり得る。したがって、指定された所望の組織間隙範囲の外側であってもよい中間位置に安全トリガ(140)が静止することができることを防止することが望ましい。安全トリガ(140)が中間位置に残っていることを防止することは、安全トリガ(140)を、以下の2つの許容可能な位置のみのうちの1つに押し込むことによって得ることができる。(1)安全係合位置(すなわち、ロックアウト)、又は(2)安全係合解除位置(すなわち、発射準備完了)。
【0185】
図81は、例示的な代替的右シャーシ部分(6910)と相互作用する安全トリガ(140)の突出部(141)の斜視図を示す。右シャーシ部分(6910)は、突起部分(6912)を含む。突起部分(6912)は案内トラック(6914)を含む。案内トラック(6914)は、第1の戻り止め(6916)と、第2の戻り止め(6918)と、チャネル(6920)と、隆起部分(6922)と、を含む。隆起部分(6922)を含まない
図80とは異なり、
図81の案内トラック(6914)は、チャネル(6920)から外側に(例えば上方に)突出する隆起部分(6922)を含む。隆起部分(6922)は、安全トリガ(140)を係合位置又は係合解除位置のいずれかに押し込むように構成され、安全トリガ(140)が中間位置にとどまることを可能にしないように構成されている。換言すれば、案内トラック(6914)の隆起部分(6922)は、安全トリガ(140)の2値のオン/オフを強制する2つの別個の位置のうちの1つを強制し、これは、所望の組織間隙範囲外での発射を防止し得る。
【0186】
図81に示されるように、隆起部分(6922)は、隆起部分(6922)がチャネル(6920)の表面から離れて配設される最も遠い点を画定するピーク(6924)を含む。図示のように、ピーク(6924)は、第1及び第2の戻り止め(6916、6918)の間の中央(すなわち中間)に配設される。隆起部分(6922)は、ピーク(6924)から第1の戻り止め(6916)まで下方に傾斜する、第1の下向き傾斜面(6926)を含む。同様に、隆起部分(6922)は、ピーク(6924)から第2の戻り止め(6918)まで下方に傾斜する、第2の下向き傾斜面(6928)を含む。図示のように、第1の下向き傾斜面(6926)は、ピーク(6924)と第1の戻り止め(6916)との間の距離全体にわたって下方に傾斜し、第2の下向き傾斜面(6928)は、ピーク(6924)と第2の戻り止め(6918)との間の距離全体にわたって下向きに傾斜する。第1及び第2の下向き傾斜面(6926、6928)は、安全トリガ(140)を安全係合位置又は安全係合解除位置のいずれかに維持する。したがって、隆起部分(6922)は、安全トリガ(140)を、2つの許容可能な位置のみのうちの1つ、すなわち、(1)安全係合位置(すなわち、ロックアウト)、又は(2)安全係合解除位置(すなわち、発射準備完了)のいずれかに押し込む。これにより、望ましくない、安全トリガ(140)が係合位置と係合解除位置との間の中間位置に残され得る可能性を低減し得る。
【0187】
第1の戻り止め(6916)は、安全係合位置(すなわち、ロックアウト位置)にある安全トリガ(140)の突出部(141)を受容するように構成される。第2の戻り止め(6918)は、安全係合解除位置(すなわち、発射準備完了位置)にある安全トリガ(140)の突出部(141)を受容するように構成されている。隆起部分(6922)は、安全トリガ(140)が係合位置と係合解除位置との間で移動されるときに、安全トリガ(140)の突出部(141)を受容するように構成されている。図示のように、案内トラック(6914)は、右シャーシ部分(6910)と単一部品として共に一体的に形成される。
【0188】
XIII.例示的な安全監視機構
図15A~
図16B、
図28~
図31、及び
図59A~
図59Bを参照して前述したように、様々な構成要素が、ステープル留めヘッドアセンブリ(300)(
図1を参照)の発射ストロークを可能にし、開始するように動作可能であり得る。例えば、これらの構成要素は、ブラケット(1500)、発射トリガ(150)、安全トリガ(140)、及びドームスイッチ(2610)を含み得る。より具体的には、モータ(161)は、アンビル(400)をトロカール(330)に適切に取り付けた後にのみ生じるドームスイッチ(2610)の作動、及び安全トリガ(140)が係合解除位置に枢動した後にのみ可能となる発射トリガ(150)の発射作動にもまた応答して、駆動ブラケット(250)を起動させ、それによって、駆動ブラケット(250)を作動させるように構成されている。したがって、発射ストローク(すなわち、ナイフ部材(340)及びステープルドライバ部材(350)が遠位に延在し、次いで駆動ブラケット(250)を介して近位に後退したステープル留め動作)を達成するために、ドームスイッチ(2610)及び発射トリガ(150)は、最初に作動されなければならない。場合によっては、モータ(161)が、連続して作動されるドームスイッチ(2610)及び発射トリガ(150)に応答してのみ発射ストロークを開始し、それによって器具(10)の意図しない早期発射から保護するように、器具(10)を構成することが所望され得る。そのような例示的な構成を、以下でより詳細に説明する。
【0189】
図82には、器具(10)に組み込まれ得る別の例示的な制御回路(7000)(又は「メイン基板」)が示されている。制御回路(7000)は、制御回路(2700)の代わりに含まれてもよく、以下に別途記載される場合を除き、実質的に同じ又は類似の機能性を提供してもよい。図示のように、本実施例の制御回路(7000)は、いくつかのトランジスタ(7006、7008、7010)、いくつかの抵抗器(7012、7014、7016、7018、7020、7022、7024、7026)、いくつかのショットキーダイオード(7028、7030、7032、7034、7036、7038)、及びいくつかのコンデンサ(7040、7042、7044、7046、7048、7050、7052、7054)を含む。同じく図示されるように、バッテリーパック(120)、モータ(161)、電圧レギュレータ(7056)、ゲートドライバ(7058)、タイミングデバイス(7060)を含むタイマー回路(7002)、及びLED(7062、7064)もまた、制御回路(7000)に組み込まれている。
【0190】
本実施例では、電圧レギュレータ(7056)としては、例えば、Microchip Technology Inc.により製造されたMCP1702低静止電流LDOレギュレータが挙げられ得る。ゲートドライバ(7058)としては、例えば、Texas Instruments,Inc.により製造されたSM74101 Tiny 7A MOSFETゲートドライバが挙げられ得る。タイマー回路(7002)の構成要素であるタイミングデバイス(7060)としては、例えば、Texas Instruments,Inc.によって製造されたLMC555 CMOS低電力タイマー、又はSTMicroelectronics N.V.によって製造されたSTM6524 6-Pin Smart Resetが挙げられ得る。更に、制御回路(7000)は、(
図83に示される)分離可能な発射回路(又は「発射基板」)へのコネクタ(7066)を含むことができ、発射回路は、モータ起動モジュール(180)によって生成された信号などの、発射トリガ(150)の発射作動を示す信号を生成して、その信号を制御回路(7000)に送信する。回路(7000)はまた、分離可能な停止回路(又は「停止基板」)(図示せず)へのコネクタ(7068)を含むことができ、停止回路は、モータ停止モジュール(190)によって生成された信号などの、モータ停止信号を示す信号を生成し、その信号を回路(7000)に送信する。
【0191】
図83には、コネクタ(7066)を介して制御回路(7000)に連結するための発射回路(8000)の例示的な一変形例が示されており、発射回路(8000)は、ドームスイッチ(2610)(
図15A~
図16Bを参照)及び発射スイッチ(150)(
図59A~
図59Bを参照)が、円形ステープラ(10)がモータ(161)を作動させる前に適切な順序で作動されて発射ストロークを完了することを確実にするための安全監視機構として動作可能である。図示のように、本実施例の発射回路(8000)は、いくつかの抵抗器(8002、8004、8006、8008)及びコンデンサ(8010)を含む。同じく図示されるように、トランジスタ(8012)、順序論理デバイス(8014)、及び発射スイッチ(8016)もまた、発射回路(8000)に組み込まれる。本実施例では、トランジスタ(8012)としては、例えば、Nexperia B.V.によって製造されたBC847BW NPN汎用トランジスタが挙げられ得る。順序論理デバイス(8014)としては、例えば、Nexperia B.V.によって製造された74LVC74AデュアルDタイプフリップフロップが挙げられ得る。発射スイッチ(8016)としては、例えば、C&K Componentsによって製造されたKSC441触覚スイッチが挙げられ得る。更に、発射回路(8000)は、発射回路(8000)を、(
図82に示される)制御回路(7000)(又は「メイン基板」)などの分離可能な回路に連結するためのコネクタ(7066)を含むことができ、制御回路(7000)は、モータ起動モジュール(180)によって生成されたモータ起動信号などの、発射トリガ(150)の発射作動を示す信号を発射回路(8000)から受信し得る。
【0192】
いくつかの実施例では、発射回路(8000)は、安全スイッチ(8020)に動作可能に連結されてもよい。安全スイッチ(8020)は、ドームスイッチ(2610)の代わりに含まれてもよいが、構造及び機能がドームスイッチ(2610)と同様であってもよく、したがって、アンビル(400)の位置決めに関するフィードバックを発射回路(8000)に提供するために、スイッチアセンブリ(2600)(
図15A~
図16Bを参照)と関連付けられた作動可能な構成要素であってもよい。発射回路(8000)はまた、発射トリガ(150)に関連する位置決めフィードバックを受信するように動作可能であってもよい。図示のように、発射スイッチ(8016)は、発射トリガ(150)に動作可能に連結されて、発射トリガ(150)の作動により切り替えられてもよく、したがって、モータ起動モジュール(180)(
図59A~
図59Bを参照)のスイッチの代わりに含まれてもよい。本明細書に記載される実施例と同様に、アンビル(400)がトロカール(330)に適切に固定され、近位に後退されて、本明細書に記載されるように安全スイッチ(8020)を起動させると、発射トリガ(150)は、発射スイッチ(8016)を作動させることによって、組織の切断及びステープル留めを提供することができる。単なる例として、2019年6月4日に発行された米国特許第10,307,157号、発明の名称「Surgical Stapler with Anvil Seating Detection」(この開示内容は参照により本明細書に組み込まれる)の教示の少なくとも一部に従って、器具(10)は、発射トリガ(150)の作動に応答して、ステープル留めヘッドアセンブリ(300)の作動に全面的な関与を提供する構成部品を含んでもよい。
【0193】
場合によっては、安全スイッチ(8020)が発射スイッチ(8016)の作動前に確実に作動されるように動作可能な安全監視機構を組み込むように、円形ステープラ(10)を変更することが所望され得る。特に、ユーザエラーの場合、又は、発射トリガ(150)、発射スイッチ(8016)、安全スイッチ(8020)、アンビル(400)、フランジ(2612、2614)、若しくは正常な発射ストロークを可能にする他の構成要素などの1つ以上の発射システムの構成要素の機械的故障の場合、円形ステープラ(10)が発射ストロークを開始する前に、安全スイッチ(8020)及び発射スイッチ(8016)が、確実に順番に作動することが所望され得る。以下により詳細に記載されるように、安全スイッチ(8020)が発射スイッチ(8016)の作動前に確実に作動されるように、順序付け回路又は順序付けデバイスの形態の例示的な安全監視機構を含むことができる。このような安全監視機構は、円形ステープラ(10)の構成要素が正しく動作していないかどうかを検出し、意図しない発射ストロークを防止するため、又は上述の方法で円形ステープラ(10)の安全かつ適切な使用を確実にするために含まれ得ることが理解されるであろう。
【0194】
図83に示すように、順序論理デバイス(8014)としては、Nexperia B.Vによって製造された74LVC74AデュアルDタイプフリップフロップが挙げられ、順序論理デバイスは、1つ以上のクロックパルス入力の低から高への遷移時に出力状態を修正するように動作可能な、デュアルポジティブエッジトリガ論理デバイスとして機能することができる14ピンアナログ集積回路である。順序論理デバイス(8014)は、ピン1~6を介して動作可能な第1のラッチ(8017)と、ピン8~13を介して動作可能な第2のラッチ(8018)と、を含み得る。ピン7(図示せず)及びピン14(図示せず)は、接地ソース及び電圧電源にそれぞれ連結されてもよい。第1のラッチ(8017)のピン1~4(8021、8022、8023、8024)は、データ入力部として動作可能であり、一方、ピン5(8025)は、第1のラッチ(8017)の真のデータ出力部として動作可能である。第2のラッチ(8018)のピン10~13(8026、8027、8028、8029)は、データ入力部として動作可能であり、一方、ピン8(8030)は、第2のラッチ(8018)の補完データ出力部として動作可能である。
【0195】
図83に示すように、入力ピン3(8023)(「クロック」入力)は、トランジスタ(8012)に連結されてもよい。安全スイッチ(8020)が作動され、完全な電気回路が形成されると、トランジスタ(8012)が起動されて、供給電圧をピン3(8023)に供給する。ピン3(8023)における「クロック」入力が、LOWクロック供給電圧からHIGHクロック供給電圧へと遷移するとき、すなわち、安全スイッチ(8020)の作動時に、ピン1(8021)、ピン2(8022)、及びピン4(8024)におけるHIGH入力と組み合わせた第1の「エッジトリガ」イベントのとき、出力ピン5(8025)における出力は、HIGH出力へと遷移する。ピン5(8025)におけるHIGH出力は、入力ピン13(8029)における第2のラッチ(8018)への入力として提供され得る。その後、入力ピン10(8026)、ピン12(8028)、及びピン13(8029)はそれぞれ、HIGH入力電圧に連結され、一方、第2のラッチ(8018)は、LOW電圧のHIGH電圧への遷移、すなわち、補完出力ピン8(8030)における出力を変更する前の「クロック」入力ピン11(8027)における第2の「エッジトリガ」イベントを待機する。第2のエッジトリガイベントを受信する前に、補完出力ピン8(8030)は、真のデータ出力ピン9(図示せず)において提供されるような反対のHIGH出力電圧を維持する。発射トリガ(150)が発射スイッチ(8016)を作動させると、発射スイッチ(8016)は、非起動回路位置(8040)から起動回路位置(8042)へと移動され、その結果、「クロック」入力ピン11(8027)がLOW電圧入力からHIGH電圧入力に遷移する、すなわち、第2のエッジトリガイベントが生じる。この遷移により、補完出力ピン8(8030)は、HIGH電圧出力からLOW電圧出力に遷移するモータ起動信号(8032)を出力する。
図82を再び参照すると、モータ起動信号(8032)は、モータ(161)を起動し、かつ電力供給するために、ゲートドライバ(7058)及び/又はタイミングデバイス(7060)に動作可能に連結されてもよい。
【0196】
図84には、本明細書に記載されるように、電動外科用ステープラ(10)の発射回路(8000)などの、電動外科用ステープラの発射回路を動作させる例示的な方法(9000)が示されている。最初に、ステップ(9002)において、安全スイッチ(8020)及び発射スイッチ(8016)は、アンビル(400)を閉鎖する前に、又はアンビル(400)をトロカール(330)に取り付ける前に、発射回路(8000)によって非作動状態であることが判定される。例えば、
図83の発射回路(8000)を参照すると、安全スイッチ(8020)は、トランジスタ(8012)が開回路状態で動作している場合、又はピン5(8025)における出力電圧がLOW状態である場合、非作動状態にあると判定され得る。発射スイッチ(8016)は、発射スイッチ(8016)が非起動回路位置(8040)にある場合など、開回路状態又は停止回路状態で動作している場合には、非起動状態であると判定され得る。発射回路(8000)が、この段階において、スイッチ(8016、8020)のいずれか一方が既に作動されていると判定した場合、回路(8000)は、ステープル留めヘッドアセンブリ(300)を発射するためのモータ(161)の起動を阻止する。制御回路(7000)がステップ(9002)に対して肯定判定を行う場合、発射回路(8000)は、ステップ(9004)に進む。
【0197】
ステップ(9004)において、発射回路(8000)は、閉回路状態で動作するトランジスタ(8012)などによって安全スイッチ(8020)が作動されているかどうか、又はピン5(8025)における出力電圧がHIGH状態にあるかどうかを判定する。安全スイッチ(8020)が作動されたと判定すると、制御回路(7000)は、ステップ(9006)に進む。ステップ(9006)において、発射回路(8000)は、発射スイッチ(8016)が閉回路(又は「通電回路」)状態で動作しているかどうか、例えば、発射スイッチ(8016)が起動回路位置(8042)にあるかどうかを判定することなどによって、安全スイッチ(8020)が作動状態にあるかどうかを判定する。発射スイッチ(8016)が作動状態にあると判定すると、発射回路(8000)は、ステップ(9008)に進み、ステップ(9008)において、発射回路(8000)は、安全スイッチ(8020)が発射スイッチ(8016)の前に、又は発射スイッチ(8016)と同時に作動されたかどうかを判定する。これは、例えば、順序論理デバイス(8014)などの順序論理デバイス(例えば、回路)を利用することによって判定されてもよい。上述したように、順序論理デバイス(8014)は、第1のエッジトリガラッチスイッチ(8017)を監視することによって、次いで第2のエッジトリガラッチスイッチ(8018)に対する入力として第1のエッジトリガラッチスイッチ(8017)の出力を利用することによって、安全スイッチ(8020)が作動されたことを最初に判定するように構成されてもよく、第2のエッジトリガラッチスイッチ(8018)は、発射トリガ(8016)の作動によってトリガされる。最後に、ステップ(9008)において、ステップ(9006)の判定が行われ、連続的な作動が適切であることが判明すると、発射回路(8000)は、任意選択的に制御回路(2700、7000)を介してモータ起動信号をモータ(161)に送信する。
【0198】
XIV.例示的なソフトモータ始動機構
図82を再び参照すると、モータ起動信号(8032)は、コネクタ(7066)を介して発射回路(8000)から回路(7000)に提供される。図示されるように、モータ起動信号(8032)は、モータ(161)に選択的に電力供給するためのトランジスタ(7008、7010)を含み得る1つ以上の他の構成要素に加えて、ゲートドライバ(7058)及びタイマー回路(7060)のうちの1つ又は両方に任意選択的に提供されてもよい。一実施例では、ゲートドライバ(7058)としては、Texas Instruments,Inc.によって製造されたSM74101 Tiny 7A MOSFETゲートドライバを挙げることができ、ゲートドライバ(7058)は、電力モータ(161)にゲート駆動電流信号(7072)を提供し得る。
【0199】
場合によっては、大きな電流がモータ(161)に流入するのを防止するように動作可能なソフトモータ始動機構を組み込むように円形ステープラ(10)を変更することが所望され得る。電圧が過度に降下した場合、制御回路(7000)の構成要素は、適切に機能しないおそれがあるか、かつ/又は電力を失うおそれがある。そのような事象は、モータ(161)を含む制御回路(7000)の構成要素の電圧低下及び/又は損傷をもたらし得る。以下により詳細に記載されるように、モータ起動信号がモータ(161)を確実によりゆっくりと起動させることができるように、充電回路の形態の例示的なソフトモータ始動機構が含まれてもよい。したがって、このようなソフトモータ始動機構は、上述の方法でモータ(161)に提供されるモータ起動信号の電圧をよりゆっくりと充電するために含まれ得ることが理解されるであろう。
【0200】
図85には、制御回路(2700、7000)に組み込まれ得るモータ充電回路(7070)が示されている。モータ充電回路(7070)は、モータ(161)に電力を供給するように構成されたゲート駆動電流信号(7072)を受け入れ、モータ(161)を停止するために起動するように構成されたトランジスタ(7008)にモータブレーキ出力(7076)を提供し、モータ(161)を始動するために起動するように構成されたトランジスタ(7010)にモータ始動出力(7074)を提供する。より具体的には、ゲートドライバ(7058)が、モータ(161)を停止することを示すゲート駆動電流信号(7072)を提供すると、トランジスタ(7008、7010)は、モータブレーキ出力(7076)を受信し、モータ(161)を停止することとなる。ゲートドライバ(7058)がモータ(161)を起動することを示すゲート駆動電流信号(7072)を提供すると、トランジスタ(7008、7010)は、モータ起動出力(7074)を受信し、モータ(161)を起動し、モータにゲート駆動電流信号(7074)を提供することとなる。
【0201】
引き続き
図85を参照すると、モータ充電回路(7070)は、抵抗器(7022、7024)を介した分圧器を含むことができ、ショットキーダイオード(7038)と組み合わせて、ゲート駆動電流信号(7072)を減少させ、ゲート駆動電流信号(7072)の電流をノード(7078)を通って流すようにする。ノード(7078)において、コンデンサ(7052)は、分圧器(7022、7024)から電圧を受け取ると充電する。したがって、モータ始動出力(7074)は、電圧信号をモータ(161)に提供し、電圧信号は、よりゆっくりと上昇し、充電回路(7070)を伴わずに提供されるであろうよりも遅いモータ始動をもたらす。したがって、この機構は、大きな電流がモータ(161)に流入するのを防止又は制限するために組み込まれ得る。
【0202】
XV.例示的な組み合わせ
以下の実施例は、本明細書の教示を組み合わせるか又は適用することができる、様々な非網羅的な方法に関する。以下の実施例は、本出願における又は本出願の後の書類提出におけるどの時点でも提示され得る、いずれの特許請求の範囲の適用範囲をも限定することを目的としたものではない。一切の否定要素を意図するものではない。以下の実施例は、単なる例示の目的で与えられるものに過ぎない。本明細書の様々な教示は、他の多くの方法で構成及び適用が可能であると考えられる。また、いくつかの変形では、以下の実施例において言及される特定の特徴部を省略してよいことも考えられる。したがって、本発明者又は本発明者の利益の承継者により、後日、そうである旨が明示的に示されない限り、以下に言及される態様又は特徴部のいずれも重要なものとして見なされるべきではない。以下に言及される特徴部以外の更なる特徴部を含む請求項が本出願において、又は本出願に関連する後の書類提出において示される場合、それらの更なる特徴部は、特許性に関連するいかなる理由によっても追加されたものとして仮定されるべきではない。
【実施例1】
【0203】
装置であって、(a)本体であって、(i)安全スイッチと、(ii)発射アクチュエータと、(iii)モータと、を含む、本体と、(b)本体から遠位に延在するシャフトと、(c)シャフトの遠位端に配設されたステープル留めアセンブリであって、ステープル留めアセンブリは、開放位置から閉鎖位置へ選択的に移動して、組織をクランプするように構成され、安全スイッチは、ステープル留めアセンブリが閉鎖位置にあるとき、作動状態を取るよう構成され、ステープル留めアセンブリは、発射アクチュエータの作動に応答して、複数のステープルをクランプされた組織内に駆動するようにモータによって作動可能である、ステープル留めアセンブリと、(d)モータと動作可能に連結された順序論理デバイスであって、順序論理デバイスは、安全スイッチの作動を検出するように構成され、かつ発射アクチュエータの作動を検出するように構成され、順序論理デバイスは、(i)安全スイッチ及び発射アクチュエータが作動される順番を検出することと、(ii)検出された順番を所定の順番と比較することと、(iii)検出された順番が所定の順番に等しいと判定することに応答して、モータ起動信号をモータに送信することと、を行うように動作可能である、順序論理デバイスと、を備える、装置。
【実施例2】
【0204】
順序論理デバイスは、検出された順番が所定の順番と異なると判定したことに応答して、モータの起動を阻害するように構成されている、実施例1に記載の装置。
【実施例3】
【0205】
所定の順番は、発射アクチュエータの作動の前に生じる安全スイッチの作動を含む、実施例1~2のいずれか1つ以上に記載の装置。
【実施例4】
【0206】
所定の順番は、発射アクチュエータの作動と同時に発生する安全スイッチの作動を含む、実施例1~2のいずれか1つ以上に記載の装置。
【実施例5】
【0207】
順序論理デバイスは、アナログ集積回路を含む、実施例1~4のいずれか1つ以上に記載の装置。
【実施例6】
【0208】
安全スイッチは、安全スイッチの作動に応答して、アナログ集積回路に信号を提供するように動作可能であり、発射アクチュエータは、その後、モータ起動信号をモータに提供するように動作可能である、実施例4に記載の装置。
【実施例7】
【0209】
集積回路は、エッジトリガ動作モード用に構成された1つ以上のラッチスイッチを含む、実施例4に記載の装置。
【実施例8】
【0210】
集積回路は、第1のラッチスイッチ及び第2のラッチスイッチを含み、第1のラッチスイッチの入力部は、安全スイッチに動作可能に連結され、第2のラッチスイッチの入力部は、発射アクチュエータに動作可能に連結されている、実施例4に記載の装置。
【実施例9】
【0211】
集積回路は、第1のラッチスイッチ及び第2のラッチスイッチを含み、第2のラッチスイッチへの入力部は、第1のラッチスイッチからクロック出力信号を受信するように構成されている、実施例4に記載の装置。
【実施例10】
【0212】
順序論理デバイスは、プログラム可能なデジタルプロセッサを含む、実施例1~9のいずれか1つ以上に記載の装置。
【実施例11】
【0213】
モータは、順序論理デバイスが適切な順番を判定する前に、起動不能状態を取るように構成され、モータは、順序論理デバイスが適切な順番を判定した後、起動可能状態を取るように構成されている、実施例1~10のいずれか1つ以上に記載の装置。
【実施例12】
【0214】
入力部及び出力部を有するトランジスタを更に備え、安全スイッチは、トランジスタの入力部に動作可能に連結され、順序論理デバイスは、トランジスタの出力部に動作可能に連結されている、実施例1~11のいずれか1つ以上に記載の装置。
【実施例13】
【0215】
ステープル留めアセンブリは、本体に動作可能に連結され、本体に対して遠位及び近位に移動するように構成されたアンビルを更に含み、アンビルは、アンビルが近位に前進するときに、安全スイッチを作動させるように構成されている、実施例1~12のいずれか1つ以上に記載の装置。
【実施例14】
【0216】
本体は、発射アクチュエータに動作可能に連結された安全トリガを更に含み、第1の位置における安全トリガは、発射アクチュエータが作動することを禁止するように構成され、第2の位置における安全トリガは、発射アクチュエータが作動することを可能にするように構成されている、実施例1~13のいずれか1つ以上に記載の装置。
【実施例15】
【0217】
本体は、安全トリガの突出部を受容するように構成された案内トラックを有するシャーシを含み、案内トラックは、(A)係合位置にある安全トリガの突出部を受容するように構成された第1の戻り止めと、(B)係合解除位置にある安全トリガの突出部を受容するように構成された第2の戻り止めと、(C)安全トリガが係合位置と係合解除位置との間を移動する際、突出部を受容するように構成されている、第1の戻り止めと第2の戻り止めとの間に配設されたチャネルと、(D)チャネルから突出している隆起部分であって、安全トリガを係合位置又は係合解除位置のいずれか一方に押し込むように構成されている、隆起部分と、を含む、実施例1~14のいずれか1つ以上に記載の装置。
【実施例16】
【0218】
電動外科用ステープラを動作させる方法であって、電動外科用ステープラは、本体と、ステープル留めアセンブリと、を含み、本体は、制御回路と、発射トリガと、モータと、順序論理デバイスと、を含み、ステープル留めアセンブリは、本体に動作可能に連結され、可動アンビル及び安全スイッチを含み、ステープル留めアセンブリは、組織をステープル留めするように、モータによって選択的に作動可能であり、方法は、(a)安全スイッチの作動に応答して、安全信号を順序論理デバイスに送信することと、(b)発射トリガの作動に応答して、発射信号を順序論理デバイスに送信することと、(c)順序論理デバイスへの安全信号の送信が、順序論理デバイスへの発射信号の送信の前又は発射信号の送信と同時に発生したと判定することと、(d)判定に基づいて、モータ起動信号を制御回路に送信することと、(e)制御回路からモータにモータ起動信号を送信して、ステープル留めアセンブリを作動させることと、(f)制御回路からモータ起動信号を受信すると、モータを起動させることと、(g)起動状態のモータによりステープル留めアセンブリを作動させることによって、ステープルを組織内に駆動することと、を含む、方法。
【実施例17】
【0219】
本体に対して近位方向にアンビルを後退させることを更に含む、実施例16に記載の方法。
【実施例18】
【0220】
アンビルの後退に応答して、安全スイッチを作動させることを更に含む、実施例17に記載の方法。
【実施例19】
【0221】
順序論理デバイスは、順序論理デバイスへの安全信号の送信が、順序論理デバイスへの発射信号の送信の前又は発射信号の送信と同時に発生しなかったと判定することに応答して、モータの起動を阻害するように構成されている、実施例16~18のいずれか1つ以上に記載の方法。
【実施例20】
【0222】
装置であって、(a)本体であって、(i)安全スイッチと、(ii)発射アクチュエータと、(iii)モータと、を含む、本体と、(b)本体から遠位に延在し、アンビルを含む、シャフトと、(c)シャフトの遠位端に配設され、開放位置から閉鎖位置へ選択的に移動して、組織をクランプするように構成されている、ステープル留めアセンブリであって、ステープル留めアセンブリは、モータの起動に応答して、複数のステープルをクランプされた組織内に駆動するように動作可能である、ステープル留めアセンブリと、(d)モータと動作可能に連結された順序論理デバイスであって、順序論理デバイスは、安全スイッチの作動を検出するように構成され、かつ発射アクチュエータの作動を検出するように構成され、順序論理デバイスは、(i)安全スイッチ及び発射アクチュエータが作動される順番を検出することと、(ii)検出された順番を所定の順番と比較することと、(iii)検出された順番が所定の順番に等しいと判定することに応答して、モータ起動信号をモータに送信することと、を行うように動作可能である、順序論理デバイスと、を備え、モータは、モータ起動信号を受信すると起動するように構成されている、装置。
【0223】
XVI.その他
本明細書で述べる教示、表現、実施形態、実施例などのうちいずれか1つ以上は、本明細書で述べるその他の教示、表現、実施形態、実施例などのうちいずれか1つ以上と組み合わせることができることもまた理解されたい。したがって、上記の教示、表現、実施形態、実施例などは、互いに対して独立して考慮されるべきではない。本明細書の教示を考慮することで、本明細書の教示を組み合わせることができる様々な好適な方法が、当業者には容易に明らかとなるであろう。このような修正及び変形は、「特許請求の範囲」内に含まれるものとする。
【0224】
更に、本明細書の教示のうちの任意の1つ以上は、本願と同日に出願された米国特許出願第[代理人参照番号END9091USNP1]、発明の名称「Circular Surgical Stapler」;本願と同日に出願された米国特許出願第[代理人参照番号END9091USNP2]、発明の名称「Timer Circuit to Control Firing of Powered Surgical Stapler」;本願と同日に出願された米国特許出願第[代理人参照番号END9091USNP4]、発明の名称「Electrical Potential Shifting Circuit for Powered Surgical Stapler」;及び/又は本願と同日に出願された米国特許出願第[代理人参照番号END9091USNP5]、発明の名称「Staple Height Indicator for Powered Surgical Stapler」に開示される教示のうちの任意の1つ以上と組み合わせることができる。これらの米国特許出願のそれぞれの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0225】
本明細書の教示のうちの少なくとも一部はまた、開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、2015年3月26日に公開された米国特許出願公開第2015/0083772号、発明の名称「Surgical Stapler with Rotary Cam Drive and Return」;開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、2015年3月26日に公開された米国特許出願公開第2015/0083773号、発明の名称「Surgical Stapling Instrument with Drive Assembly Having Toggle Features」;開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、2015年3月26日に公開された米国特許出願公開第2015/0083774号、発明の名称「Control Features for Motorized Surgical Stapling Instrument」;開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、2015年3月26日に公開された米国特許出願公開第2015/0083775号、発明の名称「Surgical Stapler with Rotary Cam Drive」;開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、2016年12月29日に公開された米国特許出願公開第2016/0374665号、発明の名称「Surgical Stapler with Electromechanical Lockout」;開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、2016年12月29日に公開された米国特許出願公開第2016/0374666号、発明の名称「Surgical Stapler with Reversible Motor」;開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、2016年12月29日に公開された米国特許出願公開第2016/0374667号、発明の名称「Surgical Stapler with Anvil Seating Detection」;開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、2016年12月29日に公開された米国特許出願公開第2016/0374673号、発明の名称「Firing Circuit for Surgical Stapler」;開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、2016年12月29日に公開された米国特許出願公開第2016/0374681号、発明の名称「Surgical Stapler with Ready State Indicator」;開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、2016年12月29日に公開された米国特許出願公開第2016/0374671号、発明の名称「Surgical Stapler with Anvil State Indicator」;開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、2016年12月29日に公開された米国特許出願公開第2016/0374668号、発明の名称「Surgical Stapler with Incomplete Firing Indicator」;開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、2016年12月29日に公開された米国特許出願公開第2016/0374669号、発明の名称「Bailout Assembly for Surgical Stapler」;開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、2016年12月29日に公開された米国特許出願公開第2016/0374684号、発明の名称「Firing Assembly for Circular Stapler」;開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、2016年12月29日に公開された米国特許出願公開第2016/0374670号、発明の名称「Anvil Stabilization Features for Surgical Stapler」;開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、2017年12月29日に公開された米国特許出願公開第米国特許出願公開第2016/0374672号、発明の名称「Method of Applying an Annular Array of Staples to Tissue」;開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、2016年11月14日に出願された米国特許出願第15/350,513号、発明の名称「Circular Stapler with Recessed Deck」;開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、2016年11月14日に出願された米国特許出願第15/350,593号、発明の名称「Atraumatic Stapling Head Features for Circular Surgical Stapler」;開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、2016年11月14日に出願された米国特許出願第15/350,621号、発明の名称「Staple Forming Pocket Configurations for Circular Surgical Stapler」;開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、2016年11月14日に出願された米国特許出願第15/350,624号、発明の名称「Circular Surgical Stapler with Angularly Asymmetric Deck Features」;開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、2017年4月28日に出願された米国特許出願第15/581,546号、発明の名称「Hysteresis Removal Feature in Surgical Stapling Instrument」;及び/又は開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、2017年4月28日に出願された米国特許出願第15/581,640号、発明の名称「Liquid-Immune Trigger Circuit for Surgical Instrument」の1つ以上の教示と容易に組み合わせることができる。本明細書の教示が上に参照した特許、公報、及び特許出願の教示と組み合わされ得る様々な好適な方法は、当業者には明らかになるであろう。
【0226】
本明細書の教示のうちの少なくとも一部はまた、開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、2010年9月14日に発行された米国特許第7,794,475号、発明の名称「Surgical Staples Having Compressible or Crushable Members for Securing Tissue Therein and Stapling Instruments for Deploying the Same」;開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、2014年6月5日に公開された米国特許出願公開第2014/0151429号、発明の名称「Trans-Oral Circular Anvil Introduction System with Dilation Feature」;開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、2014年5月29日に公開された米国特許出願公開第2014/0144968号、発明の名称「Surgical Staple with Integral Pledget for Tip Deflection」;開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、2014年6月12日に公開された米国特許出願公開第2014/0158747号、発明の名称「Surgical Stapler with Varying Staple Widths along Different Circumferences」;開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、2014年5月29日に公開された米国特許出願公開第2014/0144969号、発明の名称「Pivoting Anvil for Surgical Circular Stapler」;開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、2014年6月5日に公開された米国特許出願公開第2014/0151430号、発明の名称「Circular Anvil Introduction System with Alignment Feature」;開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、2014年6月19日に公開された米国特許出願公開第2014/0166717号、発明の名称「Circular Stapler with Selectable Motorized and Manual Control,Including a Control Ring」;開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、2014年6月19日に公開された米国特許出願公開第2014/0166728号、発明の名称「Motor Driven Rotary Input Circular Stapler with Modular End Effector」;及び/又は開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、2014年6月19日に公開された米国特許出願公開第2014/0166718号、発明の名称「Motor Driven Rotary Input Circular Stapler with Lockable Flexible Shaft」の1つ以上の教示と容易に組み合わせることができる。このような教示を組み合わせることができる種々の好適な方法が当業者には明らかとなるであろう。
【0227】
本明細書の実施例は、円形ステープル留め器具の文脈で説明されているが、本明細書の様々な教示は、様々な他の種類の外科用器具に容易に適用され得ることを理解されたい。あくまで一例として、本明細書の様々な教示は、直線状のステープル留めデバイス(例えばエンドカッター)に容易に適用され得る。例えば、当業者には明らかであるように、本明細書の様々な教示は、開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、2012年9月20日に公開された米国特許出願公開第2012/0239012号、発明の名称「Motor-Driven Surgical Cutting Instrument with Electric Actuator Directional Control Assembly」;及び/又は開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、2010年10月21日に公開された米国特許出願公開第2010/0264193号、発明の名称「Surgical Stapling Instrument with An Articulatable End Effector」の様々な教示と容易に組み合わせることができる。別の単なる例示的な例として、本明細書の様々な教示は、電動式電気的外科デバイスに容易に適用できる。例えば、当業者には明らかであるように、本明細書の様々な教示は、開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、2012年5月10日に公開された米国特許出願公開第2012/0116379号、発明の名称「Motor Driven Electrosurgical Device with Mechanical and Electrical Feedback」の様々な教示と容易に組み合わせることができる。本明細書の教示を適用できるその他の好適な種類の器具、及びそのような器具に本明細書の教示を適用できる様々な方法が、当業者には明らかとなるであろう。
【0228】
本明細書に参照により組み込まれると言及されるあらゆる特許、公報、又はその他の開示内容は、全体的に又は部分的に、組み込まれる内容が現行の定義、見解、又は本開示に記載されるその他の開示内容とあくまで矛盾しない範囲でのみ本明細書に組み込まれることが理解されるであろう。それ自体、また必要な範囲で、本明細書に明瞭に記載される開示内容は、参照により本明細書に組み込まれるあらゆる矛盾する記載に優先するものとする。参照により本明細書に組み込まれると言及されているが、現行の定義、見解、又は本明細書に記載される他の開示内容と矛盾する任意の内容、又はそれらの部分は、組み込まれた内容と現行の開示内容との間に矛盾が生じない範囲においてのみ、組み込まれるものとする。
【0229】
上述のデバイスの変形形態は、医療専門家により行われる従来の医療処置及び手術における用途のみではなく、ロボット支援された医療処置及び手術における用途をも有することができる。あくまで一例として、本明細書の様々な教示は、ロボット外科用システム、例えばIntuitive Surgical,Inc.(Sunnyvale,California)によるDAVINCI(商標)システムなどに容易に組み込まれ得る。
【0230】
上述の変形形態は、1回の使用後に廃棄するように設計することができ、又はそれらは、複数回使用するように設計することができる。変形形態は、いずれか又は両方の場合においても、少なくとも1回の使用後に再利用のために再調整され得る。再調整は、デバイスの分解工程、それに続く特定の部品の洗浄又は交換工程、及びその後の再組み立て工程の、任意の組み合わせを含み得る。特に、デバイスのいくつかの変形形態は分解することができ、また、デバイスの任意の数の特定の部品若しくは部分を、任意の組み合わせで選択的に交換又は取り外してもよい。特定の部品の洗浄及び/又は交換後、デバイスのいくつかの変形形態を、再調整用の施設において、又は処置の直前にユーザによってのいずれかで、その後の使用のために再組み立てすることができる。当業者であれば、デバイスの再調整において、分解、洗浄/交換、及び再組み立てのための様々な技術を利用することができることを理解するであろう。かかる技術の使用、及び結果として得られる再調整されたデバイスは、全て本発明の範囲内にある。
【0231】
あくまで一例として、本明細書に記載される変形形態は、処置の前及び/又は後に滅菌されてもよい。1つの滅菌技術では、デバイスをプラスチック製又はTYVEK製のバックなど、閉鎖及び封止された容器に入れる。次いで、容器及びデバイスを、γ線、X線、又は高エネルギー電子線などの、容器を透過し得る放射線場に置いてもよい。放射線は、デバイス上及び容器内の細菌を死滅させ得る。次いで、滅菌されたデバイスを、後の使用のために、滅菌容器内に保管してもよい。β線若しくはγ線、エチレンオキシド、又は水蒸気が挙げられるがこれらに限定されない、当該技術分野で既知のその他の任意の技術を用いて、デバイスを滅菌してもよい。
【0232】
以上、本発明の様々な実施形態を示し、記載したが、当業者による適切な改変により、本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書に記載の方法及びシステムの更なる適合化を実現することができる。そのような可能な改変のうちのいくつかについて述べたが、他の改変も当業者には明らかとなるであろう。例えば、上記の実施例、実施形態、形状、材料、寸法、比率、工程などは例示的なものであって、必須のものではない。したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲の観点から考慮されるべきものであり、本明細書及び図面に示され記載された構造及び動作の細部に限定されないものとして理解される。
【0233】
〔実施の態様〕
(1) 装置であって、
(a)本体であって、
(i)安全スイッチと、
(ii)発射アクチュエータと、
(iii)モータと、を含む、本体と、
(b)前記本体から遠位に延在するシャフトと、
(c)前記シャフトの遠位端に配設されたステープル留めアセンブリであって、前記ステープル留めアセンブリは、開放位置から閉鎖位置へ選択的に移動して、組織をクランプするように構成され、前記安全スイッチは、前記ステープル留めアセンブリが前記閉鎖位置にあるとき、作動状態を取るよう構成され、前記ステープル留めアセンブリは、前記発射アクチュエータの作動に応答して、複数のステープルをクランプされた前記組織内に駆動するように前記モータによって作動可能である、ステープル留めアセンブリと、
(d)前記モータと動作可能に連結された順序論理デバイスであって、前記順序論理デバイスは、前記安全スイッチの作動を検出するように構成され、かつ前記発射アクチュエータの作動を検出するように構成され、前記順序論理デバイスは、
(i)前記安全スイッチ及び前記発射アクチュエータが作動される順番を検出することと、
(ii)検出された前記順番を所定の順番と比較することと、
(iii)前記検出された順番が前記所定の順番に等しいと判定することに応答して、モータ起動信号を前記モータに送信することと、を行うように動作可能である、順序論理デバイスと、を備える、装置。
(2) 前記順序論理デバイスは、前記検出された順番が前記所定の順番と異なると判定したことに応答して、前記モータの起動を阻害するように構成されている、実施態様1に記載の装置。
(3) 前記所定の順番は、前記発射アクチュエータの作動の前に生じる前記安全スイッチの作動を含む、実施態様1に記載の装置。
(4) 前記所定の順番は、前記発射アクチュエータの作動と同時に発生する前記安全スイッチの作動を含む、実施態様1に記載の装置。
(5) 前記順序論理デバイスは、アナログ集積回路を含む、実施態様1に記載の装置。
【0234】
(6) 前記安全スイッチは、前記安全スイッチの作動に応答して、前記アナログ集積回路に信号を提供するように動作可能であり、前記発射アクチュエータは、その後、前記モータ起動信号を前記モータに提供するように動作可能である、実施態様4に記載の装置。
(7) 前記アナログ集積回路は、エッジトリガ動作モード用に構成された1つ以上のラッチスイッチを含む、実施態様4に記載の装置。
(8) 前記集積回路は、第1のラッチスイッチ及び第2のラッチスイッチを含み、前記第1のラッチスイッチの入力部は、前記安全スイッチに動作可能に連結され、前記第2のラッチスイッチの入力部は、前記発射アクチュエータに動作可能に連結されている、実施態様4に記載の装置。
(9) 前記集積回路は、第1のラッチスイッチ及び第2のラッチスイッチを含み、前記第2のラッチスイッチへの入力部は、前記第1のラッチスイッチからクロック出力信号を受信するように構成されている、実施態様4に記載の装置。
(10) 前記順序論理デバイスは、プログラム可能なデジタルプロセッサを含む、実施態様1に記載の装置。
【0235】
(11) 前記モータは、前記順序論理デバイスが適切な順番を判定する前に、起動不能状態を取るように構成され、前記モータは、前記順序論理デバイスが適切な順番を判定した後、起動可能状態を取るように構成されている、実施態様1に記載の装置。
(12) 入力部及び出力部を有するトランジスタを更に備え、前記安全スイッチは、前記トランジスタの前記入力部に動作可能に連結され、前記順序論理デバイスは、前記トランジスタの前記出力部に動作可能に連結されている、実施態様1に記載の装置。
(13) 前記ステープル留めアセンブリは、前記本体に動作可能に連結され、前記本体に対して遠位及び近位に移動するように構成されたアンビルを更に含み、前記アンビルは、前記アンビルが近位に前進するときに、前記安全スイッチを作動させるように構成されている、実施態様1に記載の装置。
(14) 前記本体は、
前記発射アクチュエータに動作可能に連結された安全トリガを更に含み、第1の位置における前記安全トリガは、前記発射アクチュエータが作動することを禁止するように構成され、第2の位置における前記安全トリガは、前記発射アクチュエータが作動することを可能にするように構成されている、実施態様1に記載の装置。
(15) 前記本体は、安全トリガの突出部を受容するように構成された案内トラックを有するシャーシを含み、前記案内トラックは、
(A)係合位置にある前記安全トリガの前記突出部を受容するように構成された第1の戻り止めと、
(B)係合解除位置にある前記安全トリガの前記突出部を受容するように構成された第2の戻り止めと、
(C)前記安全トリガが前記係合位置と前記係合解除位置との間を移動する際、前記突出部を受容するように構成されている、前記第1の戻り止めと前記第2の戻り止めとの間に配設されたチャネルと、
(D)前記チャネルから突出している隆起部分であって、前記安全トリガを前記係合位置又は前記係合解除位置のいずれか一方に押し込むように構成されている、隆起部分と、を含む、実施態様1に記載の装置。
【0236】
(16) 電動外科用ステープラを動作させる方法であって、前記電動外科用ステープラは、本体と、ステープル留めアセンブリと、を含み、前記本体は、制御回路と、発射トリガと、モータと、順序論理デバイスと、を含み、前記ステープル留めアセンブリは、前記本体に動作可能に連結され、可動アンビルと、安全スイッチと、を含み、前記ステープル留めアセンブリは、組織をステープル留めするように、前記モータによって選択的に作動可能であり、前記方法は、
(a)前記安全スイッチの作動に応答して、安全信号を前記順序論理デバイスに送信することと、
(b)前記発射トリガの作動に応答して、発射信号を前記順序論理デバイスに送信することと、
(c)前記順序論理デバイスへの前記安全信号の送信が、前記順序論理デバイスへの前記発射信号の送信の前又は前記発射信号の送信と同時に発生したと判定することと、
(d)前記判定に基づいて、モータ起動信号を前記制御回路に送信することと、
(e)前記制御回路から前記モータに前記モータ起動信号を送信して、前記ステープル留めアセンブリを作動させることと、
(f)前記制御回路から前記モータ起動信号を受信すると、前記モータを起動させることと、
(g)前記起動状態の前記モータにより前記ステープル留めアセンブリを作動させることによって、ステープルを組織内に駆動することと、を含む、方法。
(17) 前記本体に対して近位方向に前記アンビルを後退させることを更に含む、実施態様16に記載の方法。
(18) 前記アンビルの後退に応答して、前記安全スイッチを作動させることを更に含む、実施態様17に記載の方法。
(19) 前記順序論理デバイスは、前記順序論理デバイスへの前記安全信号の送信が、前記順序論理デバイスへの前記発射信号の送信の前又は前記発射信号の送信と同時に発生しなかったと判定することに応答して、前記モータの起動を阻害するように構成されている、実施態様16に記載の方法。
(20) 装置であって、
(a)本体であって、
(i)安全スイッチと、
(ii)発射アクチュエータと、
(iii)モータと、を含む、本体と、
(b)前記本体から遠位に延在し、アンビルを含む、シャフトと、
(c)前記シャフトの遠位端に配設され、開放位置から閉鎖位置へ選択的に移動して、組織をクランプするように構成されている、ステープル留めアセンブリであって、前記ステープル留めアセンブリは、前記モータの起動に応答して、複数のステープルをクランプされた前記組織内に駆動するように動作可能である、ステープル留めアセンブリと、
(d)前記モータと動作可能に連結された順序論理デバイスであって、前記順序論理デバイスは、前記安全スイッチの作動を検出するように構成され、かつ前記発射アクチュエータの作動を検出するように構成され、前記順序論理デバイスは、
(i)前記安全スイッチ及び前記発射アクチュエータが作動される順番を検出することと、
(ii)検出された前記順番を所定の順番と比較することと、
(iii)前記検出された順番が前記所定の順番に等しいと判定することに応答して、モータ起動信号を前記モータに送信することと、を行うように動作可能である、順序論理デバイスと、を備え、
前記モータは、前記モータ起動信号を受信すると起動するように構成されている、装置。