(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-08
(45)【発行日】2024-03-18
(54)【発明の名称】ループ又は直線光ファイバを有する干渉計
(51)【国際特許分類】
G01C 19/72 20060101AFI20240311BHJP
【FI】
G01C19/72 J
(21)【出願番号】P 2021559736
(86)(22)【出願日】2020-04-14
(86)【国際出願番号】 EP2020060408
(87)【国際公開番号】W WO2020212314
(87)【国際公開日】2020-10-22
【審査請求日】2023-01-25
(32)【優先日】2019-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】508013962
【氏名又は名称】エグゼル
(74)【代理人】
【識別番号】100074734
【氏名又は名称】中里 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100086265
【氏名又は名称】川崎 仁
(74)【代理人】
【識別番号】100076451
【氏名又は名称】三嶋 景治
(72)【発明者】
【氏名】デュクルー エリック
(72)【発明者】
【氏名】モリュコン セドリック
(72)【発明者】
【氏名】ルフェヴル エルヴェ
【審査官】櫻井 仁
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-137874(JP,A)
【文献】特開2000-146597(JP,A)
【文献】特開平09-042974(JP,A)
【文献】特開2019-020140(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0009505(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 19/00-19/72
G01R 15/00-17/22
G01R 19/00-19/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソースビーム(100)を生成するように適合された光源(20)、前記ソースビームを第1のシングルモード波(101)及び第2のシングルモード波(102)に分割するように適合された光分割デバイス(15、24、34)、前記第1のシングルモード波及び前記第2のシングルモード波に同じ位相シフトΦ
m(t)を誘導するように適合された位相変調器(16)に変調電圧V
m(t)を印加するように適合された電子システム(900)、それぞれ前記第1のシングルモード波を受け取り、且つそれを第1の光路に沿って伝播させ、及び前記第2のシングルモード波を受け取り、且つそれを、前記第1の光路の逆である第2の光路に沿って伝播させ、及び伝播時間差Δτ後、変調位相差ΔΦ
m(t)=Φ
m(t)-Φ
m(t-Δτ)を有する第1の出力波及び第2の出力波をそれぞれ形成するように適合された光ファイバセット(17、71、72、73、74)であって、前記伝播時間差Δτの2倍の逆数に等しい固有周波数f
pを有し、前記光分割デバイス(15、24、34)は、前記第1の出力波及び前記第2の出力波を再結合し、且つ一時的に変調された干渉ビーム(300)を形成するように適合される、光ファイバセット(17、71、72、73、74)、時間の関数として前記干渉ビーム(300)の電力P(t)を検出するように適合された検出システム(18)を含む光ファイバループ又はインライン干渉計において、前記変調位相差ΔΦ
m(t)は、±πに等しいレベルの第1の周期性位相差ΔΦ
π(t)と、±アルファに等しいレベルの第2の周期性位相差ΔΦ
アルファ(t)と、-ベータ~+ベータの可変レベルの第3の周期性位相差ΔΦ
ベータ(t)との和に等しく、アルファ及びベータは、前記変調位相差ΔΦ
m(t)が、前記伝播時間差Δτの2倍の奇数倍数(2M+1)に等しい変調周期Tを有するような所定の異なる値を有し、ここで、Mは、自然整数であり、前記変調位相差ΔΦ
m(t)は、変調周期T毎に、12の以下の変調レベル:ΔΦa+=π+アルファ+ベータ;ΔΦ
a-=π+アルファ-ベータ;ΔΦ
a=π+アルファ;ΔΦ
b+=π-アルファ+ベータ;ΔΦ
b-=π-アルファ-ベータ;ΔΦ
b=π-アルファ;ΔΦ
c+=-π+アルファ+ベータ;ΔΦ
c-=-π+アルファ-ベータ;ΔΦ
c=-π+アルファ;ΔΦ
d+=-π-アルファ+ベータ;ΔΦ
d-=-π-アルファ-ベータ;ΔΦ
d=-π-アルファのうちの少なくとも8つの変調レベルを有し、及び前記変調位相差は、0~Tに含まれる各時間tにおいて、
ΔΦ
m(t+T/2)=-ΔΦ
m(t)
であるようなものであることを特徴とする光ファイバループ又はインライン干渉計。
【請求項2】
前記変調周期Tは、前記伝播時間差Δτの2倍に等しく、前記第1の
周期性位相差ΔΦ
π(t)は、前記固有周波数f
pに等しい変調周波数を有し、前記第2の
周期性位相差ΔΦ
アルファ(t)及び前記第3の
周期性位相差ΔΦ
ベータ(t)は、前記固有周波数f
pの奇数倍数(2N+1)に等しい同じ変調周波数を有し、ここで、Nは、非ゼロの自然整数であり、前記第2の
周期性位相差ΔΦ
アルファ(t)は、前記第1の
周期性位相差ΔΦ
π(t)と同期され、前記第3の
周期性位相差ΔΦ
ベータ(t)は、前記第2の
周期性位相差ΔΦ
アルファ
(t)に対して直交位相である、請求項1に記載の光ファイバループ又はインライン干渉計。
【請求項3】
前記変調周期Tは、前記伝播時間差Δτの2倍に等しく、前記第3の
周期性位相差ΔΦ
ベータ(t)は、前記固有周波数f
pに等しい変調周波数を有し、前記第1の
周期性位相差ΔΦ
π(t)及び前記第2の
周期性位相差ΔΦ
アルファ(t)は、前記固有周波数f
pの奇数倍数(2N+1)に等しい同じ変調周波数を有し、ここで、Nは、非ゼロの自然整数であり、前記第2の
周期性位相差
ΔΦ
アルファ
(t)は、前記第1の
周期性位相差
ΔΦ
π
(t)に対して直交位相であり、前記第3の
周期性位相差ΔΦ
ベータ(t)は、前記第1の
周期性位相差
ΔΦ
π
(t)又は前記第2の
周期性位相差
ΔΦ
アルファ
(t)と同期される、請求項1に記載の光ファイバループ又はインライン干渉計。
【請求項4】
Mは、非ゼロの整数であり、前記第1の
周期性位相差ΔΦ
π(t)及び前記第2の
周期性位相差ΔΦ
アルファ(t)は、前記固有周波数f
pに等しい同じ変調周波数を有し、前記第2の
周期性位相差
ΔΦ
アルファ
(t)は、前記第1の
周期性位相差
ΔΦ
π
(t)に対して直交位相であり、及び前記第3の
周期性位相差ΔΦ
ベータ(t)は、前記変調周期Tに等しい変調周期を有し、前記第3の
周期性位相差
ΔΦ
ベータ
(t)は、前記第1の
周期性位相差
ΔΦ
π
(t)又は前記第2の
周期性位相差
ΔΦ
アルファ
(t)と同期される、請求項1に記載の光ファイバループ又はインライン干渉計。
【請求項5】
前記検出システム(18)は、変調周期毎に、前記検出された干渉ビームの一連の少なくとも12の電力測定値から、測定される数量を表す信号、前記位相変調器の伝達関数信号及び/又は前記検出システムの伝達関数信号を抽出するように適合された電子復調システムを含む、請求項1~4の何れか一項に記載の光ファイバループ又はインライン干渉計。
【請求項6】
前記測定される数量を表す前記信号は、変調周期毎に取得される前記
一連の少なくとも12の電力測定値の和に等しく、各電力測定値は、-アルファに対応するレベルについて-1で乗算され、且つ+アルファに対応するレベルについて+1で乗算される、請求項5に記載の光ファイバループ又はインライン干渉計。
【請求項7】
前記位相変調器の前記伝達関数信号は、変調周期毎に取得される前記
一連の少なくとも12の電力測定値の和に等しく、各電力測定値は、第1の±π変調符号と、第2の±アルファ変調の+又は-符号との積の符号で乗算されるか、又は同じ数の、前記符号+で乗算される状態及び前記符号-で乗算される状態を保持するようにゼロで乗算される、請求項
5に記載の光ファイバループ又はインライン干渉計。
【請求項8】
前記検出システムの前記伝達関数信号は、変調周期毎に取得される前記
一連の少なくとも12の電力測定値の和に等しく、各電力測定値は、第3のベータ変調のレベルが+ベータ又は-ベータである場合、前記第2の±アルファ変調符号と、第3の±ベータ変調符号との積の符号で乗算され、且つ前記第3のベータ変調の前記レベルがゼロである場合、ゼロで乗算される、請求項
7に記載の光ファイバループ又はインライン干渉計。
【請求項9】
前記変調位相差ΔΦ
m(t)は、前記測定される数量を表す前記信号の位相差ΔΦ
sとは逆の位相ステップΔΦ
FBで構成されるランプを更に含む、請求項5~8の何れか一項に記載の光ファイバループ又はインライン干渉計。
【請求項10】
前記光分割デバイス(15)は、前記ソースビームを前記第1のシングルモード波(101)及び前記第2のシングルモード波(102)に空間的に分割するように適合され、前記光ファイバセット(17、71、72、73、74)は、光ファイバコイル(17、73)であって、それぞれ前記第1のシングルモード波を前記光ファイバコイルの第1の端部で受け取り、且つ前記第2のシングルモード波を前記光ファイバコイルの第2の端部で受け取るように適合された光ファイバコイル(17、73)を含み、前記第1のシングルモード波及び前記第2のシングルモード波は、前記光ファイバコイル(17、73)において逆方向に伝播する、請求項1~9の何れか一項に記載の光ファイバループ干渉計。
【請求項11】
前記第1のシングルモード波及び前記第2のシングルモード波は、線形偏光され、及び前記光ファイバコイル(17)は、線形偏光保持型のものであり、前記
光ファイバループ干渉計は、前記光ファイバコイル(17)の軸の周りの回転を表す位相差を測定するように適合される、請求項10に記載の光ファイバループ干渉計。
【請求項12】
前記光ファイバセット(17、71、72、73、74)は、線形偏光保持光ファイバセクション(71)、円偏光保持光ファイバコイル(73)及び別の線形偏光保持光ファイバセクション(72)を含み、四分の一波長板(32)は、前記
線形偏光保持光ファイバセクション(71)と前記
円偏光保持光ファイバコイル(73)の端部との間に配置され、別の四分の一波長板は、前記他の
線形偏光保持光ファイバセクション(72)と前記
円偏光保持光ファイバコイル(73)の他の端部との間に配置され、前記
光ファイバループ干渉計は、前記
円偏光保持光ファイバコイル(73)を通る電流によって誘導される位相差を測定するように適合される、請求項10に記載の光ファイバループ干渉計。
【請求項13】
前記光ファイバセット(17、71、72、73、74)は、線形偏光保持光ファイバセクション(74)及び円偏光保持光ファイバコイル(73)を含み、前記
線形偏光保持光ファイバセクション(74)は、前記
円偏光保持光ファイバコイル(73)の1つの端部に接続され、ミラー(26)は、前記
円偏光保持光ファイバコイル(73)の第2の端部に配置され、前記
光ファイバインライン干渉計は、前記
円偏光保持光ファイバコイル(73)を通る電流によって誘導される位相差を測定するように適合される、請求項1~9の何れか一項に記載の光ファイバインライン干渉計。
【請求項14】
前記測定される数量を表す信号、前記位相変調器の前記伝達関数信号及び/又は前記検出システムの前記伝達関数信号を制御するように適合されるフィードバックシステムを含む請求項5に記載の光ファイバループ又はインライン干渉計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、干渉計システムの分野に関する。
【0002】
より詳細には、本発明は、光ファイバループ又はインライン干渉計システムに関する。そのような干渉計システムは、特に、光ファイバジャイロスコープ(FOG、“The Fiber-Optic Gyroscope”,H.C.Lefevre,Artech House,Second Edition,2014を参照されたい)において用途を見出す。そのような干渉計システムは、電流センサ(又は光ファイバ電流センサの場合にはFOCS)又は磁場センサにおいても用途を見出す。
【0003】
特に、本発明は、高精度光ファイバ干渉計システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0004】
図1は、従来技術の光ファイバサグナックループ干渉計システムを概略的に示す。この光ファイバ干渉計システムは、ソースビーム100を発する光源20と、受信機スプリッタと呼ばれるソース受信機スプリッタ22と、多機能集積光回路(MIOCと示される)14と、光ファイバコイル17と、フォトセンサ18と、信号処理システム900とを含む。集積光回路14は、例えば、ニオブ酸リチウムで作られた平坦な電子光学基板上に好ましくはプロトン交換(又はアニールプロトン交換の場合にはAPE)により形成された光導波路を含む。ニオブ酸リチウムでのプロトン交換は、単一偏光ガイドを形成させる。したがって、入出力導波路は、1つのみの線形偏光をガイドするシングルモード導波路偏光器24を形成する。集積光回路14は、入出力導波路を2つのシングルモード二次分岐を分割することにより形成されるY接合型のコイルスプリッタ15も含む。有利には、集積光回路14は、発電機に接続されて、2つの逆伝播ビーム間の位相差ΔΦを変調するように適合された電子光学変調器又は位相変調器16を形成する電極も含む。多機能集積光回路14の平坦基板は、一面において、光ファイバコイル17の2つの端部にように接続することができ、他面において、光ファイバ23のセクションによりソース受信機スプリッタ22に容易に接続することができる。
【0005】
コイルスプリッタ15は、ソースビーム100を第1のシングルモード波101及び第2のシングルモード波102に空間的に分割し、第1及び第2のシングルモード波は、光ファイバコイル17を逆方向に伝播する。コイル出力において、コイルスプリッタ15は、これらの2つのシングルモード波を再結合して、干渉ビーム300を形成する。ソース受信機スプリッタ22は、干渉ビーム300をフォトセンサ18にガイドする。センサ18は、干渉ビームを受け取り、検出信号80を生成する。
【0006】
信号処理システム900は、例えば、アナログ/デジタル変換器19と、例えばDSP(デジタル信号プロセッサ)、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)又はASIC(特定用途向け集積回路)型のデジタルプロセッサ30と、デジタル/アナログ変換器31とを含む。デジタルプロセッサ30は、デジタル出力において測定されるパラメータ90から信号、例えば回転率を抽出できるようにする。デジタル/アナログ変換器31は、変調電圧60を光位相変調器16の電極に印加できるようにする。
【0007】
干渉計システムが静止している場合、2つの分割されたビームは、光ファイバコイル内の光路の相互関係に起因して互いに同相で光ファイバコイルから出る。
【0008】
しかしながら、光ファイバコイル7内の2つの逆伝播ビームの光路への非相互関係効果をもたらす傾向がある物理現象が存在する場合、検出される干渉ビームに位相差が現れる。上述したような干渉計システムの開ループ応答は、以下の式により、測定される数量にリンクされた位相差ΔΦの関数であり、式中、Pは、帰還干渉ビーム300の電力であり、P
0は、ΔΦ=0であるときの最大帰還電力である。
[数式1]
【数1】
【0009】
非相互関係効果を誘導する主な物理現象の中でも、光ファイバコイルの軸の周りの干渉計システムの回転は、回転率に比例した位相差を誘導する。サグナック効果と呼ばれるこの特性から、光ファイバコイルの軸の周りの回転率を測定するための、ジャイロスコープへのサグナックループ干渉計の主な適用が生じる。実際に、光ファイバコイル17の軸の周りの干渉計の回転中、測定されるパラメータにより位相差ΔΦsが誘導される。FOGにサグナック効果が存在する場合、位相差ΔΦsは、回転率に比例する。
【0010】
ファラデー効果又は共線磁気光学効果は、非相互関係効果をもたらすことも知られている。光ファイバループ又はインライン干渉計は、磁場センサ又は電流センサとして適用される(刊行物J.Blake et al.“In-Line Sagnac Interferometer Current Sensor”,IEEE Transactions on Power Delivery,Vol.11,no 1,pages 116-121,1996を参照されたい)。
【0011】
従来のサグナック干渉計である上述のサグナックループ干渉計は、閉光路、2つの波動を分割し、再結合する同じ分割光学構成要素15を使用し、2つの分割された波動は、閉光路に沿って相互に逆の方向に移動する。光ファイバループ干渉計では、2つの分割された波動は、閉光路において同じ偏光状態を使用する。光ファイバループジャイロスコープでは、2つの波動は、同じ線形偏光を有する。ループ電流センサでは、2つの波動は、光ファイバループにおいて同じ円偏光を有する。光ファイバインライン干渉計では、ミラーが光ファイバコイルの1つの端部に配置され、2つの波動は、閉光路を同じ方向に且つ帰還時に逆になる直交偏光状態で移動する(刊行物G.M.Muller et al.“Inherent temperature compensation of fiber-optic current sensors employing spun highly birefringent fiber”,Optics Express,Vol.24,No 10,2016を参照されたい)。
【0012】
ループ系に関して、光ファイバインライン干渉計システムは、多くの環境パラメータの変動の影響を受けにくいが、位相変調に関して均等に動作する。
【0013】
光ファイバ干渉計の分野の当業者から周知の位相変調技法は、非相互関係効果、例えばサグナック効果又は共線磁気光学ファラデー効果に起因する位相差への干渉計応答の感度及び線形性を改善するために使用される。本明細書では、測定される数量とは、光ファイバループ又はインライン干渉計における非相互関係効果によって誘導される位相差を意味する。
【0014】
図2は、従来技術の光ファイバループ干渉計の位相変調器16を示す。
【0015】
上述した分野では、変調電圧Vm(t)を位相変調器16の電極間に印加して、測定される干渉信号の位相差ΔΦm(t)を変調することが知られている。この変調により、特に低振幅回転測定での干渉計システムの感度を上げるバイアスが可能である。より正確には、位相変調器16は、相互関係的な、すなわち2つの伝播方向で完全に同一の位相シフトφm(t)を生成する。しかしながら、光ファイバコイル17を通る最長光路と、出て直接スプリッタ結合器15に向かう最短光路との間において、Δτで示される伝播時間差が存在する。この伝播時間差Δτは、波動の群速度vgにリンクするが、位相速度vΦにリンクしない。したがって、位相差ΔΦm(t)の変調は、以下の式に従って得られる。
[数式2]
ΔΦm(t)=Φm(t)-Φm(t-Δτ)
【0016】
この位相シフト変調Φm(t)は、変調電圧Vm(t)60を位相変調器16の電極に印加することにより得られる。
【0017】
第2の変調器をコイルの他の端部に配置し、電気的に逆に接続して、いわゆるプッシュプル構成で変調効率を2倍にすることも可能である。
図1の回路14は、Y接合部の2つの分岐に配置される変調器16にそのようなプッシュプルセットアップを使用する。
【0018】
特に、光ファイバコイルの固有周波数fpにおいて、バイアス位相差と呼ばれる位相差の2レベル変調、例えばΔΦb(t)=±π/2を生成するように、2つのプラトー値間に変調電圧Vmを方形変調することにより、いわゆる2状態変調を適用することが知られている。固有周波数fpは、T/2=1/(2.fp)=Δτように定義され、式中、Tは、方形変調の周期である。したがって、変調の半周期T/2は、コイルを通る長光路と、位相変調器16をスプリッタ15に接続する短光路との間の群伝播時間差Δτに対応する。検出システムは、2つの変調状態に従って干渉計出力における干渉ビームの電力を取得する。信号処理システムは、各変調周期にわたり2つの電力測定値をサンプリングすることにより、検出された干渉ビームをデジタル化し、最初のレベルに負の符号を割り当て、正の符号を続くレベルに割り当てることにより、fpにおける検出信号を復調する。周波数fpにおいて、2つの状態を生成する方形変調電圧に基づくこの変調復調方式は、出力電力の変動から独立して、干渉計システムのよりよい感度及び概ねゼロの測定値のよりよい安定性を得られるようにする。ピークは、検出信号の連続測定値間で観測されることに留意されたい。
【0019】
例えば、±3π/4又は±7π/8として、±π/2よりも大きい位相差ΔΦm(t)の変調を用いる2状態方形変調を適用することも知られている。この過変調は、感度を下げるが、干渉計システムの信号対雑音比を改善する。
【0020】
干渉計システムの応答ダイナミクスを拡張し、線形化するために、逆反応信号を適用することも知られている。復調信号は、測定される数量の位相差ΔΦsとは逆の追加の位相差ΔΦFBを生成するために、制御ループにおいて誤差信号として使用される。総位相差ΔΦFB+ΔΦsは、ゼロになるように制御され、ΔΦsに等しい-ΔΦFBは、電力変動及び検出システムの利得から独立して線形応答及び線形応答の良好な安定性を得られるようにする測定値になる。
【0021】
上述した分野では、仏国特許出願第2654827_A1号明細書は、2Δτに等しい各変調周期Tにわたり、4つの連続したレベルのΔΦ
m(t)を生成するいわゆる4状態変調電圧の印加を提案している。
図3は、4状態変調の一例を示す。
図3には、左下に時間tの関数としての位相差ΔΦの変調、左上に位相差ΔΦの関数としての干渉ビームの電力P及び右上に時間の関数としての検証ビームの電力Pがそれぞれ示される。2Δτに等しい変調周期にわたり、4状態i=1、2、3、4は、ΔΦ
m(t)の4つの連続レベルに対応する:それぞれπ-アルファの場合、i=1であり;π+アルファの場合、i=2であり;-π+アルファの場合、i=3であり;-π-アルファの場合、i=4である。
図3に示される例では、アルファ=π/4の場合、ΔΦ
m(t)の4つのレベルは、3π/4、5π/4、-3π/4、-5π/4である。この変調は、固有周波数f
pにおける第1の±π変調(
図3の左下に点線で示される)と、直交位相での第2の±π/4変調(
図3の左下に破線で示される)との重畳に分解される。第1の±変調と第2の±π/4変調との重畳から生じる変調は、
図3の左下に連続線で示される。この変調ΔΦ
m(t)は、変調周期毎に4つのレベルを有する。実際に、これは、位相変調器が固有周波数f
pにおいて位相シフトΦ
m(t)の±π/2変調及び直交位相において±π/8変調を生成する場合に得ることができる。逆反応デジタル位相ランプを追加することができる。このデジタルランプの持続時間Δτのステップは、ΔΦ
FBに等しく、信号位相差ΔΦ
sを補償する。4つの変調レベルに対応する4つの状態は、Pと位相差ΔΦとの関係の曲線上の点で示される。
図3では、右上に時間の関数としての検出電力P(t)が示される。4つの電力測定値が各変調周期にわたりサンプリングされる。換言すれば、変調周期にわたり、4つの状態i=1、...、4に対応する干渉ビームを受け取る検出器により検出される電力測定値は、P
iとして示される。測定される数量の信号を抽出するために、信号処理システムは、これらの状態での±πの符号から独立して、+アルファに対応する2つの状態を+1で乗算し、-アルファに対応する2つの状態を-1で乗算することにより、4つの状態で検出された電力信号をそれぞれ復調する。ここでも、測定される数量の信号は、固有周波数f
pで復調される。4状態変調では、測定される数量の信号、例えばサグナック信号は、固有周波数f
pにおいて方形変調を有し、±アルファ変調と同相であり、±π変調と直交同相である。4状態変調では、測定される数量の信号位相差ΔΦ
sは、以下の式に従って信号S
sから計算され、状態i=1、...、4の電力測定値P
iは、2Δτに等しい変調周期Tにわたり取得される。
[数式3]
S
S=-P
1+P
2+P
3-P
4
【0022】
4状態変調では、2f
pで変調された、V
πで示される信号を抽出することも可能である。信号V
πは、位相変調器の伝達関数、すなわち変調器に印加される電圧V
mと、誘導される位相シフトΦ
mとの比率を表し、V
π/π=V
m/Φ
mである。ここで、この信号V
πは、環境、例えば温度に伴って変動する。信号Vπの復調は、各状態でサンプリングされた電力測定値P
iを、±π変調符号と±アルファ変調符号との積の符号で乗算することにより得られる。換言すれば、符号+は、+π+アルファ及び-π-アルファ状態に対応する測定値に適用され、符号-は、+π-アルファ及び-π+アルファに対応する測定値に適用される。4状態変調は、位相差をゼロにすること及び信号V
πを調整することを同時に制御できるようにする。4状態変調では、変調器伝達関数、したがってV
πの誤差信号は、以下の式に従って計算される。
[数式4]
【数2】
【0023】
光ファイバ干渉計システムの分野では、欧州特許第2005113_B1号明細書は、4レベルのバイアス位相差に基づくいわゆる6状態変調を記載している。
図4は、3f
pにおいて変調される6状態変調の一例を示す。
図4では、左下に時間tの関数としての位相差ΔΦ、左上に位相差ΔΦの関数としての干渉ビームの電力P、右上に2Δτに等しい変調周期にわたる時間tの関数としての干渉ビームの電力Pがそれぞれ示される。この6状態変調は、固有周波数f
pにおける位相シフトΦ
m(t)の第1の±π/2変調と、3fpにおける位相シフトΦ
m(t)の第2の±アルファ/2変調との重畳に分解することができる。第2の変調は、第1の変調と同期される。換言すれば、固有周波数f
pにおける±πの変調位相差ΔΦ
m(t)(
図4の左下に点線で示される)及び3f
pにおける±アルファの変調位相差ΔΦ
m(t)(
図4の左下に破線で示される)を得る。±変調と±アルファ変調との重畳から生じる位相差変調は、
図4の左下に連続線で示される。この変調ΔΦ
m(t)は、変調周期毎に4つのレベルを有する。より一般的には、固有周波数f
pにおける±πの変調位相差ΔΦ
m(t)及び(2k+1).f
pにおける±アルファの変調位相差ΔΦ
m(t)が生成され、ここで、kは、1以上の自然整数である。4つの変調レベルは、Pと位相差ΔΦとの関係の曲線上の点で示される。
図4では、右上に時間の関数としての検出電力P(t)が示される。6つの電力測定値が各変調周期にわたりサンプリングされる。6状態変調を用いる場合、測定されるパラメータの信号、例えばサグナック信号は、これらの状態での±πの符号から独立して、+アルファ状態に対応する電力測定値を+1で乗算し、-アルファ状態に対応する他の電力測定値を-1で乗算する復調を適用することにより、3f
pにおいて抽出される。6状態変調では、状態は、付番される:π-アルファの場合、i=1;π+アルファの場合、i=2;π-アルファの場合、i=3;-π+アルファの場合、i=4;-π-アルファの場合、i=5;-π+アルファの場合、i=6。測定される数量の信号S
sは、以下の式に従って計算され、式中、状態i=1、...、6の電力測定値P
iは、2Δτに等しい変調周期Tにわたり取得される。
[数式5]
S
S=-P
1+P
2-P
3+P
4-P
5+P
6
【0024】
6状態変調では、信号V
πを抽出することも可能である。信号V
πの復調は、サンプリングされた電力測定値を0、+1及び-1で連続して乗算することにより得られる。実際に、4状態構成と同様に、信号Vπの復調は、各状態でサンプリングされた電力測定値P
iを、±π変調符号と±アルファ変調符号との積の符号で乗算することにより得られるが、符号+で乗算される状態数及び符号-で乗算される同じ数の状態を保持する。6状態変調では、変調器伝達関数の誤差信号は、以下の式により計算される。
[数式6]
【数3】
【0025】
欧州特許第2005113_B1号明細書は、4Δτに等しい総周期Tにわたる8状態及び8レベル変調の使用も記載している。この従来の8状態変調によれば、変調は、まず、±(アルファ+ベータ)に対応する4つのハイ状態に対して実行され、次に±(アルファ-ベータ)に対応する4つのロー状態に対して実行される。
図5は、変調位相差ΔΦ
m(t)(左下曲線)の関数としての干渉計システム出力において検出された電力P(t)を右上に概略的に示す。この変調ΔΦ
m(t)は、4Δτに等しい変調周期Tにわたり8つのレベルを有する。8変調状態は、変調周期にわたる出現順に応じて、右上の電力測定値P(t)上に1~8と付番される。
図5では、左下に、固有周波数f
pにおける4状態±π及び±(アルファーベータ)変調(点線);周期4Δτにわたる追加の-2ベータ、-2ベータ、+2ベータ、+2ベータ、ゼロ、ゼロ、ゼロ及びゼロ変調(破線);並びにこれら2つの変調の重畳から生じる総位相差変調が連続線で示される。したがって、この総変調は、半周期2Δτ中の4つのハイ状態への4状態±π及び±(アルファ+ベータ)変調並びに続く半周期にわたる4つのロー±π及び±(アルファ-ベータ)状態への4状態変調の連続に対応する。
【0026】
図5の左上部には、異なる変調レベルが示される:
a
+は、変調レベルΔΦ
a+=π+アルファ+ベータに対応し、
a
-は、変調レベルΔΦ
a-=π+アルファ-ベータに対応し、
b
+は、変調レベルΔΦ
b+=π-アルファ+ベータに対応し、
b
-は、変調レベルΔΦ
b-=π-アルファ-ベータに対応し、
c
+は、変調レベルΔΦ
c+=-π+アルファ+ベータに対応し、
c
-は、変調レベルΔΦ
c-=-π+アルファ-ベータに対応し、
d
+は、変調レベルΔΦ
d+=-π-アルファ+ベータに対応し、
d
-は、変調レベルΔΦ
d-=-π-アルファ-ベータに対応する。
【0027】
出力電力Pは、変調周期毎に8つの状態i=1、...、8に対応する8つの測定値Piにサンプリングされる。これらの状態に対応する変調レベルは、状態1の場合、d-;状態2の場合、b-;状態3の場合、a+;状態4の場合、c+;状態5の場合、d+;状態6の場合、b+;状態7の場合、a-;状態8の場合、c-である。測定されるパラメータの信号(例えば、サグナック)の復調及び信号Vπの復調は、4状態構成と同様に8状態で行われる。この8状態変調では、測定される数量の信号は、以下の式に従って計算され、式中、8つの連続状態i=1、...、8での電力測定値Piは、4Δτに等しい変調周期Tにわたり得られる。
[数式7]
SS=-P1-P2+P3+P4-P5-P6+P7+P8
【0028】
この8状態変調では、変調器伝達関数の誤差信号は、以下の式に従って計算される。
[数式8]
【数4】
【0029】
上述したような光ファイバ干渉計システムでは、検出器での出力電力を調整することが望ましい。そのために、上述した8状態変調方式では開ループ応答とも呼ばれ、ΔPと示される干渉計検出システムの伝達関数を、例えば光源の電力を調整することにより、この開ループ応答を制御するように抽出することが知られている。この測定は、以下の式に従う計算を用いて、4つのハイ状態(d-;b-;a+:c+)と4つのロー状態(d+;b+;a-;c-)との間の電力差ΔPを検出することにより行われる。
[数式9]
SΔP=P1+P2+P3+P4-P5-P6-P7-P8
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0030】
光ファイバループ又はインライン干渉計システムの性能を改善し、特にそのようなシステムの測定精度、安定性、線形性及び/又は応答ダイナミクスを上げることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0031】
従来技術の上記の欠点を矯正するために、本発明は、ソースビームを生成するように適合された光源と、ソースビームを第1のシングルモード波及び第2のシングルモード波に分割するように適合された光分割デバイスと、第1のシングルモード波及び第2のシングルモード波に同じ位相シフトΦm(t)を誘導するように適合された位相変調器に変調電圧Vm(t)を印加するように適合された電子システムと、それぞれ第1のシングルモード波を受け取り、且つそれを光路に沿って伝播させ、及び第2のシングルモード波を受け取り、且つそれを、第1の光路の逆である第2の光路に沿って伝播させ、及び伝播時間差Δτ後、変調位相差ΔΦm(t)=Φm(t)-Φm(t-Δτ)を有する第1の出力波及び第2の出力波をそれぞれ形成するように適合された光ファイバセットであって、伝播時間差Δτの2倍の逆数に等しい固有周波数fpを有し、光分割デバイスは、第1の出力波及び第2の出力波を再結合し、且つ一時的に変調された干渉ビームを形成するように適合される、光ファイバセットと、時間の関数として干渉ビームの電力P(t)を検出するように適合された検出システムとを含む光ファイバループ又はインライン干渉計を提案する。
【0032】
より詳細には、本発明によれば、干渉計であって、変調位相差ΔΦm(t)は、±πに等しいレベルの第1の周期性位相差ΔΦπ(t)と、±アルファに等しいレベルの第2の周期性位相差ΔΦアルファ(t)と、-ベータ~+ベータの可変レベルの第3の周期性位相差ΔΦベータ(t)との和に等しく、アルファ及びベータは、変調位相差ΔΦm(t)が、伝播時間差Δτの2倍の奇数倍数(2M+1)に等しい変調周期Tを有するような所定の異なる値を有し、ここで、Mは、自然整数であり、変調位相差ΔΦm(t)は、変調周期T毎に、12の以下の変調レベル:ΔΦa+=π+アルファ+ベータ;ΔΦa-=π+アルファ-ベータ;ΔΦa=π+アルファ;ΔΦb+=π-アルファ+ベータ;ΔΦb-=π-アルファ-ベータ;ΔΦb=π-アルファ;ΔΦc+=-π+アルファ+ベータ;ΔΦc-=-π+アルファ-ベータ;ΔΦc=-π+アルファ;ΔΦd+=-π-アルファ+ベータ;ΔΦd-=-π-アルファ-ベータ;ΔΦd=-π-アルファのうちの少なくとも8つの変調レベルを有し、及びこの変調位相差は、0~Tに含まれる各時間tにおいて、ΔΦm(t+T/2)=-ΔΦm(t)であるようなものである干渉計が提案される。
【0033】
特定の有利な実施形態によれば、変調周期Tは、伝播時間差Δτの2倍に等しく、第1の位相差ΔΦπ(t)は、固有周波数fpに等しい変調周波数を有し、第2の位相差ΔΦアルファ(t)及び第3の位相差ΔΦベータ(t)は、固有周波数fpの奇数倍数(2N+1)に等しい同じ変調周波数を有し、ここで、Nは、非ゼロの自然整数であり、第2の位相差ΔΦアルファ(t)は、第1の位相差ΔΦπ(t)と同期され、第3の位相差ΔΦベータ(t)は、第2の位相差ΔΦa(t)に対して直交位相である。
【0034】
特定の有利な別の実施形態によれば、変調周期Tは、伝播時間差Δτの2倍に等しく、第3の位相差ΔΦベータ(t)は、固有周波数fpに等しい変調周波数を有し、第1の位相差ΔΦπ(t)及び第2の位相差ΔΦアルファ(t)は、固有周波数fpの奇数倍数(2N+1)に等しい同じ変調周波数を有し、ここで、Nは、非ゼロの自然整数であり、第2の位相差は、第1の位相差に対して直交位相であり、第3の位相差ΔΦベータ(t)は、第1の位相差又は第2の位相差と同期される。
【0035】
特定の有利な更に別の実施形態によれば、Mは、非ゼロの整数であり、第1の位相差ΔΦπ(t)及び第2の位相差ΔΦアルファ(t)は、固有周波数fpに等しい同じ変調周波数を有し、第2の位相差は、第1の位相差に対して直交位相であり、及び第3の位相差ΔΦベータ(t)は、変調周期Tに等しい変調周期を有し、この第3の位相差は、第1の位相差又は第2の位相差と同期される。
【0036】
個々に又は技術的に可能な全ての組合せに従って解釈される、本発明による干渉計の他の非限定的で有利な特徴は、以下である。
【0037】
検出システムは、変調周期毎に、検出された干渉ビームの一連の少なくとも12の電力測定値から、測定される数量を表す信号、位相変調器の伝達関数信号及び/又は検出システムの伝達関数信号を抽出するように適合された電子復調システムを含む。
【0038】
測定される数量を表す信号は、変調周期毎に取得される干渉ビーム電力測定値の和に等しく、各電力測定値は、-アルファに対応するレベルについて-1で乗算され、且つ+アルファに対応するレベルについて+1で乗算される。
【0039】
位相変調器の伝達関数信号は、変調周期毎に取得される干渉ビーム電力測定値の和に等しく、各電力測定値は、第1の±π変調符号と、第2の±アルファ変調の+又は-符号との積の符号で乗算されるか、又は同じ数の、符号+で乗算される状態及び符号-で乗算される状態を保持するようにゼロで乗算される。
【0040】
検出システムの伝達関数信号は、変調周期毎に取得される干渉ビーム電力測定値の和に等しく、各電力測定値は、第3のベータ変調のレベルが+ベータ又は-ベータである場合、第2の±アルファ変調符号と、第3の±ベータ変調符号との積の符号で乗算され、且つこの第3のベータ変調のレベルがゼロである場合、ゼロで乗算される。
【0041】
変調位相差ΔΦm(t)は、測定される数量を表す信号の位相差ΔΦsとは逆の位相ステップΔΦFBで構成されるランプを更に含む。
【0042】
光分割デバイスは、ソースビームを第1のシングルモード波及び第2のシングルモード波に空間的に分割するように適合され、光ファイバセットは、光ファイバコイルであって、それぞれ第1のシングルモード波を光ファイバコイルの第1の端部で受け取り、且つ第2のシングルモード波を光ファイバコイルの第2の端部で受け取るように適合された光ファイバコイルを含み、第1のシングルモード波及び第2のシングルモード波は、光ファイバコイルにおいて逆方向に伝播する。
【0043】
第1のシングルモード波及び第2のシングルモード波は、線形偏光され、及び光ファイバコイルは、線形偏光保持型のものであり、干渉計は、光ファイバコイルの軸の周りの回転を表す位相差を測定するように適合される。
【0044】
光ファイバセットは、線形偏光保持光ファイバセクション、円偏光保持光ファイバコイル及び別の線形偏光保持光ファイバセクションを含み、四分の一波長板は、光ファイバセクションと光ファイバコイルの端部との間に配置され、別の四分の一波長板は、他の光ファイバセクションと光ファイバコイルの他の端部との間に配置され、干渉計は、光ファイバコイルを通る電流によって誘導される位相差を測定するように適合される。
【0045】
光ファイバセットは、線形偏光保持光ファイバセクション及び円偏光保持光ファイバコイルを含み、光ファイバセクションは、光ファイバコイルの1つの端部に接続され、ミラーは、光ファイバコイルの第2の端部に配置され、干渉計は、光ファイバコイルを通る電流によって誘導される位相差を測定するように適合される。
【0046】
干渉計は、測定される数量を表す信号、変調器伝達関数信号及び/又は検出システム伝達関数信号の測定を制御するように適合されるフィードバックシステムを含む。
【0047】
当然のことながら、本発明の異なる特徴、代替形態及び実施形態は、互いに不適合ではない限り又は互いから排他的ではない限り、種々の組合せに従って互いに関連することができる。
【0048】
本開示の光ファイバ干渉計は、特に、従来の8状態変調により得られる測定値に影響する、位相変調器を制御する電気回路のRC時間定数によって誘導される誤差をなくすことにより、測定される数量、例えばサグナック位相シフトの測定精度を改善できるようにする。本開示の光ファイバ干渉計は、ハイ状態とロー状態との間の電力差ΔPを測定することにより、干渉計伝達関数を測定できるようにもする。
【0049】
更に、本発明の種々の他の特徴は、本発明の非限定的な実施形態を示す図面を参照して行われる添付の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【
図1】従来技術による光ファイバジャイロスコープに適用された光ファイバサグナックループ干渉計システムを概略的に示す。
【
図2】従来技術による、信号をバイアスする変調位相差ΔΦ
m(t)を生成する、光ファイバループ干渉計システムにおける位相変調器を示す。
【
図3】従来技術による4状態変調による、ここでは3つの変調周期にわたる位相変調器に適用される変調位相差ΔΦ
m(t)、干渉計応答曲線上の4つの変調状態の位置及び時間の関数としての検出電力P(t)の4つの測定値の一例を概略的に示す。
【
図4】従来技術による6状態変調による、ここでは1つの変調周期にわたる位相変調器に適用される変調位相差ΔΦ
m(t)、干渉計応答曲線上の6つの変調状態の位置及び時間の関数としての検出電力P(t)の6つの測定値の一例を概略的に示す。
【
図5】従来技術による8状態変調による、位相変調器に適用される変調位相差ΔΦ
m(t)、干渉計応答曲線上の8つの変調状態の位置及び時間の関数としての検出電力P(t)の8つの測定値の一例を概略的に示す。
【
図6】従来の8状態変調における位相変調チェーンのRC時間定数の存在時に適用される変調位相差、この8状態変調の従来の復調により得られるサグナック干渉計システムの回転がない場合の干渉計システム電力P(t)及び残留スプリアス信号へのRC時間定数の影響を概略的に示す。
【
図7】ΔΦ
m(t)の8つのレベル及び対応する検出電力P(t)の12の状態を用いた変調に基づく第1の実施形態を示す。
【
図8】ΔΦ
m(t)の8つのレベル及び対応する検出電力P(t)の12の状態を用いた変調に基づく第2の実施形態を示す。
【
図9】ΔΦ
m(t)の8つのレベル及び対応する検出電力P(t)の12の状態を用いた変調に基づく第3の実施形態を示す。
【
図10】第3の実施形態による変調及びサグナック信号が存在する場合に検出される電力P(t)の一例を概略的に示す。
【
図11】本開示による電流センサに適用される光ファイバループ干渉計システムを概略的に示す。
【
図12】本開示による電流センサに適用される光ファイバインライン干渉計システムを概略的に示す。
【
図13】本開示による電流センサに適用される別の光ファイバインライン干渉計システムを概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0051】
これらの図では、異なる変形形態に共通する構造要素及び/又は機能要素は、同じ参照符号により示され得ることに留意されたい。
【0052】
図1に関連して説明される位相変調干渉計システムでは、位相変調器16は、この位相変調器の電極間の負荷抵抗Rと、これらの電極の電気キャパシタンスCとにリンクされる、時間定数とも呼ばれるRC応答時間を有する制御電気回路により給電される。抵抗Rは、約50~500オームである。集積光回路(例えば、ニオブ酸リチウム)上の変調器の10mm長電極の電気キャパシタンスは、約3pFであり、すなわち20mm長のプッシュプル電極の対では約12pFのキャパシタンスCである。この場合、位相変調器RC時間定数の値は、約1~10nsと推定することができる。一般に、位相変調器制御回路のRC時間定数は、0.5ns~50nsである。特定の電気組立体を用いる場合、電極間に負荷抵抗がなく、この時間定数は、制御回路の増幅器の利得-帯域幅積により与えられることに留意することができる。
【0053】
本開示は、このRC時間定数が干渉計システムの性能に影響を及ぼし得ることを示し、位相変調器RC時間定数によって誘導される悪影響を低減又は相殺する異なる変調及び復調方式を提案する。
【0054】
図6は、位相変調器のRC電気応答時間の影響を見せる従来の8状態変調での事例を示す。
図6においてRC電気応答時間の影響をグラフで見せるために、高値のRCを選択した:RC=Δτ/12。
図6は、一方では位相差ΔΦ(左上の曲線)、他方では時間t(右上の曲線)の関数としての干渉計システム出力において検出された電力P(t)を概略的に示す。
図6は、時間の関数としての変調位相差ΔΦ
m(t)(左下の曲線)も示す。この変調位相差ΔΦ
m(t)と時間との関係の曲線では、この位相差が理想的な方形形状を辿らず、RC時間定数にリンクする遅延をもって各位相差レベルに達する指数曲線を辿ることを観測することができる。
【0055】
最後に、
図6は、右下において、サグナック干渉計の回転がない場合、8状態干渉計における従来の復調(数式7を参照されたい)を用いて信号位相差ΔΦ
sを測定するために復調された状態1及び3間、状態5及び7間、状態2及び4間並びに状態6及び8間の電力差の時間曲線を示す。
【0056】
実際に、デジタルプロセッサ10及びデジタル/アナログ変換器11が、2つのプラトーを切り替える方形変調制御信号Cm(t)を生成する場合、RC電気応答時間は、変調器に実際に印加される制御電圧Vm(t)及び変調器により生成される変調位相差ΔΦm(t)が所望レベルに瞬時に達しないことを生じさせる。より正確には、変調位相差ΔΦm(t)の各レベルは、先のレベルから始まり、このレベルで所望のレベルに漸近的に向かう傾向を有する(1-exp(-t/RC))での指数曲線を辿る。電力Pと時間との関係の曲線では、そこから、理論的に同じ電力レベルに対応するが、異なる先のレベルから開始する測定干渉計信号の2つの状態は、同じ履歴を有さないため、実際には同一でないことが生じる。8状態変調では、測定される数量に関連する信号の従来の復調は、状態1及び3の対、状態5及び7の対、状態2及び4の対並びに状態6及び8の対の測定電力間の差に基づく(数式7を参照されたい)。特に、状態1(モジュロT)に先行する状態8は、状態3に先行する状態2よりも低い状態であり、したがって、状態1及び3は、同じ履歴を有さないため、完全には同一でなく、復調で計算されるそれらの差は、回転がない場合、したがってΔΦs=0の場合、完全にはゼロではない。同様に、状態5に先行する状態4は、状態7に先行する状態6よりも高いレベルの状態であり、したがって、状態5及び7は、同一でもなく、同じ履歴も有さない。ここで、干渉計で測定されるパラメータがゼロである場合、測定される数量の信号の復調が事実上ゼロを与え、欠陥をもたらさず、特に回転がない場合、サグナック干渉計に欠陥をもたらさないことが基本である。
【0057】
図6の右下の曲線では、測定される数量の復調で計算された電力差は、特に、状態1及び3間並びに状態5及び7間の差でヌルではないことが観測される。したがって、従来技術のそのような干渉計システムは、欠陥をもたらす。これらの欠陥の桁は、約10
-8~10
-9ラジアンのゼロ安定性が望まれるのに反して、約10
-4~10
-5ラジアンのスプリアス位相差に対応し得る。
【0058】
本開示は、変調周期毎に少なくとも8つのレベル及び復調周期毎に12の状態を生成する、干渉計システムにおける位相変調器制御回路のRC時間定数によって誘導される欠陥を軽減又は相殺するように適合された異なる変調及び復調技法を提案する。
【0059】
図7は、8レベル及び12状態の変調に基づく第1の実施形態を示す。
【0060】
本明細書の以降において、レベル(又は変調レベル)は、各変調ステップでの変調位相差ΔΦmの異なる値の漸近値を意味する。変調状態は、各変調周期にわたり互いの後に続く変調レベルに対応する異なる測定電力P値を意味する。幾つかの状態は、変調周期にわたり同じ変調レベルを使用することができる。
【0061】
図7に関連する第1の実施形態では、変調電圧は、2Δτに等しい変調周期Tにわたり8つのレベルに従って印加される。より正確には、3つの方形変調の和からなる方形変調制御信号C
m(t)が適用される。第1の方形変調は、±πに等しい第1の位相差ΔΦ
π(t)を誘導するように適合される。第1の位相差ΔΦ
π(t)は、固有周波数f
pにおいて周期性を有する。第2の方形変調は、±アルファに等しい第2の位相差ΔΦ
アルファ(t)を誘導するように適合される。第2の位相差ΔΦ
アルファ(t)は、固有周波数f
pの奇数倍数(2N+1)において周期性を有し、固有周波数f
pの奇数倍数(2N+1)に等しい変調周波数を有し、ここで、Nは、1以上の自然整数である。第2の位相差ΔΦ
アルファ(t)は、第1の位相差ΔΦ
π(t)と同期される。第3の方形変調は、±ベータに等しい第3の位相差ΔΦ
ベータ(t)を誘導するように適合される。第3の位相差ΔΦ
ベータ(t)は、固有周波数f
pの同じ奇数倍数(2N+1)において周期性を有し、固有周波数f
pの同じ奇数倍数(2N+1)に等しい変調周波数を有する。第3の位相差ΔΦ
ベータ(t)は、第2の位相差ΔΦ
アルファ(t)と直交位相であり、換言すれば、2N+1=3の場合、第2の位相差ΔΦ
アルファ(t)からT/12だけ遅延する。一般的な場合、これは、T/(4(2N+1))の遅延である。この変調から生じる変調位相差ΔΦ
m(t)は、以下の式による第1の周期性位相差ΔΦ
π(t)、第2の位相差ΔΦ
アルファ(t)及び第3の位相差ΔΦ
ベータ(t)の和に等しい。
[数式10]
ΔΦ
m(t)=ΔΦ
π(t)+ΔΦ
アルファ(t)+ΔΦ
ベータ(t)
【0062】
図7に示される例では、数Nは、1に等しく、第2の位相差ΔΦ
アルファ(t)及び第3の位相差ΔΦ
ベータ(t)の周波数は、3f
pに等しく、以下の値がアルファ及びベータに選択される:アルファ=3π/8及びベータ=3π/128。Δτは、1kmで約5μsであることを知りつつ、周期Tは、2Δτに等しい。RC定数は、
図7をより理解しやくするために、現実よりも誇張されている。RCは、本明細書ではΔτの約1/20に等しい。
【0063】
図7のΔΦ
m(t)曲線では、f
pにおいて変調される第1の位相差ΔΦ
π(t)と、3f
pにおいて変調される第2の位相差ΔΦ
アルファ(t)との和から生じる6状態/4レベルによる変調は、点線で示される。第2の位相差ΔΦ
アルファ(t)と直交位相である3f
pにおいて2レベルで変調される第3の位相差ΔΦ
ベータ(t)は、破線で示される。最後に、点線変調と破線変調との和から生じる変調位相差ΔΦ
m(t)又は総変調は、連続線で示される。変調位相差ΔΦ
m(t)は、周期T=2Δτ毎に8つのレベルを有する。しかしながら、この8レベル変調は、従来技術の8レベル変調(例えば、
図5及び
図6に示される)と異なる。RC時間定数の影響は、変調位相差ΔΦ
m(t)曲線上で観測される。変調位相差の各レベルは、先のレベルから開始される(1-exp(-t/RC))での指数曲線を辿る。
【0064】
各周期Tにおいて、位相差ΔΦm(t)のこの変調は、以下の8つの変調レベルを生成する:ΔΦm(t)=±π±アルファ±ベータ。これらの8つの変調レベルは、電力と位相差との関係の曲線上でa+、a-、b+、b-、c+、c-、d+及びd-と記された点に対応する。
【0065】
図7では、a
+は、変調レベルΔΦ
a+=π+アルファ+ベータに対応し、
a
-は、変調レベルΔΦ
a-=π+アルファ-ベータに対応し、
b
+は、変調レベルΔΦ
b+=π-アルファ+ベータに対応し、
b
-は、変調レベルΔΦ
b-=π-アルファ-ベータに対応し、
c
+は、変調レベルΔΦ
c+=-π+アルファ+ベータに対応し、
c
-は、変調レベルΔΦ
c-=-π+アルファ-ベータに対応し、
d
+は、変調レベルΔΦ
d+=-π-アルファ+ベータに対応し、
d
-は、変調レベルΔΦ
d-=-π-アルファ-ベータに対応する。
【0066】
出力電力Pと時間との関係の曲線では、変調位相差ΔΦm(t)の8つのレベルは、以下の順:b-、b+、a+、a-、b-、b+、c+、c-、d-、d+、c+、c-に変調周期T毎に一連の12の状態で互いに続く。
【0067】
干渉ビームを受け取った検出器は、変調周期T毎に、12の状態i=1、...、12に対応する12の電力測定値Piを取得する。換言すれば、検出器は、周波数12fpで電力信号Pをサンプリングする。より一般的には、(2N+1).fpにおける第2の位相差ΔΦアルファ(t)及び第3の位相差ΔΦベータ(t)の変調の場合、サンプリングは、4.(2N+1).fpで行われる。電力と時間との関係の曲線では、検出電力測定値に対する位相変調器制御回路のRC時間定数の影響が明確に観測される。各電力測定値Piの値は、2つの連続する漸近電力値間の差に依存する指数曲線に従ってプラトーに達する。
【0068】
サーチされる信号に従い、特定の復調が適用される。より正確には、測定される数量の信号、例えばサグナック信号を抽出するために、12の取得された状態の復調が使用される。2Δτに等しい変調周期Tにわたり、符号は、以下の順:--++--++--++に12の電力測定値Piに適用される。換言すれば、電力測定値Piは、±π変調及び±ベータ変調の符号から独立して、-アルファに対応するレベルについて-1で乗算され、且つ+アルファに対応するレベルについて+1で乗算される。したがって、12の状態で変調された、測定される数量の符号の復調は、第1の実施形態では、以下のように表される。
[数式11]
SS=-P1-P2+P3+P4-P5-P6+P7+P8-P9-P10+P11+P12
【0069】
電力と時間との関係の曲線では、8レベル及び12状態変調は、符号+を有する各復調状態で、同一の状態、すなわち符号-で復調された同じ履歴を有する状態を有することが観測される。したがって、レベルb
-に対応する状態1は、レベルc
+に対応する状態7と同一であり;レベルb
+に対応する状態2は、レベルc
-に対応する状態8と同一であり;レベルa
+に対応する状態3は、レベルd
-に対応する状態9と同一であり;レベルa
-に対応する状態4は、レベルd
+に対応する状態10と同一であり;レベルb
-に対応する状態5は、レベルc
+に対応する状態11と同一であり;レベルb
+に対応する状態6は、レベルc
-に対応する状態12と同一である。換言すれば、測定される数量をそこから抽出するために復調される+又は-の第1の半周期T/2の各状態は、次の半周期における逆符号で復調された同じ履歴の状態に対応する。第1の実施形態の8レベル及び12状態変調に従って変調された位相差ΔΦ
m(t)は、ここでは0~2Δτの変調周期Tの任意の時間tにおいて、以下の式を立証することが観測される。
[数式12]
【数5】
【0070】
そこから結果として測定される数量の信号、例えばサグナック信号を抽出するための上述した8レベル及び12状態に従って変調された信号の復調は、従来の8レベル及び8状態変調に従って変調された信号の復調とは対照的に、RC時間定数によって誘導される欠陥を有さない。
【0071】
第1の実施形態では、V
πで示される位相変調器伝達関数の復調は、±ベータ変調符号から独立して、変調周期Tにわたり取得されたi=1、...、12の電力測定値P
iを、±π変調の+又は-符号と、±アルファ変調の+符号又は-符号との積の符号で乗算するか、又は+で乗算される状態数及び-で乗算される状態数を同数のみ保持するようにゼロで乗算することによって取得される。第1の実施形態では、V
πで示される位相変調器伝達関数の復調は、以下のように表される。
[数式13]
【数6】
【0072】
第1の実施形態では、ΔPで示される検出システム伝達関数又は開ループ応答の復調は、±π変調符号から独立して、変調周期Tにわたり取得されたi=1、...、12の12の電力測定値P
iを、±πアルファ変調の+符号又は-符号と、±ベータ変調の+符号又は-符号との積の符号で乗算することにより、周波数6f
pで実行される。
図7に示される例では、ΔPを抽出するために、サンプリングは、12f
pで行われる。(+アルファ+ベータ)変調に対応するa
+及びc
+におけるハイレベル並びに(-アルファ-ベータ)変調に対応するb
-及びd
-におけるハイレベルは、+1で乗算することにより復調される一方、(+アルファ-ベータ)変調に対応するa
-及びc
-におけるローレベル並びに(-アルファ+ベータ)変調に対応するb
+及びd
+におけるローレベルは、-1で乗算することにより復調される。より正確には、検出システム伝達関数の復調、したがって12状態で変調されたハイ状態とロー状態との間の電力差ΔPは、第1の実施形態では、以下のように表される。
[数式14]
S
ΔP=+P
1-P
2+P
3-P
4+P
5-P
6+P
7-P
8+P
9-P
10+P
11-P
12
【0073】
周期T毎に8変調レベル及び12状態を誘導するfpにおける±π変調、3fpにおける±アルファ変調及び3fpにおける±ベータ変調に基づく第1の実施形態は、適宜復調により、測定される数量の信号である信号Vπ及び開ループ応答信号ΔPを抽出できるようにし、測定される数量の信号は、位相変調器制御回路のRC時間定数によって誘導される欠陥について補正される。この変調及び復調方式は、干渉計システムの構造を変えずに干渉計システムの性能を改善できるようにするとともに、既存の干渉計システムのアップグレードを可能にする。
【0074】
ここで、第2の実施形態について
図8に関連して説明する。第1の実施形態と同様に、第2の実施形態も、2Δτに等しい変調周期T毎に少なくとも8つの変調レベル及び12の状態を用いる変調に基づく。
【0075】
変調はまた、変調周期T毎に8つのレベルに従って適用される。ここでも、制御信号Cm(t)は、3つの方形変調の和からなる。この第2の実施形態では、第1の方形変調は、±πに等しいレベルの第1の位相差ΔΦπ(t)を誘導する。第1の位相差は、固有周波数fpの奇数倍数(2N+1)において周期性を有し、固有周波数fpの奇数倍数(2N+1)に等しい変調周波数を有し、ここで、Nは、1以上の自然整数である。第2の方形変調電圧は、±アルファに等しいレベルの第2の位相差ΔΦアルファ(t)を誘導するように適合される。第2の位相差ΔΦアルファ(t)は、固有周波数fpの同じ奇数倍数(2N+1)において周期性を有し、固有周波数fpの同じ奇数倍数(2N+1)に等しい変調周波数を有し、ここで、Nは、1以上の自然整数である。第2の位相差ΔΦアルファ(t)は、第1の位相差ΔΦπ(t)と直交位相である。第3の方形変調電圧は、±ベータに等しいレベルの第3の位相差ΔΦベータ(t)を誘導するように適合される。第3の位相差ΔΦベータ(t)は、第1の位相差ΔΦπ(t)と同期されたfpにおいて周期性を有し、第1の位相差ΔΦπ(t)と同期されたfpに等しい変調周波数を有する。
【0076】
図8に示される例では、第1の位相差ΔΦ
π(t)及び第2の位相差ΔΦ
アルファ(t)は、周波数3f
pにあり、以下の値がアルファ及びベータに選択される:アルファ=3π/8及びベータ=3π/128並びにRC=Δτ/20。
【0077】
図8のΔΦ
m(t)曲線では、3f
pにおいて変調される第1の周期性位相差ΔΦ
π(t)と、ΔΦ
π(t)と直交する3f
pにおいて変調される第2の位相差ΔΦ
アルファ(t)との和から生じる4状態変調は、点線で示される。周波数f
pにおいて2レベルで変調される第3の位相差ΔΦ
ベータ(t)は、破線で示される。最後に、点線変調と破線変調との和から生じる変調位相差ΔΦ
m(t)又は総変調は、連続線で示される。変調位相差ΔΦ
m(t)も8つのレベルを有する。RC時間定数の影響は、変調位相差ΔΦ
m(t)曲線において観測される。変調位相差の各レベルは、先のレベルから開始される(1-exp(-t/RC))での指数曲線を辿る。
【0078】
第1の実施形態と同様に、変調位相差ΔΦm(t)は、8つのレベルを含み、8レベルで変調されるこの位相差ΔΦm(t)は、先に触れた位相差ΔΦa+~ΔΦd-に対応する以下の順:b+a+c-d-b-a-c-d-b+a+c+d+に時間の関数として出力電力曲線で12の変調状態を生成する。
【0079】
検出器は、12の状態i=1、...、12に対応する、変調周期T毎の12の電力測定値Piを取得する。電力と時間との関係の曲線では、検出電力測定値に対する位相変調器RC時間定数の影響がここでも明確に観測される。
【0080】
第2の実施形態では、測定される数量の信号、例えばサグナック信号の復調は、i=1、...、12である変調周期にわたる電力測定値Piが、±π及び±ベータ変調符号から独立して、-アルファに対応するレベルについて-1で乗算され、且つ+アルファに対応するレベルについて+1で乗算される限り、第1の実施形態と同様である。この復調方式は、第2の実施形態では、以下の式により表される。
[数式15]
SS=-P1+P2+P3-P4-P5+P6+P7-P8-P9+P10+P11-P12
【0081】
したがって、+又は-で復調される最初の半周期T/2の各状態に、逆方向、すなわち-又は+で復調された次の半周期での同じ履歴の状態が対応する。1-7対、2-8対、3-9対、4-10対、5-11対及び6-12対は、位相変調器RCによって誘導される影響を相殺できるようにする。実際に、第2の実施形態では、
図8において、8レベル及び12状態変調により変調された位相差ΔΦ
m(t)は、ここでは0~2Δτの変調周期の任意の時間tにおいて、数式12を立証することが観測される。
【0082】
同様に、Vπ復調と示される位相変調器伝達関数の復調は、±ベータ変調の符号から独立して、変調周期Tにわたり取得されたi=1、...、12の12の電力測定値Piを、±π変調の+符号又は-符号と、±アルファ変調の+符号又は-符号との積の符号で乗算することにより行われる。
【0083】
したがって、12の状態でのV
π復調と示される位相変調器伝達関数の復調は、第2の実施形態では、以下の式により表される。
[数式16]
【数7】
【0084】
最後に、ΔP復調と示される検出システム伝達関数の復調は、±π変調符号から独立して、変調周期Tにわたり取得されたi=1、...、12の12の電力測定値Piを、±アルファ変調の+符号又は-符号と、±ベータ変調の+符号又は-符号との積の符号で乗算することにより行われる。
【0085】
したがって、12状態でのΔPで示される検出システム伝達関数の復調は、第2の実施形態では、以下のように表される。
[数式17]
SΔP=-P1+P2-P3+P4+P5-P6-P7+P8-P9+P10+P11-P12
【0086】
第2の実施形態でも、測定される数量の信号は、位相変調器RC時間定数によって誘導される欠陥について補正される。
【0087】
ここで、第3の実施形態について
図9に関連して説明する。第3の実施形態は、変調周期T毎に12の状態及び8つのレベルを用いる変調に基づく。
【0088】
制御信号C
m(t)はまた、3つの方形変調の和からなる。第3の実施形態では、第1の方形変調は、±πに等しいレベルの第1の位相差ΔΦ
π(t)を誘導する。第1の位相差は、固有周波数f
pにおいて周期性を有し、固有周波数f
pに等しい変調周波数を有する。第2の方形変調は、±アルファに等しいレベルの第2の位相差ΔΦ
アルファ(t)を誘導するように適合される。第2の位相差ΔΦ
アルファ(t)は、第1の位相差ΔΦ
π(t)と直交する固有周波数f
pにおいて周期性を有し、固有周波数f
pに等しい変調周波数を有する。換言すれば、第1の位相差と第2の位相差ΔΦ
アルファ(t)との和は、4状態変調をもたらす(
図9における変調位相差と時間との関係の曲線上の点線)。第3の方形変調は、±ベータ/2に等しいレベルの位相シフトΦ
ベータ(t)を誘導するように適合される。この変調Φ
ベータ(t)は、固有周波数の奇数分数調波f
p/(2N+1)において周期性を有し、固有周波数の奇数分数調波f
p/(2N+1)に等しい変調周波数を有し、ここで、Nは、1以上の自然整数である。この場合、変調周期は、2.(2N+1).Δτに等しい。第3の変調Φ
ベータ(t)は、第1の位相差ΔΦ
m(t)又は第2の位相差ΔΦ
アルファ(t)と同期される。位相シフトの第3の変調Φ
ベータ(t)は、以下の順:+ベータ、0、0、-ベータ、0、0にΔτ毎に切り替わる6レベルの位相差ΔΦ
ベータ(t)=Φ
ベータ(t)-Φ
ベータ(t-Δτ)を誘導する(
図9の変調位相差と時間との関係の曲線上の破線で示される)。
【0089】
図9に示される例では、位相シフトΦ
ベータ(t)の変調周波数は、f
p/3に等しく、変調周期Tは、6Δτに等しい。
図9に示される例では、以下の値がアルファ及びベータに選択される:アルファ=3π/8及びベータ=5π/128。RC値は、
図9をより理解しやくするために、現実よりも誇張されており、本明細書ではΔτ/10に等しい。
【0090】
点線変調と破線変調との和から生じる変調位相差ΔΦ
m(t)又は総変調は、(2N+1).2Δτに等しい変調周期Tを有する。
図9に示される例では、変調位相差ΔΦ
m(t)は、変調周期T毎に8つのレベルを誘導する。これらの8つの変調レベルは、変調周期Tに従って出現順:b
+a
+cdbac
-d
-bacdにΔτ/2毎に切り替わる一連の12の状態を電力測定曲線上にもたらす。
【0091】
図9では、a+は、変調レベルΔΦ
a+=π+アルファ+ベータに対応し;aは、変調レベルΔΦ
a=π+アルファに対応し;b
+は、変調レベルΔΦ
b+=π-アルファ+ベータに対応し;bは、変調レベルΔΦ
b=π-アルファに対応し;cは、変調レベルΔΦ
c=-π+アルファに対応し;c
-は、変調レベルΔΦ
c-=-π+アルファ-ベータに対応し;dは、変調レベルΔΦ
d=-π-アルファに対応し;d
-は、変調レベルΔΦ
d-=-π-アルファ-ベータに対応する。
【0092】
図9の出力電力Pと位相差ΔΦとの関係の曲線では、変調位相差ΔΦ
m(t)のレベルは、変調周期毎に12の変調状態を生成する。
図9では、第3の実施形態の8レベル及び12状態変調により変調された位相差ΔΦ
m(t)は、ここでは6Δτに等しい変調周期Tの任意の時間tにおいて、数式12を立証することが観測される。
【0093】
第1及び第2の実施形態と同様に、測定される数量の信号、例えばサグナック信号の復調中、+又は-で、測定される数量をそこから抽出するために復調された最初の半周期T/2の各状態に、次の半周期において逆の符号を用いて復調された同じ履歴の状態が対応する。この復調方式は、第3の実施形態では、以下の式により表される。
[数式18]
SS=-P1+P2+P3-P4-P5+P6+P7-P8-P9+P10+P11-P12
【0094】
Vπで示される位相変調器伝達関数の復調は、±ベータ変調符号から独立して、変調周期Tにわたり取得されたi=1、...、12の電力測定値Piを、±π変調の+又は-符号と、±アルファ変調の+符号又は-符号との積の符号で乗算することにより取得される。
【0095】
したがって、第3の実施形態における12状態で変調された位相変調器伝達関数Vπの復調は、第2の実施形態と同じ式(数式16)に従って表される。
【0096】
最後に、ΔPと示される検出システム伝達関数の復調は、±π変調符号から独立して、変調周期T=6Δτにわたり取得されたi=1、...、12の12の電力測定値Piを、ベータがゼロではない場合、±アルファ変調の+符号又は-符号と、±ベータ変調の+符号又は-符号との積の符号で乗算することにより、又はベータがゼロの場合、0で乗算することにより行われる。特に、ベータは、状態a、b、c及びdの場合、ゼロである。
【0097】
したがって、12状態での検出システム伝達関数の復調ΔPは、第3の実施形態では、以下のように表される。
[数式19]
SΔP=-P1+P2-P7+P8
【0098】
第3の実施形態でも、測定される数量の信号は、位相変調器RC時間定数によって誘導される欠陥について補正される。
【0099】
図10は、測定される数量の信号が存在する場合の第3の実施形態の一例を示す。
図10に示される例では、以下の値がアルファ及びベータに選択される:アルファ=3π/8及びベータ=3π/128。RCはΔτ/12に等しい。ここでは、測定される数量によって誘導される位相差は、ΔΦ
s=3π/32に等しい。ΔΦ
sの測定値は、位相変調器RC時間定数によって誘導される欠陥について補正される。したがって、測定値は、よりよい安定性を有する。
【0100】
有利には、上述した実施形態の何れか1つによる8レベル及び12状態変調は、測定されるパラメータの信号(例えば、サグナック信号)の制御、信号Vπの調整及び/又は開ループ応答(又は信号ΔP)の調整に使用される。
【0101】
まとめると、以下の表は、上述した3つの実施形態の実証ルールを示す。
【0102】
[表1]
【0103】
【0104】
本発明は、例えば、
図1に示されるような光ファイバコイルの軸の周りの回転率を測定する光ファイバサグナックループ干渉計システムに適用される。光ファイバサグナックループ干渉計システムでは、第1のシングルモード波101及び第2のシングルモード波102は、線形偏光され、光ファイバコイル17は、線形偏光保持型のものである。信号処理システム900は、上述した実施形態の何れか1つにより、位相差の少なくとも8状態及び12レベル変調を生成するように、変調電圧60を光位相変調器16の電極に印加する。信号処理システム900は、検出された信号80に、選択された変調に応じて適した復調を適用する。
【0105】
本発明は、電磁場センサ又は電流センサとして適用される光ファイバループ又はインライン干渉計にも適用される。
【0106】
非限定的な例として、
図11は、電流センサとしての適用が意図される光ファイバループ干渉計を示す。同じ参照符号は、
図1と同じ要素と示す。この用途では、光ファイバセットは、光ファイバセクション71、光ファイバコイル73及び直列に配置された別の光ファイバセクション72を含む。光ファイバ73は、軸に巻かれる。光ファイバ73は、好ましくは、円偏光保持型のものである。光ファイバセクション71は、好ましくは、線形偏光保持型のものである。他の光ファイバセクション72も、好ましくは、線形偏光保持型のものである。導電体120は、光ファイバコイル73の軸に沿って配置される。光ファイバコイル73を通して流れる電流は、Iと示される。光集積回路14は、
図1に関連して説明したものと同様である。光集積回路14の出力において、第1のシングルモード波101及び第2のシングルモード波102は、同じ偏光状態に従って線形偏光される。第1のシングルモード波101は、光ファイバセクション71において伝播する。第2のシングルモード波102は、他の光ファイバセクション72において伝播する。四分の一波長板32は、第1の線形偏光シングルモード波101を受け取り、例えば右円偏光を有する第1の円偏光シングルモード波111を光ファイバコイル73の1つの端部に送る。別の四分の一波長板33は、第2の線形偏光シングルモード波102を受け取り、ここでも例えば右円偏光を有する第2の円偏光シングルモード波112を光ファイバコイル73の他の端部に送る。第1の右円シングルモード波111及び第2の右円シングルモード波112は、光ファイバコイル73を逆方向に伝播する。光ファイバコイル73の出力において、四分の一波長板32、33は、円偏光波を、互いに再結合されて干渉ビーム300を形成する線形偏光波に変換する。信号処理システム900は、少なくとも8状態及び12レベル変復調方式の何れか1つを適用して、位相変調器RC時間定数について補正された電流測定値を抽出する。この場合、位相変調ΔΦ
m(t)に考慮すべき伝播時間差Δτは、光ファイバ73並びにファイバセクション71及び72における伝播時間である。
【0107】
他の非限定的な例として、
図12は、電流センサとしての適用が意図される光ファイバインライン干渉計を示す。この例では、偏光器24は、ソースビーム100を線形偏光する。光集積回路34は、例えば、ニオブ酸リチウム基板へのチタンの拡散により形成される導波路のみを含む。位相変調器16の電極は、導波路の両側に沿って堆積する。光集積回路34の導波路は、複屈折である。偏光器24の光軸は、好ましくは、光集積回路34の入出力25における光集積回路34の導波路の複屈折軸に対して45°傾斜する。すなわち、偏光器24及び光集積回路34は、偏光に際してソースビーム100を分割し、線形偏光状態に従って偏光される第1のシングルモード波101及び直交線形偏光状態に従って偏光される第2のシングルモード波102を生成する。光集積回路34の導波路は、2つの偏光をガイドする。位相変調器16は、偏光に従って異なる効率を有し、実際に2つの波動の位相シフトの変調差を生成し、ループ構成と同じ位相変調を可能にする。この差動変調器について、複屈折変調に関して述べられることが多い。この実施形態では、光ファイバセットは、直列に配置される光ファイバセクション74及び光ファイバコイル73を含む。光ファイバ73は、軸に巻かれる。光ファイバ73は、好ましくは、円偏光保持型のものである。光ファイバセクション74は、好ましくは、線形偏光保持型のものである。第1のシングルモード波101及び第2のシングルモード波102は、光ファイバセクション74において伝播する。四分の一波長板42は、第1の線形偏光シングルモード波101を受け取り、例えば右円偏光を有する第1の円偏光シングルモード波111を光ファイバコイル73の1つの端部に送る。四分の一波長板42は、別の直交線形偏光状態に従って偏光された第2の線形偏光シングルモード波102を受け取り、例えば左円偏光を有する第2の円偏光シングルモード波112を光ファイバコイル73の同じ端部に送る。ミラー26は、光ファイバコイル73の他の端部に配置される。光ファイバコイル73を最初に通過した後、直交円偏光の2つのシングルモード波111、112は、ミラー26で反射される。ミラーで反射されると、偏光状態は、反転する。2つのシングルモード波は、偏光を反転させた状態での光ファイバコイル73の逆方向での第2の通過を行う。四分の一波長板42は、直交円偏光の2つのシングルモード波を受け取り、それらを2つの直交線形偏光波に変換する。光集積回路34及び偏光器24は、これらの2つの波動を再結合し、干渉ビーム300を形成する。信号処理システム900は、少なくとも8状態及び12レベル変復調方式の何れか1つを適用して、位相変調器RC時間定数について補正された電流測定値を抽出する。この場合、位相変調ΔΦ
m(t)に考慮すべき伝播時間差Δτは、光ファイバセクション74及び光ファイバコイル73における往復伝播時間である。
【0108】
図13は、電流センサとしての適用が意図される光ファイバインライン干渉計の別の例を示す。この例では、光集積回路14は、
図1及び
図11に関連して説明したものと同様の偏光導波路24及びY接合型スプリッタ15を含む。光ファイバセットは、ここでは、光ファイバセクション71、別の光ファイバセクション72、光ファイバセクション74及び光ファイバコイル73を含む。光ファイバ73は、軸に巻かれる。光ファイバ73は、好ましくは、円偏光保持型のものである。光ファイバセクション71、72及び74は、好ましくは、線形偏光保持型のものである。導波路24は、ソースビーム100を線形偏光する。スプリッタ15は、同じ線形偏光状態に従い、線形偏光されたソースビーム100を第1の線形偏光シングルモード波101及び第2の線形偏光シングルモード波102に分割する。第1のシングルモード波101は、光ファイバセクション71において伝播する。第2のシングルモード波102は、他の光ファイバセクション72において伝播する。他の光ファイバセクション72は、第2のシングルモード波102の線形偏光から90°回転するように向けられ、したがって、第2のシングルモード波102は、第1のシングルモード波101への直交偏光を用いて線形偏光された第2のシングルモード波122になる。偏光結合器-スプリッタ27は、光ファイバセクション74を伝播する直交線形偏光の第1のシングルモード波101及び第2のシングルモード波122を再結合する。四分の一波長板42は、直交線形偏光を直交円偏光111、112に変換する。
図12に関連して説明した実施形態と同様に、ミラー26は、2つのシングルモード波111、112を反射し、それらの偏光を反転させる。すなわち、2つのシングルモード波は、偏光状態を反転させた状態で光ファイバセットを通る。信号処理システム900は、少なくとも8状態及び12レベル変復調方式の何れか1つを適用して、位相変調器RC時間定数について補正された電流測定値を抽出する。この場合、位相変調ΔΦ
m(t)に考慮すべき伝播時間差Δτは、光ファイバセクション71及び72における伝播時間並びに光ファイバセクション74及び光ファイバ73における往復伝播時間である。
【0109】
当然のことながら、添付の特許請求の範囲内で種々の他の変更を本発明に行うことが可能である。