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特許7451562アルコキシル化フェノールを有するフレッシュニング組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-08
(45)【発行日】2024-03-18
(54)【発明の名称】アルコキシル化フェノールを有するフレッシュニング組成物
(51)【国際特許分類】
   D06M 13/17 20060101AFI20240311BHJP
   A61L 9/01 20060101ALI20240311BHJP
   C11B 9/00 20060101ALI20240311BHJP
   C11D 3/20 20060101ALI20240311BHJP
   C11D 3/22 20060101ALI20240311BHJP
   C11D 3/37 20060101ALI20240311BHJP
   C11D 3/43 20060101ALI20240311BHJP
   C11D 3/50 20060101ALI20240311BHJP
【FI】
D06M13/17
A61L9/01 Q
A61L9/01 V
C11B9/00 Z
C11D3/20
C11D3/22
C11D3/37
C11D3/43
C11D3/50
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021563222
(86)(22)【出願日】2020-05-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-28
(86)【国際出願番号】 US2020070034
(87)【国際公開番号】W WO2020232465
(87)【国際公開日】2020-11-19
【審査請求日】2021-10-25
(31)【優先権主張番号】62/845,894
(32)【優先日】2019-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100209495
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 さおり
(72)【発明者】
【氏名】ムイ、マイケル・デイヴィッド・オーヤング
(72)【発明者】
【氏名】コット、ケヴィン・リー
(72)【発明者】
【氏名】リンカー、ジェニファー・リー
(72)【発明者】
【氏名】ルイ、ボニー・ケイ
(72)【発明者】
【氏名】ミラクル、グレゴリー・スコット
(72)【発明者】
【氏名】ナラシムハン、カルナカラン
(72)【発明者】
【氏名】モーガン、ジョージ・ケイヴィン・ザ・サード
(72)【発明者】
【氏名】ブログデン、デイヴィッド・ウェスリー
(72)【発明者】
【氏名】アリソン、ジェニファー・ベス
(72)【発明者】
【氏名】キーナン、アンドレア・シー
(72)【発明者】
【氏名】ミラー、ダニエル・エス
(72)【発明者】
【氏名】タイサック、セオドア
(72)【発明者】
【氏名】シル、レイモンド
【審査官】大▲わき▼ 弘子
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-510567(JP,A)
【文献】国際公開第2014/043075(WO,A1)
【文献】特表2015-509122(JP,A)
【文献】特開平10-245782(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06M13/00-15/715、
A61L9/00-9/22、
C11D1/00-19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレッシュニング組成物であって、
a)前記フレッシュニング組成物の少なくとも85重量%の水と、
b)前記フレッシュニング組成物の0.001重量%~3重量%の香料であって、前記香料の60重量%~100重量%の、1.0超のClogPを有する香料原材料を含む、香料と、
c)前記フレッシュニング組成物の少なくとも0.0015重量%のアルコキシル化フェノールと、
を含み、前記アルコキシル化フェノールが、式(I):
【化1】
(式中、aは、3~15から選択される値であり、bは、0~12から選択される値であり、
a+bの値(アルコキシル化度)は、3~15である)
による、組成物。
【請求項2】
前記アルコキシル化フェノールが、エトキシル化フェノール、エトキシル化プロポキシル化フェノール、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記エトキシル化フェノールが、式(II):
【化2】
(式中、cの平均値(エトキシル化度)は、3≦c≦15である)
による、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記アルコキシル化フェノールが、前記フレッシュニング組成物の少なくとも0.0015重量%の量である、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記水が、前記フレッシュニング組成物の85重量%~99.5重量%の量である、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記フレッシュニング組成物の3.5重量%未満の界面活性剤を更に含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記フレッシュニング組成物の10重量%未満の溶媒を更に含み、前記溶媒が、アルコール、ポリオール、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記溶媒がエタノールであり、前記エタノールが、前記フレッシュニング組成物の10重量%未満の量であり、エタノールとアルコキシル化フェノールとの組み合わせが溶媒系を規定する、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物が、実質的に前記溶媒を含まない、請求項7に記載の組成物。
【請求項10】
悪臭中和剤を更に含み、前記悪臭中和剤が、ポリオール、シクロデキストリン及びその誘導体、アミン官能性ポリマー、アルデヒド、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記香料が、前記フレッシュニング組成物の0.002重量%~3重量%の量である、請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記1超のClogPを有する香料原材料が、ジヒドロミルセノール、イソノイルアルコール、シトロネロール、テトラヒドロリナロール、テピニルアセテート、ゲラニルアセテート、フェニルエチルフェニルアセテート、リリアール(P.T.ブシナール)、ベルテネックス、ジフェニルメタン、p’シメン、αピネン、サリチル酸ベンジル、d-リモネン、シス-ヘキセニルサリチレート、ヘキシル桂皮アルデヒド、酢酸セドリル、ハバノリド、エチルトリメチルシクロペンテンブタノール、サリチル酸ヘキシル、イソeスーパー、エチルバニリン、ヘリオナール、ウンデカラクトン、イオノンγメチル、ヒドロキシシトロネラール、シクロガルバナート、ピラノール、ベルドックス、酢酸リナリル、酢酸ベンジル、メチルフェニルカルビニルアセテート、トリプラール、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記cの平均値(前記エトキシル化度)が5~7であり、前記香料の80~100重量%が、2.0超のClogPを有する香料原材料である、請求項3に記載の組成物。
【請求項14】
前記エトキシル化フェノールと前記香料との総重量比が、0.01:1~9,000:1である、請求項2又は3に記載の組成物。
【請求項15】
前記フレッシュニング組成物が硫黄含有プロ香料を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレッシュさの効果を提供するための、水性担体中にアルコキシル化フェノール及び香料原材料(PRM)を有するフレッシュニング組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
布地若しくは空気をフレッシュニングするための、又は布地上及び/若しくは空気中の悪臭を低減/排除するためのフレッシュニング製品が現在入手可能である。これら製品は、典型的には、香料原材料(PRM)、溶媒、界面活性剤、及び高濃度の水を含むフレッシュニング組成物を含有する。フレッシュニング製品において多種多様な香りの選択肢を有することにより、消費者が自分好みのものを見つけることが可能になる。
【0003】
しかしながら、PRMは疎水性の性質を有することから、界面活性剤及び/又は溶媒を使用して、PRM、特に高濃度の水を含む所与の処方を可溶化し、乳化する。しかしながら、溶媒及び比較的高濃度の界面活性剤は、特に疎水性PRMを乳化するのには役立つが、いくつかの課題のうちの少なくとも1つを提起する場合がある。
【0004】
例えば、たとえ界面活性剤を使用するとしても、濃度は最小限にすべきであり、そうしなければ、界面活性剤によって、布地若しくは表面が自然光の下で黄色若しくは茶色になる、及び/又は布地若しくは表面が汚れやすくなる、及び/又は布地若しくは表面がどのように感じるかについての消費者の認知が変化する場合がある。溶媒の選択及び濃度は考慮すべきであるが、それは、広範なPRMを可溶化する能力が限られており、環境上の懸念があり、香りに悪影響を及ぼす可能性があるためである。更に、使用される多くの溶媒は、高揮発性有機化合物(VOC)である。VOC材料は、香りへの悪影響についての課題加えて、引火点規制に関する懸念を提起する。これらの課題に鑑みて、配合者は、典型的には、溶媒及び界面活性剤に関する制約を有し、したがって、比較的より疎水性のPRMの使用を最小限に抑える。これにより、利用可能なPRMの幅が狭くなり、したがって、ユーザの香り体験が減少する。これらの課題は、処方が特に高濃度の水及び/又は高濃度の比較的疎水性のPRMを含有する場合に悪化する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、界面活性剤の濃度を最小限に抑えながら、より疎水性のPRMによって可能になる多種多様な香り体験を提供する、改善されたフレッシュニング組成物が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、フレッシュニング組成物であって、
a)当該フレッシュニング組成物の少なくとも85重量%の水と、
b)当該フレッシュニング組成物の少なくとも0.0015重量%のアルコキシル化フェノールと、
c)少なくとも60重量%の、1超のClogPを有する香料原材料を含む香料と、
を含み、
d)当該アルコキシル化フェノールが、式(I):
【0007】
【化1】
(式中、aは、3~15から選択される値であり、bは、0~12から選択される値であり、
a+bの値(アルコキシル化度)は、3~15である)
による、組成物。
【発明を実施するための形態】
【0008】
香料原材料(PRM)は、典型的には、エアフレッシュニング組成物、布地フレッシュニング組成物、又はエア及び布地フレッシュニング組成物を含むがこれらに限定されない、噴霧可能なフレッシュニング組成物を作製するために水と共に配合される。しかしながら、PRMは疎水性の性質を有することから、溶媒及び/又は界面活性剤を使用して、含水量の高い組成物中のPRMを可溶化し、乳化する。PRMを可溶化するのに好適な溶媒としては、典型的には、アルコール、ポリオール、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0009】
本発明は、高濃度の水、香料、及び比較的低濃度のアルコキシル化フェノールを含む本発明のフレッシュニング組成物が、1.0超のClogPを有するPRMを有する香料の水内容物への溶解度を改善し、それによって相安定性の噴霧可能なフレッシュニング組成物を提供することができるという驚くべき知見に基づく。
【0010】
PRMとアルコキシル化フェノールとの組み合わせを有することにより、相安定性の噴霧可能なフレッシュニング組成物が可能になり、より広範なPRMを配合することができる。アルコキシル化フェノールは、エトキシル化フェノール、プロポキシル化フェノール、又はこれらの組み合わせであってよい。技術的効果を示すアルコキシル化フェノールの例としてエトキシル化フェノールを使用する実験の結果を以下に記載する。
【0011】
以下の説明では、記載される組成物は、布地フレッシュニング組成物である。しかしながら、無生物表面上又は空気中にフレッシュさを提供するために様々な用途で使用するために組成物を構成し得ることが企図される。
【0012】
本発明を詳細に説明するのに先立ち、説明を分かりやすくために以下の用語を定義する。定義されない用語には、関連する技術分野の当業者によって理解される通常の意味が与えられるべきである。
【0013】
用語「フレッシュニング組成物」は、本明細書で使用するとき、無生物表面を含む表面上又は空気中にフレッシュさを提供するための組成物を指す。
【0014】
用語「無生物表面」は、本明細書で使用するとき、布地、カーペット、調理台などの家庭表面、床、ゴミ箱、天井、壁、カーペットパッド、エアフィルタなどを含むがこれらに限定されない表面を指す。
【0015】
用語「香料原材料」は、本明細書で使用するとき、香料材料(「PRMs」又は単数形で「PRM」)を指す。
【0016】
用語「ClogP」は、本明細書で使用するとき、PRMのlogP計算値(「ClogP」)を指す。PRMのオクタノール/水分配係数は、オクタノール中及び水中におけるその平衡濃度間の比である。フレッシュニング組成物において使用されるPRMの分配係数は、より簡便には、底が10の対数の形態であるlogPで示すことができる。ClogPは、分子構造に直接基づいて、一般的な有機分子についてのオクタノール-水分配係数(logP又はlogKow)を計算するモデルによって求められる。LogPは、2つの不混和性液相であるオクタノールと水との間の溶質の分布の尺度であり、溶質の疎水性の相対的尺度として一般的に使用される。PRMのLogPを計算する1つの方法は、Advanced Chemistry Development,Inc.製のACD/Labs LogPソフトウェアモジュールを使用している。logPの計算の詳細は、ACD/Labsウェブサイト(https://www.acdlabs.com/products/percepta/predictors/logp/)で見られる。ACD/Labs LogPソフトウェアモジュールを使用して計算するPRMのLogP値及びPRMのLogP値は、以下の実施例に記載される本発明において有用なPRMの選択において使用される。しかしながら、LogPを測定する別の好適な方法は、BioByte Corp製の「ClogP」プログラム(例えば、ClogPバージョン4.0及びマニュアル1999)を使用することであることが理解されるであろう。CLOG P USER GUIDE、バージョン4.0、BioByte Corp(1999)(http://www.bio-byte.com/bb/prod/clogp40.html)。LogPを測定する更なる好適な方法は、Daylight Chemical Information Systems,Inc.(Alison Viejo,CA)製のCLOGPプログラムを使用する。CLOGP Referenceマニュアル、Daylightバージョン4.9、リリース日2008年2月1日。
【0017】
用語「硫黄含有プロ香料」は、本明細書で使用するとき、硫黄を含有するプロ香料化合物の種類を指す。用語「プロ香料」は、本明細書で使用するとき、PRMと他の化学物質との反応によって得られる化合物を指し、これは1つ以上のPRMとこれらの化学物質との間に共有結合を有する。PRMは、プロ香料化合物と呼ばれる新たな材料へと変換され、次に、これが水又は光又は大気中酸素などのトリガーに曝露されると、元のPRM(すなわち、変換前のもの)を放出することができる。好適なプロ香料化合物及びその作製方法は、米国特許第7,018,978号、同第6,861,402号、同第6,544,945号、同第6,093,691号、同第6,165,953号、及び同第6,096,918号に見出すことができる。
【0018】
全ての百分率、部及び比率は、別途指定されない限り、本発明の組成物の総重量に基づく。列挙されている成分に関するとき、こうした重量は全て、活性レベルに基づき、このため、特に指定されない限り、市販の材料に含まれている可能性のある溶媒又は副生成物を含まない。用語「重量百分率」は、本明細書では「重量%」として表示されてもよい。本明細書で使用される全ての分子量は、別途記載のない限り、グラム/モルで表される重量平均分子量である。
【0019】
I.フレッシュニング組成物
本発明によるフレッシュニング組成物は、当該組成物の少なくとも85重量%の濃度の水と、当該組成物の少なくとも0.0015重量%の濃度のアルコキシル化フェノールと、香料であって、当該香料の少なくとも60重量%の、1超のClogPを有するPRMを含む香料と、を含む。アルコキシル化フェノールを提供することの技術的効果は、1.0超のClogPを有するPRMを少なくとも60%含む香料を高濃度の水(少なくとも85%)と共に配合して、フレッシュニング組成物を提供できることである。フレッシュニング組成物は噴霧可能であり、各スプレーにおいて香りのフレッシュさを一貫して送達する相安定性フレッシュニング組成物を提供するために、香料は可溶化されたままである。理論に束縛されるものではないが、フレッシュニング組成物中の香料を可溶化するためにエタノールなどの従来の溶媒を使用することと比べて、アルコキシル化フェノールの使用は、アルコキシル化フェノールが、同じ分子中にフェノール官能基及びエーテル官能基の組み合わせを有し、これが極性及び非極性の特性を両方有する固有の溶解力特性を提供することである。この界面活性剤様構造は、アルコキシル化フェノールに、フレッシュニング組成物に使用される成分(例えば、以下に記載するような水及び香料)の液相とは異なって結合し、広範な親水性及び疎水性の溶媒に混和性であるという能力を与える。アルコキシル化フェノール及びPRM、並びに水の量は、以下に記載される濁度を測定するための試験方法を含む試験方法で規定される性能要件を満たすように構成され得ることが、当業者には理解されるであろう。具体的には、フレッシュニング組成物は、上記の性能要件を満たすために、少なくとも0.0015%のアルコキシル化フェノールと共に十分に低い濃度の1超のClogPを有するPRMで構成され得ることが理解されるであろう。
【0020】
本発明のフレッシュニング組成物の成分を、以下の段落に記載する。
【0021】
A.水
本発明のフレッシュニング組成物は、当該組成物の少なくとも85重量%の水を含み得る。水は、組成物の85重量%~99.5重量%、90重量%~99.5重量%、95重量%~99.5重量%、95重量%、又は上記の上限及び下限の割合の異なる組み合わせ、又は上記の範囲内の任意の整数の組み合わせの量であってよい。水は、蒸留水、脱イオン水、又は水道水であってよい。高濃度の水を有することにより、布地物品における任意の目に見える残留物及び/又は染みを最小限に抑えながら、噴霧可能なフレッシュニング組成物を可能にすることができる。
【0022】
B.アルコキシル化フェノール
フレッシュニング組成物は、当該組成物の少なくとも0.0015重量%の濃度のアルコキシル化フェノールを有する。アルコキシル化は、アルコキシル化剤であるエポキシドを別の化合物に付加することを含む化学反応である。エポキシドは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、及びブチレンオキシドなどの、より低分子量のエポキシド(オキシラン)であってよい。これらのエポキシドは、一般に塩基触媒作用下でヒドロキシル基と反応して、開環及びオキシアルキレン基の付加を引き起こすことができる。得られた化合物はヒドロキシル基を含有するので、様々なモル数の酸化物を付加することができる。フェノール含有化合物のアルコキシル化は、ヒドロキシアルキルフェニルエーテル化合物(アルコキシル化フェノールとしても知られている)を生成するフェノール含有化合物とエポキシドの混合物の反応に関する。フェノール含有化合物は、以下の構造を有し、分子式はCOHである。
【0023】
【化2】
【0024】
アルコキシル化フェノールは、式(I):
【0025】
【化3】
(式中、aは、3~15から選択される値であり、bは、0~12から選択される値であり、
a+bの値(アルコキシル化度)は、3~15である)
による構造を含み得る。
【0026】
(CO)のa単位及び(CO)のb単位はそれぞれ、任意の順序で存在していてよい。エトキシレート基又はプロポキシレート基は、任意の順序であってよく、好ましくは、aの値はbの値よりも大きく、より好ましくは、aの値はbの値の2.5倍、好ましくは5倍、又はより好ましくは9倍超である。
【0027】
アルコキシル化フェノールのa+bの値は、アルコキシル化フェノールのアルコキシル化度としても知られている。アルコキシル化フェノールは、1つ以上の化合物が式(I)による構造を有する化合物の混合物であってもよいことが理解されるであろう。更に、化合物の混合物のうちの少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つ、より好ましくは少なくとも4つ、更により好ましくは少なくとも5つの化合物は、それぞれ式(I)による構造を有していてよく、化合物の混合物の総重量の少なくとも5%を構成し得る。ガスクロマトグラフィー/質量分析(GC/MS)法を使用して、アルコキシル化フェノール中の個々のエトキシレート又はプロポキシレート種を決定できることが当業者には理解されるであろう。
【0028】
アルコキシル化フェノールは、エトキシル化フェノール、エトキシル化プロポキシ化フェノール、及びこれらの組み合わせからなる群から選択してよく、好ましくはエトキシル化フェノールである。
【0029】
したがって、以下の反応に示すように、エチレンオキシドとフェノール含有化合物との反応の結果、エトキシル化フェノールが得られる:
ROH+CO→ROCHCHOH(式中、ROHは、フェノール含有化合物である)。
【0030】
同様に、以下の反応に示すように、プロピレンオキシドとフェノール含有化合物との反応の結果、プロポキシル化フェノールが得られる:
ROH+n OCHCHCH→R(OCHCHCHOH(式中、ROHは、フェノール含有化合物である)。
【0031】
フェノール含有化合物のエトキシル化及びプロポキシル化は、既知のプロセスに従って実施することができる。
【0032】
アルコキシル化フェノールは、フレッシュニング組成物の少なくとも0.0015重量%、0.0015重量%~9重量%、0.05重量%~7重量%、0.075重量%~5重量%、0.1重量%~3重量%、又は上記の上限及び下限の割合の異なる組み合わせ、又は上記の範囲内の任意の整数の組み合わせの量であってよい。
【0033】
以下の説明において、記載されるアルコキシル化フェノールは、エトキシル化フェノールである。しかしながら、アルコキシル化フェノールが水に可溶性であり、PRMを水に可溶化する限り、以下に記載されるPRMを可溶化するために他のアルコキシル化フェノールを構成し得ることが企図される。
【0034】
エトキシル化フェノールは、式(II)による構造を含み得る:
【0035】
【化4】
(式中、cの平均値(エトキシル化度)は、3≦c≦15、好ましくは4≦c≦11、より好ましくは5≦c≦7である)。
【0036】
式IIを参照すると、「c」は、エトキシル化フェノール中のエトキシレートの数に対応する数値であり、エトキシル化度としても知られているエトキシル化フェノールのエトキシレート鎖を定義する。したがって、cの平均値は、平均エトキシル化度を指す。理論に束縛されるものではないが、本発明によるフレッシュニング組成物のためのエトキシル化フェノールは、高濃度の水と少なくとも60%のClogP>1を有するPRMを有する香料組成物とを有するフレッシュニング組成物において水溶性及び油溶性の両方であるために、異なるフレッシュニング製品仕様を満たすために異なる長さのエトキシレート鎖を有する異なるエトキシレートを有していてよい。
【0037】
Dowから商品名Dowanol(商標)グリコールエーテルで市販されているエトキシル化フェノールを、以下の表1に記載する。以下の実施例に記載のデータに示すように、cの平均値が4~15であるエトキシル化フェノールを使用すると、cの平均値が1~2である比較エトキシル化フェノールと比べて透明な組成物(実施例Iを参照されたい)が得られる。
【0038】
【表1】
【0039】
C.香料組成物(以下、「香料」)
フレッシュニング組成物は、所望の香り特性を提供し、フレッシュニング組成物中で均質に可溶化して、一貫した放出プロファイルを送達することができるような有効量で配合された香料を含む。香料は、香料の少なくとも60重量%の、1.0超のClogP値を有する香料原材料(PRM)を含む。香料は、フレッシュニング組成物の少なくとも0.001重量%、0.002重量%~3重量%、0.005重量%~1重量%、0.005重量%~0.4重量%、又は上記の上限及び下限の割合の異なる組み合わせ、又は上記の範囲内の任意の整数の組み合わせの量であってよい。エトキシル化フェノールと香料との総重量比は、0.1:1~9,000:1、0.1:1~500:1、0.15:1~20:1、又は上記の上限及び下限の割合の異なる組み合わせ、又は上記の範囲内の任意の整数の組み合わせの量であってよい。実施例IVの表15における香料を有するエトキシル化フェノールを含む本発明のサンプルは、実施例IVで以下に記載される比較サンプルと比べて改善された濁度結果を示す。
【0040】
PRMは、その沸点(「B.P.」)及びオクタノール/水分配係数(「P」)によって定義することができる。本明細書において言及される沸点は、760mmHgの通常の標準圧力下で測定される。標準的な760mmHgにおける多くのPRMの沸点は、Steffen Arctander著、1969年出版の「Perfume and Flavor Chemicals(Aroma Chemicals)」に概説されている。
【0041】
ClogP値は、4つの群によって定義することができ、PRMは、これらのClogP群のうちの1つ以上から選択することができる。第1の群は、約250℃以下のB.P.及び約3以下のClogPを有するPRMを含む。第1の群の例示的なPRMとしては、以下の表2に示されるPRMが挙げられるが、これらに限定されない。
【0042】
【表2-1】
【0043】
【表2-2】
【0044】
【表2-3】
【0045】
第2の群は、250℃以下のB.P.及び3.0以上のClogPを有するPRMを含む。使用することができる第2の群の例示的なPRMとしては、以下の表3に示されるPRMが挙げられるが、これらに限定されない。
【0046】
【表3-1】
【0047】
【表3-2】
【0048】
【表3-3】
【0049】
第3の群は、250℃以上のB.P.及び3.0以下のClogPを有するPRMを含む。第4の群は、250℃以上のB.P.及び3.0以上のClogPを有するPRMを含む。使用することができる第3及び第4の群の例示的なPRMとしては、以下の表4に示されるPRMが挙げられるが、これらに限定されない。フレッシュニング組成物は、第1、第2、第3、及び第4の群のうちの1つ以上からのPRMの任意の組み合わせを含んでいてもよい。
【0050】
【表4-1】
【0051】
【表4-2】
【0052】
【表4-3】
【0053】
エトキシル化フェノールが5~7の平均c値を有するとき、香料組成物は、当該香料組成物の少なくとも80重量%、80重量%~100重量%、80重量%~100重量%、90重量%~100重量%の、2.0超の、少なくとも2.5の、より好ましくは3.0超の、更により好ましくは3.5超のClogPを有するPRMを含み得、好ましくは、香料の重量平均ClogPは、2.5~6.0、より好ましくは3.5~6.0である。使用することができる香料原材料としては、以下の表5に示す例示的な香料原材料が挙げられるが、これらに限定されない。
【0054】
【表5】
【0055】
D.硫黄含有プロ香料
フレッシュニング組成物は、硫黄含有プロ香料を含み得る。硫黄含有プロ香料の技術的効果は、フレッシュニング組成物の安定性を改善することである。硫黄含有プロ香料化合物は、組成物中に様々な濃度で存在することができる。具体的には、フレッシュニング組成物は、当該フレッシュニング組成物の約0.001重量%~約5重量%、あるいは約0.001重量%~約3重量%、あるいは約0.01重量%~約1重量%、あるいは約0.01重量%~約0.5重量%、あるいは約0.01重量%~約0.1重量%、あるいは少なくとも約0.02重量%、又は上記の上限及び下限の割合の異なる組み合わせ、又は上記の範囲内の任意の整数の組み合わせの硫黄含有プロ香料を含み得る。
【0056】
本明細書における硫黄含有プロ香料は、式(I)の化合物5を含み得る:
Y-S-G-Q (I)
式中、
(i)Yは、本明細書に以下に示される(Y-1)~(Y-7)からなる群から選択されるラジカルであり、
異性体形態を含み:
【0057】
【化5】
(式中、波線は、硫黄(S)結合の位置を表し、点線は、単結合又は二重結合を表す)、
(ii)Gは、2~15個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖アルキル又はアルケニルラジカルに由来する二価又は三価のラジカルから選択され、
(iii)Qは、水素、-S-Y基、又は-NR2-Y基(式中、Yは、独立して、上記定義の通り選択され、R2は、水素又はC1~C3アルキル基から選択され、Gは、二価又は三価のラジカルであってよく、好ましくは、-OR、-NR 、-COOR、R基、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上の基で置換されている、2~15個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖アルキル又はアルケニルラジカルに由来する二価のラジカルであってよく、Rは、水素又はC~Cアルキル若しくはアルケニル基から選択される)から選択される。好ましくは、Gは、少なくとも1つの-COOR基で置換された、好ましくは、-COOR基で置換された、2~15個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキル又はアルケニルラジカルに由来する二価のラジカルであり、Rは、水素又はC~Cアルキル又はアルケニル基から選択される。更により好ましくは、Gは、-CH2CH(COOR)基を有する直鎖アルキルラジカルに由来する二価のラジカルであり、Rは、水素又はメチル若しくはエチル基である。Gは、置換又は無置換のいずれかの、8~15個の炭素原子を有する直鎖アルキルラジカルに由来する二価のラジカルであってもよい。
【0058】
硫黄含有プロ香料は、Yが、上記で定義されるY-l、Y-2、又はY-3基から選択され、G及びQが、上記例のうちのいずれか1つにおいて定義される、式(I)の化合物であってよい。硫黄含有プロ香料は、スルフィドであってもよい。
【0059】
好ましくは、硫黄含有プロ香料は、メチル又はエチル2-(4-オキソ-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-3-エン-l-イル)ブタン-2-イルアミノ)-3-(4-オキソ-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-3-エン-l-イル)ブタン-2-イルチオ)プロパネート、メチル又はエチル2-(4-オキソ-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-l-イル)ブタン-2-イルアミノ)-3-(4-オキソ-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-lイル)ブタン-2-イルチオ)プロパネート、メチル又はエチル2-(2-オキソ-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-l-エン-l-イル)ブタン-4-イルアミノ)-3-(2-オキソ-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-l-エン-l-イル)ブタン-4-イルチオ)プロパネート、メチル又はエチル2-(2-オキソ-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-l-イル)ブタン-4-イルアミノ)-3-(2-オキソ-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-l-イル)ブタン-4-イルチオ)プロパネート、3-(ドデシルチオ)-l-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-3-エン-l-イル)-l-ブタノン、3-(ドデシルチオ)-l-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-l-イル)-lブタノン、4-(ドデシルチオ)-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-l-イル)-2-ブタノン、4-(ドデシルチオ)-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-1-エン-1-イル)-2-ブタノン、2-ドデシルスルファニル-5-メチル-ヘプタン-4-オン、2-シクロヘキシル-l-ドデシルスルファニル-ヘプタ-6-エン-3-オン、3-(ドデシルチオ)-5-イソプロペニル-2-メチルシクロヘキサノン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。より好ましくは、硫黄含有プロ香料化合物は、3-(ドデシルチオ)-1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-3-エン-1-イル)-1-ブタノン、4-(ドデシルチオ)-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン1-イル)-2-ブタノン、4-(ドデシルチオ)-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-1エン-1-イル)-2-ブタノン、及び3-(ドデシルチオ)-5-イソプロペニル-2-メチルシクロヘキサノン、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される。Geneva(Switzerland)にあるFirmenichから入手可能なHaloscent(登録商標)Dなどの3-(ドデシルチオ)-l-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-3-エン-l-イル)-l-ブタノンが、最も好ましい硫黄含有プロ香料化合物であり、そのCAS番号543724-31-8によって定義され、9.51のClogPを有する。
【0060】
フレッシュニング組成物は、以下に示される一般的構造を有するドデシルチオ-ダマスコンを含んでもよい。
【0061】
【化6】
【0062】
チオ-ダマスコンは、フレッシュニング組成物の約0.001重量%~約1.0重量%、あるいは約0.001重量%~約5.0重量%、あるいは約0.001重量%~約3.0重量%、あるいは約0.01重量%~約1.0重量%、あるいは約0.01重量%~約0.5重量%、あるいは約0.01重量%~約0.1重量%、あるいは少なくとも約0.02重量%の量で存在し得る。
【0063】
香料混合物の硫黄含有プロ香料に対する重量比は、組成物の重量で、約0.01:1~約200:1、又は約5:1~約50:1、又は約10:1~約40:1、又は約10:1~約20:1であってよい。
【0064】
E.溶媒
フレッシュニング組成物は、香料を可溶化するための溶媒を含み得る。具体的には、組成物は、フレッシュニング組成物の10重量%未満、0.01重量%~5重量%、0.01重量%~3重量%、0.01重量%~1重量%、0.01重量%~0.05重量%、又は上記の上限及び下限の割合の異なる組み合わせ、又は上記の範囲内の任意の整数の組み合わせの溶媒を含み得る。溶媒は、アルコール、ポリオール、及びこれらの混合物からなる群から選択してよい。溶媒は、低分子量の一価アルコール(例えば、エタノール、メタノール、及びイソプロパノール、又はエチレングリコール及びプロピレングリコールなどのポリオール)を含み得る。
【0065】
溶媒系を規定するためにアルコキシル化フェノールと共にエタノールをフレッシュニング組成物に配合する場合、エタノールは、当該フレッシュニング組成物の10重量%未満、5重量%未満、3重量%未満、0.1重量%~2重量%の量、又は上記の上限及び下限の割合の異なる組み合わせ、又は上記の範囲内の任意の整数の組み合わせの量であってよい。好ましくは、アルコキシル化フェノールは、エトキシル化フェノールである。
【0066】
フレッシュニング組成物は、実質的に溶媒を含んでいなくてよく、好ましくはアルコールを含んでいなくてよく、より好ましくはエタノールを含んでいなくてよく、更により好ましくは、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコール、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、及びこれらの混合物からなる群から選択されるポリオールを含んでいなくてよく、なお更により好ましくはジエチレングリコールを含んでいなくてよい。
【0067】
F.界面活性剤
フレッシュニング組成物は、任意の過剰な疎水性有機物質、特に任意のPRM、更に、組成物に添加することはできるが、組成物に容易には溶解しない任意成分(例えば、昆虫忌避剤、酸化防止剤など)を可溶化して、透明な溶液を形成するために、界面活性剤を含有していてもよい。フレッシュニング組成物は、当該フレッシュニング組成物の3.5重量%未満、0.01重量%~3重量%、0.01重量%~1重量%、0.01重量%~0.05重量%、又は上記の上限及び下限の割合の異なる組み合わせ、又は上記の範囲内の任意の整数の組み合わせの界面活性剤を含み得る。好適な界面活性剤は、非発泡性又は低発泡性界面活性剤である。界面活性剤は、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、及びこれらの混合物からなる群から選択してよい。非イオン性界面活性剤は、部分的又は完全に水素化された、ポリオキシエチレンヒマシ油エーテル、若しくはポリオキシエチレン硬化ヒマシ油エーテル、又はこれらの混合物を更に含んでいてもよい。これらのエトキシレートは、以下の式を有する。
【0068】
【化7】
【0069】
これらのエトキシレートは、単独で、又はこれらの任意の混合物で使用してよい。これらのエトキシレートの平均エチレンオキシド付加モル数(すなわち、上記式中の1+m+n+x+y+z)は、一般に、約7~約100、約20~約80、又は上記の上限及び下限の整数の異なる組み合わせ、又は上記の範囲内の任意の整数nの組み合わせである。
【0070】
例示的な非イオン性界面活性剤としては、商品名HCO40及びHCO60でNikkoから、商品名Cremophor RH40、RH60、及びCO60、Basophor ELH60でBASFから、商品名Tergitol(商標)ECO-20、Tergitol(商標)ECO-36、及びTergitol(商標)ECO-40でThe Dow Chemical Companyから市販されているヒマシ油界面活性剤を挙げることができる。
【0071】
非イオン性界面活性剤の更なる例としては、3~30モルのエチレンオキシドと8~22個の炭素原子の脂肪族アルコールとの縮合物、5~30モルのエチレンオキシドとアルキルフェノールとの縮合物を挙げることができ、当該アルキルは、9~15個の炭素原子及びC~C22アルキルジメチルアミンオキシドを含有する。例示的な非イオン性界面活性剤は、The Dow Chemical Companyから入手可能なTergitol(商標)15-Sとして知られている第二級アルコールエトキシレートであってよい。
【0072】
両性及び双性イオン性界面活性剤の例は、米国特許第3,929,678号、Laughlinら、1975年12月30日発行、第19欄、38行目~第22欄、48行目に見られる。カチオン性界面活性剤の例は、8~22個の炭素原子の少なくとも1つのアルキル鎖を有し、他のアルキル基が1~22個の炭素原子を含有していてよく、アニオン性対イオンが硫酸エチル又は硫酸メチルハロゲンである、テトラアルキル四級アンモニウム塩である。
【0073】
G.悪臭結合ポリマー
本発明のフレッシュニング組成物は、悪臭結合ポリマーを含み得る。悪臭結合ポリマーは、悪臭成分を中和する親和性を有する利用可能な官能基(例えば、アミン)を有するポリマーである。悪臭成分を中和する親和性を有する利用可能な官能基を有するモノマーも考えられる。アミン系化合物の場合、アミンがアルデヒドの悪臭に対する親和性を有することになる。このアミンは、アルデヒドの悪臭と反応して、臭気性ではないアミノール、イミン、又はエナミンのような新たな化合物を形成することができる。
【0074】
悪臭結合ポリマーは、アミン系化合物、例えば、モノアミン、アミノ酸、ポリエチレンイミンポリマー(PEI)、変性PEI、置換PEI;アクリル酸ポリマー、例えば、ポリアクリレートコポリマー(例えば、Rohm & Haas製のAcumer(商標)9000)、ポリアクリル酸ポリマー(例えば、Rohm & Haas製のAcusol(商標))、及び変性アクリレートコポリマー(例えば、Rohm & Haas製のAculyn(商標));並びに変性メタクリレートコポリマー(例えば、Salvona Technologies製のHydroSal(商標));又はこれらの混合物を含み得る。
【0075】
1.アミン系化合物
悪臭結合ポリマーは、100ダルトン超の分子量を有するアミン系化合物であってよく、そのアミン基の少なくとも10%が一級アミンである。アミン系化合物は、150ダルトン超の分子量を有するポリアミンであってよく、そのアミン基の15%~80%が一級アミンである。悪臭結合ポリマーは、1000ダルトン超の分子量を有するアミン系化合物であってもよく、そのアミン基の0%~約10%又は10%未満が一級アミンである。
【0076】
本発明で有用な一級アミン化合物の一般構造は、以下の通りである:
B-(NH
(式中、Bは、担体材料であり、nは、少なくとも1の値の指数である)。好適なB担体は、無機及び有機担体部分の両方を含む。「無機担体」とは、非炭素系又は実質的に非炭素系の骨格で構成される担体を意味する。
【0077】
二級アミン基を含有する化合物は、1つ以上の-NH-基並びに-NH2基を含むことを除いて、上記と同様の構造を有する。この一般的な種類のアミン化合物は、比較的粘稠な材料であってもよい。
【0078】
例示的なアミン系化合物は、モノアミン、アミノアリール誘導体、ポリアミン及びその誘導体、ポリアミノ酸及びそのコポリマー、グルカミン、デンドリマー、PEI、置換アミン及びアミドモノアミン、又はこれらの混合物から選択されるものである。
【0079】
a.モノアミン
本発明ではモノアミンを利用してよい。本発明で使用するのに好適なモノアミンの非限定的な例としては、ヒドロキシ及び/又はアルコキシ官能基、例えば、2-ヒドロキシアミン及び/又は3-ヒドロキシアミンも含有する一級アミン;特にモノアミンが有益剤と相互作用しているときに、官能基を有しないモノアミンと比較してモノアミンの付着を強化する官能基も含有する一級アミン又は二級アミンが挙げられるが、これらに限定されない。一級モノアミンは、本明細書では、二級モノアミンと組み合わせて使用してもよい。しかしながら、十分な濃度の一級モノアミンを使用して、このような組み合わせ内の全アミン基の少なくとも10%を一級アミン基として提供しなければならない。
【0080】
b.アミノアリール誘導体
例示的なアミノアリール誘導体は、4-アミノベンゾエート化合物のアルキルエステル、エチル-4-アミノベンゾエート、フェニルエチル-4-アミノベンゾエート、フェニル-4-アミノベンゾエート、4-アミノ-N’-(3-アミノプロピル)-ベンズアミド、又はこれらの混合物を含むアミノベンゼン誘導体である。
【0081】
c.ポリアミン
本発明の目的のために少なくとも1つの一級アミン基を含有する好適なアミノ官能性ポリマーの例は、300~2.10E6ダルトンのMWを有するポリビニルアミン(例えば、BASFから入手可能なLupamineシリーズ1500、4500、5000、9000);≧600ダルトンのMW及び少なくとも0.5のエトキシル化度を有するアルコキシル化されたポリビニルアミン;ポリビニルアミンビニルアルコール-モル比2:1、ポリビニルアミンビニルホルムアミド-モル比1:2、及びポリビニルアミンビニルホルムアミド-モル比2:1;トリエチレンテトラミン、ジエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミン;ビス-アミノプロピルピペラジン;400~300,000ダルトンの範囲のMWを有するアミノ置換ポリビニルアルコール;例えばSigmaから入手可能なポリオキシエチレンビス[アミン];例えばSigmaから入手可能なポリオキシエチレンビス[6-アミノヘキシル];N,N’-ビス-(3-アミノプロピル)-1,3-プロパンジアミン直鎖又は分枝鎖(TPTA);N,N’-ビス-(3-アミノプロピル)エチレンジアミン;ビス(アミノアルキル)アルキルジアミン、直鎖又は分枝鎖;並びに1,4-ビス-(3-アミノプロピル)ピペラジン(BNPP)である。
【0082】
d.ポリアミノ酸
好適なアミン系化合物としてはポリアミノ酸が挙げられる。ポリアミノ酸は、アミノ酸又は化学修飾アミノ酸からなる。アミノ酸は、システイン、ヒスチジン、イソロイシン、チロシン、トリプトファン、ロイシン、リシン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、アラニン、アスパラギン酸、アルギニン、アスパラギン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、ヒスチジン、スレオニン、メチオニン、バリン、及びこれらの混合物から選択されてもよい。アミノ酸誘導体は、チロシンエチレート、グリシンメチレート、トリプトファンエチレート、又はこれらの混合物;アミノ酸のホモポリマー;ヒドロキシアミン;ポリアミノ酸;又はこれらの混合物であり得る。
【0083】
化学修飾アミノ酸では、そのアミノ酸のアミン又は酸性官能基が化学試薬と反応している。これは、後続反応においてアミノ酸のこれら化学的アミン及び酸性官能基を保護する目的、又は、溶解度の向上のような特別な特性をアミノ酸に付与する目的で行うことが多い。このような化学修飾体の例は、ベンジルオキシカルボニル、アミノ酪酸、ブチルエステル、及びピログルタミン酸である。アミノ酸及びアミノ酸の小断片の一般的な修飾の更なる例は、Bachem、1996、Peptides and Biochemicals Catalogに見出すことができる。
【0084】
1つのポリアミノ酸は、ポリリジン、あるいはポリリジン又はアミノ酸の50%超がリジンであるポリアミノ酸であるが、これは、リジンの側鎖における一級アミン官能基が、全てのアミノ酸のうちの最も反応性の高いアミンであるためである。1つのポリアミノ酸は、500~10,000,000、あるいは2000~25,000の分子量を有する。
【0085】
ポリアミノ酸は架橋することができる。架橋は、例えば、リジンのようなアミノ酸の側鎖におけるアミン基とアミノ酸のカルボキシル官能基との縮合、又はPEG誘導体のようなタンパク質架橋剤との縮合によって得ることができる。この架橋ポリアミノ酸には、中和に備えて、遊離した第一級及び/又は第二級アミノ基がまだ残っている必要がある。架橋ポリアミノ酸は、20,000~10,000,000、あるいは200,000~2,000,000の分子量を有する。
【0086】
ポリアミノ酸又はアミノ酸は、例えば、酸、アミド、塩化アシル、アミノカプロン酸、アジピン酸、エチルヘキサン酸、カプロラクタム、又はこれらの混合物のような他の試薬と共重合させることができる。これらのコポリマーで使用されるモル比は、1:1(試薬/アミノ酸(リジン))~1:20、あるいは1:1~1:10の範囲である。ポリリシンのようなポリアミノ酸は、必要な量の一級アミンがポリマー中に残っていれば、エトキシル化しないことも、部分的にエトキシル化することもできる。
【0087】
e.デンドリマー
また、有用なアミン系化合物は、ポリプロピレンイミンデンドリマー、及び市販されているDendritech製のStarburst(登録商標)ポリアミドアミン(PAMAM)デンドリマー、0~10世代、及びDSM製のデンドリマーAstromols(登録商標)、1~5世代(ジアミノブタンポリアミンDAB(PA)xデンドリマー(x=2<n>×4であり、nは一般に0~4を含む))である。
【0088】
f.PEI
一実施形態では、悪臭結合ポリマーはPEIである。pHが約4~約8、あるいは5超~約8、あるいは7のアミン系ポリマーがアミン系の臭気を中和できることが驚くべきことに発見された。PEIは下記の一般式を有する。
-(CH2-CH2-NH)-;n=10~10
【0089】
ホモポリマーPEIは、特定の割合の一級、二級、及び三級アミン官能基を有する分岐球状ポリアミンである。ホモポリマーPEIは、下記の部分的構造式で最も分かりやすく説明される。
【0090】
【化8】
【0091】
ホモポリマーPEIの化学構造は、1つのアミン官能基-2つの炭素という簡潔な原則に従っている。
【0092】
フレッシュニング組成物は、約800~約2,000,000、あるいは約1,000~約2,000,000、あるいは約1,200~約25,000、あるいは約1,300~約25,000、あるいは約2,000~約25,000、あるいは約10,000~約2,000,000、あるいは約25,000~約2,000,000、あるいは約25,000の分子量を有するホモポリマーポリエチレンイミンを含み得る。代表的なホモポリマーPEIとしては、BASFからLupasol(登録商標)という商品名で市販されているものが挙げられる。Lupasolの製品は一般に、エチレンイミンモノマーを重合することによって得られる。このエチレンイミンモノマーは、ポリマーマトリックスで全て反応している。好適なLupasol製品としては、Lupasol FG(MW800)、G20wfv(MW1300)、PR8515(MW2000)、WF(MW25,000)、FC(MW800)、G20(MW1300)、G35(MW1200)、G100(MW2000)、HF(MW25,000)、P(MW750,000)、PS(MW750,000)、SK(MW2,000,000)、SNA(MW1,000,000)が挙げられる。
【0093】
フレッシュニング組成物は、Lupasol HF又はWF(MW25,000)、P(MW750,000)、PS(MW750,000)、SK(MW2,000,000)、G20wfv(MW1300)、若しくはPR1815(MW2000)、又はEpomin SP-103、Epomin SP-110、Epomin SP-003、Epomin SP-006、Epomin SP-012、Epomin SP-018、Epomin SP-200、又はAldrich製の80%エトキシル化されたポリエチレンイミンのような部分的にアルコキシル化されたポリエチレンイミンを含み得る。フレッシュニング組成物は、Lupasol WF(MW25,000)を含み得る。
【0094】
また、フレッシュニング組成物において使用するのに好適なアミン系化合物は、変性PEI、部分的にアルキル化されたポリエチレンポリマー、ヒドロキシル基を有するPEI、1,5-ペンタンジアミン、1,6-ヘキサンジアミン、1,3ペンタンジアミン、3-ジメチルプロパンジアミン、1,2-シクロヘキサンジアミン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、トリプロピレンテトラアミン、ビス(3-アミノプロピル)ピペラジン、ジプロピレントリアミン、トリス(2-アミノエチルアミン)、テトラエチレンペンタミン、ビスヘキサメチレントリアミン、ビス(3-アミノプロピル)1,6-ヘキサメチレンジアミン、3,3’-ジアミノ-N-メチルジプロピルアミン、2-メチル-1,5-ペンタンジアミン、N,N,N’,N’-テトラ(2-アミノエチル)エチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラ(3-アミノプロピル)-1,4-ブタンジアミン、ペンタエチルヘキサミン、1,3-ジアミノ-2-プロピル-tert-ブチルエーテル、イソホロジアミン、4,4’、-ジアミノジシクロヒルメタン、N-メチル-N-(3-アミノプロピル)エタノールアミン、スペルミン、スペルミジン、1-ピペラジンエタンアミン、2-(ビス(2-アミノエチル)アミノ)エタノール、エトキシル化N-(タローアルキル)トリメチレンジアミン、ポリ[オキシ(メチル-1,2-エタンジイル)]、α-(2-アミノメチル-エトキシ)-(=C.A.S番号9046-10-0);ポリ[オキシ(メチル-1,2-エタンジイル)]、α-ヒドロ-)-ω-(2-アミノメチルエトキシ)-、2-エチル-2-(ヒドロキシメチル)-1,3-プロパンジオールとのエーテル(=C.A.S番号39423-51-3);商品名Jeffamine T-403、D-230、D-400、D-2000で市販;2,2’,2’’-トリアミノトリエチルアミン;2,2’-ジアミノ-ジエチルアミン;3,3’-ジアミノ-ジプロピルアミン、Mitsubishiから市販されている1,3ビスアミノエチルシクロヘキサン、及びC12 Sternamin(プロピルアミン)n(n=3/4)のようなClariantから市販されているC12 Sternamineである。
【0095】
悪臭結合ポリマーの好適な濃度は、フレッシュニング組成物の約0.01重量%~約2重量%、あるいは約0.01重量%~約1重量%、あるいは約0.01重量%~約0.8重量%、あるいは約0.01重量%~約0.6重量%、あるいは約0.01重量%~約0.1重量%、あるいは約0.01重量%~約0.07重量%、あるいは約0.07重量%である。悪臭結合ポリマーの量が多い組成物ほど、布地が汚れの影響を受けやすくなる場合があり、及び/又は、フレッシュニング組成物の溶液が布地から蒸発すると、許容不能な目に見える染みが布地上に残る場合がある。
【0096】
H.悪臭中和剤
フレッシュニング組成物は、1つ以上の悪臭中和剤を利用してもよい。悪臭中和剤としては、臭気化合物の蒸気圧を低下させる、悪臭化合物を可溶化させる、臭いを物理的に捕捉(例えば、凝集又は封入)する、臭いを物理的に結合させる、又は臭いが無生物表面に結合するのを物理的に防ぐ成分を含み得る。例えば、脂肪族アルデヒドは、魚及びタバコの臭いなどのアミン臭気と反応する。悪臭結合ポリマーと組み合わせて使用される場合、フレッシュニング組成物は、より広範な悪臭を中和し、ひいては空気中又は無生物表面上の悪臭を更に低減させる物質を生じさせ得る。
【0097】
具体的には、フレッシュニング組成物は、悪臭中和剤を含んでいてよく、当該悪臭中和剤は、ポリオール、シクロデキストリン及びその誘導体、アミン官能性ポリマー、アルデヒド、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される。悪臭中和剤は、シクロデキストリンであってもよい。本明細書で使用するとき、用語「シクロデキストリン」は、6~12個のグルコース単位を含有する非置換シクロデキストリン、特にα-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリン、及び/若しくはこれらの誘導体、並びに/又はこれらの混合物などの既知のシクロデキストリンのいずれかを含む。
【0098】
I.緩衝系
フレッシュニング組成物は、緩衝剤を含有してもよい。緩衝剤は、酸性緩衝剤であってよい。緩衝剤は、二塩基酸、カルボン酸、マレイン酸などのジカルボン酸、クエン酸などのトリカルボン酸、又はポリアクリル酸などのポリカルボン酸であってよい。カルボン酸は、例えば、クエン酸、ポリアクリル酸、又はマレイン酸であってよい。酸は、立体的に安定していてよい。酸は、所望のpHを維持するために、本組成物で使用することができる。フレッシュニング組成物は、約4~約9、あるいは約4~約8.5、あるいは約4~約6.9、あるいは約4~約6.7のpHを有していてよい。好ましくは、緩衝系は、クエン酸、マレイン酸、ポリアクリル酸、及びそれらの組み合せからなる群から選択される、1つ以上の緩衝剤を含む。クエン酸、マレイン酸、ポリアクリル酸、及びこれらの組み合せからなる群から選択される緩衝剤を含む緩衝系は、保存寿命の延長された、安定なフレッシュニング組成物を提供する。
【0099】
好ましくは、緩衝系は、クエン酸及びクエン酸ナトリウムを含む。クエン酸及びクエン酸ナトリウムを含む緩衝系は、保存寿命の延長した、安定なフレッシュニング組成物を実現することが見出されている。本フレッシュニング組成物に適した他の緩衝剤は、生物学的緩衝剤を含む。いくつかの例は、窒素含有物質、3-(N15489モルホリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)又はN-(2-アセトアミド)-2-アミノエタンスルホン酸(ACES)のようなスルホン酸緩衝剤であり、これらは中性付近の6.2~7.5のpKaを有し、中性pHにおいて十分な緩衝能を提供する。他の例は、リシンのようなアミノ酸、又はモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、及びトリエタノールアミン若しくはメチルジエタノールアミン又はそれらの誘導体のような低級アルコールアミンである。他の窒素含有緩衝剤は、トリ(ヒドロキシメチル)アミノメタン(HOCH2)5 3CNH3(TRIS)、2-アミノ-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2-アミノ-2-メチル-プロパノール、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパノール、グルタミン酸二ナトリウム、N-メチルジエタノールアミド、2-ジメチルアミノ-2-メチルプロパノール(DMAMP)、1,3-ビス(メチルアミン)-シクロヘキサン、1,3-ジアミノ-プロパノール、N,N’-テトラ-メチル-1,3-ジアミノ-2-プロパノール、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)グリシン(ビシン)、及びN-トリス(ヒドロキシメチル)メチルグリシン(トリシン)である。上記のいずれかの混合物も許容可能である。
【0100】
フレッシュニング組成物は、二級又は三級アミンを含み得る。本フレッシュニング組成物は、組成物の少なくとも約0重量%、あるいは少なくとも約0.001重量%、あるいは少なくとも約0.01重量%の緩衝剤を含んでもよい。組成物はまた、当該組成物の約2重量%以下、あるいは約0.75重量%以下、あるいは約0.5重量%以下の緩衝剤を含んでいてもよい。
【0101】
J.湿潤剤
フレッシュニング組成物は、当該組成物をポリエステル及びナイロンのような疎水性表面上に容易かつより均一に広げることを可能にする、低い表面張力をもたらす湿潤剤を任意選択で含んでもよい。本フレッシュニング組成物は、このような湿潤剤を使用しない場合、十分には広がらないことがわかっている。組成物を広げると、組成物を迅速に乾燥させることもまた可能となり、その結果、処理された素材は直ちに使える状態になる。更に、湿潤剤を含有する組成物は、改善された悪臭中和のために、疎水性の油性汚れによりよく浸透することができる。湿潤剤を含有する組成物は、「衣服着用中」の静電気制御性を向上させることもできる。濃縮組成物では、湿潤剤は、濃縮フレッシュニング組成物中の抗菌性活性物質及び香料などの多くの活性物質の分散を促進する。湿潤剤の非限定的な例としては、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのブロックコポリマーが挙げられる。好適なブロックポリオキシエチレン-ポリプロピレンポリマー界面活性剤としては、初期の反応性水素化合物として、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール、トリメチロールプロパン及びエチレンジアミンに基づくものが挙げられる。初期化合物とC12~18脂肪族アルコールなどの単一の反応性水素原子との連続エトキシル化及びプロポキシル化により作製されるポリマー化合物は、一般に、シクロデキストリンと相溶性ではない。BASF-Wyandotte Corp.(Wyandotte,Michigan)によってPluronic(商標)及びTetronic(商標)と命名された特定のブロックポリマー界面活性剤化合物は、容易に入手することができる。
【0102】
この種のシクロデキストリン相溶性湿潤剤の非限定な例は、米国特許第5,714,137号に記載されており、Momentive Performance Chemical(Albany,New York)から入手可能なSILWET(商標)界面活性剤が挙げられる。例示的なSILWET(商標)界面活性剤は、以下の表6に示す通りである。しかしながら、以下の界面活性剤の混合物を本発明で使用してもよいことが理解されるであろう。
【0103】
【表6】
【0104】
フレッシュニング組成物中の界面活性剤(例えば、可溶化剤、湿潤剤)の総量は、当該組成物の0重量%~約3重量%若しくは3重量%以下、あるいは0重量5%~1重量%若しくは1重量%以下、あるいは0重量%~約0.9重量%若しくは0.9重量%以下、あるいは0重量%~約0.7重量%若しくは0.7重量%以下、あるいは0重量%~約0.5重量%若しくは0.5重量%以下、あるいは0重量%~0.3重量%若しくは約0.3重量%以下である。濃度の高い組成物ほど、布地が汚れの影響を受けやすくなり得、かつ/又は溶液が蒸発すると、許容不能な目に見える染みが布地上に残り得る。硫黄含有プロ香料と総界面活性剤との重量比は、約1:1~1:250、又は約1:1~約1:60、又は約1:1~約1:30であってよい。
【0105】
II.製造方法
フレッシュニング組成物は、当該技術分野において公知の任意の好適な方法で作製することができる。成分の全てを単に、一緒に混合することができる。特定の実施形態では、プレミックスなどの成分の濃縮混合物を作製し、組成物を空気中又は無生物表面上に分散させる前に、この濃縮混合物を水性担体に添加することによって希釈することが望ましい場合がある。フレッシュニング組成物を製造する方法は、
i)アルコキシル化フェノール及び香料を混合してプレミックスを形成する工程であって、当該アルコキシル化フェノールと当該香料との重量比が、0.01:1~100:1、好ましくは0.1:1~10:1、更により好ましくは0.15:1~1:1である、工程と、
ii)当該プレミックスを水に添加して、フレッシュニング組成物を形成する工程と、を含み得る。
【0106】
別の実施形態では、エトキシル化フェノールは、水などの成分を収容している1つの容器内に分散させてもよく、エタノール、低分子ポリオール、及び緩衝剤などの追加成分を含有していてもよい。完全に分散し、視覚的に溶解するまで、全ての材料を添加する。別個の容器において、可溶化材料(界面活性剤及び溶媒、いくつかの実施形態では、エトキシル化フェノールを含有していてもよい)及び香料を均質になるまで混合する。次いで、可溶化剤及び香料の溶液を第1の混合容器に加え、均質になるまで混合する。
【0107】
III.使用方法
本フレッシュニング組成物は、散布することによって、例えば、スプレーディスペンサなどのディスペンサに本フレッシュニング組成物を入れ、有効量を空気中、又は所望の無生物表面若しくは物品上に噴霧することによって使用することができる。「有効量」とは、フレッシュニング組成物の量に関連して使用される場合、処理された空気、表面、又は物品にフレッシュ感又は香りを少なくとも約4時間、又は少なくとも約6時間、又は少なくとも約8時間、又は少なくとも約24時間、供給するのに十分であるが、物品又は表面に液体が染みこむ又は液体の水溜りができ、乾いたときに目視で容易に認識可能な堆積物が存在するほどではない量を意味する。悪臭低減成分が含まれている場合、「有効量」とは、フレッシュニング組成物の量に関して使用される場合、前述の事項を提供し、また、ヒトの臭覚によって認識できない濃度まで悪臭を中和するが、物品又は表面に染みこむ又は液体の水溜りができ、乾いたときに目視で容易に認識可能な堆積物が存在するほどではない量を意味する。分散は、噴霧装置、ローラ、パッド、又は以下に記載する他の製品形態などを使用することにより達成することができる。
【0108】
製品形態
ワイプ
本発明のフレッシュニング組成物は、全て参照により本明細書に組み込まれる、米国再発行特許第38505号、同第38105号、及び米国特許第6,936,330号に記載されている基材などの市販の基材に含浸させてもよい。一実施形態では、基材は、無生物の家庭表面を含む複数の表面を脱臭、消毒、又は洗浄するための不織布ウェットワイプであってよい。
【0109】
包装容器
本発明のフレッシュニング組成物は、親水性香料相溶性材料で構築されたプラスチック容器内に収容することができる。これらの材料は、プラスチック容器による吸収及び/又は透過が最小限に抑えられるように、親水性香料成分との錯化を回避する。好適な親水性香料相溶性材料は、ガスクロマトグラフィー分析によって平均親水性香料損失を求めることによって容易に同定することができる。親水性香料相溶性材料は、元々存在する個々の親水性香料成分の約50%未満、あるいは約20%未満、あるいは約15%未満、あるいは約10%未満の平均親水性香料成分損失をもたらす。
【0110】
相当量の親水性香料成分を含有するフレッシュニング組成物は、周囲温度で8週間、少なくとも80%の親水性香料相溶性材料で構築されたプラスチック容器内に保管することができる。保管後、ガスクロマトグラフィー分析を使用して、水性組成物中に残っている様々な香料成分の量を求め、元々存在する各成分の量に基づいて近似的な損失を計算する。
【0111】
本発明に好適な親水性香料相溶性材料の有効量は、容器の少なくとも約80重量%、あるいは約80重量%~約100重量%、あるいは約90重量%~約100重量%、あるいは100重量%である。親水性香料相溶性材料の非限定的な例は、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレン-コ-ビニルアルコール(EVOH)、Aclar(登録商標)などのフッ素化ポリマー、Barex(登録商標)などのアクリロニトリル-メチルアクリレートコポリマー、又はこれらの混合物の任意の樹脂である。あるいは、HDPEを本発明で利用する。
【0112】
一実施形態では、Plastipak Packaging Inc.(Champaign,Ill.)製のHDPEボトルを使用して、本発明の水性組成物を収容する。HDPEボトルは、当該技術分野において既知の任意の吹込み成形、射出成形、及び熱成形プロセスによって作製することができる。例えば、吹込み成形されたボトルの場合、熱軟化したHDPEを中空管として成形型のキャビティ内に押し出し、加圧空気によって冷たい成形型キャビティの壁に対して押し付けてボトルを形成する。ボトルは冷却によって固化する。
【0113】
約3未満のClogPを有する香料組成物は、PP及びHDPEなどの親水性香料相溶材料に完全には吸収されない及び/又は透過しないことが見出されている。したがって、これは、プラスチック容器を通じた香料成分の透過を防止するのに役立ち、ひいては、消費者が知覚可能なより長寿命の芳香を提供する。
【0114】
親水性香料相溶性材料のいずれかを、非晶質炭素、シリコーン酸化物、又はこれらの混合物、及び金属化コーティングを含む1つ以上のバリア材料と併用してもよい。
【0115】
フレッシュニング製品
フレッシュニング組成物は、任意の好適なパッケージに包装されて、フレッシュニング製品を形成することができる。パッケージは、スプレーディスペンサの形態であってもよく、フレッシュニング製品は、フレッシュニング噴霧器製品であってもよい。本フレッシュニング組成物がフレッシュニング製品の外側から目視可能であるか、又は少なくとも一部が目視可能であるよう、スプレーディスペンサは透明又は半透明とすることができる。
【0116】
スプレーディスペンサは、様々な量のフレッシュニング組成物を保持することができる。スプレーディスペンサは、約20p.s.i.g~約140psig、あるいは約80~約130p.s.i.gの範囲の内圧に耐えることができ得る。全組成物出力及び噴霧液滴/粒径分布は、粒子除去効果を支援するが、表面が湿るという問題を回避するように選択され得る。全出力は、スプレーディスペンサから放出されるときの組成物の流速によって決定される。最小限の表面湿潤を生じさせる噴霧プロファイルを得るために、低い流速及び小さな5つの噴霧液滴を有することが望ましい。
【0117】
スプレーディスペンサから放出される組成物の流速は、約0.0001グラム/秒(g/s)~約2.5グラム/秒とすることができる。あるいは、流速は、約0.001グラム/秒~約2.5グラム/秒、又は約0.01グラム/秒~約2.0グラム/秒であってよい。エアゾール噴霧器については、任意の60秒の使用期間にわたってスプレーディスペンサによって排出される組成物の速度を測定することによって流速が決定される。
【0118】
スプレー液滴のザウタ平均粒径は、約10μm~約100μm、あるいは約20μm~約60μmの範囲であってよい。噴霧液滴の少なくとも一部のサイズは、少なくとも約10分間、一部の例では少なくとも約15分間、又は少なくとも約30分間にわたって空気中に浮遊するように十分に小さい。噴霧が広い円錐角で分注されるときに、小さい粒子を効率的に作り出すことができる。所与のノズル構成要素及び送達管に関して、送達管のノズルの挿入深さを変更することによって円錐角を修正することができる。この円錐角は、約20度超、又は約30度超、又は約35度超、又は約40度超、又は約50度超とすることができる。
【0119】
スプレーディスペンサは、容器の基部に平行な角度と容器の基部に垂直な角度との間の角度でフレッシュニング組成物を噴霧するように構成され得る。噴霧液滴の所望のサイズは、狭い範囲の液滴サイズを供給するように設定することができる他のタイプのスプレーディスペンサによって送達することができる。このような他のスプレーディスペンサとしては、限定するものではないが、噴霧器、超音波ネブライザー、静電噴霧装置、及び回転ディスク噴霧器が挙げられる。スプレーディスペンサは、プラスチック、金属、ガラス、又はそれらの組み合せを含めた、様々な材料から構成されることができる。スプレーディスペンサは、加圧式であってもよく、非加圧式であってもよく、非エアゾールであってもよい。
【0120】
非エアゾールスプレーディスペンサは、事前圧縮トリガー噴霧器を含み得る。
【0121】
1つの好適な非エアゾールスプレーディスペンサは、プラスチック製の非エアゾールディスペンサである。ディスペンサは、高密度ポリエチレンなどのポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(「PET」)、酢酸ビニル、ゴムエラストマー、及びこれらの組み合わせで構築され得る。スプレーディスペンサは、透明なPETで作製され得る。別の好適なスプレーディスペンサには、Afa Dispensing Group製のFLAIROSOL(商標)ディスペンサなど連続動作式スプレー装置が挙げられる。FLAIROSOL(商標)ディスペンサは、事前圧縮スプレーエンジンを備えたバッグ・イン・バッグ又はバッグ・イン・缶型の容器、及びフレッシュニング組成物のエアゾール樣圧縮器を含む。FLAIROSOL(商標)ディスペンサの例は、米国特許第8,905,271(B2)号に記載されている。
【0122】
加圧スプレーディスペンサは、噴射剤を含んでもよい。様々な噴射剤が使用されてもよい。噴射剤は、炭化水素(複数可);窒素、二酸化炭素、空気などの圧縮ガス(複数可);液化ガス(複数可)又はヒドロフルオロオレフィン(「HFO」);並びにこれらの混合物を含むことができる。好ましくは、製品は、圧縮空気、圧縮窒素、及びこれらの組み合わせなどの圧縮ガスからなる群から選択される噴射剤を含む。米国官報30 49C.F.R.§1.73.115、第2部、2.2項に列挙されている噴射剤が、許容可能であると考えられる。噴射剤は、特に、trans-1,3,3,3-テトラフルオロプロパ-1-エン、及び任意選択的にCAS番号1645-83-6のガスを含むことができる。このような噴射剤は、これらが不燃であるという利益を提供するが、フレッシュニング組成物は不燃噴射剤に限定されない。1つのこのような噴射剤は、Honeywell International(Morristown,New Jersey)から商品名HFO-5 1234ze又はGWP-6で市販されている。所望の場合、噴射剤は、凝縮性であり得る。「凝縮性」とは、スプレーディスペンサ内及び使用中に生じる圧力下において、噴射剤が、ガス状の物質から液体状の物質へと変化することを意味する。一般的に、最高圧力は、スプレーディスペンサにフレッシュニング組成物が充填された後であるが、ユーザがフレッシュニング組成物を最初に分散させる前に生じる。凝縮性噴射剤は、使用中にフレッシュニング組成物が枯渇するにつれて、減圧曲線がより平坦化する利益をもたらす。
【0123】
加圧スプレーディスペンサは、炭化水素噴射剤を含まなくてもよい。フレッシュニング組成物は、流れを制御し、スプレーディスペンサ内にフレッシュニング組成物を密封するための弁、ボタンアクチュエータ、及び環境にフレッシュニング組成物を分散させるためのノズルを含むが、これらに限定されない送達部品を含むスプレーディスペンサから送達され得る。フレッシュニング組成物は、バック・イン・缶型プラスチック製スプレーディスペンサに収容され得る。
【0124】
以下の実施例は、本発明をより完全に説明することを目的としたものであり、本発明の範囲から逸脱することなく、その多くの変形例が可能であることから、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。本明細書における全ての部、割合(%)、及び比率は、特に断らない限りは重量%として表される。
【実施例
【0125】
最初に、試験装置/材料及び試験布地フレッシュニング組成物を材料において説明し、次いで、試験方法を提供し、最後に結果について論じる。本発明の布地フレッシュニング組成物では布地フレッシュニング組成物中のPRMの溶解度が改善されたことを実証するデータが提供される。以下に記載する試験方法で使用するフレッシュニング組成物を製造するための装置及び材料を、以下の表7及び表8に列挙する。本発明の及び比較布地フレッシュニング組成物の処方を、以下の実施例I、II、IIIに提供する。
【0126】
【表7】
【0127】
以下の実験では、使用されるエトキシル化フェノールは、上述のように市販のヘキサエチレングリコールフェニルエーテルである。しかしながら、ヘキサエチレングリコールフェニルエーテルは、以下の方法に従って作製され得ることが理解されるであろう。
【0128】
ヘキサエチレングリコールフェニルエーテルの作製方法
以下の工程に従って、ヘキサエチレングリコールフェニルエーテル(「最終製品」)を調製する:
1)フェノール(440g、4.68mol)を窒素下55℃で融解させ、固体KOH(2.6g、0.046mol)で部分的に中和し、65℃に予熱しておいたParr反応器に添加する。
2)75℃において減圧下で水を除去し、次いで、Parr反応器を70℃に冷却する。
3)圧力を75psig未満で維持しながらエチレンオキシド(7.04mol)を少しずつ反応器に添加し、70℃で反応させる。
4)(3)の添加工程が完了したら、反応器を90℃に加熱し、エチレンオキシド(21.1モル)を少しずつ添加し、圧力を75psig未満で維持しながら90℃で反応させる。
5)最後の添加を行った後、反応器内の圧力が安定したとき、反応物を更に2時間撹拌する。
6)反応器を70℃に冷却し、残留エチレンオキシドを減圧下で除去する。
7)最終生成物を室温まで冷却し、酢酸(2.7g、0.046mol)で中和して、標題生成物を得る(収率99%)。
【0129】
当業者は、任意のアルコキシル化度を有するエチレングリコールフェニルエーテル(「最終生成物」)を作製するために上記の方法を適合させることができることが理解されるであろう。最終生成物は、出発フェノールのモル数及び添加したエチレンオキシドのモル数によって決定される。したがって、ヘキサエチレングリコールフェニルエーテルを調製する上記の例では、方法は、4.68モルのフェノールで開始し、工程3及び4において合計28.1モルのエチレンオキシドを添加して、平均アルコキシル化度6の最終生成物を得る。平均アルコキシル化度15を有するペンタデカエチレングリコールフェニルエーテルを作製したい場合、工程(1)を4.68モルのフェノールで開始するように方法を変更してもよく、工程3及び4で合計70.2モルのエチレンオキシドを添加してよい。
【0130】
以下に記載する試験方法/計算のために、噴霧可能なエアフレッシュナ又は気相系で使用するのに好適な任意の香料を用いてよい。例示目的のため、そして、布地フレッシュニング組成物の後続の例については、香料は、以下の表8に示すPRMを含んでいてよい。しかしながら、香料は、フレッシュニングに好適な任意の数の材料を構成していてもよい。
【0131】
【表8】
【0132】
試験方法
A.NTU濁度を測定するための試験方法
濁度計を使用して、成分がどれくらい香料を可溶化し、乳化することができるかを求める。濁度を測定する方法は、以下の参照文献:Hach Company,2009,2013.,「Hach 2100Q and 2100Qis User Manual」に詳細に記載されている。
【0133】
この測定方法は、透過光散乱信号に対する一次比濁分析光散乱信号の比を評価することによって、濁度の定量的値を求める。この具体的な評価方法は、0~1000比濁分析濁度単位(「NTU」)の値を提供し、NTU値が大きくなるほど、より混濁した溶液であることを示す。したがって、香料の乳化に成功すると、NTU値がより小さくなり、それに対して、香料の乳化に失敗すると、NTU値がより大きくなる。各試験サンプルの間で、装置を確実に適切に作動させるために、水対照を測定すべきである。
【0134】
B.エトキシル化フェノールのcの平均値の計算方法
これは、式IIによるエトキシル化フェノールのcの平均値を計算する方法である:
【0135】
【化9】
【0136】
エトキシル化材料内の各エトキシル化種の個々の重量%分布を使用して、cの平均値を計算する。
【0137】
【数1】
(式中、iは、0~nの整数であり、エトキシル化度を表し、
は、GCFID法により測定された個々の種のフェノールエトキシレートiの重量%である)。
【0138】
GCFIDは、既知のガスクロマトグラフィー炎イオン化検出を指す。
【0139】
(実施例I)
布地フレッシュニング組成物(表9の本発明のサンプルA及び比較サンプルB、C)を、肉眼による定性的外観観察に従って評価する。
【0140】
【表9】
【0141】
表9の結果は、本発明のサンプルAの肉眼による外観が、混濁した外観を示す比較サンプルB、Cに比べて透明であることを示す。
【0142】
(実施例II)
表10は、試験方法において上述した濁度の試験方法に従って評価する布地フレッシュニング組成物について記載する。表10中の全ての試験布地フレッシュニング組成物を製造方法に記載の通り調製して、18個の布地フレッシュニング組成物を得、その濁度の結果を以下の表11に示す。
【0143】
【表10】
様々な香料組成物は、表4に示されるように疎水性が異なっていた。
【0144】
【表11】
【0145】
表11の濁度結果は、香料サンプル1、2、3のいずれか1つを含む本発明のサンプルF、G、H、Iの12個の変形例全てが、比較サンプルD、Eの対応する6個の変形例に比べてより良好なNTU濁度値を有することを示す。
【0146】
(実施例III)
空気フレッシュニング組成物(表13の本発明のサンプルJ及び比較サンプルK)を従来の方法で調製し、肉眼による定性的外観観察に従って評価する。
【0147】
【表12】
【0148】
表13の結果は、エトキシル化フェノール及びエタノールをPRMと共に使用する本発明のサンプルJが、製造及び凍結融解サイクル後の外観等級で透明な肉眼による外観をもたらした点で相安定性の要件を満たすことを示す。
【0149】
(実施例IV)
表14は、試験方法において上述した濁度の試験方法に従って評価する布地フレッシュニング組成物について記載する。表14中の全ての試験布地フレッシュニング組成物を製造方法に記載の通り調製し、その濁度結果を以下の表15に示す。
【0150】
【表13】
【0151】
【表14】
【0152】
表15に示されるように、本発明のサンプルNは、0.03%の量のプレミックス及びエトキシル化フェノールと香料との比0.25:1を有することが、プレミックスを含まない比較サンプルL(NTU値18)と比較して改善された濁度結果(NTU値9)を提供することを示す。更に、本発明のサンプルは、0.12%の量のプレミックスを含む比較サンプルM(NTU値21)と比べて改善された濁度結果を示す。
【0153】
(実施例V)
表16は、試験方法において上述した濁度の試験方法に従って評価する布地フレッシュニング組成物について記載する。
【0154】
【表15】
【0155】
上記の結果は、香料サンプル3を可溶化するために6~15の平均エトキシル化度を有するエトキシル化フェノール、すなわち、PRMの約80%が3~10のClogPを有する香料の使用が、改善された濁度結果を示すことを示す。
【0156】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、そのような寸法は各々、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【0157】
相互参照される又は関連する任意の特許又は特許出願、及び本願が優先権又はその利益を主張する任意の特許出願又は特許を含む、本明細書に引用される全ての文書は、除外又は限定することを明言しない限りにおいて、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いかなる文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求される任意の発明に対する先行技術であるとはみなされず、あるいはそれを単独で又は他の任意の参考文献(単数又は複数)と組み合わせたときに、そのようないかなる発明も教示、示唆又は開示するとはみなされない。更に、本文書における用語の任意の意味又は定義が、参照により組み込まれた文書内の同じ用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合、本文書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0158】
本発明の特定の実施形態を例示及び説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な他の変更及び修正を行うことができる点は当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にある全てのそのような変更及び修正を添付の特許請求の範囲に網羅することが意図される。