(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-08
(45)【発行日】2024-03-18
(54)【発明の名称】2(1H)-ピリジノン類及び炎症状態を治療するためのそれらの使用
(51)【国際特許分類】
A61K 8/49 20060101AFI20240311BHJP
A61Q 5/00 20060101ALI20240311BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20240311BHJP
A61Q 11/00 20060101ALI20240311BHJP
A61K 31/4412 20060101ALI20240311BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20240311BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240311BHJP
C07D 213/64 20060101ALI20240311BHJP
【FI】
A61K8/49
A61Q5/00
A61Q19/00
A61Q11/00
A61K31/4412
A61P17/00
A61P29/00
C07D213/64 CSP
(21)【出願番号】P 2021567844
(86)(22)【出願日】2020-04-30
(86)【国際出願番号】 EP2020062130
(87)【国際公開番号】W WO2020229199
(87)【国際公開日】2020-11-19
【審査請求日】2023-02-28
(32)【優先日】2019-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2019/086910
(32)【優先日】2019-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521042714
【氏名又は名称】ユニリーバー・アイピー・ホールディングス・ベスローテン・ヴェンノーツハップ
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100202267
【氏名又は名称】森山 正浩
(74)【代理人】
【識別番号】100182132
【氏名又は名称】河野 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100172683
【氏名又は名称】綾 聡平
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】チェン,グオチャン
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ユードン
(72)【発明者】
【氏名】ホアン,ダンダン
【審査官】相田 元
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-253028(JP,A)
【文献】米国特許第4451469(US,A)
【文献】米国特許第3655897(US,A)
【文献】米国特許第3754088(US,A)
【文献】国際公開第00/67699(WO,A2)
【文献】Gilbert A. YOUNGDALE and Thomas F. OGLIA,1,2-Dihydro-2-oxo-6-(2,2-dimethylpropyl)-3-pyridinecarboxylic acid. Analogues, and derivatives. A new class of oral hypoglycemic agents.,JOURNAL OF MEDICINAL CHEMISTRY,米国,ACS Publications,1985年,Vol.28,1790-1796
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
A61K 31/4412
A61P 17/00
A61P 29/00
C07D 213/64
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アミド型A又はエノール型Bで存在し得る式1の化合物。
【化1】
【請求項2】
前記式1の化合物がエノール型Bである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の化合物及び化粧品として許容される担体を含む化粧品組成物。
【請求項4】
前記化合物の量が0.01~10重量%である、請求項3に記載の化粧品組成物。
【請求項5】
前記組成物がヘアケア組成物である、請求項3又は4に記載の化粧品組成物。
【請求項6】
前記組成物が、シャンプー、ヘアコンディショナー、ヘアクリーム、ヘアジェル、ヘアセラム、ムース又はヘアオイルである、請求項5に記載のヘアケア組成物。
【請求項7】
i)ピロクトンオラミンを有機溶媒又は少なくとも一つの界面活性剤を含む水に溶解させることによりピロクトンオラミンの溶液を調製する工程;
ii)前記溶液をUVチャンバー内で100mW~2000mWのUV放射に0.5時間~8時間さらして、ピロクトンオラミンの分解を引き起こし、前記ピロクトンオラミンの分解生成物を形成する工程;
iii)ピロクトンオラミンの前記分解生成物をクロマトグラフィー技術で分離して、前記式1の化合物を得る工程
を含む、請求項1又は2に記載の式1の化合物の調製方法。
【請求項8】
ヒト又は動物の局所表面の炎症を軽減する非治療的方法であって、請求項1又は2に記載の化合物を前記表面上に適用する工程を含む方法。
【請求項9】
ヒト又は動物の局所表面の炎症を軽減する非治療的方法であって、請求項3~6のいずれか1項に記載の組成物を前記表面上に適用する工程を含む方法。
【請求項10】
ヒト又は動物の皮膚、又は頭皮若しくは口腔の炎症状態を治療するのに使用するための、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項11】
ヒト又は動物の皮膚、又は頭皮若しくは口腔の炎症状態を治療するのに使用するための、請求項3~6のいずれか1項に記載の化粧品組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規化合物及びその製造方法に関する。本発明はさらに、炎症を予防又は軽減する化粧品組成物に関する。当該組成物は、頭皮、毛髪、皮膚、又はオーラルケア製品の形で供給することができる。
【背景技術】
【0002】
炎症は、有害刺激に対する複雑な生物学的宿主応答であり、宿主が刺激を除去し、自己防衛のための治癒プロセスを開始する機序である。宿主の自然免疫系は、非特異的な形で侵入する生物に対する防御の第一線である。調節不全の炎症は、フケ(頭皮/髪の毛での)、湿疹/にきび(皮膚での)、及び歯肉炎/歯周炎(口腔で)などの各種パーソナルケア上の問題を引き起こす可能性がある。宿主生物(例えば、ヒト又は動物)を支援するために、局所適用又は経口摂取のいずれかによるいくつかの抗炎症剤が開発され、上記の問題を軽減するために使用されてきた。
【0003】
フケは、世界中の多くの人々が経験している状態である。フケの状態は、皮膚の剥離などの軽度の症状から、頭皮の重度の炎症及びかゆみまで多様である。癜風菌(Malassezia furfur)などのマラセチア酵母が、フケの主な原因であると一部の人は考えており、これはその状況の完全な科学像を表していない可能性があるが、マラセチア酵母はフケと密接に関連しているように思われる。したがって、フケの治療に従来使用されている戦略は、通常シャンプーを介して送達されるジンクピリチオン(ZnPTO)、ピロクトンオラミン、クリンバゾール及びケトコナゾールなどの抗真菌剤の局所適用である。さらに、この状態の悪影響を軽減するために、抗炎症剤もフケ防止製品に使用されてきた。
【0004】
皮膚での、特に顔での多くの人が経験する問題の一つはにきびである。これは不快な美容上の外観を有するものである。にきびは、尋常性痒疹としても知られ、人生のある時期にほぼすべての青年及び成人に影響を与える一般的な皮膚状態である。それは、異常な角質化、過剰な皮脂産生、アンドロゲン機能、細菌増殖、及び免疫過敏症が関与する複雑な病因を有する。上記のプロセスの1以上がにきびと相関しているが、一つの誘発因子と、にきび病変の形成につながる正確な一連の事象は完全には理解されていない。にきびに関連付けられてきた他の因子は、フリーラジカルの存在であり、それに続く酸化ストレスによって細胞の損傷に至る。にきびは通常、顔、首、背中のような皮脂腺が豊富な領域で生じることが観察されている。細菌プロピオニバクテリウム・アクネス(Propionibacterium acnes(P.acnes)もにきびの発生で示唆されている。
【0005】
にきびは多くの方法で治療されてきた。ほとんどの治療は、顕著な変化が見られるまでに数週間から数ヶ月かかる。抗菌効果のある過酸化ベンゾイルは、軽度のにきびの症例に使用されており、さらなるにきびの形成を予防すると考えられている。非常に重症のにきびでは、テトラサイクリン、エリスロマイシン及びクリンダマイシンなどの抗生物質が使用されている。抗生物質はいくつかの機序によって機能すると考えられているが、最も重要なのは毛包内及び毛包周囲の細菌数の減少である。それらはまた、皮脂中の白血球によって生成される刺激性の化学物質を減らし、それによって炎症応答を減らすと考えられている。
【0006】
歯肉炎は、歯垢及び/又は細菌の蓄積によって引き起こされる歯茎の炎症プロセスである。歯肉炎の間、歯垢バイオフィルムに存在する細菌及びそれの相当する成分が歯肉組織と相互作用する。その後、炎症誘発性サイトカインの放出を特徴とする自然免疫応答が活性化される。歯肉炎は歯周病の軽度の相であり、可逆的炎症と定義されている。口腔衛生の良い習慣、例えば歯磨き及び治療的な抗菌及び抗炎症効力を有するうがい薬製品の使用が、歯肉炎を引き起こす歯垢の蓄積を減らすための個人が行う効果的方法であり得ると考えられている。
【0007】
慢性歯肉炎は、歯磨きの際に歯茎から軽度の出血を引き起こす。歯肉炎は、炎症過程が歯根膜及び歯槽骨にまで及ぶ場合、及び/又は健康に重大な全身的影響を与える場合、より重篤な状態(慢性歯周炎)に進行する可能性がある。慢性歯周炎は、歯がずれたり、緩んだり、失われたりするまで無症候性である。
【0008】
したがって、炎症は、上記の状態の一つ又はすべてで人体又は動物の身体の局所表面に現れるプロセスである。新しい活性物質を開発するだけでなく、相乗的な抗炎症効果を示す活性物質の組み合わせを探求することによって、上記の状態の症状を緩和しようという試みがこれまでなされてきた。
【0009】
ピロクトンオラミン(オクトピロックス(登録商標)としても知られている)は、真菌感染症の治療に多用される化合物である。ピロクトンオラミンは、ヒドロキサム酸誘導体であるピロクトンのエタノールアミン塩である。それは、一般的に使用される化合物ジンクピリチオンの代わりとして、フケ防止シャンプーで多用される。ピロクトンオラミンは光不安定性であり、光にさらされると製品の色が黄色に変わることがよく知られている。
【0010】
DE102007045241A1(Beiersdorf AG)は、ベンズアルデヒド類及び/又はアルカンジオール類及び/又はトリオール類の群から選択される1以上のピロクトンオラミン及び1以上の安定剤を含む化粧品又は皮膚科調製物を開示している。
【0011】
Spec-Chem Ind.からのピロクトンオラミンの紹介記述により、ピロクトンオラミンを含むヘアケア組成物、及びピロクトンオラミンのフケ防止及び抗菌効力が開示されている。
【0012】
Clariantからのフケ防止有効成分オクトピロックス(登録商標)の紹介文が、オクトピロックス(登録商標)が光の下で不安定であることを開示している。それはまた、オクトピロックス(登録商標)を含む組成物及びオクトピロックス(登録商標)の製造も開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、驚くべきことに、ピロクトンオラミンの分解生成物の一つであり、抗炎症活性物質として機能することができる新規化合物を見出した。
【0015】
第1の態様によれば、式1の化合物が開示される。
【化1】
【0016】
第2の態様によれば、
i)ピロクトンオラミンを有機溶媒又は界面活性剤水溶液に溶解させることによりピロクトンオラミンの溶液を調製する工程;
ii)前記溶液をUVチャンバー内で100mW~2000mWのUV光に0.5時間~8時間さらして、ピロクトンオラミンの分解を引き起こし、前記ピロクトンオラミンの分解生成物を形成する工程;
iii)ピロクトンオラミンの前記分解生成物をクロマトグラフィー技術で分離して、前記式1の化合物を得る工程
を含む、第1の態様の化合物の調製方法が開示される。
【0017】
別の態様によれば、第1の態様の化合物及び化粧品として許容される基剤を含む化粧品組成物が開示される。
【0018】
本発明の別の態様によれば、ヒト又は動物の皮膚、又は頭皮若しくは口腔の炎症状態を治療する方法であって、第1の態様の化合物をそれらの上に適用する工程を含む方法が開示される。
【発明を実施するための形態】
【0019】
誤解を避けるために、本発明の一態様のあらゆる特徴を、本発明のあらゆる他の態様で利用することができる。「含む(comprising)」という言葉は、「含む(including)」を意味することを意図しているが、必ずしも「からなる(consisting of)」又は「構成されている(composed of)」とは限らない。言い換えれば、列記された工程又は選択肢は網羅的である必要はない。留意すべき点として、下記の説明に記載されている例は、本発明を明確にすることを意図するものであり、本発明をそれらの例自体に限定することを意図していない。同様に、別断の断りがない限り、全てのパーセントは重量/重量パーセントである。実施例及び比較例を除いて、又は別断で明瞭に示されている場合を除き、材料の量又は反応条件、材料の物性及び/又は使用を示す本明細書及び特許請求の範囲における全ての数字は、「約」という語によって修飾されているものと理解されるべきである。「xからyまで」の形式で表される数値範囲は、x及びyを含むものと理解される。特定の特徴について、複数の好ましい範囲が「xからyまで」の形式で記述される場合、異なるエンドポイントを組み合わせた全ての範囲も想到されることは明らかである。本明細書に記載のように、不定冠詞「一つの(a)」又は「一つの(an)」及びそれに対応する定冠詞「その(the)」は、別段の指定がない限り、少なくとも一つ、又は1以上を意味する。上記の個々のセクションで言及されている本発明の各種特徴は、適宜に、必要な変更を加えて他のセクションに適用される。結果的に、あるセクションで指定された特徴は、適宜に他のセクションで指定された特徴と組み合わせることができる。セクションの見出しは便宜上加えられたものであり、いかなる形でも開示内容を限定する意図はない。
【0020】
本明細書で使用される「化粧品組成物」とは、哺乳動物、特にヒトの皮膚への局所適用のための組成物を含むことを意味する。そのような組成物は、一般に、リーブオン又はリンスオフとして分類され得るが、好ましくは、リーブオンタイプのものである。当該組成物は、配合を立てて、特に外観を改善するために人体に適用される製品とされるが、さらに、クレンジング、臭気制御又は全般的美容も提供し得る。本発明の組成物は、液体、ローション、クリーム、フォーム、スクラブ、ジェル又はトナーの形態であることができるか、器具を用いて、又はフェイスマスク若しくはパッドを介して適用することができる。そのような組成物の非限定的な例には、リーブオンスキンローション、クリーム、制汗剤、デオドラント、リップスティック、ファンデーション、マスカラ、サンレス・タナー及び日焼け止めローションなどがある。本発明の組成物は、好ましくはリーブオン組成物である。本明細書で使用される「皮膚」は、顔及び身体(例えば、首、胸、背中、腕、脇の下、手、脚、臀部及び頭皮)の皮膚、特にそれらの日光に曝される部分の皮膚などを意味するものである。
【0021】
本明細書で使用される「ヘアケア組成物」とは、哺乳動物、特にヒトの毛髪又は頭皮への局所適用のための組成物を含むことを意味する。局所とは、組成物が体の外面に適用されることを意味する。本発明において、これは、組成物を毛髪又は頭皮に適用することによって達成される。そのような組成物は、一般に、リーブオン又はリンスオフとして分類することができるものであり、頭皮及び毛髪の外観、クレンジング、臭気抑制又は全般的美容を改善するために適用される製品を含む。本発明のヘアケア組成物は、液体、ローション、クリーム、フォーム、スクラブ、ジェル、シャンプー、コンディショナー、シャワージェル又はバーの形態であることができる。本発明のヘアケア組成物は、好ましくは、リーブオン組成物である。あるいは、本発明のヘアケア組成物は、ウォッシュオフ組成物である。人体への取り込みによって所望の利益を達成するための組成物は、本発明の範囲から除外される。
【0022】
新規化合物
本発明による化合物は式1の化合物であり、これは、アミド形態A又はエノール形態Bで存在し得る。
【化2】
【0023】
式1の化合物がエノール形態のものであることが特に好ましい。
【0024】
組成物のpHは、式1の化合物の構造に影響を与え得るものである。pHが7未満の場合、アミド形態が支配的であり、pHが7より大きい場合、エノール形態が支配的である。
【0025】
本発明の式1の化合物は、
i)ピロクトンオラミンを有機溶媒又は少なくとも一つの界面活性剤を含む水に溶解することにより、ピロクトンオラミンの溶液を調製する工程;
ii)前記溶液をUVチャンバー内で100mW~2000mWのUV光に0.5時間~8時間さらして、ピロクトンオラミンの分解を引き起こし、前記ピロクトンオラミンの分解生成物を形成する工程;
iii)ピロクトンオラミンの前記分解生成物をクロマトグラフィー技術で分離して、前記式1の化合物を得る工程
を含む方法によって調製することができる。
【0026】
工程ii)において、前記溶液をUV放射下にさらす時間は、UV照射の強度によって決まる。UV照射の強度は少なくとも100mWでなければならない。100mWのUV光にさらされる場合、約8時間を要する。
【0027】
工程(i)の有機溶媒はアルコールであることが好ましい。工程(i)の有機溶媒は、メタノール又はエタノールであることがより好ましい。
【0028】
工程(i)の界面活性剤水溶液は、アニオン性界面活性剤又はノニオン性界面活性剤を含むことが好ましい。
【0029】
工程iii)で使用されるクロマトグラフィー技術は、分取LCカラムを用いる分取液体クロマトグラフィー(pre-LC)、又はカラムクロマトグラフィー、又は薄層クロマトグラフィー(TLC)から選択されることが好ましい。
【0030】
工程iii)で用いられるクロマトグラフィー技術は、分取LCカラム(Shiseido、20×250mm、5μm)を用いる分取液体クロマトグラフィー(pre-LC)であることが特に好ましい。好ましい方法を以下に説明する。
【0031】
カラムは、15mL/分(2回目の精製では5mL/分)の流量でメタノールと水で溶離する。溶離液は一連のサンプル管に連続的に回収する(15mL/管)。分取クロマトグラフィーで分離した後、各サンプル管の溶出液をHPLC-UVを用いて分析する。式1の化合物を含有することが確認された溶出液管を回収し、乾燥させて、式1の化合物を粉末形態で得る。
【0032】
この化合物が調製されたら、それは、化粧品組成物の重量で0.01~10重量%、好ましくは0.1~5重量%、より好ましくは0.5~2.5重量%で含まれる。
【0033】
本発明の組成物は、化粧品として許容される担体を含む。本発明の組成物は、頭皮、ヘアケア、皮膚、又はオーラルケア製品としての使用に適するように調製することができる。当該製品は、固体、軟質固体、液体、乳濁液、マイクロエマルジョン、ローション、クリーム、ジェル、又はエアロゾルの形態で供給することができる。
【0034】
ヘアケア組成物
本発明のさらなる態様によれば、第1の態様の複合粒子を含むヘアケア組成物が開示される。好ましくは、当該組成物は、シャンプー、ヘアコンディショナー、ヘアクリーム、ヘアジェル、ヘアセラム、ムース又はヘアオイルである。より好ましくは、当該組成物はシャンプー組成物である。
【0035】
本発明の組成物、特にシャンプーは、アニオン性界面活性剤、例えば硫酸アルキル及び/又はエトキシ化硫酸アルキル界面活性剤が配合される。これらのアニオン性界面活性剤は、好ましくは、組成物の1~20%、好ましくは2~16重量%、さらに好ましくは3~16重量%のレベルで存在する。好ましい硫酸アルキルは、硫酸C8-18アルキル、より好ましくは硫酸C12-18アルキルであり、好ましくはナトリウム、カリウム、アンモニウム又は置換アンモニウムなどの可溶化カチオンとの塩の形態である。
【0036】
好ましいアルキルエーテルサルフェートは、式:RO(CH2CH2O)nSO3Mを有するものである。
ここで、Rは、8~18(好ましくは12~18)の炭素原子を有するアルキル又はアルケニルであり;nは、少なくとも0.5より大きく、好ましくは1~3、より好ましくは2~3の平均値を有する数であり;Mは、ナトリウム、カリウム、アンモニウム又は置換アンモニウムなどの可溶化カチオンである。例として、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(SLES)がある。好ましいエトキシ化硫酸アルキルアニオン性界面活性剤はラウリルエーテル硫酸ナトリウム(SLES)である。0.5~3、好ましくは1~3の平均エトキシ化度を有するSLESが特に好ましい。
【0037】
本発明によるシャンプー組成物は、化粧品として許容され、毛髪への局所適用に適した1以上のさらなるアニオン性クレンジング界面活性剤を含み得る。
【0038】
本発明の組成物は、好ましくは、両性界面活性剤、好ましくはベタイン界面活性剤、好ましくはアルキルアミドプロピルベタイン界面活性剤、例えばコカミドプロピルベタインをさらに含む。好ましい実施形態では、当該組成物は、0.1~10重量%、好ましくは0.5~8重量%、より好ましくは1~5重量%のベタイン界面活性剤を含む。
【0039】
本発明の組成物、特にシャンプーからの活性物質の沈着を促進するため、カチオン性ポリマーを一般にそれに含ませる。本発明においても、当該組成物はさらに、0.01~2.0%のカチオン性ポリマーを含むことが好ましい。そのカチオン性ポリマーは、好ましくはグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドである。グアーポリマーは主にガラクトマンナンポリマー鎖を含んでいる。このポリマーは、グアーがどの程度加水分解及びカチオン化されたかによって、多様な分子量及びカチオン置換度で入手できる。そのカチオン性ポリマーは、好ましくは、組成物の0.04~0.5重量%、より好ましくは0.08~0.25重量%で存在する。
【0040】
コンディショニングの利点が本発明の組成物を通してもたらされる場合、その組成物はヘアコンディショナーと呼ばれる。代表的には、ヘアケア組成物に使用される最も一般的なコンディショニング剤は、鉱油などの水不溶性の油性材料、トリグリセリド類などの天然オイル、及びシリコーンポリマーである。コンディショニングの利点は、油性物質が髪に沈着して膜の形成をもたらすことによって達成され、それによって、濡れたときに髪を梳かしやすくし、乾いたときに髪を扱いやすくする。特に有用なコンディショニング剤は、シリコーン化合物、好ましくは不揮発性シリコーン化合物である。有利には、本明細書の組成物は、1以上のシリコーンを含み得る。シリコーンは、分散又は懸濁した粒子形態で見られるコンディショニング剤である。それらは、髪に沈着させることを目的とし、水で髪をすすいだ後に残っている。適したシリコーンオイルには、ポリアルキルシロキサン類、ポリアリールシロキサン類、ポリアルキルアリールシロキサン類、ポリエーテルシロキサンコポリマー類及びそれらの混合物などがある。アミノシリコーンは、多くの場合、シャンプー組成物で配合される。アミノシリコーンは、少なくとも一つの一級アミン、二級アミン、三級アミン又は四級アンモニウム基を含有するシリコーンである。高分子量のシリコーンガムも利用できる。別の有用な種類は、ジメチコン/ビニル/ジメチコンクロスポリマー(例えば、Dow Corning9040及び9041)などの架橋シリコーンエラストマーである。
【0041】
存在する組成物中のシリコーンの量は、ヘアケア組成物の重量で約0.1~約10重量%、好ましくは約0.1~約8重量%、より好ましくは約0.3~約5重量%の範囲であり得る。
【0042】
組成物のpHは、好ましくは4.0以上であり、より好ましくは5.0~7.0の範囲である。
【0043】
ヘアコンディショニング組成物は、通常、単独で又は混合して使用されるカチオン性界面活性剤から選択されるコンディショニング界面活性剤を含む。本発明によるコンディショナー組成物での使用に適したカチオン性界面活性剤には、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド、セチルピリジニウムクロリド、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムクロリド、オクチルトリメチルアンモニウムクロリド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド、オクチルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、デシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ステアリルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ジドデシルジメチルアンモニウムクロリド、ジオクタデシルジメチルアンモニウムクロリド、タロウトリメチルアンモニウムクロリド、二水素化タロウジメチルアンモニウムクロリド(例えば、Akzo NobelのArquad2HT/75)、ココトリメチルアンモニウムクロリド、PEG-2-オレアンモニウムクロリド及びそれらの相当する水酸化物などがある。さらなる適したカチオン性界面活性剤には、CTFA呼称がQuaternium-5、Quaternium-31、及びQuaternium-18を有する材料などがある。前述の材料のいずれかの混合物も好適であり得る。本発明によるコンディショナーでの使用のための特に有用なカチオン性界面活性剤は、例えば、Hoechst CelaneseからGENAMIN CTACとして市販されているセチルトリメチルアンモニウムクロリドである。本発明によるコンディショナーでの使用するための別の特に有用なカチオン性界面活性剤は、例えばクラリアントからGENAMIN KDMPとして市販されているベヘニルトリメチルアンモニウムクロリドである。さらに別の好ましいカチオン性界面活性剤は、ステアラミドプロピルジメチルアミンである。
【0044】
組成物で使用するのに最も好ましいカチオン性界面活性剤は、ステアラミドプロピルジメチルアミン、ベヘントリモニウムクロリド、又はステアリルトリメチルアンモニウムクロリドである。本発明のコンディショナーにおいて、カチオン性界面活性剤のレベルは、一般に、組成物の0.1~5重量%、好ましくは0.5~2.5重量%の範囲である。
【0045】
本発明のヘアコンディショニング組成物はまた、好ましくは、脂肪アルコールをさらに含み得る。コンディショニング組成物における脂肪アルコール及びカチオン性界面活性剤の併用が、カチオン性界面活性剤が分散されるラメラ相の形成をもたらすので、特に有利であると考えられている。
【0046】
代表的な脂肪アルコールは、8~22個の炭素原子、より好ましくは16~22個の炭素原子を含む。脂肪アルコールは、代表的には、直鎖アルキル基を含有する化合物である。適した脂肪アルコールの例には、セチルアルコール、ステアリルアルコール及びそれらの混合物などがある。これらの材料の使用はまた、それらが本発明の組成物の全体的なコンディショニング特性に寄与するという点で有利である。
【0047】
本発明のコンディショナー中の脂肪アルコールのレベルは、一般に、組成物の0.5~10重量%、好ましくは0.1重量%~8重量%、より好ましくは0.2重量%~7重量%、最も好ましくは0.3重量%~6重量%の範囲である。カチオン性界面活性剤の脂肪アルコールに対する重量比は、適切には1:1~1:10、より好ましくは1:1.5~1:8、最適には1:2~1:5である。
【0048】
シャンプーとして又はコンディショナーとして供給されるかどうかにかかわらず、ヘアケア組成物は通常、フケ防止剤を含む。本発明の組成物で使用するための最も好ましいフケ防止剤は、亜鉛系のフケ防止剤、好ましくはジンクピリチオンである。ジンクピリチオンは不溶性金属ピリチオンの種類に属し、下記一般式で表すことができる。
【化3】
ここで、Mは多価金属イオンであり、nはMの価数に相当する。本発明では、Mは亜鉛に相当し、nは2の値を有する。
【0049】
ジンクピリチオンは、局所適用のための組成物での使用に適した任意の粒子形態を有し得る。例えば、ジンクピリチオンは、異なる粒径範囲を有する非晶質又は結晶粒子の形態であることができる。ジンクピリチオンは、例えば、粒子の少なくとも約90%が最大100ミクロン、より好ましくは最大50ミクロン、さらにより好ましくは最大10ミクロン、最も好ましくは5ミクロン以下の粒径を有する粒径分布を有する粒子の形態であり得る。
【0050】
金属ピリチオンの微粒子を生成するための各種方法は、例えば、EP-A-0173259に記載されている。粒径を決定するための適した方法は、その文書に記載されている。不溶性金属ピリチオンは、一つの粒子形態又は2以上の異なる粒子形態から構成され得る。
【0051】
ジンクピリチオンに適した他の粒子形態には、小板及び針状粒子などがある。ジンクピリチオンの小板はEP-A-0034385に記載されており、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。針状粒子は、好ましくは、W099/66886に記載されている種類のものであり、その内容は、参照により本明細書に組み込まれる。針状粒子の場合、好ましくは、粒子の数の少なくとも50%が、1μm~50μmの長さを有する針状粒子である。
【0052】
組成物に組み込まれる金属ピリチオンの量は、組成物の種類及び使用される材料の正確な性質によって決まり得る。ピリチオンの好ましい量は、組成物全体の約0.01重量%~約1.5重量%、より好ましくは全組成物の約0.05重量%~約1.5重量%である。
【0053】
特にフケ防止シャンプーのための本発明による組成物は、好ましくは、亜鉛化合物をさらに含む。組成物中の追加の亜鉛化合物の存在は、亜鉛系フケ防止剤のフケ防止効果を改善すると考えられている。適切な亜鉛化合物は、酸化亜鉛、クエン酸亜鉛、マロン酸亜鉛、炭酸亜鉛、又はそれらの組み合わせである。亜鉛化合物は、好ましくは、組成物の0.1~3重量%、より好ましくは0.1~1.5重量%で存在する。
【0054】
本発明による組成物はまた、アゾール類、オクトピロックス(登録商標)(ピロクトンオラミン)、硫化セレン、サリチル酸及びそれらの組み合わせから選択されるフケ防止剤を含み得る。アゾール類には、ケトコナゾール及びクリンバゾール、好ましくはクリンバゾールなどがある。
【0055】
アゾール系殺菌剤は、好ましくは組成物の0.01~2重量%、より好ましくは0.025~0.75重量%で含まれる。コナゾール殺菌剤の存在は、ジンクピリチオンの沈着を改善すると考えられている。
【0056】
本発明のヘアケア組成物が化粧品成分を含むことがさらに好ましい。好ましくは、化粧品成分は、シリコーン、フケ防止剤以外の抗菌剤、起泡力増進剤、香料、カプセル化物(例えば、カプセル化芳香剤)、色素、着色剤、顔料、防腐剤、増粘剤、タンパク質、リン酸エステル、緩衝剤、pH調節剤、真珠光沢剤(例えば、マイカ、二酸化チタン、二酸化チタンでコーティングされたマイカ、エチレングリコールジステアレート(INCIグリコールジステアレート))及び/又は乳白剤、粘度調整剤、皮膚軟化剤、日焼け止め、乳化剤、感覚惹起活性物質(例えば、メントール及びメントール誘導体)、ビタミン類、鉱油、エッセンシャルオイル、脂質、天然活性物質、グリセリン、天然毛髪栄養素、例えば植物抽出物、果実抽出物、砂糖誘導体及びアミノ酸、微結晶性セルロース及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0057】
好ましくは、本発明のヘアケア組成物は、組成物全体の重量で0.01~20重量%の少なくとも一つの化粧品成分、より好ましくは0.05~10重量%、さらにより好ましくは0.075~7.5重量%、最も好ましくは0.1~5重量%の少なくとも一つの化粧品成分を含む。
【0058】
本発明のヘアケア組成物はまた、フケ防止活性物質(例えば、ジンクピリチオン)と組み合わせて使用される場合に相乗的抗菌効果を与え、その特性を強化し、癜風菌(Malassezia furfur)の増殖をさらに阻害する相乗的抗菌化合物を含むことができる。これらの化合物の非限定的な例には、アルコール基を有する化合物(例えば、ホノキオール、マグノロール又はペオノール)、ピペラジン類、及び天然植物抽出物に見られるフェノール系化合物、例えばチモールとテルペニオールなどがある。
【0059】
当該組成物は、ビタミンB3化合物をさらに含み得る。好ましいビタミンB3化合物はナイアシンアミドである。
【0060】
ナイアシンアミドは、ケラチノサイトからのAMP(抗菌タンパク質)の分泌で知られている。そうして分泌されたAMPは、例えば、頭皮の免疫力を高める。したがって、ナイアシンアミドを使用すると、抗真菌活性によるだけでなく、ナイアシンアミドの使用による頭皮自体の細菌に対する保護遮蔽を強化することにより、フケ防止効果を高めることができる。この組み合わせは、さらに長期保護、例えば細菌に対する最長24時間の保護を提供することができる。
【0061】
存在する場合、本発明のヘアケア組成物は、組成物の0.1~5重量%、より好ましくは0.5~5重量%、さらに好ましくは0.5~3重量%、最適には1.0~3.0重量%のナイアシンアミドを含むことが好ましい。
【0062】
スキンケア
本発明の組成物は、スキンケアに使用することができる。そのような場合の化粧品として許容される基剤は、液体又は固体の材料であり得る。代表的には、基剤は、中に含まれるすべての範囲を含む組成物の総重量の10~99.9%、より好ましくは20~95%、最も好ましくは40~85重量%の範囲の量で存在する。化粧品として許容される担体が水を含むことが特に好ましい。水は、好ましくは、日焼け止め組成物の総重量の30~90%、より好ましくは30~85%、最も好ましくは30~80%の量で含まれる。水に加えて、適した担体のクラスには、シリコーン、多価アルコール、炭化水素、トリグリセリド、及び増粘粉末などがある。
【0063】
本発明のスキンケア組成物は、皮膚への局所適用に適したトナー、ローション、クリーム、ムース、スクラブ、セラム又はジェルなどの任意の形態であり得る。組成物は、スキンローション、クリーム、制汗剤、デオドラント、リップスティック、ファンデーション、マスカラ、サンレス・タナー及び日焼け止めローションなどのリーブオン製品、又はシャワージェル及びトイレバーなどのリンスオフ製品のいずれかであり得る。当該組成物が、スキンローション又はクリームであることが好ましい。
【0064】
当該組成物は、共溶媒として作用するエモリエントオイルを含み得る。適したエモリエントオイルには、例えば、アルコキシ化芳香族アルコールの脂肪カルボン酸とのエステル、ポリグリコール若しくはジオールと脂肪カルボン酸とのエステル、例えばトリ(カプリル/カプリン酸)グリセリド、脂肪アルコール及び脂肪酸のエステル、ベンジルアルコールのアルコキシ化誘導体及びそれらの混合物などがある。好ましくは、エモリエントオイルは、トリ(カプリル/カプリン酸)グリセリドである。
【0065】
代表的には、そのような組成物は、日焼け止め組成物の総重量に基づいて、そしてそこに含まれるすべての範囲を含んで、0.01~10%、より好ましくは0.1~8%、最も好ましくは1~6%の量の共溶媒を含む。
【0066】
組成物は、無機日焼け止めなどの日焼け止め剤をさらに含み得る。例えば、酸化亜鉛、二酸化チタン、酸化鉄、ヒュームドシリカなどのシリカである。そのような日焼け止め剤の量は、好ましくは、日焼け止め組成物の総重量の0.1~5重量%組み込まれる。
【0067】
本発明の組成物は、ジベンゾイルメタン誘導体、トリアジン誘導体、ベンゾフェノン誘導体及びそれらの混合物からなる群から選択されるUV-A日焼け止め剤を含むことができる。好ましい実施形態では、UV-A日焼け止め剤は、ジベンゾイルメタン誘導体、例えば、ブチルメトキシジベンゾイルメタン(商品名Parsol 1789で販売されている)を含むか、又はそれである。
【0068】
代表的には、本発明の日焼け止め組成物は、組成物の総重量に基づいて、そしてそこに含まれるすべての範囲を含んで、0.1~15重量%のUV-A日焼け止め剤、より好ましくは0.1~10%、最も好ましくは1~5%を含む。
【0069】
本発明の組成物はまた、UV-B日焼け止め剤を含み得る。本発明の好適なUV-B日焼け止め剤は、ベンゾフェノン、アントラニル酸塩、サリチル酸塩、ケイ皮酸塩、樟脳、マロン酸ベンジリデン、トリアゾン、及びそれらの誘導体からなる群から選択される。好ましい実施形態では、UV-B日焼け止め剤は、ケイ皮酸誘導体、例えば、メトキシケイ皮酸エチルヘキシル(商品名Parsol MCXで販売されている)を含むか、又はそれである。
【0070】
代表的には、当該組成物は、組成物の総重量に基づいて、それに含まれるすべての範囲を含んで、0.1~20重量%、より好ましくは0.5~18%、最も好ましくは1~15%のUV-B日焼け止め剤を含む。
【0071】
皮膚美白剤も本発明の組成物に組み込むことができる。
【0072】
最も好ましい美白活性物質は、ビタミンB3化合物である。ビタミンB3化合物は、ナイアシン、ニコチン酸、又はナイアシンアミド、好ましくはナイアシンアミドであることができる。ナイアシンアミドは下記の構造を有する。
【化4】
【0073】
ナイアシンアミドは、好ましくは、組成物の0.01~5重量%、より好ましくは0.1~3重量%で存在する。ビタミンB3及びそれの誘導体以外の適切な皮膚美白剤は、コジン酸、アルブチン、トラネキサミン酸、胎盤抽出物、アスコルビン酸及びそれの誘導体(例えば、リン酸アスコルビルマグネシウム、リン酸アスコルビルナトリウム、アスコルビルグルコシド、及びアスコルビルテトライソパルミテート)、アロエ抽出物、乳酸アンモニウム、アゼライン酸、クエン酸エステル、エラグ酸、グリコール酸、緑茶抽出物、ハイドロキノン、レモン抽出物、リノール酸、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンAのようなビタミン類、ジカルボン酸、レゾルシノール誘導体、乳酸のようなヒドロキシカルボン酸及びそれの塩(例えば、乳酸ナトリウム)又はそれらの混合物である。代表的には、皮膚美白剤は、その中に含まれるすべての範囲を含む組成物の総重量の0.1~10%、より好ましくは0.2~5%、最も好ましくは0.3~3%の量で存在する。
【0074】
スキンケア組成物の特定の種類は、デオドラント組成物として知られているものである。これらは、大まかに言えば、二つの方法の一方によって、美容的及び局所的に皮膚に適用することができる。異なる消費者が一方又は他方の方法を好む。接触法と呼ばれることもある一つの方法では、組成物を皮膚の表面全体にわたって拭き上げて、通過時に組成物の一部を沈着させる。非接触法と呼ばれることもある第2の方法では、組成物は、皮膚に近接して、多くの場合10~20cmの領域に保持されたディスペンサーから吹付けられる。スプレーは、ポンプ又は圧搾可能な側壁などのディスペンサーの内容物に圧力を発生させる機械的手段によって、又は揮発する液化推進剤の一部から生じる内部生成圧力によって展開させることができ、そのディスペンサーは一般にエアロゾルと呼ばれる。
【0075】
大まかに言えば、接触組成物には2種類があり、そのうちの一つは液体であり、通常はロールオンディスペンサーを使用して適用されるか、又はおそらくワイプ内又はワイプ上に吸収され、第2の種類では、ゲル化した連続相を形成する担体液内に所望の活性物質が分布している。一つの変形形態では、担体流体は、所望の活性物質のための溶媒を含み、第2の変形形態では、活性物質は、オイル、通常はオイルのブレンドに懸濁される粒子状固体として残る。
【0076】
スティック又は軟質固体組成物
ワックス、小分子ゲル化剤およびポリマーなど、多くの異なる材料が連続油相のゲル化剤として提案されている。それらにはそれぞれ利点があり、その中で最も一般的な種類のゲル化剤の一つは、部分的に少なくとも容易に入手できること及び処理が容易であるために、特には直鎖脂肪アルコールワックスゲル化剤などのワックスを含むものであった。ゲル化したデオドラント組成物は、皮膚全体に、そして皮膚と接触して拭きあげることによって皮膚に局所適用され、それによって皮膚上に薄い膜を堆積させる。
【0077】
膜の性質は、かなりの程度、使用されるゲル化剤によって決まる。ワックス脂肪アルコールは、長年ゲル化剤として使用されており、ゲル化に効果的であるが、得られる生成物は、組成物が適用される皮膚、特に脇の下の皮膚の視覚的外観を改善するにはあまり効果がない。この問題は、例えば、二価又は多価保湿剤及び/又はトリグリセリドオイルなどの改善材料を含めることによって解決されている。
【0078】
ロールオン
ロールオンから適用できる液体組成物は、大まかには、2種類に分けることができる、すなわち、活性物質が揮発性シリコーンなどの疎水性担体に懸濁されているものと、活性物質が担体液体に溶解しているものである。後者の方がより一般的であることが証明されている。溶解性担体液には主として2種類があり、すなわち主にアルコール性である、すなわち溶解性担体流体の大部分がエタノールを含む担体と、担体液が主として水である第2のクラスである。前者は、エタノールが本来的に温和な殺菌剤であることから非常に一般的であったが、特にひげ剃りその他の除毛操作の際に容易に生じ得る組成物が適用された表面が損傷又は切れた場合、それが痛みを引き起こすことから、それの人気は低下した。
【0079】
アルコール配合物の代替である第2の種類の配合物は、活性物質の水溶液中の水不溶性又は非常に難水溶性の成分の分散液を含む。本明細書では、そのような組成物は乳濁液と呼ばれる。ロールオン乳濁液は、一般に、水溶性成分の分布を維持するために1以上の乳化剤を含む。
【0080】
エアロゾル組成物
デオドラント組成物は、上記の他の成分に加えて推進剤を含むエアロゾルによって送達することができる。一般的に、推進剤は、ベース配合物に対して95:5~5:95の重量比で使用される。推進剤に応じて、そのようなエアロゾル組成物では、推進剤のベース配合物に対する比は、通常、少なくとも20:80、一般に少なくとも30:70、特には少なくとも40:60であり、多くの配合物において、その重量比は90:10~50:50である。場合により、70:30~90:10の比の範囲が好ましい。
【0081】
本明細書における推進剤は、一般に、次の3クラス:i)圧縮によって液化された低沸点ガス、ii)揮発性エーテル、及びiii)圧縮非酸化性ガスのうちの一つと一致する。
【0082】
クラスi)は簡便には低沸点材料であり、代表的には-5℃以下、多くの場合-15℃以下で沸騰し、特にアルカン及び/又はハロゲン化炭化水素である。このクラスの推進剤は通常、エアゾール缶内の圧力で液化され、組成物を缶から排出するために蒸発して圧力を生じる。適切なアルカンの例には、特にはプロパン、ブタン又はイソブテンなどがある。第2のクラスの推進剤は、非常に揮発性のエーテルを含み、そのうちでこれまで最も広く使用されてきたエーテルはジメチルエーテルである。この推進剤は、比較的低い推進剤のベース配合物に対する重量比で、例えば5:95という低い重量比で有利に使用することができる。それは、例えば、圧縮性/液化性アルカンガスとの混合物として使用することもできる。第3のクラスの推進剤は、圧縮された非酸化性ガス、特に二酸化炭素又は窒素を含む。ネオンのような不活性ガスが、理論上の代替物である。
【0083】
スキンケア組成物はまた、物理的特性及び性能を高めるために当技術分野で一般的である他の成分を含み得る。適切な成分には、保湿剤、増粘剤、乳白剤、結合剤、着色剤及び顔料、pH調節剤、防腐剤、光学系、香料、粘度調整剤、生物学的添加剤、緩衝剤、コンディショナー、天然抽出物、エッセンシャルオイル及び美肌成分、例えば抗炎症剤、冷却剤、制汗剤、老化防止剤、抗にきび剤、抗菌剤及び抗酸化剤などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0084】
オーラルケア
パーソナルケア組成物がオーラルケア用に供給される場合、それは、研磨剤、増粘剤、保湿剤又は口腔的に許容される界面活性剤であることができる化粧品として許容される基剤を含む。製品は、軟膏、ジェル、歯磨き剤、又はマウスウォッシュの形で供給することができる。
【0085】
オーラルケア組成物は、好ましくは研磨剤を含む。ゲルは通常シリカを含むが、不透明クリームは通常、カルシウムベースの研磨剤、特にチョークを含む。
【0086】
好ましい練り歯磨き組成物は、5~60重量%のカルシウムベース研磨剤を有する。より好ましい組成物では、それは30~60重量%であり、さらに好ましくは35~55重量%である。最適な組成は、40~55重量%のカルシウムベース研磨剤を有する。
【0087】
好ましい研磨剤は、チョークの一形態である微粉砕天然チョーク(FGNC)である。それは石灰岩又は大理石から得られる。FGNCはまた、熱処理による粉砕時又は粉砕後のコーティングによって化学的又は物理的に変性され得る。代表的なコーティング材料には、ステアリン酸マグネシウム又はオレイン酸マグネシウムなどがある。FGNCの形態はまた、異なる粉砕技術、例えば、ボールミル粉砕、空気分級機粉砕又はスパイラルジェット粉砕を使用することによって、粉砕プロセス時に変性され得る。
【0088】
FGNCは、唯一のカルシウムベースの研磨剤として使用できる。しかしながら、FGNCは、摩耗の若干のバランスをとるために、他のカルシウムベース研磨剤と一緒に使用することもできる。通常、チョークの粒径は1~60μmであり、好ましい粒径は1~15μmの範囲である。
【0089】
他の好ましいカルシウムベースの研磨剤には、リン酸二カルシウム(DCP)、ピロリン酸カルシウム、及び沈降炭酸カルシウム(PCC)などがあり、これらは、好ましくは25~55重量%、より好ましくは35~50重量%で含まれる。
【0090】
カルシウムベースの研磨剤の組み合わせが望まれる場合、FGNCが、カルシウムベースの研磨剤の総量の35~100%、より好ましくは75~100%、特には95~100%であることが好ましい。そのような場合、残りは、最も好ましくは、PCCである。
【0091】
意図する摩耗の程度に応じて、他の研磨剤も使用することができる。これらには、アモルファス沈降シリカやシリカゲルなどの合成研磨剤などがある。他の研磨剤には、炭酸マグネシウム、メタリン酸ナトリウム、メタリン酸カリウム、ケイ酸ジルコニウム、メタリン酸カリウム、オルトリン酸マグネシウム、リン酸三カルシウム、オルトリン酸マグネシウム、リン酸三マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸ジルコニウム及びパーライトなどがある。
【0092】
好ましい実施形態では、組成物は増粘剤を含む。本発明で使用できる増粘剤には、カルボキシメチルセルロースナトリウム(SCMC)、ヒドロキシルエチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、トラガカンスガム、アラビアガム、カラヤガム、キサンタンガム、アルギン酸ナトリウム、カラギーナンガム、グアーガム、アイリッシュモス、デンプン、加工デンプン、シリカエアロゲルなどのシリカベースの増粘剤、マグネシウムアルミニウムシリケート(例えば、Veegum(登録商標))、カルボマー(架橋アクリレート)及びそれらの混合物などがある。
【0093】
代表的には、増粘シリカ、ナトリウムカルボキシメチルセルロース及び/又はカルボマーは、本発明の組成物で使用するのに好ましい増粘剤である。カルボマーを使用する場合、少なくとも700,000の重量平均分子量を有するものが望ましく、好ましくは、少なくとも1,200,000の分子量を有するもの、最も好ましくは、少なくとも約2,500,000の分子量を有するものが望ましい。カルボマーの混合物もここで使用することができる。
【0094】
特に好ましい実施形態では、カルボマーは、Synthalen(登録商標)PNC、Synthalen(登録商標)KP又はそれらの混合物である。高分子量の架橋ポリアクリル酸として記載されており、CAS番号9063-87-0によって識別される。これらの種類の材料は、Sigmaのような供給者から市販されている。
【0095】
別の特に好ましい実施形態において、使用されるカルボキシメチルセルロースナトリウム(SCMC)は、SCMC9Hである。それは、カルボキシメチル基がグルコピラノース骨格モノマーのヒドロキシ基に結合したセルロース誘導体のナトリウム塩として記載されており、CAS番号9004-32-4によって識別される。同じものがAlfa Chemのような供給者から入手可能である。
【0096】
増粘シリカは、ゲル練り歯磨きに使用するのに特に好ましい。
【0097】
ゲル練り歯磨きは一般に最大8.5重量%の増粘シリカを含むが、不透明な練り歯磨きは代表的には3~4重量%の増粘シリカを含む。
【0098】
存在する場合、好ましい増粘シリカには、DegussaのAEROSILTシリーズ又はCabot CorporationのCAB-O-SILシリーズ、W. R. Grace & CoからのSYLODENT又はSYLOXシリーズなどのシリカゲル、又はJ. M. Huber CorporationからのZEOTHIX 265などの沈降シリカなどがある。有用なシリカ増粘剤には、ZEODENT 165、ZEODENT 163及び/又は167、及びZEOFREE 153、177及び/又は265シリカなどもあり、これらはすべてJ. M. Huber Corporationから入手できる。他の好ましい増粘シリカには、MFIL、MFIL-P(Madhu Silica, Indiaから)、SIDENT 22S及びAEROSIL 200(例えば、Evonik Industries)、WR Grace & CompanyからのSYLODENT及びPERKASIL増粘シリカ、RhodiaからのTixosil 43及び331、商標SYLOID 244、SYLOID 266、AEROSIL D-200で販売されているものなどの合成微粉砕焼成シリカなどがある。
【0099】
増粘剤は、存在する場合、好ましくは、組成物の0.01~約10重量%、より好ましくは0.1~9重量%、最も好ましくは1.5~8重量%を構成する。
【0100】
適切な保湿剤は、好ましくは、本発明のオーラルケア組成物に使用され、それらには、例えば、グリセリン、ソルビトール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセロール、トリアセチン、鉱油、ポリエチレングリコール(好ましくは、PEG-400)、ブタンジオール及びヘキサンジオールなどのアルカンジオール、エタノール、ペンチレングリコール、又はそれらの混合物などがある。グリセリン、ポリエチレングリコール、ソルビトール又はそれらの混合物が好ましい保湿剤である。
【0101】
保湿剤は、オーラルケア組成物の10~90重量%の範囲で存在し得る。より好ましくは、保湿剤は、組成物の総重量に基づいて、それに含まれるすべての範囲を含めて、組成物の25~80重量%、最も好ましくは45~70重量%を構成する。
【0102】
好ましくは、オーラルケア組成物は、界面活性剤を含む。好ましくは、当該組成物は、組成物の重量で少なくとも0.01%、より好ましくは少なくとも0.1%、最も好ましくは0.5~7%の界面活性剤を含む。適切な界面活性剤には、C8~C18アルキルサルフェート(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)、C8~C18アルキルスルホスクシネート(例えば、ジオクチルナトリウムスルホスクシネート)、C8~C18アルキルスルホアセテート(例えば、ナトリウムラウリルスルホアセテート)、C8~C18アルキルサルコシネート(ナトリウムラウリルサルコシネートなど)、C8~C18アルキルホスフェート(最大10個のエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド単位を含んでいてもよい)及び硫酸化モノグリセリドのナトリウム、マグネシウム、アンモニウム又はエタノールアミン塩などのアニオン性界面活性剤などがある。より好ましくは、界面活性剤は、アニオン性界面活性剤を含むか、アニオン性界面活性剤である。好ましいアニオン性界面活性剤は、ナトリウムラウリルサルフェート及び/又はナトリウムドデシルベンゼンスルホネートである。最も好ましくは、界面活性剤はナトリウムラウリルサルフェートである。
【0103】
他の適切な界面活性剤には、ポリエトキシ化されてもよい脂肪酸ソルビタンエステル、エトキシ化脂肪酸、ポリエチレングリコールのエステル、脂肪酸モノグリセリド及びジグリセリドのエトキシレート、並びにエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックポリマーなどのノニオン性界面活性剤などがある。他の適切な界面活性剤には、ベタイン類又はスルホベタイン類などの両性界面活性剤などがある。上記の材料のいずれかの混合物を使用することもできる。最も好ましい界面活性剤は、アルカリ金属アルキルサルフェート又はベタインである。
【0104】
水は、好ましくは、組成物の総重量の5~95%、特に10~75%、特に10~60%、さらに好ましくは10~45%で含まれ得る。
【0105】
本発明のオーラルケア組成物が練り歯磨き又はゲルである場合、それは代表的には、約30,000~180,000センチポアズ、好ましくは60,000~170,000センチポアズ、最も好ましくは65,000~165,000センチポアズの粘度を有する。
【0106】
本発明のオーラルケア組成物は、物理的特性及び性能を高めるために当技術分野で一般的である各種他成分を含むことができる。これらの成分には、抗菌剤、虫歯予防剤、プラーク緩衝剤、フッ化物源、ビタミン類、植物抽出物、脱感作剤、抗歯石剤、生体分子、香味剤、タンパク質性材料、保存料、乳白剤、着色剤、pH調節剤、甘味料、粒子状研磨材料、高分子化合物、組成物のpH及びイオン強度を緩衝するための緩衝剤及び塩、並びにそれらの混合物などがある。そのような成分は、代表的かつ集合的に、含まれるすべての範囲を含めて組成物の20重量%未満、好ましくは0.0~15重量%、最も好ましくは、組成物の0.01~12重量%を構成する。
【0107】
方法及び使用
本発明は、ヒト又は動物の身体の局所表面の炎症を軽減する非治療的方法であって、第1の態様の化合物をその上に適用する工程を含む方法を提供する。好ましくは、それは化粧品目的のためである。
【0108】
本発明はまた、ヒト又は動物の身体の局所表面の炎症を軽減する非治療的方法であって、第2の態様の組成物をその上に適用する工程を含む方法を提供する。好ましくは、それは化粧品目的のためである。
【0109】
当該方法は、組成物をリーブオン組成物として適用することを含み得る。リーブオン組成物は、所望の皮膚表面に適用され、個人的な洗浄の通常のコース中に、例えばシャワーや入浴時に、その人が皮膚を洗浄するまでその上に残る。あるいは、当該組成物は、それを用いて体表面をきれいにするウォッシュオフ組成物であることができ、この種類の組成物には、石鹸バー、ボディウォッシュ又はフェイスウォッシュ組成物又はシャンプー若しくはヘアコンディショニング組成物などがある。
【0110】
本発明は、ヒト又は動物の皮膚、又は頭皮又は口腔の炎症状態を治療するための第1の態様の化合物の使用を提供する。1態様では、その使用は事実上非治療的であり、好ましくは事実上化粧品である。
【0111】
本発明はまた、ヒト又は動物の皮膚、又は頭皮又は口腔の炎症状態を治療するための第2の態様の組成物の使用を提供する。1態様では、その使用は事実上非治療的であり、好ましくは事実上化粧品である。
【0112】
本発明は、以下の非限定的な実施例によってさらに説明され、そこで、引用されるすべてのパーセンテージは、別断の断りがない限り、総重量に基づく重量基準である。
【0113】
これらの実施例は、本発明を説明することを意図したものであり、本発明をそれらの実施例自体に限定することを意図したものではない。
【実施例】
【0114】
例1
式1の化合物の調製
実験で使用した式1の化合物は、下記の材料、方法及び手順を使用して調製した。
【0115】
UV処理:
オクトピロックス(登録商標)0.05gを透明なガラスバイアル中でメタノール10mLに溶かした。UV照射を、X-Rite(登録商標)(Macbeth)Spectra Light IIIチャンバーで行った。チャンバー内の光の強度は固定した(UVAは250μw/cm2、UVBは110μw/cm2と見積もられた)。ガラスバイアルのUVA及びUVBの透過率は、それぞれ80.3%及び71.9%であった。チャンバー温度は室温(20±2℃)と同じであった。サンプルは、チャンバーの中心近くに配置した。6時間後、サンプルをロータリーエバポレータで濃縮した。
【0116】
分離:
分離は、シリカゲル(200~300メッシュサイズ)60gを充填したシリカゲルカラム(2×48cm、V=150mL)を使用して行った。シリカゲルカラムを活性化し、石油エーテル/酢酸エチル(2/1、v/v)でバランスを取った。シリカゲルカラムに加えた後、UV分解生成物の濃縮混合物を、6mL/分の速度での勾配溶離によって分離した。次に、ロータリーエバポレータで溶媒を蒸発させることにより、本発明内の化合物を回収した。
【0117】
式1の化合物の化学構造の特性決定
元素分析、IR、MS、及びNMR分析を用いて、化合物の化学構造を確認した。
【0118】
化合物の元素分析は、Elementar Vario ELIII元素分析装置で行った。C14H23NOの理論値:C、75.97%;H、10.47%;N、6.33%。測定値:C、75.84%;H、10.50%;N、6.20%。
【0119】
IR分析はThermo Nicolet iN10MX-iZ10 FTIRで行った。化合物は、IR分析の前に臭化カリウムをタブレット化した。結果を以下の表1に示す。
【0120】
【0121】
MS分析は、ポジティブモードでのAgilent 5973N EI-MSを用いて行った。上位7個のMSピークを以下の表2に示し、対応するMSピークのフラグメントをEI-MSでの化合物のフラグメンテーションのスキームに示している。
【0122】
【0123】
EI-MSでの化合物のフラグメンテーション(エノール型を例にとる)
1H NMR及び13C NMR分析は、Bruker AV-600 NMRを使用して実施した。d-クロロホルムを使用して化合物を溶かした。結果(エノール型を例にとる)を以下の表3に示す。
【0124】
【0125】
元素分析、IR、MS、及びNMR分析の上記の結果は、化合物の化学構造が下記のものであることを確認するものである。
【化6】
【0126】
THP-1イン・ビトロアッセイ(THP-1アッセイを使用)における本発明内の化合物の抗炎症効力
以下の手順を用いて、化合物の抗炎症効果を調べた。
THP1-XBlue(商標名)(カタログ番号:thpx-sp、InvivoGen)細胞を、10%FBS、ペニシリン(10U/mL)-ストレプトマイシン(10μg/ML)を補充したRPMI 1640培地で懸濁液として培養した。24ウェルプレートで、72時間にわたり、100nM PMAとともに5×105細胞/ウェルの密度で、細胞を分化させた。次に、細胞を純粋な大腸菌(E. coli)リポ多糖(LPS)及び本発明内の化合物で同時処理した。24時間後、上清を回収し、酵素免疫測定法(ELISA)を使用して、炎症誘発性バイオマーカーとしてのインターロイキン(IL)-6を測定した。
【0127】
pg/mLでのIL-6濃度に関する結果を以下の表4に提供する。
【0128】
【0129】
表4のデータは、広範囲の化粧品組成物に適用可能な本発明による化合物の抗炎症効力を示している。
【0130】
クールホワイト光の下でのオクトピロックス(登録商標)の分解
クールホワイト光処理:
クールホワイト光(CWL)照射は、X-Rite(Macbeth) Spectra Light IIIチャンバー内で行った。室内光を模倣した安定照射を提供するCWLモードを選択した。光の強度は固定されており、UVAは6μw/cm2、UVBは1.5μw/cm2と見積もられた。チャンバー温度は室温(20±2℃)と同じであった。サンプルはチャンバーの中心近くに一列に並べた。24時間後、サンプルをDPS誘導体化後のUPLC-UV分析を使用して定量的に測定される、LCMS(Quatro Micro MSと組み合わせたWater UPLC)によって分析した。
【0131】
分離はUPLC BEH C18カラムで行い、移動相は定組成溶離液中のアセトニトリル/水(60/40、0.1%ギ酸)であった。MS走査には、ポジティブモードでのエレクトロスプレーイオン化を用いた。
【0132】
オクトピロックス(登録商標)の量が減少することが認められることから、それはオクトピロックス(登録商標)の分解がクールホワイト光下で起こっていることを示している。しかしながら、分解生成物中で検出できる式1の化合物はない。オクトピロックス(登録商標)をクールホワイト光(屋内光)に長時間さらした後は、式1の化合物は全くないと結論付けることができる。式1の化合物の調製は、十分な時間にわたる強いUV放射下でのオクトピロックス(登録商標)の曝露を必要とし、それはオクトピロックス(登録商標)の保存条件とは異なるものである。