(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-08
(45)【発行日】2024-03-18
(54)【発明の名称】光学部品
(51)【国際特許分類】
G02B 1/04 20060101AFI20240311BHJP
C08F 110/00 20060101ALI20240311BHJP
【FI】
G02B1/04
C08F110/00
(21)【出願番号】P 2021573002
(86)(22)【出願日】2020-12-14
(86)【国際出願番号】 JP2020046598
(87)【国際公開番号】W WO2021149400
(87)【国際公開日】2021-07-29
【審査請求日】2022-04-04
(31)【優先権主張番号】P 2020008687
(32)【優先日】2020-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005887
【氏名又は名称】三井化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】和佐 英樹
(72)【発明者】
【氏名】藤村 太
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 春佳
(72)【発明者】
【氏名】中村 達也
(72)【発明者】
【氏名】中島 真実
【審査官】池田 博一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/107363(WO,A1)
【文献】特開平05-310845(JP,A)
【文献】特開2005-089743(JP,A)
【文献】特開昭64-054011(JP,A)
【文献】特開平03-205410(JP,A)
【文献】特開昭61-115916(JP,A)
【文献】国際公開第2009/096921(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 1/04
C08F 110/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状オレフィン系共重合体(A)を含む光学部品であって、
前記環状オレフィン系共重合体(A)は、
下記一般式(I)で表される少なくとも1種のオレフィン由来の構成単位(a)と、
下記一般式(II)で表される少なくとも1種の環状オレフィン由来の構成単位(b)と、
下記一般式(III)で表される少なくとも1種の環状オレフィン由来の構成単位(c)と、を有し、
前記構成単位(a)、構成単位(b)および構成単位(c)の合計含有量を100モル%としたとき、前記構成単位(a)の含有量が
35モル%以上49モル%以下であり、
fθレンズ、撮像レンズ、センサーレンズ、プリズムまたは導光板であり、
前記環状オレフィン系共重合体(A)中の前記構成単位(a)がエチレンに由来する繰り返し単位を含み、前記環状オレフィン系共重合体(A)中の前記構成単位(b)がビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテンに由来する繰り返し単位を含み、前記環状オレフィン系共重合体(A)中の前記構成単位(c)がテトラシクロ[4.4.0.1
2,5.1
7,10]-3-ドデセンに由来する繰り返し単位を含
み、
前記環状オレフィン系共重合体(A)中の前記構成単位(b)の含有量と前記構成単位(c)の含有量との比((b)/(c))が2以上13以下である光学部品。
【化1】
(上記一般式(I)において、R
300は水素原子又は炭素原子数1~29の直鎖状または分岐状の炭化水素基を示す。)
【化2】
(上記一般式(II)において、R
1~R
8はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子または炭素数4以下の炭化水素基であり、R
5~R
8は互いに結合して単環(ただし、前記単環から芳香環を除く)を形成していてもよく、かつ該単環が二重結合を有していてもよく、またR
5とR
6とで、またはR
7とR
8とでアルキリデン基を形成していてもよい。)
【化3】
(上記一般式(III)において、nは0または1であり、mは0または正の整数であり、n+mは正の整数であり、qは0または1であり、R
1~R
18ならびにRaおよびRbはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基であり、R
15~R
18は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、かつ該単環または多環が二重結合を有していてもよく、またR
15とR
16とで、またはR
17とR
18とでアルキリデン基を形成していてもよい。)
【請求項2】
環状オレフィン系共重合体(A)を含む光学部品であって、
前記環状オレフィン系共重合体(A)は、
下記一般式(I)で表される少なくとも1種のオレフィン由来の構成単位(a)と、
下記一般式(II)で表される少なくとも1種の環状オレフィン由来の構成単位(b)と、
下記一般式(III)で表される少なくとも1種の環状オレフィン由来の構成単位(c)と、を有し、
前記構成単位(a)、構成単位(b)および構成単位(c)の合計含有量を100モル%としたとき、前記構成単位(a)の含有量が
35モル%以上49モル%以下であり、
車載カメラレンズまたは携帯機器用カメラレンズであり、
前記環状オレフィン系共重合体(A)中の前記構成単位(a)がエチレンに由来する繰り返し単位を含み、前記環状オレフィン系共重合体(A)中の前記構成単位(b)がビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテンに由来する繰り返し単位を含み、前記環状オレフィン系共重合体(A)中の前記構成単位(c)がテトラシクロ[4.4.0.1
2,5.1
7,10]-3-ドデセンに由来する繰り返し単位を含
み、
前記環状オレフィン系共重合体(A)中の前記構成単位(b)の含有量と前記構成単位(c)の含有量との比((b)/(c))が2以上13以下である光学部品。
【化4】
(上記一般式(I)において、R
300は水素原子又は炭素原子数1~29の直鎖状または分岐状の炭化水素基を示す。)
【化5】
(上記一般式(II)において、R
1~R
8はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子または炭素数4以下の炭化水素基であり、R
5~R
8は互いに結合して単環(ただし、前記単環から芳香環を除く)を形成していてもよく、かつ該単環が二重結合を有していてもよく、またR
5とR
6とで、またはR
7とR
8とでアルキリデン基を形成していてもよい。)
【化6】
(上記一般式(III)において、nは0または1であり、mは0または正の整数であり、n+mは正の整数であり、qは0または1であり、R
1~R
18ならびにR
aおよびR
bはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基であり、R
15~R
18は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、かつ該単環または多環が二重結合を有していてもよく、またR
15とR
16とで、またはR
17とR
18とでアルキリデン基を形成していてもよい。)
【請求項3】
請求項1または2に記載の光学部品において、
DSCにより測定される前記環状オレフィン系共重合体(A)のガラス転移点(Tg)が140℃以上である光学部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学部品に関する。
【背景技術】
【0002】
環状オレフィン系共重合体は光学性能に優れるため、例えば、光学レンズ等の光学部品として用いられている。
光学部品に用いられる環状オレフィン系共重合体に関する技術としては、例えば、特許文献1(特開2015-199939号公報)に記載のものが挙げられる。
【0003】
特許文献1には、環状オレフィン系共重合体およびジグリセリン脂肪酸エステルを含む環状オレフィン系樹脂組成物が開示されている。特許文献1には、このような環状オレフィン系樹脂組成物を用いると、光学性能に優れ、さらに高温高湿条件下における光学性能の劣化が抑制される成形体が得られると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、車載カメラレンズや携帯機器(携帯電話、スマートフォン、タブレット等)用のカメラレンズの需要が高まっている。車載カメラレンズや携帯機器用のカメラレンズには高い耐熱性が要求される。環状オレフィン系共重合体は、その優れた光学特性ならびに機械特性からカメラレンズ等の光学部品に広く利用されている。
しかしながら、本発明者らの検討によれば、環状オレフィン系共重合体を含む光学部品は、高温環境下に長時間曝されると、屈折率が変化して光学性能が劣化してしまう場合があることを見出した。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、屈折率が高く、かつ、高温環境下における光学性能の長期信頼性に優れた光学部品を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、以下に示す光学部品が提供される。
【0008】
[1]
環状オレフィン系共重合体(A)を含む光学部品であって、
上記環状オレフィン系共重合体(A)は、
下記一般式(I)で表される少なくとも1種のオレフィン由来の構成単位(a)と、
下記一般式(II)で表される少なくとも1種の環状オレフィン由来の構成単位(b)と、
下記一般式(III)で表される少なくとも1種の環状オレフィン由来の構成単位(c)と、を有し、
上記構成単位(a)、構成単位(b)および構成単位(c)の合計含有量を100モル%としたとき、上記構成単位(a)の含有量が50モル%以下である光学部品。
【化1】
(上記一般式(I)において、R
300は水素原子又は炭素原子数1~29の直鎖状または分岐状の炭化水素基を示す。)
【化2】
(上記一般式(II)において、R
1~R
8はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子または炭素数4以下の炭化水素基であり、R
5~R
8は互いに結合して単環を形成していてもよく、かつ該単環が二重結合を有していてもよく、またR
5とR
6とで、またはR
7とR
8とでアルキリデン基を形成していてもよい。)
【化3】
(上記一般式(III)において、nは0または1であり、mは0または正の整数であり、n+mは正の整数であり、qは0または1であり、R
1~R
18ならびにR
aおよびR
bはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基であり、R
15~R
18は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、かつ該単環または多環が二重結合を有していてもよく、またR
15とR
16とで、またはR
17とR
18とでアルキリデン基を形成していてもよい。)
[2]
上記[1]に記載の光学部品において、
DSCにより測定される上記環状オレフィン系共重合体(A)のガラス転移点(Tg)が140℃以上である光学部品。
[3]
上記[1]または[2]に記載の光学部品において、
上記環状オレフィン系共重合体(A)中の上記構成単位(b)の含有量と上記構成単位(c)の含有量との比((b)/(c))が2以上である光学部品。
[4]
上記[1]乃至[3]のいずれか一つに記載の光学部品において、
上記環状オレフィン系共重合体(A)中の上記構成単位(b)がビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテンに由来する繰り返し単位を含み、上記環状オレフィン系共重合体(A)中の上記構成単位(c)がテトラシクロ[4.4.0.1
2,5.1
7,10]-3-ドデセンに由来する繰り返し単位を含む光学部品。
[5]
上記[1]乃至[4]のいずれか一つに記載の光学部品において、
上記環状オレフィン系共重合体(A)中の上記構成単位(a)がエチレンに由来する繰り返し単位を含む光学部品。
[6]
上記[1]乃至[5]のいずれか一つに記載の光学部品において、
fθレンズ、撮像レンズ、センサーレンズ、プリズムまたは導光板である光学部品。
[7]
上記[1]乃至[6]のいずれか一つに記載の光学部品において、
車載カメラレンズまたは携帯機器用カメラレンズである光学部品。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、屈折率が高く、かつ、高温環境下における光学性能の長期信頼性に優れた光学部品を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施形態に基づいて説明する。なお、本実施形態では、数値範囲を示す「A~B」はとくに断りがなければ、A以上B以下を表す。
【0011】
[光学部品]
まず、本発明に係る実施形態の光学部品について説明する。
本実施形態に係る光学部品は、環状オレフィン系共重合体(A)を含む光学部品であって、環状オレフィン系共重合体(A)は、下記一般式(I)で表される少なくとも1種のオレフィン由来の構成単位(a)と、下記一般式(II)で表される少なくとも1種の環状オレフィン由来の構成単位(b)と、下記一般式(III)で表される少なくとも1種の環状オレフィン由来の構成単位(c)と、を有し、上記構成単位(a)、構成単位(b)および構成単位(c)の合計含有量を100モル%としたとき、上記構成単位(a)の含有量が50モル%以下である。
【0012】
【化4】
(上記一般式(I)において、R
300は水素原子又は炭素原子数1~29の直鎖状または分岐状の炭化水素基を示す。)
【0013】
【化5】
(上記一般式(II)において、R
1~R
8はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子または炭素数4以下の炭化水素基であり、R
5~R
8は互いに結合して単環を形成していてもよく、かつ該単環が二重結合を有していてもよく、またR
5とR
6とで、またはR
7とR
8とでアルキリデン基を形成していてもよい。)
【0014】
【化6】
(上記一般式(III)において、nは0または1であり、mは0または正の整数であり、n+mは正の整数であり、qは0または1であり、R
1~R
18ならびにR
aおよびR
bはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基であり、R
15~R
18は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、かつ該単環または多環が二重結合を有していてもよく、またR
15とR
16とで、またはR
17とR
18とでアルキリデン基を形成していてもよい。)
【0015】
本発明者らの検討によれば、環状オレフィン系共重合体を含む光学部品は、高温環境下に長時間曝されると、屈折率が変化して光学性能が劣化してしまうことを見出した。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した。その結果、上記一般式(I)で表される少なくとも1種のオレフィン由来の構成単位(a)と、上記一般式(II)で表される少なくとも1種の環状オレフィン由来の構成単位(b)と、上記一般式(III)で表される少なくとも1種の環状オレフィン由来の構成単位(c)と、を有し、上記構成単位(a)の含有量が50モル%以下である環状オレフィン系共重合体(A)を用いた光学部品は屈折率が高く、かつ、高温環境下に長時間曝しても屈折率の低下が起き難く、光学性能の長期信頼性に優れることを見出した。
【0016】
すなわち、本実施形態によれば、屈折率が高く、かつ、高温環境下における光学性能の長期信頼性に優れた光学部品を実現できる。
【0017】
本実施形態に係る光学部品中の環状オレフィン系共重合体(A)の含有量の下限は、光学部品の全体を100質量%としたとき、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、さらにより好ましくは90質量%以上、特に好ましくは95質量%以上である。本実施形態に係る光学部品中の環状オレフィン系共重合体(A)の含有量が上記下限値以上であることにより、光学性能をより一層良好にすることができる。
本実施形態に係る光学部品中の環状オレフィン系共重合体(A)の含有量の上限は特に限定されないが、例えば、100質量%以下である。
【0018】
本実施形態に係る光学部品は環状オレフィン系共重合体(A)を含むため、光学性能に優れている。そのため像を高精度に識別する必要がある光学系において、光学部品として好適に用いることができる。光学部品とは光学系機器等に使用される部品であり、具体的には、各種センサーに用いるレンズであるセンサーレンズ、ピックアップレンズ、プロジェクタレンズ、プリズム、fθレンズ、撮像レンズ、導光板等が挙げられ、本実施形態に係る効果の観点から、fθレンズ、撮像レンズ、センサーレンズ、プリズムまたは導光板に好適に用いることができる。
特に、ガラス転移点が140℃以上の範囲にある環状オレフィン系共重合体(A)を含む光学部品は、高い耐熱性を有しながらも耐湿熱性を満足する。
そのためガラス転移点が140℃以上の範囲にある環状オレフィン系共重合体(A)を含む光学部品は車載カメラレンズや携帯機器(携帯電話、スマートフォン、タブレット等)用のカメラレンズ等の耐熱性が求められる光学部品にとりわけ好適に用いることができる。車載カメラレンズや携帯機器用カメラレンズとしては、例えば、ビューカメラレンズ、センシングカメラレンズ、ヘッドアップディスプレイの光収束用レンズ、ヘッドアップディスプレイの光拡散用レンズ等が挙げられる。
【0019】
本実施形態に係る光学部品は、上記光学部品とは異なる第2の光学部品と組み合わせてもよい。
上記第2の光学部品としては特に限定されないが、例えば、ポリカーボネート樹脂およびポリエステル樹脂から選択される少なくとも一種の樹脂により構成された光学部品を用いることができる。
【0020】
以下、各成分について具体的に説明する。
【0021】
(環状オレフィン系共重合体(A))
環状オレフィン系共重合体(A)は、上記一般式(I)で表される少なくとも1種のオレフィン由来の構成単位(a)と、上記一般式(II)で表される少なくとも1種の環状オレフィン由来の構成単位(b)と、上記一般式(III)で表される少なくとも1種の環状オレフィン由来の構成単位(c)と、を有する。
【0022】
<構成単位(a)>
上記一般式(I)において、R300は水素原子または炭素原子数1~29の直鎖状または分岐状の炭化水素基を示す。構成単位(a)を形成するためのオレフィンモノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、3-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、4-エチル-1-ヘキセン、3-エチル-1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセン等が挙げられる。より優れた耐熱性、機械的特性および光学特性を有する光学部品得る観点から、これらの中でも、エチレンまたはプロピレンが好ましく、エチレンが特に好ましい。構成単位(a)を形成するためのオレフィンモノマーは1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0023】
本実施形態に係る環状オレフィン系共重合体(A)において、構成単位(a)、構成単位(b)および構成単位(c)の合計含有量を100モル%としたとき、構成単位(a)の含有量は、光学部品の耐熱性を向上させる観点から、50モル%以下であるが、好ましくは49モル%以下、より好ましくは48モル%以下であり、そして好ましくは35モル%以上、より好ましくは40モル%以上である。
なお、構成単位(a)の含有量は、13C-NMRによって測定することができる。
【0024】
<構成単位(b)>
上記一般式(II)において、R1~R8はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子または炭素数4以下の炭化水素基である。ここで、ハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子である。
炭素数4以下の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基等のアルキル基、シクロプロピル基等のシクロアルキル基が挙げられる。
またR5~R8は互いに結合して単環を形成していてもよく、かつ該単環が二重結合を有していてもよく、またR5とR6とで、またはR7とR8とでアルキリデン基を形成していてもよい。
ここで形成される単環を、以下に例示する。
【0025】
【0026】
なお上記の単環において、1または2の番号を賦した炭素原子は、一般式(II)において、R5(R6)またはR7(R8)が結合している脂環構造を形成している炭素原子である。
またアルキリデン基としては、具体的にエチリデン基、プロピリデン基、イソプロピリデン基が挙げられる。
【0027】
構成単位(b)を形成するための環状オレフィンモノマーとしては、例えば、ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン(ノルボルネンとも呼ぶ。)、炭素数11以下であるビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン誘導体、トリシクロ[4.3.0.12,5]-3-デセン誘導体、トリシクロ[4.4.0.12,5]-3-ウンデセン等が挙げられる。これらの中でも、ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテンが好ましい。
構成単位(b)を形成するための環状オレフィンモノマーは1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0028】
本実施形態に係る環状オレフィン系共重合体(A)において、構成単位(a)、構成単位(b)および構成単位(c)の合計含有量を100モル%としたとき、構成単位(b)の含有量は、高温環境下における光学性能の長期信頼性、屈折率および耐熱性のバランスを向上させる観点から、好ましくは25モル%以上64モル%以下、より好ましくは30モル%以上60モル%以下、さらに好ましくは35モル%以上55モル%以下、特に好ましくは40モル%以上55モル%以下である。
なお、構成単位(b)の含有量は、13C-NMRによって測定することができる。
【0029】
<構成単位(c)>
上記一般式(III)において、nは0または1であり、mは0または正の整数であり、n+mは正の整数であり、qは0または1である。なお、qが1の場合には、RaおよびRbは、それぞれ独立に、下記の原子または炭化水素基を表し、qが0の場合には、それぞれの結合手が結合して5員環を形成する。
また上記一般式(III)において、R1~R18ならびにRaおよびRbは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基である。ここでハロゲン原子は、上記一般式(II)におけるハロゲン原子と同じである。
【0030】
また炭化水素基としては、それぞれ独立に、通常、炭素数1~20のアルキル基、炭素数3~15のシクロアルキル基が挙げられる。より具体的には、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、アミル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基およびオクタデシル基が挙げられ、シクロアルキル基としては、シクロヘキシル基が挙げられる。これらの基はハロゲン原子で置換されていてもよい。
【0031】
さらに上記一般式(III)において、R15とR16とが、R17とR18とが、R15とR17とが、R16とR18とが、R15とR18とが、あるいはR16とR17とがそれぞれ結合して(互いに共同して)、単環または多環を形成していてもよく、しかもこのようにして形成された単環または多環が二重結合を有していてもよい。
ここで形成される単環または多環は、以下に例示される。
【0032】
【0033】
なお上記例示において、1または2の番号を賦した炭素原子は、一般式(III)において、R15(R16)またはR17(R18)が結合している脂環構造を形成している炭素原子である。
【0034】
また、R15とR16とで、またはR17とR18とでアルキリデン基を形成していてもよい。このようなアルキリデン基としては、通常炭素原子数2~20のアルキリデン基が挙げられ、具体的には、エチリデン基、プロピリデン基およびイソプロピリデン基が挙げられる。
【0035】
構成単位(c)を形成するための環状オレフィンモノマーとしては、例えば、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセン(テトラシクロドデセンとも呼ぶ。)、炭素数12以上のトリシクロ[4.3.0.12,5]-3-デセン誘導体、トリシクロ[4.3.0.12,5]-3-ウンデセン誘導体、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセン誘導体、ペンタシクロ[6.6.1.13,6.02,7.09,14]-4-ヘキサデセン誘導体、ペンタシクロ[8.4.0.12,3.19,12.08,13]-3-ヘキサデセン誘導体、ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]-4-ペンタデセン誘導体、ペンタシクロ[7.4.0.12,5.19,12.08,13]-3-ペンタデセン誘導体、ペンタシクロペンタデカジエン誘導体、ヘキサシクロ[6.6.1.13,6.110,13.02,7.09,14]-4-ヘプタデセン誘導体、ヘプタシクロ[8.7.0.1.3.6.110,17.112,15.02,7.011,16]-4-エイコセン誘導体、ヘプタシクロ-5-エイコセン誘導体、ヘプタシクロ[8.8.0.14,7.111,18.113,16.03,8.012,17]-5-ヘンエイコセン誘導体、オクタシクロ[8.8.0.12,9.14,7.111,18.113,16.03,8.012,17]-5-ドコセン誘導体、ノナシクロ[10.9.1.14,7.113,20.115,18.03,8.02,10.012,21.014,19]-5-ペンタコセン誘導体、ノナシクロ[10.10.1.15,8.114,21.116,19.02,11.04,9.013,22.015,20]-5-ヘキサコセン誘導体等が挙げられる。
これらの中でも、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセンが好ましい。
構成単位(c)を形成するための環状オレフィンモノマーは1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0036】
本実施形態に係る環状オレフィン系共重合体(A)において、構成単位(a)、構成単位(b)および構成単位(c)の合計含有量を100モル%としたとき、構成単位(c)の含有量は、光学部品の高屈折率を維持しやすくする観点から、好ましくは1モル%以上25モル%以下、より好ましくは3モル%以上20モル%以下である。
なお、構成単位(c)の含有量は、13C-NMRによって測定することができる。
【0037】
本実施形態に係る環状オレフィン系共重合体(A)において、構成単位(b)の含有量と前記構成単位(c)の含有量との比((b)/(c))が2以上であることが好ましく、3以上であることがより好ましい。(b)/(c)が上記下限値以上であると、屈折率がより一層高く、かつ、高温環境下における光学性能の長期信頼性により一層優れた光学部品を得ることができる。また、(b)/(c)の上限値としては特に限定されないが、例えば13以下であることが好ましい。
【0038】
構成単位(b)を形成するための環状オレフィンモノマーや構成単位(c)を形成するための環状オレフィンモノマーは、例えば、シクロペンタジエンと対応する構造を有するオレフィン類とを、ディールス・アルダー反応させることによって製造される。
【0039】
また本実施形態に係る環状オレフィン系共重合体(A)は、本発明の目的を損なわない範囲で必要に応じて他の共重合可能な他のモノマーから誘導される構成単位を含有していてもよい。
このような他のモノマーとしては、構成単位(b)を形成するための環状オレフィンモノマーや構成単位(c)を形成するための環状オレフィンモノマー以外の環状オレフィンが挙げられ、例えば、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、3,4-ジメチルシクロヘキセン、3-メチルシクロヘキセン、2-(2-メチルブチル)-1-シクロヘキセン、3a,5,6,7a-テトラヒドロ-4,7-メタノ-1H-インデン等が挙げられる。
これらは、単独であるいは組み合わせて用いられる。さらにスチレン、α-メチルスチレン等の他のオレフィン類も挙げられる。
【0040】
本実施形態に係る環状オレフィン系共重合体(A)は、実質的にゲル状架橋重合体を含有せず、分岐構造を有していてもよい実質的に線状構造を有していることが好ましい。この共重合体が実質的に線状構造を有していることは、該共重合体が有機溶媒に溶解し、不溶分を含まないことにより確認することができる。たとえば後述するようにして極限粘度[η]を測定する際に、該共重合体が135℃、デカリンに完全に溶解することにより確認することができる。
また本実施形態に係る環状オレフィン系共重合体(A)は、135℃のデカリン中で測定される極限粘度([η])が好ましくは0.1~2.0dl/gであり、より好ましくは0.15~1.7dl/gである。上記のような極限粘度([η])を有していると、機械的強度が低下することがなく成形性に優れているとともに、分子量上昇に伴う溶融流動性への影響が少ない。
【0041】
本実施形態に係る環状オレフィン系共重合体(A)の共重合タイプは特に限定されないが、例えば、ランダム共重合体、ブロック共重合体等を挙げることができる。本実施形態においては、透明性、屈折率および複屈折率等の光学物性に優れ、高精度の光学部品を得ることができる観点から、本実施形態に係る環状オレフィン系共重合体(A)としてはランダム共重合体を用いることが好ましい。
【0042】
本実施形態に係る環状オレフィン系共重合体(A)において、構成単位(b)がビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテンに由来する繰り返し単位を含み、環状オレフィン系共重合体(A)中の前記構成単位(c)がテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセンに由来する繰り返し単位を含むことが好ましい。
本実施形態に係る環状オレフィン系共重合体(A)としては、エチレンとビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテンとテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセンとのランダム共重合体が好ましい。
【0043】
本実施形態において環状オレフィン系共重合体(A)は1種類を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0044】
本実施形態に係る環状オレフィン系共重合体(A)は、例えば、特開昭60-168708号公報、特開昭61-120816号公報、特開昭61-115912号公報、特開昭61-115916号公報、特開昭61-271308号公報、特開昭61-272216号公報、特開昭62-252406号公報、特開昭62-252407号公報等の方法に従い適宜条件を選択することにより製造することができる。
【0045】
本実施形態に係る環状オレフィン系共重合体(A)のガラス転移点(Tg)は140℃以上であることが好ましく、143℃以上であることがより好ましく、145℃以上であることがさらに好ましく、150℃以上であることがさらにより好ましい。環状オレフィン系共重合体(A)のガラス転移点(Tg)が上記範囲であると、車載カメラレンズや携帯機器用カメラレンズ等の耐熱性が求められる光学部品として使用する際に、より一層良好な耐熱性を得ることができる。本実施形態に係る環状オレフィン系共重合体(A)のガラス転移点(Tg)の上限は特に限定されないが、成形性の観点から、180℃以下が好ましく、170℃以下がより好ましい。
【0046】
本実施形態に係る環状オレフィン系共重合体(A)のガラス転移点(Tg)は、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定することができる。
【0047】
(その他の成分)
本実施形態に係る光学部品には、環状オレフィン系共重合体(A)以外に、本実施形態に係る光学部品の良好な物性を損なわない範囲内で任意成分として公知の添加剤を含有させることができる。
添加剤としては、例えば、親水性安定剤、親水剤、酸化防止剤、二次抗酸化剤、滑剤、離型剤、防曇剤、耐候安定剤、耐光安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、金属不活性化剤、フェノール系安定剤、高級脂肪酸金属塩、ヒンダードアミン系光安定剤、塩酸吸収剤、スリップ剤、核剤、可塑剤、難燃剤、リン系安定剤等が挙げられる。
親水性安定剤を含むと、高温高湿条件下における光学性能の劣化が抑制でき、より好ましい。
親水性安定剤は、脂肪酸と多価アルコールとの脂肪酸エステルが好ましい。脂肪酸とエーテル基を1つ以上有する多価アルコールとの脂肪酸エステルがより好ましい。
【0048】
[光学部品の製造方法]
本実施形態に係る光学部品は、環状オレフィン系共重合体(A)を含む環状オレフィン系樹脂組成物を所定の形状に成形することにより製造することができる。
環状オレフィン系樹脂組成物を成形して光学部品を得る方法としては特に限定されるものではなく、公知の方法を用いることができる。その用途および形状にもよるが、例えば、押出成形、射出成形、インフレーション成形、ブロー成形、押出ブロー成形、射出ブロー成形、プレス成形、真空成形、パウダースラッシュ成形、カレンダー成形、発泡成形等が適用可能である。これらの中でも、成形性、生産性の観点から射出成形法が好ましい。また、成形条件は使用目的、または成形方法により適宜選択されるが、例えば射出成形における樹脂温度は、通常150℃~400℃、好ましくは200℃~350℃、より好ましくは230℃~330℃の範囲で適宜選択される。
【0049】
本実施形態に係る環状オレフィン系樹脂組成物は、例えば、環状オレフィン系共重合体(A)および必要に応じて添加されるその他の成分を、押出機およびバンバリーミキサー等の公知の混練装置を用いて溶融混練する方法;環状オレフィン系共重合体(A)および必要に応じて添加されるその他の成分を共通の溶媒に溶解した後、溶媒を蒸発させる方法;貧溶媒中に環状オレフィン系共重合体(A)および必要に応じて添加されるその他の成分の溶液を加えて析出させる方法;等の方法により得ることができる。
【0050】
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
また、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【実施例】
【0051】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれにより何等制限されるものではない。
【0052】
<環状オレフィン系共重合体の製造>
[製造例1]
攪拌装置を備えた容積500mlのガラス製反応容器に不活性ガスとして窒素を100Nl/hrの流量で30分間流通させた後、シクロヘキサン、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセン(10mmol、以下、テトラシクロドデセン(表1ではTDと示す)とも呼ぶ。)、および2-ノルボルネン(45mmol、表1ではNBと示す)を加えた。次いで回転数600rpmで重合溶媒を攪拌しながら溶媒温度を50℃に昇温した。溶媒温度が所定の温度に達した後、流通ガスを窒素からエチレンに切り替え、エチレンを50Nl/hr、水素を0.2Nl/hrの供給速度で反応容器に流通させ、10分経過した後に、メチルアルミノキサン(MMAO)(0.9mmol)、WO2017/150218の段落0158および0159に記載の遷移金属化合物(1)におけるチタンをジルコニウムに変更した触媒(0.003mmol)をガラス製反応容器に添加し、重合を開始させた。上記触媒は特開2004-331965号公報に記載の方法により合成した。
30分間経過した後、イソブチルアルコールを5ml添加して重合を停止させ、エチレン、テトラシクロドデセンおよびノルボルネンの共重合体を含む重合溶液を得た。その後、重合溶液を別に用意した容積2Lのビーカーに移液し、さらに濃塩酸5mlと攪拌子を加え、強攪拌下で2時間接触させ脱灰操作を行った。この重合溶液に対して体積で約4倍のアセトンを入れたビーカーに脱灰後の重合溶液を攪拌下加えて共重合体を析出させ、さらに析出した共重合体を濾過により濾液と分離した。得られた溶媒を含む重合体を130℃で10時間減圧乾燥を行ったところ、白色パウダー状のエチレン・テトラシクロドデセン・ノルボルネン共重合体2.72gが得られた。
以上により、環状オレフィン系共重合体(P-1)を得た。
【0053】
[製造例2~8]
環状オレフィン系共重合体を構成する各構成単位の含有量の値が表1に記載の値になるように調整した以外は、製造例1と同様に操作を行い、表1に記載の環状オレフィン系共重合体(P-2)~(P-8)をそれぞれ得た。
【0054】
[環状オレフィン系共重合体を構成する各構成単位の含有量の測定方法]
エチレン由来の構成単位(a)、ノルボルネン由来の構成単位(b)およびテトラシクロドデセン由来の構成単位(c)の含有量は、日本電子社製「ECA500型」核磁気共鳴装置を用い、下記条件で測定することにより行った。
溶媒:重テトラクロロエタン
サンプル濃度:50~100g/l-solvent
パルス繰り返し時間:5.5秒
積算回数:6000~16000回
測定温度:120℃
上記のような条件で測定した13C-NMRスペクトルにより、環状オレフィン系共重合体を構成するエチレン由来の構成単位(a)、ノルボルネン由来の構成単位(b)およびテトラシクロドデセン由来の構成単位(c)の含有量をそれぞれ定量した。
【0055】
[ガラス転移点(Tg)]
島津サイエンス社製、DSC-6220を用いてN2(窒素)雰囲気下で環状オレフィン系共重合体のガラス転移点(Tg)を測定した。環状オレフィン系共重合体を常温から10℃/分の昇温速度で200℃まで昇温した後に5分間保持し、次いで10℃/分の降温速度で-20℃まで降温した後に5分間保持した。そして10℃/分の昇温速度で200℃まで昇温する際の吸熱曲線から環状オレフィン系共重合体のガラス転移点(Tg)を求めた。
【0056】
[極限粘度[η]]
移動粘度計(離合社製、タイプVNR053U型)を用い、環状オレフィン系共重合体の0.25~0.30gを25mlのデカリンに溶解させたものを試料とした。ASTM J1601に準じ135℃にて環状オレフィン系共重合体の比粘度を測定し、これと濃度との比を濃度0に外挿して環状オレフィン系共重合体の極限粘度[η]を求めた。
【0057】
[実施例1]
射出成形機(ファナック社製 ROBOSHOT α-S30iA)を用いて、シリンダー温度275℃、金型温度125℃の条件で、環状オレフィン系樹脂(P-1)を射出成形し、65mm×35mm×厚み3mmtの射出成形シートを作製した。
得られた射出成形シートについて、下記の各評価をそれぞれおこなった。得られた結果を表1に示す。
【0058】
(1)屈折率
屈折率計(島津サイエンス社製 KPR200)を用いて、ASTM D542に準じて、マイクロコンパウンダーで成形した30mm×30mm×厚み2.0mmの射出成形シートの波長589nmにおける屈折率(nd)を測定した。ここで、射出成形シートの波長589nmにおける屈折率(nd)は、下記の耐熱試験の前後で測定した。
【0059】
(2)耐熱試験
得られた射出成形シートを温度139℃、大気雰囲気下に168時間放置した。その後、取り出して3時間後に波長589nmにおける屈折率(nd)を測定し、耐熱試験前後における屈折率の変化を求めた。
【0060】
(3)内部ヘイズ
得られた射出成形シートの内部ヘイズを、ベンジルアルコールを使用し、JIS K-7136(HAZE)に基づいて、株式会社村上色彩技術研究所製Haze Meter HM-150を用いて測定した。次いで、以下の基準で内部ヘイズをそれぞれ評価した。
〇:5%未満
×:5%以上
【0061】
[実施例2~8および比較例1~4]
環状オレフィン系共重合体の種類を表1に示す重合体に変更した以外は実施例1と同様にして射出成形シートを作製し、さらに耐熱試験における耐熱試験温度を表1に示す温度にした以外は実施例1と同様の評価をおこなった。得られた結果を表1にそれぞれ示す。
【0062】
【0063】
この出願は、2020年1月22日に出願された日本出願特願2020-008687号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。