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特許7451607エアロゾル発生システム用の流体透過性ヒーター組立品及びカトマイザーカートリッジ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-08
(45)【発行日】2024-03-18
(54)【発明の名称】エアロゾル発生システム用の流体透過性ヒーター組立品及びカトマイザーカートリッジ
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/46 20200101AFI20240311BHJP
   A24F 40/10 20200101ALI20240311BHJP
【FI】
A24F40/46
A24F40/10
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022103616
(22)【出願日】2022-06-28
(62)【分割の表示】P 2018566980の分割
【原出願日】2017-06-19
(65)【公開番号】P2022125131
(43)【公開日】2022-08-26
【審査請求日】2022-06-28
(31)【優先権主張番号】16179478.9
(32)【優先日】2016-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】フルサ オレク
【審査官】木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/117704(WO,A1)
【文献】特開2016-028398(JP,A)
【文献】特表2015-524261(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生装置で使用するためのカトマイザーカートリッジであって、前記カトマイザーカートリッジが、
カートリッジ本体であって、エアロゾル形成液体を貯蔵するための前記カートリッジ本体内の貯蔵部を備える、カートリッジ本体と、
流体透過性ヒーター組立品であって、前記貯蔵部からエアロゾル形成液体を受けるための前記カートリッジ本体の一方の端に配置され、前記貯蔵部から受けられるエアロゾル形成液体を加熱するように適合される、流体透過性ヒーター組立品と、
を備え、
前記流体透過性ヒーター組立品が:
基部を通る開口部を備える基部と、
前記開口部上に配置される導電性フィラメント配列と、
前記基部上に配置される固体エアロゾル形成基体であって、前記基部の前記貯蔵部とは反対側の上に配置される、固体エアロゾル形成基体と、
前記導電性フィラメント配列から前記固体エアロゾル形成基体に熱を伝えるように配置される熱伝導性材料と、
を備え、
前記カトマイザーカートリッジがさらに、エアロゾル発生装置内の対応する電気接点と係合するように構成された電気接点を備える、カトマイザーカートリッジ。
【請求項2】
前記固体エアロゾル形成基体は、前記基部に適用されるエアロゾル形成シートの形態で、または基部被覆の形態である、請求項1に記載のカトマイザーカートリッジ。
【請求項3】
前記固体エアロゾル形成基体が前記基部の上側の上に配置される、請求項1または2のいずれか一つに記載のカトマイザーカートリッジ。
【請求項4】
前記固体エアロゾル形成基体が前記フィラメント配列の部分と接触して配置される、請求項1~3のいずれ一つに記載のカトマイザーカートリッジ。
【請求項5】
前記固体エアロゾル形成基体がエアロゾル形成基体を含有する固体たばこである、請求項1~4のいずれか一つに記載のカトマイザーカートリッジ。
【請求項6】
前記ヒーター組立品が平面の流体透過性ヒーター組立品であって、前記フィラメント配列が平面のフィラメント配列である、請求項1~5のいずれか一つに記載のカトマイザーカートリッジ。
【請求項7】
前記カートリッジ本体は、前記ヒーター組立品の前記基部内の前記開口部と整列された出口開口部を備える、請求項1~6のいずれか一つに記載のカトマイザーカートリッジ。
【請求項8】
前記ヒーター組立品の前記基部の前記開口部は、前記カトマイザーカートリッジの中央部分に配置され、前記固体エアロゾル形成基体は前記開口部の周りをめぐるように配置される、請求項1~7のいずれか一つに記載のカトマイザーカートリッジ。
【請求項9】
前記貯蔵部は、エアロゾル形成液体を含有するニコチンを含み、前記固体エアロゾル形成基体はたばこを含む、請求項1~8のいずれか一つに記載のカトマイザーカートリッジ。
【請求項10】
電気的に作動するエアロゾル発生システムであって、
液体エアロゾル形成基体を保持するためのハウジングを備える貯蔵部であって、前記ハウジングが開放端を有する、貯蔵部と、
前記液体エアロゾル形成基体を加熱するための流体透過性ヒーター組立品と、
を備え、
前記流体透過性ヒーター組立品が:
基部を通る開口部を備える基部と、
前記開口部上に配置される導電性フィラメント配列と、
を備え、
前記基部は、
前記基部上に配置される固体エアロゾル形成基体と、
前記導電性フィラメント配列から前記固体エアロゾル形成基体に熱を伝えるように配置される熱伝導性材料と、
を備え、
前記流体透過性ヒーター組立品は、前記流体透過性ヒーター組立品の前記フィラメント配列が前記ハウジングの前記開放端上に配置されるように、前記ハウジングの前記開放端に配置され、前記固体エアロゾル形成基体は、前記基部の、前記貯蔵部の前記ハウジングとは反対側の上に配置され、
前記エアロゾル発生システムはさらに、
電源と、
前記流体透過性ヒーター組立品の前記フィラメント配列を前記電源に電気的に接続するための電源コネクターと、
を備える、電気的に作動するエアロゾル発生システム。
【請求項11】
請求項10に記載のエアロゾル発生システムであって、請求項1~9のいずれか一つに記載のカトマイザーカートリッジを備え、前記カトマイザーカートリッジのカートリッジ本体は、前記液体エアロゾル形成基体を保持するための前記エアロゾル発生システムの前記ハウジングを含み、前記カトマイザーカートリッジの前記ヒーター組立品は、前記エアロゾル発生システムの前記ヒーター組立品を含む、エアロゾル発生システム。
【請求項12】
前記カトマイザーカートリッジを受容するためのくぼみを画定する主要本体を備える、エアロゾル発生装置を備える、請求項11に記載のエアロゾル発生システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル発生システムにおける使用のためのヒーター組立品及びカトマイザーカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
喫煙システムは、たばこ含有基体が燃焼するというよりむしろ加熱されるものが公知である。喫煙システムはまた、例えばカトマイザーを用いてニコチン含有製品を気化するものが公知であり、その場合、エアロゾル形成液体含有カートリッジは、液体を過熱して蒸発させるためのヒーターと直接組み合わされる。ユーザーに新規の喫煙体験を提供するために、従来の紙巻たばこが加熱されそのようなカトマイザーと組み合わされる、システムが開発された。しかしながら、これらのシステムはエアロゾルにわずかなたばこノートしか提供しない。
【0003】
改善された喫煙体験を提供する、エアロゾル形成液体を蒸発させるためのシステムに対するニーズが存在する。具体的には、エアロゾルに改善されたたばこ風味を提供するシステムに対するニーズが存在する。
【発明の概要】
【0004】
本発明によれば、エアロゾル発生システムで使用するための流体透過性ヒーター組立品が提供されている。流体透過性ヒーター組立品は、基部を貫通する開口部を備える基部と開口部の上に配置される導電性フィラメント配列を備える。基部は、基部上に配置される固体エアロゾル形成基体を備える。基部はまた、導電性フィラメント配列から固体エアロゾル形成基体に熱を伝えるために配置される熱伝導性材料を含む。
【0005】
流体透過性ヒーターは通常、ヒーター組立品内でフィラメント配列を過熱することにより、例えばニコチン含有液体などのエアロゾル形成液体を加熱して蒸発させるために、液体貯蔵部との組み合せで使用される。
【0006】
固体エアロゾル形成基体を備えるヒーター組立品を提供することにより、加熱された固体エアロゾル形成基体由来の物質が、ヒーター組立品のフィラメント配列により加熱される蒸発した液体により形成されるエアロゾルに加えられ得る。それにより、ヒーター組立品によるエアロゾル形成液体の気化動作を変更することなく、喫煙体験は好ましく変化し得る。具体的には、たばこまたはたばこ材料を含有する固体基体に予め含まれたたばこ風味がエアロゾルに加えられ得る。
【0007】
さらに、フィラメント配列由来の残留熱が固体エアロゾル形成基体を加熱するのに使用され得る。
【0008】
したがって、フィラメント配列による液体の蒸発に使用できない残留熱が、特に、たばこ風味などの風味材など、ヒーター上の固体基体由来の物質を気化させるのに使用されうる。
【0009】
ヒーター組立品由来の残留熱の使用は、ヒーターフィラメントからヒーター周辺領域への顕著な熱損失を有するヒーターを使用する場合、特に有益であり得る。例えば、平行に配列されたいくつかのメッシュ片を使用するヒーターは、ヒーター表面も加熱するということがよく起こる。
【0010】
本発明によるヒーター組立品により、エアロゾル形成液体を気化させ、かつ液体を気化させるのに必要なエネルギーと同量のエネルギーを使用して、固体基体からさらなる蒸発した物質を生成させ得る。また、効率が悪く、コストが低いヒーターが、ヒーターによって発生した熱を無駄にすることなく、液体を気化するのに使用され得る。
【0011】
「エアロゾル形成基体」という用語は本明細書で使用される場合、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有する基体に関連する。こうした揮発性化合物は、エアロゾル形成基体の加熱によって放出することができる。
【0012】
固体エアロゾル形成基体は、ヒーター組立品の基部に適用されるエアロゾル形成シートの形態で提供されうる。
【0013】
固体エアロゾル形成基体は、基部被覆の形態で提供されてもよい。
【0014】
固体エアロゾル形成基体は、ヒーター組立品の組み立て前、途中、または後に、ヒーター組立品の基部に適用され得る。好ましくは、固体エアロゾル形成基体は、ヒーター組立品を組み立て後に、ヒーター組立品に適用される。好ましくは、固体エアロゾル形成基体は、基部の開口部内に配置されるフィラメント配列の部分を除いて、ヒーター組立品上に提供される。
【0015】
好ましくは、固体エアロゾル形成基体は、ヒーター組立品の基部の上側の上に配置される。固体エアロゾル形成基体は、開口部を除いて、基部の上側の上に配置されてもよい。固体エアロゾル形成基体は、基部の上側の上のみに配列されてもよい。固体エアロゾル形成基体は、基部の上側全体に配置されてもよい。
【0016】
好ましくは、固体エアロゾル形成基体は、フィラメント配列の部分と接触部分内に少なくとも提供される。典型的には、フィラメント配列の接触部分は、フィラメント配列の対向する端部を含む。接触部分は、基部の開口部の対向する側上のヒーター組立品の基部の上に延在してもよい。固体エアロゾル形成基体は、フィラメント配列の接触部分内のみに配置されてもよい。
【0017】
エアロゾル形成基体の基部の被覆は、基体被覆と基部の間の、または被覆と基部の接触領域との、緊密な直接的接触を提供する。したがって、基部から被覆への熱伝達が最適化される。緊密な接触は被覆の迅速な加熱をもたらす。
【0018】
例えばキャストリーフなど、エアロゾル形成基体を備える基部の提供により、ヒーター組立品から独立してシートを製造することが可能となる。ヒーターに適用される一枚のシートは必要な丁度良いサイズに切断され、そのために予定された領域においてヒーター上に配置されても良い。
【0019】
好ましくは、基部材料は単一のエアロゾル形成基体被覆または単一のエアロゾル形成基体のシートを含む。
【0020】
固体エアロゾル形成基体の効果は、加熱に依存するが、例えば、被覆プロセスまたは適用プロセスにおける、固体エアロゾル形成基体の厚さと密度にもまた依存する。
【0021】
エアロゾル形成基体被覆の厚さは、80マイクロメートル~1ミリメートル、好ましくは100マイクロメートル~600マイクロメートルであってもよく、例えば、100マイクロメートル~400マイクロメートルである。
【0022】
エアロゾル形成基体シートの厚さは、0.1ミリメートル~2ミリメートルであり、0.3ミリメートル~1.5ミリメートル、例えば0.8ミリメートルであることが好ましい。
【0023】
原則として、本明細書を通して値が述べられる時はいつでも、その値が明示的に開示されることが理解される。しかし、値は技術的考慮のために厳密に特定の値ではなくてもよいことも理解される。
【0024】
ヒーター組立品の被覆は、エアロゾル形成基体スラリーで基部材料を被覆するのに適した公知の被覆プロセスにより実施されても良い。
【0025】
好ましくは、エアロゾル形成基体被覆は、被覆されていない基部上へのエアロゾル形成基体スラリーの堆積、浸漬、噴霧、塗布または鋳造のうちの一つにより実施される。
【0026】
これらの被覆方法は、被覆された物体の多量の製造を可能にする標準的な信頼性のある工業処理である。これらの被覆プロセスはまた、製造における製品の高い一貫性およびヒーター組立品の反復性を可能にする。
【0027】
固体エアロゾル形成基体は、加熱に伴い基体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含有する、たばこ含有材料を含んでもよい。別の方法として、エアロゾル形成基体は非たばこ材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は、エアロゾル形成体をさらに含んでもよい。適切なエアロゾル形成体の例は、グリセリンおよびプロピレングリコールである。
【0028】
エアロゾル形成基体は、薬草の葉、たばこ葉、たばこの茎の断片、再構成たばこ、均質化したたばこ、押し出し成形たばこ、および膨化たばこのうちの少なく一つ以上を含んでもよい。
【0029】
固形エアロゾル形成基体はまた、例えば追加的なたばこまたは非たばこ揮発性風味化合物を含むマイクロカプセルも含んでもよく、またこうしたマイクロカプセルは固体エアロゾル形成基体の加熱中に溶けてもよい。
【0030】
固体エアロゾル形成基体は均質化したたばこ材料の一枚以上のシートを含んでもよい。好ましくは、固体エアロゾル形成基体は、均質化されたたばこ材料の一枚のシートである。
【0031】
たばこ含有スラリーから作られた被覆だけでなく、たばこ含有スラリーおよびたばこシートも、たばこ粒子、繊維粒子、エアロゾル形成体、結合剤、および例えばさらに風味を含む。
【0032】
エアロゾル形成たばこ基体は、たばこ材料、繊維、結合剤、およびエアロゾル形成体を含むたばこシートであることが好ましい。たばこシートはキャストリーフであることが好ましい。キャストリーフは、たばこ粒子、繊維粒子、エアロゾル形成体、結合剤、および例えば風味も含むスラリーから形成される、再構成たばこの一形態である。
【0033】
被覆は、たばこ含有スラリーから形成される再構成たばこの一形態であることが好ましい。
【0034】
たばこ粒子は、所望の被覆厚さまたは所望のシート厚およびキャスティングギャップに応じて、30マイクロメートル~250マイクロメートル程度の粒子をもつたばこダストの形態のものであってよく、そのキャスティングギャップによってシート厚が規定されることが典型的である。
【0035】
繊維粒子は、たばこの幹材料、茎またはその他のたばこ植物材料、およびその他のセルロース系繊維(リグニン含有量の低い木材繊維など)を含みうる。
【0036】
キャストリーフおよび被覆を形成するためのスラリーに含まれるエアロゾル形成体は、一つ以上の特性に基づいて選ばれてもよい。エアロゾル形成体は、例えば室温または室温近くで安定性を保つが、より高い温度、例えば40℃~250℃で揮発することができるその能力に基づいて選ばれてもよい。エアロゾル形成体はまた、エアロゾル形成基体内に望ましいレベルの水分を維持するのに役立つ、湿潤剤タイプの特性を有してもよい。
【0037】
一つ以上のエアロゾル形成体を組み合わせて、その組み合わせたエアロゾル形成体の一つ以上の特性を利用してもよい。例えば、有効成分を運ぶトリアセチンの能力とグリセロールの保湿性を利用するためにトリアセチンをグリセロールおよび水と組み合わせてもよい。
【0038】
好ましくは、エアロゾル形成基体被覆のためのキャストリーフまたはスラリーを製造するためのたばこ含有スラリーは、均質化したたばこ材料を含み、またエアロゾル形成体としてグリセロールまたはプロピレングリコールを含む。エアロゾル形成基体は上述の通り、たばこ含有スラリーでできていることが好ましい。
【0039】
有利なことに、固体エアロゾル形成基体は、多孔性であり、揮発した物質が基体を離れることができる。薄い厚さを持つ固体基体は、例えば、より厚い厚さを持つ固体基体よりも少ない空隙率を持つように選択されてもよい。
【0040】
ヒーター組立品の基部は、任意の適切な材料を備えてもよく、高温(摂氏300度を超える)および急激な温度変化に耐えることができる材料であることが好ましい。
【0041】
好ましくは、基部の材料は脆くないことが好ましい。基部材料は、気化される液体について毛細管作用を有してもよい。
【0042】
基部は、熱伝導性材料を含むか、熱伝導性材料から作られる。熱伝導性材料は、導電性フィラメント配列由来の熱を固体エアロゾル形成基体に伝導するように配置される。基部は全体が熱伝導性であっても、固体基体が存在する領域だけが熱伝導性であってもよい。例えば、基部の開口部の周辺は熱伝導性層を備えてもよい。
【0043】
基部内または基部上の熱伝導性材料により、フィラメント配列由来の熱の分布が支持され得る。特に、例えば基部の上側全体にわたる、より均質的な熱分布及び熱分布が支持され得る。
【0044】
熱伝導率は、熱を伝導することに対する材料の容量である。熱伝達は、高い熱伝導率の材料を横切るときよりも低い熱伝導率の材料を横切るときに、低いレートで起こる。材料の熱伝導率は、温度に依存しうる。
【0045】
本発明で使用される熱伝導性材料は、特に、基部材料または基部に提供される熱伝導性層である。用語「熱伝導性材料」とは、10ワット毎(メートル×ケルビン)より大きい、好ましくは100ワット毎(メートル×ケルビン)より大きい、例えば10~500ワット毎(メートル×ケルビン)の熱伝導率を有する材料を指す。
【0046】
適切な熱伝導性材料には、限定するものではないが、例えば、アルミニウム、クロミウム、銅、金、鉄、ニッケルおよび銀などの金属、黄銅および鋼などの合金、およびその組み合わせが含まれる。熱伝導性材料は、熱伝達の観点から、また熱分布の観点から好適である。好ましくは固体エアロゾル形成基体の下の支持材料として、またヒーター組立品の加熱領域と緊密に接触して、基部上に配置された熱伝導性材料により、加熱されたフィラメント配列からの熱は固体エアロゾル形成基体を加熱するために使用され得る。熱伝導性材料はまた、固体エアロゾル形成基体における均一な熱温度分布を支持し得る。
【0047】
熱伝導性材料は、例えば、セラミック材料であってもよい。熱伝導性材料としてまた金属や合金などの導電性材料が使用される場合、フィラメント配列は導電性および熱伝導性層から電気的に分離されねばならない。
【0048】
好ましくは、固体エアロゾル形成基体は、ヒーター組立品が使用されるエアロゾル形成装置またはシステムにおいて発生するエアロゾルのたばこ風味含有量を可能にする、または強化するエアロゾル形成基体を含有する固体たばこである。
【0049】
ヒーター組立品は、例えば、メッシュヒーターであってもよい。
【0050】
好ましくは、ヒーター組立品は平面の流体透過性ヒーター組立品であって、フィラメント配列は平面のフィラメント配列である。
【0051】
用語「平面の」フィラメント配列または「平面の」ヒーター組立品は、本明細書全体を通して実質的に二次元の位相幾何学的マニホールドの形態であるフィラメント配列又は平面のヒーター組立品を指すために使用される。従って、平面フィラメント配列および平面のヒーター組立品は、実質的に第三の寸法よりも大きい表面に沿って二次元的に延在する。特に、その表面内での二次元的な平面のフィラメント配列の寸法は、表面に対して垂直の第三の寸法よりも少なくとも5倍大きい。平面フィラメント配列および平面のヒーター組立品の例は、二つの実質的に平行な架空表面間の構造であって、ここでこれらの二つの架空表面間の距離は、実質的にその表面内の延長部分よりも小さい。一部の好ましい実施形態において、平面フィラメント配列および平面のヒーター組立品は平坦である。その他の実施形態において、平面フィラメント配列および平面のヒーター組立品は一つ以上の寸法に沿って曲がっており、例えばドーム形状またはブリッジ形状を形成する。
【0052】
平面フィラメント配列は、平面の発熱体で使用されることが好ましく、製造中に簡単に取り扱うことができ、丈夫な構造を提供する。
【0053】
「フィラメント」という用語は、本明細書全体を通して、二つの電気接点間に配置された電気的な経路を意味するために使用される。フィラメントは任意に、いくつかの経路またはフィラメントにそれぞれ枝分かれ・分岐させてもよく、またはいくつかの電気的な経路から一つの経路に合流させてもよい。フィラメントは丸型、正方形、平面型、またはその他の任意の断面形状を有してもよい。フィラメントは、真っ直ぐな様式または曲がった様式で配置されてもよい。
【0054】
「フィラメント配列」という用語は、本明細書全体で一つの、または好ましくは複数のフィラメントの配置を意味するために使用される。フィラメント配列は、例えば相互に並列に配列された、フィラメントのアレイであってもよい。フィラメントはメッシュを形成しうることが好ましい。メッシュは織物または不織布であってもよい。フィラメント配列は、約0.5マイクロメートル~約500マイクロメートルの間の厚さを有することが好ましい。フィラメント配列は、例えば、平行または交差した導電性フィラメントのアレイの形態としうる。フィラメントは、例えば、エッチング加工されてフィラメントまたは中央部分、ならびに側部または中心面および側面のそれぞれにおける開口部を画定する導電性の箔、例えば、ステンレス鋼スチール箔から形成された、電気接点と一体型として形成されうる。
【0055】
好ましくは、フィラメント配列はメッシュの形態である。
【0056】
導電性フィラメントのメッシュ、アレイまたは布の面積は小さくてもよく、25mm2以下であり、手持ち式システムへの組み込みが許容されることが好ましい。導電性フィラメントのメッシュ、アレイまたは布は、例えば5mm×2mmの寸法の長方形であってもよい。導電性フィラメントのメッシュまたはアレイは、ヒーター組立品の面積の10%~50%の面積を覆うことが好ましい。導電性フィラメントのメッシュまたはアレイは、ヒーター組立品の面積の15%~25%の面積を覆うことがより好ましい。導電性フィラメントのメッシュ、アレイまたは布を、面積の10%および50%、または25mm2以下の大きさにすることで、好ましくは一つ以上の毛細管材料によってフィラメント配列に供給される、蒸発される液体への導電性フィラメントのメッシュ、アレイまたは布の十分な接触が依然として確保されたまま、導電性フィラメントのメッシュ、アレイまたは布を加熱するのに必要な総電力量が低減される。
【0057】
フィラメント配列は、例えばフィラメント配列と基部材料を一緒に直接成形することにより、基部上に保持され得る。しかしながら、フィラメント配列はまたファスナーによっても基部上に保持され得る。
【0058】
ファスナーは導電性であってもよく、フィラメント配列を通して加熱用電流を供給するための電気接点として機能し得る。
【0059】
ファスナーは、化学的または機械的ファスナーとし得る。フィラメント配列は、例えば、結合または接着によって基体に取り付けられてもよい。
【0060】
好ましくは、ファスナーは、クランプ、ネジまたはフォームロッキング(form-locking)ファスナーなどの機械的ファスナーである。
【0061】
ファスナーは、上述のファスナーのうちの一つまたは組み合わせとしうる。
【0062】
本発明によると、エアロゾル発生装置またはシステムにおける使用のためのカトマイザーカートリッジも提供されている。カトマイザーカートリッジは、上述の実施形態のいずれかによる、エアロゾル形成液体を貯蔵するためのカートリッジ本体内の貯蔵部およびヒーター組立品を備える。ヒーター組立品は、貯蔵部からエアロゾル形成液体を受けるためのカートリッジ本体の一方の端部に配置される。固体エアロゾル形成基体は、好ましくはヒーター組立品の基部上に配置される。カトマイザーカートリッジは、エアロゾル発生装置における対応する電気接点と係合するように構成された、電気接点をさらに備える。電気接点は、ヒーター組立品のフィラメント配列に電気的に接続され得る。カトマイザーカートリッジにおいて、ヒーター組立品は、貯蔵部から受け取ったエアロゾル形成液体を加熱するために適合される。それにより、ヒーター組立品のフィラメント配列の加熱から生じた残留熱が、ヒーター組立品の固体エアロゾル形成基体を加熱する。カートリッジ本体は開放的であり、一方の端部からエアロゾル形成液体がカートリッジ本体を離れることが出来る。カートリッジ本体は出口開口部を備えてもよく、好ましくはヒーター組立品の基部の開口部と整列する。出口開口部は、例えば、カートリッジ本体を通る流路の出口開口部であってもよい。出口開口部はまた、カートリッジ内に含有されるウィッキング材または高保持材料のためのカートリッジ本体の出口開口部であってもよく、そこでカートリッジに含有された液体がヒーター組立品のフィラメント配列と接触することになる。
【0063】
カートリッジ本体の出口開口部と基部の開口部は同じサイズを有してもよい。
【0064】
ヒーター組立品の基部の開口部は、カトマイザーカートリッジの中央部分、すなわち、カートリッジ本体の一方の端部の中央部分、に配置されてもよい。好ましくは、固体エアロゾル形成基体は、その後ヒーター組立品の基部内の開口部の周りに円周方向に配置される。
【0065】
カトマイザーカートリッジにおいて、ヒーター組立品およびカートリッジ本体は、固体エアロゾル形成基体をカートリッジ本体から離れる方向にヒーター組立品の上側の上に配置されるように、配置されてもよい。好ましくは、固体基体は平面のヒーター組立品の基部の上側の上に配置され、平面のヒーター組立品は、例えば縦長のカートリッジ本体の一方の端部カートリッジ本体の一方の端部に垂直に配置される。
【0066】
カートリッジ本体およびヒーター組立品はともに円形であってもよい。カートリッジ本体およびヒーター組立品は同じ直径または実質的に同じ直径を有してもよい。
【0067】
流体透過性ヒーター組立品と搬送媒体(例えば、毛細管搬送媒体、繊維または多孔性のセラミック材料製の芯など)の間の信頼性のある接触により、流体透過性ヒーター組立品のフィラメント配列の一定の湿潤が向上する。この利点により、有利なことに、導電性フィラメント配列の過熱のリスクおよび液体の不注意な熱分解が低減される。
【0068】
カートリッジ本体の貯蔵部または液体貯蔵部分は有利には毛細管材料を含む。毛細管材料は、液体を材料の一方の端から他方の端へ能動的に送達する材料である。毛細管材料は、カートリッジ本体内で液体をヒーター組立品に運ぶのに有利に方向付けられる。
【0069】
毛細管材料は繊維質または海綿状の構造を持ってもよい。毛細管材料は一束の毛細管を含むことが好ましい。例えば、毛細管材料は複数の繊維もしくは糸、またはその他の微細チューブを含んでもよい。繊維または糸は一般的に、液体をヒーター組立品に移動するように整列していてもよい。別の方法として、毛細管材料は海綿体様または発泡体様の材料を含んでもよい。毛細管材料の構造は複数の小さな穴またはチューブを形成し、それを通して液体を毛細管作用によって搬送することができる。毛細管材料は任意の適切な材料または材料の組み合わせを含んでもよい。適切な材料の例としては、海綿体または発泡体材料、繊維または焼結粉末の形態のセラミック系またはグラファイト系の材料、発泡性の金属またはプラスチックの材料、例えば紡がれたかまたは押し出された繊維(酢酸セルロース、ポリエステル、または結合されたポリオレフィン、ポリエチレン、テリレンまたはポリプロピレン繊維、ナイロン繊維またはセラミックなど)でできた繊維性材料がある。毛細管材料は、異なる液体物理特性で使用されるように、任意の適切な毛細管作用および空隙率を有してもよい。液体は、毛細管作用により毛細管装置を通過して搬送できるようにする粘性、表面張力、密度、熱伝導率、沸点および蒸気圧を含むがこれに限定されない物理的特性を持つ。
【0070】
毛細管材料は、フィラメント配列の導電性フィラメントと接触してもよい。毛細管材料は、フィラメント間の隙間に延びてもよい。ヒーター組立品は、毛細管作用により液体エアロゾル形成基体を隙間に引き込んでもよい。毛細管材料は、実質的に基部の開口部の広がり全体にわたって、導電性フィラメントと接触してもよい。一つの実施形態で、導電性フィラメント配列と接触する毛細管材料は、フィラメント状の芯としうる。フィラメント状の芯は第一の部分および第二の部分を持つことが好ましく、ここで第一の部分は、導電性フィラメント配列と実質的に直角に配列され、カートリッジの貯蔵部内に達する。フィラメント状の芯の第二の部分は、実質的に導電性フィラメント配列と平行に配列されることが好ましい。フィラメント状の芯のフィラメントは、フィラメント状の芯の第一の部分からフィラメント状の芯の第二の部分へと連続していることが好ましい。これにより、フィラメント状の芯の第一の部分を通した導電性フィラメント配列に向けた液体の素早い搬送が許容されると同時に、フィラメント状の芯の第二の部分を通した導電性フィラメント配列全体への素早い分配が許容される。これにより、有利なことに導電性フィラメント配列全体の連続的な湿潤が許容される。連続的な湿潤により、過熱が回避でき、また過熱による不注意の液体の分解が阻止できる。
【0071】
ヒーター組立品および毛細管材料は、およそ同じ面積を持つ大きさとしうる。本明細書で使用される時、「およそ」とは、ヒーター組立品を毛細管材料よりも0~15%だけ大きくしうることを意味する。ヒーター組立品の形状も、組立品および材料が実質的に重なるように、毛細管材料の形状と同様としうる。組立品および材料のサイズおよび形状が実質的に同じである時、製造は単純化することができ、製造工程の確実性が改善される。毛細管材料は、エアロゾル発生を促進するために、ヒーター組立品の導電性フィラメントのメッシュ、アレイまたは布と直接接触する毛細管材料の一つ以上の層を含む、二つ以上の毛細管材料を含みうる。
【0072】
好ましくは、カトマイザーカートリッジの貯蔵部は、例えば、ニコチン含有液体などのエアロゾル形成液体、および、好ましくは、たばこを含有する固体エアロゾル形成基体を含む。
【0073】
発明の別の態様によると、電気的に動作するエアロゾル発生システムが提供される。システムは、液体エアロゾル形成基体を保持するためのハウジングを含む貯蔵部分を含み、ハウジングは開放端を持つ。システムは、本発明による、本明細書で説明した流体透過性ヒーター組立品をさらに含む。ヒーター組立品は、流体透過性ヒーター組立品のフィラメント配列が、ハウジングの開放端上に配置されるようにハウジングの横に配置される。システムは、流体透過性ヒーター組立品のフィラメント配列を電源に電気的に接続するための電源およびコネクターをさらに含む。
好ましくは、エアロゾル発生システムは、たばこを燃焼させることなく喫煙体験を提供することのできる喫煙システムである。
【0074】
そのようなシステムにおいて、液体エアロゾル形成基体を保持するハウジングは、導電性フィラメントの第一の側に配置され、気流チャネルは導電性フィラメントの反対側から液体貯蔵部分に配置されてもよい。この構成によって、導電性フィラメントを通る気流は、基体からの気化した液体エアロゾル形成基体だけではなく、ヒーター組立品上の固体エアロゾル形成基体からの気化し物質も混入させる。
【0075】
貯蔵部分のハウジングは、二つの要素を含むことが好ましく、ここで第一の要素はキャップであり、第二の要素はタンクであり、またキャップはタンクを閉める。好ましくは、キャップはヒーター組立品を含むか、またはそれと密着する。好ましくは、タンクは、液体と、存在する場合には毛細管材料を含む。キャップ材料は、例えばポリエーテルエーテルケトン(PEEK)またはKapton(登録商標)など、高い熱分解温度を有する材料で作製されることが好ましい。キャップは、タンクをヒーター組立品から少なくとも1.5mmの距離だけ隔てるのに十分な大きさを持つことが好ましく、キャップを横切って十分な温度降下を提供するために1.5mm~2mmであることが好ましい。有利なことに、こうした実施形態において、タンク材料は、例えばポリエチレンまたはポリプロピレンなどの低めの熱分解温度を有しよりコスト効率の高い材料で作製されうる。
【0076】
ハウジングおよびヒーター組立品はシステム内に固定的に、または取り外し可能に据付けられる個別のパーツであってもよい。ハウジングおよびヒーター組立品はまた、例えばカトマイザーカートリッジの形態など、ユニットとして構成されてもよい。
【0077】
システムは有利には、本発明による、明細書に記載されたカトマイザーカートリッジを備え、カトマイザーカートリッジは液体エアロゾル形成基体を保持するためのハウジングを備えるカートリッジ本体を有する。
【0078】
システムは有利には、エアロゾル発生装置および装置に取り外し可能に結合されるカトマイザーカートリッジを備えてもよい。貯蔵部または液体貯蔵部分およびヒーター組立品はカトマイザーカートリッジ内に提供され、またエアロゾル発生装置は電源を備える。
【0079】
装置はカトマイザーカートリッジを受けるためのくぼみを画定する本体を備えてもよい。
【0080】
エアロゾル発生システムは、ヒーター組立品および電力電源に接続された電気回路をさらに含んでもよい。電気回路は、ヒーター組立品またはヒーター組立品の一つ以上のフィラメントの電気抵抗をモニターし、ヒーター組立品または一つ以上のフィラメントの電気抵抗に依存して、ヒーター組立品への電力供給を制御するように構成されてもよい。
【0081】
電気回路はマイクロプロセッサを備えてもよく、これはプログラム可能マイクロプロセッサであってもよい。電気回路はさらなる電子構成要素を備えてもよい。電気回路はヒーター組立品への電力供給を調節するように構成されてもよい。電力はシステムの起動後、ヒーター組立品に連続的に供給されてもよく、または断続的に供給(例えば、吸入ごとに毎回供給)されてもよい。電力は、電流パルスの形態でヒーター組立品に供給されてもよい。
【0082】
システムの電源は典型的には、例えばエアロゾル発生装置の本体内などの電池である。電源は再充電を必要としてもよく、1回以上の喫煙の体験のために十分なエネルギーを蓄積できる容量を持ってもよい。例えば、電源は約6分間、または6分の倍数の時間にわたるエアロゾルの連続的な発生を可能にするのに十分な容量を有してもよい。別の実施例において、電源は所定回数の吸煙、またはヒーター組立品の不連続的な起動を可能にするのに十分な容量を有してもよい。
本発明を実施形態に関してさらに説明し、それらの実施形態を下記の図面によって例示する。
【図面の簡単な説明】
【0083】
図1図1は、カトマイザーカートリッジの概略図である。
図2図2は、カトマイザーカートリッジの概略図である。
図3図3は、メッシュヒーターを示す。
図4図4は、三つのヒーター要素を備えたヒーター組立品を示す。
【発明を実施するための形態】
【0084】
図1は、カートリッジ2およびヒーター組立品1により形成されたカトマイザーカートリッジの概略的な上面斜視図である。図2は、概略的な長手方向断面図におけるカトマイザーカートリッジを示す。
【0085】
ヒーター組立品1は横方向平面に延在し、ヒーター組立品1およびハウジング20の周囲に沿ってカートリッジ2のハウジング20と同一平面にあってもよい。ハウジング20は円筒形状を有し、高保持材料、毛細管材料を含んでもよく、また単純に液体エアロゾル形成基体を受容して保持するための空のタンクであってもよい。
【0086】
ヒーター組立品1は、ディスクの形態を有する実質的に平面のヒーターである。
【0087】
ヒーター組立品1は、中央開口部100および中央開口部100の上に配置され、基部10に取り付けられたフィラメント配列11と、を備えるディスク形状基部10を備える。例えばメッシュ配列などのフィラメント配列11は、例えば一体成形、または例えばクランプ、ネジ、接着、粘着などの化学ファスナーなどによって基部10に取り付けられる。
【0088】
基部10上に、加熱領域12を除いて、または基部10内に提供される開口部100を除いて、固体エアロゾル形成基体層14が提供される。層14は、例えばフィラメント配列の接触部分13におけるように、基部10および基部上に延在するフィラメント配列14の部分を被覆する層を含むたばこ材料であってもよい。
【0089】
基部10は、被覆、浸漬、噴射、またはその他適切な適用方法により、エアロゾル形成基体層14を備えてもよい。基部10は、層の製造後に基部10に適用される、予め製造された層14を備えてもよい。エアロゾル形成基体被覆が提供される場合、好ましくは加熱領域12および加熱領域12のフィラメント配列11が被覆され、またはさもなければ、加熱領域内のフィラメント配列がエアロゾル形成基体層14の固体エアロゾル形成基体を備えないように保護されている。層14の厚さは約1ミリメートルである。
【0090】
好ましくは、基部10は電気的に分離されている。フィラメント配列11により発生された熱のより良い分散のために、特に接触領域13において、好ましくは基部の表面全体またはエアロゾル形成基体層14全体にわたって、例えばセラミック材料または金属の熱伝導性層15が基部の上側の上に配置されてもよい。熱伝導性層15は、エアロゾル形成基体層14として基部10の同じ領域を実質的に被覆する。図2の例において、熱伝導性層15は基部10とフィラメント配列11との間に配置される。しかしながら、フィラメント配列11と熱伝導性層14とは電気的に分離している。
【0091】
加熱領域12のフィラメント配列のヒーターフィラメントは、気化したエアロゾル形成基体がヒーター組立品を通過する気流内に抜け出すことができるように、基体10の開口部100を通して露出する。
【0092】
ハウジング20は、ポリプロピレンなどの熱可塑性物質から形成される。ヒーター組立品1はハウジング20に接着されてもよい。しかしながら、カートリッジを組み立てて充填するには考えられるいくつかの方法がある。
【0093】
カートリッジハウジングは射出成形により形成されうる。ハウジング10に存在する毛細管材料は、毛細管繊維の長いロッドから適切な長さの毛細管材料を切断することにより形成されてもよい。カートリッジは、まずハウジング20内に毛細管材料を挿入することにより組み立てられてもよい。次に所定の体積の液体エアロゾル形成基体がハウジング20に導入され、毛細管材料を浸す。次に、ヒーター組立品1がハウジングの開放端に押し付けられ、接着、溶接、ヒートシール、超音波溶接、または当業者にとって明らかとなるその他の方法によってハウジング20に固定される。ハウジングの温度は、ヒーター組立品1とハウジング20の上にそれらが存在する場合、ハウジング20内の液体エアロゾル形成基体、またはヒーター組立品1上の層14の固体エアロゾル形成基体の望ましくない揮発を阻害するための封止作業中、好ましくは160℃未満に維持される。毛細管材料は、ヒーター組立品1によって圧縮されるまで、ハウジング20の開放端から出て延在するような長さに切断されうる。これにより、使用時にヒーター要素の隙間内への液体エアロゾル形成基体の搬送が促進される。
【0094】
好ましくは、ハウジングは液体エアロゾル形成基体で充填され、次いでヒーター組立品1と組み立てられる。ハウジングを液体エアロゾル形成基体で充填する前にヒーター組立品1およびハウジング20を組み立てて、液体エアロゾル形成基体をハウジング20に導入することも可能である。その場合に、ヒーター組立品1は、説明した方法のうちいずれかを使用してカートリッジハウジング20に固定されてもよい。その後、ヒーター組立品1またはハウジング2には中空の針を使用して穿孔され、例えばハウジング内の毛細管材料中になど、液体エアロゾル形成基体がハウジングに注入される。次に、中空の針によってできた任意の開口部はヒートシールまたは封止テープを使用して封止される。
【0095】
好ましくは、エアロゾル形成基体層14は、ヒーター組立品1およびカートリッジハウジング20が組み立てられる前に、ヒーター組立品1上に提供される。しかしながら、ヒーターとハウジングの組み立ては完全な組み立て後に実施されてもよく、固体エアロゾル14はさもなければ最後のカトマイザーカートリッジに提供されてもよい。この方法により、既にベイピングシステムで使用された予め製造されたカトマイザーカートリッジが使用されてもよい。カトマイザーカートリッジは固体エアロゾル形成基体層14に提供されて喫煙体験を改善させ、特に接触部分で発生したヒーター組立品1の残留熱を活用させる。
【0096】
図3は、メッシュ配列11を有する、平面の流体透過性ヒーター組立品のセットアップの一例を示す。図3に示されるヒーターの組み立て状態では、ヒーター組立品は電気的に絶縁した基部10と、メッシュ配置11および二つの金属シート16の形態のヒーター要素及びフィラメント配列を備える。金属シート16は、例えば接触ピンなどの、コネクターの電気接点を変えるための、メッシュ配列が接触する、メッシュ配列11の側部を備えた錫のシートであってもよい。
【0097】
基部10は、円形ディスクの形態を有し、中央に配置された開口部100を含む。基部10は、対角線上に互いに対向して配置される二つの穿孔101を基体に含む。孔穴101は、ヒーター組立品を、例えばカートリッジハウジング上またはヒーター組立品が使用されるエアロゾル発生装置内に配置されおよび取り付けるために機能しうる。
【0098】
メッシュ配列11は加熱領域および場合によっては二つのPEEKで外側被覆された接触領域を含む。メッシュ配列は、中央に配置された四角形の形態の開口部100上および基部10の部分上に配置される。メッシュ配列の加熱領域は、開口部100上に位置するようになる。二つの接触領域、特にPEEKで外側被覆され、錫めっきされた(金属シート6で覆われた)部分は、基部10上に位置するようになる。
【0099】
加熱領域内のメッシュの幅は、加熱領域の横方向の両側面上に開口部100の開口部分が形成されるように、開口部100の幅よりも小さい。開口部分は、メッシュによって覆われない。フィラメント配列の側部の錫めっきされたメッシュは、メッシュ自体よりもより平面の接触領域を形成する。接触領域は、例えば電池からの電気コネクターによってヒーター組立品を接触させるためである。
【0100】
図3の例において、固体エアロゾル形成基体(図示せず)が、開口部100およびフィラメント組立品11以外のヒーター組立品の上部表面全体上、すなわち、金属シート16上の可視的な基部表面10上、に提供される。金属シート16の良好な接触のため、シートの部分は固体エアロゾル形成基体なしで維持されうる。しかしながら、固体エアロゾル形成基体層の柔軟さにより、ポゴピンなどの接触要素はエアロゾル形成基体層を容易に通過しうる。
【0101】
図4では、ヒーター組立品1の別の例が描かれており、三つの実質的に平行なヒーター要素36a、36b、36cは、電気的に直列に接続されている。ヒーター組立品1は、その中に正方形の開口35が形成された電気的に絶縁された基部34を含む。開口のサイズは、この例では5mm×5mmであるが、当然のことながらヒーターの特定の用途に適切なその他の形状およびサイズの開口が使用されうる。第一および第二の電気接点32a、32bは、開口35の反対側に提供され、開口35の側方端35a、35bと実質的に平行に延びる。二つの追加的な接点32c、32dは、開口35の反対側の側方端35c、35dの部分に隣接して提供される。第一のヒーター要素36aは、第一の接点部分32aと追加的な接点部分32cとの間に接続される。第二のヒーター要素36bは、追加的な接点部分32cと追加的な接点部分32dの間に接続される。第三のヒーター要素36cは、追加的な接点部分32cと第二の接点部分32bとの間に接続される。この実施形態において、ヒーター組立品1は、奇数のヒーター要素36、すなわち三つのヒーター要素を含み、第一および第二の接点部分32a、32bは、基部34の開口35の反対側に位置する。ヒーター要素36aおよび36cは、これらのヒーター要素36a、36cと絶縁された基部34との間で直接的な物理的接触がないように、開口の側方端35a、35cから間隔が置かれる。特定の任意の理論に束縛されることは望まないが、この配置により、絶縁された基部34への熱伝達が低減でき、液体エアロゾル形成基体の有効な揮発が許容されうる。
【0102】
しかしながら、本発明によれば、ヒーター要素36a、36b、36cからの小さなまたは大きな熱伝達は、ヒーター組立品1上の固体エアロゾル形成基体を加熱するために活用される。図4の例において、基部34の上側表面の可視的な部分は囲み線で示され、固体エアロゾル形成基体を備えていてもよい。固体エアロゾル形成基体がヒーター組立品の組み立て後に適用される場合、固体エアロゾル形成基体は接点32a、32b、32c、32dと同様、線が引かれた基部表面上、そして開口35および三つのヒーター要素を除いた、または少なくとも開口35上に延在する三つのヒーター要素を除いた、ヒーター表面の全体に提供される。
図1
図2
図3
図4